(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】コンポーネントが設けられた固形物層をシンニングする方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221226BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20221226BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221226BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20221226BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20221226BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221226BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/02 C
H01L29/86 301D
H01L29/78 658K
H01L29/86 301P
H01L29/78 652T
H01L21/304 601Z
(21)【出願番号】P 2020524600
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2018074893
(87)【国際公開番号】W WO2019091634
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】102017010284.8
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511153080
【氏名又は名称】ジルテクトラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【住所又は居所原語表記】Manfred-von-Ardenne-Ring 7,01099 Dresden,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リスケ, ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】スワボダ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】リヒター, ヤン
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-046309(JP,A)
【文献】特表2015-516672(JP,A)
【文献】国際公開第2017/167614(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 29/872
H01L 21/336
H01L 21/329
H01L 29/12
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固体層(4)を提供する方法であって、前記固体層(4)は、固体物(1)から分離される、方法において、少なくとも、
剥離プレーン(8)を形成するべく、前記固体物(1)内において、レーザービームを利用して複数の改質(9)を生成するステップであって、
前記改質(9)による前記固体層(4)内における圧縮性応力の生成を伴う、ステップと、
前記改質(9)によって形成された前記剥離プレーン(8)に沿って残りの固体物(1)及び前記固体層(4)を分離することにより、前記固体層(4)を除去し、これにより、前記固体層(4)上において、圧縮性応力を生成する前記改質(9)の少なくとも構成要素を残すステップであって、
前記固体層(4)が、前記改質(9)に起因して前記固体物(1)から剥離された状態となるように、十分な改質(9)が生成され、或いは、
外部力が、前記固体物(1)内において更なる応力を生成するべく前記固体物(1)に導入され、前記外部力は、前記応力が前記改質によって形成された前記剥離プレーン(8)に沿って亀裂伝播をもたらすように、十分強力である、ステップと、
前記残りの改質構成要素の前記圧縮性応力によってもたらされる前記固体層(4)の変形の少なくとも部分的な補償のために、或いは、前記圧縮性応力の少なくとも部分的な補償のために、前記固体物(1)からの前記固体層(4)の前記分離によって露出した表面上において金属層(20)を生成するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
電気コンポーネントを生成する方法であって、少なくとも、
剥離プレーン(8)を形成するべく、固体物(1)内においてレーザービームを利用して複数の改質(9)を生成するステップであって、
前記改質(9)による固体層(4)内における圧縮性応力の生成を伴う、ステップと、
前記固体物(1)の当初露出した表面(5)上において又はこの上方において、層及び/又はコンポーネント(150)を構成又は生成することにより、複合構造を生成するステップであって、前記露出した表面(5)は、除去対象の前記固体層(4)の一部である、ステップと、
前記改質(9)によって形成された前記剥離プレーン(8)に沿って残りの固体物(1)及び前記固体層(4)を分離することにより、前記固体層(4)を除去し、これにより、前記固体層(4)上において、圧縮性応力を生成する前記改質(9)の少なくとも構成要素を残すステップであって、
前記固体層(4)が、前記改質(9)に起因して前記固体物(1)から剥離された状態になるように、十分な改質(9)が生成され、或いは、
外部力が、前記固体物(1)内において更なる応力を生成するべく前記固体物(1)に導入され、前記外部力は、前記応力が前記改質によって形成される前記剥離プレーン(8)に沿って亀裂伝播をもたらすように、十分強力である、ステップと、
改質構成要素によってもたらされる前記圧縮性応力の少なくとも部分的な補償のために、前記固体物(1)からの前記固体層(4)の前記分離によって露出した前記表面上において金属層(20)を生成するステップと、
を有する方法。
【請求項3】
前記金属層は、第1物質状態において、前記固体層(4)上において、且つ、室温超の温度において、生成され、且つ、第2物質状態において、室温において、存在しており、前記第1物質状態から前記第2物質状態への遷移の結果として、前記金属層は、前記固体層に、前記残りの改質構成要素上において前記圧縮性応力によってもたらされる前記変形の少なくとも部分的な補償を適用し、或いは、
前記金属層は、室温超の温度範囲において前記固体層(4)上において生成され、前記温度範囲は、室温超の、少なくとも100℃又は150℃又は200℃又は250℃又は300℃又は350℃又は400℃であり、前記金属層の室温への冷却は、前記固体層に、前記残りの改質構成要素上において前記圧縮性応力によってもたらされる前記変形の少なくとも部分的な補償を適用している、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属層は、スパッタリング又は電気化学堆積によって生成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記固体物は、炭化ケイ素(SiC)から構成されているか、或いは、炭化ケイ素(SiC)を含み、
前記固体層(4)は、200μm未満の厚さを有するように、前記固体物(1)から分離されている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記固体物(1)内においてレーザービームを利用して複数の改質(9)を生成するステップにおいて、
前記レーザービームの開口数は、0.4~0.8、前記固体物(1)への貫通深さは、50μm~500μm、前記レーザービームのパルス分離は、0.1μm~3μm、前記レーザービームのライン間隔は、10μm~100μm、前記レーザービームのパルス持続時間は、100fs~10ns或いは、3ns~0.2ns、且つ、前記レーザービームのパルスエネルギーは、0.5μJ~30μJ、である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電気コンポーネントは、垂直方向コンポーネントであり、
前記金属層は、電気接点を形成しており、且つ/又は、熱の除去のためのインターフェイスを形成している、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記電気コンポーネントは、水平方向コンポーネントであり、前記金属層は、熱の除去のためのインターフェイスを形成している、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
平均で、複数の電気コンポーネントが、前記固体層の平坦な表面側の1cm
2当たりにおいて生成されており、前記電気コンポーネントは、その生成の後に、ダイシングを利用して相互に分離される、
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記外部力は、前記複合構造の、又は除去対象の前記固体層(4)の、露出した表面(5)上において吸収層(140)の構成を介して導入されており、前記吸収層(140)は、ポリマー材料を含み、且つ、前記吸収層(140)には、前記固体物(1)内において応力を、生成することを目的として、熱によって応力が印加されており、前記熱応力は、周辺温度未満の温度への前記吸収層の冷却を構成しており、前記冷却は、前記吸収層(140)の前記ポリマー材料がガラス遷移を経験するような方法によって実現され、且つ、前記応力は、前記固体物(1)から前記固体層(4)を分離する前記剥離プレーン(8)に沿った前記固体物(1)内の亀裂の伝播を結果的にもたらす、
ことを特徴とする請求項2、7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記固体物(1)は、前記剥離プレーン(8)の生成の前に、少なくとも1つの高温方法によって処理され、前記高温方法は、70℃~前記固体物(1)の材料の溶解温度又は蒸発温度の間の温度において実行され、
前記少なくとも1つの高温方法は、エピタキシャル方法、ドーピング方法、又はプラズマを使用する方法であり、前記高温方法は、前記固体物(1)上において少なくとも1つの層(145)を生成し、生成された前記少なくとも1つの層(145)は、予め定義されたパラメータを有し、少なくとも1つの予め定義されたパラメータは、レーザー光波の屈折及び/又は吸収及び/又は反射の最大程度を定義し、前記屈折及び/又は吸収及び/又は反射の前記程度は、5%未満である、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記改質(9)は、多光子励起を利用して生成され、
複数の基礎改質が、まず、少なくとも、セクション内において均一に延在するライン上において生成され、
これらの基礎改質は、予め定義されたプロセスパラメータによって生成され、
これらのプロセスパラメータの少なくとも1つの値は、前記固体物の結晶格子の安定性の関数として固定されており、
前記値は、個々の前記基礎改質の周りの前記結晶格子が無傷の状態において留まるように、選択され、
また、臨界未満の亀裂のトリガ用のトリガ改質が生成され、前記トリガ改質を生成する少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記基礎改質を生成する少なくとも1つのプロセスパラメータとは異なっており、且つ/又は、
前記トリガ改質は、生成された前記基礎改質がそれに沿って延在するラインの方向との関係において傾斜した又は離隔した方向において生成され、前記臨界未満の亀裂は、5mm未満だけ、伝播している、
ことを特徴とする請求項1
ないし9及び11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記改質(9)は、多光子励起を利用して生成され、
複数の基礎改質が、まず、少なくとも、セクション内において均一に延在するライン上において生成され、
これらの基礎改質は、予め定義されたプロセスパラメータによって生成され、
これらのプロセスパラメータの少なくとも1つの値は、前記固体物の結晶格子の安定性の関数として固定されており、
前記値は、個々の前記基礎改質の周りの前記結晶格子が無傷の状態において留まるように、選択され、
また、臨界未満の亀裂のトリガ用のトリガ改質が生成され、前記トリガ改質を生成する少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記基礎改質を生成する少なくとも1つのプロセスパラメータとは異なっており、且つ/又は、
前記トリガ改質は、生成された前記基礎改質がそれに沿って延在するラインの方向との関係において傾斜した又は離隔した方向において生成され、前記臨界未満の亀裂は、5mm未満だけ、伝播している、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記臨界未満の亀裂は、前記固体物内において5μm~200μmだけ伝播しており、且つ/又は、
亀裂は、前記臨界未満の亀裂が前記ガラス遷移によって生成された前記応力に起因して伝播した複数のラインの領域の間において開口している、
ことを特徴とする請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
露出した層の、又は露出したコンポーネント(150)の、変形を境界画定する安定化層(142)が、生成された複合構造の前記露出した表面又は露出した層又は露出したコンポーネント(150)上において構成又は生成されており、前記変形は、前記吸収層(140)を利用して誘発される機械的応力の結果としてもたらされることを特徴とする請求項10
、13
及び14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
マルチコンポーネント構成であって、少なくとも、
固体層であって、
前記固体層は、50(質量)%超の程度まで、SiCから構成されており、
前記固体層は、第1表面の領域内において、圧縮性応力を生成する改質又は改質構成要素を有し、
前記改質は、前記固体層の非晶質化された構成要素であり、
前記改質は、第2表面からよりも前記第1表面から相対的に短い距離において位置し、或いは、前記第1表面の一部分を形成しており、前記第2表面は、前記第1表面に平行に又は基本的に平行に形成されており、
前記第1表面は、平坦であり、或いは、基本的に平坦である、固体層と、
前記固体層の前記第1表面上において生成された金属層と、
を有する構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1によれば、少なくとも1つの固体物から少なくとも1つの固体層を分離する方法又は少なくとも1つの固体層を提供するために少なくとも1つの固体層を提供する方法に関し、且つ、請求項2によれば、電気コンポーネントを製造する方法に関し、且つ、請求項15によれば、マルチコンポーネント構成に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業においては、シンニングされた固体層又は基材上において、いくつかのコンポーネントが必要とされている。但し、薄い基材は、従来のプロセスよっては、取り扱うのが困難であり、且つ、ウエハの場合にも、従来のワイヤソーイングプロセスによっては特定の厚さしか製造することができないことから、薄い基材上におけるこれらのコンポーネントの製造の大部分の一般的な形態は、処理が完了した際の、基材の研削による除去又は裏面のシンニングである。
【0003】
このケースにおいては、従来のウエハは、終了時点における研削及び研磨ステップにおいて、過剰な材料を除去することにより、最終的な望ましい基材の厚さが確立される前に、完成まで処理されている。この状況は、第1には、価値ある材料が研削ステップにおいて部分的に失われること、第2には、研削/研磨ステップが、基材への損傷を通じて潜在性を、ウエハ内において生成された価値の主要な部分を既に含む、既に処理済みのコンポーネントの完全な喪失の潜在性をもたらすこと、という2つの理由から、不利である。
【0004】
固体物をシンニングする更なる方法については、国際公開第2014/177721A1号パンフレットにおいて開示されている。この方法によれば、ポリマー層が、固体物上において取り付けられている。次いで、ポリマー層の熱処理により、固体物内において応力が生成され、これを利用して、固体層が、残りの固体物から分離されている。
【0005】
独国特許出願公開第102012001620A1号明細書は、分離ステップの後に、ポリマー薄膜の改善された除去のために機能する、固体物とポリマー薄膜の間の更なる犠牲層の使用について記述しており、この場合に、犠牲層は、例えば、適切な反応剤の追加により、化学的な手段によって、分解されるか又は取り外されている。但し、このプロセスの欠点は、その長い期間にあり、これは、ポリマー層が完全に除去される前に、最大で、数時間が経過するということになりうる。この結果、産業的な利用が大幅に制限されている。ポリマー除去のプロセスを加速させるべく、適切な事前処理により、室温においても有効である、適切な引張応力の形態における更なる駆動力を導入することができる。これらは、反応剤又は溶剤の作用のエリアのサイズの増大に結び付くと共に、破壊又は剥離及び分解を促進する。
【0006】
これに加えて、国際公開第2010/072675A2号パンフレットは、熱膨張係数又は弾性率に局所的に影響を及ぼしうるように、ポリマー内において充填材を提供するステップを開示している。但し、このような充填材は、力の十分な伝達がもはや不可能となるように、しばしば、分割対象の固体物の表面上のポリマーの接着を悪化させることが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、特に、材料が節約され、且つ、ウエハ損失(「収率損失」と呼称される)が低減されるという点において、半導体基材のシンニングを改善することが、且つ/又は、電気コンポーネントの相対的に有利な製造の手段を提供することが、且つ/又は、有利なマルチコンポーネント構成を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、請求項1によれば、少なくとも1つの固体層を提供する方法により、実現され、この場合には、固体層が固体物から分離されている。本発明のプロセスは、好ましくは、少なくとも、剥離プレーンを形成するべく固体物内においてレーザービームを利用して様々な改質を生成するステップであって、改質は、固体物内において圧縮性応力を生成する、ステップと、改質によって形成された剥離プレーンに沿った残りの固体物及び固体層の分離により、固体層を除去するステップであって、圧縮性応力を生成する改質の少なくとも1つの構成要素が固体層上において留まっており、固体層が、改質に起因して、固体物から剥離された状態となるように、十分な数の改質が生成され、或いは、固体物内において更なる応力を生成するべく、外部力が固体物に導入され、外部力は、応力が改質によって形成された剥離プレーンに沿って亀裂伝播をもたらすように、十分に大きい、ステップと、残りの改質構成要素上の圧縮性応力によってもたらされた固体層の変形の少なくとも部分的な、且つ、好ましくは大幅な、且つ、更に好ましくは完全な、補償のために、或いは、圧縮性応力の少なくとも部分的な、且つ、好ましくは大幅な又は完全な、補償のために、固体物からの固体層の除去によって露出した表面上において、材料層、特に、金属層、を生成するステップと、を有する。
【0009】
この解決策は、有利であり、その理由は、固体層の材料除去処理のためのなんらのニーズをも伴うことなしに、非常に平坦な固体層が提供されうるからである。これは、特に、固体材料であるSiCのケースにおいて、適切であり、その理由は、その製造には、大きな費用が所要され、且つ、従って、可能な限り材料損失を回避するべきであるからである。更には、SiCは、非常に硬く、これは、SiCの高硬度に起因して非常に迅速に損耗する、高価な研削ツールを使用する必要があることを意味している。また、この解決策は、提供される固体層が、電気接点を確立するべく、且つ/又は、熱除去用のインターフェイスを形成するべく、材料層、特に、金属層、を既に装備していることからも、適切である。
【0010】
また、上述の課題は、請求項2によれば、電気コンポーネントを生成する方法によって実現されている。本発明のこの方法は、好ましくは、少なくとも、剥離プレーンを形成するべく、固体物内においてレーザービームを利用して複数の改質を生成するステップであって、改質は、固体物内において圧縮性応力を生成する、ステップと、固体物の最初に露出した表面上における又はその上方における層及び/又はコンポーネントの配置又は生成により、複合構造を生成するステップであって、露出した表面は、除去対象の固体層の一部分である、ステップと、改質によって形成された剥離プレーンに沿った残りの固体物及び固体層の分離により、固体層を除去するステップであって、少なくとも、圧縮性応力を生成する改質の構成要素が固体層上において留まっており、固体層が改質に起因して固体物から剥離された状態となるように、十分な数の改質が生成されており、或いは、固体物内において更なる応力を生成するべく、外部力が固体物に導入され、外部力は、応力が改質によって形成された剥離プレーンに沿って亀裂伝播をもたらすように、十分に大きく、除去される固体層内には、好ましくは、固体層の変形のための圧縮性応力が存在しており、圧縮性応力は、固体層内において留まっている改質の構成要素によって生成されている、ステップと、残りの改質構成要素上の圧縮性応力によってもたらされる固体層の変形の少なくとも部分的な補償のために、或いは、改質構成要素によって生成される圧縮性応力の補償のために、固体物からの固体層の除去によって露出した表面上において、材料層、特に、金属層、を生成するステップと、を有する。
【0011】
本発明の好適な一実施形態においては、除去の結果として露出した固体層の表面は、1未満、特に、0.9未満、又は0.7未満、又は0.5未満、特に、0.01~0.4、のRa値(平均粗度)を有する第1表面コンポーネントを有する。これに加えて、固体層の露出した表面は、好ましくは、1超、特に、1~5、のRa値(平均粗度)を有する第2表面コンポーネントを有する。ここで、第1表面コンポーネントの比率は、好ましくは、第2表面コンポーネントの比率超であり、この場合に、第2表面コンポーネントは、第1表面コンポーネント及び第2表面コンポーネントから形成された合計面積の、少なくとも1%、又は少なくとも2%、又は少なくとも5%、又は少なくとも10%、或いは、1%~49%、又は1%~40%、又は1%~30%、又は1%~20%、を形成している。この解決策は、有利であり、その理由は、例えば、研削又はラッピングなどの更なる表面の調整を伴うことなしに、固体層自体が、特に、1~5のRa値を有する比率により、更に処理可能であるからである。
【0012】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、材料層、特に、金属層、が、固体層上において、第1物質状態において、且つ、室温超の温度において、生成され、且つ、第2物質状態において、室温において、存在しており、この場合に、金属層は、第1物質状態から第2物質状態への遷移により、好ましくは、固体層に、残りの改質構成要素からの圧縮性応力によってもたらされる変形又は圧縮性応力の、少なくとも部分的な補償、並びに、完全な補償、を適用している。或いは、この代わりに、金属層は、固体層上において、室温超の温度範囲において生成されてもよく、この場合に、温度範囲は、室温超の、少なくとも100℃、又は150℃、又は200℃、又は250℃、又は300℃、又は350℃、又は400℃であり、且つ、更に好ましくは、最大で2000℃の最大値であり、或いは、固体材料の溶解又は蒸発温度未満であり、この場合に、室温への金属層の冷却は、固体層に、残りの改質構成要素からの圧縮性応力によってもたらされる変形の少なくとも部分的な補償及び好ましくは完全な補償、並びに、圧縮性応力の補償を適用している。従って、金属層の冷却及び/又は固化は、力、特に、引張力をもたらし、これにより、固体層は、好ましくは、圧縮性応力によってもたらされる変形との関係において負の方式で変形し、或いは、これにより、圧縮性応力が補償される。圧縮性応力は、好ましくは、反りと呼称される変形をもたらす。室温は、好ましくは、20℃として定義されるが、室温は、また、好ましくは0℃~100℃又は20℃~200℃でもありうる、プロセス空間内の温度をも表現しうる。
【0013】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、金属層は、スパッタリング又は電気化学堆積によって生成されている。例えば、改質構成要素を有する固体SiC層のケースにおいては、既知のスパッタリング材料、或いは、例えば、チタニウム、チタニウム-タングステン、ニッケル、プラチナ、TaSi2、及び/又は金などの電気化学堆積に使用可能なる材料を使用することが好ましい。金属層の厚さは、好ましくは、ここでは、固体層の厚さ、固体層の材料、固体層の面積、改質の数及びタイプ、というパラメータによって判定される。
【0014】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、固体物は、炭化ケイ素(SiC)から構成されるか、或いは、炭化ケイ素(SiC)を含み、この場合に、固体層は、好ましくは、200μm未満の厚さを有するように、特に、150μm未満、或いは、125μm未満、又は110μm未満、又は100μm未満、又は90μm未満、又は75μm未満、の厚さを有するように、固体物から分離されている。この解決策は、有利であり、その理由は、SiCが、ここで提案されている方法を利用した非常に良好な制御可能性を有しており、且つ、従って、電気コンポーネントが、極めて相対的に低い材料損失により、且つ、処理装置上における極めて相対的に低い損耗により、製造可能であるからである。
【0015】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、電気コンポーネントは、垂直方向のコンポーネント、特に、ショットキーダイオード及び/又は金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、であり、この場合に、金属層は、電気接点、特に、オーミック接点、を形成し、且つ/又は、熱除去用のインターフェイスを形成している。この実施形態は、有利であり、その理由は、垂直方向のコンポーネントが、本発明によれば、(例えば、SiCの使用を通じて)非常に平坦な形態において相対的に低い材料及び損耗損失により、且つ、従って、相対的に容易にも、生成されうるからである。これは、極めて相対的にエネルギー効率に優れた、且つ、廉価な、方式により、電気コンポーネントを生成する可能性を生成している。
【0016】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、電気コンポーネントは、水平方向のコンポーネント、特に、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、であり、この場合に、金属層は、好ましくは、熱除去用のインターフェイスを形成している。この実施形態は、有利であり、その理由は、これらのコンポーネントが、相対的に小さなサイズ及び相対的に小さな重量において、且つ、相対的に好ましい方式により、製造されうるからである。
【0017】
本発明の好適な一実施形態においては、平均で、複数の、特に、少なくとも4つの、又は少なくとも9つの、又は少なくとも36個の、又は少なくとも100個の、電気コンポーネントが、固体層の平坦な表面側の1cm2において、生成され、この場合に、電気コンポーネントは、製造された後に、ダイシングを利用して相互に分離される。この実施形態は、有利であり、その理由は、個々の電気コンポーネントが、迅速に、且つ、非常に穏やかに、相互に分離可能であるからである。好ましくは、個々の電気コンポーネントは、矩形、特に、正方形、のフットプリントを有する。電気コンポーネントは、好ましくは、0.1mm~5mmの外側エッジを有する。
【0018】
従って、特に、コンポーネントの処理の前に、レーザーシンニングプレーン又は剥離プレーンを定義するレーザー改質層が固体物又は基材内において生成されることが好ましい。更に好ましくは、この後にのみ、層を形成又は生成するための且つ/又はコンポーネントを製造するための更なるプロセス(リソグラフィなど)が発生する。
【0019】
固体層と共に複合構造を形成する層及び/又はコンポーネントは、好ましくは、リソグラフィ、特に、例えば、金属化合物、ラカリング、光への曝露(例えば、フォトマスクを通じたスキャニング)、フォトレジストの現像(特に、70℃未満、特に、50℃未満、又は30℃未満、又は周辺温度未満、又は20℃未満、又は5℃未満、又は0℃未満、の温度などの低い温度におけるもの)、構造のエッチング、を伴う被覆、を利用してもたらされている。回路、特に、完成した回路、を生成するべく、これらのプロセス、特に、リソグラフプロセス、の個々のもの又は複数のもの又はすべては、複数回、特に、10超回、又は最大で10回、又は20超回、又は、最大で20回又は40超回、又は最大で40回、又は80超回、或いは、最大で80回、にわたって反復されうる。
【0020】
固体層の除去の後に留まっている固体物は、好ましくは、除去された固体層の厚さを上回る、特に、数倍だけ上回る、厚さを有する。固体材料は、好ましくは、半導体材料であり、或いは、半導体材料を含む。
【0021】
また、ここで、除去対象の固体層の表面の「上部において(atop)又は上方において(above)」は、改質の生成のためのレーザー処理に先行する高温ステップのケースにおいては、高温方法によって生成された表面は、被覆されてもよく、次いで、その上部において、複合構造を生成するための将来の1つ又は複数の更なる層及び/又はコンポーネントが、配置又は生成されうる、ことを意味するものとして理解されうることを理解されたい。定義により、複合構造は、レーザー処理の後にのみ、生成され、レーザー処理の前に存在している任意の多層構成は、この特許出願の文脈においては、複合構造とは呼称されず、多層構成と呼称される。
【0022】
ここで、シンニングは、コンポーネント、特に、ウエハ、が提供された固体物の従来の製造プロセスにおいて、摩滅によって除去されることになる、即ち、例えば、機械加工、切削、又は研磨によって除去されることになる、材料含有物による、好ましくは、ウエハである、固体物、の厚さの低減を意味している。
【0023】
更なる好適な実施形態は、従属請求項の、且つ、以下に引用されている説明の一部分の、主題である。
【0024】
本発明の好適な一実施形態においては、外部力は、複合構造の露出した表面上の吸収層の配置によって導入され、この場合に、吸収層は、ポリマー材料を含み、且つ、吸収層には、固体物内の応力の、生成、特に、機械的生成、のために、熱応力が印加され、この場合に、熱応力に対する曝露は、周辺温度未満の温度に吸収層を冷却するステップを伴っており、この場合に、冷却は、吸収層内のポリマー材料に部分的な又は完全な結晶化及び/又はガラス遷移を適用することにより、実現され、且つ、この場合に、応力は、第1固体層を固体物から分離する剥離プレーンに沿った固体物内の亀裂の伝播を結果的にもたらし、或いは、外部力は、ここでは固体物が好ましくは液体が充填された容器内において配設された状態において、固体物を超音波に曝露することによって固体物に導入される。超音波は、20kHz~100kHzの周波数範囲を伴って、但し、100kHz~1MHzの周波数範囲を有する高周波数の音響範囲においても、使用することができる。これらの周波数に起因して、好ましくは、例えば、液体媒体中の固体物内の、キャビテーション気泡の崩壊などの、現象を結果的にもたらすキャビテーションプロセスが存在している。液体媒体内においては、特に、相境界の領域内においては、キャビテーション気泡を動的に形成する内破及び変形と、ナノ秒範囲内のマイクロジェットの形成と、が存在している。エネルギーの空間分解された放出は、ガスの非常に迅速な圧縮により、非常に小さな空間内における断熱加熱の形態において実現される。ここでは、最大で5000ケルビンという極端な温度及び最大で500バールの圧力の発生が存在しており、これらは、さもなければ発生しないインターフェイス層の領域内の新しい物理反応を可能にしている。これらの巨大な圧力差は、外向きの気泡先端部のリバウンド(内破衝撃波)に起因している。これは、この領域内における大幅に増大した反応レートを結果的にもたらす。本発明によれば、特に、亀裂のトリガ及び/又は亀裂の進捗に対して制御された影響をもたらしうる、超音波チップ(ソノトロード)の支援を伴う、空間分解されたCNC制御型の曝露が好ましい。空間分解された圧縮性の応力は、亀裂をトリガするべく、且つ/又は、亀裂を進捗させるべく、制御された方式により、利用することができる。
【0025】
均一な且つ/又は空間分解された実施形態は、有利であり、その理由は、特に、吸収層の使用のケースにおいては、非常に正確な力の導入と、従って、亀裂のトリガ及び/又は亀裂の進捗と、がもたらされうるからである。
【0026】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、剥離の生成の前に、固体物は、少なくとも1つの高温方法により、処理されており、この場合に、高温方法は、70℃と固体物の材料の溶解温度又は蒸発温度の間の温度により、実行されている。
【0027】
従って、部分的に処理されたウエハに対するレーザーステップの実行は、更なる選択肢を構成しており、更に好ましくは、本発明によれば、これは、高温ステップの後に、但し、その他のプロセスの前に、実行される。この解決策は、有利であり、その理由は、レーザー方法によって損傷されうるすべての構造が、いまだ形成されているわけではないからである。
【0028】
ここでは、固体物内の応力が、例えば、固体物の複数回の穏やかな曝露により、相対的に大きなライン分離により、且つ、パスごとのエネルギーの減少により、可能な限り、極小化されるように、レーザー方法のパラメータを最適化することができる。
【0029】
レーザープロセスは、好ましくは、基材の結晶方位に応じて実行され、即ち、レーザー改質は、更に好ましくは、可能な限り、処理の最中に形成された微小亀裂が、リソグラフィを妨げず、且つ、超臨界的な方式で改質プレーンから逸脱せず、且つ、除去亀裂のトリガの後に基材の損失に結び付きうるように、実施される。ここでは、例えば、それに対する90°の角度のラインが第2ステップにおいて最終的に亀裂をトリガすると共に分離プレーンを定義する前に、亀裂生成プレーンを定義するべく、SiC内の好ましい亀裂生成方向に対して平行に第1ラインを実施することができる。
【0030】
剥離プレーンの生成の前の、高温ステップの実行は、非常に有利であり、その理由は、70℃超の温度における顕著な増大は、ドーパント原子の移動度の増大、金属性汚染物質の原子、並びに、転位又はその他の結晶構造欠陥と関連しているからである。高温ステップの前に、剥離プレーンが生成又は部分的に生成された場合には、例えば、形成された微小亀裂が除去対象の固体物内に又は固体層内に更に延在又は成長しえたということであり、これは、相対的に多くの材料を除去しなければならなくなり、従って、相対的に大きな損失が発生することになるであろうことを意味している。
【0031】
本発明の更に好適な一実施形態においては、少なくとも1つの高温方法は、エピタキシャル法、ドーピング法、又はプラズマが使用される方法である。高温方法は、すべての方法、特に、70℃超の温度において実行される、材料除去方法、を意味するものと理解されたい。発生する温度は、好ましくは、2000℃未満、或いは、固体材料の溶解温度又は蒸発温度未満である。高温方法は、好ましくは、固体材料と、生成又は配設された1つの又は少なくとも1つの層と、の多層構成を生成する。
【0032】
本発明の更に好適な一実施形態においては、高温方法は、固体物上において少なくとも1つの層を生成しており、この場合に、生成された少なくとも1つの層は、予め定義されたパラメータを有し、この場合に、少なくとも1つの予め定義されたパラメータは、レーザー光波の光効果を介して屈折及び/又は吸収及び/又は反射及び/又は電荷キャリア生成の最大程度を定義しており、この場合に、光効果を介した屈折及び/又は吸収及び/又は反射及び/又は電荷キャリア生成の程度は、5%未満、且つ、好ましくは、1%未満、且つ、更に好ましくは、0.1%未満、である。この実施形態は、有利であり、その理由は、レーザー光との間における回路内のすべての金属性要素の相互作用が抑制されるからである。金属層及び金属性コンポーネントとレーザー光又はレーザー放射の間の相互作用に起因して、金属層及び/又はコンポーネント、特に、電気ライン接続、が損傷される可能性がある。
【0033】
更には、この実施形態は、レーザープレーンの導入の際に、金属性構造又はコンポーネント(例えば、20nm超の長手方向の広がり又はレーザー貫通方向における広がり)が基材上において既に配設又は生成されている際には、例えば、透過が理想的なものではないということから、ここでレーザープロセスが、構造上の後方反射により、或いは、構造自体により、中断される、という更なる問題を解決している。好ましくは、多光子プロセスが、材料改質の生成のために使用されていることから、好ましくは、材料内の焦点は、同時の波面の最小の中断を伴って、必要とされる高強度を可能にするべく、非常に正確でなければならず、特に、理想的でなければならない。従って、この利点は、最終的な構造、特に、層及び/又はコンポーネント、の処理又は生成の前の、レーザー処理をもサポートしている。
【0034】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、改質は、好ましくは、多光子励起、特に、2光子励起、を利用して生成されている。
【0035】
好ましくは、基礎改質の大きさは、まず、少なくともセクション内において、特に、均一に延在するセクション内において、均一に延在するライン、特に、湾曲したライン上において生成される。これらの基礎改質は、好ましくは、予め定義されたプロセスパラメータに伴って、或いは、これに応じて、生成される。予め定義されたプロセスパラメータは、好ましくは、少なくとも、パルス持続時間、パルスエネルギー、ライン内のパルスインターバル、ラインの間のインターバル、深さ、及び/又は開口数を含む。好ましくは、これらのプロセスパラメータのうちの少なくとも1つの値及びこれらのプロセスパラメータのうちの好ましくは複数の値又はすべての値、或いは、これらのプロセスパラメータのうちの2つ超の値は、固体物の結晶格子安定性に応じて固定されている。値は、更に好ましくは、個々の基礎改質の周りの結晶格子が無傷の状態において留まるように、即ち、好ましくは、20μm未満、又は10μm未満、又は5μm未満、又は1μm未満、の程度に分裂するように、選択されている。
【0036】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、臨界未満の亀裂をトリガするためのトリガ改質が生成されており、この場合に、トリガ改質を生成するための少なくとも1つのプロセスパラメータは、基礎改質を生成するための少なくとも1つのプロセスパラメータとは異なっており、好ましくは、複数のプロセスパラメータが異なっている。これに加えて、又はこの代わりに、トリガ改質は、基礎改質がそれに沿って生成されるラインが延在する方向との関係において傾斜した又は離隔した方向において生成されていてもよく、この場合に、臨界未満の亀裂は、好ましくは、5mm未満、特に、4mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満、又は1mm未満、又は0.5mm未満、だけ、伝播している。傾斜したアライメントは、ここでは、例えば、0°~90°の角度、好ましくは、85°~90°の角度、且つ、更に好ましくは、90°の角度、に対応しうる。
【0037】
これは、臨界強度(即ち、パワー/面積)を超過した際にトリガされる閾値プロセスである。これは、短いパルスが、相対的に乏しいエネルギー/パルスを必要としていることを意味しており、相対的に大きな開口数は、エネルギーを相対的に小さなドットに濃縮しており、即ち、これもまた、閾値強度を実現するべく、相対的に乏しいエネルギーを必要としている。
【0038】
相対的に大きな深さは、通常、吸収損失を意味しており、これを理由として、エネルギーは、相応して再度調節されなければならず、SiCの例においては、NA=0.4であり、深さが180μmであり、パルス長が3nsであり、パルスエネルギーが約7μJであって、350μmの深さにおいては、恐らくは、9μJである。
【0039】
一般に、相対的に硬い材料(サファイア、酸化アルミニウムセラミック、SiC、GaN)は、ライン内における相対的に大きなパルスオーバーラップ、即ち、相対的に小さなパルス分離(<=1μm)、を必要としている一方で、選択されるライン間隔は、相対的に大きくなる傾向を有するが(例えば、>5μm)、GaAs及びSiなどの相対的にソフトな材料は、相対的に大きなパルス分離(>1μm)を必要とすると共に、その一方で、相対的に小さなライン間隔(<5μm)を必要とする、傾向を有する。
【0040】
fsパルスを伴う―SiCの例示用のパターン:パルスエネルギーが約800nJであり、パルス分離が50nm以上、最大で200nmであり、ラインパターンは、1μmだけ分離された30個のライン、次いで、20μmのギャップ、次いで、再度、30個のライン、次いで、96μmのギャップ、且つ、次いで、同じものがもう一度であり、これには、30個のライン、20μmのギャップ、及び30個のライン(常に、ラインの間には、1μmの分離が伴っている)、次いで、300μmのギャップ、並びに、次いで、再度、30/20/30個のラインブロックが交差している。深さが180μmであり、(>21mohm cmのシート抵抗値を特徴とする)SiCのドーピングの程度であり、パルス長が400fsであり、開口数が0.65である。
【0041】
好適な一実施形態においては、固体材料は、ケイ素であり、この場合に、開口数は、0.5~0.8であり、特に、0.65であり、貫通深さは、150μm~1500μm、特に、300μmであり、パルス分離は、1μm~5μmであり、特に、2μmであり、ライン間隔は、1μm~5μmであり、特に、2μmであり、パルス持続時間は、50ns~400nsであり、特に、300nsであり、且つ、パルスエネルギーは、3μJ~30μJであり、特に、10μJである。
【0042】
好適な一実施形態においては、固体材料は、SiCであり、この場合に、開口数は、0.4~0.8、特に0.4であり、貫通深さは、50μm~500μm、特に180μmであり、パルス分離は、0.1μm~3μm、特に1μmであり、ライン間隔は、10μm~100μm、特に75μmであり、パルス持続時間は、100fs~10ns、特に3nsであり、且つ、パルスエネルギーは、0.5μJ~30μJ、特に7μJである。
【0043】
酸化アルミニウムセラミックの例示用のパターン:パルス分離が500nmであり、ライン間隔が10μmであり、パルス持続時間が3nsであり、パルスエネルギーが22μJであり、NA=0.4である。
【0044】
サファイアの例示用のパターン:ラインは、0°、45°、90°における3つのものの組であり、このそれぞれは、ライン間隔が1.5μmであり、パルス分離が300μmであり、0.65のNA及び250fsのパルス持続時間において、パルスエネルギーは、第1パスにおいては、350nJであり、第2パスにおいては、300nJであり、且つ、第3パスにおいては、250nJである。
【0045】
一般に、表面粗度は、パルスが短いほど、減少し、フェムト秒パルスによれば、ナノ秒パルスによるもの(約3μmの可能性が高い)よりも、良好な表面(3μm未満の粗度)を生成することができるが、このプロセスは、相対的に多くの費用を所要し、且つ、所要時間も長い。ピコ秒パルスは、中間的な方式を構成している。相対的に短いパルスのケースにおける利点は、相遷移がアサーマルである、即ち、レーザーパルスと結晶格子の間に結合が存在しており、且つ、従って、相対的に少ない数の振動(光子)が誘発される―従って、全体的なプロセスが相対的に低温において稼働する、という点にある。これを目的として、亀裂をトリガする臨界張力が蓄積されるように、相対的に大きな領域を非晶質化(相変換)しなければならない。
【0046】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、臨界未満の亀裂は、5μm~200μm、特に、10μm~100μm、又は10μm~50μm、又は10μm~30μm、又は20μm~100μm、又は20μm~50μm、又は20μm~30μmにわたって、固体物内において伝播している。この実施形態は、有利であり、その理由は、亀裂伝播の相対的に小さな広がりは、相対的に小さな程度の再処理支出を伴っているからである。臨界未満の亀裂は、結晶格子境界に沿って伝播するが、固体物の結晶格子は、好ましくは、剥離プレーンとの関係において、特に、0°~6°の角度において、傾斜していることから、結果は、鋸歯プロファイルを有する表面である。亀裂が更に延在するほど、鋸歯形態におけるこの表面の谷とピークの間の距離は大きくなり、これは、80nm未満、又は50nm未満、又は20nm~50nm、の表面粗度の生成を要する場合には、相対的に多くの材料を除去しなければならないことをも意味している。従って、本発明の更なる一実施形態においては、臨界未満の亀裂の亀裂伝播は、レーザービームの入射の方向との関係において90°の角度以外の傾斜した方向において延在し、具体的には、亀裂伝播の方向は、好ましくは、入射の方向との関係において、93°~95°、特に、94°、の傾斜を有する。
【0047】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、臨界未満の亀裂が伝播した、複数のラインの領域の間のセクションは、例えば、ガラス遷移又は超音波処理によって生成された、応力又は外部力の導入の結果として裂ける。この実施形態は、有利であり、その理由は、固体物の内部において既に生成された既存の損傷に起因して、特に、臨界未満の亀裂に起因して、必要とされる応力が格段に相対的に小さなものになりうるからである。更には、亀裂は、非常に正確に延在する。
【0048】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、複合構造の形成のための層及び/又はコンポーネントが配設される固体物の表面とは反対側に位置した固体物の表面上において、吸収層が配設又は生成されている。
【0049】
亀裂のトリガの前に、プロセスに応じた、特に、ポリマー層の形態における、吸収層が、好ましくは、更なる層又はコンポーネントが配設されてはいない固体物の側において適用される。
【0050】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、吸収層は、質量の観点において、ポリマー材料から、少なくとも、主に、且つ、好ましくは、全体的に、構成されており、この場合に、ポリマー材料のガラス遷移は、-130℃~0℃、特に、-85℃より-10℃、又は-80℃~-20℃、又は-65℃~-40℃、又は-60℃~-50℃である。
【0051】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、吸収層のポリマー材料は、ポリマーマトリックスを形成するポリマーハイブリッド材料から構成されているか又はこれを含み、この場合に、ポリマーマトリックス中には、充填材が存在しており、この場合に、ポリマーマトリックスは、好ましくは、ポリジメチルシロキサンマトリックスであり、且つ、この場合に、ポリマーハイブリッド材料中のポリマーマトリックスの質量比率は、好ましくは、80%~99%であり、且つ、更に好ましくは、90%~99%である。
【0052】
従って、本発明によれば、ポリマーハイブリッド材料は、少なくとも2つの固体フラグメントが固体開始材料から生成される分離方法において使用されるものとして規定される。本発明のポリマーハイブリッド材料は、ポリマーマトリックスと、その内部において埋め込まれた少なくとも1つの第1充填材と、を有する。以下においては、1つの又は前述の充填材が言及されている場合には、複数の充填材の可能性も同様に含まれているものとする。例えば、充填材は、例えば、金属酸化物、金属粒子、及び無機ファイバなどの、異なる材料の混合物を有しうる。
【0053】
利用されるポリマーマトリックスは、任意のポリマー又は異なるポリマーの混合物であってもよく、この支援により、固体開始材料の分割に必要とされる応力を生成することができる。例えば、ポリマーマトリックスは、エラストマーマトリックス、好ましくは、ポリジオルガノシロキサンマトリックス、更に好ましくは、ポリジメチルシロキサンマトリックス、の形態を有しうる。このようなポリマー材料は、充填材との組合せにおいて、マトリックス材料として、特に単純な方式により、利用することが可能であり、その理由は、プロパティを変更可能な架橋の程度に起因して柔軟に調節することができると共に、個々の充填材及び分割対象の固体開始材料に対してマッチングすることができるからである。一実施形態においては、ポリマーハイブリッド材料中のポリマーマトリックスの質量比率は、80%~99%であり、10好ましくは、90%~99%である。
【0054】
第1充填材は、その特性が有機又は無機であってよく、且つ、化学的要素から、又は化学的化合物から、或いは、例えば、合金などの物質の混合物から、構成することができる。
【0055】
第1充填材の構成は、分割の後の固体フラグメントからのポリマーハイブリッド材料の剥離の際に、反応剤、開始剤、触媒、又は促進剤として機能し、且つ、従って、第1充填材を有してはいないポリマー材料との比較において、分割の後の固体フラグメントからのポリマーハイブリッド材料の相対的に迅速な剥離をもたらす、ようなものである。
【0056】
第1充填材の特定の化学的組成及び構成と、その質量比率と、は、特に、剥離対象のポリマーマトリックスの特定の材料、目的のために利用されている溶剤、及び使用される反応剤、に依存している。これに加えて、固体開始材料の材料と、分割対象の固体開始材料の寸法と、も、役割を果たしている。
【0057】
ポリマーマトリックス中の第1充填材の具体的な比率は、充填材の材料及びその動作モードに高度に依存している。第1に、ポリマーマトリックスは、充填材にも拘らず、依然として、応力を生成するその機能を充足可能でなければならない。第2に、第1充填材の比率は、ポリマーの除去に対する望ましい影響を実現するべく、十分に高くなければならない。それぞれのケースにおける第1充填材の質量の最適な比率は、濃度に依存した方式によって実施される単純な実験において、当業者が突き止めることができる。
【0058】
これに加えて、例えば、ポリマー中の無機ネットワークの形態の、フュームシリカなどの、更なる充填材により、機械的プロパティの改善に対する寄与を実施することができる。ネットワークの形態におけるこれらの強力な相互作用のみならず、相対的に弱い相互作用が、純粋に水力学的補強を介して、改善に対する寄与を実施するようにすることもできる。本明細書において言及されうる一例は、分離方法における改善された処理を可能にする、且つ、従って、製造許容範囲の改善に寄与しうる、粘度の制御された増大である。これに加えて、この相互作用は、補強の増大に伴う構造的な再方向付けとの関連における内部自由度のなんらかの低減の存在を困難にしている。
【0059】
これは、ポリマーハイブリッド材料内において使用されるポリマーのガラス遷移温度の望ましい引き下げをもたらし、この結果、分離方法における相対的に低い温度という利点が可能になっている。本発明によれば、ポリマーハイブリッド材料内の第1充填材は、固体開始材料が少なくとも2つの固体フラグメントに分割される分離方法を利用した分割によって得られる固体フラグメントからのポリマーハイブリッド材料の剥離の加速のために使用されている。
【0060】
第1充填材は、第1充填材の質量の比率が、下部インターフェイスに平行に配置されたポリマーハイブリッド材料の更なるインターフェイスの方向において分離方法の際に固体開始材料に結合されたポリマーハイブリッド材料の、外側の、即ち、相対的に低い、インターフェイスから進むに従って、減少するように、ポリマーマトリックス内において分散させることができる。これは、固体開始材料又はフラグメントの近傍の充填材の質量比率が、ポリマーハイブリッド材料のその他の領域内のものよりも大きいことを意味している。この第1充填材の分布は、分離の後のポリマーハイブリッド材料の特に効果的な除去を可能にしており、その理由は、第1充填材が、固体フラグメントへのインターフェイスに近接しており、且つ、その効果をその場所において呈しうる、からである。同時に、ポリマーハイブリッド材料の残りの領域は、ポリマーの機能に対する最小限の影響が存在するように、第1充填材の相対的に乏しい、或いは、場合によっては、ゼロの、比率を含む。
【0061】
一構成においては、ポリマーハイブリッド材料は、1つの層のみが、第1充填材を含む固体開始材料に対向しつつ、ポリマーハイブリッド材料の残りの部分が、第1充填材を有していない状態において、層化された構造を有する。
【0062】
これに加えて、その下部インターフェイスに直接的に隣接するポリマーハイブリッド材料の下部領域は、第1充填材を有していなくてもよい。従って、結果的に得られる領域のシーケンスは、固体開始材料に隣接するのは、まずは、第1充填材を有していない領域であり、これに後続するのが、高比率の第1充填材を有する領域であり、且つ、これに後続するのが、低い比率の第1充填材を有する又は第1充填材を有してはいない領域である、というものであってよい。
【0063】
後述する、これらの及びすべての領域は、層の形態を有していてもよく、これは、領域が、主には、ポリマーハイブリッド材料が適用される固体開始材料のインターフェイスに平行に延在し、且つ、少なくとも、このインターフェイスの領域内において長手方向及び横断方向の広がりを有する、ことを意味している。
【0064】
第1充填材が、固体開始材料に対するポリマーハイブリッド材料の接着を悪化させる場合には、第1充填材を有していない下部領域を特別に提供することができる。これを回避するには、第1充填材を有していない領域が、まずは、配設され、これに、第1充填材がその機能を果たしうるように、高比率の第1充填材を有する領域が後続することになる。第1充填材を有していない下部領域は、例えば、100μmなどの、例えば、10μm~500μmの厚さを有しうる。
【0065】
これに加えて、その上部インターフェイスに直接的に隣接するポリマーハイブリッド材料の上部領域は、第1充填材を有していなくてもよい。下部インターフェイスは、下部インターフェイスとは、且つ、固体開始材料とは、反対側の環境からのポリマーハイブリッド材料の境界を確定するインターフェイスを意味するものとして理解されたい。上部及び下部インターフェイスは、互いに平行に構成されうる。
【0066】
第1充填材を有していないこのような上部領域は、例えば、ポリマーハイブリッド材料の冷却の遅延を要する場合などのように、特に、第1充填材が、環境とポリマーハイブリッド材料の間の熱伝達に悪影響を及ぼす際に、提供することができる。
【0067】
第1充填材は、ガス生成物の放出を伴う、反応剤、好ましくは、酸化剤、と反応しうる材料を有していてもよく、或いは、これから構成されていてもよい。
【0068】
従って、ポリマーマトリックス及び存在する任意の犠牲層に対する反応剤及び溶剤による相対的に高速のアクセスを可能にする、且つ、これに加えて、反応剤及び溶解した構成要素の相対的に高速の搬送除去をもたらす、空洞をポリマーマトリックス内において生成することができる。
【0069】
ガス反応生成物の生成は、ポリマーハイブリッド材料の除去を更に支援する更なる駆動力を導入することができる。
【0070】
更なる空洞の、且つ、ガス反応生成物の、形成は、ポリマーの除去を加速させ、且つ、従って、分離方法の全体的な収率の増大に寄与する。第1充填材の比率を変化させることにより、固体フラグメントとポリマーハイブリッド材料の間の、或いは、犠牲層とポリマーハイブリッド材料の間の、インターフェイス領域内の空洞密度に対して制御された方式によって影響を及ぼすことができる。
【0071】
第1充填材は、金属、特に、アルミニウム、鉄、亜鉛、及び/又は銅を有していてもよく、或いは、金属、特に、上述の金属、から構成されていてもよい。
【0072】
この文脈において言及されているすべての材料との関係において、「~から構成される(consisting of)」は、例えば、充填材の製造及びポリマーマトリックスへのその分配又は結合などのために機能しうる、技術的理由による不純物、或いは、技術的理由による追加、が存在しうる、という可能性を含む。
【0073】
金属性充填材は、ガス生成物の放出を伴って、例えば、塩酸、硝酸、クエン酸、ギ酸、又はスルファミン酸などの、酸化剤と反応することができると共に、従って、ポリマーハイブリッド材料から除去することできる。
【0074】
例えば、アルミニウムは、以下の式に従って、溶媒和された金属イオン及び水素を形成するべく、濃縮された塩酸と反応する。
6HCl+2Al+12H2O→2[AlCl3*6H2O]+3H2
【0075】
類似の方式により、濃縮された塩酸との反応による、充填材としての亜鉛の反応は、5つの更なる空洞の形成に結び付く(Zn+2HCl→ZnCl2+H2)。言及されている例においては、水素の生成は、ポリマーハイブリッド材料の除去を更に支援する更なる駆動力を導入する。これに加えて、第1充填材は、例えば、第1充填材が、ポリマーマトリックスのポリマーよりも高い熱伝導性を有するという点において、ポリマーハイブリッド材料内の熱伝導性を改善することができる。これは、例えば、第1充填材が金属を有するケースにおける更なる利点が、ポリマーハイブリッド材料内の改善された熱伝導性にある際に、当て嵌まりうる。これにより、改善された熱伝導性により、であり固体開始材料の分割のために冷却を利用して生成される応力は、相対的に効果的に、即ち、相対的に迅速に、且つ、相対的に小さな冷却剤の消費を伴って、生成可能となりうる。この増加は、分離方法の全体的な収率を増大させることができる。
【0076】
これに加えて、第2の25充填材がポリマーハイブリッド材料内において提供されてもよく、これは、第2充填材を有してはいないポリマーハイブリッド材料との比較において、固体開始材料上におけるポリマーハイブリッド材料の接着を増大させる。好ましくは、充填材を有していないポリマー材料との比較において、接着が増大する。
【0077】
例えば、第2充填材は、プラズマを利用して活性化されうる充填材であってよい。プラズマ活性化は、固体開始材料の表面との間の相対的に強力な相互作用を結果的にもたらすように生成されうる新しい表面種を結果的にもたらし、且つ、最終的には、ポリマーハイブリッド材料の接着が改善される。
【0078】
プラズマ処理によって実現可能な表面種の特性は、主には、プラズマプロセスのプロセス方式に依存している。例えば、プラズマ処理の際には、例えば、固体開始材料の表面と相対的に強力に相互作用しうる極性基が得られるように、窒素、酸素、シラン、又はクロロシランなどのガスを追加することができる。
【0079】
第2充填材は、第2充填材の質量比率が下部インターフェイスの方向において増大するような方式により、ポリマーマトリックス内において15分散させることができる。例えば、ポリマーハイブリッド材料は、下部インターフェイスに隣接する領域内においてのみ、第2充填材を含んでいてもよく、この場合には、この領域も、上述の定義の意味における層の形態を有することができる。
【0080】
この結果、好ましくは、ポリマーハイブリッド材料と固体開始材料の間のインターフェイスの近傍の第2充填材の配置が可能となり、且つ、この結果、接着が改善され、且つ、従って、分割対象の固体開始材料内への相対的に良好な力の伝達が可能となる。例えば、第2充填材は、コア-シェルポリマー粒子を有することができる。
【0081】
ここでは、具体的には、コア-シェル粒子の、表面、即ち、シェル、が、例えば、低温プラズマを利用して相対的に強力に活性化可能であるという点において、ポリマーハイブリッド材料のポリマーマトリックスとは異なるポリマー組成を有する粒子が好ましい。
【0082】
これらの粒子の例は、アクリル酸塩シェルを有するポリシロキサンコアを有する、或いは、エポキシドシェルを有するナノスケールのケイ酸塩コアを有する、或いは、エポキシドシェルを有するゴム粒子コアを有する、或いは、エポキシドシェルを有するニトリルゴム粒子コアを有する、コア-シェル粒子である。第2充填材は、例えば、コールドプラズマなどの、低温プラズマを利用して活性化可能でありうる。例えば、プラズマは、誘電体障壁放電(DBD;dielectric barrier discharge)を利用して生成することができる。ここでは、1014~1016m-3の範囲の電子密度を生成することができる。DBDによって生成された「低温」の不平衡プラズマ(プラズマ容積)の平均温度は、周辺圧力において約300±40Kである。DBDによって生成される非熱プラズマの平均温度は、周辺圧力において約70℃である。
【0083】
DBD処理のケースにおいては、表面には、例えば、数マイクロ秒~数十ナノ秒のパルス持続時間の、且つ、一桁~二桁のキロボルト範囲の振幅の、単極又は双極パルスが適用される。この場合に、放電空間内には、金属性電極が予想されてはおらず、且つ、従って、金属性不純物又は電極損耗も予想されてはいない。
【0084】
これに加えて、高効率が有利であり、その理由は、電荷キャリアが電極から離脱又はこれに進入する必要がないからである。
【0085】
誘電体表面は、低温において改質することができると共に化学的に活性化することができる。表面改質は、例えば、イオン衝撃による表面種の相互作用及び反応により、実現することができる。
【0086】
これに加えて、具体的には、例えば、表面において特定の化学基を生成するべく、プラズマ処理において、例えば、窒素、酸素、水素、シラン、又はクロロシランなどの、プロセスガスを追加することが可能であり、例えば、SixHyEzであって、この場合に、E=F、Cl、Br、I、O、Hであり、且つ、x=0~10、z=0~10であり、且つ、SiH4であり、Si(EtO)4であり、又はMe3SiOSiMe3である。これに加えて、第2充填材は、コロナ5処理、フレーム処理、フッ素化、オゾン化、又はUV処理、或いは、エキシマ照射を利用して活性化可能であってよい。このような活性化は、例えば、第2充填材の表面において極性基を生成し、これは、固体開始材料の表面と相互作用することができると共に、従って、接着を改善することができる。また、これに加えて、ポリマーハイブリッド材料は、第1充填材を有するポリマーハイブリッド材料との、或いは、第1及び第2充填材を有するポリマーハイブリッド材料との、比較において、第3充填材を有することもできる。この第3充填材は、ポリマーマトリックスのポリマーとの比較において、相対的に大きな熱伝導性及び/又は相対的に大きな弾性率を有する。
【0087】
例えば、低温条件下におけるポリマーの弾性率は、下部一桁のギガパスカルの範囲(約1~3GPa)にある一方で、例えば、金属性充填材は、二桁~三桁のギガパスカルの範囲の弾性率を有する。対応する高充填材含有量のケースにおいては、浸透充填材ネットワークが可能であり、これにより、改善された固体開始材料内への力の導入が可能となる。
【0088】
浸透は、個々の充填材の容積充填の程度(例えば、アスペクト比に応じて、0.1容積%、1 30容積%~10容積%)の影響を強く受ける。増大する力の導入に伴って、ポリマー構造の粘弾性層構造を浸漬することが可能であり、且つ、複数の浸透経路が活性化された状態となる。ここでは、改善された熱伝達を可能にすることが可能であり、その理由は、固体開始材料の表面との間において改善された充填材の接触が存在しうるからである。
【0089】
低温においても、ポリマーハイブリッド材料の機械的安定性を相対的に迅速に実現することができる。全体的な結果は、例えば、ポリマーハイブリッド材料の破壊応力及び破壊の際の延長などの、構造プロパティの対応するプロファイルにおける相対的に小さな標準偏差と、従って、分離方法の全体収率の増大と、である。プロパティ(ポリマーハイブリッド材料内の張力ピーク)のプロファイルにおける、且つ、従って、固体物内における、空間分解された変化は、相対的に小さく、これは、分離方法の相対的に大きな全体収率と、生成される固体フラグメントの相対的に良好な品質と、をもたらす。
【0090】
第3充填材は、ポリマーハイブリッド材料が相対的に迅速に冷却されうるように、且つ、分離方法が、全体的に、迅速に、且つ、従って、相対的に効果的に、実行されうるように、環境とポリマーハイブリッド材料の間の改善された熱伝達と、ポリマーハイブリッド材料内の熱の相対的に高速の伝達と、をもたらすことができる。
【0091】
また、弾性率の増大は、特に大きな応力が必要とされる固体開始材料を分割することができるように、固体開始材料の分割用の相対的に大きな応力を実現することもできる。
【0092】
更には、第3充填材は、熱膨張の係数に影響を及ぼすべく機能することもできる。これに加えて、ここでの狙いは、分割に必要とされる応力を生成しうるように、ポリマーハイブリッド材料及び分割対象の固体開始材料の熱膨張の係数の間の最大差である。好ましくは、第3充填材は、大きな熱膨張の係数、即ち、ポリマーマトリックスのものよりも大きな膨張の係数、を有する。例えば、第3充填材の熱膨張係数は、300ppm/K超であってよい。
【0093】
第3充填材は、特に環境に対するインターフェイスにおいて相対的に迅速な熱伝達を可能にするべく、第3充填材の質量の比率が上部インターフェイスの方向において増大するように、ポリマーマトリックス内において分散させることができる。
【0094】
第3充填材は、金属、特に、アルミニウム、鉄、亜鉛、及び/又は銅、を有していてもよく、或いは、言及されている金属のうちの1つから構成されていてもよい。金属は、一般に、高い熱伝導率及び熱伝導度において、注目に値する。
【0095】
記述されている充填材(第1、第2、第3充填材)は、ポリマーマトリックス中の微粒子の形態において分散されうると共に、粒子サイズは、粒子の少なくとも1つの次元に基づいて、μm及びnmの範囲であってよい。また、球状の形状のみならず、充填材粒子は、例えば、ロッド又は円板の形状などの、異なる構成を有することもできる。
【0096】
充填材粒子は、例えば、単峰性又は二峰性の、狭い、特に、単分散の、又は広い、ものなどの、任意の粒子サイズ分布を有することができる。充填材は、例えば、ポリマー網目構造内に埋め込まれることにより、物理的に結合してもよく、或いは、化学的にポリマーマトリックスに結合してもよい。これに加えて、上述の機能が調和しうる場合には、記述されている充填材のうちの1つ又は複数は、例えば、炭素、ガラス、玄武岩、又はアラミドファイバなどの、無機又は有機ファイバを有していてもよく、或いは、これから構成されていてもよい。また、任意選択により、言及されているファイバを有する又はこれから構成された更なる充填材を追加することもできる。
【0097】
ファイバは、通常、強力な異方性のプロパティを有する。ポリマーハイブリッド材料内における充填材の方向に依存した位置決めにより、固体開始材料の分割のために必要とされる応力に制御された方式によって影響を及ぼすことができる。これは、分離方法の全体収率の増大に寄与しうる。有機又は無機充填材が、強力な異方性の構造を有する繊維性材料として使用されているケースにおいては、更なる利点は、これが、ポリマーハイブリッド材料内の機械的特性の改善を実現しうる、という点にある。
【0098】
これに加えて、記述されている充填材は、コア-シェル粒子を有していてもよく、或いは、これから構成されていてもよい。これに加えて、又はこの代わりに、コア-シェル粒子を有する又はこれから構成された更なる充填材が、ポリマーハイブリッド材料内において提供されていてもよい。
【0099】
これに加えて、コア-シェルポリマー粒子の使用は、改善された活性可能性のみならず、分離方法において使用される場合には、全体的に、ポリマーハイブリッド材料の、衝撃抵抗力及び破壊靭性の増大、特に、低温破壊抵抗力の増大、をもたらしうる、エネルギー吸収メカニズムの新しい構成を許容し、且つ、従って、分離方法の相対的に大きな全体収率にも同様に寄与しうる。例えば、ポリマーハイブリッド材料の薄膜の機械的破壊が、発生する可能性が相対的に小さくなりうると共に、従って、薄膜の再使用の可能性が促進されうる。
【0100】
例として、コア-シェルポリマー粒子に起因した亀裂伝播を防止することにより、分離方法における薄膜の破壊を防止することが可能であり、且つ、従って、再利用の経路を開くことができる。
【0101】
ここでは、存在するエラストマ粒子は、可塑性変形を経験すると共に空洞を形成することが可能であり、これは、更なる追加エネルギーが吸収されうることを意味している。同様に、エネルギーの更なる吸収については、機械的プロパティを全体的に改善するマトリックスの剪断フローにより、補償することができる。1つの材料から製造された全体的に球状のコアが、第2材料から製造されたシェルによって取り囲まれていることが、コア-シェル粒子の特徴の1つである。シェルは、コアを完全に取り囲んでいてもよく、或いは、この代わりに、透過性を有することもできる。材料は、例えば、金属などの、無機材料であってもよく、或いは、例えば、ポリマーなどの、有機材料であってもよい。例えば、2つの異なる金属を相互に組み合わせることができる。或いは、この代わりに、ポリマーから製造されたコアを金属又は第2のポリマーから製造されたシェルによって取り囲むこともできる。
【0102】
コア-シェル粒子は、第1及び第2材料のプロパティの組合せを可能にしている。例えば、廉価なポリマーコアを利用することにより、金属性シェルが上述のように反応可能である状態において、充填材粒子のサイズ及び密度を固定することができる。これに加えて、その頻繁な単分散粒子サイズ分布に起因して、コア-シェル粒子のプロパティは、正確に予測及び調節することができる。
【0103】
更には、1つ又は複数の充填材(第1の、5第2の、且つ/又は、第3の充填材)は、カーボンブラックの形態における炭素、グラファイト、細断カーボンファイバ、例えば、マルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)及びシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)などの、好ましくは、カーボンナノチューブ(CNT)の形態におけるカーボンナノファイバを有していてもよく、或いは、これから構成されていてもよい。カーボンナノチューブは、異なる数の円筒体から形成された円筒形のグラファイト層である。
【0104】
これらのチューブが、1つの円筒体からのみ構成されている場合には、これらは、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)と呼称される。2つ以上の円筒体が存在している場合には、結果は、ダブルウォールカーボンナノチューブ(DWCNT)又はマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)である。これらは、好ましくは、同心状にネストされた形態を有しうる。
【0105】
様々な実施形態においては、第3充填材は、MWCNTを有していてもよく、或いは、これから構成されていてもよく、その理由は、これらが、特に大きな熱伝導性(>3000W*(m*K)-1)を有しており、且つ、同時に、5~60GPaの範囲の非常に大きな分裂抵抗力を有しているからである。高い機械的安定性は、充填材の、高分裂抵抗力値、非常に大きな弾性、及び非常に良好な耐久性において明らかとなる。
【0106】
これは、3つの隣接する炭素原子に対するπ接合として非局在化されたp軌道と組み合わせられたsp2-混成型の強力なσ-C-C接合に基づいている。ここでは、最大で90°の捩じれが可能である。
【0107】
SWCNTは、更に大きなプロパティ値を実現することができる(弾性率が、グラファイトの1000GPaとの比較において、410GPa~4150GPaであり、SWCNTの熱伝導度は、約6000W*(m*K)-1である)。但し、ここでは、MWCNTとの比較において、相対的に乏しい費用/利益比率が見出される。MWCNTの円筒体直径は、通常、長さが500nm~1000μmである状態において、1nm~100nm、好ましくは、5~50nmの範囲である。
【0108】
更なる実施形態においては、第3充填材は、MWCNTを有していてもよく、且つ、同時に、第2及び/又は第1充填材は、カーボンブラックを有していてもよく、或いは、これから構成されていてもよく、その理由は、この場合には、同様に、熱伝導性の改善(例えば、最大で200W*(m*K)-1)を実現することができるからである。カーボンブラックの使用は、例として、<0.4GPaという値を有する、明らかに相対的に小さな分裂抵抗力を有していることから、両方の又は更なる充填材の組合せが、可能であり、且つ、これにより、全体的な分離収率の改善と、分離方法における全体的な費用の改善と、をもたらしうる。
【0109】
20ここで、カーボンブラック粒子の平均直径は、5nm~500nm、好ましくは、20nm~200nm、更に好ましくは、40nm~100nm、の範囲である。
【0110】
これに加えて、充填材は、例えば、フュームシリカなどの、シリカを有していてもよく、或いは、これから構成されていてもよい。25これに加えて、又はこの代わりに、シリカを有する又はこれから構成された更なる充填材をポリマーハイブリッド材料内において提供することもできる。
【0111】
フュームシリカは、3次元ネットワークを形成することができると共に、従って、機械的30安定性の改善に寄与することができる。従って、このような充填材は、ポリマーハイブリッド材料の機械的プロパティの制御された調節のために機能しうる。言及されている充填材のうちの1つ又は複数(第1、第2、第3充填材)は、それ自体に帰せられる機能と調和可能である場合には、同一の材料から構成することができる。例えば、第1及び第3充填材は、アルミニウムを有していてもよく、或いは、アルミニウムから構成されていてもよい。アルミニウムは、上述のように、空洞の生成のために、且つ、従って、固体フラグメントからのポリマーハイブリッド材料の剥離の加速と熱伝導率の増大の両方のために、利用することができる。このような構成は、製造プロセスを単純化させており、その理由は、すべての機能を充足するべく、1つ又は2つの充填材のみを追加することで十分でありうるからである。
【0112】
また、第1及び第2充填材、並びに、任意の第3充填材は、異なる材料から構成されていてもよい。この結果、望ましい機能に対する、充填材の個々の、且つ、従って、相対的に良好な、適合が可能となる。
【0113】
本発明の薄膜は、上述のように、ポリマーハイブリッド材料を有する。薄膜は、例えば、0.5~5mmの厚さを有することができる。
【0114】
本発明のポリマーハイブリッド材料又は本発明の薄膜は、対応する複合構造を結果的にもたらすように、少なくともこの表面に適用される。また、適用されたポリマーハイブリッド材料と、適用された薄膜は、以下においては、吸収層と呼称される。このような吸収層の厚さは、例えば、0.5mm~5mm、特に、1mm~3mm、であってよい。また、任意選択により、ポリマーハイブリッド材料又は薄膜は、複数の露出した表面に、特に、相互に平行な構成の表面に、適用することができる。
【0115】
熱応力は、好ましくは、周辺温度未満、且つ、好ましくは、10℃未満、且つ、更に好ましくは、0℃未満、並びに、更に好ましくは、-10℃未満、或いは、-40℃未満、における吸収層の冷却を構成している。
【0116】
吸収層の冷却は、最も好ましくは、吸収層の少なくとも一部分が、ガラス遷移を経験する、或いは、さもなければ、部分的な又は完全な結晶化を経験するように、実施されている。冷却は、ここでは、-130℃未満への冷却動作であってよく、これは、例えば、液体窒素により、もたらされうる。この実施形態は、有利であり、その理由は、吸収層が、温度の変化の関数として、収縮すると共に/又は、ガラス遷移を経験しており、且つ、結果的に得られた力が固体開始材料に伝達されており、これを利用することにより、機械的な応力が固体物内において生成されうると共に、これにより、固体層の分離のための第1剥離プレーン内の亀裂の当初の拡散を伴う、亀裂のトリガ及び/又は亀裂伝播をもたらすことができるからである。
【0117】
更なるステップにおいて、ポリマーハイブリッド材料又は薄膜は、例えば、化学反応、物理的な剥離動作、及び/又は機械的な材料除去により、固体フラグメントから除去されている。
【0118】
固体フラグメントからのポリマーハイブリッド材料の剥離の動作は、例えば、20℃~30℃の範囲などの、中程度の周辺温度、好ましくは、例えば、50℃~90℃などの、30℃~95℃という相対的に高い温度範囲、或いは、さもなければ、例えば、1℃~19℃という相対的に低い温度範囲、において発生しうる。
【0119】
例えば、ポリマーハイブリッド材料と固体物の間において犠牲層が使用されているケースにおいては、上昇した温度範囲により、反応レートの増大に起因した化学的剥離反応の短縮を可能にすることができる。犠牲層が使用されているケースにおいては、剥離は、有利には、2~6の範囲のpHの水性溶液中において実施することができる。様々な実施形態においては、例として、剥離動作は、適切な無極性溶剤の溶液による処理の形態において実施されうるが、1℃~50℃の範囲の中程度の周辺温度が好ましく、且つ、特に、20℃~40℃が好ましい。
【0120】
ここで、特定の利点は、薄膜の熱処理を伴うことのない剥離である。ここでは、有利には、例えば、トルエン、n-ペンタン、n-ヘキサンなどの、脂肪族且つ芳香族炭化水素を利用することが可能であるが、例えば、四塩化炭素などの、ハロゲン化溶剤を利用することもできる。ここでは、更なる力を剥離対象のポリマーハイブリッド材料に導入すると共に、インターフェイスを固体フラグメントに導入することが可能であり、その理由は、溶剤処理が、ポリマーハイブリッド材料の非常に大きな可逆性の膨張の発生を結果的にもたらすことが可能であり、これにより、剥離が全体的に単純化されるからである。
【0121】
更なる実施形態においては、犠牲層の剥離の上述のメカニズムと適切な非極性溶剤による処理との組合せが、同様に、薄膜の熱処理を伴うことなしに、実施されうる。
【0122】
生成された複合構造の露出した層又は露出したコンポーネント上には、露出した層又は露出したコンポーネントの変形の境界画定のための安定化層を配置又は生成することが可能であり、前記変形は、吸収層を利用して導入される機械的応力の結果としてもたらされている。従って、コンポーネントを有する面は、好ましくは、(例えば、基材の又は固体物の反り及びグレイルーム状態に対抗するべく)保護及び保持されている。これは、溶解可能なポリマー(有機化合物)又は保持層を介して実現することができる。この実施形態は、有利であり、その理由は、これにより、例えば、小さなMEMS構造との相互作用を制限しうるからである。コンポーネントによって実行されたウエハの表面特性は、通常、規則的なものではなく、これは、過剰な又は突然の運動の発生の場合に、過剰なフィールド増大及び局所的な表面損傷にもたらしうる。従って、この実施形態は、固体層の、且つ、その上部において配設及び/又は生成された層及び/又はコンポーネントの、特に、機械的損傷又は破壊からの、良好な保護をもたらす解決策である。
【0123】
この方法は、好ましくは、同様に又はこの代わりに、
少なくとも1つの固体層の分離用の固体物を提供するステップであって、固体物は、第1平坦エリアコンポーネント及び第2平坦エリアコンポーネントを有し、第1平坦エリアコンポーネントは、好ましくは、第2平坦エリアコンポーネントに基本的に又は正確に平行にアライメントされている、ステップと、
固体層が固体物から分離される、進捗する亀裂トリガサイトを定義するべく、固体物の内部構造内において、少なくとも1つの放射供給源、特に、レーザー、を利用して、欠陥を生成するステップと、
固体層が固体物から分離される亀裂進捗を定義するべく、固体物の内部構造内において、少なくとも1つのレーザーからのレーザービームを利用して欠陥又は改質を生成するステップであって、レーザービームは、第2平坦エリアコンポーネントを通じて固体物内に貫通している、ステップと、
のうちの1つ又は複数を含みうる。
【0124】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、安定化層は、好ましくは水溶性のセラミック、特に、DetaktaのFortafix、及び/又は、溶解可能なポリマー、特に、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、特に、異なる且つ/又は調節された鎖長を有するもの、から構成されているか、又はこれを含む。Fortafixは、接着剤として使用される1及び2成分のセラミックセメント、腐食及び化学的な影響から保護するためのエナメル、例えば、金属又はセラミックグリップ内における、ナイフブレードの挿入のための、加熱ワイヤの固定のための浸漬化合物としての、成形構造用の、又は絶縁のための、鋳造化合物である。ポリマー(PEG)は、水及びいくつかの有機溶剤中において溶解可能である。これは、ヘキサン、ジエチルエーテル、及びtert-ブチルメチルエーテル、即ち、その他の有機溶剤、中においては、溶解不能である。従って、表面構造/コンポーネントは、保護層が適用される前に、PEGによって充填することができる。安定化層は、好ましくは、原位置において、生成されるか、或いは、薄膜として提供される。これに加えて、又はこの代わりに、安定化層は、鋳造されるか、或いは、層及び/又は露出したコンポーネントは、硬化又は固化を通じてのみ安定化層となる液体材料に接触させられる。これに加えて、又はこの代わりに、安定化層は、溶剤を適用することにより、或いは、溶剤中への浸漬により、層又は露出したコンポーネントから、除去される。従って、安定化層は、セラミック材料を含むか、又はこれから構成されており、且つ/又は、これは、ポリマー材料を含むか、又はこれから構成されている。
【0125】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、改質は、少なくとも1つのライン又は列として連続的に生成されており、この場合に、ライン又は列として生成された改質は、その亀裂伝播の方向が剥離プレーンとの関係において角度Wにおいてアライメントされている、2つの連続的な改質の間において伝播する亀裂、特に、結晶格子方向において伝播する亀裂、が、2つの改質を相互に接続するように、好ましくは、距離Xにおいて、且つ、高さHを有するように、生成されている。角度Wは、ここでは、好ましくは、0°~6°、特に、4°、である。好ましくは、亀裂は、第1の改質の中心の下方の領域から、第2の改質の中心の上方の領域に向かって、伝播している。従って、この場合に、基本的な関係は、改質のサイズが、改質の分離及び角度Wに応じて改質されうる/改質されなければならない、というものである。
【0126】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、第1ステップにおいて、改質が、ライン上において、且つ、好ましくは、互いから同一の距離において、生成されている。更には、第1ステップにおいては、複数のこれらのラインが生成され生成されることも想定されうる。これらの第1ラインは、更に好ましくは、亀裂伝播の方向に平行に、且つ、好ましくは、まっすぐなラインとして、或いは、アークの形態において、特に、同一のプレーン内において、生成される。これらの第1ラインの生成の後に、好ましくは臨界未満の亀裂の剥離及び/又は駆動用の第2のラインが、好ましくは、生成される。これらの第2ラインは、好ましくは、同様に、まっすぐなラインとして、生成される。更に好ましくは、第2ラインは、第1ラインとの関係において、傾斜した、特に、直交する、アライメント状態にある。第2ラインは、好ましくは、第1ラインと同一のプレーン内において、或いは、更に好ましくは、第1ラインが延在するプレーンと平行なプレーン内において、延在している。その後に、好ましくは、臨界未満の亀裂を接続するべく、第3ラインが生成される。
【0127】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、-130℃~-10℃の温度、特に、-80℃~-50℃の温度、への吸収層の冷却のために、冷却装置が提供されている。冷却装置は、好ましくは、液体窒素の霧化のために、霧化器、特に、少なくとも又は正確に1つの穿孔されたパイプライン、を含み、且つ、冷却効果は、更に好ましくは、霧化された窒素によって生成されている。或いは、この代わりに、冷却装置は、窒素槽を有し、この場合に、吸収層は、窒素槽内において保持されている液体窒素から所定の距離において位置決めされることが想定されうる。或いは、この代わりに、冷却装置には、特に、液体又は霧化された形態において、好ましくは均一に窒素を提供する噴霧手段提供されており、この場合に、噴霧手段は、好ましくは、吸収層の上方及び/又は側部に配設されることが想定されうる。この実施形態は、有利であり、その理由は、液体窒素は、物体の定義された冷却のための、非常に良好な適合性を有しているからである。これに加えて、この実施形態は、有利であり、その理由は、-80℃未満、又は-90℃未満、の低温プロセスとの比較において、格段にエネルギー効率の優れたプロセスが提供されるからである。
【0128】
冷却装置は、好ましくは、窒素バスと、窒素槽内において保持されている液体窒素からの吸収層の位置の距離の定義された設定のための位置決め装置と、を有しており、この場合に、窒素槽及び位置決め装置は、好ましくは、環境から、少なくとも部分的に、且つ、好ましくは完全に、境界が画定された空間内において配設されている。
【0129】
本発明の更なる好適な一実施形態においては、1つ又は複数の温度計測装置が提供されている。1つ又は複数の温度計測装置により、及び好ましくは、1つ又は複数の温度計測が実施され、この場合に、検出された温度値は、好ましくは、温度制御用の窒素弁を通じて設定又はフローを制御するべく、使用される。
【0130】
また、相対的に均一な温度制御のために、チャンバ内において換気装置を使用することも可能であり、これは、強制対流を生成し、且つ、従って、温度勾配を低減する。
【0131】
更なる冷却選択肢(図示されていない)は、例えば、冷媒が、閉じた回路を流れ、且つ、固体物との接触状態となる、温度制御された冷却体との間における接触冷却である。
【0132】
温度は、好ましくは、固体物上において、特に、吸収層上において且つ/又は固体物の裏面上において、計測され、固体物の裏面は、好ましくは、チャンバの底部からは離隔した状態において配設され、固体物は、好ましくは、位置決め装置の提供によって位置決めされており、更に好ましくは、この位置決め装置を利用することにより、チャンバの底部からの固体物の距離又は液体窒素からの吸収層の距離は、特に、温度に依存した方式により、変更可能である。
【0133】
これに加えて、好ましくは、窒素及び位置決め装置を収容するべく、チャンバが提供されており、前記チャンバは、好ましくは、封止可能であり、且つ/又は、環境から断熱されている。
【0134】
本説明によれば、固体開始材料は、好ましくは、単結晶質、多結晶質、又は非晶質材料を意味しているものと理解される。高度に異方性の原子接合力に起因して、高度に異方性の構造を有する単結晶質材料が好ましい。固体開始材料は、好ましくは、元素の周期表の主族3、4、5及び/又は遷移族12のうちの1つのものの材料又は材料の組合せ、特に、例えば、酸化亜鉛又はテルル化カドミウムなどの、主族3、4、5及び遷移族12からの元素の組合せ、を含む。
【0135】
また、炭化ケイ素のみならず、半導体開始材料は、例えば、ケイ素、ヒ化ガリウムGaAs、窒化ガリウムGaN、炭化ケイ素SiC、リン化インジウムInP、酸化亜鉛ZnO、窒化アルミニウムAlN、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム(III)Ga2O3、酸化アルミニウムAl2O3(サファイア)、リン化ガリウムGaP、ヒ化インジウムInAs、窒化インジウムInN、ヒ化アルミニウムAlAs、又はダイアモンドを含みうる。
【0136】
固体物又は被加工物(例えば、ウエハ)は、好ましくは、例えば、SiC、Si、SiGe、Ge、GaAs、InP、GaN、Al2O3(サファイア)、AlNなどの、元素の周期表の主族3、4、及び5のうちの1つものの材料又は材料の組合せを含む。更に好ましくは、固体物は、周期表の第4、第3、及び第5族において発生する元素の組合せを含む。この場合に、想定されうる材料又は材料の組合せは、例えば、ヒ化ガリウム、ケイ素、炭化ケイ素などである。これに加えて、固体物は、セラミック(例えば、Al2O3―酸化アルミニウム)を含んでいてもよく、或いは、セラミックから構成されていてもよく、好適なセラミックは、ここでは、具体的には、例えば、一般に、ペロブスカイトセラミック(例えば、Pb-、O-、Ti/Zr-含有セラミック)、並びに、ニオブ酸マグネシウム鉛、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、イットリウムアルミニウムガーネット、特に、固体レーザー用途用のイットリウムアルミニウムガーネット結晶、ニオブ酸リチウムなどの表面弾性波(SAW)セラミック、オルトリン酸ガリウム、石英、チタン酸カルシウムなどである。従って、固体物は、好ましくは、半導体材料又はセラミック材料を含み、且つ、固体物は、更に好ましくは、少なくとも1つの半導体材料又はセラミック材料から構成されている。固体物は、好ましくは、インゴット又はウエハである。固体物は、更に好ましくは、レーザービームに対して、少なくとも部分的に透明な材料である。従って、固体物は、透明な材料を含むか、或いは、例えば、サファイアなどの、透明な材料から部分的に構成されるか、又は製造されている、ことも想定されうる。ここで、それ自体として、或いは、別の材料との組合せにおいて、固体材料として有用である更なる材料は、例えば、「ワイドバンドギャップ」材料、InAlSb、高温超電導体、特に、希土類銅酸化物(たとえば、YBa2Cu3O7)である。これに加えて、又はこの代わりに、固体物は、フォトマスクであり、この場合に、このケースにおいて使用されるフォトマスク材料は、好ましくは、出願日までに既知である任意のフォトマスク材料でありうると共に、更に好ましくは、これらの組合せでありうるものと想定されうる。これに加えて、固体物は、これに加えて、又はこの代わりに、炭化ケイ素(SiC)を含んでいてもよく、或いは、これから構成されていてもよい。
【0137】
改質は、ケイ素及び炭素への炭化ケイ素の相変換であってよい。
【0138】
本発明のレーザー曝露は、好ましくは、エネルギー入力の物質固有の場所分解された蓄積作用の効果を有しており、これは、定義された場所における、或いは、定義された場所における且つ定義された時点における、固体物の定義された熱処理を結果的にもたらす。特定の一用途においては、固体物は、炭化ケイ素から構成されていてもよく、その結果、好ましくは、例えば、2830+/-40℃の、温度への固体物の高度に局所的に限定された熱処理が実行される。この熱処理は、新しい物質又は相、特に、結晶質及び/又は非晶質の相を結果的にもたらし、結果的に得られる相は、好ましくは、顕著に低減された強度によって形成されたSi(ケイ素)及びDLC(ダイアモンド様炭素)相である。この結果、この低減された強度の層が剥離領域又は剥離プレーンをもたらす。
【0139】
これに加えて、上述の目的は、上述の方法によって生成された、且つ、固体物内において少なくとも1つの剥離プレーンを有する、固体物によって実現されており、この場合に、剥離プレーンは、レーザー放射を利用して生成された改質から形成されている。これに加えて、固体物は、高温処理方法の結果として得られる領域を有する。
【0140】
更なる好適な一実施形態においては、1つ又は複数の層及び/又は1つ又は複数のコンポーネントは、この領域内において、配設又は生成されている。或いは、この代わりに、1つ又は複数の層及び/又は1つ又は複数のコンポーネントは、除去対象の固体層の表面上において配設又は生成されていてもよい。固体物は、好ましくは、1000μm、特に、800μm、又は700μm、又は600μm、又は500μm、又は400μm、又は300μm、又は200μm、又は100μm、又は80μm、又は50μm、未満の厚さ又は平均厚さを有する。
【0141】
また、従って、本発明は、コンポーネント基材自体としての、このような事前処理済みの/改質済みのウエハ及び改質済みのウエハ上のコンポーネントの製造を提供している。
【0142】
本発明は、請求項15によれば、マルチコンポーネント構成に更に関する。本発明のマルチコンポーネント構成は、好ましくは、請求項1又は2を利用して生成されており、且つ、更に好ましくは、少なくとも1つの固体層を有する。固体層は、SiCから、好ましくは、50(質量)%超の程度、特に、75(質量)%超の程度、又は90(質量)%超の程度、又は95(質量)%超の程度、又は98(質量)%超の程度、又は99(質量)%超の程度、で構成されており、この場合に、固体層は、第1表面の領域内において、圧縮性応力を生成する改質又は改質構成要素を含み、この場合に、改質は、固体層の非晶質化された(相変換された)構成要素であり、この場合に、改質は、第2表面からよりも、第1表面から、相対的に短い距離に位置しており、或いは、その一部分を形成しており、この場合に、第2表面は、第1表面に対して平行に又は基本的に平行に形成されており、この場合に、第1表面は、平坦であり、或いは、基本的に平坦であり、且つ/又は、この場合に、第2表面は、平坦であり、或いは、基本的に平坦である。これに加えて、本発明のマルチコンポーネント構成は、同様に、固体層の第1表面上において生成された金属層をも含む。これに加えて、特に、水平方向又は垂直方向のコンポーネントとして使用されうる電気コンポーネントの形成のために、1つ又は複数の更なる層及び/又は1つ又は複数の更なるコンポーネントを第2表面上において配設することができる。
【0143】
好ましくは、改質は、200μm未満、特に、150μm未満、又は110μm未満、又は100μm未満、又は75μm未満、又は50μm未満、だけ、第2表面から離隔している。
【0144】
本発明の文脈における表面は、好ましくは、表面が理想的な滑らかな且つ理想的に平坦な表面上において配置された際に、表面のすべての1平方センチメートルが、理想的に滑らかな且つ理想的に平坦な表面と接触状態にある少なくとも1つの構成要素を有している際に、基本的に平坦であるものと見なされるべきである。
【0145】
本発明の文脈における表面は、好ましくは、表面が、理想的な滑らかな且つ理想的に平坦な表面上において配置された際に、表面のすべての1平方センチメートル、特に、すべての1平方ミリメートルが、少なくとも、理想的に滑らかな且つ理想的に平坦な表面との接触状態にある、複数の、特に、少なくとも2つ、3つ、4つ、又は5つの、構成要素を少なくとも有している際に、平坦であるものと見なされるべきである。
【0146】
これに加えて、2016年12月7日付けで独国特許商標庁に出願された独国特許出願第102016123679.9号明細書の主題は、引用により、本特許明細書の主題にすべて包含される。
【0147】
本発明の更なる利点、目的、及びプロパティについては、本発明の分離方法が例として詳述されている、以下の添付の図面の説明によって明らかとなる。本発明の方法において選好を伴って使用される、且つ/又は、図中のその機能の観点において少なくとも基本的に対応している、コンポーネント又は要素は、ここでは、すべての図におけるこれらのコンポーネント又は要素の附番又は説明に対するニーズを伴うことなしに、同一の参照符号により、識別されうる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【
図2a】本発明に従って提供されうる固体構成の1つの概略的な例である。
【
図2b】本発明に従って提供されうる固体構成の1つの概略的な例である。
【
図3a】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3b】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3c】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3d】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3e】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3f】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3g】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3h】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図3i】本発明の固体構成、或いは、本発明のプロセスにおいて、中間時点において生成されうる固体構成の更なる概略的な例である。
【
図4】改質によって形成された2つのラインの概略図である。
【
図5a】本発明の方法において冷却のために好ましくは使用されうる冷却装置である。
【
図5b】本発明の方法において冷却のために好ましくは使用されうる冷却装置である。
【
図5c】本発明の方法において冷却のために好ましくは使用されうる冷却装置である。
【
図5d】本発明の方法において冷却のために好ましくは使用されうる冷却装置である。
【
図6a】改質の間の亀裂伝播の1つの概略的な例である。
【
図6b】改質の間の亀裂伝播の1つ概略的な例である。
【
図6c】改質の間の亀裂伝播の1つ概略的な例である。
【
図7】異なる機能をもたらすように異なる方式によって方向付けされた改質ラインである。
【発明を実施するための形態】
【0149】
図1aは、固体物1、特に、ウエハ、の提供を示している。
【0150】
図1bによれば、提供される固体物1は、ツールキャリア(チャック)3上に結合されるか、又はピン留め(stuck)、又は溶接されるか、又はねじ止めされるか、又はクランプされており、この場合に、ツールキャリアは、好ましくは、冷却機能を有し、且つ、従って、好ましくは、冷却層3になっている。固体物1は、好ましくは、長手方向において、その裏面により、冷却装置3上に固定されており、特に、ピン留めされており、この裏面は、好ましくは、長手方向において、表面5の反対側である。従って、レーザービームは、改質9を生成するべく、除去対象の固体層の一部分である表面5を介して冷却装置3の方向において固体物1に導入される。これに加えて、更に好ましくは、表面5、特に、固体表面5上のエピタキシャル材料構成、の高温処理が存在し、これは、好ましくは、更なる層145又は複数の更なる層145を結果的にもたらしている。少なくとも1つの高温方法は、好ましくは、エピタキシャル方法、ドーピング方法、又はプラズマを使用した方法であり、この場合に、高温方法は、特に、エピタキシャル方法のケースにおいては、固体物1上において少なくとも1つの層145を生成し、この場合に、生成された少なくとも1つの層145は、予め定義されたパラメータを有し、この場合に、少なくとも1つの予め定義されたパラメータは、レーザー光波の屈折及び/又は吸収及び/又は反射の最大程度を定義しており、この場合に、屈折及び/又は吸収及び/又は反射の程度は、5%未満、且つ、好ましくは、1%未満、且つ、更に好ましくは、0.1%未満、である。これに加えて、生成された層145又は生成された更なる層145は、好ましくは、金属を含んでいなくてもよい。
【0151】
図1cは、レーザービームを利用した改質9の生成の概略図を示している。レーザービームは、好ましくは、ここでは、高温方法を利用して予め生成された層145を介して固体物1内に貫通している。但し、この代わりに、レーザービームが、特に下方から、透明な表面、即ち、固体物1の、更なる層145によって被覆されていない表面、を介して固体物1内に貫通することも同様に想定されうる。固体物、ここでは、参照符号1、は、好ましくは、横方向において、或いは、(幅及び/又は深さ方向の)外側端部において、保持されている。
【0152】
図1dは、改質9の生成の後の固体物1の概略断面図を示している。この例においては、改質9の4つのブロックが明白であり、これは、4つの亀裂コンポーネント25、27、28、29をもたらしている。ブロックを改質9と隣接させることにより、参照符号41、42、43、44、及び45は、それぞれ、改質9を有してはいない領域、或いは、改質9のブロックが生成されている領域内よりも少ない改質9が生成されている領域、を示している。
【0153】
図1eは、特に、ポリマー材料を含む、受け取り層が、表面5上において、或いは、予め表面5上においてエピタキシャル成長した更なる層上において、配設されている、更なるコンポーネント(図示されていない)上において配設又は生成されている状態を示している。受け取り層は、好ましくは、薄膜として生成されており、且つ、その生成の後に、表面5に、結合されている、特に、接合されるか、又はピン留めされている。但し、同様に、液体ポリマーを表面5に適用し、且つ、次いで、固化させることにより、受け取り層を形成することも可能である。
【0154】
改質を生成すると共に受け取り層を適用するステップの間には、好ましくは、上流の高温方法の際にその上部において既に生成された、表面5上の又は更なる層145上の、更なる層150及び/又はコンポーネント150の配設又は生成が存在している。
【0155】
図1fは、受け取り層上の温度制御動作の概略図を示している。受け取り層は、好ましくは、特に、冷却された、周辺温度未満の温度、特に、20℃未満、又は1℃未満、又は0℃未満、又は-10℃未満、又は-50℃未満、又は-60℃未満、の温度、に調節されている。このケースにおいては、受け取り層140の材料は、冷却の結果として、ガラス遷移又は/及び結晶化を経験している。好ましくは、受け取り層の温度は、液体窒素を利用して、特に、霧化された窒素を利用して、制御されている。温度制御に起因して、特に、ガラス遷移に起因して、受け取り層は、収縮し、この結果、固体物1内において機械的応力が生成される。機械的応力に起因して、亀裂コンポーネント25、27、28、29を接続する亀裂がトリガされ、これにより、固体コンポーネント12が固体物1から分離される。
【0156】
図2aは、受け取り層140が、平行である、或いは、好ましくは、基本的に平行である、又は完全に平行である、表面5よりも、改質から更に離隔している、固体物の表面上において配設されている一実施形態を示している。表面は、好ましくは、(
図1b~
図1fと類似した状態において)更なる層145を有する。コンポーネント150又は更なる材料層150は、好ましくは、更なる層145上において又は露出した表面5上において配設されている。好ましくは、安定化層及び/又は保護層142が、更なる材料層150の又はコンポーネント150の露出した表面上において配設又は生成される。コンポーネント150は、ここでは、例えば、特に、ポリマー材料及び/又はセラミック材料により、鋳造することができる。これに加えて、安定化装置、特に、例えば、ガラスウエハなどの、更なるウエハ、が、安定化層及び/又は保護層142に、結合される、特に、ピン留めされるか又は接合される、ことも想定されうる。安定化層及び/又は保護層142、或いは、安定化層及び/又は保護層142及び安定化装置、の効果は、ここでは、分離動作の際に、或いは、分離動作の後に、コンポーネント150又は更なる材料層150が、まったく変形しないか、或いは、わずかにのみ変形する、というものである。分離動作の際には、受け取り層140を利用して生成された力により、変形がもたらされる可能性があり、且つ、分離動作の後には、残りの改質、特に、物質の変換、により、変形がもたらされる可能性がある。物質の変換のケースにおける改質の効果は、圧縮力をもたらす、というものであり、これは、安定化層/安定化装置を伴うことなしに除去された固体層の反り(撓み)を結果的にもたらすことになろう。
【0157】
次いで、除去された固体層及びその上部において配設された安定化層及び/又は保護層142、並びに、その上部において配設された任意の安定化装置、から構成されたユニットには、好ましくは、応力の除去のために更なる処理が適用される。更に好ましくは、安定化層142又は安定化装置は、保持装置を形成しており、これを利用して、材料除去処理のために、材料除去装置、特に、研削及び/又は研磨装置、との関係において、除去された固体層を固定することができる。次いで、材料除去装置を利用して、除去された固体層上において留まっている改質コンポーネントが、特に、材料除去により、除去される。
【0158】
本発明の文脈においては、固体層は、好ましくは、常に、残りの固体コンポーネントよりも薄い。但し、受け取り層が、後から、固体層の表面上ではなく、残りの固体コンポーネントの表面上において、配設又は生成されることも想定されうる。固体材料がケイ素である際には、除去された固体層は、好ましくは、残りの固体物の高さの40%未満の、特に、残りの固体物の高さの30%又は20%未満の、残りの固体物との関係における高さを有する。ケイ素のケースにおいては、好ましくは、既定のパラメータが、改質の生成のために想定されており、開口数は、好ましくは、0.5~0.8、特に0.65であり、貫通深さは、150μm~1000μm、特に300μmであり、パルス分離は、1μm~5μm、特に2μmであり、ライン間隔は、1μm~5μm、特に2μmであり、パルス持続時間は、50ns~400ns、特に300nsであり、且つ、パルスエネルギーは、3μJ~30μJ、特に10μJである。
【0159】
材料がSiCである場合には、除去された固体層は、好ましくは、残りの固体物の高さの50%未満の、特に、残りの固体物の高さの45%又は40%又は35%又は30%又は25%未満の、残りの固体物との関係における高さを有する。SiCのケースにおいては、好ましくは、既定のパラメータが改質の生成のために想定されており、開口数は、好ましくは、0.4~0.8、特に0.4であり、貫通深さは、好ましくは、50μm~500μm、特に180μmであり、パルス分離は、好ましくは、0.1μm~3μm、特に1μmであり、ライン間隔は、好ましくは、10μm~100μm、特に75μmであり、パルス持続時間は、好ましくは、1fs~10ns、特に3nsであり、且つ、パルスエネルギーは、好ましくは、0.5μJ~30μJ、特に7μJである。
【0160】
図2bにおいても、同様に、
図1b~
図1fに類似した状態において、更なる層145が、これが示されていない場合にも、生成されうる。従って、好ましくは、更なる材料層又はコンポーネント150が、更なる層145上において又は固体物の露出された表面上において、生成又は配設されている。
【0161】
これに加えて、
図2bは、受け取り層が、残りの固体物の表面上において配設されうると共に、更なる受け取り層146が、コンポーネント又は更なる材料層150上において配設されうることを示している。これに加えて、コンポーネントには、ここでは、安定化層142が提供されており、これは、更なる受け取り層146が、好ましくは、安定化層及び/又は保護層142上において生成又は配設されていることを意味している。更なる受け取り層146は、好ましくは、薄膜として提供されており、且つ、好ましくは、同様に、少なくとも部分的にポリマー材料から構成されている。更に好ましくは、更なる受け取り層146は、受け取り層140又は142と同一の材料を有する。本実施形態は、有利であり、その理由は、亀裂を生成する応力が2つの面から固体物に導入されうるからである。
【0162】
図3a~
図3iは、亀裂を誘発するべく、更なる材料層又はコンポーネント150の生成後に提供されうる異なる構成を示している。
【0163】
図3a~
図3iは、亀裂進捗応力及び/又は亀裂トリガ応力を誘発するべく有利である様々な固体構成176を示している。
【0164】
図3aは、構造又はコンポーネント150を有する、処理済みの固体物1又はウエハを示している。
【0165】
図3aに示されている固体物1との比較において、
図3bに示されている固体物1内において、コンポーネント側において、特に、コンポーネント150又は更なる材料層150上において、配設又は生成された受け取り層140が存在している。受け取り層140は、ここでは、好ましくは、除去対象の固体層上において配設されている。また、受け取り層140は、分離薄膜として識別されてもよく、且つ、従って、好ましくは、構造側上にラミネートされている。次いで、後続のステップにおいて、構成全体が、冷却され、この結果、分離又は亀裂トリガ及び/又は亀裂進捗がもたらされる。
【0166】
図3bの図との比較において、
図3cによれば、保持層/接合済みのウエハは、固体物の裏面上において、或いは、固体物の露出した表面上において、配設されている。また、保持層は、ツールキャリア又はチャック3であってよい。次いで、後続のステップにおいて、構成全体は、冷却され、これにより、分離又は亀裂トリガ及び/又は亀裂進捗がもたらされる。
【0167】
図3dは、
図3bとの比較において、固体物の両面に受け取り層140、146が提供されている構成を示している。更なる受け取り層146は、ここでは、後のステージにおいて留まる残留固体物の表面上において配設されており、この場合には、接着促進層148及び/又は犠牲層149及び/又は保護層142を更なる受け取り層146と固体物1の間において配設又は生成することができる。2つの受け取り層140及び146は、好ましくは、ラミネートされていてもよい。次いで、後続のステップにおいて、構成全体が冷却され、これにより、分離又は亀裂トリガ及び/又は亀裂進捗がもたらされる。
【0168】
図3eは、
図3dにおいて示された構成とは対照的に、接着促進層148及び/又は犠牲層149及び/又は保護層142が、更なる受け取り層146と固体層1の間に配設又は生成されてはいない構成を示している。次いで、後続のステップにおいて、構成全体が冷却され、これにより、分離又は亀裂トリガ及び/又は亀裂進捗がもたらされる。
【0169】
図3fは、
図3dにおいて示されている構成とは逆の方式によって構築された構成を示しており、これは、接着促進層148及び/又は犠牲層149及び/又は保護層142が、更なる受け取り層146と固体物1の間には配設又は生成されておらず、且つ、受け取り層140と固体物1の間に、且つ、従って、除去対象の固体層上において、生成又は配設されていることを意味している。ここでは、コンポーネント150又は構造上において、例えば、スピンコーティングを利用して、1つ又は複数の層を生成することができる。次いで、後続のステップとして、構成全体が冷却され、これにより、分離又は亀裂トリガ及び/又は亀裂進捗がもたらされる。
【0170】
図3gは、
図3d及び
図3fの構成の組合せに対応する構成又は実施形態を示している。固体物は、好ましくは、両面において分離薄膜によってラミネートされており、同様に、いずれかの面において分離薄膜の下方において保護層及び/又は接着促進層及び/又は犠牲層を提供することが可能であり、例えば、構造上におけるスピンコーティングも可能である。次いで、後続のステップとして、構成全体が冷却され、これにより、分離又は亀裂トリガ及び/又は亀裂進捗がもたらされる。
【0171】
図3hは、
図3bに示されている構成に類似した構成を示しており、この場合には、受け取り層は、除去対象の固体層の表面上に配設又はラミネートされてはおらず、且つ、除去の後に留まる残留固体物の一面上に配設又はラミネートされている。次いで、インゴットからの分離と同様に、或いは、インゴットプロセスと同様に、冷却の結果として、除去が実現される。
【0172】
図3iは、
図3cにおいて示されている構成に類似した構成を示しており、この場合には、後述する層又は装置のうちの1つ又は複数が、固体物のコンポーネント側において、或いは、コンポーネント150の上部又は上方において、配設又は生成されている。これらの層又は装置は、好ましくは、少なくとも又は正確に1つの接着促進層148であり、且つ/又は、少なくとも又は正確に1つの犠牲層149であり、且つ/又は、少なくとも又は正確に1つの保護層142であり、且つ/又は、少なくとも又は正確に1つの安定化装置3であり、特に、ツールキャリア又はチャック又は更なるウエハである。次いで、後続のステップとして、構成全体が冷却され、これにより、分離又は亀裂トリガ及び/又は亀裂進捗がもたらされる。
【0173】
図4は、X-Y処理における書き込みパターンの一例の図を示している。
【0174】
矢印170、172は、レーザーの前進方向を表しており、黒色円は、ここでは、材料内のその損傷効果とオーバーラップしてはいない、様々なレーザーショット又は改質9を表している。ここでは、レーザーが、まず、1つの方向において運動し、且つ、改質9を生成した後に、方向転換し、且つ、改質9を第2(下部)方向において書き込むのが好ましい。
【0175】
図5a~
図5dは、様々な冷却装置174を示している。これらの冷却装置174内において処理される固体構成176は、
図1a~
図3iにおいて図示及び記述されている1つ又は複数の受け取り層140、146が提供された固体物1の様々な形態又は実行の結果として得られたものである。本明細書において示されている冷却装置174は、いずれも、冷却用の開始冷却媒体として、液化されたガス178を使用している。本実施形態によれば、この開始冷却媒体は、霧化又は蒸気化されている。好ましくは、開始冷却媒体は、液体窒素である。例えば、ペルチエ要素を利用するものなどの、代替冷却方法も同様に想定されうると共に可能である。
【0176】
冷却装置174は、好ましくは、-130℃~-10℃の温度に、特に、-80℃~-50℃の温度に、受け取り層140、146を冷却するべく機能している。
【0177】
図5aによれば、冷却装置174は、窒素槽を含み、この場合に、受け取り層は、特に、調節可能な位置決め装置180を利用して、窒素槽内において保持されている液体窒素から離隔した状態において位置決めされている。従って、固体構成は、好ましくは、窒素槽の上方において、位置決め装置上又はホルダ上に配設されている。従って、結果は、チャンバ高さの上方における温度勾配であり、且つ、固体構成における温度が、開始冷却媒体又は固体構成176の位置(チャンバの底部からの距離)により、充填高さにわたって調節可能である、というものになる。
【0178】
図5b~
図5dの実施形態によれば、冷却装置は、好ましくは、液体窒素の霧化のために、霧化器、特に、少なくとも又は正確に1つの穿孔されたパイプライン、或いは、液体窒素の霧化用の霧化器、を含んでいてもよく、且つ、冷却効果は、霧化された又は蒸気化された窒素によって生成されうる。
【0179】
図5bによれば、好ましくは、均一な噴霧装置/霧化器が、噴霧及び霧化のために提供されている。噴霧又は霧化は、好ましくは、固体構成176の上方において実現される。これに加えて、好ましくは、弁、特に、窒素弁、の調節のための出力データを付与する温度監視のための温度計測も存在している。温度計測は、好ましくは、基材上において、或いは、固体物1上において、又は受け取り層140上において、実施される。
【0180】
基材又は固体物1又は固体構成176は、好ましくは、チャンバの底部における窒素の層から免れた状態において留まるべく、チャンバ底部の上方において休止している。
【0181】
図5cによれば、好ましくは、穿孔されたパイプラインが、均一噴霧装置として使用されている。これに加えて、好ましくは、弁、特に、窒素弁、の調節のための出力データを付与する温度監視用の温度計測も存在している。温度計測は、好ましくは、基材上において、又は固体物1上において、又は受け取り層140上において、実施される。
【0182】
基材又は固体物1又は固体構成176は、好ましくは、チャンバの底部における窒素の層から免れた状態において留まるべく、チャンバベースの上方において休止している。
【0183】
によれば
図5dは、好ましくは、複数の、又はそれぞれの側の、冷却のために、均一な噴霧装置/霧化器182を有する冷却装置176を示している。これに加えて、好ましくは、弁、特に、窒素弁、の調節のための出力データを付与する温度監視用の温度計測も存在している。温度計測は、好ましくは、基材上において、又は固体物1上において、又は受け取り層140上において、実施される。
【0184】
基材又は固体物1又は固体構成176は、好ましくは、チャンバの底部における窒素の層から免れた状態において留まるべく、チャンバの底部の上方において休止している。
【0185】
冷却装置174のチャンバ184は、好ましくは、可能な限り断熱によって温度勾配を防止するべく、閉鎖されている。
【0186】
図6は、結晶格子方位と改質の生成の間の好ましい関係の3つの例を示している。この方法は、SiCから構成された、又はSiCを含む、固体物からの固体層の分離のために、特に有用である。これらの関係は、本発明の更なる方法を結果的にもたらす。本発明のこの更なる方法は、好ましくは、少なくとも1つの固体物1から少なくとも1つの固体層4を分離するべく、特に、インゴットからウエハを分離するべく、或いは、ウエハをシンニングするべく、機能する。本発明の更なる方法は、好ましくは、少なくとも、剥離プレーン8を形成するべく、固体物1内においてレーザービームを利用して複数の改質9を生成するステップと、固体物1内において応力を生成するべく、固体物1に外部力を導入するステップと、を有し、この場合に、外部力は、応力が剥離プレーン8に沿って亀裂伝播を結果的にもたらすべく、十分に強力である。
【0187】
本発明によれば、改質は、少なくとも1つのライン又は列として連続的に生成されており、この場合に、ライン又は列として生成された改質9は、好ましくは、2つの連続的な改質の間において伝播する亀裂、特に、その亀裂伝播の方向が剥離プレーンとの関係において角度Wにおいてアライメントされた結晶格子方向において進行する亀裂、が、一緒に2つの改質に結合するように、分離Xにおいて、且つ、高さHを伴って、生成されている。ここで、角度Wは、好ましくは、0°~6°、特に、4°である。好ましくは、亀裂は、第1の改質の中心の下方の領域から第2の改質の中心の上方の領域まで伝播している。従って、ここで、基本的な関係は、改質のサイズが、改質の分離及び角度Wの関数として改質されうる/されなければならない、というものである。
【0188】
更には、この方法は、固体物1の当初露出した表面5上における又はその上方における層及び/又はコンポーネント150の構成又は生成により、複合構造を生成するステップを含んでいてもよく、この場合に、露出した表面5は、好ましくは、除去対象の固体層4の一部分である。更に好ましくは、剥離プレーン8を形成するための改質は、複合構造の生成の前に生成されている。
【0189】
外部力を導入するべく、例えば、上述の方法と同様に、複合構造又は固体物の露出した表面5上において受け取り層140を配設することができる。
【0190】
3つの
図6a~
図6cは、レーザーによって非晶質化/相変換された損傷/改質ゾーンのサイズが、亀裂の鋸歯パターンによってカバーされている高さに影響を及ぼす方式を示すものと考えられる。一般に、亀裂は、結晶プレーンに沿って、即ち、結晶の個々の原子の間において、延在する。これらの明瞭なプレーンは、もはや、改質されたゾーン内には存在しておらず、従って、これは、停止している。
【0191】
好ましくは、可能な限り大きな開口数を利用することにより、ビーム方向において、且つ、更には、焦点面内において横方向において、損傷ゾーンのサイズを低減することができる。実現が必要とされているのが、閾値強度のみであることから、ここでも、相対的に小さなパルスエネルギーで十分である。
【0192】
この結果、損傷ゾーンが、適切な方式により、相対的に小さくなっている場合には、レーザー改質の密度を増大させることが可能であり、これにより、鋸歯を相対的に短くすることが許容され、その結果、全体として、改質されたプレーンの相対的に小さな垂直方向の広がりが得られる。
【0193】
対照的に、損傷ゾーンが相対的に長くなっている場合には(相対的に大きなエネルギー及び/又は相対的に小さな低い開口数―
図6b)、非晶質化されたゾーン内の上昇した圧力が、相対的に大きな微小亀裂をもトリガするが、これは、相対的に大きな距離において相対的に大きな広がりの損傷ゾーンを可能にすることにより、制御することができる(即ち、制御された方式により、停止させることができる)。
【0194】
最後に、
図6cは、損傷ゾーンが十分に大きいものではなく、且つ、過剰に遠くまで延在する亀裂が、レーザー改質によってトリガされた場合には、第1に、亀裂が過剰に遠くまで延在し―即ち、亀裂の結果としてもたらされる高さの差が、望ましいもの超となり―、且つ、第2には、亀裂が、更なる損傷ゾーンの下方において駆動され、且つ、非晶質化された材料によって停止されない、というリスクを示している。この結果、これは、この場合にも、材料損失をもたらしており、その理由は、切開された材料層のすべてが、最終製品又は別のレーザー処理動作のために、除去されなければならないからである。
【0195】
図7は、本発明の更なる方法からのスナップショットの概略図を示している。この更なる方法は、好ましくは、少なくとも1つの固体物1から少なくとも1つの固体層4を分離するべく、特に、インゴットからウエハを分離するべく、且つ、ウエハをシンニングするべく、機能している。本発明の更なる方法は、好ましくは、少なくとも、剥離プレーン8を形成するべく、固体物1内においてレーザービームを利用して複数の改質9を生成するステップと、固体物1内において応力を生成すべく、固体物1に外部力を導入するステップと、を有しており、この場合に、外部力は、応力が剥離プレーン8に沿って亀裂伝播を結果的にもたらすように、十分強力である。
【0196】
本発明によれば、第1ステップにおいて、改質が、ライン103上において、且つ、好ましくは、互いから同一の距離において、生成されている。これに加えて、第1ステップにおいては、複数のこれらのラインが生成されるものと想定されうる。これらの第1ラインは、更に好ましくは、亀裂伝播の方向に対して平行に、且つ、好ましくは、まっすぐなラインとして、或いは、円弧の形態において、特に、同一のプレーン内において、生成されている。これらの第1ラインの生成の後に、好ましくは、第2ライン105が、好ましくは臨界未満の亀裂をトリガ及び/又は駆動するべく、生成される。これらの第2ラインは、好ましくは、同様に、まっすぐなラインとして生成されている。更に好ましくは、第2ラインは、第1ラインとの関係において傾斜しており、特に、直交するようにアライメントされている。第2ラインは、好ましくは、第1ラインと同一のプレーン内において、或いは、更に好ましくは、第1ラインが延在するプレーンに対して平行なプレーン内において、延在している。その後に、好ましくは、第3ラインが、臨界未満の亀裂を接続するべく、生成される。
【0197】
この方法は、特に、SiCから構成された、又はSiCを含む、固体物からの固体層の分離のために有用である。
【0198】
これに加えて、改質は、少なくとも1つのライン又は列として連続的に生成されていてもよく、この場合に、ライン又は列として生成される改質9は、好ましくは、2つの連続的な改質の間において伝播する亀裂、特に、その亀裂伝播の方向が剥離プレーンとの関係において角度Wにおいてアライメントされている結晶格子方向において伝播する亀裂、が、一緒に2つの改質と結合するように、分離Xにおいて、且つ、高さHを有するように、生成されている。ここでは、角度Wは、好ましくは、0°~6°、特に、4°である。好ましくは、亀裂は、第1の改質の中心の下方の領域から第2の改質の中心の上方の領域まで伝播している。従って、ここで、基本的な関係は、改質のサイズが、改質の分離及び角度Wの関数として改質されうる/されなければならない、というものである。
【0199】
更には、この方法は、固体物1の当初露出した表面5の上における又はその上方における層及び/又はコンポーネント150の構成又は生成により、複合構造を生成するステップを含んでいてもよく、この場合に、露出した表面5は、好ましくは、除去対象の固体層4の一部である。更に好ましくは、剥離プレーン8を形成するための改質は、複合構造の生成の前に、生成されている。
【0200】
外部力を導入するべく、例えば、上述の方法と同様に、複合構造又は固体物の露出した表面5上において、受け取り層140を配設することができる。
【0201】
従って、本発明の更なるレーザー方法においては、ラインは、好ましくは、まず、長手方向ラインが亀裂を駆動する前に、好ましい亀裂トリガ(亀裂初期化)用のプレーンを定義するべく、SiC(並びに、その他の材料)上の亀裂伝播の方向(好ましくは、横断方向ラインと呼称される)に対して平行に生成されている。ここで、亀裂は、最終的なステップが、亀裂を十分にトリガするべく、第2ステップからの長手方向ラインの間においてラインを生成する前に、まずは、横断方向において、次いで、長手方向において、初期化されている。この結果、相対的に短い亀裂経路が可能となり、これにより、最終的な表面粗度が極小化される。
【0202】
(鋸歯を有する)横断方向ライン及び(鋸歯の波頂上の)亀裂トリガラインの例示用の画像
図8は、例として、ショットキーダイオード200を示している。このダイオード200は、好ましくは、固体層4を含み、そして、これは、レーザー放射を利用して改質されたコンポーネント、特に、改質9、を含む。改質9は、ここでは、固体層4の第1表面の近傍において生成されている。金属層20が、好ましくは、固体層4のこの第1表面上において、特に、スパッタリング又は化学堆積を利用することにより、生成されている。固体層4は、第2表面を有し、これは、第1表面とは反対側であり、且つ、その上部に、更なる層145が、特に、エピタキシー法を利用して、生成される。固体層4は、好ましくは、高度にドーピングされたSiCから構成されるか、或いは、高度にドーピングされたSiCを含み、且つ、生成された層145は、好ましくは、軽度にドーピングされたSiCから構成されるか、或いは、軽度にドーピングされたSiCを含む。「軽度にドーピングされた」は、ここでは、好ましくは、「高度にドーピングされた」よりも低いレベルのドーピングを意味している。従って、生成された層145は、好ましくは、固体層4よりも乏しいドーピング/単位容積を有する。参照符号150は、ショットキー接触を示している。
【0203】
図9は、例として、MOSFET250の構造を示している。このMOSFET250は、好ましくは、固体層4を含み、そして、これは、レーザー放射を利用して改質されたコンポーネント、特に、改質9、を含む。改質9は、ここでは、固体層4の第1表面の近傍において生成されている。金属層20が、好ましくは、固体層4のこの第1表面上において、特に、スパッタリング又は化学堆積を利用して、生成されている。金属層20は、好ましくは、端子259を介してドレイン(high)を形成している。固体層4は、第1表面とは反対側の第2表面を有する。更なる層、特に、n型のSiC、が、第2表面上において、形成されており、特に、生成又は配設されている。参照符号256は、更なる材料又は要素、特に、p型のSiCを示している。参照符号254は、n+を表している。参照符号255は、好ましくは、特に電流の伝導用の、1つ又は複数のチャネルを示している。参照符号253によって示されている層は、好ましくは、SiO2から構成されているか、或いは、これを含む。参照符号251は、ソース(low)を示しており、且つ、参照符号252は、ゲートを示している。
【0204】
従って、本発明は、少なくとも1つの固体層4を提供するステップに関係していてもよく、この場合に、固体層4は、固体物1から分離される。本発明の方法は、好ましくは、剥離プレーン8を形成するべく固体物1内においてレーザービームを利用して複数の改質9を生成するステップであって、改質9は、固体物1内において圧縮性応力を生成している、ステップと、改質9によって形成された剥離プレーン8に沿った残りの固体物1及び固体層4の分離により、固体層4を除去するステップであって、圧縮性応力を生成する改質9の少なくとも構成要素は、固体層4上において留まっており、固体層4が改質9に起因して固体物1から剥離された状態となるように多くの改質9が生成され、或いは、外部力が、固体物1内において更なる応力を生成するべく固体物1に導入されており、外部力は、応力が改質によって形成された剥離プレーン8に沿って亀裂伝播をもたらすように十分強力である、ステップと、残りの改質構成要素の圧縮性の応力によってもたらされる固体層4の変形の少なくとも部分的な且つ好ましくは大幅な且つ更に好ましくは完全な補償のために、或いは、圧縮性応力の少なくとも部分的な且つ好ましくは大幅な又は完全な補償のために、固体物1からの固体層4の分離によって露出した表面上において金属層を生成するステップと、を有する。
【0205】
或いは、この代わりに、本発明は、電気コンポーネントを生成する方法にも関係しうる。この方法は、好ましくは、剥離プレーン8を形成するべく、固体物1内において、レーザービームを利用して複数の改質9を生成するステップであって、改質9は、固体物1内において圧縮性応力を生成している、ステップと、固体物1の当初露出した表面5上又はこの上方において層及び/又はコンポーネント150を配設又は生成することにより、複合構造を生成するステップであって、露出した表面5は、除去対象の固体層4の一部である、ステップと、改質9によって形成された剥離プレーン8に沿った残りの固体物1及び固体層4の分離により、固体層4を除去するステップであって、圧縮性応力を生成する改質9の少なくとも構成要素は、固体層4上において留まっており、固体層4が改質9に起因して固体物1から剥離された状態になるように多くの改質9が生成され、或いは、外部力が、固体物1内において更なる応力を生成するべく固体物1に導入されており、外部力は、応力が改質によって形成された剥離プレーン8に沿って亀裂伝播をもたらすように十分強力である、ステップと、改質構成要素によってもたらされる圧縮性応力についての少なくとも部分的な補償のために、固体物1からの固体層4の分離によって露出した表面上において金属層20を生成するステップと、を有する。