(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】車両用ベッド
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20221227BHJP
A47C 17/80 20060101ALI20221227BHJP
B60P 3/38 20060101ALI20221227BHJP
B60P 3/39 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
A47C17/80
B60P3/38
B60P3/39
(21)【出願番号】P 2019217129
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-04-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1. ジャパンキャンピングカーショー2019での展示、平成31年2月1日~2月3日開催 2. ウェブサイトでの公開、掲載アドレス:https://www.okamotors.co.jp/ https://www.okamotors.co.jp/originalmodel/shimauzer/ 令和1年6月1日より掲載
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517080119
【氏名又は名称】株式会社岡モータース
(74)【代理人】
【識別番号】100142941
【氏名又は名称】京和 尚
(72)【発明者】
【氏名】岡 宏治
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-315207(JP,A)
【文献】特開2016-128288(JP,A)
【文献】国際公開第2019/059841(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0136904(US,A1)
【文献】国際公開第02/047939(WO,A1)
【文献】特開2004-217073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
A47C 17/80
B60P 3/38
B60P 3/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用姿勢において、車内の空間を下部空間と上部空間とに分ける車両用ベッドであって、
前記車両用ベッドは、左側ベッドと右側ベッドとに左右に2分割されていると共に、車体左右の壁面に対峙する前記車両用ベッドの側部がそれぞれ前記壁面に回動自在に軸着される回動ベッドとされ、
前記回動ベッドは、前記回動ベッドに取付けられる第1金具と、前記壁面に取付けられる第3金具と、前記第1金具と前記第3金具との間に介装され、前記第1金具と前記第3金具とを連結する第2金具と、を備え、
前記第1金具は、前記回動ベッドを使用姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更すると共に使用姿勢と格納姿勢とにおける姿勢維持するものであり、
前記第2金具は、前記第3金具に向け突出する係合部材を有しており、前記第3金具は、前記係合部材と係合する係合穴を少なくとも高さの異なる2カ所に有するものであり、
前記回動ベッドは、前記第1金具によって水平に張り出される使用姿勢と、前記壁面に沿って垂下される格納姿勢と、を取り得ると共に、前記第2金具と第3金具とによって前記壁面での軸着位置が高さ方向に少なくとも2段階に変位可能なことを特徴とする車両用ベッド。
【請求項2】
前記左側ベッドと前記右側ベッドは、さらに前後に少なくとも2分割され、その最後方の車両用ベッドが前記回動ベッドであることを特徴とする、請求項1に記載の車両用ベッド。
【請求項3】
前記係合部材は、軸部と、当該軸部の先端に前記軸部よりも大きい外径の膨径部を備え、
前記係合穴は、
上下方向に長く構成され、その
上端が前記膨径部は通過できる形状に形成されており、その
上端から
下端に向け連続する部分が前記軸部は通過できるが前記膨径部は通過できない形状に形成されており、
前記係合部材が前記係合穴の
上端に挿入される第1工程と、
前記係合部材が前記係合穴の
上端から
下端に移動する第2工程と、を取ることにより、
前記第2金具と前記第3金具が係合することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の車両用ベッド。
【請求項4】
前記左側ベッドと前記右側ベッドのうちの一方のベッドのみが配置されることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ベッドの技術に関し、特にベッドの使用姿勢においても大きな収納スペースを有する車両用ベッドの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のアウトドア志向の高まり伴い、車両用ベッドを有していてオートキャンプ場等の移動先においてそのまま車内で宿泊できるキャンピングカーが愛好されている。例えば、後部シートを倒した荷台フロアに、分割された複数のマットレスを敷き詰めてフルフラットな広いベッドが形成できる車両用ベッドが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された車両用ベッドでは、ベッドを使用しない時には、後部シートを起こし、その後方の荷台にマットレスを積み重ねて格納するようになっている。そのため、野外活動に必要なアウトドア用品は、マットレス等に占有された空間以外の車内空間に搭載されることになる。
【0004】
ところで、アウトドア用品としては、自転車などのように搬送時においても高さのあるものもあり、それらの品物もキャンピングカー搭載の要望がある。そこで、車両の壁面に対し回動自在となるようにベッドを取付け、回動することでベッドを使用姿勢又は格納姿勢に変更できるものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
特許文献2に記載された車両用ベッドを備えたキャンピングカーは、ベッドを車両の側面に沿った格納姿勢とすることで生まれる大きな積載空間に、高さのあるアウトドア用品を積み込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、キャンピングカーではベッドを使用姿勢にしたままでの移動も頻繁に行われる。しかし、特許文献2に記載された車両用ベッドは、使用姿勢のベッドを側面の回動支点を中心に上方に回動させ格納姿勢とするものであるので、使用姿勢のベッドの高さがベッドの幅寸法によって制限される。
図13は、上方格納と下方格納とにおける回動支点高さの相違を説明する図である。
図13(b)は、特許文献2に記載された上方に回動させ格納するベッド101では、使用姿勢のベッドの高さがHbに制限されることを説明している。
【0008】
そのため、特許文献2に記載された車両用ベッドでは、使用姿勢でのベッドの高さが制限され、使用姿勢のベッドの下部空間の収納スペースの高さを高くすることができない。すなわち、使用姿勢のベッドの下部空間に収納できるアウトドア用品の高さが制限されてしまう。
【0009】
一方、使用姿勢のベッドを側面の回動支点を中心に下方に回動させ格納するものであれば、使用姿勢のベッドの高さがベッドの幅寸法によって制限されない。
図13(a)は、下方に回動させ格納するベッド102では、使用姿勢のベッドの高さHaが制限されないことを説明している。
【0010】
整理すると、
図11において、使用姿勢のベッドの高さは、Ha>Hbとなる。すなわち、下方に回動させ格納させるベッドの方が、上方に回動させ格納させるベッドよりも、使用姿勢のベッドの位置を高くすることができる。
【0011】
また、特許文献2に記載された車両用ベッドでは、ベッドを格納姿勢にすると車両の側方のガラス窓がベッドによって塞がれ、運転時の視界が悪くなってしまうという問題もある。
【0012】
そこで本発明では、ベッドが使用姿勢であってもその下部空間に高さのある荷物をしまうスペースを有すると共に、ベッドが格納姿勢にある時にガラス窓を塞ぐことが無く運転視界が良好な車両用ベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明に係る車両用ベッドは、使用姿勢において、車内の空間を下部空間と上部空間とに分ける車両用ベッドであって、前記車両用ベッドは、左側ベッドと右側ベッドとに左右に2分割されていると共に、車体左右の壁面に対峙する前記車両用ベッドの側部がそれぞれ前記壁面に回動自在に軸着される回動ベッドとされ、前記回動ベッドは、前記回動ベッドに取付けられる第1金具と、前記壁面に取付けられる第3金具と、前記第1金具と前記第3金具との間に介装され、前記第1金具と前記第3金具とを連結する第2金具と、を備え、前記第1金具は、前記回動ベッドを使用姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更すると共に使用姿勢と格納姿勢とにおける姿勢維持するものであり、前記第2金具は、前記第3金具に向け突出する係合部材を有しており、前記第3金具は、前記係合部材と係合する係合穴を少なくとも高さの異なる2カ所に有するものであり、前記回動ベッドは、前記第1金具によって水平に張り出される使用姿勢と、前記壁面に沿って垂下される格納姿勢と、を取り得ると共に、前記第2金具と第3金具とによって前記壁面での軸着位置が高さ方向に少なくとも2段階に変位可能なことを特徴とする。
【0014】
第1の発明に係る車両用ベッドは、使用姿勢のベッドの高さがベッドの幅寸法によって制限されないので、使用姿勢のベッドの位置を高くすることができる。そのため、ベッドが使用姿勢であってもその下部空間に高さのある荷物をしまうスペースを有する。また、ベッドが格納姿勢にある時にガラス窓を塞ぐことが無いので運転時の視界が良好となる。
また、第1の発明に係る車両用ベッドは、壁面での軸着位置が高さ方向に少なくとも2段階に変位可能な前記回動ベッドであるので、荷物の高さに応じて使用姿勢における回動ベッドの高さを変更することができる。
さらに、第1の発明に係る車両用ベッドは、回動ベッドが、第1金具~第3金具の3つの金具を用いたので、それぞれの金具に必要とする機能を分担させることができる。すなわち、第1金具は、回動ベッドを使用姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更可能とすると共に使用姿勢と格納姿勢とにおける姿勢維持可能とするものとしたので、同機能を有する市販品を使用することができる。また、第2金具は、第3金具に対し少なくとも高さの異なる2カ所に取付け可能なものとしたので、高さ方向が変更できるようになる。
【0015】
第2の発明に係る車両用ベッドは、前記左側ベッドと前記右側ベッドがさらに前後に少なくとも2分割され、その最後方の車両用ベッドが前記回動ベッドであることを特徴とする。
【0016】
第2の発明に係る車両用ベッドは、前記左側ベッドと前記右側ベッドが前後に少なくとも2分割され、その最後方のベッドが前記回動ベッドであるので、使用姿勢の最後方のベッドの位置を高くすることができる。そのため、車両後方の扉を開けることにより、高さのある荷物をしまうことが可能となる。また、最後方のベッド以外のベッドには、回動ベッド以外のベッドも使用することができる。
【0021】
第3の発明に係る車両用ベッドは、前記係合部材は、軸部と、当該軸部の先端に前記軸部よりも大きい外径の膨径部を備え、前記係合穴は、上下方向に長く構成され、その上端が前記膨径部は通過できる形状に形成されており、その上端から下端に向け連続する部分が前記軸部は通過できるが前記膨径部は通過できない形状に形成されており、前記係合部材が前記係合穴の上端に挿入される第1工程と、前記係合部材が前記係合穴の上端から下端に移動する第2工程と、を取ることにより、前記第2金具と前記第3金具が係合することを特徴とする。
【0022】
第3の発明に係る車両用ベッドは、第2金具に備える係合部材及び第3金具に備える係合穴は、共に比較的簡単な形状であるので、容易に製作することができる。また、係合部材が係合穴の上端に挿入される第1工程と、係合部材が係合穴の上端から下端に移動する第2工程と、を取ることにより、第2金具と第3金具が係合するようにしたので、2つの工程を経るだけの簡単な操作によってしっかりと係合することができる。
【0025】
第4の発明に係る車両用ベッドは、前記左側ベッドと前記右側ベッドのうちの一方のベッドのみが配置されることを特徴とする。
【0026】
第4の発明に係る車両用ベッドは、左側ベッドと右側ベッドのうちの一方のベッドのみが配置されることで、車両用ベッドに必要な部品点数を少なくすることができる。また、ベッド数が少なくても良いというユーザーの要望に応えることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車両用ベッドは、使用姿勢のベッドの位置を高くすることができるため、ベッドの下部空間に高さのある荷物をしまうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ベッドの全体構成を説明する図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ベッドを車両の上方から見た図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ベッドを車両の後方から見た図である。
【
図5】第2金具と第3金具とを係合する第1係合部と第2係合部を説明する図である。
【
図7】右後ろベッドの姿勢変更及び高さ変更について説明する図である。
【
図8】右後ろベッドと左後ろベッドが共に格納姿勢にある車両を示している。
【
図9】右後ろベッドと左後ろベッドが共に高い位置での使用姿勢にある車両を示している。
【
図10】左中ベッドに対しヒンジを中心として左前ベッドを下方に向け斜めとなるよう回動させた乗降姿勢を示した図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ベッド80を車両2の後方から見た図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ベッド80が格納姿勢にある状態を示す図である。
【
図13】上方格納と下方格納とにおける回動支点高さの相違を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第1の実施の形態
(全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ベッド1の全体構成を説明する図である。
図1では、車両2を側方から見ている。車両2の車内3には、使用姿勢の車両用ベッド1が示されている。使用姿勢における車両用ベッド1は、車内3の空間を下部空間4と上部空間5とに分けている。
【0030】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ベッド1を車両2の上方から見た図である。車両用ベッド1は、左側ベッド6と右側ベッド7とに左右に2分割されている。
図2に示されているように、さらに左側ベッド6は、左前ベッド10、左中ベッド11及び左後ろベッド12に前後に3分割されている。また、右側ベッド7は、右前ベッド13及び右後ろベッド14に前後に2分割されている。本実施の形態では、車両用ベッド1の左側ベッド6及び右側ベッド7について前後に2つ又は3つに分割された例を説明する。なお、左側ベッド6及び右側ベッド7は、それぞれが前後に分割されたものでなく、一体のものであってもよい。さらに、一つのベッドの基本構成は、長方形の木製の板とその周囲を取り囲む金属製のアングル材からなる基部と、基部の上に貼り合わされるマット部とから構成されている。基部には、後述する金具が取付けられる。
【0031】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ベッド1を車両2の後方から見た図である。左後ろベッド12は、車両2の左の壁面15に対峙する左後ろベッド12の側部が壁面15に回動自在に軸着される回動ベッドとされている。同様に、右後ろベッド14は、車両2の右の壁面15に対峙する右後ろベッド14の側部が壁面15に回動自在に軸着される回動ベッドとされている。
図3に示した車両用ベッド1は、左後ろベッド12と右後ろベッド14が水平に張り出された使用姿勢となっている。
【0032】
(金具の構成)
図4は
図3のA部詳細斜視図であって、右後ろベッド14(回動ベッド)と壁面15との間に介装される金具類を説明する図である。右後ろベッド14(回動ベッド)には、第1金具20が取付けられている。第1金具20は、右後ろベッド14(回動ベッド)を使用姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更可能とすると共に、使用姿勢と格納姿勢における姿勢維持をも可能とするものである。
【0033】
第1金具20は、ベッド14の下面に対し固定される第1部材21と、軸22によって第1部材21に対して回転自在に連結される第2部材23と、第1部材21と第2部材23との間に介装される第3部材24とから構成される。第3部材24の一端は、軸25によって第2部材23に対して回転自在となっている。また第3部材24の他端は、軸26によって、第1部材21のスリット27をスライド自在かつ回転自在となっている。さらに、第3部材24の他端の軸26は、図示しない固定機構によってスリット27の両端で固定できるようになっている。
【0034】
第1金具20は、上述した構成と機能を持つものであって、鋼、ステンレスなどの板材を曲げ加工及び機械加工したのち、鋼、ステンレスなどの軸によって組み立てられている。さらに、第3部材24の他端の軸26の固定機構には図示しない鋼、ステンレスなどを素材とするバネも使用されている。そして、第1金具20は、右後ろベッド14(回動ベッド)の使用姿勢において負荷される、人の体重に対して十分な強度と剛性を備えるものである。第1金具20は、上述した機能と強度等を備える市販品を使用してもよい。
【0035】
図4に示すように、第3金具30は長尺なフラットバー形状の部材であって、壁面15(
図3参照)に対し、上下に長い姿勢で取付けられる。第3金具30には、複数の段付きのボルト穴が設けられており、そのボルト穴に複数の六角穴付きボルト31が貫通され壁面15に設けられたネジ穴に螺合されることで、第3金具30が壁面15に固定される。
【0036】
図4に示した第2金具40は、第1金具20と第3金具30との間に介装され、第1金具20と第3金具30とを連結する。第2金具40は、第3金具30に対し高さの異なる2カ所に固定可能となっている。
図4に示すように、第2金具40には、第1金具20の第2部材23が図示しないボルト等によって固定されている。
【0037】
図5は、第2金具40と第3金具30とを係合する第1係合部50と第2係合部60とを説明する図である。
図5に示されるように、第1係合部50と第2係合部60とは、上下に分かれて配置されている。まず、下に配置されている第1係合部50についてその構成を説明する。
【0038】
第1係合部50では、第2金具40は第3金具30に向け突出する係合部材51を有している。また、第1係合部50として、第3金具30には係合部材51と係合する上下に長い係合穴52を有している。係合部材51は、直径がφd1の軸部53と、軸部53の先端に軸部53よりも大きい外径φd2の膨径部54を有している。
【0039】
図6は、
図5のA-A矢視図であって、係合穴52を説明するものである。係合穴52の一端(上端)は、係合部材51の膨径部54が通過できる寸法φD2に形成されている。係合穴52の他端(下端)に向けて連続する部分は、係合部材51の軸部53が通過できるが、膨径部54は通過できない幅寸法D1に形成されている。第3金具30の係合穴52の他端(下端)に向けて連続する部分の裏側には、係合穴52と同じ幅D2で、高さH2の拡張部55が形成されている。係合穴52の高さH2は、係合部材51の膨径部54の高さH1に対し、H2>H1の関係となっている。それにより、拡張部55には、係合部材51の膨径部54が収まるようになっている。係合穴52は、フライス盤等により機械加工されることで形成される。
【0040】
第3金具30は、幅W×厚さTの形鋼が使用されている。その材質は、鋼、ステンレス、アルミニュウム等が使用される。また、第2金具40も幅W×厚さTの形鋼が使用されている。同様にその材質は、鋼、ステンレス、アルミニュウム等が使用される。
【0041】
第2係合部60は、第1係合部50と基本的に同じ構成となっている。第1係合部50の係合部材51が第2金具40に固定されていたのに対し、第2係合部60の係合部材61の軸部63は、第2金具40の穴62に対し厚さ方向に移動可能に構成されている。軸部63の端部側には雄ネジ65が切られており、手回しナット64の雌ネジ66と螺合している。この構成により、手回しナット64を回転させることで、係合部材61の膨径部54を第2金具40に対し接近又は離隔させることが可能となっている。
【0042】
第2金具40と第3金具30との係合は以下の工程を経ることにより行われる。
(第1工程)
図5に示す第2金具40が第3金具30に対し接近(左方に移動)することで、第2金具40の係合部材51と係合部材61が、第3金具30の係合穴52、52の一端(上部)に挿入される。
(第2工程)
図5に示す第2金具40が第3金具30に対し長手方向に平行移動(下方に移動)することで、第2金具40の係合部材51と係合部材61が、第3金具30の係合穴52、52の一端(上部)から他端(下部)に移動する。これにより、第2金具40と第3金具30が係合される。
さらに、第2係合部60の手回しナット64が回され、係合部材61の膨径部54が第2金具40側に移動することで、第2係合部60では第2金具40と第3金具30が強く密着される。これにより、第2金具40と第3金具30との係合が完了する。第2金具40と第3金具30とは強く係合しているので、車両2の走行中に発生する上下方向の加速度によっても、係合が解除される恐れはない。
【0043】
第3金具30には、
図5には図示しないもう一組の係合穴52が設けられている。第2金具40は、第3金具30に対し高さの異なる位置の係合穴52を選択しての取付けが可能である。したがって、第3金具30に対し第2金具40を高さ方向に2段階に変位可能となる。なお、第3金具30の係合穴52の個数を増やすことにより、選択し得る高さ位置を増やすことが可能である。
【0044】
(作用)
本発明の実施の形態に係る車両用ベッド1の作用について、
図7を用いて以下に説明する。
図7は、右後ろベッド14の姿勢変更及び高さ変更について説明する図である。
【0045】
実線で表している右後ろベッド14は、低い位置での使用姿勢となっている。使用姿勢では、第1金具20の姿勢維持機能により、使用姿勢が保たれている。使用姿勢において、右後ろベッド14に人の体重が作用しても十分な強度と剛性が保たれている。なお、さらに強度と剛性を高めるために、右後ろベッド14と床面との間に支持棒を配置しても良い。この状態から、第1金具20の姿勢維持機能を解除して、矢印70に示されるように第1金具20を中心として下方に回動させ、二点鎖線で表される格納姿勢の右後ろベッド14aの状態となるように垂下させる。格納姿勢においても、右後ろベッド14aは、第1金具20の姿勢維持機能により垂下姿勢が維持される。
【0046】
右後ろベッド14を再度使用する場合は、第1金具20の姿勢維持機能を解除してから、矢印70に示されるように第1金具20を中心として上方に回動させ、実線で表される使用姿勢の右後ろベッド14とすればよい。
【0047】
図7に示している、低い位置での使用姿勢にある右後ろベッド14(実線)は、以下の手順で高い位置での使用姿勢にある右後ろベッド14b(二点鎖線)に変更する。まず、手回しナット64を緩める。すると、第3金具30に対して、第2金具40を係合解除可能となる(
図5参照)。次に、
図5で説明した第1工程、第2工程を反対の手順で行うことにより、第2金具40と第3金具30との係合を解除する。すなわち、右後ろベッド14の重量を手で支えながら、第3金具30に対し第2金具40を上方に移動し(第2工程の反対工程)、次いで第3金具30に対し第2金具40を離れる方向に移動する(第1工程の反対工程)。
【0048】
図7の矢印71が示す方向に、
図5で説明した第3金具30に設けられているもう一対の係合穴52、52に第2金具40の係合部材51、61が係合できる位置まで右後ろベッド14を上方に移動させる。次に、
図5に示した第1工程、第2工程を経ることにより、第2金具40を第3金具30に係合させる。手回しナット64を回すことにより、第2金具40を第3金具30に対ししっかりと固定する。上方の使用位置から下方の使用位置に戻す場合は、上述した操作の逆の操作を行えばよい。以上は、使用姿勢にある右後ろベッド14を使用姿勢のまま上下に移動させる場合を説明したが、格納姿勢にある右後ろベッド14aを格納姿勢のまま上下に移動させることも可能である。
【0049】
なお、2点鎖線で示した上方の使用姿勢にある右後ろベッド14bを、その高さにおいて格納姿勢にすることが可能であることはもちろんである。また、左後ろベッド12(
図3参照)も、上述した右後ろベッド14と全く同じ作用を有することももちろんである。
【0050】
図8は、右後ろベッド14と左後ろベッド12が共に格納姿勢にある車両2を示している。
図8に示されるように、格納姿勢においては車内3の空間全体が大きく使える状態となる。すなわち、車両2の普段使い(キャンピングカーとしての使用でない)での使い勝手が非常に良いものとなる。また、右後ろベッド14と左後ろベッド12が格納姿勢にある時にガラス窓を塞ぐことが無いので運転時の視界が良好である。
【0051】
図9は、右後ろベッド14と左後ろベッド12が共に高い位置での使用姿勢にある車両2を示している。使用姿勢の右後ろベッド14と左後ろベッド12によってより大きな下部空間4が形成されている。そのため、下部空間4には自転車76が立てた状態で収納できる。このように、本実施の形態の車両用ベッド1によれば、車両用ベッド1が使用姿勢にあっても、下部空間4の高さをより大きく取ることができる。そのため、車両用ベッド1を使用姿勢にしたまま、より背の高いアウトドア用品を積んで移動することができる。
【0052】
なお、右後ろベッド14と左後ろベッド12うち、一方のみ高い位置での使用姿勢とし、他方は低い位置での使用姿勢とすることも可能である。また、
図9に示した右後ろベッド14と左後ろベッド12の使用姿勢において、下部空間4の床面にマットレスを敷くことで、当該部分もベッドとして使用することが可能である。それにより、車内3で宿泊できる人数を多くすることができる。
【0053】
図1、
図2及び
図3に示された車両用ベッド1について、さらに説明する。
図1に示されるように、左後ろベッド12(右後ろベッド14)に対して2組の第3金具30、第2金具40が使用されている。2組の第3金具30、第2金具40を使用することで、壁面15に対して左後ろベッド12(右後ろベッド14)を安定した状態で取り付けることができる。
【0054】
図2に示されるように、右前ベッド13の後端部は、右後ろベッド14の前端部と図示しない金具によって連結されている。ドライバーズシート77は、シートクッション78に対しシートバック72がやや後方に倒されている。さらに、ヘッドレストが取り外され、当該部分には右前ベッド13を支持するための部材が配置されている。右前ベッド13の中央部は、シートバック72の上端の支持部材によって支持されている。
【0055】
図1と
図2に示されるように、左中ベッド11の後端部は、左後ろベッド12の前端部と図示しない金具によって連結されている。
図1に示すように、左中ベッド11の前端部の下面と床面74との間には支持棒73が介装されている。これにより、左中ベッド11は人の体重を支持することができる。
【0056】
図1に示すように、左中ベッド11先端と左前ベッド10後端との間にはヒンジ75が介装されている。ヒンジ75を中心として左前ベッド10は左中ベッド11に対し上下に回動することができる。また、ヒンジ75は、回動角度維持機能を有しており、左前ベッド10の先端を、その時の角度で維持する機能を有している。
【0057】
図10は、左中ベッド11に対しヒンジ75を中心として矢印79に示す方向に、左前ベッド10を30度下方に向け回動させた乗降姿勢を示している。この傾斜した乗降姿勢の左前ベッド10aはその姿勢を維持されるので、左前ベッド10aを通ることにより車両用ベッド1への乗降が容易となる。また、左前ベッド10は、ヒンジ75の真下に垂下した状態の左前ベッド10bの姿勢も取ることができる。なお、左前ベッド10は、ヒンジ75を中心として左前ベッド10aを引き上げ、
図1に示した水平姿勢に戻し、再度その姿勢を維持することができる。
【0058】
第2の実施の形態
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る車両用ベッド80を車両2の後方から見た図である。
図1~
図3で示した第1の実施の形態に係る車両用ベッド1では、左側ベッド6と右側ベッド7とを備えており、最後方には左後ろベッド12と右後ろベッド14とを備えていたのに対し、第2の実施の形態に係る車両用ベッド80は、左側ベッド6のみ備えており、最後方には左後ろベッド12のみ備えている。
図11には、使用姿勢の左後ろベッド12が示されている。
図12は、格納姿勢の左後ろベッド12を示している。なお、左側ベッド6に代えて右側ベッド7を備えるようにしても良いことはもちろんである。
【0059】
本発明の第2の実施の形態に係る車両用ベッド80では、左側ベッド6と右側ベッド7のうちの一方のベッドのみが配置されることで、車両用ベッドに必要な部品点数を少なくすることができる。また、ベッド数が少なくても良いというユーザーの要望に応えることができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0061】
1 車両用ベッド
2 車両
3 車内
4 下部空間
5 上部空間
6 左側ベッド
7 右側ベッド
10 左前ベッド
11 左中ベッド
12 左後ろベッド(回動ベッド)
13 右前ベッド
14 右後ろベッド(回動ベッド)
15 壁面
20 第1金具
30 第3金具
40 第2金具
51 係合部材
52 係合穴
53 軸部
54 膨径部
80 車両用ベッド