(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】調理用具立て
(51)【国際特許分類】
A47J 47/16 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
A47J47/16 G
A47J47/16 B
(21)【出願番号】P 2018158375
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2018017092
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500529838
【氏名又は名称】ハセガワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【氏名又は名称】芳野 理之
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 ▲禎▼一
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-085689(JP,U)
【文献】特開2002-087486(JP,A)
【文献】特開昭58-050912(JP,A)
【文献】実開平01-080068(JP,U)
【文献】実開昭62-020575(JP,U)
【文献】実開昭59-013479(JP,U)
【文献】特開2005-231856(JP,A)
【文献】実開平03-048564(JP,U)
【文献】実開昭53-039675(JP,U)
【文献】実開平06-041644(JP,U)
【文献】実開平05-082368(JP,U)
【文献】実開昭60-083547(JP,U)
【文献】実開昭61-035650(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0367055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 47/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理用具が挿入される挿入空間を有する胴部、及び前記胴部の下側を塞ぐ底部を有する容器本体と、
前記挿入空間に対して収容可能であり、前記調理用具が置かれる台部と、
前記台部の上面に配置され、前記挿入空間を分割するように立てられる仕切り板と、
を備え、
前記仕切り板は、幅方向の両端部が前記胴部の内壁に略接するように立てられ、
前記胴部は、水平断面が略円形状あり、その下側の内径が前記底部に向かうに従って小さくなる窄み部を有し、
前記台部は略円形状の板であり、その外径が前記窄み部の内径に比べて大きく、前記底部との間に貯留空間を形成するように前記内壁及び/又は前記底部に支持され
、
前記台部と前記仕切り板とは分離可能であり、
前記仕切り板は前記台部に対して略平行に載置される基部と、この基部から立設して前記挿入空間を仕切る壁部とからなる
ことを特徴とする調理用具立て。
【請求項2】
前記仕切り板は、複数の異なる方向に向けられた板で構成され、前記挿入空間を互いに容積の異なる複数の空間に分割していることを特徴とする請求項1に記載の調理用具立て。
【請求項3】
前記仕切り板は、前記壁部が
前記基部に対する垂直方向の成分を有する方向に沿って折り曲げられた折曲げ部を有し、
前記折曲げ部を境にした一方の前記壁部と他方の前記壁部とは、前記仕切り板が前記胴部に挿入された状態で、前記折曲げ部を軸に互いに離間して前記内壁に押し付ける付勢力を発揮することを特徴とする
請求項1又は2に記載の調理用具立て。
【請求項4】
前記仕切り板は、前記壁部が
前記基部に対する垂直方向の成分を有する方向に沿って折曲げられた折曲げ部を有し、この折曲げ部を境にして一方の仕切り板と他方の仕切り板とを有しており、
前記一方の仕切り板の端部および前記他方の仕切り板の端部が前記内壁に略接した状態において、前記折曲げ部は前記内壁に略接しており、
前記基部は、前記一方の仕切り板と前記他方の仕切り板との間には形成されていないことを特徴とする
請求項1又は2に記載の調理用具立て。
【請求項5】
前記仕切り板は、互いに分離した第1仕切り板と第2仕切り板とを有し、
前記第1仕切り板の幅寸法は、前記窄み部より上の領域の前記内壁の内径に比べて小さく、
前記第2仕切り板は、前記第1仕切り板で分割された空間のうち、大きな空間に配置され、前記大きな空間を複数の空間に分割していることを特徴とする請求項1又は2に記載の調理用具立て。
【請求項6】
前記仕切り板は、互いに分離した第1仕切り板と第2仕切り板とを有し、
前記第1仕切り板の幅寸法は、前記窄み部より上の領域の前記内壁の内径に比べて小さく、
前記第2仕切り板は、前記第1仕切り板で分割された空間のうち、大きな空間に配置され、前記大きな空間を複数の空間に分割していることを特徴とする
請求項3に記載の調理用具立て。
【請求項7】
前記第2仕切り板
は、前記折曲げ部を境にして前記一方の壁部及び前記他方の壁部を有しており、
前記一方の壁部が前記第1仕切り板の前記壁部に密着可能であり、前記他方の壁部が前記第1仕切り板の前記壁部から離間して前記内壁に略接するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の調理用具立て。
【請求項8】
前記台部は、その外周の端部に切り欠き部を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の調理用具立て。
【請求項9】
前記台部は、厚み方向に貫通した貫通孔を有し、この貫通孔の少なくとも1つは指を挿入可能な形状とされていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の調理用具立て。
【請求項10】
前記内壁は、前記窄み部より上側の内径が上方に向って拡径するテーパ状の傾斜面とされ、
前記仕切り板は、その幅方向の寸法が上方に向って拡幅し、前記テーパ状と略同じ角度となるテーパ状となるように、幅方向の両端部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の調理用具立て。
【請求項11】
前記台部は、その下面から前記底部へ向けて突出する脚部を備え、前記底部との間に前記貯留空間を形成するように前記脚部を介して前記底部に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の調理用具立て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品調理時に使用される調理用具立てに関する。
【背景技術】
【0002】
調理中において、御玉杓子やしゃもじ等の調理用具の一時仮置きとして、従来から調理用具立てが用いられている。特許文献1はその例であり、その
図1に示されるように、上側が開口部3、下側が底部とされた円筒体の容器であり、開口部3から御玉杓子を挿入して載置することができる。
【0003】
なお、調理時における調理用具の一時仮置きである調理用具立てではないが、洗浄した食器類等の水を切る道具として、特許文献2に示される水切り器がある。この水切り器は、第1図に示されるように、複数の孔が開いた底板4の上に接続された仕切り板3と、この仕切り板3を収容する容器本体Aとを有している。容器本体Aの内壁の下側には段部5が形成されており、この段部5の上に底板4が置かれることで、底板4と容器本体Aの内側底部との間に空間が形成されている。これにより、洗浄した食器類等に付着した液体を底板4の孔から落下させ、底板4と容器本体Aの内側底部との間の空間に該液体を落すことができ、底板4の上に載置した食器類等に液体が再度付着することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-125958号公報
【文献】実開昭63-136547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発明者が調理場を観察したところ、特に事業として行われている調理場の厨房では、例えばガス台などで複数の調理を行うための調理具や、1つの調理に複数の調理具を使用するなど種々の調理用具が用いられている。これら調理用具の仮置き台を調理器回りの限られたスペースに複数置くことは作業性の面からも嫌がられ、特許文献1のような調理用具立てがあっても、そこに例えばレードルを置いた場合、他の箸・ヘラ・泡だて器等の調理用具は同じ調理用具立てには置かずに、調理台の上等に載置している光景がみられた。その理由としては、同じスタンドに種類の異なる調理用具を同時に置くと、調理用具に付着した調味料や調理品等が他の調理用具に移ってしまうからであることが分かった。
【0006】
この点、特許文献2の水切り器は調理用具立てではないが、これを調理用具立てにも利用できると発明者は考えた。即ち、この水切り器の構成では、仕切り板3を境にした2つの空間に種類の異なる調理用具を入れることが可能である。そして、調理用具に付着した調味料等は底板4の孔を通って、底板4と容器本体Aの内側底部との間の空間に溜めることができ、一方の空間に入れた調理用具の調味料等が他方の空間に入れた調理用具に移ることを防ぐことができる。
しかし、特許文献2のように容器本体Aに段部5があると、容器本体Aの内側底部を洗浄することが難しくなる。水切り器であれば、頻繁に洗浄するようなことを考えなくてもよいが、調理中の一時仮置きのために用いられる調理用具立てでは、所定の調理が終る毎に洗浄する必要がある。特に事業として行われている調理場では頻繁な洗浄が必要であるため、このような段部5の存在は煩わしく、また、このことが洗い残しの原因となって、衛生上好ましくない事態を招く恐れもある。
【0007】
本発明は、この様な実情に鑑みてなされたものであり、調理器回りの限られたスペースに設置可能で、味が移ることなく種類の異なる複数の調理用具を立てることができ、かつ、洗浄が容易な調理用具立てを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明によれば、調理用具が挿入される挿入空間を有する胴部、及び前記胴部の下側を塞ぐ底部を有する容器本体と、前記挿入空間に対して収容可能であり、前記調理用具が置かれる台部と、前記台部の上面に配置され、前記挿入空間を分割するように立てられる仕切り板と、を備え、前記仕切り板は、幅方向の両端部が前記胴部の内壁に略接するように立てられ、前記胴部は、水平断面が略円形状であり、その下側の内径が前記底部に向かうに従って小さくなる窄み部を有し、前記台部は略円形状の板であり、その外径が前記窄み部の内径に比べて大きく、前記底部との間に貯留空間を形成するように前記内壁及び/又は前記底部に支持され、前記台部と前記仕切り板とは分離可能であり、前記仕切り板は前記台部に対して略平行に載置される基部と、この基部から立設して前記挿入空間を仕切る壁部とからなる調理用具立てにより解決される。
【0009】
この構成によれば、調理用具が挿入される挿入空間を有する胴部、及び胴部の下側を塞ぐ底部を有する容器本体と、挿入空間に対して収容可能であり、調理用具が置かれる台部と、台部の上面に配置され、挿入空間を分割するように立てて挿入される仕切り板と、を備えている。従って、置き場所に合わせてコンパクトな限られた容量の容器本体であっても、仕切り板で分割された異なる空間に、種類の異なる調理用具を整理して挿入できる。これによって、調理器回りの限られたスペースに調理用具を設置可能で、調理時に必要な複数の調理用具を、衛生的に能率よく使用することができるようになる。そして、仕切り板は、挿入空間に収容された状態では、幅方向の両端部(幅方向の両側の端部であり、以下、同様)が胴部の内壁に略接するように立てられている。従って、一方の空間に挿入された調理用具に付着した調味料等が、他方の空間に挿入された調理用具に移ることを有効に防止される。
【0010】
ところで、仕切り板を胴部に挿入し易くするため、胴部内壁の内径に比べて、仕切り板の幅寸法をごく僅かに小さくしても構わない。或いは、胴部について、内径が上に向って拡径するのに対して、仕切り板の幅寸法を上から下まで変えないようにしても構わない。これらの場合、仕切り板と胴部内壁との間には多少の隙間が生じる。上記「略接する」とは、このような仕切り板と胴部内壁との間に多少の隙間が生じて、仕切り板が多少、胴部内で所謂がたつくような状態を含むものである(以下、特段の言及がない限り同様)。なお、調理用具に付着した調味料は下に落ち易いことから、後述する窄み部に近い領域の胴部内壁と仕切り板の幅方向の両端部とは接することが好ましい。
【0011】
ここで、胴部は水平断面が略円形状であり、その下側の内径が底部に向かうに従って小さくなる窄み部を有し、台部は略円形状の板であり、その外径が窄み部の内径に比べて大きくなっている。このため、台部は胴部の内側に収容されると、台部よりも内径が小さい内壁の部分及び/又は底部に支持されて止まり、台部と容器本体の内側底面との間に空間を形成することができる。従って、もし、調理用具に調味料等の液体が付着していても、この空間に調理用具に付着した調味料等を落下させることができる。そして、胴部の内壁の全周には台部を支えるための段部などは存在せず、滑らかな曲線状に窄んでいく内壁が全周に形成されているだけなので、極めて容易な洗浄が可能であり衛生性が保てるうえ、複雑な加工も必要とせず製造コストも低減できる。
【0012】
そして、上記構成によれば、前記台部と前記仕切り板とは分離可能であり、前記仕切り板は前記台部に対して略平行に載置される基部と、この基部から立設して前記挿入空間を仕切る壁部とからなる。
そうすると、台部と仕切り板とが接続固定されていると、台部と仕切り板との境目付近に付着した調味料等を洗浄し難くなるが、本構成では台部と仕切り板とを分離して、少なくとも台部と仕切り板との境目付近や、台部と仕切り板の個々を容易に洗浄できる。また、このように台部と仕切り板とを分離可能にしても、仕切り板には台部と略平行に載置される基部があるため、比較的安定して台部に載置することができる。
【0013】
なお、前記仕切り板には、立設する壁部を中心にしてその両面方向に必ずしも基部を設ける必要はなく、壁部の少なくとも一方の面側に台部と略平行な基部を設ければよく、仕切り板は板状体の縦断面がL字状に曲げられて基部から立設した壁部とするのが好ましく、壁部の両面方向に基部を設ける場合と比較して製造コストを低減できる。
この際、この台部の上に置かれる基部は、その端部(全周縁部)が胴部の内壁に接するまで拡幅しているのが好ましい。これによって「胴部内壁」「胴部の内壁にまで接する基部」「基部から立設する壁部の一方の面側」で仕切られた空間は、3面で囲まれて他の空間と画された独立空間となる。従って、この独立空間に挿入された調理用具に付着した調味料等は他の空間へ移ることが防止される。
【0014】
さらに、前記壁部の、基部が形成されない他方の面側では、壁部と胴部内壁とで仕切られる空間の下部に台部が存在するため、同じく3面で囲まれた独立空間が形成されて、この空間の調理用具に付着した調味料等は他の空間へ移ることが防止される。
従って、仕切られる複数の空間のうち、基部が形成されない空間を1箇所以下とすることで、台部が他の空間と共用されることがなくなり、全ての空間が3方向から囲まれた独立した空間となり、調味料等が移ることを有効に防止できる。
【0015】
なお、本発明では、台部には厚み方向に貫通した孔がなくても構わない。水切り器に比べれば大量の液体が調理用具から落下するわけではなく、調理用具に付着した調味料等は仕切り板で他の調理用具に移ることは有効に防止されるからである。特に箸のように細い調理用具を挿入する領域では有効である。また、台部と容器本体の内壁との間の隙間や、例えば台部の外周に別途形成された切り欠き部から液体を容器本体の内側底面に落すこともできる。
【0016】
但し、台部に貫通孔を形成しても構わない。この場合、例えば、箸のように細い調理用具を挿入する領域ではこれより小さい内径の貫通孔とするのが好ましい。また、このような細い調理用具を挿入する領域以外の台部に対しては、比較的大きな内径を有する貫通孔を形成するとよい。これにより、貫通孔から液体を積極的に落とすことができ、また、該貫通孔部分の洗浄も容易となる。
【0017】
また、好ましくは、前記仕切り板は、複数の異なる方向に向けられた板で構成され、前記挿入空間を互いに容積の異なる複数の空間に分割していることを特徴とする。
そうすると、仕切り板は複数の挿入空間を等分に分割するのではなく、複数の異なる方向に向けられた板材で、挿入空間を互いに大きさの異なる複数の空間に分割するため、異なる種類の調理用具に対応した種々の空間を形成できる。例えば、杓文字等のように厚さは薄いが幅が必要な調理用具に好ましい空間、卵型の先端部を有する泡だて器等のように直径の大きな厚みを必要とする調理用具に好ましい空間、箸等のように余り空間を必要としない調理用具に好ましい空間など、挿入空間を有効に分割することができる。このように、調理器回りの限られたスペースに設置可能で、限られた容量の容器本体に、味が移ることなく、種類の異なる複数の調理用具を収容可能となるため、衛生的で能率的な調理を可能にできる。
【0018】
また、好ましくは、前記仕切り板は、前記壁部が前記基部に対する垂直方向の成分を有する方向に沿って折り曲げられた折曲げ部を有し、前記折曲げ部を境にした一方の前記壁部と他方の前記壁部とは、前記仕切り板が前記胴部に挿入された状態で、前記折曲げ部を軸に互いに離間して前記内壁に押し付ける付勢力を発揮することを特徴とする。
折曲げられた仕切り板は、容器本体に挿入された状態で、折曲げ部を境にした一方の仕切り板と他方の仕切り板が互いに離間する方向に付勢力を発揮させることが可能となる。そうすると、この場合には、一方及び他方の仕切り板(壁部の端部と基部の端部)を胴部の内壁に押し付けて、該仕切り板と内壁との間を通って付着物が分割した複数の空間どうしの間を移行する事態をより防止でき、確実に調味料等の他の空間への移行を防止できる。更に、胴部内壁と仕切り板とのがたつきを防止して、調理用具を投げ入れた際に仕切り板が容器本体中で回転移動することを抑制でき、仕切り板の安定性を向上することもできる。
【0019】
また、好ましくは、前記仕切り板は、前記壁部が前記基部に対する垂直方向の成分を有する方向に沿って折曲げられた折曲げ部を有し、この折曲げ部を境にして一方の仕切り板と他方の仕切り板とを有しており、前記一方の仕切り板の端部および前記他方の仕切り板の端部が前記内壁に略接した状態において、前記折曲げ部は前記内壁に略接しており、前記基部は、前記一方の仕切り板と前記他方の仕切り板との間には形成されていないことを特徴とする。
そうすると、この壁部が折曲げられた仕切り板を容器本体に挿入すれば、一方の仕切り板と他方の仕切り板の端部、および折曲げ部が、それぞれ内壁に略接するため、容器本体の挿入空間を容易に3つの空間に仕切ることができる。
【0020】
また、基部は一方の仕切り板と他方の仕切り板とで挟まれた空間には形成されないため、一方の仕切り板と他方の仕切り板と胴部に挟まれた空間(中間空間)については、一方及び他方の仕切り板と胴部内壁と台部で空間を画すことができる。また、一方の仕切り板の上記中間空間とは反対側の面と胴部との間の空間(一方の空間)については、一方の仕切り板、胴部内壁、及び基部により空間を画すことができる。また、他方の仕切り板の上記中間空間とは反対側の面と胴部との間の空間(他方の空間)については、他方の仕切り板、胴部内壁、及び基部により空間を画すことができる。そして、基部は台部の上にあり、この基部を拡幅して胴部内壁に接触させることで、中間空間にある調味料等は基部の下に回り込んだとしても、一方及び他方の空間への侵入を防止できる。
【0021】
また、一方及び他方の空間にある調味料等は、基部の端部が胴部内壁に接触しているため、基部の下に回り込むことを有効に防止できる。従って、一方の空間と他方の空間と中間空間の独立性を高めることができる。
かくして、仕切り板を容器本体に挿入すれば、これら独立性の高い3つの空間(中間空間、一方の空間、他方の空間)を容易に形成し、各空間に挿入された調理用具に付着した調味料等が互いに他の空間へ移ることを有効に防止する。
しかも、このように形成された仕切り板は台部と分離しているため、洗浄が容易であるばかりでなく、板状体の単なる曲げ加工だけで成形できるので製造コストを低減できる。
【0022】
さらに、このように折曲げられた仕切り板は、容器本体に挿入された状態で、折曲げ部を境にした一方の仕切り板と他方の仕切り板が互いに離間する方向に付勢力を発揮させることが可能となる。そうすると、この場合には、一方及び他方の仕切り板(壁部の端部と基部の端部)を胴部の内壁に押し付けて、該仕切り板と内壁との間を通って付着物が分割した複数の空間どうしの間を移行する事態をより防止でき、確実に調味料等の他の空間への移行を防止できる。更に、調理用具を投げ入れた際に仕切り板が容器本体中で回転移動することを抑制でき、仕切り板の安定性を向上することもできる。
また、このように付勢力を発揮させると、仕切り板を容器本体に挿入する際は、上記付勢力に抗して一方の仕切り板と他方の仕切り板とを接近させて挿入する必要があるが、この際、基部は一方の仕切り板と他方の仕切り板との間には形成されていないので、基部が該接近させる作業を邪魔することがない。
【0023】
また、好ましくは、前記仕切り板は、互いに分離した第1仕切り板と第2仕切り板とを有し、前記第1仕切り板の幅寸法は、前記窄み部より上の領域の前記内壁の内径に比べて小さく、前記第2仕切り板は、前記第1仕切り板で分割された空間のうち、大きな空間に配置され、前記大きな空間を複数の空間に分割していることを特徴とする。
そうすると、まず分離独立した第1仕切り板で挿入空間を2分割し、更にその2分割された内の1つの空間をさらに第2仕切り板で分割し、少なくとも挿入空間を3つに分割できる。従って、第1及び第2仕切り板を分離可能としても、この分割された空間の夫々の底部には、台部若しくは台部と略平行に載置される基部が構成されるので、各空間は3面で囲まれた独立した空間となり、それぞれに種類の異なる調理用具を立てても、調理用具に付着した調味料等が他の調理用具に移ることを防止することができる。そして、この第1仕切り板と第2仕切り板とは分離可能であるため、さらに個々の仕切り板の洗浄も容易となる。
【0024】
そして、第1仕切り板は、幅寸法が胴部の窄み部より上の領域の内壁の内径(直径)に比べて小さいため、挿入空間を等分に分割するのではなく、大きさが異なる空間に分割することができ、そして、第2仕切り板で更に大きい方の空間を分割することで、異なる種類の調理用具に対応した種々の空間を形成でき、挿入空間を分割するバリエーションを増やすことができる。
【0025】
この点、第1仕切り板は、その幅寸法が胴部の上の領域の内径に比べて小さいと、胴部の中心線より片側に寄って配置される。このため、第1仕切り板は、その幅寸法より大きな内径を有する中心線側(即ち、自ら分割した空間のうち、大きな空間側)に移動し易くなり、第1仕切り板の位置決め安定性を欠くものとなる。
そこで、好ましくは、前記第2仕切り板は、垂直方向の成分を有する方向に沿って折り曲げられた前記折曲げ部を有し、前記折曲げ部を境にして前記一方の壁部及び前記他方の壁部を有しており、前記一方の壁部が前記第1仕切り板の前記壁部に密着可能であり、前記他方の壁部が前記第1仕切り板の前記壁部から離間して前記内壁に略接するようになっていることを特徴とする。
【0026】
そうすると、第2仕切り板は第1仕切り板が大きな空間側に移動しようとすることを防ぐ支持部材となり、第1仕切り板の安定性を向上することができる。特に、第2仕切り板は折曲げ部を有し、この折曲げ部を境にして一方の壁部が第1仕切り板の壁部に面同士を合わせて密着し(好ましくは胴部の内壁にまで接することを可能とし)ているので、第1仕切り板と第2仕切り板とが分離をしていても、第1仕切り板と第2仕切り板との関係におけるぐらつきを防止できる。
しかも、所定の空間から他の空間に液体が移動しようとした場合、その液体は、第2仕切り板の一方の壁部と第1仕切り板の壁部とが密着した間に毛細管現象により吸い上げられ、該移動を抑制することができる。
【0027】
そして、第2仕切り板の他方の壁部は第1仕切り板の壁部から離間し、その端部が胴部の内壁に略接するようになっているので、この他方の壁部と第1仕切り板の壁部と胴部の内壁とで画した空間を作って、そこに調理用具を入れることができる。この際、第2仕切り板の他方の壁部に台部と略平行に載置される基部を設けるのが好ましく、これによって、該空間を3面で囲まれた独立した空間にできるので、調理用具に付着する調味料等の移りを防止することができる。
【0028】
また、第2仕切り板の一方の壁部と他方の壁部とは、折曲げ部を境にして付勢力を発揮させることができ、この場合、一方の壁部の端部と他方の壁部の端部とが胴部内壁を内側から付勢して、一方の壁部がこれと背中を合わせる第1仕切り板を付勢することになり、結果として、第1仕切り板および第2仕切り板のそれぞれの端部が胴部の内壁に付勢力をもって接することになり、がたつきのない仕切り板の固定を可能にする。そして該仕切り板と内壁との間を通って付着物が分割した複数の空間どうしの間を移行する事態を防止できる。
【0029】
また、このように折曲げ部を境にした一方の壁部と他方の壁部とが付勢力を発揮させると、仕切り板を容器本体に挿入する際は、上記付勢力に抗して一方の壁部と他方の壁部とを接近させて挿入する必要があるが、この際、基部は、付勢力と反対方向となる、一方の壁部と他方の壁部との間には形成されていないので、基部が該壁部同士を接近させる作業を邪魔することがない。
【0030】
また、好ましくは、前記台部は、その外周の端部に切り欠き部を有することを特徴とする。
そうすると、挿入された調理用具に付着した調味料等の液状物は、台部の上面に滞留することなく速やかに、容器本体胴部の内面に沿って容器本体の内側底部に落下させることができる。
また、台部と仕切り板とが分離可能な構成では、仕切り板の基部と台部との間に液体が回り込んで、仕切られた複数の空間同士の間を液体が移動する事態が生じ得るが、切り欠き部を介して液体を容器本体の内側底部に落とし、仕切られた複数の空間同士の間の液体の移動を防止できる。
【0031】
また、好ましくは、前記台部は、厚み方向に貫通した貫通孔を有し、この貫通孔の少なくとも1つは指を挿入可能な形状とされていることを特徴とする。
このため、挿入された調理用具に付着した調味料等の液状物は、台部の上面に滞留することなく速やかに、該貫通孔から液体を落下させることができ、また、該貫通孔から覗いて底部に貯まった液体の量を目視することができる。
【0032】
さらに、台部と仕切り板とが分離可能な構成では、仕切り板を持ち上げても台部を容器内から取り出せないが、この貫通孔の少なくとも1つは指を入れることができるため、これを手掛かりとして、洗浄時に台部を容易に取り出すことができるし、貫通孔内の洗浄も容易となる。
なお、台部の上に基部がある領域については、その上に箸などの先端の細い調理用具を置いても、それが貫通孔に刺さってしまう事態を防止できる。そして、この貫通孔が台部の基部がある領域に形成されていれば、基部と台部との隙間に液体が回り込んだとしても、該貫通孔から液体を落下させることができる。
【0033】
また、好ましくは、前記内壁は、前記窄み部より上側の内径が上方に向って拡径するテーパ状の傾斜面とされ、前記仕切り板は、その幅方向の寸法が上方に向って拡幅し、前記テーパ状と略同じ角度となるテーパ状となるように、幅方向の両端部が形成されていることを特徴とする。
これによって、テーパ状の胴部内壁に挿入される同一テーパの仕切り板は、下方へ挿入されるに伴って、その幅方向の端部が胴部内壁に向かって加圧され(挿入嵌合され)、仕切り板と胴部とがより密着して、仕切り板のがたつきを無くし、調理具の挿入時に仕切り板が容易に動くことがなくなる。また、仕切り板が胴部内壁に密着して、調理具の付着物の移動を抑制して、仕切り板で仕切った各空間の独立性を向上させることができる。また、胴部と仕切り板とは挿入嵌合のため、仕切り板の取り外しは最初が固いだけで至って容易である。
【0034】
また、好ましくは、前記台部は、その下面から前記底部へ向けて突出する脚部を備え、前記底部との間に前記貯留空間を形成するように前記脚部を介して前記底部に支持されていることを特徴とする。
このため、台部は胴部の内側に収容されると、脚部により底部に支持されて止まり、台部と容器本体の内側底面との間に貯留空間を確実に形成することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上、本発明によれば、調理器回りの限られたスペースに設置可能で、限られた容量の容器本体に、味が移ることなく、種類の異なる複数の調理用具を立てることができ、かつ、洗浄が容易な調理用具立てを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る調理用具立ての分解斜視図。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る調理用具立ての分解斜視図。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る調理用具立ての仕切り板の分解斜視図。
【
図9】
図8の仕切り板の第1仕切り板と第2仕切り板とを重ね合わせた状態の斜視図であり、
図9(A)は
図8のV1方向から視認した図、
図9(B)は
図8のV2方向から視認した図。
【
図10】
図8の仕切り板を容器本体に挿入した調理用具立ての平面図。
【
図11】
図10の調理用具立ての斜視図であり、容器本体を透明にした図。
【
図12】本発明の第3実施形態の第1変形例に係る調理用具立ての仕切り板と台部の分解斜視図。
【
図13】
図12の仕切り板と台部を容器本体に挿入した調理用具立ての平面図。
【
図15】本発明の第3実施形態の第2変形例に係る調理用具立ての縦断面図。
【
図16】
図5の仕切り板の折曲げ加工する前の板の展開図。
【
図17】本発明の第4実施形態に係る調理用具立ての斜視図。
【
図18】
図17の調理用具立てを正面上方側からみた分解斜視図。
【
図19】
図17の調理用具立てを背面下方側からみた分解斜視図。
【
図29】本発明の第4実施形態の第1変形例に係る調理用具立ての台部の底面図。
【
図31】本発明の第4実施形態の第2変形例に係る調理用具立ての台部の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
また、以下の図で同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
【0038】
〔第1実施形態〕
図1~
図4は、本発明の第1実施形態に係る調理用具立て10であり、
図1はその分解斜視図、
図2は正面図、
図3は平面図、
図4は使用状態図である。なお、
図2では容器本体20と台部30の一部を切り欠いて図示している。また、
図3では複数存在する貫通孔26の一部だけを図示している。
これらの図の調理用具立て10は、調理中に調理用具を一時的に立てて置くための道具であり、調理用具スタンドなどとも呼ばれる。
調理用具立て10は、容器本体20と、この容器本体20に対して着脱可能な台部30及び仕切り板40とを有している。
【0039】
容器本体20は、錆び難いステンレスやアルミニウム等の金属材料、又は合成樹脂材料などの硬質材料から形成されている。容器本体20は
図4に示すように複数の調理用具2~4が同時に挿入される挿入空間Sを有する胴部22、及び胴部22の下側を塞ぐ底部24を有している。
図4では、調理用具2にヘラ、調理用具3に泡立て器、調理用具4に箸を図示しており、容器本体20はこれら調理用具2~4を同時に挿入可能な内径φ1及び高さH1を有している。高さH1は挿入する調理用具2~4に比べて少なくとも小さいのが好ましく、これにより調理用具2~4の頭を露出させて、調理用具2~4を取出し易くできる。図の内径φ1は約150mm、高さH1は約150mmである。なお、本発明の容器本体20に挿入される調理用具は
図4の調理用具2~4に限られるものではなく、レードル、杓文字、ターナーなどであっても構わない。
【0040】
胴部22は、上方に開口部25を有し、この開口部25から調理用具2,3,4を挿入することができる。開口部25の周縁部23は
図2に示すように、フランジ状に胴部22から突出している。
胴部22の水平断面は略円形状であり、本実施形態の場合、胴部22は水平断面が略正円状の円筒状とされている。この胴部22の内側空間が上記挿入空間Sとなる。本実施形態の胴部22の内径φ1は一定であるが、本発明はこれに限られず、胴部22は、内径φ1が上から下に向かうに従って僅かに小さくなるように形成されていても構わない。また、胴部22は水平断面が略円形状であれば円筒状に限られるものでない。
【0041】
台部30は、挿入した調理用具を直接又は間接的に置くための台であり、開口部25から挿入空間S内に水平に収容される。図の台部30は容器本体20と同様の材料で形成されている。
台部30は円形状の薄板であり、調理用具を置いても撓まない剛性を有する範囲で可及的に薄いのが好ましく、本実施形態ではステンレス金属製で、厚みD1は約0.5~2mmである。
【0042】
仕切り板40は、台部30と共に容器本体20内に開口部25から挿入される部材であり、台部30と同様の材料で形成されている。本実施形態の場合、仕切り板40は台部30の上面30aに対して溶接などにより接続固定されている。
この仕切り板40は、挿入空間Sを分割するように立てて挿入空間S内に配置される。
図3に示す仕切り板40は、複数の異なる方向に向けられた板状体により、挿入空間Sを互いに大きさの異なる複数の空間(図の場合は3つの空間S1,S2,S3)に分割できるように複数枚の板から形成されている。図の場合は2枚の板状体からなり、水平方向の寸法である幅寸法が相対的に大きな板部42と小さな板部43からなっている。
【0043】
大きな板部42が挿入されると、挿入空間Sは仕切られて、空間S1と空間S2+S3が形成される。この点、大きな板部42の幅寸法X1は胴部の内径φ1よりも小さく、本実施形態の場合、約137~148mmとされている。これにより、大きな板部42は、挿入空間Sに挿入されると、中心線CLから約10~30mmずれて配置され、容量的に空間S1<空間S2+空間S3の関係となる。空間S1は、
図4に示すように、ヘラや杓文字等の幅はあるが薄い調理用具2を収容するのに適した空間である。
【0044】
そして、大きな板部42は、挿入空間S内で立てられた状態において、
図3に示すように、幅方向の両端部42a,42bが胴部22の内壁22aに接している。従って、調理用具に付着した調味料や調理品等(以下、「付着物」という)が空間S1と空間S2,S3との間を移行することを防止できる。本実施形態の場合、胴部22の内径φ1は上から下までほぼ同一の寸法に形成され、大きな板部42の幅寸法X1も上から下まで該内径φ1に対応したほぼ同一の寸法である。これにより、大きな板部42の両端部42a,42bは、胴部内壁22aと全体的に接し胴部内壁22aに略密着した状態とされている。
【0045】
ここで、胴部内壁22aは、
図2の後述する窄み部28より上側の内径φ1が上方に向って拡径するテーパ状の傾斜面とされても構わない。この場合、
図3の両端部42a,42bと胴部内壁22aとの間には隙間の生じる領域が生じ、仕切り板40が胴部22内で多少がたつくようになり、上記両端部42a,42bが胴部内壁22aに触れる等の略接するような状態となる。この略接するような状態でも付着物の移行を有効に防止することはでき、本発明はこのような構成態様であっても構わない。
但し、この場合であっても、付着物は下に落ち易いことから、後述する窄み部28に近い領域の胴部内壁22aと上記両端部42a,42bとは密着するように接することが好ましい。
更に、このように胴部内壁22aがテーパ状である場合、
図2及び
図3に示す仕切り板40である大きな板部42は、その幅方向の寸法X1が上方に向って拡幅し、胴部内壁22aのテーパ状と略同じ角度となるテーパ状となるように、幅方向の両端部42a,42bを形成するのがより好ましい。即ち、大きな板部42の幅寸法X1も内径φ1に追従するように上から下に向かうに従って僅かに小さくするのがより好ましい。これにより、仕切り板40は胴部22に対して挿入し易くなると共に、押し込むと嵌合(挿入嵌合)され、両端部42a,42bと胴部内壁22aとが密着して、仕切り板40のがたつきを無くし、また、付着物の空間S1と空間S2,S3との間の移行を防止できる。この好ましいテーパ形状として、図の胴部内壁22aの内径φ1の上部内径(開口部25の上部)と下部内径(窄み部28の上部)との差を、約3~10mmとすることが例示できる。
【0046】
このような大きな板部42は、
図2に示すように、容器本体20に挿入された場合、開口部25よりも上に突出する突出部42cを有している。従って、洗浄時に、この突出部42cを把持して、仕切り板40を挿入空間Sから引き出すことができる。突出部42cの長さL1は約10~40mmであるのが好ましい。40mmを超えると、調理用具を入れる際の邪魔になる恐れがあり、10mmより短いと把持しにくくなるからである。
なお、図の大きな板部42は真っ直ぐな平板であるが、挿入する調理用具に合わせて湾曲させても構わない。また、大きな板部42は垂直に立っているが、垂直方向の成分を有する方向に沿って立っていればよく、傾斜しても構わない。
【0047】
小さな板部43は、大きな板部42で分割された空間を更に分割すると共に、仕切り板40が挿入空間S内でぐらつかないように安定させるための部材である。
即ち、小さな板部43は、
図3に示すように、空間S1よりも大きな空間(S2+S3)の方に配置され、空間S2と空間S3とに分割している。空間S2は、空間S3に比べて容量が大きく、
図4に示すように、卵型の先端部を有する泡だて器等のように厚みのある調理用具3の収容に適し、空間S3は、箸等のように余り空間を必要としない調理用具4の収容に適している。
また、
図3に示すように、小さな板部43の幅方向の一方の端部43aは、大きな板部42の主面に接続固定され、他方の端部43bは胴部22の内壁22aに接触するようになっている。図の他方の端部43bは内壁22aに沿って接触する面となるように折曲げ加工されている。これにより、仕切り板40は、三点(大きな板部42の両端部42a,42b、及び小さな板部43の他方の端部43b)が内壁22aに接触し、かつ、大きな板部42の中心線CL側への移動を小さな板部43が防止するため、安定性を向上することができる。
【0048】
なお、小さな板部43は、大きな板部42に対して垂直ではなく、所定の角度θ1を付けて接続されている。そうすると、小さな板部43と大きな板部42との接続部付近(即ち一方の端部43a付近)に付着した付着物を洗浄するのが困難となる。そこで、小さな板部43と大きな板部42との角度θ1が可及的に大きくなるように、主面43cを空間S2側に膨らむように湾曲させている。
【0049】
また、
図2及び
図3に示すように、小さな空間S3部分の洗浄性を高めるため、小さな板部43は、高さH2も大きな板部42に比べて小さく、台部30から間隔SPを開けて配置されている。このため空間S2と空間S3とは間隔SPを介して連通している。しかし、
図1及び
図2に示すように、台部30は、調理用具の付着物を容器本体20の内側底面24aに落下させるための貫通孔26を有している。貫通孔26は厚み方向に貫通しており、
図3に示す比較的大きな空間である空間S1,S2に対応した領域に複数形成されている。このため、空間S2に挿入した泡立て器等の調理用具の付着物は貫通孔26を介して、
図2に示す容器本体20の内側底面24aに落下させることでき、従って、
図3に示す空間S3への移動を防止できる。また、空間S1に挿入したヘラ等の調理用具の付着物も貫通孔26を介して、容器本体20の内側底面24aに落下させることができる。
【0050】
なお、空間S3には貫通孔は形成されていないが、空間S3は箸のように細い調理用具を挿入する空間であり、箸が貫通孔から落下しないように形成されていない。箸はヘラや泡立て器などと比べて付着物が少ないため、そのようにしても大きな問題にはならない。そして、比較的大きな調理用具が挿入される空間S1,S2にのみ貫通孔26を形成しているため、貫通孔26はある程度大きくても構わない。そこで、貫通孔26は指が挿入できる大きさとされている。これにより、貫通孔26から付着物を積極的に
図2に示す台部30と内側底面24aとの間の貯留空間S4に落とすことができ、更に、貫通孔26の洗浄が容易となり、長期間の汚れの堆積で貫通孔が閉塞する事態もなくなる。
【0051】
ここで、台部30と内側底面24aとの間の空間(以下、「貯留空間」という)S4を形成するため、
図2に示すように、胴部22の下側の内径φ2が底部24に向かうに従って除々に小さくなる窄み部28を有している。そして、台部30は、その外径φ3(
図1参照)が胴部22の窄み部28より上の領域の内径φ1に比べて小さいのに対して窄み部28の内径φ2に比べて大きく形成されている。このため、台部30は胴部22内に水平に収容されると、内径φ2が小さい窄み部28の部分で止まり、貯留空間S4を形成することができる。従って、容器本体20を洗浄する際、内壁22aに段部等の複雑な加工部分は存在せず、内面が除々に湾曲した滑らかな曲線状の窄み部28があるだけであるため、極めて容易に洗浄できる。なお、本実施形態の窄み部28の高さH3は、貫通孔26から落下する付着物の種類と量を考慮して決めればよいが、少なくとも1日1回以上の洗浄を前提とすれば、2~10mm程度の寸法を有するのが好ましい。
【0052】
〔第2実施形態〕
図5~
図7は本発明の第2実施形態に係る調理用具立て12であり、
図5はその分解斜視図、
図6は平面図、
図7は
図6のA―A断面図である。なお、
図6の平行斜線は理解の便宜のために図示したもので、後述する基部35を示している。
これらの図において、
図1~
図4の調理用具立て10と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0053】
図の調理用具立て12が上記第1実施形態の調理用具立て10と異なるのは、台部33と仕切り板34についてである。
すなわち、本実施形態の仕切り板34と台部33とは分離可能であり、仕切り板34は台部33と接続固定されておらず、容器本体20から取出せば台部33と離れる。従って、例えば
図1の仕切り板40と台部30との境目DS1付近の付着物を洗浄するのが困難であるのに対して、第2実施形態では
図5のように仕切り板34と台部33とを分離し、少なくとも仕切り板34と台部33との境目の付着物を容易に洗浄できる。
【0054】
仕切り板34は1枚の金属材料又は合成樹脂材料から形成され(仕切り板34の展開図である
図16を参照)、複数の異なる方向に向けられた面を有する1枚の板材で挿入空間Sを互いに容積の異なる複数の空間に分割している。仕切り板34は使用時に台部33の上面33aに置かれるのみであり、上面33aに対して略平行に載置される基部35と、この基部35から立設して挿入空間Sを仕切る壁部45とからなっている。従って、基部35が台部33に密着して、壁部45の下側の安定性を得ることができる。
【0055】
壁部45は垂直方向Zの成分を有する方向に沿って折り曲げられた折曲げ部37を有している。
図5の折曲げ部37は垂直方向Zに沿って折り曲げられているが、本発明はこれに限られず、傾斜して折り曲げても構わない。
図5の仕切り板34は、壁部45の折曲げ部37を境にして幅方向の一方に一方の仕切り板341、幅方向の他方に他方の仕切り板342を有している。換言すれば、一方の仕切り板341と、他方の仕切り板342とが、互いの壁部の一端部が繋がるように一体的に形成されて仕切り板34を構成している。
一方の仕切り板341は、一方の仕切り板341用の一方の壁部46及び基部36から構成され、他方の仕切り板342は、他方の仕切り板342用の他方の壁部47及び基部38から構成されている。すなわち、仕切り板34は、その壁部45に対応して、一方の仕切り板341用の一方の壁部46と、他方の仕切り板342用の他方の壁部47を有して全体が構成されている。
【0056】
図5及び
図6に示すように、一方の仕切り板341の基部36(以下、「一方の基部36」という)は、一方の仕切り板341の壁部46(以下、「一方の壁部46」という)の下側の曲げられた端部46bが、一方及び他方の仕切り板341,342どうしが離間する方向SEに向かって拡幅して形成され、この一方の基部36の端部(周縁部)36aは胴部22の内壁22aに当接される。また、他方の仕切り板342の基部38(以下、「他方の基部38」という)も同様に、他方の仕切り板342の壁部47(以下、「他方の壁部47」という)の下側の曲げられた端部47bが上記離間する方向SEに向かって拡幅して形成され、この他方の基部38の端部(周縁部)38aは胴部22の内壁22aに当接される。そして、これら端部36a,38aが内壁22aに当接しているため、仕切り板34を安定して容器本体20に接続することができる。
【0057】
一方の壁部46は真っ直ぐな平板であり、
図1の大きな板部42と同等の幅寸法X1を有するため、挿入空間Sに挿入されると、
図6に示すように中心線CLからずれて配置される。そして、一方の仕切り板341が挿入空間Sを分割することで形成された相対的に小さな空間S1は、ヘラや杓文字等の幅はあるが薄い調理用具を収容するのに適した独立空間となる。
他方の壁部47は同じく真っ直ぐな平板であり、一方の壁部46に比べて幅寸法X2が小さく、一方の仕切り板341が挿入空間Sを分割することで形成した大きい空間の方を更に分割して空間S2,S3を形成している。空間S2,S3の容量は
図4の空間S2,S3と同様であり、厚みのある調理用具に適した空間S2、及び余り空間を必要としない調理用具に適した空間S3との独立空間となる。
【0058】
そして、折曲げ部37、一方の壁部46の折曲げ部37と反対側の端部46a、他方の壁部47の折曲げ部37と反対側の端部47aは、容器本体20に収容された使用時に、胴部22の窄み部28より上の領域29の内壁22aに当接される。従って、調理用具の付着物は、空間S1,S2,S3どうしの間を移行することが有効に防止されている。
特に、仕切り板34は所定の弾性を有するステンレス等の金属材料又は合成樹脂材料から形成されている。このため一方の壁部46と他方の壁部47とは、容器本体20に挿入された状態で、垂直方向Zに沿って折り曲げられた折曲げ部37を軸に互いに離間する方向SEに付勢力を発揮する。このため、一方及び他方の壁部46,47の端部46a,47aを内壁22aに押し付けて、該端部46a,47aと内壁22aとの間を付着物が通って空間S1,S2,S3どうしの間を移行する事態を防止でき、更に、仕切り板34の位置の安定性を向上することができる。
【0059】
図5に示すように基部35(一方及び他方の基部36,38からなる)は、上述のように、一方の壁部46の下側の端部46b、及び他方の壁部47の下側の端部47bの夫々が上記離間する方向SEに向かって拡幅して、その端部(周縁部)35aの外形は、収容状態において台部33の端部(周縁部)33bの外形と略同じに形成されている。
この基部35(36,38)は、一方の壁部46と他方の壁部47との間DP(即ち、空間S2となる)には形成されていない。具体的には、展開図である
図16に示すように基部35は折曲げ部37を境に一方の基部36と他方の基部38とに分割されており、折曲げ加工後は
図5及び
図6に示すように一方の壁部46と他方の壁部47との間には存在しない。従って、仕切り板34を容器本体20に挿入する際は、上記付勢力に抗して一方の仕切り板431と他方の仕切り板432とを接近させるように手で押さえて挿入する必要があるが、この際、基部36,38どうしを該接近させる作業を邪魔することがなく、容易に仕切り板34を容器本体20に挿入できる。さらに、一方及び他方の基部36,38の端部36a,38aが胴部内壁22aに当接した状態でも上記付勢力は発揮しているため、仕切り板34をより安定して容器本体20に接続することができる。
ここで、一方の壁部46と他方の壁部47の高さ寸法(H)は互いに異なる高さに形成しても構わない。例えば他方の壁部47を開口部25の高さと同じとし、一方の壁部46を開口部25よりも上に突出した突出部を設けることで、仕切り板34を把持し易くできる。また、分割された挿入空間に決められた調理具を挿入する際に、仕切り板の高さの相違を認識して、とっさの判断で迷うことなく挿入できる目印とすることができる。
【0060】
以上のような仕切り板34によれば、一方の仕切り板341と他方の仕切り板342と胴部22に挟まれた空間(他の空間S1,S3に比べて最も大きい最大空間であり、以下、第2実施形態において「中間空間」という)S2については、一方及び他方の壁部46,47と胴部内壁22aと台部33で空間を画すことができる。また、一方の仕切り板341と胴部22との間の空間(以下、第2実施形態において「一方の空間」という)S1については、一方の壁部46、胴部内壁22a、及び基部36により空間を画すことができる。また、他方の仕切り板342と胴部22との間の空間(以下、第2実施形態において「他方の空間」という)S3については、他方の壁部47、胴部内壁22a、及び基部38により空間を画すことができる。
そして、
図7に示すように基部35は台部33の上にあって、中間空間S2にある付着物が例えば基部36と台部33との隙間に回り込んだとしても、基部36の端部36aが胴部内壁22aに密着しているので、空間S1への侵入を防止できる。また、
図6に示す一方及び他方の空間S1,S3については、基部36,38の端部36a,38aが胴部内壁22aに密着して、付着物が基部36,38の下に回り込むことを有効に防止できる。かくして、一方の仕切り板341と他方の仕切り板342との間に基部35が存在しなくても、一方の空間S1と他方の空間S3と中間空間S2の独立性を高めることができる。
【0061】
本実施形態の台部33は、基部35がある領域では、基部35を介して調理用具を載置する台となる。また、台部33は、その周縁部33bが窄み部28に接触して係止される円形状であり、台部33のほぼ中心に指が挿入可能な大きい内径(例えば15~50mm)の貫通孔27が1つ形成されている。
貫通孔27は、本体清掃等の分解時に容器本体20から台部33を取り出す際の指の挿入口として機能し、容器本体20を逆さまにすること無く台部33を取り出せ、また、台部33の周縁部33bが窄み部28に嵌合して取り出しにくい場合などにも有効である。
また、指が挿入可能な貫通孔27は、台部33に少なくとも1つ設けるのが好ましく、さらに、台部33のほぼ中心に設けるのが好ましい。これは台部33を再度組み立てる場合に、その方向性を考慮することなく組み立てられるからである。また、仮にその内径が非常に大きくとも、中心線CL上に位置する貫通孔27は、その少なくとも一部又は全部を、最大空間である中間空間S2に必ず配置することができるからである。
さらに、泡立て器等の比較的大きな調理用具を挿入することを想定した中間空間(最大空間)S2では、大型の調理用具に付着する付着物の量も当然多くなり、貫通孔27はこれらの付着物を有効に排出できる。
ここで、仮に貫通孔27がなくても、上述したように一方の空間S1と他方の空間S3と中間空間S2の空間的な独立性は高められているため、例えば
図2及び
図3に示すように空間S2と空間S3とが間隔SPを介して連通するような構造とはなっていないため、付着物(特に固形物)の行き来を防止できる。
また、調理用具の付着物が液体の場合、仮に該液体を一方の空間S1と他方の空間S3と中間空間S2の夫々に溜められない場合であっても、基部35の端部35aと胴部22の内壁22aとの僅かな隙間、及び、台部33の周縁部33bと窄み部28の内壁との僅かな隙間を通って、貯留空間S4に落下して溜められる。
【0062】
なお、台部33は金属材料ではなく、まな板と同じポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成するのが好ましい。包丁などを入れた場合に、金属製だと刃先にダメージを与えるからであり、また、木製だとカビ等が生じ易く、合成樹脂製が衛生面に優れるからである。特に抗菌剤入りのものが好ましい。台部33を合成樹脂とする場合、剛性付与の観点から約2~10mmの厚さにするのが好ましい。
【0063】
〔第3実施形態〕
図8~
図11は本発明の第3実施形態に係る調理用具立て14であり、
図8はその仕切り板50の分解斜視図、
図9は仕切り板50の第1仕切り板52と第2仕切り板54とを重ね合わせた状態の斜視図であり、
図9(A)は
図8のV1方向から視認した図、
図9(B)は
図8のV2方向から視認した図である。また、
図10は調理用具立て14の平面図、
図11は調理用具立て14の斜視図である。なお、
図10の平行斜線は理解の便宜のために図示したもので、後述する基部59,61を示している。また、
図11の容器本体20を透明にして図示している。また、
図11の一点鎖線で囲った図はLA部分を縦に切断した場合の拡大断面図である。
これらの図において、
図1~
図7の調理用具立て10,12と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0064】
図の調理用具立て14は上記第2実施形態の調理用具立て12と比べて仕切り板50のみが異なっている。
すなわち、第3実施形態の仕切り板50は、複数の異なる方向に向けられた複数の板材で構成され、この複数の板材が挿入空間Sを互いに容積の異なる複数の空間S1,S2,S3に分割している。仕切り板50は、互いに分離可能な第1仕切り板52と第2仕切り板54とからなり、この第1及び第2仕切り板52,54は、容器本体20に挿入された状態では互いに接触し、容器本体20から取り出されると互いに分離するようになっている。このため、
図6の第2実施形態ではDS2付近の付着物の洗浄が困難であるのに対して、第1仕切り板52と第2仕切り板54とを分離させて容易な洗浄が可能となる。
【0065】
第1仕切り板52は、
図3の大きな板部42及び
図6の一方の壁部46と同様、胴部22の内径よりも小さな幅寸法X1とされ、
図10に示す胴部22の中心線CLからずれて配置される。そして、第1仕切り板52が挿入空間Sを分割することで形成された小さい方の空間S1はヘラや杓文字等の幅はあるが薄い調理用具を収容するのに適した空間となる。なお、第1仕切り板52の幅方向の両端部52a,52bは窄み部28より上の領域29の内壁22aに接して配置される。また、第1仕切り板52は、第2実施形態と同様、台部33に対して略平行に載置される基部59と、この基部59から立設して挿入空間Sを仕切る壁部60とからなっている。
【0066】
同様に第2仕切り板54は、台部33に対して略平行に載置される基部61と、この基部61から立設して挿入空間Sを仕切る壁部62とからなっている。
そして、第2仕切り板54の壁部62は、垂直方向の成分を有する方向に沿って屈曲した屈曲部(図の場合は垂直方向に沿って屈曲した屈曲部(折り曲げられた折曲げ部))62aを有し、この屈曲部62aを境にして、幅方向の一方に一方の壁部78、幅方向の他方に他方の壁部77を有している。
ここで、一方の壁部78は第1仕切り板52の主面52cに背合わせの状態で接している。一方の壁部78は、屈曲部62aから幅方向に延伸した先の端部54aが、胴部22の内壁22aに接するのが好ましい。
他方の壁部77は、端部54bが胴部22の窄み部28より上の領域29の内壁22aに接することで、第1仕切り板52が挿入空間Sを分割することで形成した大きい空間の方を更に分割して空間S2,S3を形成している。胴部22の窄み部28より上の領域29の内径に比べて幅寸法が小さな第1仕切り板52は、胴部22の中心線CLより片側に寄って配置されて、中心線CL側の空間S2,S3に移動し易くなるが、第2仕切り板54がその移動を防止する支持部材となって、第1仕切り板52の安定性を向上することができる。なお、空間S2,S3の容量は
図4の空間S2,S3と同様であり、厚みのある調理用具に適した空間S2、及び余り空間を必要としない調理用具に適した空間S3となる。
【0067】
そして、第2仕切り板54の壁部62を構成する一方の壁部78は、第1仕切り板52の壁部60に面状に密着して配置される。このため、第1仕切り板52と第2仕切り板54とが分離をしていても、両者間におけるぐらつきを防止できる。また、もし、空間S1にある付着物の液体が基部59と台部33との隙間を通って空間S2に移行しようとしても、該液体は、一方の壁部78と第1仕切り板52の壁部60とが密着した間HZ(
図9参照)に毛細管現象により吸い上げられ、該移行を抑制することができる。
また、
図10に示すように、他方の壁部77は、屈曲部62aから幅方向に延伸した先の端部54bが胴部22の内壁22aに接触し、これにより、第2仕切り板54の安定性を図っている。
【0068】
第2仕切り板54の屈曲部62aを境にした他方の壁部77は、第1仕切り板52の壁部60から離間するように幅方向に延伸し、第1仕切り板52の壁部60との間に上記空間S3を作っている。なお、
図10に示す一方の壁部78と他方の壁部77との角度θ2は鈍角であり、図の場合は約120~125度である。
そして、第2仕切り板54は、他方の壁部77の下端部から空間S3(上記離間して形成された空間)側に延伸して拡幅する基部61を有する。基部61は安定性を図るだけではなく、空間S1と空間S3との間の液体の移行を防止するための部材とされている。例えば、
図11に示す基部59と台部33との隙間SP1を液体が通過した場合であっても、
図11の一点鎖線で囲った図に示すように隙間SP1を流れてきた液体LQは、第2仕切り板54の基部61と台部33との間の隙間SP2に入り込むため、基部61の上に置かれた調理用具にその液体が付着することを防止できる。
【0069】
このように、基部59,61の下に液体が流れたとしても、その液体は基部59,61の上には来ないため、基部59,61の上にある空間S1,S3の夫々に調理用具を置いたとしても、味が移ることはない。
なお、本実施形態の場合、空間S2にはそのような基部が存在しないが、第1仕切り板52の基部59と台部33との隙間SP1を液体が通っても、上述のように、第1仕切り板52の壁部60と第2仕切り板54の一方の壁部78とが密着した間HZに毛細管現象で液体が吸い上げられ、空間移動を抑制することができる。
また、台部33の略中心部に設けられた貫通孔27は該HZの直下まで到達しているため、毛細管現象で移動した液体は該貫通孔27から良好に排出することができる。
【0070】
また、このように屈曲部62aを境にした一方の壁部78と他方の壁部77と胴部22との空間S2には基部が存在しないため、仕切り板を容器本体に挿入する際は、一方の壁部78と他方の壁部77とを接近させて挿入することができ、この際、基部が該壁部同士を接近させる作業を邪魔することがない。
そのため、第2仕切り板の一方の壁部78と他方の壁部77とは、屈曲部を境にして付勢力を発揮させることが可能であり、この場合には、一方の壁部78の端部54aと他方の壁部77の端部54bとが胴部の内壁を内側から付勢して、一方の壁部78がこれと背合わせとなる第1仕切り板の壁部60を空間S1側へ押しつける。結果として、第1仕切り板52および第2仕切り板54のそれぞれの端部が胴部の内壁に強く接し、がたつきのない仕切り板の固定を可能にし、該仕切り板と内壁との間を通って付着物が分割した複数の空間どうしの間を移行する事態を防止できる。
【0071】
なお、第2仕切り板54は、一方の壁部78がその接した第1仕切り板52側に回転することがないのに対して、他方の壁部77が第1仕切り板52に接近する方向(換言すれば、一方の壁部78がその接した第1仕切り板52から離間する方向)CTに回転する恐れがある。そして、他方の壁部77には第1仕切り板52側に基部61が設けられているので、このように第2仕切り板54が回転すると、基部61が第1仕切り板52の基部59の下に入り込む恐れがある。そこで、第2仕切り板54の基部61は、第1仕切り板52の壁部60に当接して、第2仕切り板54の回転と該入り込みを防止するための防止部65を有する。防止部65は、基部61の先端部を折り曲げ加工して基部61から立ち上がり、第1仕切り板52の壁部60に対して面状に接するようになっている。また、本実施形態の第2仕切り板54の高さH4は第1仕切り板52の高さH5に比べて小さく、容器本体20に挿入しても開口部25から上に突出しないようになっている。
【0072】
〔第3実施形態の第1変形例〕
図12~
図14は本発明の第3実施形態の第1変形例に係る調理用具立て16であり、
図12はその仕切り板50と台部70との分解斜視図、
図13は調理用具立て16の平面図、
図14は
図13のB―B断面図である。なお、
図13の平行斜線は理解の便宜のために図示したもので、基部59,61を示している。
これらの図において、
図1~
図11の調理用具立て10,12,14と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0073】
図の調理用具立て16は上記第3実施形態の調理用具立て14と比べて、仕切り板50と容器本体20が同じであり、台部70のみが異なっている。
すなわち、台部70は全体的に円形状ではあるが、その外周の端部(周縁部)が部分的に切り欠かれた切り欠き部68を複数有している。この切り欠き部68は、少なくとも台部70の上に載置された基部59,61の端部59a,61a周辺下部に位置する台部70に形成するとよい。これにより、
図14の一点鎖線で囲った端部59a付近の拡大断面図に示されるように、基部59の端部59aまで流れてきた液体LQは、基部59と台部70との隙間に回り込もうとしても、切り欠き部68を介して容器本体20の内側底面24aに落として、該回り込みを防止することができる。
【0074】
図12に示す切り欠き部68の切り欠きの深さD2は、
図14の一点鎖線で囲った図のように液体LQが基部59と台部70の間に回り込まない相当な大きさとされている。
なお、挿入空間Sに露出する台部70については、切り欠き部68を形成せず、或いは切り欠きの深さD2を僅にして、箸やフォークの先端が入り込まないようにしてもよい。しかし、本実施形態の場合、箸などの先端が細い調理用具を置く空間S3には、切り欠き部68の上に基部61が配置されるため、切り欠き部68に箸やフォークの先端が入り込むことはない。従って、本実施形態のように先端が細い調理用具を置く空間S3に基部61を配置する場合、基部61の下の台部70に相当に大きな切り欠き部68を形成してもよく、又、全ての切り欠きの深さD2を同様としてもよい。
【0075】
台部70の切り欠き部68がない部分(換言すれば、切り欠き部68に対して径方向に突出した突出部であり、以下「切り欠き突出部」という)69は
図14の窄み部28に係止することで、貯留空間S4を形成している。切り欠き突出部69は複数形成されており、等間隔にして3つ以上あれば台部70の安定性がよく、また、幅W1は調理用具の荷重に耐えられる範囲で可及的に小さいのが好ましい。
なお、切り欠き部68と切り欠き突出部69については本実施例に限られず、例えば、歯車の歯先形状のように多数の矩形を連続したもの、波板の断面のような曲線形状を連続させたものなど、切り欠き部68と切り欠き突出部69の形状、寸法、個数、配置などについて適宜に選択採用できる。
また、台部70の略中心には
図5と同様の貫通孔27を形成することができる。
【0076】
〔第3実施形態の第2変形例〕
図15は本発明の第3実施形態の第2変形例に係る調理用具立て18の縦断面図であり、
図14に対応している。
この図において、
図1~
図14の調理用具立て10,12,14,16と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0077】
図15の調理用具立て18は上記第3実施形態の第1変形例の調理用具立て16と比べて台部72のみが異なっている。
すなわち、台部72は円形状の板であり、切り欠き部ではなく、厚み方向に貫通した貫通孔74を有している。この貫通孔74は、
図1の貫通孔26、
図5の貫通孔27と同様、調理用具の付着物を容器本体20の内側底面24aに落下させるための孔であるが、本変形例では、基部59,61がある領域(
図13参照。以下、同様。)のみに形成されている。これにより、例えば
図15の一点鎖線で囲った拡大断面図ように、基部59と台部72との隙間に液体LQが回り込んだとしても、貫通孔74から液体を落下させることができる。
【0078】
貫通孔74は一つでも複数でもよいが、できるだけ基部59,61の下に指が挿入可能に大きく、及び/又は複数形成するのが好ましい。本変形例の場合、基部59,61(
図13参照)がある領域のみに貫通孔74を配置しているが、基部がない領域(泡だて器等のように厚みのある調理用具の載置に適した空間S2)に、相対的に小さな貫通孔を形成しても構わない。また、基部がない領域(空間S2)に貫通孔を形成する場合は、指を挿入可能な形状とするのが好ましい。
【0079】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、仕切り板で分割して形成された空間は3つであるが、2つ、或いは4つ以上であっても構わない。
また、上記実施形態の台部は挿入空間内で水平に配置されているが、貯留空間S4さえ形成できれば傾斜しても構わない。この場合、例えば
図14の基部59がある領域を下側にするように傾斜させ、基部59の下の台部70にのみ切り欠き部68を形成し、この傾斜した下側の切り欠き部68から積極的に液体を容器本体20の内側底面24aに落下させるとよい。
また、上記実施形態の仕切り板34,40,50の端部42a,42b,43b,46a,47a,52a,52b,54a,54bは、全体的に胴部内壁22aに接した状態とされているが、本発明はこれに限られず、該端部が全体的に胴部内壁22aに接触せずに多少隙間があり、胴部22内で仕切り板34,40,50が多少がたつくような状態であっても構わない。
【0080】
また、第2実施形態の
図6のDS2付近の付着物を洗浄しにくい場合、仕切り板34に弾性力の強い金属材料を利用するとよい。これにより、仕切り板34を容器本体20から取出せば、その弾性力によって、一方の仕切り板341と他方の仕切り板342とが相当に離間して、折曲げ部37の部分における一方の壁部46と他方の壁部47との角度(
図6のDS2部分の角度)を相当に大きくすることができる。例えば該角度が90度以上であれば、少なくとも、その他の部分に比べて洗浄しにくくなることはない。
また、第2実施形態の仕切り板34は、その壁部45の折曲げ部37で分断しても構わない。これにより、仕切り板34は独立した2つの仕切り板341及び342となり、第3実施形態における第1仕切り板及び第2仕切り板として構成することができる。この場合には、例えば仕切り板の回転を防止するための防止部を空間S2に配置することや、空間S2側に新たな基部を配置して固定化することができる。
【0081】
また、本発明の実施形態では、胴部22は円筒状とされ、胴部22の内径φ1はその上部と下部とは同一であることを例示したが、胴部の内径は上から下に向かうに従って僅かに小さくなるテーパ状の円筒形とし、さらに、仕切り板の幅寸法もこの胴部の内径に対応してこれと同一のテーパ形状とするのが好ましい。これによって、テーパ状の胴部内面に挿入される同一テーパの仕切り板は、下方へ挿入されるに伴って、その幅方向の端部が胴部内壁に向かって加圧され、仕切り板と胴部とがより密着して、仕切り板のがたつきを無くし、調理具の挿入時に仕切り板が容易に動くことがなくなる。また、仕切り板が胴部に密着して、調理具の付着物の移動を抑制して挿入空間の独立性をさらに向上させる。また、互いにテーパ形状の嵌合のため、仕切り板の取り外しは最初が固いだけで至って容易である。ここで、好ましいテーパ形状として、本実施例の胴部22の上部内径(開口部25の上端部)と下部内径(窄み部28の上端部)との差を、約2~20mmとすることが例示できる。
【0082】
〔第4実施形態〕
図17~
図27は、本発明の第4実施形態に係る調理用具立て19を示す図であり、
図17はその斜視図、
図18は正面上方側からみた分解斜視図、
図19は背面下方側からみた分解斜視図、
図20は平面図、
図21は
図20のA-B-C線組み合わせ断面図である。
図22は
図21のD部分の部分拡大図、
図23は正面図、
図24は背面図、
図25は底面図、
図26は左側面図、
図27は右側面図である。
図28は、
図17の台部33の平面図である。
これらの図において、第2実施形態の
図5~
図7の調理用具立て12と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0083】
なお、
図20に示すA-B-C線は、
図21に示す断面図の断面の位置を特定するものであり、調理用具立て19の形状及び模様を示すものではない。同様に、
図20に示す中心線CL,幅寸法X1を示す寸法線,幅寸法X2を示す寸法線は、調理用具立て19の形状及び模様を示すものではない。
図21に示す中心線B,D部分を示す2点鎖線は、調理用具立て19の形状及び模様を示すものではない。
図23に示す幅寸法X1を示す寸法線は、調理用具立て19の形状及び模様を示すものではない。
【0084】
第2実施形態に係る調理用具立て12の胴部22は、下側の内径(第1実施形態の
図2の内径φ2で示される径)が底部24に向かうに従って徐々に小さくなる窄み部28を有し、窄み部28より上側の内径(第1実施形態の
図2の内径φ1で示される径)がほぼ同一の寸法に形成されるものであった。また、第2実施形態に係る調理用具立て12の台部30は、その外径が窄み部28よりも上側の内径に比べて小さいのに対して窄み部28の内径に比べて大きく形成され、窄み部28の部分で止まって内側底面24aとの間に貯留空間S4を形成するものであった。
【0085】
それに対して本実施形態の調理用具立て19の胴部22は、下側の内径φ2(
図21参照)が底部24に向かって徐々に小さくなる窄み部28を有する点で第2実施形態と一致する。一方、本実施形態の調理用具立て19の胴部22は、窄み部28より上側の胴部22の領域29の内壁22aの内径φ1(
図17参照)が底部24から上方に向かって拡径するテーパ形状の傾斜面を有する点で第2実施形態と異なる。
【0086】
図17~
図19に示すように、調理用具立て19は、容器本体20と、この容器本体20に対して着脱可能な台部33及び仕切り板34とを有している。仕切り板34は台部33と接続固定されておらず、容器本体20から取出せば台部33と離れる。従って、本実施形態では
図18及び
図19のように仕切り板34と台部33とを分離し、少なくとも仕切り板34と台部33との境目の付着物を容易に洗浄できる。
【0087】
仕切り板34は1枚の金属材料又は合成樹脂材料から形成され、複数の異なる方向に向けられた面を有する1枚の板材で挿入空間Sを互いに容積の異なる複数の空間に分割している。仕切り板34は使用時に台部33の上面33aに置かれるのみであり、上面33aに対して略平行に載置される基部35と、この基部35から立設して挿入空間Sを仕切る壁部45とからなっている。従って、基部35が台部33に密着して、壁部45の下側の安定性を得ることができる。
【0088】
壁部45は垂直方向Zの成分を有する方向に沿って折り曲げられた折曲げ部37を有している。折曲げ部37は胴部22の領域29の内壁22aの傾斜面に沿って折り曲げられている。
第2実施形態と同様に、本実施形態の仕切り板34において、一方の壁部46と他方の壁部47とは、容器本体20の胴部22に挿入された状態で、折曲げ部37を軸に互いに離間する方向SEに付勢力を発揮する。このため、一方及び他方の壁部46,47の端部46a,47aを内壁22aに押し付けて、該端部46a,47aと内壁22aとの間を付着物が通って空間S1,S2,S3どうしの間を移行する事態を防止でき、更に、仕切り板34の位置の安定性を向上することができる。
【0089】
図17及び
図23に示すように、一方の壁部46の高さ寸法は、他方の壁部47の高さ寸法よりも高くなっている。一方の壁部46の上端は、水平方向の両端が円弧形状に形成され、その両端を同一高さの直線形状で連結した形状となっている。他方の壁部47の上端は、上方へ突出する円弧形状に形成されている。このように、一方の壁部46と他方の壁部47とは、上端の高さ及び形状が異なっている。そのため、分割された挿入空間に決められた調理具を挿入する際に、一方の壁部46と他方の壁部47の高さと形状の違いを認識して、とっさの判断で迷うことなく挿入できる目印とすることができる。
【0090】
本実施形態の台部33は、基部35がある領域では、基部35を介して調理用具を載置する台となる。台部33は、全体的に円形状ではあるが、その外周の端部(周縁部)が部分的に切り欠かれた切り欠き部33cを複数有している。この切り欠き部33cは、少なくとも台部33の上に載置された基部36,38の端部36a,38a周辺下部に位置する台部33に形成するとよい。これにより、基部36,38の端部36a,38aまで流れてきた液体は、基部36,38と台部33との隙間に回り込もうとしても、切り欠き部33cを介して容器本体20の内側底面24aに落として、該回り込みを防止することができる。
【0091】
台部33の切り欠き部33cがない部分(換言すれば、切り欠き部33cに対して径方向に突出した突出部であり、以下「切り欠き突出部」という)33dは、
図22の領域29の内壁22aに係止することで、貯留空間S4を形成している。切り欠き突出部33dは複数形成されており、等間隔にして3つ以上あれば台部33の安定性がよく、また、周方向の幅は調理用具の荷重に耐えられる範囲で可及的に小さいのが好ましい。
なお、切り欠き部33cと切り欠き突出部33dについては本実施例に限られず、例えば、歯車の歯先形状のように多数の矩形を連続したもの、波板の断面のような曲線形状を連続させたものなど、切り欠き部33cと切り欠き突出部33dの形状、寸法、個数、配置などについて適宜に選択採用できる。
【0092】
台部33は、その周縁部33bが窄み部28(内壁22a)に接触して係止されることが可能な円形状であり、台部33のほぼ中心に指が挿入可能な大きい内径(例えば15~50mm)の貫通孔27が1つ形成されている。貫通孔27は、本体清掃等の分解時に容器本体20から台部33を取り出す際の指の挿入口として機能し、容器本体20を逆さまにすること無く台部33を取り出せ、また、台部33の周縁部33bが窄み部28(内壁22a)に嵌合して取り出しにくい場合などにも有効である。
【0093】
なお、台部33は金属材料ではなく、まな板と同じポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成するのが好ましい。包丁などを入れた場合に、金属製だと刃先にダメージを与えるからであり、また、木製だとカビ等が生じ易く、合成樹脂製が衛生面に優れるからである。特に抗菌剤入りのものが好ましい。台部33を合成樹脂とする場合、剛性付与の観点から約2~10mmの厚さにするのが好ましい。
【0094】
図22に示すように、水平面に沿った底部24に連結される窄み部28において、内壁22aの形状は、半径R1の円弧形状となっている。窄み部28より上側の胴部22の領域29の内壁22aは、内径が底部24に向かうに従って小さくなる形状を有する。領域29の内壁22aは、底部24から上方に向かって一定の傾斜角θ3で拡径するテーパ状の傾斜面を有する。傾斜角θ3は、90度よりも大きい鈍角であり、例えば、95°以下の範囲とするのが望ましい。
【0095】
図28に示すように、本実施形態の台部33は、
図21に示す底部24の外径φ4よりも大きい外径φ5を有する。外径φ5は、切り欠き突出部33dが配置される位置の外径である。外径φ5は、領域29に連結される窄み部28の上端における内径φ2よりも大きい。台部33の外径φ5が窄み部28の上端における内径φ2よりも大きいため、開口部25から容器本体20に挿入された台部33の切り欠き突出部33dは、胴部22の領域29の内壁22aに支持される。台部33が窄み部28よりも上側の領域29の内壁22aに支持されるため、台部33の下面と容器本体20の底部24との間に貯留空間S4が形成される。
【0096】
〔第4実施形態の第1変形例〕
次に、第4実施形態の第1変形例に係る調理用具立てについて図面を参照して説明する。本変形例は、台部33Aに脚部33eが設けられている点で、第4実施形態の台部33と異なる。以下の説明において、第4実施形態の台部33と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0097】
図29の底面図に示すように、本変形例の台部33Aは、底面に一対の脚部33eが設けられている。脚部33eは、角柱状に形成される長尺の部材であり、貫通孔27を挟んで平行に延びるように配置されている。脚部33eは、台部33の下面に一体成形、熱溶着、接着剤等により接合されている。脚部33eは、台部33の本体(円形状の板材)と同じポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成するのが好ましい。
【0098】
図30に示す破線は、調理用具立ての容器本体20を示している。
図30に示すように、台部33Aは、その下面から底部24へ向けて突出する一対の脚部33eを備える。台部33Aの本体は、底部24との間に貯留空間S4を形成するように一対の脚部33eを介して底部24に支持されている。一対の脚部33eは、台部33Aの上面33aが水平面(底部24)に沿って配置されるように台部33Aの本体を支持している。
【0099】
台部33Aは、第4実施形態の台部33と同様に、切り欠き突出部33dが、胴部22の領域29の内壁22aに支持される。このように、本変形例の台部33Aの本体は、底部24との間に貯留空間S4を形成するように、領域29の内壁22a及び底部24の双方に支持されている。
【0100】
なお、台部33Aの一対の脚部33eは、切り欠き突出部33dが胴部22の領域29の内壁22aに支持される状態で、内側底面24aに接触しないように形成してもよい。この場合、台部33Aの外径φ5(切り欠き突出部33dが配置される位置の外径)が使用に伴う摩耗等により小さくなったとしても、台部33Aの本体が一対の脚部33eにより底部24に支持される。そのため、台部33Aの外径が摩耗等により小さくなったとしても、貯留空間S4を確実に確保することができる。
【0101】
また、台部33Aの切り欠き突出部33dは、一対の脚部33eが内側底面24aに接触した状態で、胴部22の領域29の内壁22aに接触しないように形成してもよい。このようにすることで、台部33Aは、底部24との間に貯留空間S4を形成するように一対の脚部33eを介して底部24に支持された状態となる。この場合、切り欠き突出部33dと内壁22aの間の隙間は、可及的に狭くするのが望ましい。切り欠き突出部33dと内壁22aの間の隙間を狭くすることで、容器本体20に対する台部33Aの位置が略一定の位置に固定される。
【0102】
〔第4実施形態の第2変形例〕
次に、第4実施形態の第2変形例に係る調理用具立てについて図面を参照して説明する。本変形例は、台部33Bに脚部33hが設けられている点で、第4実施形態の台部33と異なる。以下の説明において、第4実施形態の台部33と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0103】
図31の底面図に示すように、本変形例の台部33Bは、全体的に円形状ではあるが、その外周の端部(周縁部)が部分的に切り欠かれた切り欠き部33fを複数有している。台部33Bの切り欠き部33fがない部分(換言すれば、切り欠き部33fに対して径方向に突出した突出部であり、以下「切り欠き突出部」という)33gは、
図32の領域29の内壁22aに係止することで、貯留空間S4を形成している。切り欠き突出部33gは複数形成されており、等間隔にして3つ以上あれば台部33Bの安定性がよく、また、周方向の幅は調理用具の荷重に耐えられる範囲で可及的に小さいのが好ましい。本変形例では、台部33Bはステンレス金属製で、厚みは約0.5~2mmである。
【0104】
図31の底面図に示すように、本変形例の台部33Bは、切り欠き部33fが形成される位置において、底部24側に突出する複数の脚部33hが設けられている。脚部33hは、金属製の台部33Bの切り欠き部33fの部分を底部24側に折り曲げることにより形成される。
【0105】
図32に示す破線は、調理用具立ての容器本体20を示している。
図32に示すように、台部33Bは、その下面から底部24へ向けて突出する複数の脚部33hを備える。台部33Bの本体は、底部24との間に貯留空間S4を形成するように複数の脚部33hを介して底部24に支持されている。複数の脚部33hは、台部33Bの上面33aが水平面(底部部24)に沿って配置されるように台部33Bの本体を支持している。
【0106】
台部33Bは、第4実施形態の台部33と同様に、切り欠き突出部33gが、胴部22の領域29の内壁22aに支持される。このように、本変形例の台部33Bの本体は、底部24との間に貯留空間S4を形成するように、領域29の内壁22a及び底部24の双方に支持されている。
【0107】
また、台部33Bの切り欠き突出部33gは、複数の脚部33hが内側底面24aに接触した状態で、胴部22の領域29の内壁22aに接触しないように形成してもよい。このようにすることで、台部33Bは、底部24との間に貯留空間S4を形成するように複数の脚部33hを介して底部24に支持された状態となる。この場合、切り欠き突出部33gと内壁22aの間の隙間は、可及的に狭くするのが望ましい。切り欠き突出部33gと内壁22aの間の隙間を狭くすることで、容器本体20に対する台部33Bの位置が略一定の位置に固定される。
【符号の説明】
【0108】
10,12,14,16,18,19・・・調理用具立て、 20・・・容器本体、 22・・・胴部、 24・・・底部、 26,27,74・・・貫通孔、 28・・・窄み部、 30,33,33A,33B,70,72・・・台部、 35,36,38,59,61・・・基部、 37・・・折曲げ部、 34,40,50・・・仕切り板、 45,60,62・・・壁部、 341・・・一方の仕切り板、 342・・・他方の仕切り板、 46,78・・・一方の壁部、 47,77・・・他方の壁部、 52・・・第1仕切り板、 54・・・第2仕切り板、 62a・・・屈曲部、 S・・・挿入空間