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特許7201442表示パネル及びその製造方法、エレクトロルミネセンスデバイス及び表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】表示パネル及びその製造方法、エレクトロルミネセンスデバイス及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20221227BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20221227BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20221227BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221227BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20221227BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20221227BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/28
H05B33/14 A
H05B33/10
H01L27/32
H05B33/26
G09F9/30 365
G09F9/30 336
G09F9/30 349Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018568824
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 CN2018090438
(87)【国際公開番号】W WO2019037516
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】201710744039.8
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】孔 超
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 克▲寧▼
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105702876(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03151300(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第104124380(CN,A)
【文献】特開2015-092485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H05B 33/28
H01L 51/50
H05B 33/10
H01L 27/32
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地基板と、
前記下地基板に配置されており、光射出側に透明電極層が備えられる複数のエレクトロルミネセンスユニットと、
前記エレクトロルミネセンスユニットの、前記透明電極層が配置されている側に配置されており、前記透明電極層の少なくとも一部に接する第1の光カップリング出力層とを備え、
前記第1の光カップリング出力層は導電層であり、
前記第1の光カップリング出力層は、第1のn型ドーピング材料または第1のp型ドーピング材料を含む半導体層である、表示パネル。
【請求項2】
前記透明電極層の厚さは、90~150Åである、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記第1の光カップリング出力層は、前記エレクトロルミネセンスユニットの前記下地基板から遠く離れる側に配置される、請求項1または2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記複数のエレクトロルミネセンスユニットは、アレイ状に配列され、
前記第1の光カップリング出力層は、前記複数のエレクトロルミネセンスユニットを覆う全体のフィルム層である、請求項1~のいずれか一項に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第1の光カップリング出力層の前記透明電極層から遠く離れる側に配置されており、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より小さい第2の光カップリング出力層をさらに含む、請求項に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記第2の光カップリング出力層は、第2のn型ドーピング材料または第2のp型ドーピング材料を含む半導体層であり、且つ前記透明電極層と部分的に接する、請求項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記第1の光カップリング出力層と前記透明電極層との間に配置されており、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より大きい第2の光カップリング出力層をさらに含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記エレクトロルミネセンスユニットは、有機エレクトロルミネセンスユニットである、請求項1~のいずれか一項に記載の表示パネル。
【請求項9】
下地基板と、
前記下地基板に配置されている発光層と、
前記発光層の光射出側に配置されている透明電極層と、
前記透明電極層の、前記発光層から遠く離れる側に配置されており、前記透明電極層に接する光カップリング出力層とを含み、
前記光カップリング出力層が導電層であり、
前記光カップリング出力層は、n型ドーピング材料またはp型ドーピング材料を含む半導体層である、エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項10】
下地基板を提供する工程と、
前記下地基板に複数のエレクトロルミネセンスユニットを形成する工程を含む表示パネルの製造方法であって、
前記エレクトロルミネセンスユニットを形成する工程には、
前記エレクトロルミネセンスユニットの光射出側に透明電極層を形成することと、
前記エレクトロルミネセンスユニットの、前記透明電極層が形成されている側に、前記透明電極層の少なくとも一部に接する第1の光カップリング出力層を形成することを含み、
前記第1の光カップリング出力層が導電層であり、
前記第1の光カップリング出力層を形成することには、
前記透明電極層のエレクトロルミネセンスユニットから遠く離れる側に、第1のホスト材料と第1のn型ドーピング材料または第1のp型ドーピング材料とを蒸着することで、前記第1の光カップリング出力層を形成することを含む、表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記第1の光カップリング出力層は、前記エレクトロルミネセンスユニットの前記下地基板から遠く離れる側に形成される、請求項10に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記第1の光カップリング出力層の前記透明電極層から遠く離れる側に、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より小さい第2の光カップリング出力層を形成することをさらに含む、請求項10または11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記第2の光カップリング出力層を形成することには、
前記第1の光カップリング出力層の前記透明電極層から遠く離れる側に、第2のホスト材料と第2のn型ドーピング材料または第2のp型ドーピング材料とを蒸着することで、前記第2の光カップリング出力層を形成することを含み、
前記第2の光カップリング出力層が前記透明電極層と部分的に接する、請求項12に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記第1の光カップリング出力層を形成する前に、
前記透明電極層の前記エレクトロルミネセンスユニットから遠く離れる側に、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より大きい第2の光カップリング出力層を形成することをさらに含む、請求項10または11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項15】
請求項1~のいずれか一項に記載の表示パネルを含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の少なくとも1つの実施形態は、表示パネル及びその製造方法、エレクトロルミネセンスデバイス及び表示装置に関わる。
[関連出願への相互参照]
【0002】
本願が2017年8月25日に提出される中国特許出願第201710744039.8号に基づき、優先権を主張する。上記の中国特許出願の全体の開示が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、有機発光ダイオード(OLED)は、照明及びディスプレイの分野でますます広く使用されている。OLEDは、従来の陰極線管ディスプレイ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)などとは異なり、自発光、フレキシブル、広視野角、高速応答、超軽薄、高い発光効率、低消費電力や広い動作温度などの利点を有するので、使い道がより広い新世代のディスプレイだと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の少なくとも一つの実施形態は、下地基板と、前記下地基板に配置されており、光射出側に透明電極層が備えられる複数のエレクトロルミネセンスユニットと、前記エレクトロルミネセンスユニットの、前記透明電極層が配置されている側に配置されており、前記透明電極層の少なくとも一部に接する第1の光カップリング出力層とを備え、前記第1の光カップリング出力層は導電層である、表示パネルを提供する。
【0005】
例えば、前記第1の光カップリング出力層が第1のn型ドーピング材料または第1のp型ドーピング材料を含む半導体層である。
【0006】
例えば、前記透明電極層の厚さは90~150Åである。
【0007】
例えば、前記第1の光カップリング出力層は、前記エレクトロルミネセンスユニットの、前記下地基板から遠く離れる側に配置されている。
【0008】
例えば、前記複数のエレクトロルミネセンスユニットはアレイ状に配列され、前記第1の光カップリング出力層は、前記複数のエレクトロルミネセンスユニットを覆う全体のフィルム層である。
【0009】
例えば、表示パネルは、前記第1の光カップリング出力層の、前記透明電極層から遠く離れる側に配置されており、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より小さい第2の光カップリング出力層をさらに含む。
【0010】
例えば、前記第2の光カップリング出力層は、第2のn型ドーピング材料または第2のp型ドーピング材料を含む半導体層であり、前記透明電極層と部分的に接する。
【0011】
例えば、表示パネルは、前記第1の光カップリング出力層と前記透明電極層との間に配置されており、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より大きい第2の光カップリング出力層をさらに含む。
【0012】
例えば、エレクトロルミネセンスユニットは、有機エレクトロルミネセンスユニットである。
【0013】
本願の少なくとも一つの実施形態は、下地基板と、前記下地基板に配置されている発光層と、前記発光層の光射出側に配置されている透明電極層と、前記透明電極層の、前記発光層から遠く離れる側に配置されており、前記透明電極層に接する光カップリング出力層とを含み、前記光カップリング出力層が導電層である、エレクトロルミネセンスデバイスを提供する。
【0014】
本願の少なくとも一つの実施形態は、下地基板を提供する工程と、前記下地基板に複数のエレクトロルミネセンスユニットを形成する工程を含む表示パネルの製造方法であって、前記エレクトロルミネセンスユニットを形成する工程には、前記エレクトロルミネセンスユニットの光射出側に透明電極層を形成することと、前記エレクトロルミネセンスユニットの、前記透明電極層が形成されている側に、前記透明電極層の少なくとも一部に接する第1の光カップリング出力層を形成することを含み、前記第1の光カップリング出力層が導電層である、表示パネルの製造方法を提供する。
【0015】
例えば、前記第1の光カップリング出力層を形成することは、透明電極層のエレクトロルミネセンスユニトから遠く離れる側に、第1のホスト材料と、第1のn型ドーピング材料または第1のp型ドーピング材料とを蒸着することで、前記第1の光カップリング出力層を形成することを含む。
【0016】
例えば、前記第1の光カップリング出力層は、エレクトロルミネセンスユニットの前記下地基板から遠く離れる側に形成される。
【0017】
例えば、前記第1の光カップリング出力層を形成する前に、前記第1の光カップリング出力層の、前記透明電極層から遠く離れる側に、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より小さい第2の光カップリング出力層を形成することを含む。
【0018】
例えば、前記第2の光カップリング出力層を形成することは、前記第1の光カップリング出力層の、前記透明電極層から遠く離れる側に、第2のホスト材料と、第2のn型ドーピング材料または第2のp型ドーピング材料とを蒸着することで、前記第2の光カップリング出力層を形成することを含み、前記第2の光カップリング出力層が前記透明電極層と部分的に接する。
【0019】
例えば、表示パネルの製造方法は、前記第1の光カップリング出力層と前記透明電極層との間に、屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より大きい第2の光カップリング出力層を形成することをさらに含む。
【0020】
本願の少なくとも一つの実施形態が表示装置を提供し、該表示装置が前記いずれか一項に記載の表示パネルを含む。
【0021】
本願の実施形態の技術構成をより明確に説明するため、実施形態の図面について次のように簡単に説明する。明らかに、次に説明する図面は、本願の一部の実施形態のみに関わり、本願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A図1Aは、本実施形態の一例に係る表示パネルの部分断面を示す模式図である。
図1B図1Bは、図1Aに示す表示パネルの部分平面構造を示す模式図である。
図1C図1Cは、本開示の一つの実施形態に係る透明電極層の端部に位置する部分的な表示パネルの断面を示す模式図である。
図2A図2Aは、本開示の一つの実施形態の他の例に係る表示パネルの部分断面を示す模式図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す表示パネルの平面を示す模式図である。
図2C図2Cは、図2Bに示す表示パネルの線ABに沿うYZ面の断面を示す模式図である。
図2D図2Dは、本開示の一つの実施形態の他の例に係る図2Cと同じ位置におけるYZ面の断面を示す模式図である。
図2E図2Eは、本開示の一つの実施形態の他の例に係る表示パネルの部分断面を示す模式図である。
図2F図2Fは、図2Eに示す表示パネルの線ABに沿うYZ面の断面を示す模式図である。
図3A図3Aは、本開示の一つの実施形態の一例に係るエレクトロルミネセンスデバイスの断面を示す模式図である。
図3B図3Bは、本開示の一つの実施形態の他の例に係るエレクトロルミネセントデバイスの断面を示す模式図である。
図4図4は、本開示の一つの実施形態に係る表示パネルの製造方法の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願の実施形態の目的、技術構成及び効果をより明確にするように、次に本願の実施形態の図面を参考しながら、本願の実施形態の技術構成について、明確かつ完全に説明する。明らかに、次に説明する実施形態は、本願の一部の実施形態に過ぎず、すべての実施形態ではない。次に説明する本願の実施形態に基づき、創造的な労力を要らない前提で、当業者が得たその他の実施形態は、本願の保護範囲に属す。
【0024】
他に限定されない限り、本願において使用される技術用語または科学用語は、当業者の通常の意味において理解されることである。本願において使用される「第1」、「第2」及び類似の用語は順序、数量または重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するために使用される。「含む」または「備える」など類似の言葉は、この言葉の前の要素又は物は、この言葉の後ろで挙げられた要素或は物等を含み、他の要素または物が除外されない。「上」、「下」、「左」、「右」等は、相対的な位置関係を示すだけに用いられ、記載の対象の絶対位置が変更された場合には、該相対的な位置関係も対応的に変更されることがある。
【0025】
有機発光ダイオード(OLED)デバイスの外部量子効率は、デバイスによって放出された光子の数と注入された電子正孔対の数との比である。現在、人々も高い量子効率を得るため、努力しつつけている。100%の量子効率を有する燐光発光材料は、OLED照明及び表示装置に広く使用されているが、OLEDデバイスの各フィルム層の間の屈折、反射及び吸収の影響により、OLEDデバイスによって発光される光の20%のみがデバイスから発光される。残りの約80%の光がOLEDデバイス内で制限または消費される。
【0026】
本研究では、本願の発明者らは、一般的なトップエミッション型のOLEDデバイスにおけるマイクロキャビティ構造により、光出力を効果的に増加させ、OLEDの効率を大幅に改善できることを見出した。トップエミッション型のOLEDは、一般に透明陰極と光カップリング出力層(coupling layer、CPL)を組み合わせる構造を採用する。すなわち、透明陰極と光カップリング出力層の組み合わせを用いることにより、光出力を増加させる。透明陰極の光透過率を確保するために、陰極をあまりにも厚く蒸着してはいけない。しかし、薄い陰極がデバイスの直列抵抗を増加させ、電圧降下が大きくなり、デバイス内の表示パネルの均一性を低下させ、表示効果を影響し、陰極と画素限定層(PDL)の接合部に異常が生じることもある。
【0027】
陰極が薄過ぎることによる悪影響を防ぐために、一般的に陰極の厚さを増加させて性能の安定性を確保する。しかし、陰極が厚すぎると、デバイスの光透過率や色ずれに影響を与える。即ち、一般的には陰極が厚すぎると、過度の色ずれを引き起こす。
【0028】
本開示の実施形態は、表示パネル及びその製造方法、エレクトロルミネセンスデバイス及び表示装置を提供する。前記表示パネルは、下地基板と、前記下地基板に配置されており、光射出側に透明電極層を備える複数のエレクトロルミネセンスユニットと、前記エレクトロルミネセンスユニットの前記透明電極層が配置されている側に配置されており、前記透明電極層の少なくとも一部に接する第1の光カップリング出力層と備え、前記第1の光カップリング出力層は導電層である。本願の実施形態に係る表示パネルに含まれる第1の光カップリング出力層が良好な導電性を有し、透明電極層の導通を補助し、透明電極層の厚さを減少させ、表示パネルの電圧降下(IR-drop)を減少させ、デバイスの均一性を高める。
【0029】
以下、図面を参照しながら、本開示の表示パネル及びその製造方法、エレクトロルミネセンスデバイス及び表示装置について説明する。
【0030】
本開示の一つの実施形態は表示パネルを提供し、図1Aは本実施形態の一例に係る表示パネルの部分断面を示す模式図であり、図1B図1Aの表示パネルの部分平面構造を示す模式図である。図1Aに示すように、本実施形態に係る表示パネルは、下地基板100と、エレクトロルミネセンスユニット110と、第1の光カップリング出力層120とを含む。複数のエレクトロルミネセンスユニット110は下地基板100に配置され、エレクトロルミネセンスユニット110の光射出側は透明電極層111を含む。すなわち、エレクトロルミネセンスユニット110から発光される光は、透明電極層111を透過して射出する。エレクトロルミネセンスユニット110の透明電極層111が配置されている側に、第1の光カップリング出力層120が配置され、即ち、透明電極層111から発光される光が第1の光カップリング出力層120を透過して射出しつづける。第1の光カップリング出力層120が透明電極層111と少なくとも部分的に接しており、第1の光カップリング出力層120は導電層である。
【0031】
例えば、透明電極層111の材料として、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、Mg:Ag(マグネシウム銀合金)、Mg:Al(マグネシウムアルミニウム合金)、Au(金)、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0032】
例えば、第1の光カップリング出力層120は、一般的に光カップリング出力層(CPL)として光出力を増加させる役割を果たし、透明電極層111が金属材料である場合、透明電極層111のSPP(Surface Plasmon)モード損失を低減させ、透明電極層111の透過率を高めるために、第1の光カップリング出力層120の屈折率を高く選択すべきであり、例えば、第1の光カップリング出力層120の屈折率を1.8より大きくする。本例は前記内容を含むが、これに限定されない。
【0033】
例えば、第1の光カップリング出力層120の屈折率を高く選択することにより、空気との界面に強い反射が形成される。よって、第1の光カップリング出力層120と空気との間に透明バッファ層(図示せず)を設けることができる。その屈折率は、第1の光カップリング出力層120と空気との間に介し、一部の反射を軽減し、光出力を高めることができる。
【0034】
例えば、本願の発明者らは、半導体膜に導電性の高い材料をドープすることにより、膜の導電性を向上させることができると考え、例えば、OLEDデバイスの電子輸送層及び正孔輸送層に使用されている。例えば、p型ドーピング(p-doping)の正孔輸送層または正孔注入層を用いて、パネルの駆動電圧を減少することができる。従って、本願の実施形態に係る表示パネルは、光カップリング出力層(光カップリング出力層の材料は半導体材料である)に対し、p型ドーピング(p-doping)またはn型ドーピング(n-doping)を行うことにより、その導電性を向上させることができる。
【0035】
例えば、第1の光カップリング出力層120は、第1のn型ドーピング材料または第1のp型ドーピング材料を含む半導体層であり、ドーピングすることにより半導体ホスト材料の導電性を向上させることができる。従って、本実施形態に係る第1の光カップリング出力層は、光出力を増加させる効果を有すると同時に、良好的な導電性を有するので、透明電極層の導通を補助し、表示パネルの電圧降下(IR-drop)を減少させ、デバイスの均一性を高めることができる。
【0036】
例えば、本実施形態に係る第1の光カップリング出力層120は、良好的な導電性を有し、透明電極層111の導通を補助することができる。従って、本実施形態の透明電極層111の厚さは比較的に薄くてもよく、例えば、透明電極層111の厚さは90~150Åであり、透明電極層111の安定性を確保しながら、透明電極層111の透過率を向上させ、色ずれを低減させることができる。
【0037】
例えば、第1の光カップリング出力層120の材料として、NPB(N,N´-ビス(1-ナフチル)-N,N´-ジフェニル-1,1´-ジフェニル-4,4´-ジアミン)、TPD(N,N´-ビス(3-メチルフェニル)-N,N´-ジフェニル-1,1´-ジフェニル-4,4´-ジアミン)またはAlq(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)などの材料を含むことができる。すなわち、第1の光カップリング出力層120の材料として、正孔輸送層または電子輸送層と同じの半導体材料を使用することができる。本実施形態は前記内容を含むが、これに限定されない。
【0038】
例えば、第1の光カップリング出力層120は、ホスト材料としてNPD(N,N´-ジフェニル-N,N´-(1-ナフチル)-1,1´-ビフェニル-4,4´-ジアミン)を使用し、ドーピング材料としてHAT-CN(11-ヘキサシアノ-1;12-ヘキサアザベンゾフェナントレン)を使用し、NPDをp型ドーピング(p-doping)して、より良好な導電性を有する第1の光カップリング出力層120を形成する。
【0039】
例えば、本実施形態は、HAT-CN材料をドーピングすることに限定されず、F4TCNQ(2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7´,8,8´-テトラシアノキノン-ジメタン)、MoO(モリブデン酸化物)、V(五酸化バナジウム)、WO(三酸化タングステン)などのP型ドーパントが挙げられる。
【0040】
例えば、第1の光カップリング出力層120は、Liq(リチウムキノリン)をホスト材料として使用し、Cs(セリウム)をドーピング材料として使用し、Liqにn型ドーピング(n-doping)を行うことにより、比較的に良好的な導電性を有する第1の光カップリング出力層120を形成する。例えば、本実施形態は、Cs材料のドーピングに限定されず、Li(リチウム)、LiCO(炭酸リチウム)、CsCO(炭酸セリウム)などのn型ドーパントを用いてもよい。
【0041】
例えば、下地基板100と垂直な方向に沿い、第1の光カップリング出力層120の厚さは40~100nmであり、本実施形態が前記内容を含むが、これに限定されない。
【0042】
例えば、図1Aに示すように、透明電極層111は、エレクトロルミネセンスユニット110の光射出側に配置され、エレクトロルミネセンスユニット110から発光される光は、下地基板100を透過せず反面の透明電極層111から射出する。従って、エレクトロルミネセンスユニット110はトップエミッション構造である。
【0043】
例えば、エレクトロルミネセンスユニット110は、発光層112と、発光層112の透明電極層111から遠く離れる側に位置する電極113とをさらに含む。
【0044】
例えば、電極113の材料として、ITO/Ag/ITO(酸化インジウムスズ/銀/酸化インジウムスズ)、Au(金)、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)などが挙げられる。電極113が透明導電性電極である場合、電極113と下地基板100との間に反射層を配置し、電極113から射出された光を反射し、その一部が第1の光カップリング出力層120を透過して射出する。
【0045】
例えば、エレクトロルミネセンスユニットは発光層112と電極113との間に配置される正孔注入層及び正孔輸送層(図示せず)をさらに含む。
【0046】
例えば、エレクトロルミネセンスユニットは発光層112と透明電極層111との間に配置される電子輸送層(図示せず)をさらに含む。
【0047】
例えば、隣接するエレクトロルミネセンスユニット110の間に、画素限定層114が配置される。例えば、画素限定層114が透明電極層111と重なる位置の斜面に、良好な導電性を有する第1の光カップリング出力層120が配置され、透明電極層111の比較的に大きな抵抗による電圧降下を低減させることができる。
【0048】
例えば、図1Bに示すように、複数のエレクトロルミネセンスユニット110がX方向及びY方向に沿ってアレイ状に配列され、図中の点線はアレイ状に配列されたエレクトロルミネセンスユニット110を示している。複数のエレクトロルミネセンスユニット110の透明電極層111は、全体のフィルム層である。すなわち、透明電極層111は、エレクトロルミネセンスユニット110に位置する部分と、隣接するエレクトロルミネセンスユニット110との間に位置する部分とをさらに含む。第1の光カップリング出力層120は、複数のエレクトロルミネセンスユニット110を覆う全体のフィルム層であり、即ち、第1の光カップリング出力層120は、透明電極層111を覆う。
【0049】
例えば、第1の光カップリング出力層120は透明電極層111を完全に覆うことができる。本実施形態がこれに限定されない。例えば、第1の光カップリング出力層120は、透明電極層111の一部を覆うことができる。このとき、第1の光カップリング出力層120は、少なくともエレクトロルミネセンスユニット110に配置されている透明電極層111を覆う。
【0050】
例えば、図1Cは、本開示の一つの実施形態に係る透明電極層の端部に位置する部分表示パネルの断面を示す模式図である。図1Cに示すように、透明電極層111のY方向に沿って伸びる端部は、電気接続線140により表示パネルの電源に接続される。
【0051】
例えば、図1Cに示すように、第1の光カップリング出力層120は、透明電極層111と同じ大きさのフィルム層であってもいい。すなわち、下地基板100上の第1の光カップリング出力層120の正射影は、下地基板100上の透明電極層111の正射影と完全に一致する。従って、第1の光カップリング出力層120の端部と透明電極層111の端部は、下地基板100と垂直な方向(Z方向)に面一になる。
【0052】
例えば、第1の光カップリング出力層120は、透明電極層111より少し小さいフィルム層であってもよい。すなわち、下地基板100上の第1の光カップリング出力層120の正投影は、下地基板100上の透明電極層111の正投影内に位置する。
【0053】
例えば、第1の光カップリング出力層120がエレクトロルミネセンスユニットに位置する透明電極層111を覆うことを確保した上で、下地基板100上の第1の光カップリング出力層120の正投影は、下地基板100上の隣接する透明電極層111の正投影の中に位置してもよい。
【0054】
例えば、第1の光カップリング出力層は、エレクトロルミネセンスユニットの発光領域のみに配置されてもよい。
【0055】
例えば、図2Aは本開示の一つの実施形態の他の例に係る表示パネルの部分断面を示す模式図である。図2B図2Aに示す表示パネルの平面を示す模式図である。図2Cは、図2Bに示す表示パネルのAB線に沿ったYZ面の断面を示す模式図である。図2Aに示すように、表示パネルは、第1の光カップリング出力層120の透明電極層111から遠く離れる側に配置されており、屈折率が第1の光カップリング出力層120の屈折率より小さい第2の光カップリング出力層130を含む。
【0056】
例えば、第1の光カップリング出力層120の屈折率はn>1.8であり、第2の光カップリング出力層130の屈折率は1.5<n<1.8である。本実施形態が前記内容を含むが、これに限定されない。本実施形態では、透明電極層に近い側に、比較的に高い屈折率を有する第1の光カップリング出力層を配置し、透明電極層に遠い側に、比較的に低い屈折率を有する第2の光カップリング出力層を配置して、光出力をさらに増加させることができる。本実施形態が前記内容に限定されない。例えば、第1の光カップリング出力層と第2の光カップリング出力層を光カップリング出力層群にして、第2の光カップリング出力層の第1の光カップリング出力層から遠く離れる側に、少なくとも1組の光カップリング出力層群を設置してもよい。即ち、第2の光カップリング出力層の第1の光カップリング出力層から遠く離れる側に、複数の光カップリング出力層を設置することができる。第2の光カップリング出力層に近い方向から遠い方向へ、該複数の光カップリング出力層は屈折率が高低交替で配列される。
【0057】
例えば、第2の光カップリング出力層130の材料として、透過率の比較的に高い有機小分子材料または無機材料を含んでいてもよい。
【0058】
例えば、本願の一つの実施形態において、第2の光カップリング出力層130は、第2のn型ドーピング材料または第2のp型ドーピング材料を含む半導体材料層であってもよく、透明電極層111と部分的に接する。第2の光カップリング出力層130の屈折率は第1の光カップリング出力層120の屈折率より小さいので、p型ドーピングまたはn型ドーピングを行った第2の光カップリング出力層130の導電率は第1の光カップリング出力層120より大きい。従って、本例における第2の光カップリング出力層130が透明電極層111と部分的に接することにより、透明電極層111の導通を補助し、表示パネルの電圧降下を低減させ、デバイスの均一性を高めることができる。
【0059】
例えば、下地基板100と垂直な方向に沿い、第1の光カップリング出力層120と第2の光カップリング出力層130の厚さの合計は40~100nmであり、本実施形態が前記内容を含むが、これに限定されない。
【0060】
第1の光カップリング出力層120、第2の光カップリング出力層130、及び透明電極層111の位置関係を明確にするため、図2B及び図2Cにはこれらの層のみを示し、図2Bには図2Cの電気接続線140が示されていない。
【0061】
例えば、図2B及び図2Cに示すように、下地基板100上の第2の光カップリング出力層130の正射影は、下地基板100上の透明電極層111の正射影と完全に一致する。即ち、下地基板100と垂直な方向に沿い、第2の光カップリング出力層130の端部が透明電極層111の端部と面一になる。下地基板100上の第1の光カップリング出力層120の正投影は、下地基板100上の透明電極層111の正射投影の中に位置し、エレクトロルミネセンスユニットの上に位置する。従って、第2の光カップリング出力層130は、第1の光カップリング出力層120に覆われていない透明電極層111の端部に接していてもよい。本実施形態がこれに限定されない。例えば、第1の光カップリング出力層がエレクトロルミネセンスユニットの発光領域のみに配置されてもよい。即ち、第1の光カップリング出力層もアレイ状に配列され、第2の光カップリング出力層が隣接する第1の光カップリング出力層の間隙に露出されている透明電極層と電気的に接続されている。
【0062】
例えば、図2Cに示すように、画素限定層114の傾斜部分に位置する第2の光カップリング出力層130は、透明電極層111と接触して、透明電極層111の導通を補助する。
【0063】
例えば、図2Dは本開示の一つの実施形態の他の例における、図2Cと同じ位置におけるYZ面の断面を示す模式図である。図2Dに示すように、第2の光カップリング出力層130は、p型ドーピングまたはn型ドーピングを行わず、光出力を増加させる役割のみを果たす光カップリング出力層であってもよく、透明電極層111に接する必要がない。
【0064】
例えば、図2Eは本開示の一つの実施形態の他の例に係る表示パネルの部分断面を示す模式図である。図2Fは、図2Eに示す表示パネルの線ABに沿ったYZ面の断面を示す模式図である。図2E図2Fに示すように、本願の一つの実施形態の他の例において、表示パネルに含まれる第2の光カップリング出力層130が第1の光カップリング出力層120と透明電極層111との間に配置され、且つ第2の光カップリング出力層130の屈折率が第1の光カップリング出力層120の屈折率より大きい。第1の光カップリング出力層120は、透明電極層111の少なくとも一部に接し、且つp型ドーピングまたはn型ドーピングされた第1の光カップリング出力層120は、比較的に良好な導電性を有する。よって、透明電極層111の導通を補助し、表示パネルの電圧降下(IR-drop)を減少させ、デバイスの均一性を高めることができる。本例に係る第2の光カップリング出力層は、p型ドーピングまたはn型ドーピングされた且つ比較的に良好な導電性を有するフィルム層であってもよく、p型ドーピングまたはn型ドーピングを行わず、光出力を増加させる役割のみを果たす光カップリング出力層であってもよい。本例は前記内容に限定されない。
【0065】
例えば、本開示の実施形態に係るエレクトロルミネセンスユニットは、有機エレクトロルミネセンスユニットである。
【0066】
本開示の他の実施形態がエレクトロルミネセンスデバイスを提供し、図3Aは本開示の一つの実施形態の一例に係るエレクトロルミネセンスデバイスの断面を示す模式図である。図3Aに示すように、該エレクトロルミネセンスデバイスは下地基板200と、下地基板200上の発光層212と、発光層212の光射出側に配置されている透明電極層211と、透明電極層211の発光層212から遠く離れる側に配置されており、且つ透明電極層211の少なくとも一部に接する光カップリング出力層220(本実施形態では、第1の光カップリング出力層220とも呼ぶ)を含み、光カップリング出力層220が導電層である。
【0067】
例えば、透明電極層211の材料は金属材料であってもよく、例えば、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、Mg:Ag(マグネシウム銀合金)、Mg:Al(マグネシウムアルミニウム合金)、Au(金)、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0068】
例えば、光カップリング出力層220は、一般的な光カップリング出力層(CPL)として光出力を増加させる役割を果たし、透明電極層211が金属材料である場合、透明電極層211のSPP(Surface Plasmon)モード損失を低減させ、透明電極層211の透過率を高めるために、光カップリング出力層220の屈折率を高く選択すべきであり、例えば、光カップリング出力層220の屈折率を1.8より大きくする。本例は前記内容を含むが、これに限定されない。
【0069】
例えば、光カップリング出力層220は、n型ドーピング材料またはp型ドーピング材料を含む半導体層である。例えば、本実施形態に係る光カップリング出力層220の材料は、上記実施形態に係る第1の光カップリング出力層と同じ材料であってもよく、ここで説明を省略する。
【0070】
ドーピングにより、光カップリング出力層220の半導体ホスト材料の導電率を増加することができるので、本実施形態に係る光カップリング出力層は、光出力を増加させる効果を有すると同時に、比較的に良好な導電性を有するため、透明電極層の導通を補助し、エレクトロルミネセントデバイスの電圧降下(IR-drop)を低減させることができる。
【0071】
例えば、本実施形態に係る光カップリング出力層220は比較的に良好的な導電性を有し、透明電極層211の導通を補助できるので、本実施形態における透明電極層211の厚さは薄くてもよい。例えば、透明電極層211の厚さは90~150Åであってもよく、透明電極層の安定性を確保しつつ透明電極層の透過率を向上させ、色ずれを減少させることができる。
【0072】
例えば、下地基板200と垂直な方向に沿い、光カップリング出力層220の厚さは40~100nmであり、本実施形態が前記内容を含むが、これに限定されない。
【0073】
例えば、図3Aに示すように、透明電極層211は、発光層212の下地基板200から遠く離れる側に配置され、即ち、エレクトロルミネセントデバイスから発光される光が下地基板200を透過せず反面から射出する。よって、エレクトロルミネセントデバイスはトップエミッション構造である。
【0074】
例えば、エレクトロルミネセントデバイスは、発光層212と下地基板200との間に配置されている電極213、正孔注入層217、及び正孔輸送層216をさらに含む。
【0075】
例えば、正孔注入層217の材料として、MoO(三酸化モリブデン)、V(五酸化バナジウム)、PEDOT:PPS(3,4-エチレンジオキシチオフェンポリマー:ポリスチレンスルホネート)などから選ばれる1種類あるいは1種類以上の材料を含むことができる。本実施形態が前記内容を含むが、これに限定されない。
【0076】
例えば、エレクトロルミネセントデバイスは発光層212と透明電極層211との間に配置されている電子輸送層215をさらに含む。
【0077】
例えば、電子輸送層215の材料として、Liq(リチウムキノリン)、Alq(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)などの材料が挙げられる。本実施形態が前記内容を含むが、これに限定されない。
【0078】
例えば、直立型エレクトロルミネセントデバイスの場合、電極213は陽極で、透明電極層211は陰極であってよく、倒立型エレクトロルミネセントデバイスの場合、電極213は陰極で、透明電極層211は陽極であってもよい。
【0079】
例えば、下地基板200上の光カップリング出力層220の正射影は、下地基板200上の透明電極層211の正射影と完全に一致し、即ち、光カップリング出力層220は透明電極層211と完全に同じサイズを有するフィルム層であってもいい。
【0080】
例えば、図3Bは本開示の一つの実施形態に係るエレクトロルミネセントデバイスの断面を示す模式図である。図3Bに示すように、エレクトロルミネセントデバイスは、第1の光カップリング出力層220の透明電極層211から遠く離れる側に配置されている第2の光カップリング出力層230を含む。
【0081】
例えば、第2の光カップリング出力層230の屈折率は、第1の光カップリング出力層220の屈折率より小さくすることで、エレクトロルミネセントデバイスの光出力をさらに増加させることができる。本実施形態に係る第2の光カップリング出力層が光出力を増加させる役割のみを果たすフィルム層である。
【0082】
本開示のもう一つの実施形態は表示パネルの製造方法を提供し、図4は本開示の一つの実施形態に係る表示パネルの製造方法の例示的なフローチャートである。図4に示すように、次のよう内容を含む。
【0083】
S301:下地基板を提供する。
例えば、下地基材は透明性の高いガラス、柔軟性のある高分子材料、金属箔等であってもよく、下地基板を洗浄し、乾燥する。
【0084】
S302:前記下地基板上に複数のエレクトロルミネセンスユニットを形成し、前記エレクトロルミネセンスユニットを形成することには、前記エレクトロルミネセンスユニットの光射出側に透明電極層を形成することを含む。
【0085】
例えば、下地基板に複数のエレクトロルミネセンスユニットを形成することには、下地基板上に導電層を形成することを含む。例えば、化学気相成長法、マグネトロンスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、溶液スピンコート法等により、下地基板上に導電層を形成することができる。そして、導電層をパターン化して、間隔を置いた複数の電極を形成する。
【0086】
例えば、導電層の材料として、ITO/Ag/ITO(酸化インジウムスズ/銀/酸化インジウムスズ)、Au(金)、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)などが挙げられる。本実施形態は前記に内容に限定されない。
【0087】
例えば、間隔を隔てて配置された電極の下地基板から遠く離れる側に、間隔を隔てて配置された複数の電極を完全に覆う正孔注入層が形成される。
【0088】
例えば、正孔注入層の材料として、MoO(三酸化モリブデ)、V(五酸化バナジウム)、PEDOT:PPS(3,4-エチレンジオキシチオフェンポリマー:ポリスチレンスルホネート)などの材料を含むことができる。
【0089】
例えば、正孔輸送層の下地基板から遠く離れる側に、蒸着法または溶液法により正孔輸送層を形成することができる。
【0090】
例えば、正孔輸送層の下地基板から遠く離れる側に発光層が形成され、発光層の材料として、Alq(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)及びDMQA(キナクリドン)などの材料を含む。
【0091】
例えば、発光層の下地基板から遠く離れる側に電子輸送層が形成され、電子輸送層の材料として、Liq(リチウムキノリン)、Alq(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)などの材料を含むことができる。
【0092】
例えば、電子輸送層の下地基板から遠く離れる側に透明電極層を形成する。
【0093】
例えば、化学気相成長法、マグネトロンスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、溶液スピンコート法などにより、電子輸送層上に透明電極層の全体を形成することができる。
【0094】
例えば、透明電極層の材料としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、Mg:Ag(マグネシウム銀合金)、Mg:Al(マグネシウムアルミニウム合金)、Au(金)、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0095】
S303:エレクトロルミネセンスユニットの前記透明電極層が形成されている側に、前記透明電極層の少なくとも一部に接する第1の光カップリング出力層を形成し、前記第1の光カップリング出力層は導電層である。
【0096】
例えば、透明電極層に第1の光カップリング出力層を形成することには、透明電極層のエレクトロルミネセンスユニットから遠く離れる側に、第1のホスト材料及び第1のn型ドーピング材料または第1のp型ドーピング材料を蒸着することで、前記第1の光カップリング出力層を形成することを含む。本実施形態で形成される第1の光カップリング出力層が光出力を増加させる効果を有すると同時に、比較的に良好な導電性を有するので、透明電極層の導通を補助し、表示パネルの電圧降下(IR-drop)を減少し、デバイスの均一性を高める。
【0097】
例えば、第1の光カップリング出力層の材料として、NPB(N,N´-ビス(1-ナフチル)-N,N´-ジフェニル-1,1´-ジフェニル-4,4´-ジアミン)、TPD(N,N´-ビス(3-メチルフェニル)-N,N´-ジフェニル-1,1´-ジフェニル-4,4´-ジアミン)またはAlq(8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)などの材料を含むことができる。すなわち、第1の光カップリング出力層の材料として、正孔輸送層または電子輸送層と同じ半導体材料を選択することができる。本実施形態は前記内容を含むが、これに限定されない。
【0098】
例えば、第1の光カップリング出力層は、ホスト材料としてNPD(N,N´-ジフェニル-N,N´-(1-ナフチル)-1,1´-ビフェニル-4,4´-ジアミン)を使用し、ドーピング材料としてHAT-CN(11-ヘキサシアノ-1,12-ヘキサアザベンゾフェナントレン)を使用し、NPDをp型ドーピング(p-doping)してより良好な導電性を有する第1の光カップリング出力層を形成する。
【0099】
例えば、本実施形態は、HAT-CN材料をドーピングすることに限定されず、F4TCNQ(2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7´,8,8´-テトラシアノキノン-ジメタン)、HAT-CN、MoO(モリブデン酸化物)、V(五酸化バナジウム)、WO(三酸化タングステン)などのp型ドーパントが挙げられる。
【0100】
例えば、第1の光カップリング出力層は、Liq(リチウムキノリン)をホスト材料として使用し、Cs(セリウム)をドーピング材料として使用し、Liqにn型ドーピング(n-doping)を行うことにより良好的な導電性を有する第1の光カップリング出力層を形成する。
【0101】
例えば、本実施形態は、Cs材料のドーピングに限定されず、Li(リチウム)、Li CO(炭酸リチウム)、CsCO(炭酸セリウム)などのn型ドーパントを用いてもよい。
【0102】
例えば、下地基板と垂直な方向に沿い、第1の光カップリング出力層の厚さは40~100nmであり、本実施形態が前記内容を含むが、これに限定されない。
【0103】
例えば、本実施形態の一つの実施形態に係る製造方法が次の内容を含む。前記第1の光カップリング出力層の前記透明電極層から遠く離れる側に、前記第2の光カップリング出力層が形成され、前記第2の光カップリング出力層の屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より小さくすることで光出力を増加する。
【0104】
例えば、本実施形態において、前記第2の光カップリング出力層を形成することには、前記第1の光カップリング出力層の前記透明電極層から遠く離れる側に、第2のホスト材料及び第2のn型ドーピング材料または第2のp型ドーピング材料を蒸着することで、前記第2の光カップリング出力層を形成し、前記第2の光カップリング出力層が前記透明電極層の一部分に接することを含むことができる。
【0105】
例えば、本実施形態において、第2の光カップリング出力層はp型ドーピングまたはn型ドーピングを行わず、光出力を増加させる役割のみを果たす光カップリング出力層であってもよく、透明電極層に接する必要がない。
【0106】
例えば、本実施形態の他の例に係る製造方法には、前記第1の光カップリング出力層と前記透明電極層の間に、第2の光カップリング出力層が形成され、前記第2の光カップリング出力層の屈折率が前記第1の光カップリング出力層の屈折率より大きくすることで、光出力を増加させることを含むことができる。
【0107】
例えば、本実施形態の第2の光カップリング出力層は、第2のp型ドーピング材料または第2のn型ドーピング材料を含む半導体層であってもよく、p型ドーピングまたはn型ドーピングを行わず、光出力を増加させる役割のみを果たす光カップリング出力層であってもよい。本例は前記内容に限定されない。
【0108】
例えば、第1の光カップリング出力層を形成した後、または2つの光カップリング出力層を形成した後に、紫外線パッケージまたはガラスフリットパッケージで、デバイスをパッケージングすることができる。
【0109】
本開示の他の例は表示装置を提供し、該表示装置が上記実施形態でのいずれかの表示パネルを含む。該表示装置を、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ノートブックコンピュータ、デジタルフォトフレーム、ナビゲータなどのような表示機能を有する任意の製品または部品にすることができる。
【0110】
該表示装置に含まれる第1の光カップリング出力層が比較的に良好な導電性を有し、透明電極層の導通を補助し、透明電極層の厚さを減少させ、表示装置の電圧降下を減少させ、デバイスの均一性を高める。
【0111】
注意すべき点がいくつかある:
(1)他に限定されない限り、本実施形態及び図面において、同じ表記が同じ意味を示す。
(2)本願の実施形態の図面では、本実施形態に関連する構造のみに関わり、他の構造は、一般的な設計を参照することができる。
(3)明確にするために、本実施形態を説明するための図面では、層または領域が拡大されることがある。例えば、層、膜、領域または基板のような要素が別の要素の「上にある」または「下にある」と述べられた場合、該要素は「直接的に」他の要素の「上に」または「下にある」位置してもよく、または中間要素が存在してもよい。
【0112】
上記内容は、本開示の具体的な実施形態のみであり、本願の保護範囲は、前記内容に限定されない。本分野の技術に詳しい当業者は本願に開示された技術範囲内で、簡単に考られる変化或は交替のいずれも本願の保護範囲内に属する。よって、本願の保護範囲は特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0113】
100 下地基板
110 エレクトロルミネセンスユニット
120 透明電極層(第1の光カップリング出力層)
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4