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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】注入アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20221227BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20221227BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A61M39/10 110
A61M5/14 510
A61M5/14 580
A61M5/168 540
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021096801
(22)【出願日】2021-06-09
(62)【分割の表示】P 2019135429の分割
【原出願日】2016-01-08
(65)【公開番号】P2021154138
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】62/101,551
(32)【優先日】2015-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン イェブメネンコ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ブレント フーバー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-522281(JP,A)
【文献】特開2010-063886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0089475(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0204080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 5/14
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液容器との接続のための注入アダプタであって、
接続部であって、輸液容器の注入ポートと係合するように構成された接続部、および、
静脈ラインに接続するように構成されたポートであって、前記接続部と流体連通しているポート
を備え、
前記接続部は前記接続部から半径方向外側へ延びる保持リングを含んでおり、前記保持リングは、前記注入アダプタがいったん前記輸液容器に接続されると前記注入アダプタを前記輸液容器にしっかりと接続して前記輸液容器から前記注入アダプタが外れることを実質的に防止するように構成され、
前記保持リングは複数の凹部によって間を空けて互いに離れている複数の歯を画定する、注入アダプタ。
【請求項2】
前記複数の歯、および、前記複数の凹部はそれぞれ長方形である、請求項1に記載の注入アダプタ。
【請求項3】
前記保持リングは周縁が鋸歯状である、請求項2に記載の注入アダプタ。
【請求項4】
前記保持リングは、第1の端部と、第2の端部であって、前記第1の端部に対向して位置決めされた第2の端部とを含んでおり、前記複数の凹部は、前記第2の端部から前記第1の端部と前記第2の端部の中間位置まで延在している、請求項1~3のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項5】
前記保持リングは、前記注入アダプタの本体が画定する止め部に隣接して位置決めされている、請求項1~4のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項6】
前記保持リングは、テーパーが付けられ丸みを帯びた表面を有する第1の側部、および、前記第1の側部の反対側に位置決めされた第2の側部を有し、前記保持リングの前記第2の側部は、前記注入アダプタを前記輸液容器から引き抜くことを試みた際に前記輸液容器の一部と係合するシャープなエッジを画定する、請求項1~5のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項7】
前記接続部が穿刺点を含む、請求項1~6のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項8】
前記保持リングは、輸液容器の注入ポートへの前記接続部の挿入の視覚化を提供するインジケータを含んでいる、請求項1に記載の注入アダプタ。
【請求項9】
前記インジケータは第1の材料から形成され、および、前記保持リングの残りの部分は第2の材料から形成され、および、前記第1の材料は前記第2の材料より軟質である、請求項8に記載の注入アダプタ。
【請求項10】
前記第1の材料がエラストマー材料である、請求項9に記載の注入アダプタ。
【請求項11】
前記第1の材料が熱可塑性エラストマーである、請求項10に記載の注入アダプタ。
【請求項12】
前記インジケータは、前記保持リングの残りの部分よりも半径方向外側にさらに延在する、請求項8~11のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項13】
前記保持リングは、第1の側部と、第2の側部であって、前記第1の側部に対向して位置決めされた第2の側部とを含んでおり、前記インジケータは環状であり、および、前記保持リングの前記第1の側部と前記第2の側部の間に位置決めされている、請求項8~12のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項14】
前記インジケータは丸みを帯びた外側部分を含む、請求項8~13のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項15】
前記保持リングは、前記注入アダプタの本体が画定する止め部に隣接して位置決めされている、請求項8~14のいずれかに記載の注入アダプタ。
【請求項16】
前記保持リングは、テーパーが付けられ丸みを帯びた表面を有する第1の側部、および、前記第1の側部の反対側に位置決めされた第2の側部を有し、前記保持リングの前記第2の側部は、前記注入アダプタを前記輸液容器から引き抜くことを試みた際に前記輸液容器の一部と係合するシャープなエッジを画定する、請求項8~15のいずれかに記載の注入アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して注入アダプタに関し、より詳細には、注入アダプタであって、薬物送達処置のための点滴バッグに該アダプタをしっかりと接続するための注入アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
この出願は、2015年1月9日に出願された「注入アダプタ」と題された米国仮出願第62/101,551号の優先権を主張するものであり、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の背景
静脈内治療の適用は、患者が注入および投薬治療を受けることを可能にする。例えば、治療は、静脈内経路および皮下または下皮経路を用いるIVによる薬物の投与、すなわち血流および皮膚下への投与を含み得る。静脈内治療の適用によって患者に提供し得る医療処置の例には、抗生物質、疼痛管理薬、癌治療、および、類似の薬物が含まれる。
【0004】
薬剤は、注射器アセンブリが包装されて患者に送達される前に薬剤で予め充填される「予め充填された」デバイスとして包装されてもよい。「予め充填された」デバイスは、ユーザが注入前にデバイスに充填する必要性を排除する。
【0005】
特定の薬物または薬剤は、好ましくは、粉末または乾燥した形態(凍結乾燥形態など)で提供され、投与前の再構成が必要である。例えば、凍結乾燥された薬物は、典型的には、物質を注射に適した形態に再構成するために希釈剤と混合される必要がある凍結乾燥形態で供給される。さらに、薬物は、投与前に混合を必要とするマルチパートシステムとして提供されてもよい。例えば、流動性スラリーのような1つ以上の液体成分、および、粉末成分または顆粒成分のような1つ以上の乾燥成分が、投与前に混合を必要とする別々の容器内に提供され得る。
【0006】
患者には、静脈内チューブと必要な投薬を含む注射器および/またはシリンジアセンブリを受け入れるように適合されたコネクタとを含む静脈内システムが提供されることもある。このようにして、処置が必要な場合、患者または医師は注射器アセンブリをコネクタに接続し、その後、注射器および/または注射器アセンブリ、コネクタ、および、静脈管を介して、患者に対し静脈に薬物を注入することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
注入を行うとき、注入バッグまたは他の輸液容器内の輸液に薬物または他の医療物質を注入することがしばしば必要である。これは、しばしば、問題の医療用液体で満たされたシリンジの針を用いて、注入バッグ上の注入ポートまたは輸液ライン上の隔壁または他の流体障壁を貫通させることによって行われる。しかしながら、シリンジと注入バッグの注入ポートの間の安全でない接続は、注入バッグからの不注意によるまたは偶発的なシリンジの離脱、漏れによる作業環境の汚染、および、注入バッグの注入ポートの流体障壁を貫通させるために高い力が必要になること、などの課題を生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、輸液容器との接続のための注入アダプタは、輸液容器の注入ポートに係合するように構成された接続部、および、静脈ラインと接続するように構成されたポートであって前記接続部と流体連通しているポートを含む。前記接続部は該接続部から半径方向外側へ延びる保持リングを含んでおり、該保持リングは、前記注入アダプタがいったん前記輸液容器に接続されると該注入アダプタを該輸液容器にしっかりと接続して該輸液容器から該注入アダプタが外れることを実質的に防止するように構成されている。前記保持リングは、輸液容器の注入ポートへの前記接続部の挿入の視覚化を提供するインジケータを含んでいる。
【0009】
前記インジケータは第1の材料から形成されていてよく、前記保持リングの残りの部分は第2の材料から形成されていてよく、前記第1の材料は前記第2の材料よりも軟質である。前記第1の材料は熱可塑性エラストマーなどのエラストマー材料であってよい。
【0010】
前記インジケータは、前記保持リングの残りの部分よりも半径方向外側にさらに延在することができる。前記保持リングは、第1の側部と前記第1の側部に対向して位置決めされた第2の側部を含むことができ、前記インジケータは環状であってよく、前記保持リングの前記第1の側部と前記第2の側部の間に位置決めされている。前記インジケータは丸みを帯びた外側部分を含むことができる。
【0011】
前記保持リングは、前記注入アダプタの本体が画定する止め部に隣接して位置決めされてもよい。前記保持リングは、テーパーが付けられ丸みを帯びた表面を有する第1の側部および前記第1の側部の反対側に位置決めされた第2の側部を有し、前記保持リングの前記第2の側部は、前記注入アダプタを前記輸液容器から引き抜くことを試みた際に前記輸液容器の一部と係合するシャープなエッジを画定する。
【0012】
前記注入アダプタは、複数の保持リングを含んでいてよい。前記接続部は穿刺点を含んでもよい。さらに、前記注入アダプタは、注射器アダプタと接続するように構成された注射器アダプタポートを含むことができる。前記保持リングは、周縁が鋸歯状であってもよい。インジケータは、2ショット成形プロセスによって形成することができる。
【0013】
さらなる態様では、輸液容器と接続するための注入アダプタは、前記輸液容器の注入ポートと係合するように構成された接続部と、静脈ラインと接続するように構成されたポートであって前記接続部と接続されたポートを含む。前記接続部は前記接続部から半径方向外側へ延びる保持リングを含み、前記保持リングは、前記注入アダプタがいったん前記輸液容器に接続されると該注入アダプタを該輸液容器にしっかりと接続して該輸液容器から該注入アダプタが外れることを実質的に防止するように構成されている。前記保持リングは複数の歯を画定する。
【0014】
前記複数の歯は、複数の凹部によって画定されおよび間を空けて互いに離れていてよい。前記複数の歯および前記複数の凹部はそれぞれ長方形であってもよい。前記保持リングは、第1の端部と前記第1の端部に対向して位置決めされた第2の端部を含み、前記複数の凹部は、前記第2の端部から前記第1の端部と前記第2の端部の中間の位置まで延在している。
【0015】
前記保持リングは、前記注入アダプタの本体が画定する止め部に隣接して配置されてもよい。前記保持リングは、テーパーが付けられ丸みを帯びた表面を有する第1の側部および前記第1の側部の反対側に位置決めされた第2の側部を有し、前記保持リングの前記第2の側部は、前記注入アダプタを前記輸液容器から引き抜くことを試みた際に前記輸液容器の一部と係合するシャープなエッジを画定する。
【0016】
前記接続部は穿刺点を含んでいてよく、前記注入アダプタは、注射器アダプタと接続するように構成された注射器アダプタポートをさらに含み得る。前記保持リングは、輸液容器の注入ポートへの前記接続部の挿入の視覚化を提供するように構成されたインジケータを含むことができる。
【0017】
本開示の上述のおよび他の特徴および利点並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と関連してなされる本開示の実施形態の以下の説明を参照することでより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一態様による注入アダプタの斜視図である。
図2】本発明の一態様による図1の注入アダプタの右側面図である。
図2A】本発明の一態様による図2Aに示された領域2Aの拡大図である。
図3】本発明の一態様による図1の注入アダプタの底面図である。
図4】本発明の一態様による図3に示された4-4線に沿った断面図である。
図5】本発明の一態様による図4の注入アダプタの正面図である。
図6】本発明の一態様による図5の注入アダプタの背面図である。
図7図3に示された4-4線に沿った断面図であり、本発明の一態様による輸液容器のポートに挿入される注入アダプタを示している。
図8】本発明の第2の態様による注入アダプタの斜視図である。
図9】本発明の第3の態様による注入アダプタの右側面図である。
図10】本発明の第4の態様による注入アダプタの右側面図である。
図11】本発明の第5の態様による注入アダプタの斜視図である。
図12】本発明の一態様による図11の注入アダプタの右側面図である。
図12A】本発明の一態様による図12に示された領域12Aの拡大図である。
図13】本発明の第6の態様による注入アダプタの斜視図である。
図14】本発明の第7の態様による注入アダプタの右側面図である。
図14A】本発明の一態様による図14に示された領域14Aの拡大図である。
図15】本発明の第8の態様による注入アダプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
対応する参照文字は、いくつかの図を通じて対応する部分を示す。本明細書に記載されている例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、そのような例示は、如何なる方法であっても本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0020】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される記載された実施形態を製作し使用することを可能にするために提供される。しかしながら、当業者には、様々な変更、等価物、変形、および代替物が容易に明らかであろう。そのような変更、変形、等価物、および代替物のいずれかおよび全部が本発明の精神および範囲内に入ることが意図される。
【0021】
以下の説明の目的のために、用語「上(upper)」、「下(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「横(lateral)」、「長手(vertical)」、および、それらの派生語は、図面に示されているように本発明に関連するものとする。しかしながら、本発明は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形を想定することができることを理解されたい。添付の図面に示され、以下の明細書に記載された特定の装置は、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性を限定的なものとみなすべきではない。
【0022】
図1図7を参照すると、注入アダプタ10は、第1の端部14に位置する接続部12と、第1のポート端部18に位置する第1のポート16と、第2のポート端部22に位置する第2のポート20を含む。接続部12は、アンカー構成要素24と流体チャネル26と流体チャネル32を含むが、単一のチャネル構成のみを利用することもできる。第1のポート16は第1のポート流体チャネル28を含み、および、第2のポート20は第2のポート流体チャネル30を含む。図4および図7により明確に示すように、接続部12の流体チャネル32は第1のポート16の第1のポート流体チャネル28と流体連通しており、そのために、流体が第1のポート16の注入アダプタ10に流入し、第1のポート流体チャネル28を通って接続部12の流体チャネル32へ進み、そして、注入アダプタ10の第1の端部14を出ることができる。接続部12の流体チャネル26は第2のポート20の第2のポート流体チャネル30と流体連通しており、そのために、流体は、接続部12の第1の端部14において注入アダプタ10に流入し、流体チャネル26を通って第2のポート流体チャネル30へ進み、そして、注入アダプタ10の第2のポート20から出る。
【0023】
図1図7を参照すると、一実施形態において、注入アダプタ10は、概してY字形を有していてよい。さらに、第1のポート16が薬剤流体を含む注射器アセンブリに接続され、および、第2のポート20が患者の血流への接続に適合している静脈内ラインに接続されるように第1のポート16が第2のポート20から所定の距離だけ離れている限り、注入アダプタ10は、以下でより詳細に説明されるように様々な形状およびサイズで利用可能にされ得ることが予期される。例えば、別の実施形態において、注入アダプタ10は概略T字形を含むことができる。
【0024】
図4を参照すると、一実施形態において、注入アダプタ10は、注入アダプタ10の本体36に取り外し可能に接続可能な静脈ラインコネクタ34を含むことができる。そのような実施形態において、本体36は、第1の接続部40を有する静脈ラインコネクタ受容端38を含む。さらに、静脈ラインコネクタ34は、第2の接続部44を有する本体受容端42を含む。静脈ラインコネクタ34は、ヒンジ部48により開位置と閉位置の間で旋回可能なエンドキャップ46を含む。
【0025】
静脈ラインコネクタ34は、静脈ラインコネクタ34の本体受容端42を本体36の静脈ラインコネクタ受容端38と係合するように位置決めすることによって、本体36に接続することができる。一実施形態において、静脈ラインコネクタ34の第2の接続部44を本体36の第1の接続部40と係合させ、および、第1の接続部40および第2の接続部44を螺合させることによって、静脈ラインコネクタ34を本体36に固定することができる。別の実施形態において、圧入、ロックテーパー、締まり嵌め、スナップ嵌め、ボール戻り止め、ロックタブ、ばね荷重ロック機構、ラッチ、接着剤、または他の類似の機構を使用して、静脈ラインコネクタ34の第2の接続部44を本体36の第1の接続部40に固定することができる。このようにして、静脈ラインコネクタ34は本体36にロックされ、すなわち、静脈ラインコネクタ34と本体36の間の顕著な相対移動が防止される。別の実施形態において、静脈ラインコネクタ34および本体36を一体的に形成してもよい。
【0026】
図1図7を参照すると、注入アダプタ10の接続部12は、アンカー構成要素24と、第1の端部14に隣接して配置された穿刺点60を含む。一実施形態において、アンカー構成要素24は保持リング50を含む。保持リング50は連結部12から半径方向外側へ延びており、注入アダプタ10の本体36によって画定される止め部52に隣接して位置決めされている。保持リング50と止め部52の間にスペース54が設けられている。保持リング50は、テーパーが付けられ且つ丸みを帯びた表面を有する第1の側部56であって、以下でより詳細に説明する、図7に示された点滴バッグなどの輸液容器の注入ポート内への接続部12および保持リング50の挿入を容易にするように構成されている第1の側部56を有している。第1の側部56に対向して位置決めされた、保持リング50の第2の側部58は、一旦その中に挿入されると輸液容器からの接続部12の引き出しまたは引き抜きに抵抗するシャープなエッジ62を有する。保持リング50の平坦面および保持リング50の半径方向外面が、シャープなエッジ62を画定する。保持リング50は、注入アダプタ10とバッグの間に漏れ防止シールを含むことなく、注入アダプタ10のポートを輸液容器のポートでさらに保持するように構成される。特に、保持リング50は輸液容器のポートに楔作用を提供し、保持リング50の相対的に小さな外形が漏れ防止シールを維持しつつ、接続部12をバッグにさらに固定する。
【0027】
図7を参照すると、注入アダプタ10の接続部12は輸液容器のポートに挿入される。挿入時に、容器のコンプライアントポートは、保持リング50の第1の側部56がポートを使って楔効果を生成しながら挿入を可能として、接続部12および保持リング50と係合する。接続部12のアンカー構成要素24が輸液容器102の注入ポート104に接続された状態で、輸液容器102からの注入アダプタ10の離脱が防止されるように、アンカー構成要素24は注入アダプタ10を輸液容器102にしっかりと接続する。このようにして、アンカー構成要素24は、薬物移送処置の間に、注入アダプタ10が輸液容器102から偶発的におよび不注意で外れることを防止し、および、注入アダプタ10と輸液容器102の間に漏れのない接続を提供する。輸液容器102はまた、第2のポート108を含むことができる。
【0028】
一実施形態において、注入アダプタ10は、ニュージャージーのフランクリンレイクスのベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーから入手できるBecton Dickinson(「BD」)PhaSeal(商標)システムと互換性のあるPhaSealアダプタを含む。
【0029】
前述したように、静脈内治療の適用は、患者が注入および薬物療法を受けることを可能にする。例えば、治療は静脈内および皮下または下皮経路を用いるIVによる薬物の投与、すなわち血流および皮膚下への投与を含み得る。静脈内治療の適用によって患者に提供し得る医療処置の例は、抗生物質、疼痛管理薬、癌治療、および、類似の薬物を含む。
【0030】
注入アダプタ10がアンカー構成要素24により輸液容器102の注入ポート104にしっかりと接続された状態で、患者または医療従事者は注射器アセンブリ(不図示)を注入アダプタ10の第1のポート16に接続することができる。第1のポート16は、どのような適切な接続配置およびどのような適切なシリンジアダプタに対しても互換性があり得る。注射器アセンブリが第1のポート16に接続された状態で、注射器アセンブリに収容された薬剤流体を、注入アダプタ10により輸液容器102内に注入することができる。注射器アセンブリは、次に、注入アダプタ10から外され、そして、輸液容器102は看護へ送られ、患者に投与される準備が整う。例えば、静脈ラインまたは静脈内チューブを、静脈チューブの他端を患者の血流に接続した状態で、注入アダプタ10の第2のポート20に接続することができる。このようにして、薬物を患者に静脈内投与することができる。
【0031】
図8を参照すると、第2の態様による注入アダプタ10Aは、図1図7に示した静脈ラインコネクタ34を備えるのではなく、静脈内チューブ110との直接接続を含む。
【0032】
図9を参照すると、第3の態様による注入アダプタ10Bは、静脈内チューブ用の直接接続を含み、図1図7に示した第1のポート16を含まない。
【0033】
図10を参照すると、第4の態様による注入アダプタ10Cは、複数の保持リング50A、50Bを含む。保持リング50A、50Bのうちの1つは、保持リング50A、50Bのうちの他の1つよりもさらに半径方向外側に延在することができる。保持リング50A、50Bは、注入アダプタ10Cの長手方向に互いに間を空けて離れている。穿刺点60に最も近い保持リング50Aは、他の保持リング50Bよりも径が小さく且つ半径方向外側により少なく延びているが、他の適切な構成を利用することもできる。
【0034】
図11図12Aを参照すると、第5の態様による注入アダプタ110Dは、間を空けて離れている複数の歯116によって少なくとも部分的に画定される保持リング50Cを含む。歯116は、凹部118により画定され且つ間を空けて離れている。間を空けて離れた歯116および凹部118は、長方形の形状であってもよい。したがって、図11図12Aの保持リング50Cは、周縁が鋸歯状である。保持リング50Cは、穿刺点60に最も近く位置決めされた第1の端部120と第1の端部120に対向して位置決めされた第2の端部122を含む。凹部118は、第2の端部122から第1の端部120と第2の端部122の中間位置まで、延びている。保持リング50Cは、図1図7と関連して上述した保持リング50と同様に機能することができ、間を空けて配置された歯116が輸液容器102の注入ポート104とのさらなる係合を提供する。
【0035】
図13を参照すると、第6の態様による注入アダプタ10Eは、着色されたリング形状領域などのインジケータ112を有する保持リング50Dを含む。インジケータ112は、輸液容器102の注入ポート104への接続部12の完全な挿入を視覚化する助けとなる。他の適切な視覚的、触覚的、可聴的、または、他のタイプの表示も利用することができる。
【0036】
図14および図14Aを参照すると、第7の態様による注入アダプタ10Fは、熱可塑性エラストマー(TPE)などのエラストマー材料から2ショット成形プロセスによって形成されたインジケータ112Aを有する保持リング50Eを含む。インジケータ112Aのエラストマー材料は、輸液容器102からの注入アダプタ10Fの引き出し抵抗を、より高い摩擦係数を提供することによってさらに増加させる。インジケータ112Aはまた、輸液容器102の注入ポート104への接続部12の挿入の視覚化を提供するように構成されている。特に、インジケータ112Aが注入ポート104内に受容されて注入ポート104の外側ではもはや見えないように輸液容器102の注入ポート104に接続部12を挿入することは、接続部が注入ポート104内に完全に挿入されたことの指示をユーザに対し提供する。
【0037】
インジケータ112Aを含まない保持リング50Eは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル、ナイロンまたは類似の材料などの熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーから作ることができる。インジケータ112Aは、環状の形状であってもよく、保持リング50Eの第1の側部56と第2の側部58の間に位置決めされてもよい。インジケータ112Aは、保持リング50Eの残りの部分よりも半径方向外側にさらに延びている。インジケータ112Aの外側の部分124は丸みを帯びている。上述したように、インジケータ112Aは、保持リング50Eの残りの部分の材料よりも軟質の材料から作られてもよい。特に、インジケータ112Aは約10~100の間のショアA硬度を有する材料から作られてもよく、保持リング50Eの残りの部分は、約40~100の間のショアD硬度を有する材料から作られてもよい。
【0038】
図15を参照すると、第8の態様による注入アダプタ10Gは、接続部12から半径方向外側へ延びる複数の鉤状部114を含むアンカー構成要素24Aを含む。複数の鉤状部114は、接続部12の残りの部分と共に成形されてもよい。複数の鉤状部114のそれぞれは、注入アダプタ10の第1の端部14から離れて延びていて輸液容器102の注入ポート104への接続部12の挿入を可能にし、しかし、挿入後は、注入部104から接続部12を取り除くことを禁止する。
【0039】
インジケータの構成は注入アダプタ10E、10Fに関連して示されているが、他の注入アダプタ10,10A、10B、10C、10D、10Gのそれぞれはまた、輸液容器102の注入ポート104への接続部12の挿入の視覚化を提供するように構成されたインジケータを含むことができる。インジケータは、接続部12の残りの部分とは異なる色または材料を有する接続部12の一部であってもよいが、他の適切な視覚的、触覚的、可聴的、または、他のタイプの表示を利用することもできる。
【0040】
本開示は、例示的な設計を有するものとして説明してきたが、本開示は、本開示の精神および範囲内でさらに変更することができる。したがって、この出願は、その一般原則を使用して、開示の変形、使用、または適合をカバーすることを意図している。さらに、この出願は、本開示が関連し、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る、当業者に知られているまたは慣習的な慣習に入る本開示からの、そのような逸脱をカバーすることが意図される。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図12A
図13
図14
図14A
図15