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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 10/00 20060101AFI20230105BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20230105BHJP
   G04G 19/12 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
G04C10/00 Z
G04G19/00 Z
G04G19/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019042178
(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2019174454
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2018059347
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 将吾
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 顕斉
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第00/070411(WO,A1)
【文献】特開平08-278380(JP,A)
【文献】特開2017-096776(JP,A)
【文献】国際公開第01/098843(WO,A1)
【文献】特開2015-175764(JP,A)
【文献】特開2003-232874(JP,A)
【文献】特開2010-243159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G04R 20/00-60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機構と、
前記発電機構で発電された電力によって充電される電池と、
秒針を含む指針と、
前記指針を回転させる駆動源と、
前記電池から供給される電力によって前記駆動源を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、電力消費を抑制する節電モードで、かつ前記発電機構において発電がなされない状態で第一の判定時間が経過した場合に前記駆動回路および前記制御回路を停止する第一停止動作を実行し、
前記制御回路は、前記節電モードにおいて前記電池の電圧が所定値以下である状態で第二の判定時間が経過した場合に前記駆動回路および前記制御回路を停止する第二停止動作を実行する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記節電モードでは、前記指針のうち少なくとも前記秒針を停止させて電力消費を抑制する
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記節電モードは、前記発電機構において発電がなされない状態が継続した場合に前記秒針を停止させる第一節電モード、および前記電池の電圧が低下している場合に前記秒針を停止させる第二節電モードを含む
請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記第二節電モードにおける前記第二の判定時間は、前記第一節電モードにおける前記第一の判定時間よりも短い
請求項3に記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御回路は、前記第一節電モードにおいて第一の位置で前記秒針を停止させ、前記第二節電モードにおいて前記第一の位置とは異なる第二の位置で前記秒針を停止させる
請求項3または4に記載の電子時計。
【請求項6】
前記制御回路は、前記第一節電モードにおいて前記第一停止動作を実行するときに、前記秒針を前記第一の位置で停止させたまま前記駆動回路および前記制御回路を停止し、
前記制御回路は、前記第二節電モードにおいて前記第二停止動作を実行するときに、前記秒針を前記第二の位置で停止させたまま前記駆動回路および前記制御回路を停止する
請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
前記制御回路は、前記第一節電モードにおいて前記電池の電圧が低下すると、前記第二節電モードへモードを移行させる
請求項3から6の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第一節電モードにおいて前記発電機構による発電時間が第三の判定時間以上となると前記秒針の運針を開始し、前記第二節電モードにおいて前記発電機構による発電時間が第四の判定時間以上となると前記秒針の運針を開始し、
前記第四の判定時間は、前記第三の判定時間よりも長い
請求項3から7の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項9】
前記制御回路は、前記第一節電モードにおいて、前記発電機構による連続発電時間と前記第三の判定時間との比較結果に基づいて前記秒針の運針を開始するか否かを決定し、
前記制御回路は、前記第二節電モードにおいて、前記発電機構による累積発電時間と前記第四の判定時間との比較結果に基づいて前記秒針の運針を開始するか否かを決定する
請求項8に記載の電子時計。
【請求項10】
前記制御回路は、操作部に対するユーザの操作によって前記秒針が停止しているときに前記第一停止動作および前記第二停止動作を実行する
請求項1から9の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項11】
前記制御回路は、前記操作部に対する操作に応じて前記駆動回路によって前記秒針を停止させ、
前記制御回路は、前記秒針を停止させている間に前記電池の電圧が前記所定値以下となると、前記電池の電圧低下を示す警告位置まで前記秒針を回転させ、前記警告位置で前記秒針を停止させる
請求項10に記載の電子時計。
【請求項12】
前記制御回路は、前記秒針を停止させて電力消費を抑制する節電モードへ移行する際、および前記節電モードから復帰する際の少なくとも一方において、前記指針の位置検出を行う
請求項1に記載の電子時計。
【請求項13】
前記制御回路は、前記節電モードにおいて前記第一停止動作を実行する際、前記節電モードにおいて前記第二停止動作を実行する際、および前記駆動回路および前記制御回路の動作を再開する際、の少なくとも一つにおいて、前記指針の位置検出を行う
請求項2に記載の電子時計。
【請求項14】
前記制御回路は、前記第二停止動作によって前記駆動回路および前記制御回路が停止されている場合、前記発電機構による発電量に基づいて前記駆動回路および前記制御回路の動作を再開させる
請求項1から10の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項15】
前記制御回路は、過去の一定期間における前記発電機構の発電量が少ない場合、当該期間における前記発電機構の発電量が多い場合と比較して前記第一の判定時間を短くする
請求項1から10の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項16】
前記制御回路は、前記電池の電圧が低い場合、前記電池の電圧が高い場合と比較して前記第一の判定時間を短くする
請求項1から10、15の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項17】
前記制御回路は、過去の一定期間における前記発電機構の発電量が少ない場合、当該期間における前記発電機構の発電量が多い場合と比較して前記第二の判定時間を短くする
請求項1から10の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項18】
前記制御回路は、過去の一定期間における前記発電機構の発電量が少ない場合、当該期間における前記発電機構の発電量が多い場合と比較して、前記発電機構において発電がなされなくなってから短時間で前記第一節電モードを開始する
請求項3から9の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項19】
前記制御回路は、前記第一節電モードにおいて前記発電機構による発電時間が所定時間以上となると前記秒針の運針を開始し、
前記制御回路は、前記第一節電モードを開始する前の一定期間における前記発電機構の発電量が多い場合、当該期間における前記発電機構の発電量が少ない場合と比較して、前記所定時間を短くする
請求項3から9、18の何れか1項に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の動作を停止させる技術がある。特許文献1には、被駆動部の動作モードを、通常の駆動を行う駆動モードと節電モードとに切換えるモード切換部と、該モード切換部によって節電モードにあるときに、電源部に蓄えられている電気エネルギ量が所定の電気エネルギ量よりも小さくなったと判定した場合に、駆動制御部の動作を停止させる動作停止部とを具備する電子機器の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3525897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子時計において動作時間の延長を図ることについて、なお改良の余地がある。例えば、電子時計を停止させる条件をより適切なものとすれば、電力消費を抑制し、動作時間を延長させることができる。
【0005】
本発明の目的は、動作時間の延長を図ることができる電子時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子時計は、発電機構と、前記発電機構で発電された電力によって充電される電池と、秒針を含む指針と、前記指針を回転させる駆動源と、前記電池から供給される電力によって前記駆動源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、電力消費を抑制する節電モードで、かつ前記発電機構において発電がなされない状態で第一の判定時間が経過した場合に前記駆動回路および前記制御回路を停止する第一停止動作を実行し、前記制御回路は、前記節電モードで、かつ前記電池の電圧が所定値以下である状態で第二の判定時間が経過した場合に前記駆動回路および前記制御回路を停止する第二停止動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子時計は、発電機構と、発電機構で発電された電力によって充電される電池と、秒針を含む指針と、指針を回転させる駆動源と、電池から供給される電力によって駆動源を駆動する駆動回路と、駆動回路を制御する制御回路と、を備える。制御回路は、電力消費を抑制する節電モードで、かつ発電機構において発電がなされない状態で第一の判定時間が経過した場合に駆動回路および制御回路を停止する第一停止動作を実行する。制御回路は、節電モードで、かつ電池の電圧が所定値以下である状態で第二の判定時間が経過した場合に駆動回路および制御回路を停止する第二停止動作を実行する。
【0008】
本発明に係る電子時計は、発電がなされない状態での経過時間に基づく第一停止動作、および電池の電圧が所定値以下である状態での経過時間に基づく第二停止動作を実行する。よって、本発明に係る電子時計は、電池電圧の低下を抑制し、動作時間の延長を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電子時計の正面図である。
図2図2は、実施形態に係る電子時計のブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る静電モータの概略構成図である。
図4図4は、実施形態に係る静電モータの斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る電子時計のモード移行を説明する図である。
図6図6は、実施形態に係る電子時計のモード移行を説明する他の図である。
図7図7は、実施形態の第2変形例に係るフローチャートである。
図8図8は、実施形態の第2変形例に係る他のフローチャートである。
図9図9は、実施形態の第3変形例に係るフローチャートである。
図10図10は、実施形態の第3変形例に係る他のフローチャートである。
図11図11は、実施形態の第3変形例に係る更に他のフローチャートである。
図12図12は、実施形態の第4変形例に係るフローチャートである。
図13図13は、実施形態の第5変形例に係るフローチャートである。
図14図14は、実施形態の第5変形例に係る他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る電子時計につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1から図6を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、電子時計に関する。図1は、実施形態に係る電子時計の正面図、図2は、実施形態に係る電子時計のブロック図、図3は、実施形態に係る静電モータの概略構成図、図4は、実施形態に係る静電モータの斜視図、図5は、実施形態に係る電子時計のモード移行を説明する図、図6は、実施形態に係る電子時計のモード移行を説明する他の図である。
【0012】
本実施形態の電子時計1は、図1に示すように、秒針2、分針3、および時針4によって時刻を表示するアナログ電子時計である。電子時計1は、外装ケース31、文字板32、秒針2、分針3、時針4、および操作部18を有する。本実施形態の電子時計1は、ユーザの腕に装着される腕時計である。電子時計1は、三つの指針(秒針2、分針3、および時針4)によって現在の時刻を表示する。
【0013】
文字板32は、目盛り33および時字34を有する。目盛り33は、指針によって指し示される指標である。目盛り33は、文字板32の外縁部に、周方向に沿って所定の間隔で配置されている。時字34は、各目盛り33に対応する時刻を示す数字である。操作部18は、ユーザによって操作される操作入力部である。本実施形態の操作部18は、リューズである。電子時計1は、操作部18が引き出された状態でユーザによる各種の修正を受け付ける。電子時計1は、操作部18が一段引き出された状態で、ユーザによる時針4および分針3の位置修正を許容する。
【0014】
外装ケース31には、節電表示35および充電警告表示36が設けられている。節電表示35は、電子時計1のモードが節電モードであることを表示する文字や記号である。電子時計1は、後述するように、秒針2が節電表示35を指し示すことで現在のモードが節電モードであることをユーザに示す。本実施形態の節電表示35は、12時の位置に配置されている。電子時計1は、後述するように、充電警告状態である場合に秒針2が充電警告表示36を指し示す。本実施形態の充電警告表示36は、4時の位置に配置されている。なお、節電表示35および充電警告表示36は、文字板32に設けられてもよい。
【0015】
図2に示すように、電子時計1は、更に、秒針車5、分針車6、時針車7、第一減速機構8、第二減速機構9、第三減速機構10、第一のモータ11、第二のモータ12、第一駆動回路13、第二駆動回路14、第一検出部15、第二検出部16、電池17、カウンタ19、制御回路20、および発電機構21を有する。
【0016】
第一のモータ11および第二のモータ12は、双方が電磁モータであっても、双方が静電気力で駆動する静電モータであってもよい。第一のモータ11および第二のモータ12は、一方が静電モータで他方が電磁モータであってもよい。本実施形態では、第一のモータ11を静電モータとし、第二のモータ12を電磁モータとした場合を例に説明する。
【0017】
秒針車5は、秒針2と連結されており、秒針2と一体となって回転する。秒針車5は、秒針2の回転軸である秒針回転軸SSに固定されている。秒針車5は、外周部に歯が形成された回転歯車である。秒針回転軸SSは、外装ケース31の内部において回転自在に支持されている。
【0018】
分針車6は、分針3と連結されており、分針3と一体となって回転する。分針車6は、分針3の回転軸である分針回転軸MSに固定されている。分針車6は、外周部に歯が形成された回転歯車である。分針回転軸MSは、外装ケース31の内部において回転自在に支持されている。
【0019】
時針車7は、時針4と連結されており、時針4と一体となって回転する。時針車7は、時針4の回転軸である時針回転軸HSに固定されている。時針車7は、外周部に歯が形成された回転歯車である。時針回転軸HSは、外装ケース31の内部において回転自在に支持されている。時針回転軸HS、分針回転軸MS、および秒針回転軸SSは、同軸上に配置されている。
【0020】
第一減速機構8は、静電モータ11と秒針車5とを連結している。第一減速機構8は、少なくとも一つの歯車を有する減速輪列であり、静電モータ11が発生する回転力を秒針車5に伝達する。第一減速機構8は、文字板32に対して背面側に配置されている。第一減速機構8は、静電モータ11の回転軸の回転を第一減速比で変速して秒針車5に伝達する。
【0021】
第二減速機構9は、電磁モータ12と分針車6とを連結している。第二減速機構9は、少なくとも一つの歯車を有する減速輪列であり、電磁モータ12が発生する回転力を分針車6に伝達する。第二減速機構9は、文字板32に対して背面側に配置されている。第二減速機構9は、電磁モータ12の回転軸の回転を第二減速比で変速して分針車6に伝達する。
【0022】
第三減速機構10は、電磁モータ12と時針車7とを連結している。第三減速機構10は、少なくとも一つの歯車を有する減速輪列であり、電磁モータ12が発生する回転力を時針車7に伝達する。第三減速機構10は、文字板32に対して背面側に配置されている。第三減速機構10は、分針車6の回転を第三減速比で変速して時針車7に伝達する。本実施形態の第三減速機構10は、分針車6と時針車7との間に介在している。
【0023】
静電モータ11は、例えば、静電材料としてエレクトレットを用い、帯電部と対向する電極との間の静電的な相互作用を利用して回転子を回転駆動するエレクトレットモータである。静電モータ11は、連続的な回転駆動によって秒針2を継続的に回転させる。静電モータ11は、図3および図4に示すように、回転子111と、二つの固定子112,113と、回転軸114と、を有する。回転子111は、二つの固定子112,113の間に配置されている。回転子111は、二つの固定子112,113と同軸上に、かつ二つの固定子112,113に対して隙間をあけて配置されている。回転軸114は、回転自在に支持されている。
【0024】
図2に示すように静電モータ11は、第一駆動回路13を介して電池17と接続されている。電池17は、蓄電可能な二次電池である。電池17は、第一駆動回路13および後述する第二駆動回路14に対して電力を供給する。
【0025】
第一駆動回路13は、制御回路20と電気的に接続されており、制御回路20の指令に応じて動作する。第一駆動回路13は、電池17から供給される電力によって駆動パルスを生成し、生成した駆動パルスを静電モータ11に出力する。固定子112,113は、駆動パルスによって静電気力を発生させ、回転子111に対して回転力を与える。
【0026】
回転子111は、シリコン基板、帯電用の電極面が設けられたガラスエポキシ基板、あるいはアルミ板などの基板材料により形成された円盤形状の部材である。図3に示すように、回転子111の両面には、それぞれ複数の帯電部111aが形成されている。帯電部111aは、回転軸114を中心とする周方向に沿って等間隔で配置されている。回転子111において、上面の帯電部111aと、下面の帯電部111aとが周方向の同じ位置に配置されている。本実施形態の帯電部111aは、エレクトレット材料で構成されている薄膜である。回転子111には、隣接する帯電部111aの間に貫通孔111bが形成されている。
【0027】
固定子112,113は、回転不能に固定されており、回転軸114の軸方向において互いに対向している。固定子112,113は、例えば、円盤形状に形成されている。固定子112において、回転子111と対向する面には複数の第一電極112aおよび複数の第二電極112bが形成されている。第一電極112aおよび第二電極112bは、固定電極である。第一電極112aおよび第二電極112bは、周方向に沿って交互に配置されている。
【0028】
各第一電極112aは、共通の配線を介して第一駆動回路13に電気的に接続されている。つまり、各第一電極112aには、共通の駆動パルスが入力される。各第二電極112bは、共通の配線を介して第一駆動回路13に電気的に接続されている。つまり、各第二電極112bには、共通の駆動パルスが入力される。
【0029】
固定子113において、固定子111と対向する面には複数の第三電極113aおよび複数の第四電極113bが形成されている。第三電極113aおよび第四電極113bは、固定電極である。第三電極113aおよび第四電極113bは、周方向に沿って交互に配置されている。
【0030】
各第三電極113aは、共通の配線を介して第一駆動回路13に電気的に接続されている。つまり、各第三電極113aには、共通の駆動パルスが入力される。各第四電極113bは、共通の配線を介して第一駆動回路13に電気的に接続されている。つまり、各第四電極113bには、共通の駆動パルスが入力される。
【0031】
各電極112a,112b,113a,113bは、駆動パルスによって生じる極性に応じて帯電部111aとの間に引力あるいは斥力を発生させる。第一駆動回路13は、各電極112a,112b,113a,113bに対して、相互に位相が異なる駆動パルスを出力する。その結果、各電極112a,112b,113a,113bの極性は、それぞれ異なる位相で正極および負極に変化する。第一駆動回路13は、各電極112a,112b,113a,113bに対する駆動パルスによって、回転子111を正回転方向R1あるいは逆回転方向R2に回転させる。正回転方向R1は、文字板32を前面側から見た場合の時計回りの回転方向である。逆回転方向R2は、正回転方向R1と反対の回転方向である。
【0032】
図3は、上面の電極112a,112bに対して、下面の電極113a,113bが、円周方向における電極の幅の半分だけずれて配置されているため、各電極に対して相互に位相が異なる駆動パルスを出力する。上面の電極112a,112bと下面の電極113a,113bが、上下で対称位置に配置されている場合は、上面の電極112a,112bに印加している駆動パルスと同じものを、下面の電極113a,113bにも加えて良い。
【0033】
第一駆動回路13は、第一駆動周波数で駆動パルスを連続的に出力することで秒針2を継続的に回転させる。第一駆動周波数は、秒針2を正回転方向R1に1秒間に1/60回転させる周波数である。静電モータ11は、第一駆動周波数の駆動パルスによって正回転方向R1の回転力を発生させる。秒針2は、静電モータ11の回転力により、正回転方向R1に回転する。
【0034】
電磁モータ12は、電磁誘導を利用したモータであり、例えば、ステッピングモータである。電磁モータ12は、駆動状態と一時停止保持状態とを繰り返す間欠駆動によって分針3および時針4を回転させる。電磁モータ12は、第二駆動回路14を介して電池17と接続されている。
【0035】
第二駆動回路14は、制御回路20と電気的に接続されており、制御回路20の指令に応じて動作する。第二駆動回路14は、電池17から供給される電力によって駆動パルスを生成し、生成した駆動パルスを電磁モータ12に出力する。電磁モータ12は、駆動パルスによって固定子が発生させる磁界により回転子を回転させる。
【0036】
制御回路20は、静電モータ11および電磁モータ12を駆動制御する回路である。制御回路20は、時計内部時刻を算出する計時部(計時回路)を有する。本実施形態の制御回路20は、カウンタ19から出力される信号に基づいて時計内部時刻を算出する。カウンタ19は、発振器において生成されるクロック信号からパルス信号を生成する。カウンタ19は、生成されたパルス信号に基づいて、所定の間隔で繰り上げ信号を出力する。制御回路20の計時部は、カウンタ19から取得する繰り上げ信号によって時計内部時刻を算出する。
【0037】
制御回路20は、指針(秒針2、分針3、時針4)の指し示す時刻を時計内部時刻と同期させるように、第一駆動回路13および第二駆動回路14を制御する。より具体的には、制御回路20は、秒針2の位置を時計内部時刻に応じた位置とするように、第一駆動回路13によって秒針2を運針させる。また、制御回路20は、分針3および時針4の位置を時計内部時刻に応じた位置とするように、第二駆動回路14によって分針3および時針4を運針させる。
【0038】
制御回路20は、操作部18に対する操作に応じて第一駆動回路13によって秒針2を停止させる。制御回路20は、操作部18の位置に応じて秒針2を停止させるか否かを判定する。本実施形態の操作部18は、操作部18の軸方向に沿った複数の段位置に移動可能である。操作部18の複数の段位置のうち、時計中心に向けて最も奥まで押し込まれた位置を「0段」と称し、0段位置から1段階引き出された段位置を「1段」と称する。
【0039】
操作部18の段位置が1段である場合、分針車6または時針車7が操作部18と連結される。この場合、分針3および時針4の回転が機械的に規制される。1段では、操作部18の回転と連動して分針3および時針4が回転する。ユーザは、操作部18の段位置を1段とすることで、電子時計1の時刻を修正することができる。制御回路20は、操作部18の段位置が1段である場合、秒針2を停止させる。制御回路20は、例えば、操作部18の段位置が1段に変化したことを検出すると、速やかに秒針2を停止させる。制御回路20は、秒針2を停止させる場合、秒針2の回転位置を保持する保持制御を第一駆動回路13に実行させる。
【0040】
第一駆動回路13は、保持制御において、第一電極112aから第四電極113bまでの四組の電極のうち、少なくとも一組の電極の極性を正極または陰極に固定する。第一駆動回路13は、第一電極112aから第四電極113bまでの四組の電極の極性をそれぞれ固定させてもよい。各電極112a,112b,113a,113bの極性は、例えば、各電極112a,112b,113a,113bが、対向する位置にある帯電部111aに対して引力を作用させる極性とされてもよい。各電極112a,112b,113a,113bの極性が固定されることで、回転子111の回転が停止される。制御回路20は、操作部18の段位置が0段であることが検出されると、秒針2、分針3、および時針4の運針を開始する。
【0041】
電池17には、発電機構21が接続されている。電池17は、発電機構21によって発電された電力によって蓄電される。本実施形態の発電機構21は、静電誘導型の発電機構である。もちろん、太陽発電機構、電磁発電機構、熱発電機構、電磁誘導発電などの機構を、発電機構21として用いても良い。発電機構21は、例えば、上記の回転子111および固定子112と同様の回転子および固定子を有する。回転子には、電子時計1が装着されている腕の動き等によって回転する回転錘が、輪列を介して連結されている。電子時計1に振動が加えられると、回転錘と連動して回転子が回転し、回転子と固定子との相対回転により発電がなされる。電子時計1は、電池17の電圧を検出する電圧検出部を有する。制御回路20は、電池17の電圧値を電圧検出部から取得する。
【0042】
制御回路20は、第一検出部15の検出結果に基づいて、秒針2の針位置を取得する。第一検出部15は、例えば、光学式の検出機構であり、発光素子、受光素子、および検出孔を含む。検出孔は、第一減速機構8を構成する輪列に形成された貫通孔である。発光素子および受光素子は、第一減速機構8の輪列を挟んで、輪列の軸方向において対向している。受光素子は、発光素子から照射されて検出孔を通過した光を検出する。制御回路20は、受光素子の検出結果に基づいて秒針2の針位置を取得する。
【0043】
制御回路20は、第二検出部16の検出結果に基づいて、分針3および時針4の針位置を取得する。第二検出部16は、例えば、第一検出部15と同様の構成を有する。第二検出部16の検出孔は、例えば、第二減速機構9の輪列に設けられている。この場合、第二検出部16の発光素子および受光素子は、第二減速機構9の輪列を挟んで、輪列の軸方向において対向して配置される。制御回路20は、第二検出部16の受光素子による検出結果に基づいて分針3および時針4の針位置を取得する。
【0044】
本実施形態の制御回路20は、以下に説明するように、電子時計1における電力消費を低減させる節電モードを有する。節電モードは、秒針2、分針3、および時針4のうち少なくとも秒針2を停止させて電力消費を抑制するモードである。節電モードは、第一節電モードPS1および第二節電モードPS2を含む。第一節電モードPS1は、発電機構21において発電がなされない状態が継続した場合に秒針2を停止させる節電モードである。第二節電モードPS2は、電池17の電圧が低下している場合に秒針2を停止させる節電モードである。
【0045】
本実施形態の制御回路20は、節電モードにおいて所定の移行条件が成立すると、停止動作を実行する。停止動作は、第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20に対する電力の供給を停止する動作である。停止動作がなされることで、電子時計1はパワーブレークモードに移行する。パワーブレークモードでは、電子時計1における電力消費が最小化され、電池17の電圧低下が抑制される。
【0046】
以下に、図5を参照して本実施形態のモード移行について説明する。図5には、操作部18の段位置が0段である場合のモード移行が示されている。本実施形態では、電子時計1において秒針2、分針3、および時針4の全てが運針されているモードを「通常モード」と称する。
【0047】
(第一節電モードPS1)
制御回路20は、通常モードにおいて、発電機構21において発電がなされているか否かを監視する。制御回路20は、例えば、発電機構21から電池17に向けて流れる電流値に基づいて発電機構21において発電がなされているか否かを判定する。制御回路20は、発電機構21において発電がなされないまま経過した時間(以下、単に「無発電時間」と称する。)をカウントする。制御回路20は、無発電時間が所定の判定時間T1以上となると、図5に矢印Y1で示すように、電子時計1のモードを第一節電モードPS1に移行させる。判定時間T1は、例えば、10分間である。
【0048】
制御回路20は、第一節電モードPS1へ移行する場合、第一の位置で秒針2を停止させる。本実施形態の第一の位置は、12時の位置である。つまり、秒針2の第一の位置は、節電表示35を指し示す位置であり、無発電時間が所定の判定時間を越えたことで節電状態に移行したことを指針により指し示す。制御回路20は、第一駆動回路13によって、秒針2を第一の位置まで運針させ、第一の位置で秒針2を停止させる。制御回路20は、通常の運針で秒針2が第一の位置に到達したときに秒針2を停止させてもよい。制御回路20は、通常の運針と異なる速度や回転方向で秒針2を第一の位置まで移動させてもよい。例えば、制御回路20は、通常の運針速度よりも早い回転速度で秒針2を第一の位置まで回転させ、第一の位置で秒針2を停止させてもよい。
【0049】
制御回路20は、通常モードから第一節電モードPS1へ移行する場合に、針位置の検出を行う。制御回路20は、例えば、秒針2を第一の位置で停止させた後に秒針2の位置検出を行ってもよい。検出された秒針2の位置が第一の位置からずれていた場合、制御回路20は、秒針2の位置を修正する。制御回路20は、秒針2を第一の位置で停止させる前に秒針2の位置検出を行ってもよい。秒針2の実際の位置を把握しておくことで、秒針2を正確に第一の位置で停止させることが可能となる。
【0050】
本実施形態の制御回路20は、通常モードで時計が使用されている間に指針の位置検出を行わないため、外部から時計に加わった衝撃等で指針の位置が本来あるべき位置からずれてしまっていても、位置補正をすることが無い。指針の位置ずれが生じている状態で第一節電モードPS1に移行すると、秒針2が12時位置の節電表示を指すことができないため、使用者は故障を疑う可能性がある。従って、第一節電モードPS1に移行する前か後に針位置検出を実施し、指針が正確に節電表示を指し示せるよう針位置の補正している。
【0051】
制御回路20は、第一節電モードPS1において、発電機構21において発電がなされているか否かを監視する。制御回路20は、発電機構21における発電を検知した場合、発電時間をカウントする。この発電時間は、発電機構21において継続的に発電がなされている間カウントされ、発電が検知されなくなるとリセットされる。つまり、第一節電モードPS1において、制御回路20は、発電機構21による連続発電時間をカウントする。本実施形態の電子時計1は、第一節電モードPS1や第二節電モードPS2において、通常モードと比較してカウンタ19のクロックを低下させる。例えば、節電モードPS1,PS2のクロック周波数は、通常モードのクロック周波数の1/10とされてもよい。これにより、発電時間や無発電時間が長くなったとしても、カウンタを大きくせずに済むため、回路規模を縮小することができるとともに、消費電流を低減できる。
【0052】
また、発電判定をするための継続時間は、無発電判定の継続時間よりも短いため、発電時間の計測時には通常モードのクロック周波数でカウントを行い、無発電時間の計測時には通常モードの1/10のクロック周波数でカウントを行っても良い。これにより発電時間の測定分解能を細かく保つことができ、正確に時間計測を行うことができる。上記で説明したクロック周波数の分周数1/10は一例であって、これに限定されるものではない。
【0053】
制御回路20は、発電時間が予め定められた第三の判定時間P3以上となると、図5に矢印Y2で示すように、電子時計1を第一節電モードPS1から通常モードに復帰させる。この第三の判定時間P3は、例えば、5秒間である。
【0054】
制御回路20は、第一節電モードPS1から通常モードへ復帰する場合、秒針2の運針を再開させる。このときに、制御回路20は、時計内部時刻に対応する秒針2の位置が第一の位置となったタイミングで秒針2の運針を開始してもよい。あるいは、制御回路20は、時計内部時刻に対応する位置まで秒針2を移動させてから秒針2の通常の運針を開始してもよい。
【0055】
制御回路20は、第一節電モードPS1から通常モードへ移行する場合に、針位置の検出を行う。制御回路20は、例えば、秒針2を回転させ始めてから秒針2の位置検出を行う。検出された秒針2の位置が時計内部時刻に対応する位置からずれていた場合、制御回路20は、第一駆動回路13によって秒針2の位置を修正することができる。ここで、第一節電モードPS1から通常モードへ移行する際に行う針位置検出は、指針の位置ずれが生じ難い条件であれば、必ずしも実施する必要は無い。例えば、通常モードから第一節電モードPS1に移行した後に短い時間で通常モードに復帰したときには、指針位置ずれが発生する可能性が低いため、針位置検出を行わなくても良い。
【0056】
また針位置の検出は、モータを動かし指針に連動する歯車を回転させながら光学素子を発光させて計測を行うため、電力を消費する。従って、各モード移行時に行う針位置検出は、電力の収支と指針の位置ずれが起こる可能性に応じて、部分的に省略しても良い。
【0057】
制御回路20は、第一節電モードPS1において、第一節電モードPS1の継続時間をカウントする。制御回路20は、第一節電モードPS1から通常モードへの復帰条件が成立しないまま第一の判定時間P1が経過すると、第一停止動作を実行する。第一の判定時間P1は、例えば、1ヶ月間である。なお、発電機構21における発電が検出された場合には、第一節電モードPS1の継続時間がリセットされてもよい。この場合、発電が検出されなくなったときには、あらためて継続時間のカウントが開始される。制御回路20は、第一節電モードPS1において無発電時間が第一の判定時間P1以上となった場合に第一停止動作を実行してもよい。
【0058】
第一停止動作は、制御回路20、第一駆動回路13、および第二駆動回路14に対する電力供給を停止する動作である。制御回路20は、例えば、電池17を含む電源回路に対して制御回路20、第一駆動回路13、および第二駆動回路14に対する電力供給を停止する指令信号を出力する。この指令信号に応じて、制御回路20、第一駆動回路13、および第二駆動回路14に対する電力供給が停止される。
【0059】
(第一パワーブレークモードPB1)
電力の供給が停止された制御回路20は、時計内部時刻の算出を含む動作を停止する。また、第一駆動回路13および第二駆動回路14に対する電力供給が停止されることで、秒針2、分針3、および時針4の運針が停止する。秒針2は、第一の位置で停止したままとなる。分針3および時針4は、電力の供給が停止されたときの位置で停止する。第一停止動作が実行されることで、図5に矢印Y3で示すように、電子時計1は第一パワーブレークモードPB1に移行する。第一パワーブレークモードPB1は、第一停止条件が成立した場合のパワーブレークモードである。第一停止条件は、発電機構21において発電がなされない状態で第一の判定時間P1が経過した場合に成立する。
【0060】
電子時計1は、第一パワーブレークモードPB1において発電機構21で発電がなされると、発電時間のカウントを開始する。本実施形態の電子時計1は、発電機構21において発電がなされた場合に制御回路20を起動させる起動回路を有する。起動した制御回路20は、発電機構21による発電時間をカウントする。発電時間は、発電機構21において継続的に発電がなされている間カウントされ、発電が検知されなくなるとリセットされる。また、発電機構21における発電がなされないままで所定時間が経過すると、制御回路20に対する電力の供給が停止される。
【0061】
制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1から通常モードへの復帰条件が成立すると、図5に矢印Y4で示すように、電子時計1を通常モードへ移行させる。第一パワーブレークモードPB1から通常モードへの復帰条件は、発電時間が予め定められた判定時間T2以上であり、かつ電池17の電圧が第一電圧V1以上である場合に成立する。第一電圧V1の値は、後述する下限電圧VLの値よりも大きい。判定時間T2は、例えば、5秒間である。
【0062】
制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1から通常モードへの復帰条件が成立すると、秒針2、分針3、および時針4の運針を再開させる。具体的には、制御回路20は、電池17から第一駆動回路13および第二駆動回路14に対する電力供給を再開させる。制御回路20は、第一駆動回路13によって、第一パワーブレークモードPB1において秒針2が停止していた位置から秒針2の運針を再開する。制御回路20は、第二駆動回路14によって、第一パワーブレークモードPB1において分針3および時針4が停止していた位置から分針3および時針4の運針を再開させる。
【0063】
(第二節電モードPS2)
制御回路20は、通常モードにおいて、電池17の電圧を監視する。制御回路20は、電池17の電圧が所定の下限電圧VL以下である場合、図5に矢印Y5で示すように、電子時計1を第二節電モードPS2へ移行させる。
【0064】
制御回路20は、第二節電モードPS2へ移行する場合、第二の位置で秒針2を停止させる。本実施形態の第二の位置は、4時の位置である。すなわち、秒針2の第二の位置は、充電警告表示36を指し示す位置である。制御回路20は、第一駆動回路13によって、秒針2を第二の位置まで運針させ停止させる。制御回路20は、通常の運針で秒針2が第二の位置に到達したときに秒針2を停止させてもよい。制御回路20は、通常の運針と異なる速度や回転方向で秒針2を第二の位置まで移動させてもよい。例えば、制御回路20は、通常の運針速度よりも早い回転速度で秒針2を第二の位置まで回転させ停止させてもよい。
【0065】
制御回路20は、通常モードから第二節電モードPS2へ移行する場合に、針位置の検出を行う。制御回路20は、例えば、秒針2を第二の位置で停止させた後に秒針2の位置検出を行ってもよい。検出された秒針2の位置が第二の位置からずれていた場合、制御回路20は、秒針2の位置を修正する。制御回路20は、秒針2を第二の位置で停止させる前に秒針2の位置検出を行ってもよい。秒針2の実際の位置を把握しておくことで、秒針2を正確に第二の位置で停止させることが可能となる。
【0066】
制御回路20は、第二節電モードPS2において、発電機構21において発電がなされているか否かを監視する。制御回路20は、発電機構21における発電を検知した場合、発電時間をカウントする。第二節電モードPS2においてカウントされる発電時間は、累積発電時間である。制御回路20は、発電機構21における発電が検知されているときに、累積発電時間をカウントする。
【0067】
制御回路20は、カウンタ19から送られる繰り上げ信号をカウントする。第二節電モードPS2では、カウンタ19は、通常モードの場合よりも長い間隔で繰り上げ信号を出力する。例えば、第二節電モードPS2においてカウンタ19は、1秒間隔で繰り上げ信号を出力する。制御回路20は、カウンタ19から送られる繰り上げ信号をカウントすることで累積発電時間を算出する。なお、本実施形態のカウンタ19は、制御回路20がウェイクアップするタイミングに合わせて繰り上げ信号を送るように構成されている。制御回路20は、例えば、論理緩急による基準クロックの発振周波数調整処理を行うタイミングでウェイクアップし、論理緩急による基準クロックの発振周波数調整処理および累積発電時間のカウントが完了するとスリープ状態に移行する。累積発電時間は、発電時間のカウント開始から所定の期間が経過するとリセットされる。つまり、制御回路20は、所定の期間における累積発電時間を算出する。所定の期間は、例えば、1日である。
【0068】
制御回路20は、累積発電時間が第四の判定時間P4以上となると、図5に矢印Y6で示すように、電子時計1を通常モードに復帰させる。第四の判定時間P4は、第三の判定時間P3よりも長い。第四の判定時間P4は、例えば、5分間である。第四の判定時間P4は、例えば、電池17の電圧を適切に増加させることができるように定められる。第四の判定時間P4は、例えば、電池17の容量や、発電機構21の発電能力等に基づいて定められる。
【0069】
本実施形態では、累積発電時間に基づくことで、通常モードへの復帰判定が適切になされる。例えば、電池17の電圧に基づいて復帰判定を行うことも考えられる。ここで、電池17に対する蓄電がなされるときには、分極作用によって、電池17の電圧が一時的に上昇する。この場合、電池17の充電残量が十分に回復していないにもかかわらず、電圧の瞬時値に基づいて通常モードへの復帰判定がなされてしまうことがある。その結果、通常モードと第二節電モードPS2との間で頻繁なモード移行が繰り返される可能性がある。本実施形態によれば、累積発電時間に基づくことで、短時間における発電電圧の変動がある場合、あるいは発電中に短時間だけ発電電圧が低下した場合でも、発電時間を累積して計測することにより正確に電池17の充電回復量を把握できるため、電池17の充電残量が適切に回復してから復帰判定がなされる。
【0070】
制御回路20は、第二節電モードPS2から通常モードへ復帰する場合、秒針2の運針を再開させる。このときに、制御回路20は、時計内部時刻に対応する秒針2の位置が第二の位置となったタイミングで秒針2の運針を開始してもよい。あるいは、制御回路20は、時計内部時刻に対応する位置まで秒針2を移動させてから秒針2の通常の運針を開始してもよい。
【0071】
制御回路20は、第二節電モードPS2から通常モードへ移行する場合に、針位置の検出を行う。制御回路20は、例えば、秒針2を回転させ始めてから秒針2の位置検出を行う。検出された秒針2の位置が時計内部時刻に対応する位置からずれていた場合、制御回路20は、第一駆動回路13によって秒針2の位置を修正することができる。ここで、第二節電モードPS2から通常モードへ移行する場合の針位置検出は、指針の位置ずれが起きにくい条件であれば、必ずしも実施する必要はない。たとえば、通常モードから第二節電モードPS2に移行した後に、短い時間で通常モードに復帰したときには、指針位置ずれが発生する可能性が低いため、針位置検出を行わなくても良い。
【0072】
制御回路20は、第二節電モードPS2から通常モードへの復帰条件が成立しないまま第二の判定時間P2が経過すると、第二停止動作を実行する。第二停止動作は、制御回路20、第一駆動回路13、および第二駆動回路14に対する電力供給を停止する動作である。制御回路20は、例えば、電池17を含む電源回路に対して制御回路20、第一駆動回路13、および第二駆動回路14に対する電力供給を停止する指令信号を出力する。この指令信号に応じて、制御回路20、第一駆動回路13、および第二駆動回路14に対する電力供給が停止される。第二の判定時間P2は、第一の判定時間P1よりも短い。第二の判定時間P2は、例えば、3日間である。
【0073】
電力の供給が停止された制御回路20は、時計内部時刻の算出を含む動作を停止する。また、第一駆動回路13および第二駆動回路14に対する電力供給が停止されることで、秒針2、分針3、および時針4の運針が停止する。秒針2は、第二の位置で停止したままとなる。分針3および時針4は、電力の供給が停止されたときの位置で停止する。第二停止動作が実行されることで、図5に矢印Y7で示すように、電子時計1は第二パワーブレークモードPB2に移行する。第二パワーブレークモードPB2は、第二停止条件が成立した場合のパワーブレークモードである。第二停止条件は、累積発電時間が第四の判定時間P4以上とならないまま第二の判定時間P2が経過した場合に成立する。なお、第二停止条件は、無発電時間が第二の判定時間P2以上となった場合に成立してもよい。
【0074】
電子時計1は、第二パワーブレークモードPB2において発電機構21で発電がなされると、電池17の電圧を取得する。本実施形態の電子時計1は、発電機構21において発電がなされた場合に制御回路20を起動させる起動回路を有する。起動した制御回路20は、電池17の電圧を取得する。制御回路20は、電池17の電圧が安定的に第一電圧V1以上である場合、図5に矢印Y8で示すように、電子時計1を通常モードへ移行させる。
【0075】
制御回路20は、例えば、電池17の電圧が第一電圧V1以上である状態が所定時間以上継続した場合に、第二パワーブレークモードPB2から通常モードへの復帰条件が成立したと判定する。所定時間は、数分以上であることが好ましく、例えば、5分間である。所定時間は、分極作用による一時的な電圧上昇に影響されることなく復帰判定を行うことができるように定められる。本実施形態によれば、分極作用によって電池17の電圧が一時的に上昇したとしても、すぐには通常モードへの復帰判定が成立しない。よって、通常モードへの復帰判定が適切になされる。
【0076】
制御回路20は、第二パワーブレークモードPB2から通常モードへの復帰条件が成立すると、秒針2、分針3、および時針4の運針を再開させる。具体的には、制御回路20は、第一駆動回路13によって秒針2の運針を再開させる。第一駆動回路13は、第二パワーブレークモードPB2において秒針2が停止していた位置から秒針2の運針を再開する。制御回路20は、第二駆動回路14によって分針3および時針4の運針を再開させる。第二駆動回路14は、第二パワーブレークモードPB2において分針3および時針4が停止していた位置から分針3および時針4の運針を再開させる。
【0077】
制御回路20は、第一節電モードPS1において電池17の電圧が低下した場合、図5に矢印Y9で示すように、電子時計1を第二節電モードPS2へ移行させる。制御回路20は、例えば、電池17の電圧が下限電圧VLとなった場合に電子時計1を第二節電モードPS2へ移行させる。この場合、制御回路20は、秒針2を第一の位置から第二の位置へ移動させ停止させる。
【0078】
第一パワーブレークモードPB1と第二パワーブレークモードPB2は同じパワーブレークの状態であるが、矢印Y3、矢印Y7のいずれの過程でパワーブレークに至ったかを制御回路20が記憶しているため、矢印Y4、矢印Y8のいずれの条件で通常モードに復帰するかを適切に選択することができる。
【0079】
図5の矢印Y2で示される第一節電モードPS1から通常モードへの移行条件は、累積発電時間であってもよく、また、図5の矢印Y6で示される第二節電モードPS2から通常モードへの移行条件は、連続的な発電時間であっても良い。そのような条件であっても、第四の判定時間P4は、第三の判定時間P3よりも長い。
【0080】
制御回路20は、通常モードにおいて、操作部18を引くことにより段位置が0段から1段へ変化した場合、図5に矢印Y10で示すように、電子時計1を時刻修正モードへ移行させる。時刻修正モードにおいて、制御回路20は、第一駆動回路13によって秒針2を停止させる。秒針2を停止させる位置は、時刻修正モードへ移行するときの秒針2の位置である。すなわち、通常モードから時刻修正モードへ移行するときは、任意の位置で秒針2が停止される。また、分針3および時針4の回転は、機械的に規制される。時刻修正モードでは、操作部18を回転することで分針3および時針4を回転させ、表示時刻を修正することができる。制御回路20は、時刻修正モードにおいて、第二駆動回路14の動作を停止させてもよい。時刻修正モードでは、時計内部時刻がリセットされる。
【0081】
時刻修正モードにおいて、操作部18の段位置が1段から0段に変化すると、制御回路20は、図5に矢印Y11で示すように、電子時計1のモードを通常モードへ移行させる。制御回路20は、秒針2、分針3および時針4の運針を再開させて通常モードにおける運針を行う。制御回路20は、時刻修正モードから通常モードへ移行するときに、針位置の検出を実行する。制御回路20は、秒針2、分針3、および時針4の位置をそれぞれ検出する。制御回路20は、検出された針位置に基づいて時計内部時刻を設定する。
【0082】
次に、図6を参照して、時刻修正モードにおいて実行される第一停止動作および第二停止動作について説明する。図6には、操作部18の段位置が1段である場合のモード移行が示されている。時刻修正モードでは、秒針2の運針が停止されている。つまり、時刻修正モードは、秒針2を運針させるための駆動がなされない節電モードの一種である。
【0083】
(第一パワーブレークモードPB1)
制御回路20は、時刻修正モードにおいて、時刻修正モードが開始されてからの経過時間をカウントする。制御回路20は、時刻修正モードが開始されてからの経過時間が判定時間T3以上となると、図6に矢印Y21で示すように、電子時計1のモードを第一パワーブレークモードPB1に移行させる(第一停止動作)。判定時間T3は、第一節電モードPS1から第一パワーブレークモードPB1へ移行する際の閾値である第一の判定時間P1よりも短い。判定時間T3は、例えば、1日である。制御回路20は、時刻修正モードにおいて無発電時間が判定時間T3以上となった場合に第一停止動作を実行してもよい。
【0084】
時刻修正モードが長時間継続する場面としては、例えば、ユーザが操作部18の段位置を0段に戻し忘れたまま電子時計1を保管する場合が考えられる。また、電池17の消耗を抑制する目的で、電子時計1が時刻修正モードに設定されて倉庫等に保管される場合が考えられる。こうした場合に、電子時計1のモードが自動的に第一パワーブレークモードPB1に移行することで、電池17の電圧低下が効果的に抑制される。
【0085】
制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1へ移行する場合、第一の位置まで秒針2を移動させ、第一の位置で秒針2を停止させる。制御回路20は、時刻修正モードから第一パワーブレークモードPB1へ移行する場合に、針位置の検出を行う。制御回路20は、例えば、秒針2を回転させ始めてから秒針2の位置検出を行う。制御回路20は、検出された秒針2の位置に基づいて、秒針2の現在位置から第一の位置までの目標回転量を算出する。制御回路20は、目標回転量に基づき、第一駆動回路13によって秒針2を第一の位置まで移動させる。針位置の検出は、秒針2を第一の位置で停止させた後に実行されてもよい。制御回路20は、第一の位置で秒針2を停止させた後に、制御回路20、第一駆動回路13、第二駆動回路14に対する電力の供給を停止させる。
【0086】
電子時計1は、第一パワーブレークモードPB1において発電機構21で発電がなされると、発電時間のカウントを開始する。発電時間は、発電機構21において継続的に発電がなされている間カウントされ、発電が検知されなくなるとリセットされる。制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1から時刻修正モードへの復帰条件が成立すると、図6に矢印Y22で示すように、電子時計1を時刻修正モードへ移行させる。第一パワーブレークモードPB1から時刻修正モードへの復帰条件は、発電時間が予め定められた判定時間T4以上であり、かつ電池17の電圧が第一電圧V1以上である場合に成立する。判定時間T4は、例えば、5秒間である。
【0087】
(充電警告モード)
制御回路20は、時刻修正モードにおいて、電池17の電圧を監視する。制御回路20は、電池17の電圧が下限電圧VL以下となると、図6に矢印Y23で示すように、電子時計1のモードを充電警告モードWNGへ移行させる。充電警告モードWNGは、電池17の電圧が低下していることをユーザ等に対して警告するモードである。
【0088】
制御回路20は、時刻修正モードから充電警告モードWNGへ移行する場合に、第二の位置まで秒針2を移動させ、第二の位置で秒針2を停止させる。制御回路20は、時刻修正モードから充電警告モードWNGへ移行する場合に、針位置の検出を行う。制御回路20は、例えば、秒針2を回転させ始めてから秒針2の位置検出を行う。制御回路20は、検出された秒針2の位置に基づいて、秒針2の現在位置から第二の位置までの目標回転量を算出する。制御回路20は、目標回転量に基づき、第一駆動回路13によって秒針2を第二の位置まで移動させる。針位置の検出は、秒針2を第二の位置で停止させた後に実行されてもよい。
【0089】
制御回路20は、充電警告モードWNGにおいて、発電機構21において発電がなされているか否かを監視する。制御回路20は、発電機構21における発電を検知した場合、発電時間をカウントする。充電警告モードWNGにおいてカウントされる発電時間は、累積発電時間である。制御回路20は、発電機構21における発電が検知されるごとに、累積発電時間をカウントする。累積発電時間は、発電時間のカウント開始から所定の期間が経過するとリセットされる。つまり、制御回路20は、所定の期間における累積発電時間を算出する。所定の期間は、例えば、1日である。充電警告モードWNGから時刻修正モードへの復帰が累積発電時間に基づくことで、短時間における発電電圧の変動がある場合、あるいは発電中に短時間だけ発電電圧が低下した場合でも、発電時間を累積して計測することにより正確に電池17の充電回復量を把握できるため、電池17の充電残量が適切に回復してから復帰判定がなされる。
【0090】
制御回路20は、累積発電時間が判定時間T5以上となると、図6に矢印Y24で示すように、電子時計1を時刻修正モードに復帰させる。判定時間T5の長さは、例えば、第四の判定時間P4の長さと同じで5分間である。時刻修正モードに復帰するときに、制御回路20は、秒針2を第二の位置とは異なる位置へ移動させてもよい。制御回路20は、例えば、秒針2を第一の位置および第二の位置の何れとも異なる位置へ移動させる。秒針2の位置が第二の位置とは異なる位置に変化することで、ユーザは電池17の電圧が回復したことを知ることができる。制御回路20は、例えば、秒針2を充電警告モードWNGへ移行する前の位置へ戻してもよい。
【0091】
なお、時刻修正モードに復帰した際に、操作部18の段位置が0段である場合には、制御回路20は、電子時計1のモードを時刻修正モードから通常モードへ移行させる。通常モードへ移行することで、秒針2、分針3、および時針4の運針が再開される。
【0092】
制御回路20は、充電警告モードWNGにおいて、充電警告モードWNGが開始されてからの経過時間をカウントする。制御回路20は、充電警告モードWNGが開始されてからの経過時間が判定時間T6以上となると、図6に矢印Y25で示すように、電子時計1のモードを第二パワーブレークモードPB2に移行させる。判定時間T6は、例えば、3日間である。判定時間T6として比較的長い時間が設定されることで、電池17の電圧が低下していることにユーザが気付きやすくなる。
【0093】
制御回路20は、第二パワーブレークモードPB2へ移行する場合、秒針2を第二の位置で停止させたままで、制御回路20、第一駆動回路13、および第二駆動回路14に対する電力の供給を停止させる。電子時計1のモードが第二パワーブレークモードPB2に移行することで、電池17の消耗が未然に抑制される。
【0094】
電子時計1は、第二パワーブレークモードPB2において発電機構21で発電がなされると、電池17の電圧を取得する。発電機構21において発電がなされた場合、起動回路が制御回路20を起動させる。起動した制御回路20は、電池17の電圧を取得する。制御回路20は、電池17の電圧が安定的に第一電圧V1以上である場合、図6に矢印Y26で示すように、電子時計1を時刻修正モードへ移行させる。制御回路20は、例えば、電池17の電圧が第一電圧V1以上である状態が5分間以上継続した場合に、第二パワーブレークモードPB2から時刻修正モードへの復帰条件が成立したと判定する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の電子時計1は一例として、発電機構21と、電池17と、秒針2を含む指針と、指針を回転させる静電モータ11および電磁モータ12と、第一駆動回路13および第二駆動回路14と、制御回路20と、を有する。電池17は、発電機構21で発電された電力によって充電される。指針は、秒針2、分針3、および時針4を含む。第一駆動回路13および第二駆動回路14は、電池17から供給される電力によって静電モータ11および電磁モータ12を駆動する。制御回路20は、第一駆動回路13および第二駆動回路14を制御する。
【0096】
制御回路20は、電力消費を抑制する節電モードで、かつ発電機構21において発電がなされていない状態で第一の判定時間P1が経過した場合に第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20を停止する第一停止動作を実行する。また、制御回路20は、節電モードで、かつ電池17の電圧が下限電圧VL以下である状態で第二の判定時間P2が経過した場合に第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20を停止する第二停止動作を実行する。第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20を停止させる手段は、例えば、各回路13,14,20に対する電力の供給を停止させるものである。制御回路20は、各回路13,14,20の少なくとも一部の機能、好ましくは大半の機能を停止させて電力消費を低減させてもよい。
【0097】
本実施形態の電子時計1は、無発電時間に基づいて第一停止動作を実行し、かつ電池17の電圧に基づいて第二停止動作を実行する。このように、無発電状態によって第一停止動作が実行され、電圧低下に基づいて第二停止動作が実行されることで、電子時計1の動作時間の延長が可能となる。
【0098】
本実施形態の節電モードPS1,PS2では、指針のうち少なくとも秒針2を停止させて電力消費を抑制する。節電モードにおいて少なくとも秒針2が停止されることで、電力消費が抑制される。節電モードから第一停止動作および第二停止動作が実行されることで、更なる節電が可能となる。
【0099】
本実施形態の節電モードは、第一節電モードPS1および第二節電モードPS2を含む。第一節電モードPS1は、発電機構21において発電がなされていない状態が継続した場合に秒針2を停止させる節電モードである。第二節電モードPS2は、電池17の電圧が低下している場合に秒針2を停止させる節電モードである。二つの節電モードPS1,PS2によって効果的な節電が可能となる。
【0100】
第二節電モードPS2における第二の判定時間P2は、第一節電モードPS1における第一の判定時間P1よりも短い。電池17の電圧が低下している場合に短い判定時間で停止動作がなされることで、効果的な節電が可能となる。
【0101】
本実施形態の制御回路20は、第一節電モードPS1において第一の位置で秒針2を停止させ、第二節電モードPS2において第二の位置で秒針2を停止させる。第二の位置は、第一の位置とは異なる位置である。秒針2の停止位置が節電モードPS1,PS2に応じて異なることで、ユーザが電子時計1の状態を容易に視認することができる。
【0102】
本実施形態の制御回路20は、第一節電モードPS1において第一停止動作を実行するときに、秒針2を第一の位置で停止させたまま第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20を停止する。また、制御回路20は、第二節電モードPS2において第二停止動作を実行するときに、秒針2を第二の位置で停止させたままで第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20を停止する。秒針2の停止位置が異なることで、ユーザが電子時計1の状態を容易に視認することができる。
【0103】
本実施形態の制御回路20は、第一節電モードPS1において電池17の電圧が低下すると、第二節電モードPS2へモードを移行させる。これにより、電池17の電圧低下が効果的に抑制される。
【0104】
本実施形態の制御回路20は、第一節電モードPS1において発電機構21による発電時間が第三の判定時間P3以上となると秒針2の運針を開始し、第二節電モードPS2において発電機構21による発電時間が第四の判定時間P4以上となると秒針2の運針を開始する。第四の判定時間P4は、第三の判定時間P3よりも長い。よって、電池17の電圧が適切に回復してから秒針2の運針が開始される。
【0105】
本実施形態の制御回路20は、第一節電モードPS1において、発電機構21による連続発電時間と第三の判定時間P3との比較結果に基づいて、通常モードに復帰し秒針2の運針を開始するか否かを決定する。また、制御回路20は、第二節電モードPS2において、発電機構21による累積発電時間と第四の判定時間P4との比較結果に基づいて、通常モードに復帰し秒針2の運針を開始するか否かを決定する。累積発電時間に基づいて秒針2の運針が開始されることで、電池17の電圧が適切に回復してから秒針2の運針が開始される。
【0106】
本実施形態の制御回路20は、操作部18に対するユーザの操作によって秒針2が停止しているときに第一停止動作および第二停止動作を実行する。その結果、電子時計1における電力消費が抑制され、動作時間の延長が図られる。
【0107】
本実施形態の制御回路20は、操作部18に対する操作に応じて第一駆動回路13によって秒針2を停止させる。制御回路20は、秒針2を停止させている間に電池17の電圧が下限電圧VL以下となると、電池17の電圧低下を示す警告位置まで秒針2を回転させ、警告位置で秒針2を停止させる。本実施形態の警告位置は、第二の位置である。秒針2が警告位置で停止されることで、ユーザに対して電池電圧の低下を認識させることができる。
【0108】
本実施形態において、パワーブレークモードPB1,PB2において第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20の動作を再開する条件は、電池17の電圧が下限電圧VLよりも大きいという条件を含む。本実施形態では、電池17の電圧が第一電圧V1以上である場合に電力供給の再開が許可される。電池17の電圧レベルが回復するまで指針の運針が開始されないことで、電子時計1の動作時間の延長が図られる。
【0109】
本実施形態の制御回路20は、一のモードから他のモードへの移行時に指針の位置検出を行う。制御回路20は、例えば、通常モードから節電モードPS1,PS2へ移行する際に秒針2の位置検出を行う。秒針2の位置検出が行われることにより、秒針2を正しい位置で停止させることができる。また、制御回路20は、節電モードPS1,PS2から通常モードへ復帰する際に秒針2の位置検出を行う。秒針2の位置検出が行われることにより、秒針2の位置を時計内部時刻に応じた正しい位置とすることができる。
【0110】
なお、制御回路20は、第一節電モードPS1から第一パワーブレークモードPB1へ移行する際や、第二節電モードPS2から第二パワーブレークモードPB2へ移行する際に指針の位置検出を行ってもよい。制御回路20は、検出された指針の位置を不揮発性メモリ等に記憶してもよい。
【0111】
また、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1から通常モードへ移行する際や、第二パワーブレークモードPB2から通常モードへ移行する際に指針の位置検出を行ってもよい。言い換えると、制御回路20は、第一駆動回路13、第二駆動回路14、および制御回路20の動作を再開する際に、指針の位置検出を行ってもよい。電子時計1は、通信によって外部から現在時刻を取得してもよい。制御回路20は、パワーブレークモードPB1,PB2から通常モードへ移行する際に、外部から取得した現在時刻と指針の検出位置とに基づいて指針の位置修正を行ってもよい。
【0112】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。第二節電モードPS2から通常モードへの復帰判定(図5の矢印Y6参照)は、電池17の電圧に基づいてなされてもよい。例えば、電池17の電圧が第一電圧V1以上である状態が所定時間継続した場合に、通常モードへ復帰させると判定されてもよい。これにより、時間を累積するための処理回路が不要になり、回路の面積を小さくすることができる。
【0113】
制御回路20は、時刻修正モードにおいて電池17の電圧が低下した場合、充電警告モードWNGを経由せずに第二パワーブレークモードPB2に移行させてもよい。これにより、充電警告モードWNGで電力消費されることが無くなり、電池電圧を低下させずに済む。
【0114】
制御回路20は、時刻修正モードにおいて発電機構21における発電がなされていない場合に、電子時計1を第一節電モードPS1に移行させてもよい。制御回路20は、第一節電モードPS1に移行する場合、秒針2を第一の位置に移動させ、第一の位置で秒針2を停止させる。これにより使用者に対して、操作部材18が1段にあることを警告することができる。
【0115】
第一節電モードPS1や第二節電モードPS2において、分針3や時針4が停止されてもよい。この場合、制御回路20は、第一節電モードPS1や第二節電モードPS2において、第二駆動回路14によって分針3および時針4の位置を保持させる。これにより、更なる消費電力の低減を行うことができる。
【0116】
第二節電モードPS2や充電警告モードWNGからの復帰判定において、累積発電時間に代えて、電池17の電圧に基づく判定がなされてもよい。制御回路20は、例えば、電池17の電圧が第一電圧V1以上である状態が所定時間継続した場合に電子時計1を通常モードや時刻修正モードへ復帰させてもよい。これにより、時間を累積するための処理回路が不要になり、回路の面積を小さくすることができる。
【0117】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。図7は、実施形態の第2変形例に係るフローチャート、図8は、実施形態の第2変形例に係る他のフローチャートである。実施形態の第2変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、パワーブレークモードから復帰させるか否かを発電量に基づいて判断する点である。
【0118】
発電機構21として、単位時間当りの発電量が安定的である機構、例えば、実施形態の静電誘導型の機構を用いる場合、ユーザが活動している場合に発電機構21が発生する電力は、およそ一定となる。従って、発電機構21における発電量は、発電機構21の発電時間に実質的に比例する。言い換えると、発電機構21が電池17に対して充電を行った充電時間は、実質的に電池17に対する充電量を示すことになる。第2変形例の制御回路20は、発電機構21における発電時間に基づいて第二パワーブレークモードPB2からの復帰判定を行う。これにより、電池17に対する充電量を適切に評価して復帰判定を行うことができる。よって、電子時計1に対する光の照射が一時的であるために、通常モードへの復帰後に短時間で充電警告モード等へ移行してしまうことを抑制することができる。
【0119】
図7を参照して、実施形態の第2変形例における第二パワーブレークモードPB2からの復帰判定方法について説明する。ステップS10において、制御回路20は、発電機構21による発電がなされているか否かを判定する。制御回路20は、例えば、発電機構21から電池17へ向けて流れる電流が検出されている場合にステップS10で肯定判定する。ステップS10において肯定判定された場合にはステップS20に進み、否定判定された場合にはステップS40に進む。
【0120】
ステップS20において、制御回路20は、発電時間が判定時間T7以上であるか否かを判定する。発電時間は、例えば、発電機構21における連続発電時間である。判定時間T7は、例えば、5分間とされてもよい。ステップS20の判定の結果、発電時間が判定時間T7以上であると肯定判定された場合にはステップS30に進み、否定判定された場合には本制御フローは終了する。ここでステップS20は、連続発電時間に代わり現在までの一定期間における累積発電時間で判定をしても良く、詳しい説明は図8で後述する。
【0121】
ステップS30において、制御回路20は、第二パワーブレークモードPB2の解除を許可する。制御回路20は、例えば、第二パワーブレークモードPB2から通常モードへの復帰条件が成立したことを示すフラグをONとする。ステップS30が実行されると、本制御フローは終了する。
【0122】
ステップS40において、制御回路20は、発電時間をリセットする。これにより、次に発電機構21において発電が開始された場合に、発電時間のカウントが0から開始される。ステップS40が実行されると、本制御フローは終了する。図7の制御フローによれば、発電機構21における連続発電時間が一定期間以上なければ、第二パワーブレークモードPB2から通常モードに復帰しないので、一時的に時計が光を受ける様な場合であっても、PB2は解除されることは無く、電力の節約に寄与できる。
【0123】
なお、第二パワーブレークモードPB2からの復帰判定は、発電機構21の累積発電時間に基づいてなされてもよい。図8を参照して、累積発電時間に基づく復帰判定について説明する。ステップS110において、制御回路20は、発電機構21による発電がなされているか否かを判定する。ステップS110の判定の結果、発電ありと肯定判定された場合にはステップS120に進み、否定判定された場合にはステップS180に進む。
【0124】
ステップS120において、制御回路20は、発電が再開されたか否かを判定する。制御回路20は、発電機構21において、中断されていた発電が再開された場合にステップ120で肯定判定する。第2変形例の制御回路20は、後述するように、発電が中断されると累積発電時間を不揮発性メモリに記録する(ステップS190)。制御回路20は、例えば、本制御フローを前回実行した際にステップS110で否定判定され、かつ不揮発性メモリに累積発電時間が記録されている場合にステップS120で肯定判定する。ステップS120の判定の結果、発電が再開されたと肯定判定された場合にはステップS130に進み、否定判定された場合にはステップS160に進む。
【0125】
ステップS130において、制御回路20は、非発電時間が判定時間T8以上であるか否かを判定する。非発電時間は、発電機構21において発電が中断されていた期間の長さである。言い換えると、非発電時間は、前回の発電が終了してから今回の発電が開始されるまでの経過時間である。判定時間T8は、例えば、1日である。ステップS130の判定の結果、非発電時間が判定時間T8以上であると肯定判定された場合にはステップS140に進み、否定判定された場合にはステップS150に進む。
【0126】
ステップS140において、制御回路20は、累積発電時間をメモリから消去する。制御回路20は、不揮発性メモリに記録されている累積発電時間を消去し、累積発電時間を0にリセットする。ステップS140が実行されると、ステップS160に進む。
【0127】
ステップS150において、制御回路20は、累積発電時間を不揮発性メモリから読み込む。制御回路20は、不揮発性メモリから読み込んだ累積発電時間を初期値として、累積発電時間をカウントしていく。制御回路20は、例えば、カウンタ19から出力される信号に基づいて累積発電時間をカウントする。ステップS150が実行されると、ステップS160に進む。
【0128】
ステップS160において、制御回路20は、累積発電時間が判定時間T9以上であるか否かを判定する。判定時間T9は、例えば、5分間である。ステップS160の判定の結果、累積発電時間が判定時間T9以上であると肯定判定された場合にはステップS170に進み、否定判定された場合には本制御フローは終了する。
【0129】
ステップS170において、制御回路20は、第二パワーブレークモードPB2の解除を許可する。ステップS170が実行されると、本制御フローは終了する。
【0130】
ステップS180において、制御回路20は、発電が中断されたか否かを判定する。制御回路20は、例えば、本制御フローを前回実行した際にステップS110で肯定判定されていた場合にステップS180で肯定判定する。ステップS180の判定の結果、発電機構21において発電が中断されたと肯定判定された場合にはステップS190に進み、否定判定された場合には本制御フローは終了する。
【0131】
ステップS190において、制御回路20は、累積発電時間をメモリに記録する。制御回路20は、現在の累積発電時間の値を不揮発性メモリに記録する。ステップS190が実行されると、本制御フローは終了する。
【0132】
図8の制御フローによれば、非発電時間が判定時間T8以上となった場合に累積発電時間がリセットされる。言い換えると、発電機構21による発電が長時間にわたって中断された場合には、累積発電時間のカウントが0から開始される。よって、本変形例によれば、電池17の電圧を適切な電圧レベルまで回復させてから電子時計1を通常モードに復帰させることができる。
【0133】
なお、累積発電時間のリセットはなされなくてもよい。この場合、ステップS130およびステップS140が省略されてもよい。すなわち、発電が再開された場合(ステップS120-Y)に累積発電時間がメモリから読み込まれ(ステップS150)、ステップS160に進むようにすればよい。
【0134】
以上説明したように、実施形態の第2変形例に係る電子時計1は、第二パワーブレークモードPB2において、発電機構21による発電量に基づいて第二パワーブレークモードPB2を解除する。言い換えると、電子時計1は、第二停止動作によって駆動回路13,14および制御回路20が停止されている場合、発電機構21による発電量に基づいて駆動回路13,14および制御回路20の動作を再開させる。本変形例では、発電時間に基づいて復帰判定を行うことで、実質的に発電機構21による発電量に基づく復帰判定がなされる。
【0135】
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。図9は、実施形態の第3変形例に係るフローチャート、図10は、実施形態の第3変形例に係る他のフローチャート、図11は、実施形態の第3変形例に係る更に他のフローチャートである。実施形態の第3変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、発電状況や電池17の電圧に応じて第一パワーブレークモードPB1への移行条件が変更される点である。
【0136】
図9を参照して、累積発電時間に基づく移行条件の決定方法について説明する。図9の制御フローは、例えば、第一パワーブレークモードPB1において開始される。ステップS210において、発電機構21の発電によって、制御回路20の制御フローが起動される。
【0137】
次のステップS220において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1からの解除条件が成立したか否かを判定する。制御回路20は、例えば、連続発電時間が判定時間T2以上であり、かつ電池17の電圧が第一電圧V1以上である場合にステップS220で肯定判定する。ステップS220の判定の結果、解除条件が成立したと肯定判定された場合、ステップS230に進み、ステップS220で否定判定された場合には、ステップS220の判定が繰り返される。
【0138】
ステップS230において、制御回路20は電子時計1を第一パワーブレークモードPB1から通常モードへ復帰させる。ステップS230が実行されると、ステップS240の処理に進む。
【0139】
ステップS240において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1が解除された日から20日目であるか否かを判定する。制御回路20は、例えば、第一パワーブレークモードPB1から通常モードへ復帰した時点からの経過時間に基づいてステップS240の判定を行う。その結果、第一パワーブレークモードPB1からの復帰日を起算日として、本日が20日目であると肯定判定された場合にはステップS270に進み、否定判定された場合にはステップS250に進む。
【0140】
ステップS250において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1が解除された日から10日目であるか否かを判定する。ステップS250の判定の結果、第一パワーブレークモードPB1からの復帰日を起算日として、本日が10日目であると肯定判定された場合にはステップS260に進み、否定判定された場合にはステップS240に移行する。
【0141】
ステップS260において、制御回路20は、解除後の累積発電時間が判定時間T10以上であるか否かを判定する。判定時間T10は、例えば、平均的な使用状況における10日間の累積発電時間よりも短い時間である。つまり、判定時間T10は、電子時計1の使用頻度が少ないと判定する上限値、言い換えると発電量が十分でないと判定する上限値である。判定時間T10は、例えば、1時間である。ステップS260の判定の結果、累積発電時間がT10以上であると肯定判定された場合にはステップS240に移行し、否定判定された場合にはステップS280に進む。
【0142】
ステップS270において、制御回路20は、解除後の累積発電時間が判定時間T11以上であるか否かを判定する。判定時間T11は、判定時間T10と同様の基準で定められる。判定時間T11は、ステップS260の判定時間T10よりも長い時間であり、例えば、判定時間T10の二倍から五倍の時間である。判定時間T11は、2時間や5時間とされてもよい。なお、判定時間T11は、通常の使用状況において電子時計1が一日に消費する電力に対して、第一パワーブレークモードPB1の解除後から第一パワーブレークモードPB1への移行を判定するまでの日数を乗算した電力の消費分に相当する発電時間としても良い。ステップS270の判定の結果、累積発電時間が判定時間T11以上であると肯定判定された場合にはステップS290に進み、否定判定された場合にはステップS280に進む。
【0143】
ステップS280において、制御回路20は、電子時計1のモードを第一パワーブレークモードPB1に移行させる。制御回路20は、例えば、電子時計1が使用されていないと判定した場合に電子時計1を第一パワーブレークモードPB1に移行させる。この場合、制御回路20は、発電機構21が発電を行っていない場合に電子時計1が使用されていないと判定してもよい。あるいは、制御回路20は、通常モードから第一節電モードPS1に移行させる条件が成立したときに電子時計1を第一パワーブレークモードPB1に移行させてもよい。電子時計1が通常モードから第一パワーブレークモードPB1へ移行すると、本制御フローは終了する。
【0144】
ステップS290において、制御回路20は、第一の判定時間P1を1ヶ月に設定する。ステップS290が実行されると、本制御フローは終了する。
【0145】
なお、図9のフローチャートにおいて、ステップS260やステップS270で否定判定された場合に、第一パワーブレークモードPB1に移行させることに代えて、第一の判定時間P1が変更されてもよい。例えば、ステップS260およびステップS270で否定判定された場合に、ステップS280において、第一の判定時間P1が1ヶ月よりも短い期間に設定されてもよい。
【0146】
図10を参照して、電池17の電圧に基づいて第一パワーブレークモードPB1への移行条件を決定する方法について説明する。図10の制御フローは、例えば、第一パワーブレークモードPB1において開始される。ステップS310において、発電機構21の発電によって、制御回路20の制御フローが起動される。
【0147】
次のステップS320において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1からの解除条件が成立したか否かを判定する。制御回路20は、例えば、連続発電時間が判定時間T2以上であり、かつ電池17の電圧が第一電圧V1以上である場合にステップS320で肯定判定する。ステップS320の判定の結果、解除条件が成立したと肯定判定された場合にはステップS330に進み、否定判定された場合にはステップS320の判定が繰り返される。
【0148】
ステップS330において、制御回路20は、電子時計1を第一パワーブレークモードPB1から復帰させる。ステップS330が実行されると、ステップS340の処理に進む。
【0149】
ステップS340において、制御回路20は、電池17の残量が第一の残量以下であるか否かを判定する。第一の残量は、例えば、電池17の容量の20%である。ステップS340の判定の結果、電池残量が第一の残量以下であると肯定判定された場合にはステップS370に進み、否定判定された場合にはステップS350に進む。
【0150】
ステップS350において、制御回路20は、電池17の残量が第二の残量以下であるか否かを判定する。第二の残量は、第一の残量よりも大きい。第二の残量は、例えば、50%である。ステップS350の判定の結果、電池残量が第二の残量以下であると肯定判定された場合にはステップS380に進み、否定判定された場合にはステップS360に進む。
【0151】
ステップS360において、制御回路20は、第一の判定時間P1を1ヶ月に設定する。ステップS360が実行されると、本制御フローは終了する。
【0152】
ステップS370において、制御回路20は、第一の判定時間P1を10日間に設定する。ステップS370が実行されると、本制御フローは終了する。つまり、電池残量が少ない場合、電池残量が多い場合と比較して、第一の判定時間P1が短くされる。
【0153】
ステップS380において、制御回路20は、第一の判定時間P1を20日間に設定する。ステップS380が実行されると、本制御フローは終了する。
【0154】
図10のフローチャートによれば、第一パワーブレークモードPB1から通常モードへ復帰するときの電池17の残量に応じて、第一節電モードPS1から第一パワーブレークモードPB1への移行条件が変更される。より具体的には、電池17の残量が少ない場合には、電池17の残量が多い場合と比較して、第一節電モードPS1から第一パワーブレークモードPB1へ移行する際の第一の判定時間P1が短くされる。また、電池残量が少ないほど第一の判定時間P1が短くされる。本変形例によれば、電池17の残量が少ない場合には、第一節電モードPS1に移行してから短い時間で第一パワーブレークモードPB1へ移行する。その結果、電池17の電圧低下が抑制される。ここで、第一パワーブレークモードPB1を解除し通常モードに移行した後に、時計の電力消費状況、あるいは発電状況により電池残量が増減したときには、第一パワーブレークモードPB1を解除する際に設定した第一の判定時間P1を変更しても良い。具体的には、第一パワーブレークモードPB1の解除に応じて第一の判定時間P1を10日に設定し、その後に電池残量が例えば満充電量の20%より大きくなった場合は、第一の判定時間P1を20日に再設定してもよい。
【0155】
図11を参照して、累積発電時間および電池電圧に基づいて第一パワーブレークモードPB1への移行条件を決定する方法について説明する。図11の制御フローは、例えば、第一パワーブレークモードPB1において開始される。ステップS410において、発電機構21の発電によって、制御回路20の制御フローが起動される。
【0156】
次のステップS420において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1の解除条件が成立したか否かを判定する。制御回路20は、例えば、連続発電時間が判定時間T2以上であり、かつ電池17の電圧が第一電圧V1以上である場合にステップS420で肯定判定する。ステップS420の判定の結果、解除条件が成立したと肯定判定された場合にはステップS430に進み、否定判定された場合にはステップS420の判定が繰り返される。
【0157】
ステップS430において、制御回路20は、電子時計1を第一パワーブレークモードPB1から復帰させる。ステップS430が実行されると、ステップS440の処理に進む。
【0158】
ステップS440において、制御回路20は、電池残量が第一の残量以下であるか否かを判定する。第一の残量は、例えば、電池17の容量の20%である。ステップS440の判定の結果、肯定判定された場合にはステップS450に進み、否定判定された場合にはステップS500に進む。
【0159】
ステップS450において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1が解除された日から20日目であるか否かを判定する。ステップS450の判定の結果、本日が復帰日から20日目であると肯定判定された場合にはステップS480に進み、否定判定された場合にはステップS460に進む。
【0160】
ステップS460において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1が解除された日から10日目であるか否かを判定する。ステップS460の判定の結果、本日が復帰日から10日目であると肯定判定された場合にはステップS470に進み、否定判定された場合にはステップS440に移行する。
【0161】
ステップS470において、制御回路20は、解除後の累積発電時間が判定時間T10以上であるか否かを判定する。判定時間T10は、例えば、1時間である。ステップS470の判定の結果、累積発電時間が判定時間T10以上であると肯定判定された場合にはステップS440に移行し、否定判定された場合にはステップS490に進む。
【0162】
ステップS480において、制御回路20は、解除後の累積発電時間が判定時間T11以上であるか否かを判定する。判定時間T11は、判定時間T10よりも長く、例えば、2時間である。ステップS480の判定の結果、累積発電時間が判定時間T11以上であると肯定判定された場合にはステップS560に進み、否定判定された場合にはステップS490に進む。
【0163】
ステップS490において、制御回路20は、電子時計1のモードを第一パワーブレークモードPB1に移行させる。制御回路20は、例えば、電子時計1が使用されていないと判定した場合に電子時計1を第一パワーブレークモードPB1に移行させる。この場合、制御回路20は、発電機構21が発電を行っていない場合に電子時計1が使用されていないと判定してもよい。あるいは、制御回路20は、通常モードから第一節電モードPS1に移行させる条件が成立したときに電子時計1を第一パワーブレークモードPB1に移行させてもよい。電子時計1が通常モードから第一パワーブレークモードPB1へ移行すると、本制御フローは終了する。
【0164】
ステップS500において、制御回路20は、電池残量が第二の残量以下であるか否かを判定する。第二の残量は、第一の残量よりも大きく、例えば、50%である。ステップS500の判定の結果、肯定判定された場合にはステップS510に進み、否定判定された場合にはステップS560に進む。
【0165】
ステップS510において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1が解除された日から20日目であるか否かを判定する。ステップS510の判定の結果、本日が復帰日から20日目であると肯定判定された場合にはステップS540に進み、否定判定された場合にはステップS520へ進む。
【0166】
ステップS520において、制御回路20は、第一パワーブレークモードPB1が解除された日から10日目であるか否かを判定する。ステップS520の判定の結果、本日が復帰日から10日目であると肯定判定された場合にはステップS530に進み、否定判定された場合にはステップS440に移行する。
【0167】
ステップS530において、制御回路20は、解除後の累積発電時間が判定時間T12以上であるか否かを判定する。判定時間T12は、ステップS470の判定時間T10よりも短い時間であり、例えば、判定時間T10の半分の時間である。判定時間T12は、30分間とされてもよい。ステップS530の判定の結果、累積発電時間が判定時間T12以上であると肯定判定された場合にはステップS440に移行し、否定判定された場合にはステップS550に進む。
【0168】
ステップS540において、制御回路20は、解除後の累積発電時間が判定時間T13以上であるか否かを判定する。判定時間T13は、ステップS480の判定時間T11よりも短い時間であり、例えば、判定時間T11の半分の時間である。判定時間T13は、例えば、1時間とされてもよい。ステップS540の判定の結果、累積発電時間が判定時間T13以上であると肯定判定された場合にはステップS560に進み、否定判定された場合にはステップS550に進む。
【0169】
ステップS550において、制御回路20は、電子時計1のモードを第一パワーブレークモードPB1に移行させる。制御回路20は、例えば、電子時計1が使用されていないと判定した場合に電子時計1を第一パワーブレークモードPB1に移行させる。この場合、制御回路20は、発電機構21が発電を行っていない場合に電子時計1が使用されていないと判定してもよい。あるいは、制御回路20は、通常モードから第一節電モードPS1に移行させる条件が成立したときに電子時計1を第一パワーブレークモードPB1に移行させてもよい。電子時計1が通常モードから第一パワーブレークモードPB1へ移行すると、本制御フローは終了する。
【0170】
ステップS560において、制御回路20は、第一の判定時間P1を1ヶ月に設定する。ステップS560が実行されると、本制御フローは終了する。
【0171】
なお、図11のフローチャートにおいて、ステップS470,ステップS480,ステップS530,およびステップS540で否定判定された場合に、第一パワーブレークモードPB1に移行させることに代えて、第一の判定時間P1が変更されてもよい。例えば、第一の判定時間P1が1ヶ月よりも短い期間に設定されてもよい。
【0172】
以上説明したように、実施形態の第3変形例の制御回路20は、過去の一定期間における発電機構21の発電量が少ない場合(例えば、図9のS270-N)、当該期間における発電機構21の発電量が多い場合(例えば、図9のS270-Y)と比較して第一の判定時間P1を短くする。図9の例では、発電機構21の発電量が少ない場合に、第一の判定時間P1が実質的に0とされる。本変形例によれば、発電量が十分でない場合に電子時計1が早期に第一パワーブレークモードPB1へ移行する。
【0173】
また、第3変形例の制御回路20は、電池17の電圧が低い場合(例えば、図10のステップS350-Y)、電池17の電圧が高い場合(例えば、図10のステップS350-N)と比較して第一の判定時間P1を短くする(ステップS380)。よって、電池電圧が低い場合に電子時計1が早期に第一パワーブレークモードPB1へ移行して電力消費を低減させる。
【0174】
また、第3変形例の制御回路20は、電池17の電圧が低いほど第一の判定時間P1を短くする。例えば、電池残量が20%以下である場合(図10のステップS340-N)には第一の判定時間P1が最も短い10日間とされる。電池残量が20%よりも大きくかつ50%以下である場合(図10のステップS350-Y)には第一の判定時間P1が20日間とされる。電池残量が50%を超える場合(図10のステップS350-N)には第一の判定時間P1が最長の1ヶ月とされる。よって、電池残量が少なくなるに従って電子時計1が短時間で第一パワーブレークモードPB1へ移行して電力消費を低減させる。
【0175】
[実施形態の第4変形例]
実施形態の第4変形例について説明する。図12は、実施形態の第4変形例に係るフローチャートである。実施形態の第4変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、直近の発電状況に応じて充電警告期間が決定される点である。
【0176】
図12を参照して、実施形態の第4変形例における充電警告期間の決定方法について説明する。図12の制御フローは、例えば、時刻修正モードにおいて開始される。ステップS610において制御回路20は、電池17の電圧を検出する。ステップS610が実行されると、ステップS620に進む。
【0177】
ステップS620において、制御回路20は、電子時計1のモードを充電警告モードWNGへ移行させるか否かを判定する。制御回路20は、例えば、ステップS610で検出された電池電圧が下限電圧VL以下である場合に、充電警告モードWNGへ移行すると肯定判定する。ステップS620の判定の結果、肯定判定された場合にはステップS630に進み、否定判定された場合にはステップS610へ移行する。
【0178】
ステップS630において、制御回路20は、現在までの一定期間における累積発電時間Bが判定時間T14以上であるか否かを判定する。一定期間は、例えば、24時間である。判定時間T14は、例えば、30分間である。ステップS630の判定の結果、累積発電時間Bが判定時間T14以上であると肯定判定された場合にはステップS640に進み、否定判定された場合にはステップS650に進む。
【0179】
ステップS640において、制御回路20は、第二の判定時間P2を3日間に設定する。第二の判定時間P2は、第二節電モードPS2から第二パワーブレークモードPB2への移行を判定する判定時間である。制御回路20は、更に、判定時間T6を3日間に設定する。判定時間T6は、充電警告モードWNGから第二パワーブレークモードPB2への移行を判定する判定時間である。制御回路20は、電子時計1のモードを充電警告モードWNGに移行させ、第二パワーブレークモードPB2に移行するまでの判定期間を3日間に設定する。ステップS640が実行されると、本制御フローは終了する。
【0180】
ステップS650において、制御回路20は、累積発電時間Bが0分よりも大きいか否かを判定する。ステップS650の判定の結果、累積発電時間Bが0分よりも大きいと肯定判定された場合にはステップS660に進み、否定判定された場合にはステップS670に進む。
【0181】
ステップS660において、制御回路20は、第二の判定時間P2および判定時間T6を1日間に設定する。制御回路20は、電子時計1のモードを充電警告モードWNGに移行させ、第二パワーブレークモードPB2に移行するまでの判定期間を1日間に設定する。つまり、累積発電時間Bが短い場合には、累積発電時間Bが長い場合よりも第二の判定時間P2および判定時間T6が短くされる。ステップS660が実行されると、本制御フローは終了する。
【0182】
ステップS670において、制御回路20は、電子時計1のモードを第二パワーブレークモードPB2へ移行させる。つまり、累積発電時間Bが0である場合、充電警告モードWNGが省略され、電子時計1のモードが通常モードから第二パワーブレークモードPB2へ移行する。ステップS670が実行されると、本制御フローは終了する。
【0183】
実施形態の第4変形例によれば、直近の累積発電時間Bが短い場合に充電警告時間が短くなる。累積発電時間Bが短い場合には、充電警告モードWNGにおいて電池電圧が低下しやすいと考えられる。第4変形例に係る電子時計1は、累積発電時間Bが長い場合は充電警告の期間を十分に確保して表示することで使用者に充電を促すが、累積発電時間Bが短い場合に充電警告時間を短くすることで、電池電圧の低下を抑制することができる。
【0184】
なお、累積発電時間Bの閾値は、一般的なユーザによる電子時計1の使用状況から決められてもよい。例えば、一般的なユーザの使用状況に対応する発電時間(以下、「標準発電時間」と称する。)に対する累積発電時間Bの割合に基づいて、第二の判定時間P2や判定時間T6が定められてもよい。この場合、ステップS630において、累積発電時間Bが標準発電時間に対して50%以下であるかの判定がなされてもよい。また、ステップS650において、累積発電時間Bが標準発電時間に対して20%以上であるかの判定がなされてもよい。
【0185】
累積発電時間Bに応じて、充電警告モードWNGからの復帰条件が可変とされてもよい。例えば、制御回路20は、過去の一定期間における累積発電時間Bが標準発電時間と同等であれば、電子時計1を充電警告モードWNGから復帰させてもよい。制御回路20は、累積発電時間Bが標準発電時間の30%以上であれば、実施形態と同様の条件で充電警告モードWNGからの復帰判定を行ってもよい。
【0186】
[実施形態の第5変形例]
実施形態の第5変形例について説明する。図13は、実施形態の第5変形例に係るフローチャート、図14は、実施形態の第5変形例に係る他のフローチャートである。実施形態の第5変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、累積発電時間に応じて節電モードへの移行条件や節電モードからの復帰条件が決定される点である。
【0187】
図13を参照して、実施形態の第5変形例における節電モードへの移行条件の決定方法について説明する。図13の制御フローは、例えば、通常モードにおいて開始される。ステップS710において、制御回路20は、現在までの一定期間における累積発電時間Cが判定時間T15以上であるか否かを判定する。一定期間は、例えば、24時間である。判定時間T15は、例えば、1時間である。ステップS710の判定の結果、累積発電時間Cが判定時間T15以上であると肯定判定された場合にはステップS720に進み、否定判定された場合にはステップS730に進む。
【0188】
ステップS720において、制御回路20は、通常モードから節電モードに移行するための判定時間T1を30分間に設定する。これにより、発電機構21が発電していない状態が30分間継続すると、電子時計1が第一節電モードPS1へ移行するようになる。ステップS720が実行されると、本制御フローは終了する。
【0189】
ステップS730において、制御回路20は、累積発電時間Cが判定時間T16以上でかつ判定時間T15未満であるかを判定する。判定時間T16は、判定時間T15よりも短い時間であり、例えば、30分間である。ステップS730の判定の結果、累積発電時間Cの値が上記の範囲にあると肯定判定された場合にはステップS740に進み、否定判定された場合にはステップS750に進む。
【0190】
ステップS740において、制御回路20は、判定時間T1を15分間に設定する。つまり、累積発電時間Cが短い場合、累積発電時間Cが長い場合よりも、第一節電モードPS1へ移行する際の判定時間T1が小さな値とされる。ステップS740が実行されると、本制御フローは終了する。
【0191】
ステップS750において、制御回路20は、判定時間T1を5分間とする。つまり、判定時間T1は、累積発電時間Cが短いほど小さな値とされる。ステップS740が実行されると、本制御フローは終了する。
【0192】
次に、図14を参照して、節電モードからの復帰条件の決定方法について説明する。図14の制御フローは、通常モードにおいて実行されてもよく、第一節電モードPS1に移行してから実行されてもよい。ステップS810において、制御回路20は、現在までの一定期間における累積発電時間Cが判定時間T17以上であるか否かを判定する。一定期間は、例えば、24時間である。判定時間T17は、ステップS710の判定時間T15と同じ値とされてもよい。ステップS810の判定の結果、累積発電時間Cが判定時間T17以上であると肯定判定された場合にはステップS820に進み、否定判定された場合にはステップS830に進む。
【0193】
ステップS820において、制御回路20は、第三の判定時間P3を0とする。これにより、第一節電モードPS1において発電機構21による発電が検出されると、その直後に電子時計1が第一節電モードPS1から通常モードに復帰する。ステップS820が実行されると、本制御フローは終了する。
【0194】
ステップS830において、制御回路20は、累積発電時間Cが判定時間T18以上でかつ判定時間T17未満であるかを判定する。判定時間T18は、判定時間T17よりも短い時間である。判定時間T18は、ステップS730の判定時間T16と同じ値とされてもよい。ステップS830の判定の結果、累積発電時間Cが判定時間T18以上でかつ判定時間T17未満であると肯定判定された場合にはステップS840に進み、否定判定された場合にはステップS850に進む。
【0195】
ステップS840において、制御回路20は、第三の判定時間P3を5秒間に設定する。制御回路20は、発電時間が第三の判定時間P3以上となると、電子時計1を第一節電モードPS1から通常モードに復帰させる。このように本変形例では、累積発電時間Cが短い場合、累積発電時間Cが長い場合よりも、第一節電モードPS1からの復帰判定を行う第三の判定時間P3が長くなる。ステップS840が実行されると、本制御フローは終了する。
【0196】
ステップS850において、制御回路20は、第三の判定時間P3を10秒間に設定する。つまり、累積発電時間Cが短いほど、第三の判定時間P3が長くされる。ステップS850が実行されると、本制御フローは終了する。
【0197】
このように、実施形態の第5変形例の電子時計1は、累積発電時間Cが短い場合、発電が停止してから短時間で通常モードから第一節電モードPS1へ移行する。また、電子時計1は、累積発電時間Cが短い場合、電池17に対して十分な量の充電がなされるまで第一節電モードPS1から通常モードに復帰しない。よって、本変形例の電子時計1では、電池17の電圧低下が適切に抑制される。一方、電子時計1は、累積発電時間Cが長い場合、発電が停止してもすぐには第一節電モードPS1へ移行しない。また、電子時計1は、累積発電時間Cが長い場合、第一節電モードPS1において発電が検出されると即座に第一節電モードPS1から復帰する。よって、実施形態の第5変形例に係る電子時計1は、電力収支に応じた適切なモード移行を実現することができる。
【0198】
[実施形態の第6変形例]
電子時計1は、第一パワーブレークモードPB1や第二パワーブレークモードPB2において通常モードへの復帰判定を行う復帰判定回路を有していてもよい。復帰判定回路は、発電機構21によって発電された電力によって動作する。復帰判定回路は、発電時間のカウントや電池17の電圧監視を行い、パワーブレークモードPB1,PB2からの復帰判定を行う。発電された電力によって復帰判定回路が動作することで、電池17の消耗が抑制される。
【0199】
第一、第二のパワーブレークモードにおいて、制御回路20の全ての回路に対する電力供給を継続的に停止すると、電力の消費を大幅に抑えることができるが、その一方でカウンタや比較回路、電源のレギュレータなどを動かすことができない。従って、制御回路20の電力供給を停止したときは、間欠的に制御回路20へ電力供給を行い、そのタイミングで制御回路20を動作させて、復帰判定を行う。また、復帰判定回路を制御回路20とは別に設け、発電機構21が発電した電力をコンデンサに一時的に蓄電し、その電力で復帰判定回路を動作させて通常モードへの復帰判定を行ってもよい。そして、復帰条件を満たしたときには、制御回路20へ電力が供給されるようにしても良い。これにより、電池17の消費電流を大幅に抑えるとともに、パワーブレークモードから通常状態への復帰判定を行うことが可能になる。
【0200】
電子時計1は、電子時計1のモードを第一パワーブレークモードPB1から第二パワーブレークモードPB2へ移行させるモード移行回路を有していてもよい。モード移行回路は、電池17の電圧を監視する機能、および第一パワーブレークモードPB1から第二パワーブレークモードPB2への移行判定を行う機能を有する。
【0201】
第二パワーブレークモードPB2は、電池17の電圧が低下した状態であるため、第一パワーブレークモードPB1に比べて通常モードに復帰するための条件を厳しくし、十分に電池17の電圧が確保できた状態で通常モードに復帰させている。しかし、第一パワーブレークモードPB1で発電の無い状態が永く続くと、電池の放電作用等で電池電圧が低下するため、矢印Y4の条件で通常モードに復帰した後、すぐに第二パワーセーブモードPS2に移行して電力を消費し続け、第二パワーブレークモードPB2に至るまでに時間を要する。従って、電池17の電力を無駄に消費してしまうだけでなく、指針の表示が通常状態を経てすぐに充電警告表示を指すため、使用者が混乱する可能性がある。従って本実施形態では、電子時計1が第一パワーブレークモードPB1に移行した後に、電池17の電圧が下限電圧VL以下になると、第二パワーブレークモードPB2に移行させ、矢印Y8の条件を満たさないと通常モードには復帰しないようにしている。
【0202】
モード移行回路は、例えば、制御回路20とは別の回路として構成される。モード移行回路は、例えば、電池17から供給される電力によって動作する。モード移行回路は、電池17の電圧が下限電圧VL以下となると、電子時計1のモードを第一パワーブレークモードPB1から第二パワーブレークモードPB2へ移行させる。モード移行回路は、電子時計1の現在のモードを記憶部に記憶させる。制御回路20は、記憶部に記憶された電子時計1のモードに基づいて、通常モードや時刻修正モードへの復帰判定を行う。
【0203】
発電機構21は、静電誘導型には限定されない。発電機構21として、熱発電機構や小型の電磁発電機構、リング型のソーラーセル等が用いられてもよい。熱発電機構は、例えば、外気温と人体の体温との温度差によって発電を行う。
【0204】
第一パワーブレークモードPB1および第二パワーブレークモードPB2のうち少なくとも一方のパワーブレークモードにおいて、制御回路20における時計内部時刻を算出する機能(計時回路)が有効とされてもよい。すなわち、制御回路20において、時計内部時刻の算出を除く機能が停止されることで節電がなされてもよい。
【0205】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0206】
1 電子時計
2 秒針
3 分針
4 時針
5 秒針車
6 分針車
7 時針車
8 第一減速機構
9 第二減速機構
10 第三減速機構
11 静電モータ
12 電磁モータ
13 第一駆動回路
14 第二駆動回路
15 第一検出部
16 第二検出部
17 電池
18 操作部
19 カウンタ
20 制御回路
21 発電機構
31 外装ケース
32 文字板
33 目盛り
34 時字
35 節電表示
36 充電警告表示
111 回転子
111a 帯電部
112,113 固定子
112a,112b,113a,113b 固定電極
114 回転軸
P1 第一の判定時間
P2 第二の判定時間
P3 第三の判定時間
P4 第四の判定時間
PB1 第一パワーブレークモード
PB2 第二パワーブレークモード
PS1 第一節電モード
PS2 第二節電モード
T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9,T10,T11,T12,T13,T14,T15,T16,T17,T18 判定時間
V1 第一電圧
VL 下限電圧
WNG 充電警告モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14