IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本たばこ産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-吸引装置 図1A
  • 特許-吸引装置 図1B
  • 特許-吸引装置 図2
  • 特許-吸引装置 図3
  • 特許-吸引装置 図4
  • 特許-吸引装置 図5
  • 特許-吸引装置 図6
  • 特許-吸引装置 図7
  • 特許-吸引装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】吸引装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20230110BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20230110BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/51
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020552476
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2018039862
(87)【国際公開番号】W WO2020084761
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-03-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】竹内 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】隅井 干城
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-507477(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0020725(US,A1)
【文献】特表2016-525345(JP,A)
【文献】特表2011-527415(JP,A)
【文献】特表2018-522551(JP,A)
【文献】特開2017-225357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端が空気入口に連通し、第2端が霧化チャンバに連通する、筒状の空気流路形成体と、
前記空気流路形成体の壁面に設けられたセンサ設置部に設置された温度センサと、
前記温度センサによる測定値の変化に応じて、空気入口から前記空気流路形成体に流入して霧化チャンバに向かう空気流を検出する制御部と、を有し、
前記空気流路形成体は、前記第1端から前記第2端に向かって拡大するテーパ状の内部流路を形成する、吸引装置。
【請求項2】
請求項1に記載された吸引装置において、
前記霧化チャンバに沿って配置された加熱部材を有し、
前記空気流路形成体の軸方向における前記加熱部材の上流端から前記温度センサまでの距離をd1とし、前記空気流路形成体の軸方向における前記空気入口から前記温度センサまでの距離をd2としたとき、d2/d1は4.22以上8.40以下である、吸引装置。
【請求項3】
請求項2に記載された吸引装置において、
d2/d1は、4.88以上6.83以下である、吸引装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された吸引装置において、
加熱部材を有し、
前記加熱部材による予熱が終了して前記吸引装置で喫煙可能であることを示すシグナルが発行されたときの前記加熱部材からの熱伝導による前記センサ設置部の温度上昇であって、前記吸引装置の外部の雰囲気温度からの前記センサ設置部の温度上昇をΔT1としたとき、ΔT1は、45℃以上55℃以下である、吸引装置。
【請求項5】
請求項4に記載された吸引装置において、
ΔT1は、47.5℃以上52.5℃以下である、吸引装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記センサ設置部は、前記空気流路形成体の外壁に位置する、吸引装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記空気流路形成体は、前記センサ設置部から見て前記空気入口側に位置する上流部を有し、
前記センサ設置部における前記空気流路形成体の厚さは、前記上流部における前記空気流路形成体の厚さよりも小さい、吸引装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記空気流路形成体は、前記センサ設置部から見て前記霧化チャンバ側に位置する下流部を有し、
前記センサ設置部における前記空気流路形成体の厚さは、前記下流部における前記空気流路形成体の厚さよりも小さい、吸引装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記センサ設置部は、前記空気流路形成体の周方向において肉厚が最も小さい箇所に位置する、吸引装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記内部流路の中心軸に対する前記内部流路を形成する内壁面の傾斜角度をθとしたとき、θは0.25度以上1.0度以下である、吸引装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記内部流路の最大直径をDmaxとし、円筒形状の前記霧化チャンバの直径をDcとしたとき、Dc/Dmaxは、1.40以上2.34以下である、吸引装置。
【請求項12】
請求項11に記載された吸引装置において、
Dc/Dmaxは、1.56以上2.01以下である、吸引装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記空気流路形成体の前記第1端に対向して配置されたキャップを有し、
前記キャップは、前記空気流路形成体の内部流路に連通する貫通孔を有する、吸引装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載された吸引装置において、
前記空気流路形成体の軸方向長さは、前記霧化チャンバの軸方向長さよりも長い、吸引装置。
【請求項15】
第1端が空気入口に連通し、第2端が霧化チャンバに連通する、筒状の空気流路形成体と、
前記空気流路形成体の壁面に設けられたセンサ設置部に設置された温度センサと、
前記温度センサによる測定値の変化に応じて、空気入口から前記空気流路形成体に流入して霧化チャンバに向かう空気流を検出する制御部と、を有し、
前記空気流路形成体の内部流路の中心軸に対する前記内部流路を形成する内壁面の傾斜角度をθとしたとき、θは0.25度以上1.0度以下である、吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための吸引装置が知られている。このような吸引装置として、例えば、揮発成分を含むたばこから成る喫煙材を加熱することでエアロゾルを形成する、喫煙材加熱装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された喫煙材加熱装置は、中空円筒状のヒータを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-522551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新たな構造を有する吸引装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態によれば、吸引装置が提供される。この吸引装置は、第1端が空気入口に連通し、第2端が霧化チャンバに連通する、筒状の空気流路形成体と、前記空気流路形成体の壁面に設けられたセンサ設置部に設置された温度センサと、前記温度センサによる測定値の変化に応じて、空気入口から前記空気流路形成体に流入して霧化チャンバに向かう空気流を検出する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本実施形態に係る吸引装置の全体斜視図である。
図1B】喫煙物品を保持した状態の本実施形態に係る吸引装置の全体斜視図である。
図2】喫煙物品の断面図である。
図3図1Aに示した矢視3-3における断面図である。
図4図1Aに示した矢視4-4から見た側面図である。
図5】加熱アセンブリの断面図を示す。
図6】加熱アセンブリの側面図を示す。
図7図6に示す矢視7-7における断面図である。
図8】ボトムキャップの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0008】
図1Aは、本実施形態に係る吸引装置の全体斜視図である。図1Bは、喫煙物品を保持した状態の本実施形態に係る吸引装置の全体斜視図である。本実施形態に係る吸引装置10は、例えば、エアロゾル源を含んだ香味源を有する喫煙物品110を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0009】
図1A及び図1Bに示すように、吸引装置10は、トップハウジング11Aと、ボトムハウジング11Bと、カバー12と、スイッチ13と、蓋部14と、を有する。トップハウジング11Aとボトムハウジング11Bは、互いに接続されることで、吸引装置10の最外のハウジング11を構成する。ハウジング11は、使用者の手に収まるようなサイズである。使用者が吸引装置10を使用する際は、吸引装置10を手で保持して、香味を吸引することができる。
【0010】
トップハウジング11Aは、図示しない開口を有し、カバー12は当該開口を閉じるようにトップハウジング11Aに結合される。図1Bに示すように、カバー12は、喫煙物品110を挿入可能な開口12aを有する。蓋部14は、カバー12の開口12aを開閉するように構成される。具体的には、蓋部14は、カバー12に取り付けられ、開口12aを閉じる第1位置と開口12aを開放する第2位置との間を、カバー12の表面に沿って移動可能に構成される。これにより、蓋部14は、吸引装置10の内部(後述するアウターフィン17の開口又はトップキャップ48の開口)への喫煙物品110のアクセスを許可又は制限することができる。
【0011】
スイッチ13は、吸引装置10の作動のオンとオフを切り替えるために使用される。例えば、図1Bに示すように喫煙物品110を開口12aに挿入した状態でスイッチ13を使用者が操作することで、図示しない加熱部材に図示しない電源から電力が供給され、喫煙物品110を燃焼させずに加熱することができる。喫煙物品110が加熱されると、喫煙物品110に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが蒸発し、エアロゾルに香味源の香味が取り込まれる。使用者は、喫煙物品110の吸引装置10から突出した部分(図1Bにおいて図示された部分)を吸引することで、香味を含んだエアロゾルを吸引することができる。なお、本明細書において、吸引装置10の長手方向とは、喫煙物品110が開口12aに挿入される方向をいう。
【0012】
次に、本実施形態に係る吸引装置10に使用される喫煙物品110の構成について説明する。図2は、喫煙物品110の断面図である。図2に示す実施形態においては、喫煙物品110は、充填物111と、充填物111を巻装する第1の巻紙112と、を含む基材部110Aと、基材部110Aとは反対側の端部を形成する吸口部110Bと、を有する。基材部110Aと吸口部110Bは、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって連結されている。ただし、第2の巻紙113を省略し、第1の巻紙112を用いて基材部110Aと吸口部110Bを連結することもできる。
【0013】
図2中の吸口部110Bは、紙管部114と、フィルタ部115と、紙管部114とフィルタ部115との間に配置された中空セグメント部116と、を有する。中空セグメント部116は、例えば、1つ又は複数の中空チャネルを有する充填層と、充填層を覆うプラグラッパーとで構成される。充填層は繊維の充填密度が高いため、吸引時は、空気やエアロゾルは中空チャンネルのみを流れることになり、充填層内はほとんど流れない。喫煙物品110において、フィルタ部115でのエアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたいときに、フィルタ部115の長さを短くして中空セグメント部116で置き換えることはエアロゾルのデリバリ量を増大させるために有効である。
【0014】
図2中の吸口部110Bは3つのセグメントから構成されているが、本実施形態において、吸口部110Bは1つ又は2つのセグメントから構成されていてもよいし、4つ又はそれ以上のセグメントから構成されていてもよい。例えば、中空セグメント部116を省略し、紙管部114とフィルタ部115を互いに隣接配置して吸口部110Bを形成することもできる。
【0015】
図2に示す実施形態において、喫煙物品110の長手方向の長さは、40mm以上90mm以下であることが好ましく、50mm以上75mm以下であることがより好ましく、50mm以上60mm以下であることがさらに好ましい。喫煙物品110の円周は15mm以上25mm以下であることが好ましく、17mm以上24mm以下であることがより好ましく、20mm以上23mm以下であることがさらに好ましい。また、喫煙物品110における基材部110Aの長さは20mm、第1の巻紙112の長さは20mm、中空セグメント部116の長さは8mm、フィルタ部115の長さは7mmであってよいが、これら個々のセグメントの長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。
【0016】
本実施形態において、喫煙物品110の充填物111は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含有し得る。エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。充填物111中のエアロゾル源の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを発生するとともに、良好な香喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
【0017】
本実施形態における喫煙物品110の充填物111は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知のものを用いることができる。喫煙物品110における充填物111の含有量の範囲は、円周22mm、長さ20mmの場合、例えば、200mg以上400mg以下であり、250mg以上320mg以下であることが好ましい。充填物111の水分含有量は、例えば、8重量%以上18重量%以下であり、10重量%以上16重量%以下であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、基材部110Aの製造時の巻上適性を良好にする。充填物111として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8mm以上1.2mm以下に刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm以上200μm以下程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8mm以上1.2mm以下に刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを充填物111として用いてもよい。また、充填物111は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。
【0018】
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112及び第2の巻紙113は、坪量が例えば20gsm以上65gsm以下であり、好ましくは25gsm以上45gsm以下である原紙から作られることができる。第1の巻紙112及び第2の巻紙113の厚みは、特に限定されないが、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、10μm以上100μm以下であり、好ましくは20μm以上75μm以下であり、より好ましくは30μm以上50μm以下である。
【0019】
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112及び第2の巻紙113には填料が含まれ得る。填料の含有量は、第1の巻紙112及び第2の巻紙113の全重量に対して10重量%以上60重量%未満を挙げることができ、15重量%以上45重量%以下であることが好ましい。本実施形態において、好ましい坪量の範囲(25gsm以上45gsm以下)に対して、填料が15重量%以上45重量%以下であることが好ましい。填料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができる。このような填料を含む紙は、喫煙物品110の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、喫煙物品110の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙112及び第2の巻紙113は8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、高めることができる。
【0020】
次に、図1A及び図1Bに示した吸引装置10の内部構造について説明する。図3は、図1Aに示した矢視3-3における断面図である。図4は、図1Aに示した矢視4-4から見た側面図である。図3に示すように、吸引装置10は、ハウジング11の内部空間に、電源部20と、回路部30(制御部の一例に相当する)と、加熱部40と、を有する。回路部30は、第1回路基板31と、第1回路基板31と電気的に接続された第2回路基板32と、を有する。第1回路基板31は、例えば、図示のように長手方向に延びて配置される。これにより、電源部20と加熱部40は、第1回路基板31によって区画される。その結果、加熱部40において発生する熱が電源部20に伝達することが抑制される。
【0021】
第2回路基板32は、電源部20とスイッチ13との間に配置され、第1回路基板31の延在方向と直交する方向に延びる。スイッチ13は、第2回路基板32と隣接して配置される。使用者がスイッチ13を押下したとき、スイッチ13の一部が、第2回路基板32と接触し得る。
【0022】
第1回路基板31及び第2回路基板32は、例えばマイクロプロセッサ等を含み、電源部20から加熱部40への電力の供給を制御することができる。これにより、第1回路基板31及び第2回路基板32は、加熱部40による喫煙物品110の加熱を制御することができる。
【0023】
電源部20は、第1回路基板31及び第2回路基板32に電気的に接続される電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、第1回路基板31及び第2回路基板32の少なくとも一方を介して、加熱部40と電気的に接続される。これにより、電源21は、喫煙物品110を適切に加熱するように、加熱部40に電力を供給することができる。また、図示のように、電源21は、加熱アセンブリ41に対して、加熱部40の長手方向に直交する方向に隣接して配置される。これにより、電源21の大きさを大きくしても、吸引装置10の長手方向の長さが長くなることを抑制することができる。
【0024】
図3及び図4に示すように、吸引装置10は、外部電源と接続可能な端子22を有する。端子22は、例えばマイクロUSB等のケーブルと接続することができる。電源21が充電式バッテリである場合は、端子22に外部電源を接続することで、外部電源から電源21に電流を流し、電源21を充電することができる。また、端子22にマイクロUSB等のデータ通信ケーブルを接続することにより、吸引装置10の作動に関連するデータ等を外部装置に送信できるようにしてもよい。
【0025】
加熱部40は、図示のように、長手方向に延びる加熱アセンブリ41を有する。加熱アセンブリ41は、複数の筒状の部材から構成され、全体として筒状体をなしている。加熱アセンブリ41は、その内部に喫煙物品110の一部を収納可能に構成され、喫煙物品110へ供給する空気の流路を画定する機能、及び喫煙物品110を外周から加熱する機能を有する。
【0026】
ボトムハウジング11Bには、加熱アセンブリ41の内部に空気を流入するための通気口15(空気入口の一例に相当する)が形成される。具体的には、通気口15は、加熱アセンブリ41の一端部(図2における左側の端部)と流体連通する。また、図3及び図4に示すように、吸引装置10は、加熱アセンブリ41を構成する後述するボトムキャップ50の上流端50b(図5参照)と対向して配置される、通気口15に着脱自在のキャップ16を有する。キャップ16は、通気口15に取り付けられた状態でも通気口15から加熱アセンブリ41の内部に空気が流入できるようするため、加熱アセンブリ41の内部流路に連通する貫通孔16aを有する。なお、貫通孔16aは、キャップ16に形成される切欠きであってもよい。キャップ16を通気口15に取り付けることで、加熱アセンブリ41内に挿入された喫煙物品110から発生する物質が、通気口15からハウジング11の外部に落下することを抑制することができる。
【0027】
加熱アセンブリ41の他の一端部(図3における右側の端部)は、図1Bに示した開口12a(空気出口の一例に相当する)と流体連通する。開口12aを有するカバー12と加熱アセンブリ41の他の一端部との間には、略筒状のアウターフィン17が設けられる。アウターフィン17は、後述するトップキャップ48の下流端と係合する。喫煙物品110が、図1Bに示すようにカバー12の開口12aから吸引装置10の内部に挿入されると、アウターフィン17を通過し、喫煙物品110の少なくとも充填物111(図2参照)が加熱アセンブリ41の内部に配置される。即ち、アウターフィン17は、喫煙物品110を収容するための開口部の一部を形成する。アウターフィン17は、加熱アセンブリ41側(図3中左側)の開口の大きさより、カバー12側(図3中右側)の開口の方が大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、喫煙物品110を開口12aからアウターフィン17の内部に挿入し易くなる。また、加熱アセンブリ41の内部に喫煙物品110が挿入されていないときは、使用者は、開口12aからブラシ等の器具を挿入することで、加熱アセンブリ41の内部をクリーニングすることができる。クリーニング用の器具は、加熱アセンブリ41の一端部(図3における左側の端部)から挿入されることもできる。その場合は吸引装置10の通気口15からキャップが取り外される。
【0028】
図1Bに示すように喫煙物品110が開口12aから吸引装置10内に挿入された状態で、使用者が、喫煙物品110の吸引装置10から突出した部分、即ち図2に示したフィルタ部115から吸引すると、キャップ16の貫通孔16a及び通気口15を通じて加熱アセンブリ41の内部に空気が流入する。流入した空気は、加熱アセンブリ41の内部を通過して、喫煙物品110から生じるエアロゾルと共に、使用者の口内に到達する。したがって、加熱アセンブリ41の通気口15に近い側は上流側であり、加熱アセンブリ41の開口12aに近い側(アウターフィン17に近い側)は下流側である。
【0029】
次に、図3に示した加熱アセンブリ41の構成について詳細に説明する。図5は、加熱アセンブリ41の断面図を示す。図6は、加熱アセンブリ41の側面図を示す。図7は、図6に示す矢視7-7における断面図である。なお、図5において、説明の便宜上、ハウジング11の通気口15が仮想的に示される。図5に示すように、加熱アセンブリ41は、内側管42と、加熱部材43と、エアロゲル44と、外側管45と、を有する。内側管42は、喫煙物品110を挿入可能な第1開口42aを一端に有し、且つ空気入口を形成する第2開口42bを他端に有する。本実施形態では、内側管42は、円筒形状であり、第1開口42aから挿入された喫煙物品110の少なくとも一部と接触するように構成される。第2開口42bは、空気流の上流側に位置し、第1開口42aは下流側に位置する。
【0030】
外側管45は、内側管42を取り囲んで配置され、内側管42と外側管45との間に所定の隙間が形成される。加熱部材43は、例えば2枚のPI(ポリイミド)等のフィルムで発熱抵抗体を挟み込んで構成される、可撓性のフィルムヒータであり得る。加熱部材43は、内側管42に当接するように配置される。具体的には、図示の例では、加熱部材43は内側管42の外周側に配置され、加熱部材43の内面が内側管42の外面と接触する。加熱部材43は、内側管42の外周面に沿って配置されるので、全体として略筒状に変形される。
【0031】
加熱アセンブリ41は、さらに、内側管42の下流側の端部(第1開口42a側の端部)と、外側管45の下流側の端部(内側管42の第1開口42aに近い端部)との間に、周方向に延在する第1環状部材46を有する。また、加熱アセンブリ41は、内側管42の上流側の端部(第2開口42b側の端部)と、外側管45の上流側の端部(内側管42の第2開口42bに近い端部)との間に、周方向に延在する第2環状部材47を有する。第1環状部材46は、後述するトップキャップ48及び熱収縮チューブ52を介して、内側管42の下流側の端部と密に接続される。また、第2環状部材47は、後述するボトムキャップ50及び熱収縮チューブ52を介して、内側管42の上流側の端部と密に接続される。また、第1環状部材46及び第2環状部材は、外側管45と密に接続される。これにより、内側管42と外側管45との間には、密閉空間54が設けられる。密閉空間54は、加熱部材43と、エアロゲル44とが収容される。
【0032】
加熱部材43とエアロゲル44との間には、熱収縮チューブ52が配置される。熱収縮チューブ52は筒状であり、加熱部材43が内側管42に接触した状態を維持する。具体的には、熱収縮チューブ52は、加熱部材43の外周側に配置された状態で熱が加えられることにより熱収縮しており、これにより加熱部材43を内側管42に押し付けるように加熱部材43に応力を与える。熱収縮チューブ52は、例えば、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等の熱可塑性樹脂によって形成され得る。なお、本実施形態では、加熱部材43が内側管42に接触した状態を維持することを目的として熱収縮チューブ52を採用しているが、これに限らず、同様の目的を達成できる任意の部材を採用することができる。例えば、熱収縮チューブ52に代えて、弾性チューブ等が採用され得る。
【0033】
内側管42は、好ましくは、熱伝導性の高いSUS等の金属材料で形成される。これにより、加熱部材43の熱が内側管42全体に伝導し易くなり、その結果、内側管42自体が加熱手段の機能を発揮することができる。内側管42に喫煙物品110が収納された状態で加熱部材43が発熱することにより、喫煙物品110が加熱されて、エアロゾルが発生する。したがって、内側管42は、エアロゾル源が霧化する空間である霧化チャンバを構成する。外側管45は、例えば、内側管42と同様の金属材料で形成することができる。なお、加熱部材43と外側管45との間にはエアロゲル44が配置されるので、加熱部材43から発生する熱は、外側管45に伝わりにくくなる。また、本実施形態では、加熱部材43から発生する熱を断熱するためにエアロゲル44を採用しており、これはシリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲル等の種々のエアロゲル材料により形成され得る。ただし、エアロゲルの代わりに他の断熱材を使用してもよく、例えば、グラスウールやロックウール等の繊維系断熱材、ウレタンフォームやフェノールフォームの発泡系断熱材等を使用してもよい。或いは、密閉空間54を真空にして真空断熱空間を構成してもよい。シリカエアロゲル44を断熱材として使用する場合、エアロゲル44の体積が密閉空間54の容積に対して占める割合は、85%以上100%以下であることが好ましい。これにより密閉空間54内に気泡が混入するのを抑制できるので、加熱部材43や内側管42等の熱が気泡を介して外側管45に伝達されるのを防止できる。仮に密閉空間54内に気泡が混入した場合には、加熱アセンブリ41の姿勢に応じて気泡が自由に移動し、熱を伝達し得る。
【0034】
加熱アセンブリ41は、さらに、トップキャップ48と、ボトムキャップ50(空気流路形成体の一例に相当する)と、を有する。トップキャップ48及びボトムキャップ50は、例えば樹脂材料により形成され得る。トップキャップ48は、内側管42の第1開口42aと連通する内部空間を有する筒部材であり、喫煙物品110を挿入可能に構成される。また、図5に示すように、トップキャップ48は、内側管42の下流端(第1開口42a側の端部)と接続される。トップキャップ48の内周面には、周方向に均等に離間した一以上の凸部48aが設けられる。本実施形態では、4つの凸部48aがトップキャップ48の内周面に設けられる。これにより、トップキャップ48に挿入された喫煙物品110に摩擦抵抗を与えることで係止し、喫煙物品110が吸引装置10から不意に抜けることが抑制される。
【0035】
ボトムキャップ50は、内側管42の上流端(第2開口42b側の端部)と接続される下流端50a(第2端の一例に相当する)と、下流端50aの反対側の上流端50b(第1端の一例に相当する)とを有する、細長い筒部材である。ボトムキャップ50の上流端50bは、図3に示した通気口15と連通し、下流端50aは、内側管42の内部と連通する。ボトムキャップ50は、内側管42の第2開口42bに向けて空気を導入する内部流路を形成する。ボトムキャップ50の内部流路の径は、喫煙物品110の外径よりも小さく形成される。このため、内側管42内に挿入された喫煙物品110の先端部は、ボトムキャップ50に当接して、位置決めされる。また、ボトムキャップ50の上流端50b(図中下側の端部)は、図3に示した通気口15と近接又は隣接して配置される。この通気口15からの空気は、ボトムキャップ50の上流端50bから下流端50aに流れ、内側管42及びトップキャップ48を通過して、使用者の口内に到達し得る。即ち、ボトムキャップ50、内側管42、及びトップキャップ48により、通気口15とカバー12の開口12aとを空気的に連通する空気流路が形成される。
【0036】
図5及び図6に示すように、本実施形態に係る加熱アセンブリ41は、温度センサ60を有する。温度センサ60は、ボトムキャップ50の壁面に設けられたセンサ設置部62に設置される。温度センサ60は、図3に示したスイッチ13により吸引装置10の作動が開始されると、所定時間毎に温度を測定し、測定した温度データを回路部30に送信する。回路部30は、温度センサ60による測定値の変化に応じて、通気口15からボトムキャップ50に流入して内側管42に向かう空気流を検出することができる。言い換えれば、回路部30は、温度センサ60から受信したデータに基づいて、使用者のパフを検知することができる。また、温度センサ60は、通気口15と加熱部材43との間に位置するボトムキャップ50の壁面に設けられるので、回路部30は、加熱部材43の温度と、外気の温度との両方を考慮して使用者のパフを検知することができ、パフ検知精度を向上させることができる。
【0037】
本実施形態では、センサ設置部62は、ボトムキャップ50の外壁に位置する。これにより、温度センサ60は空気流路の外に配置されるので、温度センサ60が、空気流路を通過する空気又は空気流路に逆流し得るエアロゾル等による物理的な影響を受けることが防止される。
【0038】
ボトムキャップ50の軸方向における加熱部材43の上流端から温度センサ60の軸方向中央部までの距離をd1としたとき、距離d1は、例えば5mm以上9mm以下であり、好ましくは6mm以上8mm以下であり、典型的には7mmである。また、ボトムキャップ50の軸方向における、通気口15から温度センサ60の軸方向中央部までの距離をd2としたとき、距離d2は、例えば38mm以上42mm以下であり、好ましくは39mm以上41mm以下であり、典型的には40mmである。また、距離d1に対する距離d2の比(d2/d1)は、例えば、4.22以上8.40以下であり、好ましくは4.88以上6.83以下であり、典型的には5.71である。当該比がこの範囲であると、温度センサ60が、通気口15から流入する空気と、加熱部材43の両方からバランスよく影響を受ける。言い換えれば、この場合、温度センサ60が、通気口15から流入する空気と、加熱部材43のいずれか一方から過度な影響を受けることを抑制することができる。これにより、温度センサ60の検知精度を向上させることができ、その結果、回路部30のパフ検出精度を向上させることができる。
【0039】
内側管42に沿って配置された加熱部材43が発熱すると、内側管42及びボトムキャップ50を介した熱伝導により、センサ設置部62の温度が上昇する。このときの温度上昇をΔT1としたとき、温度上昇ΔT1は、例えば45℃以上55℃以下であり、好ましくは47.5℃以上52.5℃以下であり、典型的には50℃である。この温度上昇ΔT1は、加熱部材43の発熱量と、距離d1及び距離d2等を変更することにより調節することができる。本実施形態においては、この温度上昇ΔT1は、喫煙物品110が加熱されて喫煙可能な期間が開始したとき、具体的には、加熱部材43による予熱が終了して喫煙可能であることを示すシグナル(例えば、図示しないLEDの点灯)が発行されたときの温度の、吸引装置10の外部の雰囲気温度(例えば25℃)からの上昇温度である。喫煙可能期間の始点を含む当該期間の大半において、加熱部43の温度は所定範囲内に概ね維持され得る。この温度範囲は、例えば、240℃を上限とし、185℃を下限とする範囲である。温度上昇ΔT1は、喫煙可能期間を通じて概ね一定であり得る。
【0040】
また、加熱部材43が発熱した状態で、通気口15から空気が流入してボトムキャップ50の内部流路を通過すると、空気は、ボトムキャップ50等から熱を受け取って温度上昇する。通気口15からボトムキャップ50内に流入してセンサ設置部62に到達した空気の温度上昇をΔT2としたとき、温度上昇ΔT2は、例えば10℃以上20℃以下であり、好ましくは12.5℃以上17.5℃以下であり、典型的には15℃である。この温度上昇ΔT2は、加熱部材43の発熱量と、距離d1及び距離d2等を変更することにより調節することができる。本実施形態においては、温度上昇ΔT2は、例えば、霧化チャンバに挿入された喫煙物品110の吸口部を、27.5ml/秒の吸引量で2秒間吸引したときに、温度センサ60で検知した温度から求めることができる。より具体的には、温度上昇ΔT2は、吸引装置10の外部の雰囲気温度(例えば25℃)と、上記の吸引条件において温度センサ60で検知した温度との差分に相当し得る。また、温度上昇ΔT2に対する温度上昇ΔT1の比(ΔT1/ΔT2)は、例えば2.25以上5.50以下であり、好ましくは2.71以上4.20以下であり、典型的には3.33である。これにより、センサ設置部62の温度が、加熱部材43及び外部雰囲気のいずれか一方から支配的な影響を受けることを防止できるので、使用者のパフ動作に伴う温度変化を温度センサ60で正確に測定できるようになる。
【0041】
図6に示すように、ボトムキャップ50は、センサ設置部62から見て内側管42側に位置する下流部64と、センサ設置部62から見て通気口15側に位置する上流部66とを有する。ここで、センサ設置部62におけるボトムキャップ50の厚さは、上流部66におけるボトムキャップ50の厚さよりも小さいことが好ましい。また、同様に、センサ設置部62におけるボトムキャップ50の厚さは、下流部64におけるボトムキャップ50の厚さよりも小さいことが好ましい。即ち、センサ設置部62は、ボトムキャップ50の軸方向において壁面の肉厚が最も小さい箇所に位置することが好ましい。また、図6及び図7に示すように、ボトムキャップ50のセンサ設置部62を含む外面は、およそ平坦に形成される。図7に示すように、センサ設置部62は、ボトムキャップ50の周方向において壁面の肉厚が最も小さい箇所に位置することが好ましい。センサ設置部62が位置する壁面の肉厚が小さいことにより、センサ設置部62の熱容量が相対的に小さくなるので、ボトムキャップ50の内部流路を空気が通過したときに、センサ設置部62の温度が低下し易くなる。その結果、温度センサ60は、ボトムキャップ50の内部流路を通過する空気による温度変化をより精度よく検知することができる。
【0042】
次に、ボトムキャップ50の具体的な構造について説明する。図8は、ボトムキャップ50の側断面図である。図8においては、説明の便宜上、内側管42も示されている。ボトムキャップ50は、通気口15から流入する空気が通過する内部流路72を有する。内部流路72は、ボトムキャップ50の上流端50bから内側管42の上流端まで延びる流路である。本実施形態の内部流路72は、図示のように、上流端50bから下流端50aに向かって拡大するテーパ状を形成する。これにより、上流端50bにおける内部流路72の断面積が下流端50aにおける内部流路の断面積よりも小さくなる。このため、通気口15から流入する空気の流量が一定の場合、ボトムキャップ50の上流端50bにおける流速が相対的に大きく、下流端50aにおける流速が相対的に小さくなる。その結果、ボトムキャップ50の上流端50bからセンサ設置部62に到達するまでの空気の流速が相対的に大きくなるので、パフ検出の応答時間を短縮することができる。さらに、内側管42に流入する空気の流速が相対的に小さくなるので、内側管42内の熱が空気の流入によって過度に失われることを防止することができる。
【0043】
図8に示すように、ボトムキャップ50の内部流路72の最大直径をDmaxとし、内側管42の直径をDcとしたとき、最大直径Dmaxに対する直径Dcの比率(Dc/Dmax)は、例えば1.40以上2.34以下であり、好ましくは1.56以上2.01以下であり、典型的には1.75である。よって、内側管42の直径Dcが7.00mmであるときには、ボトムキャップ50の内部流路72の最大直径Dmaxは、例えば2.99mm以上4.99mm以下であり、好ましくは3.49mm以上4.49mm以下であり、典型的には3.99mmである。最大直径Dmaxに対する直径Dcの比が大きくなると通気抵抗(即ち、圧力損失)が増加するため好ましくない。他方、この比が小さくなりすぎると内部流路72と内側管42との間の段差が小さくなるので喫煙物品を安定して保持できなくなる。
【0044】
また、ボトムキャップ50の内部流路72の中心軸に対する、内部流路72を形成するボトムキャップ50の内壁面の傾斜角度、即ちテーパ角度をθとしたとき、テーパ角度θは、例えば、0.25度以上1.0度以下であり、典型的には0.5度である。表1は、ボトムキャップ50の内部流路72の最大断面積Smaxを一定にしつつテーパ角度θを変化させたときの内部流路72の通気抵抗の測定結果(Rt)を示している。また、表1は、内部流路72の最大断面積Smaxと同じ大きさの断面積を有し、テーパ角度を有さない、直管状の流路の通気抵抗(Rd)に対する、テーパ角度θを有する内部流路72の通気抵抗(Rt)の比率(Rt/Rd)を示している。表1中の通気抵抗(Rt)及び通気抵抗比率(Rt/Rd)は、内部流路72の全長が40mmのボトムキャップ50を採用し、霧化チャンバに挿入された喫煙物品の吸口部を介した吸引量を25.0ml/秒としたときの測定結果である。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から分かるように、テーパ角度θを0.25度以上とすると、通気抵抗が実質的に増加し始めることが判った。このため、テーパ角度θが0.25度以上であると、ボトムキャップ50の上流端50bにおける空気の流速を高める効果が大きくなる。また、テーパ角度θが1.0度以下であれば、ボトムキャップ50が直管状の場合における通気抵抗に比べて、3倍程度の通気抵抗に抑えられる。3倍程度の増加率であれば、喫煙物品110の通気抵抗を調節することで、使用者の吸引感覚に及ぼす影響を抑制することができる。よって、通気抵抗比率(Rt/Rd)を上記の範囲内に設定することで、温度センサ60及び回路部30によるパフ検出の応答性を高めつつ、内部流路72の通気抵抗増加による吸引感覚への影響を抑制することができる。
【0047】
さらに、図4に示したキャップ16の貫通孔16aの断面積をSoとした場合、断面積Soは所定の上限値と下限値を有し得る。断面積Soの上限値は、例えば、喫煙物品110から発生する液状の副生成物が貫通孔16aから吸引装置10の外部に流出することのないように設定され得る。また、貫通孔16aの断面積Soの下限値は、例えば、貫通孔16a及び内部流路72からなる空気流路全体の通気抵抗が過度に増加することのないように設定され得る。
【0048】
図8に示すように、本実施形態のボトムキャップ50の軸方向の長さは、内側管42の軸方向の長さよりも長くなるように設計される。これにより、ボトムキャップ50の軸方向の長さが長くなるので、ボトムキャップ50の上流端50bから、内側管42の内部で発生したエアロゾルが流出することを抑制することができる。
【0049】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0050】
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
【0051】
第1形態によれば、吸引装置が提供される。この吸引装置は、第1端が空気入口に連通し、第2端が霧化チャンバに連通する、筒状の空気流路形成体と、前記空気流路形成体の壁面に設けられたセンサ設置部に設置された温度センサと、前記温度センサによる測定値の変化に応じて、空気入口から前記空気流路形成体に流入して霧化チャンバに向かう空気流を検出する制御部と、を有する。
【0052】
第2形態によれば、第1形態の吸引装置において、前記空気流路形成体は、前記第1端から前記第2端に向かって拡大するテーパ状の内部流路を形成する。
【0053】
第3形態によれば、第1形態又は第2形態の吸引装置において、前記霧化チャンバに沿って配置された加熱部材を有し、前記空気流路形成体の軸方向における前記加熱部材の上流端から前記温度センサまでの距離をd1とし、前記空気流路形成体の軸方向における前記空気入口から前記温度センサまでの距離をd2としたとき、d2/d1は4.22以上8.40以下である。
【0054】
第4形態によれば、第3形態の吸引装置において、d2/d1は、4.88以上6.83以下である。
【0055】
第5形態によれば、第1形態から第4形態のいずれかの吸引装置において、加熱部材を有し、前記加熱部材からの熱伝導による前記センサ設置部の温度上昇をΔT1としたとき、ΔT1は、45℃以上55℃以下である。
【0056】
第6形態によれば、第5形態の吸引装置において、ΔT1は、47.5℃以上52.5℃以下である。
【0057】
第7形態によれば、第1形態から第6形態の吸引装置において、前記空気入口から前記空気流路形成体に流入して前記センサ設置部に到達した空気の温度上昇をΔT2としたとき、ΔT2は、10℃以上20℃以下である。
【0058】
第8形態によれば、第7形態の吸引装置において、ΔT2は、12.5℃以上17.5℃以下である。
【0059】
第9形態によれば、第1形態から第8形態のいずれかの吸引装置において、加熱部材を有し、前記加熱部材からの熱伝導による前記センサ設置部の温度上昇をΔT1とし、前記空気入口から前記空気流路形成体に流入して前記センサ設置部に到達した空気の温度上昇をΔT2としたとき、ΔT1/ΔT2は、2.25以上5.50以下である。
【0060】
第10形態によれば、第9形態の吸引装置において、ΔT1/ΔT2は、2.71以上4.20以下である。
【0061】
第11形態によれば、第1形態から第10形態のいずれかの吸引装置において、前記センサ設置部は、前記空気流路形成体の外壁に位置する。
【0062】
第12形態によれば、第1形態から第11形態のいずれかの吸引装置において、前記空気流路形成体は、前記センサ設置部から見て前記空気入口側に位置する上流部を有し、前記センサ設置部における前記空気流路形成体の厚さは、前記上流部における前記空気流路形成体の厚さよりも小さい。
【0063】
第13形態によれば、第1形態から第12形態のいずれかの吸引装置において、前記空気流路形成体は、前記センサ設置部から見て前記霧化チャンバ側に位置する下流部を有し、前記センサ設置部における前記空気流路形成体の厚さは、前記下流部における前記空気流路形成体の厚さよりも小さい。
【0064】
第14形態によれば、第1形態から第13形態のいずれかの吸引装置において、前記センサ設置部は、前記空気流路形成体の周方向において肉厚が最も小さい箇所に位置する。
【0065】
第15形態によれば、第1形態から第14形態のいずれかの吸引装置において、前記内部流路の中心軸に対する前記内部流路を形成する内壁面の傾斜角度をθとしたとき、θは0.25度以上1.0度以下である。
【0066】
第16形態によれば、第1形態から第15形態のいずれかの吸引装置において、前記内部流路の最大直径をDmaxとし、円筒形状の前記霧化チャンバの直径をDcとしたとき、Dc/Dmaxは、1.40以上2.34以下である。
【0067】
第17形態によれば、第16形態の吸引装置において、Dc/Dmaxは、1.56以上2.01以下である。
【0068】
第18形態によれば、第1形態から第17形態のいずれかの吸引装置において、前記空気流路形成体の前記第1端に対向して配置されたキャップを有し、前記キャップは、前記空気流路形成体の内部流路に連通する貫通孔を有する。
【0069】
第19形態によれば、第1形態から第18形態のいずれかの吸引装置において、前記空気流路形成体の軸方向長さは、前記霧化チャンバの軸方向長さよりも長い。
【符号の説明】
【0070】
10…吸引装置
15…通気口
16…キャップ
16a…貫通孔
30…回路部
42…内側管
43…加熱部材
50…ボトムキャップ
50a…下流端
50b…上流端
60…温度センサ
62…センサ設置部
64…下流部
66…上流部
72…内部流路
110…喫煙物品
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8