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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230111BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20230111BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H01G4/30 201H
H01G4/228 J
H01G4/228 F
H01G4/228 E
H01G4/228 B
H01G4/228 A
H01G4/38 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018189436
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2020061392
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-185446(JP,A)
【文献】特開2004-335963(JP,A)
【文献】実開平05-041128(JP,U)
【文献】特開昭61-036989(JP,A)
【文献】特開2016-139787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/228
H01G 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体及び端子電極を備える第1のチップ部品及び第2のチップ部品と、
前記第1のチップ部品及び前記第2のチップ部品のそれぞれの前記端子電極に接続される複数の端子部材と、を備える電子部品であって、
前記素体は、当該素体が延びる延在方向の両端側に形成された一対の端面と、一対の前記端面の間に形成された側面と、を有し、
前記端子電極は、前記素体の前記端面に形成された本体部、及び前記本体部から前記側面へ回り込む回り込み部を有し、
複数の前記端子部材のうちの一の端子部材は、前記第1のチップ部品の前記端子電極の前記回り込み部と、前記第2のチップ部品の前記端子電極の前記回り込み部との間に配置され、それぞれの前記回り込み部と接続されており、
前記側面のうち、回路基板に対する実装面に対応する側面と平行であって、前記延在方向と垂直な方向を第1の方向とした場合、前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品とは前記第1の方向に互いに隣り合い、
前記端子部材は、前記第1の方向及び前記延在方向と直交する第2の方向に延びる第1の接続部を有し、
前記第1の接続部は、前記第1のチップ部品及び前記第2のチップ部品における前記側面前記実装面と垂直な前記側面の前記回り込み部の間に配置される、電子部品。
【請求項2】
前記端子部材は、前記端子電極のうち、複数の前記側面に対応する前記回り込み部に接続されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記端子部材は、
前記第1の接続部から前記第1の方向における一方側に延びて、前記第1のチップ部品の前記第1の方向に平行な前記側面に対応する前記回り込み部に接続される第2の接続部と、
前記第1の接続部から前記第1の方向における他方側に延びて、前記第2のチップ部品の前記第1の方向に平行な前記側面に対応する前記回り込み部に接続される第3の接続部と、を更に有する、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
素体及び端子電極を備える第1のチップ部品及び第2のチップ部品と、
前記第1のチップ部品及び前記第2のチップ部品のそれぞれの前記端子電極に接続される複数の端子部材と、を備える電子部品であって、
前記素体は、当該素体が延びる延在方向の両端側に形成された一対の端面と、一対の前記端面の間に形成された側面と、を有し、
前記端子電極は、前記素体の前記端面に形成された本体部、及び前記本体部から前記側面へ回り込む回り込み部を有し、
複数の前記端子部材のうちの一の端子部材は、前記第1のチップ部品の前記端子電極の前記回り込み部と、前記第2のチップ部品の前記端子電極の前記回り込み部との間に配置され、それぞれの前記回り込み部と接続されており、
前記第1のチップ部品の前記端子電極に接続される前記端子部材、及び前記第1のチップ部品の位置関係と、前記第2のチップ部品の前記端子電極に接続される前記端子部材、及び前記第2のチップ部品の位置関係は、点対称の関係にある電子部品。
【請求項5】
前記端子部材は、前記側面のうち、回路基板に対する実装面に対応する側面の前記回り込み部と接続される、請求項1~4の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
素体及び端子電極を備える第1のチップ部品及び第2のチップ部品と、
前記第1のチップ部品及び前記第2のチップ部品のそれぞれの前記端子電極に接続される複数の端子部材と、を備える電子部品であって、
前記素体は、当該素体が延びる延在方向の両端側に形成された一対の端面と、一対の前記端面の間に形成された側面と、を有し、
前記端子電極は、前記素体の前記端面に形成された本体部、及び前記本体部から前記側面へ回り込む回り込み部を有し、
複数の前記端子部材のうちの一の端子部材は、前記第1のチップ部品の前記端子電極の前記回り込み部と、前記第2のチップ部品の前記端子電極の前記回り込み部との間に配置され、それぞれの前記回り込み部と接続されており、
前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品とは、直列に接続されている電子部品。
【請求項7】
前記端子部材は、回路基板に実装される実装部を有し、
前記実装部は、前記延在方向に対する垂直方向に延びている、請求項1~6の何れか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品として、特許文献1に記載されたものが知られている。この電子部品は、素体及び端子電極を有する複数のチップ部品と、複数のチップ部品の端子電極に接続される端子部材と、を備えている。端子部材は、断面L字状に構成されている。また、端子部材は、チップ部品の延在方向における端面に対応する箇所にて、端子電極と接続されている。電子部品は、端子部材を介して、回路基板に実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-235932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、回路基板にたわみが発生する場合がある。このとき、当該回路基板のたわみの影響により、端子部材と端子電極との間に応力が加わる。これにより、端子部材と端子電極との間の接続の安定性に影響が及ぼされるという問題がある。
【0005】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、端子部材と端子電極との間の接続の安定性を向上することができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品は、素体及び端子電極を備える第1のチップ部品及び第2のチップ部品と、第1のチップ部品及び第2のチップ部品のそれぞれの端子電極に接続される複数の端子部材と、を備える電子部品であって、素体は、当該素体が延びる延在方向の両端側に形成された一対の端面と、一対の端面の間に形成された側面と、を有し、端子電極は、素体の端面に形成された本体部、及び本体部から側面へ回り込む回り込み部を有し、複数の端子部材のうちの一の端子部材は、第1のチップ部品の端子電極の回り込み部と、第2のチップ部品の端子電極の回り込み部との間に配置され、それぞれの回り込み部と接続されている。
【0007】
この電子部品では、第1のチップ部品及び第2のチップ部品の素体は、当該素体が延びる延在方向の両端側に形成された一対の端面と、一対の端面の間に形成された側面と、を有する。端子電極は、素体の端面に形成された本体部、及び本体部から側面へ回り込む回り込み部を有する。これらの端子電極には、複数の端子部材がそれぞれ接続される。ここで、複数の端子部材のうちの一の端子部材は、第1のチップ部品の端子電極の回り込み部と、第2のチップ部品の端子電極の回り込み部との間に配置されている。更に、一の端子部材は、第1のチップ部品の端子電極、及び第2のチップ部品の端子電極のそれぞれの回り込み部と接続されている。この場合、端子部材は、端子電極のうちの素体の側面に対応する箇所に接続されるため、端面に対応する箇所に接続される場合に比して、回路基板のたわみによって受ける影響を低減することができる。また、端子部材は、第1のチップ部品の端子電極及び第2のチップ部品の端子電極に挟まれるように保持された状態で接続される。この場合、端子電極と端子部材との間の接続性は、端子電極のうちの素体の端面に対応する箇所に端子部材が接続される構成に比して、高くなる。従って、端子部材と端子電極との間の接続の安定性を向上することができる。
【0008】
端子部材は、端子電極のうち、複数の側面に対応する回り込み部に接続されていてよい。この場合、端子部材が複数の側面に対して接続されることで、端子部材と端子電極との間の接続の安定性を向上できる。
【0009】
第1のチップ部品の端子電極に接続される端子部材、及び第1のチップ部品の位置関係と、第2のチップ部品の端子電極に接続される端子部材、及び第2のチップ部品の位置関係は、点対称の関係にあってよい。この場合、第1のチップ部品の端子電極と第2のチップ部品の端子電極を一の端子部材に接続することが可能となるため、製造が容易となる。また、電子部品がこのような点対称の関係を有している場合、第1のチップ部品と端子部材による構造体、及び第2のチップ部品と端子部材による構造体は、部品としては同じ形状を有することとなる。従って、一のチップ部品に対して一の端子部材を接続した構造体を複数作っておけば、いずれの構造体も、第1のチップ部品と端子部材による構造体、及び第2のチップ部品と端子部材による構造体として用いることができる。このように、第1のチップ部品と端子部材による構造体、及び第2のチップ部品と端子部材による構造体を区別する必要がなくなるため、電子部品の製造が容易となる。
【0010】
端子部材は、側面のうち、回路基板に対する実装面に対応する側面の回り込み部と接続されてよい。この場合、端子部材は、実装面側でチップ部品を保持することができる。従って、端子部材は、チップ部品が回路基板に脱落することを抑制できる。
【0011】
第1のチップ部品と第2のチップ部品とは、直列に接続されていてよい。このように、端子部材を用いて複数のチップ部品を直列に接続することができる。
【0012】
端子部材は、回路基板に実装される実装部を有し、実装部は、延在方向に対する垂直方向に延びていてよい。例えば、実装部が延在方向に延びる場合、当該実装部は、回路基板のたわみに伴って変形し易くなる。この場合、実装部は、回路基板のたわみに起因する応力を回避することができるが、その分、応力の影響が端子部材と端子電極との接続部分に及ぼされてしまう可能性がある。これに対し、実装部が延在方向に対する垂直方向に延びている場合、実装部自体が回路基板のたわみに起因する応力を受け持つ分、端子部材と端子電極との接続部分に対する応力を低減できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、端子部材と端子電極との間の接続の安定性を向上することができる電子部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図2図1に示すII-II線に沿った断面図である。
図3】変形例に係る電子部品を示す斜視図である。
図4】変形例に係る電子部品を示す斜視図である。
図5】変形例に係る電子部品を示す斜視図である。
図6】変形例に係る電子部品を示す斜視図である。
図7】変形例に係る電子部品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る電子部品100構成について説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。図1に示すように、電子部品100は、チップ部品10A(第1のチップ部品)と、チップ部品10B(第2のチップ部品)と、端子部材20A,20B,20Cと、を備える。チップ部品10A,10Bは、素体2と、端子電極3と、端子電極4と、を備える積層コンデンサである。なお、電子部品100は、回路基板50に実装される(図3(b)参照)。
【0017】
なお、以降の説明においては、電子部品100に対してXYZ座標系を設定して説明を行う場合がある。X軸方向は、実装対象である回路基板50(図3(b)参照)の表面と平行な方向である。また、X軸方向は、素体2が延びる延在方向に対応する。Y軸方向は、回路基板50の表面と平行でありX軸方向と直交する方向である。Z軸方向は、回路基板50の表面と直交する方向である。図1では、上側がZ軸方向の正側であり、下側がZ軸方向の負側である。
【0018】
図1に示すように、素体2は、延在方向であるX軸方向に沿って延びる直方体の部品である。素体2は、X軸方向に互いに対向する一対の端面2a,2b(図2参照)と、Z軸方向に互いに対向する一対の側面2c,2dと、Y軸方向に互いに対向する一対の側面2e,2fと、を有する。端面2aはX軸方向の正側に配置され、端面2bはX軸方向の負側に配置される。側面2cはZ軸方向の正側に配置され、側面2dはZ軸方向の負側に配置される。側面2dは、回路基板50(図3(b)参照)に対する実装面となる。側面2eはY軸方向の正側に配置され、側面2fはY軸方向の負側に配置される。
【0019】
素体2の形状は特に限定されないが、ここではX軸方向及びZ軸方向の寸法がY軸方向の寸法より大きい直方体形状を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。例えば、素体2のX軸方向の長さは5.7~2.0mmであり、Y軸方向の長さは5.0~1.2mmであり、Z軸方向の長さは5.0~1.2mmであってよい。
【0020】
素体2では、Y軸方向に複数の誘電体層(図3に示す誘電体層5)が積層されて構成されている。素体2では、複数の誘電体層の積層方向が、Y軸方向と一致する。各誘電体層は、たとえば誘電体材料(BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0021】
端子電極3,4は、素体2の端面2a,2bを覆うように設けられる。端子電極3,4は、他の部材とチップ部品10A,10Bとを電気的に接続するための部分である。端子電極3,4は、本体部3a,4aと、回り込み部3b,4bと、を有する。本体部3a,4aは、素体2の端面2a,2bに形成される。本体部3a,4aは、端面2a,2bの全面を覆うように形成される。回り込み部3b,4bは、本体部3a,4aから側面2c,2d,2e,2fへ回り込むように形成される。回り込み部3bは、側面2c,2d,2e,2fのうち、端面2a付近の一部を覆うように形成される。回り込み部4bは、側面2c,2d,2e,2fのうち、端面2b付近の一部を覆うように形成される。
【0022】
図2に示すように、チップ部品10A,10Bは、素体2内でY軸方向において互いに対向する内部電極6及び内部電極7で形成される。内部電極6は、素体2内においてXZ平面と平行に広がり、端子電極3と接続される。内部電極7は、素体2内においてXZ平面と平行に広がり、端子電極4と接続される。内部電極6と内部電極7とが、誘電体層5を挟んで交互に複数枚積層されることによって、コンデンサが構成される。内部電極6,7は、例えばNi又はCuなどの導電性材料により形成される。
【0023】
図1に示すように、チップ部品10Aとチップ部品10Bとは、Y軸方向において互いに隣り合い、且つ、X軸方向において互いにずれた配置となる。チップ部品10Aの端子電極4のうち、側面2fに対応する回り込み部4bと、チップ部品10Bの端子電極3のうち、側面2eに対応する回り込み部3bとは、Y軸方向において互いに対向するように配置される。
【0024】
端子部材20Aは、チップ部品10Aの端子電極3に接続される。端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4及びチップ部品10Bの端子電極3に接続される。端子部材20Cは、チップ部品10Bの端子電極4に接続される。端子部材20Aは、接続部21,22,23と、実装部24と、を有する。接続部21,22,23は、端子電極3,4の少なくとも何れかに電気的に接続される部分である。実装部24は、回路基板50(図3(b)参照)に実装される部分である。実装部24は、回路基板50の電極と接合される接合部24aと、接合部24aから立ち上がる足部24bと、を有する。足部24bは、チップ部品10A,10Bを回路基板50(図3(b)参照)の表面から浮かせるように、チップ部品10A,10Bを持ち上げるための部分である。端子部材20A,20B,20Cは、互いに同一な形状を有している。
【0025】
接続部22は、Z軸方向に延びる帯状の金属片である。接続部21は、接続部22のZ軸方向の正側の端部から、Y軸方向の一方へ延びる帯状の金属片である。接続部23は、接続部22のZ軸方向の負側の端部から、Y軸方向の他方へ延びる帯状の金属片である。足部24bは、接続部23のY軸方向の他方の端部から、Z軸方向の負側へ延びる帯状の金属片である。接合部24aは、足部24bのZ軸方向の負側の端部から、Y軸方向の一方へ延びる帯状の金属片である。このような構成により、実装部24は、素体2の延在方向であるX軸方向に対する垂直方向(ここではY軸方向)に延びる構成となる。接続部21,22,23、足部24b及び接合部24aは、いずれもX軸方向を幅方向として広がっている。接続部21,23及び接合部24aのY軸方向の長さは同一である。
【0026】
端子部材20A,20B,20Cは、例えば、銅、リン青銅、NiFe合金などの金属によって形成される。端子部材20A,20B,20Cは、帯状の金属材料を屈曲させることで上記各部を形成してもよく、上記各部に対応する金属片を互いに固定することで構成されてもよい。
【0027】
端子部材20Aは、接続部23が接続部22からY軸方向の正側へ延びるような向きに配置される。端子部材20Aは、接続部22,23にてチップ部品10Aの端子電極3に接続される。接続部22は、側面2fに対応する回り込み部3bと接続される。接続部23は、実装面である側面2dに対応する回り込み部3bと接続される。これにより、端子部材20Aは、端子電極3のうち、複数の側面に対応する回り込み部3bに接続される状態となる。また、チップ部品10Aの端子電極3の本体部3aは、端子部材20Aと接続されることなく、露出された状態となる。
【0028】
端子部材20Bは、接続部23が接続部22からY軸方向の負側へ延びるような向きに配置される。端子部材20Bは、接続部21,22にてチップ部品10Aの端子電極4に接続される。接続部21は、側面2cに対応する回り込み部4bと接続される。接続部22は、側面2fに対応する回り込み部4bと接続される。これにより、端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4のうち、複数の側面に対応する回り込み部4bに接続される状態となる。また、チップ部品10Aの端子電極4の本体部4aは、端子部材20Bと接続されることなく、露出された状態となる。
【0029】
更に、端子部材20Bは、接続部22,23にてチップ部品10Bの端子電極3に接続される。接続部22は、側面2eに対応する回り込み部3bと接続される。接続部23は、実装面である側面2dに対応する回り込み部3bと接続される。これにより、端子部材20Bは、チップ部品10Bの端子電極3のうち、複数の側面に対応する回り込み部3bに接続される状態となる。また、チップ部品10Bの端子電極3の本体部3aは、端子部材20Bと接続されることなく、露出された状態となる。
【0030】
上述のような構成により、端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4の回り込み部4aと、チップ部品10Bの端子電極3の回り込み部3bとの間に配置され、それぞれの回り込み部4b,3bと接続された状態となる。すなわち、チップ部品10Aの端子電極4とチップ部品10Bの端子電極3とは、回り込み部3b,4bの箇所にて、端子部材20Bを介して互いに接続される。
【0031】
端子部材20Cは、接続部23が接続部22からY軸方向の負側へ延びるような向きに配置される。端子部材20Cは、接続部22,23にてチップ部品10Bの端子電極4に接続される。接続部22は、側面2eに対応する回り込み部4bと接続される。接続部23は、実装面である側面2dに対応する回り込み部4bと接続される。これにより、端子部材20Cは、チップ部品10Cの端子電極4のうち、複数の側面に対応する回り込み部4bに接続される状態となる。また、チップ部品10Bの端子電極4の本体部4aは、端子部材20Cと接続されることなく、露出された状態となる。
【0032】
電子部品100のX軸方向における中心位置及びY軸方向における中心位置に該当する箇所に、中心軸線CLを設定する。このとき、中心軸線CLは、端子部材20Bの接続部22の幅方向(X軸方向)における中央位置にて、Z軸方向に延びる。Z軸方向から見て、中心軸線CLは点で示されるが、当該中心軸線CLによる点を基準としたときに、チップ部品10A及び端子部材20Aの位置関係と、チップ部品10B及び端子部材20Cの位置関係は、点対称の関係にある。チップ部品10A及び端子部材20Aの位置関係と、チップ部品10B及び端子部材20Cの位置関係は、中心軸線CLを基準軸とした回転対称な関係にあると言ってもよい。
【0033】
電流の流れを考慮した場合、端子部材20Aから流れた電流は、チップ部品10Aの端子電極3からチップ部品10A内部のコンデンサ部を介してチップ部品10Aの端子電極4及び端子部材20Bへ流れる。そして、電流は、チップ部品10Bの端子電極3からチップ部品10B内部のコンデンサ部を介してチップ部品10Bの端子電極4及び端子部材20Cへ流れる。あるいは、電流の流れは逆でもよい(端子部材20Cから端子部材20Aへの流れ)。このように、チップ部品10Aとチップ部品10Bとは、直列に接続されている。
【0034】
次に、本実施形態に係る電子部品100の作用・効果について説明する。
【0035】
まず、図3(a)を参照して、比較例に係る電子部品について説明する。この電子部品は、比較例に係る電子部品の端子部材120A,120Bは、断面L字状に構成されている。また、端子部材120A,120Bは、素体2の延在方向における端面に対応する箇所にて、端子電極3,4と接続されている。比較例に係る電子部品は、端子部材120A,120Bを介して、回路基板50に実装される。このような構成では、端子部材120A,120Bは、端面に対向して広がるような板状の形状を有している。従って、回路基板50にたわみが生じた場合(たわんだ後の回路基板50の上面を「F」で示す)、端子部材120A,120Bは、当該たわみに対して変形し易い。従って、端子部材120A,120Bが、端子電極3,4から剥離されるような変形をすることで、端子部材120A,120Bと端子電極3,4との間に応力が加わる。これにより、端子部材120A,120Bと端子電極3,4との間の接続の安定性に影響が及ぼされるという問題が生じる。
【0036】
これに対し、本実施形態に係る電子部品100では、チップ部品10A及びチップ部品10Bの素体2は、当該素体2が延びる延在方向の両端側に形成された一対の端面2a,2bと、一対の端面2a,2bの間に形成された側面2c,2d,2e,2fと、を有する。端子電極3,4は、素体2の端面2a,2bに形成された本体部3a、4a、及び本体部3a,4aから側面2c,2d,2e,2fへ回り込む回り込み部3b、4bを有する。これらの端子電極3,4には、複数の端子部材20がそれぞれ接続される。ここで、複数の端子部材20のうちの一の端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4の回り込み部4aと、チップ部品10Bの端子電極3の回り込み部3bとの間に配置されている。更に、一の端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4、及びチップ部品10Bの端子電極3のそれぞれの回り込み部4b,3bと接続されている。この場合、端子部材20Bは、端子電極4のうちの素体2の側面2f、端子電極3のうちの素体2の側面2eに対応する箇所に接続されるため、比較例のように端面2a,2bに対応する箇所に接続される場合に比して、回路基板50のたわみによって受ける影響を低減することができる。例えば、図3(b)に示すように、端子部材20A,20Bはたわみに抗するように板状に広がるため、比較例に比して、端子部材20A,20Bと端子電極3,4との間の応力を低減できる。また、端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4及びチップ部品10Bの端子電極3に挟まれるように保持された状態で接続される。この場合、端子電極3,4と端子部材20Bとの間の接続性は、比較例に比して、高くなる。従って、端子部材20Bと端子電極3,4との間の接続の安定性を向上することができる。
【0037】
端子部材20Aは、端子電極3のうち、複数の側面2f,2dに対応する回り込み部3bに接続される。端子部材20Bは、端子電極4のうち、複数の側面2f,2cに対応する回り込み部4aに接続され、端子電極3のうち、複数の側面2e,2dに対応する回り込み部3bに接続される。端子部材20Cは、端子電極4のうち、複数の側面2e,2dに対応する回り込み部4aに接続される。この場合、端子部材20A,20B,20Cが複数の側面に対して接続されることで、端子部材20A,20B,20Cと端子電極3,4との間の接続の安定性を向上できる。
【0038】
チップ部品10Aの端子電極3に接続される端子部材20A、及びチップ部品10Aの位置関係と、チップ部品10Bの端子電極4に接続される端子部材20C、及びチップ部品10Bの位置関係は、点対称の関係にある。この場合、チップ部品10Aの端子電極4とチップ部品10Bの端子電極3を一の端子部材20Bに接続することが可能となるため、製造が容易となる。
【0039】
例えば、後述の図6に示す電子部品400は点対称な構造を有しておらず、チップ部品10A及び端子部材420Aの構造体と、チップ部品10B及び端子部材420Bによる構造体は、部品として見た時に、互いに異なる形状を有している。従って、構造体同士を端子部材20Bで接続する際には、端子部材420Aと端子部材420Bとを区別して作業を行わなくてはならない。これに対し、電子部品100が点対称の関係を有している場合、チップ部品10Aと端子部材20Aによる構造体、及びチップ部品10Bと端子部材20Cによる構造体は、部品としては同じ形状を有することとなる。例えば、図1に示すチップ部品10B及び端子部材20Cが中心軸線CL周りに180°回転した場合、チップ部品10A及び端子部材20Aと全く同じ構造となる。従って、一のチップ部品10に対して一の端子部材20を接続した構造体を複数作っておけば、いずれの構造体も、チップ部品10Aと端子部材20Aによる構造体、及びチップ部品10Bと端子部材20Cによる構造体として用いることができる。このように、チップ部品10Aと端子部材20Aによる構造体、及びチップ部品10Bと端子部材20Cによる構造体を区別する必要がなくなるため、電子部品100の製造が容易となる。
【0040】
端子部材20A,20B,20Cは、側面のうち、回路基板50に対する実装面に対応する側面2dの回り込み部3b,4bと接続される。この場合、端子部材20A,20B,20Cは、実装面側でチップ部品10A,10Bを保持することができる。従って、端子部材20A,20B,20Cは、チップ部品10A,10Bが回路基板50に脱落することを抑制できる。
【0041】
チップ部品10Aとチップ部品10Bとは、直列に接続されている。このように、端子部材20Bを用いて複数のチップ部品10A,10Bを直列に接続することができる。
【0042】
端子部材20A,20B,20Cは、回路基板50に実装される実装部24を有し、実装部24の接合部24aは、延在方向に対する垂直方向(ここではY軸方向)に延びている。例えば、図3(a)の比較例のように、実装部124が延在方向に延びる場合、当該実装部124は、回路基板50のたわみに伴って変形し易くなる。この場合、実装部124は、回路基板50のたわみに起因する応力を回避することができるが、その分、応力の影響が端子部材120A,120Bと端子電極3,4との接続部分に及ぼされてしまう可能性がある。これに対し、本実施形態のように、実装部24の接合部24aが延在方向に対する垂直方向に延びている場合、実装部24自体が回路基板50のたわみに起因する応力を受け持つ分、端子部材20A,20Bと端子電極3,4との接続部分に対する応力を低減できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0044】
電子部品が有するチップ部品の数は限定されず、3つ以上であってもよい。例えば、図4に示すように、電子部品200は、四つのチップ部品10A,10B,10C,10Dを有してよい。この場合、電子部品200は、端子部材20A,20B,20C,20D,20Eを備える。端子部材20Aは、チップ部品10Aの端子電極3に接続される。端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4及びチップ部品10Bの端子電極3に挟まれるように接続される。端子部材20Cは、チップ部品10Bの端子電極4及びチップ部品10Cの端子電極3に挟まれるように接続される。端子部材20Dは、チップ部品10Cの端子電極4及びチップ部品10Dの端子電極3に挟まれるように接続される。端子部材20Eは、チップ部品10Dの端子電極4に接続される。端子部材20A,20Bは、図1の端子部材20A,20Bと同様な方向を向く姿勢となっている。端子部材20Cは、端子部材20Aと同じ方向を向く姿勢となっている。端子部材20D,20Eは、端子部材20Bと同じ方向を向く姿勢となっている。チップ部品10A及び端子部材20Aの構造体と、チップ部品10D及び端子部材20Eの構造体とは、中心軸線CLを基準として、点対称な構成を有している。
【0045】
また、複数のチップ部品は、必ずしも直列に接続されていなくともよい。例えば、図5に示す電子部品300は、チップ部品10Aとチップ部品10Bとが並列に接続されている。端子部材20Aは、チップ部品10Aの端子電極3とチップ部品10Bの端子電極3とに挟まれるように接続される。端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4とチップ部品10Bの端子電極4とに挟まれるように接続される。
【0046】
また、端子部材の形状は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、図6に示す電子部品400のような端子部材420A,420Bが採用されてもよい。電子部品400は、図1に示す電子部品100の端子部材20A,20Cに代えて、端子部材420A,420Bを用い、端子部材20Bはそのまま用いている。端子部材420A,420Bは、接続部421,422,423と、足部424b及び接合部424aを有する実装部424と、を有する。端子部材420A,420Bは、接続部421が接続部423と同方向に延びている点において、端子部材20A,20Cと相違している。また、端子部材420Bは、端子部材420Aと同方向を向いた姿勢にて、チップ部品10Bの端子電極4と接続される。なお、端子部材20Bは、図1に示すものとは逆向きである。このような電子部品400は、端子部材420A,420Bの接続部420が宙に浮いた状態となることを防止できる。
【0047】
また、三つ以上のチップ部品を接続する構成において、端子部材420A,420Bが用いられてもよい。図7に示す電子部品500は、四つのチップ部品10A,10B,10C,10Dと、五つの端子部材420A,20B,20C,20D,420Bと、を備える。端子部材420Aは、チップ部品10Aの端子電極3に接続される。端子部材20Bは、チップ部品10Aの端子電極4及びチップ部品10Bの端子電極3に挟まれるように接続される。端子部材20Cは、チップ部品10Bの端子電極4及びチップ部品10Cの端子電極3に挟まれるように接続される。端子部材20Dは、チップ部品10Cの端子電極4及びチップ部品10Dの端子電極3に挟まれるように接続される。端子部材420Bは、チップ部品10Dの端子電極4に接続される。端子部材420Aは、図6の端子部材420Aとは逆向きの姿勢となっている。端子部材420Bは、図6の端子部材420Bと同様な方向を向く姿勢となっている。端子部材20Bは、図6の端子部材20Bと同様な方向を向く姿勢となっている。端子部材20Cは、端子部材20Bと逆向きの姿勢となっている。端子部材20Dは、端子部材20Bと同じ方向を向く姿勢となっている。
【0048】
また、端子部材は、必ずしも複数の側面で接続される構造でなくともよく、一つの側面のみで接続される構造であってもよい。また、実装部は、素体の延在方向に延びるような形状であってもよい。
【0049】
素体2の形状は、互いに対向する一対の主面、及び主面間に延びる側面を有していればよく、直方体形状に限定されない。
【符号の説明】
【0050】
2…素体、2a,2b…端面、2c,2d,2e,2f…側面、3,4…端子電極、3a,4a…本体部、3b,4b…回り込み部、10A,10B,10C,10D…チップ部品、20A,20B,20C,20D,20E,420A,420B…端子部材、24,424…実装部、50…回路基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7