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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】電力配線装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/30 20140101AFI20230111BHJP
   H02G 3/08 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
H02S40/30
H02G3/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019558081
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2018041047
(87)【国際公開番号】W WO2019111612
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2017234574
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌義
(72)【発明者】
【氏名】児島 清茂
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-280145(JP,A)
【文献】特開2006-024777(JP,A)
【文献】実開平01-174955(JP,U)
【文献】特開平11-164495(JP,A)
【文献】特開平05-230960(JP,A)
【文献】特開2000-207040(JP,A)
【文献】特開2009-153417(JP,A)
【文献】特開2006-114670(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0007926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00-99/00
H01L 31/04-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1コネクタを備え、当該複数の第1コネクタを互いに導通させる長尺状の配線部材と、
前記複数の第1コネクタのうちの任意の第1コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第2コネクタをそれぞれ備える複数の回路モジュールと、を備え、
前記複数の回路モジュールは、
環境発電による電力を前記第2コネクタから出力可能な回路モジュールとしての環境発電モジュールと、
前記第2コネクタから入力される電力を消費可能な回路モジュールとしての負荷モジュールと、を含み、
前記複数の第1コネクタのうちの任意の第1コネクタは、前記環境発電モジュールの前記第2コネクタ及び前記負荷モジュールの前記第2コネクタのいずれとも着脱可能である、電力配線装置。
【請求項2】
前記環境発電モジュールは、環境発電による電力を生成可能な環境発電部を備える、又は、当該環境発電部を接続可能である、請求項1に記載の電力配線装置。
【請求項3】
前記環境発電モジュールは、前記第2コネクタからの電流が前記環境発電部に流れ込むことを抑制する逆電流防止部を備える、請求項2に記載の電力配線装置。
【請求項4】
前記負荷モジュールは、電力を消費可能な負荷を備える、又は、当該負荷を接続可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の電力配線装置。
【請求項5】
前記負荷モジュールは、前記第2コネクタから入力された電圧を所定電圧に制御して前記負荷に出力する電圧制御部を備える、請求項4に記載の電力配線装置。
【請求項6】
前記複数の回路モジュールは、前記環境発電モジュールを複数含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電力配線装置。
【請求項7】
前記複数の回路モジュールは、前記負荷モジュールを複数含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電力配線装置。
【請求項8】
前記複数の第1コネクタそれぞれは、前記配線部材の延在方向に沿って配置され、
前記配線部材は、一端に設けられた第3コネクタと、前記第3コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な他端に設けられた第4コネクタと、を更に備え、前記複数の第1コネクタ、前記第3コネクタ、及び前記第4コネクタを互いに導通させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の電力配線装置。
【請求項9】
前記第3コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第5コネクタと、前記第4コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第6コネクタと、前記第5コネクタと前記第6コネクタとの間の電気的な接続及び非接続を切替可能な切替部と、を備える接続部材を更に備える、請求項8に記載の電力配線装置。
【請求項10】
前記切替部はスイッチ素子である、請求項9に記載の電力配線装置。
【請求項11】
前記配線部材を複数備え、
前記複数の配線部材それぞれには、前記環境発電モジュール及び前記負荷モジュールがそれぞれ少なくとも1つ接続され、
前記複数の配線部材のうちの少なくとも2つの配線部材は、前記接続部材を介して接続されている、請求項9又は10に記載の電力配線装置。
【請求項12】
前記第3コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第5コネクタと、前記第4コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第6コネクタと、を備え、前記第5コネクタ及び前記第6コネクタのうち少なくとも一方を複数備える分岐部材を更に備える、請求項8から11のいずれか一項に記載の電力配線装置。
【請求項13】
前記複数の回路モジュールは、
二次電池を備え、前記第2コネクタから入力される電力を前記二次電池に充電する充電状態と、前記二次電池からの電力を前記第2コネクタから出力する給電状態と、を切替可能な回路モジュールとしての二次電池モジュールを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の電力配線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商用電源を得られない外出先などでも、利用者が、スマートフォン、ノートPC(Personal Computer)、タブレットPCなどの携帯型の電子機器等の負荷に電力を供給できるように、外部環境に応じた電力を発電する携帯型の環境発電装置の需要が高まっている。このような環境発電装置としては、例えば、太陽光等の光エネルギーを用いて発電する太陽電池を備える装置や、地熱等の熱エネルギーを用いて発電する熱電変換素子を備える装置が挙げられる。
【0003】
このような環境発電装置としては、例えば特許文献1に記載された、複数のモジュールを相互に連結させることで形成可能な太陽電池モジュールが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭56-36144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、環境発電装置を用いて負荷に電力を供給する場合、環境発電装置(環境発電モジュール)を所定の配線部材で負荷(負荷モジュール)に接続した電力配線装置を構成することが考えられる。このような電力配線装置を設置する際、環境発電モジュールを発電効率の良い位置に配置することが求められる。しかしながら、環境発電モジュールの発電効率が良い位置は、外的要因によって時間変化し得る。例えば、環境発電モジュールとして太陽電池を用いた場合、発電効率の良い日当たりの良い位置、及び発電効率の悪い日当たりの悪い位置は、時刻や天候等の外部環境によって時間変化する。従って、電力配線装置の発電効率は、外部環境によって低下する可能性があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、外部環境による発電効率の低下を抑制できる電力配線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の電力配線装置は、複数の第1コネクタを備え当該複数の第1コネクタを互いに導通させる長尺状の配線部材と、前記複数の第1コネクタのうちの任意の第1コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第2コネクタをそれぞれ備える複数の回路モジュールと、を備え、前記複数の回路モジュールは、環境発電による電力を前記第2コネクタから出力可能な回路モジュールとしての環境発電モジュールと、前記第2コネクタから入力される電力を消費可能な回路モジュールとしての負荷モジュールと、を含むことを特徴とする。このような構成とすることで、配線部材が備える複数の第1コネクタのうちの任意の第1コネクタに、回路モジュールとしての環境発電モジュールを着脱することができる。従って、環境発電モジュールを発電効率の良い位置に配置されるように適宜着脱することで、外部環境による発電効率の低下を抑制できる。
【0008】
ここで、本発明の電力配線装置において、前記環境発電モジュールは、環境発電による電力を生成可能な環境発電部を備える、又は、当該環境発電部を接続可能であることが好ましい。このような構成とすることで、電力配線装置は、環境発電部を環境発電モジュールに予め組み込むことができ、又は、必要に応じて所望の環境発電部を環境発電モジュールに接続することができる。
【0009】
また、本発明の電力配線装置において、前記環境発電モジュールは、前記第2コネクタからの電流が前記環境発電部に流れ込むことを抑制する逆電流防止部を備えることが好ましい。このような構成とすることで、環境発電部からの電力供給が低下した場合であっても、例えば他の回路モジュールからの電流が環境発電部に流れ込んで故障等の原因となることを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の電力配線装置において、前記負荷モジュールは、電力を消費可能な負荷を備える、又は、当該負荷を接続可能であることが好ましい。このような構成とすることで、電力配線装置は、負荷を負荷モジュールに予め組み込むことができ、又は、必要に応じて所望の負荷を負荷モジュールに接続することができる。
【0011】
また、本発明の電力配線装置において、前記負荷モジュールは、前記第2コネクタから入力された電圧を所定電圧に制御して前記負荷に出力する電圧制御部を備えることが好ましい。このような構成とすることで、負荷モジュールは、第2コネクタから入力された電圧が負荷に適さない電圧であっても、負荷に適した所定電圧に制御してから負荷に出力することができる。
【0012】
また、本発明の電力配線装置において、前記複数の回路モジュールは、前記環境発電モジュールを複数含むことが好ましい。このような構成とすることで、負荷モジュール等の回路モジュールに出力可能な電力を増加させることができる。
【0013】
また、本発明の電力配線装置において、前記複数の回路モジュールは、前記負荷モジュールを複数含むことが好ましい。このような構成とすることで、複数の負荷に同時に電力を供給することができる。
【0014】
また、本発明の電力配線装置において、前記複数の第1コネクタそれぞれは、前記配線部材の延在方向に沿って配置され、前記配線部材は、一端に設けられた第3コネクタと、前記第3コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な他端に設けられた第4コネクタと、を更に備え、前記複数の第1コネクタ、前記第3コネクタ、及び前記第4コネクタを互いに導通させることが好ましい。このような構成とすることで、配線部材の第3コネクタを他の配線部材の第4コネクタに接続し、或いは配線部材の第4コネクタを他の配線部材の第3コネクタに接続して、回路モジュールを着脱可能な第1コネクタの総数を増加させることができる。
【0015】
また、本発明の電力配線装置は、前記第3コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第5コネクタと、前記第4コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第6コネクタと、前記第5コネクタと前記第6コネクタとの間の電気的な接続及び非接続を切替可能な切替部と、を備える接続部材を更に備えることが好ましい。このような構成とすることで、配線部材を切替部を介して他の配線部材と機械的に接続した状態のままで、電気的な接続及び非接続を切り替えることができる。
【0016】
また、本発明の電力配線装置において、前記切替部はスイッチ素子であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の電力配線装置は、前記配線部材を複数備え、前記複数の配線部材それぞれには、前記環境発電モジュール及び前記負荷モジュールがそれぞれ少なくとも1つ接続され、前記複数の配線部材のうちの少なくとも2つの配線部材は、前記接続部材を介して接続されていることが好ましい。このような構成とすることで、切替部を介して機械的に接続された複数の配線部材の間で、電気的な接続及び非接続を切り替えることができる。従って、環境発電モジュールの発電電力に応じて、電力供給の優先順位の高い負荷モジュールに優先して電力供給することができる。
【0018】
また、本発明の電力配線装置において、前記第3コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第5コネクタと、前記第4コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第6コネクタと、を備え、前記第5コネクタ及び前記第6コネクタのうち少なくとも一方を複数備える分岐部材を更に備えることが好ましい。このような構成とすることで、1つの分岐部材を介して3つ以上の配線部材を接続することができ、より配置の自由度を高めることができる。
【0019】
また、本発明の電力配線装置において、前記複数の回路モジュールは、二次電池を備え、前記第2コネクタから入力される電力を前記二次電池に充電する充電状態と、前記二次電池からの電力を前記第2コネクタから出力する給電状態と、を切替可能な回路モジュールとしての二次電池モジュールを含むことが好ましい。このような構成とすることで、例えば、負荷モジュールへの電力供給が不足する場合には二次電池モジュールを給電状態とし、負荷モジュールへの電力供給が十分の場合には二次電池モジュールを充電状態とする等、状況に応じて二次電池モジュールの充電状態と給電状態とを切り替えることで、負荷モジュールへ安定的に電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外部環境による発電効率の低下を抑制できる電力配線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る電力配線装置の概略図である。
図2A図1に示す電力配線装置が備える回路モジュールとしての環境発電モジュールの第1の構成例を示す概略図である。
図2B図1に示す電力配線装置が備える回路モジュールとしての環境発電モジュールの第2の構成例を示す概略図である。
図3A図1に示す電力配線装置が備える回路モジュールとしての負荷モジュールの第1の構成例を示す概略図である。
図3B図1に示す電力配線装置が備える回路モジュールとしての負荷モジュールの第2の構成例を示す概略図である。
図4図1に示す電力配線装置が備える回路モジュールとしての二次電池モジュールの構成例を示す概略図である。
図5図1に示す電力配線装置の第1の使用状態を示す図である。
図6図1に示す電力配線装置の第2の使用状態を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る電力配線装置の概略図である。
図8図7に示す電力配線装置の第1の使用状態を示す図である。
図9図7に示す電力配線装置の第2の使用状態を示す図である。
図10図7に示す電力配線装置の第3の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。
【0023】
(第1実施形態)
[電力配線装置1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る電力配線装置1の概略図である。図1に示すように、電力配線装置1は、配線部材10と、複数の回路モジュールと、を備える。複数の回路モジュールは、図1に示すように、少なくとも、環境発電モジュール20と、負荷モジュール30と、を含む。詳細は後述するが、複数の回路モジュールそれぞれは、配線部材10が備える複数の第1コネクタ12a、12b、12cのうちの任意の第1コネクタと機械的かつ電気的に着脱可能な第2コネクタ(例えば、環境発電モジュール20が備える第2コネクタ21、又は負荷モジュール30が備える第2コネクタ31)を備える。複数の回路モジュールは、配線部材10を通じて、互いに電気的に並列に接続される。図1では、電力配線装置1の各構成の形状を説明の便宜のために規定しており、各構成の形状はこれらの形状には限定されない。このことは、以下の各図面においても同様である。
【0024】
図1に示すように、配線部材10は、長尺状の導電部11と、3つの第1コネクタ12a、12b、12cとを備え、全体として長尺状の部材である。配線部材10は、導電部11の周囲を被覆する被覆部を備えていてもよい。
【0025】
導電部11は、延在方向に沿って、例えば全長に亘って、電気を通すことができる。導電部11は、電気導電体を含む。導電部11に含まれる電気導電体としては、特に限定されないが、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、及び鉄からなる群から選ばれる金属材料、及びこれらの金属材料を含む合金材料により形成された電気導電体が挙げられる。導電部11は、延在方向に沿う任意の位置で繰り返し折り曲げることが可能な可撓性を有するものであっても、剛性を有するものであってもよい。配線部材10の形状を可変として電力配線装置1全体の設置自由度を高める観点からは、導電部11が可撓性を有することが好ましい。
【0026】
3つの第1コネクタ12a、12b、12cそれぞれは、導電部11に接続されている。従って、3つの第1コネクタ12a、12b、12cは、導電部11を通じて、互いに導通している、すなわち互いに電気的に接続されている。本実施形態では、3つの第1コネクタ12a、12b、12cは、配線部材10の延在方向に沿って、互いに離隔するように配置されている。
【0027】
図1では、配線部材10が3つの第1コネクタ12a、12b、12cを備える例を示したが、配線部材10は複数の第1コネクタを備えていればよい。すなわち、配線部材10は、2つの第1コネクタを備えていてもよく、4つ以上の第1コネクタを備えていてもよい。その場合、複数の第1コネクタは、互いに導通している。また、複数の第1コネクタは、配線部材10の延在方向に沿って、互いに離隔するように配置されていてもよい。複数の第1コネクタは、例えば互いに同じ形状であってもよい。以下、3つの第1コネクタ12a、12b、12cを区別せずにいずれかを示す場合、第1コネクタ12とも記載する。
【0028】
図1に示すように、環境発電モジュール20は、第2コネクタ21を備える。環境発電モジュール20は、環境発電による電力を第2コネクタ21から出力可能である。図1には、環境発電モジュール20を1つのみ示すが、電力配線装置1は、環境発電モジュール20を複数備えていてもよい。環境発電モジュール20が複数備えられる場合、複数の環境発電モジュール20それぞれの発電能力は、互いに異なっていてもよい。
【0029】
第2コネクタ21は、配線部材10が備える任意の第1コネクタ12と、機械的かつ電気的に着脱可能である。ここで、本明細書において、2つのコネクタが「機械的かつ電気的に着脱可能」とは、一方のコネクタを他方のコネクタに装着可能であり、また装着した状態から脱離することが可能であることを意味する。一方のコネクタが他方のコネクタに装着された状態では、その2つのコネクタは互いに機械的かつ電気的に接続される。また、一方のコネクタが他方のコネクタから脱離した状態では、その2つのコネクタは互いに機械的かつ電気的に非接続となる。
【0030】
図2A及び図2Bは、電力配線装置1が備える回路モジュールとしての環境発電モジュール20の構成例を示す概略図である。具体的には、図2Aは、環境発電モジュール20の第1の構成例としての環境発電モジュール20aの概略図である。また、図2Bは、環境発電モジュール20の第2の構成例としての環境発電モジュール20bの概略図である。
【0031】
図2Aに示すように、環境発電モジュール20の第1の構成例としての環境発電モジュール20aは、上述の第2コネクタ21に加えて、環境発電部22と、逆電流防止部23と、を備える。第2コネクタ21及び逆電流防止部23は、互いに電気配線を介して電気的に接続されている。逆電流防止部23及び環境発電部22は、互いに電気配線を介して電気的に接続されている。なお、第2コネクタ21と逆電流防止部23との間の電気的な接続、及び、逆電流防止部23と環境発電部22との間の電気的な接続は、それぞれ互いに電気配線を介さずに、直接的な接続であってもよい。
【0032】
環境発電部22は、環境発電による電力を生成可能である。すなわち、環境発電部22は、外部環境に応じた電力を発電する。従って、環境発電部22によって発電される電力は、外部環境に依存して変化する。環境発電部22は、例えば、太陽光、室内光などの光エネルギーを利用して発電する太陽電池を有する。或いは、環境発電部22は、例えば、地熱等の熱エネルギーを利用して発電する熱電変換素子を有する。環境発電部22は、生成した電力を逆電流防止部23を介して第2コネクタ21に出力する。
【0033】
本実施形態の環境発電部22は、太陽電池で構成された太陽電池パネルを備える。太陽電池パネルは、太陽光、室内光などの入射光を光電変換して電力を出力する太陽電池を含む部材である。太陽電池パネルに含まれる太陽電池の種類としては、大別して、無機系材料を用いた無機系太陽電池と、有機系材料を用いた有機系太陽電池とが挙げられる。無機系太陽電池としては、シリコン(Si)を用いたSi系、化合物を用いた化合物系などが挙げられる。また、有機系太陽電池としては、有機顔料を用いた低分子蒸着系、導電性高分子を用いた高分子塗布系、変換型半導体を用いた塗布変換系などの薄膜系、チタニア、有機色素および電解質から成る色素増感系などが挙げられる。また、太陽電池パネルに含まれる太陽電池には、有機無機ハイブリッド太陽電池、ペロブスカイト系化合物を用いた太陽電池も含めることができる。太陽電池パネルは薄型パネル状であってもよく、その場合には、薄型に成型し易い点で、プラスチックフィルム等に作製された色素増感太陽電池が好適である。なお、太陽電池パネルが薄型パネル状である場合、上記プラスチックフィルム等に作製されたものに限定されるものでなく、同様に薄型であれば方式を問わないことは言うまでもない。太陽電池パネルが薄型パネル状である場合、その厚みは、例えば製造技術面から10μm以上3mm以下が好適である。
【0034】
逆電流防止部23は、第2コネクタ21からの電流が環境発電部22に流れ込むことを抑制する。逆電流防止部23は、ダイオード等の回路素子を含み得る。逆電流防止部23としてダイオードを用いる場合、アノードが環境発電部22側、カソードが第2コネクタ21側となるように接続される。逆電流防止部23は、トランジスタのコレクタ及びベース端子を接続して対エミッタ間をダイオードとして用いてもよい。
【0035】
図2Bに示すように、環境発電モジュール20の第2の構成例としての環境発電モジュール20bは、上述の第2コネクタ21に加えて、逆電流防止部23と、発電部接続用コネクタ24と、を備える。環境発電モジュール20aが環境発電部22を備えるのに対して、環境発電モジュール20bは環境発電部22を備えていない点で相違する。
【0036】
環境発電モジュール20bが備える逆電流防止部23は、第2コネクタ21からの電流が発電部接続用コネクタ24に流れ込むことを抑制するが、その他の構成は上述の環境発電モジュール20aが備える逆電流防止部23と同様である。
【0037】
発電部接続用コネクタ24は、外部の環境発電部25を機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。発電部接続用コネクタ24は、外部の環境発電部25を機械的かつ電気的に着脱可能であってもよい。発電部接続用コネクタ24は、特に限定されないが、所定の規格に沿ったコネクタ、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェースを用いたコネクタを用いることができる。
【0038】
外部の環境発電部25は、コネクタ26を備えること以外は、上述の環境発電モジュール20aが備える環境発電部22と同様の構成である。コネクタ26は、発電部接続用コネクタ24と機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。コネクタ26は、発電部接続用コネクタ24と同様に、特に限定されない。
【0039】
図1に示すように、負荷モジュール30は、第2コネクタ31を備える。負荷モジュール30は、第2コネクタ31から入力される電力を消費可能である。第2コネクタ31は、環境発電モジュール20が備える第2コネクタ21と同様に、配線部材10が備える任意の第1コネクタ12と、機械的かつ電気的に着脱可能である。図1には、負荷モジュール30を1つのみ示すが、電力配線装置1は、負荷モジュール30を複数備えていてもよい。負荷モジュール30が複数備えられる場合、複数の負荷モジュール30それぞれの消費電力は、互いに異なっていてもよい。
【0040】
図3A及び図3Bは、電力配線装置1が備える回路モジュールとしての負荷モジュール30の構成例を示す概略図である。具体的には、図3Aは、負荷モジュール30の第1の構成例としての負荷モジュール30aの概略図である。また、図3Bは、負荷モジュール30の第2の構成例としての負荷モジュール30bの概略図である。
【0041】
図3Aに示すように、負荷モジュール30の第1の構成例としての負荷モジュール30aは、上述の第2コネクタ31に加えて、負荷32と、電圧制御部33と、を備える。第2コネクタ31及び電圧制御部33は、互いに電気配線を介して電気的に接続されている。電圧制御部33及び負荷32は、互いに電気配線を介して電気的に接続されている。なお、第2コネクタ31と電圧制御部33との間の電気的な接続、及び、電圧制御部33と負荷32との間の電気的な接続は、それぞれ互いに電気配線を介さずに、直接的な接続であってもよい。
【0042】
負荷32は、電力を消費可能な任意の負荷である。負荷32は、例えば、ラジオ等の電子機器、LED照明等である。負荷32が消費する電力は、負荷32の駆動状態等によって変化し得る。
【0043】
電圧制御部33は、第2コネクタ31から入力された電力を所定電圧に制御して負荷32に出力する。詳細には、電圧制御部33は、第2コネクタ31から入力された電力を、負荷32の定格電圧等、負荷32の駆動に適した所定電圧に降圧又は昇圧して、負荷32に出力する。
【0044】
図3Bに示すように、負荷モジュール30の第2の構成例としての負荷モジュール30bは、上述の第2コネクタ31に加えて、電圧制御部33と、負荷接続用コネクタ34と、を備える。
【0045】
負荷モジュール30bが備える電圧制御部33は、第2コネクタ31から入力された電力を所定電圧に制御して負荷接続用コネクタ34に出力する。詳細には、電圧制御部33は、第2コネクタ31から入力された電力を、負荷接続用コネクタ34の規格に沿った定格電圧等の所定電圧に降圧又は昇圧して、負荷接続用コネクタ34に出力する。
【0046】
負荷接続用コネクタ34は、外部の負荷35を機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。負荷接続用コネクタ34は、外部の負荷35を機械的かつ電気的に着脱可能であってもよい。負荷接続用コネクタ34は、特に限定されないが、所定の規格に沿ったコネクタ、例えば、USBインタフェースを用いたコネクタを用いることができる。
【0047】
外部の負荷35は、コネクタ36を備えること以外は、上述の負荷モジュール30aが備える負荷32と同様の構成である。コネクタ36は、負荷接続用コネクタ34と機械的かつ電気的に接続可能なコネクタである。コネクタ36は、負荷接続用コネクタ34と同様に、特に限定されないが、所定の規格に沿ったコネクタ、例えば、USBインタフェースを用いたコネクタを用いることができる。外部の負荷35は、コネクタ36を介して負荷接続用コネクタ34に接続可能な負荷であればよく、例えば、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の一般的な電子機器であってもよい。
【0048】
電力配線装置1は、回路モジュールとしての二次電池モジュールを更に備えてもよい。図4は、電力配線装置1が備える回路モジュールとしての二次電池モジュールの構成例としての二次電池モジュール40を示す概略図である。
【0049】
図4に示すように、二次電池モジュール40は、第2コネクタ41を備える。第2コネクタ41は、図1等に示した、環境発電モジュール20が備える第2コネクタ21、及び負荷モジュール30が備える第2コネクタ31と同様に、配線部材10が備える任意の第1コネクタ12と、機械的かつ電気的に着脱可能である。電力配線装置1は、二次電池モジュール40を、複数備えていてもよい。二次電池モジュール40が複数備えられる場合、複数の二次電池モジュール40それぞれの充電時の入力電力及び給電時の出力電力は、互いに異なっていてもよい。
【0050】
図4に示すように、二次電池モジュール40は、上述の第2コネクタ41に加えて、二次電池42と、切替部43と、電圧制御部44と、逆電流防止部45と、を備える。
【0051】
二次電池42は、充放電可能な二次電池である。二次電池42は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などである。
【0052】
切替部43は、第2コネクタ41から入力される電力を二次電池42に充電する充電状態と、二次電池42からの電力を第2コネクタ41から出力する給電状態と、を切替可能である。切替部43は、例えば、第2コネクタ41と二次電池42との間で、それぞれと電気的に接続されたスイッチ素子を含む。
【0053】
電圧制御部44は、第2コネクタ41から入力された電力を所定電圧に制御して二次電池42に出力する。詳細には、電圧制御部44は、第2コネクタ41から入力された電力を、二次電池42の定格電圧等、二次電池42の充電に適した所定電圧に降圧又は昇圧して、二次電池42に出力する。また、電圧制御部44は、二次電池42から入力された電力を所定電圧に制御して第2コネクタ41に出力する。詳細には、電圧制御部44は、二次電池42から入力された電力を、他の負荷モジュール30等の回路モジュールに適した所定電圧に昇圧又は降圧して、第2コネクタ41に出力する。電圧制御部44は、切替部43と二次電池42との間で、それぞれと電気的に接続されている。
【0054】
逆電流防止部45は、切替部43が給電状態である場合に、第2コネクタ41からの電流が二次電池42に流れ込むことを抑制する。逆電流防止部45は、ダイオード等の回路素子を含み得る。逆電流防止部45としてダイオードを用いる場合、アノードが二次電池42側、カソードが第2コネクタ41側となるように接続される。逆電流防止部45は、切替部43が給電状態である場合に通電し、充電状態では通電しない配線上に位置する。
【0055】
このように、電力配線装置1は、二次電池モジュール40を備えることで、例えば、負荷モジュール30への電力供給が不足する場合には二次電池モジュール40を給電状態とし、負荷モジュール30への電力供給が十分の場合には二次電池モジュール40を充電状態とする等、状況に応じて二次電池モジュール40の充電状態と給電状態とを切り替えることで、負荷モジュール30へ安定的に電力を供給することができる。
【0056】
[第1の使用状態]
図5は、電力配線装置1の第1の使用状態を示す図である。図5に示すように、本使用状態の電力配線装置1では、1つの配線部材10に、2つの環境発電モジュール20と、1つの負荷モジュール30と、が接続されている。図5に示す例では、配線部材10の第1コネクタ12a及び12cに、環境発電モジュール20が1つずつ接続されている。また、配線部材10の第1コネクタ12bに、1つの負荷モジュール30が接続されている。
【0057】
本使用状態のように、1つの負荷モジュール30に対して複数の環境発電モジュール20を設けることで、1つの環境発電モジュール20では負荷モジュール30に必要な電力が供給できない場合であっても、負荷モジュール30に必要な電力を供給することができる。
【0058】
[第2の使用状態]
図6は、電力配線装置1の第2の使用状態を示す図である。図6に示すように、本使用状態の電力配線装置1では、1つの配線部材10に、1つの環境発電モジュール20と、2つの負荷モジュール30と、が接続されている。図6に示す例では、配線部材10の第1コネクタ12aに、1つの環境発電モジュール20が接続されている。また、配線部材10の第1コネクタ12b及び12cに、負荷モジュール30が1つずつ接続されている。
【0059】
本使用状態のように、1つの環境発電モジュール20に対して複数の負荷モジュール30を設けることで、環境発電モジュール20の発電電力が十分である場合に、複数の負荷モジュール30に同時に電力を供給することができる。なお、複数の負荷モジュール30それぞれが備える負荷32、又はそれぞれが接続する外部の負荷35の動作に必要な電圧が異なる場合であっても、複数の負荷モジュール30それぞれが備える電圧制御部33によって適切に電圧制御されるので、複数の負荷モジュール30は共通の環境発電モジュール20によって動作可能である。
【0060】
また、上述の第1の使用状態及び第2の使用状態を含む、任意の使用状態に応じて、使用者が配線部材10の任意の第1コネクタ12に自由な配置で回路モジュールを着脱することができるので、使用状態に適した配置を自由に構成することができる。従って、環境発電モジュール20を発電効率の良い位置に配置されるように適宜着脱することで、外部環境による発電効率の低下を抑制できる。また、負荷モジュール30を、その負荷モジュール30の使用に適した位置に配置されるように適宜着脱することができる。
【0061】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る電力配線装置2の概略図である。図7に示すように、電力配線装置2は、配線部材10’と、複数の回路モジュールと、を備える。複数の回路モジュールは、図7に示すように、少なくとも、環境発電モジュール20と、負荷モジュール30と、を含む。電力配線装置2は、配線部材10’を複数備えていてもよい。本実施形態の電力配線装置2が備える複数の回路モジュールは、第1実施形態の電力配線装置1が備える複数の回路モジュールと同様であるため、説明を省略する。
【0062】
図7に示すように、本実施形態の配線部材10’は、第1実施形態の配線部材10と同様に、長尺状の導電部11と、3つの第1コネクタ12a、12b、12cとを備え、全体として長尺状の部材である。配線部材10’は、導電部11の周囲を被覆する被覆部を備えていてもよい。本実施形態の導電部11及び3つの第1コネクタ12a、12b、12cは、それぞれ、第1実施形態の対応する各構成と同様である。また、配線部材10’が、3つの第1コネクタ12a、12b、12cを備えることには限定されず、複数の第1コネクタを備えていればよい点も、第1実施形態の配線部材10と同様である。
【0063】
配線部材10’は、上記構成に加えて、第3コネクタ13と、第4コネクタ14と、を更に備える。第3コネクタ13は、配線部材10’の一端(図7における左端)に設けられている。また、第4コネクタ14は、配線部材10’の他端(図7における右端)に設けられている。第4コネクタ14は、第3コネクタ13と機械的かつ電気的に着脱可能である。また、配線部材10’は、全ての第1コネクタ12、第3コネクタ13、及び第4コネクタ14を互いに導通させる。
【0064】
[第1の使用状態]
図8は、電力配線装置2の第1の使用状態を示す図である。図8に示すように、本使用状態の電力配線装置2は、2つの配線部材10’を備え、一方の配線部材10’(図8の左側)には、2つの環境発電モジュール20と、1つの負荷モジュール30とが接続され、他方の配線部材10’(図8の右側)には、1つの環境発電モジュール20と、2つの負荷モジュール30とが接続されている。図8に示す例では、一方の配線部材10’の第1コネクタ12a及び12cに、環境発電モジュール20が1つずつ接続され、第1コネクタ12bに、1つの負荷モジュール30が接続されている。また、他方の配線部材10’の第1コネクタ12aに、1つの環境発電モジュール20が接続され、第1コネクタ12b及び12cに、負荷モジュール30が1つずつ接続されている。一方の配線部材10’の第4コネクタ14と、他方の配線部材10’の第3コネクタ13とは、互いに機械的かつ電気的に接続されている。
【0065】
本使用状態のように、2つの配線部材10’の端部同士を接続することで、1つの配線部材10’よりも長い配線部材が得られると共に、回路モジュールを着脱可能な第1コネクタ12の総数を増加させることができる。従って、配置の自由度を高めることができる。
【0066】
[第2の使用状態]
図9は、電力配線装置2の第2の使用状態を示す図である。図9に示すように、電力配線装置2は、接続部材50を更に備えてもよい。
【0067】
接続部材50は、第5コネクタ51と、第6コネクタ52と、切替部53と、を備える。第5コネクタ51は、配線部材10’が備える第3コネクタ13と機械的かつ電気的に着脱可能なコネクタである。第6コネクタ52は、配線部材10’が備える第4コネクタ14と機械的かつ電気的に着脱可能なコネクタである。切替部53は、第5コネクタ51と第6コネクタ52との間の電気的な接続及び非接続を切替可能である。切替部53は、例えば、第5コネクタ51と第6コネクタ52との間で、それぞれと電気的に接続されたスイッチ素子を含む。なお、切替部53は、第5コネクタ51と第6コネクタ52との間において、例えば直流電力による電力供給のための電気的な接続及び非接続を切り替える一方、例えば交流電力による信号伝達のための電気的な接続は維持してもよい。
【0068】
図9に示すように、本使用状態の電力配線装置2は、2つの配線部材10’を備える。一方の配線部材10’(図9の左側)には、2つの環境発電モジュール20と、1つの負荷モジュール30とが接続されている。他方の配線部材10’(図9の右側)には、1つの環境発電モジュール20と、2つの負荷モジュール30とが接続されている。図9に示す例では、一方の配線部材10’の第1コネクタ12a及び12cに、環境発電モジュール20が1つずつ接続され、第1コネクタ12bに、1つの負荷モジュール30が接続されている。また、他方の配線部材10’の第1コネクタ12aに、1つの環境発電モジュール20が接続され、第1コネクタ12b及び12cに、負荷モジュール30が1つずつ接続されている。一方の配線部材10’の第4コネクタ14と、接続部材50の第6コネクタ52とは、互いに機械的かつ電気的に接続されている。また、他方の配線部材10’の第3コネクタ13と、接続部材50の第5コネクタ51とは、互いに機械的かつ電気的に接続されている。なお、図9では、説明の便宜上、2つの配線部材10’が接続部材50から離隔した状態で図示している。
【0069】
本使用状態のように、環境発電モジュール20及び負荷モジュール30がそれぞれ1つ以上接続された複数の配線部材10’のうち、少なくとも2つの配線部材10’を接続部材50を介して機械的に接続することで、接続部材50の切替部53の切り替えによって、複数の配線部材10’同士の電気的な接続及び非接続を切り替えることができる。従って、例えば一方の配線部材10’に接続された負荷モジュール30に優先的に電力供給をしたい場合、一方の配線部材10’に接続された環境発電モジュール20の供給電力が十分であるときは切替部53を非接続に切り替えて一方の配線部材10’に接続された負荷モジュール30に電力供給を行い、一方の配線部材10’に接続された環境発電モジュール20の供給電力が十分ではないときは切替部53を接続に切り替えて他方の配線部材10’に接続された環境発電モジュール20からの電力を一方の配線部材10’に接続された負荷モジュール30に供給することができる。このように、環境発電モジュール20の発電電力に応じて、電力供給の優先順位の高い負荷モジュール30に優先して電力供給することができる。切替部53を非接続に切り替えることで、各配線部材10’ごとに環境発電モジュール20及び負荷モジュール30の配置が可能となり、任意数の環境発電モジュール20と任意数の負荷モジュール30とを1つの組合せとして複数の独立した系を構成することができる。
【0070】
[第3の使用状態]
図10は、電力配線装置2の第3の使用状態を示す図である。図10に示すように、電力配線装置2は、分岐部材60を更に備えてもよい。
【0071】
分岐部材60は、2つの第5コネクタ61と、1つの第6コネクタ62と、を備える。第5コネクタ61は、配線部材10’が備える第3コネクタ13と機械的かつ電気的に着脱可能なコネクタである。第6コネクタ62は、配線部材10’が備える第4コネクタ14と機械的かつ電気的に着脱可能なコネクタである。分岐部材60が備える全てのコネクタ、すなわち2つの第5コネクタ61及び1つの第6コネクタは、互いに導通している。
【0072】
図10に示すように、本使用状態の電力配線装置2は、3つの配線部材10’を備え、第1の配線部材10’(図10の左側)には、2つの環境発電モジュール20と、1つの負荷モジュール30とが接続されている。第2の配線部材10’(図10の右側)には、1つの環境発電モジュール20と、2つの負荷モジュール30とが接続されている。第3の配線部材10’(図10の下側)には、3つの環境発電モジュール20が接続されている。図10に示す例では、第1の配線部材10’の第1コネクタ12a及び12cに、環境発電モジュール20が1つずつ接続され、第1コネクタ12bに、1つの負荷モジュール30が接続されている。第2の配線部材10’の第1コネクタ12aに、1つの環境発電モジュール20が接続され、第1コネクタ12b及び12cに、負荷モジュール30が1つずつ接続されている。第3の配線部材10’の第1コネクタ12a、12b及び12cに、環境発電モジュール20が1つずつ接続されている。第1の配線部材10’の第4コネクタ14と、分岐部材60の第6コネクタ62とは、互いに機械的かつ電気的に接続されている。第2の配線部材10’の第3コネクタ13と、分岐部材60の一方の第5コネクタ61(図10の右側)とは、互いに機械的かつ電気的に接続されている。第3の配線部材10’の第3コネクタ13と、分岐部材60の他方の第5コネクタ(図10の下側)とは、互いに機械的かつ電気的に接続されている。なお、図10では、説明の便宜上、3つの配線部材10’が分岐部材60から離隔した状態で図示している。
【0073】
本使用状態のように、1つの分岐部材60を介して3つの配線部材10’を機械的かつ電気的に接続することができるので、より配置の自由度を高めることができる。
【0074】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。
【0075】
例えば、上述の各コネクタは、互いに着脱可能な組み合わせ同士であればよく、例えば、一方がオス型コネクタ、他方がメス型コネクタである。第1コネクタ12がオス型コネクタである場合、第1コネクタ12と着脱可能な第2コネクタ(例えば第2コネクタ21、31及び41)はメス型コネクタである。一方、第1コネクタ12がメス型コネクタである場合、第1コネクタ12と着脱可能な第2コネクタはオス型コネクタである。第3コネクタ13がオス型コネクタである場合、第3コネクタ13と着脱可能な第4コネクタ14及び第5コネクタ51はメス型コネクタであり、第4コネクタ14と着脱可能な第6コネクタ52はオス型コネクタである。一方、第3コネクタ13がメス型コネクタである場合、第3コネクタ13と着脱可能な第4コネクタ14及び第5コネクタ51はオス型コネクタであり、第4コネクタ14と着脱可能な第6コネクタ52はメス型コネクタである。
【0076】
また、環境発電モジュール20は、逆電流防止部23を備えていなくてもよい。しかしながら、環境発電モジュール20が逆電流防止部23を備えていれば、他の環境発電モジュール20等の回路モジュールからの電流が環境発電部22又は外部の環境発電部25に流れ込むことを抑制できる点で好ましい。また、環境発電モジュール20は、出力電圧を一定に制御する電圧制御部を備えていてもよい。
【0077】
また、負荷モジュール30は、電圧制御部33を備えていなくてもよい。しかしながら、負荷モジュール30が電圧制御部33を備えていれば、環境発電モジュール20等の回路モジュールからの電力が負荷32又は外部の負荷35に例えば定格電圧を超えて入力されることを抑制できる点で好ましい。
【0078】
また、二次電池モジュール40は、電圧制御部44を備えていなくてもよい。しかしながら、二次電池モジュール40が電圧制御部44を備えていれば、二次電池42から入出力される電力の電圧を制御できる点で好ましい。
【0079】
また、二次電池モジュール40は、逆電流防止部45を備えていなくてもよい。しかしながら、二次電池モジュール40が逆電流防止部45を備えていれば、切替部43が給電状態である場合に、他の環境発電モジュール20等の回路モジュールからの電流が二次電池42に流れ込むことを抑制できる点で好ましい。
【0080】
また、分岐部材60が、2つの第5コネクタ61と、1つの第6コネクタ62と、を備えるとして説明したが、このような構成には限定されず、第5コネクタ61及び第6コネクタ62のうち少なくとも一方を複数備えていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、外部環境による発電効率の低下を抑制できる電力配線装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、2 電力配線装置
10、10’ 配線部材
11 導電部
12a、12b、12c 第1コネクタ
13 第3コネクタ
14 第4コネクタ
20、20a、20b 環境発電モジュール
21 第2コネクタ
22 環境発電部
23 逆電流防止部
24 発電部接続用コネクタ
25 外部の環境発電部
26 コネクタ
30、30a、30b 負荷モジュール
31 第2コネクタ
32 負荷
33 電圧制御部
34 負荷接続用コネクタ
35 外部の負荷
36 コネクタ
40 二次電池モジュール
41 第2コネクタ
42 二次電池
43 切替部
44 電圧制御部
45 逆電流防止部
50 接続部材
51 第5コネクタ
52 第6コネクタ
53 切替部
60 分岐部材
61 第5コネクタ
62 第6コネクタ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10