(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
H01J 65/00 20060101AFI20230111BHJP
H01J 61/067 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H01J65/00 B
H01J61/067 N
(21)【出願番号】P 2021197944
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2018234633の分割
【原出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真司
(72)【発明者】
【氏名】柳生 英昭
(72)【発明者】
【氏名】森 学
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0079175(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0017898(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0047704(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0159051(US,A1)
【文献】国際公開第2017/145635(WO,A1)
【文献】特開2010-027620(JP,A)
【文献】特開2003-178718(JP,A)
【文献】特開昭63-013257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 65/00-65/08
H01J 61/067
H01J 61/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に離間して、又は前記第一方向に電気的に絶縁された状態で配置された、第一電極ブロック及び第二電極ブロックと、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれの側面上に、前記第一方向に延伸するように形成された凹溝と、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックの双方に形成された前記凹溝に一部分が嵌め込まれ、且つ、前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックに跨るように前記第一方向に延伸して配置された、エキシマランプからなる第一放電ランプと、
前記第一放電ランプと、前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックとの接触状態を保持する保持部材と、
前記第一放電ランプに対して電力を供給するための電源部と、
前記第一電極ブロックと前記電源部とを電気的に接続する第一通電部材と、
前記第二電極ブロックと前記電源部とを、前記第一通電部材とは異なる電位で電気的に接続可能な第二通電部材と、
前記第一放電ランプから見て前記第一電極ブロックとは反対側、及び前記第一放電ランプから見て前記第二電極ブロックとは反対側に形成され、前記第一放電ランプから出射される紫外線を外部に取り出すための光照射窓とを備えたことを特徴とする、紫外線照射装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記第一放電ランプを、前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックが配置されている側
とは反対側の位置から前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックに対して押さえるランプ押さえ部分を有することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記ランプ押さえ部分は、第一放電ランプの管体の外側面の一部に這わせられるように湾曲した形状を呈することを特徴とする、請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックは、前記第一放電ランプから出射される光に対して反射性を有する金属部材からなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記第一通電部材は、前記第一電極ブロックの所定の箇所に挿入されてなる第一ネジ部材と、前記第一ネジ部材と前記電源部とを接続する第一ワイヤとを含み、
前記第二通電部材は、前記第二電極ブロックの所定の箇所に挿入されてなる第二ネジ部材と、前記第二ネジ部材と前記電源部とを接続する第二ワイヤとを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれは、前記第一方向から見たときに、相互に離間した複数の箇所に前記凹溝が形成されており、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれに形成された前記凹溝の個数に応じた数の前記第一放電ランプを備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記第一放電ランプよりも始動電圧の低い、第二放電ランプを有し、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれは、前記第一方向から見たときに、相互に離間した複数の箇所に前記凹溝が形成されており、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれに形成された前記凹溝の個数が、前記第一放電ランプの本数と前記第二放電ランプの本数の総数に対応していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記第一放電ランプの本数は、前記第二放電ランプの本数以上であることを特徴とする、請求項7に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記第一放電ランプは、紫外線を出射可能な第一放電用ガスが封入された管体を有し、
前記第二放電ランプは、可視光を出射可能な第二放電用ガスが封入された管体を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記第一放電用ガスは、KrとClとを含み、
前記第二放電用ガスは、Neを含むことを特徴とする、請求項9に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記電源部は、電池、及び前記電池から供給される電圧を変圧する電装体を含み、
前記電池が収容される電池収容部と、
前記電池収容部とは離間した位置に配置され前記電装体が収容される電装体収容部と、
前記電池収容部及び前記電装体収容部とは離間した位置に配置され、前記第一電極ブロック、前記第二電極ブロック、及び前記第一放電ランプを収容し、一部の箇所に前記光照射窓が形成されてなるランプ収容部と、
前記電池収容部、前記電装体収容部、及び前記ランプ収容部を収容するケーシング部材とを有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項12】
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックは、前記第一方向に離間して配置されており、
前記第一放電ランプの管体の両端は、前記第一方向に関して、前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックよりも外側に突出していることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項13】
前記光照射窓を通じて照射された前記紫外線が、殺菌用途に利用されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品や皮膚の殺菌の用途に利用される紫外線照射装置が開発されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-113116号公報
【文献】特開2017-164417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図18は、特許文献2に開示されている小型の紫外線照射装置の構造を模式的に示す図面である。紫外線照射装置100は、把持部101を含む筐体102内に収容されたランプ収容部103と、光照射窓104とを備える。ランプ収容部103内には、紫外線を出射するエキシマランプ110が内蔵されている。
【0005】
図19は、エキシマランプ110の構造を模式的に示す図面である。エキシマランプ110は、円筒状の外側管121と、外側管121の内側において外側管121と同軸上に配置されており、外側管121よりも内径が小さい円筒状の内側管122とを有する。外側管121と内側管122とは方向d1に係る端部において封止されており、両者の間には円環状の発光空間が構成され、当該空間内には放電用ガス123Gが封入される。
【0006】
外側管121の外壁面には網状又はメッシュ状の外側電極124が設けられ、内側管122の内壁面には膜状の内側電極125が設けられている。外側電極124及び内側電極125は、それぞれ高周波の交流電圧を発生可能な電源部126と電気的に接続されている。
【0007】
電源部126によって外側電極124と内側電極125との間に高周波の交流電圧が印加されることにより、外側管121と内側管122の管体を介して放電用ガス123Gに対して電圧が印加され、放電用ガス123Gが封入されている放電空間内で放電プラズマが生じる。これにより放電用ガス123Gの原子が励起されてエキシマ状態となり、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。
【0008】
放電用ガス123Gとして用いられるガスの種類に応じて、エキシマ発光の波長を変えることができる。例えば、特許文献1には、放電用ガス123Gとして塩化クリプトン(KrCl)ガスを用いることで、殺菌用途に適した主たる発光波長が222nmの紫外線を得ることができる旨の記載がされている。
【0009】
ところで、
図19に図示されたエキシマランプ110は、上述したように、2種類の管体(121,122)が同軸上に配置されてなる。このため、エキシマランプ110を収容する筐体102は、ある程度の大きさを確保せざるを得ない。特許文献2に記載された紫外線照射装置100は、皮膚疾患の治療に利用されることが想定されており、利用者や利用状況が制限されていた。しかしながら、より広く一般的な殺菌や消臭の用途に利用される紫外線照射装置としては、
図19に図示されたようなエキシマランプ110の構造では、大きすぎるという課題がある。一例を挙げれば、靴の中の殺菌や脱臭を希望する場合に、
図19に図示された紫外線照射装置100を利用するのは、現実的に難しい。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑み、従来構造よりも大幅に小型化した紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る紫外線照射装置は、
第一方向に離間して、又は前記第一方向に電気的に絶縁された状態で配置された、第一電極ブロック及び第二電極ブロックと、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれの側面上に、前記第一方向に延伸するように形成された凹溝と、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックの双方に形成された前記凹溝に一部分が嵌め込まれ、且つ、前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックに跨るように前記第一方向に延伸して配置された、エキシマランプからなる第一放電ランプと、
前記第一放電ランプに対して電力を供給するための電源部と、
前記第一電極ブロックと前記電源部とを電気的に接続する第一通電部材と、
前記第二電極ブロックと前記電源部とを、前記第一通電部材とは異なる電位で電気的に接続可能な第二通電部材と、
前記第一放電ランプから見て前記第一電極ブロックとは反対側、及び前記第一放電ランプから見て前記第二電極ブロックとは反対側に形成され、前記第一放電ランプから出射される紫外線を外部に取り出すための光照射窓とを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、第一放電ランプは、第一電極ブロックと第二電極ブロックの双方に形成された凹溝に一部分が嵌め込まれ、第一電極ブロックと第二電極ブロックの双方に跨るように配置されている。このため、第一放電ランプは、単なる直管型の構造によって放電が可能となるため、従来のように二重管構造の採用を必要としない。一例として、この第一放電ランプの管体の大きさは、第一方向に係る長さが15mm以上、200mm以下であり、外径が2mm以上16mm以下である。
【0013】
具体的には、第一電極ブロックに形成された凹溝と第一放電ランプ(より詳細には、第一放電ランプの管体)との接触領域が、一方の電極(以下、「第一電極領域」という。)を形成し、第二電極ブロックに形成された凹溝と第一放電ランプ(より詳細には、第一放電ランプの管体)との接触領域が、他方の電極(以下、「第二電極領域」という。)を形成する。第一電極ブロックと第二電極ブロックとは、第一方向に離間しているか、又は第一方向に電気的に絶縁された状態で配置されているため、両者が短絡することはない。また、このような構成のため、第一電極領域と第二電極領域とは、第一放電ランプの管体の側面上において、第一方向に離間した位置に形成される。
【0014】
すなわち、上記構成によれば、電源部から第一通電部材を通じて第一電極ブロックに与えられる電位と、電源部から第二通電部材を通じて第二電極ブロックに与えられる電位とに電位差が設けられることで、第一放電ランプには、第一方向に離間した第一電極領域と第二電極領域との間に電圧が印加される。これにより、第一放電ランプ内で放電が生じ、紫外線を出射する。
【0015】
光照射窓は、第一放電ランプから見て第一電極ブロックとは反対側、及び第一放電ランプから見て第二電極ブロックとは反対側に形成されている。このため、第一放電ランプから出射された紫外線は、第一電極ブロックや第二電極ブロックによって遮られない側から装置外部へと取り出される。
【0016】
第一電極ブロック及び第二電極ブロックは、それぞれのブロック全体が導電性材料で形成されていても構わない。
【0017】
別の例として、第一電極ブロックは、全体が絶縁性部材で構成される一方、第一通電部材が接続される領域(以下、「第一特定領域」という。)と、第一電極領域に導電性のシート部材が形成されていても構わない。このとき、第一特定領域と第一電極領域は電気的に接続されるよう、例えば、導電性のシート部材が連絡されているものとしても構わない。
【0018】
同様に、第二電極ブロックは、全体が絶縁性部材で構成される一方、第二通電部材が接続される領域(以下、「第二特定領域」という。)と、第二電極領域に導電性のシート部材が形成されていても構わない。このとき、第二特定領域と第二電極領域は電気的に接続されるよう、例えば、導電性のシート部材が連絡されているものとしても構わない。
【0019】
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックは、前記放電ランプから出射される光に対して反射性を有する金属部材からなるものとしても構わない。
【0020】
上記の構成によれば、第一放電ランプから出射された紫外線のうち、第一電極ブロック及び第二電極ブロック側に向かって進行する紫外線を、光照射窓側に戻すことができ、外部への光取り出しが向上する。
【0021】
前記第一通電部材は、前記第一電極ブロックの所定の箇所に挿入されてなる第一ネジ部材と、前記第一ネジ部材と前記電源部とを接続する第一ワイヤとを含み、
前記第二通電部材は、前記第二電極ブロックの所定の箇所に挿入されてなる第二ネジ部材と、前記第二ネジ部材と前記電源部とを接続する第二ワイヤとを含むものとしても構わない。
【0022】
特に、第一放電ランプは、各電極ブロックに形成された凹溝に嵌め込まれた状態で、各電極ブロックに跨るように配置される。そして、上述したように、第一放電ランプと、各電極ブロックに形成された凹溝との接触領域が、放電を実行させるための電極領域(第一電極領域、第二電極領域)を構成する。このため、第一放電ランプと、各電極ブロックとは接触状態が安定的に保持されることが好ましい。かかる観点から、紫外線照射装置は、第一放電ランプを、各電極ブロックとは反対側の位置から各電極ブロックに対して押さえるための保持部材を、電極ブロック毎に備えることが好ましい。
【0023】
保持部材は、一部の領域において、第一放電ランプの管体の外側面の一部に這わせられるように湾曲した形状を呈するランプ押さえ部分を有する。また、ランプ押さえ部分によって第一放電ランプを各電極ブロックに対して押さえる機能を十分発揮するために、保持部材は、ランプ押さえ部分とは別の位置において、各電極ブロックとネジ留めされるのが好ましい。
【0024】
すなわち、各電極ブロックは、保持部材を介して第一放電ランプとネジ留めされることが好ましく、この限りにおいて、各電極ブロックはネジ切りが施されることが予定されている。つまり、第一電極ブロックは、保持部材をネジ留めするためのネジ切りの箇所とは別の箇所に、前記第一通電部材としての第一ネジ部材を装着するためのネジ切りを追加的に形成しておけばよい。同様に、第二電極ブロックは、保持部材をネジ留めするためのネジ切りの箇所とは別の箇所に、前記第二通電部材としての第二ネジ部材を装着するためのネジ切りを追加的に形成しておけばよい。すなわち、上記の構成によれば、製造工程を複雑化することなく、簡易な構造で電源部と各電極ブロックとの電気的な接続を確保することができる。
【0025】
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれは、前記第一方向から見たときに、相互に離間した複数の箇所に前記凹溝が形成されており、
前記紫外線照射装置は、前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれに形成された前記凹溝の個数に応じた数の前記第一放電ランプを備えるものとしても構わない。
【0026】
かかる構成によれば、装置規模が拡大するのを抑制しながら、紫外線の放射照度を高めた紫外線照射装置が実現される。
【0027】
前記紫外線照射装置は、
前記第一放電ランプよりも始動電圧の低い、第二放電ランプを有し、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれは、前記第一方向から見たときに、相互に離間した複数の箇所に前記凹溝が形成されており、
前記第一電極ブロック及び前記第二電極ブロックのそれぞれに形成された前記凹溝の個数が、前記第一放電ランプの本数と前記第二放電ランプの本数の総数に対応しているものとしても構わない。
【0028】
第一放電ランプを高出力にするためには、封入されるガスの圧力を高める必要があり、この結果、放電開始電圧が上昇する。また、第一放電ランプに封入されるガスにハロゲンガスが含まれる場合においても、放電開始電圧が上昇する。上記構成によれば、第一放電ランプよりも始動電圧の低い第二放電ランプを有するため、第一放電ランプの始動時間を短縮化することができる。また、この第二放電ランプについても、第一放電ランプと同様の態様で、電極ブロックを通じて給電することができるため、装置規模が拡大するのを抑制することができる。
【0029】
第二放電ランプは、例えば外部電極式放電ランプで構成される。
【0030】
このとき、前記第一放電ランプの本数は、前記第二放電ランプの本数以上であるものとしても構わない。
【0031】
前記第一放電ランプは、紫外線を出射可能な第一放電用ガスが封入された管体を有し、
前記第二放電ランプは、可視光を出射可能な第二放電用ガスが封入された管体を有するものとしても構わない。
【0032】
第一放電ランプが点灯中においては、光照射窓から紫外線が照射される。しかし、紫外線は可視光よりも短波長であるため、視認することが困難である。従って、第一放電ランプが実際には点灯しているにも関わらず、点灯していないと誤認して、光照射窓の近傍に存在する目的外の物に対して誤って紫外線が照射されるおそれが考えられる。
【0033】
上記の構成によれば、第二放電ランプは、始動補助用としての光源と共に、第一放電ランプが点灯していることを視覚的に確認するための点灯確認用の光源としての機能を両立することができる。これにより、装置規模の拡大を抑制しながら、点灯確認用の光源を含む紫外線照射装置が実現される。
【0034】
前記第一放電用ガスは、KrとClとを含み、
前記第二放電用ガスは、Neを含むものとしても構わない。
【0035】
第一放電用ガスとして、KrとClを含む場合、第一放電ランプは、主たる発光波長が222nmの紫外線を生成する。波長が230nm以下の紫外線であれば、皮膚の角質に吸収され表皮細胞まで到達することがないため、かかる紫外線が人体に照射されても、人体の細胞への影響が抑制される。このため、例えば日用品の殺菌・消臭の用途など、一般消費者の利用にも供することができる。
【0036】
前記電源部は、電池、及び前記電池から供給される電圧を変圧する電装体を含み、
前記紫外線照射装置は、
前記電池が収容される電池収容部と、
前記電池収容部とは離間した位置に配置され前記電装体が収容される電装体収容部と、
前記電池収容部及び前記電装体収容部とは離間した位置に配置され、前記第一電極ブロック、前記第二電極ブロック、及び前記第一放電ランプを収容し、一部の箇所に前記光照射窓が形成されてなるランプ収容部と、
前記電池収容部、前記電装体収容部、及び前記ランプ収容部を収容するケーシング部材とを有するものとしても構わない。
【0037】
かかる構成によれば、例えば携帯が可能な大きさの紫外線照射装置が実現される。
【発明の効果】
【0038】
本発明の紫外線照射装置によれば、従来構造よりも大幅に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の紫外線照射装置の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の紫外線照射装置の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の紫外線照射装置の一実施形態の構成を模式的に示す平面図であり、一部の構成要素の図示が省略されている。
【
図5】第一放電ランプと電極ブロックとの位置関係を模式的に示す図面である。
【
図6】第二放電ランプと電極ブロックとの位置関係を模式的に示す図面である。
【
図7】本発明の紫外線照射装置の構成要素のうち、電極ブロック及び放電ランプの周辺の構成要素を抽出して図示した模式的な斜視図である。
【
図8】
図7を、-X方向から見たときの模式的な平面図である。
【
図9】
図7を、+X方向から見たときの模式的な平面図である。
【
図11】電極ブロックの模式的な斜視図であり、
図10とは見る方向を異ならせて図示されている。
【
図12】電極ブロックの図示を省略して、各放電ランプの接続関係を模式的に示す斜視図である。
【
図13】電極ブロックの図示を省略して、各放電ランプの接続関係を模式的に示す斜視図であり、
図12とは見る方向を異ならせて図示されている。
【
図14】
図9内のX1-X1線での模式的な断面図である。
【
図15】
図9内のX2-X2線での模式的な断面図である。
【
図16A】別実施形態の紫外線照射装置が備える、電極ブロックと放電ランプとの位置関係を模式的に示す図面である。
【
図16B】別実施形態の紫外線照射装置が備える、電極ブロックと放電ランプとの位置関係を模式的に示す別の図面である。
【
図17】別実施形態の紫外線照射装置が備える、電極ブロックの構造を模式的に示す斜視図である。
【
図18】従来の小型の紫外線照射装置の構造を模式的に示す図面である。
【
図19】
図18に示す紫外線照射装置に搭載されているエキシマランプの構造を模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係る紫外線照射装置の構成につき、
図1~
図15の各図を参照して説明する。なお、以下の各図面は、模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致していない。また、各図面間においても、寸法比は必ずしも一致していない。
【0041】
図1及び
図2は、本発明に係る紫外線照射装置の構成を模式的に示す斜視図である。なお、以下の各図では、紫外線の取り出し方向をX方向とし、X方向に直交する2方向をY方向及びZ方向とした、XYZ座標系を参照して説明される。なお、本実施形態では、Y方向が「第一方向」に対応する。
【0042】
紫外線照射装置1は、ケーシング部材3を有する。ケーシング部材3は、内側に、電池収容部9、電装体収容部13、及びランプ収容部17を収容する。ランプ収容部17には、
図3などを参照して後述される放電ランプ(21,22)が収容されている。電池収容部9には、電池7が収容されている。電装体収容部13には、電池7から供給される電圧を変圧するための変圧器を含む電装体11が収容されている。電装体11で変圧された電圧が、放電ランプ(21,22)に供給されて、放電ランプ(21,22)が点灯する。本実施形態において、電池7及び電装体11によって電源部10が構成される。本実施形態では、電装体収容部13は、電池収容部9に対して+Y方向の位置に配置され、ランプ収容部17は、電装体収容部13に対して+Y方向の位置に配置されている。
【0043】
一例として、
図1に示すように、ケーシング部材3の表面の一部に電源ボタン5が配置されている。電源ボタン5が操作されることで、電源部10と放電ランプ(21,22)との間で電気的な接続が形成され、放電ランプ(21,22)が点灯を開始する。
【0044】
図2に示すように、ケーシング部材3の一部分には、紫外線を取り出すための光照射窓15が形成されている。光照射窓15は、紫外線を透過する材料からなり、例えば石英ガラスで構成される。
【0045】
なお、本実施形態では、紫外線が+X方向に取り出される場合を取り上げて説明する。このため、光照射窓15は、ケーシング部材3の一方のYZ平面側にのみ設けられている。しかし、紫外線の取り出し方向は一方向に限定されず、本発明は、紫外線が複数の方向に取り出される構成を排除しない。このような構成については、別実施形態の項において後述される。
【0046】
図3は、紫外線照射装置1を+X方向から見たときの模式的な平面図であり、説明の都合上、光照射窓15の図示が省略されている。本実施形態において、ランプ収容部17内には、紫外線を出射する放電ランプ21(以下、「第一放電ランプ21」という。)と、可視光を出射する放電ランプ22(以下、「第二放電ランプ22」という。)とが収容されている。
【0047】
本実施形態の紫外線照射装置1は、一例として、2本の第一放電ランプ21と、1本の第二放電ランプ22とを有している。本実施形態では、2本の第一放電ランプ21は、Z方向に並べて配置されている。以下において、2本の第一放電ランプ21を区別する場合には、-Z側に位置する第一放電ランプ21を「第一放電ランプ21a」と呼び、+Z側に位置する第一放電ランプ21を「第一放電ランプ21b」と呼ぶことがある。
【0048】
第一放電ランプ21及び第二放電ランプ22は、共に、電源部10から給電されることで放電し、発光する構成である。
【0049】
図4は、
図3から放電ランプ(21,22)の近傍部分を拡大した図面である。本実施形態の紫外線照射装置1は、Y方向に離間して配置された2つの電極ブロック(31,32)を有している。両放電ランプ(21,22)は、共に、これら2つの電極ブロック(31,32)に接触しながら跨るように配置されている。電極ブロック(31,32)と放電ランプ(21,22)との位置関係について、
図5及び
図6を参照して説明する。なお、以下では、電極ブロック31を「第一電極ブロック31」と呼び、電極ブロック32を「第二電極ブロック32」と呼ぶことがある。
【0050】
図5は、第一放電ランプ21と、電極ブロック(31,32)との位置関係を模式的に示す図面である。
図6は、第二放電ランプ22と、電極ブロック(31,32)との位置関係を模式的に示す図面である。
【0051】
後述されるように、電極ブロック(31,32)には、それぞれY方向に延伸する凹溝が形成されている。第一放電ランプ21は、第一放電用ガス21Gが封入された管体25(以下、「第一管体25」という。)を有する。第一管体25は、電極ブロック(31,32)に形成された凹溝に嵌め込まれる態様で、電極ブロック(31,32)の一部と接触した状態で配置される。このとき、第一管体25と第一電極ブロック31との接触箇所によって構成される第一電極領域61と、第一管体25と第二電極ブロック32との接触箇所によって構成される第二電極領域62との間に電圧が印加されると、第一放電用ガス21Gがエキシマ放電し、第一管体25内で発光を生じる。すなわち、第一放電ランプ21は、エキシマランプで構成される。
【0052】
第一放電用ガス21Gは、放電によって紫外線を出射することのできる材料で構成される。第一放電用ガス21Gは、例えば、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)などの希ガス又はこれらの混合ガスと、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)などのハロゲンガス又はこれらの混合ガスとを含む。一例として、第一放電用ガス21Gは、KrとClを含む混合ガスで構成される。この場合、第一放電ランプ21からは主たる波長が222nmの紫外線が出射される。
【0053】
本実施形態において、電極ブロック(31,32)は、金属材料からなり、より好ましくは、第一放電ランプ21から出射される紫外線に対して反射性を有する材料からなる。一例として、電極ブロック(31,32)は、Alやステンレスなどからなる。
【0054】
本実施形態の紫外線照射装置1は、上述したように、光照射窓15を介して+X方向に紫外線が取り出される構成である。このため、本実施形態では、紫外線の取り出し効率を確保する観点から、電極ブロック(31,32)は、第一管体25よりも-X側に配置されている。ただし、上述したように、電極ブロック(31,32)が紫外線に対して反射性を有する材料で構成されるとき、第一管体25から-X方向に進行した紫外線についても、電極ブロック(31,32)で反射して+X方向に進行させることができる。
【0055】
第二放電ランプ22は、第二放電用ガス22Gが封入された管体26(以下、「第二管体26」という。)を有する。後述されるように、各電極ブロック(31,32)には、Y方向から見たときに、相互に離間した複数の箇所に凹溝が形成されている。第二管体26は、電極ブロック(31,32)に形成された凹溝のうち、第一管体25が嵌め込まれている凹溝とは異なる凹溝に嵌め込まれる態様で、電極ブロック(31,32)の一部と接触した状態で配置される。このとき、第二管体26と第一電極ブロック31との接触箇所によって構成される第三電極領域63と、第二管体26と第二電極ブロック32との接触箇所によって構成される第四電極領域64との間に電圧が印加されると、第二放電用ガス22Gが放電し、第二管体26内で発光を生じる。すなわち、第二放電ランプ22は、外部電極式放電ランプで構成される。
【0056】
第二放電用ガス22Gは、放電によって可視光を出射することのできる材料で構成される。第二放電用ガス22Gは、例えば、Ne、Ar、Kr、Xeなどの希ガスを含む。一例として、第二放電用ガス22Gは、Neで構成される。この場合、第二放電ランプ22からは主たる波長が500~800nmの可視光が出射される。なお、第二放電用ガス22Gのガス種及び封入圧は、第二放電ランプ22の放電開始電圧が、第一放電ランプ21の放電開始電圧よりも低くなるように設定される。
【0057】
本実施形態の紫外線照射装置1においては、電極ブロック(31,32)は、第二管体26よりも+X側に配置されている。ただし、本実施形態の紫外線照射装置1においては、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32とは、Y方向に離間して配置されている(離間部y1)。このため、第二管体26内で発光した可視光についても、この離間部y1を介して+X方向に進行させて、光照射窓15から取り出すことができる。
【0058】
各電極ブロック(31,32)と、各放電ランプ(21,22)との位置関係について、
図7~
図15を参照して詳細に説明する。
【0059】
図7は、紫外線照射装置1から、電極ブロック(31,32)及び放電ランプ(21,22)の周辺の構成要素を抽出して図示した模式的な斜視図である。
図8は、
図7の図面を、-X方向から見たときの模式的な平面図である。
図8では、説明の都合上、電装体11(電源部10)が併せて模式的に図示されている。
図9は、
図8とは逆に、
図7の図面を、+X方向から見たときの模式的な平面図である。
【0060】
図10及び
図11は、いずれも電極ブロック(31,32)を抽出して模式的に図示した斜視図である。図示の都合上、見る方向を異ならせた
図10及び
図11の2図面が描かれている。
【0061】
図12及び
図13は、電極ブロック(31,32)の図示を省略して、各放電ランプ(21,22)の接続関係を模式的に示す斜視図である。図示の都合上、見る方向を異ならせた
図12及び
図13の2図面が描かれている。
【0062】
図14は、
図9内のX1-X1線での模式的な断面図である。
図15は、
図9内のX2-X2線での模式的な断面図である。ただし、図示の都合上、
図14及び
図15共に、第二放電ランプ22が紙面上側に配置されるように描かれている。
【0063】
図10及び
図11に示すように、第一電極ブロック31は、側面上の異なる位置において、Y方向に延伸するように形成された凹溝(31a,31b,31c)を有する。同様に、第二電極ブロック32は、側面上の異なる位置において、Y方向に延伸するように形成された凹溝(32a,32b,32c)を有する。これらの凹溝(31a,31b,31c,32a,32b,32c)は、放電ランプ(21,22)の管体(25,26)の側面の形状に沿う形状を呈しており、放電ランプ(21,22)の管体(25,26)の一部を嵌め込むことができるように構成されている。
【0064】
より詳細には、凹溝31a及び凹溝32aには第一放電ランプ21aの管体25(第一管体25)が嵌め込まれ、凹溝31b及び凹溝32bには第一放電ランプ21bの管体25(第一管体25)が嵌め込まれ、凹溝31c及び凹溝32cには第二放電ランプ22の管体26(第二管体26)が嵌め込まれる。
【0065】
以下では、第一電極ブロック31に形成された、第一放電ランプ21用の凹溝(31a,31b)を、「第一凹溝(31a,31b)」と呼び、第一電極ブロック31に形成された、第二放電ランプ22用の凹溝31cを、「第二凹溝31c」と呼ぶことがある。同様に、第二電極ブロック32に形成された、第一放電ランプ21用の凹溝(32a,32b)を、「第三凹溝(32a,32b)」と呼び、第二電極ブロック32に形成された、第二放電ランプ22用の凹溝32cを、「第四凹溝32c」と呼ぶことがある。
【0066】
第一電極ブロック31は、+X側の側面に第一凹溝(31a,31b)が形成され、その反対側である-X側の側面に第二凹溝31cが形成されている。同様に、第二電極ブロック32は、+X側の側面に第三凹溝(32a,32b)が形成され、その反対側である-X側の側面に第四凹溝32cが形成されている。
【0067】
上述したように、第一放電ランプ21aの管体25は、第一凹溝31aと第三凹溝32aとに嵌め込まれつつ、両電極ブロック(31,32)に跨るように配置される。上述したように、電極ブロック(31,32)は金属部材からなるため、第一電極ブロック31の第一凹溝31aと第一放電ランプ21aの管体25との接触箇所において、第一電極領域61が形成される。そして、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32とはY方向に離間した位置に配置されているため、第二電極ブロック32の第三凹溝32aと第一放電ランプ21aの第一管体25との接触箇所において、第一電極領域61とは電気的に離間した第二電極領域62が形成される。第一放電ランプ21bにおいても同様である。
【0068】
同様に、第二放電ランプ22の管体26は、第二凹溝31cと第四凹溝32cとに嵌め込まれつつ、両電極ブロック(31,32)に跨るように配置される。上述したように、電極ブロック(31,32)は金属部材からなるため、第一電極ブロック31の第二凹溝31cと第二放電ランプ22の管体26との接触箇所において、第三電極領域63が形成される。そして、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32とはY方向に離間した位置に配置されているため、第二電極ブロック32の第四凹溝32cと第二放電ランプ22の第二管体26との接触箇所において、第三電極領域63とは電気的に離間した第四電極領域64が形成される。
【0069】
図8に示すように、電源部10(より詳細には電装体11)は、第一端子10aと第二端子10bとを備える。第一端子10aは、第一ワイヤ41及び第一ネジ部材43を介して第一電極ブロック31と電気的に接続される。同様に、第二端子10bは、第二ワイヤ42及び第二ネジ部材44を介して第二電極ブロック32と電気的に接続される。すなわち、本実施形態では、
図7に示されるように、第一ワイヤ41と第一ネジ部材43とによって第一通電部材51が形成され、第二ワイヤ42と第二ネジ部材44とによって第二通電部材52が形成されている。
【0070】
第一ネジ部材43及び第二ネジ部材44は、いずれも導電性の金属材料からなる。第一ネジ部材43は、第一ワイヤ41と連結され、且つ、第一電極ブロック31内に挿入されている。第二ネジ部材44は、第二ワイヤ42と連結され、且つ、第二電極ブロック32内に挿入されている。第二ネジ部材44を介して第二電極ブロック32と通電されている構成が、
図14の断面図に図示されている。なお、比較のために、
図15には、第二ネジ部材44が形成されていない箇所における断面図が図示されている。
【0071】
図7に示す例では、紫外線照射装置1は、第一電極ブロック31と放電ランプ(21,22)との接触状態を保持するための、保持部材46を備える。この保持部材46は、一部分において、放電ランプ(21,22)の外側面の形状に沿う形状を呈した、押さえ部材46aを有する。そして、保持部材46は、固定ネジ48を介して第一電極ブロック31とネジ留めされている。同様に、紫外線照射装置1は、第二電極ブロック32と放電ランプ(21,22)との接触状態を保持するための、保持部材47を備える。この保持部材47は、一部分において、放電ランプ(21,22)の外側面の形状に沿う形状を呈した、押さえ部材47aを有する。そして、保持部材47は、固定ネジ49を介して第二電極ブロック32とネジ留めされている。
【0072】
上記の構成によれば、各放電ランプ(21,22)は、電極ブロック(31,32)に形成された凹溝(31a,31b,31c,32a,32b,32c)との接触領域によって形成された電極領域(61,62,63,64)を通じて電圧が印加される。このため、各放電ランプ(21,22)は、直管形構造を採用することができ、紫外線照射装置1の規模が小型化できる。一例として、第一放電ランプ21の第一管体25、及び第二放電ランプ22の第二管体26の大きさは、それぞれ、Y方向に係る長さが15mm以上、200mm以下であり、外径が2mm以上、16mm以下である。
【0073】
更に、紫外線照射装置1は、紫外線を出射する第一放電ランプ21よりも始動電圧(放電開始電圧)の低い、第二放電ランプ22を備えている。そして、第二放電ランプ22は、第一放電ランプ21の近傍に配置されているため、第二放電ランプ22から出射された可視光が、第一放電ランプ21の第一管体25に照射されることで、始動補助としての機能を果たし、第一放電ランプ21の点灯開始時間を短くすることができる。
【0074】
更に、上記構成によれば、第二放電ランプ22から出射された可視光の一部が、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32との離間部y1を通じて、光照射窓15から取り出される。第二放電ランプ22は、第一放電ランプ21と同様に、電極ブロック(31,32)を通じて電圧が印加されることで発光する構成であるため、第二放電ランプ22からの可視光が光照射窓15から照射されていることが確認されれば、第一放電ランプ21にも電圧が印加されていることになり、擬似的に、第一放電ランプ21から紫外線が出射されているとみなすことができる。これにより、使用者は、光照射窓15を通じて第二放電ランプ22から出射された可視光を視認することで、紫外線が光照射窓15から照射されていることを知ることができる。
【0075】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0076】
〈1〉紫外線照射装置1が備える、第一放電ランプ21及び第二放電ランプ22の本数、及び配置の態様は任意である。例えば、
図16Aに示すように、紫外線照射装置1は、各電極ブロック(31,32)の向かい合う側面上に、それぞれ1本の第一放電ランプ21及び第二放電ランプ22を備えるものとしても構わない。また、
図16Bに示すように、各電極ブロック(31,32)の4側面のうち、1つの側面上には第二放電ランプ22が配置され、残りの3つの側面上に第一放電ランプ21が配置されるものとしても構わない。
図16Bの構成の場合には、紫外線照射装置1は、3面に光照射窓15を備えるものとしても構わない。これにより、多方向に紫外線を取り出すことができるため、例えば、靴の中の殺菌・消臭など、所定の空間内の殺菌・消臭の用途に利用しやすい構造とすることができる。
【0077】
なお、Y方向から見たときの電極ブロック(31,32)の形状は、必ずしも矩形状である必要はなく、多角形状や円形状など、種々の形状が採用され得る。
【0078】
〈2〉
図17に示すように、第一凹溝31aは、第一電極ブロック31の+X側の側面上に形成され、第三凹溝32aは、第二電極ブロック32の-X側の側面上に形成されていても構わない。すなわち、放電ランプ(21,22)は、一方の電極ブロックの+X側の面上に形成された凹溝と、他方の電極ブロックの-X側の面上に形成された凹溝とに嵌め込まれるように載置されていても構わない。ただし、この場合、紫外線照射装置1は、ケーシング部材3の+X側と-X側の双方の側面に光照射窓15を備えるのが好ましい。
【0079】
〈3〉上述した実施形態では、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32とは、Y方向に離間して配置されているものとして説明した。しかし、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32とが絶縁性部材を介在して連結されているものとしても構わない。
【0080】
ただしこの場合、
図6に示す離間部y1が存在しないため、第二放電ランプ22から出射される可視光は、電極ブロック(31,32)によって遮られる結果、光照射窓15から視認可能な光量で取り出されない可能性がある。かかる場合には、紫外線照射装置1は、ケーシング部材3の-X側の側面上にも、可視光を取り出すための光照射窓を別途備えるものとしても構わない。
【0081】
〈4〉上述した実施形態では、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32とは、いずれも導電性の金属部材からなるものとして説明した。しかし、両電極ブロック(31,32)を絶縁性材料で構成し、通電部材(51,52)が接続される領域、並びに、各放電ランプ(21,22)の管体(25,26)と接触される領域(すなわち、第一電極領域~第四電極領域)に、導電性のシート部材を設けるものとしても構わない。
【0082】
〈5〉各放電ランプ(21,22)は、第一電極ブロック31と第二電極ブロック32との間に配置された他のブロックについても跨るように配置されていても構わない。
【0083】
〈6〉上記実施形態において、紫外線照射装置1は、可視光を出射する第二放電ランプ22を備えるものとして説明した。しかし、本発明は、第二放電ランプ22を備えず、紫外線を出射する第一放電ランプ21のみを備える紫外線照射装置1を除外するものではない。
【0084】
〈7〉各図を参照して説明した紫外線照射装置1の構造は、あくまで一例であり、本発明は、各図に図示された構造に限定されない。例えば、紫外線照射装置1は、保持部材(46,47)や固定ネジ(48,49)を備えないものとしても構わない。
【符号の説明】
【0085】
1 : 紫外線照射装置
3 : ケーシング部材
5 : 電源ボタン
7 : 電池
9 : 電池収容部
10 : 電源部
10a : 第一端子
10b : 第二端子
11 : 電装体
13 : 電装体収容部
15 : 光照射窓
17 : ランプ収容部
21(21a,21b) : 第一放電ランプ
21G : 第一放電用ガス
22 : 第二放電ランプ
22G : 第二放電用ガス
25 : 第一管体
26 : 第二管体
31 : 第一電極ブロック
31a,31b : 第一凹溝
31c : 第二凹溝
32 : 第二電極ブロック
32a,32b : 第三凹溝
33c : 第四凹溝
41 : 第一ワイヤ
42 : 第二ワイヤ
43 : 第一ネジ部材
44 : 第二ネジ部材
46,47 : 保持部材
46a,47a : ランプ押さえ部分
48,49 : 固定ネジ
51 : 第一通電部材
52 : 第二通電部材
61 : 第一電極領域
62 : 第二電極領域
63 : 第三電極領域
64 : 第四電極領域
100 : 従来の紫外線照射装置
101 : 把持部
102 : 筐体
103 : ランプ収容部
104 : 光照射窓
110 : エキシマランプ
121 : 外側管
122 : 内側管
123G : 放電用ガス
124 : 外側電極
125 : 内側電極
126 : 電源部
y1 : 離間部