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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】配管用固定金具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/00 20060101AFI20230111BHJP
   E03C 1/00 20060101ALI20230111BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20230111BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20230111BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F16L3/00 H
E03C1/00
E03C1/122 Z
E04G21/16
F16B2/12 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018196387
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020063796
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】595086328
【氏名又は名称】株式会社光明製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】金村 哲志
(72)【発明者】
【氏名】階元 鳴彰
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-122209(JP,A)
【文献】特開2015-218577(JP,A)
【文献】実開昭63-128380(JP,U)
【文献】特開2003-227228(JP,A)
【文献】実開平02-074715(JP,U)
【文献】実開昭62-047634(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0072883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00
E03C 1/00
E03C 1/122
E04G 21/16
F16B 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数階建ての建物(B)内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事を行う際に、建物(B)の外側に設けられる仮設配管路(L)の縦配管路(L2)を建物(B)の外廊下や外階段に設けた手摺壁(B1)や手摺(B2)に固定する配管用固定金具(1)であって、前記手摺壁(B1)の上端部又は手摺(B2)の一部が挿入される下向きの凹部(10a)及び前記縦配管路(L2)を形成する縦向きの配管部材が挿通される開口部(10b)を備えた金具本体(10)と、前記金具本体(10)に金具本体(10)の凹部(10a)及び開口部(10b)に臨む状態で且つ金具本体(10)の先端部側へ移動自在に設けられ、金具本体(10)の先端部側への移動時に金具本体(10)の凹部(10a)に挿入された手摺壁(B1)の上端部又は手摺(B2)の一部を金具本体(10)の先端部側の凹部(10a)内面とで挟持固定する移動体(11)と、前記金具本体(10)の基端部に移動体(11)側へ移動調整自在に設けられ、移動体(11)側への移動調整時に金具本体(10)の開口部(10b)に挿通された配管部材の一部を移動体(11)とで挟持固定する締め付け具(12)と、を備え、前記移動体(11)は、金具本体(10)の凹部(10a)に挿入された手摺壁(B1)の上端部又は手摺(B2)の一部を押圧し得る押圧部(11b)を備えており、前記押圧部(11b)の先端面に手摺(B2)の一部が入り込む窪み部(11c)を形成したことを特徴とする配管用固定金具。
【請求項2】
数階建ての建物(B)内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事を行う際に、建物(B)の外側に設けられる仮設配管路(L)の縦配管路(L2)を建物(B)の外廊下や外階段に設けた手摺壁(B1)や手摺(B2)に固定する配管用固定金具(1)であって、前記手摺壁(B1)の上端部又は手摺(B2)の一部が挿入される下向きの凹部(10a)及び前記縦配管路(L2)を形成する縦向きの配管部材が挿通される開口部(10b)を備えた金具本体(10)と、前記金具本体(10)に金具本体(10)の凹部(10a)及び開口部(10b)に臨む状態で且つ金具本体(10)の先端部側へ移動自在に設けられ、金具本体(10)の先端部側への移動時に金具本体(10)の凹部(10a)に挿入された手摺壁(B1)の上端部又は手摺(B2)の一部を金具本体(10)の先端部側の凹部(10a)内面とで挟持固定する移動体(11)と、前記金具本体(10)の基端部に移動体(11)側へ移動調整自在に設けられ、移動体(11)側への移動調整時に金具本体(10)の開口部(10b)に挿通された配管部材の一部を移動体(11)とで挟持固定する締め付け具(12)と、を備え、前記金具本体(10)の開口部(10b)に臨む一部分を水平回動可能に構成し、金具本体(10)の開口部(10b)を開閉可能とすると共に、金具本体(10)の開口部(10b)の開放された幅を配管部材の直径よりも大きめに形成したことを特徴とする配管用固定金具。
【請求項3】
前記移動体(11)は、金具本体(10)の開口部(10b)に挿通された配管部材の一部を締め付け具(12)とで挟持固定し得る保持部(10a)を備えており、前記保持部(10a)の配管部材に当接する面を、配管部材の外周面に面接触状態で当接し得る平面形状が半円状若しくは円弧状の円弧面に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の配管用固定金具。
【請求項4】
前記締め付け具(12)は、金具本体(10)の基端部に金具本体(10)の先端部側へ進退移動自在に螺挿された締め付けボルト(10a)と、締め付けボルト(10a)の先端部に設けられ、金具本体(10)の開口部(10b)に挿通された配管部材を移動体(11)側へ押圧し得る第2押圧部(12b)を備えており、前記第2押圧部(12b)の配管部材に当接し得る面を、配管部材の外周面に面接触状態で当接し得る平面形状が半円状若しくは円弧状の円弧面に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の配管用固定金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅、学校、病院、ビル等の数階建ての建物内に敷設されている給水配管路(上水道管路)の更新工事や補修工事を行う際に用いられる仮設配管路に使用されるものであり、特に、仮設配管路を形成する縦配管路を数階建ての建物の外廊下や外階段等に設けた手摺壁や手摺に固定するための配管用固定金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンション等の集合住宅、学校、病院、ビル等の数階建ての建物内に敷設されている給水配管路は、これを長年使用していると、亜鉛メッキ鋼管等の給水管内に発生した錆等が原因となって赤水の流出、管内のぬめり、バクテリアの発生、流量及び水圧の低下、スケールの発生、スケールの流出等が生じ、水質の悪化や衛生面の問題が生じるうえ、パッキンの劣化による漏水事故等の様々な悪影響が生じて来る。
【0003】
そのため、集合住宅等の数階建ての建物においては、上述した問題が発生すると、給水配管路の更新工事や補修工事を行っている。このとき、建物内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事においては、居住民の生活があるため、長期間、長時間の断水による管路更新や補修は許されない。
【0004】
このように、従来の給水配管路の更新工事や補修工事においては、長期間、長時間の断水による管路更新や補修が許されないため、所謂仮設配管路を設ける工法が採用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
前記仮設配管路には、鋼管等の金属管に代えて軽量で取扱性に優れたビニル管やポリエチレン管等が広く使用されている。特に、ビニル管を用いて仮設配管路を敷設する場合には、ビニル管同士の接続に接着剤を使用し、永久的な結合を行っている。
【0006】
しかし、ビニル管を用いた場合、ビニル管同士の接合に時間が掛かるだけでなく、接合完了から水道水の供給開始までに相当の時間を要するという問題があった。
【0007】
また、仮設配管路の撤去には、永久的な結合を行っているために配管を切断しなければならず、時間と労費を費やすうえ、配管の再利用が出来ないために撤去後に仮設配管路の形成部材を全てスクラップ処分する必要があり、省資源や環境保全を図る上で多くの問題を抱えている。
【0008】
一方、本件出願人は、上述した問題を解決する仮設配管路を開発し、特開2003-097766号公報(特許文献3)、特開2004-100774号公報(特許文献4)及び特開2012-122209号公報(特許文献5)として公開している。
【0009】
即ち、前記各仮設配管路は、図示していないが、ポリエチレン樹脂材により形成した直管、エルボ、チーズ、異径管、伸縮管等の管本体の両端部又はポリエチレン樹脂製の複数の管本体を接続して形成した仮設配管ユニットの両端部に、それぞれポリエチレン樹脂製の筒状接続部を突合せ融着により接続し、管本体同士又は仮設配管ユニット同士若しくは管本体と仮設配管ユニットの筒状接続部を対向せしめると共に、対向せしめた筒状接続部の先端部外周面に形成した環状の鍔部に環状のパッキンを被せ、前記環状の鍔部及び環状のパッキンを二つ割り状のハウジング形の管継手で抱き込んで締め付け固定し、管本体同士又は仮設配管ユニット同士若しくは管本体と仮設配管ユニットを環状のパッキン及びハウジング形の管継手で気密状に接続することにより形成されている。
【0010】
このように、前記仮設配管路は、管本体同士又は仮設配管ユニット同士若しくは管本体と仮設配管ユニットを環状のパッキン及びハウジング形の管継手で気密状に接続することにより形成されるため、仮設配管路を簡単に形成することができて工期の短縮を図れると共に、管継手及び環状のパッキンを外すだけで管本体や仮設配管ユニットを簡単に分離することができ、また、仮設配管路の分解時に管本体や仮設配管ユニット、管継手が損傷することが殆どなく、再利用できると言う利点がある。
【0011】
上述した仮設配管路を用いた給水配管路の更新工事や補修工事においては、仮設配管路の設置スペースが無い場合、仮設配管路を形成する縦配管路を更新工事や補修工事の期間中だけ数階建ての建物の外側に設置している。即ち、仮設配管路の縦配管路は、例えば、建物の外廊下や外階段等に設けた手摺壁や手摺の外側位置に所定の間隔を空けて並列状に複数配設されており、前記各縦配管路と建物内の各住戸のメーターボックス内に収納した水道メーター(又はメーターユニット)とをそれぞれ給水ホース等の給水管で接続するようにしている。
【0012】
また、前記各縦配管路は、建物の屋上から最下部のフロアに亘って設けられており、各縦配管路の上端部が給水用のタンクやポンプに接続されている既設の水道管に接続され、水道管から水道水が流入するようになっている。
【0013】
更に、前記各縦配管路は、建物の外廊下や外階段等に設けた手摺壁や手摺の外側位置に設置する際に、建物の屋上側から階下へ向って管本体や仮設配管ユニットを環状のパッキン及びハウジング形の管継手を用いて順次接続するようにしている。何故なら、集合住宅等の数階建ての建物においては、屋上から給水するタイプが多いため、各縦配管路を建物の屋上から階下へ向って施工するようにしている。
【0014】
ところが、縦配管路を施工する際に、建物の屋上側から階下へ向って管本体や仮設配管ユニット(以下、管本体や仮設配管ユニットを配管部材と呼ぶ)をハウジング形の管継手により順次接続するようにしていると、配管部材が自重により抜け落ちて人身事故につながったり、或いは、建物や落下した配管部材が損傷・破損したりすることがあった。
【0015】
そこで、縦配管路を施工する際には、縦配管路を形成する配管部材(管本体や仮設配管ユニット)の落下事故を防止するため、配管部材の一部を建物の各階で外側廊下や外側階段に設けた手摺壁や手摺に固定することが行われている。
【0016】
縦配管路の配管部材の一部を手摺壁や手摺に固定する場合、図16(A)~(C)に示すように、様々な構造の配管用固定金具100を用いて配管部材を建物側へ固定するようにしている(例えば、特許文献6~8参照)。
【0017】
しかしながら、図16(A)~(C)に示す従来の配管用固定金具100は、何れも配管用固定金具100自体を建物の壁面にアンカーボルトやネジ等により打ち込むタイプであるため、給水配管路の更新工事や補修工事が終了して仮設配管路及び配管用固定金具100を取り除いた際に、建物の壁面に穴が開いてしまうので、補修工事が必要になり、作業者への負担が増加すると共に、施工時間が長くなると言う問題がある。
【0018】
また、金属製の配管用固定金具100を建物にある手摺等の金属製部材に溶接により固定することも行われているが、この場合には、溶接機や電源が必要になると言う問題がある。
【0019】
更に、集合住宅等の建物では、施工後の現状復旧が必要であり、配管部材を建物の手摺壁や手摺に固定する際に、施主側の要求によって建物の壁面にアンカーボルトやネジ等を打ち込めないことがある。
【0020】
この場合には、建物の手摺等にロープやワイヤロープ等を用いて配管本体をくくりつけたり、或いは、建物の手摺壁や手摺に木材部材を取り付け、この木製部材に配管用固定金具をネジ等により取り付けるようにしている。
【0021】
しかし、この場合には、個人差により配管部材を建物の手摺壁や手摺に完全に固定できない場合があり、安全性にかけると共に、配管部材の固定作業に時間がかかると言う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】特開平10-306472号公報
【文献】特開平11-107335号公報
【文献】特開2003-097766号公報
【文献】特開2004-100774号公報
【文献】特開2012-122209号公報
【文献】特開平11-241789号公報
【文献】特開2001-108149号公報
【文献】特開2015-034608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、配管用固定金具を取り付けるための穴あけや溶接等の工事を不用とし、縦配管路を形成する配管部材を建物の手摺壁や手摺に固定する作業負担が少なくなって施工時間の短縮及び安全性の向上を図れると共に、建物への修復作業や復旧作業も無くなって工期の短縮を図れるようにした配管用固定金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の配管用固定金具は、数階建ての建物内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事を行う際に、建物の外側に設けられる仮設配管路の縦配管路を建物の外廊下や外階段に設けた手摺壁や手摺に固定する配管用固定金具であって、前記手摺壁の上端部又は手摺の一部が挿入される下向きの凹部及び前記縦配管路を形成する縦向きの配管部材が挿通される開口部を備えた金具本体と、前記金具本体に金具本体の凹部及び開口部に臨む状態で且つ金具本体の先端部側へ移動自在に設けられ、金具本体の先端部側への移動時に金具本体の凹部に挿入された手摺壁の上端部又は手摺の一部を金具本体の先端部側の凹部内面とで挟持固定する移動体と、前記金具本体の基端部に移動体側へ移動調整自在に設けられ、移動体側への移動調整時に金具本体の開口部に挿通された配管部材の一部を移動体とで挟持固定する締め付け具と、を備え、前記移動体は、金具本体の凹部に挿入された手摺壁の上端部又は手摺の一部を押圧し得る押圧部を備えており、前記押圧部の先端面に手摺の一部が入り込む窪み部を形成したことに特徴がある。
【0025】
本発明の請求項2に記載の配管用固定金具は、数階建ての建物内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事を行う際に、建物の外側に設けられる仮設配管路の縦配管路を建物の外廊下や外階段に設けた手摺壁や手摺に固定する配管用固定金具であって、前記手摺壁の上端部又は手摺の一部が挿入される下向きの凹部及び前記縦配管路を形成する縦向きの配管部材が挿通される開口部を備えた金具本体と、前記金具本体に金具本体の凹部及び開口部に臨む状態で且つ金具本体の先端部側へ移動自在に設けられ、金具本体の先端部側への移動時に金具本体の凹部に挿入された手摺壁の上端部又は手摺の一部を金具本体の先端部側の凹部内面とで挟持固定する移動体と、前記金具本体の基端部に移動体側へ移動調整自在に設けられ、移動体側への移動調整時に金具本体の開口部に挿通された配管部材の一部を移動体とで挟持固定する締め付け具と、を備え、前記金具本体の開口部に臨む一部分を水平回動可能に構成し、金具本体の開口部を開閉可能とすると共に、金具本体の開口部の開放された幅を配管部材の直径よりも大きめに形成したことに特徴がある。
【0026】
本発明の請求項3に記載の配管用固定金具は、請求項1又は2に記載の配管用固定金具において、前記移動体は、金具本体の開口部に挿通された配管部材の一部を締め付け具とで挟持固定し得る保持部を備えており、前記保持部の配管部材に当接する面を、配管部材の外周面に面接触状態で当接し得る平面形状が半円状若しくは円弧状の円弧面に形成したことに特徴がある。
【0027】
本発明の請求項4に記載の配管用固定金具は、請求項1又は2に記載の配管用固定金具において、前記締め付け具は、金具本体の基端部に金具本体の先端部側へ進退移動自在に螺挿された締め付けボルトと、締め付けボルトの先端部に設けられ、金具本体の開口部に挿通された配管部材を移動体側へ押圧し得る第2押圧部を備えており、前記第2押圧部の配管部材に当接し得る面を、配管部材の外周面に面接触状態で当接し得る平面形状が半円状若しくは円弧状の円弧面に形成したことに特徴がある。
【発明の効果】
【0029】
本発明の配管用固定金具は、建物の外廊下や外階段に設けた手摺壁の上端部又は手摺の一部が挿入される下向きの凹部及び建物の外側に設置された縦配管路の配管部材が挿通される開口部を備えた金具本体と、金具本体に金具本体の先端部側へ移動自在に設けられ、金具本体の先端部側への移動時に金具本体の凹部に挿入された手摺壁の上端部又は手摺の一部を金具本体の先端部側の凹部内面とで挟持固定する移動体と、金具本体の基端部に移動体側へ移動調整自在に設けられ、移動体側への移動調整時に金具本体の開口部に挿通された配管部材の一部を移動体とで挟持固定する締め付け具と、を備え、金具本体と移動体との間で手摺壁の上端部又は手摺の一部を挟持固定すると共に、移動体と締め付け具との間で配管部材を挟持固定し、縦配管路の配管部材を手摺壁や手摺に固定するようにしている。
その結果、本発明の配管用固定金具は、穴あけや溶接等の工事が不要になり、縦配管路の配管部材を手摺壁や手摺に固定する作業負担が軽くなって施工時間の短縮及び安全性の向上を図れると共に、建物への修復作業や復旧作業も無くなって工期の短縮を図れることになる。
【0030】
また、本発明の配管用固定金具は、締め付け具を移動体側へ移動調整すると、移動体と締め付け具とで金具本体の開口部に挿通された配管部材を挟持固定すると共に、この状態で移動体が金具本体の先端部側へ移動して移動体と金具本体とで金具本体の凹部に挿入された手摺壁の上端部又は手摺の一部を挟持固定することになり、締め付け具を操作するだけで手摺壁の上端部又は手摺の一部と配管部材とをほぼ同時に挟持固定することができ、手摺壁や手摺への配管部材の固定をより迅速に行うことができ、施工時間をより短縮することができる。
【0031】
更に、本発明の配管用固定金具は、移動体が配管部材を保持する保持部を備え、また、締め付け具が配管部材を押圧する第2押圧部を備え、保持部の配管部材に当接する面及び第2押圧部の配管部材に当接する面を平面形状が半円状若しくは円弧状の円弧面に形成しているため、配管部材の一部を面接触状態で挟持固定することができ、配管部材を安定した姿勢で強固に挟持固定することができる。
【0032】
更に、本発明の配管用固定金具は、移動体が手摺壁の上端部又は手摺の一部を押圧する押圧部を備え、押圧部の先端面に手摺の一部が入り込む窪み部を形成しているため、金具本体の凹部に挿入した手摺の一部がパイプ部材であっても、押圧部の窪み部に手摺のパイプ部材を挿入することにより金具本体と押圧部の窪み部とで手摺のパイプ部材を確実且つ良好に挟持固定することができる。
【0033】
更に、本発明の配管用固定金具は、金具本体の開口部に臨む一部分を水平回動可能に構成し、金具本体の開口部を開閉可能とすると共に、金具本体の開口部の開放された幅を配管部材の直径よりも大きめに形成しているため、金具本体の一部分を水平回動させて開口部を開放することにより配管部材の金具本体の開口部への挿入を簡単且つ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態に係る配管用固定金具を用いて仮設配管路をマンション等の集合住宅の建物に設けた一例を示す配管割図である。
図2】仮設配管路の縦配管路を配管用固定金具により建物の手摺壁に固定した状態を示す建物の要部の概略縦断面図である。
図3】縦配管路を形成する仮設配管ユニットの正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る配管用固定金具の正面図である。
図5】同じく配管用固定金具の平面図である。
図6】同じく配管用固定金具の底面図である。
図7】同じく配管用固定金具の左側面図である。
図8】同じく配管用固定金具の右側面図である。
図9】同じく配管用固定金具の縦断正面図である。
図10図4のA-A線断面図である。
図11】同じく配管用固定金具の開口部を開放した状態の平面図である。
図12】配管用固定金具を用いて縦配管路を形成する配管部材を手摺壁の上端部に固定した状態の一部切欠き正面図である。
図13】配管用固定金具を用いて縦配管路を形成する配管部材を手摺壁の上端部に固定した状態の平面図である。
図14】配管用固定金具を用いて縦配管路を形成する配管部材を手摺の一部(パイプ部分)に固定した状態を示し、(A)はその一部切欠き正面図、(B)はその平面図である。
図15】本発明の他の実施形態に係る配管用固定金具の正面図である。
図16】従来の配管用固定金具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る配管用固定金具1を用いて仮設配管路Lをマンション等の集合住宅に設置した一例を示す配管割図であり、前記仮設配管路Lは、集合住宅等の数階建ての建物B内に敷設されている既設の給水配管路(上水道管路)の更新工事や補修工事を行う際に、建物Bの外側に設置して長時間断水することなく給水配管路の更新工事や補修工事を行えるようにしたものであり、給水用のタンクやポンプ(何れも図示省略)に接続されている既設の水道管(図示省略)に接続されて建物Bの屋上に配設された仮設の屋上配管路L1と、仮設の屋上配管路L1に接続されて建物Bの屋上から最下部のフロア(F1)まで並列状に配設された複数の仮設の縦配管路L2と、を備えている。
【0036】
前記仮設の屋上配管路L1は、直管2、チーズ3(同径チーズ又は異径チーズ)、ハウジング形の管継手4、ボールバルブ等の止水栓(図示省略)、エルボ(図示省略)、フレキシブル継手(図示省略)等を備えており、前記各部材2,3をハウジング形の管継手4で順次接続することにより形成されている。この仮設の屋上配管路L1は、最も上流側に位置する部材がVS継手(図示省略)等を介して給水用のタンク又はポンプ(何れも図示省略)に接続されている既設の水道管(図示省略)に接続されており、既設の水道管から水道水が流入するようになっている。
【0037】
一方、前記複数の仮設の縦配管路L2は、仮設配管ユニット5、直管2、エルボ6、止水栓7(ボールバルブ)、ハウジング形の管継手4、エンドキャップ8等をそれぞれ備えており、前記各部材2,5,6,7,8をハウジング形の管継手4で直列状に接続することにより形成されている。これらの各縦配管路L2は、何れも建物Bに設けた外廊下の外側位置に並列状に配設されており、配管用固定金具1により外廊下の手摺壁B1に固定されている(図2参照)。
【0038】
また、仮設の縦配管路L2に用いる仮設配管ユニット5は、図3に示す如く、合成樹脂製の直線状の管本体5aと、管本体5aの一端部に突合せ融着Wにより接続された合成樹脂製のチーズ5bと、チーズ5bの管本体5aに接続された反対側の端部に突合せ融着Wにより接続された合成樹脂製の筒状の受け口5cと、管本体5aの他端部に突合せ融着Wにより接続され、他の仮設配管ユニット5の受け口5cに気密状態で着脱自在に挿着される合成樹脂製の筒状の挿し口5dと、チーズ5bのT型の突出部に突合せ融着Wにより接続された合成樹脂製の筒状の分岐口5eと、分岐口5eの先端部に設けた継手5fと、を備えており、前記受け口5cに他の仮設配管ユニット5の挿し口5dが、また、前記挿し口5dに更に他の仮設配管ユニット5の受け口5cがそれぞれ気密状態で着脱自在に挿着されて直列状に接続される構成となっている。
【0039】
尚、仮設配管ユニット5の受け口5c及び挿し口5dには、他の仮設配管ユニット5の他に、単体部材である直管2、チーズ3、エルボ6、止水栓7、エンドキャップ8、フレキシブル継手(図示省略)等がハウジング形の管継手4を介して着脱自在に接続される構成となっている。前記単体部材の各端部には、仮設配管ユニット5と同様に筒状の受け口5cや筒状の挿し口5dがそれぞれ設けられている。
【0040】
また、仮設配管ユニット5は、その長さ(高さ)が建物Bの階高に合わせた長さに設定されており、各仮設配管ユニット5を縦向きに接続して建物Bの外廊下や外階段の外側位置に配設したときに、仮設配管ユニット5が建物Bの各階に一つずつ確実に配置され、仮設配管ユニット5の分岐口5e及び継手5fの位置が必ず各階の床面と直ぐ上の床面との間に位置するようにしている。
【0041】
そして、建物Bの外廊下に設けた手摺壁B1の外側位置に配設された仮設配管路Lの縦配管路L2は、建物Bの各住戸のメーターボックスS内に収納した水道メーターM(又はメーターユニット)にそれぞれ給水管9(又は給水ホース)により接続されており、縦配管路L2内を流れる水道水を給水管9により各住戸へ供給するようになっている(図2参照)。
【0042】
尚、上記の実施形態においては、仮設の縦配管路L2の一部に図3に示すような仮設配管ユニット5を使用したが、他の実施形態においては、仮設配管ユニット5を省略し、複数の直管2やチーズ3等をハウジング形の管継手4により直列状に接続して仮設の縦配管路L2を形成するようにしても良い。
【0043】
図3図13は本発明の実施形態に係る配管用固定金具1を示し、当該配管用固定金具1は、集合住宅等の建物Bの外廊下や外階段に設けた手摺壁B1の上端部(又は手摺B2の一部)が挿入される下向きの凹部10a及び縦配管路L2を形成する仮設配管ユニット5や直管2等の縦向きの配管部材が挿通される開口部10bを備えた金具本体10と、金具本体10に金具本体10の凹部10a及び開口部10bに臨む状態で且つ金具本体10の先端部側へ移動自在に設けられ、金具本体10の先端部側への移動時に金具本体10の凹部10aに挿入された手摺壁B1の上端部(又は手摺B2の一部)を金具本体10の先端部側の凹部10a内面とで挟持固定する移動体11と、金具本体10の基端部に移動体11側へ移動調整自在に設けられ、移動体11側への移動調整時に金具本体10の開口部10bに挿通された配管部材の一部を移動体11とで挟持固定する締め付け具12と、を備えている。
【0044】
具体的には、前記金具本体10は、図4図11に示す如く、断面形状がL字形の金属材や断面形状が矩形状の金属材等を平面視において四角枠状で且つ正面視において略倒立コ字状に組み立てることにより形成されており、手摺壁B1の上端部(又は手摺B2の一部)が挿入される下向きの凹部10aと、縦配管路L2を形成する縦向きの配管部材(仮設配管ユニット5や直管2等)が挿通される開口部10bとを備えている。
【0045】
即ち、前記金具本体10は、図4図11に示す如く、一定の間隔を空けて対向状に配設され、手摺壁B1の上端部上面に対向する一対の上部水平部10cと、一対の上部水平部10cの先端部にそれぞれ下向きに連設され、手摺壁B1の上端部内側面に対向する一対の先端側垂直部10dと、一対の上部水平部10cの基端部にそれぞれ下向きに連設され、手摺壁B1の上端部外側面に対向する一対の基端側垂直部10eと、一対の先端側垂直部10dの下端部同士を連結する先端側水平部10fと、一対の基端側垂直部10eの下端部にそれぞれ外向きに連設された一対の基端側水平部10gと、一対の基端側水平部10gの端部にそれぞれ連設された一対の横T字形の支持片10hと、両端部に一対の支持片10hに抜き差し自在に嵌合される水平姿勢の切り込み溝が形成され、一対の支持片10h同士を連結する連結部10iと、を備えており、一対の上部水平部10cと一対の先端側垂直部10dと一対の基端側垂直部10eとで囲まれた空間が下向きの凹部10aになっていると共に、一対の上部水平部10cと一対の先端側垂直部10dと一対の基端側垂直部10eと先端側水平部10fと一対の基端側水平部10gと連結部10iとで囲まれた空間が開口部10bとなっている。
【0046】
また、前記金具本体10は、図11に示す如く、開口部10bに臨む一部分(連結部10i)が水平回動可能に構成されており、金具本体10の一部分(連結部10i)を水平回動させることにより金具本体10の開口部10bを開閉可能とすると共に、開口部10bの開放された幅(一対の支持片10h間の間隔)を配管部材の直径よりも大きめに形成している。
【0047】
この実施形態においては、金具本体10の連結部10iが水平回動自在に構成されており、連結部10iの一端部に形成した水平な切り込み溝を一方の支持片10hに挿入し、連結部10iの一端部と一方の支持片10hに支持軸10jを挿着することにより連結部10iが水平回動自在となっている。
【0048】
この連結部10iの他端部は、他方の支持片10hに着脱自在に連結されており、連結部10iの他端部に形成した水平な切り込み溝を他方の支持片10hに挿入し、連結部10iの他端部と他方の支持片10hに抜き差し自在なロックピン10kを挿通することにより他方の支持片10hに連結され、また、ロックピン10kを引き抜くことにより他方の支持片10hとの連結が解除されるようになっている。前記ロックピン10kの上端部には、ロックピン10kの抜き差しを容易に行えるように取っ手用リング10lが取り付けられている。
【0049】
更に、前記金具本体10には、移動体11を金具本体10の先端部側(先端側水平部10f)へ移動自在に支持するためのガイド穴10mが金具本体10の長手方向に沿って形成されている。このガイド穴10mは、金具本体10の一対の基端側垂直部10dの下端部から一対の基端側水平部10gの端部に亘って形成されており、一対の上部水平部10cに対して平行状態になっている。
【0050】
前記移動体11は、図4図6図9及び図10に示す如く、金具本体10の開口部10bに挿通された配管部材(仮設配管ユニット5や直管2等)を締め付け具12とで挟持し得る保持部11aと、保持部11aの先端部に設けられ、金具本体10の凹部10aに挿入された手摺壁B1の上端部(又は手摺B2の一部)を押圧し得る押圧部11bとを備えている。
【0051】
前記保持部11aは、帯板状の金属板を平面形状U字状に折り曲げることにより形成されており、配管部材を挟持する部分が配管部材の外周面に面接触状態で当接し得る平面形状が半円状(又は円弧状)の円弧面に形成されている。
【0052】
また、前記押圧部11bは、金属材によりブロック状に形成されており、保持部11aの先端面に鉛直回転自在に支持されている。この押圧部11bの先端面には、手摺B2の一部であるパイプ部材が入り込むV字状の窪み部11cが形成されている。
【0053】
そして、前記移動体11は、保持部11aの両端部外側面にそれぞれ突設した一対のガイド軸11dを金具本体10に形成した一対のガイド穴10mにそれぞれ移動自在に挿通し、一対のガイド軸11dの端部に抜け止め用ナット11eを螺着することにより金具本体10に移動自在に設けられている。このとき、移動体11は、金具本体10の凹部10a及び開口部10bに臨む状態で且つ金具本体10の先端部側(先端側水平部10f側)へ移動自在に設けられており、保持部11aが金具本体10の連結部10iに対向し、また、押圧部11bが金具本体10の先端部側の凹部10a内面(先端側水平部10f内面)に対向するようになっている。
【0054】
前記締め付け具12は、図4図6及び図9に示す如く、金具本体10の連結部10iに外方から内方へ向って水平姿勢で螺挿され、移動体11側へ移動調整自在な締め付けボルト12aと、締め付けボルト12aの先端部に設けられ、金具本体10の開口部10bに挿通された配管部材(仮設配管ユニット5や直管2等)を移動体11側へ押圧し得る第2押圧部12bと、締め付けボルト12aに螺着され、締め付けボルト12aを緩み止めする緩み止めナット12cとを備えている。
【0055】
また、締め付け具12の第2押圧部12bは、金属材により平面形状円弧状に形成されており、締め付けボルト12aの先端部に鉛直回転自在に設けられている。この第2押圧部12bの先端面は、配管部材の外周面に面接触状態で当接し得る平面形状円弧状(又は半円状)の円弧面に形成されている。
【0056】
尚、上記の実施形態においては、移動体11の押圧部11b及び締め付け具12の第2押圧部12bを金属材により形成したが、他の実施形態においては、移動体11の押圧部11b及び締め付け具12の第2押圧部12bを硬質の合成樹脂材や合成ゴム材により形成しても良い。この場合には、手摺壁B1の上端部や手摺B2の一部、配管部材に傷が付き難くなる。
【0057】
而して、上述した配管用固定金具1によれば、金具本体10の下向きの凹部10aに手摺壁B1の上端部を挿入すると共に、金具本体10の開口部10bに配管部材(仮設配管ユニット5)を挿通し、この状態で締め付け具12を配管部材側へ締め付け操作すると、移動体11の保持部11aと締め付け具12の第2押圧部12bとで金具本体10の開口部10bに挿通された配管部材の一部を挟持固定すると共に、この状態で移動体11が金具本体10の先端部側(先端側水平部10f側)へ移動して移動体11の押圧部11bと金具本体10の先端部側の凹部10a内面(先端側垂直部10d内面及び先端側水平部10f内面)とで金具本体10の凹部10aに挿入された手摺壁B1の上端部を挟持固定することになる。その結果、配管部材は、配管用固定金具1により手摺壁B1に鉛直姿勢で固定されることになる。
【0058】
前記配管用固定金具1は、金具本体10の先端部と移動体11の押圧部11bとの間で手摺壁B1の上端部を挟持固定すると共に、移動体11の保持部11aと締め付け具12の第2押圧部12bとの間で配管部材を挟持固定し、配管部材を手摺壁B1に固定するようにしているため、穴あけや溶接等の工事が不要になり、縦配管路L2の配管部材を手摺壁B1に固定する作業負担が軽くなって施工時間の短縮及び安全性の向上を図れると共に、建物Bへの修復作業や復旧作業も無くなって工期の短縮を図れることになる。
【0059】
また、配管用固定金具1は、締め付け具12を移動体11側へ移動調整することによって、移動体11と締め付け具12とで配管部材を挟持固定することができると共に、移動体11と金具本体10とで手摺壁B1の上端部を挟持固定することができるため、締め付け具12を操作するだけで手摺壁B1の上端部と配管部材とをほぼ同時に挟持固定することができ、手摺壁B1への配管部材の固定をより迅速に行うことができ、施工時間をより短縮することができる。
【0060】
更に、配管用固定金具1は、移動体11の保持部11aを平面形状が半円状の円弧面に形成し、また、締め付け具12の第2押圧部12bの先端面を平面形状が円弧状の円弧面に形成しているため、配管部材の一部を面接触状態で挟持固定することができ、配管部材を安定した姿勢で強固に挟持固定することができる。
【0061】
更に、配管用固定金具1は、金具本体10の連結部10iを水平回動可能に構成し、金具本体10の開口部10bを開閉可能とすると共に、金具本体10の開口部10bの開放された幅を配管部材の直径よりも大きめに形成しているため、金具本体10の一部分(連結部10i)を水平回動させて開口部10bを開放することにより配管部材の開口部10bへの挿入を簡単且つ容易に行える。
【0062】
図14は上述した配管用固定金具1を用いて縦配管路L2の配管部材(仮設配管ユニット5)を建物Bの外廊下等に設けた手摺B2の一部(パイプ部分)に固定した状態を示すものであり、移動体11に設けた押圧部11bを90°鉛直回転させ、押圧部11bのV字状の窪み部11c内に手摺B2のパイプ部分を挿入するようにしている。
【0063】
前記配管用固定金具1は、移動体11が手摺壁B1の上端部又は手摺B2の一部を押圧する押圧部11bを備え、押圧部11bの先端面に手摺B2の一部が入り込む窪み部11cを形成しているため、金具本体10の凹部10aに挿入した手摺B2の一部がパイプ部材であっても、押圧部11bの窪み部11cに手摺B2のパイプ部材を挿入することにより金具本体10と押圧部11bの窪み部11cとで手摺B2のパイプ部材を確実且つ良好に挟持固定することができる。
【0064】
図15は配管用固定金具1の他の実施形態を示すものであり、金具本体10の凹部10a内面(上部水平部10c内面、先端側垂直部10d内面及び先端側水平部10f内面)にゴム部材等からなるクッション材13を貼り付けたものであり、手摺壁B1の上端部や手摺B2の一部分を挟持固定したときに手摺壁B1や手摺B2に傷が付かないようにしたものである。
【0065】
尚、上記の実施形態においては、金具本体10は、平面視において四角枠状で且つ正面視において略倒立コ字状に形成されているが、金具本体10の形状及び構造は、手摺壁B1の上端部又は手摺B2の一部が挿入される下向きの凹部10a及び縦配管路L2を形成する縦向きの配管部材が挿通される開口部10bを備えておれば、如何なる形状及び構造であっても良い。
【0066】
また、上記の実施形態においては、移動体11の保持部11aを平面形状U字状に形成すると共に、移動体11の押圧部11bをブロック状に形成したが、移動体11の形状及び構造は、上記の実施形態に係るものに限定されるものではなく、移動体11の配管部材を挟持し得る平面形状が半円状若しくは円弧状の円弧面を備えていると共に、押圧部11bの先端面に手摺B2の一部が入り込む窪み部11cを備えておれば、如何なる形状及び構造のものであっても良い。
【0067】
更に、上記の実施形態においては、締め付け具12の第2押圧部12bを平面形状円弧状に形成したが、第2押圧部12bの形状及び構造は、上記の実施形態に係るものに限定されるものではなく、締め付け具12の第2押圧部12bは、配管部材の外周面に面接触状態で当接し得る平面形状が半円状若しくは円弧状の円弧面を備えておれば、如何なる形状及び構造のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、建物B内に敷設した上水道管の更新工事に用いるようにしたが、これに限らず、建物B内に敷設したガス管や排水管等の更新工事や補修工事等にも利用できるものである。
【符号の説明】
【0069】
1は配管用固定金具
Bは建物
B1は手摺壁
B2は手摺
Lは仮設配管路
L2は縦配管路
10は金具本体
10aは凹部
10bは開口部
11は移動体
11aは保持部
11bは押圧部
11cは窪み部
12は締め付け具
12aは締め付けボルト
12bは第2押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16