(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】メタルカード及びカードの製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20230111BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G06K19/077 248
G06K19/077 144
G06K19/077 264
B42D15/00 341B
(21)【出願番号】P 2020570763
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 KR2018006930
(87)【国際公開番号】W WO2019245069
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】516102186
【氏名又は名称】コナ アイ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519035218
【氏名又は名称】コナ エム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】ナム,キソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ソック
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524171(JP,A)
【文献】特開2006-174223(JP,A)
【文献】特表2017-525601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0206047(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
B42D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面にPVC挿入部を含み、反対側面に前記PVC挿入部よりも狭い断面積の
第1開口部を含むメタルシート;
前記メタルシートの前記PVC挿入部に挿入されるプラスチック素材の加工部;
前記メタルシートの前記一側面に付着される強磁性絶縁体を含む絶縁シート;及び
前記絶縁シートの下面に付着されるアンテナコイルを含むインレイシート;
を含み、
前記強磁性絶縁体は、一つ以上の小片(piece)又は粉末(powder)形態で含まれ、
前記加工部及び前記絶縁シートは、前記第1開口部を介して形成され、前記第1開口部よりも狭い断面積の第2開口部を含み、
前記アンテナコイルは、前記第2開口部を介して前記第1開口部上に付着されるCOBパッドと連結され、
前記インレイシートは、一側面に第2開口部よりも狭い断面積の収容溝を含み、
前記収容溝は、前記COBパッドの背面突出部を収容するように形成されることを特徴とするメタルカード。
【請求項2】
前記強磁性絶縁体は、フェライト(Ferrite)であることを特徴とする請求項1に記載のメタルカード。
【請求項3】
前記第2開口部は、前記第1開口部を介して前記アンテナコイルが露出するように、前記加工部及び前記絶縁シートの一部を切削する1次ミリング工程により形成されることを特徴とする請求項1に記載のメタルカード。
【請求項4】
前記収容溝は、前記第2開口部を介して前記インレイシートの一部を切削する2次ミリング工程により形成されることを特徴とする請求項1に記載のメタルカード。
【請求項5】
前記絶縁シートを付着するための一つ以上の接着シートをさらに含み、
前記接着シートは、ホットメルト(Hot Melt)シートで構成され、高温工程時、溶融され前記
一つ以上の小片間に入り込み、接着されることを特徴とする請求項1に記載のメタルカード。
【請求項6】
前記COBパッドが付着された前記メタルシート上に塗布されるプライマーを含むプライマー層;
前記プライマーが塗布された前記メタルシート上に、カード情報をプリンティングして表示するプリント層;及び
前記カード情報をプリンティングした前記メタルシートをコーティングするコーティング層;
をさらに含む請求項1に記載のメタルカード。
【請求項7】
メタルシート、加工部、絶縁シート、インレイシートを含むカードの製造方法であって、
前記メタルシートの一側面にPVC挿入部を形成し、プラスチック素材の加工部を挿入するステップ;
前記メタルシートの反対側面に前記
PVC挿入部よりも狭い断面積の第1開口部を形成するステップ;
強磁性絶縁体を含む絶縁シートを前記メタルシートの前記一側面に付着するステップ;及び
アンテナコイルを含むインレイシートを前記絶縁シートの下面に付着するステップ;及び
前記アンテナコイル
とCOBパッドとを連結するステップ;
を含み、
前記強磁性絶縁体は、一つ以上の小片(piece)又は粉末(powder)形態で含まれ、
前記アンテナコイルと前記COB
パッドとを連結するステップは、
前記第1開口部を介して前記加工部及び前記絶縁シートの一部を切削して、前記第1開口部よりも狭い断面積の第2開口部を形成するステップ;
前記第2開口部を介して前記インレイシートの一部を切削して、前記第2開口部よりも狭い断面積の収容溝を形成するステップ;
前記第2開口部を介して前記アンテナコイルと
前記COB
パッドとを連結するステップ;及び
前記アンテナコイルと連結された前記COB
パッドを前記第1開口部上に付着するステップ;
を含むことを特徴とするカードの製造方法。
【請求項8】
前記第1開口部を形成するステップは、
前記プラスチック素材の加工部が露出されるまで前記メタルシートを切削して形成することを特徴とする請求項7に記載のカードの製造方法。
【請求項9】
前記収容溝は、前記COBパッドの背面突出部を収容するように形成されることを特徴とする請求項7に記載のカードの製造方法。
【請求項10】
前記COBパッドが付着されたメタルシートにプライマーを塗布するステップ;
前記プライマーが塗布されたメタルシートにカード情報をプリンティングするステップ;及び
前記カード情報をプリンティングしたメタルシートをコーティングするステップ;をさらに含む請求項9に記載のカードの製造方法。
【請求項11】
前記強磁性絶縁体は、フェライト(Ferrite)であることを特徴とする請求項7に記載のカードの製造方法。
【請求項12】
前記絶縁シートを付着するための一つ以上の接着シートをさらに含み、
前記接着シートは、ホットメルト(Hot Melt)シートで構成され、高温工程時、溶融され、前記
一つ以上の小片間に入り込み、接着されることを特徴とする請求項7に記載のカードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの製造方法及びメタルカードに関する。より具体的には、絶縁シートを構成するフェライト物質を様々な形態で実現し、絶縁性を強化し、メタルカードの作動を改善したカードの製造方法及びメタルカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、クレジットカードは、キャッシュの代わりに使用できるだけでなく、近頃には大容量の情報を収録することができるICチップが内蔵されたスマートカードとして開発され、決済だけでなく、各種会員カードなどとして積極的に活用されている。このようなスマートカードの市長において、様々な材質を利用した特殊カードが開発されている。特に、VIP顧客のために、差別化された金属材質のクレジットカードが開発されており、金属カードは、金属光沢が表出される高品位のクレジットカードを実現して、特殊顧客に提供された。
【0003】
しかし、従来の金属カードは、金属の特性上、読み取り機と非接触式通信時、アンテナの作動が難しく、RF機能、ATM利用などが制限される場合が多かった。また、薄膜の金属シートを使用するか、金属粉を薄くコーティングして作製するものであるため、金属カードの表面に図柄及び文字の形成が難しく、軽すぎた材質で形成される場合、金属が有する重量感を感じることができないという問題もあった。したがって、このような金属カードの限界を克服し、金属特有の重量と美感を表現することができる金属カード開発が求められている実状である。
【0004】
特許文献先1の金属薄膜プラスチックカードは、合成樹脂からコアシート(13)の上・下部面には、コアシート(13)より小さなサイズの金属薄膜12)がそれぞれ付着され、コアシート(13)の上・下部面の周りには余白(13a)が形成され、余白(13a)にはアンテナコイル(21)が周りに沿って設けるカードについて開示している。しかし、このような特許文献1は、アンテナと金属との接触を避けるために、カードの中心部の一部に金属を配置していることから、全体的な美感が劣り、カード全体に金属質感を表現し難いという限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国 登録実用新案 第20-0382725号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した問題点を解決するために考案された発明であり、金属シート内プラスチック加工工程を利用したメタルカードの製造方法及びメタルカードを提供することを目的とする。
また、本発明はメタルカードの材質特性上金属層により、RF通信が不可能であった従来の問題点を解決し、アンテナの感度を向上しうるように、フェライト物質を様々な形態で実現し、カードの製造方法及びメタルカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、メタルカードは、メタルシート、前記メタルシートの一側面に挿入されるプラスチック素材の加工部、前記メタルシートの下面に付着される強磁性絶縁体を含む絶縁シート、及び前記絶縁シートの下面に付着されるアンテナコイルを含むインレイシート;を含み、前記メタルシートは、前記一側面にPVC挿入部を形成し、前記プラスチック素材の加工部を挿入し、前記強磁性絶縁体は、一つ以上の小片(piece)又は粉末(powder)の形態で含まれ得る。
【0008】
選択的に、強磁性絶縁体は、フェライト(Ferrite)であってもよい。また、メタルシートは、前記メタルシートは、前記一側面にPVC挿入部を形成し、前記プラスチック素材の加工部を挿入し、反対側面に前記加工部の一部が露出するように第1開口部を形成し、前記加工部及び複数のシートは、1次ミリング工程によりインレイシートのアンテナコイルが露出するように、前記第1開口部を介して一部が切削され、前記アンテナコイルは、COBパッドと連結され、前記COBパッドは、前記メタルシートの第1開口部上に付着して、メタルカードを製造することができる。また、インレイシートは、COBパッド挿入のために、一部を切削する2次ミリング工程を経て、COBパッドの背面突出部を収容するように収容溝を形成することができる。
【0009】
本発明の別の実施形態において、メタルカードは、前記絶縁シートを付着するための一つ以上の接着シートをさらに含み、前記接着シートは、ホットメルトシートで構成され、高温工程時、溶融して前記1つ以上の小片間に入り込み、接着性を高めることができる。
【0010】
また、メタルカードは、COBが付着されたメタルシート上に塗布されるプライマー層;前記プライマーが塗布されたメタルシート上に、カード情報をプリンティングするプリント層;及び前記カード情報をプリンティングしたメタルシートをコーティングするコーティング層;をさらに含むことができる。
【0011】
本発明の別の側面は、メタルシート、加工部、絶縁シート、インレイシートを含むカードの製造方法であって、メタルシートの一側面にプラスチック素材の加工部を挿入して加工されたメタルシートを形成するステップ;強磁性絶縁体を含む絶縁シートを前記メタルシートの下面に付着するステップ;及びアンテナコイルを含むインレイシートを前記絶縁シートの下面に付着するステップ;を含み、前記メタルシート、前記絶縁シート、前記インレイシートは、一つ以上の接着シートを用いて付着し、このとき、前記強磁性絶縁体は、一つ以上の小片(piece)で含まれ得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、金属シートのプラスチック加工工程を利用してアンテナとチップとを効率的に連結し、チップの作動効率を高める効果がある。また、本発明は、アンテナコイルがメタルシートと接触していない状態で、COBと直接接触が行われるように実現することによって、メタル素材の特異性を保存しながらも、非接触通信機能が向上されたメタルカードを製造することができる。即ち、カードの前面部にメタル素材を利用しながらもCOBとアンテナを直接可能であり、従来のメタルカードとは違い、無線通信感度が向上され、メタル素材とアンテナと間の干渉を引き起こさないようにする効果を有する。
本発明は、カード製造時、強磁性の絶縁物質であるフェライト物質を絶縁特性と付着性が強化されるように様々な形態で実現することによって、他のシートとの効率的な接着を達成し、アンテナとメタル素材との干渉を最小化し、RF通信強度を最大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例によるメタルカードを示す斜視図である。
【
図2】本発明の別の実施例によるメタルカードを示す斜視図である。
【
図3】本発明のさらに別の実施例によるメタルカードを示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法を説明するための断面図である。
【
図5】本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法を説明するための断面図である。
【
図6】本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法を説明するための流れ図である。
【
図7】本発明の別の実施例によるメタルカード示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して本発明を説明する。しかし、本発明は様々な形態で具現することができる。したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略した。明細書全体を通して類似な部分については類似の図面符号を付けた。
【0015】
明細書全般において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を置いて「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分が他の構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される基材がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えるということを意味する。
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例によるメタルカード100を示す斜視図である。メタルカード100は、一つ以上のシート又はレイヤー(層)を含むことができる。一実施例として、メタルカード100は、メタルシート110、プラスチックの加工部130、絶縁シート150、一つ以上の接着シート140、160、インレイシート170及びプリントシート190を含むことができる。
図1では、前述した構成要素だけを記載したが、これらに限定されなく、メタルカードの実現のためのコーティング層、COBなどの他の構成要素がさらに追加されてもよく、付加機能のために表示部、生体センサー部などがさらに含まれてもよい。また、本発明のメタルカード100は、予め定義された基準による規格サイズと膜厚に適するように製造することができる。各シートのサイズと膜厚は、メタルカードの作動と無線通信感度などに適した最適な膜厚に決定され、結合されるように具現され得る。さらに、本発明のメタルカード100を構成するシートは、一つのカードを製造するためのシートではなく、大量生産が可能な複数個のカードを含む大きさの大型シートで構成されてもよい。
【0018】
メタルシート110は、本発明によるメタルカード特有の材質と重量感を表現するコアシートであり、SUS(ステンレス鋼)材質で形成することができる。メタルシート110を構成するメタル素材は、メタルの特性を表現するための、材質と重量が考慮されるだけでなく、加工工程に耐えられるための耐久性、摩耗度、変成程度などを考慮して選択することができる。一実施例として、SUSで構成されたメタルシート110は、腐食に強く、熱処理が可能な素材である。
【0019】
一実施例として、本発明のメタルシート110は、複数個のカードを含む大型シートで構成されてもよく、いくつかのシートを合紙するラミネート(Laminate)工程後、切削加工を通じて数枚のカードに生産することができる。このようなメタルシート110の切削加工作業は、メタル素材特性に伴う特殊加工材、冷却剤、切削工具が利用される。
【0020】
加工部130は、プラスチック(PVC)で構成されたシートの小片であり、メタルシート110のCOB装着部に配置される。加工部130は、メタルカード100の特性上、インレイシートのアンテナをメタルシート110と離隔された状態でCOBと付着するようにするための装置である。このようなプラスチック素材の加工部130を、メタルシート110の一部に配置し加工することにより、ルシート110とアンテナとの直接的な接触を避け、効率的にCOBとアンテナとを連結することができる。これは、従来のメタルカードの問題点を克服するための加工方法である。従来のメタルカードは、アンテナがメタルシート110と接触することを避けるために、プラスチック層にアンテナを配置し、メタル層にあるCOBと間接的に通信するようにする方法を採択してきた。また他の既存のメタルカードは、メタル層の一部を切断し、アンテナ線を配置して作動するように実現したりもした。しかし、このような従来のメタルカードの実現方式は、アンテナ感度が低下し、メタルカードの美観を害するという限界があった。
【0021】
本発明は、このような問題点を克服して、プラスチックの加工部130をメタルシート110のCOB装着領域に配置し、プラスチック加工部130を介してアンテナとCOとBが直接接触するように実現した。このような製造方法によって、アンテナの感度を向上させながらも、カード全体面をメタル素材で形成し、メタルカードの高級な美感を維持し、無線通信機能を向上させることができるメタルカードを完成することができた。
【0022】
絶縁シート150は、インレイシート170のアンテナが作動できるように、メタルシート110との干渉を遮断する役割を果たす。NFCアンテナが作動するためには、反対側のアンテナ読み取り機と通信が行われなければならない。この場合、アンテナコイルでは磁場が発生され、アンテナは、メタルカードの背面部に付着されるため、金属材質と近接する場合が多くなる。このような場合、メタルシートのメタル素材がアンテナコイルのSRF(self-resonant frequency;自己共振周波数)を変化させ損失を悪化させ、アンテナコイルのインダクタンスを低くし、結局、通信障害を引き起こすことになる。このような現象、磁場によって金属より発生する渦流(渦電流)が原因となる。この渦流をなくすためには、高透磁率と高抵抗材料を金属とアンテナと間に位置させて磁力線を調節することができるようにしなければならない。そのために使用されるものが絶縁シート150であり、フェライト(Ferrite)シートともいう。フェライトは、鉄を粉にした後、表面を酸化させ絶縁とし、圧力を加えて形態をつくって使用することができる。
【0023】
このような絶縁シート150とメタルシート110は、接着シート140、160を利用して接着することができる。本発明の一実施例として、接着シート140、160は、ホットメルトシートであってもよい。ホットメルトは、加熱によって溶融されることであり、熱可塑性樹脂のような素材は、加熱溶融させた後、冷却すれば固化される特徴がある。このような素材をフィルム型ホットメルト接着剤として使用することができる。本発明の実施例において、ホットメルトは、高温で溶融するとき、複数の小片からなるフェライト又は粉末形態のフェライトの場合、隙間にホットメルト成分が入り込まれるか、混ざって付着されることにより、付着性と接着強度が向上され得る。
【0024】
インレイシート170は、無線周波数RFアンテナコイルを含むシートであり、インレイシート170内に含まれたアンテナコイルは、RF通信(例えば、NFC)感度試験を通じて最適化された感度を示すように、コイルのターン(Turn)数が決定される。また、本発明のアンテナコイルは、加工部130を介してメタルシート110に付着されるCOB(Chip-On-Board)と直接連結されるように具現され得る。
【0025】
プリントシート190は、カードの情報をプリントして表示するシートであり、カードの背面に付着されてもよい。前記構成要素110~190は、メタルシート110の1次加工を通じて加工部130を付着した後、全体シート110、140、150、160、170、190が合紙され、ラミネートによりカード本体を形成するように加工され得る。
【0026】
図2は、本発明の別の実施例によるメタルカードを示す斜視図である。本実施例によるメタルカード200は、一つ以上のシート又はレイヤー(層)を含むことができる。また、
図1に示されるように、メタルカード200は、メタルシート110、プラスチックの加工部130、絶縁シート150、一つ以上の接着シート140、160、インレイシート170及びプリントシート190を含むことができる。これらに限定されなく、メタルカードの具現のための表示部、生体センサーなどの構成要素をさらに含むことができる。
【0027】
一実施例として、メタルカード200の絶縁シート150を一つ以上の小片に粉々にした形態で利用することができる。例えば、絶縁シート150を砕き、非均一な小片からなるように実現することもでき、均一な複数の小片に作ることもできる。このように、絶縁シート150を粉々にして使用する場合、ホットメルトと付着時、ホットメルトが溶け、各小片の隙間に入り込まれるため、接着対象となるシートとの付着力が向上されるという利点がある。
【0028】
図3は、本発明のさらに別の実施例によるメタルカードを示す斜視図である。本実施例によるメタルカード300は、絶縁シート150の他に、さらに粉末形態のフェライト120を含むことができる。
【0029】
フェライト120は、強磁性の絶縁体であり、粉末形態で実現する場合、付着力が高くなるだけでなく、絶縁シート150他に、さらに絶縁層を構成することでメタルシート110と他のシートと間の絶縁機能がさらに向上され得る。一実施例として、
図3では、フェライトが粉末形態に具現された実施例を示したが、これらに限定されなく、網形態又はアモルファスの粉形態120などに製造することができる。フェライト120が、強磁性の絶縁物質であるという点で、これを追加することにより、メタルシート下部の絶縁特性が強化され、メタルカード内の正常なアンテナ作動を保障することができる。
【0030】
以下では、
図4~6を参照して、本発明の一実施例によるメタルシート110と加工部130の加工方法について、さらに詳細に説明する。
【0031】
図4及び
図5は、本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法を説明するための断面図である。
図4は、メタルシート110を加工し、加工部130を付着する方法に関する図である。まず、
図4の(a)を参照すれば、メタルシート110に加工部130が挿入されるだけの空間210(例えば、広さL1、深さD1の空間)を形成することができる。一実施例として、挿入空間210は、CNC(Computerized Numerical Control)工作加工を通じて形成することができる。次に、
図4の(b)に示されたように、メタルシート110の挿入空間210に、プラスチック(PVC)素材の加工部130を挿入する。このとき、別途の接着剤なしで加工部130を挿入して配置することができる。次いで、加工部130の反対側のメタルシート230を加工し、PVCが露出されるPVC露出部を形成することができる。このとき、PVC露出部の広さL2は、挿入空間210の広さL1よりも小さくなければならない。これは、今後メタルシート110をひっくり返したとき、加工部130が抜け落ちることを防止するためである。
【0032】
図5は、メタルシート110に加工部130を挿入する工程の後に、他のシート140~170を合紙した後、加工部130の2次加工を説明するための図である。一実施例として、メタルシート110にPVCの加工部130が取り付けられるように加工した後、メタルシート110と、接着シート140、絶縁シート150、接着シート160、インレイシート170を合紙することができる。
図5には示されていないが、インレイシートの背面にプリントシート、磁気ストリップ(MS)オーバーレイシートなどをさらに合紙することができる。
【0033】
合紙されたカード本体は、
図5の(a)のように示すことができる。最上層に表示されたメタルシート110は、L2広さのPVC露出部を有する形態に具現することができる。このような状態で、2次CNC加工を行うことができる。
図5の(a)に示されたように、メタルシートにL3広さでインレイシート170までシート310を切断する工程を行うことができる。このとき、合紙されたシートが同じL3広さに切断され、インレイシート170のアンテナコイルがみえるまで微細にカッティングしていくことができる。インレイシート170のアンテナコイルがみえると、
図5の(b)ようにアンテナコイルを上方に引っ張り上げる。このときにも、アンテナコイルは、加工部130がカッティング空間310に露出されており、アンテナコイル自体が接着シート140、160、絶縁シート150、加工部130の側面部に露出されるだけで、メタルシート110と当接しない。このような加工工程により、加工時、アンテナコイルがメタル素材と接触しないように実現することができる。
【0034】
次に、
図5の(b)に示されたように、PVC露出部を再びカッティングする(330)。これは、COBが設けられる空間を確保し、カードの前面部の平滑化のためのものであり、COB背面突出部が挿入されるように、L4広さにインレイシート170をカッティングすることができる。このとき、L4の長さはL3よりも小さい。COB挿入のために2次ミリングが完了すれば、インレイシートは、
図5の(c)のようにCOB挿入のための収容溝340が形成される。このような加工が完了すれば、上方に引っ張り上げられたアンテナコイルとCOBパッドとの接点をスポット溶接方式で接触し、収容溝340にCOBを取り付けることができる。一実施例として、COB挿入工程は、カードの前面部のプリンティングとコーティング工程の完了後に行うことができる。
【0035】
図6は、本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法を説明するための流れ図である。
図6を参照して説明する実施例は、メタルカードの製造方法のうち、メタルシート110に加工部130を形成し、COBをメタルシートに取り付ける工程を中心に説明する。
【0036】
まず、メタルシート110の片面(例えば、背面部)に挿入空間210を形成する(S410)。挿入空間210は、PVC素材の加工部130を挿入するためのものであり、PVC挿入部ともいう。一実施例として、挿入空間210の深さは、全メタルシートの膜厚の1/2であってもよい。即ち、挿入空間210の深さD1がメタルシート厚さDの1/2であってもよい。挿入空間210は、長さL1の正方形に形成することができ、L1はCOBの一面の長さよりも大きい。挿入空間210の形成が完了すれば、挿入空間210に加工部130を挿入する。
【0037】
次に、メタルシート110の他の面(例えば、前面部)をカッティングして挿入したPVCが露出されるように加工する(S420)。このとき、カッティングされる面積は、挿入空間210の広さ(例えば、一面の長さがL1である正方形)よりも小さなL2長さの正方形にカッティングすることができる(L2<L1)。これは、挿入された加工部130が抜け落ちず、固定されるようにするためである。前述したように、加工部130をメタルシート110に取り付けた後、他のシートとの合紙及びラミネート工程を行うことができる。ラミネート工程の後に、メタルシート110、加工部130、接着シート140,160、絶縁シート150、インレイシート170、プリントシート190がすべて積層され、カード本体を形成した形態に具現することができる(
図5の(a)参照)。
【0038】
ラミネートされたシートは、1次ミリング(milling)工程を通じて、インレイシート170のアンテナコイル320を引っ張り上げる(S430、S440)。
図5の(a)を参照して説明したように、加工部130が設けられたメタルシートと合紙された他のシートにおいて、PVCが露出された状態で上方を向くように、ミリング工程を行うことができる。即ち、メタルシート110が最上段にあり、L2長さを有する領域の開口部を介してPVCが露出された状態で、ミリングを通じてシートをインレイシートまでカッティングすることができる。このとき、カッティングする領域は、一辺がL2よりも小さな長さL3を有する正方形にカッティングできる(L3<L2)。このようにL2よりも短い長さを有するようにカッティングすることによって、メタルシート110が1次ミリングによる開口部310と離隔され得る。このようにメタルシート110と開口部310と間の所定の距離が形成されることにより、以後にアンテナコイル320が引っ張り上げられてもメタルカードと接触しないように実現することができる。
【0039】
次に、COB挿入のために開口部310を再びカッティングして、収容溝340を形成する2次ミリング工程を行う(S450)。一実施例として、2次ミリング工程は、カードの前面部のプライマー塗布-プリンティング-コーティング工程の前に行うことができる。別の実施例として、プライマー塗布-プリンティング-コーティング工程の後に行い、COBを挿入するように実現することもできる。ここで、COBは、スマートカード用半導体が付着され、情報伝達及び近距離無線通信パッケージに組み立てられたものである。2次ミリングは、COB背面に突出された領域を収容するための空間をつくることであり、インレイシート170の開口部の一部をL4長さ、D4深さの空間(例えば、一辺の長さがL4の正方形)にカッティングすることができる(
図5の(c)340参照)。COB背面には、アンテナと連結される一つ以上の接点があり、開口部310を介して引っ張り上げられたアンテナコイル320をアンテナ背面の接点と直接連結することができる。
【0040】
一実施例として、
図5に示されたように、上方に引っ張り上げられた2個のアンテナコイル320をCOBパッド背面の接点とそれぞれ連結することができ、連結完了後、COBパッドをメタルシート110のカッティング空間に挿入することができる。このとき、COBパッド背面に接着物質又は接着シートが添加され、メタルシート110のカッティング空間に固定されるように具現することができる。
【0041】
本発明は、このような工程を通じて、アンテナコイルがメタルシートと接触しない状態で、COBと直接接触が達成できるように実現することによって、メタル素材の特異性を保存しながらも、非接触通信機能が向上されたメタルカードを製造することができる。即ち、カードの前面部にメタル素材を利用しながらも、COBとアンテナを直接能であり、従来のメタルカードとは違って無線通信感度が向上され、メタル素材とアンテナと間の干渉を引き起こさないようにする効果を有する。
【0042】
図7は、本発明の別の実施例によるメタルカードを示す斜視図である。本実施例によるメタルカード500は、加工部130を通じて加工したメタルカード本体にプライマー530、3Dプリンティング520、コーティング510工程を追加したものである。また、
図7に示されていないが、カードの角部を仕上げるC-Cut工程、カードの背面部にサインパネルとホログラムなどを付着するスタンピング(Stamping)工程をさらに行うことができる。
【0043】
前述したように、メタルカード500は、一つ以上のシート又はレイヤー(層)を含む。一実施例として、メタルカード500は、メタルシート110、プラスチックの加工部130、絶縁シート150、一つ以上の接着シート140、160、インレイシート170、プリントシート190及びMSO/L(Magnetic stripe Overlay)を含むことができる。
図7では、前述した構成要素だけを記載したが、これらに限定されない。メタルカードの実現のためのCOBなどの他の構成要素がさらに追加されてもよい。また、本発明のメタルカード500は、予め定義された基準に従う規格サイズと膜厚に適するように製造さすることができ、各シートのサイズと膜厚は、メタルカードの作動と無線通信感度などに適する最適の膜厚に決定され結合されるように具現することができる。さらに、本発明のメタルカード100を構成するシートは、一つのカードを製造するためのシートではなく、大量生産が可能なように複数個のカードを含む大きさの大型シートに構成することができ、ラミネート(Laminate)工程後、切削加工を通じて複数枚のカードで生産することができる。このようなメタルシート110の切削加工作業は、メタル素材特性による特殊加工材、冷却剤、切削工具を利用することができる。
【0044】
メタルシート110は、本発明によるメタルカード特有の材質と重量感を表現するコアシートであり、SUS(ステンレス鋼)材質で具現することができる。メタルシート110を構成するメタル素材は、メタルの特性を表現するための、材質と重量が考慮されるだけでなく、加工工程に耐えられるための耐久性、摩耗度、変成程度などを考慮して選ばれることができる。
【0045】
加工部130は、予め定義された膜厚と大きさのプラスチック(PVC)で構成されたシート小片であり、メタルシート110のCOB装着部に配置することができる。加工部130は、メタルカード100の特性上、インレイシートのアンテナをメタルシート110と離隔された状態でCOBと付着するようにするための装置である。このようなプラスチック素材の加工部130を、メタルシート110の一部に配置して加工することにより、メタルシート110とアンテナの直接的な接触を避け、効率的にCOBとアンテナとを連結することができる。
【0046】
絶縁シート150は、インレイシート170のアンテナが作動できるようにメタルシート110との干渉を遮断する役割を果たす。渦流をなくすためには、高透磁率と高抵抗材料を金属とアンテナと間に位置させて磁力線を調節することができるようにしなければならないので、フェライト(Ferrite)シートを絶縁シート150として利用してもよい。このような絶縁シート150とメタルシート110は、接着シート140、160を利用して接着することができる。本発明の一実施例として、接着シート140、160は、ホットメルトシートであってもよい。ホットメルトは、加熱により溶融されるものであり、熱可塑性樹脂のような素材は、加熱溶融させた後、冷却すれば固化される特徴があり、このような素材をフィルム型ホットメルトとして使用することができる。
【0047】
インレイシート170は、無線周波数RFアンテナコイルを含むシートであり、インレイシート170内に含まれたアンテナコイルは、RF通信(例えば、NFC)感度試験を通じて最適化された感度を示すようにコイルのターン数が決定される。また、本発明のアンテナコイルは、加工部130を介してメタルシート110に付着するCOB(Chip-On-Board)と直接連結できるように具現することができる。
【0048】
プリントシート190は、カードの情報や図柄、模様のようなイメージをプリントして表示するシートであり、カード背面に付着することができる。MSO/L(Magnetic stripe Overlay)シート550は磁気ストリップを含むシートである。
【0049】
予め定義された方法により、各シートを合紙し、ラミネートして、カード本体に加工することができる。その後、一つの統合シートに具現された大型シートをCNC切削工具で切削し、1枚のカードに分離することができる。
【0050】
次に、1枚のカードに分離されたカードは、それぞれがプライマー塗布工程と3Dプリンティング、コーティング工程を経る。一実施例として、ラミネートされた統合シートをCNC切削加工により、一つのカードに分離することができ、分離されたカードにプライマーを塗布することができる。このとき、プライマーは、金属材質に応じてプリンティングされた情報の保存力が向上するように助ける物質が採択されてもよい。次に、プライマーが塗布されたメタルシート上に、3Dプリンティングによりメタルシートに刻もうと思うカード情報、図柄、絵のイメージなどを陰刻に刻むことができる。その後に、コーティング工程を行い、最上位面にコーティング処理510を行い、3Dプリンティングにより刻んだ情報が摩耗されるか、消されないように実現することができる。
【0051】
前述したように、COBパッドを挿入するために、2次ミリングを行う工程は、プライマー塗布とプリンティング及びコーティングの前に行ってもよく、プライマーやコーティング物質により汚染されることを防止するために、コーティング層の生成後に、COB挿入前に2次ミリングを行ってもよい。
【0052】
本実施例によるメタルカードは、メタルシート110にプライマー530、3Dプリンティング520、コーティング510の過程を通じてカードの全体面をメタル素材で実現し、メタルカードの高級な美感を表現しながらもカード情報を表現することができる。また、プラスチックの加工部130をメタルシート110のCOB装着領域に配置し、プラスチック加工部130を介してアンテナとCOBが直接接触するように実現した。このような製造方法によって、アンテナの感度を向上させながらもカードの全体面をメタル素材で実現し、メタルカードの高級な美感を維持し、無線通信機能を向上させることができるメタルカードを完成することができる。
【0053】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更しなくても他の具体的な形態に簡単に変形が可能であることはもちろんである。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであって限定的ではない。例えば、単一形として説明されている各構成要素は、分散され行われてもよく、同様に、分散されたものとして説明されている構成要素も、結合された形態で実施することができる。
【0054】
本発明の範囲は、後記する特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲の意味、範囲、及びその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。