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<図1>
  • 特許-カップ部を有する衣類 図1
  • 特許-カップ部を有する衣類 図2
  • 特許-カップ部を有する衣類 図3
  • 特許-カップ部を有する衣類 図4
  • 特許-カップ部を有する衣類 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】カップ部を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/10 20060101AFI20230112BHJP
   A41C 3/14 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A41C3/10 B
A41C3/14 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020057080
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021155883
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520107836
【氏名又は名称】株式会社コ・ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】小山 風仁
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178295(JP,A)
【文献】登録実用新案第3031524(JP,U)
【文献】登録実用新案第3027362(JP,U)
【文献】特開2008-121126(JP,A)
【文献】特開2014-070285(JP,A)
【文献】登録実用新案第3161712(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/10
A41C 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バストを被覆する一対のカップ部と、
前記一対のカップ部のカップくりを支持する土台部と、
前記一対のカップ部と前記土台部との境界において前記一対のカップ部それぞれのカップくりに沿って延在する一対の骨材格納部と、
前記一対の骨材格納部にそれぞれ格納される骨材と、を有し、
前記一対の骨材格納部には、それぞれ、前中心側上端より低い高さ位置まで、前記骨材が格納できないように非格納部が形成され、
前記非格納部は、前中心で重ね合わされてなり、
前記一対のカップ部と前記土台部とを接いだ後の一対の縫代の何れか一方の縫代を本縫いで固定した後、該本縫いされていない縫代に沿って、前記一対の骨材格納部のうち一方の骨材格納部を縫着し、その後、本縫いされた縫代に沿って、前記一対の骨材格納部のうち他方の骨材格納部を縫着してなるカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バストを被覆するカップ部を有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バストの保形性を担保するために、骨材を設けたブラジャーが普及している(例えば、特許文献1参照)。骨材は、ワイヤーとも称され、その剛性により、バストを支えてバストの形状を補正するものである。一般的なブラジャーにおいて、骨材は、カップ部の前中心側の上端まで骨材が延伸して配設されることにより、バストのバージスラインに沿うようになっている。この骨材は、バストを、脇側、下側、および前中心側の約180度の方向から支え、バストを支えたり、バストの横流れを防止したりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3111754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなブラジャーは、カップ部の前中心側の上端まで骨材が延伸して配設されているため、上半身の体の動きなどによっては、骨材が、カップ部の前中心側の上端を押して上半身に食い込み、もって、着用者は、骨材が上半身に刺さるような不快感を覚える可能性があるという問題があった。
【0005】
そこで、上記のような問題を解決すべく、骨材を用いないブラジャーを提供することが考えられる。しかしながら、骨材がないと、バストの形状を補正することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、補正機能を保ったまま、着用時の不快感を軽減することができるカップ部を有する衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明に係るカップ部を有する衣類は、バストを被覆する一対のカップ部(例えば、左カップ部2A、右カップ部2B)と、
前記一対のカップ部(例えば、左カップ部2A、右カップ部2B)のカップくり(例えば、左カップ部2Aのカップくり2Aa、右カップ部2Bのカップくり2Ba)を支持する土台部(例えば、土台部3)と、
前記一対のカップ部(例えば、左カップ部2A、右カップ部2B)と前記土台部(例えば、土台部3)との境界において前記一対のカップ部(例えば、左カップ部2A、右カップ部2B)それぞれのカップくり(例えば、左カップ部2Aのカップくり2Aa、右カップ部2Bのカップくり2Ba)に沿って延在する一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)と、
前記一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)にそれぞれ格納される骨材(例えば、骨材W)と、を有し、
前記一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)には、それぞれ、前中心側上端(例えば、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aa、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Ba)より低い高さ位置(例えば、低い高さ位置6Ac、低い高さ位置6Bc)まで、前記骨材(例えば、骨材W)が格納できないように非格納部(例えば、左非格納部6A1、右非格納部6B1)が形成され、
前記非格納部(例えば、左非格納部6A1、右非格納部6B1)は、前中心で重ね合わされてなり、
前記一対のカップ部(例えば、左カップ部2A、右カップ部2B)と前記土台部(例えば、土台部3)とを接いだ後の一対の縫代(例えば、左縫代Na、右縫代Nb)の何れか一方の縫代(例えば、右縫代Nb)を本縫いで固定した後、該本縫いされていない縫代(例えば、左縫代Na)に沿って、前記一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)のうち一方の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A)を縫着し、その後、本縫いされた縫代(例えば、右縫代Nb)に沿って、前記一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)のうち他方の骨材格納部(例えば、右ワイヤーループ6B)を縫着してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)には、それぞれ、前中心側上端(例えば、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aa、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Ba)より低い高さ位置(例えば、低い高さ位置6Ac、低い高さ位置6Bc)まで、骨材(例えば、骨材W)が格納できないように非格納部(例えば、左非格納部6A1、右非格納部6B1)が形成され、その非格納部(例えば、左非格納部6A1、右非格納部6B1)は、前中心で重ね合わされている。これにより、本発明によれば、補正機能を保ったまま、着用時の不快感を軽減することができる。
【0012】
さらに、請求項に係る発明によれば、一対のカップ部(例えば、左カップ部2A、右カップ部2B)と土台部(例えば、土台部3)とを接いだ後の一対の縫代(例えば、左縫代Na、右縫代Nb)の何れか一方の縫代(例えば、右縫代Nb)を本縫いで固定した後、該本縫いされていない縫代(例えば、左縫代Na)に沿って、一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)のうち一方の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A)を縫着し、その後、本縫いされた縫代(例えば、右縫代Nb)に沿って、一対の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A、右ワイヤーループ6B)のうち他方の骨材格納部(例えば、右ワイヤーループ6B)を縫着している。これにより、一方の骨材格納部(例えば、左ワイヤーループ6A)を本縫いされていない縫代(例えば、左縫代Na)に沿って、縫着する際、本縫いされた縫代(例えば、右縫代Nb)の位置を固定することができるから、本縫いされた縫代(例えば、右縫代Nb)の変形やめくり上がりを回避する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るブラジャーを平置きした状態を肌側から観察した正面図、(b)は、(a)に示す円部分の拡大図である。
図2】(a)は、同実施形態に係るブラジャーにワイヤーループを付ける前の状態を肌側から観察した正面図、(b)は、(a)に示す円部分の拡大図、(c)は、(b)に示す右縫代を本縫いした状態を示す図である。
図3】(a)は、同実施形態に係るブラジャーに左ワイヤーループを付けた状態を肌側から観察した正面図、(b)は、同実施形態に係るブラジャーに右ワイヤーループを付けた状態を肌側から観察した正面図である。
図4】(a)は、同実施形態に係る左ワイヤーループの前中心側の上端及び右ワイヤーループの前中心側の上端を切り揃えて縫着した状態を肌側から観察した正面図、(b)は、前中心側の上端より低い高さ位置を縫着した状態を肌側から観察した正面図、(c)は、(b)に示す円部分の拡大図である。
図5】同実施形態に係るワイヤーループに骨材を格納し、肩ストラップ部を縫着することによって、同実施形態に係るブラジャーを製造した状態を肌側から観察した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るカップ部を有する衣類の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0015】
<カップ部を有する衣類の説明>
本発明に係るカップ部を有する衣類は、ブラジャー、ボディースーツ、ブラスリップ、カップ付きタンクトップ、カップ付きキャミソールなどのバストを被覆するカップ部を有する衣類である。本発明の一実施形態においては、カップ部を有する衣類の一例として、ブラジャーの場合を説明する。
【0016】
<ブラジャーの説明>
図1(a)に示すように、ブラジャー1は、カップ部2と、土台部3と、バック部4と、肩ストラップ部5と、ワイヤーループ6と、で主に構成されている。以下、各構成について具体的に説明する。
【0017】
<カップ部の説明>
カップ部2は、図1(a)に示すように、左カップ部2Aと、右カップ部2Bと、で構成されており、左右のバストを立体的に被覆することができるものである。この左カップ部2Aは、図1(a)に示すように、上左カップ部20Aと、下左カップ部21Aとを備え、上左カップ部20Aおよび下左カップ部21Aは、略T字状の左接ぎ部22Aによって、縫着等することによって固定的に接続される。また、右カップ部2Bは、図1に示すように、上右カップ部20Bと、下右カップ部21Bとを備え、上右カップ部20Bおよび下右カップ部21Bは、略T字状の右接ぎ部22Bによって、縫着等することによって固定的に接続される。
【0018】
<土台部の説明>
土台部3は、非伸縮性の布等で形成されており、図1(a)に示すように、ワイヤーループ6を介して、左カップ部2Aのカップくり2Aaと右カップ部2Bのカップくり2Baとを、縫着等することによって固定的に接続するものである。
【0019】
<バック部の説明>
バック部4は、図1(a)に示すように、左バック部4Aと、右バック部4Bと、で構成されている。この左バック部4Aは、図1(a)に示すように、土台部3の左側面3aに、左接合7Aを介して縫着等することによって固定的に接続されている。そして、右バック部4Bは、図1(a)に示すように、土台部3の右側面3bに、右接合7Bを介して縫着等することによって固定的に接続されている。なお、図示はしないが、左バック部4A及び右バック部4Bの他端(土台部3が接続されていない側)にホックのオス及びメスなどの係止部が設けられており、着用者の背中中心近辺で着脱可能となっている。
【0020】
<肩ストラップ部の説明>
肩ストラップ部5は、伸縮性ないし難伸縮を有するように形成され、図1(a)に示すように、左肩ストラップ部5Aと、右肩ストラップ部5Bと、で構成されている。左肩ストラップ部5Aは、図示しない着用者の左肩の稜線を経由し、左カップ部2Aと左バック部4Aとを、縫着等することによって固定的に接続し、左カップ部2Aを肩の稜線から引っ張り上げるものである。そして、左肩ストラップ部5Aは、左カップ部2Aを左肩の稜線から持ち上げることを可能とする長さになるように、図示しないエイト鐶などにより調節可能に形成されるものである。
【0021】
一方、右肩ストラップ部5Bは、図示しない着用者の右肩の稜線を経由し、右カップ部2Bと右バック部4Bとを、縫着等することによって固定的に接続し、右カップ部2Bを肩の稜線から引っ張り上げるものである。そして、右肩ストラップ部5Bは、右カップ部2Bを右肩の稜線から持ち上げることを可能とする長さになるように、図示しないエイト鐶などにより調節可能に形成されるものである。
【0022】
<ワイヤーループの説明>
ワイヤーループ6は、図1(a)に示すように、左ワイヤーループ6Aと、右ワイヤーループ6Bと、で構成されている。左ワイヤーループ6Aは、図1に示すように、左カップ部2Aのカップくり2Aaのバージスラインに沿って設けられており、右ワイヤーループ6Bは、図1(a)に示すように、右カップ部2Bのカップくり2Baのバージスラインに沿って設けられている。そして、図1(a)に示すように、この左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaと、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baとは、合流して重ね合わされて縫い止めされている。そしてさらに、図1(a)に示すように、左ワイヤーループ6Aは、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acが縫い止めされている。これにより、図1(a)に示すように、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaから左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acにかけて、左非格納部6A1が形成されることとなる。
【0023】
かくして、このように形成された左ワイヤーループ6A内には、図1(a)に示すように、左ワイヤーループ6Aの下端6Abより、骨材Wが格納され、その格納された骨材Wは、前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acまで延伸される。この際、前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acで縫い止めされていることによって、左非格納部6A1内には、骨材Wが延伸できないようになっている。なお、左ワイヤーループ6Aの下端6Abは、骨材Wが格納された後、縫い止めされることとなる。
【0024】
一方、図1(a)に示すように、右ワイヤーループ6Bは、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baより低い高さ位置6Bcが縫い止めされている。これにより、図1(a)に示すように、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baから右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baより低い高さ位置6Bcにかけて、右非格納部6B1が形成されることとなる。
【0025】
かくして、このように形成された右ワイヤーループ6B内には、図1(a)に示すように、右ワイヤーループ6Bの下端6Bbより、骨材Wが格納され、その格納された骨材Wは、上端6Baより低い高さ位置6Bcまで延伸される。この際、前中心側上端6Baより低い高さ位置6Bcで縫い止めされていることによって、右非格納部6B1内には、骨材Wが延伸できないようになっている。なお、右ワイヤーループ6Bの下端6Bbは、骨材Wが格納された後、縫い止めされることとなる。
【0026】
ところで、骨材Wは、金属、プラスチック合成樹脂などの剛性の高い部材で形成され、バストを、脇側ないし下側から支え、バストの下垂を支えたり、バストの脇側への横流れを防止したりするものである。
【0027】
しかして、このようにすれば、補正機能を保ったまま、着用時の不快感を軽減することができる。
【0028】
すなわち、従来においては、カップ部の前中心側の上端まで骨材が延伸して配設されているため、上半身の体の動きなどによっては、骨材が、カップ部の前中心側の上端を押して上半身に食い込み、もって、着用者は、骨材が上半身に刺さるような不快感を覚える可能性があるという問題があった。
【0029】
そこで、本実施形態においては、骨材Wが延伸できない左非格納部6A1及び右非格納部6B1を形成し、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aa及び右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baまで、骨材Wが延伸できないようにしている。これにより、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aa及び右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baまで、骨材Wが延伸していないため、着用者が、骨材Wが上半身に刺さるような不快感を覚える可能性を低減させることができる。
【0030】
ただ、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aa及び右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baまで、骨材Wが延伸していないため、補正機能が低下する可能性がある。そこで、本実施形態においては、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaと、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baとを合流させ、重ね合わせて縫い止めするようにしている。しかして、左ワイヤーループ6Aの径を10mm、右ワイヤーループ6Bの径を10mmとした場合、従来においては、単に突き合わせているだけであるため、左カップ部2Aと、右カップ部2Bとの距離は20mmとなる。この点、本実施形態によれば、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaと、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baとを合流させ、重ね合わせて縫い止めするようにしているから、図1(b)に示す、左カップ部2Aと、右カップ部2Bとの距離Lは、10mmとなる。これにより、本実施形態によれば、左カップ部2Aと、右カップ部2Bとの距離Lは、従来の半分の距離になることから、バストの補正機能が高まることとなる。
【0031】
しかして、本実施形態によれば、補正機能を保ったまま、着用時の不快感を軽減することができる。
【0032】
なお、図1(a)に示す符号8は、ニードルテープ等により形成された下辺テープである。この下辺テープ8は、土台部3、及び、左バック部4A、並びに、右バック部4Bの下端を接続するものである。
【0033】
<ブラジャーの製造工程の説明>
かくして、上記のように構成されるブラジャー1は、次のように製造される。
【0034】
図2(a)に示すように、土台部3の左側面3aに、左接合7Aを介して縫着等することによって左バック部4Aが固定的に接続されており、土台部3の右側面3bに、右接合7Bを介して縫着等することによって右バック部4Bが固定的に接続されている。そして、土台部3、及び、左バック部4A、並びに、右バック部4Bの下端には、下辺テープ8が接続されている。
【0035】
かくして、このような土台部3と、左カップ部2Aとを接ぐため、左カップ部2Aのカップくり2Aaのバージスラインに沿って左縫代Naが設けられている。そしてさらに、このような土台部3と、右カップ部2Bとを接ぐため、右カップ部2Bのカップくり2Baのバージスラインに沿って右縫代Nbが設けられている。なお、図2(b)に示すように、この左縫代Naの上端Na1と、右縫代Nbの上端Nb1とを突き合わせた際の距離は、図1(b)に示す距離Lと同一の距離となっている。
【0036】
かくして、このような左縫代Na及び右縫代Nbのうち、次の工程で左ワイヤーループ6Aを縫着する際、右縫代Nbの位置を固定するために、図2(c)に示すように、右縫代Nbを、本縫いミシンを用いて縫着する。これにより、次の工程で、左ワイヤーループ6Aを左縫代Naに沿って縫着する際、右縫代Nbの位置を固定することができるから、右縫代Nbの変形やめくり上がりを回避することができる。すなわち、後述するように、左ワイヤーループ6Aを縫い付ける際、左ワイヤーループ6Aは、右縫代Nbの上を通過する。そのため、右縫代Nbの位置を固定しておかないと、左ワイヤーループ6Aの影響を受け、右縫代Nbが変形したり、めくり上がったりする可能性がある。それゆえ、本実施形態のように、右縫代Nbの位置を固定しておくことにより、左ワイヤーループ6Aを左縫代Naに沿って縫着する際生じる可能性のある右縫代Nbの変形やめくり上がりを回避することができることなる。なお、本縫いミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、レジロン糸が好ましく、ナイロン糸、スパン糸でも代用することができる。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に15針~20針の間に設定するのが好ましい。
【0037】
次いで、図3(a)に示すように、本縫いされていない左縫代Naに沿って、左ワイヤーループ6Aを、例えば、2本針本縫いで固定的に接続する。なお、この際、図3(a)に示すように、左ワイヤーループ6Aは、本縫いされた右縫代Nbの上を通過している。また、この左ワイヤーループ6Aには、後の工程で骨材Wが格納されるため、図3(a)に示すように、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aa、及び、下端6Abは、縫い止めない。なお、2本針本縫いミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、レジロン糸が好ましく、ナイロン糸、スパン糸でも代用することができる。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に15針~20針の間に設定するのが好ましい。
【0038】
次いで、図3(b)に示すように、本縫いされた右縫代Nbに沿って、右ワイヤーループ6Bを、例えば、2本針本縫いで固定的に接続する。なお、この際、この右ワイヤーループ6Bには、後の工程で骨材Wが格納されるため、図3(b)に示すように、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Ba、及び、下端6Bbは、縫い止めない。また、この際、図3(b)に示すように、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaと、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baとは、合流して重ね合わされている。なお、2本針本縫いミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、レジロン糸が好ましく、ナイロン糸、スパン糸でも代用することができる。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に15針~20針の間に設定するのが好ましい。
【0039】
次いで、図4(a)に示すように、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaと、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baとを切り揃え、例えば、閂止めミシンで、縫い止めする。なお、閂止めミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、スパン糸が好ましい。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に36針~48針の間に設定するのが好ましい。
【0040】
次いで、図4(b)に示すように、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acを、例えば、閂止めミシンで、縫い止めする。これにより、図4(c)に示すように、左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaから左ワイヤーループ6Aの前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acにかけて、左非格納部6A1が形成されることとなる。なお、閂止めミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、スパン糸が好ましい。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に36針~48針の間に設定するのが好ましい。
【0041】
次いで、図4(b)に示すように、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baより低い高さ位置6Bcを、例えば、閂止めミシンで、縫い止めする。これにより、図4(c)に示すように、右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baから右ワイヤーループ6Bの前中心側上端6Baより低い高さ位置6Bcにかけて、右非格納部6B1が形成されることとなる。なお、閂止めミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、スパン糸が好ましい。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に36針~48針の間に設定するのが好ましい。
【0042】
次いで、図5に示すように、左ワイヤーループ6Aの下端6Abより、骨材Wが格納され、その格納された骨材Wは、前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acまで延伸される。この際、前中心側上端6Aaより低い高さ位置6Acで縫い止めされていることによって、左非格納部6A1内には、骨材Wが延伸できないようになっている。なお、左ワイヤーループ6Aの下端6Abは、骨材Wが格納された後、例えば、閂止めミシンで、縫い止めされる。なお、閂止めミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、スパン糸が好ましい。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に36針~48針の間に設定するのが好ましい。
【0043】
次いで、図5に示すように、右ワイヤーループ6Bの下端6Bbより、骨材Wが格納され、その格納された骨材Wは、前中心側上端6Baより低い高さ位置6Bcまで延伸される。この際、前中心側上端6Baより低い高さ位置6Bcで縫い止めされていることによって、右非格納部6B1内には、骨材Wが延伸できないようになっている。なお、右ワイヤーループ6Bの下端6Bbは、骨材Wが格納された後、例えば、閂止めミシンで、縫い止めされる。なお、閂止めミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、スパン糸が好ましい。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に36針~48針の間に設定するのが好ましい。
【0044】
次いで、図5に示すように、左カップ部2Aと左バック部4Aに、左肩ストラップ部5Aを、例えば、閂止めミシンで、縫い止めする。そしてさらに、図5に示すように、右カップ部2Bと右バック部4Bに、右肩ストラップ部5Bを、例えば、閂止めミシンで、縫い止めする。なお、閂止めミシンのミシン糸は、上糸、下糸と共に、スパン糸が好ましい。また、ミシンの運針数は、3.0cmの間に36針~48針の間に設定するのが好ましい。
【0045】
かくして、このようにして、ブラジャー1は、製造されることとなる。
【0046】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、補正機能を保ったまま、着用時の不快感を軽減することができる。
【0047】
なお、上記説明した一実施形態において例示した内容は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、ブラジャーを例示したが、ボディースーツ、ブラスリップ、カップ付きタンクトップ、カップ付きキャミソールなどのバストを被覆するカップ部を有する衣類であれば、どのようなものにも適用可能である。
【0048】
また、本実施形態によれば、パットを挿入できるパット挿入部を設けていない例を示したが、勿論、設けても良い。さらには、バストのサイズはどのようなバストのサイズにも適用可能である。
【0049】
一方、本実施形態によれば、左ワイヤーループ6Aを縫着してから、右ワイヤーループ6Bを縫着するようにしたが、それに限らず、右ワイヤーループ6Bを縫着してから、左ワイヤーループ6Aを縫着しても良い。この際、先に右ワイヤーループ6Bを縫着する際、左縫代Naの位置を固定するために、左縫代Naを、本縫いミシンを用いて縫着することとなる。
【0050】
さらに、本実施形態によれば、左ワイヤーループ6A及び右ワイヤーループ6Bを肌面側に付ける例を示したが、それに限らず、表面側に付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 ブラジャー
2 カップ部
2A 左カップ部(カップ部)
2Aa カップくり
2B 右カップ部(カップ部)
2Ba カップくり
3 土台部
6 ワイヤーループ(骨材格納部)
6A 左ワイヤーループ(骨材格納部)
6A1 左非格納部(非格納部)
6B 右ワイヤーループ(骨材格納部)
6B1 右非格納部(非格納部)
6Aa,6Ba 前中心側上端
6Ac,6Bc 低い高さ位置
Na 左縫代(縫代)
Nb 右縫代(縫代)
図1
図2
図3
図4
図5