(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】管腔構造のインサイチュ3次元再構成のための装置、方法、及びコンピュータのアクセス可能な媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230112BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20230112BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20230112BHJP
G01B 11/255 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A61B1/00 552
A61B1/00 526
A61B1/313 510
G01N21/17 630
G01B11/255 Z
(21)【出願番号】P 2019552205
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 US2018024014
(87)【国際公開番号】W WO2018175878
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-11
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガーデッキ ジョセフ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】シン カンワルパル
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0275986(US,A1)
【文献】特表2014-506670(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194059(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0253942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/313
G01N 21/17
G01B 11/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電磁放射及び第3の電磁放射を含んでいる電磁放射を放出する少なくとも1つの光導波路と、
回転及び並進の少なくとも一方を行って電磁放射を誘導するスキャン構成と、
少なくとも1つの光導波路及びスキャン構成を少なくとも部分的に囲むと共に、前記少なくとも1つの導波路に光学的に結合された歪み検知システムを備える歪み検知シースと、
前記歪み検知システムに結合されたコントローラと、を備え
前記コントローラが、前記歪み検知システムを使用して、
第1の場所で前記歪み検知シースの第1の歪みを決定し、
第1の場所とは異なる第2の場所で前記歪み検知シースの第2の歪みを決定し、
前記歪み検知シースの第1の歪み及び第2の歪みの決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所との間の前記シースの曲率を決定
し、
前記第1の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第1の電磁放射を送り、前記第1の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第2の電磁放射を受け、受けた前記第2の電磁放射に基づいて決定され、
前記第2の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第3の電磁放射を送り、前記第3の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第4の電磁放射を受け、受けた前記第4の電磁放射に基づいて決定する、
装置。
【請求項2】
前記シースに光学的に結合された構造撮像システムをさらに備え、
前記歪み検知シースは解剖学的構造内に配置され、
前記コントローラは、前記構造撮像システムを使用して、
前記歪み検知シース内の前記第1の場所における前記解剖学的構造に対する前記シースの第1の位置を決定し、
前記歪み検知シース内の前記第2の場所における前記解剖学的構造に対する前記シースの第2の位置を決定し、
前記シースの前記第1の位置及び前記第2の位置の決定に基づいて前記第1の場所と前記第2の場所の間の前記シースに対する解剖学的構造の相対的なサンプル曲率を決定し、
前記シースの曲率及び前記相対的なサンプル曲率の決定に基づいて前記第1の場所と前記第2の場所の間の前記解剖学的構造の実際の曲率を決定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光導波路が光ファイバを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光ファイバがマルチクラッド光ファイバを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記シースがカテーテルシースを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記解剖学的構造が管腔解剖学的構造を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記管腔解剖学的構造が血管を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記構造撮像システムが光干渉断層撮影(OCT)システムを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記歪み検知シースがシース壁を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記歪み検知シースが前記シース壁に関連付けられた歪み検知分子を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記歪み検知分子が前記シース壁の内側面に関連付けられている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記歪み検知分子が前記シース壁内に埋め込まれている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に関連付けられている、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記歪み検知分子が前記シース壁に関連付けられた複数のワイヤに関連付けられている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記歪み検知シースが別のシース内に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項16】
前記歪み検知分子が単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を含む、請求項10~15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記コントローラは、記第1の歪みを決定するときにさらに、前記第2の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第1の歪みを決定し、
前記コントローラは、前記第2の歪みを決定するときに、前記第4の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第2の歪みを決定する、請求項
1に記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラは、前記第1の歪みを決定するときにさらに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の歪みを決定することをさらに含み、
前記コントローラは、前記第2の歪みを決定するときにさらに、蛍光分光法、ラマン分法、又は吸収分光法の少なくとも1つに基づいて前記第2の歪みを決定する、請求項1~15の何れか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記歪み検知システム及び前記構造撮像システムが回転接合部によって前記カテーテルに光学的に結合される、請求項2~15の何れか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記実際の曲率の決定に基づいて、前記解剖学的構造の3次元(3D)形状を決定することをさらに含む、請求項2~15の何れか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記
光導波路はその端部にレンズを含む、請求項1~15の何れか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記スキャン構成が前記レンズを前記歪み検知シースを通してヘリカルに移動させる、請求項2
1に記載の装置。
【請求項23】
レンズを有すると共に、歪み検知シースの内部に配置されて前記レンズが前記歪み検知シースの内部で回転及び並進するようになっている、カテーテルと、
カテーテルに光学的に結合された歪み検知システムと、
前記歪み検知システムに結合されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記歪み検知システムを使用して、第1の場所で前記歪み検知シースの第1の歪みを決定し、第1の位置と異なる第2の場所で前記歪み検知シースの第2の歪みを決定し、
前記コントローラがさらに、前記歪み検知シースの前記第1の歪み及び前記第2の歪みの決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所との間の前記カテーテルの曲率を決定
し、
前記第1の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第1の電磁放射を送り、前記第1の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第2の電磁放射を受け、受けた前記第2の電磁放射に基づいて決定され、
前記第2の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第3の電磁放射を送り、前記第3の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第4の電磁放射を受け、受けた前記第4の電磁放射に基づいて決定される、
装置。
【請求項24】
前記カテーテルに光学的に結合された構造撮像システムをさらに備え、
前記歪み検知シースが管腔サンプル内に配置され、
前記コントローラが、前記構造撮像システムを使用して、
前記歪み検知シース内の前記第1の場所における前記管腔サンプルに対する前記カテーテルの第1の位置を決定し、
前記歪み検知シース内の前記第2の場所における前記管腔サンプルに対する前記カテーテルの第2の位置を決定し、
前記カテーテルの前記第1の位置と前記第2の位置の決定に基づいて前記第1の場所と前記第2の場所の間の前記カテーテルに関する管腔サンプルの相対的なサンプル曲率を決定し、
前記カテーテルの曲率及び前記相対的なサンプル曲率の決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所の間の前記管腔サンプルの実際の曲率を決定する、
請求項2
3に記載の装置。
【請求項25】
前記構造撮像システムが光干渉断層撮影(OCT)システムを含む、請求項2
4に記載の装置。
【請求項26】
前記歪み検知シースがシース壁を含む、請求項2
4に記載の装置。
【請求項27】
前記歪み検知シースが前記シース壁に関連付けられた歪み検知分子を含む、請求項2
6に記載の装置。
【請求項28】
前記歪み検知分子が前記シース壁の内側面に関連付けられている、請求項2
7に記載の装置。
【請求項29】
前記歪み検知分子が前記シース壁内に埋め込まれている、請求項2
7に記載の装置。
【請求項30】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に関連付けられている、請求項2
7に記載の装置。
【請求項31】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に取り付けられた複数のワイヤに関連付けられている、請求項3
0に記載の装置。
【請求項32】
前記歪み検知シースが別のシース内に配置される、請求項2
4に記載の装置。
【請求項33】
前記歪み検知分子が単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を含む、請求項2
7~3
2の何れか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記コントローラは、前記第1の歪みを決定するときにさらに、前記第2の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第1の歪みを決定し、
前記コントローラは、前記第2の歪みを決定するときに、前記第4の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第2の歪みを決定する、請求項
23に記載の装置。
【請求項35】
前記コントローラは、前記第1の歪みを決定するときにさらに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の歪みを決定し、
前記コントローラは、前記第2の歪みを決定するときにさらに蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法の少なくとも1つに基づいて前記第2の歪みを決定する、請求項2
3~3
2の何れか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記歪み検知システム及び前記構造撮像システムが回転接合部によって前記カテーテルに光学的に結合される、請求項2
4~3
2の何れか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記コントローラはさらに、前記実際の曲率の決定に基づいて前記管腔サンプルの3次元(3D)形状を決定する、請求項2
4~3
2の何れか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記管腔サンプルが冠動脈を含む、請求項2
4~3
2の何れか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記レンズが前記歪み検知シースを通ってヘリカルに移動する、請求項2
3~3
2の何れか一項に記載の装置。
【請求項40】
歪み検知システムに光学的に結合されたカテーテルを提供し、ここで、前記カテーテルがレンズを有すると共に、該レンズが歪み検知シース内で回転及び並進するように前記カテーテルが前記歪み検知シースの内部に配置されており、
前記歪み検知システムと通信するコントローラで、前記歪み検知シース内の第1の場所におけるx-z平面及びy-z平面における前記歪み検知シースの第1の歪みを決定し、
前記コントローラで、前記歪み検知シース内の前記第1の場所と異なる第2の場所におけるx-z平面及びy-z平面における前記歪み検知シースの第2の歪みを決定し、
前記コントローラで、前記歪み検知シースの前記第1の歪み及び前記第2の歪みの決定に基づいて、前記第1の場所と第2の場所との間のカテーテルの曲率を決定
し、
前記第1の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第1の電磁放射を送り、前記第1の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第2の電磁放射を受け、受けた前記第2の電磁放射に基づいて決定され、
前記第2の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第3の電磁放射を送り、前記第3の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第4の電磁放射を受け、受けた前記第4の電磁放射に基づいて決定される、
方法。
【請求項41】
前記歪み検知シースが管腔サンプル内に配置され、前記カテーテルが構造撮像システムに光学的に結合され、前記構造撮像システムが前記コントローラと通信し、前記方法にはさらに、
第1の場所におけるx-z平面及びy-z平面でのカテーテルの第1の位置を決定し、
第2の場所におけるx-z平面及びy-z平面での前記カテーテルの第2の位置を決定し、
前記カテーテルの前記第1の位置及び前記第2の位置の決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所の間の前記カテーテルに関する前記管腔サンプルの相対的なサンプル曲率を決定し、
前記カテーテルの曲率及び前記相対的なサンプル曲率の決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所の間の前記管腔サンプルの実際の曲率を決定する、ことが含まれている、請求項4
0に記載の方法。
【請求項42】
前記構造撮像システムは、光干渉断層撮影(OCT)システムを含む、請求項4
1に記載の方法。
【請求項43】
前記歪み検知シースがシース壁を含む、請求項4
1に記載の方法。
【請求項44】
前記歪み検知シースが前記シース壁に関連付けられた歪み検知分子を含む、請求項4
3に記載の方法。
【請求項45】
前記歪み検知分子が前記シース壁の内側面に関連付けられている、請求項4
4に記載の方法。
【請求項46】
前記歪み検知分子が前記シース壁内に埋め込まれている、請求項4
4に記載の方法。
【請求項47】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に関連付けられている、請求項4
4に記載の
方法。
【請求項48】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に取り付けられた複数のワイヤに関連付けられている、請求項4
7に記載の方法。
【請求項49】
前記歪み検知シースが別のシース内に配置される、請求項4
1に記載の方法。
【請求項50】
前記歪み検知分子が単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を含む、請求項4
4~
48の何れか一項に記載の方法。
【請求項51】
第1の歪みを決定することにさらに、前記第2の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第1の歪みを決定することが含まれ、
第2の歪みを決定することにさらに、前記第4の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第2の歪みを決定することが含まれる、請求項
40に記載の方法。
【請求項52】
第1の歪みを決定することにさらに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法の少なくとも1つに基づいて前記第1の歪みを決定することが含まれ、
前記第2の歪みを決定することにさらに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法の少なくとも1つに基づいて前記第2の歪みを決定することが含まれる、請求項4
0~
49の何れか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記歪み検知システム及び前記構造撮像システムが回転接合部によって前記カテーテルに光学的に結合される、請求項4
1~
49の何れか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記カテーテルの曲率を決定することに基づいて前記管腔サンプルの3次元(3D)形状を決定することをさらに含む、請求項4
1~
49の何れか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記レンズが前記歪み検知シースを通ってヘリカルに移動する、請求項4
0~
49の何れか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記管腔サンプルが冠動脈を含む、請求項4
1~
49の何れか一項に記載の方法。
【請求項57】
管腔サンプルの形状を決定するための装置であって、
レンズを有すると共に、歪み検知シースの内部に配置されて前記レンズが前記歪み検知シースの内部で回転及び並進するようになっている、カテーテルと、
前記カテーテルに光学的に結合された構造撮像システムと、
前記カテーテルに光学的に結合された歪み検知システムと、
前記歪み検知システム及び構造撮像システムに結合されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記構造撮像システムを使用して、前記歪み検知システム内の第1の場所における前記管腔サンプルに対する前記カテーテルの第1の位置を決定し、
前記歪み検知システム内の前記第1の位置と異なる第2の場所における前記管腔サンプルに対する前記カテーテルの第2の位置を決定し、
前記コントローラが、前記歪み検知システムを使用して、前記第1の場所における前記歪み検知シースの第1の歪みを決定し、
前記第2の場所における前記歪み検知シースの第2の歪みを決定し、
前記コントローラが、前記管腔サンプルに対する前記カテーテルの前記第1の位置及び前記第2の位置の決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所の間の前記カテーテルに対する前記管腔サンプルの第1の局所曲率を決定し、
前記歪み検知シースの前記第1の歪みと前記第2の歪みの決定に基づいて、第1の場所と第2の場所の間の前記カテーテルの第2の局所曲率を決定し、
前記第1の局所曲率及び前記第2の局所曲率の決定に基づいて、第1の場所と前記第2の場所の間の前記管腔サンプルの第3の局所曲率を決定
し、
前記第1の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第1の電磁放射を送り、前記第1の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第2の電磁放射を受け、受けた前記第2の電磁放射に基づいて決定され、
前記第2の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第3の電磁放射を送り、前記第3の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第4の電磁放射を受け、受けた前記第4の電磁放射に基づいて決定される、
装置。
【請求項58】
前記構造撮像システムが光干渉断層撮影(OCT)システムを含む、請求項
57に記載の装置。
【請求項59】
前記歪み検知シースがシース壁を含む、請求項
57に記載の装置。
【請求項60】
前記歪み検知シースが前記シース壁に関連付けられた歪み検知分子を含む、請求項
59に記載の装置。
【請求項61】
前記歪み検知分子が前記シース壁の内側面に関連付けられている、請求項
60に記載の装置。
【請求項62】
前記歪み検知分子が前記シース壁内に埋め込まれている、請求項6
0に記載の装置。
【請求項63】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に関連付けられている、請求項6
0に記載の装置。
【請求項64】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に取り付けられた複数のワイヤに関連付けられている、請求項6
3に記載の装置。
【請求項65】
前記歪み検知シースが別のシース内に配置される、請求項
57に記載の装置。
【請求項66】
前記歪み検知分子が単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を含む、請求項6
0~6
4の何れか一項に記載の装置。
【請求項67】
前記コントローラは、前記第1の歪みを決定するときに、さらに、前記第2の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第1の歪みを決定し、
前記コントローラは、前記第2の歪みを決定するとき、前記第4の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第2の歪みを決定する、
請求項
57に記載の装置。
【請求項68】
前記コントローラはさらに、前記第1の歪みを決定するときに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の歪みを決定し、
前記コントローラはさらに、前記第2の歪みを決定するときに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の歪みを決定する、請求項
57~6
5の何れか一項に記載の装置。
【請求項69】
前記歪み検知システム及び前記構造撮像システムが回転接合部によって前記カテーテルと光学的に結合されている、請求項
57~6
5の何れか一項に記載の装置。
【請求項70】
前記コントローラは、前記第3の局所曲率の決定に基づいて、前記管腔サンプルの3次元(3D)形状を決定することをさらに含む、請求項
57~6
5の何れか一項に記載の装置。
【請求項71】
前記管腔サンプルが冠動脈を含む、請求項
57~6
5の何れか一項に記載の装置。
【請求項72】
前記レンズが前記歪み検知シースを通ってヘリカルに移動する、請求項
57~6
5の何れか一項に記載の装置。
【請求項73】
管腔サンプルの形状を決定する方法であって、
構造撮像システム及び歪み検知システムに光学的に結合されたカテーテルを提供し、ここで、前記カテーテルがレンズを有すると共に、該レンズが歪み検知シース内で回転及び並進するように前記カテーテルが前記歪み検知シースの内部に配置されており、
前記構造撮像システム及び前記歪み検知システムに結合されたコントローラで、前記歪み検知シース内の第1の場所における前記管腔サンプルに対する前記カテーテルの第1の位置を決定し、
前記コントローラで、前記歪み検知シース内の前記第1の場所と異なる第2の場所でにおける前記管腔サンプルに対する前記カーソルの第2の位置を決定し、
前記コントローラで、前記第1の場所における前記歪み検知シースの第1の歪みを決定し、
前記コントローラにより、前記第2の場所における前記歪み検知シースの第2の歪みを決定し、
前記コントローラにより、カテーテルの前記第1の位置及び前記第2の位置の決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所との間の前記カテーテルに対する前記管腔サンプルの第1の局所曲率を決定し、
前記コントローラで、前記歪み検知シースの前記第1の歪み及び前記第2の歪みの決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所との間の前記カテーテルの第2の局所曲率を決定し、
前記コントローラにより、前記第1の局所曲率及び前記第2の局所曲率の決定に基づいて、前記第1の場所と前記第2の場所との間の前記管腔サンプルの第3の局所曲率を決定
し、
前記第1の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第1の電磁放射を送り、前記第1の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第2の電磁放射を受け、受けた前記第2の電磁放射に基づいて決定され、
前記第2の歪みの決定は、前記歪み検知シースに向けて前記第3の電磁放射を送り、前記第3の電磁放射で励起された蛍光発光に基づいて前記歪み検知シースから第4の電磁放射を受け、受けた前記第4の電磁放射に基づいて決定される、
管腔サンプルの形状を決定する方法。
【請求項74】
前記構造撮像システムが光干渉断層撮影(OCT)システムを含む、請求項7
3に記載の方法。
【請求項75】
前記歪み検知シースがシース壁を含む、請求項7
3に記載の方法。
【請求項76】
前記歪み検知シースが前記シース壁に関連付けられた歪み検知分子を含む、請求項7
5に記載の方法。
【請求項77】
前記歪み検知分子が前記シース壁の内側面に関連付けられている、請求項
76に記載の方法。
【請求項78】
前記歪み検知分子がシース壁内に埋め込まれている、請求項
76に記載の方法。
【請求項79】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に関連付けられている、請求項
76に記載の方法。
【請求項80】
前記歪み検知分子が前記シース壁の外側面に取り付けられた複数のワイヤに関連付けられている、請求項
79に記載の方法。
【請求項81】
前記歪み検知シースが別のシース内に配置される、請求項7
3に記載の方法。
【請求項82】
前記歪み検知分子が単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を含む、請求項
76~8
0の何れか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記第1の歪みを決定することに、前記第2の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第1の歪みを決定することがさらに含まれ、前記第2の歪みを決定することに、前記第4の
電磁放射のスペクトルシフトの検出に基づいて前記第2の歪みを決定することがさらに含まれる、請求項
73に記載の方法。
【請求項84】
第1の歪みを決定することに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法の少なくとも1つに基づいて前記第1の歪みを決定することがさらに含まれ、
前記第2の歪みを決定することに、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法の少なくとも1つに基づいて前記第2の歪みを決定することがさらに含まれる、請求項7
3~8
1の何れか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記歪み検知システム及び前記構造撮像システムは、回転接合部によって前記カテーテルに光学的に結合される、請求項7
3~8
1の何れか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記第3の局所曲率の決定に基づいて、前記管腔サンプルの3次元(3D)形状を決定することをさらに含む、請求項7
3~8
1の何れか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記管腔サンプルが冠動脈を含む、請求項7
3~8
1の何れか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記レンズが前記歪み検知シースを通ってヘリカルに移動する、請求項7
3~8
1の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2017年3月23日に出願された「管腔構造のインサイチュ3次元再構成のための装置、方法、及びコンピュータのアクセス可能な媒体」と題する米国仮特許出願第62/475,304号の権益を主張し、全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、3次元撮像及び再構成に関し、より詳細には、円筒構造の撮像のための、より詳細には、例えば、人体の血管系及び消化管などの管腔構造を撮像するための装置、方法、及びコンピュータのアクセス可能な媒体の例示的実施形態に関する。
【0003】
忠実な3次元(3D)再構成は、冠動脈疾患の進行を診断したり、気道内腔の睡眠時無呼吸を診断したりする内皮せん断応力(ESS)の測定などのいくつかのアプリケーションにとって望ましい機能である。気道の3D解剖学的構造は、磁気センサを使用して成功裏に再構成されている。ただし、磁気センサカテーテルのサイズが大きいため、冠動脈の3D形状を再構成するのに心臓専門医は複葉血管造影画像に頼らざるを得なかった。血管内超音波(IVUS)撮影と複葉血管造影法は、ESSを計算するいくつかの研究に適用されているが、しかし、血管造影を繰り返し使用することはこのプロセスで使用されるX線のイオン化能力などの合併症のため望ましくないことがよくある。さらに、ESS測定値は、労働集約的で時間のかかる後処理手順によって取得されるため、オンラインアプリケーションには適さない。動脈の3D形状が決定される別のアプローチとして、複数のファイバ、又は分散ファイバブラッグ格子を含む複数のコアを備えた単一ファイバの何れかで光周波数領域反射率測定(OFDR)を採用する形状検出カテーテルを使用することが提案される。この技術には追加の光ファイバが必要なのでカテーテルの直径が大きくなり回転接合及び撮像システムがより複雑になる。
【0004】
高解像度の撮影と3D再構成機能を備えた代替の最小侵襲技術を見出す必要がある。
【発明の概要】
【0005】
光干渉断層撮影(OCT)は、IVUSに似た画像をはるかに高い解像度で提供する新しい撮影モダリティとして登場した。管腔構造に適用されると、OCTは表面及び内腔の下部構造の高解像度画像を取得する。ただし、OCTは内腔の全体的な3次元形状を提供しないので、3D形状を正確に再構成する情報を提供でき内腔と微細構造の高解像度OCT画像を提供できる別の方法論が望まれる。カーボンナノチューブベースの複合コーティングは近年、材料の歪みを測定するのに使用されている。従って、カーボンナノチューブベースの歪みセンサからの局所的な歪み誘起分光情報を測定することにより3D形状の測定にこの技術が適用でき、これに関連するのが腔内撮影中にOCTカテーテルを収容するために通常使用されるシースの曲率である。血管造影図を血管内撮影データで登録するのに時間のかかるプロセスを回避すると共に、それ自体の形状を測定するような歪み感受性OCTが本明細書に開示される様々な実施形態において採用される。
【0006】
本発明では、高解像度の断面画像を取得しながら3D管腔形状を測定できるデュアルチャネル(例えば、OCTプラス歪み測定)システムが説明される。この方法は冠動脈に限定されず管腔又は管状構造の3D形状を得るために適用することができ、それらには他の血管、若しくはリンパ管、食道、管、腸、尿管、肺気道、咽頭などこれらに限定されないで含む腔内器官、又はパイプ、導管、トンネルなどの非生物学的な管状構造などがある。さらに、構造情報は、OCT以外の他の撮影モダリティ(例えば、偏光感受性OCT、1ミクロンの高解像度OCT、超音波、血管内超音波(IVUS)、光音響超音波などのOCTのさまざまな実施形態)によって取得されてもよく、これらにステレオ撮影、動き又はぶれからの形成、コンピュータ断層撮影、X線撮影、投影トモグラフィ、磁気共鳴撮影などがある。この作業のシステムと概念が本明細書に開示される。
【0007】
従って、一態様では、本発明は、電磁放射を放出する少なくとも1つの光導波路と、回転及び並進の少なくとも一方を行って電磁放射を誘導するスキャン構成と、少なくとも1つの光導波路及びスキャン構成を少なくとも部分的に囲み、少なくとも1つの導波路に光学的に結合された歪み検知システムを備える歪み検知シースと、歪み検知システムに結合されたコントローラと、を備える装置を提供する。コントローラが、歪み検知システムを使用して、第1の場所で歪み検知シースの第1の歪みを決定し、第1の場所とは異なる第2の場所で歪み検知シースの第2の歪みを決定する。コントローラがさらに、歪み検知シースの第1の歪み及び第2の歪みの決定に基づいて第1の場所と第2の場所の間のシースの曲率を決定する。
【0008】
別の態様において、本発明は、レンズ、歪み検知システム、及びコントローラを含むカテーテルを備えた装置を提供する。レンズが歪み検知シース内で回転及び並進するようにカテーテルが歪み検知シース内に配置される。歪み検知システムはカテーテルに光学的に結合される。コントローラは歪み検知システムに接続される。コントローラが、歪み検知システムを使用して第1の場所で歪み検知シースの第1の歪みを決定し、第1の場所と異なる第2の場所で歪み検知シースの第2の歪みを決定する。コントローラはさらに、歪み検知シースの第1歪み及び第2歪みを決定することに基づいて第1の場所と第2の場所との間のカテーテルの曲率を決定する。
【0009】
さらに別の態様で本発明が提供する方法は、歪み検知システムに光学的に結合されると共にレンズを含みレンズが歪み検知シース内で回転及び並進するように歪み検知シース内に配置されたカテーテルを提供し、歪み検知システムと通信するコントローラで、歪み検知シース内の第1の場所におけるx-z平面及びy-z平面における歪み検知シースの第1の歪みを決定し、歪み検知シース内の第1の場所とは異なる第2の場所におけるx-z平面及びy-z平面における歪み検知シースの第2の歪みを決定し、歪み検知シースの第1の歪み及び第2の歪みの決定に基づいて第1の場所と第2の場所との間のカテーテルの曲率を決定する。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は管腔サンプルの形状を決定するための装置を提供する。この装置は、レンズと、レンズが歪み検知シース内で回転及び並進するよう歪み検知シース内に配置されたカテーテルと、カテーテルに光学的に結合された構造撮像システムと、カテーテルに光学的に結合された歪み検知システムと、歪み検知システム及び構造撮像システムに結合されたコントローラとを備える。コントローラは、構造撮像システムを使用して、歪み検知シース内の第1の場所で管腔サンプルに対するカテーテルの第1の位置を決定し、歪み検知シース内の第2の場所で管腔サンプルに対するカテーテルの第1の場所とは異なる第2の位置を決定する。コントローラは、歪み検知システムを使用して、第1の場所における歪み検知シースの第1の歪みを決定し、第2の場所における歪み検知シースの第2の歪みを決定し、さらに、管腔サンプルに対するカテーテルの第1の位置及び第2の位置の決定に基づいて第1の場所と第2の場所の間のカテーテルに対する管腔サンプルの第1の局所曲率を決定し、歪み検知シースの第1の歪み及び第2の歪みの決定に基づいて第1の場所と第2の場所との間のカテーテルの第2の局所曲率を決定し、第1の局所曲率及び第2の局所曲率の決定に基づいて第1の場所と第2の場所との間の管腔サンプルの第3の局所曲率を決定する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は管腔サンプルの形状が決定される方法を提供する。この方法は、構造撮像システム及び歪み検知システムに光学的に結合されると共にレンズを含みレンズが歪み検知シース内で回転及び並進するように歪み検知シース内に配置されたカテーテルを提供し、歪み検知システム及び構造撮像システムに結合されたコントローラで、歪み検知シース内の第1の場所で管腔サンプルに対するカテーテルの第1の位置を決定し、歪み検知シース内の第1の位置とは異なる第2の場所で管腔サンプルに対するカテーテルの第2の位置を決定し、第1の場所における歪み検知シースの第1の歪みを決定し、第2の場所における歪み検知シースの第2の歪みを決定し、カテーテルの第1の位置及び第2の位置の決定に基づいて第1の場所と第2の場所との間のカテーテルに対する管腔サンプルの第1の局所曲率を決定し、歪み検知シースの第1の歪み及び第2の歪みの決定に基づいて第1の場所と第2の場所との間のカテーテルの第2の局所曲率を決定し、第1の局所曲率及び第2の局所曲率の決定に基づいて第1の場所と第2の場所との間の管腔サンプルの第3の局所曲率を決定する。
【0012】
本発明の前述及び他の態様及び利点は以下の説明から明らかになるであろう。説明では、本明細書の一部を形成し本発明の好ましい実施形態を例示として示す添付図面を参照する。そのような実施形態は必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、従って本発明の範囲を解釈するために本明細書の特許請求の範囲を参照する。
【0013】
本開示のさらなる目的、特徴、及び利点は、本開示の例示的な実施形態を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】管腔構造の3D形状を再構成するために使用される装置の例示的な実施形態の概略ブロック図である。
【
図2A】単一のシースを使用する光学歪み検知プローブの例示的な実施形態の概略図であり、外部シース壁に取り付けられた歪み検知分子を示す図である。
【
図2B】内部シース壁に付着した歪み検知分子を説明する図である。
【
図2C】シース壁内に埋め込まれた歪み検知分子を示す図である。
【
図2D】ガイドワイヤを備えた光学式歪み検知プローブを示す図である。
【
図3】外側シースの内側にある内側シースの外装に埋め込まれた分子歪みセンサを備えた歪み検知光学プローブの概略図である。
【
図4A-B】分子歪みセンサがシースの外側に配置された細いワイヤとして埋め込まれている歪み検知光学プローブの概略図である。
【
図5】外側面がSWCNTでコーティングされた真っ直ぐで歪みのない冠状カテーテルから取得された例示的な発光スペクトルを示す図である。
【
図6】面内でサンプリングされた45°屈曲面に直交するポリウレタン被覆冠動脈内カテーテルシースに埋め込まれた単層カーボンナノチューブの発光スペクトルの波長シフトに関するデータの図である。
【
図7】光が0°、90°、180°、及び270°で収集されるの図の屈曲部を有する歪み検知シースを示す図である。
【
図8A-C】プルバック位置及び回転角度の関数としてのピーク周波数対フレーム数の一連のグラフである。
【
図9】本開示による、血管などの管腔物体の3D形状を再構成するための装置の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図10】既知のプルバック位置及び回転角度で取得されたOCT及び分光データの組み合わせから管腔物体の3次元形状を再構成するための例示的なプロセスの概略図である。
【
図11】RT-ESSカテーテル及び画像コンソールの概略図であり、ここで、ECG:心電図、DCF:ダブルクラッドファイバ、CFO:計算流体力学、HCT:ヘマトクリット、ESS:内皮せん断応力、OCT:光干渉断層計、NIRF:近赤外蛍光、SWCNT:単層カーボンナノチューブ、Fluor:蛍光である。
【
図12A】圧縮歪みによって誘発された青及び赤の波長シフトを示す0(実線)及び0.08mm
-1(点線)の曲率でのカテーテルシース上の(7,5)及び(7,6)SWCNTの蛍光スペクトルを示す図である。
【
図12B】(7,5)及び(7,6)ピーク分離対シース湾曲の散布図を示す図である。
【
図13A】物理的なファントムを作成するために3D印刷された人間の右冠動脈内腔の3D形状を示す図である。
【
図13B】SWCNTカテーテルにより再構成されたファントムの3D画像を示す図である。
【
図13C】X、Y、及びZ軸に対する3D再構成の中心線を示す図である。
【
図14】RT-ESSコンソールの概略図であり、ここで、RJ:ロータリジャンクション、C:サーキュレータ、BS:ビームスプリッタ、WDM:波長分割マルチプレクサ、PC:パワーコンバイナ、REF:参照アーム、DBーPD:両方のバランスの取れた偏光多様性、ADC:アナログ/デジタルコンバータ、CPU:中央処理装置、GPU:グラフィカル処理ユニットである。
【
図15】管腔サンプルの形状を決定するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図16】シース内に配置されたカテーテルの形状を決定するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
このように、本明細書で開示されるのは、生体内を含む管腔構造の3次元形状を測定するための器具、プローブ、及びアルゴリズムの実施形態を含む装置及び方法である。本明細書に開示される例示的な実施形態は、冠動脈内撮像に適用され、動脈壁に対する内皮せん断応力を推定する計算モデルへの入力を提供することができる。それにも関わらず、本明細書に開示される技術及び装置は、冠状血管に加えて他の管腔構造に関する情報を決定するのに使用され得る。
【0016】
本開示の特定の特徴は、冠動脈などの管腔構造の3次元形状が、光干渉断層計などの構造撮像システム、及び例えばシースに貼付された単層カーボンナノチューブの蛍光発光歪み検知システムベースから取得された構造データを使用して再構成できることである。本開示は、臨床機器、冠内カテーテルに具現化することができ、冠動脈(又は他の管腔構造)の3D形状をリアルタイムで再構成するのに使用することができる方法であり、さらにこの入力を使用してリアルタイムで経皮的冠動脈干渉を受けている患者の内皮せん断応力(ESS)を推定する計算流体力学モデルのリアルタイム3D冠動脈形状が提供される。
【0017】
冠動脈疾患(CAD)の診断と治療は、人間の冠動脈アテローム硬化性プラークの進行と不安定化につながる基本的な病理生物学的プロセスを調査できないことによって妨げられる。プラークの振舞いの原因となる重要なメカニズムは、内皮細胞が受け、血管の形状、その結果の血流の局所的なパターンによって支配される局所的なせん断応力である。低ESSの領域では、内皮細胞はLDLなどのタンパク質複合体への透過性を高めることで応答し、さらにその部位でさまざまなプロアテローム発生、炎症誘発、及び血栓形成プロセスを引き起こす。この低せん断応力環境が、病理生物学的内皮反応とアテローム硬化性プラークの進行/不安定化を一意に決定する環境である。
【0018】
最近、生体内で人間の冠動脈のESSを計算する方法が開発された。各冠動脈の3D解剖学的構造の再構成は、冠動脈内光干渉断層撮影(OCT)又は血管内超音波(IVUS)撮影データを特別に取得した血管造影図に登録することによって行われる。その後、この3D解剖学的データは、冠動脈の管腔表面でESSを計算する計算流体力学(CFD)モデルに入力される。これらの技術は現在、博物学臨床研究で使用され、その結果、低ESSが将来の冠動脈イベントの最も強力な予測因子であることが示されている。ただし、画像データの登録、3D再構成、及びCFDモデリングは時間がかかり、オフラインで実行する必要があるため、ESSは現在、心臓カテーテル検査室でリアルタイムに取得できない。特定の患者の各動脈のESSマップを計算するにこれらの制限のため数時間かかる。
【0019】
従って、本開示の方法及び装置が、日常的な心臓カテーテル挿入中のリアルタイムESS(RT-ESS)測定を可能にすることにより、患者の効果を改善するのに役立ち、CADの個人化された管理をガイドし得る。提案されたRT-ESS技術によって提供されるシンプルさ、効率、及び精度によって、研究及び臨床診療でESS情報を使用する能力が大幅に向上する。
【0020】
従って、本開示は、臨床CAD患者管理のためのRT-ESS技術の開発について説明する。形状検出OCT-NIRF(近赤外蛍光)撮影カテーテルと自動画像処理アルゴリズムにより、血管造影を必要とせずに冠動脈を正確かつ迅速に再構成できる。様々な実施形態において、RT-ESSカテーテルのシースの内側面は、歪み依存性NIR蛍光スペクトルを有する単層カーボンナノチューブ(SWCNT)でコーティングされてもよい。カテーテルの光学系がヘリカルにスキャンされるにつれシースからの蛍光スペクトルが取得され分析されカテーテルの形状(中心線)が提供される。蛍光スペクトルと同時に取得した動脈壁のOCT画像を自動的にセグメント化しカテーテルの中心線にマッピングして動脈の内腔の忠実な3D表現が提供される。
【0021】
様々な実施形態では、3D動脈形状を使用してCFDモデリング用の3Dメッシュを生成することができる。患者固有の血液粘度と動脈固有の血流速度を使用して、圧力ベースの結合並列ソルバを実行する高度に並列なCPUワークステーションを介してメッシュでフローシミュレーションを実行できる。
【0022】
図1に、本開示による形状検知プローブを備えた3D形状検知装置の例示的な実施形態の概略ブロック図が示される。この例示的なデバイス装置は、管腔物体160の微細構造の画像を生成する構造撮像システム110、管腔物体160の3D形状を再構成することができるデータを生成する歪み検知システム120、及び構造の出力を含むことができる。撮影システムの出力115、歪み検知システムの出力125、デュアルモダリティ回転接合ユニット130、シース140を備えた歪み検知プローブ135、データ取得システム145、及びデータ処理及び記憶ユニット150が設けられる。これらの記載されたシステム、配置、及び要素のそれぞれの複数が、例示的な装置に含まれるか及び/又は例示的な装置と共に実施され得ることが理解されるであろう。
【0023】
構造撮像システム110は、管腔構造160から本質的に光学的又は機械的であり得る後方反射信号を収集して管腔表面及び下層の微細構造に関する情報を取得するように設計される。例示的な構造は組織であり特に冠動脈である。構造撮像システム110から得られた深さ分解された微細構造画像には、管腔表面及び表面下だけでなくプローブシース140に関連する特徴が含まれてもよい。
【0024】
例示的な実施形態では、構造撮像システム110が、光干渉断層撮影(OCT)又は他のOCT関連のモダリティを実施して深さ分解された微細構造画像を生成する。他のOCT関連のモダリティには、光周波数領域撮影(OFDI)、偏光敏感光コヒーレンストモグラフィ(ps-OCT)、及び遠位光学設計を使用してサブ10μmの横方向スポットサイズを維持しながら焦点深度を延ばすμOCTとしても知られる高解像度OCTの他の実施形態が含まれる。
【0025】
別の実施形態では、構造撮像システムは、血管内超音波(IVUS)又は光音響超音波撮影を実施して組織の微細構造を調査することができる。OCTと同様に、両方の技術が歪み測定に自動的に登録される横断画像を生成する。
【0026】
歪み検知システム120は、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法の何れかを可能にする機器及びコンポーネントを含む。局所的な材料の歪みは、分子スペクトルの中心波長にエンコードされる。機器は使用する分光技術に固有であるものの、各分光技術には一般的に、分子の特徴を調べるための光源、プリズム、格子、分光計、又は分光器などの戻り分光信号を分離する分散要素、及び分子信号を記録する光学検出器が必要である。別の実施形態では、光源波長は時間の関数として走査され、同様の情報は検出経路に分散要素を必要とせずに分光学的に光を検出することにより取得され得る。
【0027】
構造撮像システム110は、シングルモードファイバ115を介してデュアルモダリティ回転接合部130に接続できる一方、歪み検知システム120は、ダブルクラッドファイバ(DCF)125又はシングルモードの組合せの何れか、及び/又はマルチモードファイバで接続できる。デュアルモダリティ回転接合部130は、異なるモダリティからの2つの光ビームを組み合わせると共に、静止画像化プラットフォームとヘリカルスキャン(回転及び並進)プローブ135の間のインターフェースとして機能することができる。デュアルモダリティの回転接合部での光ビームの結合と分割は、ダイクロイックミラー、ビームスプリッタ、又は分散要素の配置を使用して実現できる。透明な歪み検知シース140を使用してプローブ135を保護してもよいし、管腔構造のヘリカルスキャン中に歪み検知シース140の局所的な湾曲を報告する分子歪みセンサを含んでもよい。構造撮像110及び歪み検知120のモダリティからの光ビーム155は、プローブ135内のダブルクラッドファイバによって送達され、冠動脈などの管腔のシース及び微細構造を調べることができる。DCFベースの機械的スキャンOCT蛍光カテーテルの利点は、プローブ内のダブルクラッドファイバを使用して、同時ローカライズ及び本質的に同時登録されたOCTを、各スキャン位置でルーメン及びプローブのシースからの蛍光から同時に収集できることである。管腔壁から反射した光とシースからの蛍光発光は、光学プローブによって収集され、デュアルモダリティの回転接合部に送信され、後方反射構造(例えばOCT)光は分離されて構造撮像システム110に戻され、分光信号(即ち、歪み検知シース140からの)は、スペクトル分析及び検出のために歪み検知システム120に戻される。結果の構造の(例えばOCT)及び分光のデータはデータ収集システム145によって記録され、これらの信号は分析及び処理されてデータ処理及び記憶ユニット150によって管腔構造の3次元形状が再構成される。
【0028】
図2A~2Dに、側視型マルチモダリティ光学プローブ用に設計されたいくつかの歪み検知シースの例示的な概略図を示す。
図2Aは、歪み検知分子を外部シース壁に配置することができる歪み検知シース200の実施形態を説明している。デュアルモダリティ光プローブは、構造撮像システム110からの広帯域光と歪み検知システム120からの励起光を送受信する光ファイバ202を含む。光ファイバの遠位端は、OCT及び分光信号を集束及び収集する光学系204で終端される。本実施形態で使用される好ましい光ファイバ202は、ダブルクラッドファイバ(DCF)である。ダブルクラッドファイバの構造には、内側と外側のクラッドに囲まれた中心コアが組み込まれている。コアはシングルモード光を透過するように設計されており、内側のクラッドはマルチモードファイバと同様の光を収集する。構造撮像ライト(例えばOCT)はシングルモードコアで送受信され、励起光はコア又はDCFの内側クラッドの何れかに集束し、戻り放射光は内側クラッドで収集される。ダブルクラッドファイバ202は、トルク伝達ドライブシャフト206にねじ込まれ、次いで、このアセンブリは、管腔構造の形状に適合する薄壁の可撓性シース208にねじ込まれる。
図2Aの実施形態では、分子歪みセンサ210は、管腔構造(例えば、組織)と直接接触するシース208の外部に適用される。シース208及び外部コーティング/歪みセンサ210の材料は、広帯域OCT光及び分光信号に対して光学的に透明になるように選択される。好ましい分光的実施形態(例えば蛍光)では、励起光は遠位光学系204により集束され、分子歪みセンサを励起し、遠位端光学系によって収集され光ファイバ202により回転接合部130に導かれる赤方偏移光を放出し、これが、光信号を分離しそれらをそれぞれの構造光学110及び歪み検知120システムに送信する。
【0029】
図2Bは、分子センサ210がシース208の内壁に適用される歪み検知光学プローブ220の別の実施形態の例示的な概略図を示す。これは、分子センサがシース材料によって管腔表面から隔離されており、それにより管腔(例えば組織及び体液)との直接接触を回避するので、好ましい実施形態である。理想的な場合、分子センサを含むコーティングは薄く、ドライブシャフトの自由で均一な回転に対応する。
図2Cは、シース押出時に分子センサがシース材料に埋め込まれている歪み検知光学プローブ230のさらに別の実施形態の例示的な概略図を示している。分子センサを含まない第2のポリマは、内側の歪み検知ポリマの外側に共押出しされてセンサへの直接の露出から管腔(組織や体液など)を隔離する。
図2Dを参照すると、開示された実施形態(
図2A~2C、
図3、及び
図4A~4Bのものを含む)は、ガイドワイヤ経路(ガイドワイヤの出入り用の開口部254及び256)を含むガイドワイヤ供給252を含み得る。加えて、ガイドワイヤ供給252は、例えば蛍光透視法を使用して被験者内のプローブ200の位置を特定するのを助ける放射線不透過性先端マーカ258を含むことができる。さらに、各実施形態(
図2A~2C、
図3、及び
図4A~4Bのものを含む)は、
図2Dに示すように放射線不透過性レンズマーカ212を任意選択に含んで、例えば、蛍光透視法を使用して被験者内のプローブ200の位置を特定するのに役立つ。
【0030】
歪み検知光学プローブ300の第2の例示的な実施形態が
図3に示されている。この実施形態では、より小さい直径の第2の内側シース302は、歪み検知分子210でコーティングされ、次いで、大きい外側シース208の内側にねじ込むことができる。次いで、光ファイバ/駆動シャフトアセンブリは、より小さな直径のシース302にねじ込まれる。この実施形態は、外部シース208の特性を変えないという利点を有する。
【0031】
管腔構造の3D形状の正確な再構成は、歪み検知シースを介したドライブシャフトの均一な回転とプルバックに依存する。非一様回転歪み(NURD)は、3D再構成に悪影響を与える可能性がある。NURD又はねじれ誘起蛍光の補正は、両方のモダリティで検出できる基準マーカをシースに追加することで識別及び補正ができる。歪み検知シースの第3の例示的な実施形態では、歪み検知分子は
図4A及び
図4Bに示されるようにシースに埋め込まれた細い糸又はワイヤ402に組み込まれ得る。
図4Aは側断面図を示し、
図4Bは光プローブ400の断面端面図を示す。この特定の実施形態では、4本の検知ワイヤ402が、互いに半径方向90°の位置でシース内に埋め込まれている。好ましい実施形態では、押出プロセス中に、歪み検知分子でコーティングされたワイヤをシース210に埋め込むことができる。別の実施形態では、歪み検知ワイヤ402は、シース210の外部に取り付けられ、ポリマオーバーシース又は硬化性ポリマ材料の薄い塗布によって所定の位置に封止され得る。様々な実施形態において、4本より少ない又は4本より多いワイヤが使用されてもよい。通常、ワイヤはシースの外周に等間隔で配置される。
【0032】
分子歪みセンサは、ホスト材料が圧縮又は伸張を受ける際の歪みの変化に応じて、電子構造が予測どおりに変化する分子又は高分子である。例示的な歪み検知材料は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)である。SWCNTは、完全に共有結合した炭素原子で構成されるナノスケールチューブのクラスである。各SWCNTには、SWCNTのチューブ直径とロールアップ角度を指定する一対の整数(n,m)によって特徴付けられる明確に定義された分子構造がある。SWCNTの物理構造は、その電子構造を制御し、SWCNTが受けるスペクトル遷移を制御する。個々のSWCNTの軸方向の伸長と圧縮により、電子構造に予測可能な変化が生じ、これにより、分子構造が体系的に摂動し、スペクトル遷移がシフトして、ナノチューブが歪んでいるときに蛍光、吸収、又はラマンスペクトルの周波数(波長)がシフトすることになる。文献では、異なる弾性率(n-m,3)のSWCNTの場合、歪誘起スペクトルシフトの方向が反対方向に発生することが立証されている。例えば、いくつかの実施形態では、蛍光スペクトルのピーク発光波長シフトは、0.1%という低い軸歪みを検出するのに十分大きくなる可能性がある。
【0033】
例示的な実施形態200では、
図2Aに示すように、SWCNTを含むコーティング210を冠動脈カテーテルシース208の外側に塗布することができる。歪み検知コーティングは、CoMoCATプロセスで成長させた単層ナノチューブを、ポリ(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)(PFO)及びトルエンの混合物に分散させることで調製した。溶液を1W/mlで30分間チップ超音波処理し、その後30分間遠心分離した。分離されたナノチューブを含む透明な上清を除去した。文献によると、ナノチューブの溶解度はほとんど全ての溶媒で低い。PFOとSWCNT間の強力な非共有相互作用により、カイラリティ(7,5)及び(7,6)を分離する単一巻きナノチューブが得られた。遠心分離後、濃縮された(7,5)及び(7,6)ナノチューブを含む透明な溶液を、市販の油性ポリウレタン(Minwax FastDrying SemiGlossポリウレタン)と1:1の比率で混合した。冠動脈カテーテルシース208の外側をSWCNTポリマ溶液に浸漬コーティングし硬化させた。蛍光信号を最適化するために、長さ10cmの遠位セグメントに沿って複数の層を堆積させることができる。この例示的なコーティングでは、36μmの平均コーティング厚さはわずか±6μmだけ変化した。コーティングが薄いため、標準的な重力による撓み試験で評価されるようにカテーテルシースの柔軟性は5%以内に維持された。
【0034】
個別に分散した(7,5)及び(7,6)ナノチューブの高濃度を達成する別の例示的な方法では、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の水溶液にナノチューブを懸濁し超音波処理を使用することにより、単一カイラリティの分離及び精製を実現できる。超音波処理後、SWCNT懸濁液を超遠心分離して凝集物を除去し、SWCNT溶液を多段ゲルクロマトグラフィにかけることができる。この方法では、溶液中のナノチューブの濃度は約1μg/mlになる可能性があり、これは本明細書で開示される例に使用されるものよりも数桁大きい。濃縮されたナノチューブ溶液は、実施形態200、220、及び230による硬化性ポリマコーティングと混合されるか、実施形態300及び400による押出し前にポリマ原料に混合される。
【0035】
図5に、外側面がSWCNT200で被覆された真っ直ぐで歪みのない冠動脈カテーテルから取得された例示的な発光スペクトルが示されている。660nmの蛍光励起光は、ダブルクラッドファイバ201の光学コアに結合され、デュアルクラッドファイバの端に配置された角度研磨ボールレンズ202によってSWCNTでコーティングされたシースに焦点を合わせた。ナノチューブからの蛍光発光は、同じダブルクラッドファイバ201の内側クラッドを通して収集され、線形InGaAsアレイ検出器を備えた光学分光計に集束された。発光スペクトルは950~1170nmの範囲で記録され、それぞれ(7,5)及び(7,6)ナノチューブからの発光に起因する約1050nm(515)及び1135nm(520)で2つの顕著なピークを示し、ここで各ピークのフィット部分は水平の目盛りで区切られている。ピーク放射波長は、対数正規分布510、ガウス、又は他の既知の線形関数などのスペクトル線形に個々の放射ピークを適合させることにより、正確に決定することができる。取得したライン形状を表すには、単一又は複数の関数が必要になる場合がある。多項式フィッティングを使用してピーク発光波長を決定することもできる。スペクトルフィッティングは小さな歪みを決定するのにサブピクセルの精度で発光波長を決定できる。
【0036】
図6に、歪み検知シースから取得された例示的な発光スペクトルが示される。スペクトルは、曲げの平面(0°及び180°)及び曲げの平面に直交する(90°及び270°)に存在する励起ビームに対応して90°毎に取得された(
図7を参照)。内側の曲率(0°)で、シース(ナノチューブ)に圧縮歪みが発生し、その結果、(7,5)及び(7,6)ナノチューブからのスペクトル放射がそれぞれ短い波長(青シフト)及び長い波長(赤シフト)にシフトした。外側の曲率(180°)では、シースに引張歪みがかかっていたため、(7,5)及び(7,6)ナノチューブのスペクトル放射が反対方向にシフトした。直交する面外角度(90°及び270°)で取得したスペクトルはほぼ同一であり、発光波長に目に見えるシフトはなかった。
【0037】
プローブは、明確に定義された曲げ半径に従ったシースをヘリカルにスキャンしたため、歪みに敏感なシースからの蛍光スペクトルが取得された。放出スペクトルは、
図8A及び
図8Cの例示的なデータに示されるように、線形関数にスペクトル的に適合してプルバック位置及び回転角の関数としてピーク放出波長を決定した。フレーム番号(水平軸に表示)は、プルバック距離と回転角度の関数である。
図8A及び8Bにそれぞれ、カイラリティ(7,5)及び(7,6)の抽出された発光波長が示され、
図8Cにそれらの差(7,6)-(7,5)が示されている。最初の200フレームでは、冠動脈カテーテルは比較的真っ直ぐでスキャン中の放射波長の回転変動はほとんどない。ほぼフレーム400で、カテーテルは12mmの一定の曲げ半径を経験し、そのピーク波長の極度サイクルが最大引張歪みと圧縮歪みと間の周期関数を生成する。曲率に依存する波長は複数のサイクルを平均することで得られる。
【0038】
スペクトルのシフトをナノチューブのカイラリティ又は複数のナノチューブのカイラリティに関連付ける較正曲線は、曲率の関数として圧縮又は引張歪みの何れかの平均発光波長を抽出することにより作成できる。カイラリティの数学的組合せは、歪みに起因するスペクトルシフトが同じ応力下で反対方向に作用する可能性があるため、歪み感度を増加させる可能性があることに注意が必要であり、(7,6)及び(7,5)の放射波長間差に対して観察される。
図12B(以下で説明)は、曲率半径に対するスペクトルシフト(ピーク分離)をマッピングする較正曲線を示す。
図12Bに示し以下でさらに説明するように、この関係は、カテーテルの3D形状を検出するのに必要な曲率の範囲に亘って線形かつ敏感である。
【0039】
図9は、2つのサブユニットで構成される3次元形状検知システムの例示的な実施形態の概略図であり、(1)組織の微細構造画像を取得する光周波数領域撮影(OFDI)エンジン、及び(2)形状検知機能を提供する蛍光エンジンの2つである。OFDIシステムは、AXSUN TechnologiesのSwept Source Engineを中心に構築されている。OCT Axsunエンジンには、100kHzの掃引レーザに加えて、イーサネット(登録商標)インターフェイスを使用したOFDIデータの取得に最適化された高速データ取得電子回路が含まれている。Axsunレーザからの掃引波長光は、信号の90%をサンプルアームに、10%をリファレンスアームに導くシングルモード(SM)ファイバベースのビームスプリッタ(BS1)に結合される。サーキュレータ(C)を通過した後、サンプルアームの光は、波長分割マルチプレクサ(WDM)ユニットが使用されて蛍光励起ビームと結合される。励起及びOCTレーザビームを組み合わせたものは、カスタム製造のロータリジャンクションに取り付けられたダブルクラッド(DC)ファイバカプラー(FC)に結合される。DCファイバカテーテルがロータリージャンクション(RJ)の回転部分に取り付けられる。カテーテルの最後に、ボールレンズが加工、研磨されて、光信号をサンプルに向ける。特定の一実施形態では、柔軟な透明シース内にカスタムファイバカテーテルが配置される。特定の実施形態では、歪み検知のためにシースの外側がカーボンナノチューブでコーティングされているが、他の実施形態では、歪み検知材料は異なる場所を有してもよい(例えば、シース材料の中又はシースの内側に埋め込まれる)。撮影中、カテーテルを回転させ、回転するカテーテルをシース内に引き戻してヘリカルスキャンを生成する。
【0040】
OFDI撮影の場合、サンプル表面と基準表面からの後方反射光は、対応するサーキュレータ(C)によって、これらの信号が互いに干渉するビームスプリッタ(BS2)に向けられる。ビームスプリッタBS2の後に偏光ビームスプリッタ(PBS1、PBS2)と変更コントローラ(PC)を使用すると、回転するカテーテルの中の回転中の光ファイバによって誘導される偏光変化によって生じる可能性のある画像アーチファクトを回避する偏光多様性検出スキームの実装が可能になる。偏光維持(PM)ファイバからの光は、4つのダイオードレシーバで構成される2つのバランス型検出器を使用して検出される。フォトダイオードからのデジタル化された信号は、波長再マッピングとフーリエ変換を含むフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ボードで処理され、深さ分解OFDI信号(Aライン)が取得される。光ビームが回転するたびに収集されたAラインは、AxsunエンジンによってJPEG形式に圧縮され、イーサネット(登録商標)ケーブルを介してワークステーションに転送され、リアルタイムの円周表示とデータ保存が行われる。
【0041】
歪み検知側では、カーボンナノチューブからの蛍光信号がカテーテルのDCファイバの被覆を通して収集される。RJを通過した後、この信号はファイバカプラによって分光計に送信される。一実施形態では、分光計は、入力スリット、誘導光学系、格子、又は過冷却低ノイズ線形応答カメラを含む。分光計からの信号がシース内の歪みを決定するのに使用される。
【0042】
図10は、例示的な実施形態の1つを使用した3D再構成のアルゴリズムを説明している。種々の実施形態では、完全な3D再構成は、2つのチャネルからの入力、即ち構造光学(例えば、OFDI)撮影チャネルと歪みセンシングチャネルからの入力に基づく。先ず、画像解析アルゴリズムを使用して動脈壁に対するカテーテルの位置を手動、半自動、又は自動で決定し、2つの異なる平面、x-z及びy-zにおける2つの異なる場所Z1及びZ2で位置を検出する。これらの値を使用して、動脈壁に対するカテーテルの曲率を計算する。さらに、カーボンナノチューブからの蛍光データを使用して、OFDIデータから計算された曲率と同じ平面(x-z及びy-z)で歪みが計算され、測定された歪み値はキャリブレーションデータを使用して曲率に変換される。このプロセスにより、カテーテル自体の湾曲が2つの平面になる。異なる直交平面での動脈の実際の曲率は、これらの平面でのカテーテルの曲率とカテーテルに対する動脈の曲率を加算することで計算できる。動脈の曲率が2つの平面でわかると、直交平面で2D形状が計算される。3D形状は、市販のIVUSAngioツールなどのソフトウェアを使用して2つの直交面の形状から生成できる。
【0043】
これらのデータからESSを測定するプロセスは非常に時間がかかり、独自のカテーテル検査室プロセスと生物医学工学の専門知識が必要となる。動脈を3次元で正確に再構成できるように、バイプレーン/アイソセントリック構成を使用して血管造影図を取得する必要があり、このことはほとんどのPCIラボで実用的でない。3Dの再構成は面倒であり、というのは動脈の中心線は血管造影図から得られなければならず、OCT又はIVUSルーメンをセグメント化し、ルーメンの重心を中心線に登録する必要があるからである。本開示は、動脈管腔の3D構造を自動的かつリアルタイムで決定し、詳細な局所ESSパターンを計算し、それらをOCTによる解剖学的特性評価と共同して表示することのできる単一のデバイスを提供することにより、ESS計算のリソースと時間の制約を回避する方法と装置を提供する。ESS計算の障壁を取り除き、カテーテル測定ラボでリアルタイム又はほぼリアルタイムでこの測定値を取得する実用的な手段を提供することにより、この進歩によって初めて、ESSを使用して冠動脈干渉を誘導し看護拠点での最適なCAD管理状態を提供できるようになる。
【0044】
これらのデータを処理して、カテーテルの3D中心線を自動的に決定できる。自動化された管腔セグメンテーションと組み合わせることで、この技術によって管腔の輪郭をカテーテルの中心線に迅速にマッピングして冠動脈の解剖学的に正しい3D表現を再構成できる。
【0045】
図11は、RT-ESSシステム及びカテーテルの実施形態の高レベル概略図を示している。いくつかの実施形態では、カテーテルは、既存の臨床2.6F冠動脈内DCFベースのOCT-NIRFカテーテルと同一であってもよく、特定の実施形態では、外側シースの内側面は蛍光SWCNTの薄層で機能化されてもよく、それに対して放出スペクトルは歪みを受けるとシフトする。OCT(1310±50nm)及びSWCNT蛍光励起光(660nm)は、マルチモダリティカテーテル内のDCFのコアを透過できる。X線撮影ガイダンスの下で、カテーテルは、その撮影チップが標的冠動脈位置の遠位に位置するまでガイドカテーテルを通してガイドワイヤ上を前進し得る。非閉塞性の放射線造影剤フラッシュをガイドカテーテルから注入して血液を動脈の撮影フィールドから追い出すことができる。次に、カテーテルの遠位先端の集束光学系からの光を、高速DCF回転接合部を介してヘリカルにスキャンし(一実施形態では、回転速度は800kHzであり、並進速度は10~20cm/sの範囲である)、リアルタイムECGと同期して拡張期へゲートされ得る。動脈壁からのOCT光はDCFのコアを通って戻る。カテーテルのシース全体からのNIR SWCNT蛍光(1000~1200nm)は、DCFのより大きな内部クラッドを通して同時に収集できる。OCTと蛍光は、RT-ESSコンソール内で分離され、個別に検出及びデジタル化される。OCT画像は、各断面の内腔を抽出するのに自動的にセグメント化される。SWCNT蛍光スペクトルのピークシフトの自動処理により、カテーテルの3D中心線が決定される。次に、本質的に同時登録されたカテーテルの中心線にルーメンを配置することにより、解剖学的に正しい3D動脈モデルが再構成される。動脈特有の流れを計算するために、既知の量の造影剤をガイドカテーテルから注入し、別のOCTスキャンを取得できる。ボーラスのリーディングエッジとトレーリングエッジのOCT画像間の時間を使用して血流を推定できる。血液粘度は、患者のヘマトクリット(HCT)から決定できる。3D動脈モデル、血流、及び血液粘度は、高度に最適化された並列CFDシミュレーションに入力でき、その出力によってESSマップが提供され得る。
【0046】
特定の実施形態では、OCTは血管内解剖学的画像化技術として採用されるが、何故ならそれがプラークの形態及びカテーテル検査室でのステント展開の妥当性を評価するための標準的な画像化技術であるからである。さらに、その高解像度とコントラストによって最も正確なジオメトリと詳細なESSマップを提供できる。OCT画像は視野から血液を除去する非閉塞性の放射線造影フラッシュで取得されるので、このような画像は自動分析にも非常に適している。最近の研究では、OCTのプラークの広がりと自由壁アークの測定値は、プラーク負荷のIVUSの測定値と高い相関関係があることが示されている。
【0047】
歪みに敏感なシース(上記のようにSWCNTをシースに適用することにより作成された)が結合されたカテーテルの蛍光スペクトルをさまざまな曲率で測定して、
図12A~
図12Bに示すように曲率とSWCNT蛍光ピーク分離の関係が決定された。蛍光励起光(660nm)をカテーテルのDCFコアに結合し、コーティングされたシースにファイバの端にある角度研磨ボールレンズによって焦点を合わせた。ナノチューブからの蛍光発光は、DCFの内側クラッドを通して収集され、分光蛍光計によって検出された。
図12A(実線)は、直線カテーテル上の(7,5)及び(7,6)SWCNTコーティングの蛍光スペクトルを示す。それぞれ約1050nmと1140nmで2つのNIR発光ピークを示す。次に、カテーテルを曲げて、その光学系をシースの内側湾曲からの曲げで面内蛍光を収集するように向けた。この位置で、ナノチューブは圧縮歪みを受け蛍光ピークが広がりスペクトル的に互いに離れるようになった(
図12A、点線)。引張歪みに対して反対のシフトが発生した(表示なし)。(7,5)及び(7,6)ピーク分離は、個々のピークをガウス線形関数でフィッティングすることにより、シースの曲率を変化させる関数として測定された。
図12Bに示されるように、この関係は、カテーテルの3D形状を検出するために必要な曲率の範囲に亘って線形かつ敏感であった。このデータは、カーボンナノチューブ蛍光を使用してRT-ESSカテーテルの曲率を検出できることを示している。
【0048】
SWCNTカテーテルベースの形状センシングと3D動脈再構成
冠動脈の3D再構成へのSWCNTカテーテルベースの形状センシングの原理をテストするのに、DCFロータリジャンクションを介して前述のカテーテルをOCT-NIRFシステムに接続しカスタム波長分離光学系とNIR蛍光スペクトル検出を追加して修正した。次に、カテーテルを冠動脈内腔のファントムに挿入し、ヒトのデータセットからの内腔中心線を使用して3D印刷した(
図13A)。カテーテルの内部光学系は、ファントムのルーメンに沿ってヘリカルにスキャンされ(1mm/sプルバック及び1Hz回転)、全ての角度(θ)及び側面位置(z)でカテーテルのシースからOCT Aラインと蛍光スペクトルを同時に取得した。OCTデータセットは、ルーメンをセグメント化することにより処理された。蛍光スペクトルを適合させピーク分離を使用して、各θ-zスキャン位置で曲率マップを作成した。修正されたFrenet-Serret方程式を解くことにより、カテーテルの曲率マップを3Dカテーテル中心線に変換した。続いて、各フレームのOCTルーメンをカテーテルの中心線に重ね合わせ、3Dメッシュに変換してレンダリングした(
図13B)。SWCNTカテーテル(
図13B)を使用して測定されたファントム動脈の内腔の3D中心線は、0.84のピアソン相関係数(PCC)でファントムの既知の3D中心線とほぼ一致した。
図13Cは、X、Y、及びZ軸に対する3D再構成の中心線を示している。このデータは、OCT-NIRFとSWCNTカテーテルを使用して、冠動脈の3D形状を自動的かつ正確に測定できることを示している。
【0049】
SWCNT蛍光効率
カテーテルの形状を回復するために、臨床RT-ESSシステムの実施形態では、カテーテルの光学系の円周スキャンごとに少なくとも8つのスペクトルを取得する必要がある場合がある。800Hzのフレームレートを想定すると、スペクトルは約6.5kHz(150μs積分時間)でデジタル化される。これは、高速撮影スペクトログラフを使用することで容易になる。比較的粗く低濃度のSWCNT製剤を使用すると、シースの10mWの光パワーで100msの積分時間で約2000カウントの適切な蛍光信号強度が達成された。SNR分析を適用し50mWの安全な励起電力を想定すると、様々な実施形態で、より速い取得速度、以降に説明するようにナノチューブ密度及び整列を増加することによって得られる場合のあるファクタを促進するのに、約100倍高いSWCNT蛍光強度が必要になる場合がある。これらの結果は、RT-ESS取得率でカテーテルの形状を測定するために必要なSWCNT蛍光強度を達成する可能性を示している。
【0050】
本明細書に開示されるデータは、SWCNT機能化機械走査OCTカテーテルが正確な3D冠動脈モデルを作成できることを実証しているが、様々な実施形態において、ヒトでの使用に適した改善されたデバイスが提供され得る。一実施形態では、カテーテルが閉じた遠位先端を含む場合には難しいかもしれないが、シースの内側にナノチューブをコーティングしてSWCNTを体液から保護することができる。他の実施形態では、ナノチューブは、上記の例で使用されるよりも高い濃度でコーティングされてもよく、ナノチューブは、蛍光特性を維持するために分散させることができるし、また、ナノチューブをカテーテルの軸に沿って整列させて、発光強度と歪み感度を最適化できる。さらなる実施形態では、コーティングは、回転するドライブシャフトによって影響を受けないように薄く厳密に許容され堅牢であってもよい。
【0051】
様々な実施形態において、RT-ESSコンソールは、1)高速OCT画像の取得、2)SWCNT蛍光スペクトルの検出とデジタル化、3)これらの信号を迅速に処理してのESSの計算、のうちの1つ以上が可能である。OCTデータを取得してからESSに到達するまでの目標時間は1分(最適)から3分(最小)であり、いずれもカテーテル検査室での処置中に完了することができる十分に短い時間である。
図14は、RT-ESSコンソールの実施形態の概略図を示す。
【0052】
OCT光は、50%のデューティサイクルで200kHzのAラインレートで約100nmの帯域幅を掃引するMEMSベースのファブリペロー空洞を使用する波長調整レーザによって提供され得る。800Hz(512 Aライン/画像)で断面を取得するには、ファラデーミラーで終端された光ファイバ遅延ラインを使用してレーザをバッファリング(2x)することにより、Aライン周波数を400kHzに2倍にできる。バッファ光増幅器を使用して出力パワーを正規化できる。OCT干渉計は、コンピュータ制御の基準アーム光路長を備えた標準的なサーキュレータベースのマッハツェンダ構成を使用できる。660nmSWCNT励起光は、WDMを介してOCTサンプルアーム光と組み合わせることができ、その後、電力結合器を介して両方をDCFのコアに結合できる。
【0053】
DCFの内側クラッドを介して戻るシースからの蛍光は、パワーコンバイナを介して、高速NIRF(6000スペクトル/秒)InGaAs撮影スペクトログラフを照らすMMFに迂回されてもよい。OCTスペクトル干渉信号は、デュアルバランス偏光多様性検出ユニットを使用して検出できる。検出器の出力は12ビットでデジタル化され、レーザによって提供される2倍のkクロックによってサンプリングされる。干渉OCTデータはGPUに転送され、OCT画像に変換、処理、表示され、高速ソリッドステートドライブ(SSD)に保存される。
【0054】
様々な実施形態では、マルチモダリティDCFベースのデバイスで使用されるような回転接合部が使用でき、その使用が臨床的に実証されている。OCTデータセットのモーションアーティファクトを回避するために、画像の取得とカテーテルの回転速度を上げて、カテーテルと動脈が静止している単一の拡張期サイクル中にプルバック全体を達成できるようにする。カテーテルのヘリカルスキャンの開始は、リアルタイムECG記録の拡張期トリガに同期させ得る。最大心拍数を100bpmと想定し、拡張期が心周期の約50%であるとすると、平均5cmのプルバックには約0.3秒かかる。画像間隔が200μmの場合、250秒の画像を0.3秒で撮影するのに、約800Hzの回転速度を必要とする。
【0055】
取得したスペクトルをガウス関数に適合させて、(7,5)及び(7,6)SWCNT蛍光ピーク分離を決定でき、それは各θ-zスキャン位置で曲率に変換できる。中心線は、3Dカテーテルの経路を記述するFrenet―Serret方程式を解くことによって計算できる。
【0056】
従って、様々な実施形態において、本発明は、管腔サンプルの形状を決定するための装置を含む。この装置は歪み検知シース内に配置されたカテーテルを含む。歪み検知シースは歪み検知分子と関連しているため、歪み検知シースの形状の変化は分光学的に検出できるシースの歪みにつながる。カテーテル/シースの組合せは動脈などの管腔構造に挿入することができて、動脈の形状はシースに沿った歪みの差を測定することにより決定される。特に、カテーテルに関連付けられたレンズは、シースの内側で回転させられ同時に平行移動されて(例えば、プルバックを使用して)、ヘリカルの移動を生成し得る。レンズが(例えばヘリカルに)移動している間、シースからの歪みを示すデータ(例えば、分子分光データから)を収集し、管腔サンプルの3D形状が決定されるために使用できる構造情報(例えばOCT)も示してもよい。シースからの分光データを構造情報と組み合わせて、管腔サンプルの全体的な形状を決定でき、基本的に、管腔サンプルの中心軸のワイヤフレームモデルを作成する。
【0057】
シースに関連付けられた歪み検知分子は、歪みの変化に応じて検出可能なスペクトルシフトを有することに基づいて選択される。従って、特定の実施形態では、歪み検知シースは、シースに関連付けられたナノチューブ(例えば、単層カーボンナノチューブ、SWCNT)を有し、ナノチューブは歪みの変化の結果としてスペクトルシフトを受ける。
【0058】
歪み検知分子のスペクトルシフトを検出するために、カテーテルにはその端に取り付けられレンズ(例えば、ボールレンズ)を有し、レンズは、歪み検知シース内で回転及び並進するように構成される。レンズの回転を容易にするために、いくつかの実施形態のカテーテルは、回転接合部を使用して構造光学システム及び分子分光システムに光学的に結合される。レンズは、カテーテルの長軸に対して角度(例えば、直角)で光を透過するように構成されているので、シースの側壁及びシースが挿入された管腔構造から光が放出及び収集される。
【0059】
レンズがシースを回転して並進すると、レンズから光が放射されレンズによって収集されて、歪みを決定し構造情報を決定するためのデータを収集する。分子分光システムからの光はレンズから放出され、シースに関連付けられた歪み検知分子と相互作用し、シースから戻った光(例えば、蛍光の形で)はレンズによって収集される。
【0060】
戻った光は、歪みの変化を示すスペクトルシフトを識別するのに分光分析される。歪みはサンプルの軸に沿った2つの異なる位置(Z1及びZ2、例えば
図10を参照)で決定され、例えばx―z平面及びy―z平面の各位置で歪みを決定することができる。この情報から、カテーテルとシースの局所的な曲率を決定できる(キャリブレーション情報を参照して)。分子分光システムは、蛍光分光法、ラマン分光法、又は吸収分光法に基づいてもよい。
【0061】
構造光学システムからの光(例えばOCT)は、レンズ/カテーテルがシースを介して(例えば、ヘリカルに)移動するときにレンズからも放出される。サンプルから戻った光は、レンズによって収集され、構造光学システムに向けられる。戻った光を使用して、例えば各位置Z1及びZ2のx―z平面及びy―z平面におけるカテーテルの位置が決定される。これから、カテーテルに対する管腔構造の局所的な曲率を決定することができる(カテーテルが管腔構造の輪郭に正確に従わない程度まで)。
【0062】
カテーテルの操作及び光学データ収集は、1つ又は複数のコントローラ、例えばそれぞれが1つ又は複数のプロセッサ/マイクロプロセッサ、メモリ、ストレージ、入力、出力、及び通信機能を含むコンピュータシステムによって実行される。コントローラは、レンズの回転、レンズからの光の放射と収集、データの処理などの操作を制御する。コントローラは、構造光学システム及び/又は分子分光システムと結合されてもよく、例えば通信していてもよく、これらのシステムに関連する機能を実行する。特に、コントローラは、本明細書に開示される実施形態による動作を実行するためのステップを実行し得る。
【0063】
様々な実施形態では、シースはシース壁を含む。シース壁は、歪み検知分子(例えばSWCNT)に関連付けられてよい。様々な実施形態では、歪み検知分子は、シース壁の内側面、シース壁の外側面上にあってもよく、シース壁内に埋め込まれていてもよい。他の実施形態では、歪み検知分子は、シース壁、例えば外側面に次いで取り付けられる1つ又は複数のワイヤに関連付けられてもよい。特定の実施形態では、歪み検知シースは、別の外側シース内に配置されてもよい(例えば、歪み検知分子が歪み検知シースの外壁に配置されて次いで歪み検知シースを別の外側シース内に配置する場合、これで歪み検知分子を管腔サンプルから遠ざけ、つまり、被験者の体から遠ざける)。
【0064】
図15は、管腔サンプルの形状が決定されるための例示的なプロセス1500のフローチャートである。プロセス1500は、構造撮像システム及び歪み検知システムに光学的に結合されたカテーテルを提供するステップを含む(ステップ1510)。カテーテルはレンズを含んでもよく、カテーテルは歪み検知シース内に配置され、レンズが歪み検知シース内で回転及び並進するようにしてもよい。プロセス1500は、歪み検知シース内の第1の場所で管腔サンプルに対するカテーテルの第1の位置を決定するステップも含むことができる(ステップ1520)。このステップ及び他のステップは、分子分光システム及び構造光学システムに結合されたコントローラによって実行されてもよい。プロセス1500は、歪み検知シース内の第2の場所で管腔サンプルに対するカテーテルの第2の位置を決定するステップ(ステップ1530)をさらに含むことができ、第1の場所は第2の場所とは異なる。プロセス1500はまた、第1の場所で歪み検知シースの第1の歪みを決定するステップ(ステップ1540)と、第2の場所で歪み検知シースの第2の歪みを決定するステップ(ステップ1550)とを含み得る。プロセス1500はまた、カテーテルの第1の位置及び第2の位置の決定に基づいて、第1の場所と第2の場所との間のカテーテルに対する管腔サンプルの第1の局所曲率を決定するステップ(ステップ1560)を含み得る。プロセス1500は、歪み検知シースの第1の歪み及び第2の歪みの決定に基づいて、第1の位置と第2の位置との間のカテーテルの第2の局所曲率を決定するステップ(ステップ1570)をさらに含み得る。プロセス1500は、歪み検知シースの第1の局所曲率及び第2の局所曲率の決定に基づいて、第1の場所と第2の場所との間の管腔サンプルの第3の局所曲率を決定するステップ(ステップ1580)をさらに含み得る。
図15のプロセス1500は本明細書に開示される方法及び装置と共に使用されてもよい。
【0065】
図16は、例示的なプロセス1600のフローチャートである。プロセス1600は、歪み検知システムに光学的に結合されたカテーテルを提供するステップを含む(ステップ1610)。カテーテルはレンズを含んでもよく、カテーテルは歪み検知シース内に配置され、レンズが歪み検知シース内で回転及び並進するようにしてもよい。プロセス1600はまた、歪み検知シース内の第1の場所におけるx-z平面及びy-z平面における歪み検知シースの第1の歪みを決定するステップ(ステップ1620)を含み得る。このステップ及び他のステップは、分子分光システムに結合されたコントローラによって実行されてもよい。プロセス1600は、歪み検知シース内の第2の場所におけるx-z平面及びy-z平面における歪み検知シースの第2の歪みを決定するステップ(ステップ1630)をさらに含むことができ、第1の場所は第2の場所とは異なる。プロセス1600はまた、歪み検知シースの第1の歪み及び第2の歪みを決定することに基づいて、第1の場所と第2の場所との間のカテーテル曲率を決定するステップ(ステップ1640)を含み得る。
図16のプロセス1600は、本明細書で開示される方法及び装置と併せて使用され得る。
【0066】
本発明の範囲から逸脱することなく上述した本発明の特定の実施形態において多数の変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。従って、前述の説明全体は限定的な意味ではなく例示として解釈されるべきである。