(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ラミネーション装置および真空ラミネーションシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2022007518
(22)【出願日】2022-01-21
【審査請求日】2022-01-21
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520378377
【氏名又は名称】毅力科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ELEADTK CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 景南
(72)【発明者】
【氏名】林 盛裕
(72)【発明者】
【氏名】陳 明展
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154012(JP,A)
【文献】特開2005-317821(JP,A)
【文献】特開2011-253845(JP,A)
【文献】特開2011-211055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ラミネーションシステムに適用するラミネーション装置であって、
軸線に沿って窪んだ係合スロットおよび複数の止め部材を含み、複数の径方向切欠き部が前記止め部材の間に形成された筐体と、
前記筐体に取り外し可能に設置され、且つ第1フレームおよび前記第1フレーム上に設置された第1フレキシブルパッドを含む第1フレキシブルパッドモジュールと、
を含み、
前記係合スロットが、開口および前記軸線を取り囲む環状内側壁を含み、
前記止め部材が、前記環状内側壁の前記開口に近い部位に突出し、
前記第1フレームが、環状外側壁および前記環状外側壁に突出した複数の突出部を含み、
前記突出部の大きさが、それぞれ前記径方向切欠き部の大きさよりも小さく、
前記突出部が前記径方向切欠き部と整列している場合、前記第1フレキシブルパッドモジュールが、前記軸線に沿って前記開口を通過して、前記係合スロットに進入するのに適しており、前記第1フレキシブルパッドモジュールが回転可能に構成されることによって、前記突出部が前記径方向切欠き部からずれて前記軸線上で前記止め部材に制限され、前記第1フレキシブルパッドモジュールを前記係合スロット内に留まるラミネーション装置。
【請求項2】
封止部材をさらに含み、
前記筐体が、前記係合スロットに連通する環状溝を含み、
前記封止部材が、前記環状溝に設置され、
前記第1フレキシブルパッドモジュールを前記筐体に組み立てる場合、前記封止部材が、前記第1フレームに選択的に寄りかかる請求項1に記載のラミネーション装置。
【請求項3】
前記筐体が、対向する第1表面、第2表面、および少なくとも1つの気孔を含み、
前記係合スロットが、前記第1表面において窪み、
前記少なくとも1つの気孔が、前記第2表面において露出し、且つ前記環状溝に連通する請求項2に記載のラミネーション装置。
【請求項4】
前記筐体が、主流路を含み、
前記主流路が、前記第2表面において露出し、且つ前記係合スロットに連通し、
前記少なくとも1つの気孔が、複数の気孔を含み、
前記複数の気孔が、前記主流路に相対して対称的に配置された請求項3に記載のラミネーション装置。
【請求項5】
前記筐体が、制限部材を含み、
前記制限部材の少なくとも一部が、前記止め部材のうちの1つと前記係合スロットのスロットベースの間に位置する請求項1~4のいずれか1項に記載のラミネーション装置。
【請求項6】
前記制限部材が、前記止め部材を貫通して前記スロットベースに向かって延伸し、前記止め部材または前記筐体の前記スロットベースに近い部位にネジ接続された請求項5に記載のラミネーション装置。
【請求項7】
前記止め部材が、前記環状内側壁において等間隔に突出するため、前記径方向切欠き部の大きさが同じであり、
前記突出部が、前記環状外側壁において等間隔に突出し、且つ前記突出部の大きさが同じである請求項1~6のいずれか1項に記載のラミネーション装置。
【請求項8】
前記第1フレキシブルパッドが、前記第1フレームに取り外し可能に設置され、あるいは前記第1フレキシブルパッドが、前記第1フレームに固設された請求項1~7のいずれか1項に記載のラミネーション装置。
【請求項9】
前記筐体に取り外し可能に設置された第2フレキシブルパッドモジュールをさらに含み、
前記第2フレキシブルパッドモジュールが、第2フレームおよび前記第2フレーム上に固定された第2フレキシブルパッドを含み、且つ
前記第2フレームの内径が、前記第1フレームの内径と異なる請求項1~8のいずれか1項に記載のラミネーション装置。
【請求項10】
基板上に薄膜を固定するのに適した真空ラミネーションシステムであって、
前記基板を支持するのに適した支持装置と、
請求項1~9のいずれか1項に記載のラミネーション装置と、
を含み、
前記支持装置が前記ラミネーション装置の下方に配置され、且つ
前記支持装置と前記ラミネーション装置が相対移動するのに適しており、
前記薄膜が前記基板と前記ラミネーション装置の間に位置し、
前記第1フレキシブルパッドモジュールを前記筐体に設置した場合、気体が前記係合スロットに充填されて前記第1フレキシブルパッドを膨張させることにより、前記薄膜を押し付けて前記基板に貼り合わせる真空ラミネーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネーション装置およびラミネーションシステムに関するものであり、特に、真空ラミネーションシステムに適用するラミネーション装置および真空ラミネーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空ラミネーションシステムは、基板(例えば、ウェハ)上に薄膜を圧着することによって、基板を保護する作用を達成するのに適している。真空ラミネーションシステムは、集積回路(integrated circuit, IC)のパッケージ、フレキシブルプリント基板(flexible printed circuit board, FPCB)、および発光ダイオード(light-emitting diode, LED)に使用されることが多い。
【0003】
真空ラミネーションシステムは、膨張可能なパッドを有する圧着機構を含む。真空ラミネーションプロセスにおいて、真空ラミネーションシステムは、管路を通して圧着機構内に気体を充填することにより、パッドを膨張させて薄膜に接触させ、基板上に薄膜を圧着するまでパッドを膨張し続ける。
【0004】
真空ラミネーションシステムにおいて使用するパッドの大きさは、異なる基板の大きさ(例えば、8インチのウェハまたは12インチのウェハ)に基づいて交換しなければならない。パッドは消耗品でもあるため、破損時には交換が必要である。周知のパッドは、ネジまたはその他の接合方法で圧着機構に固定するが、交換時に時間がかかるだけでなく、交換操作を実行するために2人以上の労働力を必要とする。したがって、パッドの交換操作の時間および効率をいかにして改善するかが、現在解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、迅速に取り外すことのできるフレキシブルパッドモジュールを有することにより、交換操作に必要な時間および効率を改善する目的を達成することのできるラミネーション装置および真空ラミネーションシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、真空ラミネーションシステムに適用するラミネーション装置を提供する。ラミネーション装置は、筐体および第1フレキシブルパッドモジュールを含む。筐体は、軸線に沿って窪んだ係合スロットおよび複数の止め部材を含む。係合スロットは、開口および軸線を取り囲む環状内側壁を含み、止め部材は、環状内側壁の開口に近い部位に突出し、且つ止め部材の間に複数の径方向切欠き部が形成される。第1フレキシブルパッドモジュールは、筐体に取り外し可能に設置される。第1フレキシブルパッドモジュールは、第1フレームおよび第1フレーム上に設置された第1フレキシブルパッドを含む。第1フレームは、環状外側壁および環状外側壁に突出した複数の突出部を含み、これらの突出部の大きさは、それぞれこれらの筐体の径方向切欠き部の大きさよりも小さい。突出部が筐体の径方向切欠き部と整列している場合、第1フレキシブルパッドモジュールは、軸線に沿って開口を通過し、係合スロットに進入するのに適しており、第1フレキシブルパッドモジュールが回転可能に構成されることによって、突出部が筐体の径方向切欠き部からずれて、軸線上で止め部材に制限されるため、第1フレキシブルパッドモジュールを係合スロット内に留まることができる。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、ラミネーション装置は、さらに、封止部材を含み、筐体は、係合スロットに連通する環状溝を含み、封止部材は、環状溝に設置される。第1フレキシブルパッドモジュールを筐体に組み立てた場合、封止部材は、第1フレームに選択的に寄りかかることができる。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、筐体は、対向する第1表面、第2表面、および少なくとも1つの気孔を含む。係合スロットは、第1表面において窪み、少なくとも1つの気孔は、第2表面において露出し、且つ環状溝に連通する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、筐体は、主流路を含み、主流路は、第2表面において露出し、且つ係合スロットに連通する。少なくとも1つの気孔は、主流路に相対して対称的に配置された複数の気孔を含む。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、前記筐体は、制限部材を含む。制限部材の少なくとも一部は、止め部材のうちの1つと係合スロットのスロットベースの間に位置する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、制限部材は、止め部材を貫通してスロットベースに向かって延伸し、止め部材または筐体のスロットベースに近い部位にネジ接続される。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、止め部材は、環状内側壁において等間隔に突出するため、径方向切欠き部の大きさは同じである。突出部は、環状外側壁において等間隔に突出し、且つ突出部の大きさは同じである。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、第1フレキシブルパッドは、第1フレームに取り外し可能に設置され、あるいは第1フレキシブルパッドは、第1フレームに固設される。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、さらに、第2フレキシブルパッドモジュールを含む。第2フレキシブルパッドモジュールは、筐体に取り外し可能に設置される。第2フレキシブルパッドモジュールは、第2フレームおよび第2フレーム上に固定された第2フレキシブルパッドを含む。第2フレームの内径は、第1フレームの内径と異なる。
【0015】
本発明は、基板上に薄膜を固定するのに適した真空ラミネーションシステムを提供する。真空ラミネーションシステムは、支持装置およびラミネーション装置を含む。支持装置は、基板を支持するのに適しており、且つラミネーション装置は、上述した実施形態のうちのいずれか1項に記載した通りである。支持装置は、ラミネーション装置の下方に配置され、且つ支持装置とラミネーション装置は、相対移動するのに適している。薄膜は、基板とラミネーション装置の間に位置する。第1フレキシブルパッドモジュールを筐体に設置した場合、気体は係合スロットに充填されて、第1フレキシブルパッドを膨張させることにより、薄膜を押し付けて基板に貼り合わせるのに適している。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明のラミネーション装置は、筐体および第1フレキシブルパッドモジュールを含む。筐体は、軸線に沿って窪んだ係合スロットおよび係合スロットの環状内側壁から突出したこれらの止め部材を含む。これらの止め部材の間にこれらの径方向切欠き部が形成され、且つ係合スロットは、筐体上に開口を形成する。第1フレキシブルパッドモジュールの第1フレームは、これらの突出部を含む。突出部が筐体の径方向切欠き部と整列している場合、第1フレキシブルパッドモジュールは、軸線に沿って開口を通過して、係合スロットに進入するのに適しており、第1フレキシブルパッドモジュールが回転可能に構成されることによって、突出部が筐体の径方向切欠き部からずれて軸線上で止め部材に制限されるため、第1フレキシブルパッドモジュールを係合スロット内に留まることができる。つまり、本発明のラミネーション装置は、第1フレキシブルパッドモジュールを迅速に取り付け、且つ迅速に取り外す機能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る真空ラミネーションシステムの概略図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aの真空ラミネーションシステムが真空ラミネーションプロセスを実行する時の過程を示す概略図である。
【
図1C】
図1Cは、
図1Aの真空ラミネーションシステムが真空ラミネーションプロセスを実行する時の過程を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の1つの実施形態に係るラミネーション装置の立体図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の1つの実施形態に係るラミネーション装置の第1フレキシブルパッドモジュールを筐体に取り付ける過程を示す概略図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の1つの実施形態に係るラミネーション装置の第1フレキシブルパッドモジュールを筐体に取り付ける過程を示す概略図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の1つの実施形態に係る第1フレキシブルパッドモジュールの拡大図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の別の実施形態に係る第2フレキシブルパッドモジュールの拡大図である。
【
図6】
図6は、
図2のラミネーション装置の筐体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【0019】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0020】
本実施形態の図面を参照しながら、本発明をより全面的に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる方法により体現することができるため、本文中で説明した実施形態のみに限定されるべきではない。図面においては、明確に示すため、層および領域の厚さを拡大する。同じまたは類似する参照番号は、同じまたは類似する装置を示すため、以下の各段落において説明を省略する。
【0021】
図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る真空ラミネーションシステムの概略図である。
図1Bおよび
図1Cは、
図1Aの真空ラミネーションシステムが真空ラミネーションプロセスを実行する時の過程を示す概略図である。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、本実施形態の真空ラミネーションシステム50は、ラミネーション装置60および支持装置70を含む。
【0022】
ラミネーション装置60は、第1フレキシブルパッドモジュール100および筐体200を含み、第1フレキシブルパッドモジュール100は、筐体200の中に取り外し可能に設置される。第1フレキシブルパッドモジュール100は、第1フレキシブルパッド102を含む。
【0023】
支持装置70は、ラミネーション装置60の下方に移動可能に配置される。別の実施形態において、ラミネーション装置60は、支持装置70の上方に移動可能に配置されてもよい。支持装置70は、収容空間72を含み、基板74は、収容空間72の中に置かれるのに適している。基板74は、例えば、ウェハであるが、基板74の種類は、ここでは限定しない。薄膜80は、支持装置70とラミネーション装置60の間を通過して、基板74の上方に位置するのに適している。別の実施形態において、薄膜80は、基板74に予め貼り付けるプレラミネートフィルムであってもよい。真空ラミネーションシステム50は、真空ラミネーションプロセスを実行して、ラミネーション装置60により基板74上に薄膜80を固定するのに適している。
【0024】
図1Bおよび
図1Cを参照して、具体的に説明すると、筐体200は、主流路260を含む。真空ラミネーションプロセスの間、基板74を支持する支持装置70とラミネーション装置60は、所定の位置に移動する。外部の吸気器(図示せず)によりラミネーション装置60と支持装置70の間のチャンバを真空にして、チャンバ内部を真空状態にする。
【0025】
図1Cに示すように、気体は、主流路260から充填され、第1フレキシブルパッド102を膨張させるのに適している。第1フレキシブルパッド102は、薄膜80の方向に向かって膨張し、且つ薄膜80を押し付けることにより、基板74上に薄膜80を圧着させる。
【0026】
理解すべきこととして、本実施形態は、単なる例であって、限定するものではない。
図1は、真空ラミネーションシステム50を簡易化した概略図であり、別の実施形態において、真空ラミネーションシステム50は、さらに、加熱装置、変位装置等を含む。
【0027】
本実施形態において、ラミネーション装置60は、特殊な設計を有するため、フレキシブルパッドモジュールを迅速に取り外すことができ、迅速に交換する機能を有する。使用者は、同じ大きさのフレキシブルパッドモジュールを迅速に交換することができ、あるいは異なる大きさの基板74に応じて、対応する大きさのフレキシブルパッドモジュールを迅速に交換することができる。以下、これについて説明する。
【0028】
図2は、本発明の1つの実施形態に係るラミネーション装置の立体図である。
図3は、
図2のラミネーション装置の拡大図である。
図2および
図3を参照すると、筐体200は、対向する第1表面206および第2表面208を含む。筐体200は、軸線210に沿って第1表面206から窪んだ係合スロット220を含む。係合スロット220は、第1表面206に形成された開口222および軸線210を取り囲む環状内側壁224を含む。
【0029】
筐体200は、さらに、環状内側壁224の開口222に近い部位に突出する複数の止め部材228を含み、これらの止め部材228の間に複数の径方向切欠き部232が形成される。
【0030】
また、第1フレキシブルパッドモジュール100は、さらに、第1フレーム104、および第1フレーム104上に設置された第1フレキシブルパッド102を含む。第1フレーム104は、環状外側壁110および環状外側壁110に突出した複数の突出部112を含む。
【0031】
図4Aおよび
図4Bは、本発明の1つの実施形態に係るラミネーション装置の第1フレキシブルパッドモジュールを筐体に取り付ける過程を示す概略図である。筐体200に取り付ける第1フレキシブルパッドモジュール100の突出部112と制限部材204の位置関係を明確に示すため、
図4Aおよび
図4Bの筐体200を二点鎖線で示し、筐体200の一部の構成要素を省略する。
【0032】
図3および
図4Aを参照すると、第1フレキシブルパッドモジュール100を筐体200に組み立てる時、第1フレキシブルパッドモジュール100と筐体200を軸線210に沿って位置を合わせ、第1フレキシブルパッドモジュール100のこれらの突出部112と筐体200のこれらの径方向切欠き部232を一列に並べる。
【0033】
これらの突出部112の大きさは、それぞれこれらの径方向切欠き部232の大きさよりも小さく、且つ第1フレーム104の環状外側壁110の大きさは、開口222の大きさよりも小さいため、第1フレキシブルパッドモジュール100は、軸線210に沿って開口222を通過して、係合スロット220の中に進入することができる。この時、第1フレキシブルパッドモジュール100は、第1位置P1にある。
【0034】
つまり、第1位置P1の第1フレキシブルパッドモジュール100のこれらの突出部112の筐体200に対する投影とこれらの止め部材228の筐体200に対する投影は、重ならない。
【0035】
第1位置P1の第1フレキシブルパッドモジュール100を
図4Bに示した第2位置P2まで回転させることによって、これらの突出部112をこれらの径方向切欠き部からずらすことができる。第1フレキシブルパッドモジュール100が第2位置P2にある時、これらの突出部112の筐体200に対する投影の少なくとも一部は、これらの止め部材228の筐体200に対する投影と重なる。したがって、これらの突出部112は、軸線210の方向に沿って移動して、これらの止め部材228に制限されるため、第1フレキシブルパッドモジュール100を係合スロット220内に留まることができる。
【0036】
説明すべきこととして、本実施形態において、突出部112と止め部材228の形状、数量、および位置は、互いに一致する。また、これらの突出部112は、環状外側壁110において等間隔に突出し、且つこれらの突出部112の大きさは同じである。これらの止め部材228は、環状内側壁224に等間隔において突出するため、これらの径方向切欠き部232の大きさは同じである。当然のことながら、別の実施形態において、突出部112と止め部材228の数量および大きさは、本発明に限定されない。
【0037】
また、本実施形態において、筐体200は、さらに、制限部材204を選択的に含んでもよい。筐体200の制限部材204の少なくとも一部は、これらの止め部材228のうちの1つと係合スロット220のスロットベース226(
図3)の間に位置する。
【0038】
図3および
図4Aを参照すると、本実施形態の制限部材204は、ヘッド部240および主体242を有し、ヘッド部240の直径は、主体242の直径よりも大きく、且つヘッド部240の厚さは、主体242の厚さよりも薄いため、制限部材204は、T形状を形成する。制限部材204は、リベットまたはネジであってもよい。当然のことながら、制限部材204の形状と種類は、これに限定されず、制限部材204は、ヘッド部を有さない止めネジであってもよい。制限部材204は、フレキシブルパッドモジュールの制限機能を達成できさえすればよい。
【0039】
筐体200のこれらの止め部材228のうちの1つは、孔244(
図3)を含み、制限部材204は、止め部材228を貫通して、スロットベース226に向かって延伸し、止め部材228または筐体200のスロットベース226に近い部位にネジ接続される。つまり、制限部材204の主体242は、孔244を通り過ぎて、スロットベース226に向かって延伸し、且つヘッド部240は、孔244を通り過ぎずに、第1表面206(
図4A)に露出する。また、1つの実施形態において、制限部材204は、フレキシブルパッドモジュールを制限できさえすれば、止め部材228を貫通しなくてもよい。
【0040】
図4Aの第1フレキシブルパッドモジュール100が軸線210の周りを矢印の方向に向かって第2位置P2まで回転した時(
図4B)、突出部112が制限部材204に接触して、第1フレキシブルパッドモジュール100の回転を停止させる。つまり、制限部材204は、第1フレキシブルパッドモジュール100の回転の終点であり、且つ第1フレキシブルパッドモジュール100の回転範囲および回転方向を制限することができる。
【0041】
本実施形態において、第1フレキシブルパッドモジュール100を組み立てる時の回転方向は、時計回りである(
図4Aの矢印の方向)。理解すべきこととして、本実施形態は、単なる例であり、限定するものではない。例を挙げて説明すると、別の実施形態において、制限部材204を止め部材228の別の側に設置して、第1フレキシブルパッドモジュール100を組み立てる時の回転方向を反時計回りに制限してもよい。
【0042】
同様に、第1フレキシブルパッドモジュール100を取り外す時は、第1フレキシブルパッドモジュール100を第2位置P2から第1位置P1まで回転させるだけで、第1フレキシブルパッドモジュール100が重力を受けて、筐体200から引き離すことができる。
【0043】
このことからわかるように、第1フレキシブルパッドモジュール100を第1位置P1と第2位置P2の間で変換することにより、第1フレキシブルパッドモジュール100は、筐体200の中に迅速に組み立てることができ、あるいは筐体200の中から迅速に取り外すことができる。
【0044】
図5Aは、本発明の1つの実施形態に係る第1フレキシブルパッドモジュールの拡大図である。
図5Aを参照すると、本実施形態において、第1フレキシブルパッド102は、第1フレーム104に取り外し可能に設置される。当然のことながら、別の実施形態において、第1フレキシブルパッド102は、第1フレーム104に固設されてもよい。
【0045】
第1フレーム104は、さらに、本体106および固定部材108を含む。本体106は、環状内側壁120を含む。環状内側壁120は、第1フレキシブルパッド102を取り囲み、本体106は、第1フレキシブルパッド102を取り囲む。例を挙げて説明すると、第1フレキシブルパッド102は、円形であり、本体106は、環状構造である。
【0046】
第1フレーム104の固定部材108は、環状内側壁120から中心に向かって一定の距離を延伸し、開口122を第1フレーム104の中に形成する。第1フレキシブルパッド102は、固定部材108上に固定されるのに適している。
【0047】
本実施形態において、第1フレキシブルパッド102は、さらに、複数の貫通孔130を含み、固定部材108は、さらに、これらの貫通孔130に対応する複数のネジ穴132を含む。第1フレキシブルパッドモジュール100は、さらに、複数の締結部材(図示せず)を含み、締結部材は、ネジであってもよい。これらの締結部材は、それぞれ対応する貫通孔130、ネジ穴132を通り抜けて、第1フレキシブルパッド102を第1フレーム104上に固定する。
【0048】
別の実施形態において、第1フレキシブルパッド102と第1フレーム104は、その他の方法で、例えば、第1フレキシブルパッド102と第1フレーム104を一体に結合してもよい。
【0049】
図5Aを参照すると、第1フレキシブルパッド102は、外形DA1を有し、第1フレーム104の開口122は、直径DA2を有し、且つ環状内側壁120は、内径DA3を有する。外形DA1は、内径DA3より小さく、且つ外形DA1は、直径DA2より大きい。
【0050】
つまり、第1フレキシブルパッド102を第1フレーム104の中に固定した時、第1フレキシブルパッド102と固定部材108は、少なくとも一部が重なり、第1フレキシブルパッド102は、第1フレーム104の開口122において露出する。
【0051】
図1Cおよび
図5Aを参照すると、真空ラミネーションプロセスの期間において、第1フレキシブルパッド102は、膨張して開口122から第1フレーム104に突出することによって、薄膜80を押し付ける。したがって、基板74上に圧着される薄膜80(
図1C)の最大面積は、実際には、第1フレーム104の開口122(
図5A)の面積によって決まる。開口122の面積は、直径DA2と関連する。
【0052】
図5Bは、本発明の別の実施形態に係る第2フレキシブルパッドモジュールの拡大図である。
図5Bの第2フレキシブルパッドモジュール300と
図5Aの第1フレキシブルパッドモジュール100は、類似する構成要素を有する。
図3および
図5Bを参照すると、第2フレキシブルパッドモジュール300の複数の突出部312とこれらの径方向切欠き部232(
図3)の位置を合わせることにより、第1フレキシブルパッドモジュール100および第2フレキシブルパッドモジュール300を筐体200に選択的、且つ交換可能に設置することができる。
【0053】
図5Aと
図5Bの相違点は、第2フレキシブルパッドモジュール300の第2フレーム304の開口322の直径DB2が、第1フレーム104の開口122の直径DA2より小さいことである。
【0054】
図5Aと
図5Bの実施形態において、第1フレキシブルパッド102の外形DA1は、第2フレキシブルパッド302の外形DB1に等しいが、開口122、322の直径DA2、DB2は異なるため、基板74上に圧着される薄膜80(
図1C)の面積を変更することができる。
【0055】
したがって、本実施形態において、第2フレキシブルパッドモジュール300は、小型の基板(図示せず)に用いることができる。つまり、使用者は、異なる大きさの基板に対して第1フレキシブルパッドモジュール100を使用するか、あるいは第2フレキシブルパッドモジュール300を使用するかを選択することができる。つまり、第1フレキシブルパッドモジュール100または第2フレキシブルパッドモジュール300を交換することによって、様々な大きさのフレキシブルパッドを使用しなくても、実質的に、異なる大きさのフレキシブルパッドを交換する効果を達成することができるため、コストを減らし、且つ効率を上げることができる。
【0056】
当然のことながら、使用者は、同じ大きさのフレキシブルパッドモジュールを交換してもよい。また、基板の大きさが異なっていても、使用者は、元の大きさのフレキシブルパッドモジュールを選択して、異なる大きさの基板に押し付けることができる。
【0057】
図6は、
図2のラミネーション装置の筐体の上面図である。
図6を参照すると、筐体200は、さらに、主流路260および少なくとも1つの気孔250を含む。主流路260は、孔262により第2表面208において露出し、且つ主流路260は、係合スロット220(
図3)に連通する。少なくとも1つの気孔250は、複数の気孔250を含み、これらの気孔250は、主流路260に相対して対称的に配置される。別の実施形態において、これらの気孔250は、主流路260に相対して非対称的に配置されてもよい。本実施形態において、筐体200の第2表面208は、2つの気孔250を含むが、気孔250の数量および位置は、これに限定されない。
【0058】
図3に示すように、主流路260は、孔264により係合スロット220のスロットベース226において露出する。つまり、本実施形態において、孔262は、主流路260によりこれらの孔264に連通する。
【0059】
図1Cに戻ると、主流路260の孔262は、パイプライン(図示せず)により外部の第1圧力源(図示せず)に接続するのに適している。真空ラミネーションプロセスの期間において、真空ラミネーションシステム50は、第1圧力源によりラミネーション装置60の主流路260に向かって気体を充填し、気体は、主流路260の孔264により係合スロット220のスロットベース226(
図3)に進入して、真空ラミネーションプロセスを実行する。
【0060】
図7Aは、
図4Bのラミネーション装置の断面図である。
図3および
図7Aを同時に参照すると、ラミネーション装置60は、さらに、封止部材202を含み、筐体200は、係合スロット220に連通する環状溝230を含む。封止部材202は、環状溝230の中に設置される。本実施形態において、第1フレキシブルパッドモジュール100を筐体200に組み立てる時、封止部材202は、第1フレーム104に選択的に寄りかかることができる。
【0061】
図3、
図6、および
図7Aを参照しながら、具体的に説明すると、2つの気孔250は、第2表面208から第1表面206に向かって延伸し、且つ係合スロット220の環状溝230に連通する。2つの気孔250は、別のパイプライン(図示せず)により外部の第2圧力源(図示せず)に接続するのに適している。
【0062】
第2圧力源は、2つの気孔250に向かって気体を充填し、気体は、気孔250により環状溝230に進入するため、環状溝230内の封止部材202が第1フレーム104に寄りかかって、係合スロット220と第1フレキシブルパッドモジュール100の間の密封を維持し、第1圧力源がラミネーション装置60の主流路260に向かって気体を充填する時に、係合スロット220内の気体が第1フレーム104の辺縁から漏れないようにすることができる。
【0063】
図7Bは、
図4Bのラミネーション装置の封止部材を吸い上げた時の概略図である。
図3、
図6~
図7Bを参照すると、第2圧力源は、2つの気孔250から吸い込んで、気体を環状溝230の中から吸い出すこともできるため、封止部材202が環状溝230内で移動して、第1フレーム104において分離することにより、係合スロット220の密封を解除することができる。
【0064】
以下、第1フレキシブルパッドモジュール100を例として、真空ラミネーションプロセスの期間における2つの気孔250と封止部材202の環状溝230内の移動状況を詳しく説明する。
【0065】
具体的に説明すると、真空ラミネーションプロセスを実行する前、
図7Bに示すように、第1フレーム104と係合スロット220のスロットベース226の間に間隙282が存在し、且つ突出部112と止め部材228の間に間隙284が存在する。つまり、第1圧力源がラミネーション装置60の主流路260に向かって気体を充填した時、気体は、間隙282、284に沿ってスロットベース226から外部に流動する。
【0066】
第1圧力源に充填された気体が間隙282、284から散逸しないよう、本実施形態において、封止部材202を使用して、第1フレーム104とスロットベース226の間の間隙282を密封する。
【0067】
図7Aに示すように、気体を環状溝230に充填した時、気体が封止部材202を押し付けるため、封止部材202が第1フレーム104に向かって移動する。この時、第1フレーム104とスロットベース226の間は、封止部材202により密閉空間286が形成される。続いて、真空ラミネーションプロセスを実行する。
【0068】
使用者が第1フレキシブルパッドモジュール100を交換しなければならない時、第1フレキシブルパッドモジュール100を取り外しやすくするために、
図7Bに示すように、第2圧力源が気孔250を介して環状溝230の中の気体を吸い出し、封止部材202を第1フレーム104から引き離すため、第1フレキシブルパッドモジュール100を第2位置P2から第1位置P1まで回転させることができる。
【0069】
第1位置P1にある第1フレキシブルパッドモジュール100は、筐体200の中から取り外されるため、使用者は、第1フレキシブルパッドモジュール100を交換することができる。
【0070】
以上のように、本発明は、フレキシブルパッドを迅速に取り外し、且つ迅速に取り付けることのできるラミネーション装置を提供し、ラミネーション装置の筐体の止め部材と第1フレキシブルパッドモジュールの突出部の構造を適合させることにより、迅速に取り外し、且つ迅速に取り付ける効果を達成することができる。
【0071】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
真空ラミネーションシステムに適用するラミネーション装置および真空ラミネーションシステム。
【符号の説明】
【0073】
50 真空ラミネーションシステム
60 ラミネーション装置
70 支持装置
72 収容空間
74 基板
80 薄膜
100 第1フレキシブルパッドモジュール
102 第1フレキシブルパッド
104 第1フレーム
106 本体
108 固定部材
110 環状外側壁
112 突出部
120 内側壁
122、322 開口
130、330 貫通孔
132、332 ネジ穴
200 筐体
202 封止部材
204 制限部材
206 第1表面
208 第2表面
210 軸線
220 係合スロット
222 開口
224 環状内側壁
226 スロットベース
228 止め部材
230 環状溝
232 径方向切欠き部
240 ヘッド部
242 主体
244 孔
250 気孔
260 主流路
262、264 孔
282、284 間隙
286 密閉空間
300 第2フレキシブルパッドモジュール
302 第2フレキシブルパッド
304 第2フレーム
306 本体
308 固定部材
310 環状外側壁
312 突出部
320 内側壁
DA1、DB1 外径
DA2、DB2 直径
DA3、DB3 内径
【要約】
【課題】交換操作に必要な時間および効率を改善するラミネーション装置および真空ラミネーションシステムを提供する。
【解決手段】ラミネーション装置は、軸線に沿って窪んだ係合スロットと複数の止め部材を含み、径方向切欠き部が止め部材の間に形成された筐体と、取り外し可能に設置され、第1フレームと第1フレキシブルパッドを含む第1フレキシブルパッドモジュールと、を含み、係合スロットが、開口と環状内側壁を含み、止め部材が、環状内側壁の開口に近い部位に突出し、第1フレームが、環状外側壁と複数の突出部を含み、突出部は、径方向切欠き部より小さく、径方向切欠き部と整列する場合、第1フレキシブルパッドモジュールが開口を通過して係合スロットに進入するに適し、第1フレキシブルパッドモジュールが回転可能で、突出部が制限され、第1フレキシブルパッドモジュールを係合スロット内に留まる。
【選択図】
図3