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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230113BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230113BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230113BHJP
   B60R 1/00 20220101ALI20230113BHJP
【FI】
G06T7/00 650A
G06T1/00 330A
G08G1/16 C
B60R1/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018147437
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020024487
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】縣 大輔
(72)【発明者】
【氏名】長福 加江
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/061294(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 1/00
G08G 1/16
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像又は前記撮影画像を変換した変換画像に前記自車両を表す仮想車両の像を重畳して表示画像を生成する表示画像生成部と、
を備え、
前記表示画像生成部は、前記撮影画像又は前記変換画像と前記仮想車両の像との少なくも一方を移動対象として前記表示画像の領域に対してユーザ操作を受け付ける操作部の出力と同時に、前記操作部の出力に基づいた前記移動対象の移動量に応じて連続的に移動させることができ、前記移動対象の拡大縮小率を前記移動に応じて調整する、画像処理装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記表示画像を表示する表示画面上に設けられるタッチパネルであり、
前記表示画像生成部は、前記移動対象をドラッグする前記ユーザ操作に基づき前記移動対象を移動させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示画像生成部は、前記自車両の予想進路に関する情報を取得し、前記予想進路に基づき前記移動対象を移動させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示画像において障害物が存在する領域を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記領域と前記仮想車両の像との位置関係に基づき警報信号を出力する警報部と、
をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示画像生成部は、前記変換画像に前記仮想車両の像を重畳して前記表示画像を生成し、
前記変換画像は、仮想視点からみた仮想視点画像である、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記仮想視点の視点位置が前記自車両の略真上であり、前記仮想視点の視線方向が前記自車両の略真下である場合、
前記表示画像生成部は、前記移動対象の拡大縮小を行わない、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
自車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像を取得する撮影画像取得工程と、
前記撮影画像又は前記撮影画像を変換した変換画像に前記自車両を表す仮想車両の像を重畳して表示画像を生成する表示画像生成工程と、
を備え、
前記表示画像生成工程は、前記撮影画像又は前記変換画像と前記仮想車両の像との少なくも一方を移動対象として前記表示画像の領域に対してユーザ操作を受け付ける操作部の出力と同時に、前記操作部の出力に基づいた前記移動対象の移動量に応じて連続的に移動させたときに前記移動対象の拡大縮小率を前記移動に応じて調整する調整工程を含む、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の前方に存在する障害物をセンサで検出し、自車両とセンサで検出された障害物との衝突可能性が所定レベルより大きいときに警報を発する運転支援システムが特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-145725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、衝突可能性の例示として、自車両と障害物との間の距離を自車両と障害物との相対速度で割って求まる時間に応じた値が挙げられている。そのため、例えば自車両が細い道で対向車両とのすれ違い走行を行う場合、特許文献1で開示されている運転支援システムは、すれ違い走行の可否にかかわらず警報を発すると考えられる。すなわち、特許文献1で開示されている運転支援システムは、障害物が存在する場所を自車両が通過しようとするときに役立つ情報をユーザに提供できるシステムではない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて、障害物が存在する場所を自車両が通過しようとするときに、事前に通過可能かをユーザが容易に把握できる画像処理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、自車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像を取得する撮影画像取得部と、前記撮影画像又は前記撮影画像を変換した変換画像に前記自車両を表す仮想車両の像を重畳して表示画像を生成する表示画像生成部と、を備え、前記表示画像生成部は、前記撮影画像又は前記変換画像と前記仮想車両の像との少なくも一方を移動対象として前記表示画像の領域に対してユーザ操作を受け付ける操作部の出力と同時に、前記操作部の出力に基づいた前記移動対象の移動量に応じて連続的に移動させることができ、前記移動対象の拡大縮小率を前記移動に応じて調整する構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成の画像処理装置において、前記操作部は、前記表示画像を表示する表示画面上に設けられるタッチパネルであり、前記表示画像生成部は、前記移動対象をドラッグする前記ユーザ操作に基づき前記移動対象を移動させる構成(第2の構成)であってもよい。
【0008】
上記第1の構成の画像処理装置において、前記表示画像生成部は、前記自車両の予想進路に関する情報を取得し、前記予想進路に基づき前記移動対象を移動させる構成(第3の構成)であってもよい。
【0009】
上記第1~第3いずれかの構成の画像処理装置において、前記表示画像において障害物が存在する領域を推定する推定部と、前記推定部によって推定された前記領域と前記仮想車両の像との位置関係に基づき警報信号を出力する警報部と、をさらに備える構成(第4の構成)であってもよい。
【0010】
上記第1~第4いずれかの構成の画像処理装置において、前記表示画像生成部は、前記変換画像に前記仮想車両の像を重畳して前記表示画像を生成し、前記変換画像は、仮想視点からみた仮想視点画像である構成(第5の構成)であってもよい。
【0011】
上記第5の構成の画像処理装置において、前記仮想視点の視点位置が前記自車両の略真上であり、前記仮想視点の視線方向が前記自車両の略真下である場合、前記表示画像生成部は、前記移動対象の拡大縮小を行わない構成(第6の構成)であってもよい。
【0012】
本発明に係る画像処理方法は、自車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像を取得する撮影画像取得工程と、前記撮影画像又は前記撮影画像を変換した変換画像に前記自車両を表す仮想車両の像を重畳して表示画像を生成する表示画像生成工程と、を備え、前記表示画像生成工程は、前記撮影画像又は前記変換画像と前記仮想車両の像との少なくも一方を移動対象として前記表示画像の領域に対してユーザ操作を受け付ける操作部の出力と同時に、前記操作部の出力に基づいた前記移動対象の移動量に応じて連続的に移動させたときに前記移動対象の拡大縮小率を前記移動に応じて調整する調整工程を含む構成(第7の構成)である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、障害物が存在する場所を自車両が通過しようとするときに、事前に通過可能かをユーザが容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図
図2】フロントカメラが車両に配置される位置を例示する図
図3】第1実施形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャート
図4】表示画像の一例を示す図
図5】表示画像の一例を示す図
図6】表示画像の一例を示す図
図7】第2実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図
図8】第3実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図
図9】第3実施形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャート
図10】第4実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図
図11】仮想投影面の例を示す図
図12】表示画像の一例を示す図
図13】表示画像の一例を示す図
図14】表示画像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<1.第1実施形態>
<1-1.第1実施形態に係る画像処理装置の構成>
図1は本実施形態に係る画像処理装置201の構成を示す図である。画像処理装置201は、例えば自動車などの車両に搭載されている。以下、画像処理装置201又は後述する他の実施形態に係る画像処理装置が搭載される車両を「自車両」という。また、自車両の直進進行方向であって、運転席からステアリングに向かう方向を「前方」という。また、自車両の直進進行方向であって、ステアリングから運転席に向かう方向を「後方」という。
【0017】
図1に示すフロントカメラ11、操作部12、画像処理装置201、及び表示装置31は自車両に搭載される。
【0018】
図2は、フロントカメラ11が自車両V1に配置される位置を例示する図である。
【0019】
フロントカメラ11は自車両V1の前端に設けられる。フロントカメラ11の光軸11aは上からの平面視で自車両V1の前後方向に沿っている。フロントカメラ11は自車両V1の前方向を撮影する。フロントカメラ11の取付位置は、自車両V1の左右中央であることが好ましいが、左右中央から左右方向に多少ずれた位置であってもよい。
【0020】
本実施形態では、フロントカメラ11の水平方向の画角θは180度以上である。しかしながら、フロントカメラ11の水平方向の画角θは180度未満であってもよい。また、本実施形態とは異なり、フロントカメラ11を自車両V1の車室内に設けてもよい。
【0021】
図1に戻って、フロントカメラ11は、撮影画像を画像処理装置201に出力する。
【0022】
操作部12は、ユーザ操作を受け付け、ユーザ操作の内容に応じた操作信号を出力する。操作部12としては、例えば表示装置31の表示画面上に設けられるタッチパネル、方向キー及び決定キーを含むキー群などを挙げることができる。本実施形態では、操作部12は、撮影画像又はCGを移動対象として表示画像の領域に対して移動させるためのユーザ操作を受け付ける。
【0023】
画像処理装置201は、フロントカメラ11から出力される撮影画像を処理し、処理後の画像を表示装置31に出力する。
【0024】
表示装置31は、自車両のドライバーが表示装置31の表示画面を視認できる位置に設けられ、画像処理装置201から出力される画像を表示する。表示装置31としては、例えばセンターコンソールに設置されるディスプレイ、運転席の対向位置に設置されるメータディスプレイ、フロントガラスに画像を投影するヘッドアップディスプレイなどを挙げることができる。
【0025】
画像処理装置201は、ASIC(application specific integrated circuit)やFPGA(field-programmable gate array)等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて画像処理装置201を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、当該プログラムをプログラム実行装置上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。プログラム実行装置としては、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を備えるコンピュータを挙げることができる。
【0026】
画像処理装置201は、撮影画像取得部21と、表示画像生成部22と、を備える。
【0027】
撮影画像取得部21は、フロントカメラ11からアナログ又はデジタルの撮影画像を所定の周期(例えば、1/30秒周期)で時間的に連続して取得する。そして、取得した撮影画像がアナログの場合には、撮影画像取得部21は、そのアナログの撮影画像をデジタルの撮影画像に変換(A/D変換)する。撮影画像取得部21は、取得した撮影画像、或いは、取得及び変換した撮影画像を、表示画像生成部22に出力する。
【0028】
画像生成部22は、CG(Computer Graphics)生成部22aと、移動量決定部22b、拡大縮小率調整部22cと、重畳部22dと、を備える。
【0029】
CG生成部22aは、自車両を表す仮想車両の背面画像CGを生成する。なお、本実施形態では、自車両を表す仮想車両の像としてCGを用いるが、CGの代わりに自車両の撮影画像を用いてもよい。
【0030】
移動量決定部22bは、操作部12から出力される操作信号に基づき移動対象の移動量を決定する。
【0031】
拡大縮小率調整部22cは、移動対象の拡大縮小率を移動対象の移動量に応じて調整する。
【0032】
重畳部22dは、撮影画像取得部21から出力される撮影画像に、CG生成部22aによって生成されたCGを重畳して表示画像を生成する。
【0033】
<1-2.第1実施形態に係る画像処理装置の動作>
図3は、画像処理装置201の動作例を示すフローチャートである。
【0034】
操作部12により、車両CGの表示指示があると図3に示すフロー動作が開始される。重畳部22dは、撮影画像取得部21から出力される撮影画像に、CG生成部22aによって生成されたCGを初期位置で重畳して表示画像を生成する(ステップS10)。撮影画像取得部21から出力される撮影画像の初期位置は、例えば表示画像の領域の中心と撮影画像の領域の中心とが一致する位置にすればよい。CG生成部22aによって生成されたCGの初期位置は、例えば自車両から所定距離前方の位置にすればよい。なお、CG生成部22aによって生成されたCGの大きさは、撮影画像取得部21から出力される撮影画像の大きさ、CG生成部22aによって生成されたCGの初期位置に基づいて設定するとよい。
【0035】
図4は、ステップS10において生成される表示画像の一例である。図4及び後述する他の表示画像において、符号1は表示画像の領域を示しており、符号2は自車両を表す仮想車両の背面画像CGを示している。
【0036】
ステップS10に続くステップS20において、表示画像生成部22は、操作部12から出力される操作信号に基づき、移動対象の移動を指示する操作が有ったかを判定する。
【0037】
例えば、操作部12がタッチパネルである場合、CG2がユーザの指で表示画像の領域1の下方から上方にドラッグされると、CG2を移動対象として移動を指示する操作が有ったと判定すればよい。また例えば、表示画像のCG2以外の部分がユーザの指で表示画像の領域1の上方から下方にドラッグされると、撮影画像を移動対象として移動を指示する操作が有ったと判定すればよい。
【0038】
移動対象の移動を指示する操作がないと判定された場合(ステップS20のNO)、表示画像生成部22は、無操作期間が所定時間継続しているかを判定する(ステップS30)。無操作期間が所定時間継続していなければ(ステップS30のNO)、ステップS20に戻り、無操作期間が所定時間継続していれば(ステップS30のYES)、フロー動作を終了する。
【0039】
一方、移動対象の移動を指示する操作が有ったと判定された場合(ステップS20のYES)、移動量決定部22bは、操作部12から出力される操作信号に基づき移動対象の移動量を決定し、拡大縮小率調整部22cは、移動対象の拡大縮小率を移動対象の移動量に応じて調整する(ステップS40)。なお、移動量は、移動距離と移動方向を含む。移動対象を表示画像の領域1に対して自車両の進行方向に移動させる場合、移動距離が長いほど移動対象を縮小し、移動対象を表示画像の領域1に対して自車両の進行方向の逆方向に移動させる場合、移動距離が長いほど移動対象を拡大すればよい。移動対象の縮小率又は拡大率は、移動対象の移動距離の他、フロントカメラ11の光軸11aの方向等に基づいて設定するとよい。
【0040】
ステップS40に続くステップS50において、重畳部22dは、移動対象を移動させ且つ移動対象の拡大縮小率を調整した状態で撮影画像にCG2を重畳し、その後ステップS20に戻る。
【0041】
したがって、操作部12がタッチパネルである場合、CG2がユーザの指で表示画像の領域1の下方から上方にドラッグされると、CG2が移動に伴い徐々に小さくなる。図5に示す表示画像は、CG2のドラッグが完了した時点における表示画像の一例である。また、表示画像のCG2以外の部分がユーザの指で表示画像の領域1の上方から下方にドラッグされると、撮影画像が伴い徐々に大きくなる。図6に示す表示画像は、表示画像のCG2以外の部分のドラッグが完了した時点における表示画像の一例である。
【0042】
図5に示す表示画像又は図6に示す表示画像のように、移動対象を移動させてCG2と撮影画像中の障害物(例えばロードコーン)とを自車両の左右方向に沿って並べることで、障害物が存在する場所を自車両が通過しようとするときに、事前に通過可能かをユーザが表示画面を見て容易に把握できる。
【0043】
また、ユーザ操作によって移動対象の移動量を変更することができるので、種々の条件で障害物が存在する場所を自車両が通過可能であるかをシミュレートすることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、撮影画像又はCGのいずれかを移動対象としているが、撮影画像及びCGの両方を移動対象としてもよい。例えば、操作部12がタッチパネルである場合、ユーザの親指がCG2に触れユーザの人差し指が表示画像のCG2以外の部分に触れている状態でピンチイン操作を行うことで、撮影画像及びCG2の両方を互いに逆方向で表示画像の領域1に対して移動させてもよい。
【0045】
<2.第2実施形態>
図7は本実施形態に係る画像処理装置202の構成を示す図である。画像処理装置202は、予想進路情報取得部23を備え、さらに表示画像生成部22が操作部12から出力される操作信号の代わりに予想進路情報取得部23の出力信号を用いて移動対象を移動させる点で画像処理装置201と異なっており、それ以外の点では画像処理装置201と基本的に同様である。
【0046】
予想進路情報取得部23は、自車両の車両制御ECU(Electronic Control Unit)などから自車両の舵角情報、車速情報などを取得し、その取得した情報に基づいて自車両の予想進路に関する情報を生成することで自車両の予想進路に関する情報を取得する。なお、予想進路情報取得部23は、自車両の車両制御ECUなどから自車両の予想進路に関する情報を取得してもよい。
【0047】
予想進路情報取得部23は、取得した自車両の予想進路に関する情報を表示画像生成部22に出力する。表示画像生成部22は、自車両の予想進路の方向を仮想車両の背面画像CGの移動方向として利用する、又は、自車両の予想進路の逆方向を撮影画像の移動方向として利用する。
【0048】
本実施形態に係る画像処理装置202によって生成される表示画像をユーザが確認することで、障害物が存在する場所を自車両が予想進路に沿って通過しようとするときに、事前に通過可能かをユーザが容易に把握できる。なお、本実施形態も第1実施形態と同様、操作部12からの車両CGの表示指示があると処理を行う。
【0049】
<3.第3実施形態>
図8は本実施形態に係る画像処理装置203の構成を示す図である。画像処理装置203は、推定部24及び警報部25を備える点で画像処理装置201と異なっており、それ以外の点では画像処理装置201と基本的に同様である。
【0050】
推定部24は、表示画像において障害物が存在する領域を推定する。推定部24は、フロントカメラ11の撮影画像に基づいて、自車両の前方に存在し得る障害物を検知する。障害物候補物体の検知には、公知の画像認識技術を用いる。例えば、移動物である障害物候補物体の検知には背景差分方式を用いることができ、静止物である障害物候補物体の検知には移動ステレオ方式を用いることができる。なお、本実施形態では、画像認識技術を用いて障害物を検知したが、画像認識技術に加えて、又は、画像認識技術の代わりに、例えば、自車両に搭載したレーダ装置から出力される情報、クラウドセンターとの通信、車車間通信、路車間通信などで得られる情報などを用いて障害物を検知してもよい。
【0051】
警報部25は、推定部24によって推定された障害物が存在する領域と、仮想車両の背面画像CGとの位置関係に基づき警報信号をスピーカ32に出力する。
【0052】
自車両に設けられるスピーカ32は、警報部25から出力される警報信号に従って警報音を出力する。
【0053】
図9は、画像処理装置203の動作例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートにステップS60及びS70を追加したものである。
【0054】
図9に示すフローチャートでは、ステップS50の処理が完了すると、ステップS60に移行する。ステップS60において、警報部25は、推定部24によって推定された障害物が存在する領域と、仮想車両の背面画像CGとが重なっているかを判定する。
【0055】
推定部24によって推定された障害物が存在する領域と、仮想車両の背面画像CGとが重なっていないと判定された場合(ステップS60のNO)、ステップS20に戻る。
【0056】
一方、推定部24によって推定された障害物が存在する領域と、仮想車両の背面画像CGとが重なっていると判定された場合(ステップS60のYES)、警報部25が警告信号を出力し(ステップS70)、その後ステップS20に戻る。
【0057】
本実施形態に係る画像処理装置203によると、障害物が存在する場所を自車両が通過しようとするときに、事前に通過可能かをユーザが警告の有無によって容易に把握できる。
【0058】
なお、本実施形態では、警報音によって警告を出力しているが、警報音の代わりに又は警報音に加えて警告の出力として警告表示を用いてもよい。また、本実施形態では、推定部24によって推定された障害物が存在する領域と、仮想車両の背面画像CGとが重なっている場合に警告が出力されるが、例えば、推定部24によって推定された障害物が存在する領域と、仮想車両の背面画像CGとの距離が所定距離以下になっている場合に、警告部25が警告信号を出力するようにしてもよい。さらに、推定部24によって推定された障害物が存在する領域と、仮想車両の背面画像CGとの距離が所定距離以下になっている場合に、警告部25が警告信号を出力する構成において、両者が重なっていない場合と両者が重なっている場合とで、警告の形態が異なるようにしてもよい。
【0059】
<4.第4実施形態>
図10は本実施形態に係る画像処理装置204の構成を示す図である。画像処理装置204は、表示画像生成部22が俯瞰画像部22eを含み、重畳部22dが撮影画像取得部21から出力される撮影画像の代わりに俯瞰画像部22eによって生成される俯瞰画像を用いる点で画像処理装置201と異なっており、それ以外の点では画像処理装置201と基本的に同様である。
【0060】
俯瞰画像部22eは、撮影画像取得部21から出力された撮影画像を仮想投影面に投影して投影画像に変換する。具体的には、俯瞰画像部22eは、図11に示す仮想的な三次元空間における仮想投影面100の所定領域R1にフロントカメラ11の撮影画像を投影して、フロントカメラ11の撮影画像を投影画像に変換する。
【0061】
図11に示す仮想投影面100は、例えば略半球状(お椀形状)をしている。仮想投影面100の中心部分(お椀の底部分)は、自車両V1が存在する位置として定められている。このように仮想投影面100が曲面を含むようにすることで、自車両V1から離れた位置に存在する物体の像の歪みを少なくすることができる。
【0062】
俯瞰画像部22eは、投影画像に基づいて仮想視点からみた仮想視点画像を生成する。具体的には、俯瞰画像部22eは、投影画像を仮想投影面100の所定領域R1に仮想的に貼り付ける。
【0063】
また、俯瞰画像部22eは、仮想投影面100が設定される仮想的な三次元空間において、仮想視点を設定する。仮想視点は、視点位置及び視野方向によって規定される。仮想投影面100の少なくとも一部が視野に入る限り、仮想視点の視点位置及び視野方向は、任意の視点位置及び任意の視野方向に設定することができる。
【0064】
本実施形態では、仮想視点の視点位置を自車両の略真上とし、仮想視点の視野方向を自車両の略真下とする。これにより、俯瞰画像部22eによって生成される仮想視点画像がいわゆるトップビューの俯瞰画像となる。トップビューの俯瞰画像では、同じ大きさの物体は自車両の近傍に存在する場合でも自車両の遠方に存在する場合でも同一の大きさで写ることになる。したがって、拡大縮小率調整部22cは、移動対象の拡大縮小率を略1に調整する。あるいは、拡大縮小率調整部22cは、拡大縮小を行わない。
【0065】
なお、本実施形態とは異なり、仮想視点の視点位置を自車両より後方且つ上方とし、仮想視点の視野方向を自車両の前方且つ下方としてもよい。この場合には第1実施形態等と同様に、移動対象を表示画像の領域1に対して自車両の進行方向に移動させるのであれば、移動距離が長いほど移動対象を縮小し、移動対象を表示画像の領域1に対して自車両の進行方向の逆方向に移動させるのであれば、移動距離が長いほど移動対象を拡大すればよい。移動対象の縮小率又は拡大率は、移動対象の移動距離の他、フロントカメラ11の光軸11aの方向、仮想視点の視点位置等に基づいて設定するとよい。
【0066】
俯瞰画像部22eは、設定した仮想視点に応じて、仮想投影面100における必要な領域(仮想視点からみえる領域)の画像を仮想的に切り出した俯瞰画像を生成する。
【0067】
図12は、CG生成部22aによって生成されたCGを初期位置でトップビューの俯瞰画像に重畳して生成される表示画像の一例である。図13に示す表示画像は、CG2のドラッグが完了した時点における表示画像の一例である。図14に示す表示画像は、表示画像のCG2以外の部分のドラッグが完了した時点における表示画像の一例である。
【0068】
本実施形態に係る画像処理装置204によると、障害物が存在する場所を自車両が通過しようとするときに、事前に通過可能かをユーザが俯瞰画像を含む表示画像を見て把握できる。したがって、撮影画像を含む表示画像を見て自車両が通過可能かを把握するよりも把握が容易になる。
【0069】
また、俯瞰画像がトップビューの俯瞰画像である場合には、フロントカメラ11からの距離が互いに異なるCG2と障害物との重なりがなくなるので、俯瞰画像を含む表示画像見て自車両が通過可能かを把握することがより一層容易になる。また、俯瞰画像がトップビューの俯瞰画像である場合には、拡大縮小率を略1に固定したり、拡大縮小を行わないようにできるので、拡大縮小率の調整処理にかかる負担を軽減することができる。
【0070】
<5.その他>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0071】
例えば上述した実施形態では、自車両の進行方向は前方であったが、自車両の後方向を撮影するバックカメラを自車両に設け、画像処理装置がバックカメラの撮影画像を取得する構成にすれば、自車両の進行方向が後方であるときにも本発明を適用することができる。
【0072】
例えば上述した実施形態では、ロードコーンを障害物の一例として示しているが、障害物は当然の事ながらロードコーンに限定されない。例えば、他車両、歩行者、看板などを障害物に含めるとよい。また、例えば橋の欄干を障害物に含めることで、幅の狭い橋を自車両が渡れるかどうかを事前にユーザが容易に把握できる。また、例えば側溝を障害物に含めることで、自車両が脱輪することなく通過できるかどうかを事前にユーザが容易に把握できる。
【0073】
例えば上述した実施形態では、仮想車両の背面画像CGが自車両の前方に直進している像であったが、移動対象が移動する方向に応じた方向を向いている像にしてもよい。これにより、ユーザは、仮想車両の背面画像CGと表示画像内の障害物との位置関係をより正確に把握することができる。
【符号の説明】
【0074】
11 フロントカメラ
12 操作部
21 カメラ画像取得部
22 表示画像生成部
201~204 画像処理装置
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