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特許7209466フロースルー式常磁性粒子をベースにした細胞分離および常磁性粒子除去
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】フロースルー式常磁性粒子をベースにした細胞分離および常磁性粒子除去
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20230113BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12M1/00 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2017562629
(86)(22)【出願日】2016-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-21
(86)【国際出願番号】 US2016035755
(87)【国際公開番号】W WO2016196957
(87)【国際公開日】2016-12-08
【審査請求日】2019-05-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】62/171,787
(32)【優先日】2015-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/173,702
(32)【優先日】2015-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ファチン, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】リーツェ, ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ラン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, マイケル アール.
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】川合 理恵
【審判官】福井 悟
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-505890(JP,A)
【文献】特表2005-519883(JP,A)
【文献】特表2014-509854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0101994(US,A1)
【文献】特表2000-501338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M1/00-3/10
A61M1/00-1/02
C12Q1/00-1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの細胞懸濁液モジュールと、
少なくとも1つの緩衝剤モジュールと、
少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールと、
少なくとも1つの非磁性出力モジュールと、
少なくとも1つの磁性出力モジュールと
なくとも1つの回転膜デビーディングモジュールと
を備える細胞処理システムであって、前記少なくとも1つの回転膜デビーディングモジュールが、前記少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの下流に位置し、前記少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの磁性出力モジュールからの出力をデビーディングするように構成され、前記出力は、常磁性粒子結合細胞を含み、前記少なくとも1つの回転膜デビーディングモジュールは少なくとも1つの磁石を備え、前記常磁性粒子結合細胞をデビーディングして、常磁性粒子と、デビーディングされた非結合細胞とを生成する、細胞処理システム。
【請求項2】
少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの上流に戻る少なくとも1つの戻りループをさらに備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項3】
少なくとも2つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを並列で備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項4】
少なくとも2つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを直列で備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項5】
少なくとも1つの追加のモジュールをさらに備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項6】
少なくとも2つの回転膜デビーディングモジュールを並列で備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項7】
少なくとも2つの回転膜デビーディングモジュールを直列で備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの物理的分離モジュールを備える、請求項5に記載の細胞処理システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの磁性カラムモジュールを備える、請求項8に記載の細胞処理システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの培地交換モジュールを備える、請求項5に記載の細胞処理システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの細胞濃縮モジュールを備える、請求項5に記載の細胞処理システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの細胞洗浄モジュールを備える、請求項5に記載の細胞処理システム。
【請求項13】
前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールが、
壁によって画定され、x方向、y方向、およびz方向を有するチャンバと、
前記y方向に前記チャンバの対向端に配置された入口および出口と、
前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間にゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも2つの磁石とを備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項14】
前記回転膜デビーディングモジュールが、
円筒形の側壁によって部分的に画定されたデビーディングチャンバと、
内部を有し、前記円筒形の側壁と同軸方向に配向された多孔質の回転膜と、
試料入口と、
前記回転膜の前記内部に接続された廃棄物出力モジュールと、
前記デビーディングチャンバに接続された細胞出力モジュールとを備える、請求項1に記載の細胞処理システム。
【請求項15】
前記回転膜デビーディングモジュールが、前記円筒形の側壁に隣接または近接する少なくとも1つの磁石をさらに備える、請求項14に記載の細胞処理システム。
【請求項16】
少なくとも2つの入口および少なくとも2つの出口を備える、請求項13に記載の細胞処理システム。
【請求項17】
前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間に少なくとも2つのゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも3つの磁石をさらに備える、請求項13に記載の細胞処理システム。
【請求項18】
前記z方向に前記チャンバの対向する側に2つのアレイで配置された少なくとも4つの磁石をさらに備える、請求項13に記載の細胞処理システム。
【請求項19】
前記z方向に前記チャンバの対向する側に2つのアレイで配置され、前記z方向に前記チャンバの対向する側に1つの入口近傍から1つの出口近傍へx-y平面内を横切るように配向された少なくとも4つの磁石をさらに備える、請求項16に記載の細胞処理システム。
【請求項20】
少なくとも2つの磁石にもまた隣接する前記チャンバの壁に隣接するサブ膜の注入ポートと、
前記サブ膜に隣接する膜と
をさらに備える、請求項13に記載の細胞処理システム。
【請求項21】
試薬モジュールをさらに備える、請求項14に記載の細胞処理システム。
【請求項22】
前記多孔質の回転膜のポアサイズが、デビーディングされるべき粒子のサイズより大きく、デビーディングするべき細胞のサイズより小さい、請求項14に記載の細胞処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、結合細胞と非結合細胞の両方を含有する細胞懸濁液中の常磁性粒子結合細胞のフロースルー式分離のためのシステムおよび方法、ならびに常磁性粒子結合細胞または非結合細胞を有する細胞懸濁液から常磁性粒子を除去するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの理由のため、細胞の外部環境中には粒子が存在することがある。たとえば、粒子は、多くの場合、混合細胞または単一細胞培養基内の応答細胞を成長および分裂させる成長誘発物質で被覆されている。粒子はまた、多くの場合、特定のタイプの細胞に付着してそのタイプの細胞を同じ混合細胞懸濁液中の他のタイプ細胞から分離することを可能にする結合剤で被覆されている。細胞タイプに基づくこの分離は、望ましい細胞を望ましくない細胞から分離することを可能にする。
【0003】
粒子は、それらの意図される機能のために有用であるが、細胞製品中の粒子の存在は、後に有害となる可能性がある。たとえば、粒子自体が、細胞療法のための細胞製品を受けた患者に害を与えるリスクをもたらすことがある。他の場合、これらの粒子は、細胞のさらなる成長および分裂を阻むことがあり、またはこれらの粒子は、成長および分裂が遅くなるために、もしくは細胞が分化することを可能にするために、除去することが必要になることがある。
【0004】
複数のやり方のうちのいずれかで、様々なタイプの粒子を細胞製品から除去することができるが、多くの場合、常磁性粒子が使用される。それは、磁石に対する常磁性粒子の引力により、常磁性粒子結合細胞の非結合細胞からの分離と、常磁性粒子結合細胞からの常磁性粒子の除去との両方が可能になるからである。
【0005】
細胞分離のために常磁性粒子を使用する現在のシステムおよび方法では、常磁性粒子結合細胞を含有する細胞懸濁液をチャンバ内の懸濁流体に入れ、次いでチャンバ壁近傍に磁石を位置決めする。遊離の常磁性粒子および細胞に結合した常磁性粒子は、磁石に引き付けられ、したがって、磁石に隣接したチャンバの内壁上で位置が保持される。非結合細胞を含有する残りの懸濁流体は除去される。次いで磁石は、チャンバ壁から離れる方へ動かされ、常磁性粒子および常磁性粒子結合細胞を解放する。
【0006】
そのようなシステムおよび方法は、常磁性粒子結合細胞の正または負の選択のために使用することができるが、いずれの場合も、これには多くの欠点がある。1つの欠点は、常磁性粒子および常磁性粒子結合細胞が、非結合細胞の出力画分を介して非結合細胞製品に入る可能性があることである。これは、これらをチャンバ壁上に収容する十分な表面積がないため、これらがチャンバ壁に到達することを他の細胞が妨害するため、チャンバ壁に磁気的に付着したままでいるには大きすぎる細胞集塊の一部であるため、または他の理由のためである。非結合細胞が臨床的に使用される場合、この汚染は健康にとって有害である。非結合細胞が廃棄物である場合、望ましい細胞が失われる。
【0007】
別の欠点は、非結合細胞が、常磁性粒子結合細胞層内に閉じ込められる可能性があることであり、その結果、この場合も細胞は誤った細胞出力画分に入り、廃棄物または望ましくない汚染を招く可能性がある。
【0008】
チャンバ壁上で細胞が層状になることは、こうして層状になることで細胞が集塊し、後の処理もしくは使用または細胞による栄養分へのアクセスに干渉する可能性があることから、さらに別の欠点を呈する。さらに、層状になることで、いくつかの細胞は押しつぶされ、望ましい細胞を破壊したり、細胞溶解による汚染物質を細胞懸濁液中へ導入したりすることがある。
【0009】
類似のシステムおよび方法は、デビーディング(debeading)と呼ばれるプロセスで細胞から常磁性粒子を除去するために使用される。デビーディングでは、細胞懸濁液がチャンバ内に配置され、チャンバ壁近傍に位置決めされた磁石が、常磁性粒子を引き付ける。
【0010】
そのようなシステムおよび方法にもまた、複数の欠点がある。これには、常磁性粒子を有する細胞が、通常は単に壁に引き付けられていなかったという理由で、非結合細胞画分、最終的には非結合細胞製品内に含まれる可能性が含まれる。たとえば、磁界は磁石からの距離の2乗に反比例するため、そのような細胞は、チャンバ壁から離れる方へ動くにつれて、むしろ急速に落下する。大きすぎるチャンバまたは弱すぎる磁石が使用される場合、常磁性粒子結合細胞が最終的に非結合細胞製品内に入る可能性がより高くなる。
【0011】
これらの欠点の1つまたは複数に対処しながら、常磁性粒子結合細胞を分離またはデビーディングする(debead)ことが可能なシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要旨)
一態様では、本開示は、少なくとも1つの細胞懸濁液モジュールと、少なくとも1つの緩衝剤モジュールと、少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールと、少なくとも1つの非磁性出力モジュールと、少なくとも1つの磁性出力モジュールとを備える細胞処理システムを提供する。
【0013】
本システムの一部のバリエーションでは、それは、少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの上流に戻る少なくとも1つの戻りループを、少なくとも2つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを並列で、少なくとも2つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを直列で少なくとも1つの追加のモジュールを、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。前記少なくとも1つの追加のモジュールは、少なくとも1つの回転膜デビーディングモジュールを、少なくとも2つの回転膜デビーディングモジュールを並列で、または少なくとも2つの回転膜デビーディングモジュールを直列で、含み得る。前記回転膜デビーディングモジュールは、円筒形の側壁と隣接するまたは近接する少なくとも1つの磁石を含み得る。
【0014】
より具体的なバリエーションでは、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールが、壁によって画定され、x方向、y方向、およびz方向を有するチャンバと、前記y方向に前記チャンバの対向端に配置された入口および出口と、前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間にゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも2つの磁石とを含む。
【0015】
第1のより具体的なバリエーションと独立していてもよいし組み合わせてもよい別のより具体的なバリエーションでは、前記回転膜デビーディングモジュールが、円筒形の側壁によって部分的に画定されたデビーディングチャンバと、内部を有し、前記円筒形の側壁と同軸方向に配向された多孔質の回転膜と、試料入口と、前記回転膜の前記内部に接続された廃棄物出力モジュールと、前記デビーディングチャンバに接続された細胞出力モジュールとを含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、壁によって画定され、x方向、y方向、およびz方向を有するチャンバと、前記y方向に前記チャンバの対向端に配置された入口および出口と、前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間にゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも2つの磁石とを含むフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを提供する。
【0017】
このモジュールの一部のバリエーションでは、これは、少なくとも2つの入口および少なくとも2つの出口、前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間に少なくとも2つのゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも3つの磁石、前記z方向に前記チャンバの対向する側に2つのアレイで配置された少なくとも4つの磁石、前記z方向に前記チャンバの対向する側に2つのアレイで配置され、前記z方向に前記チャンバの対向する側に1つの入口近傍から1つの出口近傍へx-y平面内を横切るように配向された少なくとも4つの磁石、少なくとも2つの磁石にもまた隣接する前記チャンバの壁に隣接するサブ膜の注入ポート、および前記サブ膜に隣接する膜、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、円筒形の側壁によって部分的に画定されたデビーディングチャンバと、内部を有し、前記円筒形の側壁と同軸方向に配向された多孔質の回転膜と、試料入口と、前記回転膜の前記内部に接続された廃棄物出力モジュールと、前記デビーディングチャンバに接続された細胞出力モジュールと、前記円筒形の側壁に隣接または近接する少なくとも1つの磁石とを含む回転膜デビーディングモジュールを提供する。
【0019】
このモジュールの一部のバリエーションでは、これは、試薬モジュールを含んでもよく、デビーディングされるべき粒子のサイズより大きく、デビーディングするべき細胞のサイズより小さいポアサイズを有してもよく、または両方でもよい。
【0020】
さらに別の態様では、本開示は、非結合細胞製品を作製するために、常磁性粒子結合細胞を含む細胞懸濁液をフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って流すステップによってフロースルー式細胞処理の方法を提供する。前記流すステップにより、前記常磁性粒子結合細胞が、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール内で動き続ける。前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールは、前記細胞懸濁液が通って流れる壁によって画定されたフローチャンバと、少なくとも1つの壁に隣接または近接して配置された少なくとも2つの磁石と
を含む。
【0021】
このモジュールの一部のバリエーションでは、前記細胞懸濁液が、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って層流で流される、前記細胞懸濁液が、非結合細胞をさらに含み、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールに前記細胞懸濁液を流すことで、前記常磁性粒子結合細胞および前記非結合細胞を分離する、前記細胞懸濁液が、遊離の常磁性粒子をさらに含み、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールに前記細胞懸濁液を流すことで、前記遊離の常磁性粒子および前記非結合細胞を分離する、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0022】
方法はまた、戻りループを使用して、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って前記分離された非結合細胞を2回目または引き続く時間に流すステップ、戻りループを使用して、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って前記分離された常磁性粒子結合細胞を2回目または引き続く時間に流すステップ、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール内で前記常磁性粒子結合細胞を前記2回目または引き続く時間の間にデビーディングして、常磁性粒子およびデビーディングされた非結合細胞を得るステップ、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って前記作製された常磁性粒子およびデビーディングされた非結合細胞を3回目または引き続く時間に流して、前記常磁性粒子および前記デビーディングされた非結合細胞を分離するステップ、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0023】
他の全てと組み合わせ可能な別のバリエーションでは、前記磁石が、流れ方向を横切る1つのゼロ勾配線を確立するように配向され、常磁性粒子結合細胞が、1つの方向にのみ前記ゼロ勾配線へ引っ張られるが、2つの他の方向では前記磁石からの磁気力によって影響されない。
【0024】
他の全てと組み合わせ可能な別のバリエーションでは、前記チャンバが、任意の常磁性粒子が通って前記フローチャンバに入る磁性入口と、非磁性入口と、前記非磁性入口に対向する磁性出口と、前記磁性入口に対向する非磁性出口と、をさらに含み、前記ゼロ勾配線が、すべての常磁性粒子およびあらゆる常磁性粒子結合細胞を前記磁性出口へ向ける。
【0025】
前記細胞懸濁液が、非結合細胞をさらに含んでもよく、非磁性入口が、前記磁性入口より大きくてもよく、他方、前記非磁性出口が、磁性出口より大きく、そうすることで、前記非磁性入口から流れる流体が、前記非磁性出口を横切り、任意の非結合細胞が前記磁性出口内へ流れるのを防止する。
【0026】
代替的に、前記細胞懸濁液が、非結合細胞をさらに含んでもよく、前記非磁性入口および磁性入口が、実質的に同じサイズであってもよく、または前記非磁性出口および磁性出口が、実質的に同じサイズであってもよく、または両方であり、前記入口に入る前記流体のそれぞれの流速、前記出口から出る前記流体の前記それぞれの流速、または両方が、前記非磁性入口から流れる流体が前記非磁性出口を横切り、任意の非結合細胞が前記磁性出口内へ流れるのを防止するように調整されてもよい。
【0027】
他の全てと組み合わせ可能な別のバリエーションでは、方法は、前記非結合細胞製品を作製するために、回転膜デビーディングモジュールを通って前記常磁性粒子結合細胞を流すステップを含んでもよい。前記回転膜デビーディングモジュールは、前記常磁性粒子結合細胞が通って流れる円筒形デビーディングチャンバであって、円筒形の側壁によって部分的に画定され、同軸の回転膜を収容するチャンバと、前記円筒形のデビーディングチャンバ内に少なくとも1つのゼロ勾配線を確立するように前記円筒形の側壁に隣接または近接して配置された少なくとも1つの磁石とを含み得る。
【0028】
別の態様では、本開示は、細胞療法組成物を製造する方法であって、細胞集団を、前記細胞集団内の1つまたは複数の細胞タイプを増殖することを助ける1つまたは複数の作用物質で被覆された常磁性粒子に接触させるステップと、前記細胞集団内の細胞内へ核酸を導入するステップと、前記細胞集団内で細胞を増殖するステップと、上記のシステムまたは方法、あるいは本明細書に記載の任意の他のシステムまたは方法によって、前記細胞集団をデビーディングするステップと、前記細胞集団を細胞療法のために製剤化するステップと、による方法を提供する。
【0029】
一部のバリエーションでは、1つまたは複数の細胞タイプを増殖させるのを助ける前記1つまたは複数の作用物質が、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片、およびそれらの組合せを含んでもよく、前記核酸が、レンチウイルスまたはmRNAトランスダクションによって導入されてもよく、前記細胞療法が、キメラ抗原受容体T細胞療法であってもよく、前記細胞療法が、抗CD19キメラ抗原受容体T細胞療法である、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0030】
特定の態様では例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
少なくとも1つの細胞懸濁液モジュールと、
少なくとも1つの緩衝剤モジュールと、
少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールと、
少なくとも1つの非磁性出力モジュールと、
少なくとも1つの磁性出力モジュールと
を備える細胞処理システム。
(項目2)
少なくとも1つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの上流に戻る少なくとも1つの戻りループをさらに備える、項目1に記載の細胞処理システム。
(項目3)
少なくとも2つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを並列で備える、項目1に記載の細胞処理システム。
(項目4)
少なくとも2つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを直列で備える、項目1に記載の細胞処理システム。
(項目5)
少なくとも1つの追加のモジュールをさらに備える、項目1に記載の細胞処理システム。
(項目6)
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの回転膜デビーディングモジュールを備える、項目5に記載の細胞処理システム。
(項目7)
少なくとも2つの回転膜デビーディングモジュールを並列で備える、項目6に記載の細胞処理システム。
(項目8)
少なくとも2つの回転膜デビーディングモジュールを直列で備える、項目6に記載の細胞処理システム。
(項目9)
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの物理的分離モジュールを備える、項目5に記載の細胞処理システム。
(項目10)
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの磁性カラムモジュールを備える、項目9に記載の細胞処理システム。
(項目11)
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの培地交換モジュールを備える、項目5に記載の細胞処理システム。
(項目12)
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの細胞濃縮モジュールを備える、項目5に記載の細胞処理システム。
(項目13)
前記少なくとも1つの追加のモジュールが、少なくとも1つの細胞洗浄モジュールを備える、項目5に記載の細胞処理システム。
(項目14)
前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールが、
壁によって画定され、x方向、y方向、およびz方向を有するチャンバと、
前記y方向に前記チャンバの対向端に配置された入口および出口と、
前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間にゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも2つの磁石とを備える、項目1に記載の細胞処理システム。
(項目15)
前記回転膜デビーディングモジュールが、
円筒形の側壁によって部分的に画定されたデビーディングチャンバと、
内部を有し、前記円筒形の側壁と同軸方向に配向された多孔質の回転膜と、
試料入口と、
前記回転膜の前記内部に接続された廃棄物出力モジュールと、
前記デビーディングチャンバに接続された細胞出力モジュールとを備える、項目6に記載の細胞処理システム。
(項目16)
前記回転膜デビーディングモジュールが、前記円筒形の側壁に隣接または近接する少なくとも1つの磁石をさらに備える、項目15に記載の細胞処理システム。
(項目17)
壁によって画定され、x方向、y方向、およびz方向を有するチャンバと、
前記y方向に前記チャンバの対向端に配置された入口および出口と、
前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間にゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも2つの磁石と
を備えるフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール。
(項目18)
少なくとも2つの入口および少なくとも2つの出口を備える、項目17に記載のモジュール。
(項目19)
前記チャンバの壁に隣接または近接し、前記チャンバ内で前記入口と前記出口との間に少なくとも2つのゼロ勾配線を確立するように配置された少なくとも3つの磁石をさらに備える、項目17に記載のモジュール。
(項目20)
前記z方向に前記チャンバの対向する側に2つのアレイで配置された少なくとも4つの磁石をさらに備える、項目17に記載のモジュール。
(項目21)
前記z方向に前記チャンバの対向する側に2つのアレイで配置され、前記z方向に前記チャンバの対向する側に1つの入口近傍から1つの出口近傍へx-y平面内を横切るように配向された少なくとも4つの磁石をさらに備える、項目18に記載のモジュール。
(項目22)
少なくとも2つの磁石にもまた隣接する前記チャンバの壁に隣接するサブ膜の注入ポートと、
前記サブ膜に隣接する膜と
をさらに備える、項目17に記載のモジュール。
(項目23)
円筒形の側壁によって部分的に画定されたデビーディングチャンバと、
内部を有し、前記円筒形の側壁と同軸方向に配向された多孔質の回転膜と、
試料入口と、
前記回転膜の前記内部に接続された廃棄物出力モジュールと、
前記デビーディングチャンバに接続された細胞出力モジュールと、
前記円筒形の側壁に隣接または近接する少なくとも1つの磁石と
を備える回転膜デビーディングモジュール。
(項目24)
試薬モジュールをさらに備える、項目23に記載の回転膜デビーディングモジュール。
(項目25)
前記多孔質の回転膜のポアサイズが、デビーディングされるべき粒子のサイズより大きく、デビーディングするべき細胞のサイズより小さい、項目23に記載の回転膜デビーディングモジュール。
(項目26)
非結合細胞製品を作製するために、常磁性粒子結合細胞を含む細胞懸濁液をフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って流すステップを含むフロースルー式細胞処理の方法であって、
前記流すステップにより、前記常磁性粒子結合細胞が、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール内で動き続け、
前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールが、
前記細胞懸濁液が通って流れる壁によって画定されたフローチャンバと、
少なくとも1つの壁に隣接または近接して配置された少なくとも2つの磁石と
を備える、方法。
(項目27)
前記細胞懸濁液が、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って層流で流される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記細胞懸濁液が、非結合細胞をさらに含み、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールに前記細胞懸濁液を流すことで、前記常磁性粒子結合細胞および前記非結合細胞を分離する、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記細胞懸濁液が、遊離の常磁性粒子をさらに含み、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールに前記細胞懸濁液を流すことで、前記遊離の常磁性粒子および前記非結合細胞を分離する、項目28に記載の方法。
(項目30)
戻りループを使用して、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って前記分離された非結合細胞を2回目または引き続く時間に流すステップをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目31)
戻りループを使用して、前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って前記分離された常磁性粒子結合細胞を2回目または引き続く時間に流すステップをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目32)
前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール内で前記常磁性粒子結合細胞を前記2回目または引き続く時間の間にデビーディングして、常磁性粒子およびデビーディングされた非結合細胞を得るステップをさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを通って前記作製された常磁性粒子およびデビーディングされた非結合細胞を3回目または引き続く時間に流して、前記常磁性粒子および前記デビーディングされた非結合細胞を分離するステップをさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記磁石が、流れ方向を横切る1つのゼロ勾配線を確立するように配向され、常磁性粒子結合細胞が、1つの方向にのみ前記ゼロ勾配線へ引っ張られるが、2つの他の方向では前記2つの磁石の磁気力によって影響されない、項目26に記載の方法。
(項目35)
前記チャンバが、
任意の常磁性粒子が通って前記フローチャンバに入る磁性入口と、
非磁性入口と、
前記非磁性入口に対向する磁性出口と、
前記磁性入口に対向する非磁性出口と、をさらに備え、前記ゼロ勾配線が、すべての常磁性粒子およびあらゆる結合細胞を前記磁性出口へ向ける、項目26に記載の方法。
(項目36)
前記細胞懸濁液が、非結合細胞をさらに含み、非磁性入口が、前記磁性入口より大きく、前記非磁性出口が、磁性出口より大きく、前記非磁性入口から流れる流体が、前記非磁性出口を横切り、任意の非結合細胞が前記磁性出口内へ流れるのを防止する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記細胞懸濁液が、非結合細胞をさらに含み、前記非磁性入口および磁性入口が、実質的に同じサイズであるか、または前記非磁性出口および磁性出口が、実質的に同じサイズであるか、または両方であり、前記入口に入る前記流体のそれぞれの流速、前記出口から出る前記流体の前記それぞれの流速、または両方が、前記非磁性入口から流れる流体が前記非磁性出口を横切り、任意の非結合細胞が前記磁性出口内へ流れるのを防止するように調整される、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記非結合細胞製品を作製するために、回転膜デビーディングモジュールを通って前記常磁性粒子結合細胞を流すステップをさらに含み、前記回転膜デビーディングモジュールが、
前記常磁性粒子結合細胞が通って流れる円筒形デビーディングチャンバであって、円筒形の側壁によって部分的に画定され、同軸の回転膜を収容するチャンバと、
前記円筒形のデビーディングチャンバ内に少なくとも1つのゼロ勾配線を確立するように前記円筒形の側壁に隣接または近接して配置された少なくとも1つの磁石とを備える、項目26に記載の方法。
(項目39)
前記非結合細胞製品を作製するために、前記常磁性粒子結合細胞を磁性カラムモジュール通って流すステップをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目40)
前記常磁性粒子結合細胞または前記非結合細胞製品を細胞洗浄モジュールを通って流すステップをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目41)
前記常磁性粒子結合細胞または前記非結合細胞製品を培地交換モジュールを通って流すステップをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目42)
前記常磁性粒子結合細胞または前記非結合細胞製品を細胞濃縮モジュールを通って流すステップをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目43)
細胞療法組成物を製造する方法であって、
細胞集団を、前記細胞集団内の1つまたは複数の細胞タイプを増殖することを助ける1つまたは複数の作用物質で被覆された常磁性粒子に接触させるステップと、
前記細胞集団内の細胞内へ核酸を導入するステップと、
前記細胞集団内で細胞を増殖するステップと、
項目26~42のいずれかに記載の方法によって、または項目1~16のいずれかに記載のシステム、もしくは項目17~25のいずれかに記載のモジュールを使用して、前記細胞集団をデビーディングするステップと、
前記細胞集団を細胞療法のために製剤化するステップと、を含む方法。
(項目44)
1つまたは複数の細胞タイプを増殖させるのを助ける前記1つまたは複数の作用物質が、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片、およびそれらの組合せを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記核酸が、レンチウイルスまたはmRNAトランスダクションによって導入される、項目43または44に記載の方法。
(項目46)
前記細胞療法が、キメラ抗原受容体T細胞療法である、項目43~45のいずれかに記載の方法。
(項目47)
前記細胞療法が、抗CD19キメラ抗原受容体T細胞療法である、項目46に記載の方法。
本開示のより完全な理解および利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって得ることができる。添付の図面は原寸に比例したものではない。添付の図面では、同様の数字は同様の特徴を指す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A図1Aは、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを有する細胞処理システムの概略図である。
図1B図1Bは、複数のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを並列で有する細胞処理システムの概略図である。
図1C図1Cは、複数のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを直列で有する細胞処理システムの概略図である。
図1D図1Dは、戻りループを有する細胞処理システムの概略図である。
図1E図1Eは、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールに別個に接続された細胞懸濁液および緩衝剤モジュールを有する細胞処理システムの概略図である。
図1F図1Fは、回転膜デビーディングモジュールを含む細胞処理システムの概略図である。
図1G図1Gは、複数のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールおよび複数の回転膜デビーディングモジュールを含む細胞処理システムの概略図である。
図1H図1Hは、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを有する細胞処理システムの別の概略図である。
図2A図2Aは、x配向の磁石構成にあるフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの横断方向の断面概略図である。
図2B図2Bは、図2Aのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの半透明の3次元概略図である。
図3図3は、膜およびサブ膜の流体注入ポートを有するフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの長手方向の側面断面概略図である。
図4A図4Aは、ゼロ勾配構成にあるフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの横断方向の断面概略図である。
図4B図4Bは、図4Aのフロースルー式の磁気分離/デビーディングモジュールの半透明の3次元概略図である。
図4C図4Cは、ゼロ勾配フィルタを作製するためのゼロ勾配構成にあるフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの長手方向の上面断面概略図である。
図4D図4Dは、複数のゼロ勾配フィルタを作製するための複数ゼロ勾配構成にあるフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの長手方向の上面断面概略図である。
図5A図5Aは、回転膜デビーディングモジュールの長手方向の断面概略図である。
図5B図5Bは、第1の磁石構成を有する回転膜デビーディングモジュールの横断方向の断面概略図である。
図5C図5Cは、第2の磁石構成を有する回転膜デビーディングモジュールの横断方向の断面概略図である。
図6図6は、細胞にかかる流体力および磁気力の図である。
図7AB図7A図7B、および図7Cは、磁気分離中に細胞が存在している図2Bのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの図である。
図7C図7A図7B、および図7Cは、磁気分離中に細胞が存在している図2Bのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの図である。
図8A図8Aおよび図8Bは、磁気デビーディング中に細胞が存在している図2Bのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの図である。
図8B図8Aおよび図8Bは、磁気デビーディング中に細胞が存在している図2Bのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの図である。
図9図9は、図2Aおよび図2Bのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールを使用したデビーディングの結果と、従来のストップフロー式モジュールを使用したデビーディングの結果とを比較するグラフである(ボックスは4分位数および中央値を表す)。
図10A図10Aは、モジュール入口(左)近傍およびモジュール出口(右)近傍に常磁性粒子結合細胞が存在しているフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの長手方向の上面x-y断面概略図である。
図10B図10Bは、モジュール入口(左)近傍およびモジュール出口(右)近傍に常磁性粒子結合細胞が存在しているフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの長手方向の側面断面概略図である。
図11図11は、常磁性粒子結合細胞および非結合細胞の磁気分離中の図4Aのものに類似しているフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの図である。
図12図12は、常磁性粒子結合細胞および非結合細胞の磁気分離中に細胞が存在している図4Cのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの図である。
図13図13は、デビーディングされた非結合細胞からの常磁性粒子の磁気分離中に細胞が存在している図4Cのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールの図である。
図14図14は、デビーディング中に細胞が存在している図5の回転膜デビーディングモジュールの図である。
図15図15は、入力細胞数の関数として非フロースルー式デビーディングプロセスおよびフロースルー式デビーディングプロセスに対する採取収率のグラフである。
図16図16は、入力細胞数の関数として非フロースルー式デビーディングプロセスおよびフロースルー式デビーディングプロセスに対する採取収率の棒状グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(詳細な説明)
本開示は、細胞懸濁液中の常磁性粒子の存在下における常磁性粒子結合細胞または非結合細胞のフロースルー式分離、デビーディング、常磁性粒子分離、またはこれらの任意の組合せのためのシステムおよび方法に関する。これらのシステムおよび方法は、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール、回転膜デビーディングモジュール、または両方を使用する。本明細書に記載するシステムおよび方法は、任意のタイプの細胞から常磁性粒子を除去するために使用することができるが、細胞療法で使用される細胞から常磁性粒子を除去する際の使用に特によく適合されている。加えて、本説明のいくつかの部分は、デビーディングが典型的に正の選択方法中にのみ実行されるため、常磁性粒子結合細胞の正の選択に的を絞っているが、これらのシステムおよび方法はまた、負の選択に使用することもできる。負の選択に使用されるとき、典型的には、任意のデビーディングモジュールおよびステップは省かれ得る。
【0033】
(分離およびデビーディングシステムおよびモジュール)
図1Aは、細胞懸濁液中の常磁性粒子結合細胞のフロースルー式分離、デビーディング、常磁性粒子分離、またはこれらの任意の組合せのための細胞処理システム2の概略図である。システム2は、細胞懸濁液モジュール4、緩衝剤モジュール6、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8、非磁性出力モジュール10、および磁性出力モジュール12を含む。システム2はまた、任意選択で、少なくとも1つの追加のモジュール16、少なくとも1つの戻りループ14、または両方を含むことができる。
【0034】
システム2は加えて、チューブもしくはホースなどの流体導管、コネクタ、バルブ、スイッチ、クランプ、溶接部、ハウジング、モータ、ポンプ、他の機械的機構、回路、監視デバイス、および制御デバイスを含むことができる。システム2は、システム2またはその任意の構成要素を制御してフロースルー式分離プロセス、フロースルー式デビーディングプロセス、フロースルー式常磁性粒子分離プロセス、またはこれらの任意の組合せを実行させるようにプログラムされたコンピュータをさらに含むことができる。
【0035】
システム2は、静的構成を有することができ、または適合可能な構成を有することができる。1つの適合可能な構成は、モジュールの交換または追加のモジュールの挿入を可能にすることができる。別の適合可能な構成は、変更できないモジュールのセットを有することができるが、モジュールの少なくとも1つに対する流体経路指定の変更を可能にすることができる。他の適合可能な構成は、モジュールの交換および追加と流体経路指定の変更の両方を可能にすることができる。システム2の構成要素は、適合可能な構成を容易にすることができる。たとえば、システム2内のプログラムされたコンピュータは、どのモジュールが存在するか、またはそれが流体経路指定を制御することがで得るかに関する情報を検出もしくは使用することができる。加えて、システム2は、同じ位置での異なるモジュールの除去または挿入を可能にする添付のコネクタ、バルブ、クランプ、またはスイッチを備えたハウジングまたは流体導管を有することができる。モジュールまたは他の構成要素は、それらの有無を自動的に検出することを可能にするために、バーコードまたは無線周波識別(RFID)チップなどの識別要素を収容することができる。モジュールまたは他の構成要素はまた、良好な製造慣行および他の安全基準に対する準拠を確保することができる1つまたは複数の指示要素を含むことができる。たとえば、温度感受性の指示要素は、モジュールもしくは他の構成要素が加熱滅菌されたこと、またはその完全性もしくは有効性を損ない得る温度にさらされていないことを示すことができる。指示要素はまた、使用されたモジュールまたは他の構成要素をはっきりと識別することができる。指示要素はまた、システム2によって自動的に検出することができ、それにより人的エラーを最小にするのに役立つ。
【0036】
特定のプロセスにとって必要ないシステム2の構成要素は、不在とすることができ、切断することができ、または閉鎖することができる。たとえば、別個の非磁性出力モジュール10および磁性出力モジュール12ではなく、図1Hに示すように、単一の出力モジュールが存在することもできる。加えて、やはり図1Hに示すように、システム2の構成要素は、バルブ、クランプ、溶接部、スイッチ、およびコネクタの構成に応じて、図1Aに示すものとは異なる経路および接続を有する流体導管を有することができる。
【0037】
細胞懸濁液モジュール4は、懸濁流体中に懸濁している分離またはデビーディングすべき細胞を収容する。これらの細胞が分離される場合、典型的には、細胞懸濁液は、常磁性粒子結合細胞と非結合細胞の両方を含有する。常磁性粒子結合細胞は望ましい細胞である可能性があり、その場合、常磁性粒子結合細胞に対する正の選択がシステム2内で行われ、または常磁性粒子結合細胞は望ましくない可能性があり、その場合、常磁性粒子結合細胞に対する負の選択が行われる。
【0038】
細胞がデビーディングされる場合、または常磁性粒子が細胞から分離される場合、常磁性粒子結合細胞は望ましい細胞である。これらの細胞は、システム2または別のシステムを使用して、望ましくない細胞から事前に分離されている可能性がある。望ましくない細胞の存在が問題にならないまたは分離すべき望ましくない細胞が存在しない例では、デビーディングすべきこれらの細胞は、分離プロセスを事前に受けていない可能性がある。
【0039】
細胞は、血液などの生物試料または細胞培養から直接得ることができる。
【0040】
懸濁流体は、分離、デビーディング、または粒子除去プロセス全体にわたって、細胞の生存能力を支持することが可能な任意の流体であり得る。たとえば、懸濁流体は、培養培地、DMSO含有流体などの凍結剤、設定もしくは制御されたpHを有する別の流体、または栄養分を有する別の流体であり得る。懸濁流体はまた、緩衝剤であり得、これは緩衝剤モジュール6内の緩衝剤と同じであっても異なってもよい。懸濁流体は、緩衝剤とは異なる粘性を有することができる。懸濁流体はまた、細胞がシステム2に入る培地とは異なる粘性を有することができ、これは高密度フィコールなど、非常に高密度であり得る。
【0041】
緩衝剤モジュール6内の緩衝剤は、懸濁流体が細胞の生存能力を引き続き支持することを可能にしながら懸濁流体と組み合わせることができる任意の流体とすることができる。たとえば、緩衝剤は、設定または制御されたpHを有することができる。緩衝剤は、1つまたは複数の細胞適合性の塩を含むことができる。緩衝剤は、緩衝剤モジュール6内に別個に提供されているが、緩衝剤が細胞懸濁液と混合された後は懸濁流体の一部と見なされる。
【0042】
懸濁流体または緩衝剤は、抗菌剤を含有することができるが、典型的には、細胞が後に患者に提供される場合、システム2が回転膜デビーディングモジュールもしくは別のモジュールなどを介してこれらの抗菌剤を除去しない限り、または追加のプロセス、モジュール、もしくはシステムによって抗菌剤が後に除去されない限り、抗菌剤を含有しない。
【0043】
常磁性粒子は、金属または金属合金などの任意の常磁性および/または磁化可能な材料から形成することができる。典型的には、常磁性材料は、細胞もしくは後にそれらの細胞を受け取る患者にとって有毒ではなく、または毒性を回避するために被覆されている。常磁性材料は、高い飽和磁束密度(m)を実現するように選択することができる。概して、どの常磁性材料が適しているかは、これらの要素が常磁性材料を磁気飽和に駆動することに影響するため、システム2内で使用される磁石および磁石を使用するモジュールの構成によって影響される。
【0044】
常磁性粒子は、結合剤、たとえば、成長因子、受容体もしくはリガンド、抗原、抗体、またはキメラ抗原受容体リガンドなどのそれらの任意の結合性断片もしくはキメラバリアントで被覆することができる。結合剤は、いくつかの例では、可逆性を有することができ、自発的にまたは特定の化学薬品を使用して常磁性粒子を切り離すことを可能にする。結合剤はまた、光切断性リンカーを含むことができ、その場合、システム2は、リンカーの光切断ならびに細胞および常磁性粒子の分離を可能にするために、光源、特に高出力光源をモジュールまたは別のモジュールの一部として含むことができる。いくつかの例では、被覆は、細胞と相互作用することができる。他の例では、被覆は、除去すべき、細胞懸濁液の少なくとも1つの望ましくない成分と相互作用することができる。この望ましくない成分は、活性または不活性であり得、事前に細胞または細胞懸濁液流体に対して有用な機能を担っていた可能性がある。例示的な望ましくない成分には、抗体、増殖因子、他のタンパク質、およびポリマーが含まれる。
【0045】
いくつかの細胞懸濁液には、異なる結合剤を有するか、または異なる磁性材料から形成された粒子などの異なるタイプの常磁性粒子が存在することができ、結合剤の複雑な分離または反復除去を可能にする。さならる任意の結合剤で被覆することができる追加の非常磁性粒子も、細胞に結合することができる。
【0046】
常磁性でない他の粒子もまた、細胞懸濁液内に存在することができ、常磁性粒子を被覆するために使用される任意のもので被覆することができる。
【0047】
モジュールは、細胞貯蔵バッグなどの任意の生物学的に適合している材料から形成することができ、またはそのような材料で裏打ちすることができる。細胞懸濁液または緩衝剤に接触するシステム2の流体導管および任意の他の構成要素もまた、任意の生物学的に適合している材料から形成することができ、またはそのような材料で裏打ちすることができる。
【0048】
細胞懸濁液または緩衝剤に接触するシステム2の構成要素は、細胞懸濁液に接触する前に滅菌することができる。
【0049】
システム2の構成要素は、使い捨てとすることができる。細胞懸濁液に接触する構成要素は特に、汚染および滅菌性の問題を回避するために、使い捨てとすることができる。
【0050】
図2Aは、x配向の磁石構成にあるフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8の横断方向の断面概略図であり、図2Bは、同じ構成にある同じ磁気分離モジュール8の半透明の3次元概略図である。フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、壁52によって画定されたフローチャンバ50を含む。外部の双極子磁石54が、磁力線56を生じさせる。磁石54は、可動プラットホーム60上に収納される。フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、入口62および出口64をさらに含み、入口62および出口64を介して、モジュール8を通ってy方向に細胞懸濁液を流すことができる。
【0051】
図2Aおよび図2Bは、磁石54の1つのアレイを示すが、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、図4Aに示すように、2つまたはそれ超のアレイを有することができ、アレイ内に3つ以上の磁石を有することができる。加えて、磁石54は、恒久的な位置におくことができ、その場合、分離/デビーディングモジュール8は、可動プラットホーム60を欠くことができ、または可動フローチャンバ50を有することができる。さらに、磁石54は、x配向の構成で示されているが、y配向またはx-yを横切る配向を含めて、x-y平面内で任意の角度とすることができる。
【0052】
入口62および出口64は、チャンバ50を通る細胞懸濁液の層流を確立するのに十分な任意の構成を有することができる。入口の幾何学的形状、出口の幾何学的形状、および流速はすべて、チャンバ50を通る細胞懸濁液の流れに影響する。いくつかの例では、乱流も許容可能であり得る。
【0053】
壁52は、剛性の構造とすることができ、または可撓性を有することができる。たとえば、壁52は、細胞貯蔵バッグまたは他の類似の構成要素の壁とすることができる。壁52が可撓性を有するとき、z方向におけるチャンバ50の寸法は、チャンバ50を通る細胞懸濁液の流速に応じて変動することができる。
【0054】
z方向におけるチャンバ50の寸法は、5μm~100μm、5μm~500μm、もしくは5μm~1000μm、5μm~1cm、または概して100μm、500μm、1000μm、もしくは1cmもしくはそれ未満とすることができる。x、y、およびz方向の両方における寸法は、チャンバ50を通って細胞または常磁性粒子を動かすのに十分に高い流体力を実現するように制限することができる。
【0055】
磁石54は、高い磁界強度を有することができる。たとえば、磁石54は、コバルトなどの別の金属で合金化されたネオジウムまたはサマリウムなどの希土類金属を含有することができる。磁石54は、図示のように双極子磁石とすることができ、または4極子磁石などの他のタイプの磁石とすることができる。磁石54は、調整可能な磁界強度を有することができる。たとえば、磁石54は、電磁石とすることができる。磁石54は、チャンバ50の同じ側で磁石に対する磁気引力を最大にし、チャンバ50の対向する側で磁石に対する磁気反発を最大にし、またはその両方になるように配置することができる。図2Aは、特定の磁石構成を示すが、実現すべき効果に応じて、磁石の極性が逆であるか、または調和した構成を使用することもできる。
【0056】
図3は、サブ膜の流体注入ポート72および磁石54の上に位置する膜70を有するフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8の長手方向の側面断面概略図である。緩衝剤モジュール6または別の流体モジュールからの流体は、膜70近傍に位置する細胞をデビーディングするのを助けるために、流体注入ポート72を通って導入することができる。
【0057】
可動プラットホーム60は、z方向に可動とすることができ、図2Aおよび図2Bに示すようにチャンバ50に隣接する位置またはチャンバ50に近接する位置(図示せず)から、チャンバ50から離れた位置(図7Cに示す)へのz方向における磁石54の動きを可能にする。たとえば、チャンバ50から離れた位置は、最も近い壁52から少なくとも1cmとすることができる。離れた位置は、磁石54が磁界を介してチャンバ50内の常磁性粒子に実質的な影響を与えるのを防止するのに十分である。磁石54とチャンバ50との間に磁気絶縁材料が挿入された場合、この位置距離は、実質的により小さくすることができる。磁石54が調整可能な磁界強度を有する場合、チャンバ50内の常磁性粒子に与える実質的な影響を回避するために、磁石54を動かすのではなく、より低い磁界強度またはゼロの磁界強度へ単に調整することができる。
【0058】
特にゼロ勾配構成を使用するとき、モジュール8は、図4Aおよび図4Bに示すように、磁石54の上部アレイおよび磁石54の下部アレイを有することができる。可動プラットホーム60は、x-y平面内で回転可能とすることができ、または磁石54は、図4Cのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8の長手方向の上面断面概略図に示すものなど、磁石54がx-yを横切る配向の構成であるように、恒久的に配向することができる。ゼロ勾配構成で使用する場合、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、2つの入口62、非磁性入口62aおよび磁性入口62b、ならびに2つの出口64、磁性出口64aおよび非磁性出口64bを有することができる。この例では、モジュール8が使用されているとき、x-yを横切る配向の方向にあるゼロ勾配線58は、ゼロ勾配フィルタを形成する。図4Dに示すように、追加の磁石54を含むことで、同じモジュール8内に2つのゼロ勾配線58aおよび58bを提供することができ、それにより異なる出口64aおよび64bへの異なる常磁性粒子の分離を可能にし、またはバックアップフィルタを提供する。
【0059】
ゼロ勾配線58は、図2Aおよび図2Bに示すように、磁石54が隣接しているのではなく互いから十分に隔置されている場合、x方向の寸法を有するゼロ勾配帯とすることができる。
【0060】
フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュールとともに使用するための磁石は、細胞懸濁液が流れるチャンバの外部に位置することができるか、またはチャンバの内部に位置することができる。磁石が内部にある場合、これらの磁石を生体適合材料で被覆することができる。特に磁石が内部にある場合、これらの磁石を使い捨て可能とすることができる。
【0061】
図1Bは、複数のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8a、8b、および8cを並列で含む細胞処理システム2の概略図である。3つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8のみが示されているが、複数は、3つ以上の任意の数とすることができる。フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8が並列であるとき、これらのモジュールは、典型的には、各モジュールによって同じ機能が実行されるように、同じタイプであって、かつ同じ構成であり得る。並列のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、追加のモジュールと組み合わせたとき、急速な細胞懸濁液の処理または流体体積の管理にとって特に有用となることができる。加えて、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を並列に配置することで、モジュールがすべて同時に使用されるため、流体流の制御に柔軟性が提供される。
【0062】
図1Cは、複数のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8a、8b、および8cを直列で含む細胞処理システム2の概略図である。3つのフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8のみが示されているが、複数は、3つ以上の任意の数とすることができる。フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8が直列であるとき、これらは、各モジュールによって同じ機能が実行されるように、同じタイプであって、かつ同じ構成であり得るが、典型的には、これらは、各モジュールによって異なる機能が実行されるように、異なる同じタイプおよび構成である。たとえば、モジュール8aは、常磁性粒子結合細胞および非結合細胞を分離することができ、モジュール8bは、常磁性粒子結合細胞をデビーディングすることができ、モジュール8cは、より大きい磁界勾配下で常磁性粒子結合細胞をデビーディングすることができる。
【0063】
図1Dは、戻りループ14が常磁性粒子結合細胞を再びフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を通るように方向付ける細胞処理システム2の概略図である。そのようなシステムは、戻りループ14のない類似のシステムと比較すると、常磁性粒子結合細胞および非結合細胞のより良好な分離、または非結合細胞および常磁性粒子のより良好なデビーディングもしくは分離を実現するために使用することができる。流体は、バルブまたはスイッチによって戻りループ14または磁性出力モジュール12へ方向付けることができる。
【0064】
図1Eは、細胞懸濁液モジュール4および緩衝剤モジュール6がフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8に別個に接続された細胞処理システム2の概略図である。そのようなシステムは、図5に図示し、それに関して説明したように、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8がx-yを横切る配向の構成で2つの入口62および2つの出口64ならびに磁石54を有するとき、特に有用であり得る。
【0065】
図1Fは、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8の下流に位置する回転膜デビーディングモジュール18を有する細胞処理システム2の概略図である。回転膜デビーディングモジュール18は、廃棄物出力モジュール20および細胞出力モジュール22に接続される。このシステム2では、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、常磁性粒子結合細胞および非結合細胞を分離し、その一方、回転膜デビーディングモジュール18は、すべてのデビーディングを行い、またはフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8も同様にデビーディングを行うことができる。任意選択で、回転膜デビーディングモジュール18内の懸濁流体に化学薬品などの試薬が追加される場合、試薬モジュール24が存在することができる。図1Fには1つの回転膜デビーディングモジュール18が示されているが、システム2は、複数のモジュール18を直列または並列で含むことができる。モジュール18が直列であるとき、化学薬品への細胞の曝露を最小にするために、最後のモジュール18にのみ化学薬品を追加することができる。
【0066】
試薬モジュール24内の試薬は、粒子と細胞との間の結合を弱くする任意の化学薬品とすることができる。粒子は、常磁性粒子とすることができ、または非常磁性粒子とすることができる。
【0067】
図5Aは、回転膜デビーディングモジュール18の長手方向の断面概略図である。このモジュール18は試料入口80を含み、試料入口80は、細胞懸濁液流体が円筒形のデビーディングチャンバ82内へ流れることを可能にし、デビーディングチャンバ82は、円筒形の側壁84によって部分的に画定されており、同軸方向に配向された円筒形の回転膜86を収容する。壁84は外部が磁石88で裏打ちされている。デビーディングチャンバ18は、回転膜86を通過した流体が廃棄物出力モジュール20を介して出ることを可能にし、その一方、残りの流体および細胞は、細胞出力モジュール22を通って出る。回転膜86の平均ポアサイズは、細胞の平均直径より小さいが、デビーディングによって除去すべき非常磁性粒子より大きい。平均ポアサイズはまた、除去すべき任意の常磁性粒子より大きくすることができ、主要な粒子除去方法として、または磁気除去に対するバックアップとして、回転膜によるこれらの常磁性粒子の除去を可能にする。
【0068】
磁石88は、図5Bに示すように、壁84を実質的に取り囲むことができ、または図5Cに示すように、壁84に沿って間隔をあけることができる。磁石88は、図5A図5Cに示すように壁88に隣接または壁88に近接する位置(図示せず)から、壁84から離れた位置へ、磁石88を動かすことを可能にするように、可動プラットホーム上に取り付けることができる。たとえば、離れた位置は、壁84から少なくとも1cmとすることができる。離れた位置へのこの動きは、磁石88がそれらの磁界を介してチャンバ82内の任意常磁性粒子に実質的な影響を与えるのを防止する。磁石88とチャンバ82との間に磁気絶縁材料が挿入された場合、離れた位置は、磁気絶縁材料が存在しなかった場合より小さくすることができる。磁石88が調整可能な磁界強度を有する場合、チャンバ82内の任意の常磁性粒子に与える実質的な影響を回避するために、磁石88を動かすのではなく、より低い磁界強度またはゼロの磁界強度へ単に調整することができる。
【0069】
図5には複数の磁石88が示されているが、単一の磁石88のみを有することも可能である。
【0070】
磁石88は、高い磁界強度を有することができる。たとえば、磁石88は、コバルトなどの別の金属で合金化されたネオジウムまたはサマリウムなどの希土類金属を含有することができる。磁石88は、双極子磁石、4極子磁石、または任意の他のタイプの磁石とすることができる。磁石88は、調整可能な磁界強度を有することができ、たとえば電磁石とすることができる。磁石88は、磁気引力を最大にするように、たとえば巻き付けた構成で配置することができる。
【0071】
回転膜モジュールとともに使用するための磁石は、細胞懸濁液が流れるチャンバの外部に位置することができ、またはチャンバの内部に位置することができる。磁石が内部にある場合、これらの磁石を生体適合材料で被覆することができる。特に磁石が内部にある場合、これらの磁石を使い捨て可能とすることができる。
【0072】
本明細書に開示するモジュールで使用するのに適した例示的な回転膜には、LOVO(登録商標)の細胞処理システム(Fresenius Kabi、Fenwal、Lake Zurich、IL)で使用される4μmトラックがエッチングされたポリカーボネート回転膜、およびISOLEX(登録商標)の磁気細胞分離システム(Baxter、Deerfield、IL)で使用される回転膜が含まれる。
【0073】
図2~4に示すフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8または図5に示す磁気回転膜デビーディングモジュール18を含む図1A図1Fからの要素は、実行すべき特有の細胞処理に応じて、細胞処理システム2内で互いに組み合わせることができる。これらの要素は、図示のように、または他の妥当な変形形態で、組み合わせることができる。たとえば、他の要素に関して図1Aに示すシステム内に、別様に試薬モジュール24を含むことができ、その結果、デビーディングに使用されるとき、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8内の懸濁流体に化学薬品を追加することができる。特にモジュール8および18内で、適切な流体体積および流速を確保するために、追加の緩衝剤モジュールまたは出力モジュールを含むモジュールを配置および使用することができる。
【0074】
図1Gには、複数のモジュールおよびループを組み合わせる1つの例示的な細胞処理システム2が示されている。このシステムは、第1のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8aに接続された細胞懸濁液モジュール4および緩衝剤モジュール6aを含み、第1のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8aは、非磁性出力モジュール10aおよび磁性出力モジュール12aを有する。磁性出力モジュール12aは、第2の直列フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8bに接続され、第2の直列フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8bはまた、緩衝剤モジュール6bに接続されており、非磁性出力モジュール10bおよび磁性出力モジュール12、ならびに戻りループ14aを有する。戻りループ14aは、戻ってモジュール8bに至る。磁性出力モジュール12bは第1の回転膜デビーディングモジュール18aにつながり、第1の回転膜デビーディングモジュール18aは、廃棄物出力モジュール20aおよび細胞出力モジュール22aを有する。細胞出力モジュール22aは、第2の直列回転膜デビーディングモジュール18bにつながり、第2の直列回転膜デビーディングモジュール18bはまた、試薬モジュール24ならびに廃棄物出力モジュール20b、戻りループ14b、および細胞出力モジュール22bに接続されている。戻りループ14bは、戻って第2の直列フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8bに至る。
【0075】
図1Hには、特有の流体導管を備えた様々な追加のモジュールを有する別の例示的な細胞処理システム2が示されている。細胞懸濁液モジュール4および衛星モジュール30が、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8に接続されており、衛星モジュール30は、空のままとすることができ、または緩衝剤を収容することができる。フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、緩衝剤モジュール6および貯蔵モジュール26に別個に接続される。貯蔵モジュール26は、回収モジュール28にさらに接続される。多くの接続が、スパイク管材32を使用して設けられる。システムは、様々な流体導管に沿って、ローラクランプ34、溶接部位36、スライドクランプ38、およびピンチクランプ40をさらに収容する。
【0076】
細胞処理システム2は、磁性カラム、他の物理的分離モジュール、細胞洗浄モジュール、細胞濃縮モジュール、および培地交換モジュールなどの様々な追加のモジュール16を収容することができる。
【0077】
(細胞分離およびデビーディング方法)
システム2は、フロースルー式プロセスにおいて、常磁性粒子結合細胞および非結合細胞の分離、磁性粒子結合細胞のデビーディング、常磁性粒子および非結合細胞の分離、またはこれらの任意の組合せを行うために使用することができる。フロースルー式プロセスでは、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8内にある間はすべての細胞が動き続ける。モジュール8を通過した常磁性粒子結合細胞のうち、壁52に沿って止まるのは、ゼロ、0.01%以下、もしくは0.05%以下、または1%以下である。
【0078】
(フロースルー式の磁気分離/デビーディングプロセス)
図1Aのシステムを使用するフロースルー式プロセスでは、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、任意選択で、モジュール8を通って緩衝剤モジュール6からの緩衝剤を非磁性出力モジュール10もしくは磁性出力モジュール12または別の出力もしくは追加のモジュール16へ流すことによって、プライミングすることができる。常磁性粒子結合細胞を含有する細胞懸濁液が、モジュール8を通って流される。
【0079】
システム2が分離のために構成される場合、細胞懸濁液は、非磁性出力モジュール10に方向付けられる。モジュール8は、緩衝剤6からの緩衝剤がモジュール8を通って磁性出力モジュール12へ流れる間に常磁性粒子を引き付けないように、周期的に構成することができる。細胞のより良好な分離および高純度の磁性または非磁性細胞製品を確実にするために、細胞懸濁液は、モジュール8を2回目または引き続く通過のために、ループ14を通って方向付けることができる。常磁性粒子結合細胞は、デビーディングのために構成されたフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8または回転膜デビーディングモジュール18などの追加の構成要素16に方向付けることができる。
【0080】
システム2がデビーディングのために構成される場合、モジュール8を通って流れた後、細胞懸濁液は、非磁性出力モジュール10へ方向付けられる。別法として、細胞懸濁液は、非磁性出力モジュール10へ方向付けられる前に、モジュール8を2回目または引き続く通過のために、ループ14を通って方向付けられることができる。
【0081】
フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を使用するプロセスは、少なくとも1つの結合された常磁性粒子102を有する各常磁性粒子結合細胞100を、流体力(せん断力または流体抵抗)104にかける。各細胞100はまた、図6に示すように、磁気力106にかけられる。常磁性粒子102が常磁性粒子結合細胞100に結合されたままになるように流体力104および磁気力106を組み合わせて、細胞100を非結合細胞から分離することを可能にすることができる。流体力104および磁気力106はまた、常磁性粒子102を常磁性粒子結合細胞から切り離すように組み合わせて、細胞100のデビーディングを可能にすることもできる。拡散および重力などの2次的な力もまた、常磁性粒子102に作用するが、デビーディングに対するそれらの影響は、典型的には、流体力および磁気力よりはるかに小さく、モジュールを通る適切な流速を計算するときに無視されることが多い。
【0082】
システム2は、概して、可能な限り迅速に、望ましい細胞がモジュールの通過にかけられなくなるように構成することができ、それにより細胞の損傷を低減させる。たとえば、デビーディング構成では、磁性出力モジュール12のみが、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8への戻りループを収容することができ、それにより、より容易にデビーディングされた細胞が、より強固に結合された常磁性粒子を有する細胞より少ない回数だけ、モジュール8を通過することを可能にする。
【0083】
フロースルー式モジュール8は、層流または乱流とすることができる。磁気力106は、常磁性粒子102の飽和磁束(m)によって影響される。磁気力106はまた、常磁性粒子102がさらされる磁界56の強度によって影響され、これは、磁石54の強度ならびにz方向におけるチャンバ50の深さ、およびそのチャンバ内の細胞100の位置によって影響される。磁気力106は、チャンバ50を通って動くときに常磁性粒子102がさらされる磁界勾配によってさらに影響され、これは、磁石54の強度および配置ならびに磁石54に対する常磁性粒子102の位置によって影響される。
【0084】
加えて、流体力は、流体の流速によって影響され、これは、典型的には、チャンバの中心で最も速く、壁でゼロになる。これは、壁に付着した細胞が、常磁性粒子から切り離されるのに十分な流体力を受けることができず、壁に沿って位置する細胞が、ほとんど静止した状態になり、下流の細胞を流体力から遮蔽する可能性があることを意味する。この結果、望ましい細胞の損失が生じるが、これはチャンバ50を通って細胞懸濁液を連続して流すことによって回避される。この損失は、細胞が磁気力によって静止状態にならないフロースルー式の手法によって回避することができる。これはまた、流体の流速がチャンバ中で均一であるプラグフロー式モジュールなど、壁での速度がゼロまたはゼロ近傍にならないモジュールによって回避することができる。
【0085】
(フロースルー式分離プロセス)
フロースルー式分離プロセスは、図2Aおよび図2Bに示す構成のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を使用して行うことができる。流速は、流体力104および磁気力106により、常磁性粒子102が細胞100に結合したままでいることを可能にするようになっている。流速はまた、細胞100が流体力によって溶解されないようになっている。
【0086】
図7Aは、常磁性粒子結合細胞100および非結合細胞110がチャンバ50に入ったばかりのときの図2Bのモジュール8を示す。図7Bでは、細胞100は停止しているが、非結合細胞110は元の速度のまま進んでいる。図7Cでは、磁石が離され、細胞100は動き続けるが、非結合細胞110はチャンバ50から出ている。
【0087】
磁石54がチャンバ50に隣接または近接している間にチャンバ50から出た懸濁流体は、非磁性出力モジュール10に入る。周期的に、磁石54がチャンバ50から離れる方へ動かされている間に、細胞懸濁液モジュール4からの細胞懸濁液流を停止し、緩衝剤を緩衝剤モジュール6からチャンバ50内へ流して、常磁性粒子結合細胞100が緩衝剤によって磁性出力モジュール12内へ押し流されることを可能にする。
【0088】
このフロースルー式分離プロセスは、特にモジュール8を通って細胞の複数の通過を可能にするために繰り返されたとき、非磁性出力モジュール10に入る前に、常磁性粒子結合細胞100の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を細胞懸濁液から除去することができる。細胞がモジュール8を一度だけ通過する単一通過プロセスの場合、効率はより低くなることがある。たとえば、単一通過プロセスでは、モジュール8は、非磁性出力モジュール10に入る前に、常磁性粒子結合細胞100の少なくとも25%または少なくとも50%を細胞懸濁液から除去することができる。フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を通って非磁性出力または磁性出力を1回または複数回通過する結果、1%以下の非結合細胞110を有し、フロースルー式分離プロセス前に細胞懸濁液中に見られる常磁性粒子結合細胞100の少なくとも99%を含有する常磁性粒子結合細胞製品、1%以下の常磁性粒子結合細胞100を有し、フロースルー式プロセス前に細胞懸濁液中に見られる非結合細胞110の少なくとも99%を含有する非結合細胞製品、または両方を得ることができる。
【0089】
(フロースルー式デビーディングプロセス)
フロースルー式デビーディングプロセスはまた、図2Aおよび図2Bに示す構成のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を使用して行うことができる。流速は、流体力104および磁気力106により、細胞100がチャンバ50を通過している間に、細胞懸濁液中の細胞の平均で、少なくとも1つの常磁性粒子102が細胞100から切り離されるようになっている。流速はまた、細胞が流体力によって溶解されないようになっている。
【0090】
図8Aは、常磁性粒子結合細胞100aおよび100bがチャンバ50に入ったばかりのときの図2Bのモジュール8を示す。細胞100aは、1つの常磁性粒子102を有し、その一方、細胞100bは、2つの常磁性粒子102を有する。図8Bでは、1つの常磁性粒子102がそれぞれ、細胞100aと細胞100bの両方から切り離されて、壁52で静止しており、細胞100aおよび100bは、引き続きチャンバ50を通過している。細胞100aは、常磁性粒子102を有していないが、細胞100bは、1つの常磁性粒子102を保持している。細胞100bは、この第2の常磁性粒子102を除去するためにモジュール8を2回に通過することができる。別法として、モジュール8は、細胞100aがチャンバ50から出ていくのに対して、図7の常磁性粒子結合細胞と同様に、細胞100bがチャンバ50内に残るように構成することができる。
【0091】
このフロースルー式デビーディングプロセスは、常磁性粒子の少なくとも99%を細胞から除去することができる。
【0092】
磁性出力モジュール12からの再循環ループ14を収容するシステム2を使用して、CLT0119 T細胞をデビーディングしたとき、磁性出力内の細胞を緩衝剤モジュール6からの緩衝剤中に再懸濁させ、モジュール8を2回、次いで再び3回に通過させた。図9には、このプロセスの結果と従来のストップフロー式プロセスの結果との比較が提供されている。図9は、末端間収率を示し、これは、最終製品中の細胞の数と、デビーディングシステムに入った細胞の数との比である。
【0093】
図3に示すフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8は、図2Aおよび図2Bに示すモジュール8と同様に細胞をデビーディングするために使用することができる。ポート72を通って導入される流体は、膜70から細胞100を追い払うのに十分な力を細胞100に供給する。懸濁流体の速度が膜70近傍でゼロに近づくため、これらの細胞は、普通なら分離もしくはデビーディングされない可能性があり、または失われる可能性がある。
【0094】
このフロースルー式デビーディングプロセスもまた、常磁性粒子の少なくとも99%を細胞から除去することができる。
【0095】
(フロースルー式ゼロ勾配フィルタプロセス)
フロースルー式分離プロセスは、図4Aおよび図4Bに示す構成のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を使用して行うことができる。流速は、流体力104および磁気力106により、常磁性粒子102が細胞100に結合したままでいることを可能にするようになっている。流速はまた、細胞100がチャンバ50内で止まらず、流体力によって溶解されないようになっている。図10図13には、様々な構成が示されており、これらの構成は、異なるゼロ勾配フィルタプロセスで使用するために、たとえば入口62および出口64の数および比例サイズを調整するように、修正することができる。たとえば、異なるサイズの入口62および出口64を有することによって実現されるのと同じ効果がまた、同じサイズの入口および出口を通って、典型的にはポンプによって制御される異なる流速を提供することによって実現される。
【0096】
図10は、常磁性粒子結合細胞100がゼロ勾配構成でどのようにモジュール8を通って流れるかに関する基本的な説明を示す。図10Aに示すように、モジュール8に入った後の細胞100(左図)は、モジュール8からほぼ出る時点(右図)まで、ゼロ勾配線58に向かってx方向に引っ張られる。図10Aおよび図10Bに示すように、細胞100は、モジュール8に入るとき(左図)、または出口に近接したとき(右図)でも、y方向またはz方向においては磁気力の作用を受けない。
【0097】
図11は、図4Aに示すように磁石54が配向されたゼロ勾配モジュール8を示す。このモジュールでは、流体は、入口62を介して入る。磁性粒子102を有する細胞100は、ゼロ勾配線58をたどり、磁性出口64bへ方向付けられる。非結合細胞110は、ゼロ勾配線58によって影響されず、非磁性出口64aおよび64cへ流れる。この構成では、いくつかの非結合細胞110も磁性出口64bに入る。
【0098】
図12は、図4Cのモジュール8を通って動いている細胞を示す。常磁性粒子102を有する細胞100は、ゼロ勾配線58をたどり、磁性出口64aへ方向付けられる。非結合細胞110は、ゼロ勾配線58によって影響されず、非磁性出口64bへ流れる。したがって、ゼロ勾配線58は、すべての細胞が壁52の方へ押されることなくチャンバ50を通って動き続けることを可能にしながら、磁気フィルタとして作用する。図示のように、非磁性入口62aは磁性入口62bより大きく、非磁性出口64bは磁性出口64aより大きい。モジュール8内の流体流が層流である場合、非磁性入口62aからの流体は、非磁性出口64bまで横切り、それにより任意の非結合細胞110が磁性出口64aに入るのを防止する。この方法はまた、乱流でも使用することができるが、磁性出口64aへ進む非結合細胞の損失のため、効率は低くなる。
【0099】
このフロースルー式分離プロセスは、非磁性出力モジュール10に入る前に、常磁性粒子結合細胞100の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を細胞懸濁液から除去することができる。フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を通って非磁性出力または磁性出力のいずれかを複数回通過する結果、1%以下の非結合細胞11を有し、フロースルー式分離プロセス前に細胞懸濁液中に見られる常磁性粒子結合細胞100の少なくとも99%を含有する常磁性粒子結合細胞製品、1%以下の常磁性粒子結合細胞100を有し、フロースルー式プロセス前に細胞懸濁液中に見られる非結合細胞110の少なくとも99%を含有する非結合細胞製品、または両方を得ることができる。
【0100】
(フロースルー式のゼロ勾配常磁性粒子分離プロセス)
フロースルー式常磁性粒子分離プロセスはまた、図4Cに示す構成のフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8を使用して行うことができる。図13は、モジュール8を通って動いているデビーディングされた非結合細胞110および常磁性粒子102を示す。細胞110は、たとえば回転膜デビーディングモジュール18、非回転膜デビーディングモジュール、またはデビーディング構成の同じもしくは別個のモジュール8によって、事前にデビーディングされている。別法として、細胞110は、すでに常磁性粒子102の存在下にあるが、常磁性粒子102に結合されていない可能性もある。常磁性粒子102は、ゼロ勾配線58をたどり、磁性出口64aへ方向付けられる。デビーディングされた非結合細胞110は、ゼロ勾配線58によって影響されず、非磁性出口64bへ流れる。したがって、ゼロ勾配線58は、細胞110が任意の壁52に向かって押されることなくチャンバ50を通って動き続けることを可能にしながら、磁気フィルタとして作用する。
【0101】
このフロースルー式常磁性粒子分離プロセスは、ビーズの少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を細胞懸濁液から除去することができる。
【0102】
このプロセスは、常磁性粒子を除去するとともに、細胞懸濁液の望ましくない成分も同様に除去することができる。
【0103】
細胞分離プロセスおよび粒子分離プロセスについて上記では別個に説明したが、これらのプロセスをどちらも同じモジュールまたはシステム内で同時に行うこともできる。たとえば、分離モジュールは、典型的には、常磁性粒子結合細胞と遊離の常磁性粒子の両方を細胞懸濁液から除去し得る。
【0104】
(回転膜デビーディングプロセス)
図1Fのシステム2を使用するフロースルー式プロセスでは、分離された常磁性粒子結合細胞100は、図14に示すように、試料入口80を介して回転膜モジュール18内へ方向付けられる。デビーディングチャンバ82内で、回転膜86は、再循環するテイラー-クエット流を細胞懸濁液中に生成し、それにより、入口80から出口20および22へチャンバ82を通る流れによって生成される流体力に加えて、流体力を引き起こす。その結果、常磁性粒子102は依然として流体力および磁気力を受けるが、これらの力の関係およびこれらの力がどのようにデビーディングを引き起こすかは、モデル化するのが困難になる。しかし、流体力は、少なくとも回転膜80のサイズおよび回転速度、チャンバ82を通る細胞懸濁液の流速、ならびに懸濁流体の粘性によって影響される。磁気力は、常磁性粒子102の性質、磁石88の性質、およびモジュール18の設計、特に細胞100と磁石88との間の距離によって影響される。流体力は、典型的には、細胞を溶解させるほど高くない。テイラー-クエット流は、細胞を壁84および回転膜86から離して接触しないようにするのに十分である。
【0105】
細胞100から除去された常磁性粒子102は、壁84へ移動し、特に壁84に沿ってゼロ勾配線またはゼロ勾配帯へ移動する。流体力だけによって、任意の非常磁性粒子120も細胞100から除去される。非常磁性粒子120は、回転膜86内の孔を通過し、次いで廃棄物出口モジュール20を介してチャンバ82から出る。任意選択の試薬チャンバ24から追加された化学薬品122もまた、回転膜86内の孔を通過し、廃棄物出口モジュール20を介してチャンバ82から出る。これにより、化学薬品120に対する細胞100の曝露が制限される。デビーディングされた非結合細胞110は、細胞出口モジュール22を介してチャンバ82を出る。
【0106】
常磁性粒子102は、たとえばチャンバ82を通る細胞懸濁液流を止め、磁石88を壁84から離れた位置へ動かし、次いでチャンバ82を通って緩衝剤を流すことによって、壁84から周期的に除去することができる。
【0107】
一部の常磁性粒子102も、回転膜80を通過して、除去される可能性がある。磁石88がない場合、またはチャンバ82から十分に離れている場合、回転膜80によってすべての常磁性粒子の除去を実現することができる。
【0108】
このフロースルー式デビーディングプロセスもまた、常磁性粒子の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または99%の細胞からの除去、すべての非常磁性粒子の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の細胞からの除去、または両方を行うことができる。
【0109】
回転膜はまた、常磁性粒子102を非結合細胞102から分離するために使用することができる。
【0110】
回転膜86は、細胞懸濁液中のすべての細胞を除外するのに十分に小さいポアサイズを有することができる。
【0111】
回転膜モジュール18はまた、望ましくない成分を細胞懸濁液から除去するために使用することができる。これらの成分は、回転膜88によって単に濾過することができ、または常磁性粒子102、非常磁性粒子120、もしくは両方の被覆と相互作用して、粒子とともに除去することができる。デビーディングおよび望ましくない成分の除去は、別個にまたは同時に行うことができる。
【0112】
(他のデビーディングおよび常磁性粒子分離プロセス)
システム2は、そのモジュール設計に起因して、他のデビーディングおよび常磁性粒子分離プロセスにも適合している。適当な追加のモジュール16を挿入するだけでよい。たとえば、多くの場合、細胞をデビーディングするために、磁性カラムを含むカラムおよび物理的分離方法が使用され、追加のモジュール16として含むことができる。
【0113】
(他の一体型プロセス)
システム2は、そのモジュール設計に起因して、他の一体型プロセスにも適合している。これらのプロセスは、少なくとも1つの追加のモジュール16内で行うことができる。たとえば、細胞を洗浄するために、モジュールを使用することができる。また、細胞を濃縮するために、モジュールを使用することができる。細胞が位置する培地を交換するために、モジュールを使用することができる。1つのモジュールをこれらのステップの2つ以上に使用することができる。
【0114】
(複数モジュールのフロースルー式プロセス)
図1Gに示すシステム2は、複数モジュールのフロースルー式プロセスで使用することができる。任意選択で、フロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8aを通って、そして意選択でモジュール8b、18a、および18bの1つまたは複数を通って、緩衝剤モジュール6aからの緩衝剤を流すことができる。望ましい常磁性粒子および非常磁性粒子結合細胞ならびに望ましくない非結合細胞を含有する細胞懸濁液が、モジュール8aを通って流され、モジュール8aは、分離のために図4に示すように構成されているが、別法として分離のために図2Aおよび図2Bに示すように構成することもできる。非結合細胞は、廃棄物として非磁性出力モジュール10aへ方向付けられる。常磁性粒子結合細胞は、磁性出力モジュール12aを介してフロースルー式磁気分離/デビーディングモジュール8bへ方向付けられる。モジュール8bは、デビーディングのために図2Aおよび図2Bに示すように構成される。常磁性粒子結合細胞は、廃棄物として磁性出力モジュール12bに入る前に、少なくとも1回、戻りループ14aを通って流される。デビーディングされた非結合細胞は、非磁性出力モジュール10bを介して回転膜デビーディングモジュール18aへ送られる。残りの常磁性粒子および非常磁性粒子は除去され、非常磁性粒子は、廃棄物出力モジュール20a内へ流れ、その一方、非結合常磁性粒子は、モジュール18内に残り、非結合細胞および常磁性粒子を有する細胞、非常磁性粒子、または両方は、細胞出力モジュール22a内へ流れる。細胞出力モジュール22aは、第2の回転膜モジュール18bに至る。常磁性粒子もしくは非常磁性粒子のいずれか、または両方の細胞からの除去を容易にすることが可能な化学薬品が、試薬モジュール24から追加される。非常磁性粒子および化学薬品は、廃棄物モジュール20b内へ流れる。常磁性粒子は、モジュール18内に残る。非結合細胞、および常磁性粒子、非常磁性粒子のいずれか、または両方を有する細胞は、フロースルー式プロセスの最終細胞製品として細胞出力モジュール22bへ送られる前に、少なくとも1回、戻りループ14b内へ流れる。
【0115】
(臨床応用)
本明細書のプロセスはすべて、clinical good manufacturing practice(cGMP)基準に従って行うことができる。
【0116】
これらのプロセスは、特に製造プロセスの最初の生の出発原料(特に細胞)の採取中、ならびに細胞療法のための細胞の選択または増殖のための製造プロセス中、細胞の精製、高濃度化、採取、洗浄、濃縮、または細胞培地の交換に使用することができる。
【0117】
細胞は、任意の複数の細胞を含むことができる。細胞は、同じ細胞タイプであり得、または混合細胞タイプであり得る。加えて、細胞は、細胞療法の場合、自家ドナーまたは単一の同種異系ドナーなどの1人のドナー由来であり得る。細胞は、たとえば、白血球搬出法またはアフェレーシスによって患者から得ることができる。細胞は、T細胞を含むことができ、たとえば50%超のT細胞、60%超のT細胞、70%超のT細胞、80%超のT細胞、または90%超のT細胞を有する集団を含むことができる。
【0118】
選択プロセスは、培養および増殖前に細胞を選択する際に特に有用となることができる。たとえば、抗CD3および/または抗CD28で被覆された常磁性粒子は、増殖のため、またはキメラ抗原受容体(CAR)または他のタンパク質をコードする核酸の導入のためのT細胞を選択するために使用することができる。そのようなプロセスは、急性リンパ芽球白血病(ALL)の治療のためのCTL019 T細胞を作製するために使用される。
【0119】
本明細書に開示するデビーディングプロセスおよびモジュールは、細胞療法のための細胞の製造で、たとえば培養および増殖の前または後に細胞を精製する際に、特に有用となることができる。たとえば、抗CD3および/または抗CD28抗体で被覆された常磁性粒子は、T細胞、たとえば、CARがT細胞によって発現されるように、キメラ抗原受容体(CAR)または他のタンパク質をコードする核酸の導入によって修飾されたまたは修飾されるT細胞を選択的に増殖するために使用することができる。そのようなT細胞の製造中、デビーディングプロセスまたはモジュールは、T細胞を常磁性粒子から分離するために使用することができる。そのようなデビーディングプロセスまたはモジュールは、たとえば、急性リンパ芽球白血病(ALL)の治療のためのCTL019 T細胞を作製するために使用される。
【0120】
ここで例として示す1つのそのようなプロセスでは、細胞、たとえばT細胞は、アフェレーシス(たとえば、白血球搬出法)を介してドナー(たとえば、自家性のキメラ抗原受容体T細胞製品によって治療すべき患者)から採取される。次いで、採取された細胞は、任意選択で、たとえば、エルトリエーションステップによって精製することができる。次いで、常磁性粒子、たとえば抗CD3/抗CD28で被覆された常磁性粒子を細胞集団に追加して、T細胞を増殖させることができる。このプロセスはまた、トランスダクションステップを含むことができ、1つまたは複数の所望のタンパク質、たとえばCAR、たとえばCD19を標的とするCARをコードする核酸が、細胞内へ導入される。核酸は、レンチウイルスベクターによって導入することができる。次いで、細胞、たとえばレンチウイルスによってトランスダクションを生じさせた細胞は、数日間、たとえば1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、またはそれより多い日数にわたって、たとえば適した培地の存在下で増殖させることができる。増殖後、本明細書に開示するデビーディングプロセス/モジュールを使用して、所望のT細胞を常磁性粒子から分離することができる。このプロセスは、本開示のプロセスによる1つまたは複数のデビーディングステップを含むことができる。次いで、デビーディングされた細胞は、患者に投与するために製剤化することができる。CAR T細胞およびその製造の例は、たとえば、全体として参照により本明細書に組み込まれている、WO2012/079000にさらに記載されている。本開示のシステムおよび方法は、WO2012/079000に記載されまたはそれに関連する任意の細胞分離/精製/デビーディングプロセスに使用することができる。
【0121】
本明細書のシステムおよび方法は、従来のシステムおよび方法と比較すると、廃棄する望ましい細胞をより少なくし、細胞の損傷をより少なくし、そして化学薬品へのより少ないまたはゼロの曝露で磁性および非常磁性粒子を細胞からより確実に除去することによって、他の細胞療法製品にも同様に利益を与えることができる。
【実施例
【0122】
以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、本発明全体を包含することを意図するものではない。本実施例の態様は、上述した本発明の他の態様と組み合わせることができる。
【0123】
本実施例では、T細胞を培養基で9日間増殖し、次いで先行技術の手順による非フロースルー式デビーディングプロセスまたは本開示によるフロースルー式デビーディングプロセスを使用して採取およびデビーディングした。試料は、約1e8の核形成(nucleated)生存細胞~約3e10の核形成生存細胞を有した。核形成生存細胞に対する常磁性粒子の比は約3:1~1:3であり、より少ない総核形成生存細胞を有する試料は、より高い常磁性粒子と核形成生存細胞の比を呈した。常磁性粒子と細胞の比は、細胞回収の有意な要因であった。核形成生存細胞に対する常磁性粒子の比がより高いことで、核形成生存細胞が常磁性粒子に結合し、常磁性粒子除去プロセス中に失われる可能性が増大した。
【0124】
非フロースルー式デビーディングプロセスでは、試料は、1リットルの血小板バッグ(Terumo Medical Corp.、Somerset、NJ)内に採取し、平床型の磁性板(DYNAMAG(商標)CTS(商標)、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)上に、0度で5分間、続いて30度の勾配で1分間、静的に配置した。次に、非磁性画分を含有するバッグ内の液体をバッグからそらせて、最終製品を形成した。磁性画分は、廃棄物としてバッグ内に残した。
【0125】
フロースルー式デビーディングプロセスでは、平床型の磁性板(DYNAMAG(商標)CTS(商標)、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)上に配置されたCSD400Y9 CRYOSTORE(商標)Conical Bag(OriGen Biomedical、Austin、TX)を通って、試料を連続して流した。バッグを通って磁石の上を連続して流れたため、試料は動的にデビーディングされ、常磁性粒子は、バッグを通って動くにつれて、生存核形成細胞から外れた。バッグを通過した後しばらくたった液体から、最終製品を形成した。磁性画分は、廃棄物としてバッグ内に残した。磁性画分内に捕捉された生存核形成細胞はほとんどなかった。これは、常磁性粒子に結合された生存核形成細胞が磁石に引き付けられて廃棄物中に失われた非フロースルー式デビーディングプロセスとは対照的である。
【0126】
38回の非フロースルー式デビーディングプロセスの実行および36回のフロースルー式デビーディングプロセスの実行のメタデータ分析は、フロースルー式デビーディングプロセスが使用されたときの生存核形成細胞の回収の大幅な増大を示した。図15では、生存核形成細胞の回収の増大は、試料中の細胞の数がより少ないとき(1.6e9未満の総生存核形成細胞などの)に特に顕著であった。そのような総生存核形成細胞数では、フロースルー式デビーディングプロセスは、非フロースルー式デビーディングプロセスに対するわずか34%の平均回収率と比較すると、76%の平均回収率を示した。図16では、試料中の細胞の数がより多いときでも、回収率の10~20%の増大が見られた。
【0127】
この回収率の違いは、フロースルー式デビーディングプロセスが生存核形成細胞から常磁性粒子を動的に除去することが可能であり、その結果、これらの細胞は、採取前に初めは常磁性粒子に結合されていた場合でも失われないことによる。
【0128】
本開示の例示的な実施形態についてのみ、上記で具体的に説明したが、開示の精神および意図される範囲から逸脱することなく、これらの例の修正形態および変形形態が可能であることが理解されよう。たとえば、磁気モジュールおよびそれらを収容するシステムは、記載したものに加えて、様々な構成で配置および使用することができる。加えて、システムおよび方法は、本明細書に具体的に記載していない追加の構成要素およびステップを含むことができる。たとえば、方法は、気泡を除去して細胞懸濁液または緩衝剤の動きに対する抵抗を低減させるための構成要素内へ流体が最初に導入されるプライミングを含むことができる。さらに、実施形態は、本明細書に記載する方法で使用するために、本明細書に記載するシステムの一部分のみを含むことができる。たとえば、実施形態は、細胞を分離またはデビーディングして細胞製品を作製することが可能な完全なシステムを形成するために、使い捨てでない機器内で使用できる使い捨てのモジュール、ホースなどに関することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16