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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】生体情報認証装置
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20230113BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230113BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20230113BHJP
   B60R 25/25 20130101ALI20230113BHJP
【FI】
G06V40/13
G06T7/00 530
B60R25/24
B60R25/25
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018146854
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020021405
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大脇 里仁
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】安藤 喬彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】太田 恭久
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-037708(JP,A)
【文献】特開2008-062690(JP,A)
【文献】特開2002-269512(JP,A)
【文献】特開2007-219624(JP,A)
【文献】特開2009-169486(JP,A)
【文献】実開平05-021067(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/13
G06T 1/00
G06T 7/00
B60R 25/24
B60R 25/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置された本体と、
前記本体に配置され、操作の際に操作指が接触する操作面を有する操作部と、
前記操作面に露出、又は前記操作面の下方に配置され、前記操作面に対する前記操作指の接触を検出すると共に前記操作指の生体情報を読み取る読取面を有する生体情報センサと、
少なくとも1つの光源を有する照明部と、
前記少なくとも1つの光源の点灯と消灯とを組み合わせた照明パターンによって前記生体情報の読み取りが完了したことを示す制御部と、
を備え
前記照明部は、前記本体と前記操作部との間の隙間から前記操作面を囲む光を出力して前記照明パターンを生成し、
前記制御部は、前記操作指の接触によって読み取られた前記生体情報の認証の成立によって前記車両の駆動装置の始動を許可する信号を出力する、
生体情報認証装置。
【請求項2】
前記照明部は、出力する光の色が異なる複数の光源を有し、
前記制御部は、前記車両のブレーキ装置が操作され、前記操作面に対する前記操作指の接触を検出するまでの間前記複数の光源の色、点灯及び消灯を組み合わせて、前記生体情報の読み取りが完了した際の前記照明パターンと異なる照明パターンで前記照明部を制御する、
請求項1に記載の生体情報認証装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記生体情報の読み取りが成功した場合と成功しなかった場合、前記複数の光源の色、点灯及び消灯を組み合わせてそれぞれ異なる照明パターンとなるように前記照明部を制御する、
請求項2に記載の生体情報認証装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両のドアが開けられて前記ブレーキ装置が操作される前までの間、前記複数の光源の色、点灯及び消灯を組み合わせて他の照明パターンと違った照明パターンで前記照明部を制御する、
請求項に記載の生体情報認証装置。
【請求項5】
前記操作面を囲むように前記本体と前記操作面との間に配置され、前記光源から出力された光をガイドして、前記操作面の周囲を光らせるライトガイドを備えた、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体情報認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、駆動源の始動や停止を指令する始動スイッチと、駆動源を始動させる始動手段と、指紋を読み取る指紋センサと、指紋センサ、始動スイッチからの入力に基づいて始動手段の作動を制御する始動処理を実行する制御手段と、を備えた始動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この始動制御装置の制御手段は、始動スイッチにより始動が指令されたときに、始動手段による始動を実行する前に、指紋センサが読み取った指紋と予め登録された登録指紋とによる指紋照合を行い、一致判定がなされると、利用者が正当な利用者であると認証して始動手段による始動を許可する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-174095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の始動制御装置は、始動スイッチに対してプッシュ操作がなされると、指紋照合を行う共に、一致判定であると駆動源を始動させる。しかし、例えば、このような始動制御装置がタッチ操作によって指紋照合などを行うように構成された場合、指紋照合終了のフィードバックがないと、いつ指を離して良いのか分からない。従ってユーザは、駆動源が始動するまで指を離すことができない可能性があり、操作負荷が高くなる問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、ユーザの操作負荷を低減することができる生体情報認証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、読取面に対する操作指の接触を検出すると共に操作指の生体情報を読み取る生体情報センサと、少なくとも1つの光源を有する照明部と、少なくとも1つの光源の点灯と消灯とを組み合わせた照明パターンによって生体情報の読み取りが完了したことを示す制御部と、を備えた生体情報認証装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの操作負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置の一例を示す正面図であり、図1(b)は、スタートスイッチ装置のブロック図の一例である。
図2図2(a)は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置が搭載された車両のブロック図の一例であり、図2(b)は、生体情報センサが読み取った読取画像の一例を示す概略図である。
図3図3は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置のタイミングチャートの一例である。
図4図4は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置の照明パターンの一例を示す概略図である。
図5図5は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る生体情報認証装置は、読取面に対する操作指の接触を検出すると共に操作指の生体情報を読み取る生体情報センサと、少なくとも1つの光源を有する照明部と、少なくとも1つの光源の点灯と消灯とを組み合わせた照明パターンによって生体情報の読み取りが完了したことを示す制御部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この生体情報認証装置は、ユーザが照明によって生体情報の読み取りが完了したことを認識することができるので、照明がない場合と比べて、指を離すタイミングが分かり易く、ユーザの操作負荷を低減することができる。
【0012】
[実施の形態]
(スタートスイッチ装置1の概要)
図1(a)は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置の一例を示す正面図であり、図1(b)は、スタートスイッチ装置のブロック図の一例である。図2(a)は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置が搭載された車両のブロック図の一例であり、図2(b)は、生体情報センサが読み取った読取画像の一例を示す概略図である。図3は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置のタイミングチャートの一例である。図4は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置の照明パターンの一例を示す概略図である。
【0013】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また図1(b)及び図2(a)では、主な信号や情報などの流れを矢印で示している。
【0014】
生体情報認証装置としてのスタートスイッチ装置1は、例えば、運転席に着座する操作者の前方のパネル、運転席と助手席の間に位置するフロアコンソール、及びステアリングなどに配置される。このスタートスイッチ装置1は、タッチ操作(オン操作)により、車両8の駆動装置87の始動、又は始動準備を車両8の車両制御部88に指示し、その後になされたタッチ操作(オフ操作)により、駆動装置87の停止を指示することができる。
【0015】
なお車両8の駆動装置87の始動や車両8の電源遷移は、例えば、スタートスイッチ装置1から出力された指示信号Sと、車両8のブレーキ装置86などの操作条件と、に基づいて車両制御部88が判断するものとする。その判断の結果は、例えば、図1(b)及び図2(a)に示す区間情報Sとしてスタートスイッチ装置1に出力される。
【0016】
具体的には、駆動装置87が内燃機関(エンジン)である場合、シフト装置やブレーキ装置86の操作条件が満足された状態でなされたタッチ操作によりエンジンが始動する。また駆動装置87がモータである場合、上記の操作条件が満足された状態でなされたタッチ操作によりモータに電流を供給する始動準備が行われる。さらに駆動装置87がエンジンとモータのハイブリッドである場合、上記の操作条件が満足された状態でなされたタッチ操作により、始動時に優先される駆動装置87に対応して始動又は始動準備が行われる。このオン操作の後に行われたオフ操作によって、駆動装置87の停止が指示される。
【0017】
またスタートスイッチ装置1は、一例として、操作条件としてブレーキ装置86を作動させずにタッチ操作が行われた場合、OFF(電源をオフ)、ACC(一部の電子機器が使用可能)、ON(全ての電子機器が使用可能)などの電源遷移を実行させるための指示信号Sを出力する。車両制御部88は、例えば、当該指示信号Sと、上記の操作条件と、に基づいて電源を制御する。なお生体情報認証装置は、スタートスイッチ装置1に限定されず、例えば、ドアのロック及びアンロック時の認証、電子機器のログイン時の認証などに用いられても良い。
【0018】
スタートスイッチ装置1は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、読取面20に対する操作指9の接触を検出すると共に操作指9の生体情報23を読み取る生体情報センサ2と、少なくとも1つの光源を有する照明部4と、少なくとも1つの光源の点灯と消灯とを組み合わせた照明パターンによって生体情報23の読み取りが完了したことを示す制御部6と、を備えて概略構成されている。
【0019】
制御部6は、読取面20に対する操作指9の接触を検出した場合、生体情報23の読み取りが完了した際の照明パターンと異なる照明パターンで照明部4を制御する。
【0020】
また制御部6は、生体情報23の読み取りが成功した場合と成功しなかった場合で照明パターンを変えて照明部4を制御する。
【0021】
制御部6は、操作指9の接触によって読み取られた生体情報23の認証の成立によって車両8の駆動装置87の始動を許可する信号を出力する。この信号は、例えば、指示信号Sである。
【0022】
生体情報センサ2は、操作部12の操作面120に接触する操作指9の生体情報23を読み取るように読取面20が配置されている。そして照明部4は、操作面120を囲む光を出力するように構成されている。
【0023】
このスタートスイッチ装置1は、例えば、図1(a)に示すように、円柱形の本体10を有し、この本体10の底面(操作面120)が操作部12となっている。この操作部12の操作面120は、例えば、円形状を有し、矩形状を有する読取面20が中央に露出している。
【0024】
ここで車両8は、一例として、図2(a)に示すように、ブレーキ装置86と、駆動装置87と、車両制御部88と、を備えて概略構成されている。
【0025】
ブレーキ装置86は、例えば、操作されていることを示す操作信号Sを車両制御部88に出力するように構成されている。また駆動装置87は、例えば、車両制御部88から出力された駆動指示信号Sに基づいて始動などを行う。
【0026】
車両制御部88は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。この車両制御部88は、例えば、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車両LAN(Local Area Network)を介してスタートスイッチ装置1と電磁気的に接続されている。
【0027】
(生体情報センサ2の構成)
生体情報センサ2は、例えば、図1(a)及び図2(b)に示すように、生体情報23として操作指9の指紋を読み取るように構成されている。なお生体情報23は、操作指9の指紋に限定されず、操作指9の静脈などでも良い。
【0028】
この生体情報センサ2は、例えば、指紋を読み取る場合、光学式、静電容量式、電界強度測定式、感圧式及び感熱式などの指紋を読み取るように構成されたセンサが用いられる。
【0029】
また生体情報センサ2は、例えば、操作指9の静脈を読み取る場合、照射した近赤外線の反射に基づいて静脈を読み出すように構成されたセンサが用いられる。
【0030】
また生体情報センサ2は、例えば、指紋と静脈の両方を読み取る場合、可視光を照射して撮像した画像を画像処理して指紋と静脈を抽出するように構成されたセンサが用いられる。
【0031】
本実施の形態の生体情報センサ2は、一例として、操作指9の接触(タッチ操作)を検出すると共に、生体情報23として指紋を読み取る静電容量式のセンサである。この生体情報センサ2は、操作者が操作部12の操作面120にタッチ操作を行うと、読取面20に接触した操作指9から生体情報23を読み取るように構成されている。
【0032】
なお読取面20は、操作面120に露出せず、操作面120の下方に配置されても良い。また読取面20は、例えば、矩形に限定されず、円形や楕円形であっても良い。
【0033】
生体情報センサ2は、例えば、読取面20の下方に、格子状に行と列に並ぶ複数の検出電極を備えている。この複数の検出電極は、一例として、数万から数十万個形成されると共に、数μmから数十μmの間隔で配置されている。
【0034】
生体情報センサ2は、例えば、列を替えながら行に並ぶ検出電極の静電容量を読み出し、続いて行を替えて検出電極の静電容量を読み出すことを繰り返して全ての検出電極を走査するように構成されている。この走査の周期は、一例として、100ms程度である。
【0035】
生体情報センサ2は、例えば、走査して読み出した複数の静電容量に基づいて形成される読取画像22を制御部6に出力する。この読取画像22は、例えば、1周期分の静電容量に基づいて形成される。
【0036】
具体的には、生体情報センサ2は、例えば、予め設けられたしきい値以上の静電容量を「1」、しきい値より低い静電容量を「0」に分けると共に、検出電極の位置と関連付けて読取画像22を生成する。
【0037】
図2(b)に示す読取画像22は、一例として、上述の「1」の検出電極の位置を黒、「0」の検出電極の位置を白としている。なお図中の丸は、後述する特徴点7の一部を示すために付したものである。
【0038】
静電容量が高い位置は、指紋の山の位置であって検出電極までの距離が近いので、静電容量が高くなる。そして低い位置は、指紋の谷の位置であって検出電極までの距離が遠く、静電容量が低くなる。従って静電容量の高い位置を黒、低い位置を白とすると、一例として、図2(b)に示すような読取画像22が得られる。この読取画像22において黒で示した画像は、読み取られた生体情報23である。
【0039】
なお制御部6は、例えば、読取面20に対する操作指9の接触後に、周期的に読み取られた複数の読取画像22から特徴点7を抽出するのに適した読取画像22を選択するように構成されても良い。
【0040】
(照明部4の構成)
照明部4は、一例として、図1(a)及び図1(b)に示すように、ライトガイド40と、第1の光源41~第5の光源45と、を備えて概略構成されている。
【0041】
ライトガイド40は、例えば、ベゼルとして操作面120を囲むように本体10と操作面120との間に配置されている。このライトガイド40は、例えば、光源から出力された光をガイドして、操作面120の周囲を光らせるように構成されている。このライトガイド40は、例えば、アクリルやシリコンなどの光の透過率が高い樹脂によって形成されている。
【0042】
なお変形例としてスタートスイッチ装置1は、例えば、ライトガイド40を用いず、本体10と操作部12との間の隙間から光が出力されるように構成されても良い。
【0043】
第1の光源41~第4の光源44は、例えば、ライトガイド40の下方に配置されている。また第5の光源45は、例えば、操作面120に設けられた文字121を照明する光源である。この第1の光源41~第5の光源45は、例えば、LED(light emitting diode)素子である。なお光源の数や種類は、これに限定されない。
【0044】
第1の光源41は、例えば、白色のLED素子である。第1の光源41は、例えば、図1(b)に示すように、制御部6から出力される駆動信号Sに基づいて白色の光を出力する。
【0045】
第2の光源42は、例えば、青色のLED素子である。第2の光源42は、例えば、図1(b)に示すように、制御部6から出力される駆動信号Sに基づいて青色の光を出力する。
【0046】
第3の光源43は、例えば、緑色のLED素子である。第3の光源43は、例えば、図1(b)に示すように、制御部6から出力される駆動信号Sに基づいて緑色の光を出力する。
【0047】
第4の光源44は、例えば、赤色のLED素子である。第4の光源44は、例えば、図1(b)に示すように、制御部6から出力される駆動信号Sに基づいて赤色の光を出力する。
【0048】
第5の光源45は、例えば、白色のLED素子である。第5の光源45は、例えば、図1(b)に示すように、制御部6から出力される駆動信号Sに基づいて白色の光を出力する。
【0049】
(制御部6の構成)
制御部6は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU、半導体メモリであるRAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部6が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、登録生体情報60、認証しきい値61、照明パターン情報62、及び演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部6は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。
【0050】
登録生体情報60は、例えば、登録者名と、登録者ごとのテンプレートと、を関連付けた情報である。登録者名は、例えば、電子キーや携帯機などに関連して付されても良いし、入力装置の操作によって付されても良く、これらに限定されない。
【0051】
テンプレートは、読み取った生体情報23に基づいて作成されるものであり、主に特徴点7から構成される。なお生体情報23を登録するとは、当該生体情報23に基づいてテンプレートを作成し、作成したテンプレートを登録者名に関連付けて登録生体情報60とすることである。以下では、この特徴点7について説明する。
【0052】
制御部6は、例えば、読取画像22に対して抽出処理を行って特徴点7を抽出する。この抽出処理は、例えば、隆線の抽出処理などである。
【0053】
特徴点7とは、例えば、図2(b)に示すように、中心点、分岐点、端点及び三角州などであるがこれに限定されない。中心点とは、指紋の中心となる点である。分岐点とは、指紋の隆線が分岐している点である。端点とは、隆線が切れている点である。三角州とは、三方向から隆線が集まった点である。
【0054】
制御部6は、例えば、読取画像22から特徴点7を抽出する。そして制御部6は、例えば、取得した登録生体情報60と、特徴点7が抽出された生体情報23と、を比較し、特徴点7の位置、特徴点7間の距離などに基づいて類似度を算出する。そして制御部6は、類似度が認証しきい値61以上であった場合、生体情報23の生体認証が成立したとして指示信号Sを出力する。
【0055】
この認証しきい値61は、一例として、認証に使用する特徴点7の数の80%として定義される。つまり制御部6は、例えば、認証に使用する生体情報23の特徴点7の数が80個である場合、64個以上の特徴点7が登録生体情報60の特徴点7と一致すれば、操作者が登録者であると判定する。なお一致とは、特徴点7の位置、特徴点7間の距離などの一致を含んでいる。
【0056】
なお生体認証は、例えば、特徴点7の類似度を用いた認証方法に限定されず、パターンマッチングなどの認証方法であっても良い。
【0057】
ここで車両制御部88は、例えば、取得した指示信号Sに基づいて生体認証が成立した登録者が登録した車載装置の設定を実行するように構成されても良い。例えば、車載装置がシートの駆動装置であった場合、登録者が登録したシート位置にシートを駆動する。また例えば、車載装置が空調装置であった場合、登録者が登録した設定温度、風量などの設定を行う。さらに例えば、車載装置がミラーの駆動装置であった場合、登録者が登録した位置にミラーを駆動する。なお電磁気的に接続とは、例えば、導電体を介した接続、電磁波の一種である光を介した接続、及び電磁波の一種である電波を介した接続の少なくとも1つを用いた接続である。
【0058】
照明パターン情報62は、光演出による操作フィードバックを呈示するための照明部4の照明パターンに関する情報である。制御部6は、例えば、図3に示すように、第1の区間A~第4の区間Dに応じた照明パターンで操作面120の周囲を照明する。そして制御部6は、一例として、図4に示すように、第1の区間A~第4の区間Dに応じた照明パターンa~照明パターンeの少なくとも1つを照明パターン情報62として記憶している。なお照明パターンは、照明パターンa~照明パターンeに限定されない。
【0059】
この第1の区間A~第4の区間Dは、例えば、図3に示すように、ブレーキ装置86のONとOFF、生体情報センサ2のタッチと非タッチ、読取画像22の取得状況として完了と取得中と処理無、及び駆動装置87の始動状況のONとOFFによって分けられている。
【0060】
第1の区間Aは、例えば、車両8のドアが開けられてブレーキ装置86が操作される前までの区間である。具体的には、第1の区間Aは、例えば、図3に示すように、ブレーキ装置86がOFF、生体情報センサ2が非タッチ、読取画像22の取得状況が処理無、及び駆動装置87の始動状況がOFFの区間である。図3に示す第1の区間Aは、例えば、時間tから時間tまでである。
【0061】
第2の区間Bは、例えば、ブレーキ装置86が操作され、操作面120になされたタッチ操作を検出するまでの区間である。具体的には、第2の区間Bは、例えば、図3に示すように、ブレーキ装置86がON、生体情報センサ2が非タッチ、読取画像22の取得状況が処理無、及び駆動装置87の始動状況がOFFの区間である。図3に示す第2の区間Bは、例えば、時間tから時間tまでである。
【0062】
第3の区間Cは、例えば、タッチ操作が検出されてから読取画像22の取得が完了するまでの区間である。具体的には、第3の区間Cは、例えば、図3に示すように、ブレーキ装置86がON、生体情報センサ2がタッチ、読取画像22の取得状況が処理無から取得中、及び駆動装置87の始動状況がOFFの区間である。図3に示す第3の区間Cは、例えば、時間tから時間tである。
【0063】
なお第3の区間Cは、例えば、時間tから時間tの間において読取画像22の取得状況が処理無であるが時間tにおいて読取画像22の取得が始まり、時間tにおいて完了する。
【0064】
第4の区間Dは、例えば、読取画像22の取得が完了して駆動装置87が始動するまでの区間である。具体的には、第4の区間Dは、例えば、図3に示すように、ブレーキ装置86がON、生体情報センサ2が非タッチ、読取画像22の取得状況が完了、及び駆動装置87の始動状況がOFFの区間である。図3に示す第4の区間Dは、例えば、時間tから時間tである。
【0065】
なお第4の区間Dは、一例として、ユーザが照明パターンを認識して操作面120から指を離す区間としているので、タッチと非タッチの切り替わりが区間内となるものとする。また第4の区間Dでは、読み取られた読取画像22に基づく生体情報23と登録生体情報60とに基づく認証が行われる。
【0066】
制御部6は、この第1の区間A~第4の区間Dに対応した照明パターンを有している。なお図4に示す照明パターンa~照明パターンeは、一例であってこれに限定されない。
【0067】
照明パターンaは、例えば、図4に示すように、色を固定して点滅と点灯を切り替える照明パターンであり、第1の区間Aが白色でゆっくり点滅、第2の区間B及び第3の区間Cが白色で早い点滅、第4の区間Dが白色で点灯する照明パターンとなっている。この照明パターンaは、第1の区間A~第4の区間Dが第1の光源41によって実行される。
【0068】
照明パターンbは、例えば、図4に示すように、点灯に固定して色を切り替える照明パターンの1つであり、第1の区間A~第3の区間Cが白色で点灯、第4の区間Dが青色で点灯する照明パターンとなっている。この照明パターンbは、第1の区間A~第3の区間Cが第1の光源41、第4の区間Dが第2の光源42によって実行される。
【0069】
照明パターンcは、例えば、図4に示すように、点灯に固定して色を切り替える照明パターンの1つであり、照明パターンbに対して読取画像22の取得結果に応じて色を変化させるように構成されている。
【0070】
照明パターンcは、例えば、第1の区間A~第3の区間Cが白色で点灯、第4の区間D-1が青色で点灯、第4の区間D-2が赤色で点灯する照明パターンとなっている。この照明パターンcは、第1の区間A~第3の区間Cが第1の光源41、第4の区間D-1が第2の光源42、第4の区間D-2が第4の光源44によって実行される。
【0071】
なお照明パターンc~照明パターンeでは、第4の区間Dが第4の区間D-1又は第4の区間D-2に分かれている。この第4の区間D-1は、読取画像22の取得に成功した場合の照明パターンである。また第4の区間D-2は、読取画像22の取得に失敗した場合の照明パターンである。
【0072】
照明パターンdは、例えば、図4に示すように、点灯に固定して色を切り替える照明パターンの1つであり、照明パターンcに対してタッチ操作が検出された後、色を変化させるように構成されている。
【0073】
照明パターンdは、例えば、第1の区間A及び第2の区間Bが白色で点灯、第3の区間Cが青色で点灯、第4の区間D-1が緑色で点灯、第4の区間D-2が赤色で点灯する照明パターンとなっている。この照明パターンdは、第1の区間A及び第2の区間Bが第1の光源41、第3の区間Cが第2の光源42、第4の区間D-1が第3の光源43、第4の区間D-2が第4の光源44によって実行される。
【0074】
照明パターンeは、例えば、図4に示すように、点灯と点滅、及び色を切り替える照明パターンであり、照明パターンdに対してブレーキ装置86の操作後、点滅周期を変化させるように構成されている。
【0075】
照明パターンeは、例えば、第1の区間Aが白色でゆっくり点滅、第2の区間Bが白色で早い点滅、第3の区間Cが青色で点灯、第4の区間D-1が緑色で点灯、第4の区間D-2が赤色で点灯する照明パターンとなっている。この照明パターンeは、第1の区間Aが文字121も照明するので、第1の光源41及び第5の光源45、第2の区間Bが第1の光源41、第3の区間Cが第2の光源42、第4の区間D-1が第3の光源43、第4の区間D-2が第4の光源44によって実行される。
【0076】
これらの照明パターンa~照明パターンeは、例えば、操作面120から指を離すタイミングをユーザが認識し易いように、第3の区間Cと第4の区間Dとで点滅と点灯、色の切り替えなどを行う照明パターンとされている。
【0077】
なお照明パターンは、例えば、光の強弱や区間内での色の周期的な切り替えなどを含めてパターンが構成されても良い。
【0078】
以下に本実施の形態のスタートスイッチ装置1の動作について図5のフローチャートに従って説明する。なお以下では、一例として、照明パターンが照明パターンeであるとして説明する。
【0079】
(動作)
車両制御部88は、例えば、ユーザが電子キーを携帯して車両8に近づき、認証が成立した場合、車両8のドアをアンロックする。そしてユーザがドアを開けると、車両制御部88は、区間情報Sを出力する。
【0080】
スタートスイッチ装置1の制御部6は、区間情報Sを取得する、つまりステップ1の「Yes」が成り立つと(Step1:Yes)、区間を判定して照明パターン情報62に基づいて照明を行う。制御部6は、区間情報Sが、ドアが開けられたことを示すので、第1の区間Aとして照明を行うため、照明パターン情報62に基づいて第1の光源41に駆動信号Sを出力すると共に、第5の光源45に駆動信号Sを出力する(Step2)。
【0081】
車両制御部88は、ブレーキ装置86から操作信号Sが入力すると、ブレーキ装置86が操作されたとして区間情報Sを出力する。
【0082】
次に制御部6は、ステップ3の「Yes」が成り立つ、つまりブレーキ装置86がONとなったことを示す区間情報Sが入力すると(Step3:Yes)、区間を判定して照明パターン情報62に基づいて照明を行う。制御部6は、区間情報Sが、ブレーキ装置86がONとなったことを示すので、第2の区間Bとして照明を行うため、照明パターン情報62に基づいて第1の光源41に、第1の区間Aよりも点滅の周期が早い駆動信号Sを出力する(Step4)。
【0083】
次に制御部6は、生体情報センサ2の読取画像22に基づいてタッチ操作がなされたか否かを判定する。制御部6は、ステップ5の「Yes」が成り立つ、つまりタッチ操作がなされたと判定した場合(Step5:Yes)、第3の区間Cとして照明するため、照明パターン情報62に基づいて第2の光源42に駆動信号Sを出力する(Step6)。
【0084】
次に制御部6は、認証に用いる読取画像22の取得を行い、ステップ7の「Yes」が成り立つ、つまり読み取りが終了し(Step7:Yes)、読み取りが成功した場合(Step8:Yes)、読み取りが成功した第4の区間D-1として照明するため、照明パターン情報62に基づいて第3の光源43に駆動信号Sを出力する(Step9)。
【0085】
次に制御部6は、読み取りに成功した読取画像22に基づいた生体情報23と登録生体情報60とに基づいて認証を行う。制御部6は、認証が成立した場合(Step10:Yes)、認証が成立したことを示す指示信号Sを出力する(Step11)。
【0086】
車両制御部88は、認証が成立したことを示す指示信号Sが入力すると、駆動指示信号Sを出力して駆動装置87を始動させると共に、始動させたことを示す区間情報Sを出力する。
【0087】
次に制御部6は、ステップ12の「Yes」が成り立つ、つまり車両制御部88から駆動装置87を始動したことを示す区間情報Sが入力すると、駆動装置87が始動されたと判定し(Step12:Yes)、第4の区間Dの照明を終了する(Step13)。
【0088】
ここでステップ8において制御部6は、読み取りが失敗した場合(Step8:No)、読み取りが失敗した第4の区間D-2として照明するため、照明パターン情報62に基づいて第4の光源44に駆動信号Sを出力し(Step14)、ステップ7に処理を進め、再度の読み取りを行う。なお再度の読み取りを行うステップ7においてタッチから非タッチとなった場合、制御部6は、照明を終了する。
【0089】
またステップ10において制御部6は、認証が不成立であった場合(Step10:No)、ステップ7に処理を進め、再度の読み取りを行う。なお再度の読み取りを行うステップ7においてタッチから非タッチとなった場合、制御部6は、照明を終了する。
【0090】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るスタートスイッチ装置1は、ユーザの操作負荷を低減することができる。具体的には、スタートスイッチ装置1は、光演出による操作フィードバックを呈示するので、この構成を採用しない場合と比べて、タッチ操作が検出されたことや生体情報の読み取りが完了したことなどをユーザが容易に認識することができる。またスタートスイッチ装置1は、光演出による操作フィードバックにより、駆動装置87が始動する前に操作指を離すタイミングが分かり易いので、始動するまでタッチ操作を継続する必要がなく、ユーザの操作負荷を低減することができる。
【0091】
スタートスイッチ装置1は、第3の区間Cと第4の区間Dとで照明の点灯や点滅、周期、色などを替えて区間の切り替わりが分かり易いので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザが操作指を離すタイミングを認識し易い。
【0092】
スタートスイッチ装置1は、読取画像22の読み取りが成功したか否かを分けて照明することができるので、この構成を採用しない場合と比べて、ユーザにとって駆動装置87が始動しない理由が分かり易く、認証に対する不信感が低減される。
【0093】
ここで他の実施の形態として、スタートスイッチ装置1と車両制御部88とを備えた生体情報システムを構成しても良い。
【0094】
この生体認証システムは、読取面に対する操作指の接触を検出すると共に操作指の生体情報を読み取る生体情報センサ、少なくとも1つの光源を有する照明部、及び入力する車両情報に基づいて少なくとも1つの光源の点灯と消灯とを組み合わせた照明パターンによって照明部を制御する制御部を有するスタートスイッチ装置と、車両の状態を示す車両情報を制御部に出力する車両制御部と、を備えて概略構成されている。
【0095】
この車両情報は、例えば、上述の区間情報Sである。この生体認証システムは、例えば、区間情報Sに基づくブレーキ装置86の操作状況、生体情報センサ2によるタッチ、非タッチの検出結果、読取画像22の取得状況、及び区間情報Sに基づく駆動装置87の始動状況に応じて区間を判定し、その区間に応じた照明パターンを実行する。
【0096】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1…スタートスイッチ装置、2…生体情報センサ、4…照明部、6…制御部、7…特徴点、8…車両、9…操作指、10…本体、12…操作部、20…読取面、22…読取画像、23…生体情報、40…ライトガイド、41~45…第1の光源~第5の光源、60…登録生体情報、61…認証しきい値、62…照明パターン情報、86…ブレーキ装置、87…駆動装置、88…車両制御部、120…操作面、121…文字
図1
図2
図3
図4
図5