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特許7210287II型シトルリン血症の治療のためのシトリンをコードするポリヌクレオチド
<図1-1>
  • 特許-II型シトルリン血症の治療のためのシトリンをコードするポリヌクレオチド 図1-1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】II型シトルリン血症の治療のためのシトリンをコードするポリヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20230116BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230116BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20230116BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230116BHJP
   C12N 15/67 20060101ALN20230116BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20230116BHJP
【FI】
A61K48/00
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/18
A61K9/08
A61K38/17 ZNA
A61K31/7105
A61K31/7115
A61K31/7125
A61P43/00 111
A61P13/02
A61P7/00
A61P3/00
C12N15/88 Z
C12N15/12
C12N15/67 Z
C07K14/47
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2018560776
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 US2017033421
(87)【国際公開番号】W WO2017201349
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】62/338,479
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518216249
【氏名又は名称】モダーナティエックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ModernaTX, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・マルティーニ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ホージ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・ベネナート
(72)【発明者】
【氏名】ブラディミア・プレスニャク
(72)【発明者】
【氏名】イアン・マクファディエン
(72)【発明者】
【氏名】エララヘワゲ・サティヤジット・クマラシンゲ
(72)【発明者】
【氏名】ジンソン・ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】リン・トゥン・グエイ
(72)【発明者】
【氏名】ステイシー・サブニス
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/199952(WO,A1)
【文献】YASUDA, T et al.,Identification of two novel mutations in the SLC25A13 gene and detection of seven mutations in 102 patients with adult-onset type II citrullinemia.,Hum Genet,2000年,Vol. 107,p. 537-545,https://doi.org/10.1007/s004390000430
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 38/17
A61K 31/7105
A61K 47/14
A61K 47/24
A61K 47/18
A61K 47/22
A61P 13/02
A61P 3/00
A61P 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヒトシトリンポリペプチドをコードするORFを含むmRNA、及び(b)送達剤を含む医薬組成物であって、
ここで該送達剤が、式(IA)の化合物:
【化1】
またはその塩であり、式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
mは、5、6、7、8、及び9から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキル、または-(CHQであり、式中、nは、1、2、3、4もしくは5であり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、または-NHC(O)N(R)であり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択され
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC1-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環である、医薬組成物。
【請求項2】
該化合物が、下式(II)
【化2】
またはその塩であり、
は、非置換C1-3アルキル、または(CHQであり、式中、nは、2、3、もしくは4であり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、または-NHC(O)N(R)である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
該化合物が、式(IIa)
【化3】
またはこれらの塩、
式(IIb)
【化4】
またはこれらの塩、
式(IIc)
【化5】
またはこれらの塩、
または、式(IIe)
【化6】
またはこれらの塩である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
M及びM’が独立に、-C(O)O-または-OC(O)-である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(i)R及びRが同じ置換基であって、任意で両者がCアルキルであるか、
(ii)R及びRが異なる置換基である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
(i)nが2であり、
(ii)R’が、Cアルキル及びCアルケニル、Cアルキル及びCアルケニル、Cアルキル及びCアルケニル、Cアルキル及びCアルケニル、Cアルキル及びCアルケニル、C11アルキル及びC11アルケニル、C12アルキル、C12アルケニル、C13アルキル、C13アルケニル、C14アルキル、C14アルケニル、C15アルキル、C15アルケニル、C16アルキル、C16アルケニル、C17アルキル、C17アルケニル、C18アルキル及びC18アルケニルから選択され、または
(iii)lが、3、4及び5から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
該化合物が、下式の化合物
【化7】
またはこれらの塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記送達剤が、更に、リン脂質、構造脂質、及びPEG脂質を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
(a)前記リン脂質が、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロホスホコリン(DMPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、
1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロホスホコリン(DUPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、
1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0のジエーテルPC)、
1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、
1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16Lyso PC)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16:0 PE)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択され、
(b)前記構造脂質が、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソル酸、アルファ-トコフェロール、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択され、及び/または
(c)前記PEG脂質がPEG-修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG-修飾ホスファチジン酸、PEG-修飾セラミド、PEG-修飾ジアルキルアミン、PEG-修飾ジアシルグリセロール、PEG-修飾ジアルキルグリセロールまたはそれらの混合物である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
該シトリンポリペプチドが配列番号1または3の配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有し、さらに該シトリンポリペプチドがシトリン活性を保持している、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
該シトリンポリペプチドが配列番号1または3に示されたアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ORFが、配列番号5~29、129、132、135、及び138からなる群から選択される配列と、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ORFが、配列番号5~29、129、132、135、及び138からなる群から選択される配列と、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ORFが、配列番号5~29、129、132、135、及び138からなる群から選択される配列と、100%の配列同一性を有する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
該ORFのウラシル含有量が、理論的最小含有量の、118%と122%の間、117%と123%の間、116%と124%の間、115%と125%の間、114%と126%の間、113%と127%の間、112%と128%の間、111%と129%の間、110%と130%の間、109%と131%の間、108%と132%の間、107%と133%の間、または106%と134%の間にある、請求項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
該mRNAが、配列番号30のヌクレオチド配列を含む5’非翻訳領域(UTR)を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
該mRNAが、配列番号105、配列番号147、または配列番号148のヌクレオチド配列を含む3’UTRを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
該mRNAが、配列番号75に示されるmiR-142-3p結合部位を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
該mRNAが、Cap1である5’末端キャップを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
該mRNAが、80~250残基長のポリA尾部を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
該医薬組成物が、脂質ナノ粒子として製剤化されている、請求項1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ヒト対象のCTLN2の治療における使用のための、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
ヒト対象のCTLN2の徴候または症状の発症の予防または遅延における使用のための、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
ヒト対象のアンモニア、及び/またはトリグリセリドレベルを低減させるのに用いるための、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
ヒト対象のシトリン活性のレベルを増大させるのに用いるための、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月18日に出願の米国仮出願第62/338,479号の優先権を主張するものであり、本文献はその全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0002】
efs-web経由で電子的に提出された配列表の参照
電子的に提出された配列表(名称:3529_072PC02_Sequence Listing、サイズ:181,746バイト、及び作成日:2017年5月16日)の全容は、本明細書中に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
シトルリン血症は、血中のアンモニア及び他の有毒物質を異常に増加させる、常染色体劣性尿素サイクル異常症である。II型シトルリン血症(「CTLN2」)は、溶質キャリアファミリー25、メンバー13遺伝子(「SLC25A13」)の変異に起因するシトルリン血症の一形態である。CTLN2は、成人発症II型シトルリン血症またはシトリン欠乏症としても知られている。CTLN2は、夜行性錯乱、攻撃性、過敏性、活動亢進、妄想、見当識障害、情動不安、嗜眠、記憶喪失、羽ばたき振戦、痙攣発作、昏睡、または更には脳浮腫による死亡さえも引き起こす。Kobayashi,K.et al.,GeneReviews(2008)、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1181/。CTLN2は、日本人の集団において見られ、100,000~230,000人に1人の推定発生率が見込まれている。加えて、東アジア及び中東の集団においてもCTLN2が報告されてきた。CCTLN2に対する最新の治療法は、炭水化物が少なくタンパク質及び脂肪が多い食事を個人に摂取させることによって、徴候及び症状を抑えようと試みるものである。同様に、アルギニン、安息香酸ナトリウム、またはフェニル酢酸ナトリウムでの治療は、血液からアンモニアを除去するものである。重篤な症例において、肝臓移植はCTLN2の治療に奏功しており、透析を用いて血液からアンモニアを除去する場合もある。Saheki,T.et al.,Molec.Genet.Metab.100(Suppl.1):S59-S64(2010)。それゆえ、この障害の最も有効な治療は肝臓移植とされているが、患者の多くは低炭水化物/高タンパク食で管理され得る。ただし、これらの治療のなかでこの障害を完全に制御するものは存在しない。
【0004】
CTLN2に関連する主な遺伝子は、2つのバリアント(Genbank受託番号NM_001160210、NP_001153682、NM_014251、NP_055066、XM_006715831、XP_006715894、XM_011515727、XP_011514029)を有するSLC25A13である。SLC25A13によって、シトリン(すなわち、カルシウム依存性ミトコンドリア溶質キャリアタンパク質)がコードされる。シトリンは、ミトコンドリアアスパラギン酸グルタミン酸キャリア2(ARALAR2)としても知られている。シトリンは、ミトコンドリアによるグルタミン酸の取り込み、及びアスパラギン酸の輸送を触媒することによって、尿素サイクルにおいて重要な役割を果たしている。Saheki,T.et al.,Metab.Brain Dis.17:335-346(2002)。バリアントによっても異なるが、ヒトシトリンの前駆体形態は676アミノ酸または675アミノ酸のいずれかであり、一方、その成熟形態は開始メチオニンが切断された675アミノ酸または674アミノ酸のいずれかである。
【0005】
シトリンの機能が完全にまたは部分的に失われた場合、血中のアンモニア及びその他の有毒物質が異常に増加する。例えば、正常な個体ではアンモニアレベルが49μg/dLまたはそれ未満であるのに対し、シトリンが失われた場合には750μg/dLを超えることが報告されている。CTLN2の治療は一般に、肝臓移植に加えて、例えば食餌療法及び栄養補助による疾患管理に焦点を当てている。CTLN2を治療するために使用できる治療薬は、これまでのところ存在していない。それゆえ、CTLN2の治療法に改良を施すことが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、II型シトルリン血症(CTLN2)治療用のmRNA治療薬を提供するものである。本発明のmRNA治療剤がとりわけCTLN2の治療に好適とされる理由は、本テクノロジーが、シトリンをコードするmRNAの細胞内送達、続いて、標的細胞内で機能的シトリンタンパク質のデノボ合成を実現するという点にある。本発明は、修飾ヌクレオチドを治療用mRNA内に組み込んだことによって、(1)望ましくない免疫活性化(例えば、外来核酸のin vivo導入に関連する自然免疫応答)を最小限に抑えること、及び(2)mRNAからタンパク質への翻訳効率を最適化することを特長とする。本発明の例示的な態様は、先天性免疫応答を低減するためのヌクレオチド修飾と、特に、シトリンをコードする治療用mRNAのオープンリーディングフレーム(ORF)内での配列最適化とを組み合わせて用いることによって、タンパク質の発現を増強することを特長とする。
【0007】
更なる実施形態において、本発明のmRNA治療技術はまた、シトリンをコードするmRNAを脂質ナノ粒子(LNP)送達系経由で送達することを、特長とする。本発明は、CTLN2をコードするmRNAと組み合わせてin vivo投与された際に、例えば細胞摂取、細胞内輸送及び/またはエンドソーム放出もしくはエンドソーム脱出などの改良特性を有する新規なイオン性脂質ベースのLNPを特長とする。また、本発明のLNPは、LNPのin vivo投与に関連する免疫原性を低減させることが実証されている。
【0008】
ある特定の態様において、本発明は、シトリンをコードするポリヌクレオチド(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)などのRNA)を含む、組成物及び送達製剤、ならびに、それを必要とする対象において同ポリヌクレオチドを投与することによってII型シトルリン血症(CTLN2)を治療する方法に関する。
【0009】
本開示は、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むmRNAを封入した脂質ナノ粒子を含む医薬組成物を提供するものであり、本組成物は、II型シトルリン血症(CTLN2)の治療を必要とするヒト対象への投与に適したものである。
【0010】
本開示は更に、(a)(i)少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基、糖、骨格またはそれらの任意の組み合わせを含む、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)と(ii)マイクロRNA(miRNA)結合部位を含む非翻訳領域(UTR)とを含むmRNA、及び(b)送達剤を含む医薬組成物を提供し、本医薬組成物は、II型シトルリン血症(CTLN2)の治療を必要とするヒト対象への投与に適したものである。
【0011】
本開示は更に、ヒトシトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むmRNAを含む医薬組成物を提供する。本組成物は、それを必要とする対象に単回静脈内投与した場合に、
(i)血中及び/または血漿中アンモニアレベルを、投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって対象のベースラインレベルまたは基準血中及び/または血漿中アンモニアレベルと比較して少なくとも2分の1に、少なくとも3分の1に、少なくとも5分の1に、少なくとも10分の1に、少なくとも15分の1に、少なくとも20分の1に、または少なくとも50分の1に低減させる、及び/または
(ii)、血中及び/または血漿中トリグリセリドレベルを、投与後少なくとも24時間にわたって、投与後少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって対象のベースラインレベルまたは基準血中及び/または血漿中トリグリセリドレベルと比較して少なくとも1.5分の1に、少なくとも2分の1に、少なくとも3分の1に、少なくとも4分の1に、少なくとも5分の1に、少なくとも10分の1に、または少なくとも20分の1に低減させるのに十分である。
【0012】
本開示は更に、ヒトシトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むmRNAを含む医薬組成物を提供する。本組成物は、それを必要とする対象に単回静脈内投与として投与した場合に、
(i)血中及び/または血漿中アンモニアレベルを、投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって対象のベースラインレベルまたは(例えばCTLN2を有する対象における)基準血中及び/または血漿中アンモニアレベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%、及び/または
(ii)血中及び/または血漿中トリグリセリドレベルを、投与後少なくとも24時間にわたって、投与後少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって対象のベースラインレベルまたは(例えばCTLN2を有する対象における)基準血中及び/または血漿中トリグリセリドレベルと比較して少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%を低減させるのに十分である。
【0013】
本開示は更に、ヒトシトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むmRNAを含む医薬組成物を提供する。本組成物は、それを必要とする対象に単回静脈内投与として投与した場合に、
(i)肝臓シトリン活性レベルを、投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって通常の生理学的レベルまでまたはそれより高く上昇させる、及び/または
(ii)肝臓シトリン活性レベルを、投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、または少なくとも96時間にわたって基準肝臓シトリン活性レベルの50%までまたはそれより高く上昇させるうえで十分である。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される医薬組成物は更に、送達剤を含む。
【0015】
いくつかの態様において、本発明は、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むポリヌクレオチドに関する。本ポリヌクレオチドにおいて、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最小ウラシルまたはチミン含有量に対するORFのウラシルまたはチミン含有量(%UTMまたは%TTM)は、約100%~約150%である。いくつかの態様において、対応する野生型ORFのウラシルまたはチミン含有量に対するORFのウラシルまたはチミン含有量(%UWTまたは%TWT)は、100%未満である。いくつかの態様において、ORF中の総ヌクレオチド含有量に対するORF中のウラシルもしくはチミン含有量(%UTLまたは%TTL)は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、または約20%未満である。
【0016】
いくつかの態様において、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオオチド配列の理論的最大グアニン含有量に対するORFのグアニン含有量(%GTMX)は、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつかの態様において、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最大シトシン含有量に対するORFのシトシン含有量(%CTMX)は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつかの態様において、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最大G/C含有量に対するORFのグアニン及びシトシン含有量(G/C)(%G/CTMX)は、少なくとも約81%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつかの態様において、対応する野生型ORFにおけるG/C含有量に対するORF中のG/C含有量(%G/CWT)は、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも131%、少なくとも132%、少なくとも133%、または少なくとも134%である。いくつかの態様において、ORF中の第3のコドン位置における平均G/C含有量は、対応する野生型ORFの第3のコドン位置の平均G/C含有量よりも少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、または少なくとも49%多い。
【0017】
いくつかの実施形態において、ORFは、配列番号5~29、129、132、135または138に対して少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0018】
いくつかの態様において、シトリンポリペプチドは、
(i)野生型シトリンのアイソフォーム1のポリペプチド配列(配列番号1)または
(ii)野生型シトリンのアイソフォーム2のポリペプチド配列(配列番号3)に対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは約100%同一であるアミノ酸配列を含み、且つ
本シトリンポリペプチドは、アスパラギン酸またはグルタミン酸輸送活性を有する。
【0019】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは一本鎖である。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは二本鎖である。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはRNAである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはmRNAである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基、糖、主鎖、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基は、シュードウラシル(Ψ)、N1-メチルシュードウラシル(m1Ψ)、2-チオウラシル(s2U)、4’-チオウラシル、5-メチルシトシン、5-メチルウラシル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基は、シュードウラシル(Ψ)、N1-メチルシュードウラシル(m1Ψ)、1-エチルシュードウラシル、2-チオウラシル(s2U)、4’-チオウラシル、5-メチルシトシン、5-メチルウラシル、5-メトキシウラシル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基は、5-メトキシウラシルである。いくつかの実施形態において、ウラシルの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、5-メトキシウラシルである。いくつかの実施形態において、ウラシルまたはチミンの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%もしくは100%は、化学修飾されている。いくつかの実施形態において、グアニンの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、化学修飾されている。いくつかの実施形態において、シトシンの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、化学修飾されている。いくつかの実施形態において、アデニンの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、化学修飾されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、少なくとも2つの異なるマイクロRNA(miR)結合部位を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、マイクロRNAは、造血系統の免疫細胞内に発現するか、あるいはTLR7及び/またはTLR8を発現し炎症促進性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する細胞内に発現し、且つ本マイクロRNAにおいてポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は1つ以上の修飾核酸塩基を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、mRNAは、造血系統の免疫細胞内に多く存在するマイクロRNAの少なくとも1つの第1のマイクロRNA結合部位と、内皮細胞内に多く存在するマイクロRNAの少なくとも1つの第2のマイクロRNA結合部位とを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、mRNAは、第1のマイクロRNA結合部位の複数コピーと、第2のマイクロRNA結合部位の少なくとも1つのコピーとを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、mRNAは、同じマイクロRNAの第1及び第2のマイクロRNA結合部位を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、同じマイクロRNAの3pアーム及び5pアームのものである。
【0026】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、表3または表4から選択される1つ以上のヌクレオチド配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、miR-126、miR-142、miR-144、miR-146、miR-150、miR-155、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27もしくはmiR-26a、またはそれらの任意の組み合わせに結合する。
【0028】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、miR126-3p、miR-142-3p、miR-142-5pもしくはmiR-155、またはそれらの任意の組み合わせに結合する。
【0029】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、miR-126結合部位である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、miR-142結合部位である。いくつかの実施形態において、1つのマイクロRNA結合部位は、miR-126結合部位であり、且つ第2のマイクロRNA結合部位は、miR-142-3p、miR-142-5p、miR-146-3p、miR-146-5p、miR-155、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24及びmiR-27からなる群から選択されるマイクロRNA用結合部位である。
【0030】
いくつかの実施形態において、mRNAは、少なくとも1つのmiR-126-3p結合部位と、少なくとも1つのmiR-142-3p結合部位とを含む。いくつかの実施形態において、mRNAは、少なくとも1つのmiR-142-3p結合部位と、少なくとも1つの142-5p結合部位とを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、mRNAの5’UTRまたは3’UTR内、あるいはその5’UTR及び3’UTRの両方に位置する。いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、mRNAの3’UTR内に位置する。いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、mRNAの5’UTR内に位置する。いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、mRNAの5’UTR及び3’UTR内の両方に位置する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、mRNAのコーディング領域の終止コドンに直接隣接する3’UTR内に位置する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロRNA結合部は、mRNAのコーディング領域の終止コドンより下流にある3’UTR70~80塩基内に位置する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、mRNAのコーディング領域の開始コドンの直前の5’UTR内に位置する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、mRNAのコーディング領域の開始コドンに先行する5’UTR15~20ヌクレオチド内に位置する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、mRNAのコーディング領域の開始コドンに先行する5’UTR70~80ヌクレオチド内に位置する。
【0032】
いくつかの実施形態において、mRNAは、互いに直接隣接した、または5ヌクレオチド未満、5~10ヌクレオチド未満、10~15ヌクレオチド未満もしくは15~20ヌクレオチド未満のスペーサで位置付けられた、同じマイクロRNA結合部位の複数のコピーを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、mRNAは、3’UTRに位置する同じマイクロRNA結合部位の複数のコピーを含み、第1のマイクロRNA結合部位は終止コドンに直接隣接して位置し、第2及び第3のマイクロRNA結合部位は、第1のマイクロRNA結合部位の3’末端残基の30~40塩基下流に位置する。
【0034】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、配列番号75及び配列番号77から選択される1つ以上のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miR-142に結合する。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miR-142-3pまたはmiR-142-5pに結合する。ある特定の実施形態において、miR-142は配列番号73を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、マイクロRNA結合部位は、配列番号144及び配列番号146から選択される1つ以上のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miR-126に結合する。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miR-126-3pまたはmiR-126-5pに結合する。いくつかの実施形態において、miR-126は、配列番号142を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、mRNAは、miR-142、miR-126、またはそれらの組み合わせに結合するマイクロRNA結合部位を含んだ3’UTRを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、mRNAなどのポリヌクレオチドは更に、3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、3’UTRは、配列番号48~72、80、81、102~105、108~117、124、125、147~157、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される3’UTR配列に対して少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、3’UTR内に位置する。いくつかの実施形態において、3’UTRは、配列番号48~72、80、81、102~105、108~117、124、125、147~157、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、mRNAは、配列番号105、147、148、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される核酸配列を含んだ3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、mRNAは、配列番号147の核酸配列を含んだ3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、mRNAは、配列番号148の核酸配列を含んだ3’UTRを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、mRNAなどのポリヌクレオチドは更に、5’UTRを含む。いくつかの実施形態において、5’UTRは、配列番号30~47、79、120~122、126~128、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される5’UTR配列に対して、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは約100%同一である、核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、5’UTRは、配列番号30~47、79、120~122、126~128及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、mRNAは、配列番号30の核酸配列を含んだ5’UTRを含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、mRNAなどのポリヌクレオチドは更に、5’末端キャップを含む。いくつかの実施形態において、5’末端キャップは、キャップ0、キャップ1、ARCA、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、2-アジドグアノシン、キャップ2、キャップ4、5’メチルGキャップ、またはそれらの類似体を含む。いくつかの実施形態において、5’末端キャップは、キャップ1を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、mRNAなどのポリヌクレオチドは更に、ポリA領域を含む。いくつかの実施形態において、ポリA領域は、少なくとも約10ヌクレオチド長、少なくとも約20ヌクレオチド長、少なくとも約30ヌクレオチド長、少なくとも約40ヌクレオチド長、少なくとも約50ヌクレオチド長、少なくとも約60ヌクレオチド長、少なくとも約70ヌクレオチド長、少なくとも約80ヌクレオチド長、または少なくとも約90ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、ポリA領域は、約10~約200ヌクレオチド長、約20~約180ヌクレオチド長、約50~約160ヌクレオチド長、約70~約140ヌクレオチド長、約80~約120ヌクレオチド長を有する。
【0041】
いくつかの態様において、mRNAなどのポリヌクレオチドは、1つ以上の異種ポリペプチドに融合されたシトリンポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、1つ以上の異種ポリペプチドによって、シトリンポリペプチドの薬物動態特性が増強される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、対象に投与された際に、配列番号2または4を含む対応するポリヌクレオチドと比較して
(i)血漿半減期が延長するか、(ii)ORFによりコードされるシトリンポリペプチドの発現が増加するか、(iii)発現断片を生ずる翻訳中断頻度が低下するか、(iv)構造安定性が増強されるか、あるいは(v)それらの任意の組み合わせである。
【0042】
いくつかの実施形態において、mRNAなどのポリヌクレオチドは、(i)5’末端キャップ、(ii)5’UTR、(iii)シトリンポリペプチドをコードするORF、(iv)3’UTR、ならびに(v)ポリA領域を含む。いくつかの実施形態において、3’UTRは、miRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号130、133、136、139からなる群から選択される核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは更に、5’末端キャップ(例えば、キャップ1)及びポリA尾部領域(例えば、約100ヌクレオチド長)を含む。
【0043】
いくつかの態様において、本発明は、本発明のmRNAなどのポリヌクレオチドを産生する方法に関する。本方法は、少なくとも1つのウラシル核酸塩基をアデニン、グアニンまたはシトシン核酸塩基で置換することによって、あるいは少なくとも1つのアデニン、グアニン、またはシトシン核酸塩基をウラシル核酸塩基で置換することによってシトリンポリペプチドをコードするORFを修飾することを含み、ここで、全ての置換は同義置換である。いくつかの実施形態において、本方法は更に、ウラシルの少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%を5-メトキシウラシルで置換することを含む。
【0044】
本開示ではまた、(a)本発明のポリヌクレオチド、例えばmRNAと、(b)送達剤とを含む組成物も提供される。いくつかの実施形態において、送達剤は、リピドイド、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、高分子化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣物、ナノチューブ、またはコンジュゲートを含む。いくつかの実施形態において、送達剤は、脂質ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノールイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオールイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、(13Z,165Z)-N,N-ジメチル-3-ノニドコサ-13-16-ジエン-1-アミン(L608)、2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、(2S)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される脂質を含む。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、DLin-MC3-DMAを含む。
【0045】
いくつかの態様において、送達剤は、式(I)
【化1】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、RはC5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”及び-ROR”からなる群から選択されるか、あるいはR及びRは、それらの結合している原子と一緒になって、複素環または炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQR)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O-(CHN(R)、-C(O)OR、OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及びC(R)N(R)C(O)ORから選択され、且つ各nは独立に、1、2、3、4及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)、O-、-OC(O)-、-C(O)、N(R’)-、-N(R’)、C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)、S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)、O-、-S(O)、-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル及びHからなる群から選択され、
は、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及び
3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br及びIからなる群から選択され、且つ
mは、5、6、7、89、10、11、12及び13から選択され、且つ
が-(CH)、Q、-(CH)、CHQR、-CHQR、または-CQ(R)、である場合、(i)nが1、2、3、4または5のときに、Qは-N(R)ではなく、あるいは(ii)nが1または2のときに、Qは5員、6員もしくは7員ヘテロシクロアルキルではない、ことを条件とする。
【0046】
いくつかの態様において、送達剤は、式(I)
【化2】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、RはC5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”及び-ROR”からなる群から選択されるか、あるいはR及びRは、それらの結合している原子と一緒になって、複素環または炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、及び-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)、O-、-OC(O)-、-C(O)、N(R’)-、-N(R’)、C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)、S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル及びHからなる群から選択され、
は、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br及びIからなる群から選択され、且つ
mは、5、6、7、8、9、10、11、12及び13から選択され、且つ
が-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、または-CQ(R)である場合、(i)nが1、2、3、4または5のときに、Qは-N(R)ではなく、あるいは(ii)nが1または2のときに、Qは5員、6員もしくは7員ヘテロシクロアルキルではない、ことを条件とする。
【0047】
いくつかの実施形態において、送達剤は、式(I)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、RはC5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”及び-ROR”からなる群から選択されるか、あるいはR及びRは、それらの結合している原子と一緒になって、複素環または炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、Qは炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、且つ各nは独立に、1、2、3、4及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br及びIからなる群から選択され、且つ
mは、5、6、7、8、9、10、11、12及び13から選択され、且つ
が-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、または-CQ(R)である場合、(i)nが1、2、3、4または5のときに、Qは-N(R)ではなく、あるいは(ii)nが1または2のときに、Qは5員、6員もしくは7員ヘテロシクロアルキルではない、ことを条件とする。いくつかの実施形態において、本化合物は、次式(IA)
【化3】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、lは、1、2、3、4及び5から選択され、
mは、5、6、7、8及び9から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキルまたは-(CHQであり、ここでnは1、2、3、4または5であり、且つQはOH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)R8、-NHC(=NR)N(R)、-NHC(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、且つR及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態において、mは5、7、または9である。いくつかの実施形態において、本化合物は、式(IA)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、lは、1、2、3、4及び5から選択され、
mは、5、6、7、8及び9から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキルまたは-(CHQであり、ここでnは1、2、3、4もしくは5であり、且つQはOH、-NHC(S)N(R)または-NHC(O)N(R)であり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、且つR及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態において、mは5、7、または9である。
【0050】
いくつかの実施形態において、本化合物は、式(II):
【化4】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、lは、1、2、3、4及び5から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキルまたは-(CHQであり、ここでnは2、3もしくは4であり、且つQはOH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)R8、-NHC(=NR)N(R)、-NHC(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
【0051】
いくつかの実施形態において、本化合物は、式(II)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、lは、1、2、3、4及び5から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキルまたは-(CHQであり、ここでnは2、3もしくは4であり、且つQは、OH、-NHC(S)N(R)または-NHC(O)N(R)であり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、且つR及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、MはM’である。
【0053】
いくつかの実施形態において、M及びM’は独立に、-C(O)O-または-OC(O)-である。
【0054】
いくつかの実施形態において、lは、1、3または5である。
【0055】
いくつかの実施形態において、本化合物は、化合物1~化合物232、その塩及び立体異性体、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
いくつかの実施形態において、本化合物は、化合物1~化合物147、その塩及び立体異性体、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0057】
いくつかの態様において、本化合物は、式(IIa):
【化5】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体である。
【0058】
いくつかの態様において、本化合物は、式(IIb):
【化6】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体である。
【0059】
いくつかの態様において、本化合物は、式(IIc)または(IIe):
【化7】
【化8】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体である。
【0060】
いくつかの実施形態において、Rは、本明細書に記載されているとおりである。いくつかの実施形態において、Rは、-(CHQ及び-(CHCHQRから選択される。
【0061】
いくつかの態様において、本化合物は、式(IId):
【化9】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、nは2、3及び4から選択され、且つm、R’、R”、及びR~Rは本明細書に記載されているとおりである。例えば、R及びRはそれぞれ独立に、C5-14アルキル及びC5-14アルケニルからなる群から選択され得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、本化合物は、式(IId)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、R及びRは独立に、C5-14アルキル及びC5-14アルケニルからなる群から選択され、nは2、3及び4から選択され、且つR’、R”、R、R及びmは本明細書中に定義されているとおりである。
【0063】
いくつかの実施形態において、Rは、Cアルキルである。
【0064】
いくつかの実施形態において、Rは、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、またはCアルキルである。
【0065】
いくつかの実施形態において、mは5、7、または9である。
【0066】
いくつかの実施形態において、各Rは、Hである。
いくつかの実施形態において、各RはHである。いくつかの実施形態において、送達剤は、式(III):
【化10】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、環Aは
【化11】
であり、
tは1または2であり、
及びAはそれぞれ独立に、CHまたはNから選択され、
ZはCHであるかまたは存在せず、ZがCHである場合、破線(1)及び(2)はそれぞれ単結合を表し、Zが存在しない場合、破線(1)及び(2)は両方とも存在せず、
、R、R、R及びRは独立に、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-R”MR’、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、
各Mは独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
、X及びXは独立に、結合、-CH-、-(CH-、-CHR-、-CHY-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、-CH-OC(O)-、-CH(OH)-、-C(S)-、及び-CH(SH)-からなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル及びC3-6炭素環からなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-12アルキル、C2-12アルケニル及びHからなる群から選択され、且つ各R”は独立に、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択され、環Aが
【化12】
である場合、
i)X、X及びXのうちの少なくとも1つは、-CHではなく、及び/または
ii)R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’である。
【0067】
いくつかの実施形態において、本化合物は、式(IIIa1)~(IIIa6)のいずれか:
【化13】
の化合物である。
【0068】
式(III)または(IIIa1)~(IIIa6)のいずれかの化合物は、該当する場合、以下の特徴のうちの1以上を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、環Aは
【化14】
である。
【0070】
いくつかの実施形態において、環Aは
【化15】
である。
【0071】
いくつかの実施形態において、環Aは
【化16】
である。
【0072】
いくつかの実施形態において、環Aは
【化17】
である。
【0073】
いくつかの実施形態において、環Aは
【化18】
である。
【0074】
いくつかの実施形態において、環Aは
【化19】
であり、環中:N原子は、Xに結合されている。
【0075】
いくつかの実施形態において、ZはCHである。
【0076】
いくつかの実施形態において、Zは存在しない。
【0077】
いくつかの実施形態において、A及びAの少なくとも1つはNである。
【0078】
いくつかの実施形態において、A及びAの各々は、Nである。
【0079】
いくつかの実施形態において、A及びAの各々は、-CHである。
【0080】
いくつかの実施形態において、AはNであり、且つAはCHである。
【0081】
いくつかの実施形態において、AはCHであり、且つAはNである。
【0082】
いくつかの実施形態において、X、X及びXのうちの少なくとも1つは、-CH-ではない。例えば、ある特定の実施形態において、Xは-CH-ではない。いくつかの実施形態において、X、X及びXのうちの少なくとも1つは-C(O)-である。
【0083】
いくつかの実施形態において、Xは、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-または-CH-OC(O)-である。
【0084】
いくつかの実施形態において、Xは、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-または-CH-OC(O)-である。他の実施形態において、Xは-CH-である。
【0085】
いくつかの実施形態において、Xは、結合または-(CH-である。
【0086】
いくつかの実施形態において、R及びRは同じである。ある特定の実施形態において、R、R及びRは同じである。いくつかの実施形態において、R及びRは同じである。ある特定の実施形態において、R、R、R、R及びRは同じである。
【0087】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’である。いくつかの実施形態において、多くともR、R、R、R及びRの1つは、-R”MR’である。例えば、R、R及びRのうちの少なくとも1つは-R”MR’であり得、及び/またはR及びRのうちの少なくとも1つは-R”MR’である。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのMは-C(O)O-である。いくつかの実施形態において、各Mは-C(O)O-である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのMは-OC(O)-である。いくつかの実施形態において、各Mは-OC(O)-である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのMは-OC(O)O-である。いくつかの実施形態において、各Mは-OC(O)O-である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。ある特定の実施形態において、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。ある特定の実施形態において、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。ある特定の実施形態において、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。ある特定の実施形態において、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR’は、Cアルキルである。ある特定の実施形態において、各R’は、Cアルキルである。他の実施形態において、少なくとも1つのR’は、Cアルキルである。ある特定の実施形態において、各R’は、Cアルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR’は、Cアルキルである。ある特定の実施形態において、各R’は、Cアルキルである。
【0088】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、C12アルキルである。ある特定の実施形態において、R、R、R、R及びRの各々は、C12アルキルである。
【0089】
いくつかの実施形態において、送達剤は、式(IV)、
【化20】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、
及びAはそれぞれ独立にCHまたはNから選択され、且つA及びAのうちの少なくとも1つはNであり、
ZはCHであるかまたは存在せず、ZがCHである場合、破線(1)及び(2)はそれぞれ単結合を表し、Zが存在しない場合、破線(1)及び(2)は両方とも存在せず、
、R、R、R及びRは独立に、C6-20アルキル及びC6-20アルケニルからなる群から選択され、
環Aが
【化21】
である場合、
i)R、R、R、R及びRは同じであり、式中、RはC12アルキル、C18アルキルまたはC18アルケニルではなく、
ii)R、R、R、R及びRのうちの1つのみがC6-20アルケニルから選択され、
iii)R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、R、R、R、R及びRの少なくとも1つの他の炭素原子とは異なる数の炭素原子を有し、
iv)R、R及びRはC6-20アルケニルから選択され、且つR及びRはC6-20アルキルから選択されるか、あるいは
v)R、R及びRはC6-20アルキルから選択され、且つR及びRはC6-20アルケニルから選択される。
【0090】
いくつかの実施形態において、本化合物は、式(IVa):
【化22】
の化合物である。
【0091】
式(IV)または(IVa)の化合物は、適用可能な場合、以下の機能のうちの1以上を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、ZはCHである。
【0093】
いくつかの実施形態において、Zは存在しない。
【0094】
いくつかの実施形態において、A及びAのうちの少なくとも1つはNである。
【0095】
いくつかの実施形態において、A及びAの各々は、Nである。
【0096】
いくつかの実施形態において、A及びAの各々は、-CHである。
【0097】
いくつかの実施形態において、AはNであり、且つAはCHである。
【0098】
いくつかの実施形態において、AはCHであり、且つAはNである。
【0099】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRは同じであって、且つC12アルキル、C18アルキルまたはC18アルケニルではない。いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRは同じであって、且つCアルキルまたはC14アルキルである。
【0100】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R及びRのうちの1つのみが、C6-20アルケニルから選択される。そのようなある特定の実施形態において、R、R、R、R及びRは、同数の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、Rは、C5-20アルケニルから選択される。例えば、Rは、C12アルケニルまたはC18アルケニルであり得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つの他の炭素原子とは異なる数の炭素原子を有する。
【0102】
ある特定の実施形態において、R、R及びRはC6-20アルケニルから選択され、且つR及びRはC6-20アルキルから選択される。他の実施形態において、R、R及びRはC6-20アルキルから選択され、且つR及びRはC6-20アルケニルから選択される。いくつかの実施形態において、R、R及びRは同数の炭素原子を有し、及び/またはR及びRは同数の炭素原子を有する。例えば、R、R及びR、またはR及びRは、6、8、9、12、14もしくは18個の炭素原子を有し得る。いくつかの実施形態において、R、R及びR、またはR及びRは、C18アルケニル(例えばリノレイル)である。いくつかの実施形態において、R、R及びR、またはR及びRは、6、8、9、12もしくは14個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0103】
いくつかの実施形態において、Rの炭素原子数は、R、R、R及びRとは異なる。他の実施形態において、Rの炭素原子数は、R、R、R及びRとは異なる。更なる実施形態において、Rの炭素原子数は、R、R、R及びRとは異なる。
【0104】
他の実施形態において、送達剤は、式(V)
【化23】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、
は、-CHまたはNであり、
はCHまたはNHであり、且つA及びAのうちの少なくとも1つはNまたはNHであり、
ZはCHであるかまたは存在せず、ZがCHである場合、破線(1)及び(2)はそれぞれ単結合を表し、Zが存在しない場合、破線(1)及び(2)は両方とも存在せず、
、R、及びRは独立に、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-R”MR’、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、
各Mは独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基及びヘテロアリール基から選択され、
及びXは独立に、-CH-、-(CH-、-CHR-、-CHY-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、-CH-OC(O)-、-CH(OH)-、-C(S)-、及び-CH(SH)-からなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル及びC3-6炭素環からなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-12アルキル、C2-12アルケニル及びHからなる群から選択され、且つ各R”は独立に、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択される。
【0105】
いくつかの実施形態において、本化合物は、式(Va):
【化24】
の化合物である。
【0106】
式(V)または(Va)の化合物は、適用可能な場合、次の特徴のうちの1つ以上を含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、ZはCHである。
【0108】
いくつかの実施形態において、Zは存在しない。
【0109】
いくつかの実施形態において、A及びAのうちのうちの少なくとも1つは、NまたはNHである。
【0110】
いくつかの実施形態において、AはNであり、且つAはNHである。
【0111】
いくつかの実施形態において、AはNであり、且つAはCHである。
【0112】
いくつかの実施形態において、AはCHであり、且つAはNHである。
【0113】
いくつかの実施形態において、X及びXのうちのうちの少なくとも1つは、-CH-ではない。例えば、ある特定の実施形態において、Xは-CH-ではない。いくつかの実施形態において、X及びXのうちのうちの少なくとも1つは、-C(O)-である。
【0114】
いくつかの実施形態において、Xは、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-または-CH-OC(O)-である。
【0115】
いくつかの実施形態において、R、R及びRは独立に、C5-20アルキル及びC5-20アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、R、R及びRは、同じである。ある特定の実施形態において、R、R及びRは、C、C、C12またはC14アルキルである。他の実施形態において、R、R及びRは、C18アルケニルである。例えば、R、R及びRは、リノレイルであり得る。
【0116】
他の実施形態において、送達剤は、式(VI)
【化25】
の化合物、またはその塩もしくは立体異性体であり、式中、
及びAはそれぞれ独立に、CHまたはNから選択され、A及びAのうちの少なくとも1つはNであり、
ZはCHであるかまたは存在せず、ZがCHである場合、破線(1)及び(2)はそれぞれ単結合を表し、Zが存在しない場合、破線(1)及び(2)は両方とも存在せず、
及びXは独立に、-CH-、-(CH-、-CHR-、-CHY-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、-CH-OC(O)-、-CH(OH)-、-C(S)-及び-CH(SH)-からなる群から選択され、
、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-R”MR’、-RYR”、-YR”及び-ROR”からなる群から選択され、
各Mは独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル及びC3-6炭素環からなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-12アルキル、C2-12アルケニル及びHからなる群から選択され、且つ各R”は独立に、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択される。
【0117】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、C6-20アルキル及びC6-20アルケニルからなる群から選択される。
【0118】
いくつかの実施形態において、R及びRは同じである。ある特定の実施形態において、R、R及びRは同じである。いくつかの実施形態において、R及びRは同じである。ある特定の実施形態において、R、R、R、R及びRは同じである。
【0119】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、C9-12アルキルである。ある特定の実施形態において、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、C、C12またはC14アルキルである。ある特定の実施形態において、R、R、R、R及びRの各々は、Cアルキルである。
【0120】
いくつかの実施形態において、AはNであり、且つAはNである。いくつかの実施形態において、AはCHであり、且つAはNである。
【0121】
いくつかの実施形態において、Xは-CH-であり、且つXは-C(O)-である。いくつかの実施形態において、X及びXは-C(O)-である。
【0122】
いくつかの実施形態において、AがNであり、且つAがNであるとき、X及びXのうちの少なくとも1つは-CH-ではない。例えば、X及びXのうちのうちの少なくとも1つは-C(O)-である。いくつかの実施形態において、AがNであり、且つAがNであるとき、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR'である。
【0123】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’ではない。
【0124】
いくつかの態様において、本組成物は、ナノ粒子組成物である。いくつかの態様において、本送達剤は更に、リン脂質を含む。いくつかの実施形態において、リン脂質は、1,2-ジリノレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル2オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16リゾPC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16:0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-ラク-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0125】
いくつかの実施形態において、送達剤は更に、構造脂質を含む。いくつかの実施形態において、構造脂質は、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソール酸、αトコフェロール、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0126】
いくつかの実施形態において、送達剤は更に、PEG脂質を含む。いくつかの実施形態において、PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PEG脂質は、式:
【化26】
を有し、式中、rは整数1~100の間である。いくつかの実施形態において、PEG脂質は化合物428である。
【0127】
いくつかの態様において、送達剤は更に、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノールイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオールイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、及び(2S)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))からなる群から選択される、イオン性脂質を含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、送達剤は更に、リン脂質、構造脂質、PEG脂質、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428(例えば、モル比を約50:10:38.5:1.5としたもの)を含む。
【0129】
いくつかの態様において、本組成物は、in vivo送達用に製剤化される。いくつかの態様において、本組成物は、筋肉内投与、皮下投与または皮内送達用に製剤化される。
【0130】
本開示では更に、(i)5’UTR、(ii)ヒトシトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)(ORFは配列番号5~29、129、132、135、138からなる群から選択される核酸配列を含む)、及び(iii)miR-142、miR-126、またはそれらの組み合わせから選択されるマイクロRNA結合部位を含む3’UTR(mRNAは少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基を含む)を含むmRNAを含んだポリヌクレオチドも提供される。
【0131】
本開示では更に、(i)5’末端キャップと、(ii)配列番号30~47、79、120~122、126~128及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される配列を含む5’UTRと、(iii)ヒトシトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)(ORFは配列番号5~29、129、132、135、138からなる群から選択される配列を含み、mRNAが、シュードウラシル(Ψ)、N1-メチルシュードウラシル(m1Ψ)、1-エチルシュードウラシル、2-チオウラシル(s2U)、4’-チオウラシル、5-メチルシトシン、5-メチルウラシル、5-メトキシウラシル及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの選択的に化学修飾された核酸塩基を含む)、及び(iv)配列番号48~72、80、81、102~105、108~117、124、125、147~157及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される核酸配列を含む3’UTR、及び(v)ポリA領域を含むmRNAを含んだポリヌクレオチドも提供される。
【0132】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号130、133、136、及び139からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0133】
本開示では更に、mRNAなどのポリヌクレオチド、及び送達剤を含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態において、送達剤は、化合物18、化合物236、その塩もしくは立体異性体、またはそれらの任意の組み合わせを含む脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されるシトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、例えば式(I)を有する化合物、例えば化合物1~232のいずれか(例えば化合物18)、式(III)、(IV)、(V)もしくは(VI)を有する化合物、例えば化合物233~342のいずれか(例えば化合物236)、あるいは式(VIII)を有する化合物、例えば化合物419~428のいずれか(例えば化合物428)、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む送達剤を用いて製剤化される。いくつかの実施形態において、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428(例えば、モル比を約50:10:38.5:1.5としたもの)を含む。
【0134】
本明細書中に開示される実施形態の一態様において、対象は、II型シトルリン血症(CTLN2)の治療または予防を必要とするヒト対象である。
【0135】
本明細書中に開示される実施形態の一態様では、mRNAを対象に投与した場合、配列番号2もしくは4の核酸配列を有する対応するmRNAと比較して、及び/または裸mRNAとして投与した場合と比較して、(i)血漿半減期が延長するか、(ii)ORFによりコードされるシトリンポリペプチドの発現が増加するか、(iii)発現断片を生ずる翻訳中断頻度が低下するか、(iv)構造安定性が増強されるか、あるいは(v)それらの任意の組み合わせである。
【0136】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される医薬組成物またはポリヌクレオチドは、単一単位用量または複数回の単一単位用量としての投与に好適である。
【0137】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される医薬組成物またはポリヌクレオチドは、対象においてCTLN2の1つ以上のバイオマーカーのレベルを低減させるのに好適である。
【0138】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される医薬組成物またはポリヌクレオチドは、対象におけるCTLN2の徴候もしくは症状の発症を治療、予防または遅延させる際に使用するためのものとされる。いくつかの実施形態において、徴候または症状としては、夜行性錯乱、攻撃性、過敏性、活動亢進、妄想、見当識障害、情動不安、嗜眠、記憶喪失、羽ばたき振戦、痙攣発作、昏睡、脳浮腫、死亡、もしくはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0139】
いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞に関する。いくつかの態様において、宿主細胞は真核生物細胞である。
【0140】
いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
【0141】
いくつかの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを酵素的または化学的に合成することを含む、ポリヌクレオチドの製造方法に関する。
【0142】
いくつかの態様において、本発明は、活性なシトリンポリペプチドをそれを必要とする対象においてin vivoで発現させる方法に関し、本方法は、有効量の本発明のポリヌクレオチド、組成物、宿主細胞またはベクターを対象に投与することを含む。
【0143】
いくつかの態様において、本発明は、それを必要とする対象におけるII型シトルリン血症(CTLN2)を治療する方法に関する。本方法は、治療有効量の本発明のポリヌクレオチド、組成物、宿主細胞、ベクターを、対象に投与することを含み、本投与によって、対象におけるCTLN2の徴候もしくは症状を緩和させるものである。
【0144】
いくつかの態様において、本発明は、それを必要とする対象においてCTLN2の徴候もしくは症状を予防または遅延する方法に関する。本方法は、CTLN2の徴候もしくは症状が顕在化する前の対象に、予防有効量の本発明のポリヌクレオチド、組成物、宿主細胞、ベクターを投与することを含み、本投与によって、対象におけるCTLN2の発症を予防または遅延させるものである。
【0145】
いくつかの態様において、本発明は、それを必要とする対象においてCTLN2の徴候もしくは症状を寛解させる方法に関する。本方法は、CTLN2の徴候もしくは症状が顕在化する前の対象に、治療有効量の本発明のポリヌクレオチド、組成物、宿主細胞、ベクターを投与することを含み、本投与によって、対象におけるCTLN2の徴候もしくは症状を寛解させるものである。
【0146】
本開示では更に、それを必要とするヒト対象においてシトリンポリペプチドを発現させる方法が提供される。本方法は、有効量の本明細書に記載の医薬組成物またはポリヌクレオチド、例えばmRNAを対象に投与することを含み、本医薬組成物またはポリヌクレオチドは、対象に対し単回用量、または複数回の単一単位用量として投与するのに好適とされる。
【0147】
本開示では更に、それを必要とするヒト対象におけるII型シトルリン血症(CTLN2)の徴候もしくは症状の発症を治療、予防または遅延させる方法が提供される。本方法は、有効量の本明細書に記載の医薬組成物またはポリヌクレオチド、例えばmRNAを対象に投与することを含み、本投与によって、対象におけるCTLN2の徴候もしくは症状のうちの1つ以上の発症を治療、予防または遅延させるものである。
【0148】
本開示では更に、II型シトルリン血症(CTLN2)の治療方法が提供される。本方法は、本明細書に記載の医薬組成物またはポリヌクレオチド(例えばmRNA)をCTLN2に罹患しているヒト対象に単回静脈内投与することを含む。
【0149】
本開示では更に、ヒト対象における血液及び/または血漿中の、アンモニア及び/またはトリグリセリドレベルを低減させる方法も提供される。本方法は、本方法は、有効量の医薬組成物またはポリヌクレオチド、例えば本明細書に記載のmRNAを対象に投与することを含み、本投与によって、対象における血漿中アンモニア及び/またはトリグリセリドレベルを低減させるものである。いくつかの実施形態では、
(i)血液及び/または血漿中のアンモニアレベルを、投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって対象のベースラインレベルまたは基準血中及び/または血漿中アンモニアレベルと比較して少なくとも2分の1に、少なくとも3分の1に、少なくとも5分の1に、少なくとも10分の1に、少なくとも15分の1に、少なくとも20分の1に、少なくとも50分の1に、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%低減させる、及び/または
(ii)血液及び/または血漿中のトリグリセリドレベルを、投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって対象のベースラインレベルまたは基準血中及び/または血漿中トリグリセリドレベルと比較して少なくとも1.5分の1に、2分の1に、少なくとも3分の1に、少なくとも4分の1に、少なくとも5分の1に、少なくとも10分の1に、少なくとも20分の1に、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%低減する。
【0150】
いくつかの実施形態では、医薬組成物またはポリヌクレオチドを対象に投与した後、例えば12時間以内に、24時間以内に、36時間以内にもしくは48時間以内に、対象におけるシトリン活性が、対象のベースラインシトリン活性と比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%もしくは少なくとも600%増加する。
【0151】
いくつかの実施形態では、対象の肝臓及び/または腎臓におけるシトリン活性が上昇する。
【0152】
いくつかの実施形態において、シトリン活性の上昇は、投与後24時間超、36時間超、48時間超、60時間超、72時間超または96時間超にわたって持続する。
【0153】
いくつかの実施形態では、II型シトルリン血症(CTLN2)に罹患している対象に、医薬組成物またはポリヌクレオチドを投与する。
【0154】
いくつかの実施形態では、医薬組成物またはポリヌクレオチドを対象に投与した後、例えば24時間以内に、対象におけるアンモニアレベルが、対象のベースラインアンモニアレベルと比較して、少なくとも約100%、少なくとも約90%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%もしくは少なくとも約30%低下する。
【0155】
いくつかの実施形態では、対象における血中及び/または血漿中アンモニアレベルを低減させる。
【0156】
いくつかの実施形態では、対象への投与後、対象におけるアンモニアレベルは、対象におけるベースラインレベルと比較して少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも1か月間にわたって低下する。
【0157】
いくつかの実施形態では、医薬組成物またはポリヌクレオチドを対象に投与した後、例えば24時間以内に、対象におけるトリグリセリドレベルが、対象のベースライントリグリセリドレベルと比較して、少なくとも約100%、少なくとも約80%、少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%もしくは少なくとも約10%低下する。
【0158】
いくつかの実施形態では、対象における血漿中及び/または肝臓中トリグリセリドレベルを低減させる。
【0159】
いくつかの実施形態において、対象への投与後、対象におけるトリグリセリドレベルは、対象におけるベースラインレベルと比較して少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも1か月間にわたって低下する。
【0160】
いくつかの実施形態において、対象はCTLN2の症状を呈する。
【0161】
いくつかの実施形態において、対象はCTLN2の発症前である。
【0162】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチド活性レベルは、CTLN2徴候及び/または症状の発呈を予防するのに十分である。
【0163】
いくつかの実施形態では、医薬組成物またはポリヌクレオチドを、単回用量1.5mg/kg未満、1.25mg/kg未満、1mg/kg未満、0.75mg/kg未満として投与される。
【0164】
いくつかの実施形態では、対象への投与を、約1週間に1回、約2週間に1回、または月に約1回行う。
【0165】
いくつかの実施形態では、医薬組成物またはポリヌクレオチドを静脈内投与する。
【図面の簡単な説明】
【0166】
図1図1A図1Dは、タンパク質配列(図1A)、ドメイン特徴が記載されている表(パネルB)、ドメイン構造のグラフィック表現(図1C)、及びシトリンのアイソフォーム1の核酸配列(図1D)を示す。
図2図2A図2Dは、タンパク質配列(図2A)、ドメイン特徴が記載されている表(図2B)、ドメイン構造のグラフィック表現(図2C)、及びシトリンのアイソフォーム2の核酸配列(図2D)を示す。
図3】シトリンの野生型アイソフォーム1、及び25個の配列最適化されたシトリンポリヌクレオチドに対応するウラシル(U)のメトリクスを示す。「U含有量(%)」と標識された列は、%UTLパラメータに対応している。「U含有量:WT(%)」と標識された列は、%UWTに対応している。「U含有量:理論的最小値(%)」と標識された列は、%UTMに対応している。「UU:WT(%)」と標識された列は、%UUWTに対応している。
図4】シトリンの野生型アイソフォーム1、及び25個の配列最適化されたシトリンポリヌクレオチドに対応するグアニン(G)のメトリクスを示す。「G含有量(%)」と標識された列は、%GTLに対応している。「G含有量:WT(%)」と標識された列は、%GWTに対応している。「G含有量:理論的最大値(%)」と標識された列は、%GTMXに対応している。
図5】シトリンの野生型アイソフォーム1、及び25個の配列最適化されたシトリンポリヌクレオチドに対応するシトシン(C)のメトリクスを示す。「C含有量(%)」と標識された列は、%CTLに対応している。「C含有量:WT(%)」と標識された列は、%CWTに対応している。「C含有量:理論的最大値(%)」と標識された列は、%CTMXに対応している。
図6】シトリンの野生型アイソフォーム1、及び25個の配列最適化されたシトリンポリヌクレオチドに対応するグアニン+シトシン(G/C)のメトリクスを示す。「G/C含有量(%)」と標識された列は、%G/CTLに対応している。「G/C含有量:WT(%)」と標識された列は、%G/CWTに対応している。「G/C含有量:理論的最大値(%)」と標識された列は、%G/CTMXに対応している。
図7】シトリンをコードするmRNA、または非翻訳第IX因子(NTFIX)対照mRNAを、CTRNノックアウトマウス及びmGPD/CTRN二重ノックアウトマウスに投与するタイミング、ならびにマウスを出血させるタイミング、体重測定を行うタイミング、及びサンプル(血漿、肝臓、脾臓)採取のタイミングを示した実験的デザインダイアグラムである。
図8図7に示す実験的デザインダイアグラムによる、ヒトシトリン(hシトリン)をコードするmRNA(コンストラクト#1)または非翻訳第IX因子をコードする対照mRNA(NtFix)を投与されたCTRNノックアウト(Ctrn KO)及びmGPD/CTRN(ダブルKO)マウスにおける血中アンモニアレベル(μg/dl)を示す。また、対照NTFIX mRNA(WT-NtFix)を投与された野生型マウスの血中アンモニウム濃度も示す。
図9図9A及び図9Bは、シトリンをコードするmRNA(コンストラクト#1)、または対照NTFIX mRNAを投与されたmGPD/CTRN二重ノックアウトマウスを対象とした、mRNAを投与する前(図9A)及びmRNAを2回目に注射した後(図9B)の、スクロース嫌悪(選好指数)を示す。
図10】対照mRNA(NTFIX)、またはシトリンをコードするmRNA(コンストラクト#1)を、野生型マウス、CTRNノックアウトマウス及びmGPD/CTRNノックアウトマウスに投与した後の、単離された肝臓ミトコンドリアにおけるシトリン(上部パネル)、mGPD(中間パネル)、及びクエン酸合成酵素(下部パネル)のタンパク質発現レベルを示す。
図11】対照mRNA(NTFIX)、またはシトリンをコードするmRN(コンストラクト#1)Aを、野生型マウス、CTRNノックアウトマウス及びmGPD/CTRNノックアウトマウスに投与した後の、シトリンのタンパク質発現レベルの半定量的分析を示す。
図12】実施例23に記載の研究のmRNA注射のタイミング、及びスクロース曝露のタイミングを示す、実験的デザインダイアグラムである。
図13図13A~13Bは、ヒトシトリンをコードするmRNA(0.5mg/kg及び0.2mg/kg)または対照mRNA(NTFIX)を注射された後の、mGPD/CTRN二重ノックアウトマウスにおける血漿中アンモニア濃度レベルを示す。図13Aは、mRNAを注射する前、及びmRNAを初めて注射されてから24時間後の、血漿中アンモニア濃度を示す。図13Bは、mRNAを初めて注射されてから16日後の、血漿中アンモニア濃度を示す。
図14図14A~14Bは、シトリンmRNAを投与されたマウスから単離された肝臓ミトコンドリア内でのシトリンタンパク質の発現を示す。図14Aは、ヒトシトリンをコードするmRNA(コンストラクト#1、#2、#3もしくは#4)、またはNTFIXをコードするmRNAを注射されてから24時間後の、野生型マウスから単離された肝臓ミトコンドリア内でのシトリンタンパク質の発現を示すウェスタンブロットである。α-チューブリンがローディングコントロールとして検出されている。図14Bは、シトリンをコードするmRNA(コンストラクト#1、#2、#3もしくは#4)、または対照mRNA(NTFIX)を注射されてから24時間後の野生型マウスから単離された肝臓ミトコンドリア内でのシトリンタンパク質発現レベルの比率の定量分析を、mRNAごとに示す。
【発明を実施するための形態】
【0167】
本発明は、II型シトルリン血症(CTLN2)治療用のmRNA治療薬を提供するものである。CTLN2は、血中のアンモニア及び他の有毒物質を異常に増加させる、常染色体劣性尿素サイクル異常症である。CTLN2は、溶質キャリアファミリー25、メンバー13遺伝子(「SLC25A13」)の変異に起因するシトルリン血症の一形態である。また、CTLN2は成人発症II型シトルリン血症またはシトリン欠乏症としても知られている。CTLN2は、夜行性錯乱、攻撃性、過敏性、活動亢進、妄想、見当識障害、情動不安、嗜眠、記憶喪失、羽ばたき振戦、痙攣発作、昏睡、または更には脳浮腫による死亡さえも引き起こす。mRNA治療剤がとりわけCTLN2の治療に好適とされる理由は、本テクノロジーが、シトリン(SLC25A13によりコードされるタンパク質)をコードするmRNAの細胞内送達、続いて、標的細胞内で機能的シトリンタンパク質のデノボ合成を実現するという点にある。mRNAが標的細胞に送達された後、所望のシトリンタンパク質が細胞自体の翻訳機構を介して発現し、これにより、完全に機能的なシトリンタンパク質が、欠損タンパク質または欠落タンパク質に取って換わる。
【0168】
in vivoで核酸ベースの治療薬(例えば、mRNA治療薬)を送達することに関連する1つの課題は、身体の免疫系が外来核酸に遭遇したときに起こる可能性のある生来的な免疫応答に起因する。外来mRNAは、トール様受容体(TLR)、特に一本鎖RNA(ssRNA)によって活性化されるTLR7/8を介した認識を通して免疫系を活性化できる。非免疫細胞内では、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)を介して外来mRNAが認識され得る。外来mRNAの免疫認識によって、インターロイキン-1β(IL-1β)の産生、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の分布、及び強力なI型インターフェロン(I型IFN)の応答をはじめとする望ましくないサイトカイン効果をもたらす可能性がある。本発明は、数種の修飾ヌクレオチドを治療用mRNA内に組み込むことによって、免疫活性化を最小限に抑え、mRNAに対するタンパク質の翻訳効率を最適化することを特長とする。本発明の特定の態様は、先天性免疫応答を低減するためのヌクレオチド修飾と、特に、シトリンをコードする治療用mRNAのオープンリーディングフレーム(ORF)内での配列最適化とを組み合わせて用いることによって、タンパク質の発現を増強することを特長とする。
【0169】
本発明のmRNA治療技術のある特定の実施形態は、シトリンをコードするmRNAを脂質ナノ粒子(LNP)送達系経由で送達することを、特長とする。脂質ナノ粒子(LNP)は、mRNAを標的細胞に安全且つ効率的に送達するための理想的なプラットフォームである。LNPは、細胞の取り込み、細胞内輸送、及びエンドソーム放出、またはエンドソーム脱出をはじめとするメカニズムを介して核酸を送達するための独特な能力を有する。本発明は、新規なイオン性脂質ベースのLNPを、in vivoで投与した場合に改良特性を有するシトリンをコードするmRNAと組み合わせたことを、特長とする。理論に束縛されるものではないが、本発明の新規なイオン性脂質ベースのLNP製剤は、例えば細胞摂取、細胞内輸送及び/またはエンドソーム放出もしくはエンドソーム脱出などの改良特性を有すると考えられている。初回投与時に全身経路で投与(例えば、静脈内(IV)投与)されたLNPによって、例えば更なる投与において引き続いて注射されたLNPのクリアランスを加速し得る。この現象は、加速的血中クリアランス(ABC)として知られており、特に、治療上の状況において、欠損タンパク質(例えばシトリン)を置換する際の重要な課題である。これは、対象(例えばCTLN2に罹患している対象)の標的組織において必要なタンパク質レベルを維持するうえで、ほとんどの場合にmRNA治療薬の反復投与が必須とされるためである。反復投与の課題は、複数のレベルで対処できる。LNPによるmRNA操作及び/または効率的な送達は、投与の第1回投与後に発現するタンパク質(例えばシトリン)のレベル増強及び/または持続期間の延長をもたらし、初回投与から以後の投与までの期間を延長することができる。ABC現象は少なくとも幾分かは本質的に一過性であり、全身的に投与されてから十分な時間が経過した後にABCの根底にある免疫応答が解決することが知られている。そのため、一態様では、本発明のmRNA治療剤が全身に送達された後のタンパク質発現及び/または活性の持続時間を延長することで、ABC現象に対抗する。そのうえ、免疫感知及び/または認識が回避されるようにLNPを操作することによって、後続もしくは反復投薬の際にABCを更に回避することが可能となる。本発明の例示的な態様は、ABCを軽減するように操作された新規なLNPを、特長とする。
【0170】
1.シトリン
CTLN2に関連する主な遺伝子は、2つのバリアント(Genbank受託番号NM_001160210、NP_001153682;NM_014251、NP_055066;XM_006715831、XP_006715894;XM_011515727、XP_011514029)を有するSLC25A13である。SLC25A13によって、シトリン(すなわち、カルシウム依存性ミトコンドリア溶質キャリアタンパク質)がコードされる。シトリンは、ミトコンドリアアスパラギン酸グルタミン酸キャリア2(ARALAR2)としても知られている。シトリンは、ミトコンドリアによるグルタミン酸の取り込み、及びアスパラギン酸の輸送を触媒することによって、尿素サイクルにおいて重要な役割を果たしている。Saheki,T.et al.,Metab.Brain Dis.17:335-346(2002)。バリアントによっても異なるが、ヒトシトリンの前駆体形態は676アミノ酸または675アミノ酸のいずれかであり、一方、その成熟形態は開始メチオニンが切断された675アミノ酸または674アミノ酸のいずれかである。
【0171】
ある特定の態様において、本発明は、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、オープンリーディングフレーム(ORF))を含むポリヌクレオチド(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)のようなリボ核酸(RNA))を提供する。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドは、野生型シトリンアイソフォーム1または2のタンパク質である。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドは、野生型シトリンアイソフォーム1もしくは2の配列に対する置換、挿入及び/または付加、欠失及び/または共有結合修飾を含むバリアント、ペプチドまたはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、配列タグまたはアミノ酸を、例えば局在化させることを目的に、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる配列に(例えば、N末端またはC末端にて)付加することができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドのカルボキシ末端、アミノ末端、または内部領域に位置するアミノ酸残基を、任意で欠失させることによって、フラグメントを提供することができる。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明のヌクレオチド配列(例えばORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、1、2、3もしくはそれより多くの置換を含み得るシトリンアイソフォーム1または2の配列の置換バリアントをコードする。いくつかの実施形態において、置換バリアントは、1つ以上の保存的アミノ酸置換を含み得る。他の実施形態において、バリアントは挿入バリアントである。他の実施形態において、バリアントは欠失バリアントである。
【0173】
当業者に認識されるように、シトリンアイソフォーム1または2タンパク質断片、機能性タンパク質ドメイン、バリアント及び相同タンパク質(オルソログ)もまた、本発明のシトリンポリペプチドの範囲内にあると見なされる。本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの非限定を、図1及び図2に示す。例えば、図1に示すのは、アミノ酸配列のヒトシトリンの野生型アイソフォーム1である。
【0174】
本開示において提示されている特定の組成物及び方法は、シトリンアイソフォーム1のタンパク質またはポリヌクレオチド配列を指す。そのような開示が、当該技術分野において公知のシトリンの他のアイソフォームに同等に適用可能であることは、当業者に理解されるであろう。
【0175】
2.ポリヌクレオチド及びオープンリーディングフレーム(ORF)
本発明は、CTLN2の治療(すなわち、予防的及び/または治療的処置)における使用を用途としたmRNAを特長とする。本発明における使用を特長とするmRNAを対象に投与すると、in vivoでシトリンタンパク質がコードされる。したがって、本発明は、例えば、ヒトシトリンをコードする連結ヌクレオシドのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド、それらのアイソフォーム、それらの機能的断片、及びシトリンを含む融合タンパク質に関する。いくつかの実施形態において、オープンリーディングフレームは配列最適化される。特定の実施形態において、本発明は、配列最適化されたポリヌクレオチドを提供する。本ポリヌクレオチドは、ヒトシトリンのアイソフォーム1もしくは2のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド、またはそれらの配列最適化ポリヌクレオチドに対して高度な配列同一性を有する配列を含む。
【0176】
ある特定の態様において、本発明は、1つ以上のシトリンポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)を提供する。いくつかの実施形態において、本発明のコードされたシトリンポリペプチドは、以下:
(i) 全長シトリンポリペプチド(例えば、野生型シトリンアイソフォーム1もしくは2と長さが同じであるかまたは本質的に同じであるもの)、
(ii) 本明細書に記載のシトリンアイソフォームのいずれかの機能的断片(例えば、野生型アイソフォーム1もしくは2のうちの一方より短い短縮型(例えば、カルボキシ末端、アミノ末端または内部領域が欠失した)配列であって、ただし、シトリン酵素活性をなお保持するもの)、
(iii) それらのバリアント、例えば、1つ以上のアミノ酸が置換された完全長または短縮型アイソフォーム1もしくは2(基準アイソフォームなど)のタンパク質(例えば、基準アイソフォームに対してポリペプチドのシトリン活性の全てもしくは大部分を保持する、例えば当該技術分野において公知の任意の天然もしくは人工バリアント等のバリアント、あるいは
(iv) (i)全長シトリンアイソフォーム1もしくは2のタンパク質、その機能的断片、またはそのバリアント、及び(ii)異種タンパク質を含む融合タンパク質
から選択できる。
【0177】
ある特定の実施形態において、コードされたシトリンポリペプチドは、哺乳類のシトリンポリペプチド、例えばヒトシトリンポリペプチド、その機能的断片、またはそのバリアントである。
【0178】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、細胞内でのシトリンタンパク質の発現レベル及び/または検出可能なシトリン酵素活性レベルは、それらの細胞内に導入された場合に、本発明のポリヌクレオチドの投与前の、細胞内でのシトリンタンパク質の発現レベル及び/または検出可能なシトリン酵素活性レベルと比較して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも100%増加する。シトリンタンパク質発現レベル及び/またはシトリン酵素活性は、当該技術分野において公知の方法に従って測定可能である。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、in vitroで細胞に導入される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、in vivoで細胞に導入される。
【0179】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、野生型ヒトシトリン、例えばヒトシトリンの野生型アイソフォーム1(図1の配列番号1を参照)、またはヒトシトリンの野生型アイソフォーム2(図2の配列番号3を参照)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、コドン最適化された核酸配列を含み、本コドン最適化された核酸配列のオープンリーディングフレーム(ORF)は、野生型シトリン配列(例えば、野生型アイソフォーム1または2)に由来するものである。例えば、シトリンアイソフォーム2をコードする配列最適化ORFを含む本発明のポリヌクレオチドに対応する野生型配列は、天然のシトリンアイソフォーム2である。同様にアイソフォーム1の機能的フラグメントをコードする配列最適化mRNAに対応する野生型配列は、シトリンアイソフォーム1からの対応する断片である。
【0181】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、ヒトシトリンアイソフォーム1の全長配列を有するシトリンアイソフォーム1をコードするヌクレオチド配列を含む(すなわち、イニシエータメチオニンを含む)。成熟ヒトシトリンアイソフォーム1において、イニシエータメチオニンを除去して、翻訳産物の2~606アミノ酸残基を含む「成熟シトリン」を得ることができる。ヒトシトリン(アミノ酸1~606)の全配列に対する本開示の教示は、イニシエータメチオニン(アミノ酸2~606)を欠く成熟形態のヒトシトリンにも適用可能である。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、ヒトシトリンアイソフォーム1の成熟配列を有するシトリンアイソフォーム1をコードするヌクレオチド配列を含む(すなわち、イニシエータメチオニンを欠く)。いくつかの実施形態において、ヒトシトリンアイソフォーム1の完全長または成熟配列を有するシトリンアイソフォーム1をコードするヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、配列最適化されている。
【0182】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、変異体シトリンポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドはシトリンポリペプチドをコードするORFを含み、本ORFはシトリン配列中に少なくとも1つの点変異を含み且つシトリン酵素活性を保持する。いくつかの実施形態において、変異体シトリンポリペプチドのシトリン活性は、対応する野生型シトリン(すなわち、同じシトリンアイソフォームで、ただし変異(複数可)の無いもの)のシトリン活性の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%である。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)で、変異体シトリンポリペプチドをコードするORFを含むポリヌクレオチドは、配列最適化されている。
【0183】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列で、シトリン酵素活性を修飾しない変異を伴うものを含む。そのような変異体シトリンポリペプチドは、機能中立と呼ばれる場合がある。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、1つ以上の機能中立点変異を含む変異シトリンポリペプチドをコードするORFを含む。
【0184】
いくつかの実施形態において、変異体シトリンポリペプチドは、対応する野生型シトリンよりもシトリン酵素活性が高い。いくつかの実施形態において、変異体シトリンポリペプチドのシトリン活性は、対応する野生型シトリン(すなわち、同じシトリンアイソフォームで、ただし変異(複数可)の無いもの)の活性よりも少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%高い。
【0185】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、例えば、1つ以上の断片が野生型シトリンポリペプチドのポリペプチドサブ配列に対応していて且つシトリン酵素活性を保持する、機能的シトリン断片をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、シトリン断片のシトリン活性は、対応する全長シトリンのシトリン活性の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%である。いくつかの実施形態において、機能的シトリン断片をコードするORFを含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、配列最適化されている。
【0186】
いくつかの実施形態において、シトリン断片をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、対応する全長シトリンよりもシトリン酵素活性が高い。ゆえに、いくつかの実施形態において、シトリン断片のシトリン活性は、対応する全長シトリンのシトリン活性よりも少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%高い活性を有する。
【0187】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンの野生型アイソフォーム1もしくは2よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または25%短いシトリン断片をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチド(例えば野生型配列、機能的断片もしくはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含み、本ヌクレオチド配列は、配列番号2または4の配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%同一である(例えば、図1及び図2の各パネルDを参照のこと)。
【0189】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含み、本ヌクレオチド配列は、配列番号5~29、129、132、135、及び138からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有する。表2を参照。
【0190】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチド(例えば野生型配列、機能的断片もしくはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含み、本ヌクレオチド配列は、配列番号5~29、129、132、135及び138からなる群から選択される配列に対して70%~100%、75%~100%、80%~100%、85%~100%、70%~95%、80%~95%、70%~85%、75%~90%、80%~95%、70%~75%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、または95%~100%の配列同一性を有する。表2を参照。
【0191】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチドをコードするORF(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)を含み、本ポリヌクレオチドは、配列番号130、133、136及び139からなる群から選択される配列に対して70%~100%、75%~100%、80%~100%、85%~100%、70%~95%、80%~95%、70%~85%、75%~90%、80%~95%、70%~75%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、または95%~100%の配列同一性を有する核酸配列を含む。表5を参照。
【0192】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含み、本ヌクレオチド配列は、配列番号2もしくは4の配列に対して少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する(例えば、図1及び図2の各パネルDを参照のこと)。
【0193】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含み、本ヌクレオチド配列は、配列番号2もしくは4の配列に対して70%~90%同一、71%~85%同一、72%~84%同一、77%~82%同一、77%~80%同一、77%~78%同一、または73%~76%同一である(例えば、図1及び図2の各パネルDを参照のこと)。
【0194】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、約900~約100,000ヌクレオチド(例えば、900~1,000、900~1,100、900~1,200、900~1,300、900~1,400、900~1,500、1,000~1,100、1,000~1,100、1,000~1,200、1,000~1,300、1,000~1,400、1,000~1,500、1,083~1,200、1,083~1,400、1,083~1,600、1,083~1,800、1,083~2,000、1,083~3,000、1,083~5,000、1,083~7,000、1,083~10,000、1,083~25,000、1,083~50,000、1,083~70,000、または1,083~100,000)を含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列(例えばORF)の長さは、少なくとも500ヌクレオチド長(例えば、少なくとも約500、600、700、80、900、1,000、1,050、1,083、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000ヌクレオチド長であるかまたはそれより長いか、あるいは最高100,000ヌクレオチド長である(この値を含む)。
【0196】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含み、且つ更に、例えば、miRNA結合部位のような非コードの少なくとも1つの核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は更に、5’UTR(例えば、配列番号30~47、79、120~122、126~128の配列から選択されるもの)及び3’UTR(例えば、配列番号48~72、80、81、102~105、108~117、124、125、147~157の配列から選択されるもの)を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、配列番号5~29、129、132、135、及び138からなる群から選択される配列を含む。更なる実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、5’末端キャップ(例えば、キャップ0、キャップ1、ARCA、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、2-アジドグアノシン、キャップ2、キャップ4、5’メチルGキャップ、またはそれらの類似体)及びポリA尾部領域(例えば、約100ヌクレオチド長)を含む。更なる実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、配列番号105、147、148またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される核酸配列を含んだ3’UTRを含む。更なる実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、配列番号147の核酸配列を含んだ3’UTRを含む。更なる実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、配列番号148の核酸配列を含んだ3’UTRを含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、一本鎖または二本鎖である。
【0198】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)をコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAである。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、RNAである。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、メッセンジャーRNA(mRNA)であるか、またはメッセンジャーRNA(mRNA)として機能する。いくつかの実施形態において、mRNAは、少なくとも1つのシトリンポリペプチドをコードし、コードされたシトリンポリペプチドをin vitro、in vivo、in situまたはex vivoで産生するように翻訳する機能を有する、ヌクレオチド配列(例えばORF)を含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えばORF)、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント等を含み、本ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基、例えば5-メトキシウラシルを含む。いくつかの実施形態において、本ポリヌクレオチドは更に、miRNA結合部位(例えば、miR-142に結合するmiRNA結合部位、及び/またはmiR-126に結合するmiRNA結合部位)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、例えば式(I)を有する化合物、例えば化合物1~232のいずれか(例えば化合物18)、式(III)、(IV)、(V)もしくは(VI)を有する化合物、例えば化合物233~342のいずれか(例えば化合物236)、あるいは式(VIII)を有する化合物、例えば化合物419~428のいずれか(例えば化合物428)、またはそれらの任意の組み合わせを含む送達剤を用いて製剤化される。いくつかの実施形態において、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428(例えば、モル比を約50:10:38.5:1.5としたもの)を含む。
【0200】
3.シグナル配列
また、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)に治療上関連する部位に対するコード済みポリペプチドの輸送を促進する更なる特徴をコードするヌクレオチド配列を含めることができる。そのような特徴(タンパク質の輸送の一助となる特徴)の1つは、シグナル配列または標的配列である。これらのシグナル配列によりコードされるペプチドは、標的ペプチド、輸送ペプチド及びシグナルペプチドを含む様々な名称で知られている。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、本明細書に記載のシトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたシグナルペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列を含む。
【0201】
いくつかの実施形態において「シグナル配列」または「シグナルペプチド」はそれぞれ、約9~200ヌクレオチド(3~70アミノ酸)長のポリヌクレオチドまたはポリペプチドであり、任意でそれぞれコーディング領域またはポリペプチドの5’(またはN末端)にて取り込まれる。これらの配列が付加された場合、結果として、コードされたポリペプチドが、1つ以上の標的化経路を介して、小胞体またはミトコンドリアのような所望の部位に輸送される。一部のシグナルペプチドは、タンパク質が所望の部位に輸送された後に、例えばシグナルペプチダーゼを介してタンパク質から切断される。
【0202】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列は更に、異種シグナルペプチドをコードする5’核酸配列を含む。
4.融合タンパク質
【0203】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、目的ポリペプチドをコードする2つ以上の核酸配列(例えば、ORF)を含み得る。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、シトリンポリペプチド、その機能的断片、またはそのバリアントをコードする、単一のORFを含む。その一方で、いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、2つ以上のORF(例えば、シトリンポリペプチド(第1の目的ポリペプチド)、その機能的断片、またはそのバリアントをコードする第1のORFと、第2の目的ポリペプチドを発現する第2のORF)を含み得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の目的ポリペプチドを遺伝的に融合することができる。すなわち、2つ以上のポリペプチドを同じORFによりコードすることができる。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、2つ以上の目的ポリペプチド間のリンカーをコードする核酸配列(例えば、当該技術分野において公知のGSペプチドリンカーまたは別のリンカー)を含み得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は2つ、3つ、4つまたはそれより多くのORFを含み、それらの各ORFは目的ポリペプチドを発現し得る。
【0205】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチドをコードする第1の核酸配列(例えば、第1のORF)、及び第2の目的ポリペプチドをコードする第2の核酸配列(例えば、第2のORF)を含み得る。
【0206】
5.シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の配列最適化
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、配列最適化されている。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列、目的の別のポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列、5’UTR、3’UTR、miRNA、リンカーをコードするヌクレオチド配列、またはそれらの任意の組み合わせで、配列最適化されたものを含む。
【0207】
配列最適化されたヌクレオチド配列、例えば、シトリンポリペプチドをコードするコドン最適化されたmRNA配列は、基準配列(例えば、シトリンポリペプチドをコードする野生型ヌクレオチド配列)に対して少なくとも1つの同義の核酸塩基置換を含む配列である。
【0208】
配列最適化されたヌクレオチド配列は、基準配列とは配列が部分的または完全に異なる場合がある。例えば、TCTコドンによって一様にコードされるポリセリンをコードする基準配列は、その核酸塩基の100%を置換して(コドンごとに、1位のTをAで置換し、2位のCをGで置換し、3位のTをCで置換して)配列最適化することによって、AGCコドンを介して一様にコードされるであろうポリセリンをコードする配列を産生できる。基準ポリセリン核酸配列と配列最適化ポリセリン核酸配列との間の全体的なペアワイズアライメントから得られる配列同一性の百分率は0%であるのに対し、両方の配列に由来するタンパク質産物の同一性は100%である。
【0209】
配列最適化(時にはコドン最適化と呼ばれることもある)方法のいくつかは、当該技術分野において公知であり(下記詳述)、1つ以上の所望の結果を達成するうえで有用であり得る。それらの結果としては、例えば、ある特定の組織標的及び/または宿主生物におけるコドン頻度を一致させて、適切な折り畳みを確実にすること、G/C含有量をバイアスしてmRNA安定性を増加させることまたは二次構造を減少させること、遺伝子構築もしくは発現を損ない得るタンデムリピートコドンまたはベースランを最小化すること、転写及び翻訳制御領域をカスタマイズすること、タンパク質輸送配列を挿入または除去すること、コードされたタンパク質(例えば、グリコシル化部位)中の翻訳後修飾部位を除去/付加すること、タンパク質の様々なドメインを適正に折り畳めるように翻訳速度を調整すること、及び/またはポリヌクレオチド内にある二次構造問題を軽減または排除することを、挙げることができる。配列最適化ツール、アルゴリズム及びサービスは当該技術分野において公知であり、非限定的な例として、GeneArt(Life Technologies)提供のサービス、DNA2.0(Menlo Park CA)及び/または所有権の保持されている方法が挙げられる。
【0210】
表1に、各アミノ酸のコドン選択肢を示す。
【0211】
表1 コドン選択肢
【表1】
【0212】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、シトリンポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えばORF)、機能的断片、またはそれらのバリアントを含み、配列最適化ヌクレオチド配列でコードされたシトリンポリペプチド、機能的断片、またはそれらのバリアントは、(例えば、配列最適化されていない基準ヌクレオチド配列によりコードされるシトリンポリペプチド、その機能的断片、またはそのバリアントと比較して)in vivo投与後の発現効力に関する特性をはじめとする特性が、改良されている。そのような特性としては、限定されるものではないが、核酸安定性(例えばmRNA安定性)の改善、標的組織内での翻訳効率の増強、発現した切断タンパク質数の低減、発現したタンパク質の折り畳みの改善または折り畳み異常の防止、発現した産物の毒性の低減、発現した産物によって引き起こされる細胞死の低減、タンパク質凝集の増加及び/または低減が挙げられる。
【0213】
いくつかの実施形態では、配列最適化されたヌクレオチド配列を、ヒト対象における発現用にコドン最適化することによって、当該技術分野における1つ以上の問題を回避する構造的及び/または化学的特徴(例えば、構造的及び機能的完全性を保持しながら、核酸ベースの治療剤の製剤化及び送達を最適化するうえで有用な特徴)の確保、発現閾値の克服、発現速度の改善、半減期及び/またはタンパク質濃度、タンパク質局在の最適化、ならびに免疫応答及び/または分解経路などの有害な生体応答の回避を可能にしている。
【0214】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列(例えば、シトリンポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列、目的の別のポリペプチドをコードするORFなどのヌクレオチド配列、5’UTR、3’UTR、マイクロRNA結合部位、リンカーをコードする核酸配列、またはそれらの任意の組み合わせ)を含み、これらは、以下:
(i) 基準ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのコドン(例えばシトリンポリペプチドをコードするORF)を代替コドンで置換し、ウリジン含有量を増加または減少させて、ウリジン修飾配列を生成すること、
(ii) 基準ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのコドン(例えばシトリンポリペプチドをコードするORF)を、同義コドンセット中のコドン頻度が高い代替コドンで置換すること、
(iii) 基準ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのコドン(例えばシトリンポリペプチドをコードするORF)を代替コドンで置換して、G/C含有量を増加させること、あるいは
(iv) それらの組み合わせ
を含む方法に従って配列最適化される。
【0215】
いくつかの実施形態において、配列最適化されたヌクレオチド配列(例えばシトリンポリペプチドをコードするORF)は、基準ヌクレオチド配列に関して少なくとも1つの改良特性を有する。
【0216】
いくつかの実施形態において、配列最適化方法は、多パラメータを用いたものであり、本明細書中に開示される1、2、3、4もしくはそれより多くの方法、及び/または当該技術分野において公知の他の最適化方法を含む。
【0217】
本発明のいくつかの実施形態において有益と見なされ得る特徴は、ポリヌクレオチドの領域の傍に、またはポリヌクレオチドの領域内にコードされる場合があり、そのような領域は、シトリンポリペプチドをコードする領域に対して上流(5’)に、下流(3’)に、またはその領域内にある場合がある。それらの領域は、タンパク質コード領域もしくはオープンリーディングフレーム(ORF)に対する配列最適化の前、及び/または後に、ポリヌクレオチド内に組み込むことができる。そのような特徴の非限定的な例として、非翻訳領域(UTR)、マイクロRNA配列、コザック配列、オリゴ(dT)配列、ポリA尾部、及び検出可能なタグが挙げられ、XbaI認識を有し得る複数のクローニング部位を含み得る。
【0218】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、5’UTR、3’UTR及び/またはmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、同じもしくは異なる配列であり得る2つ以上の5’UTR及び/または3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、同じまたは異なる配列であり得る2つ以上のmiRNAを含む。5’UTR、3’UTR、及び/またはmiRNA結合部位のいずれかの部分を、配列最適化することができ、配列最適化の前及び/または後に、1つ以上の異なる構造的もしくは化学的修飾を独立に含めても差し支えない。
【0219】
いくつかの実施形態では、最適化後に、ポリヌクレオチドを、例えば、限定されるものではないが、プラスミド、ウイルス、コスミド、及び人工染色体などのベクターに再構成して形質転換する。例えば、高コピープラスミド様または染色体構造が本明細書に記載の方法によって生じる場合、最適化されたポリヌクレオチドを再構成して化学的コンピテントE.coli、酵母、ニューロスポラ、トウモロコシ、ショウジョウバエなどに形質転換することができる。
【0220】
6.シトリンポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示される最適化されたシトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、ここで、このORFは配列最適化されたものである。
【0221】
ヒトシトリンアイソフォーム1をコードする例示的な配列最適化ヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号5-29(シトリン-CO01、シトリン-CO02、シトリン-CO03、シトリン-CO04、シトリン-CO05、シトリン-CO06、シトリン-CO07、シトリン-CO08、シトリン-CO09、シトリン-CO10、シトリン-CO11、シトリン-CO12、シトリン-CO13、シトリン-CO14、シトリン-CO15、シトリン-CO16、シトリン-CO17、シトリン-CO18、シトリン-CO19、シトリン-CO20、シトリン-CO21、シトリン-CO22、シトリン-CO23、シトリン-CO24、及びシトリン-CO25として記載されている。更なる例示的な配列最適化されたヌクレオチド配列のうち、ヒトシトリンアイソフォーム1をコードするものは、表2に示す。いくつかの実施形態では、配列番号5~29として記載のまたは表2に示す配列最適化されたシトリン配列、断片、及びそれらのバリアントを使用して、本明細書に開示される方法が実施される。いくつかの実施形態において、配列番号5~29に記載のまたは表2に示す配列最適化されたシトリン配列、それらの断片及びバリアントは、図1図2に開示される野生型配列と併用されるか、またはその代替とされる。
【0222】
例示的な配列最適化されたヌクレオチド配列のうち、ヒトシトリンアイソフォーム1をコードするものは、配列番号129(コンストラクト#1ORF)、132(コンストラクト#2ORF)、135(コンストラクト#3ORF)、及び138(コンストラクト#4ORF)に記載されている。更なる例示的な配列最適化されたヌクレオチド配列のうち、ヒトシトリンアイソフォーム1をコードするものは、表2に示す。いくつかの実施形態では、配列番号129、132、135及び138として記載のまたは表2に示す配列最適化されたシトリン配列、断片、及びそれらのバリアントを使用して、本明細書に開示される方法が実施される。いくつかの実施形態において、配列番号129、132、135及び138に記載のまたは表2に示す配列最適化されたシトリン配列、それらの断片及びバリアントは、図1図2に開示される野生型配列と併用されるか、またはその代替とされる。
【0223】
いくつかの実施形態において、本開示のポリヌクレオチド、例えば、シトリンポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、5’末端から3’末端で:
(i)本明細書中に記載の5’キャップ、例えばCAP1、
(ii)5’UTR、例えば本明細書中に記載の配列(配列番号30など)、
(iii)シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームは、例えば、配列番号5~29、129、132、135及び138に記載の、または表2に示すシトリンをコードする配列最適化された核酸配列、
(iv)少なくとも1つの終止コドン、
(v)3’UTR、例えば本明細書中に記載の配列(配列番号105、147及び148など)、及び
(vi)上記のポリA尾部を含む。
【0224】
表2 ヒトシトリンアイソフォーム1用の配列最適化された配列
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0225】
本明細書中に開示される配列最適化されたヌクレオチド配列は、対応する野生型ヌクレオチド酸配列、及び他の公知の配列最適化されたヌクレオチド配列とは異なる。例えば、それらの配列最適化された核酸は一意な組成物特性を有する。
【0226】
いくつかの実施形態において、基準野生型ヌクレオチド配列中のウラシルまたはチミン核酸塩基の百分率に関して(例えば、シトリンポリペプチド、その機能的断片、またはそのバリアントをコードするもの)は、修飾(例えば低減されている)。そのような配列は、ウラシル修飾配列、またはチミン修飾配列と呼ばれる。ヌクレオチド配列中のウラシルもしくはチミン含有量の百分率は、配列中のウラシルまたはチミンの数をヌクレオチドの総数で除算してから、100で乗算すれば、算出できる。いくつかの実施形態において、配列最適化されたヌクレオチド配列は、ウラシルもしくはチミン含有量が、基準野生型配列中のウラシルまたはチミン含有量よりも低い。いくつかの実施形態において、本発明の配列最適化ヌクレオチド配列中のウラシルもしくはチミン含有量は、基準野生型配列中のウラシルもしくはチミン含有量よりも多く、基準野生型配列と比較して有益な効果(例えば、発現の増強、及び/またはトール様受容体(TLR)応答の低減)が、依然として維持される。
【0227】
野生型シトリンアイソフォーム1のウラシルまたはチミン含有量は、約28%である。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするウラシル-またはチミン-修飾配列のウラシルもしくはチミン含有量は、28%未満である。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列のウラシルまたはチミン含有量は、27%未満、26%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満もしくは10%未満である。いくつかの実施形態において、ウラシルまたはチミン含有量は、18%以下、17%以下、16%以下、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下もしくは10%以下である。本明細書中に開示される配列のウラシルまたはチミン含有量、すなわち、その総ウラシルまたはチミン含有量は、本明細書において%UTLもしくは%TTLと略記されている。
【0228】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列のウラシルまたはチミン含有量は(%UTLまたは%TTL)は、15%~20%、16%~20%、16%~19%、17%~19%もしくは17%~18%である。
【0229】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列のウラシルまたはチミン含有量(%UTLまたは%TTL)は、15%~20%、15%~19%、16%~19%もしくは15%~18%である。
【0230】
特定の実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列のウラシルまたはチミン含有量(%UTLまたは%TTL)は、約16%~約18%である。
【0231】
また、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列の記載は、対応する野生型核酸配列中のウラシルまたはチミン含有量を基準としたそのウラシルまたはチミン含有量(%UWTもしくは%TWT)に従うこともでき、あるいは、野生型タンパク質コードする核酸の理論的最小ウラシルまたはチミン含有量配列を基準としたそのウラシルまたはチミン含有量(%UTMまたは%TTM)に従うこともできる。
【0232】
「野生型核酸配列中のウラシルまたはチミン含有量に対するウラシルまたはチミン含有量」という語句は、配列最適化核酸中のウラシルまたはチミンの数を、対応する野生型核酸配列中のウラシルまたはチミンの総数で除算して100で乗算して決定されるパラメータを指す。このパラメータは、本明細書において%UWTまたは%TWTと略記されている。
【0233】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列の%UWTもしくは%TWTは、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%もしくは約95%である。
【0234】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列の%UWTもしくは%TWTは、50%~85%、51%~84%、52%~83%、53%~82%、54%~81%、55%~80%、56%~79%、57%~78%、58%~77%、59%~76%、60%~75%もしくは60%~74%である。
【0235】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列の%UWTもしくは%TWTは、58%~67%、59%~66%、59%~65%もしくは60%~65%である。
【0236】
特定の実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシルまたはチミン修飾配列の%UWTもしくは%TWTは、約60%~約65%である。
【0237】
ウラシルまたはチミンの理論的最低値に対するウラシルまたはチミンの含有量は、配列最適化ヌクレオチド配列中のウラシルまたはチミンの数を、仮説配列中の全てのコドンが、ウラシルまたはチミン含有量が可能な限り最低限の同義コドンで置換される仮説ヌクレオチド配列中のウラシルまたはチミンの総数で除算してから、100で乗算して決定されるパラメータを指す。このパラメータは、本明細書において%UTMまたは%TTMと略記されている。
【0238】
DNAの場合、ウラシルでなくチミンが存在することから、Uが出現すべき場所がTで置き換えられていることが、認識される。ゆえに、RNAに関して、例えば、%UTM、%UWTまたは%UTLに関連する全ての開示は、DNAに関して%TTM、%TWTまたは%TTLに同等に適用可能である。
【0239】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列の%UTMは、300%未満、295%未満、290%未満、285%未満、280%未満、275%未満、270%未満、265%未満、260%未満、255%未満、250%未満、245%未満、240%未満、235%未満、230%未満、225%未満、220%未満、215%未満、200%未満、195%未満、190%未満、185%未満、180%未満、175%未満、170%未満、165%未満、160%未満、155%未満、150%未満、145%未満、140%未満、139%未満、138%未満、137%未満、136%未満、135%未満、134%未満、133%未満、132%未満、131%未満、130%未満、129%未満、128%未満、127%未満、126%未満、125%未満、124%未満、123%未満、122%未満、121%未満、120%未満、119%未満、118%未満、117%未満、116%未満、または115%未満である。
【0240】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列の%UTM100%超、101%超、102%超、103%超、104%超、105%超、106%超、107%超、108%超、109%超、110%超、111%超、112%超、113%超、114%超、115%超、116%超、117%超、118%超、119%超、120%超、121%超、122%超、123%超、124%超、125%超、または126%超である。
【0241】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列の%UTMは、118%~122%、117%~123%、116%~124%、115%~125%、114%~126%、113%~127%、112%~128%、111%~129%、110%~130%、109%~131%、108%~132%、107%~133%、または106%~134%である。
【0242】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列の%UTMは約117%~約127%である。
【0243】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、対応する野生型核酸配列に対して相対的に連続ウラシル数が減少する。例えば、2つの連続するロイシンは、4つのウラシルクラスタを含む配列CUUUUGによりコードできる。そのようなサブ配列を、例えばCUGCUCで置換することによって、そのウラシルクラスタを除去することができる。
【0244】
フェニルアラニンは、UUCまたはUUUによりコードできる。ゆえに、UUUによりコードされるフェニルアラニンがUUCで置換された場合でも、同義コドンには依然としてウラシルペア(UU)が含まれる。したがって、配列中のフェニルアラニンの数に基づいて、コードされたポリペプチド中のフェニルアラニン数を変更しない限り排除できないウラシルペア(UU)の最小数が確定される。例えば、ポリペプチド(例えば、野生型シトリンアイソフォーム1)のフェニルアラニン数が、例えば49、50、51、52、または53である場合、そのポリペプチドをコードするウラシル修飾配列(例えば野生型シトリンアイソフォーム1)におけるウラシルペア(UU)の絶対最小数は、それぞれ49、50、51、52、または53であり得る。
【0245】
野生型シトリンアイソフォーム1には、61個のウラシルペア(UU)、及び37個のウラシルトリプレット(UUU)が含まれる。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、野生型核酸配列と比べてウラシルトリプレット(UUU)の数が少ない。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列には、ウラシルトリプレット(UUU)15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個が含まれるかまたは全く含まれない。
【0246】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列のウラシルペア(UU)数が、野生型核酸配列中のウラシルペア(UU)数と比べて低減した。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、野生型核酸配列中のウラシルペア(UU)の最小限の数に対応するいくつかのウラシルペア(UU)、例えば野生型シトリンアイソフォーム1の場合には9ウラシルペアを有する。
【0247】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列のウラシルペア(UU)の数は、野生型核酸配列中のウラシルペア(UU)の数よりも少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個または45個少ない。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列のウラシルペア(UU)数は、30~55個(例えば34~52個)である。
【0248】
「野生型核酸配列中のウラシルペア(UU)に対するウラシルペア(UU)」という語句は、配列最適化されたヌクレオチド配列中のウラシルペア(UU)の数を、対応する野生型ヌクレオチド配列中のウラシルペア(UU)の総数で除算してから100で乗算した値である。このパラメータは、本明細書において%UUwtと略記されている。
【0249】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列の%UUwtは、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、40%未満、30%未満、または20%未満である。
【0250】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、%UUwtが50%~90%の間である。特定の実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、%UUwtが55%~86%の間である。
【0251】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列を含む。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基、例えば、5-メトキシウラシルを含む。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中の核酸塩基(例えば、ウラシル)の少なくとも95%は、修飾核酸塩基である。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中のウラシルの少なくとも95%は、5-メトキシウラシルである。いくつかの実施形態において、ウラシル修飾配列を含むポリヌクレオチドは更に、miRNA結合部位(例えば、miR-142に結合するmiRNA結合部位、及び/またはmiR-126に結合するmiRNA結合部位)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されるウラシル修飾配列を含むポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、例えば式(I)を有する化合物、例えば化合物1~232のいずれか(例えば化合物18)、式(III)、(IV)、(V)もしくは(VI)を有する化合物、例えば化合物233~342のいずれか(例えば化合物236)、あるいは式(VIII)を有する化合物、例えば化合物419~428のいずれか(例えば化合物428)、またはそれらの任意の組み合わせを含む送達剤を用いて製剤化される。いくつかの実施形態において、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428(例えば、モル比を約50:10:38.5:1.5としたもの)を含む。
【0252】
いくつかの実施形態において、「シトリンをコードするヌクレオチド配列の理論的最大グアニン含有量に対するシトリンをコードする配列最適化されたORFのグアニン含有量」(%GTMXと略記)は、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも65、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または約100%である。いくつかの実施形態において、%GTMXは、約70%~約80%、約71%~約79%、約71%~約78%、または約71%~約76%である。
【0253】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最大シトシン含有量に対するORFのシトシン含有量(%CTMXと略記)は、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつかの実施形態において、%CTMXは、約60%~約80%、約65%~約80%、約65%~約78%、または約69%~約75%である。
【0254】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列中の理論的最大G/C含有量に対するORFのグアニン及びシトシン含有量(G/C)」(%G/CTMXと略記)は、少なくとも約68%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。%G/CTMXは、約80%~約100%、約85%~約98%、約90%~約95%、または約91%~約94%である。
【0255】
いくつかの実施形態において、対応する野生型ORFにおけるG/C含有量に対する「ORF中のG/C含有量」(%G/CWTと略記)は、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、または少なくとも135%である。
【0256】
いくつかの実施形態において、ORF中の第3のコドン位置における平均G/C含有量は、対応する野生型ORFの第3のコドン位置の平均G/C含有量よりも少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、または少なくとも45%高量である。
【0257】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、このORFが配列最適化されていて、且つ%UTL、%UWT、%UTM、%GTL、%GWT、%GTMX、%CTL、%CWT、%CTMX、%G/CTL、%G/CWTもしくは%G/CTMXの各々は、単独でまたはそれらの組み合わせで、(i)パラメータの最大(MAX)に対応する最大値に約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5もしくは10標準偏差(STD DEV)を加算した値と(ii)パラメータの最小値(MIN)に対応する最小値から0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5もしくは10標準偏差(STD DEV)を減算した値との間の範囲内にある。
【0258】
7.配列最適化の方法
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、例えばmRNA(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)は、配列最適化されている。配列最適化されたヌクレオチド配列(ヌクレオチド配列は本明細書中で「核酸」とも呼ばれる)は、基準配列(例えば、シトリンポリペプチドをコードする野生型配列)に関して少なくとも1つのコドン修飾を含む。ゆえに、配列最適化された核酸、少なくとも1つのコドンは、基準配列(例えば、野生型配列)中の対応するコドンとは異なる。
【0259】
概して、配列最適化された核酸は、基準配列中のコドンを同義コドン(すなわち、同じアミノ酸をコードするコドン)で置換することを含む少なくとも1つのステップによって生成される。そのような置換を行う目的で、例えば、コドン置換マップ(すなわち、コドン最適化配列中の各アミノ酸をコードするコドンを提供する表)を適用する場合もあれば、あるいは、一連のルール(例えば、グリシンが中性アミノ酸の隣にある場合にはグリシンはある特定のコドンによってコードされるが、極性アミノ酸の隣にある場合には別のコドンによってコードされる等)を適用する場合もある。加えて、本明細書中に開示されるコドン置換(すなわち、「コドン最適化」)配列最適化方法は、不利益モチーフの除去(不安定化モチーフ置換)のようなコドン最適化に厳密に向けられていない追加の最適化ステップを含む。それらの配列最適化された核酸(例えば、mRNAなどのRNA)を含む組成物及び製剤を、それを必要とする対象に投与することによって、in vivoで機能的に活性なシトリンの発現を促進することができる。
【0260】
細胞培養物中の大分子の組み換え発現は、タンパク質の発現レベルが低い、あるいは翻訳が停止された結果として翻訳産物が短縮されてタンパク質の折り畳み異常を生ずるなどの、数多くの制限を伴う困難な課題となり得る。それらの制限は、機能的に活性なシトリンをコードするポリヌクレオチド(例えばmRNAなどのRNA)、またはポリヌクレオチドを含む組成物または製剤をII型シトルリン血症(CTLN2)罹患患者に投与することによって、CTLN2を治療するためのシトリンポリペプチドの合成及び送達が内因的に生起されるようにすることにより、低減または回避することができる。
【0261】
in vitro発現系(例えば、細胞培養)をin vivo発現に変えるには、治療薬をコードする核酸配列の再デザインが必要となる。コードされたアミノ酸配列を必ずしも改変することなしに別のコドンを選択することによって天然起源の遺伝子配列を再デザインすることで、多くの場合、タンパク質の発現レベルが劇的に上昇させることができる(Gustafsson et al.,2004,Journal/Trends Biotechnol 22,346-53)。これまで明らかにされてきたように、コドン適応指数(CAI)、mRNA二次構造、シス調節配列、GC含有量及び他の多くの類似の変数のような変数は、タンパク質の発現レベルに幾分かは相関する(Villalobos et al.,2006,Journal/BMC Bioinformatics 7,285)。一方、多数の異なる核酸配列が存在するが、いずれも遺伝コードの縮重が原因で同じ治療剤をコードする可能性もある。各アミノ酸は最高6つまでの同義コドンによってコードされ、これらのコドン間の選択は遺伝子発現に影響を及ぼす。加えて、コドン使用状況(すなわち、様々な生物がポリペプチド配列を発現する際にコドンを使用する頻度)は、生物間で異なる(例えば、ハムスターの細胞培養では、ヒトまたはヒト化治療抗体の組み換え産生が頻繁に起こる)。
【0262】
いくつかの実施形態において、基準核酸配列を配列最適化することを目的に、コドンマップを適用され得る。当業者に了解されるように、以下に開示されるコドンマップ内のT塩基がDNA中に存在するが、そのT塩基は対応するRNA中のU塩基で置き換えられている。例えば、本明細書中に開示される配列最適化されたDNA形態の核酸(例えば、ベクターまたはin vitro翻訳(IVT)鋳型)は、そのT塩基を、U塩基(U based)として、それに対応する転写mRNA中に転写する。この点に関して、配列最適化されたDNA配列(Tを含む)、及びそれら対応するRNA配列(Uを含む)は両方とも、本発明の配列最適化された核酸と見なされる。また、1つ以上の塩基を非天然塩基で置換することによって等価コドンマップを生成できることも、当業者に理解されるであろう。ゆえに、例えば、TTCコドン(DNAマップ)はUUCコドン(RNAマップ)に対応し、後者のコドンはψψCコドン(Uがシュードウリジンで置換されたRNAマップ)に対応し得る。
【0263】
一実施形態では、ある特定のアミノ酸をコードする全てのコドンを、コドンマップ中に提供される代替コドンのうちの1つだけで置換して、シトリンをコードする基準配列を最適化することができる。例えば、最適化された配列中の全てのバリンは、GTG、GTCまたはGTTでコードされる。
【0264】
配列最適化された本発明のポリヌクレオチドは、1つ以上のコドン最適化方法、またはそれらの組み合わせを用いて、生成できる。核酸配列を配列最適化する目的に使用できる配列最適化方法は、本明細書中に詳述されている。この方法の一覧は、包括的でもないしあるいは限定的でもない。
【0265】
周知のように、後述する配列最適化方法の各々について説明したデザイン原理及びルールは、多様な方法で併用できる。例えば、いくつかの領域に対する高G/C含有量配列最適化、または基準核酸配列の他の領域に対するウリジン含有量の配列最適化、ならびに標的化されたヌクレオチドの変異を含み、配列全体にわたる二次構造を最小限に抑えるかまたは不利益モチーフを排除する。
【0266】
配列最適化法に関して考えられる組み合わせの選択肢は、例えば、合成ポリヌクレオチドを産生する目的に使用される、特定の化学的性質に依存し得る。そのような選択肢は、配列最適化された核酸によりコードされたタンパク質の特徴(例えば完全配列、機能的断片またはシトリンを含む融合タンパク質など)に依存し得る。いくつかの実施形態において、そのような選択は、配列最適化された核酸(例えば、治療的合成mRNA)によって標的化される、特定の組織または細胞に依存し得る。
【0267】
配列最適化方法、または最適化方法の応用及び解析から導き出されたデザインルールを組み合わせるメカニズムは、単純になる場合もあるしあるいは複雑になる場合もある。例えば、可能な組み合わせは以下のとおりとなり得る:
(i)逐次的:各配列最適化方法または一連のデザインルールは、配列全体中の異なるサブ配列に適用され、例えばコドン位置1~30でウリジンを減少させ、次いで、配列の残りの部分に対しては高頻度のコドンを選択する。
(ii)階層的:いくつかのシーケンス最適化方法または一連のデザインルールが、階層的な決定論的様式にて結合される。例えば、ほとんどのGCに富むコドンを使用するには、それらのコドンの中で最高頻度のコドンを選択することによって(一般的)結合を破壊する。
(iii)多因子/多パラメータ:機械学習または他のモデリング技術を用いて、重複し、矛盾のある可能性のある複数の要件を最も満たす、単一の配列をデザインする。このアプローチでは、コンピュータを使用して、例えば遺伝的アルゴリズムのような数学的手法を適用する必要がある。
【0268】
最終的に、これらのアプローチの各々に基づいて、多くの事例において単一コドン表、すなわち標的タンパク質(すなわちシトリン)中のアミノ酸ごとにソートされたコドンリストに要約可能な特定のルールセット、ならびに、アミノ酸位置に特異的なコドンを選択する方法を示す特定のルールまたは一連のルールをもたらすことができる。
【0269】
a. ウリジン含有量の最適化
核酸配列中に局所的に高濃度のウリジンが存在すると、特に合成mRNAの産生時に修飾ウリジン類似体が使用される場合に、翻訳に遅延が生じたりまたは時期尚早に翻訳が中断されたりする等、翻訳に有害な影響が及び得る。更になお、ウリジン含有量が高い場合、TLRの活性化が原因で、合成mRNAのin vivo半減期も短縮され得る。
【0270】
したがって、少なくとも1つのウリジン含有量の最適化ステップを含む方法を使用して、核酸配列を配列最適化することができる。そのようなステップは、例えば、基準核酸中の少なくとも1つのコドンを代替コドンで置換して、ウリジン修飾配列を生成することを含む。ここで、このウリジン修飾配列は、下記特性のうち少なくとも1つを有するものである。
(i) ウリジン含有量の全体的な増加または減少、
(ii) ウリジン含有量の局所的な増加または減少(すなわち、ウリジン含有量の変化は特定のサブ配列に限定される)、
(iii) ウリジン含有量の全体的変化を伴わない、ウリジン分布の変化、
(iv) ウリジンのクラスタリング(例えば、クラスタの数、クラスタの位置、またはクラスタ間の距離)の変化、あるいは
(v)それらの組み合わせ。
【0271】
いくつかの実施形態において、配列最適化プロセスは、基準核酸配列中のウリジン核酸塩基の百分率に関して、全体的なウリジン含有量を最適化すること、すなわち、基準核酸配列中のウリジン核酸塩基の百分率に対して、配列最適化された核酸中のウリジン核酸塩基の百分率を最適化することを含む。例えば、基準配列では核酸塩基の30%がウリジンであり得、配列最適化された核酸では核酸塩基の10%がウリジンであり得る。
【0272】
他の実施形態において、配列最適化プロセスは、基準核酸配列の特定の領域における局所的なウリジン含有量を低減させること、すなわち、基準核酸配列の対応するサブ配列中のウリジン核酸塩基の百分率に対して配列最適化核酸のサブ配列中のウリジン核酸塩基の百分率を低減させることを含む。例えば、基準核酸配列は、局所的ウリジン含有量が30%である5’末端領域(例えば30コドン)を有し得、その同じ領域内のウリジン含有量は、配列最適化核酸において10%まで低減され得る。
【0273】
特定の実施形態では、基準核酸配列内のコドンを置換することで、例えば、タンパク質翻訳に対して有害な影響を及ぼす可能性のあるウリジンクラスタの数、サイズ、位置、または分布を、例えば低減または修飾することができる。一般原則として、基準核酸配列のウリジン含有量を減少させることが望ましいが、ある特定の実施形態では、基準核酸配列の一部のサブ配列のウリジン含有量、特に局所ウリジン含有量を増加させることができる。
【0274】
ウリジン含有量の低減による、翻訳に対する悪影響の回避は、本明細書中に開示される他のデザイン目標を達成するための他の最適化方法と組み合わせて遂行することができる。例えば、ウリジン含有量の最適化は、ランプデザインと併用される場合がある。なぜなら、ほとんどのアミノ酸に対して最も希少なコドンを使用することによって、若干の例外を除いて、U含有量が低減されるためである。
【0275】
いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列は、基準核酸配列と比較して、トール様受容体(TLR)応答の低下を誘導するようにデザインされている。いくつかのTLRは、核酸を認識して応答する。TLR3は頻繁に見られるウイルス成分である二本鎖(ds)RNAによって活性化されることが示されている。Alexopoulou et al.(2001)Nature,413:732-738、及びWang et al.(2004)Nat.Med.,10:1366-1373を参照のこと。TLR7は一本鎖(ss)RNAによって活性化される。Diebold et al.(2004)Science 303:1529-1531を参照のこと。RNAオリゴヌクレオチド(例えばホスホロチオエートヌクレオチド)間結合を有するRNAは、ヒトTLR8のリガンドである。Heil et al.(2004)Science 303:6-1529を参照のこと。細菌及びウイルスDNAに特有な非メチル化CpGモチーフを含むDNAによって、TLR9が活性化される。Hemmi et al.(2000)Nature,408:740-745を参照のこと。
【0276】
本明細書において「TLR応答」という用語は、TLR7受容体による一本鎖RNAの認識として定義され、いくつかの実施形態では、受容体による一本鎖RNAの認識によって引き起こされるRNA分解、及び/または生理学的応答を包含する。TLR7へのRNAの結合を判別して定量する方法は、当該技術分野において公知である。同様に、RNAがTLR7媒介性生理学的応答(例えば、サイトカイン分泌)を誘発したかどうかを判定する方法は、当該技術分野において周知である。いくつかの実施形態において、TLR応答は、TLR7でなく、TLR3、TLR8またはTLR9によって媒介させることができる。
【0277】
STLR7媒介性応答の抑制は、ヌクレオシド修飾を介して達成できる。自然界では、RNAは、100を超えるヌクレオシド修飾を経る(mods.rna.albany.eduで閲覧可能なRNA Modification Databaseを参照)。例えば、ヒトrRNAは、細菌rRNAに比べて、シュードウリジン(ψ)が10倍多く、しかも2’-O-メチル化ヌクレオシドが25倍多い。細菌mRNAにはヌクレオシド修飾が全く含まれないのに対して、哺乳類のmRNAには、N7-メチルグアノシン(m7G)のほか、5-メチルシチジン(m5C)、N6-メチルアデノシン(m6A)、イノシン、及び多くの2’-O-メチル化ヌクレオシドなどの修飾ヌクレオシドが含まれている。
【0278】
RNAの2つの定義的な特徴であるウラシル及びリボースは、TLR7刺激に必要且つ十分であり、短い一本鎖RNA(ssRNA)は、いくつかのウリジンが近接して含まれている限り、配列非依存的な様式でTLR7アゴニストとして作用する。Diebold et al.(2006)Eur.J.Immunol.36:3256-3267を参照のこと。本文献はその全体が本明細書中に参照により組み込まれる。したがって、本明細書中に開示される1つ以上の最適化方法は、ウリジン含有量を局所的及び/または局所的減少させること、及び/またはウリジンクラスタ形成の低減もしくは修飾によってTLR7媒介性応答を減少または抑制することを含む。
【0279】
いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列を介して生ずるTLR応答(例えば、TLR7により媒介される応答)は、基準核酸配列を介して生ずるTLR応答よりも少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%低量である。
【0280】
いくつかの実施形態において基準核酸配列を介して生ずるTLR応答は、ウリジン修飾配列を介して生ずるTLR応答よりも少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍高量である。
【0281】
いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列のウリジン含有量(平均の全体的ウリジン含有量)(絶対または相対)は、基準核酸配列のウリジン含有量(絶対または相対)よりも高量である。したがって、いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列には、基準核酸配列よりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%多くのウリジンが含有される。
【0282】
他の実施形態において、ウリジン修飾配列のウリジン含有量(平均グローバルウリジン含有量)(絶対または相対)は、基準核酸配列のウリジン含有量(絶対または相対)よりも低量である。したがって、いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列中のウリジン含有量は、基準核酸配列に比べて少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%少ない。
【0283】
いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列のウリジン含有量(平均グローバルウリジン含有量)(絶対または相対)は、ウリジン修飾配列中の核酸塩基総数の50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%もしくは1%未満である。いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列のウリジン含有量は、約10%~約20%である。いくつかの特定の実施形態において、ウリジン修飾配列のウリジン含有量は、約12%~約16%である。
【0284】
いくつかの実施形態において、基準核酸配列のウリジン含有量は、スライディングウインドウを使用して測定できる。いくつかの実施形態において、スライディングウインドウの長さは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40核酸塩基である。いくつかの実施形態において、スライディングウインドウは、40核酸塩基長を超える。いくつかの実施形態において、スライディングウインドウは、20核酸塩基長である。基準核酸配列及び配列最適化された核酸の全長にわたるウリジン含有量を表すヒストグラムを、スライディングウインドウで測定されたウリジン含有量に基づいて、生成することができる。
【0285】
いくつかの実施形態において基準核酸配列は、特定の百分率値超またはそれ未満のヒストグラムのピークが低減または排除されるように修飾できる。いくつかの実施形態において基準核酸配列は、スライディングウインドウ表現にて、ウリジン約65%超、60%超、55%超、50%超、45%超、40%超、35%超または30%超のピークが排除されるように修飾できる。別の実施形態において基準核酸配列は、20核酸塩基スライディングウインドウを使用して測定した場合、配列最適化された核酸中にウリジン30%超のピークが存在しないように修飾できる。いくつかの実施形態では、基準核酸配列は、20核酸塩基スライディングウインドウを使用して測定した場合、配列最適化された核酸配列中の所定数以上または所定数以下のピークが特定の閾値超もしくは閾値未満にならないように修飾できる。例えば、いくつかの実施形態において基準核酸配列は、配列最適化された核酸中の0、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10ピーク以下が、ウリジン約10%超、15%超、20%超、25%超または30%超になるように修飾できる。別の実施形態では、配列最適化された核酸中の0ピーク~2ピークのウリジン含有量が、30%またはそれよりも高量(% of higher)にて含有される。
【0286】
いくつかの実施形態において基準核酸配列は、ウリジンの連続発生が低減されるように配列最適化することができる。例えば、2つの連続するロイシンは、配列CUUUUGでコードすることができる。このコードの場合、4つのウリジンクラスタが含まれている。そのようなサブ配列は、CUGCUCで置換可能である。この置換によって、ウリジンクラスタが効率的に除去される。したがって、基準核酸配列は、ウリジンペア(UU)、ウリジントリプレット(UUU)またはウリジンクアドラプレット(UUUU)を減らすかあるいは無くすことによって、配列最適化することができる。Uを高次に組み合わせたものは、低次に組み合わせたものとは異なる組み合わせであると見なされる。ゆえに、例えば、UUUUは、2つの連続Uペアではなく厳密にクアドラプレットと見なされ、また、UUUUUUは、3つの連続Uペアまたは2つの連続Uトリプレットでなくセクスタプレットと見なされる、といったようになる。
【0287】
いくつかの実施形態では、全てのウリジンペア(UU)及び/またはウリジントリプレット(UUU)及び/またはウリジンクアドラプレット(UUUU)を、基準核酸配列から除去することができる。他の実施形態において、ウリジンペア(UU)及び/またはウリジントリプレット(UUU)及び/またはウリジンクアドラプレット(UUUU)は、ある特定の閾値未満、例えば、配列最適化された核酸における出現数が1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、または20以下に低減させることができる。特定の実施形態において、配列最適化された核酸には、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1未満のウリジンペアが含有される。別の特定の実施形態において、配列最適化された核酸には、ウリジンペア及び/またはトリプレットが全く含まれない。
【0288】
フェニルアラニンコドン(すなわち、UUCまたはUUU)は、ウリジンペアまたはトリプレットを含むことから、配列最適化によってウリジン含有量を低減させた場合、フェニルアラニンUトリプレットの低減は、最大でフェニルアラニンUペアとすることができる。いくつかの実施形態において、ウリジンペア(UU)及び/またはウリジントリプレット(UUU)の出現は、非フェニルアラニンUペアまたはトリプレットのみを指す。したがって、いくつかの実施形態において、非フェニルアラニンウリジンペア(UU)及び/またはウリジントリプレット(UUU)は、ある特定の閾値未満、例えば、配列最適化された核酸における出現数が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20以下に低減させることができる。特定の実施形態において、配列最適化された核酸には、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1未満の非フェニルアラニンウリジンペア及び/またはトリプレットが含まれる。別の特定の実施形態において、配列最適化された核酸には、非フェニルアラニンウリジンペア及び/またはトリプレットが全く含まれない。
【0289】
いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸中のウリジンの組み合わせ(例えば、ペア、トリプレット、クアドラプレット)の低減は、基準核酸配列中に存在するウリジンの組み合わせに対する百分率の低減として表すことができる。
【0290】
いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸には、配列最適化された核酸には、基準核酸配列中に存在するウリジンペアの総数の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または65%が含有させることができる。いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸には、基準核酸配列中に存在するウリジントリプレットの総数の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または65%が含有させることができる。いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸には、基準核酸配列中に存在するウリジンクアドラプレットの総数の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または65%が含有され得る。
【0291】
いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸には、基準核酸配列中に存在する非フェニルアラニンウリジンペアの総数の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または65%が含有され得る。いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸には、配列最適化された核酸には、基準核酸配列中に存在する非フェニルアラニンウリジンのトリプレットの総数の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または65%が含有され得る。
【0292】
いくつかの実施形態において、配列最適化された配列中のウリジン含有量は、配列中の理論的最小ウリジン含有量を基準にして表すことができる。「理論的最小ウリジン含有量」という用語は、核酸配列のウリジン含有量(配列中の全てのコドンがウリジン含有量の最も低い同義コドンで置換された後の、配列の長さの百分率)として定義される。いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸のウリジン含有量は、基準配列(例えば野生型配列)の理論的最小ウリジン含有量と同一である。いくつかの態様において、配列最適化された核酸のウリジン含有量は、基準配列(例えば野生型配列)の理論的最小ウリジン含有量の約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、約175%、約180%、約185%、約190%、約195%または約200%である。
【0293】
いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸のウリジン含有量は、基準配列(例えば野生型配列)の理論的最小ウリジン含有量と同一である。
【0294】
基準核酸配列(例えば野生型配列)は、その数、サイズ、位置、分布またはそれらの組み合わせが原因で翻訳に対しマイナスの効果力を有する、ウリジンクラスタを含み得る。本明細書において「ウリジンクラスタ」という用語は、ある特定の閾値を超えるウリジン含有量(通常、百分率として記載)を含む基準核酸配列または配列最適化された核酸配列のサブ配列を指す。ゆえに、ある特定の実施形態において、サブ配列のウリジン含有量が、約10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超または65%超である場合、そのようなサブ配列は、ウリジンクラスタであると見なされる。
【0295】
ウリジンクラスタによるマイナスの効果によって、例えばTLR7応答が誘発され得る。ゆえに、本明細書に開示される核酸配列最適化方法のいくつかの実装において、クラスタの数、クラスタのサイズ、クラスタの位置(核酸配列の5’及び/もしくは3’末端に近接する等)、クラスタ間の距離、またはウリジンクラスタの分布(例えば、核酸配列に沿ったクラスタのある特定のパターン、発現産物中の二次構造エレメントに関するクラスタの分布、またはmRNAの二次構造に関するクラスタの分布)を低減することが望ましい。
【0296】
いくつかの実施形態において基準核酸配列は、基準核酸配列のサブ配列であり、且つ前記サブ配列中の総ウリジン核酸塩基の百分率が所定の閾値を上回る、少なくとも1つのウリジンクラスタを含む。いくつかの実施形態において、サブ配列の長さは、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100核酸塩基である。いくつかの実施形態において、サブ配列は100核酸塩基よりも長い。いくつかの実施形態において、この閾値は、ウリジン含有量の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または25%である。いくつかの実施形態において、この閾値は約25%である。
【0297】
例えば、A、D、G、S及びRが含まれるアミノ酸配列を、核酸配列GCU、GAU、GGU、AGU、CGUでコードすることができる。そのような配列は、ウリジンペア、トリプレットまたはクアドラプレットを含まないが、核酸塩基の1/3はウリジンであろう。そのようなウリジンクラスタは、例えば、GCC、GAC、GGC、AGC及びCGCなどの、ウリジン不含の代替コドンを使用して、除去することができる。
【0298】
他の実施形態において基準核酸配列は、基準核酸配列のサブ配列であり、スライディングウインドウを用いて測定された前記サブ配列のウリジン核酸塩基の百分率が、所定の閾値を上回る、少なくとも1つのウリジンクラスタを含む。いくつかの実施形態において、スライディングウインドウの長さは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40核酸塩基である。いくつかの実施形態において、スライディングウインドウは、40核酸塩基長を超える。いくつかの実施形態において、この閾値は、ウリジン含有量の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または25%である。いくつかの実施形態において、この閾値は約25%である。
【0299】
いくつかの実施形態において基準核酸配列は、少なくとも2つのウリジンクラスタを含む。いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列のウリジン富化クラスタ含有量は基準核酸配列よりも低い。いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列のウリジン富化クラスタ含有量は基準核酸配列よりも高い。いくつかの実施形態において、ウリジン修飾配列中に含まれるウリジン富化クラスタの長さは、基準核酸配列中の対応するウリジン富化クラスタよりも短い。他の実施形態において、ウリジン修飾配列中に含まれるウリジン富化クラスタの長さは、基準核酸配列中の対応するウリジン富化クラスタよりも長い。
【0300】
Kariko et al.(2005)Immunity 23:165-175;Kormann et al.(2010)Nature Biotechnology 29:154-157;あるいはSahin et al.(2014)Nature Reviews Drug Discovery|AOP,published online 19 September 2014m doi:10.1038/nrd4278を参照のこと。これらの文献はいずれも、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0301】
b. グアニン/シトシン(G/C)含有量
基準核酸配列は、基準核酸配列のグアニン/シトシン(G/C)含有量(絶対または相対)を変更することを含む方法を使用して、配列最適化することができる。そのような最適化では、基準核酸配列の全体的なG/C含有量(絶対または相対)を変更する(例えば増加または減少させる)こと、基準核酸配列中のG/C含有量における局所的な変更を導入する(基準核酸配列中の選択された領域またはサブ配列におけるG/Cを増加または減少させる)こと、基準核酸配列中のG/Cクラスタの頻度、サイズ及び分布、またはそれらの組み合わせを変更すること、を含めることができる。
【0302】
いくつかの実施形態において、シトリンをコードする配列最適化された核酸は、基準核酸配列のG/C含有量(絶対または相対)に対して相対的なG/C含有量(絶対または相対)の全体的な増加を含む。いくつかの実施形態において、G/C含有量の全体的な増加(絶対または相対)は、基準核酸配列のG/C含有量(絶対または相対)を基準にして少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。
【0303】
いくつかの実施形態において、シトリンをコードする配列最適化された核酸は、基準核酸配列のG/C含有量を基準にしたG/C含有量の全体的な(絶対または相対)減少を含む。いくつかの実施形態において、G/C含有量の全体的な(絶対または相対)減少は、基準核酸配列のG/C含有量(絶対または相対)を基準にして少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。
【0304】
いくつかの実施形態において、シトリンをコードする配列最適化された核酸は、基準核酸配列中の対応するサブ配列のG/C含有量(絶対または相対)に対して相対的な、サブ配列(すなわち、G/C修飾サブ配列)中のグアニン/シトシン(G/C)含有量(絶対または相対)の局所的な増加を含む。いくつかの実施形態において、G/C含有量(絶対または相対)の局所的な減少は、基準核酸配列中の対応するサブ配列のG/C含有量(絶対または相対)を基準にして少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。
【0305】
いくつかの実施形態において、シトリンをコードする配列最適化された核酸は、基準核酸配列中の対応するサブ配列のG/C含有量(絶対または相対)に対して相対的な、サブ配列(すなわち、G/C修飾サブ配列)中のグアニン/シトシン(G/C)含有量(絶対または相対)の局所的な減少を含む。いくつかの実施形態において、G/C含有量の局所的な減少(絶対または相対)は、基準核酸配列中の対応するサブ配列のG/C含有量(絶対または相対)を基準にして少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。
【0306】
いくつかの実施形態では、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100核酸塩基長のサブ配列のG/C含有量(絶対または相対)が、増加または減少する。
【0307】
いくつかの実施形態では、少なくとも約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990もしくは1000核酸塩基長のサブ配列のG/C含有量(絶対または相対)が、増加または減少する。
【0308】
いくつかの実施形態では、少なくとも約1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、6000、6100、6200、6300、6400、6500、6600、6700、6800、6900、7000、7100、7200、7300、7400、7500、7600、7700、7800、7900、8000、8100、8200、8300、8400、8500、8600、8700、8800、8900、9000、9100、9200、9300、9400、9500、9600、9700、9800、9900もしくは10000核酸塩基長のサブ配列のG/C含有量(絶対または相対)が、増加または減少する本明細書に記載のG含有量及びC含有量(絶対もしくは相対)の増加または減少は、G/C含有量の低い同義コドンをG/C含有量の高い同義コドンで置換することによって、またはその逆に、G/C含有量の高い同義コドンをG/C含有量の低い同義コドンでよって行うことができる。例えば、Lは6つの同義コドンを有し、それらの同義コドンのうちの2つは2つのG/C(CUC、CUG)を有し、そのうちの3つは1つのG/C(UUG、CUU、CUA)を有し、そのうちの1つはG/C(UUA)を有さない。したがって、ある特定の位置にて基準核酸がCUCコドンを有した場合、CUCを単一のG/Cを有するコドンまたはG/Cを全く有さないコドンのいずれかで置換することによって、その位置におけるG/C含有量を低減させることが可能であった。
【0309】
米国特許出願公開第US20140228558号、同第US20050032730(A1)号、Gustafsson et al.(2012)Protein Expression and Purification 83:37-46を参照のこと。これらの文献はいずれも、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0310】
c. コドン頻度-コドン使用バイアス
当該技術分野において公知のコドン最適化法の多くは、基準核酸配列中のコドンを高頻度のコドンで置換することに基礎を置くものである。ゆえに、いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されるシトリンをコードする核酸配列は、非コドン最適化配列中の使用頻度に関し、配列最適化された核酸中の他の同義コドンに対して相対的な1つ以上のコドンの使用頻度の修飾を用いることを含む方法を使用して、配列最適化することができる。
【0311】
本明細書において「コドン頻度」という用語は、コドン使用バイアス、すなわちコーディングDNA/RNA中の同義コドンの出現頻度の差異を指す。遍く認識されているように、翻訳の最適化を期して、変異バイアスと自然選択との間のバランスがコドンの優先順位に反映される。最適コドンは、翻訳の迅速化及び高精度化を達成する助けとなる。それらの要因の結果、高度に発現した遺伝子において、翻訳の選択が強力になることが予期される。バイオインフォマティクス及び計算生物学の分野では、多くの統計的方法が提案され、コドン使用バイアスの分析を目的に使用されてきた。例えばComeron & Aguade(1998)J.Mol.Evol.47:268-74を参照のこと。「最適コドンの頻度」(Fop)(Ikemura(1981)J.Mol.Biol.151(3):389-409),"Relative Codon Adaptation”(RCA)(Fox & Eril(2010)DNA Res.17(3):185-96)または”Codon Adaptation Index”(CAI)(Sharp & Li(1987)Nucleic Acids Res.15(3):1281-95)などの方法は、遺伝子発現レベルの予測を用途とするのに対し、情報理論による「有効コドン数」(Nc)及びシャノンエントロピーなどの方法は、コドン使用率の均一性を測定することを用途とするものである。遺伝子間のコドン使用状況の変動分析を目的に、遍く使用されているのが、対応分析及び主成分分析などの多変量統計的方法である(Suzuki et al.(2008)DNA Res.15(6):357-65;Sandhu et al.,In Silico Biol.2008;8(2):187-92)。
【0312】
本明細書中に開示されるシトリンポリペプチドをコードする核酸配列、例えば、野生型核酸配列、変異体核酸配列、キメラ核酸配列(例えばmRNAであり得る)等は、基準核酸配列中の少なくとも1つのコドンを、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が高いかもしくは低い、代替コドンで置換することを含む方法を使用してコドン最適化することができ、結果として得られた配列最適化された核酸は、基準核酸配列に関して少なくとも1つの最適化された特性を有する。
【0313】
いくつかの実施形態において、シトリンをコードする基準核酸配列中のコドンの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、各々が同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が高い、代替コドンでそれぞれ置換される。
【0314】
いくつかの実施形態において、シトリンをコードする基準核酸配列中の少なくとも1つのコドンは、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が高い、代替コドンで置換され、且つ基準核酸配列中の少なくとも1つのコドンは、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い、代替コドンで置換される。
【0315】
いくつかの実施形態において、シトリンをコードする基準核酸配列中のコドンの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%は、各々が同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が高い、代替コドンでそれぞれ置換される。
【0316】
いくつかの実施形態において、コドン頻度が高い少なくとも1つの代替コドンは、同義コドンセット中のコドン頻度が最も高い。他の実施形態において、コドン頻度が高い全ての代替コドンは、同義コドンセット中でコドン頻度が最も高い。
【0317】
いくつかの実施形態において、コドン頻度が低い少なくとも1つの代替コドンは、同義コドンセット中のコドン頻度が最も低い。いくつかの実施形態において、コドン頻度が高い全ての代替コドンは、同義コドンセット中でコドン頻度が最も高い。
【0318】
いくつかの特定の実施形態において、少なくとも1つの代替コドンは、同義コドンセット中で頻度が2番目に高いか、3番目に高いか、4番目に高いか、5番目に高いか、または6番目に高い。いくつかの特定の実施形態において、少なくとも1つの代替コドンは、同義コドンセット中で頻度が2番目に低いか、3番目に低いか、4番目に低いか、5番目に低いか、または6番目に低い。
【0319】
シトリンポリペプチドをコードする基準核酸配列に対し、コドン頻度ベースの最適化は、上述されているようにグローバルに適用され得る。あるいは局所的に適用され得る。いくつかの実施形態では、局所的に適用された基準核酸配列の領域は、コドン頻度に基づいて修飾される場合があり、ある特定のサブ配列中のコドンの全てのまたはある特定の百分率が、その各々の同義コドンセット中の高頻度もしくは低頻度のコドンで置換され得る。ゆえに、いくつかの実施形態において、基準核酸配列のサブ配列中のコドンの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、各々が同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が高い、代替コドンでそれぞれ置換される。
【0320】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする基準核酸配列のサブ配列中の少なくとも1つのコドンは、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が高い、代替コドンで置換され、且つ基準核酸配列のサブ配列中の少なくとも1つのコドンは、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い、代替コドンで置換される。
【0321】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする基準核酸配列のサブ配列中のコドンの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%は、各々が同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が高い、代替コドンでそれぞれ置換される。
【0322】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする基準核酸配列のサブ配列中で置換された少なくとも1つの代替コドンのうちコドン頻度が高いものは、同義コドンセット中のコドン頻度が最も高い。他の実施形態において、基準核酸配列のサブ配列中で置換された全ての代替コドンのうちコドン頻度が低いものは、同義コドンセット中のコドン頻度が最も低い。
【0323】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする基準核酸配列のサブ配列中で置換された少なくとも1つの代替コドンのうちコドン頻度が低いものは、同義コドンセット中のコドン頻度が最も低い。いくつかの実施形態において、基準核酸配列のサブ配列中で置換された全ての代替コドンのうちコドン頻度が高いものは、同義コドンセット中のコドン頻度が最も高い。
【0324】
特定の実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする配列最適化された核酸は、特定の位置にて、例えば、配列最適化された核酸の5’末端もしくは3’末端、またはそれらの領域から所定の距離内(例えば、配列最適化された核酸の5’末端もしくは3’末端から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100コドン)にて全体的なコドン頻度が、基準核酸配列の対応するサブ配列中の全体的なコドン頻度よりも高いかまたは低いサブ配列を含み得る。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする配列最適化された核酸は、基準核酸配列の対応するサブ配列中の全体的なコドン頻度よりも全体的なコドン頻度が高いかまたは低い、1を超えるサブ配列を含み得る。全体的なコドン頻度が高いまたは低いサブ配列を、全体的なコドン頻度の高低、サブ配列の長さ、サブ配列間の距離、サブ配列の位置などに応じて、無数のパターンで編成することができることは、当業者に理解されるであろう。
【0325】
米国特許第US5082767号、同第US8126653号、同第US7561973号、同第US8401798号、米国特許公開第US20080046192号、同第US20080076161号、国際公開第WO2000018778号、Welch et al.(2009)PLoS ONE 4(9):e7002;Gustafsson et al.(2012)Protein Expression and Purification 83:37-46;Chung et al.(2012)BMC Systems Biology 6:134を参照のこと。これらの文献はいずれも、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0326】
d. モチーフ置換の不安定化
配列最適化に影響し得るモチーフで、様々な非排他的カテゴリに分類されるものには、例えば、以下のように様々な種類がある。
(i) 一次配列ベースのモチーフ:ヌクレオチドの単純なアレンジによって定義されるモチーフ。
(ii) 構造モチーフ:ある特定の二次構造を形成する傾向のあるヌクレオチドのアレンジによりコードされるモチーフ。
(iii) 局所的モチーフ:1つの連続サブ配列内にコードされたモチーフ。
(iv) 分散モチーフ:2つ以上の不連続サブ配列内にコードされたモチーフ。
(v) 有益モチーフ:ヌクレオチド構造または機能を改良するモチーフ。
(vi) 不利益モチーフ:ヌクレオチド構造または機能に対し不利益な影響を及ぼすモチーフ。
【0327】
不利益モチーフのカテゴリに見合うモチーフが数多く存在している。いくつかの例としては、例えば、制限酵素モチーフ(例えば、Xba1(TCTAGA)、EcoRI(GAATTC)、EcoRII(CCWGG;式中:Wは、IUPACのあいまいコードごとにAまたはTを意味する)、またはHindIII(AAGCTT)の制限部位モチーフなどの、比較的短く、厳密配列となる傾向のあるもの)、酵素部位(例えば、T7 RNAポリメラーゼ(GnnnnWnCRnCTCnCnnWnD;式中:nは任意のヌクレオチドを意味し、RはAまたはGを意味し、WはAまたはTを意味し、DはAまたはGまたはTを意味するがCを意味しない)におけるもの等、長くなる傾向があり、厳密配列ではないコンセンサスに基づくもの)、構造モチーフ(例えばGGGGリピート(Kim et al.(1991)Nature 351(6324):331-2)、または、他のモチーフ(例えばCUG-トリプレット反復(Querido et al.(2014)J.Cell Sci.124:1703-1714))が挙げられる。
【0328】
したがって、基準核酸配列内の少なくとも1つの不安定化モチーフを置換することと、そのような不利益モチーフを除去するか、あるいはその不利益モチーフを有益モチーフに置き換えることと、を含む方法を使用して、本明細書に開示されるシトリンポリペプチドをコードする核酸配列を配列最適化することができる。
【0329】
いくつかの実施形態において最適化プロセスは、基準核酸配列中の有益モチーフ及び/または不利益モチーフを同定することを含み、そのようなモチーフは、例えば最適化プロセスに先立ってまたは最中に基準核酸配列における安定性の喪失を引き起こす可能性のある、特定のサブ配列とされる。例えば、最適化の最中に特定の塩基が置換されると、制限酵素に認識されるサブ配列(モチーフ)が生成され得る。したがって、配列最適化された配列を、不利益であることが公知であるモチーフのライブラリーと比較して、最適化プロセスの最中に不利益モチーフが出現するのをモニターすることができる。この場合、不利益モチーフの同定を、ポストホックフィルターとして用いることによって、すなわち基準核酸配列内に導入することの可能な特定の修飾を、実際に実施すべきか否かを判定することができる。
【0330】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される配列最適化方法を適用する前に、不利益モチーフの同定を使用することができる。例えばウリジン還元前の前処理ステップとして、シトリンポリペプチドをコードする基準核酸配列中のモチーフを同定し、それらのモチーフを代替核酸配列で置換することが用いられ得る。他の実施形態において、本明細書中に開示される2つ以上の配列最適化方法を含む多パラメトリック核酸最適化方法に統合された、更なる配列最適化技術としては、不利益モチーフを同定して除去することが用いられる。このように使用すると、可能な限り少ない数の核酸塩基を置換することによって、最適化プロセス中に同定された不利益モチーフが除去され、当初のデザイン原理(例えば、低U、高頻度など)が、可能な限り密接に保持されるようになる。
【0331】
例えば、米国特許出願公開第US20140228558号、同第US20050032730号、または同第US20140228558号を参照のこと。これらの文献は、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0332】
e. 制限付きコドンセット最適化
いくつかの特定の実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする基準核酸配列の配列最適化を実施する際には制限付きコドンセットを用いることができ、例えば、20天然アミノ酸、20天然アミノ酸のサブセット、またはアミノ酸の拡張セット(例えば非天然アミノ酸を含む)をコードするために天然コドンの数未満のコドンが使用されるコドンセットを挙げることができる。
【0333】
遺伝コードは、全ての生物間できわめて類似しており、タンパク質の翻訳に関与する標準の20アミノ酸、開始コドン及び終止コドンをコードする64エントリを含めた、単純な表で表すことができる。遺伝コードは縮重している。すなわち一般的には複数のコドンによって各アミノ酸が特定される。例えば、アミノ酸ロイシンは、UUA、UUG、CUU、CUC、CUA、またはCUGコドンで指定され、一方、アミノ酸セリンは、UCA、UCG、UCC、UCU、AGU、またはAGCコドン(第1、第2、または第3の位置が異なるもの)で指定される。天然の遺伝コードは、天然起源のアミノ酸をコードする62コドンを含む。ゆえに、本明細書中に開示される方法のいくつかの実施形態において、20アミノ酸をコードする62未満のコドンを含む最適化コドンセット(遺伝コード)は、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、または20コドンを含み得る。
【0334】
いくつかの実施形態において、制限付きコドンセットの場合は、20未満のコドンを含む。例えば、タンパク質に20種類未満のアミノ酸が含有される場合、そのようなタンパク質は、20コドン未満のコドンセットによりコードすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、最適化されたコドンセットには、基準核酸配列によりコードされたタンパク質中に存在するアミノ酸の種類の数のコドンが含まれる。いくつかの実施形態において、最適化されたコドンセットには、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または更には1コドンが含まれる。
【0335】
いくつかの実施形態において、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Tyr、及びValからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸(すなわち、2つ以上のコドンで天然にコードされるアミノ酸)は、同義コドンの天然発生数よりも少ないコドンでコードされる。例えば、いくつかの実施形態において、Alaは、配列最適化された核酸中で3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、Cysは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Aspは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Gluは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Pheは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Glyは、配列最適化された核酸中で3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、Hisは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Ileは、配列最適化された核酸中で2コドンまたは1コドンでコードでき、Lysは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Leuは、配列最適化された核酸中で5コドン、4コドン、3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、Asnは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Proは、配列最適化された核酸中で3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、Glnは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードでき、Argは、配列最適化された核酸中で5コドン、4コドン、3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、Serは、配列最適化された核酸中で5コドン、4コドン、3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、Thrは、配列最適化された核酸中で3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、Valは、配列最適化された核酸中で3コドン、2コドンまたは1コドンでコードでき、ならびに、Tyrは、配列最適化された核酸中で1コドンでコードできる。
【0336】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸は、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Tyr及びValからなる群から選択される。すなわち、2つ以上のコドンによって天然にコードされるアミノ酸は、制限付きコドンセット中の単一のコドンによりコードされる。
【0337】
いくつかの特定の実施形態において、配列最適化された核酸はDNAであり、且つ制限付きコドンセットは20個のコドンからなり、各コドンは20個のアミノ酸のうちの1個をコードする。いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸は、DNA及び制限付きコドンセットは、GCT、GCC、GCA及びGCGからなる群から選択される少なくとも1つのコドン、少なくともCGT、CGC、CGA、CGG、AGA及びAGGからなる群から選択されるコドン、少なくともAATまたはACCから選択されるコドン、少なくともGATまたはGACから選択されるコドン、少なくともTGTまたはTGCから選択されるコドン、少なくともCAAまたはCAGから選択されるコドン、少なくともGAAまたはGAGから選択されるコドン、少なくともGGT、GGC、GGA及びGGGからなる群から選択されるコドン、少なくともCATまたはCACから選択されるコドン、少なくともATT、ATC、及びATAからなる群から選択されるコドン、少なくともTTA、TTG、CTT、CTC、CTA及びCTGからなる群から選択されるコドン、少なくともAAAまたはAAG、ATGコドンから選択されるコドン、少なくともTTTまたはTTCから選択されるコドン、少なくともCCT、CCC、CCA及びCCGからなる群から選択されるコドン、少なくともTCT、TCC、TCA、TCG、AGT、及びAGCからなる群から選択されるコドン、少なくともACT、ACC、ACA、及びACGからなる群から選択されるコドン、TGGコドン、少なくともTATまたはTACから選択されるコドン、ならびに、少なくともGTT、GTC、GTA、及びGTGからなる群から選択されるコドンを含む。
【0338】
他の実施形態において、配列最適化された核酸はRNA(mRNAなど)であり、且つ制限付きコドンセットは20個のコドンからなり、各コドンは20個のアミノ酸のうちの1個をコードする。いくつかの実施形態において、配列最適化された核酸はRNAであり、且つ制限付きコドンセットは、GCU、GCC、GCA及びGCGからなる群から選択される少なくとも1つのコドン、少なくともCGU、CGC、CGA、CGG、AGA及びAGGからなる群から選択されるコドン、少なくともAAUまたはACCから選択されるコドン、少なくともGAUまたはGACから選択されるコドン、少なくともUGUまたはUGCから選択されるコドン、少なくとも、CAAまたはCAGから選択されるコドン、少なくともGAAまたはGAGから選択されるコドン、少なくともGGU、GGC、GGA及びGGGからなる群から選択されるコドン、少なくともCAUまたはCACから選択されるコドン、少なくともAUU、AUC及びAUAからなる群から選択されるコドン、少なくともUUA、UUG、CUU、CUC、CUA及びCUGからなる群から選択されるコドン、少なくともAAAまたはAAGから選択されるコドン、AUG コドン、少なくともUUUまたはUUCから選択されるコドン、少なくともCCU、CCC、CCA、及びCCGからなる群から選択されるコドン、少なくともUCU、UCC、UCA、UCG、AGU及びAGCからなる群から選択されるコドン、少なくともACU、ACC、ACA及びACGからなる群から選択されるコドン、UGGコドン、少なくともUAUまたはUACから選択されるコドン、ならびに、少なくともGUU、GUC、GUA、及びGUGからなる群から選択されるコドンを含む。
【0339】
いくつかの特定の実施形態では、特定の組織または細胞に投与された後の制限付きコドンセットが、配列最適化された核酸(例えば合成mRNA)のin vivo発現用に、最適化される。
【0340】
いくつかの実施形態において、最適化されたコドンセット(例えば、20アミノ酸をコードする20コドンセット)は、少なくとも以下の特性のうちの少なくとも1つに準拠する。
(i) 最適化されたコドンセットは、元のコドンセットまたは天然コドンセットよりも平均G/C含有量が高いか、あるいは
(ii) 最適化されたコドンセットは、元のコドンセットまたは天然コドンセットよりも平均U含有量が低いか、あるいは
(iii) 最適化されたコドンセットは、頻度が最も高いコドンから構成されるか、あるいは
(iv) 最適化されたコドンセットは、頻度が最も低いコドンから構成されるか、あるいは
(v) それらの組み合わせである。
【0341】
いくつかの特定の実施形態において、最適化されたコドンセット中の少なくとも1つのコドンは、同義コドンセットで頻度が2番目に高いか、3番目に高いか、4番目に高いか、5番目に高いか、または6番目に高い。いくつかの特定の実施形態において、最適化されたコドン中、少なくとも1つのコドンは、同義コドンセットで頻度が2番目に低いか、3番目に低いか、4番目に低いか、5番目に低いか、または6番目に低い。
【0342】
本明細書において「天然コドンセット」という用語は、基準核酸配列をコードするために自然において供給源生物によって使用されるコドンセットを指す。本明細書において「元のコドンセット」という用語は、配列最適化の開始前に基準核酸配列をコードする目的に使用されるコドンセット、あるいは、反復的にまたは再帰的に配列最適化が適用されている場合、新しい最適化反復の開始時に基準核酸配列の最適化バリアントをコードする目的に使用されるコドンセットを指す。
【0343】
いくつかの実施形態において、コドンセット中のコドンの5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、頻度が最も高いコドンである。他の実施形態において、コドンセット中のコドンの5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、頻度が最も低いコドンである。
【0344】
いくつかの実施形態において、コドンセット中のコドンの5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、ウリジン含有量が最も高いコドンである。いくつかの実施形態において、コドンセット中のコドンの5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、ウリジン含有量が最も低いコドンである。
【0345】
いくつかの実施形態において、コドンセットの平均G/C含有量(絶対または相対)は、元のコドンセットの平均G/C含有量(絶対または相対)よりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%高量である。いくつかの実施形態において、コドンセットの平均G/C含有量(絶対または相対)は、元のコドンセットの平均G/C含有量(絶対または相対)よりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%低量である。
【0346】
いくつかの実施形態において、コドンセットのウラシル含有量(絶対または相対)は、元のコドンセットの平均ウラシル含有量(絶対または相対)よりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%高量である。いくつかの実施形態において、コドンセットのウラシル含有量(絶対または相対)は、元のコドンセットの平均ウラシル含有量(絶対または相対)よりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%低量である。
【0347】
米国特許出願公開第2011/0082055号、及び国際公開第WO2000018778号もまた参照のこと。これらの文献は両方とも、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0348】
8.配列最適化された核酸の特性評価
本発明のいくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードする本明細書中に開示される配列最適化核酸を含むポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)の試験では、配列最適化されていない核酸に関して少なくとも1つの核酸配列特性(例えば、ヌクレアーゼに曝露された場合の安定性)または発現特性が改善されたかどうかを調べることができる。
【0349】
本明細書において「発現特性」とは、in vivoでの核酸配列の特性(例えば、それを必要とする対象に投与された後の、合成mRNAの翻訳効率)、またはin vitroでの核酸配列の特性(例えば、in vitroモデル系において試験された合成mRNAの翻訳効率)を指す。発現特性としては、限定されるものではないが、投与後のシトリンポリペプチドをコードするmRNAによって産生されるタンパク質の量、及び産生された可溶性またはその他の機能性タンパク質の量が挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される配列最適化された核酸、本明細書中に開示されるシトリンポリペプチドをコードする配列最適化された核酸配列(例えばmRNAなどのRNA)によってコードされるタンパク質を発現する細胞の生存能力に従って評価できる。
【0350】
特定の実施形態において、本明細書中に開示される複数の配列最適化核酸(例えば、mRNAなどのRNA)(最適化されていない基準核酸配列という観点でコドン置換を含むもの)を、機能的に特徴付けることによって、目的の特性(例えばin vitroモデル系における発現特性、または標的組織もしくは細胞内でのin vivo特性)を測定することができる。
【0351】
a. 核酸配列の固有特性の最適化
本発明のいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドの所望の特性は、核酸配列の固有特性である。例えば、ヌクレオチド配列(例えば、mRNAなどのRNA)が、in vivoまたはin vitroでの安定性確保を目的に配列最適化され得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列を、標的組織または細胞内での発現用に配列最適化することができる。いくつかの実施形態では、核酸配列を配列最適化し、その血漿半減期を延ばすために、その核酸配列が分解されるのをエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼで防止する。
【0352】
他の実施形態では、核酸配列を配列最適化し、溶液中の加水分解に対する耐性を増強させることによって、例えば、配列最適化された核酸、またはその配列最適化核酸を含む医薬組成物が、最小限の分解で水性条件下で保存できる時間を長引かせることができる。
【0353】
他の実施形態において、配列最適化核酸を、乾燥貯蔵条件における加水分解に対する耐性を増強させるように最適化することで、例えば、最小限の分解で凍結乾燥後に配列最適化核酸を保存できる時間を長引かせることができる。
【0354】
b. タンパク質の発現用に最適化された核酸配列
本発明のいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドの所望の特性は、本明細書中に開示される配列最適化配列によりコードされるシトリンポリペプチドの発現レベルである。タンパク質の発現レベルは、1つ以上の発現系を用いて測定できる。いくつかの実施形態では、細胞培養系、例えばCHO細胞またはHEK293細胞内での発現を測定できる。いくつかの実施形態では、例えばウサギ網状赤血球溶解物のような生存細胞の抽出物から調製されたin vivo発現系を使用するか、あるいは精製された個々の成分の集合によって調製されたin vitro発現系を使用して、発現を測定できる。他の実施形態において、タンパク質の発現は、in vivo系(例えば、マウス、ウサギ、サル等)において測定される。
【0355】
いくつかの実施形態では、タンパク質の発現としては、溶液形態のものが所望され得る。したがって、いくつかの実施形態において基準配列を配列最適化することで、可溶性形態で発現したタンパク質の最適化レベルを有する、配列最適化核酸配列を産生することができる。タンパク質発現のレベルならびに他の特性、例えば、可溶性、凝集レベル、及びトランケーション生成物の存在(すなわち、タンパク質分解、加水分解、または翻訳の欠損に起因するフラグメント)などは、例えば、電気泳動(天然またはSDS-PAGEなど)またはクロマトグラフィー法(例えばHPLC、サイズ排除クロマトグラフィーなど)を用いて、当該技術分野において公知の方法に従って測定できる。
【0356】
c. 標的組織または標的細胞の生存率の最適化
いくつかの実施形態において、核酸配列によってコードされる異種治療タンパク質の発現は、標的組織または細胞において有害な影響を及ぼし、タンパク質収量を低減させ、または(封入体内にタンパク質断片が存在する、または発現タンパク質が沈殿するなど)発現産物の質を低下させてしまう場合もあれば、あるいは毒性を生ずる恐れもある。
【0357】
したがって、本発明のいくつかの実施形態において、本明細書中に開示される核酸配列(例えば、シトリンポリペプチドをコードする核酸配列)に対し配列最適化を用いることで、配列最適化された核酸によりコードされるタンパク質を発現する標的細胞の生存率を上昇させることができる。
【0358】
異種タンパク質の発現はまた、自己移植または異種移植のため核酸配列をトランスフェクトされた細胞に対して有害となり得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、本明細書中に開示される核酸配列の配列最適化を用いることによって、配列最適化された核酸によりコードされるタンパク質を発現する標的細胞の生存率を上昇させることができる。細胞または組織の生存率、毒性及び他の生理学的反応における変化は、当該技術分野において公知の方法に従って、測定できる。
【0359】
d. 免疫応答及び/または炎症応答の低減
いくつかの事例では、シトリンをコードする配列最適化された核酸ポリペプチドもしくはそれらの機能的断片を投与することによって、(i)治療剤(例えば、シトリンポリペプチドをコードするmRNA)(ii)そのような治療剤の発現産物(例えば、mRNAによってコードされるシトリンポリペプチド)、または(iv)それらの組み合わせによって引き起こされる可能性のある免疫応答が誘発され得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態において、本明細書中に開示される核酸配列(例えばmRNA)に対して配列最適化を用い、シトリンポリペプチドをコードする核酸の投与によって、あるいはそのような核酸によりコードされるシトリンの発現産物によって誘発される免疫応答または炎症応答を低減させることができる。
【0360】
いくつかの態様において、炎症応答は、当該技術分野において公知の方法(例えばELISA)を用い、1つ以上の炎症性サイトカインのレベルの上昇を検出することによって測定できる。「炎症性サイトカイン」という用語は、炎症応答において高まったサイトカインを指す。炎症性サイトカインとしての例としては、インターロイキン-6(IL-6)、-CXCL1(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1;別称:GROα、インターフェロン-γ(IFNγ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロンγ誘発性タンパク質10(IP-10)、または顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が挙げられる。また、「炎症性サイトカイン」という用語は、当該技術分野において公知の、炎症応答に関連する他のサイトカイン、例えば、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-13(Il-13)、インターフェロンα(IFN-α)等も含む。
【0361】
9.シトリンポリペプチドをコードする修飾ヌクレオチド配列
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、化学修飾された核酸塩基、例えば、5-メトキシウラシルを含む。いくつかの実施形態において、mRNAは、シトリンポリペプチドをコードするORFを含むウラシル修飾配列であり、この修飾配列においてmRNAは化学修飾された核酸塩基、例えば5-メトキシウラシルを含む。
【0362】
本発明のある特定の態様において、5-メトキシウラシル塩基がリボース糖に結合している場合、ポリヌクレオチド中のように、結果として得られた修飾ヌクレオシドまたは修飾ヌクレオチドは5-メトキシウリジンと呼ばれる。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド中のウラシルは少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または約100%が5-メトキシウラシルである。一実施形態において、ポリヌクレオチド中のウラシルは少なくとも95%が5-メトキシウラシルである。別の実施形態において、ポリヌクレオチド中のウラシルは100%が5-メトキシウラシルである。
【0363】
ポリヌクレオチド中のウラシルの少なくとも95%が5-メトキシウラシルである実施形態において、全体的なウラシル含有量は、mRNAによって免疫応答がほとんどまたは全く誘発されることのない適切なタンパク質の発現レベルが実現されるように調節できる。いくつかの実施形態において、ORFのウラシル含有量は、対応する野生型ORF(%UTM)中の理論的最小ウラシル含有量の約105%~約145%、約105%~約140%、約110%~約140%、約110%~約145%、約115%~約135%、約105%~約135%、約110%~約135%、約115%~約145%、または約115%~約140%である。他の実施形態において、ORFのウラシル含有量は約117%~約134%、または118%~132%の%UTMである。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするORFのウラシル含有量は、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%もしくは約150%の%Utmである。これに関連して、「ウラシル」という用語は、5-メトキシウラシル及び/または天然起源のウラシルを指し得る。
【0364】
いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約50%、約40%、約30%、約20%、または約15%未満である。いくつかの実施形態において、ORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約15%~約25%である。他の実施形態において、ORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約20%~約30%である。一実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF中のウラシル含有量は、オープンリーディングフレーム中の総核酸塩基含有量の約30%未満である。これに関連して、「ウラシル」という用語は、5-メトキシウラシル及び/または天然起源のウラシルを指し得る。
【0365】
更なる実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF中に5-メトキシウラシルを含め、且つウラシル含有量を調節したことによって、シトシン(C)、グアニン(G)、またはグアニン/シトシン(G/C)含有量(絶対または相対)は増加した。いくつかの実施形態において、ORFのC含有量、G含有量、またはG/C含有量(絶対または相対)の全体的な増加は、野生型ORFのG/C含有量(絶対または相対)を基準にして少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは少なくとも約100%である。いくつかの実施形態において、ORF中のG含有量、C含有量またはG/C含有量は、シトリンポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列の理論的最大G含有量、C含有量またはG/C含有量(%GTMX、%CTMX、もしくは%G/CTMX)の約100%未満、約90%未満、約85%未満もしくは約80%未満である。他の実施形態において、ORF中のG含有量、C含有量またはG/C含有量は、%GTMX、%CTMX、または%G/CTMXの約70%~約80%、約71%~約79%、約71%~約78%もしくは約71%~約77%である。いくつかの実施形態では、G含有量、C含有量またはG/C含有量の低い同義コドンをC含有量、G含有量、またはG/C含有量の高い同義コドンで置換することによって、本明細書に記載のG含有量及び/またはC含有量(絶対または相対)を増加させることができる。他の実施形態では、Uで終わるコドンを、GもしくはCで終わる同義コドンで置換することによって、G含有量及び/またはC含有量(絶対または相対)を増加させることができる。
【0366】
更なる実施形態では、本発明のシトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF中に5-メトキシウラシルを含めて、且つウラシル含有量を調節したことによって、そのウラシルペア(UU)及び/またはウラシルトリプレット(UUU)及び/またはウラシルクアドラプレット(UUUU)含有量が、シトリンポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列未満になるように抑えられている。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするmRNAのORFには、ウラシルペア及び/またはウラシルトリプレット及び/またはウラシルクアドラプレットが全く含まれない。いくつかの実施形態において、ウラシルペア及び/またはウラシルトリプレット及び/またはウラシルクアドラプレットは、ある特定の閾値未満、例えば、シトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF中における出現数が、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、または20以下に低減される。特定の実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするmRNAのORFには、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満、12未満、11未満、10未満、9未満、8未満、7未満、6未満、5未満、4未満、3未満、2未満もしくは1未満の非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットが含まれる。別の実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするmRNAのORFには、非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットが全く含まれない。
【0367】
更なる実施形態では、本発明のシトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF内に5-メトキシウラシルを含めて、且つウラシル含有量を調節したことによって、シトリンポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列よりもウラシル富化クラスタの含有量を低減させている。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするmRNAのORFは、シトリンポリペプチドをコードする野生型ヌクレオチド配列に対応しており、この野生型ヌクレオチド配列中の対応するウラシル富化クラスタよりも長さが短いウラシル富化クラスタを含む。
【0368】
更なる実施形態では、低頻度の代替コドンが用いられる。シトリンポリペプチドをコードする5-メトキシウラシル含有mRNAのORF中のコドンの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い各代替コドンでそれぞれ置換される。ORFはまた、上述されているように、ウラシル含有量が調節されている。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF中の少なくとも1つのコドンは、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い、代替コドンで置換される。
【0369】
いくつかの実施形態において、ウラシル含有量を調節したことによって、シトリンポリペプチドをコードする5-メトキシウラシル含有mRNAのORFは、哺乳類の細胞に投与された場合、シトリンの発現レベルが、対応する野生型mRNA由来のシトリンの発現レベルよりも高くなる。他の実施形態において、哺乳類の細胞に投与された場合に、シトリンの発現レベルは、5-メトキシウラシル含有量が少なくとも95%であり且つウラシル含有量が理論的最小値の約160%、約170%、約180%、約190%、または約200%にも及ぶ、対応するmRNAに対して相対的に増加する。更に他の実施形態において、哺乳類の細胞に投与された場合、シトリンの発現レベルは、ウラシルの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%もしくは約100%が1-メチルシュードウラシルまたはシュードウラシルである、対応するmRNAに対して相対的に増加する。いくつかの実施形態において、哺乳類の細胞は、マウス細胞、ラット細胞、またはウサギ細胞である。他の実施形態において、哺乳類の細胞は、サル細胞またはヒト細胞である。いくつかの実施形態において、ヒト細胞は、ヒーラ細胞、BJ線維芽細胞、または末梢血単核球細胞(PBMC)である。いくつかの実施形態では、in vivoでmRNAが哺乳類細胞に投与された場合に、シトリンが発現する。いくつかの実施形態では、マウス、ウサギ、ラット、サルまたはヒトにmRNAを投与する。一実施形態において、マウスはヌルマウスである。いくつかの実施形態では、mRNAを約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、または約0.15mg/kgの量でマウスに投与する。いくつかの実施形態において、静脈内または筋肉内にmRNAを投与する。他の実施形態では、mRNAがin vitroで哺乳類の細胞に投与された場合に、シトリンポリペプチドが発現する。いくつかの実施形態において、発現は、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1500倍、または少なくとも約3000倍増加する。他の実施形態において、発現は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、60%、約70%、約80%、約90%、または約100%増加する。
【0370】
いくつかの実施形態では、ウラシル含有量を調節したことによって、シトリンポリペプチドをコードする5-メトキシウラシル含有mRNAのORFが、安定性の増強を呈する。いくつかの実施形態において、このmRNAは、同じ条件下にて対応する野生型mRNAの安定性と比べて、細胞内の安定性増強を呈する。いくつかの実施形態において、このmRNAが呈する細胞内安定性の増強としては、ヌクレアーゼに対する耐性、熱安定性、及び/または二次構造の安定化の向上が挙げられる。いくつかの実施形態において、このmRNAが呈する細胞内安定性の増強は、mRNAの半減期(例えば、血漿、細胞もしくは組織試料中)を算出し、及び/または経時的に(例えば、in vitroもしくはin vivoで)mRNAによるタンパク質発現の曲線下面積(AUC)を算出することによって定量化される。同じ条件下にて、半減期及び/またはAUCが対応する野生型mRNAの半減期及び/またはAUCを超える場合、mRNAは安定性が向上しているものと同定される。
【0371】
いくつかの実施形態において、本発明のmRNAは、同じ条件下にて対応する野生型mRNAによって誘発された免疫応答と比べて検出可能に低い免疫応答(例えば、先天性もしくは後天性)を誘導する。他の実施形態において、本開示のmRNAは、シトリンポリペプチドをコードするが同じ条件下にて5-メトキシウラシルを含まないmRNAによって誘導される免疫応答と比べて、あるいはシトリンポリペプチドをコードし5-メトキシウラシルを含むが同じ条件下にてウラシル含有量が調節されていないmRNAによって誘導される免疫応答と比べて、検出可能に低い免疫応答(例えば、先天性もしくは後天性)を誘発する。いくつかの実施形態において、先天性免疫応答は、炎症促進性サイトカインの発現増強、細胞内PRR(RIG-I、MDA5など)の活性化、細胞死、及び/またはタンパク質翻訳の終結もしくは低減によって顕在化し得る。先天性免疫応答の低下は、IFN-α、IFN-β、IFN-κ、IFN-δ、IFN-ε、IFN-τ、IFN-τN-τ、IFN-ω、及びIFN-ζなどのI型インターフェロンの発現もしくは活性レベル、またはトール様受容体(例えば、TLR7及びTLR8)のようなインターフェロン調節遺伝子の発現によって、及び/または本発明のmRNAを細胞に1回以上投与した後の細胞死の低減によって測定できる。
【0372】
いくつかの実施形態において、本開示のmRNAに応答する哺乳類細胞による1型インターフェロンの発現は、対応する野生型mRNA、シトリンポリペプチドをコードするが5-メトキシウラシルを含まないmRNA、またはシトリンポリペプチドをコードし5-メトキシウラシルを含むがウラシル含有量が調節されていないmRNAに対して相対的に少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または99%超低下する。いくつかの実施形態において、インターフェロンはIFN-βである。いくつかの実施形態において、本開示のmRNAの哺乳類の細胞への投与に起因する細胞死の頻度は、対応する野生型mRNA、シトリンポリペプチドをコードするが5-メトキシウラシルを含まないmRNA、またはシトリンポリペプチドをコードし5-メトキシウラシルを含むがウラシル含有量が調節されていないmRNAで観察される細胞死の頻度よりも、10%、25%、50%、75%、85%、90%、95%、または95%超%低い。いくつかの実施形態において、哺乳類の細胞は、BJ線維芽細胞である。他の実施形態において、哺乳類の細胞は、脾細胞である。いくつかの実施形態において、哺乳類の細胞は、マウスまたはラットの細胞である。他の実施形態において、哺乳類の細胞は、ヒトの細胞である。一実施形態において、本開示のmRNAは、そのmRNAの導入先となった哺乳類の細胞の本来の免疫応答を実質的に誘発しない。
【0373】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、シトリンポリペプチドをコードするORFを含むmRNAであり、このmRNA中のウラシルは、少なくとも約95%が5-メトキシウラシルであり、ORFのウラシル含有量は、対応する野生型ORF中の理論的最小ウラシル含有量の約115%~約135%であり、且つシトリンポリペプチドをコードするORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約30%未満である。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするORFは、ORFのG/C含有量(絶対または相対)を対応する野生型ORFと比較して少なくとも約40%増加させるように、更に修飾されている。更に他の実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするORFに含まれる非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットは、20未満である。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするmRNAのORF中の少なくとも1つのコドンは更に、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い、代替コドンで置換される。いくつかの実施形態において、ORFを含むmRNAによってコードされるシトリンポリペプチドの発現は、mRNA中のウラシルの少なくとも約95%が5-メトキシウラシルであり、且つORFのウラシル含有量が対応する野生型ORF中の理論的最小ウラシル含有量の約115%~約135%である場合に、対応する野生型mRNA由来のシトリンポリペプチドの発現と比較して少なくとも約10倍増加する。いくつかの実施形態において、mRNAはオープンORFを含み、mRNA中のウラシルは少なくとも約95%が5-メトキシウラシルであり、且つORFのウラシル含有量は、対応する野生型ORF中の理論的最小ウラシル含有量の約115%~約135%であり、且つmRNAは、そのmRNAの導入先となった哺乳類の細胞の先天性免疫応答を実質的に誘導しない。
【0374】
10.ポリヌクレオチドの修飾方法
本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むmRNA)を含む修飾ポリヌクレオチドを含む。修飾ポリヌクレオチドは、化学修飾及び/または構造修飾することができる。本発明のポリヌクレオチドが化学修飾及び/または構造修飾されたポリヌクレオチドは、修飾ポリヌクレオチド」と呼ばれる場合がある。
【0375】
本開示は、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)の修飾ヌクレオシド及び修飾ヌクレオチドを提供する。「ヌクレオシド」は、糖分子(例えばペントースもしくはリボース)を含有する化合物(例えばプリンもしくはピリミジン)またはその誘導体、またはその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)と組み合わせたものを指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。例えば任意の有用な方法(化学的、酵素的に、もしくは組み換え的になど)で、修飾ヌクレオシドを合成することによって、1つ以上の修飾ヌクレオシドまたは非天然ヌクレオシドを含めることができる。ポリヌクレオチドは、結合したヌクレオシドの1つまたは複数の領域を含み得る。そのような領域は、可変の主鎖結合を有する可能性があり、その結合は、ポリヌクレオチドにヌクレオチドの領域が含まれる場合に標準のホスホジエステル結合であり得る。
【0376】
本明細書中に開示される修飾ポリヌクレオチドは、様々な別個の修飾を含み得る。いくつかの実施形態において、修飾ポリヌクレオチドは、1つ、2つもしくはそれより多くの(任意に異なる)ヌクレオシド修飾またはヌクレオチド修飾を含む。いくつかの実施形態において、修飾ポリヌクレオチドは、細胞に導入されると、非修飾ポリヌクレオチドと比較して1つ以上の望ましい特性(例えば、細胞内でのタンパク質発現の向上、免疫原性の低下、または分解の低減)を呈し得る。
【0377】
a. 構造修飾
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、構造修飾される。本明細書において「構造」修飾とは、2つ以上の連結されたヌクレオシドを、ヌクレオチド自体に対し有意な化学修飾を施さずに、ポリヌクレオチド中に挿入、欠失、複製、逆位または無作為化することをいう。化学結合は必然的に破壊され、改良によって構造修飾が為されることから、構造修飾は化学的性質のものであり、化学修飾であるとされる。しかしながら、構造修飾によって、異なるヌクレオチド配列が生ずる場合がある。例えば、ポリヌクレオチド「ATCG」は「AT-5meC-G」に化学修飾することができる一方、これと同じポリヌクレオチド「ATCG」を「ATCCCG」に構造修飾することもできる。この場合、ジヌクレオチド「CC」が挿入された結果として、ポリヌクレオチドに対して構造修飾が為される。
【0378】
b. 化学修飾
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、化学修飾される。本明細書において、ポリヌクレオチドに関して、「化学修飾」または適宜に「化学修飾された」という用語は、アデノシン(A)、グアノシン(G)、ウリジン(U)、チミジン(T)、またはシチジン(C)リボヌクレオシドもしくはデオキシリボヌクレオシドに関して、それらの位置、パターン、パーセントもしくは集団のうちの1つ以上における修飾を指す。全体的に、本明細書において、これらの用語は、天然起源の5’末端mRNAキャップ残基のリボヌクレオチド修飾を指すことを意図するものではない。
【0379】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、同じヌクレオシド型の全てまたは任意の一様な化学修飾、同じヌクレオシド型の全てまたは任意のものにおける同じ出発修飾の単純な下方滴定によって産生される修飾の集団、あるいは、ランダム組み込みを有する(例えば、全てのウリジンがウリジン類似体、例えばシュードウリジン5-メトキシウリジンで置換されている)同じヌクレオシド型の全ての任意の化学修飾の測定パーセントを有し得る。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド全体にわたって(例えば、全てのウリジン及び全てのシトシンなどが同じ方法で修飾されている)同じヌクレオシド型の2つ、3つもしくは4つの均一な化学修飾を有し得る。
【0380】
修飾ヌクレオチド塩基対形成は、標準アデノシン-チミン、アデノシン-ウラシル、またはグアノシン-シトシン塩基対を包含するだけでなく、ヌクレオチド間に形成された塩基対及び/または非標準塩基もしくは修飾塩基を含む修飾ヌクレオチドにおいて、水素結合供与体及び水素結合受容体の配置によって、非標準塩基と標準塩基の間の水素結合、または2つの相補的非標準塩基構造どうしの間の水素結合を可能にしている修飾ヌクレオチドも包含する。そのような非標準的な塩基対形成の一例は、修飾ヌクレオチドイノシンと、アデニン、シトシンまたはウラシルとの間の塩基対形成である。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせは、本開示のポリヌクレオチド中に組み込むことができる。
【0381】
別途注記のない限り、本出願に記載のポリヌクレオチド配列において代表的なDNA配列中には「T」が列挙されているが、その配列がRNAを表す場合に「T」が「U」で置換される。このことは、当業者に了解されるであろう。
【0382】
本開示の組成物、方法及び合成プロセスに有用なポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)の修飾としては、限定されるものではないが、以下のヌクレオチド、ヌクレオシド、及び核酸塩基が挙げられる:2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、1,2’-O-ジメチルアデノシン、1-メチルアデノシン、2’-O-メチルアデノシン、2’-O-リボシルアデノシン(フォスフェート)、2-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6イソペンテニルアデノシン、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、2’-O-メチルアデノシン、2’-O-リボシルアデノシン(フォスフェート)、イソペンテニルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6,2’-O-ジメチルアデノシン、N6,2’-O-ジメチルアデノシン、N6,N6,2’-O-トリメチルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、N6-アセチルアデノシン、N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、7-デアザ-アデノシン、N1-メチル-アデノシン、N6,N6(ジメチル)アデニン、N6-シス-ヒドロキシ-イソペンテニル-アデノシン、α-チオ-アデノシン、2(アミノ)アデニン、2(アミノプロピル)アデニン、2(メチルチオ)N6(イソペンテニル)アデニン、2-(アルキル)アデニン、2-(アミノアルキル)アデニン、2-(アミノプロピル)アデニン、2-(ハロ)アデニン、2-(ハロ)アデニン、2-(プロピル)アデニン、2’-アミノ-2’-デオキシ-ATP、2’-アジド-2’-デオキシ-ATP、2’-デオキシ-2’-a-アミノアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドアデノシンTP、6(アルキル)アデニン、6(メチル)アデニン、6-(アルキル)アデニン、6-(メチル)アデニン、7(デアザ)アデニン、8(アルケニル)アデニン、8(アルキニル)アデニン、8(アミノ)アデニン、8(チオアルキル)アデニン、8-(アルケニル)アデニン、8-(アルキル)アデニン、8-(アルキニル)アデニン、8-(アミノ)アデニン、8-(ハロ)アデニン、8-(ヒドロキシル)アデニン、8-(チオアルキル)アデニン、8-(チオl)アデニン、8-アジド-アデノシン、アザアデニン、デアザアデニン、N6(メチル)アデニン、N6-(イソペンチル)アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデノシン、7-メチルアデニン、1-デアザアデノシンTP、2’フルオロ-N6-Bz-デオキシアデノシンTP、2’-OMe-2-アミノ-ATP、2’O-メチル-N6-Bz-デオキシアデノシンTP、2’-a-エチニルアデノシンTP、2-アミノアデニン、2-アミノアデノシンTP、2-アミノ-ATP、2’-a-トリフルオロメチルアデノシンTP、2-アジドアデノシンTP、2’-β-エチニルアデノシンTP、2-ブロモアデノシンTP、2’-β-トリフルオロメチルアデノシンTP、2-クロロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-アミノアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-アジドアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-ブロモアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-クロロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-フルオロアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-ヨードアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-メルカプトアデノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-チオメトキシアデノシンTP、2-フルオロアデノシンTP、2-ヨードアデノシンTP、2-メルカプトアデノシンTP、2-メトキシ-アデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-トリフルオロメチルアデノシンTP、3-デアザ-3-ブロモアデノシンTP、3-デアザ-3-クロロアデノシンTP、3-デアザ-3-フルオロアデノシンTP、3-デアザ-3-ヨードアデノシンTP、3-デアザアデノシンTP、4’-アジドアデノシンTP、4’-炭素環アデノシンTP、4’-エチニルアデノシンTP、5’-ホモ-アデノシンTP、8-アザ-ATP、8-ブロモ-アデノシンTP、8-トリフルオロメチルアデノシンTP、9-デアザアデノシンTP、2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、2-チオシチジン、3-メチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルシチジン、5,2’-O-ジメチルシチジン、5-ホルミル-2’-O-メチルシチジン、リシジン、N4,2’-O-ジメチルシチジン、N4-アセチル-2’-O-メチルシチジン、N4-メチルシチジン、N4,N4-ジメチル-2’-OMe-シチジンTP、4-メチルシチジン、5-アザ-シチジン、シュード-イソ-シチジン、ピロロ-シチジン、α-チオ-シチジン、2-(チオ)シトシン、2’-アミノ-2’-デオキシ-CTP、2’-アジド-2’-デオキシ-CTP、2’-デオキシ-2’-a-アミノシチジンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドシチジンTP、3-(デアザ)5(アザ)シトシン、3-(メチル)シトシン、3-(アルキル)シトシン、3-(デアザ)5(アザ)シトシン、3-(メチル)シチジン、4,2’-O-ジメチルシチジン、5(ハロ)シトシン、5(メチル)シトシン、5(プロピニル)シトシン、5(トリフルオロメチル)シトシン、5-(アルキル)シトシン、5-(アルキニル)シトシン、5-(ハロ)シトシン、5-(プロピニル)シトシン、5-(トリフルオロメチル)シトシン、5-ブロモ-シチジン、5-ヨード-シチジン、5-プロピニルシトシン、6-(アゾ)シトシン、6-アザ-シチジン、アザシトシン、デアザシトシン、N4(アセチル)シトシン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-シュードイソシチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、2-メトキシ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-シュードイソシチジン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、ピロロ-シュードイソシチジン、ゼブラリン、(E)-5-(2-ブロモ-ビニル)シチジンTP、2,2’-アンヒドロ-シチジンTPハイドロクロライド、2’フルオル-N4-Bz-シチジンTP、2’フルオロ-N4-アセチル-シチジンTP、2’-O-メチル-N4-アセチル-シチジンTP、2’O-メチル-N4-Bz-シチジンTP、2’-a-エチニルシチジンTP、2’-a-トリフルオロメチルシチジンTP、2’-β-エチニルシチジンTP、2’-β-トリフルオロメチルシチジンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロシチジンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトシチジンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-アミノシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-アジドシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-ブロモシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-クロロシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-フルオロシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-ヨードシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-メルカプトシチジンTP、2’-デオキシ-2’-β-チオメトキシシチジンTP、2’-O-メチル-5-(1-プロピニル)シチジンTP、3’-エチニルシチジンTP、4’-アジドシチジンTP、4’-炭素環シチジンTP、4’-エチニルシチジンTP、5-(1-プロピニル)アラ-シチジンTP、5-(2-クロロ-フェニル)-2-チオシチジンTP、5-(4-アミノ-フェニル)-2-チオシチジンTP、5-アミノアリル-CTP、5-シアノシチジンTP、5-エチニルアラ-シチジンTP、5-エチニルシチジンTP、5’-ホモ-シチジンTP、5-メトキシシチジンTP、5-トリフルオロメチル-シチジンTP、N4-アミノ-シチジンTP、N4-ベンゾイル-シチジンTP、シュードイソシチジン、7-メチルグアノシン、N2,2’-O-ジメチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、ワイオシン、1,2’-O-ジメチルグアノシン、1-メチルグアノシン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-リボシルグアノシン(フォスフェート)、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-リボシルグアノシン(フォスフェート)、7-アミノメチル-7-デアザグアノシン、7-シアノ-7-デアザグアノシン、アルカエオシン、メチルワイオシン、N2,7-ジメチルグアノシン、N2,N2,2’-O-トリメチルグアノシン、N2,N2,7-トリメチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、N2,7,2’-O-トリメチルグアノシン、6-チオ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、N1-メチル-グアノシン、α-チオ-グアノシン、2(プロピル)グアニン、2-(アルキル)グアニン、2’-アミノ-2’-デオキシ-GTP、2’-アジド-2’-デオキシ-GTP、2’-デオキシ-2’-a-アミノグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドグアノシンTP、6(メチル)グアニン、6-(アルキル)グアニン、6-(メチル)グアニン、6-メチル-グアノシン、7(アルキル)グアニン、7(デアザ)グアニン、7(メチル)グアニン、7-(アルキル)グアニン、7-(デアザ)グアニン、7-(メチル)グアニン、8(アルキル)グアニン、8(アルキニル)グアニン、8(ハロ)グアニン、8(チオアルキル)グアニン、8-(アルケニル)グアニン、8-(アルキル)グアニン、8-(アルキニル)グアニン、8-(アミノ)グアニン、8-(ハロ)グアニン、8-(ヒドロキシル)グアニン、8-(チオアルキル)グアニン、8-(チオl)グアニン、アザグアニン、デアザグアニン、N(メチル)グアニン、N-(メチル)グアニン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、6-メトキシ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、1-Me-GTP、2’フルオロ-N2-イソブチル-グアノシンTP、2’O-メチル-N2-イソブチル-グアノシンTP、2’-a-エチニルグアノシンTP、2’-a-トリフルオロメチルグアノシンTP、2’-β-エチニルグアノシンTP、2’-β-トリフルオロメチルグアノシンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオログアノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-アミノグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-アジドグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-ブロモグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-クロログアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-フルオログアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-ヨードグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β
-メルカプトグアノシンTP、2’-デオキシ-2’-β-チオメトキシグアノシンTP、4’-アジドグアノシンTP、4’-炭素環グアノシンTP、4’-エチニルグアノシンTP、5’-ホモ-グアノシンTP、8-ブロモ-グアノシンTP、9-デアザグアノシンTP、N2-イソブチル-グアノシンTP、1-メチルイノシン、イノシン、1,2’-O-ジメチルイノシン、2’-O-メチルイノシン、7-メチルイノシン、2’-O-メチルイノシン、エポキシクオオシン、ガラクトシル-クオオシン、マンノシルクオオシン、クオオシン、アリルアミノ-チミジン、アザチミジン、デアザチミジン、デオキシ-チミジン、2’-O-メチルウリジン、2-チオウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチルウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-タウリノメチル-2-チオウリジン、5-タウリノメチルウリジン、ジハイドロウリジン、シュードウリジン、(3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン、1-メチル-3-(3-アミノ-5-カルボキシプロピル)シュードウリジン、1-メチルシュードウリジン、1-エチル-シュードウリジン、2’-O-メチルウリジン、2’-O-メチルシュードウリジン、2’-O-メチルウリジン、2-チオ-2’-O-メチルウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン、3,2’-O-ジメチルウリジン、3-メチル-シュード-ウリジンTP、4-チオウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル、5,2’-O-ジメチルウリジン、5,6-ジハイドロ-ウリジン、5-アミノメチル-2-チオウリジン、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチルウリジン、5-カルバモイルメチルウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチルウリジンメチルエステル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチルウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、5-カルバモイルメチルウリジンTP、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチルウリジン、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン、5-メトキシカルボニルメチルウリジン、5-メチルウリジン)、5-メトキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン、5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルジハイドロウリジン、5-オキシ酢酸-ウリジンTP、5-オキシ酢酸-メチルエステル-ウリジンTP、N1-メチル-シュード-ウラシル、N1-エチル-シュード-ウラシル、ウリジン5-オキシ酢酸、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)-ウリジンTP、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)-2-チオウリジンTP、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチルウリジンTP、5-(イソ-ペンテニルアミノメチル)ウリジンTP、5-プロピニルウラシル、α-チオ-ウリジン、1(アミノアルキルアミノ-カルボニルエチレニル)-2(チオ)-シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)-2,4-(ジチオ)シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)-4(チオ)シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)-シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)-2(チオ)-シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)-2,4-(ジチオ)シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)-4(チオ)シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)-シュードウラシル、1置換2(チオ)-シュードウラシル、1置換2,4-(ジチオ)シュードウラシル、1置換4(チオ)シュードウラシル、1置換シュードウラシル、1-(アミノアルキルアミノ-カルボニルエチレニル)-2-(チオ)-シュードウラシル、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジンTP、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュード-UTP、1-メチル-シュード-UTP、1-エチル-シュード-UTP、2(チオ)シュードウラシル、2’デオキシウリジン、2’フルオロウリジン、2-(チオ)ウラシル、2,4-(ジチオ)シュードウラシル、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-グアノシン、2’-アミノ-2’-デオキシ-UTP、2’-アジド-2’-デオキシ-UTP、2’-アジド-デオキシウリジンTP、2’-O-メチルシュードウリジン、2’デオキシウリジン、2’フルオロウリジン、2’-デオキシ-2’-a-アミノウリジンTP、2’-デオキシ-2’-a-アジドウリジンTP、2-メチルシュードウリジン、3-(3-アミノ-3 カルボキシプロピル)ウラシル、4(チオ)シュードウラシル、4-(チオ)シュードウラシル、4-(チオ)ウラシル、4-チオウラシル、5(1,3-ジアゾール-1-アルキル)ウラシル、5(2-アミノプロピル)ウラシル、5(アミノアルキル)ウラシル、5(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5(メトキシカルボニルメチル)-2-(チオ)ウラシル、5(メトキシカルボニル-メチル)ウラシル、5(メチル)-2-(チオ)ウラシル、5(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチル)4(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)-2(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)-2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)-4(チオ)ウラシル、5(プロピニル)ウラシル、5(トリフルオロメチル)ウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-(アルキル)-2-(チオ)シュードウラシル、5-(アルキル)-2,4(ジチオ)シュードウラシル、5-(アルキル)-4(チオ)シュードウラシル、5-(アルキル)シュードウラシル、5-(アルキル)ウラシル、5-(アルキニル)ウラシル、5-(アリルアミノ)ウラシル、5-(シアノアルキル)ウラシル、5-(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5-(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5-(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5-(ハロ)ウラシル、5-(l,3-ジアゾール-l-アルキル)ウラシル、5-(メトキシ)ウラシル、5-(メトキシカルボニルメチル)-2-(チオ)ウラシル、5-(メトキシカルボニル-メチル)ウラシル、5-(メチル)-2-(チオ)ウラシル、5-(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5-(メチル)4(チオ)ウラシル、5-(メチル)-2-(チオ)シュードウラシル、5-(メチル)-2,4(ジチオ)シュードウラシル、5-(メチル)-4(チオ)シュードウラシル、5-(メチル)シュードウラシル、5-(メチルアミノメチル)-2(チオ)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)-2,4(ジチオ)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)-4-(チオ)ウラシル、5-(プロピニル)ウラシル、5-(トリフルオロメチル)ウラシル、5-アミノアリル-ウリジン、5-ブロモ-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、5-ウラシル、6(アゾ)ウラシル、6-(アゾ)ウラシル、6-アザ-ウリジン、アリルアミノ-ウラシル、アザウラシル、デアザウラシル、N3-(メチル)ウラシル、シュード-UTP-1-2-ブタン酸、シュードウラシル、4-チオ-シュード-UTP、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、1-プロピニル-ウリジン、1-タウリノメチル-1-メチル-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-シュードウリジン、2-メトキシ-4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジハイドロシュードウリジン、2-チオ-ジハイドロウリジン、2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-シュードウリジン、5-アザ-ウリジン、ジハイドロシュードウリジン、(±)1-(2-ヒドロキシプロピル)シュードウリジンTP、(2R)-1-(2-ヒドロキシプロピル)シュードウリジンTP、(2S)-1-(2-ヒドロキシプロピル)シュードウリジンTP、(E)-5-(2-ブロモ-ビニル)アラ-ウリジンTP、(E)-5-(2-ブロモ-ビニル)ウリジンTP、(Z)-5-(2-ブロモ-ビニル)アラ-ウリジンTP、(Z)-5-(2-ブロモ-ビニル)ウリジンTP、1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-シュード-UTP、1-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)シュードウリジンTP、1-(2,2-ジエトキシエチル)シュードウリジンTP、1-(2,4,6-トリメチルベンジル)シュードウリジンTP、1-(2,4,6-トリメチル-ベンジル)シュード-UTP、1-(2,4,6-トリメチル-フェニル)シュード-UTP、1-(2-アミノ-2-カルボキシエチル)シュード-UTP、1-(2-アミノ-エチル)シュード-UTP、1-(2-ヒドロキシエチル)シュードウリジンTP、1-(2-メトキシエチル)シュードウリジンTP、1-(3,4-ビス-トリフルオロメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1-(3,4-ジメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュード-UTP、1-(3-アミノ-プロピル)シュード-UTP、1-(3-シクロプロピル-プロプ-2-イニル)シュードウリジンTP、1-(4-アミノ-4-カルボキシブチル)シュード-UTP、1-(4-アミノ-ベンジル)シュード-UTP、1-(4-アミノ-ブチル)シュード-UTP、1-(4-アミノ-フェニル)シュード-UTP、1-(4-アジドベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-ブロモベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-クロロベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-フルオロベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-ヨードベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-メタンスルホニルベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-メトキシベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-メトキシ-ベンジル)シュード-UTP、1-(4-メトキシ-フェニル)シュード-UTP、1-(4-メチルベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-メチル-ベンジル)シュード-UTP、1-(4-ニトロベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-ニトロ-ベンジル)シュード-UTP、1(4-ニトロ-フェニル)シュード-UTP、1-(4-チオメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-トリフルオロメトキシベンジル)シュードウリジンTP、1-(4-トリフルオロメチルベンジル)シュードウリジンTP、1-(5-アミノ-ペンチル)シュード-UTP、1-(6-アミノ-ヘキシル)シュード-UTP、1,6-ジメチル-シュード-UTP、1-[3-(2-{2-[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-プロピオニル]シュードウリジンTP、1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-プロピオニル}シュードウリジンTP、1-アセチルシュードウリジンTP、1-アルキル-6-(1-プロピニル)-シュード-UTP、1-アルキル-6-(2-プロピニル)-シュード-UTP、1-アルキル-6-アリル-シュード-UTP、1-アルキル-6-エチニル-シュード-UTP、1-アルキル-6-ホモアリル-シュード-UTP、1-アルキル-6-ビニル-シュード-UTP、1-アリルシュードウリジンTP、1-アミノメチル-シュード-UTP、1-ベンゾイルシュードウリジンTP、1-ベンジルオキシメチルシュードウリジン
TP、1-ベンジル-シュード-UTP、1-ビオチニル-PEG2-シュードウリジンTP、1-ビオチニルシュードウリジンTP、1-ブチル-シュード-UTP、1-シアノメチルシュードウリジンTP、1-シクロブチルメチル-シュード-UTP、1-シクロブチル-シュード-UTP、1-シクロヘプチルメチル-シュード-UTP、1-シクロヘプチル-シュード-UTP、1-シクロヘキシルメチル-シュード-UTP、1-シクロヘキシル-シュード-UTP、1-シクロオクチルメチル-シュード-UTP、1-シクロオクチル-シュード-UTP、1-シクロペンチルメチル-シュード-UTP、1-シクロペンチル-シュード-UTP、1-シクロプロピルメチル-シュード-UTP、1-シクロプロピル-シュード-UTP、1-エチル-シュード-UTP、1-ヘキシル-シュード-UTP、1-ホモアリルシュードウリジンTP、1-ヒドロキシメチルシュードウリジンTP、1-イソ-プロピル-シュード-UTP、1-Me-2-チオ-シュード-UTP、1-Me-4-チオ-シュード-UTP、1-Me-αチオ-シュード-UTP、1-メタンスルホニルメチルシュードウリジンTP、1-メトキシメチルシュードウリジンTP、1-メチル-6-(2,2,2-トリフルオロエチル)シュード-UTP、1-メチル-6-(4-モルホリノ)-シュード-UTP、1-メチル-6-(4-チオモルホリノ)-シュード-UTP、1-メチル-6-(置換フェニル)シュード-UTP、1-メチル-6-アミノ-シュード-UTP、1-メチル-6-アジド-シュード-UTP、1-メチル-6-ブロモ-シュード-UTP、1-メチル-6-ブチル-シュード-UTP、1-メチル-6-クロロ-シュード-UTP、1-メチル-6-シアノ-シュード-UTP、1-メチル-6-ジメチルアミノ-シュード-UTP、1-メチル-6-エトキシ-シュード-UTP、1-メチル-6-エチルカルボキシレート-シュード-UTP、1-メチル-6-エチル-シュード-UTP、1-メチル-6-フルオロ-シュード-UTP、1-メチル-6-ホルミル-シュード-UTP、1-メチル-6-ヒドロキシアミノ-シュード-UTP、1-メチル-6-ヒドロキシ-シュード-UTP、1-メチル-6-ヨード-シュード-UTP、1-メチル-6-イソ-プロピル-シュード-UTP、1-メチル-6-メトキシ-シュード-UTP、1-メチル-6-メチルアミノ-シュード-UTP、1-メチル-6-フェニル-シュード-UTP、1-メチル-6-プロピル-シュード-UTP、1-メチル-6-tert-ブチル-シュード-UTP、1-メチル-6-トリフルオロメトキシ-シュード-UTP、1-メチル-6-トリフルオロメチル-シュード-UTP、1-モルホリノメチルシュードウリジンTP、1-ペンチル-シュード-UTP、1-フェニル-シュード-UTP、1-ピバロイルシュードウリジンTP、1-プロパルギルシュードウリジンTP、1-プロピル-シュード-UTP、1-プロピニル-シュードウリジン、1-p-トリル-シュード-UTP、1-tert-ブチル-シュード-UTP、1-チオメトキシメチルシュードウリジンTP、1-チオモルホリノメチルシュードウリジンTP、1-トリフルオロアセチルシュードウリジンTP、1-トリフルオロメチル-シュード-UTP、1-ビニルシュードウリジンTP、2,2’-アンヒドロ-ウリジンTP、2’-ブロモ-デオキシウリジンTP、2’-F-5-メチル-2’-デオキシ-UTP、2’-OMe-5-Me-UTP、2’-OMe-シュード-UTP、2’-a-エチニルウリジンTP、2’-a-トリフルオロメチルウリジンTP、2’-β-エチニルウリジンTP、2’-β-トリフルオロメチルウリジンTP、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロウリジンTP、2’-デオキシ-2’-a-メルカプトウリジンTP、2’-デオキシ-2’-a-チオメトキシウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-アミノウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-アジドウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-ブロモウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-クロロウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-フルオロウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-ヨードウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-メルカプトウリジンTP、2’-デオキシ-2’-β-チオメトキシウリジンTP、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、2-メトキシウリジン、2’-O-メチル-5-(1-プロピニル)ウリジンTP、3-アルキル-シュード-UTP、4’-アジドウリジンTP、4’-炭素環ウリジンTP、4’-エチニルウリジンTP、5-(1-プロピニル)アラ-ウリジンTP、5-(2-フラニル)ウリジンTP、5-シアノウリジンTP、5-ジメチルアミノウリジンTP、5’-ホモ-ウリジンTP、5-ヨード-2’-フルオロ-デオキシウリジンTP、5-フェニルエチニルウリジンTP、5-トリジュウテロメチル-6-ジュウテロウリジンTP、5-トリフルオロメチル-ウリジンTP、5-ビニルアラウリジンTP、6-(2,2,2-トリフルオロエチル)-シュード-UTP、6-(4-モルホリノ)-シュード-UTP、6-(4-チオモルホリノ)-シュード-UTP、6-(置換-フェニル)-シュード-UTP、6-アミノ-シュード-UTP、6-アジド-シュード-UTP、6-ブロモ-シュード-UTP、6-ブチル-シュード-UTP、6-クロロ-シュード-UTP、6-シアノ-シュード-UTP、6-ジメチルアミノ-シュード-UTP、6-エトキシ-シュード-UTP、6-エチルカルボキシレート-シュード-UTP、6-エチル-シュード-UTP、6-フルオロ-シュード-UTP、6-ホルミル-シュード-UTP、6-ヒドロキシアミノ-シュード-UTP、6-ヒドロキシ-シュード-UTP、6-ヨード-シュード-UTP、6-イソ-プロピル-シュード-UTP、6-メトキシ-シュード-UTP、6-メチルアミノ-シュード-UTP、6-メチル-シュード-UTP、6-フェニル-シュード-UTP、6-フェニル-シュード-UTP、6-プロピル-シュード-UTP、6-tert-ブチル-シュード-UTP、6-トリフルオロメトキシ-シュード-UTP、6-トリフルオロメチル-シュード-UTP、αチオ-シュード-UTP、シュードウリジン1-(4-メチルベンゼンスルホン酸)TP、シュードウリジン1-(4-メチル安息香酸)TP、シュードウリジンTP1-[3-(2-エトキシ)]プロピオン酸、シュードウリジンTP1-[3-{2-(2-[2-(2-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1-[3-{2-(2-[2-{2(2-エトキシ)-エトキシ}-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1-[3-{2-(2-[2-エトキシ]-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1-[3-{2-(2-エトキシ)-エトキシ}]プロピオン酸、シュードウリジンTP1-メチルホスホン酸、シュードウリジンTP1-メチルホスホン酸ジエチルエステル、シュード-UTP-N1-3-プロピオン酸、シュード-UTP-N1-4-ブタン酸、シュード-UTP-N1-5-ペンタン酸、シュード-UTP-N1-6-ヘキサン酸、シュード-UTP-N1-7-ヘプタン酸、シュード-UTP-N1-メチル-p-安息香酸、シュード-UTP-N1-p-安息香酸、ワイブトシン、ヒドロキシワイブトシン、イソワイオシン、ペルオキシウリブトシン、修飾過程のヒドロキシワイブトシン、4-デメチルワイオシン、2,6-(ジアミノ)プリン、1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル:1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェンチアジン-l-イル、1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、1,3,5-(トリアザ)-2,6-(ジオキサ)-ナフタレン、2(アミノ)プリン、2,4,5-(トリメチル)フェニル、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-シチジン、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-アデニン、2’メチル、2’アミノ、2’アジド、2’フルロ-ウリジン、2’-アミノ-2’-デオキシリボース、2-アミノ-6-クロロ-プリン、2-アザ-イノシニル、2’-アジド-2’-デオキシリボース、2’フルオロ-2’-デオキシリボース、2’-フルオロ修飾塩基、2’-O-メチル-リボース、2-オキソ-7-アミノピリドピリミジン-3-イル、2-オキソ-ピリドピリミジン-3-イル、2-ピリミジノン、3-ニトロピロール、3-(メチル)-7-(プロピニル)イソカルボスチリル、3-(メチル)イソカルボスチリル、4-(フルオロ)-6-(メチル)ベンズイミダゾル、4-(メチル)ベンズイミダゾル、4-(メチル)インドリル、4,6-(ジメチル)インドリル、5-ニトロインドール、5置換ピリミジン、5-(メチル)イソカルボスチリル、5-ニトロインドール、6-(アザ)ピリミジン、6-(アゾ)チミン、6-(メチル)-7-(アザ)インドリル、6-クロロ-プリン、6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェンチアジン-l-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-l,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェンチアジン-l-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-l,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-l-イル、7-(アザ)インドリル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジンl-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェンチアジン-l-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキル-ヒドロキシ)-l,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェンチアジン-l-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-l,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-l-イル、7-(プロピニル)イソカルボスチリル、7-(プロピニル)イソカルボスチリル、プロピニル-7-(アザ)インドリル、7-デアザ-イノシニル、7-置換1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-置換1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、9-(メチル)-イミダゾピリジニル、アミノインドリル、アントラセニル、ビス-オルソ-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ビス-オルソ-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ジフルオロトリル、ハイポキサンチン、イミダゾピリジニル、イノシニル、イソカルボスチリル、イソグアニシン、N2-置換プリン、N6-メチル-2-アミノ-プリン、N6-置換プリン、N-アルキル化誘導体、ナフタレニル、ニトロベンズイミダゾリル、ニトロイミダゾリル、ニトロインダゾリル、ニトロピラゾリル、ヌブラリン、O6-置換プリン、O-アルキル化誘導体、オルソ-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、オルソ-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、オキソホルマイシンTP、パラ-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、パラ-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ペンタセニル、フェナント
ラセニル、フェニル、プロピニル-7-(アザ)インドリル、ピレニル、ピリドピリミジン-3-イル、ピリドピリミジン-3-イル、2-オキソ-7-アミノ-ピリドピリミジン-3-イル、ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ピロロピリミジニル、ピロロピリジニル、スチルベンジル、置換1,2,4-トリアゾール、テトラセニル、ツベルシジン、キサンチン、キサントシン-5’-TP、2-チオ-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、7-デアザ-2-アミノ-プリン、ピリミジン-4-オンリボヌクレオシド、2-アミノ-リボシド-TP、ホルマイシンATP、ホルマイシンBTP、ピロロシンTP、2’-OH-アラ-アデノシンTP、2’-OH-アラ-シチジンTP、2’-OH-アラ-ウリジンTP、2’-OH-アラ-グアノシンTP、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジンTP、ならびにN6-(19-アミノ-ペンタオキサノナデシル)アデノシンTP。
【0383】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基のうち少なくとも2つ(例えば、2、3、4またはそれより多く)の組み合わせを含む。
【0384】
いくつかの実施形態において、mRNAは、少なくとも1つの化学修飾されたヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学修飾されたヌクレオシドは、シュードウリジン(ψ)、2-チオウリジン(s2U)、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジハイドロシュードウリジン、2-チオ-ジハイドロウリジン、2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-シュードウリジン、5-アザ-ウリジン、ジハイドロシュードウリジン、5-メチルウリジン、5-メトキシウリジン、2’-O-メチルウリジン、1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)、1-エチル-シュードウリジン(e1ψ)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-メチル-シチジン(m5C)、αチオ-グアノシン、αチオ-アデノシン、5-シアノウリジン、4’-チオウリジン7-デアザ-アデニン、1-メチル-アデノシン(m1A)、2-メチル-アデニン(m2A)、N6-メチル-アデノシン(m6A)、及び2,6-ジアミノプリン、(I)、1-メチル-イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7-デアザ-グアノシン、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(プレQ0)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(プレQ1)、7-メチル-グアノシン(m7G)、1-メチル-グアノシン(m1G)、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、2,8-ジメチルアデノシン、2-ゲラニルチオウリジン、2-リシジン、2-セレノウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)-5,6-ジハイドロウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン、3-メチルシュードウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-2’-O-メチルウリジンメチルエステル、5-アミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、5-アミノメチル-2-セレノウリジン、5-アミノメチルウリジン、5-カルバモイルヒドロキシメチルウリジン、5-カルバモイルメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-セレノウリジン、5-シアノメチルウリジン、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルアミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、7-アミノカルボキシプロピル-デメチルワイオシン、7-アミノカルボキシプロピルワイオシン、7-アミノカルボキシプロピルワイオシンメチルエステル、8-メチルアデノシン、N4,N4-ジメチルシチジン、N6-ホルミルアデノシン、N6-ヒドロキシメチルアデノシン、アグマチジン、環状N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、グルタミル-クオオシン、メチル化修飾過程のヒドロキシワイブトシン、N4,N4,2’-O-トリメチルシチジン、ゲラニル化5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン、ゲラニル化5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、Q塩基、プレQ0塩基、プレQ1塩基、及び2つ以上のそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学修飾されたヌクレオシドは、シュードウリジン、1-メチルシュードウリジン、1-エチル-シュードウリジン、5-メチルシトシン、5-メトキシウリジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、前述の修飾核酸塩基のうち少なくとも2つ(例えば、2、3、4またはそれより多く)の組み合わせを含む。
【0385】
(i) 塩基修飾
【0386】
ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)内の核酸塩基において化学修飾が為される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)中の修飾核酸塩基は、1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)、1-エチル-シュードウリジン(e1ψ)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-メチル-シチジン(m5C)、シュードウリジン(ψ)、αチオ-グアノシン及びαチオ-アデノシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、前述の修飾核酸塩基のうち少なくとも2つ(例えば、2、3、4またはそれより多く)の組み合わせを含む。
【0387】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、シュードウリジン(ψ)と5-メチル-シチジン(m5C)とを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、1-エチル-シュードウリジン(e1ψ)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)と5-メチル-シチジン(m5C)とを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、1-エチル-シュードウリジン(e1ψ)と5-メチル-シチジン(m5C)とを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、2-チオウリジン(s2U)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、2-チオウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、メトキシ-ウリジン(mo5U)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、2’-O-メチルウリジンを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、2’-O-メチルウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、N6-メチル-アデノシン(m6A)を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、N6-メチル-アデノシン(m6A)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。
【0388】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、一様な修飾(例えば、完全な修飾、配列全体にわたる修飾)によって特定の修飾が為される。例えば、ポリヌクレオチドを5-メチル-シチジン(m5C)で一様に修飾することができる。これは、mRNA配列中の全てのシトシン残基が5-メチル-シチジン(m5C)で置換されることを意味する。同様に、ポリヌクレオチドを修飾残基(上記のいずれかのなど)で置換することによって、配列中に存在する任意の型のヌクレオシド残基に対して一様な修飾を行うことができる。
【0389】
いくつかの実施形態において、オープンリーディングフレーム中の化学修飾されたヌクレオシドは、ウリジン、アデニン、シトシン、グアニン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0390】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾シトシンである。修飾シトシンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、N4-アセチル-シチジン(ac4C)、5-メチル-シチジン(m5C)、5-ハロ-シチジン(例えば、5-ヨード-シチジン)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(hm5C)、1-メチル-シュードイソシチジン、2-チオ-シチジン(s2C)、2-チオ-5-メチル-シチジンが挙げられる。
【0391】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾ウリジンである。修飾ウリジンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、5-シアノウリジンまたは4’-チオウリジンが挙げられる。
【0392】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、7-デアザ-アデニン、1-メチル-アデノシン(m1A)、2-メチル-アデニン(m2A)、N6-メチル-アデニン(m6A)、及び2,6-ジアミノプリンが挙げられる。
【0393】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例としては、イノシン(I)、1-メチル-イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7-デアザ-グアノシン、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(プレQ0)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(プレQ1)、7-メチル-グアノシン(m7G)、1-メチル-グアノシン(m1G)、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシンが挙げられる。
【0394】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド中の核酸塩基修飾ヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、5-メトキシウリジンである。
【0395】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、少なくとも2つ(例えば、2、3、4またはそれより多く)の修飾核酸塩基の組み合わせを含む。
【0396】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンをコードするmRNA)中の核酸塩基の種類(例えば、ウラシル)の少なくとも95%は、修飾核酸塩基である。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンをコードするmRNA)中のウラシルの少なくとも95%は、5-メトキシウラシルである。
【0397】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、5-メトキシウリジン(5mo5U)及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。
【0398】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチドなどのRNAポリヌクレオチド)は、一様な修飾(例えば、完全な修飾、配列全体にわたる修飾)によって特定の修飾が為される。例えば、ポリヌクレオチドは、5-メトキシウリジンで一様に修飾することができ、mRNA配列中の実質的に全てのウリジン残基が5-メトキシウリジンで置換されることを意味する。同様に、ポリヌクレオチドを修飾残基(上記のいずれかのなど)で置換することによって、配列中に存在する任意の型のヌクレオシド残基に対して一様な修飾を行うことができる。
【0399】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾シトシンである。
【0400】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾ウラシルである。修飾ウラシルを有する核酸塩基及びヌクレオシドの例は、5-メトキシウラシルを含む。
【0401】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。
【0402】
いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。
【0403】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム中の核酸塩基、糖、主鎖、またはそれらの任意の組み合わせは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%もしくは100%化学修飾される。
【0404】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチド(例えばシトリンポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアント)をコードするオープンリーディングフレーム中のウリジンヌクレオシドは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%化学修飾される。
【0405】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム中のアデノシンヌクレオシドは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%化学修飾される。
【0406】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム中のシチジンヌクレオシドは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%化学修飾される。
【0407】
いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム中のグアノシンヌクレオシドは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%化学修飾される。
【0408】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、ヌクレオシド間の任意の有用なリンカーを含み得る。そのようなリンカーで、本開示の組成物において有用な主鎖修飾を含むものとしては、限定されないが、下記のリンカーが挙げられる:3’-アルキレンホスホネート、3’-アミノホスホラミデート、アルケン含有主鎖、アミノアルキルホスホルアミデート、アミノアルキルホスホトリエステル、ボラノフォスフェート、-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N-(CH)-N(CH)-CH-、-CH-NH-CH-、キラルホスホネート、キラルホスホロチオエート、ギ酸アセチル及びチオギ酸アセチル主鎖、メチレン(メチルイミノ)、メチレンギ酸アセチル及びチオギ酸アセチル主鎖、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ主鎖、モルホリノ結合、-N(CH)-CH-CH-、オリゴヌクレオシド-ヘテロ原子ヌクレオシド間結合、ホスフィネート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオエート、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、ホスホロチオエート、ホスホトリエステル、PNA、シロキサン主鎖、スルファメート主鎖、スルフィドスルホキシド及びスルホン主鎖、スルホネート及びスルホンアミド主鎖、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及びチオノホスホラミデート。
【0409】
(ii) 糖修飾
修飾ヌクレオシド及びヌクレオチド(例えば、構成要素分子)で、ポリヌクレオチドへの組み込みが可能なもの(例えば、本明細書に記載されているRNAまたはmRNA)は、リボ核酸の糖上で修飾できる。例えば、2’ヒドロキシル基(OH)は、いくつかの異なる置換基で修飾または置換できる。2’位における例示的な置換としては、限定されるものではないが、H、ハロ、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-6アルコキシ、任意に置換されたC6-10アリールオキシ、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルコキシ、任意に置換されたC6-10アリールオキシ、任意に置換されたC6-10アリール-C1-6アルコキシ、任意に置換されたC1-12(ヘテロシクリル)オキシ、糖(例えば、リボース、ペントース、または本明細書に記載の任意の糖)、ポリエチレングリコール(PEG)、-O-(CHCHO)CHCHORが挙げられ、式中、Rは、Hまたは任意に置換されたアルキル、及びnは、整数0~20(例えば、0~4、0~8、0~10、0~16、1~4、1~8、1~10、1~16、1~20、2~4、2~8、2~10、2~16、2~20、4~8、4~10、4~16及び4~20)、2’-ヒドロキシルがC1-6アルキレンまたはC1-6ヘテロアルキレン架橋を介して同じリボース糖の4’-炭素に結合されている「ロック」核酸(LNA)、例示的な架橋としては、メチレン、プロピレン、エーテル、またはアミノ架橋、本明細書中に定義されているアミノアルキル、本明細書中に定義されているアミノアルコキシ、本明細書中に定義されているアミノ、及び本明細書中に定義されているアミノ酸が挙げられる。
【0410】
全体的に、RNAは酸素を有する5員環である糖基リボースを含む。例示的な修飾ヌクレオチドは、限定されないが、リボース中の酸素の置換(例えばS、Se、またはメチレンもしくはエチレンなどのアルキレンで置換する)、二重結合の付加(例えば、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニルでリボースを置換する)、リボースの環収縮(例えば、シクロブタンまたはオキセタンの4員環を形成する)、リボース環の拡大(例えば、アンヒドロヘキシトール、アルトリトール、マンニトール、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル及びモルホリノなどの、ホスホラミデート主鎖をも有するような追加の炭素もしくはヘテロ原子を有する6員環または7員環を形成する)、トリシクロのような多環式形態、ならびに「アンロック」形態:例えば、グリコール核酸(GNA)(リボースがホスホジエステル結合に結合したグリコール単位で置換されているR-GNAまたはS-GNA等)、トレオース核酸(リボースがα-L-トレオフラノシル-(3’→2’)で置換されているTNA)ならびにペプチド核酸(2-アミノ-エチル-グリシン結合によってリボース及びリン酸ジエステル主鎖が置換されるPNA)を含み得る。糖基はまた、リボース中の対応する炭素に対向する立体化学配置を有する、1つ以上の炭素を含み得る。ゆえに、ポリヌクレオチド分子は、例えばアラビノース含有ヌクレオチドを、糖として含む場合がある。そのような糖修飾は、国際特許公報第WO2013052523号、及びWO2014093924号において教示されており、それらの各文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。
【0411】
(iii) 修飾の組み合わせ
本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、または機能的断片もしくはそれらのバリアント)としては、糖、核酸塩基及び/またはヌクレオシド間結合への修飾の組み合わせを挙げることができる。それらの組み合わせとしては、本明細書中に記載されているいずれか1つ以上の修飾を挙げることができる。
【0412】
修飾されたヌクレオチドの組み合わせを用いて、本発明のポリヌクレオチドを形成できる。別途注記のない限り、本発明のポリヌクレオチドの天然ヌクレオチドは、完全に置換することができる。一例として、限定されるものではないが、天然ヌクレオチドウリジンは、本明細書に記載の修飾ヌクレオシドで置換できる。別の非限定的な例において、天然ヌクレオチドウリジンは、本明細書中に開示される修飾ヌクレオシドの少なくとも1つで部分置換(例えば、約0%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%)、または置換できる。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせを本発明のポリヌクレオチドに組み込むことができ、そのような修飾は、国際特許公報(第WO2013052523号、及び第WO2014093924号)、ならびに米国特許出願公開(第US20130115272号、及び第US20150307542号)中に教示されている。これらの各文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。
【0413】
11.非翻訳領域(UTR)
非翻訳領域(UTR)は、翻訳されていない開始コドン(5’UTR)の前、及び終止コドン(3’UTR)後の、ポリヌクレオチドの核酸部分である。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、例えばシトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むメッセンジャーRNA(mRNA)などの、リボ核酸(RNA)は更に、UTR(例えば、5’UTRもしくはそれらの機能的断片、3’UTRもしくはそれらの機能的断片、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0414】
UTRは、ポリヌクレオチド中のコーディング領域に対して相同または異種であり得る。いくつかの実施形態において、UTRは、シトリンポリペプチドをコードするORFに対して相同である。いくつかの実施形態において、UTRは、シトリンポリペプチドをコードするORFに対して異種である。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、2つ以上の5’UTRもしくはそれらの機能的断片を含み、これらの各々は同じまたは異なるヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、2つ以上の3’UTRもしくはそれらの機能的断片を含み、これらの各々は同じまたは異なるヌクレオチド配列を有する。
【0415】
いくつかの実施形態において、5’UTRもしくはそれらの機能的断片、3’UTRもしくはそれらの機能的断片、またはそれらの任意の組み合わせは、配列最適化されている。
【0416】
いくつかの実施形態において、5’UTRもしくはそれらの機能的断片、3’UTRもしくはそれらの機能的断片、またはそれらの任意の組み合わせは、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基、例えば1-メチルシュードウリジンまたは5-メトキシウラシルを含む。
【0417】
UTRは、安定化、局在化及び/または翻訳効率の増強または低減などの、調節的役割を提供する特徴を有し得る。UTRを含むポリヌクレオチドを、細胞、組織、または生物に投与できる。常法を用いて1つ以上の調節機能を測定できる。いくつかの実施形態において、5’UTRまたは3’UTRの機能的断片は、それぞれ全長5’UTRまたは3’UTRの1つ以上の調節機能を含む。
【0418】
天然5’UTRは、翻訳開始における役割を果たす機能を具備しており、リボソームが多くの遺伝子の翻訳を開始する過程に関与することが遍く知られている、コザック配列などのシグネチャを保持している。コザック配列が、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGGを有する。ここで、Rは、開始コドンの3塩基上流にあるプリン(アデニンまたはグアニン)(AUG)であり、その後に別の「G」が続く。5’UTRはまた、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することが知られてきた。
【0419】
特定の標的器官内に豊富に発現する遺伝子において典型的に見出される特徴を、操作することにより、ポリヌクレオチドの安定性及びタンパク質の産生を増強できる。例えば、肝臓内に発現するmRNAの5’UTR(アルブミン、血清アミロイドA、アポリポタンパク質A/B/E、トランスフェリン、αフェトタンパク質、エリスロポエチンまたは第VIII因子等)を導入することによって、肝細胞株または肝臓におけるポリヌクレオチドの発現を増強することができる。同様に、筋肉(例えば、MyoD、ミオシン、ミオグロビン、ミオゲニン、ヘルクリン)、内皮細胞(例えば、Tie-1、CD36)、骨髄細胞(例えばC/EBP、AML1、G-CSF、GM-CSF、CD11b、MSR、Fr-1、i-NOS)、白血球(例えばCD45、CD18)、脂肪組織(例えばCD36、GLUT4、ACRP30、アディポネクチン)、及び肺上皮細胞(例えば、SP-A/B/C/D)では、他の組織特異的mRNAからの5’UTRを用いて、その組織での発現を増進することができる。
【0420】
いくつかの実施形態において、UTRは、タンパク質が共通の機能、構造、特徴または特性を共有する、転写物のファミリーから選択される。例えば、コードされたポリペプチドは、特定の細胞内、組織内または発達中のある時期に発現するタンパク質ファミリー(すなわち少なくとも1つの機能、構造、特徴、局在、起点または発現パターンを共有する)ファミリーに属し得る。遺伝子またはmRNAのいずれかに由来するUTRを、同じまたは異なるファミリーのタンパク質の他の任意のUTRと交換することによって、新規のポリヌクレオチドを作成することができる。
【0421】
いくつかの実施形態において、5’UTR及び3’UTRは異種であり得る。いくつかの実施形態において、5’UTRは、3’UTRとは異なる種に由来するものであり得る。いくつかの実施形態において、3’UTRは、5’UTRとは異なる種に由来するものであり得る。
【0422】
その全体が本明細書中に参照により組み込まれる共同所有の国際特許出願第PCT/US2014/021522号(公開第WO/2014/164253号には、ORFに対する隣接領域として本発明のポリヌクレオチド中に利用可能な例示的なUTRのリストが提供される。
【0423】
本出願の例示的なUTRとしては、限定されるものではないが、以下の核酸配列に由来する、1つ以上の5’UTR及び/または3’UTRが挙げられる:グロビン、例えばαまたはβグロビン(例えば、ゼノパス、マウス、ウサギ、またはヒトグロビン)、強力なコザック翻訳開始シグナル、CYBA(例えば、ヒトシトクロムb-245αポリペプチド)、アルブミン(例えば、ヒトアルブミン7)、HSD17B4(ヒドロキシステロイド(17-β)脱水素酵素)、ウイルス(例えば、タバコエッチ病ウイルス(TEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、デング熱ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)(例えばCMV即初期1(IE1))、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、シンドビスウイルス、またはPAVオオムギ黄萎ウイルス)、熱ショックタンパク質(例えば、hsp70)、翻訳開始因子(例えば、elF4G)、グルコース輸送体(例えば、hGLUT1(ヒトグルコース輸送体1))、アクチン(例えば、ヒトαまたはβアクチン)、GAPDH、チューブリン、ヒストン、クエン酸サイクル酵素、トポイソメラーゼ(例えば、5’TOPモチーフを欠くTOP遺伝子(オリゴピリミジン領域)の5’UTR))、リボソーマルタンパク質Large32(L32)、リボソーマルタンパク質(例えば、rps9などのヒトまたはマウスリボソーマルタンパク質)、ATP合成酵素(例えば、ATP5A1またはミトコンドリアH-ATP合成酵素のβサブユニット)、成長ホルモン(例えば、ウシ(bGH)またはヒト(hGH))、伸長因子(例えば、伸長因子1 α1(EEF1A1))、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)、筋細胞エンハンサー因子2A(MEF2A)、β-F1-ATPアーゼ、クレアチンキナーゼ、ミオグロビン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、コラーゲン(例えば、コラーゲンI型、α2(Col1A2)、コラーゲンI型、α1(Col1A1)、コラーゲンVI型、α2(Col6A2)、コラーゲンVI型、α1(Col6A1))、リボフォリン(例えば、リボフォリンI(RPNI))、低密度リポタンパク質受容体関連のタンパク質(例えば、LRP1)、カルジオトロフィン様サイトカイン因子(例えば、Nnt1)、カルレティキュリン(Calr)、プロコラーゲン-リジン、2-オキソグルタレート5-ジオキシゲナーゼ1(Plod1)、ならびにヌクレオビンジン(例えば、Nucb1)。
【0424】
いくつかの実施形態において、5’UTRは、βグロビン5’UTR、強力なコザック翻訳開始シグナルを含む5’UTR、シトクロムb-245 αポリペプチド(CYBA)5’UTR、ヒドロキシステロイド(17-β)脱水素酵素(HSD17B4)5’UTR、タバコエッチ病ウイルス(TEV)5’UTR、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(TEEV)5’UTR、非構造タンパク質をコードするルベラ・ウイルス(RV)RNAの5’近位オープンリーディングフレーム、デング熱ウイルス(DEN)5’UTR、ヒートショックタンパク質70(Hsp70)5’UTR、eIF4G 5’UTR、GLUT15’UTR、それらの機能的断片、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0425】
いくつかの実施形態において、3’UTRは、βグロビン3’UTR、CYBA 3’UTR、アルブミン3’UTR、成長ホルモン(GH)3’UTR、VEEV 3’UTR、B型肝炎ウイルス(HBV)3’UTR、α-グロビン3’UTR、DEN 3’UTR、オオムギ黄萎ウイルス(BYDV-PAV)3’UTR、伸長因子 1 α1(EEF1A1)3’UTR、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)3’UTR、βサブユニットof ミトコンドリアH(+)-ATP合成酵素(β-mRNA)3’UTR、GLUT1 3’UTR、MEF2A 3’UTR、β-F1-ATPアーゼ3’UTR、それらの機能的断片、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0426】
任意の遺伝子またはmRNAに由来する野生型UTRは、本発明のポリヌクレオチドへの組み込みができる。いくつかの実施形態において、UTRは、野生型もしくは天然のUTRに対して修飾し、例えばORFに対するUTRの配向または位置の変更によって、あるいは追加のヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドのスワッピングもしくは転位によって、バリアントUTRを生成できる。いくつかの実施形態では、5’もしくは3’UTRのバリアント(例えば、野生型UTRの変異体、あるいは1つ以上のヌクレオチドがUTRの末端に付加されているかまたはそのUTRの末端から除去されるバリアント)を利用できる。
【0427】
加えて、1つ以上の同期UTRが、1つ以上の非同期UTRと併用され得る。例えば、Mandal及びRossi,Nat.Protoc.2013 8(3):568-82、ならびにwww.addgene.org/Derrick_Rossi/で閲覧可能な配列を参照のこと。これらの各々の全容は本明細書中に参照により組み込まれる)。UTRまたはその一部は、その選択元となった転写物におけるのと同じ向きに配置してもよいし、あるいは配向もしくは位置を変更してもよい。それゆえ、5’及び/または3’UTRを、反転、短縮、延長すること、または1つ以上の他の5’UTRもしくは3’UTRと併用することもできる。
【0428】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、複数のUTR、例えば、二重、三重もしくは四重5’UTRまたは3’UTRを含む。例えば、二重UTRは、直列であるかまたは実質的に直列であるかのいずれかの、同じUTRの2つのコピーを含む。例えば、二重βグロビン3’UTRを使用できる(米国特許出願公開第2010/0129877号を参照;本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる)。
【0429】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるUTRのいずれかから選択される5’UTR及び/または3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、5’UTRは以下を含む。
5’UTR-001(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号30)、
5’UTR-002(上流UTR)(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号31)、
5’UTR-003(上流UTR)(配列番号32)、
5’UTR-004(上流UTR)(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号33)、
5’UTR-005(上流UTR)(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号34)、
5’UTR-006(上流UTR)(配列番号35)、
5’UTR-007(上流UTR)(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号36)、
5’UTR-008(上流UTR)(GGGAAUUAACAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号37)、
5’UTR-009(上流UTR)(GGGAAAUUAGACAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号38)、
UTR5’UTR-010,上流(GGGAAAUAAGAGAGUAAAGAACAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号39)、
5’UTR-011(上流UTR)(GGGAAAAAAGAGAGAAAAGAAGACUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号40)、
5’UTR-012(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAUAUAUAAGAGCCACC)(配列番号41)、
5’UTR-013(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGACAAAACAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号42)、
5’UTR-014(上流UTR)(GGGAAAUUAGAGAGUAAAGAACAGUAAGUAGAAUUAAAAGAGCCACC)(配列番号43)、
5’UTR-15(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAUAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号44)、
5’UTR-016(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAAUUAAGAGCCACC)(配列番号45)、
5’UTR-017(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUUUAAGAGCCACC)(配列番号46)、または
5’UTR-018(上流UTR)(UCAAGCUUUUGGACCCUCGUACAGAAGCUAAUACGACUCACUAUAGGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号47)。
【0430】
いくつかの実施形態において、3’UTRは以下を含む。
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号48)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号49)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号50)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号51)、
142-3p 3’UTR(miR142-3pを含むUTR結合部位)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号52)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号53)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGAGUGGGCGGC)(配列番号54)、
3’UTR-001(クレアチンキナーゼUTR)(配列番号55を参照)、
3’UTR-002(ミオグロビンUTR)(配列番号56を参照)、
3’UTR-003(αアクチンUTR)(配列番号57を参照)、
3’UTR-004(アルブミンUTR)(配列番号58を参照)、
3’UTR-005(α-グロビンUTR)(配列番号59を参照)、
3’UTR-006(G-CSF UTR)(配列番号60を参照)、
3’UTR-007(Col1a2、コラーゲン、I型、α2 UTR)(配列番号61を参照)、
3’UTR-008(Col6a2、コラーゲン、VI型、α2 UTR)(配列番号62を参照)、
3’UTR-009(RPN1、リボフォリンI UTR)(配列番号63を参照)、
3’UTR-010(LRP1、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1 UTR)(配列番号64を参照)、
3’UTR-011(Nnt1、カルジオトロフィン様サイトカイン因子1UTR)(配列番号65を参照)、
3’UTR-012(Col6a1、コラーゲンVI型、アルファ1UTR)(配列番号66を参照)、
3’UTR-013(Calr、カルレティキュリンUTR)(配列番号67を参照)、
3’UTR-014(Col1a1、コラーゲンI型、アルファ1UTR)(配列番号68を参照)、
3’UTR-015(Plod1、プロコラーゲン-リジン、2-オキソグルタレート5-ジオキシゲナーゼ1UTR)(配列番号69を参照)、
3’UTR-016(Nucb1、ヌクレオビンジン1UTR)(配列番号70を参照)、
3’UTR-017(α-グロビン)(配列番号71を参照)、
3’UTR-018(配列番号72を参照)、
3’UTR(miR142+miR126結合部位バリアント1)
UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号105)、
3’UTR(miR142+miR126結合部位バリアント2)
UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号147)、または
3’UTR(miR142結合部位)
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号148)。
【0431】
ある特定の実施形態において、本発明の5’UTR及び/または3’UTR配列は、配列番号30~47、79、120~122、126~128のいずれかを含む5’UTR配列、及び/または配列番号48~72、80、81、102~105、108~117、124、125、147~157、及びそれらの任意の組み合わせを含む(comprises)3’UTR配列からなる群から選択される配列に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは約100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0432】
本発明のポリヌクレオチドは、特徴の組み合わせを含み得る。例えば、ORFは、強力なコザック翻訳開始シグナルを含む5’UTR及び/またはオリゴ(dT)配列を含む3’UTRに隣接することによって、ポリA尾部の鋳型付加を実現している。5’UTRは、同じ及び/または異なるUTRに由来する、第1のポリヌクレオチド断片及び第2のポリヌクレオチド断片を含み得る(例えば、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる米国特許第US2010/0293625号を参照)。
【0433】
他の非UTR配列は、本発明のポリヌクレオチド内部の領域またはサブ領域として用いられる場合がある。例えば、イントロンまたはイントロン配列の一部は、本発明のポリヌクレオチドへの組み込みができる。イントロン配列の組み込みによって、タンパク質の産生及びポリヌクレオチドの発現レベルを増強させることができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、UTRの代わりにまたはそれに加えて、内部リボソーム進入部位(IRES)を含む(例えば、その全容が本明細書中に参照により組み込まれるYakubov et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2010 394(1):189-193を参照のこと)。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、5’UTR配列の代わりにIRESを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、ORF及びウイルスキャプシド配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、非合成3’UTRと合成5’UTRとの組み合わせを含む。
【0434】
いくつかの実施形態において、UTRはまた、少なくとも1つの翻訳エンハンサーポリヌクレオチド、または翻訳エンハンサーエレメント(translation enhancer elementもしくはtranslational enhancer element;「TEE」と総称される、ポリヌクレオチドから産生されるポリペプチドまたはタンパク質の量を増加させる核酸配列)を指す。TEEの非限定的な例として、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる米国特許出願公開第2009/0226470号に記載されているTEE、及び当該技術分野において公知の他のTEEを挙げることができる。例えば、TEEは、限定されるものではないが、転写プロモーターと開始コドンとの間に位置し得る。いくつかの実施形態において、5’UTRはTEEを含む。
【0435】
一態様において、TEEは、限定されないが、キャップ依存性またはキャップ非依存性翻訳などの核酸の翻訳活性を促進できる、UTR内に保存されたエレメントである。
【0436】
TEEの一非限定的な例として、Gtxホメオドメインタンパク質の5’リーダー中のTEE配列を含む。Chappell et al.,PNAS 2004 101:9590-9594を参照のこと。本文献は、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0437】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、TEEの1または複数のコピーを含む。翻訳エンハンサーポリヌクレオチド中のTEEは、1つ以上の配列セグメントに編成できる。配列セグメントには、本明細書中に提供される1つ以上のTEEを保持することができ、各TEEは1以上のコピー数にて存在する。複数の配列セグメントは、翻訳エンハンサーポリヌクレオチド中に存在するときに、均一である場合もあればまたは不均一である場合もある。ゆえに、翻訳エンハンサーポリヌクレオチド中の複数の配列セグメントは、本明細書中に提供される同一もしくは異なる型のTEE、同一もしくは異なるコピー数の各TEE、及び/または各配列セグメント内のTEEの同一もしくは異なる組織を保有し得る。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、翻訳エンハンサーポリヌクレオチド配列を含む。TEE配列の非限定的な例として、米国特許出願公開第2014/0200261号に記載されており、本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。
【0438】
12.マイクロRNA(miRNA)結合部位
本発明のポリヌクレオチドは、調節エレメント、例えば、マイクロRNA(miRNA)結合部位、転写因子結合部位、構造化mRNA配列及び/またはモチーフ、内因性核酸結合分子のシュード受容体として作用するように操作された人工結合部位、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、そのような調節エレメントをはじめとするポリヌクレオチドは、「センサー配列」を含むものと称される。センサー配列の非限定的な例として、米国特許出願公開第2014/0200261号に記載されており、本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。
【0439】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド、例えば、本発明のメッセンジャーRNA(mRNA)などのリボ核酸(RNA)は、目的ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、且つ更に、1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)を含む。miRNA結合部位の包含または取り込みによって、天然起源のmiRNAの組織特異的な発現及び/または細胞型特異的な発現に基づいて、本発明のポリヌクレオチドの調節が行われ、更にはそれからコードされるポリペプチドの調節が行われる。
【0440】
本発明ではまた、上記のいずれかのポリヌクレオチドを含む医薬組成物及び製剤も提供される。いくつかの実施形態において、組成物または製剤は更に、送達剤を含む。
【0441】
いくつかの実施形態において、組成物または製剤には、ポリペプチドをコードする本明細書中に開示される配列最適化された核酸配列を含んだポリリボヌクレオチドが含有される場合がある。いくつかの実施形態において、組成物または製剤には、ポリペプチドをコードする本明細書に開示される配列最適化された核酸配列に対して有意な配列同一性を有するポリヌクレオチド(例えばORF)を含んだポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)を含めることができる。いくつかの実施形態において、ポリリボヌクレオチドは更に、miRNA結合部位(例えばmiR-126、miR-142、miR-144、miR-146、miR-150、miR-155、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27及びmiR-26aに結合するmiRNA結合部位)を含む。
【0442】
例えば、天然起源のmiRNAなどのmiRNAは、安定性を低下させるか、またはポリヌクレオチドの翻訳を阻害することによって、ポリヌクレオチドに結合して遺伝子発現を下方制御する、19~25ヌクレオチド長の非コードのRNAである。miRNA配列は、「シード」領域、すなわち、成熟miRNAの2~8位の領域の配列を含む。miRNAシードは、成熟miRNAの2~8位または2~7位を含み得る。いくつかの実施形態において、miRNAシードは、7ヌクレオチド(例えば成熟miRNAのヌクレオチド2~8)を含む場合があり、対応するmiRNA結合部位内のシード相補的部位には、miRNAの1位に対向するアデノシン(A)が隣接する。いくつかの実施形態において、miRNAシードは、6ヌクレオチド(例えば成熟miRNAのヌクレオチド2~7)を含む場合があり、対応するmiRNA結合部位内のシード相補的部位には、miRNAの1位に対向するアデノシン(A)が隣接している。例えばGrimson A,Farh KK,Johnston WK,Garrett-Engele P,Lim LP,Bartel DP;Mol Cell.2007 Jul 6;27(1):91-105を参照のこと。標的細胞または組織のmiRNAプロファイリングを実施することで、その細胞または組織中にmiRNAが存在するかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)のようなリボ核酸(RNA))は、1つ以上のマイクロRNA結合部位、マイクロRNA標的配列、マイクロRNA相補配列、またはマイクロRNAシード相補配列を含む。そのような配列は、例えば、その内容がその全体が本明細書中に参照により組み込まれる米国特許出願公開第US2005/0261218号及び米国特許出願公開第US2005/0059005号中に教示されているもの等の、公知の任意のマイクロRNAに対応している、例えば、それらのマイクロRNAに対する相補性を有し得る。
【0443】
マイクロRNAは、プレmiRNA(前駆体-miRNA)と呼ばれることが多い短いヘアピン構造を形成するように折り畳まれたRNA転写物の領域から酵素的に誘発される。プレmiRNAは典型的に、その3’末端に2ヌクレオチドオーバーハングを有し、3’ヒドロキシル基と5’ホスフェート基とを有する。この前駆体mRNAは、核内で処理され、続いて細胞質に輸送され、DICER(RNaseIII酵素)により更に処理され、約22ヌクレオチドの成熟マイクロRNAを形成する。続いて、成熟マイクロRNAは、リボ核粒子中に取り込まれ、遺伝子サイレンシングを媒介するRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成する。成熟miRNAの技術的に認識されている命名法は典型的に、成熟miRNAが由来するプレmiRNAの群が指定される。例えば、「5p」は、マイクロRNAがプレmiRNAヘアピンの5’群由来であることを意味し、「3p」は、マイクロRNAがプレmiRNAヘアピンの3’末端に由来することを意味する。本明細書中にて番号で参照されるmiRは、同じプレmiRNAの反対の群(例えば、3pまたは5pマイクロRNAのいずれか)に由来する2つの成熟マイクロRNAのいずれかを指すことができる。本明細書中で言及されている全てのmiRは、特に3pまたは5pを指定して特定されていない限り、3p及び5pアーム/配列の両方を含むことを意図したものである。
【0444】
本明細書において「マイクロRNA(miRNAまたはmiR)結合部位」という用語は、miRNAと相互作用するか、会合するか、またはmiRNAに結合するのに十分なmiRNAの全部もしくは一部の領域に対する相補性を有する、5’UTR及び/または3’UTRを含む、例えばDNA内もしくはRNA転写物内のポリヌクレオチド内の配列を指す。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは目的ポリペプチドをコードするORFを含み、且つ更に、1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)を含む。例示的な実施形態において、ポリヌクレオチド(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)などのリボ核酸(RNA))の5’UTR及び/または3’UTRは、1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)を含む。
【0445】
miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位とは、ポリヌクレオチドのmiRNA媒介性調整(例えばポリヌクレオチドのmiRNA媒介性翻訳の抑制または分解)を促すうえで相補性の度合いが十分であることを指す。本発明の例示的な態様において、miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位とは、ポリヌクレオチドのmiRNA媒介分解、例えば、miRNAガイド付きRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を媒介してmRNAの切断を促進するうえで、相補性の度合いが十分であることを指す。miRNA結合部位は、例えば19~25ヌクレオチド長のmiRNA配列、19~23ヌクレオチド長のmiRNA配列、または22ヌクレオチド長のmiRNA配列に対して相補性を有し得る。miRNA結合部位は、miRNAの一部のみに対して相補的であり得る。例えば、天然起源のmiRNA配列の全長より1ヌクレオチド少ないか、2ヌクレオチド少ないか、3ヌクレオチド少ないかまたは4ヌクレオチド少ない部分に対して、あるいは、天然起源のmiRNA配列より1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチドまたは4ヌクレオチド短い部分に対して、miRNA結合部位は相補的であり得る。mRNAの分解が、調節として所望される場合、相補性が十分であるかまたは完全である(例えば、天然起源のmiRNAの長さの全部分または有意な部分にわたって相補性が十分であるかまたは完全である)ことが好ましい。
【0446】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAシード配列との相補性(例えば、部分的または完全な相補性)を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAシード配列との完全な相補性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miRNA配列との相補性(例えば、部分的または完全な相補性)を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miRNA配列との完全な相補性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、ただし、1、2もしくは3個のヌクレオチド置換、末端付加及び/または末端切断を除いて、miRNA配列との完全な相補性を有する。
【0447】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、対応するmiRNAと長さが同じである。他の実施形態において、miRNA結合部位は、5’末端、3’末端またはその両方で対応するmiRNAよりも1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチドもしくは12ヌクレオチド短い。更に他の実施形態において、マイクロRNA結合部位は、対応する5’末端、3’末端、またはその両方でマイクロRNAよりも2ヌクレオチド短い。対応するmiRNAよりも短いmiRNA結合部位は、依然としてmiRNA結合部位のうちの1以上を組み込んだmRNAを分解することができ、またはmRNAの翻訳を妨げることができる。
【0448】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、ダイサーを含む活性RISCの一部である対応する成熟miRNAに結合する。別の実施形態では、miRNA結合部位をRISC中の対応するmiRNAに結合することによって、miRNA結合部位を含むmRNAを分解するか、あるいはmRNAが翻訳されるのを防ぐ。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体によってmiRNA結合部位を含むポリヌクレオチドが切断する程度に、miRNAに対する相補性が十分である。他の実施形態では、miRNA結合部位の相補性が不完全なことに起因して、miRNAを含むRISC複合体によって、miRNA結合部位を含むポリヌクレオチドにおける不安定性が誘発される。別の実施形態において、miRNA結合部位の相補性が不完全なことに起因して、miRNAを含むRISC複合体によって、miRNA結合部位を含むポリヌクレオチドの転写が抑制される。
【0449】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、対応するmiRNAに対する不整合部を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個有する。
【0450】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、対応するmiRNAの、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続ヌクレオチドに対して相補的な、それぞれ少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続ヌクレオチドを有する。
【0451】
1つ以上のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチドへ操作することによって、当該のmiRNAが利用可能な場合、そのポリヌクレオチドを分解または翻訳低下の標的とすることが可能となる。こうすることで、ポリヌクレオチドが送達される際、オフターゲット効果を低減させることができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドが、組織または細胞に送達されることは意図されないが、最終的に前記組織または細胞に帰結するものである場合、組織または細胞内に多く存在するmiRNAは、miRNAの1つ以上の結合部位をポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRへ操作することで、目的の遺伝子の発現を阻害し得る。ゆえに、いくつかの実施形態において、1つ以上のmiRNA結合部位を本開示のmRNA内に組み込むことによって、miRNAの1つ以上の結合部位をポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRへ操作することで、目的の遺伝子の発現を阻害し得る。更に他の実施形態において、1つ以上のmiRNA結合部位を本開示のmRNA内に組み込むことによって、核酸をin vivo送達する際の免疫応答を調節することができる。更なる実施形態において、1つ以上のmiRNA結合部位を本開示のmRNA内に組み込むことによって、本明細書に記載の脂質含有化合物及び組成物に対する加速的血中(ABC)を調節することができる。
【0452】
逆に、miRNA結合部位は、天然起源のポリヌクレオチド配列から除去することで、特定の組織におけるタンパク質の発現を増強させることができる。例えば、特定のmiRNA用の結合部位をポリヌクレオチドから除去することで、miRNAを含む組織または細胞内でのタンパク質の発現を増進することができる。
【0453】
複数の組織における発現の調節は、1つ以上のmiRNA結合部位(例えば、1つ以上の別個のmiRNA結合部位の導入または除去によって達成することができる。発症及び/または疾患状態にある組織及び/または細胞内でのmiRNA発現パターン及び/またはそのプロファイリングに基づいて、miRNA結合部位を除去するかそれとも挿入するかの決定を下すことができる。miRNA、miRNA結合部位及びそれらの発現パターンの同定、ならびに生物学における役割が報告されてきた(例えば、Bonauer et al.,Curr Drug Targets 2010 11:943-949;Anand及びCheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171-176;Contreras及びRao Leukemia 2012 26:404-413(2011 Dec 20.doi:10.1038/leu.2011.356);Bartel Cell 2009 136:215-233;Landgraf et al,Cell,2007 129:1401-1414;Gentner and Naldini,Tissue Antigens.2012 80:393-403、ならびにこれらの文献中の全ての参考文献;これらの各文献はその全体が本明細書中に参照により組み込まれる)。
【0454】
miRNAs及びmiRNA結合部位は、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる米国特許出願公開第2014/0200261号、同第2005/0261218号、及び同第2005/0059005号に記載されている任意の既知の配列に対応している場合がある。
【0455】
miRNAがmRNAを調節することによってタンパク質の発現を調節することが知られている組織の非限定的な例として、肝臓(miR-122)、筋肉(miR-133、miR-206、miR-208)、内皮細胞(miR-17-92、miR-126)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、脂肪組織(let-7、miR-30c)、心臓(miR-1d、miR-149)、腎臓(miR-192、miR-194、miR-204)、及び肺上皮細胞(let-7、miR-133、miR-126)が挙げられる。
【0456】
具体的には、miRNAは、抗原提示細胞(APC)などの免疫細胞(別称:造血細胞)(例えば、樹状細胞及びマクロファージ);マクロファージ、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞等において差次的に発現することが知られている。免疫細胞特異的miRNAは、免疫原性、自己免疫、感染に対する免疫応答、炎症、ならびに遺伝子治療及び組織/器官移植後の望ましくない免疫応答に関与する。また、造血細胞(免疫細胞)の発達、増殖、分化及びアポトーシスの局面の多くが、免疫細胞特異的miRNAによって調節される。例えば、miR-142及びmiR-146は免疫細胞においてのみ、特に骨髄性樹状細胞内で豊富に発現する。これまで実証されてきたように、ポリヌクレオチドに対する免疫応答は、miR-142結合部位をポリヌクレオチドの3’UTRに付加することにより遮断することができ、組織及び細胞内での遺伝子導入の安定性向上を可能にする。miR-142は、抗原提示細胞内で外因性ポリヌクレオチドを効率的に分解し、形質導入細胞の細胞傷害性排除を抑制する(例えば、Annoni A et al.,blood,2009,114,5152-5161;Brown BD,et al.,Nat med.2006,12(5),585-591;Brown BD,et al.,blood,2007,110(13):4144-4152。これらの各文献はその全体が本明細書中に参照により組み込まれる)。
【0457】
抗原媒介性免疫応答は、生物に進入する際に抗原提示細胞によって処理され、抗原提示細胞の表面上に提示される、外来抗原によって誘発される免疫応答を指す。T細胞は、提示された抗原を認識して、抗原を発現する細胞の細胞傷害性排除を誘導する場合がある。
【0458】
本発明のポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRにmiR-142結合部位を導入し、miR-142媒介性分解を通じて抗原提示細胞内での遺伝子発現を選択的に抑制することによって、抗原提示細胞(例えば樹状細胞)内での抗原提示を制限し、それによりポリヌクレオチドの送達後の抗原媒介性免疫応答を防ぐことができる。次いで、ポリヌクレオチドは、細胞傷害性排除を誘発することなしに、標的組織または細胞内で安定に発現する。
【0459】
一実施形態において、免疫細胞、特に抗原提示細胞内に発現することが公知であるmiRNAのための結合部位を本発明のポリヌクレオチドへ操作することで、miRNA介在性RNAの分解によって抗原提示細胞内でのポリヌクレオチドの発現を抑制し、抗原媒介性免疫応答を抑制することができる。非免疫細胞内では、免疫細胞特異的miRNAが発現しないため、ポリヌクレオチドの発現が維持される。例えば、いくつかの実施形態では、肝臓特異的タンパク質に対する免疫原性反応を防ぐために、任意のmiR-122結合部位を除去し、miR-142(及び/またはmirR-146)結合部位を、本発明のポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRへ操作することができる。
【0460】
APC及びマクロファージにおける選択的な分解及び抑制を更に駆動するために、本発明のポリヌクレオチドは、5’UTR及び/または3’UTR内に、更なる負の調節エレメントを単独で、あるいはmiR-142及び/またはmiR-146結合部位と組み合わせて含めてもよい。更なる負の調節エレメントの非限定的な例として、構成的減衰エレメント(CDE)が挙げられる。
【0461】
免疫細胞特異的なmiRNAとしては、限定されるものではないが、hsa-let-7a-2-3p、hsa-let-7a-3p、hsa-7a-5p、hsa-let-7c、hsa-let-7e-3p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-3p、hsa-let-7g-5p、hsa-let-7i-3p、hsa-let-7i-5p、miR-10a-3p、miR-10a-5p、miR-1184、hsa-let-7f-1-3p、hsa-let-7f-2-5p、hsa-let-7f-5p、miR-125b-1-3p、miR-125b-2-3p、miR-125b-5p、miR-1279、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-132-3p、miR-132-5p、miR-142-3p、miR-142-5p、miR-143-3p、miR-143-5p、miR-146a-3p、miR-146a-5p、miR-146b-3p、miR-146b-5p、miR-147a、miR-147b、miR-148a-5p、miR-148a-3p、miR-150-3p、miR-150-5p、miR-151b、miR-155-3p、miR-155-5p、miR-15a-3p、miR-15a-5p、miR-15b-5p、miR-15b-3p、miR-16-1-3p、miR-16-2-3p、miR-16-5p、miR-17-5p、miR-181a-3p、miR-181a-5p、miR-181a-2-3p、miR-182-3p、miR-182-5p、miR-197-3p、miR-197-5p、miR-21-5p、miR-21-3p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-223-3p、miR-223-5p、miR-221-3p、miR-221-5p、miR-23b-3p、miR-23b-5p、miR-24-1-5p、miR-24-2-5p、miR-24-3p、miR-26a-1-3p、miR-26a-2-3p、miR-26a-5p、miR-26b-3p、miR-26b-5p、miR-27a-3p、miR-27a-5p、miR-27b-3p、miR-27b-5p、miR-28-3p、miR-28-5p、miR-2909、miR-29a-3p、miR-29a-5p、miR-29b-1-5p、miR-29b-2-5p、miR-29c-3p、miR-29c-5p、miR-30e-3p、miR-30e-5p、miR-331-5p、miR-339-3p、miR-339-5p、miR-345-3p、miR-345-5p、miR-346、miR-34a-3p、miR-34a-5p、miR-363-3p、miR-363-5p、miR-372、miR-377-3p、miR-377-5p、miR-493-3p、miR-493-5p、miR-542、miR-548b-5p、miR548c-5p、miR-548i、miR-548j、miR-548n、miR-574-3p、miR-598、miR-718、miR-935、miR-99a-3p、miR-99a-5p、miR-99b-3p、及びmiR-99b-5pが挙げられる。更になお、マイクロアレイハイブリダイゼーション及びミクロトーム分析によって免疫細胞において新規なmiRNAを同定することができる(例えば、Jima DD et al,Blood,2010,116:e118-e127;Vaz C et al.,BMC Genomics,2010,11,288を参照)。それらの各文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。
【0462】
肝臓内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-107、miR-122-3p、miR-122-5p、miR-1228-3p、miR-1228-5p、miR-1249、miR-129-5p、miR-1303、miR-151a-3p、miR-151a-5p、miR-152、miR-194-3p、miR-194-5p、miR-199a-3p、miR-199a-5p、miR-199b-3p、miR-199b-5p、miR-296-5p、miR-557、miR-581、miR-939-3p、及びmiR-939-5pが挙げられる。任意の肝臓特異的なmiRNA由来のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチドに導入するかまたは除去することで、肝臓内でのポリヌクレオチドの発現を調節することが可能となる。肝臓特異的なmiRNA結合部位を単独で操作することも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えばAPC)のmiRNA結合部位と更に組み合わせて、操作することもできる。
【0463】
肺内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7a-2-3p、let-7a-3p、let-7a-5p、miR-126-3p、miR-126-5p、miR-127-3p、miR-127-5p、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-130b-3p、miR-130b-5p、miR-133a、miR-133b、miR-134、miR-18a-3p、miR-18a-5p、miR-18b-3p、miR-18b-5p、miR-24-1-5p、miR-24-2-5p、miR-24-3p、miR-296-3p、miR-296-5p、miR-32-3p、miR-337-3p、miR-337-5p、miR-381-3p、及びmiR-381-5pが挙げられる。任意の肺特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入するか、または除去することによって、肺内でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。肺特異的なmiRNA結合部位を単独で操作することも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えばAPC)のmiRNA結合部位と更に組み合わせて、操作することもできる。
【0464】
心臓内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-1、miR-133a、miR-133b、miR-149-3p、miR-149-5p、miR-186-3p、miR-186-5p、miR-208a、miR-208b、miR-210、miR-296-3p、miR-320、miR-451a、miR-451b、miR-499a-3p、miR-499a-5p、miR-499b-3p、miR-499b-5p、miR-744-3p、miR-744-5p、miR-92b-3p、及びmiR-92b-5pが挙げられる。任意の心臓特異的なマイクロRNA由来のmiRNA(mMiRNA)結合部位を本発明のポリヌクレオチドに導入するかまたは除去することで、心臓内でのポリヌクレオチドの発現を調節することが可能となる。心臓特異的なmiRNA結合部位を単独で操作することも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えばAPC)のmiRNA結合部位と更に組み合わせて、エンジニアリングすることもできる。
【0465】
神経系内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-124-5p、miR-125a-3p、miR-125a-5p、miR-125b-1-3p、miR-125b-2-3p、miR-125b-5p、miR-1271-3p、miR-1271-5p、miR-128、miR-132-5p、miR-135a-3p、miR-135a-5p、miR-135b-3p、miR-135b-5p、miR-137、miR-139-5p、miR-139-3p、miR-149-3p、miR-149-5p、miR-153、miR-181c-3p、miR-181c-5p、miR-183-3p、miR-183-5p、miR-190a、miR-190b、miR-212-3p、miR-212-5p、miR-219-1-3p、miR-219-2-3p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-30a-5p、miR-30b-3p、miR-30b-5p、miR-30c-1-3p、miR-30c-2-3p、miR-30c-5p、miR-30d-3p、miR-30d-5p、miR-329、miR-342-3p、miR-3665、miR-3666、miR-380-3p、miR-380-5p、miR-383、miR-410、miR-425-3p、miR-425-5p、miR-454-3p、miR-454-5p、miR-483、miR-510、miR-516a-3p、miR-548b-5p、miR-548c-5p、miR-571、miR-7-1-3p、miR-7-2-3p、miR-7-5p、miR-802、miR-922、miR-9-3p、及びmiR-9-5pが挙げられる。神経系内で富化されるmiRNAとしては更に、miR-132-3p、miR-132-3p、miR-148b-3p、miR-148b-5p、miR-151a-3p、miR-151a-5p、miR-212-3p、miR-212-5p、miR-320b、miR-320e、miR-323a-3p、miR-323a-5p、miR-324-5p、miR-325、miR-326、miR-328、miR-922を含むがこれらに限定されないニューロン内で特異的に発現するmiRNA、ならびにmiR-1250、miR-219-1-3p、miR-219-2-3p、miR-219-5p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-3065-3p、miR-3065-5p、miR-30e-3p、miR-30e-5p、miR-32-5p、miR-338-5p、及びmiR-657を含むがこれらに限定されないグリア細胞内で特異的に発現するmiRNAが挙げられる。任意のCNS特異的なmiRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入するかまたはこのポリヌクレオチドから除去することによって、神経系内でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。神経系特異的なmiRNA結合部位を単独でエンジニアリングすることも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えばAPC)のmiRNA結合部位と更に組み合わせて、エンジニアリングすることもできる。
【0466】
膵臓内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-105-3p、miR-105-5p、miR-184、miR-195-3p、miR-195-5p、miR-196a-3p、miR-196a-5p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-216a-3p、miR-216a-5p、miR-30a-3p、miR-33a-3p、miR-33a-5p、miR-375、miR-7-1-3p、miR-7-2-3p、miR-493-3p、miR-493-5p、及びmiR-944が挙げられる。任意の膵臓特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチド内に導入するかまたはそのポリヌクレオチドから除去することで、膵臓におけるポリヌクレオチドの発現を調節することができる。膵臓特異的なmiRNA結合部位を単独でエンジニアリングすることも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えばAPC)のmiRNA結合部位と更に組み合わせて、エンジニアリングすることもできる。
【0467】
腎臓内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-122-3p、miR-145-5p、miR-17-5p、miR-192-3p、miR-192-5p、miR-194-3p、miR-194-5p、miR-20a-3p、miR-20a-5p、miR-204-3p、miR-204-5p、miR-210、miR-216a-3p、miR-216a-5p、miR-296-3p、miR-30a-3p、miR-30a-5p、miR-30b-3p、miR-30b-5p、miR-30c-1-3p、miR-30c-2-3p、miR30c-5p、miR-324-3p、miR-335-3p、miR-335-5p、miR-363-3p、miR-363-5p、及びmiR-562が挙げられる。任意の腎臓特異的miRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチド内に導入するかまたはそのポリヌクレオチドから除去することで、腎臓におけるポリヌクレオチドの発現を調節することができる。腎臓特異的なmiRNA結合部位を単独でエンジニアリングすることも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えばAPC)のmiRNA結合部位と更に組み合わせて、エンジニアリングすることもできる。
【0468】
筋肉内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7g-3p、let-7g-5p、miR-1、miR-1286、miR-133a、miR-133b、miR-140-3p、miR-143-3p、miR-143-5p、miR-145-3p、miR-145-5p、miR-188-3p、miR-188-5p、miR-206、miR-208a、miR-208b、miR-25-3p、及びmiR-25-5pが挙げられる。任意の筋肉特異的なmiRNA由来のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチドに導入するかまたは除去することで、筋肉内でのポリヌクレオチドの発現を調節することが可能となる。筋肉特異的なmiRNA結合部位を単独でエンジニアリングすることも、または本発明のポリヌクレオチド中の免疫細胞(例えばAPC)のmiRNA結合部位と更に組み合わせて、エンジニアリングすることもできる。
【0469】
miRNAはまた、様々な種類の細胞、例えば、限定されるものではないが、内皮細胞、上皮細胞及び脂肪細胞内で、差次的に発現する。
【0470】
内皮細胞内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7b-3p、let-7b-5p、miR-100-3p、miR-100-5p、miR-101-3p、miR-101-5p、miR-126-3p、miR-126-5p、miR-1236-3p、miR-1236-5p、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-17-5p、miR-17-3p、miR-18a-3p、miR-18a-5p、miR-19a-3p、miR-19a-5p、miR-19b-1-5p、miR-19b-2-5p、miR-19b-3p、miR-20a-3p、miR-20a-5p、miR-217、miR-210、miR-21-3p、miR-21-5p、miR-221-3p、miR-221-5p、miR-222-3p、miR-222-5p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-296-5p、miR-361-3p、miR-361-5p、miR-421、miR-424-3p、miR-424-5p、miR-513a-5p、miR-92a-1-5p、miR-92a-2-5p、miR-92a-3p、miR-92b-3p、及びmiR-92b-5pが挙げられる。ディープシーケンシング分析によって、新規miRNAの多くが内皮細胞において発見されている(例えば、その全体が本明細書中に参照により組み込まれるVoellenkle C et al.,RNA,2012,18,472-484)。任意の内皮細胞特異的なmiRNA由来のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチド内に導入するか、またはこの部位から除去することによって、内皮細胞内でのポリヌクレオチドの発現を調節することができる。
【0471】
上皮細胞内に発現することが公知であるmiRNAとしては、限定されるものではないが、呼吸繊毛上皮細胞において特異的なlet-7b-3p、let-7b-5p、miR-1246、miR-200a-3p、miR-200a-5p、miR-200b-3p、miR-200b-5p、miR-200c-3p、miR-200c-5p、miR-338-3p、miR-429、miR-451a、miR-451b、miR-494、miR-802及びmiR-34a、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-449a、miR-449b-3p、miR-449b-5p、肺上皮細胞において特異的なlet-7ファミリー、miR-133a、miR-133b、miR-126、腎上皮細胞において特異的なmiR-382-3p、miR-382-5p、ならびに角膜上皮細胞において特異的なmiR-762が挙げられる。任意の上皮細胞において特異的なmiRNAに由来するmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入または除去することによって、上皮細胞におけるポリヌクレオチドの発現を調節することができる。
【0472】
加えて、巨大なmiRNA群は胚性幹細胞内に多く存在し、幹細胞の自己再生を制御すると共に、神経細胞、心臓、造血細胞、皮膚細胞、骨形成細胞及び筋肉細胞などの様々な細胞系統の発達及び/または分化を制御している(例えば、Kuppusamy KT et al.,Curr.Mol Med,2013,13(5),757-764;Vidigal JA及びVentura A,Semin Cancer Biol.2012,22(5-6),428-436;Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192;Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610-621;Yoo JK et al.,Stem Cells Dev.2012,21(11),2049-2057;これらの各文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる)。胚性幹細胞内に多く存在するmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7a-2-3p、let-a-3p、let-7a-5p、let7d-3p、let-7d-5p、miR-103a-2-3p、miR-103a-5p、miR-106b-3p、miR-106b-5p、miR-1246、miR-1275、miR-138-1-3p、miR-138-2-3p、miR-138-5p、miR-154-3p、miR-154-5p、miR-200c-3p、miR-200c-5p、miR-290、miR-301a-3p、miR-301a-5p、miR-302a-3p、miR-302a-5p、miR-302b-3p、miR-302b-5p、miR-302c-3p、miR-302c-5p、miR-302d-3p、miR-302d-5p、miR-302e、miR-367-3p、miR-367-5p、miR-369-3p、miR-369-5p、miR-370、miR-371、miR-373、miR-380-5p、miR-423-3p、miR-423-5p、miR-486-5p、miR-520c-3p、miR-548e、miR-548f、miR-548g-3p、miR-548g-5p、miR-548i、miR-548k、miR-548l、miR-548m、miR-548n、miR-548o-3p、miR-548o-5p、miR-548p、miR-664a-3p、miR-664a-5p、miR-664b-3p、miR-664b-5p、miR-766-3p、miR-766-5p、miR-885-3p、miR-885-5p、miR-93-3p、miR-93-5p、miR-941、miR-96-3p、miR-96-5p、miR-99b-3p及びmiR-99b-5pが挙げられる。予測された新規なmiRNAの多くは、ヒト胚性幹細胞におけるディープシークエンシングによって発見されている(例えば、Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610-621;Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192;Bar M et al.,Stem cells,2008,26,2496-2505)。それらの各文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる)。
【0473】
一実施形態において、胚性幹細胞特異的miRNAの結合部位を本発明のポリヌクレオチドの3’UTR内に含めるかまたはその3’UTRから除去し、胚性幹細胞の発生及び/または分化を調節することによって、変性状態(例えば、変性疾患)における幹細胞の老化を阻害するか、あるいは、疾患状態(例えば、癌幹細胞)における幹細胞の老化及びアポトーシスを刺激することができる。
【0474】
いくつかの実施形態において、miRNAは、造血系統の免疫細胞(例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞及びTLR7/TLR8を発現することが公知である細胞、及び/または内皮細胞及び血小板などのサイトカインを分泌する機能を有することが公知である細胞)における発現及び存在量に基づいて選択される。ゆえに、いくつかの実施形態において、miRNAセットは、これらの細胞の免疫原性の一部に関与し得るmiRを含む。そのため、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)内に対応するmiR部位を組み込んだ場合に、特定の細胞型においてmRNAの不安定化、及び/またはこれらのmRNAに対する翻訳の抑制につながる場合がある。その代表非限定的な例として、造血細胞の多くに特異的なmiR-142、miR-144、miR-150、miR-155及びmiR-223、B細胞内に発現するmiR-142、miR150、miR-16及びmiR-223、前駆造血細胞内に発現するmiR-223、miR-451、miR-26a、miR-16、ならびに形質細胞様樹状細胞、血小板及び内皮細胞内に発現するmiR-126が挙げられる。miRの組織発現に関する更なる考察については、例えば、Teruel-Montoya、R.et al.(2014)PLoS One 9:e102259;Landgraf,P.et al.(2007)Cell 129:1401-1414;Bissels,U.et al.(2009)RNA 15:2375-2384を参照のこと。3’UTR及び/または5’UTR中のいずれか1つのmiR部位(例えば、B細胞及び樹状細胞の両方において多く存在するmiR-142)を組み込むことで、目的の複数の細胞型においてそのような効果を媒介できる。
【0475】
いくつかの実施形態では、複数のmiRを有する同じ細胞型を標的とすること、ならびに、3pアーム及び5pアームの両方が多く存在する(例えば、miR-142-3p及びmiR142-5pの両方が造血幹細胞内に多く存在する)場合、それら両方の各々に対し結合部位を組み込むことが、有益とされ得る。ゆえに、ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドには、2つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多く)のmiR結合部位:
(i) miR-142、miR-144、miR-150、miR-155及びmiR-223(多くの造血細胞内に発現するもの)からなる群、あるいは
(ii) miR-142、miR150、miR-16及びmiR-223(B細胞内に発現するもの)からなる群、あるいはmiR-223、miR-451、miR-26a、miR-16(前駆造血細胞内に発現するもの)からなる群が含まれる。
【0476】
また、いくつかの実施形態では、様々なmiRを組み合わせることによって目的の複数の細胞型を同時に標的とする(例えば、miR-142及びmiR-126を組み合わせることによって造血系統及び内皮細胞中の多くの細胞を標的とする)ことも有益であり得る。ゆえに、例えば、ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、2つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多く)のmiRNA結合部位:
(i)miRのうちの少なくとも1つは造血系統の細胞(例えば、miR-142、miR-144、miR-150、miR-155もしくはmiR-223)を標的とし、且つmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板または内皮細胞(例えば、miR-126)を標的とするもの、または
(ii)miRのうちの少なくとも1つはB細胞(例えば、miR-142、miR150、miR-16もしくはmiR-223)を標的とし、且つmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞(例えば、miR-126)を標的とするもの、または
(iii)miRのうちの少なくとも1つは前駆造血細胞(例えば、miR-223、miR-451、miR-26aもしくはmiR-16)を標的とし、且つmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞(例えば、miR-126)を標的とするもの、または
(iv)miRのうちの少なくとも1つは造血系統の細胞(例えば、miR-142、miR-144、miR-150、miR-155もしくはmiR-223)を標的とし、miRのうちの少なくとも1つはB細胞(例えば、miR-142、miR150、miR-16もしくはmiR-223)を標的とし、且つmiRのうちの少なくとも1つは形質細胞様樹状細胞、血小板または内皮細胞(例えば、miR-126)を標的とするものを含むか、あるいは、
上記4つのクラスのmiR結合部位の他の任意の可能な組み合わせ(すなわち、造血系統を標的とする細胞、B細胞を標的とする細胞、前駆造血細胞及び/または形質細胞様樹状細胞/血小板/内皮細胞を標的化する細胞)を含む。
【0477】
一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、従来の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現する任意の細胞内に発現する1つ以上のmiRに結合する1つ以上のmiRNA結合配列を含み、(例えば、末梢リンパ器官及び/または脾細胞及び/または内皮細胞の免疫細胞において)炎症促進性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌することによって、免疫応答を調節することを可能にしている。(例えば、末梢リンパ器官、及び/または脾細胞、及び/または内皮細胞の免疫細胞中)TLR7及び/またはTLR8を発現し且つ炎症促進性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞内に発現する1つ以上のmiRを、mRNAに取り込むことによって、免疫細胞活性化(例えば、活性化B細胞の頻度によって測定されるB細胞活性化)及び/またはサイトカイン産生(例えば、IL-6、IFN-γ及び/またはTNFαの産生)が低減または阻害されることが、昨今になって発見されている。昨今の発見としては、更に他にも、従来の免疫細胞、またはTLR7及びTLR8を発現し且つ炎症促進性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞(例えば、末梢リンパ器官の免疫細胞及び/または脾細胞及び/または内皮細胞)内に発現する1つ以上のmiRを、mRNA中に組み込むことによって、mRNAによりコードされる目的のタンパク質に対する抗薬物抗体(ADA)応答を低減または阻害することが可能となることが挙げられる。
【0478】
別の実施形態では、脂質含有化合物または組成物中に送達されるポリヌクレオチドに対する加速的血中クリアランスを調節することを可能にするのを目的に、本発明のポリヌクレオチド内に、1つ以上のmiRNAに結合する1つ以上のmiR結合配列を含める。これらのmiR結合配列は、従来の免疫細胞内に発現するか、あるいはTLR7及び/またはTLR8を発現し且つ炎症促進性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞(例えば、末梢リンパ器官の免疫細胞及び/または脾細胞及び/または内皮細胞)内に発現するものである。今日になって発見されているように、1つ以上のmiR結合部位をmRNA内に取り込むことによって、mRNAを送達する際に使用される脂質含有化合物または組成物に対する加速的血中クリアランス(ABC)が低減または阻害される。今日の発見としては、更に他にも、1つ以上のmiR結合部位をmRNA中に取り込むことによって、抗-PEG抗-IgMの血清レベルが低減され(例えば、B細胞によるポリエチレングリコール(PEG)を認識するIgMの急性産生が低減または阻害され)、及び/または、脂質含有化合物またはmRNAを含む組成物を投与された後に形質細胞様樹状細胞の増殖し、及び/または、活性化が低減または阻害されることが挙げられる。
【0479】
いくつかの実施形態において、miR配列は、免疫細胞内に発現する任意の公知のマイクロRNAに対応する可能性があり、このmiR配列としては、限定されるものではないが、米国特許出願公開第US2005/0261218号、及び米国特許出願公開第US2005/0059005号において教示されているものが挙げられる。本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。免疫細胞内に発現するmiRの非限定的な例として、脾臓細胞、骨髄細胞、樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、B細胞、T細胞及び/またはマクロファージ内に発現するmiRが挙げられる。例えば、miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24及びmiR-27は骨髄細胞内に発現し、miR-155は樹状細胞、B細胞及びT細胞内に発現し、miR-146はTLRを刺激した際にマクロファージで上方制御され、miR-126は形質細胞様樹状細胞内に発現する。ある特定の実施形態において、miR(複数可)は、免疫細胞において豊富に、または優先的に発現する。例えば、miR-142(miR-142-3p及び/またはmiR-142-5p)、miR-126(miR-126-3p及び/またはmiR-126-5p)、miR-146(miR-146-3p及び/またはmiR-146-5p)、ならびにmiR-155(miR-155-3p及び/またはmiR155-5p)は、免疫細胞において多量に発現する。それらのマイクロRNA配列は、当該技術分野において公知であり、ゆえに、当業者は、これらのマイクロRNAがワトソン-クリック相補性に基づいて結合する結合配列または標的配列を容易にデザインできる。
【0480】
したがって、様々な実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、miR-142、miR-146、miR-155、miR-126、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24及びmiR-27からなる群から選択されるmiRの少なくとも1つのマイクロRNA結合部位を含む。別の実施形態において、mRNAは、免疫細胞内に発現するマイクロRNAに対して少なくとも2つのmiR結合部位を含む。様々な実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞内に発現するマイクロRNA用の1~4つ(1つ、2つ、3つまたは4つ)のmiR結合部位を含む。別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、3つのmiR結合部位を含む。それらのmiR結合部位は、miR-142、miR-146、miR-155、miR-126、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるマイクロRNAに対応し得る。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞内に発現する同じmiR結合部位の2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ)のコピー、例えば、miR-142、miR-146、miR-155、miR-126、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27からなるmiRの群から選択されるmiR結合部位の2つ以上のコピーを含む。
【0481】
一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、同じmiR結合部位の3つのコピーを含む。ある特定の実施形態において、同じmiR結合部位のコピーを3つ使用すれば、単一のmiR結合部位を使用した場合と比較して有益な特性が呈され得る。3つのmiR結合部位を含む3’UTRの配列の非限定的な例は、配列番号108(3つのmiR-142-3p結合部位)、及び配列番号110(3つのmiR-142-5p結合部位)に示す。
【0482】
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞内に発現する少なくとも2つの異なるmiR結合部位2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ)のコピーを含む。2つ以上の異なるmiR結合部位が含まれる3’UTR配列の非限定的な例として、配列番号105(1つのmiR-142-3p結合部位及び1つのmiR-126-3p結合部位)、配列番号111(2つのmiR-142-5p結合部位及び1つのmiR-142-3p結合部位)及び配列番号114(2つのmiR-155-5p結合部位及び1つのmiR-142-3p結合部位)に示す。
【0483】
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞内に発現するマイクロRNA用の少なくとも2つのmiR結合部位であって、miR結合部位のうちの1つがmiR-142-3p用である結合部位を含む。様々な実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、miR-142-3p及びmiR-155(miR-155-3pまたはmiR-155-5p)、miR-142-3p及びmiR-146(miR-146-3またはmiR-146-5p)、あるいはmiR-142-3p及びmiR-126(miR-126-3pまたはmiR-126-5p)用の結合部位を含む。
【0484】
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞内に発現するマイクロRNA用の少なくとも2つのmiR結合部位であって、miR結合部位のうちの1つがmiR-126-3p用である結合部位を含む。様々な実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、miR-126-3p及びmiR-155(miR-155-3pまたはmiR-155-5p)、miR-126-3p及びmiR-146(miR-146-3pまたはmiR-146-5p)、あるいはmiR-126-3p及びmiR-142(miR-142-3pまたはmiR-142-5p)用の結合部位を含む。
【0485】
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞内に発現するマイクロRNA用の少なくとも2つのmiR結合部位であって、miR結合部位のうちの1つがmiR-142-5p用である結合部位を含む。様々な実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、miR-142-5p及びmiR-155(miR-155-3pまたはmiR-155-5p)、miR-142-5p及びmiR-146(miR-146-3またはmiR-146-5p)、あるいはmiR-142-5p及びmiR-126(miR-126-3pまたはmiR-126-5p)用の結合部位を含む。
【0486】
更に別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞内に発現するマイクロRNA用の少なくとも2つのmiR結合部位であって、miR結合部位のうちの1つがmiR-155-5p用である結合部位を含む。様々な実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、miR-155-5p及びmiR-142(miR-142-3pまたはmiR-142-5p)、miR-155-5p及びmiR-146(miR-146-3またはmiR-146-5p)、あるいはmiR-155-5p及びmiR-126(miR-126-3pまたはmiR-126-5p)用の結合部位を含む。
【0487】
miRNAはまた、血管新生(例えばmiR-132)のような複雑な生物学的過程を調節できる(Anand及びCheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171-176)。本発明のポリヌクレオチドにおいて、miRNA結合部位を除去または導入することによって、そのようなプロセスに関与するmiRNA結合部位を、ポリヌクレオチドの発現を生物学的に関連する細胞型または関連する生物学的プロセスに合わせてカスタマイズすることができる。これに関連して、本発明のポリヌクレオチドは、栄養要求性ポリヌクレオチドと定義される。
【0488】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、表3及び表4から選択される1つ以上のヌクレオチド配列(例えば、いずれか1つもしくはそれより多くのmiRNA結合部位配列のコピー1つ以上)を含む、miRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは更に、表3及び表4から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれより多くの、同じまたは異なるmiRNA結合部位(例えば、それらの任意の組み合わせなど)含む。
【0489】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位はmiR-142に結合するか、またはmiR-142に対して相補的である。いくつかの実施形態において、miR-142は、配列番号73を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miR-142-3pまたはmiR-142-5pに結合する。いくつかの実施形態において、miR-142-3p結合部位は、配列番号75を含む。いくつかの実施形態において、miR-142-5p結合部位は、配列番号77を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、配列番号75または配列番号77に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは100%同一な、ヌクレオチド配列を含む。
【0490】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位はmiR-126に結合するか、またはmiR-126に対して相補的である。いくつかの実施形態において、miR-126は、配列番号142を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miR-126-3pまたはmiR-126-5pに結合する。いくつかの実施形態において、miR-126-3p結合部位は、配列番号144を含む。いくつかの実施形態において、miR-126-5p結合部位は、配列番号146を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、配列番号144または配列番号146に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは100%同一な、ヌクレオチド配列を含む。
【0491】
一実施形態において、3’UTRは、2つのmiRNA結合部位(miR-142に結合する第1のmiRNA結合部位、及びmiR-126に結合する第2のmiRNA結合部位)を含む。特定の実施形態において、miR-142及びmiR-126に結合する3’UTRは、配列番号105もしくは147の配列を含むか、この配列からなるか、または本質的にこの配列からなる。
【0492】
表3 miR-142、miR-126、miR-142結合部位、及びmiR-126結合部位
【表8】
【0493】
いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、ポリヌクレオチドの任意の位置(例えば、5’UTR及び/または3’UTR)で、本発明のポリヌクレオチド中に挿入される。いくつかの実施形態において、5’UTRは、miRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、3’UTRは、miRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、5’UTR及び3’UTRは、miRNA結合部位を含む。ポリヌクレオチド内の挿入部位は、対応するmiRNAの非存在下で機能的ポリペプチドの翻訳が妨げられない限り、及びmiRNAの存在下でポリヌクレオチド中にmiRNA結合部位を挿入してmiRNA結合部位の対応するmiRNAに結合したとしてもポリヌクレオチドを劣化させたりあるいはポリヌクレオチドの翻訳を妨げる可能性のない限り、ポリヌクレオチド内のどこにあってもよい。
【0494】
いくつかの実施形態において、ORFを含む本発明のポリヌクレオチド中のORFの終止コドンから少なくとも約30ヌクレオチド下流に、miRNA結合部位が挿入される。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド中のORFの終止コドンから少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約55ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約65ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約85ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約95ヌクレオチド、または少なくとも約100ヌクレオチド下流に、miRNA結合部位が挿入される。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド中のORFの終止コドンから約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約45ヌクレオチド~約65ヌクレオチド下流に、miRNA結合部位が挿入される。
【0495】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNA内のコード領域の停止コドンの直後にある3’UTR)内に、miRNA結合部位が挿入される。いくつかの実施形態において、コンストラクト内に終止コドンのコピーが複数存在する場合、miRNA結合部位の挿入先は、最後の終止コドンの直後となる。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位の挿入先は、終止コドンの更に下流となり、そこで終止コドンとmiR結合部位との間に3’UTR塩基が存在する。いくつかの実施形態において、3’UTR内のmiR用の3つの挿入部位の非限定的な例を、配列番号115、116及び117に示す。これらは、3’UTR内の3つの異なる可能な挿入部位のうちの1つに、miR-142-3p部位が挿入された3’UTR配列を示す。
【0496】
いくつかの実施形態において、1つ以上のmiRNA結合部位は、5’UTR内の1つ以上の可能な挿入部位に位置し得る。例えば、5’UTR内のmiR用の3つの挿入部位の非限定的な例を、配列番号120、121及び122に示す。これらは、5’UTR内の3つの異なる可能な挿入部位のうちの1つに、miR-142-3p部位が挿入された5’UTR配列を示す。
【0497】
一実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは終止コドンを含み、且つ少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、終止コドンの後の3’UTR1~100ヌクレオチド以内に位置する。一実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは終止コドンを含み、且つ免疫細胞内に発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は終止コドンの後の、3’UTR30~50ヌクレオチド以内に位置する。別の実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは終止コドンを含み、且つ免疫細胞内に発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は終止コドンの後の3’UTRの少なくとも50ヌクレオチド以内に位置する。他の実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは終止コドンを含み、且つ免疫細胞内に発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、終止コドンの直後の3’UTR内、終止コドンの後の3’UTR15~20ヌクレオチド以内、または終止コドンの後の3’UTR70~80ヌクレオチド以内に位置する。他の実施形態において、3’UTRは、2つ以上のmiRNA結合部位(例えば、2~4個のmiRNA結合部位)を含み、各miRNA結合部位間にスペーサ領域(例えば、10~100、20~70または30~50ヌクレオチド長)が存在し得る。別の実施形態において、3’UTRは、miRNA結合部位の末端とポリA尾部ヌクレオチドとの間にスペーサ領域を含む。例えば、miRNA結合部位の末端とポリA尾部ヌクレオチドとの間には、10~100ヌクレオチド長、20~70ヌクレオチド長、または30~50ヌクレオチド長のスペーサ領域が存在し得る。
【0498】
一実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは開始コドンを含み、少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンより1~100ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。一実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは開始コドンを含み、免疫細胞内に発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンより10~50ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。別の実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは開始コドンを含み、免疫細胞内に発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンより少なくとも25ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。他の実施形態において、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化されたオープンリーディングフレームは開始コドンを含み、免疫細胞内に発現するmiR用の少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、開始コドンの直前の5’UTR内、または開始コドンより15~20ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内、または開始コドンより70~80ヌクレオチド前(上流)の5’UTR内に位置する。他の実施形態において、5’UTRは、2つ以上のmiRNA結合部位(例えば、2~4個のmiRNA結合部位)を含み、各miRNA結合部位間にスペーサ領域(例えば、10~100、20~70または30~50ヌクレオチド長)が存在し得る。
【0499】
一実施形態において、3’UTRは2つ以上の終止コドンを含み、終止コドンの下流には少なくとも1つのmiRNA結合部位が位置する。例えば、3’UTRは、1つ、2つまたは3つの終止コドンを含み得る。使用できる三連終止コドンの非限定的な例として、UGAUAAUAG、UGAUAGUAA、UAAUGAUAG、UGAUAAUAA、UGAUAGUAG、UAAUGAUGA、UAAUAGUAG、UGAUGAUGA、UAAUAAUAA及びUAGUAGUAGが挙げられる。3’UTR内部では、例えば、miR-142-3p結合部位などの1、2、3もしくは4つのmiRNA結合部位は、終止コドン(複数)に直接隣接して、または終止コドンの下流の任意の数ヌクレオチドのところに位置し得る。3’UTR内部では、複数のmiRNA結合部位を含み、これらの結合部位は、コンストラクト内で互いに隣接して(すなわち、順番に)配置され得る。あるいは代わりにスペーサヌクレオチドが各結合部位の間に配置され得る。
【0500】
一実施形態において、3’UTRは、第3の終止コドンより下流に位置する単一のmiR-142-3p結合部位を有する3つの終止コドンを含む。3つの終止コドン、及び最終の終止コドンより下流の異なる位置に位置する単一のmiR-142-3p結合部位を有する3’UTR列配列の非限定的な例として、配列番号103、及び115~117に示す。
【0501】
表4 3’UTR、miR配列、及びmiR結合部位
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
終止コドン=太字
miR142-3p結合部位=下線
miR126-3p結合部位=太字の下線
miR155-5p結合部位=陰影付き
miR142-5p結合部位=陰影付き太字の下線
【0502】
一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、5’UTR、目的ポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレーム、免疫細胞内に発現したmiR用の少なくとも1つのmiRNA結合部位を含む3’UTR、及び連結ヌクレオシドの3’尾部領域を含む。様々な実施形態において、3’UTRは、免疫細胞内に発現したmiR、好ましくは免疫細胞内に豊富にまたは優先的に発現したmiR用のmiRNA結合部位を1~4個(少なくとも2つ、あるいは1つ、2つ、3つもしくは4つ)含む。
【0503】
一実施形態において、免疫細胞内に発現する少なくとも1つのmiRNAは、miR-142-3pマイクロRNA結合部位である。一実施形態において、miR-142-3pマイクロRNA結合部位は、配列番号82に示す配列を含む。一実施形態において、miR-142-3pマイクロRNA結合部位を含むmRNAの3’UTRは、配列番号81に示す配列を含む。
【0504】
一実施形態において、免疫細胞内に発現する少なくとも1つのmiRNAは、miR-126マイクロRNA結合部位である。一実施形態において、miR-126結合部位は、miR-126-3p結合部位である。一実施形態において、miR-126-3pマイクロRNA結合部位は、配列番号144に示す配列を含む。一実施形態において、miR-126-3pマイクロRNA結合部位を含む本発明のmRNAの3’UTRは、配列番号102に示す配列を含む。
【0505】
本開示のマイクロRNA結合部位(複数可)が結合し得るmiRの例示的配列としては、限定されるものではないが、以下の:miR-142-3p(配列番号83)、miR-142-5p(配列番号84)、miR-146-3p(配列番号85)、miR-146-5p(配列番号86)、miR-155-3p(配列番号87)、miR-155-5p(配列番号88)、miR-126-3p(配列番号89)、miR-126-5p(配列番号90)、miR-16-3p(配列番号91)、miR-16-5p(配列番号92)、miR-21-3p(配列番号93)、miR-21-5p(配列番号94)、miR-223-3p(配列番号95)、miR-223-5p(配列番号96)、miR-24-3p(配列番号97)、miR-24-5p(配列番号98)、miR-27-3p(配列番号99)及びmiR-27-5p(配列番号100)が挙げられる。免疫細胞内に発現する他の好適なmiR配列、例えば免疫細胞内に豊富にまたは優先的に発現するmiR配列は、当該技術分野(例えば、マンチェスター大学のマイクロRNAデータベースであるmiRBase)において公知であり利用可能である。前述のmiRのいずれかと結合する部位は、miRに対するワトソン-クリック相補性(典型的にはmiRに対する100%相補性)に基づいてデザインされ、本明細書中に記載されているように本開示のmRNAコンストラクトに挿入することができる。
【0506】
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、及びその3’UTRなどのmRNA)は、少なくとも1つのmiRNA結合部位を含み、それにより、例えば、IgMの産生を低減または阻害することにより(例えば、B細胞による、PEGに対する加速的血中クリアランスを低減少または阻害する、及び/またはpDCの増殖及び/または活性化を低減または阻害することができ、目的のコードされたタンパク質の組織発現を調節するための、少なくとも1つのmiRNA結合部位を含み得る。
【0507】
miRNA遺伝子調節は、限定されないが、周囲の配列の種、配列の型(異種、相同、外因性、内在性もしくは人工)、周囲の配列内の調節エレメント及び/または周囲の配列内の構造エレメントなどのmiRNAを囲繞する配列による影響を受ける場合がある。miRNAは、5’UTR及び/または3’UTRによる影響を受ける場合がある。非限定的な例として、非ヒト3’UTRは、同じ配列型のヒト3’UTRと比較して、miRNA配列が目的ポリペプチドの発現に対して及ぼす調節効果を増強させ得る。
【0508】
一実施形態において、5’UTRの他の調節エレメント及び/または構造エレメントは、miRNA媒介性遺伝子調節に影響する場合がある。制御エレメント及び/または構造エレメントの一例は、5’UTR中の構造化IRES(内部リボソーム侵入部位)であり、タンパク質翻訳を開始するに当たって、翻訳伸長因子の結合に必要とされる。5’UTR内のこの二次構造エレメントに対するEIF4A2の結合は、miRNA媒介性遺伝子の発現に必要である(その全体が本明細書中に参照により組み込まれるMeijer HA et al.,Science,2013,340,82-85)。本発明のポリヌクレオチドは更に、この構造化5’UTRを含むことにより、マイクロRNA媒介性遺伝子調節を増強することができる。
【0509】
少なくとも1つのmiRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRへ操作することができる。これに関連して、少なくとも2つ、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれより多くのmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRへ操作することができる。例えば1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2、または1つのmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRへ操作することができる。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれたmiRNA結合部位は、同じまたは異なるmiRNA部位であり得る。本発明のポリヌクレオチドに組み込まれた種々なmiRNA結合部位の組み合わせとしては、異なるmiRNA部位のいずれかの、1を超えるコピーが組み込まれている組み合わせを挙げることができる。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNA結合部位は、体内の同じ組織または異なる組織に対して標的とする場合もある。非限定例として、本発明のポリヌクレオチドの3’UTR内に組織、細胞型または疾患特異的miRNA結合部位を導入することにより、特定の細胞型(例えば、骨髄細胞、内皮細胞)内での発現の度合いを低減することができる。
【0510】
一実施形態において、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチド中の3’UTRの5’末端付近に、3’UTRの5’末端と3’末端との間の約半分のところに、及び/または3’UTRの3’末端の付近へ操作され得る。非限定的な例として、miRNA結合部位は、3’UTRの5’末端付近に、及び3’UTRの5’末端と3’末端との間の約半分のところへ操作され得る。別の非限定的な例として、miRNA結合部位は、3’UTRの3’末端付近に、及び3’UTRの5’末端と3’末端との間の約半分のところへ操作され得る。更に別の非限定的な例として、miRNA結合部位は、3’UTRの5’末端付近に、及び3’UTRの3’末端付近へ操作され得る。
【0511】
別の実施形態において、3’UTRは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のmiRNA結合部位を含み得る。miRNA結合部位は、miRNA、miRNAシード配列、及び/またはシード配列に隣接するmiRNA配列に対して相補的であり得る。
【0512】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドの発現は、少なくとも1つのセンサー配列をポリヌクレオチドに組み込み、投与用にポリヌクレオチドを製剤化することによって制御できる。非限定例として、本発明のポリヌクレオチドは、miRNA結合部位を組み込み、本明細書に記載の脂質のいずれかを含むイオン性脂質を含む脂質ナノ粒子中にポリヌクレオチドを配合することにより、組織または細胞を標的とすることができる。
【0513】
本発明のポリヌクレオチドは、異なる組織、細胞型、または生物学的状態におけるmiRNAの発現パターンに基づいて、特定の組織、細胞型もしくは生物学的状態において標的化を強化した発現用にエンジニアリングすることもできる。組織特異的miRNA結合部位を導入することによって、本発明のポリヌクレオチドは、組織もしくは細胞内でのタンパク質発現を最適なものとする目的で、または生物学的状態という観点からデザインできる。
【0514】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、公知のmiRNAシード配列に対して100%の同一性、またはmiRNAシード配列に対して100%未満の同一性を有するmiRNA結合部位が組み込まれるようにデザインすることができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、公知のmiRNAシード配列に対して少なくとも:60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するmiRNA結合部位が組み込まれるようにデザインすることができる。miRNAシード配列は、miRNA結合親和性を低下させることで結果としてポリヌクレオチドのダウンモジュレーションが低減するように、ある特定の程度変異させることができる。本質的に、miRNA結合部位とmiRNAシードとの間の一致または不一致の度合いは、miRNAのタンパク質発現調節機能を細かく調整するための可変抵抗器として作用することができる。加えて、miRNA結合部位の非シード領域内での変異はまた、miRNAのタンパク質発現調節機能に影響を及ぼす可能性がある。
【0515】
一実施形態において、miRNA配列は、ステムループのステムへの組み込みが可能である。
【0516】
別の実施形態において、miRNAシード配列をステムループのステム内に組み込むことができ、miRNA結合部位をステムループの5’ステム内または3’ステム内に組み込むことができる。
【0517】
一実施形態では、翻訳エンハンサーエレメント(TEE)をステムループのステムの5’末端内に組み込むことができ、miRNAシードをステムループのステム内に組み込むことができる。別の実施形態では、TEEをステムループのステムの5’末端内に組み込むことができ、miRNAシードをステムループのステム内に組み込むことができ、miRNA結合部位をステムの3’末端内に、またはステムループの後の配列内に組み込むことができる。miRNAシード及びmiRNA結合部位は、同じ及び/または異なるmiRNA配列に対応し得る。
【0518】
一実施形態において、miRNA配列及び/またはTEE配列の取り込みによって、ステムループ領域の形状を変化させ、翻訳を増強し、及び/または低減させることができる(例えば、その全体が本明細書中に参照により組み込まれるKedde et al.,"A Pumilio-induced RNA structure switch in p27-3’UTR controls miR-221 and miR-22 accessibility.“Nature Cell Biology.2010を参照のこと)。
【0519】
一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドの5’UTRは、少なくとも1つのmiRNA配列を含み得る。miRNA配列は、限定されるものではないが、19または22ヌクレオチド配列及び/またはmiRNA配列(シードなし)であり得る。
【0520】
一実施形態では、本発明の本明細書に記載のポリヌクレオチドを安定化させることを目的に、5’UTR内のmiRNA配列が使用され得る。
【0521】
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドの5’UTR内のmiRNA配列を使用することで、限定されないが開始コドンなどの翻訳開始部位へのアクセスを低減させることができる。例えば、その全体が本明細書中に参照により組み込まれるMatsuda et al.,PLoS One.2010 11(5):e15057を参照のこと。Matsudaらは、開始コドンの周りにアンチセンスロック核酸(LNA)オリゴヌクレオチド及びエキソン接合部複合体(EJC)を用い、(-4~+37;AUGコドンのAは+1)、最初の開始コドン(AUG)へのアクセシビリティを低減させた。Matsudaが明らかにしたとことによれば、LNAまたはEJCを用いて開始コドン周辺の配列を変更すると、ポリヌクレオチドの効率、長さ及び構造安定性に影響が及ぶ。本発明のポリヌクレオチドは、Matsudaらによって記載されたLNAまたはEJC配列でなく、miRNA配列を翻訳開始部位近くに含めることで、翻訳開始部位へのアクセスを低減させることができる。翻訳開始部位は、miRNA配列の前、後またはその中に存在する場合がある。非限定例として、翻訳開始部位は、miRNA配列、例えばシード配列または結合部位の内部に位置し得る。
【0522】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドには、抗原提示細胞による抗原提示を低減させるための、少なくとも1つのmiRNAを含めることができる。miRNAは、完全なmiRNA配列、miRNAシード配列、miRNA配列(シードなし)、またはそれらの組み合わせであり得る。非限定的な例として、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNAは、造血系に特異的であり得る。別の非限定的な例として、抗原提示の低減を目的として本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNAは、miR-142-3pである。
【0523】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドには、目的の組織または細胞内でのコードされたポリペプチドの発現を低減させるため少なくとも1つのmiRNAを含めることができる。非限定的な例として、本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つのmiR-142-3p結合部位、miR-142-3pシード配列、miR-142-3p結合部位(シードなし)、miR-142-5p結合部位、miR-142-5pシード配列、miR-142-5p結合部位(シードなし)、miR-146結合部位、miR-146シード配列及び/またはmiR-146結合部位(シード配列なし)を含めることができる。
【0524】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞中のmRNA治療剤を選択的に分解するための少なくとも1つのmiRNA結合部位を3’UTRに含めることで、治療的送達によって引き起こされる望ましくない免疫原性反応を抑制することができる。非限定例として、miRNA結合部位が、抗原提示細胞内の本発明のポリヌクレオチドの不安定度を高め得る。それらのmiRNAの非限定的な例として、mir-142-5p、mir-142-3p、mir-146a-5p、及びmir-146-3pが挙げられる。
【0525】
一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、RNA結合タンパク質と相互作用し得るポリヌクレオチドの領域内に少なくとも1つのmiRNA配列を含む。
【0526】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)は、(i)シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそれらのバリアント)をコードする配列最適化されたORFなどのヌクレオチド配列、ならびに(ii)miRNA結合部位(例えば、miR-142に結合するmiRNA結合部位、及び/またはmiR-126に結合するmiRNA結合部位)を含む。
【0527】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列、及び本明細書中に開示されるmiRNA結合部位、例えば、miR-142に結合するmiRNA結合部位、及び/またはmiR-126に結合するmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるポリペプチドをコードするウラシル修飾配列、及び本明細書中に開示されるmiRNA結合部位、例えばmiR-142、miR-126、miR-142、miR-144、miR-146、miR-150、miR-155、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27またはmiR-26aに結合するmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、miRNA結合部位は、miR126-3p、miR-142-3p、miR-142-5p、またはmiR-155に結合する。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるポリペプチドをコードするウラシル修飾配列と、少なくとも2つの異なるマイクロRNA結合部位と、を含み、ここで、マイクロRNAは、造血系統の免疫細胞内に発現するか、あるいはTLR7及び/またはTLR8を発現し炎症促進性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する細胞内に発現し、且つポリヌクレオチドは、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、少なくとも1つの化学修飾された核酸塩基、例えば、5-メトキシウラシルを含む。いくつかの実施形態において、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中の核酸塩基の一種(例えば、ウラシル)の少なくとも95%は、修飾核酸塩基である。いくつかの実施形態において、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中のウラシルの少なくとも95%は、5-メトキシウリジンである。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される、例えばmiRNA結合部位を含む(例えばmRNAのようなRNAなどの)ポリヌクレオチドは、例えば式(I)を有する化合物、例えば化合物1~232のいずれか(例えば化合物18);式(III)、(IV)、(V)もしくは(VI)を有する化合物、例えば化合物233~342のいずれか(例えば化合物236);あるいは式(VIII)の化合物である、例えば化合物419~428のいずれか(例えば化合物428);またはそれらの任意の組み合わせを含む送達剤を用いて製剤化される。いくつかの実施形態において、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428(例えば、モル比を約50:10:38.5:1.5としたもの)を含む。
【0528】
13.3’UTR
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチド)は更に、3’UTRを含む。
【0529】
3’UTRは、翻訳終止コドンのすぐ後に続くmRNAのセクションであり、多くの場合、転写後に遺伝子発現に対し影響を与える調節領域を含む。3’UTR内の調節領域は、mRNAのポリアデニル化、翻訳効率、局在化、及び安定性に影響を及ぼす可能性がある。一実施形態において、本発明に有用な3’UTRは、調節タンパク質またはマイクロRNAに対する結合部位を含む。ある特定の実施形態において、本発明に有用な3’UTRのポリヌクレオチドは、配列番号48~72、80、81、102~105、108~117、124、125、147~157、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、3’UTRは、配列番号105、147、148、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、3’UTRは、配列番号147の核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、3’UTRは、配列番号148の核酸配列を含む。
【0530】
ある特定の実施形態において、本発明に有用な3’UTR配列は、配列番号48-72、80、81、102~105、108~117、124、125、147-157、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される配列に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0531】
14.5’キャップを有する領域
本発明はまた、5’キャップと本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含む、ポリヌクレオチドを含む。
【0532】
天然mRNAの5’キャップ構造は、核輸送に関与し、mRNAの安定性を増強させ、CBPとポリA結合タンパク質との会合を介して細胞内でmRNA安定性に対する責務を担うmRNAキャップ結合タンパク質(CBP)と結合することによって、成熟した環状mRNA種を形成する。キャップは更に、mRNAのスプライシング中に5’近位イントロンを除去する一助となる。
【0533】
内因性mRNA分子の5’末端キャップによって、末端グアノシンキャップ残基とmRNA分子の5’末端転写センスヌクレオチドとの間に5’-ppp-5’-トリホスフェート結合が生ずる場合がある。続いて、この5’-グアニレートキャップがメチル化されると、N7-メチル-グアニレート残基が生成される場合があり、また、mRNAの5’末端及び/または末端前転写ヌクレオチドのリボース糖も、任意に2’-O-メチル化され得る。グアニレートキャップ構造の加水分解及び切断を介した5’デキャップによって、mRNA分子などの核酸分子を分解の標的とすることができる。
【0534】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)には、キャップ残基が組み込まれている。
【0535】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)に非加水分解性キャップ構造を具備させることで、デキャップが防止され、結果として、mRNA半減期が延びる。キャップ構造の加水分解では5’-ppp-5’ホスホロジエステル結合の切断が必要とされるので、キャッピング反応中に修飾ヌクレオチドが使用され得る。例えば、New England Biolabs(Ipswich,MA)製のワクシニアキャッピング酵素を、メーカーの指示に従ってα-チオ-グアノシンヌクレオチドと併用することで、5’-ppp-5’キャップ中にホスホロチオエート結合を生ずることができる。追加的な修飾グアノシンヌクレオチド、例えばαメチル-ホスホネート及びセレノ-フォスフェートヌクレオチドを使用することもできる。
【0536】
更なる修飾としては、限定されるものではないが、糖環の2’-ヒドロキシル基上での(上記)ポリヌクレオチドの5’末端及び/または5’末端前ヌクレオチドのリボース糖の2’-O-メチル化が挙げられる。複数の異なる5’キャップ構造を用いることによって、mRNA分子として機能するポリヌクレオチドなどの、核酸分子の5’キャップを生成することができる。本明細書において、キャップ類縁体は、合成キャップ類似体、化学的キャップ、化学的キャップ類似体、または構造的もしくは機能的キャップ類似体とも呼ばれ、キャップ機能を保持しているが、その化学構造は天然の(すなわち、内因性、野生型もしくは生理学的)5’キャップとは異なる。キャップ類縁体は、本発明のポリヌクレオチドに化学的に(すなわち非酵素的に)または酵素的に合成し、及び/または本発明のポリヌクレオチドに結合することができる。
【0537】
例えば、抗逆方向キャップ類似体(ARCA)キャップには、5’-5’-トリフォスフェート基によって連結された2つのグアニンが含まれており、1つのグアニンには、N7メチル基と、3’-O-メチル基(すなわち、N7,3’-O-ジメチル-グアノシン-5’-トリフォスフェート-5’-グアノシン(mG-3’mppp-G)と、が含有されている。後者は等価的に3’O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G)と称され得る。他方の修飾されていないグアニン3’-O原子は、キャップ付きポリヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに連結されるようになる。N7-及び3’-O-メチル化グアニンによって、キャップ付きポリヌクレオチドの末端部分が提供される。
【0538】
例示的なキャップとしては、他にも、mCAPがある。このmCAPは、ARCAに類似しているが、グアノシン(すなわち、N7,2’-O-ジメチル-グアノシン-5’-トリフォスフェート-5’-グアノシン、mGm-ppp-G)上に、2’-O-メチル基を有する。
【0539】
いくつかの実施形態において、キャップは、ジヌクレオチドキャップ類縁体である。ジヌクレオチドキャップ類似体の非限定的な例として、米国特許第US8,519,110号において記載されているジヌクレオチドキャップ類似体のような、ボラノホスフェート基またはホスホロセレノエート基を用いて異なるホスフェート位置で修飾することができる。本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。
【0540】
別の実施形態において、キャップは、当該技術分野において公知の、及び/または本明細書に記載されているN7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチド形態のキャップ類似体である。N7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチド(dicucleotide)形態のキャップ類似体の非限定的な例として、N7-(4-クロロフェノキシエチル)-G(5’)ppp(5’)G、及びN7-(4-クロロフェノキシエチル)-m3’-OG(5’)ppp(5’)Gキャップ類縁体が挙げられる(例えば、Kore et al.Bioorganic & Medicinal Chemistry 2013 21:4570-4574に記載されている種々のキャップ類縁体及びキャップ類縁体の合成方法を参照のこと。本文献の全容は、本明細書中に参照により組み込まれる)。別の実施形態において、本発明のキャップ類縁体は、4-クロロ/ブロモフェノキシエチル類似体である。
【0541】
キャップ類似体は、ポリヌクレオチドまたはその領域に対する同時的キャップ付加を可能にするが、in vitro転写反応では、転写産物のうち、キャップされていないままの状態に維持される可能性のあるものが最高20%にも及ぶ。上記のことと、内因性細胞転写機構を介して産生された核酸の内因性5’キャップ構造に起因するキャップ類似体の構造上の相違とが相俟って、翻訳能力の低下及び細胞安定性の低下をももたらす可能性がある。
【0542】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)はまた、製造後(IVTかそれとも化学合成かを問わず)に酵素を使用してキャップ付加することによって、高真正性5’キャップ構造を生成することができる。本明細書において「高真正性」という語句は、内因性または野生型特徴を、構造的にもしくは機能的に、密接に反映するかあるいは模倣する特徴を指す。つまり、「高真正性」特徴とは、先行技術の合成の特徴または類似体などと比較して、内因性、野生型、天然もしくは生理学的な細胞機能及び/または構造に優れているか、あるいは1つ以上の点で対応する内因性、野生型、天然もしくは生理学的特徴よりも優れているものの代表例である。限定されるものではないが、本発明の高真正性5’キャップ構造の例としては、当該技術分野において公知の合成5’キャップ構造と比較して(または野性型、天然型または生理学的な5’キャップ構造と比較して)、キャップ結合タンパク質の結合が強化され、半減期が延び、5’エンドヌクレアーゼに対する感受性が低減され、及び/または5’デキャップが低減されている。例えば、組み換えワクシニアウイルスキャッピング酵素及び組み換え2’-O-メチルトランスフェラーゼ酵素は、例えば当該技術分野において公知の他の5’キャップアナログ構造に対して、ポリヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドとグアニンキャップヌクレオチドとの間に標準5’-5’-トリフォスフェート結合を生成し得る。キャップグアニンにはN7メチル化が含まれ、mRNANの5’末端ヌクレオチドには、2’-O-メチルが含まれる。そのような構造は、キャップ1構造と呼ばれる。このキャップは、例えば、当該技術分野において公知の他の5’キャップアナログ構造と比較して、翻訳能力の向上、細胞安定性の増強、及び細胞性炎症性サイトカインの活性化の低下をもたらす。キャップ構造としては、限定されるものではないが、7mG(5’)ppp(5’)N,pN2p(キャップ0)、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp(キャップ1)、及び7mG(5’)-ppp(5’)NlmpN2mp(キャップ2)が挙げられる。
【0543】
非限定的な例として、製造後のキメラポリヌクレオチドのキャッピングは、キメラポリヌクレオチドのほぼ100%をキャップするほど、効率が高くなり得る。これは、in vitro転写反応の過程でキャップ類似体がキメラポリヌクレオチドに連結されている場合、対照的に約80%である。
【0544】
本発明によれば5’末端キャップは、内因性キャップまたはキャップ類縁体を含み得る。本発明によれば5’末端キャップは、グアニン類似体を含み得る。有用なグアニン類似体としては、限定されるものではないが、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、及び2-アジド-グアノシンが挙げられる。
【0545】
15.ポリA尾部
いくつかの実施形態において、本開示のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は更に、ポリA尾部を含む。更なる実施形態では、安定化を期して、ポリA尾部上に末端基が組み込まれる場合がある。他の実施形態において、ポリA尾部はdes-3’ヒドロキシル尾部を含む。
【0546】
長鎖アデニンヌクレオチド(ポリA尾部)をmRNA分子などのポリヌクレオチドに付加されると、RNAプロセシング中の安定性増強が可能になる。転写直後に、転写物の3’末端が切断して、3’ヒドロキシルが遊離し得る。その場合、ポリAポリメラーゼによって、アデニンヌクレオチドの鎖がRNAに付加される。ポリアデニル化と呼ばれるこのプロセスによって、例えば、およそ80~およそ250残基長(およそ80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250残基長など)のポリA尾部が付加され得る。
【0547】
また、コンストラクトが核からエクスポートされた後に、ポリA尾部が付加され得る。
【0548】
本発明によれば、安定化を期して、ポリA尾部上に末端基が組み込まれる場合がある。本発明のポリヌクレオチドは、des-3’ヒドロキシル尾部を含み得る。また、その全容体本明細書中に参照により組み込まれるJunjie Li,et al.(Current Biology,Vol.15,1501-1507,August 23,2005によって教示されているような構造的残基または2’-O-メチル修飾を含む場合もある。
【0549】
本発明のポリヌクレオチドは、ヒストンmRNAを含む代替のポリA尾部構造を有する転写物がコードされるように、デザインできる。Norburyによれば、「末端ウリジル化はまた、ヒト複製依存性ヒストンmRNA上でも検出されてきた。それらmRNAのターンオーバーは、染色体DNA複製が完了したかまたは阻害された後に有毒なヒストンが蓄積される可能性を未然に防止するうえで、重要であると考えられている。これらのmRNAは、3’ポリ(A)尾部が欠如している点で判別され、代わりに、その機能は、安定なステムループ構造及びその同族のステムループ結合タンパク質(SLBP)によって担われる、後者はポリアデニル化されたmRNAのPABPと同じ機能を遂行する」(Norbury,“Cytoplasmic RNA:a case of the tail wagging the dog”,Nature Reviews Molecular Cell Biology;AOP,published online 29 August 2013;doi:10.1038/nrm3645);本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる。
【0550】
独自のポリA尾部の長さにより、本発明のポリヌクレオチドに対しある特定の恩恵がもたらされる。ポリA尾部(存在する場合)の長さは、概ね30ヌクレオチド長を超える。別の実施形態において、ポリA尾部は、35ヌクレオチド長を超える(例えば、少なくとも約35ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、45ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、55ヌクレオチド長、60ヌクレオチド長、70ヌクレオチド長、80ヌクレオチド長、90ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、120ヌクレオチド長、140ヌクレオチド長、160ヌクレオチド長、180ヌクレオチド長、200ヌクレオチド長、250ヌクレオチド長、300ヌクレオチド長、350ヌクレオチド長、400ヌクレオチド長、450ヌクレオチド長、500ヌクレオチド長、600ヌクレオチド長、700ヌクレオチド長、800ヌクレオチド長、900ヌクレオチド長、1,000ヌクレオチド長、1,100ヌクレオチド長、1,200ヌクレオチド長、1,300ヌクレオチド長、1,400ヌクレオチド長、1,500ヌクレオチド長、1,600ヌクレオチド長、1,700ヌクレオチド長、1,800ヌクレオチド長、1,900ヌクレオチド長、2,000ヌクレオチド長、2,500ヌクレオチド長及び3,000ヌクレオチド長またはそれより長い)。
【0551】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドまたはその領域は、約30~約3,000ヌクレオチド(例えば、30~50、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,000、30~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50~250、50~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~2,000、50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、100~1,000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、100~3,000、500~750、500~1,000、500~1,500、500~2,000、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、1,000~2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,500~2,000、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~3,000、2,000~2,500、及び2,500~3,000ヌクレオチド)を含む。
【0552】
いくつかの実施形態において、ポリA尾部は、ポリヌクレオチド全体の長さまたはポリヌクレオチドの特定領域の長さに関連してデザインされている。このデザインは、コーディング領域の長さ、特定の特徴もしくは領域の長さ、またはポリヌクレオチドから発現する最終産物の長さに基づくものとしてもよい。
【0553】
これに関連して、ポリA尾部は、ポリヌクレオチドまたはその特徴よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%長い場合がある。また、ポリA尾部を、そのポリA尾部の属するポリヌクレオチドの一部としてデザインしてもよい。これに関連して、ポリA尾部は、コンストラクトの全長の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%もしくはそれを超える長さである場合もあれば、あるいはコンストラクト領域またはコンストラクトの全長からポリA尾部を減じた長さである場合もある。更に、ポリA結合タンパク質用に操作された結合部位、及びポリヌクレオチドの共役によって、発現の増強が可能となる。
【0554】
加えて、ポリA尾部の3’末端における修飾ヌクレオチドを使用して、PABP(ポリA結合タンパク質)を介して3’末端経由で、複数の異なるポリヌクレオチドを一体的に連結することができる。関連する細胞株においてトランスフェクション実験を実施できる。トランスフェクション後12時間目、24時間目、48時間目、72時間目及び7日目に、タンパク質の産生をELISAでアッセイしてもよい。
【0555】
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、ポリA-Gカルテット領域を含むようにデザインされている。G-カルテットは、DNA及びRNAの両方においてGに富む配列を介して形成可能な4つのグアニンヌクレオチドの環状水素結合アレイである。本実施形態において、G-カルテットはポリA尾部の末端内に組み込まれている。結果として得られたポリヌクレオチドを、安定性、タンパク質の産生、及び他のパラメータ(様々な時点における半減期など)に関してアッセイする。これまで発見されているように、ポリA-Gカルテットを組み込んだことによってmRNAからタンパク質が産生される。この産生は、120ヌクレオチド単独のポリA尾部を用いて確認されたmRNAの少なくとも75%に相当する。
【0556】
16.開始コドン領域
本発明はまた、開始コドン領域、及び本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含むポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、開始コドン領域に類似する領域、または開始コドン領域と同様に機能する領域を有し得る。
【0557】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドの翻訳は、開始コドンAUG以外のコドン上で開始され得る。ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドン(例えば、限定されるものではないが、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUG)上で開始され得る(Touriol et al.Biology of the Cell 95(2003)169-178及びMatsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照;それらの各文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる)。
【0558】
ポリヌクレオチドの翻訳の非限定的な例として、代替の開始コドンACG上で開始されるものが挙げられる。もう1つのポリヌクレオチドの翻訳の非限定的な例として、代替の開始コドンCTGまたはCUG上で開始されるものが挙げられる。更に別のポリヌクレオチドの翻訳の非限定的な例として、代替の開始コドンGTGまたはGUG上で開始されるものが挙げられる。
【0559】
翻訳を開始するコドンに隣接するヌクレオチド(例えば、限定されるものではないが、開始コドンまたは代替の開始コドン)は、ポリヌクレオチドの翻訳効率、長さ及び/または構造に影響を及ぼすことが知られている。(例えば、Matsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照のこと。本文献の全容は、本明細書中に参照により組み込まれる)。翻訳を開始するコドンに隣接するヌクレオチドのいずれかをマスキングすることにより、ポリヌクレオチドの翻訳開始位置、翻訳効率、長さ及び/または構造を変更できる。
【0560】
いくつかの実施形態では、開始コドンまたは代替の開始コドン付近にマスキング剤を使用してコドンをマスキングまたは隠蔽することによって、マスキングされた開始コドンまたは代替の開始コドンの翻訳開始確率を低下させることができる。マスキング剤の非限定的な例として、アンチセンスロック核酸(LNA)ポリヌクレオチド及びエキソン接合部複合体(EJC)が挙げられる(例えば、Matsuda and Mauroによるマスキング剤LNAポリヌクレオチド及びEJCに関する記述(PLoS ONE,2010 5:11)を参照のこと。本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる)。
【0561】
別の実施形態では、マスキング剤を使用してポリヌクレオチドの開始コドンをマスキングすることにより、翻訳が代替の開始コドン上で開始される可能性を高めることができるし、いくつかの実施形態では、マスキング剤を使用して第1の開始コドンまたは代替の開始コドンをマスキングして、開始コドンまたはマスキングされた開始コドンまたは代替開始コドンより下流の代替開始コドン上で翻訳が開始される可能性を高めることができる。
【0562】
いくつかの実施形態において、開始コドンまたは代替の開始コドンは、miRNA結合部位に対する完全補完体の内部に位置し得る。miRNA結合部位に対する完全補完体は、マスキング剤と同様にポリヌクレオチドの翻訳、長さ及び/または構造を制御する一助となり得る。開始コドンまたは代替の開始コドンの非限定的な例として、miRNA結合部位に対する完全補完体の中央に位置し得るものを挙げることができる。開始コドンまたは代替開始コドンは、第1ヌクレオチド、第2ヌクレオチド、第3ヌクレオチド、第4ヌクレオチド、第5ヌクレオチド、第6ヌクレオチド、第7ヌクレオチド、第8ヌクレオチド、第9ヌクレオチド、第10ヌクレオチド、第11ヌクレオチド、第12ヌクレオチド、第13ヌクレオチド、第14ヌクレオチド、第15ヌクレオチド、第16ヌクレオチド、第17ヌクレオチド、第18ヌクレオチド、第19ヌクレオチド、第20ヌクレオチドまたは第21ヌクレオチドの後に位置し得る。
【0563】
別の実施形態では、ポリヌクレオチドの開始コドンをポリヌクレオチド配列から除去することによって、その開始コドン以外のコドン上で、ポリヌクレオチドの翻訳を開始することが可能になり、その除去された開始コドンの後に続くコドン上で、下流の開始コドン上で、または代替の開始コドン上で、ポリヌクレオチドの翻訳を開始できる。非限定的な例では、開始コドンATGまたはAUGをポリヌクレオチド配列の最初の3ヌクレオチドとして除去することによって、下流の開始コドン上でまたは代替の開始コドン上で、翻訳が開始されるようになる。開始コドンが除去されたポリヌクレオチド配列内に、下流の開始コドン及び/または代替の開始コドン用に少なくとも1つのマスキング剤を更に含めることによって、翻訳の開始、ポリヌクレオチドの長さ、及び/またはポリヌクレオチドの構造を制御するかあるいはその制御を試みることができる。
【0564】
17.終止コドン領域
本発明はまた、終止コドン領域、及び本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含むポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、3’非翻訳領域(UTR)の前に少なくとも2つの終止コドンを含み得る。DNAの場合はTGA、TAA及びTAGからコドンを選択することができ、RNAの場合はUGA、UAA及びUAGから終止コドンを選択することができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、DNAの場合は終止コドンTGA、またはRNAの場合は終止コドンUGA、及び1つの追加的な終止コドンを含む。更なる実施形態において、追加的な終止コドンは、TAAまたはUAAであり得る。別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、3つの連続的終止コドン、4つの終止コドン、またはそれより多くの終止コドンを含む。
【0565】
18.挿入及び置換
本発明はまた、挿入及び/または置換を含んだ本開示のポリヌクレオチドを更に含む。
【0566】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドの5’UTRは、同じ塩基のヌクレオシドの少なくとも1つの領域及び/またはストリングの挿入によって置換可能である。ヌクレオシドの領域及び/またはストリングは、限定されるものではないが、少なくとも3ヌクレオチド、少なくとも4ヌクレオチド、少なくとも5ヌクレオチド、少なくとも6ヌクレオチド、少なくとも7または少なくとも8ヌクレオチドを含む場合があり、且つこのヌクレオチドは天然及び/または非天然のものであり得る。ヌクレオチドの基の非限定的な例として、5~8個のアデニン、シトシン、チミン、本明細書中に開示される他のヌクレオチドのいずれかのストリング、及び/またはそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0567】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの領域及び/または2つの異なる塩基のヌクレオチドのストリング(例えば、限定されるものではないが、本明細書中に開示されるアデニン、シトシン、チミン、他のヌクレオチドのいずれか、及び/またはそれらの組み合わせ)を挿入することによって、ポリヌクレオチドの5’UTRが置換され得る。例えば、まず5~8個のアデニン塩基を挿入してから5~8個のシトシン塩基を挿入することによって、5’UTRが置換され得る。別の実施例では、まず5~8個のシトシン塩基を挿入してから5~8個のアデニン塩基を挿入することによって、5’UTRが置換され得る。
【0568】
いくつかの実施形態においてポリヌクレオチドは、RNAポリメラーゼに認識できる転写開始部位の下流に、少なくとも1つの置換及び/または挿入を含み得る。非限定例として、少なくとも1つの置換及び/または挿入は、少なくとも1つ(例えば、限定されるものではないが、+1~+6)の核酸を置換することによって、転写開始部位のすぐ下流の領域内に発生し得る。転写開始部位のすぐ下流のヌクレオチドの領域への変化は、開始速度に影響を及ぼし、見かけのヌクレオチド三リン酸(NTP)反応定数値を増強させ、転写複合体の初期転写を矯正する短い転写物の解離を増強させる(その全体が、本明細書中に参照により組み込まれるBrieba et al,Biochemistry(2002)41:5144-5149)。少なくとも1つのヌクレオシドの修飾、置換及び/または挿入によって、配列のサイレント変異が引き起こされ得、あるいはアミノ酸配列内に変異が引き起こされ得る。
【0569】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、転写開始部位の下流にて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12または少なくとも13グアニン塩基の置換を含み得る。
【0570】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、転写開始部位のすぐ下流の領域内にて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6グアニン塩基の置換を含み得る。非限定的な例として、領域中のヌクレオチドがGGGAGAである場合、グアニン塩基を、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つのアデニンヌクレオチドで置換可能である。別の非限定的な例では、領域中のヌクレオチドがGGGAGAである場合、グアニン塩基を、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つのシトシン塩基で置換可能である。別の非限定的な例では、領域中のヌクレオチドがGGGAGAである場合、グアニン塩基を、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つのチミンで、及び/または本明細書に記載のヌクレオチドのいずれかで、置換可能である。
【0571】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの置換及び/または挿入を、開始コドンの上流に含む場合がある。明確にするため記すと、開始コドンがタンパク質コーディング領域の最初のコドンである一方、転写開始部位は転写が開始する部位である。このことは、当業者に理解されるであろう。ポリヌクレオチドは、限定されるものではないが、ヌクレオチド塩基を少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6、少なくとも7つまたは少なくとも8つ置換及び/または挿入することを含み得る。ヌクレオチド塩基は、1つ、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは少なくとも5つの位置を、開始コドンの上流に挿入または置換し得る。挿入及び/または置換されたヌクレオチドは、同じ塩基(例えば、全てのAまたは全てのCまたは全てのTまたは全てのG)、2つの異なる塩基(例えば、A及びC、A及びT、またはC及びT)、3つの異なる塩基(例えば、A、C及びTまたはA、C及びT)または少なくとも4つの異なる塩基であり得る。
【0572】
非限定的な例として、ポリヌクレオチド中のコーディング領域の上流にあるグアニン塩基は、アデニン、シトシン、チミン、または本明細書に記載のヌクレオチドのいずれかで置換可能である。別の非限定的な例において、ポリヌクレオチド中のグアニン塩基の置換は、転写開始部位の下流にあって開始コドンの前にある領域に1つのグアニン塩基を残すようにデザインすることができる(Esvelt et al.Nature(2011)472(7344):499-503を参照のこと。本文献の全容は本明細書中に参照により組み込まれる)。非限定的な例として、少なくとも5ヌクレオチドを転写開始部位の下流の1つの位置に開始コドンの上流に挿入することができ、少なくとも5ヌクレオチドは同じ塩基型であり得る。
【0573】
19.シトリンポリペプチドをコードするmRNAを含むポリヌクレオチド
ある特定の実施形態において、本開示のポリヌクレオチド、例えば、シトリンポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、5’末端から3’末端で:
(i)上記の5’キャップ、
(ii)5’UTR、例えば上記の配列、
(iii)シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、例えば、本明細書中に開示されるシトリンをコードする配列最適化された核酸配列、
(iv)少なくとも1つの終止コドン、
(v)3’UTR、例えば上記の配列、及び
(vi)上記のポリA尾部を含む。
【0574】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは更に、miRNA結合部位、例えば、miRNA-142に結合するmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態において、5’UTRは、miRNA結合部位を含む。
【0575】
いくつかの実施形態において、本開示のポリヌクレオチドは、野生型シトリン(例えば、アイソフォーム1もしくは2)のタンパク質配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である、ポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0576】
いくつかの実施形態において、本開示のポリヌクレオチド、例えば、シトリンポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、(1)上記の5’キャップ、例えばCAP1、(2)配列番号130、133、136及び139からなる群から選択されるヌクレオチド配列、及び(3)上記のポリA尾部(例えば100残基のポリA尾部)を含み、
配列番号130は、5’末端から3’末端で、配列番号30の5’UTR、配列番号129のCTNL2ポリペプチドORF、及び配列番号105の3’UTRを含む。
配列番号133は、5’末端から3’末端で、配列番号30の5’UTR、配列番号132のCTNL2ポリペプチドORF、及び配列番号105の3’UTRを含む。
配列番号136は、5’末端から3’末端で、配列番号30の5’UTR、配列番号135のCTNL2ポリペプチドORF、及び配列番号105の3’UTRを含む。
配列番号139は、5’末端から3’末端で、配列番号30の5’UTR、配列番号138のCTNL2ポリペプチドORF、及び配列番号105の3’UTRを含む。
【0577】
表5 mRNAコンストラクト
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【0578】
20.ポリヌクレオチドの作製方法
本開示は、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)またはその相補体を作製するための方法も提供する。
【0579】
いくつかの態様では、本明細書に開示され、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、in vitro転写を使用して構築することができる。他の態様では、本明細書に開示され、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、オリゴヌクレオチド合成装置を使用する化学合成により構築することができる。
【0580】
他の態様では、本明細書に開示され、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、宿主細胞を使用して作製される。ある特定の態様では、本明細書に開示され、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、IVT、化学合成、宿主細胞発現、または当該技術分野で既知の他の任意の方法のうちの1つ以上の組み合わせにより作製される。
【0581】
天然に存在するヌクレオシド、天然に存在しないヌクレオシド、またはそれらの組み合わせは、候補ヌクレオチド配列に存在する天然に存在するヌクレオシドを全体的または部分的に置換することができ、シトリンポリペプチドをコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、RNA、例えば、mRNA)に組み込むことができる。次に、得られたポリヌクレオチド、例えば、mRNAは、タンパク質を産生する能力及び/または治療的結果を生じる能力について試験することができる。
【0582】
a.in vitro転写/酵素合成
本明細書に開示の本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、in vitro転写(IVT)システムを使用して転写することができる。この系は通常、転写緩衝液、ヌクレオチド三リン酸(NTP)、RNase阻害薬、及びポリメラーゼを含む。NTPは、天然及び非天然(修飾)NTPを含む、本明細書に記載のものから選択することができるが、これらに限定されない。ポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、及び変異ポリメラーゼ、例えば、限定されないが、本明細書に開示のポリヌクレオチドを取り込むことができるポリメラーゼ、から選択することができるが、これらに限定されない。本明細書に全体が参照により組み込まれる米国特許公開US20130259923を参照のこと。
【0583】
任意数のRNAポリメラーゼまたはバリアントを、本発明のポリヌクレオチドの合成に使用することができる。RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ配列のアミノ酸を挿入または欠失させることにより修飾することができる。非限定例として、RNAポリメラーゼは、非修飾RNAポリメラーゼと比較して、2’-修飾ヌクレオチド三リン酸を取り込む能力の増加を示すように修飾することができる(本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2008078180号及び米国特許第8,101,385号を参照のこと)。
【0584】
バリアントは、RNAポリメラーゼを進化させ、RNAポリメラーゼのアミノ酸及び/または核酸配列を最適化することにより、及び/または当該技術分野で既知の他の方法を使用することにより得ることができる。非限定例として、T7 RNAポリメラーゼバリアントは、Esvelt et al.(本明細書に全体が参照により組み込まれるNature 472:499-503(2011))により述べられている連続指向性進化システムを使用して進化させることができ、T7 RNAポリメラーゼのクローンは、少なくとも1つの変異、例えば、限定されないが、スレオニン(K93T)、I4M、A7T、E63V、V64D、A65E、D66Y、T76N、C125R、S128R、A136T、N165S、G175R、H176L、Y178H、F182L、L196F、G198V、D208Y、E222K、S228A、Q239R、T243N、G259D、M267I、G280C、H300R、D351A、A354S、E356D、L360P、A383V、Y385C、D388Y、S397R、M401T、N410S、K450R、P451T、G452V、E484A、H523L、H524N、G542V、E565K、K577E、K577M、N601S、S684Y、L699I、K713E、N748D、Q754R、E775K、A827V、D851N、またはL864Fと置換された93位のリシンをコードすることができる。別の非限定例として、T7 RNAポリメラーゼバリアントは、本明細書に全体が参照により組み込まれる米国特許公開第20100120024号及び同第20070117112号に記載されるような少なくとも変異をコードすることができる。RNAポリメラーゼのバリアントは、置換バリアント、保存的アミノ酸置換、挿入バリアント、及び/または欠失バリアントも含むことができるが、これらに限定されない。
【0585】
一態様では、ポリヌクレオチドは、野生型またはバリアントRNAポリメラーゼにより認識されるようにデザインすることができる。そうすることで、ポリヌクレオチドは、野生型または親キメラポリヌクレオチドの配列変化からの部位または領域を含有するように修飾することができる。
【0586】
ポリヌクレオチドまたは核酸合成反応は、ポリメラーゼを利用する酵素的方法により実施することができる。ポリメラーゼは、ポリヌクレオチドまたは核酸鎖内のヌクレオチド間のホスホジエステルジエステル結合の生成を触媒する。現在知られているDNAポリメラーゼは、アミノ酸配列比較及び結晶構造解析に基づいて異なるファミリーに分けることができる。E.coli、Bacillus DNAポリメラーゼI、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、ならびにT7 RNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼのクレノウ断片を含むDNAポリメラーゼI(pol I)またはAポリメラーゼファミリーは、最もよく研究されたこれらのファミリーの1つである。別の大きなファミリーは、ファージT4及びRB69由来の全ての真核生物複製DNAポリメラーゼ及びポリメラーゼを含むDNAポリメラーゼα(polα)またはBポリメラーゼファミリーである。それらは、同様の触媒機序を用いるが、ポリメラーゼのこれらのファミリーは、基質特異性、基質アナログ組み込み効率、プライマー伸長の程度及び速度、DNA合成様式、エキソヌクレアーゼ活性、ならびに阻害剤に対する感受性が異なる。
【0587】
DNAポリメラーゼは、それらが必要とする最適な反応条件、例えば、反応温度、pH、ならびに鋳型及びプライマー濃度に基づいても選択される。場合により、複数のDNAポリメラーゼの組み合わせが、所望のDNA断片サイズ及び合成効率を達成するために用いられる。例えば、Cheng et al.は、pHを上昇させ、グリセロール及びジメチルスルホキシドを添加し、変性時間を減少させ、伸長時間を増加させ、クローニングされたインサート及びヒトゲノムDNAの長い標的を効果的に増幅する3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する第2の耐熱性DNAポリメラーゼを利用する(全体が参照により本明細書に組み込まれるCheng et al.,PNAS 91:5695-5699(1994))。バクテリオファージT3、T7、及びSP6由来のRNAポリメラーゼは、生化学的及び生物物理学的研究のためのRNAを調製するために広く使用されている。RNAポリメラーゼ、キャッピング酵素、及びポリAポリメラーゼは、同時係属の国際公開第WO2014028429号に開示されており、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0588】
一態様では、本発明のポリヌクレオチドの合成に使用することができるRNAポリメラーゼは、Syn5 RNAポリメラーゼである(本明細書に全体が参照により組み込まれるZhu et al.Nucleic Acids Research 2013,doi:10.1093/nar/gkt1193を参照のこと)。Syn5 RNAポリメラーゼは近年、Zhuらにより海洋シアノファージSyn5から特性決定され、彼らは、プロモーター配列も同定した(内容が本明細書に全体が参照により組み込まれるZhu et al.Nucleic Acids Research 2013を参照のこと)。Zhuらは、Syn5 RNAポリメラーゼが、T7 RNAポリメラーゼと比較して、より広い範囲の温度及び塩分濃度にわたってRNA合成を触媒することを見出した。さらに、プロモーターでの開始ヌクレオチドに対する要件は、RNA合成に有望なSyn5 RNAポリメラーゼを作製するT7 RNAポリメラーゼと比較して、Syn5 RNAポリメラーゼの場合あまり厳しくないことが判明した。
【0589】
一態様では、Syn5 RNAポリメラーゼを、本明細書に記載のポリヌクレオチドの合成に使用することができる。非限定例として、Syn5 RNAポリメラーゼは、精密な3’末端を必要とするポリヌクレオチドの合成を使用することができる。
【0590】
一態様では、Syn5プロモーターを、ポリヌクレオチドの合成に使用することができる。非限定例として、Syn5プロモーターは、5’-ATTGGGCACCCGTAAGGG-3’(Zhuら(Nucleic Acids Research 2013)により記載されているような配列番号78)とすることができる。
【0591】
一態様では、Syn5 RNAポリメラーゼは、本明細書に記載の及び/または当該技術分野で既知の少なくとも1つの化学修飾を含むポリヌクレオチドの合成に使用することができる(例えば、Zhu et al.Nucleic Acids Research 2013に記載されたシュードUTP及び5Me-CTPを参照のこと)。
【0592】
一態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、Zhuら(Nucleic Acids Research 2013)により記載された修正及び改良された精製手順を使用して精製されているSyn5 RNAポリメラーゼを使用して合成することができる。
【0593】
遺伝子工学での種々のツールは、鋳型として作用する標的遺伝子の酵素的増幅に基づいている。目的の個々の遺伝子または特定の領域の配列の研究及び他の研究ニーズでは、ポリヌクレオチドまたは核酸の少量の試料から標的遺伝子の複数のコピーを生成することが必要である。そのような方法を、本発明のポリヌクレオチドの製造に適用することができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)とも呼ばれる核酸配列ベース増幅(NASBA)、及び/またはローリングサークル型増幅(RCA)は、本発明のポリヌクレオチドの1つ以上の領域の製造に利用することができる。
【0594】
b.化学合成
目的の単離ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド、例えば、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を合成するための標準的な方法を、適用することができる。例えば、特定の単離されたポリペプチドをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を含有する単一のDNAまたはRNAオリゴマーを合成することができる。他の態様では、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次に、ライゲーションすることができる。いくつかの態様では、個々のオリゴヌクレオチドは通常、相補的なアセンブリのために、5’または3’オーバーハングを含有する。
【0595】
本明細書に開示のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、当該技術分野で既知の化学合成方法及び可能な核酸塩基置換を使用して、化学的に合成することができる。例えば、国際公開第WO2014093924号、同第WO2013052523号、同第WO2013039857号、同第WO2012135805号、同第WO2013151671号;米国公開第US20130115272号;または米国特許第US8999380号もしくは第US8710200号(これらの全ては、本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
【0596】
c.シトリンをコードするポリヌクレオチドの精製
本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の精製は、ポリヌクレオチドのクリーンアップ、品質保証、及び品質管理を含むことができるが、これらに限定されない。クリーンアップは、当該技術分野で既知の方法、例えば、限定されないが、AGENCOURT(登録商標)ビーズ(Beckman Coulter Genomics、マサチューセッツ州ダンバーズ)、ポリTビーズ、LNA(商標)オリゴT補足プローブ(EXIQON(登録商標)Inc.、デンマーク・ベドベック)またはHPLCに基づく精製方法、例えば、限定されないが、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)により実施することができる。
【0597】
「精製された」という用語は、「精製されたポリヌクレオチド」などのポリヌクレオチドに関して使用される場合、少なくとも1つの汚染物質から分離されるものを指す。本明細書で使用される場合、「汚染物質」は、他の不適当、不純、または粗悪にする物質である。従って、精製されたポリヌクレオチド(例えば、DNA及びRNA)は、自然にみられるものとは異なる形態もしくは環境、または、それを処理もしくは精製方法に供する前に存在するものとは異なる形態もしくは環境で存在する。
【0598】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の精製は、望ましくない免疫応答、例えば、サイトカイン活性の低下、を低減または除去することができる不純物を除去する。
【0599】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、カラムクロマトグラフィー(例えば、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、または(LCMS))を使用して、投与前に精製される。
【0600】
いくつかの実施形態では、(カラムクロマトグラフィー(例えば、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC、疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、または(LCMS))を使用して精製された本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、異なる精製方法で精製された本開示の同じポリヌクレオチドで得られた発現レベルと比較して、コードされたシトリンタンパク質の発現の増加を示す。
【0601】
いくつかの実施形態では、カラムクロマトグラフィー(例えば、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、または(LCMS))精製ポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の点変異の1つ以上を含むシトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0602】
いくつかの実施形態では、RP-HPLC精製ポリヌクレオチドの使用は、それらの細胞に導入された時に、細胞内のシトリンタンパク質発現レベルを、RP-HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入する前のまたは非RP-HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入した後の細胞内のシトリンタンパク質の発現レベルに対して、例えば、10~100%、すなわち、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。
【0603】
いくつかの実施形態では、RP-HPLC精製ポリヌクレオチドの使用は、細胞内の機能性シトリンタンパク質発現レベルを、それらの細胞に導入された時に、RP-HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入する前のまたは非RP-HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入した後の細胞内のシトリンタンパク質の機能性発現レベルに対して、例えば、10~100%、すなわち、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。
【0604】
いくつかの実施形態では、RP-HPLC精製ポリヌクレオチドの使用は、細胞内の検出可能なシトリン活性を、それらの細胞に導入された時に、RP-HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入する前または非RP-HPLC精製ポリヌクレオチドを細胞に導入した後の細胞内の機能性シトリンの活性レベルに対して、例えば、10~100%、すなわち、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。
【0605】
いくつかの実施形態では、精製ポリヌクレオチドは、少なくとも約80%の純度、少なくとも約85%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも約95%の純度、少なくとも約96%の純度、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、少なくとも約99%の純度、または約100%の純度である。
【0606】
品質保証及び/または品質管理チェックは、限定されないが、ゲル電気泳動、UV吸光度、または分析用HPLC等の方法を使用して実施することができる。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、限定されないが、逆転写酵素PCRを含む方法で配列決定することができる。
【0607】
d.シトリンをコードする発現ポリヌクレオチドの定量
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)、それらの発現産物、ならびに分解産物及び代謝産物は、当該技術分野で既知の方法に従って定量することができる。
【0608】
いくつかの実施形態では、エキソソーム内での、または1つ以上の体液から生じる時に、本発明のポリヌクレオチドを定量することができる。本明細書で使用される場合、「体液」は、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、滑液、房水、羊水、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液、前立腺液、カウパー液または尿道球腺液、汗、糞便、髪、涙、嚢胞液、胸膜及び腹腔液、心嚢液、リンパ液、消化粥、乳糜、胆汁、間質液、経血、膿、皮脂、嘔吐物、膣液、粘膜分泌液、糞便水、膵液、副鼻腔の洗浄液、気管支肺吸引液、胞胚腔液、及び臍帯血を含む。あるいは、エキソソームは、肺、心臓、膵臓、胃、腸、膀胱、腎臓、卵巣、精巣、皮膚、結腸、乳房、前立腺、脳、食道、肝臓、及び胎盤からなる群から選択される器官から回収することができる。
【0609】
エキソソーム定量法では、多くとも2mLの試料が、対象から得られ、エキソソームは、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、分画遠心分離、ナノ膜限外濾過、免疫吸着捕捉、アフィニティー精製、マイクロ流体分離、またはそれらの組み合わせで単離される。この分析では、ポリヌクレオチドのレベルまたは濃度は、投与される構築物の発現レベル、存在、不存在、切断、または変更であり得るがある。レベルを、1つ以上の臨床表現型またはヒト疾患バイオマーカーのアッセイと関連させることが有利である。
【0610】
アッセイは、構築物特異的プローブ、サイトメトリー、qRT-PCR、リアルタイムPCR、PCR、フローサイトメトリー、電気泳動、質量分析、またはそれらの組み合わせを使用して実施することができるが、エキソソームは、免疫組織化学的方法、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法、を使用して単離することができる。エキソソームは、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、分画遠心分離、ナノ膜限外濾過、免疫吸着捕捉、アフィニティー精製、マイクロ流体分離、またはそれらの組み合わせでも単離することができる。
【0611】
これらの方法は、研究者に、残存するかまたは送達されたポリヌクレオチドのレベルをリアルタイムで監視する能力を提供する。これは、本発明のポリヌクレオチドが構造的または化学的修飾のために内因性形態と異なるために、可能である。
【0612】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、限定されないが、紫外可視分光法(UV/Vis)等の方法を使用して定量することができる。UV/Vis分光計の非限定例としては、NANODROP(登録商標)分光計(ThermoFisher、マサチューセッツ州ウォルサム)である。定量されたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが適切なサイズであることができるかどうかを決定するために、分析することができ、ポリヌクレオチドの分解が生じていないことを確認することができる。ポリヌクレオチドの分解は、限定されないが、アガロースゲル電気泳動、HPLC系精製方法、例えば、限定されないが、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)、キャピラリー電気泳動(CE)、ならびにキャピラリーゲル電気泳動(CGE)等の方法で確認することができる。
【0613】
21.医薬組成物及び製剤
本発明は、上記ポリヌクレオチドのいずれかを含む医薬組成物及び製剤を提供する。いくつかの実施形態では、組成物または製剤は、送達剤をさらに含む。
【0614】
いくつかの実施形態では、組成物または製剤は、シトリンポリペプチドをコードする本明細書に開示の配列最適化核酸配列を含むポリヌクレオチドを含有することができる。いくつかの実施形態では、組成物または製剤は、シトリンポリペプチドをコードする本明細書に開示の配列最適化核酸配列と著しい配列同一性を有するポリヌクレオチド(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含有することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、miRNA結合部位、例えば、miR-126、miR-142、miR-144、miR-146、miR-150、miR-155、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27、及びmiR-26aに結合するmiRNA結合部位をさらに含む。
【0615】
医薬組成物または製剤は、1つ以上のさらなる活性物質、例えば、治療的及び/または予防的活性物質を任意に含むことができる。本発明の医薬組成物または製剤は、滅菌及び/または発熱性物質不含であることができる。医薬品の製剤及び/または製造における一般的考察は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト、ヒト患者、または対象に投与される。本開示の目的のために、「活性成分」という語句は一般に、本明細書に記載されるように送達されるポリヌクレオチドを指す。
【0616】
本明細書に記載の製剤及び医薬組成物は、薬理学の分野で既知または以後開発される任意の方法により調製することができる。一般に、そのような調製方法は、活性成分を、賦形剤及び/または1つ以上の他の補助成分と合わせるステップ、次に、必要及び/または望ましい場合、分割し、成形し、及び/または製品を所望の単回投与単位もしくは複数回投与単位にパッケージングするステップ、を含む。
【0617】
本開示による医薬組成物または製剤は、バルクで、単回単位用量として、及び/または複数の単回単位用量として、調製、パッケージング、及び/または販売することができる。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の別個の量を指す。活性成分の量は一般に、対象に投与される活性成分の投薬量、及び/または、そのような投薬量の好都合な分数、例えば、そのような投薬量の2分の1または3分の1、と等しい。
【0618】
本開示による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象が何であるか、サイズ、及び/または状態に応じて、さらに、組成物が投与されるべき経路に応じて、変動し得る。
【0619】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び製剤は、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含有することができる。非限定例として、組成物または製剤は、本発明の1、2、3、4、または5ポリヌクレオチドを含有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物または製剤は、複数タイプのポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物または製剤は、線状及び環状形態のポリヌクレオチドを含むことができる。別の実施形態では、組成物または製剤は、環状ポリヌクレオチド及びin vitro転写された(IVT)ポリヌクレオチドを含むことができる。さらに別の実施形態では、組成物または製剤は、IVTポリヌクレオチド、キメラポリヌクレオチド、及び環状ポリヌクレオチドを含むことができる。
【0620】
本明細書に提供される医薬組成物及び製剤の説明は、主に、ヒトへの投与に適する医薬組成物及び製剤に関するが、そのような組成物が一般に、他の任意の動物、例えば、非ヒト動物、例えば、非ヒト哺乳動物、への投与に適することは、当業者に理解されるであろう。本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む医薬製剤を提供する。本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(1)安定性を増加させるために;(2)細胞トランスフェクションを増加させるために;(3)(例えば、ポリヌクレオチドのデポー製剤から)持続放出または遅延放出を可能にするために;(4)生体内分布を変更するために(例えば、ポリヌクレオチドを特定の組織または細胞型に標的化するために);(5)in vivoで、コードされたタンパク質の翻訳を増加させるために;及び/または(6)in vivoで、コードされたタンパク質の放出プロフィールを変更するために、1つ以上の賦形剤を使用して製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の医薬製剤は、例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1~232のいずれか、例えば、化合物18;式(III)、(IV)、(V)、もしくは(VI)を有する化合物、例えば、化合物233~342のいずれか、例えば、化合物236;または式(VIII)を有する化合物、例えば、化合物419~428のいずれか、例えば、化合物428、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む送達剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428を、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。
【0621】
薬学的に許容される賦形剤は、本明細書で使用される場合、所望の特定の剤形に適するような、任意及び全ての溶媒、分散媒、もしくは他の液体ビヒクル、分散剤もしくは懸濁助剤、希釈剤、造粒剤及び/または分散剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、防腐剤、結合剤、滑沢剤もしくは油、着色剤、甘味剤もしくは香味剤、安定剤、酸化防止剤、抗菌剤もしくは抗真菌剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、緩衝剤、キレート剤、凍結保護剤、及び/または増量剤を含むが、これらに限定されない。医薬組成物を製剤化するための種々の賦形剤及び組成物を調製するための技術は、当該技術分野で知られている(全体が参照により本明細書に組み込まれるRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006を参照のこと)。
【0622】
例示的な希釈剤としては、炭酸カルシウムもしくは炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微晶質セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトールなど、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0623】
例示的な造粒剤及び/または分散剤は、デンプン、プレゼラチン化デンプンもしくは微晶質デンプン、アルギン酸、グアーガム、アガー、ポリ(ビニルピロリドン)、(プロビドン)、架橋ポリ(ビニルピロリドン)(クロスポビドン)、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウムなど、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0624】
例示的な界面活性剤及び/または乳化剤には、天然の乳化剤(例えば、アカシア、アガー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドル(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート[TWEEN(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミタート[SPAN(登録商標)40]、グリセリルモノオアエート、ポリオキシエチレンエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、CREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、PLUORINC(登録商標)F68、POLOXAMER(登録商標)188など、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0625】
例示的な結合剤は、デンプン、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール)、アミノ酸(例えば、グリシン)、天然及び合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0626】
酸化は、mRNA、特に、液体mRNA製剤、の潜在的な分解経路である。酸化を防止するために、酸化防止剤を配合物に添加することができる。例示的な酸化防止剤としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベンジルアルコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、m-クレゾール、メチオニン、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸ナトリウムまたはカリウム、プロピオン酸、プロピルガラート、アスコルビン酸ナトリウムなど、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0627】
例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、エデト酸三ナトリウムなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0628】
例示的な抗菌剤または抗真菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウムまたはナトリウム、ソルビン酸カリウムまたはナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸など、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0629】
例示的な防腐剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)など、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0630】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド溶液のpHは、安定性を向上させるためにpH5~pH8に維持される。pHを制御する例示的な緩衝剤としては、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ヒスチジン(もしくはヒスチジン-HCl)、リンゴ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど、及び/またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0631】
例示的な潤沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、水素添加植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムまたはマグネシウムなど、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0632】
本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、凍結中に、本明細書に記載のポリヌクレオチドを安定化させる凍結防止剤を含有することができる。例示的な凍結防止剤としては、マンニトール、スクロース、トレハロース、ラクトース、グリセロール、デキストロースなど、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0633】
本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、「薬学的に洗練された」固形物を得るために、増量剤を凍結乾燥ポリヌクレオチド製剤中に含有することができ、凍結乾燥ポリヌクレオチドを長期間(例えば、36ヶ月)保存中に安定化させることができる。本発明の例示的な増量剤としては、スクロース、トレハロース、マンニトール、グリシン、ラクトース、ラフィノース、及びそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0634】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または製剤は、送達剤をさらに含む。本開示の送達剤は、リポソーム、脂質ナノ粒子、リピドイド、ポリマー、リポプレックス、微小胞、エキソソーム、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドでトランスフェクトされた細胞、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣物、ナノチューブ、コンジュゲート、及びそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0635】
22.送達剤
a.脂質化合物
本開示は、有利な特性を有する医薬組成物を提供する。本明細書に記載の脂質組成物は、治療薬及び/または予防薬、例えば、mRNAを、哺乳動物細胞または器官に送達するための脂質ナノ粒子組成物に有利に使用され得る。例えば、本明細書に記載の脂質は、免疫原性がほとんどないか、または全くない。例えば、本明細書に開示の脂質化合物は、参照脂質(例えば、MC3、KC2、またはDLinDMA)と比較して低い免疫原性を有する。例えば、本明細書に開示の脂質及び治療薬または予防薬、例えば、mRNA、を含む製剤は、参照脂質(例えば、MC3、KC2、またはDLinDMA)及び同じ治療薬または予防薬を含む対応する製剤と比較して、治療指数の増加を示す。
【0636】
特定の実施形態では、本出願は、
(a)シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、及び
(b)送達剤、
を含む医薬組成物を提供する。
【0637】
いくつかの実施形態では、送達剤は、式(I)を有する脂質化合物
【化27】
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択されるか、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、式中、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択される、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
は、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0638】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(I)の化合物(式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、式中、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される)
またはその塩もしくは立体異性体(式中、アルキル及びアルケニル基は、直鎖または分枝鎖であってよい)を含む。
【0639】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(I)の化合物を含み、式中、Rが-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、または-CQ(R)である場合、(i)nが、1、2、3、4、もしくは5である時、Qは、-N(R)ではなく、または(ii)nが、1もしくは2である時、Qは、5員、6員、もしくは7員ヘテロシクロアルキルである。
【0640】
別の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)OR、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、ならびに、オキソ(=O)、OH、アミノ、及びC1-3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換される、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロシクロアルキル、から選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
は、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0641】
別の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)OR、ならびにオキソ(=O)、OH、アミノ、及びC1-3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換される、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロシクロアルキルから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0642】
さらに他の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)OR、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(=NR)N(R)から選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され;Qが5~14員複素環であり、且つ(i)Rが-(CHQ(式中、nは、1もしくは2である)であるか、または(ii)Rが-(CHCHQR(式中、nは、1である)であるか、または(iii)Rが-CHQR、及び-CQ(R)である時、Qは、5~14員ヘテロアリールまたは8~14員ヘテロシクロアルキルのいずれかであり、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
は、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0643】
さらに他の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され;Qが5~14員複素環であり、且つ(i)Rが-(CHQ(式中、nは、1もしくは2である)であるか、または(ii)Rが-(CHCHQR(式中、nは、1である)であるか、または(iii)Rが-CHQR、及び-CQ(R)である時、Qは、5~14員ヘテロアリールまたは8~14員ヘテロシクロアルキルのいずれかであり、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0644】
さらに別の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、(式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)OR、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(=NR)N(R)から選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
は、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0645】
さらに別の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択される。
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0646】
さらに別の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C2-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、-(CHQまたは-(CHCHQRであり、式中、Qは、-N(R)であり、nは、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC1-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0647】
さらに別の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C2-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、-(CHQまたは-(CHCHQRであり、式中、Qは、-N(R)であり、nは、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC1-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0648】
さらに他の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群から選択され、式中、Qは、-N(R)であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC1-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0649】
さらに他の実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットは、式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群から選択され、式中、Qは、-N(R)であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC1-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
【0650】
特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IA)の化合物:
【化28】
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
mは、5、6、7、8、及び9から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキル、または-(CHQであり、式中、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)R、-NHC(=NR)N(R)、-NHC(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。
【0651】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IA)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され;mは、5、6、7、8、及び9から選択され;
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキル、または-(CHQであり、式中、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、もしくは-NHC(O)N(R)であり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。
【0652】
特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(II)の化合物:
【化29】
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキル、または(CHQであり、式中、nは、2、3、もしくは4であり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)R、-NHC(=NR)N(R)、-NHC(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルであり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。
【0653】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(II)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキル、または-(CHQであり、式中、nは、2、3、もしくは4であり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、もしくは-NHC(O)N(R)であり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。
【0654】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa)の化合物
【化30】
またはその塩であり、式中、Rは、上記の通りである。
【0655】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIb)の化合物
【化31】
またはその塩であり、式中、Rは、上記の通りである。
【0656】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIc)の化合物
【化32】
またはその塩であり、式中、Rは、上記の通りである。
【0657】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIe)の化合物:
【化33】
またはその塩であり、式中、Rは、上記の通りである。
【0658】
いくつかの実施形態では、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、または(IIe)の化合物は、-(CHQ及び-(CHCHQRから選択されるRを含み、式中、Q、R、及びnは上記の通りである。
【0659】
いくつかの実施形態では、Qは、-OR、-OH、-O(CHN(R)、-OC(O)R、-CX、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(H)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(H)(R)、及び複素環からなる群から選択され、式中、Rは、上記で定義した通りである。いくつかの態様では、nは、1または2である。いくつかの実施形態では、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、または-NHC(O)N(R)である。
【0660】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IId)の化合物
【化34】
またはその塩であり、式中、R及びRは独立に、C5-14アルキル及びC5-14アルケニルからなる群から選択され、nは、2、3、及び4から選択され、R’、R”、R、R、及びmは、上で定義された通りである。
【0661】
式(IId)の化合物のいくつかの態様では、Rは、Cアルキルである。式(IId)の化合物のいくつかの態様では、Rは、C~Cアルキルである。式(IId)の化合物のいくつかの態様では、mは、5、7、または9である。式(IId)の化合物のいくつかの態様では、各Rは、Hである。式(IId)の化合物のいくつかの態様では、各Rは、Hである。
【0662】
別の態様では、本出願は、(1)式(I)を有する化合物、(2)任意に、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、(3)任意に、構造脂質(例えば、ステロール);及び(4)任意に、脂質コンジュゲート(例えば、PEG-脂質)を含む脂質組成物(例えば、脂質ナノ粒子(LNP))を提供する。例示的な実施形態では、脂質組成物(例えば、LNP)は、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、その中に封入されたポリヌクレオチド、をさらに含む。
【0663】
本明細書で使用する場合、「アルキル」または「アルキル基」という用語は、1つ以上の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上の炭素原子)を含む直鎖状または分岐状の飽和炭化水素を意味する。
【0664】
「C1-14アルキル」という表記は、1~14の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の飽和炭化水素を意味する。アルキル基は、任意に置換することができる。
【0665】
本明細書で使用する場合、「アルケニル」または「アルケニル基」という用語は、2つ以上の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の炭素原子)及び少なくとも1つの二重結合を含む直鎖状または分岐状の炭化水素を意味する。
【0666】
「C2-14アルケニル」という表記は、2~14の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を含む直鎖状または分枝状の炭化水素を意味する。アルケニル基は、1、2、3、4またはそれ以上の二重結合を含むことができる。例えば、C18アルケニルは、1つ以上の二重結合を含むことができる。2つの二重結合を含むC18アルケニル基は、リノレイル基とすることができる。アルケニル基は、任意に置換することができる。
【0667】
本明細書で使用される場合、「炭素環」または「炭素環式基」という用語は、炭素原子の1つ以上の環を含む単環または多環系を意味する。環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15員環とすることができる。
【0668】
「C3-6炭素環」という表記は、3~6の炭素原子を有する単環を含む炭素環を意味する。炭素環は、1つ以上の二重結合を含むことができ、芳香族(例えば、アリール基)であることができる。炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、及び1,2-ジヒドロナフチル基が挙げられる。炭素環は、任意に置換することができる。
【0669】
本明細書で使用される場合、「複素環」または「複素環基」という用語は、少なくとも1つの環が少なくとも1つのヘテロ原子を含む、1つ以上の環を含む単環または多環系を意味する。ヘテロ原子は、例えば、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子とすることができる。環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12員環とすることができる。複素環は、1つ以上の二重結合を含むことができ、芳香族(例えば、ヘテロアリール基)であることができる。複素環の例としては、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、チアゾリル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、イソオキサゾリジニル(isoxazolidinyl)、イソオキサゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、モルホリニル、ピロリル、ピロリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チオフェニル、ピリジニル、ピペリジニル、キノリル、及びイソキノリル基が挙げられる。複素環は、任意に置換することができる。
【0670】
本明細書で使用される場合、「生分解性基」は、対象における脂質のより速い代謝を促進することができる基である。生分解性基は、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基とすることができるが、これらに限定されない。
【0671】
本明細書で使用される場合、「アリール基」は、1つ以上の芳香環を含む炭素環式基である。アリール基の例としては、フェニル及びナフチル基が挙げられる。
【0672】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール基」は、1つ以上の芳香環を含む複素環基である。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、及びチアゾリルが挙げられる。アリール基及びヘテロアリール基の両方は、任意に置換することができる。例えば、M及びM’は、任意に置換されたフェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる非限定的な基から選択することができる。本明細書の式では、M及びM’は独立に、上記の生分解性基のリストから選択することができる。
【0673】
アルキル、アルケニル、及びシクリル(例えば、カルボシクリル及びヘテロシクリル)基は、別途明記のない限り、任意に置換することができる。任意の置換基は、限定されないが、ハロゲン原子(例えば、塩化物、臭化物、フッ化物、またはヨウ化物基)、カルボン酸(例えば、-C(O)OH)、アルコール(例えば、ヒドロキシル、-OH)、エステル(例えば、-C(O)ORまたは-OC(O)R)、アルデヒド(例えば、-C(O)H)、カルボニル(例えば、-C(O)R、あるいは、C=Oで表される)、ハロゲン化アシル(例えば、-C(O)X(式中、Xは、臭化物、フッ化物、塩化物、及びヨウ化物から選択されるハロゲン化物である))、カーボナート(例えば、-OC(O)OR)、アルコキシ(例えば、-OR)、アセタール(例えば、-C(OR)R”“(式中、各ORは、同じまたは異なる可能性があるアルコキシ基であり、R”“は、アルキル基またはアルケニル基である)、ホスファート(例えば、P(O) 3-)、チオール(例えば、-SH)、スルホキシド(例えば、-S(O)R)、スルフィン酸(例えば、-S(O)OH)、スルホン酸(例えば、-S(O)OH)、チアール(例えば、-C(S)H)、スルファート(例えば、S(O) 2-)、スルホニル(例えば、-S(O)-)、アミド(例えば、-C(O)NR、または-N(R)C(O)R)、アジド(例えば、-N)、ニトロ(例えば、-NO)、シアノ(例えば、-CN)、イソシアノ(例えば、-NC)、アシロキシ(例えば、-OC(O)R)、アミノ(例えば、-NR、-NRH、または-NH)、カルバモイル(例えば、-OC(O)NR、-OC(O)NRH、または-OC(O)NH)、スルホンアミド(例えば、-S(O)NR、-S(O)NRH、-S(O)NH、-N(R)S(O)R、-N(H)S(O)R、-N(R)S(O)H、または-N(H)S(O)H)、アルキル基、アルケニル基、及びシクリル(例えば、カルボシクリルまたはヘテロシクリル)基からなる群から選択することができる。
【0674】
上述のいずれかでは、Rは、本明細書で定義されるようなアルキルまたはアルケニル基である。いくつかの実施形態では、置換基自体は、例えば、本明細書で定義されるような1、2、3、4、5、または6の置換基でさらに置換することができる。例えば、C1-6アルキル基は、本明細書に記載されるような1、2、3、4、5、または6の置換基でさらに置換することができる。
【0675】
式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、及び(IIe)のうちのいずれか1つの化合物は、適用可能な時、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。
【0676】
いくつかの実施形態では、Rは、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、S、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員芳香族または非芳香族複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択される。
【0677】
別の実施形態では、Rは、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-C(R)N(R)C(O)OR、ならびにオキソ(=O)、OH、アミノ、及びC1-3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換される、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロシクロアルキルから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択される。
【0678】
別の実施形態では、Rは、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択された1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択され;Qが5~14員複素環であり、且つ(i)Rが-(CHQ(式中、nは、1もしくは2である)であるか、または(ii)Rが-(CHCHQR(式中、nは、1である)であるか、または(iii)Rが-CHQR、及び-CQ(R)である時、Qは、5~14員ヘテロアリールまたは8~14員ヘテロシクロアルキルのいずれかである。
【0679】
別の実施形態では、Rは、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群から選択され、式中、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択される。
【0680】
別の実施形態では、Rは、非置換C1-4アルキル、例えば、非置換メチルである。
【0681】
特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、Rは、-(CHQまたは-(CHCHQRであり、式中、Qは、-N(R)であり、nは、3、4、及び5から選択される。
【0682】
特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、Rは、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群から選択され、式中、Qは、-N(R)であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択される。
【0683】
特定の実施形態では、本開示は、式(I)有する化合物を提供し、式中、R及びRは独立に、C2-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、Rは、-(CHQまたは-(CHCHQRであり、式中、Qは、-N(R)であり、nは、3、4、及び5から選択される。
【0684】
特定の実施形態では、R及びRは独立に、C2-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成する。
【0685】
いくつかの実施形態では、Rは、C5-20アルキル及びC5-20アルケニルからなる群から選択される。
【0686】
他の実施形態では、Rは、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択される。
【0687】
特定の実施形態では、Rは、-RYR”及び-YR”から選択される。いくつかの実施形態では、Yは、シクロプロピル基である。いくつかの実施形態では、Rは、CアルキルまたはCアルケニルである。特定の実施形態では、R”は、C3-12アルキルである。例えば、R”は、Cアルキルとすることができる。例えば、R”は、C4-8アルキル(例えば、C、C、C、C、またはCアルキル)とすることができる。
【0688】
いくつかの実施形態では、Rは、C5-20アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、Cアルキルである。他の実施形態では、Rは、Cアルキルである。特定の実施形態では、Rは、C14アルキルである。他の実施形態では、Rは、C18アルキルである。
【0689】
いくつかの実施形態では、Rは、C5-20アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、C18アルケニルである。いくつかの実施形態では、Rは、リノレイルである。
【0690】
特定の実施形態では、Rは、分枝鎖(例えば、デカン-2-イル、ウンデカン-3-イル、ドデカン-4-イル、トリデカン5-イル、テトラデカン-6-イル、2-メチルウンデカン-3-イル、2-メチルデカン-2-イル、3-メチルウンデカン-3-イル、4-メチルドデカン-4-イル、またはヘプタデカ-9-イル)である。特定の実施形態では、Rは、
【化35】
である。
【0691】
特定の実施形態では、Rは、非置換C5-20アルキルまたはC5-20アルケニルである。特定の実施形態では、R’は、(例えば、1-シクロプロピルノニルなどのC3-6炭素環で置換された)C5-20アルキルまたはC5-20アルケニルである。
【0692】
他の実施形態では、Rは、-R”M’R’である。
【0693】
いくつかの実施形態では、R’は、-RYR”及び-YR”から選択される。いくつかの実施形態では、Yは、C3-8シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、Yは、C6-10アリールである。いくつかの実施形態では、Yは、シクロプロピル基である。いくつかの実施形態では、Yは、シクロヘキシル基である。特定の実施形態では、Rは、Cアルキルである。
【0694】
いくつかの実施形態では、R”は、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Yに隣接したR”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、Yに隣接したR”は、C4-9アルキル(例えば、C、C、C、C、またはC、またはCアルキル)である。
【0695】
いくつかの実施形態では、R’は、Cアルキル及びCアルケニルから選択される。特定の実施形態では、R’は、Cアルキル及びCアルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、Cアルキル及びCアルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、Cアルキル及びCアルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、Cアルキル及びCアルケニルから選択される。
【0696】
他の実施形態では、R’は、C11アルキル及びC11アルケニルから選択される。他の実施形態では、R’は、C12アルキル、C12アルケニル、C13アルキル、C13アルケニル、C14アルキル、C14アルケニル、C15アルキル、C15アルケニル、C16アルキル、C16アルケニル、C17アルキル、C17アルケニル、C18アルキル、及びC18アルケニルから選択される。特定の実施形態では、R’は、分枝鎖(例えば、デカン-2-イル、ウンデカン-3-イル、ドデカン-4-イル、トリデカン5-イル、テトラデカン-6-イル、2-メチルウンデカン-3-イル、2-メチルデカン-2-イル、3-メチルウンデカン-3-イル、4-メチルドデカン-4-イル、またはヘプタデカ-9-イル)である。特定の実施形態では、R’は、
【化36】
である。
【0697】
特定の実施形態では、R’は、非置換C1-18アルキルである。特定の実施形態では、R’は、置換C1-18アルキル(例えば、C3-6炭素環、例えば、1-シクロプロピルノニル、で置換されたC1-15アルキル)である。
【0698】
いくつかの実施形態では、R”は、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R”は、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、またはCアルキルである。いくつかの実施形態では、R”は、Cアルキル、C10アルキル、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、またはC14アルキルである。
【0699】
いくつかの実施形態では、M’は、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、M’は、-OC(O)-である。
【0700】
他の実施形態では、M’は、アリール基またはヘテロアリール基である。例えば、M’は、フェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる群から選択することができる。
【0701】
いくつかの実施形態では、Mは、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、Mは、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、Mは、-C(O)N(R’)-である。いくつかの実施形態では、Mは、-P(O)(OR’)O-である。
【0702】
他の実施形態では、Mは、アリール基またはヘテロアリール基である。例えば、Mは、フェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる群から選択することができる。
【0703】
いくつかの実施形態では、Mは、M’と同じものである。他の実施形態では、Mは、M’とは異なる。
【0704】
いくつかの実施形態では、各Rは、Hである。そのような特定の実施形態では、各Rもまた、Hである。
【0705】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。他の実施形態では、Rは、C1-3アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはi-プロピル)である。
【0706】
いくつかの実施形態では、R及びRは独立に、C5-14アルキルまたはC5-14アルケニルである。
【0707】
いくつかの実施形態では、R及びRは、同じである。いくつかの実施形態では、R及びRは、Cアルキルである。特定の実施形態では、R及びRは、Cアルキルである。他の実施形態では、R及びRは、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRは、Cアルキルである。特定の実施形態では、R及びRは、Cアルキルである。他の実施形態では、R及びRは、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRは、Cアルキルである。
【0708】
他の実施形態では、R及びRは、異なる。特定の実施形態では、Rは、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、C1-7(例えば、C、C、C、C、C、C、もしくはCアルキル)またはCアルキルである。
【0709】
いくつかの実施形態では、R及びRは、Hである。
【0710】
特定の実施形態では、Rは、Hである。
【0711】
いくつかの実施形態では、mは、5、7、または9である。
【0712】
いくつかの実施形態では、Rは、-(CHQ及び-(CHCHQRから選択される。
【0713】
いくつかの実施形態では、Qは、-OR、-OH、-O(CHN(R)、-OC(O)R、-CX、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(H)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(H)(R)、-C(R)N(R)C(O)OR、炭素環、及び複素環からなる群から選択される。
【0714】
特定の実施形態では、Qは、-OHである。
【0715】
特定の実施形態では、Qは、置換または非置換5~10員ヘテロアリールであり、例えば、Qは、イミダゾール、ピリミジン、プリン、2-アミノ-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン-9-イル(もしくはグアニン-9-イル)、アデニン-9-イル、シトシン-1-イル、またはウラシル-1-イルである。特定の実施形態では、Qは、例えば、オキソ(=O)、OH、アミノ及びC1-3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換された、置換5~14員ヘテロシクロアルキルである。例えば、Qは、4-メチルピペラジニル、4-(4-メトキシベンジル)ピペラジニルまたはイソインドリン-2-イル-1,3-ジオンである。
【0716】
特定の実施形態では、Qは、非置換または置換C6-10アリール(例えば、フェニル)またはC3-6シクロアルキルである。
【0717】
いくつかの実施形態では、nは、1である。他の実施形態では、nは、2である。さらなる実施形態では、nは、3である。他の特定の実施形態では、nは、4である。例えば、Rは、-(CHOHとすることができる。例えば、Rは、-(CHOHとすることができる。例えば、Rは、-(CHOHとすることができる。例えば、Rは、ベンジルとすることができる。例えば、Rは、4-メトキシベンジルとすることができる。
【0718】
いくつかの実施形態では、Rは、C3-6炭素環である。いくつかの実施形態では、Rは、C3-6シクロアルキルである。例えば、Rは、例えば、OH、ハロ、C1-6アルキルなどで任意に置換されたシクロヘキシルとすることができる。例えば、Rは、2-ヒドロキシシクロヘキシルとすることができる。
【0719】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
【0720】
いくつかの実施形態では、Rは、非置換C1-3アルキルまたは非置換C2-3アルケニルである。例えば、Rは、-CHCH(OH)CHまたは-CHCH(OH)CHCHとすることができる。
【0721】
いくつかの実施形態では、Rは、置換C1-3アルキル、例えば、CHOHである。例えば、Rは、-CHCH(OH)CHOHとすることができる。
【0722】
いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環または炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、N、O、S、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員芳香族または非芳香族複素環を形成する。いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、芳香族または非芳香族のいずれかである任意に置換されたC3-20炭素環(例えば、C3-18炭素環、C3-15炭素環、C3-12炭素環、またはC3-10炭素環)を形成する。いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、C3-6炭素環を形成する。他の実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、シクロヘキシルまたはフェニル基などのC炭素環を形成する。特定の実施形態では、複素環またはC3-6炭素環は、(例えば、同じ環原子で、または隣接もしくは非隣接環原子で)1つ以上のアルキル基で置換されている。例えば、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、1つ以上のCアルキル置換基を持つシクロヘキシルまたはフェニル基を形成することができる。特定の実施形態では、R及びRにより形成される複素環またはC3-6炭素環は、炭素環基で置換される。例えば、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、シクロヘキシルまたはシクロヘキシルで置換されるフェニル基を形成することができる。いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、C7-15炭素環、例えば、シクロヘプチル基、シクロペンタデカニル基、またはナフチル基、を形成する。
【0723】
いくつかの実施形態では、Rは、-(CHQ及び-(CHCHQRから選択される。いくつかの実施形態では、Qは、-OR、-OH、-O(CHN(R)、-OC(O)R、-CX、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(H)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(H)(R)、及び複素環からなる群から選択される。他の実施形態では、Qは、イミダゾール、ピリミジン、及びプリンからなる群から選択される。
【0724】
いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環または炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、フェニル基などのC3-6炭素環を形成する。特定の実施形態では、複素環またはC3-6炭素環は、(例えば、同じ環原子で、または隣接もしくは非隣接環原子で)1つ以上のアルキル基で置換されている。例えば、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、1つ以上のCアルキル置換基を持つフェニル基を形成することができる。
【0725】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、式(I)の化合物が、以下及びその塩または立体異性体からなる群から選択され:
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【0726】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【0727】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【0728】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【0729】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【0730】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
【0731】
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【0732】
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
【0733】
他の実施形態では、式(I)の化合物は、化合物1~化合物147、またはその塩もしくは立体異性体からなる群から選択される。
【0734】
いくつかの実施形態では、中心ピペラジン部分を含むイオン性脂質が提供される。
【0735】
いくつかの実施形態では、送達剤は、式(III)を有する脂質化合物
【化71】
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
環Aは、
【化72】
であり、
tは、1または2であり、
及びAはそれぞれ独立に、CHまたはNから選択され、
Zは、CHであるか、または存在せず、式中、ZがCHである時、破線(1)及び(2)はそれぞれ、単結合を表し;Zが存在しない時、破線(1)及び(2)は両方ともに、存在せず、
、R、R、R、及びRは独立に、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-R”MR’、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、
各Mは独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
、X、及びXは独立に、結合、-CH-、-(CH-、-CHR-、-CHY-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、-CH-OC(O)-、-CH(OH)-、-C(S)-、及び-CH(SH)-からなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル及びC3-6炭素環からなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-12アルキル、C2-12アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択され、
環Aが
【化73】
である時、
i)X、X、及びXの少なくとも1つは、-CH-ではなく、及び/または
ii)R、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、-R”MR’である。
【0736】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IIIa1)~(IIIa6)のうちのいずれかのものである:
【化74】
【0737】
式(III)または(IIIa1)~(IIIa6)のいずれかの化合物は、適用可能な時、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。
【0738】
いくつかの実施形態では、環Aは、
【化75】
である。
【0739】
いくつかの実施形態では、環Aは、
【化76】
である。
【0740】
いくつかの実施形態では、環Aは、
【化77】
である。
【0741】
いくつかの実施形態では、環Aは、
【化78】
である。
【0742】
いくつかの実施形態では、環Aは、
【化79】
である。
【0743】
いくつかの実施形態では、環Aは、
【化80】
であり、式中、N原子がXと結合している環である。
【0744】
いくつかの実施形態では、Zは、CHである。
【0745】
いくつかの実施形態では、Zは、存在しない。
【0746】
いくつかの実施形態では、A及びAのうちの少なくとも1つは、Nである。
【0747】
いくつかの実施形態では、A及びAのそれぞれは、Nである。
【0748】
いくつかの実施形態では、A及びAのそれぞれは、CHである。
【0749】
いくつかの実施形態では、Aは、Nであり、Aは、CHである。
【0750】
いくつかの実施形態では、Aは、CHであり、Aは、Nである。
【0751】
いくつかの実施形態では、X、X、及びXのうちの少なくとも1つは、-CH-ではない。例えば、特定の実施形態では、Xは、-CH-ではない。いくつかの実施形態では、X、X、及びXのうちの少なくとも1つは、-C(O)-である。
【0752】
いくつかの実施形態では、Xは、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、または-CH-OC(O)-である。
【0753】
いくつかの実施形態では、Xは、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、または-CH-OC(O)-である。他の実施形態では、Xは、-CH-である。
【0754】
いくつかの実施形態では、Xは、結合または-(CH-である。
【0755】
いくつかの実施形態では、R及びRは、同じである。特定の実施形態では、R、R、及びRは、同じである。いくつかの実施形態では、R及びRは、同じである。特定の実施形態では、R、R、R、R、及びRは、同じである。
【0756】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’である。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRのうちの多くとも1つは、-R”MR’である。例えば、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’であってよく、及び/またはR及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’である。特定の実施形態では、少なくとも1つのMは、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、各Mは、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのMは、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、各Mは、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのMは、-OC(O)O-である。いくつかの実施形態では、各Mは、-OC(O)O-である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。特定の実施形態では、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。特定の実施形態では、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。特定の実施形態では、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR”は、Cアルキルである。特定の実施形態では、各R”は、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR’は、Cアルキルである。特定の実施形態では、各R’は、Cアルキルである。他の実施形態では、少なくとも1つのR’は、Cアルキルである。特定の実施形態では、各R’は、Cアルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR’は、Cアルキルである。特定の実施形態では、各R’は、Cアルキルである。
【0757】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、C12アルキルである。特定の実施形態では、R、R、R、R、及びRのそれぞれは、C12アルキルである。
【0758】
特定の実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
【化81】
【化82】
【化83】
【0759】
【化84】
【化85】
【化86】
【化87】
【0760】
【化88】
【化89】
【化90】
【化91】
【化92】
【化93】
【0761】
いくつかの実施形態では、送達剤は、化合物236を含む。
【0762】
いくつかの実施形態では、送達剤は、式(IV)を有する化合物
【化94】
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
及びAはそれぞれ独立に、CHまたはNから選択され、A及びAのうちの少なくとも1つは、Nであり、
Zは、CHであるか、または存在せず、式中、ZがCHである時、破線(1)及び(2)はそれぞれ、単結合を表し;Zが存在しない時、破線(1)及び(2)は両方ともに、存在せず、
、R、R、R、及びRは独立に、C6-20アルキル及びC6-20アルケニルからなる群から選択され、
環Aが
【化95】
である時、
i)R、R、R、R、及びRは、同じであり、Rは、C12アルキル、C18アルキル、もしくはC18アルケニルでないか、
ii)R、R、R、R、及びRのうちの1つのみが、C6-20アルケニルから選択されるか、
iii)R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、R、R、R、R、及びRのうちの他の少なくとも1つとは異なる数の炭素原子を有するか、
iv)R、R、及びRは、C6-20アルケニルから選択され、R及びRは、C6-20アルキルから選択されるか、または
v)R、R、及びRは、C6-20アルキルから選択され、R及びRは、C6-20アルケニルから選択される。
【0763】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IVa)の化合物:
【化96】
である。
【0764】
式(IV)または(IVa)の化合物は、適用可能な時、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。
【0765】
いくつかの実施形態では、Zは、CHである。
【0766】
いくつかの実施形態では、Zは、存在しない。
【0767】
いくつかの実施形態では、A及びAのうちの少なくとも1つは、Nである。
【0768】
いくつかの実施形態では、A及びAのそれぞれは、Nである。
【0769】
いくつかの実施形態では、A及びAのそれぞれは、CHである。
【0770】
いくつかの実施形態では、Aは、Nであり、Aは、CHである。
【0771】
いくつかの実施形態では、Aは、CHであり、Aは、Nである。
【0772】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRは、同じであり、C12アルキル、C18アルキル、またはC18アルケニルではない。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRは、同じであり、CアルキルまたはC14アルキルである。
【0773】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRのうちの1つのみが、C6-20アルケニルから選択される。そのような特定の実施形態では、R、R、R、R、及びRは、同じ数の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、Rは、C5-20アルケニルから選択される。例えば、Rは、C12アルケニルまたはC18アルケニルであってよい。
【0774】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、R、R、R、R、及びRのうちの他の少なくとも1つとは異なる数の炭素原子を有する。
【0775】
特定の実施形態では、R、R、及びRは、C6-20アルケニルから選択され、R及びRは、C6-20アルキルから選択される。他の実施形態では、R、R、及びRは、C6-20アルキルから選択され、R及びRは、C6-20アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R、R、及びRは、同じ数の炭素原子を有し、及び/またはR及びRは、同じ数の炭素原子を有する。例えば、R、R、及びR、またはR及びRは、6、8、9、12、14、または18の炭素原子を有してもよい。いくつかの実施形態では、R、R、及びR、またはR及びRは、C18アルケニル(例えば、リノレイル)である。いくつかの実施形態では、R、R、及びR、またはR及びRは、6、8、9、12、または14の炭素原子を含むアルキル基である。
【0776】
いくつかの実施形態では、Rは、R、R、R、及びRとは異なる数の炭素原子を有する。他の実施形態では、Rは、R、R、R、及びRとは異なる数の炭素原子を有する。さらなる実施形態では、Rは、R、R、R、及びRとは異なる数の炭素原子を有する。
【0777】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
【化97】
【化98】
【化99】
【0778】
他の実施形態では、送達剤は、式(V)を有する化合物
【化100】
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
は、CHまたはNであり、
は、CHまたはNHであり、A及びAのうちの少なくとも1つは、NまたはNHであり、
Zは、CHであるか、または存在せず、式中、ZがCHである時、破線(1)及び(2)はそれぞれ、単結合を表し;Zが存在しない時、破線(1)及び(2)は両方ともに、存在せず、
、R、及びRは独立に、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-R”MR’、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、
各Mは独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びXは独立に、-CH-、-(CH-、-CHR-、-CHY-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、-CH-OC(O)-、-CH(OH)-、-C(S)-、及び-CH(SH)-からなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル及びC3-6炭素環からなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-12アルキル、C2-12アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択される。
【0779】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Va)の化合物:
【化101】
である。
【0780】
式(V)または(Va)の化合物は、適用可能な時、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。
【0781】
いくつかの実施形態では、Zは、CHである。
【0782】
いくつかの実施形態では、Zは、存在しない。
【0783】
いくつかの実施形態では、A及びAのうちの少なくとも1つは、NまたはNHである。
【0784】
いくつかの実施形態では、Aは、Nであり、Aは、NHである。
【0785】
いくつかの実施形態では、Aは、Nであり、Aは、CHである。
【0786】
いくつかの実施形態では、Aは、CHであり、Aは、NHである。
【0787】
いくつかの実施形態では、X及びXのうちの少なくとも1つは、-CH-ではない。例えば、特定の実施形態では、Xは、-CH-ではない。いくつかの実施形態では、X及びXの少なくとも1つは、-C(O)-である。
【0788】
いくつかの実施形態では、Xは、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、または-CH-OC(O)-である。
【0789】
いくつかの実施形態では、R、R、及びRは独立に、C5-20アルキル及びC5-20アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R、R、及びRは、同じである。特定の実施形態では、R、R、及びRは、C、C、C12、またはC14アルキルである。他の実施形態では、R、R、及びRは、C18アルケニルである。例えば、R、R、及びRは、リノレイルであってよい。
【0790】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
【化102】
【0791】
他の実施形態では、送達剤は、式(VI)を有する化合物:
【化103】
またはその塩もしくは立体異性体を含み、式中、
及びAはそれぞれ独立に、CHまたはNから選択され、A及びAの少なくとも1つは、Nであり、
Zは、CHであるか、または存在せず、式中、ZがCHである時、破線(1)及び(2)はそれぞれ、単結合を表し;Zが存在しない時、破線(1)及び(2)は両方ともに、存在せず、
及びXは独立に、-CH-、-(CH-、-CHR-、-CHY-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-CH-、-CH-C(O)-、-C(O)O-CH-、-OC(O)-CH-、-CH-C(O)O-、-CH-OC(O)-、-CH(OH)-、-C(S)-、及び-CH(SH)-からなる群から選択され、
、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-R”MR’、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、
各Mは独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル及びC3-6炭素環からなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-12アルキル、C2-12アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択される。
【0792】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、C6-20アルキル及びC6-20アルケニルからなる群から選択される。
【0793】
いくつかの実施形態では、R及びRは、同じである。特定の実施形態では、R、R、及びRは、同じである。いくつかの実施形態では、R及びRは、同じである。特定の実施形態では、R、R、R、R、及びRは、同じである。
【0794】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、C9-12アルキルである。特定の実施形態では、R、R、R、R、及びRのそれぞれは独立に、C、C12、または、C14アルキルである。特定の実施形態では、R、R、R、R、及びRのそれぞれは、Cアルキルである。
【0795】
いくつかの実施形態では、Aは、Nであり、Aは、Nである。いくつかの実施形態では、Aは、CHであり、Aは、Nである。
【0796】
いくつかの実施形態では、Xは、-CH-であり、Xは、-C(O)-である。いくつかの実施形態では、X及びXは、-C(O)-である。
【0797】
いくつかの実施形態では、AがNであり、AがNである時、X及びXの少なくとも1つは、-CH-ではなく、例えば、X及びXの少なくとも1つは、-C(O)-である。いくつかの実施形態では、AがNであり、AがNである時、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’である。
【0798】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-R”MR’ではない。
【0799】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化104】
である。
【0800】
他の実施形態では、送達剤は、式を有する化合物:
【化105】
を含む。
【0801】
本明細書に開示の脂質化合物のアミン部分は、特定の条件下でプロトン化することができる。例えば、式(I)による脂質の中央のアミン部分は通常、アミノ部分のpKa未満のpHで、プロトン化され(すなわち、正に荷電し)、pKaを超えるpHで、実質的に荷電していない。そのような脂質は、イオン性アミノ脂質と呼ぶことができる。
【0802】
特定の一実施形態では、イオン性アミノ脂質は、化合物18である。別の実施形態では、イオン性アミノ脂質は、化合物236である。
【0803】
いくつかの実施形態では、イオン性アミノ脂質、例えば、式(I)の化合物、の量は、脂質組成物中、約1mol%~99mol%の範囲である。
【0804】
一実施形態では、イオン性アミノ脂質、例えば、式(I)の化合物、の量は、脂質組成物中、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99mol%である。
【0805】
一実施形態では、イオン性アミノ脂質、例えば、式(I)の化合物、の量は、脂質組成物中、約30mol%~約70mol%、約35mol%~約65mol%、約40mol%~約60mol%、及び約45mol%~約55mol%の範囲である。
【0806】
特定の一実施形態では、イオン性アミノ脂質、例えば、式(I)の化合物、の量は、脂質組成物中、約50mol%である。
【0807】
本明細書に開示のイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)の化合物、に加えて、本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、追加構成成分、例えば、リン脂質、構造脂質、PEG脂質、及びそれらの任意の組み合わせ、を含むことができる。
【0808】
b.脂質組成物中の追加構成成分
(i)リン脂質
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、1つ以上のリン脂質、例えば、1つ以上の飽和もしくは(ポリ)不飽和リン脂質またはそれらの組み合わせ、を含むことができる。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含む。
【0809】
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択することができる。
【0810】
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択することができる。
【0811】
特定のリン脂質は、膜への融合を容易にすることができる。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負荷電リン脂質と相互作用することができる。リン脂質の膜への融合は、脂質含有組成物(例えば、LNP)の1つ以上の要素(例えば、治療薬)が、膜を通過することを可能にし、例えば、1つ以上の要素の標的組織への送達を可能にすることができる。
【0812】
分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む修飾及び置換を有する天然種を含む非天然リン脂質種もまた考察される。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合で置換されたアルケニル基)で官能化または架橋することができる。好適な反応条件下で、アルキン基は、アジドへの曝露時に、銅触媒付加環化を受ける可能性がある。そのような反応は、ナノ粒子組成物の脂質二重層を官能化して膜透過もしくは細胞認識を促進することに、または、ナノ粒子組成物を、有用な構成要素、例えば、標的化もしくはイメージング部分(例えば、色素)にコンジュゲートさせること、に有用である可能性がある
【0813】
リン脂質は、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジグリセロール(phosphatidy glycerols)及びホスファチジン酸、を含むが、これらに限定されない。リン脂質は、スフィンゴミエリンなどのホスホスフィンゴ脂質を含む。
【0814】
リン脂質の例としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:
【化106】
【化107】
【0815】
特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、DSPCのアナログまたはバリアントである。特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用なリン脂質は、式(IX)の化合物:
【化108】
またはその塩であり、式中、
各Rは独立に、任意に置換されたアルキルであり;または任意に、2つのRは、間の原子と一緒になって結合して、任意に置換された単環式カルボシクリルもしくは任意に置換された単環式ヘテロシクリルを形成し;または任意に、3つのRは、間の原子と一緒になって結合して、任意に置換された二環式カルボシクリルまたは任意に置換された二環式ヘテロシクリルを形成し、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Aは、式:
【化109】
のものであり、
の各例は独立に、結合または任意に置換されたC1-6アルキレンであり、任意に置換されたC1-6アルキレンの1つのメチレン単位は、-O-、-N(R)-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、または-NRC(O)N(R)-で任意に置換され、
の各例は独立に、任意に置換されたC1-30アルキル、任意に置換されたC1-30アルケニル、または任意に置換されたC1-30アルキニルであり、任意に、Rの1つ以上のメチレン単位は独立に、任意に置換されたカルボシクリレン(carbocyclylene)、任意に置換されたヘテロシクリレン(heterocyclylene)、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-であり、
の各例は独立に、水素、任意に置換されたアルキル、または窒素保護基であり、
環Bは、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
pは、1または2である、
但し、化合物は、式:
【化110】
式中、Rの各例は独立に、非置換アルキル、非置換アルケニル、または非置換アルキニルである
で示される以外の化合物である。
【0816】
リン脂質頭部修飾
特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、修飾リン脂質頭部(例えば、修飾コリン基)を含む。特定の実施形態では、修飾頭部を有するリン脂質は、修飾4級アミンを有するDSPCまたはそのアナログである。例えば、式(IX)の実施形態では、Rのうちの少なくとも1つは、メチルではない。特定の実施形態では、Rのうちの少なくとも1つは、水素またはメチルではない。特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化111】
またはその塩であり、式中、
各tは独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
各uは独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;
各vは独立に、1、2、または3である。
【0817】
特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物またはそれらの塩である:
【化112】
【0818】
特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、以下のうちの1つまたはそれらの塩である:
【化113】
【化114】
【0819】
特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、式(IX-a)の化合物:
【化115】
またはそれらの塩である。
【0820】
特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾コアを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の修飾コアを有するリン脂質は、修飾コア構造を有するDSPCまたはそのアナログである。例えば、式(IX-a)の特定の実施形態では、基Aは、以下の式の化合物:
【化116】
ではない。
【0821】
特定の実施形態では、式(IX-a)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化117】
またはそれらの塩である。
【0822】
特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、以下のうちの1つ:
【化118】
またはそれらの塩である。
【0823】
特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、グリセリド部分の代わりに環状部分を含む。特定の実施形態では、本発明で有用なリン脂質は、グリセリド部分の代わりに環状部分を有するDSPCまたはそのアナログである。特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、式(IX-b)の化合物:
【化119】
またはそれらの塩である。
【0824】
特定の実施形態では、式(IX-b)の化合物は、式(IX-b-1)の化合物:
【化120】
またはその塩であり、式中、
wは、0、1、2、または3である。
【0825】
特定の実施形態では、式(IX-b)の化合物は、式(IX-b-2)の化合物:
【化121】
またはそれらの塩である。
【0826】
特定の実施形態では、式(IX-b)の化合物は、式(IX-b-3)の化合物:
【化122】
またはそれらの塩である。
【0827】
特定の実施形態では、式(IX-b)の化合物は、式(IX-b-4)の化合物:
【化123】
またはそれらの塩である。
【0828】
特定の実施形態では、式(IX-b)の化合物は、以下のうちの1つ:
【化124】
またはそれらの塩である。
【0829】
リン脂質尾部修飾
特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、修飾尾部を含む。特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用である可能性のあるリン脂質は、修飾尾部を有するDSPCまたはそのアナログである。本明細書に記載される場合、「修飾尾部」は、より短いまたはより長い脂肪族鎖、分岐が導入された脂肪族鎖、置換基が導入された脂肪族鎖、1つ以上のメチレンが環状もしくはヘテロ原子基脂肪族鎖、またはそれらの任意の組み合わせを有する尾部であってよい。例えば、特定の実施形態では、(IX)の化合物は、式(IX-a)の化合物、またはその塩であり、式中、Rの少なくとも一例は、Rの各例は、任意に置換されたC1-30アルキルであり、Rの1つ以上のメチレン単位は独立に、任意に置換されたカルボシクリレン、任意に置換されたヘテロシクリレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-で置換される。
【0830】
特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、式(IX-c)の化合物:
【化125】
またはその塩であり、式中、
各xは独立に、0~30の整数(端点を含む)であり、
Gの各例は独立に、任意に置換されたカルボシクリレン、任意に置換されたヘテロシクリレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0831】
特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、式(IX-c-1)の化合物:
【化126】
またはその塩であり、式中、
vの各例は独立に、1、2、または3である。
【0832】
特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、式(IX-c-2)の化合物:
【化127】
またはそれらの塩である。
【0833】
特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、以下の式の化合物:
【化128】
またはそれらの塩である。
【0834】
特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、以下の:
【化129】
またはそれらの塩である。
【0835】
特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、式(IX-c-3)の化合物:
【化130】
またはそれらの塩である。
【0836】
特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、以下の式の化合物:
【化131】
またはそれらの塩である。
【0837】
特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、以下の:
【化132】
またはそれらの塩である。
【0838】
特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾ホスホコリン部分を含み、4級アミンをホスホリル基に連結するアルキル鎖は、エチレンではない(例えば、nは、2ではない)。それ故、特定の実施形態では、本発明で有用または潜在的に有用なリン脂質は、式(IX)の化合物であり、式中、nは、1、3、4、5、6、7、8、9、または10である。例えば、特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化133】
またはそれらの塩である。
【0839】
特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、以下のうちの1つ:
【化134】
【化135】
【化136】
【化137】
またはそれらの塩である。
【0840】
(ii)代替脂質
特定の実施形態では、代替脂質は、本発明のリン脂質の代わりに使用される。そのような代替脂質の非限定例としては、以下のが挙げられる:
【化138】
【0841】
(iii)構造脂質
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、1つ以上の構造脂質を含むことができる。本明細書で使用される場合、「構造脂質」という用語は、ステロール、さらに、ステロール部分を含有する脂質を指す。
【0842】
脂質ナノ粒子中の構造脂質の取り込みは、粒子中の他の脂質の凝集を弱めるのに役立ち得る。構造脂質は、限定されないが、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、アルファトコフェロール、ホパノイド、フィトステロール、ステロイド、及びそれらの混合物を含む群から選択することができる。いくつかの実施形態では、構造脂質は、ステロールである。本明細書で定義される場合、「ステロール」は、ステロイドアルコールからなるステロイドのサブグループである。特定の実施形態では、構造脂質は、ステロイドである。特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールのアナログである。特定の実施形態では、構造脂質は、アルファトコフェロールである。構造脂質の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【化139】
【0843】
一実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物中の構造脂質(例えば、コレステロールなどのステロール)の量は、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mo%、約30mol%~約50mol%、または約35mol%~約45mol%の範囲である。
【0844】
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物中の構造脂質(例えば、コレステロールなどのステロール)の量は、約25mol%~約30mol%、約30mol%~約35mol%、または約35mol%~約40mol%の範囲である。
【0845】
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物中の構造脂質(例えば、コレステロールなどのステロール)の量は、約24mol%、約29mol%、約34mol%、または約39mol%である。
【0846】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物中の構造脂質(例えば、コレステロールなどのステロール)の量は、少なくとも約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60mol%である。
【0847】
(iv)ポリエチレングリコール(PEG)脂質
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、1つ以上のポリエチレングリコール(PEG)脂質を含むことができる。
【0848】
本明細書で使用される場合、「PEG脂質」という用語は、ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質を指す。PEG脂質の非限定例としては、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEGセラミドコンジュゲート(例えば、PEG-CerC14またはPEG-CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン及びPEG修飾1,2-ジアシルオキシプロパン-3-アミンが挙げられる。そのような脂質は、PEG化脂質とも呼ばれる。例えば、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質とすることができる。
【0849】
いくつかの実施形態では、PEG脂質としては、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG-DSPE)、PEG-ジステニルグリセロール(PEG-DSG)、PEG-ジパルミトレイル、PEG-ジオレイル、PEG-ジステアリル、PEG-ジアシルグリカミド(PEG-DAG)、PEG-ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DPPE)、またはPEG-1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-アミン(PEG-c-DMA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0850】
一実施形態では、PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物でからなる群から選択される。
【0851】
いくつかの実施形態では、PEG脂質の脂質部分は、約C14~約C22、好ましくは、約C14~約C16、の長さを有するものを含む。いくつかの実施形態では、PEG部分、例えば、mPEG-NHは、約1000、2000、5000、10000、15000、または20,000ダルトンのサイズを有する。一実施形態では、PEG脂質は、PEG2k-DMGである。
【0852】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、非拡散性PEGであるPEG脂質を含むことができる。非拡散性PEGの非限定例としては、PEG-DSG及びPEG-DSPEが挙げられる。
【0853】
PEG-脂質は、米国特許第8158601号及び国際公開第WO2015/130584A2号に記載されているように、当該技術分野で既知であり、これらは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0854】
一般に、本明細書に記載の種々の式の他の脂質構成成分(例えば、PEG脂質)のいくつかは、「Compositions and Methods for Delivery of Therapeutic Agents(治療薬の送達のための組成物及び方法)」という名称の2016年12月10日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/000129号」に記載されているように合成されてもよく、これは、全体が参照により組み込まれる。
【0855】
脂質ナノ粒子組成物の脂質構成成分は、ポリエチレングリコールを含む1つ以上の分子、例えば、PEG脂質またはPEG修飾脂質を含み得る。あるいは、そのような種は、PEG化脂質と呼ばれ得る。PEG脂質は、ポリエチレングリコールで修飾されている脂質である。PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物を含む非限定的な群から選択され得る。例えば、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であってよい。
【0856】
いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質は、PEG-DMGの修飾形態である。PEG-DMGは、以下の構造を有する:
【化140】
【0857】
一実施形態では、本発明で有用なPEG脂質は、国際公開第WO2012099755号に記載のPEG化脂質とすることができ、この内容は、本明細書に全体が参照により組み込まれる。本明細書に記載のこれらの例示的なPEG脂質のいずれもが、ヒドロキシル基をPEG鎖に含むように修飾され得る。特定の実施形態では、PEG脂質は、PEG-OH脂質である。本明細書で一般に定義されるように、(本明細書では「ヒドロキシPEG化脂質」とも呼ばれる)「PEG-OH脂質」は、1つ以上のヒドロキシル(-OH)基を脂質に有するPEG化脂質である。特定の実施形態では、PEG-OH脂質は、1つ以上のヒドロキシル基をPEG鎖に含む。特定の実施形態では、PEG-OHまたはヒドロキシPEG化脂質は、PEG鎖の末端に-OH基を含む。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0858】
特定の実施形態では、本発明に有用なPEG脂質は、式(VII)の化合物である。式(VII)の化合物またはその塩が本明細書で提供され:
【化141】
式中、
は、-ORであり、
は、水素、任意に置換されたアルキル、または酸素保護基であり、
rは、1~100の整数(端点を含む)であり、
は、任意に置換されたC1-10アルキレンであり、任意に置換されたC1-10アルキレンのうちの少なくとも1つは独立に、任意に置換されたカルボシクリレン、任意に置換されたヘテロシクリレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたヘテロアリーレン、-O-、-N(R)-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、または-NRC(O)N(R)-で置換され、
Dは、クリックケミストリーにより得られるまたは生理的条件下で切断可能な部分であり、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Aは、式:
【化142】
のものであり、
の各例は独立に、結合または任意に置換されたC1-6アルキレンであり、任意に置換されたC1-6アルキレンの1つのメチレン単位は、-O-、-N(R)-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、または-NRC(O)N(R)-で任意に置換され、
の各例は独立に、任意に置換されたC1-30アルキル、任意に置換されたC1-30アルケニル、または任意に置換されたC1-30アルキニルであり、任意に、Rの1つ以上のメチレン単位は独立に、任意に置換されたカルボシクリレン、任意に置換されたヘテロシクリレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-であり、
の各例は独立に、水素、任意に置換されたアルキル、または窒素保護基であり、
環Bは、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
pは、1または2である。
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、PEG-OH脂質(すなわち、Rは、-ORであり、Rは、水素である)である。特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、式(VII-OH)の化合物またはそれらの塩である:
【化143】
【0859】
特定の実施形態では、Dは、クリック化学(例えば、トリアゾール)により得られた部分である。特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、式(VII-a-1)または(VII-a-2)の化合物またはそれらの塩である:
【化144】
【0860】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物またはその塩であり:
【化145】
式中、sは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0861】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物またはそれらの塩である:
【化146】
【0862】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物またはそれらの塩である:
【化147】
【0863】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化148】
またはそれらの塩である。
【0864】
特定の実施形態では、Dは、生理学的条件下で切断可能な部分(例えば、エステル、アミド、カルボナート、カルバマート、尿素)である。特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、式(VII-b-1)または(VII-b-2)の化合物:
【化149】
またはそれらの塩である。
【0865】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、式(VII-b-1-OH)または(VII-b-2-OH)の化合物:
【化150】
またはそれらの塩である。
【0866】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化151】
またはそれらの塩である。
【0867】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化152】
またはそれらの塩である。
【0868】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化153】
またはそれらの塩である。
【0869】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化154】
またはそれらの塩である。
【0870】
特定の実施形態では、本発明で有用なPEG脂質は、PEG化脂肪酸である。特定の実施形態では、本発明に有用なPEG脂質は、式(VIII)の化合物である。式(VIII)の化合物:
【化155】
またはその塩が、本明細書で提供され、式中、
は、-ORであり、
は、水素、任意に置換されたアルキル、または酸素保護基であり、
rは、1~100の整数(端点を含む)であり、
は、任意に置換されたC10-40アルキル、任意に置換されたC10-40アルケニル、または任意に置換されたC10-40アルキニルであり;任意に、Rの1つ以上のメチレン基は、任意に置換されたカルボシクリレン、任意に置換されたヘテロシクリレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-で置換され、
の各例は独立に、水素、任意に置換されたアルキル、または窒素保護基である)。
【0871】
特定の実施形態では、式(VIII)の化合物は、式(VIII-OH)の化合物:
【化156】
またはそれらの塩である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
【0872】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化157】
またはそれらの塩である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
【0873】
さらに他の実施形態では、式(VIII)の化合物は、
【化158】
またはそれらの塩である。
【0874】
一実施形態では、式(VIII)の化合物は、
【化159】
である。
【0875】
一実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物中のPEG脂質の量は、約0mol%~約5mol%、約1mol%~約5mol%、約2mol%~約5mol%、約0mol%~約4mol%、約1mol%~約4mol%、約2mol%~約4mol%、約0mol%~約3mol%、約1mol%~約3mol%、約2mol%~約3mol%、約0mol%~約2mol%、または約1mol%~約2mol%の範囲である。
【0876】
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物中のPEG脂質の量は、約2mol%である。一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物中のPEG脂質の量は、約1.5mol%である。
【0877】
一実施形態では、本明細書に開示の脂質組成物中のPEG脂質の量は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5mol%である。
【0878】
いくつかの態様では、本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、PEG脂質を含まない。
【0879】
(v)他のイオン性アミノ脂質
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、式(I)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)による脂質に加えて、1つ以上のイオン性アミノ脂質を含むことができる。
【0880】
イオン性脂質は、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノメチル)ブタノアート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、(13Z,165Z)-N,N-ジメチル-3-ノニドコサ-13-16-ジエン-1-アミン(L608)、2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、及び(2S)-2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))からなる非限定的な群から選択することができる。これらに加えて、イオン性アミノ脂質は、環状アミン基を含む脂質とすることもできる。
【0881】
イオン性脂質は、全体として本明細書で参照により組み込まれる国際公開第WO2017/075531A1号に開示される化合物とすることもできる。例えば、イオン性アミノ脂質は、
【化160】
及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0882】
イオン性脂質は、全体として本明細書で参照により組み込まれる国際公開第WO2015/199952A1号に開示される化合物とすることもできる。例えば、イオン性アミノ脂質は、
【化161】
【化162】
及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0883】
イオン性脂質は、
【化163】
及びそれらの任意の組み合わせをさらに含むことができるが、これらに限定されない。
【0884】
(vi)他の脂質組成物構成成分
本明細書に開示の医薬組成物の脂質組成物は、上記のものに加えて、1つ以上の構成成分を含むことができる。例えば、脂質組成物は、1つ以上の透過促進分子、炭水化物、ポリマー、表面改質剤(例えば、界面活性剤)、または他の構成成分を含むことができる。例えば、透過促進分子は、米国特許出願公開第2005/0222064号に記載の分子とすることができる。炭水化物は、単糖(例えば、グルコース)及び多糖(例えば、グリコーゲンならびにその誘導体及びアナログ)を含むことができる。
【0885】
ポリマーは、本明細書に開示の医薬組成物(例えば、脂質ナノ粒子形態の医薬組成物)に含むことができ、及び/または、それを封入もしくは部分的に封入するために使用することができる。ポリマーは、生分解性及び/または生体適合性であることができる。ポリマーは、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバマート、ポリ尿素、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアナート、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリーラートから選択することができるが、これらに限定されない。
【0886】
脂質組成物及びポリヌクレオチドの間の比の範囲は、約10:1~約60:1(wt/wt)であることができる。
【0887】
いくつかの実施形態では、脂質組成物及びポリヌクレオチドの比率は、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1(wt/wt)とすることができる。いくつかの実施形態では、脂質組成物対治療薬をコードするポリヌクレオチドのwt/wt比は、約20:1または約15:1である。
【0888】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、複数のポリペプチドを含有することができる。例えば、本明細書に開示の医薬組成物は、2つ以上のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含有することができる。
【0889】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、もしくは70:1の脂質:ポリヌクレオチド重量比、または、これらの比の範囲もしくはいずれか、例えば、限定されないが、5:1~約10:1、約5:1~約15:1、約5:1~約20:1、約5:1~約25:1、約5:1~約30:1、約5:1~約35:1、約5:1~約40:1、約5:1~約45:1、約5:1~約50:1、約5:1~約55:1、約5:1~約60:1、約5:1~約70:1、約10:1~約15:1、約10:1~約20:1、約10:1~約25:1、約10:1~約30:1、約10:1~約35:1、約10:1~約40:1、約10:1~約45:1、約10:1~約50:1、約10:1~約55:1、約10:1~約60:1、約10:1~約70:1、約15:1~約20:1、約15:1~約25:1,約15:1~約30:1、約15:1~約35:1、約15:1~約40:1、約15:1~約45:1、約15:1~約50:1、約15:1~約55:1、約15:1~約60:1、もしくは約15:1~約70:1で含むことができる。
【0890】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、ポリヌクレオチドを、約0.1mg/ml~2mg/ml、例えば、限定されないが、0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、1.0mg/ml、1.1mg/ml、1.2mg/ml、1.3mg/ml、1.4mg/ml、1.5mg/ml、1.6mg/ml、1.7mg/ml、1.8mg/ml、1.9mg/ml、2.0mg/ml、または2.0mg/mlを超える濃度で含むことができる。
【0891】
(vii)ナノ粒子組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)として製剤化される。従って、本開示は、(i)本明細書に記載の式(I)または(III)の化合物などの送達剤、及び、(ii)シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む脂質組成物を含むナノ粒子組成物も提供する。そのようなナノ粒子組成物では、本明細書に開示の脂質組成物は、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを封入することができる。
【0892】
ナノ粒子組成物は通常、マイクロメートル台以下の大きさであり、脂質二重層を含むことができる。ナノ粒子組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム(例えば、脂質小胞)、及びリポプレックスを包含する。例えば、ナノ粒子組成物は、500nm以下の直径を有する脂質二重層を有するリポソームとすることができる。
【0893】
ナノ粒子組成物は、例えば、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム、及びリポプレックスを含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、1つ以上の脂質二重層を含む小胞である。特定の実施形態では、ナノ粒子組成物は、水性区画により隔てられた2つ以上の同心二重層を含む。脂質二重層は、官能化及び/または互いに架橋することができる。脂質二重層は、1つ以上のリガンド、タンパク質、またはチャネルを含むことができる。
【0894】
いくつかの実施形態では、本開示のナノ粒子組成物は、式(I)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)による少なくとも1つの化合物を含む。例えば、ナノ粒子組成物は、化合物1~147のうちの1つ以上または化合物1~342のうちの1つ以上を含むことができる。ナノ粒子組成物は、様々な他の構成成分を含むこともできる。例えば、ナノ粒子組成物は、式(I)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)による脂質に加えて、他の1つ以上の脂質、例えば、(i)少なくとも1つのリン脂質、(ii)少なくとも1つの構造脂質、(iii)少なくとも1つのPEG-脂質、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含むことができる。構造脂質を含むことは、例えば、式IIIによる脂質が本発明の脂質ナノ粒子組成物に使用される場合、任意とすることができる。
【0895】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(I)の化合物(例えば、化合物18、25、26、または48)を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(I)の化合物(例えば、化合物18、25、26、または48)及びリン脂質(例えば、DSPC)を含む。
【0896】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(III)の化合物(例えば、化合物236)を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(III)の化合物(例えば、化合物236)及びリン脂質(例えば、DOPEまたはDSPC)を含む。
【0897】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(I)の化合物(例えば、化合物18、25、26、または48)からなるか、または本質的なる脂質組成物を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(I)の化合物(例えば、化合物18、25、26、または48)及びリン脂質(例えば、DSPC)からなるか、または本質的になる脂質組成物を含む。
【0898】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(III)の化合物(例えば、化合物236)からなるか、または本質的になる脂質組成物を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、式(III)の化合物(例えば、化合物236)及びリン脂質(例えば、DOPEまたはDSPC)からなるか、または本質的になる脂質組成物を含む。
【0899】
一実施形態では、脂質ナノ粒子は、イオン性脂質、構造脂質、リン脂質、及びmRNAを含む。いくつかの実施形態では、LNPは、イオン性脂質、PEG修飾脂質、ステロール、及び構造脂質を含む。いくつかの実施形態では、LNPは、約20~60%のイオン性脂質、約5~25%の構造脂質、約25~55%のステロール、約0.5~15%のPEG修飾脂質のモル比を有する。いくつかの実施形態では、LNPは、約50%のイオン性脂質、約1.5%のPEG修飾脂質、約38.5%のコレステロール、及び約10%の構造脂質のモル比を含む。いくつかの実施形態では、LNPは、約55%のイオン性脂質、約2.5%のPEG脂質、約32.5%のコレステロール、及び約10%の構造脂質のモル比を含む。いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、イオン性アミノ脂質であり、構造脂質は、中性脂質であり、ステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、LNPは、イオン性脂質:コレステロール:DSPC:PEG脂質のモル比が50:38.5:10:1.5である。いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、化合物18または化合物236であり、PEG脂質は、化合物428である。
【0900】
いくつかの実施形態では、LNPは、化合物18:コレステロール:リン脂質:化合物428のモル比が50:38.5:10:1.5である。いくつかの実施形態では、LNPは、化合物18:コレステロール:DSPC:化合物428のモル比が50:38.5:10:1.5である。
【0901】
いくつかの実施形態では、LNPは、化合物236:コレステロール:リン脂質:化合物428のモル比が50:38.5:10:1.5である。いくつかの実施形態では、LNPは、化合物236:コレステロール:DSPC:化合物428のモル比が50:38.5:10:1.5である。
【0902】
いくつかの実施形態では、LNPは、0.4未満の多分散値を有する。いくつかの実施形態では、LNPは、中性pHで正味中性電荷を有する。いくつかの実施形態では、LNPは、50~150nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、LNPは、80~100nmの平均直径を有する。
【0903】
本明細書で一般に定義される場合、「脂質」という用語は、疎水性または両親媒性特性を有する小分子を指す。脂質は、天然に存在する脂質または合成脂質であってよい。脂質の部類の例としては、脂肪、ワックス、ステロール含有代謝産物、ビタミン、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、サッカロ脂質、及びポリケチド、ならびにプレノール脂質が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、いくつかの脂質の両親媒性特性により、それらが水性媒体中でリポソーム、小胞、または膜を形成するようなる。
【0904】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)は、イオン性脂質を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「イオン性脂質」という用語は、当該分野におけるその通常の意味を有し、1つ以上の荷電部分を含む脂質を指し得る。いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、正に荷電または負に荷電してもよい。イオン性脂質は、正に荷電してもよく、この場合、それは、「カチオン性脂質」と呼ぶことができる。特定の実施形態では、イオン性脂質分子は、アミン基を含んでもよく、イオン性アミノ脂質と呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「荷電部分」は、形式電荷、例えば、一価(+1または-1)、二価(+2または-2)、三価(+3または-3)など、を有する化学的部分である。荷電部分は、アニオン性(すなわち、負に荷電)またはカチオン性(すなわち、正に荷電)であってよい。正荷電部分の例としては、アミン基(例えば、1級アミン、2級アミン、及び/または3級アミン)、アンモニウム基、ピリジニウム基、グアニジン基、及びイミジゾリウム(imidizolium)基が挙げられる。特定の実施形態では、荷電部分は、アミン基を含む。負荷電基またはその前駆体の例としては、カルボキシラート基、スルホナート基、スルファート基、ホスホナート基、ホスファート基、ヒドロキシル基などが挙げられる。いくつかの場合では、荷電部分の電荷は、環境条件に伴い変動してもよく、例えば、pHの変化は、部分の電荷を変化させ、及び/または部分が荷電または非荷電になるようし得る。一般に、分子の電荷密度は、要望通りに選択され得る。
【0905】
「荷電」または「荷電部分」という用語は、分子上の「部分的負電荷」または「部分的正電荷」を指さないことを理解すべきである。「部分負電荷」及び「部分正電荷」という用語は、当該技術分野で通常の意味が与えられる。電子密度が結合の1つの原子に向かって引っ張られて、原子上に部分的な負電荷を生成するように、官能基が分極化する結合を含む場合、「部分負電荷」が生じ得る。当業者らは一般に、このように分極することができる結合を認識するであろう。
【0906】
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、当該技術分野で「イオン性カチオン性脂質」と呼ばれる場合があるイオン性アミノ脂質である。一実施形態では、イオン性アミノ脂質は、リンカー構造を介して連結される正荷電親水性頭部及び疎水性尾部を有し得る。
【0907】
これらに加えて、イオン性脂質は、環状アミン基を含む脂質でもあり得る。
【0908】
一実施形態では、イオン性脂質は、国際公開第WO2013086354号及び同第WO2013116126号に記載のイオン性脂質から選択され得るが、これらに限定されず、これらのそれぞれの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0909】
さらに別の実施形態では、イオン性脂質は、限定されないが、米国特許第7,404,969号の式CLI-CLXXXXIIから選択され得るが、これらに限定されず、これらのそれぞれの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0910】
一実施形態では、脂質は、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2012170889号に記載されるような切断可能な脂質であってよい。一実施形態では、脂質は、当該技術分野で既知の方法により及び/または国際公開第WO2013086354号(これらのそれぞれの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、合成され得る。
【0911】
ナノ粒子組成物は、様々な方法により特性決定することができる。例えば、顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡)を、ナノ粒子組成物の形態及びサイズ分布を調べるために使用することができる。動的光散乱法または電位差測定法(例えば、電位差滴定)を、ゼータ電位を測定するために使用することができる。動的光散乱法は、粒子サイズを決定するために利用することもできる。Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd、英国ウスターシャー州マルバーン)などの装置を、ナノ粒子組成物の複数の特徴、例えば、粒径、多分散指数、及びゼータ電位、を測定するために使用することもできる。
【0912】
ナノ粒子のサイズは、限定されないが、炎症などのカウンターの生物学的反応を打ち消すのを助けることができ、または、ポリヌクレオチドの生物学的効果を増加させることができる。
【0913】
本明細書で使用される場合、ナノ粒子組成物の文脈における「サイズ」または「平均サイズ」は、ナノ粒子組成物の平均直径を指す。
【0914】
一実施形態では、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、約10~約100nm、例えば、限定されないが、約10~約20nm、約10~約30nm、約10~約40nm、約10~約50nm、約10~約60nm、約10~約70nm、約10~約80nm、約10~約90nm、約20~約30nm、約20~約40nm、約20~約50nm、約20~約60nm、約20~約70nm、約20~約80nm、約20~約90nm、約20~約100nm、約30~約40nm、約30~約50nm、約30~約60nm、約30~約70nm、約30~約80nm、約30~約90nm、約30~約100nm、約40~約50nm、約40~約60nm、約40~約70nm、約40~約80nm、約40~約90nm、約40~約100nm、約50~約60nm、約50~約70nm、約50~約80nm、約50~約90nm、約50~約100nm、約60~約70nm、約60~約80nm、約60~約90nm、約60~約100nm、約70~約80nm、約70~約90nm、約70~約100nm、約80~約90nm、約80~約100nm、及び/または約90~約100nmの直径を有する脂質ナノ粒子に製剤化される。
【0915】
一実施形態では、ナノ粒子は、約10~500nmの直径を有する。一実施形態では、ナノ粒子は、100nmより大きい、150nmより大きい、200nmより大きい、250nmより大きい、300nmより大きい、350nmより大きい、400nmより大きい、450nmより大きい、500nmより大きい、550nmより大きい、600nmより大きい、650nmより大きい、700nmより大きい、750nmより大きい、800nmより大きい、850nmより大きい、900nmより大きい、950nmより大きい、または1000nmより大きい直径を有する。
【0916】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物の最大寸法は、1μm以下(例えば、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、50nm、またはそれ以下)である。
【0917】
ナノ粒子組成物は、比較的均質であることができる。多分散指数を、ナノ粒子組成物の均質性、例えば、ナノ粒子組成物の粒径分布、を示すために使用することができる。小さな(例えば、0.3未満の)多分散指数は一般に、狭い粒径分布を示す。ナノ粒子組成物は、約0~約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25の多分散指数を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のナノ粒子組成物の多分散指数は、約0.10~約0.20であることができる。
【0918】
ナノ粒子組成物のゼータ電位は、組成物の界面動電電位を示すために使用することができる。例えば、ゼータ電位は、ナノ粒子組成物の表面電荷を表すことができる。より高い電荷種は、細胞、組織、及び体内の他の要素と望ましくない相互作用をする可能性があるので、正または負の比較的少ない電荷を有するナノ粒子組成物が一般に望ましい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のナノ粒子組成物のゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、または約+5mV~約+10mVであることができる。
【0919】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は、約0mV~約100mV、約0mV~約90mV、約0mV~約80mV、約0mV~約70mV、約0mV~約60mV、約0mV~約50mV、約0mV~約40mV、約0mV~約30mV、約0mV~約20mV、約0mV~約10mV、約10mV~約100mV、約10mV~約90mV、約10mV~約80mV、約10mV~約70mV、約10mV~約60mV、約10mV~約50mV、約10mV~約40mV、約10mV~約30mV、約10mV~約20mV、約20mV~約100mV、約20mV~約90mV、約20mV~約80mV、約20mV~約70mV、約20mV~約60mV、約20mV~約50mV、約20mV~約40mV、約20mV~約30mV、約30mV~約100mV、約30mV~約90mV、約30mV~約80mV、約30mV~約70mV、約30mV~約60mV、約30mV~約50mV、約30mV~約40mV、約40mV~約100mV、約40mV~約90mV、約40mV~約80mV、約40mV~約70mV、約40mV~約60mV,及び約40mV~約50mVであることができる。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は、約10mV~約50mV、約15mV~約45mV、約20mV~約40mV、及び約25mV~約35mVであることができる。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は、約10mV、約20mV、約30mV、約40mV、約50mV、約60mV、約70mV、約80mV、約90mV、及び約100mVであることができる。
【0920】
ポリヌクレオチドの「封入効率」という用語は、提供された初期量に対する、調製後のナノ粒子組成物により封入されるか、または別の方法でこれと会合するポリヌクレオチドの量を表す。本明細書で使用される場合、「封入」は、完全な、実質的な、または部分的な閉じ込め、拘束、取り囲み、または内包を指すことができる。
【0921】
封入効率は、高いことが望ましい(例えば、100%に近い)。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒または界面活性剤でナノ粒子組成物を分解させた前後で、ナノ粒子組成物を含有する溶液中のポリヌクレオチドの量を比較することにより、測定することができる。
【0922】
蛍光を、溶液中の遊離ポリヌクレオチドの量を測定するために使用することができる。本明細書に記載のナノ粒子組成物では、ポリヌクレオチドの封入効率は、少なくとも50%、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であることができる。いくつかの実施形態では、封入効率は、少なくとも80%であることができる。特定の実施形態では、封入効率は、少なくとも90%であることができる。
【0923】
本明細書に開示の医薬組成物中に存在するポリヌクレオチドの量は、複数の要因、例えば、ポリヌクレオチドのサイズ、所望の標的及び/または用途、またはナノ粒子組成物の他の特性、ならびに、ポリヌクレオチドの特性、に依存する可能性がある。
【0924】
例えば、ナノ粒子組成物に有用なmRNAの量は、mRNAのサイズ(長さまたは分子量として表される)、配列、及び他の特徴に依存し得る。ナノ粒子組成物中のポリヌクレオチドの相対量もまた、変動する可能性がある。
【0925】
本開示の脂質組成物及び脂質ナノ粒子組成物中に存在するポリヌクレオチドの相対量は、有効性及び忍容性の考察に従って最適化することができる。ポリヌクレオチドとしてのmRNAを含む組成物では、N:P比は、有用なメトリックとして機能することができる。
【0926】
ナノ粒子組成物のN:P比が発現及び忍容性の両方を制御するので、低いN:P比及び強い発現を有するナノ粒子組成物が望ましい。N:P比は、ナノ粒子組成物中の脂質対RNAの比に従って変動する。
【0927】
一般に、より低いN:P比が、好ましい。1つ以上のRNA、脂質、及びその量は、約2:1~約30:1、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、20:1、22:1、24:1、26:1、28:1、または 30:1のN:P比を提供するように選択することができる。特定の実施形態では、N:P比は、約2:1~約8:1であることができる。他の実施形態では、N:P比は、約5:1~約8:1である。特定の実施形態では、N:P比は、5:1~6:1である。特定の一態様では、N:P比は、約5.67:1である。
【0928】
ナノ粒子組成物を提供することに加えて、本開示は、ポリヌクレオチドを封入することを含む、脂質ナノ粒子を生成する方法も提供する。そのような方法は、本明細書に開示の医薬組成物のいずれかを使用すること、及び当該技術分野で既知の脂質ナノ粒子の生成方法による脂質ナノ粒子を生成すること、を含む。例えば、Wang et al.(2015)”Delivery of oligonucleotides with lipid nanoparticles”Adv.Drug Deliv.Rev.87:68-80;Silva et al.(2015)”Delivery Systems for Biopharmaceuticals.Part I:Nanoparticles and Microparticles”Curr.Pharm.Technol.16:940-954;Naseri et al.(2015)”Solid Lipid Nanoparticles and Nanostructured Lipid Carriers:Structure,Preparation and Application”Adv.Pharm.Bull.5:305-13;Silva et al.(2015)”Lipid nanoparticles for the delivery of biopharmaceuticals”Curr.Pharm.Biotechnol.16:291-302、及びそれらの中に引用されている参考文献を参照のこと。
【0929】
23.他の送達剤
a.リポソーム、リポプレックス、及び脂質ナノ粒子
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、送達剤、例えば、リポソーム、リオプレックス、脂質ナノ粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、1つ以上のリポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子を使用して製剤化することができる。リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子は、ポリヌクレオチドによる細胞のトランスフェクションを増加させ、及び/またはコードされたタンパク質の翻訳を増加させるので、タンパク質産生を目的とするポリヌクレオチドの有効性を向上させるために使用することができる。リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子は、ポリヌクレオチドの安定性を増加させるために使用することもできる。
【0930】
リポソームは、主に脂質二重層で構成することができ、且つ医薬製剤を投与するための送達ビヒクルとして使用することができる人工的に調製された小胞である。リポソームは、異なるサイズであることができる。多重膜小胞(MLV)は、直径が数百ナノメートルであることができ、狭い水性区画により隔てられた一連の同心二重層を含有することができる。小さな単細胞小胞(SUV)は、直径が50nmよりも小さい可能性があり、大型単層小胞(LUV)は、直径が50~500nmであることができる。リポソームのデザインは、リポソームの不健康な組織への付着を向上させるための、または限定されないが、エンドサイトーシスなどの事象を活性化するための、オプソニンまたはリガンドを含むことができるが、これに限定されない。リポソームは、医薬製剤の送達を向上させるために、低いまたは高いpH値を含有することができる。
【0931】
リポソームの形成は、封入された医薬製剤及びリポソーム成分、脂質小胞が分散されている媒体の性質、封入された物質の有効濃度及びその潜在的な毒性、小胞の適用及び/または送達中に関与する任意の追加のプロセス、最適なサイズ、目的の用途のための小胞の多分散性及び貯蔵寿命、ならびにバッチ間の再現性及び安全且つ効率的なリポソーム製品の生成のスケールアップ等に依存し得る。
【0932】
非限定例としては、合成膜小胞などのリポソームは、米国公開第US20130177638号、同第US20130177637号、同第US20130177636号、同第US20130177635号、同第US20130177634号、同第US20130177633号、同第US20130183375号、同第US20130183373号、及び同第US20130183372号に記載の方法、装置、及びデバイスで調製することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、リポソームにより封入することができ、及び/または、それは、例えば、国際公開第WO2012031046号、同第WO2012031043号、同第WO2012030901号、同第WO2012006378号、及び同第WO2013086526号;ならびに、米国公開第US20130189351号、同第US20130195969号、及び同第US20130202684号に記載されるようなリポソームにより封入することができる水性コアに含有され得る。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0933】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、カチオン性水中油型エマルションに製剤化することができ、エマルション粒子は、分子をエマルション粒子にアンカーするポリヌクレオチドと相互作用することができる油性コア及びカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、親水性相を分散させる連続疎水性相を含む油中水型エマルションに製剤化することができる。例示的なエマルションは、国際公開第WO2012006380号及び同第WO201087791号に記載の方法により作製することができ、これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0934】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、脂質-ポリカチオン複合体に製剤化することができる。脂質-ポリカチオン複合体の形成は、例えば、米国公開第US20120178702号に記載されるような方法により達成することができる。非限定例として、ポリカチオンは、カチオン性ペプチドまたはポリペプチド、例えば、限定されないが、ポリリシン、ポリオルニチン、及び/またはポリアルギニン、ならびに、国際公開第WO2012013326号または米国公開第US20130142818号に記載のカチオン性ペプチドを含むことができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0935】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、国際公開第WO2013123523号、同第WO2012170930号、同第WO2011127255号、及び同第WO2008103276;ならびに米国特許第US20130171646号に記載されるような脂質ナノ粒子(LNP)に製剤化することができ、これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0936】
脂質ナノ粒子製剤は通常は、1つ以上の脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質は、カチオン性またはイオン性脂質である。いくつかの実施形態では、脂質は、当該技術分野で「イオン性カチオン性脂質」と呼ばれる場合があるイオン性脂質(例えば、イオン性アミノ脂質)である。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、リン脂質、構造脂質、及び粒子凝集を低減することができる分子、例えば、PEGまたはPEG修飾脂質を含む他の構成成分をさらに含む。
【0937】
例示的なイオン性脂質としては、本明細書に開示の化合物1~342のうちのいずれか1つ、DLin-MC3-DMA(MC3)、DLin-DMA、DLenDMA、DLin-D-DMA、DLin-K-DMA、DLin-M-C2-DMA、DLin-K-DMA、DLin-KC2-DMA、DLin-KC3-DMA、DLin-KC4-DMA、DLin-C2K-DMA、DLin-MP-DMA、DODMA、98N12-5、C12-200、DLin-C-DAP、DLin-DAC、DLinDAP、DLinAP、DLin-EG-DMA、DLin-2-DMAP、KL10、KL22、KL25、オクチル-CLinDMA、オクチル-CLinDMA(2R)、オクチル-CLinDMA(2S)、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的なイオン性脂質としては、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン(L608)、(20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17,20-ジエン-9-アミン、(16Z,19Z)-N5N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-8-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチルドコサ-13,16-ジエン-5-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチルヘニコサ-12,15-ジエン-4-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-6-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-7-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-10-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-5-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-4-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-9-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-8-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17,20-ジエン-7-アミン、(16Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-6-アミン、(22Z,25Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ-22,25-ジエン-10-アミン、(21Z,24Z)-N,N-ジメチルトリアコンタ-21,24-ジエン-9-アミン、(18Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17-エン-9-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-7-アミン、Ν,Ν-ジメチルヘプタコサン-10-アミン、(20Z,23Z)-N-エチルl-N-メチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、1-[(11Z,14Z)-l-ノニルコサ-11,14-ジエン-l-yl]ピロリジン、(20Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-20-エン-10-アミン、(15Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-15-エン-10-アミン、(14Z)-N,N-ジメチルノナコサ-14-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルnonacos-17-エン-10-アミン、(24Z)-N,N-ジメチルトリトリアコンタ-24-エン-10-アミン、(20Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20-エン-10-アミン、(22Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ(dimethylhentriacont)-22-エン-10-アミン、(16Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16-エン-8-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘニコサ-12,15-ジエン-1-アミン、N,N-ジメチル-l-[(lS,2R)-2-オクチルシクロプロピル]エプタデカン-8-アミン、l-[(1S,2R)-2-ヘキシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-21-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘニコサン-10-アミン、N,N-ジメチル-l-[(lS,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-l-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン-8-アミン、N,N-ジメチル-[(lR,2S)-2-ウンデシルシクロプロピル]テトラデカン-5-アミン、N,N-ジメチル-3-{7-[(lS,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン-1-アミン、1-[(1R,2S)-2-ヘプチルシクロプロピル]-N,N-ジメチルオクタデカン-9-アミン、1-[(1S,2R)-2-デシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルペンタデカン-6-アミン、N,N-ジメチル-l-[(lS,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ペンタデカン-8-アミン、R-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、S-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}ピロリジン、(2S)-Ν,Ν-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-[(5Z)-オクタ-5-エン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘプチルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、Ν,Ν-ジメチル-1-(ノニルオキシ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、Ν,Ν-ジメチル-1-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-l-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン;(2S)-N,N-ジメチル-l-[(6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン-l-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(ペンチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-3-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-l-イルオキシ]-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-l-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-l-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z)-ドコサ-13-エン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(13Z)-ドコサ-13-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(9Z)-ヘキサデカ-9-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2R)-N,N-ジメチル-H(1-メトイルオクチル(metoyloctyl))オキシ]-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2R)-1-[(3,7-ジメチルオクチル)オキシ]-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-l-イルオキシ]プロパン-2-アミン、Ν,Ν-ジメチル-1-(オクチルオキシ)-3-({8-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン-2-アミン、Ν,Ν-ジメチル-1-{[8-(2-オクリルシクロプロピル(oclylcyclopropyl))オクチル]オキシ}-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、及び(11E,20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-11,20,2-トリエン-10-アミン、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0938】
リン脂質は、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジグリセロール及びホスファチジン酸、を含むが、これらに限定されない。リン脂質は、スフィンゴミエリンなどのホスホスフィンゴ脂質を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、DLPC、DMPC、DOPC、DPPC、DSPC、DUPC、18:0ジエーテルPC、DLnPC、DAPC、DHAPC、DOPE、4ME 16:0 PE、DSPE、DLPE,DLnPE、DAPE、DHAPE、DOPG、及びそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、リン脂質は、MPPC、MSPC、PMPC、PSPC、SMPC、SPPC、DHAPE、DOPG、及びそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、脂質組成物中のリン脂質(例えば、DSPC)の量は、約1mol%~約20mol%の範囲である。
【0939】
構造脂質は、ステロール部分を含有するステロール及び脂質を含む。いくつかの実施形態では、構造脂質は、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、アルファトコフェロール、及びそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。いくつかの実施形態では、脂質組成物中の構造脂質(例えば、コレステロール)の量は、約20mol%~約60mol%の範囲である。
【0940】
PEG修飾脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEG-セラミドコンジュゲート(例えば、PEG-CerC14またはPEG-CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン及びPEG修飾1,2-ジアシルオキシプロパン-3-アミンを含む。そのような脂質は、PEG化脂質とも呼ばれる。例えば、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質とすることができる。いくつかの実施形態では、PEG-脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG-DSPE)、PEG-ジステリルグリセロール(PEG-DSG)、PEG-ジパルメトレイル(dipalmetoleyl)、PEG-ジオレイル、PEG-ジステアリル、PEG-ジアシルグリカミド(PEG-DAG)、PEG-ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DPPE)、またはPEG-1,2-ジミリスチルオキシルプロピル(dimyristyloxlpropyl)-3-アミン(PEG-c-DMA)である。いくつかの実施形態では、PEG部分は、約1000、2000、5000、10000、15000、または20,000ダルトンのサイズを有する。いくつかの実施形態では、脂質組成物中のPEG-脂質の量は、約0mol%~約5mol%の範囲である。
【0941】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のLNP製剤は、透過促進分子をさらに含むことができる。非限定的な透過促進分子は、本明細書に全体が参照により組み込まれる米国公開第US20050222064号に記載されている。
【0942】
LNP製剤は、ホスファートコンジュゲートをさらに含有することができる。ホスファートコンジュゲートは、in vivo循環時間を増加させ、及び/またはナノ粒子の標的送達を増加させることができる。ホスファートコンジュゲートは、例えば、国際公開第WO2013033438号または米国公開第US20130196948号に記載の方法により作製することができる。LNP製剤は、例えば、米国公開第US20130059360号、同第US20130196948号、及び同第US20130072709号に記載されるようなポリマーコンジュゲート(例えば、水溶性コンジュゲート)も含有することができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0943】
LNP製剤は、対象における本発明のナノ粒子の送達を増強するコンジュゲートを含むことができる。さらに、コンジュゲートは、対象におけるナノ粒子の貪食クリアランスを阻害することができる。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、ヒト膜タンパク質CD47からデザインされる「自己」ペプチド(例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれるRodriguez et al,Science 2013 339,971-975により記載される「自己」粒子)とすることができる。Rodriguezらにより示されるように、自己ペプチドは、ナノ粒子ののマクロファージ媒介クリアランスを遅延させて、ナノ粒子の送達を増強させた。
【0944】
LNP製剤は、炭水化物担体を含むことができる。非限定例として、炭水化物担体は、無水物修飾フィトグリコーゲンまたはグリコーゲン型物質、フィトグリコーゲンオクテニルスクシナート、フィトグリコーゲンベータデキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンベータデキストリンを含むことができるが、これらに限定されない(例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2012109121号)。
【0945】
LNP製剤は、粒子の送達を向上させるために、界面活性剤またはポリマーでコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、親水性のコーティング、例えば、限定されないが、PEGコーティング及び/または本明細書に全体が参照により組み込まれる米国公開第US20130183244号に記載されるような中性表面電荷を有するコーティングでコーティングすることができる。
【0946】
LNP製剤は、米国特許第8,241,670号または国際公開第WO2013110028号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されるように、脂質ナノ粒子が粘膜バリアに浸透することができるように、粒子の表面特性を変更するように操作することができる。
【0947】
粘液に浸透するように操作されたLNPは、ポリマー材料(すなわち、ポリマーコア)及び/またはポリマー-ビタミンコンジュゲート及び/またはトリブロックコポリマーを含むことができる。ポリマー材料は、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバマート、ポリ尿素、ポリカルボナート、ポリ(スチレン)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアナート、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリレートを含むことができるが、これらに限定されない。
【0948】
粘液に浸透するように操作されたLNPは、限定されないが、ポリヌクレオチド、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、例えば、ジメチルジオクタデシル-臭化アンモニウム)、糖類または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール、及びポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、N-アセチルシステイン、ヨモギ、ブロメライン、パパイン、ゲンペイカズラ、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、チモシンβ4ドルナーゼアルファ、ネルテネキシン、エルドステイン)、ならびにrhDNaseを含む種々のDNasesなどの表面改質剤を含むことができる。
【0949】
いくつかの実施形態では、粘液浸透性LNPは、粘膜浸透促進コーティングを含む低張性製剤とすることができる。製剤は、それが送達される上皮に対して低張性であることができる。低張性製剤の非限定例は、例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2013110028号に見出すことができる。
【0950】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、リポプレックス、例えば、限定されないが、Silence Therapeutics(英国ロンドン)製のATUPLEX(商標)システム、DACCシステム、DBTCシステム、及び他のsiRNA-リポプレックス技術、STEMGENT(登録商標)(マサチューセッツ州ケンブリッジ)製STEMFECT(商標)、ならびにポリエチレンイミン(PEI)または核酸のプロタミンベースの標的化及び非標的化送達として製剤化される(Aleku et al.Cancer Res.2008 68:9788-9798;Strumberg et al.Int J Clin Pharmacol Ther 2012 50:76-78;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222-1234;Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360-1370;Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334-344;Kaufmann et al.Microvasc Res 2010 80:286-293Weide et al.J Immunother.2009 32:498-507;Weide et al.J Immunother.2008 31:180-188;Pascolo Expert Opin.Biol.Ther.4:1285-1294;Fotin-Mleczek et al.,2011 J.Immunother.34:1-15;Song et al.,Nature Biotechnol.2005,23:709-717;Peer et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2007 6;104:4095-4100;deFougerolles Hum Gene Ther.2008 19:125-132;これらの全ては、全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0951】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、10~1000nmの平均直径を有する球状であり得る固体脂質ナノ粒子(SLN)として製剤化される。SLNは、親油性分子を可溶化することができ、界面活性剤及び/または乳化剤で安定化することができる固体脂質コアマトリックスを有する。例示的なSLNは、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2013105101号に記載されるようなものとすることができる。
【0952】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、徐放及び/または標的送達のために製剤化することができる。本明細書で使用される場合、「徐放」は、治療的結果を達成する、放出の特定のパターンに適合する医薬組成物または化合物放出プロファイルを指す。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、徐放及び/または標的送達のための、本明細書に記載の、及び/または当該技術分野で既知の送達剤に封入することができる。本明細書で使用される場合、「封入」という用語は、閉じ込めること、取り囲むこと、または内包することを意味する。それが本発明の化合物の製剤化に関連する場合、封入は、実質的、完全、または部分的であることができる。「実質的に封入された」という用語は、本発明の医薬組成物または化合物の少なくとも50超、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、または99%超を、送達剤に閉じ込めるか、取り囲むか、または内包することができることを意味する。「部分的封入」は、本発明の医薬組成物または化合物の10未満、10、20、30、40、50、またはそれ未満を、送達剤に閉じ込めるか、取り囲むか、または内包することができることを意味する。
【0953】
有利なことに、封入は、蛍光及び/または電子顕微鏡写真を使用して、本発明の医薬組成物または化合物の脱出または活性を測定することにより決定することができる。例えば、本発明の医薬組成物または化合物の少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、または99%超が、送達剤に封入される。
【0954】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド徐放性製剤は、少なくとも1つの徐放性コーティング(例えば、OPADRY(登録商標)、EUDRAGIT RL(登録商標)、EUDRAGIT RS(登録商標)、ならびにエチルセルロース水性分散液(AQUACOAT(登録商標)及びSURELEASE(登録商標))などのセルロース誘導体)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド徐放性製剤は、米国好評第US20130130348号に記載されるようなポリマー系、または米国特許第8,404,222号に記載されるようなPEG及び/またはPEG関連ポリマー誘導体、を含むことができ、これらのそれぞれは、全体が参照により組み込まれる。
【0955】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、治療的ナノ粒子内に封入することができる(本明細書では「治療的ナノ粒子ポリヌクレオチド」と呼ばれる)。治療的ナノ粒子は、例えば、国際公開第WO2010005740号、同第WO2010030763号、同第WO2010005721号、同第WO2010005723号、及び同第WO2012054923号;ならびに米国公開第US20110262491号、同第US20100104645号、同第US20100087337号、同第US20100068285号、同第US20110274759号、同第US20100068286号、同第US20120288541号、同第US20120140790号、同第US20130123351号、及び同第US20130230567号;ならびに米国特許第8,206,747号、同第8,293,276号、同第8,318,208号、及び同第8,318,211号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載の方法により製剤化することができる。
【0956】
いくつかの実施形態では、治療的ナノ粒子ポリヌクレオチドは、持続放出のために製剤化することができる。本明細書で使用される場合、「持続放出」は、特定の期間にわたる放出速度に適合する医薬組成物または化合物を指す。期間は、時間、日、週、月、年を含むことができるが、これらに限定されない。非限定例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドの持続放出ナノ粒子は、国際公開第WO2010075072号及び米国公開第US20100216804号、同第US20110217377号、同第US20120201859号、及び同第US20130150295(これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように製剤化することができる。
【0957】
いくつかの実施形態では、治療的ナノ粒子ポリヌクレオチドは、国際公開第WO2008121949号、同第WO2010005726号、同第WO2010005725号、同第WO2011084521号、及び同第WO2011084518号;ならびに米国公開第US20100069426号、同第US20120004293号、及び同第US20100104655号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されるように、標的特異的であるように製剤化することができる。
【0958】
LNPは、マイクロ流体ミキサーまたはマイクロミキサーを使用して調製することができる。例示的マイクロ流体ミキサーとしては、限定されないが、Microinnova(オーストリア・アラーハイリゲン・バイ・ヴィルドン)により製造されるもの及び/またはジグザグヘリンボーンマイクロミキサー(SHM)を含むスリットインターデジタルマイクロミキサーを挙げることができるが、これらに限定されない(Zhigaltsevet al.,”Bottom-up design and synthesis of limit size lipid nanoparticle systems with aqueous and triglyceride cores using millisecond microfluidic mixing,”Langmuir 28:3633-40(2012);Belliveau et al.,”Microfluidic synthesis of highly potent limit-size lipid nanoparticles for in vivo delivery of siRNA,”Molecular Therapy-Nucleic Acids.1:e37(2012);Chen et al.,”Rapid discovery of potent siRNA-containing lipid nanoparticles enabled by controlled microfluidic formulation,”J.Am.Chem.Soc.134(16):6948-51(2012)(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと)。例示的なマイクロミキサーとしては、Institut fur Mikrotechnik Mainz GmbH(独国マインツ)製のスリットインターデジタル微細構造ミキサー(SIMM-V2)または標準スリットインターデジタルマイクロミキサー(SSIMM)またはキャタピラー(CPMM)または衝突噴流(IJMM)が挙げられる。いくつかの実施形態では、SHMを使用してLNPを作製する方法は、少なくとも2つの入力ストリームを混合することをさらに含み、混合は、微細構造誘導カオス移流(MICA)で生じる。この方法によれば、流体ストリームは、ヘリンボーンパターンに存在するチャネルを通って流れて、回転流を引き起こし、流体を互いに混ぜる。この方法は、流体混合のための面を含むこともでき、面は、流体循環中で方向を変える。SHMを使用してLNPを生成する方法は、米国公開第US20040262223号及び同第US20120276209号(これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものを含む。
【0959】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、マイクロ流体技術を使用して、脂質ナノ粒子に製剤化することができる(Whitesides,George M.,”The Origins and the Future of Microfluidics,”Nature 442:368-373(2006);及びAbraham et al.,”Chaotic Mixer for Microchannels,”Science 295:647-651(2002)(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、限定されないが、Harvard Apparatus(マサチューセッツ州ホリストン)またはDolomite Microfluidics(英国ロイストン)製のものなどのマイクロミキサーチップを使用して、脂質ナノ粒子に製剤化することができる。マイクロミキサーチップは、分割及び再結合機構を用いる2つ以上の流体ストリームの迅速な混合のために使用することができる。
【0960】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、約1nm~約100nm、例えば、限定されないが、約1nm~約20nm、約1nm~約30nm、約1nm~約40nm、約1nm~約50nm、約1nm~約60nm、約1nm~約70nm、約1nm~約80nm、約1nm~約90nm、約5nm~約100nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約30nm、約5nm~約40nm、約5nm~約50nm、約5nm~約60nm、約5nm~約70nm、約5nm~約80nm、約5nm~約90nm、約10~約20nm、約10~約30nm、約10~約40nm、約10~約50nm、約10~約60nm、約10~約70nm、約10~約80nm、約10~約90nm、約20~約30nm、約20~約40nm、約20~約50nm、約20~約60nm、約20~約70nm、約20~約80nm、約20~約90nm、約20~約100nm、約30~約40nm、約30~約50nm、約30~約60nm、約30~約70nm、約30~約80nm、約30~約90nm、約30~約100nm、約40~約50nm、約40~約60nm、約40~約70nm、約40~約80nm、約40~約90nm、約40~約100nm、約50~約60nm、約50~約70nm、約50~約80nm、約50~約90nm、約50~約100nm、約60~約70nm、約60~約80nm、約60~約90nm、約60~約100nm、約70~約80nm、約70~約90nm、約70~約100nm、約80~約90nm、約80~約100nm、及び/または約90~約100nmの直径を有する脂質ナノ粒子に製剤化することができる。
【0961】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約10~500nmの直径を有することができる。一実施形態では、脂質ナノ粒子は、100nmより大きい、150nmより大きい、200nmより大きい、250nmより大きい、300nmより大きい、350nmより大きい、400nmより大きい、450nmより大きい、500nmより大きい、550nmより大きい、600nmより大きい、650nmより大きい、700nmより大きい、750nmより大きい、800nmより大きい、850nmより大きい、900nmより大きい、950nmより大きい、または1000nmより大きい直径を有することができる。
【0962】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、より小さなLNPを使用して送達することができる。そのような粒子は、0.1μm未満から100nmまで、例えば、限定されないが、0.1μm未満、1.0μm未満、5μm未満、10μm未満、15um未満、20um未満、25um未満、30um未満、35um未満、40um未満、50um未満、55um未満、60um未満、65um未満、70um未満、75um未満、80um未満、85um未満、90um未満、95um未満、100um未満、125um未満、150um未満、175um未満、200um未満、225um未満、250um未満、275um未満、300um未満、325um未満、350um未満、375um未満、400um未満、425um未満、450um未満、475um未満、500um未満、525um未満、550um未満、575um未満、600um未満、625um未満、650um未満、675um未満、700um未満、725um未満、750um未満、775um未満、800um未満、825um未満、850um未満、875um未満、900um未満、925um未満、950um未満、または975um未満の直径を含むことができる。
【0963】
本明細書に記載のナノ粒子及びマイクロ粒子は、マクロファージ及び/または免疫応答を調節するために幾何学的に操作することができる。幾何学的に操作された粒子は、限定されないが、経肺送達などの標的送達のために本明細書に記載のポリヌクレオチドを組み込む様々な形状、サイズ、及び/または表面電荷を有することができる(例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2013082111号を参照のこと)。粒子を幾何学的に操作する他の物理的特徴としては、細胞及び組織との相互作用を変更することができる開口、曲げられたアーム、非対称性、及び表面粗さ、電荷を含むが、これらに限定されない。
【0964】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、限定されないが、本明細書に全体が参照により組み込まれる米国公開第US20130172406号に記載のものなどのステルスナノ粒子または標的特異的ステルスナノ粒子である。ステルスまたは標的特異的ステルスナノ粒子は、限定されないが、ポリエチレン、ポリカルボナート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマラート(polypropylfumerates)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン(polyphosphazenes)、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリシアノアクリラート、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリエステル、ポリ無水物、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリメタクリラート、ポリアクリラート、ポリシアノアクリラート、またはそれらの組み合わせなどの2つ以上のポリマーを含むことができるポリマーマトリックスを含むことができる。
【0965】
b.リピドイド
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、送達剤、例えば、リピドイド、を含む。本明細書に記載されるポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、リピドイドと共に製剤化することができる。これらのリピドイドを含有する複合体、ミセル、リポソーム、または粒子を調製し、それ故、局所及び/または全身投与経路を介するリピドイド製剤の注射後に、コードされたタンパク質の産生により判定されるようなポリヌクレオチドの有効な送達を達成することができる。ポリヌクレオチドのリピドイド複合体は、限定されないが、静脈内、筋肉内、または皮下経路を含む種々の手段により投与することができる。
【0966】
リピドイドの合成は、文献に記載されている(Mahon et al.,Bioconjug.Chem.2010 21:1448-1454;Schroeder et al.,J Intern Med.2010 267:9-21;Akinc et al.,Nat Biotechnol.2008 26:561-569;Love et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2010 107:1864-1869;Siegwart et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2011 108:12996-3001(これらの全ては、全体として本明細書に組み込まれている)を参照のこと)。
【0967】
ペンタ[3-(1-ラウリルアミノプロピオニル)]-トリエチレンテトラミンヒドロクロリド(TETA-5LAP;98N12-5としても知られている、Murugaiah et al.,Analytical Biochemistry,401:61(2010)を参照のこと)、C12-200(誘導体及びバリアントを含む)、ならびにMD1を含むがこれらに限定されない異なるリピドイドを有する製剤を、in vivo活性について試験することができる。リピドイド「98N12-5」は、Akinc et al.,Mol Ther.2009 17:872-879により開示されている。リピドイド「C12-200」は、Love et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2010 107:1864-1869、及びLiu and Huang,Molecular Therapy.2010 669-670により開示される。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0968】
一実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、アミノアルコールリピドイドに製剤化することができる。アミノアルコールリピドイドは、米国特許第8,450,298号(本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載の方法により調製することができる。
【0969】
リピドイド製剤は、ポリヌクレオチドに加えて、3または4以上の構成成分を含む粒子を含むことができる。リピドイド及びリピドイドを含むポリヌクレオチド製剤は、国際公開第WO2015051214号(本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されている。
【0970】
c.ヒアルロニダーゼ
いくつかの実施形態では、注射用の本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)及びヒアルロニダーゼ(例えば、筋肉内または皮下注射)。ヒアルロニダーゼは、間質障壁の構成成分であるヒアルロナンの加水分解を触媒する。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロナンの粘度を低下させ、それにより、組織透過性を増加させる(Frost,Expert Opin.Drug Deliv.(2007)4:427-440)。あるいは、ヒアルロニダーゼは、筋肉内または皮下投与されたポリヌクレオチドに曝露された細胞の数を増加させるために使用することができる。
【0971】
d.ナノ粒子模倣物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、ナノ粒子模倣物内に封入され、及び/またはナノ粒子模倣物に吸収される。ナノ粒子模倣物は、送達機能生体または粒子、例えば、限定されないが、病原体、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、プリオン、及び細胞、を模倣することができる。非限定例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、ウイルスの送達機能を模倣することができる非ビリオン粒子に封入することができる(例えば、国際公開第WO2012006376号ならびに米国公開第US20130171241号及び同第US20130195968号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと)。
【0972】
e.ナノチューブ
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、限定されないが、ロゼットナノチューブ、リンカーで対をなす塩基を有するロゼットナノチューブ、カーボンナノチューブ、及び/または単層カーボンナノチューブなどの少なくとも1つのナノチューブに結合しているか、または別の方法で(例えば、立体的、イオン的、共有的、及び/もしくは他の力を介して)結びついている本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。ポリヌクレオチドを含むナノチューブ及びナノチューブ製剤は、例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2014152211号に記載されている。
【0973】
f.自己組織化ナノ粒子、または自己組織化巨大分子
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、自己組織化ナノ粒子または送達のための両親媒性巨大分子(AM)内の、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。AMは、ポリ(エチレングリコール)に共有結合したアルキル化糖骨格を有する生体適合性の両親媒性ポリマーを含む。水溶液中で、AMは、自己組織化してミセルを形成する。核酸自己組織化ナノ粒子は、国際出願第PCT/US2014/027077号に記載されており、AM及びAMを形成する方法は、米国公開第US20130217753号に記載されており、これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0974】
g.無機ナノ粒子、半導電性及び金属性ナノ粒子
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、無機ナノ粒子、または半導体材料もしくは金属材料を含む水分散性ナノ粒子内の、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。無機ナノ粒子は、水膨潤性である粘土物質を含むことができるが、これに限定されない。水分散性ナノ粒子は、疎水性または親水性ナノ粒子とすることができる。非限定例として、無機ナノ粒子、半導電性ナノ粒子、及び金属ナノ粒子は、例えば、米国特許第5,585,108号及び同第8,257,745号;ならびに米国特許第US20120228565号、同第US20120265001号、及び同第US20120283503号に記載されており、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0975】
h.外科用シーラント:ゲル及びヒドロゲル
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、外科用シーラント中の、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。ゲル及びヒドロゲルなどの外科用シーラントは、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際出願第PCT/US2014/027077号に記載されている。
【0976】
i.懸濁液製剤
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、懸濁液中の、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、懸濁液は、ポリヌクレオチド、水不混和性油デポー、界面活性剤、及び/または共界面活性剤及び/または共溶媒を含む。懸濁液は、最初に、ポリヌクレオチドの水溶液及び1つ以上の界面活性剤を含む油性相を調製し、次に、その二つの相(水性及び油性)を混合することにより形成することができる。
【0977】
懸濁液製剤のための例示的な油としては、(飽和ヤシ油及びパーム核油由来のカプリル及びカプリン酸脂肪酸ならびにグリセリンもしくはプロピレングリコールのエステルを含む)ゴマ油及びMiglyol、トウモロコシ油、大豆油、落花生油、蜜蝋、及び/またはヤシの種子油が挙げることができるが、これらに限定されない。例示的な界面活性剤は、クレモフォール、ポリソルバート20、ポリソルバート80、ポリエチレングリコール、トランスクトール(transcutol)、Capmul(登録商標)、ラブラソル(labrasol)、イソプロピルミリスタート、及び/またはSpan80を挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、懸濁液は、限定されないが、エタノール、グリセロール、及び/またはプロピレングリコールを含む共溶媒を含むことができる。
【0978】
いくつかの実施形態では、懸濁液は、水不混和性デポーからの拡散、続いて、周囲環境(例えば、水性環境)への再可溶化により、ポリヌクレオチドの周囲環境への放出の調節を提供することができる。
【0979】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、注射時、(例えば、水性相に送達される時)エマルションが自然に形成されるように製剤化することができ、これは、ポリヌクレオチドの油相から水相への放出のために高い表面積対体積比を提供することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、脂質または界面活性剤層で囲まれ、または被覆された液体疎水性コアを含むことができるナノエマルションに製剤化される。例示的なナノエマルション及びそれらの調製物は、例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれる米国特許第8,496,945号に記載されている。
【0980】
j.カチオン及びアニオン
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)ならびにカチオンまたはアニオン、例えば、Zn2+、Ca2+、Cu2+、Mg2+、及びそれらの組み合わせを含む。例示的な製剤は、例えば、米国特許第6,265,389号及び同第6,555,525号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されるような金属カチオンと複合化されたポリマー及びポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、カチオン性ナノ粒子は、二価カチオン及び一価カチオンの組み合わせを含有することができる。カチオン性ナノ粒子中のポリヌクレオチドまたはカチオン性ナノ粒子を含む1つ以上のデポー中のポリヌクレオチドの送達は、長時間作用型デポーを活性化すること及び/またはヌクレアーゼによる分解速度を低減させることにより、ポリヌクレオチド生物学的利用能を向上させることができる。
【0981】
k.成形されたナノ粒子及びマイクロ粒子
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、種々のサイズ、形状、及び化学的性質の成形ナノ粒子中に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。例えば、ナノ粒子及び/またはマイクロ粒子は、LIQUIDA TECHNOLOGIES(登録商標)(ノースカロライナ州モリスビル)によるPRINT(登録商標)技術を使用して作製することができる(例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2007024323号)。
【0982】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、マイクロ粒子に製剤化される。マイクロ粒子は、限定されないが、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、及びポリ無水物を含む、ポリヌクレオチドのコアならびに生体適合性及び/または生分解性ポリマーの外皮を含有することができる。マイクロ粒子は、ポリヌクレオチドを吸着する吸着剤表面を有することができる。マイクロ粒子は、少なくとも1ミクロン~少なくとも100ミクロン(例えば、少なくとも1ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも30ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも75ミクロン、少なくとも95ミクロン、及び少なくとも100ミクロン)の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、マイクロ粒子及びポリヌクレオチドを含むマイクロエマルションである。例示的なマイクロ粒子、マイクロエマルション、及びそれらの調製物は、例えば、米国特許第8,460,709号、同第8,309,139号、及び同第8,206,749号;米国公開第US20130129830号、同第US2013195923号、及び同第US20130195898;ならびに国際公開第WO2013075068号に記載され、これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0983】
l.ナノジャケット及びナノリポソーム
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、Keystone Nano(ペンシルベニア州ステートカレッジ)によるナノジャケット及びナノリポソーム中に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。ナノジャケットは、カルシウム、リン酸塩を含む、体内で自然にみられる材料で作製され、少量のケイ酸塩を含むこともできる。ナノジャケットは、5~50nmの範囲のサイズを有することができる。
【0984】
ナノリポソームは、限定されないが、体内に天然に存在する脂質などの脂質で作製される。ナノリポソームは、60~80nmの範囲のサイズを有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリヌクレオチドは、限定されないが、セラミドナノリポソームなどのナノリポソームに製剤化される。
【0985】
m.細胞またはミニ細胞
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、細胞にex vivoで形質移入され、続いて、対象に移植される、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。本明細書に開示のポリヌクレオチドの細胞ベースの製剤を、(例えば、細胞担体中の)細胞形質移入を確認するため、(例えば、細胞担体を、特定の組織もしくは細胞型に標的化することにより)ポリヌクレオチドの生体内分布を変えるため、及び/またはコードされたタンパク質の翻訳を増加させるために、使用することができる。
【0986】
例示的な細胞としては、赤血球、ビロソーム、及びエレクトロポレーションされた細胞が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Godfrin et al.,Expert Opin Biol Ther.2012 12:127-133;Fang et al.,Expert Opin Biol Ther.2012 12:385-389;Hu et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2011 108:10980-10985;Lund et al.,Pharm Res.2010 27:400-420;Huckriede et al.,J Liposome Res.2007;17:39-47; Cusi,Hum Vaccin.2006 2:1-7;de Jonge et al.,Gene Ther.2006 13:400-411(これらの全ては、本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと)。
【0987】
様々な方法が、当該技術分野で既知であり、ウイルス及び非ウイルス媒介技術を含む、核酸の細胞への導入に適する。代表的な非ウイルス媒介技術の例としては、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム媒介導入、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、熱ショック、磁気フェクション、リポソーム媒介導入、マイクロインジェクション、マイクロプロジェクタイル媒介導入(ナノ粒子)、カチオン性ポリマー媒介導入(DEAE-デキストラン、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール(PEG)など)、または細胞融合が挙げられるが、これらに限定されない。
【0988】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、国際公開第WO2011085231号及び同第WO2013116656号;ならびに米国公開第20110171248号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されるような方法で合成された合成ウイルス様粒子(VLP)内で送達することができる。
【0989】
ソノポレーション、または細胞音波処理の技術は、細胞原形質膜の透過性を改変するための音(例えば、超音波周波数)の使用である。ソノポレーション法は、in vivoで核酸を送達することが知られている(Yoon and Park,Expert Opin Drug Deliv.2010 7:321-330、Postema and Gilja,Curr Pharm Biotechnol.2007 8:355-361、Newman and Bettinger,Gene Ther.2007 14:465-475、米国公開第US20100196983号及び同第US20100009424号、全ては、全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0990】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、エレクトロポレーションにより送達することができる。エレクトロポレーション技術は、in vivo及び臨床的に核酸を送達することが知られている(Andre et al.,Curr Gene Ther.2010 10:267-280、Chiarella et al.,Curr Gene Ther.2010 10:281-286、Hojman,Curr Gene Ther.2010 10:128-138、全ては、全体が参照により本明細書に組み込まれる)。エレクトロポレーションデバイスは、限定されないが、BTX(登録商標)Instruments(マサチューセッツ州ホリストン)(例えば、AgilePulse In Vivo System)及びInovio(ペンシルベニア州ブルーベル)(例えば、Inovio SP-5P筋肉内送達デバイスまたはCELLECTRA(登録商標)3000皮内送達デバイス)を含む、世界中の多くの企業により販売されている。
【0991】
いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞、細菌細胞、植物、微生物、藻類、及び真菌細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞は、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、ヤギ、ウマ、ウサギ、ハムスター、またはウシ細胞などの哺乳動物細胞である。さらなる実施形態では、細胞は、限定されないが、HeLa、NS0、SP2/0、KEK 293T、Vero、Caco、Caco-2、MDCK、COS-1、COS-7、K562、Jurkat、CHO-K1、DG44、CHOK1SV、CHO-S、Huvec、CV-1、Huh-7、NIH3T3、HEK293、293、A549、HepG2、IMR-90、MCF-7、U-20S、Per.C6、SF9、SF21、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む確立された細胞株由来であり得る。
【0992】
特定の実施形態では、細胞は、限定されないが、Chrysosporium細胞、Aspergillus細胞、Trichoderma細胞、Dictyostelium細胞、Candida細胞、Saccharomyces細胞、Schizosaccharomyces細胞、及びPenicillium細胞などの真菌細胞である。
【0993】
特定の実施形態では、細胞は、限定されないが、E.coli、B.subtilis、またはBL21細胞などの細菌細胞である。本発明の方法により形質移入されるべき初代及び二次細胞は、様々な組織から得ることができ、培養中に維持することができる全ての細胞型を含むが、これらに限定されない。初代及び二次細胞は、線維芽細胞、ケラチノサイト、上皮細胞(例えば、乳腺上皮細胞、腸上皮細胞)、内皮細胞、グリア細胞、神経細胞、血液の形成要素(例えば、リンパ球、骨髄細胞)、筋肉細胞、及びこれらの体細胞型の前駆体を含むが、これらに限定されない。初代細胞は、同じ種のドナーまたは別の種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、トリ、ヒツジ、ヤギ、ウマ)から得ることもできる。
【0994】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、細菌性ミニ細胞内に本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む。非限定例として、細菌性ミニ細胞は、国際公開第WO2013088250号または米国公開第US20130177499号に記載されるものとすることができ、これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【0995】
n.半固体組成物
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、半固体またはペースト様組成物を形成する疎水性マトリックス中に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。非限定例として、半固体またはペースト様組成物は、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO201307604号に記載の方法により作製することができる。
【0996】
o.エキソソーム
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、少なくとも1つのポリヌクレオチドが搭載され、細胞、組織及び/または生体に送達することができるエキソソーム中の本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。非限定例として、ポリヌクレオチドは、本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO2013084000号に記載されるようなエキソソームに搭載することができる。
【0997】
p.シルクベースの送達
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、シルクベースの送達のために製剤化される本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。シルクベースの送達システムは、シルクフィブロイン溶液を本明細書に記載のポリヌクレオチドと接触させることにより形成することができる。非限定例として、持続放出シルクベースの送達系及びそのようなシステムを作製する方法は、本明細書に全体が参照により組み込まれる米国公開第US20130177611号に記載されている。
【0998】
q.アミノ酸脂質
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、アミノ酸脂質と共に製剤された、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。アミノ酸脂質は、アミノ酸残基及び1つ以上の親油性尾部を含む親油性化合物である。アミノ酸、脂質、及びアミノ酸脂質を製造する方法の非限定例は、米国特許第8,501,824号に記載されている。アミノ酸脂質製剤は、ポリヌクレオチドに結合し、放出するアミノ酸脂質を含む放出可能な形態でポリヌクレオチドを送達することができる。非限定例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドの放出は、例えば、米国特許第7,098,032号、同第6,897,196号、同第6,426,086号、同第7,138,382号、同第5,563,250号、及び同第5,505,931号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されているような酸に不安定なリンカーにより提供することができる。
【0999】
r.微小胞
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、微小胞製剤内に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。例示的な微小胞としては、(本明細書に全体が参照により組み込まれる)米国公開第US20130209544号に記載のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、微小胞は、(本明細書に全体が参照により組み込まれる)国際公開第WO2013119602号に記載されるようなARRDC1媒介微小胞である。
【1000】
s.共重合体電解質複合体
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、共重合体電解質複合体内に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。共重合体電解質複合体は、電荷動的ポリマーが1つ以上のアニオン性分子と複合化される時に形成される。電荷動的ポリマー及び共重合体電解質複合体複合体ならびに共重合体電解質複合体を作製する方法の非限定例は、本明細書に全体が参照により組み込まれる米国特許第8,524,368号に記載されている。
【1001】
t.結晶性ポリマー系
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、結晶性ポリマー系中の本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。結晶性ポリマー系は、結晶性部分及び/または結晶性部分を含む末端単位を有するポリマーである。例示的なポリマーは、(本明細書に全体が参照により組み込まれる)米国特許第8,524,259号に記載されている。
【1002】
u.ポリマー、生分解性ナノ粒子、及びコアシェルナノ粒子
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)ならびに天然及び/または合成ポリマーを含む。ポリマーは、ポリエテン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(l-リシン)(PLL)、PLLにグラフトされたPEG、カチオン性リポポリマー、生分解性カチオン性リポポリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、架橋分枝鎖ポリ(アルキレンイミン)、ポリアミン誘導体、修飾ポロキサマー、弾性生分解性ポリマー、生分解性コポリマー、生分解性ポリエステルコポリマー、生分解性ポリエステルコポリマー、多元ブロックコポリマー、ポリ[α-(4-アミノブチル)-L-グリコール酸)(PAGA)、生分解性架橋カチオン性多元ブロックコポリマー、ポリカルボナート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマラート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L-ラクチド-コ-L-リシン)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、アミン含有ポリマー、デキストランポリマー、デキストランポリマー誘導体、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【1003】
例示的なポリマーとしては、DYNAMIC POLYCONJUGATE(登録商標)(Arrowhead Research Corp.、カルフォルニア州パサデナ)、MIRUS(登録商標)Bio(ウィスコンシン州マディソン)及びRoche Madison(ウィスコンシン州マディソン)製の製剤、限定されないが、SMARTT POLYMER TECHNOLOGY(商標)(PHASERX(登録商標)、ワシントン州シアトル)などのPHASERXTMポリマー製剤、DMRI/DOPE、ポロキサマー、Vical(カルフォルニア州サンディエゴ)製のVAXFECTIN(登録商標)アジュバント、Calando Pharmaceuticals(カルフォルニア州パサデナ)製のキトサン、シクロデキストリン、デンドリマー及びポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)ポリマー、RONDEL(商標)(RNAi/Oligonucleotide Nanoparticle Delivery)ポリマー(Arrowhead Research Corporation、カルフォルニア州パサデナ)、ならびにPHASERX(登録商標)(ワシントン州シアトル)などのpH応答性コブロックポリマーが挙げられる。
【1004】
ポリマー製剤は、(例えば、筋肉内または皮下注射後の)ポリヌクレオチドの持続放出または遅延放出を可能にする。ポリヌクレオチドの変更された放出プロファイルは、例えば、長期間にわたって、コードされたタンパク質の翻訳をもたらすことができる。ポリマー製剤は、ポリヌクレオチドの安定性を増加させるために使用することもできる。持続放出製剤は、PLGAマイクロスフェア、エチレンビニルアセテート(EVAc)、ポロキサマー、GELSITE(登録商標)(Nanotherapeutics,Inc.、フロリダ州アラチュア)、HYLENEX(登録商標)(Halozyme Therapeutics、カルフォルニア州サンディエゴ)、フィブリノゲンポリマーなどの外科用シーラント(Ethicon Inc.、ジョージア州コーネリア)、TISSELL(登録商標)(Baxter International,Inc.、イリノイ州ディアフィールド)、PEGベースのシーラント、及びCOSEAL(登録商標)(Baxter International,Inc.、イリノイ州ディアフィールド)を含むことができるが、これらに限定されない。
【1005】
非限定例として、修飾mRNAは、調整可能な放出速度(例えば、数日及び数週間)を有するPLGAミクロスフェアを調製すること、ならびに封入プロセス中に修飾mRNAの完全性を維持しながら、修飾mRNAをPLGAミクロスフェアに封入することにより、PLGAミクロスフェアに製剤化することができる。EVAcは、前臨床持続放出インプラント用途で広範に使用される非生分解性生体適合性ポリマーである(例えば、緑内障のためのピロカルピン眼内インサートである徐放性製品Ocusert、または持続放出プロゲステロン子宮内デバイスであるProgestasert;経皮送達系Testoderm、Duragesic、及びSelegiline;カテーテル)。ポロキサマーF-407 NFは、5℃未満の温度での低粘度を有するポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンの親水性非イオン性界面活性三元ブロックコポリマーであり、15℃を超える温度で、固体ゲルを形成する。
【1006】
非限定例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、米国特許第6,177,274号に記載されるようなPLLでグラフトされたPEGのポリマー化合物と共に製剤化することができる。別の非限定例として、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、PLGA-PEGブロックコポリマー(例えば、米国公開第US20120004293号ならびに米国特許第8,236,330号及び同第8,246,968号を参照のこと)またはPLGA-PEG-PLGAブロックコポリマー(例えば、米国特許第6,004,573号を参照のこと)などのブロックコポリマーと共に製剤化することができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【1007】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、限定されないが、ポリリシン、ポリエチレンイミン、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ポリ(アミン-コ-エステル)またはそれらの組み合わせなどの少なくとも1つのアミン含有ポリマーと共に製剤化することができる。例示的なポリアミンポリマー及び送達剤としてのそれらの使用は、例えば、米国特許第8,460,696号、同第8,236,280号に記載されており、これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【1008】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、例えば、米国特許第6,696,038号、同第6,517,869号、同第6,267,987号、同第6,217,912号、同第6,652,886号、同第8,057,821号、及び同第8,444,992号;米国公開第US20030073619号、同第US20040142474号、同第US20100004315号、同第US2012009145号、及び同第US20130195920号;ならびに国際公開第WO2006063249号及び同第WO2013086322号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されるような、生分解性カチオン性リポポリマー、生分解性ポリマー、もしくは生分解性コポリマー、生分解性ポリエステルコポリマー、生分解性ポリエステルポリマー、直鎖生分解性コポリマー、PAGA、生分解性架橋カチオン性マルチブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせに製剤化することができる。
【1009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、米国公開第US20130184453号に記載されるような少なくとも1つのシクロデキストリンポリマーに、またはこれらと共に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、国際公開第WO2013106072号、同第WO2013106073号、及び同第WO2013106086号に記載されるような少なくとも1つの架橋カチオン結合ポリマーに、またはこれらと共に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、米国公開第US20130231287号に記載されるような少なくともPEG化アルブミンポリマーに、またはこれらと共に製剤化することができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【1010】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリヌクレオチドは、ポリマー、脂質、及び/または限定されないが、リン酸カルシウムなどの他の生分解性薬の組み合わせを使用して、ナノ粒子として製剤化することができる。構成成分を、コアシェル、ハイブリッド、及び/または層ごとの構造で組み合わせて、送達のためのナノ粒子の微調整を可能にすることができる(本明細書に全体が参照により組み込まれるWang et al.,Nat Mater.2006 5:791-796;Fuller et al.,Biomaterials.2008 29:1526-1532;DeKoker et al.,Adv Drug Deliv Rev.2011 63:748-761;Endres et al.,Biomaterials.2011 32:7721-7731;Su et al.,Mol Pharm.2011 Jun 6;8(3):774-87)。非限定例として、ナノ粒子は、限定されないが、親水性-疎水性ポリマー(例えば、PEG-PLGA)、疎水性ポリマー(例えば、PEG)、及び/または親水性ポリマー(本明細書に全体が参照により組み込まれる国際公開第WO20120225129号)などの複数のポリマーを含むことができる。
【1011】
コアシェルナノ粒子の使用は、カチオン性架橋ナノゲルコア及び種々のシェルを合成するハイスループットアプローチにさらに焦点を当てている(本明細書に全体が参照により組み込まれるSiegwart et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2011 108:12996-13001)。ポリマーナノ粒子の複合化、送達、及び内在化は、ナノ粒子のコア構成要素及びシェル構成要素の両方における化学組成を変更することにより、正確に制御することができる。例えば、コアシェルナノ粒子は、コレステロールをナノ粒子に共有結合させた後に、siRNAをマウス肝細胞に効率的に送達することができる。
【1012】
いくつかの実施形態では、中程度のPLGA層を含む中空脂質コア及びPEGを含有する外側の中性脂質層は、本明細書に記載されるようなポリヌクレオチドの送達に使用することができる。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に開示のポリヌクレオチドのコア及びコア中のポリヌクレオチドを保護するために使用されるポリマーシェルを含むことができる。ポリマーシェルは、本明細書に記載のポリマーのいずれかであることができ、当該技術分野で知られている。ポリマーシェルは、コア中のポリヌクレオチドを保護するために使用することができる。
【1013】
本明細書に記載のポリヌクレオチドと共に使用されるコアシェルナノ粒子は、米国特許第8,313,777号または国際公開第WO2013124867号に記載されており、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【1014】
v.ペプチド及びタンパク質
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、ペプチド及び/またはタンパク質と共に製剤化されるポリヌクレオチドによる細胞のトランスフェクションを増加させ、及び/または(例えば、特定の組織もしくは細胞型を標的とすることにより)ポリヌクレオチドの生体内分布を変更し、及び/またはコードされたタンパク質の翻訳を増加させる、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む(例えば、国際公開第WO2012110636号及び同第WO2013123298号)。いくつかの実施形態では、ペプチドは、米国公開第US20130129726号、同第US20130137644号、及び同第US20130164219号に記載のものとすることができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【1015】
w.コンジュゲート
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、コンジュゲートとして、担体もしくは標的化基に共有結合される、または融合タンパク質を共に産生する2つのコード領域を含む(例えば、標的化基及び治療的タンパク質もしくはペプチドを持つ)、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。コンジュゲートは、ナノ粒子を組織もしくは生体内のニューロンに選択的に向けるか、または血液脳関門の横断に役立つペプチドとすることができる。
【1016】
コンジュゲートは、天然に存在する物質、例えば、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、もしくはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、もしくはヒアルロン酸);または脂質を含む。リガンドは、組換えまたは合成分子、例えば、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸、オリゴヌクレオチド(例えば、アプタマー)、とすることもできる。ポリアミノ酸の例としては、ポリリシン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンが挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの四級塩、またはアルファらせんペプチドが挙げられる。
【1017】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、本明細書に開示のポリヌクレオチドのための担体として機能することができる。コンジュゲートは、限定されないが、ポリ(エチレングリコール)でグラフトされ得るポリアミン、ポリリシン、ポリアルキレンイミン、及びポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーを含むことができる。例示的な複合体及びそれらの調製物は、米国特許第6,586,524号及び米国公開第US20130211249号に記載されており、これらのそれぞれは、本明細書では、全体が参照により組み込まれる。
【1018】
コンジュゲートは、腎臓細胞などの特定の細胞型に結合する標的化基、例えば、細胞または組織標的化剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質、またはタンパク質、例えば、抗体、を含むこともできる。標的化基は、甲状腺刺激ホルモン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、RGDペプチド、RGDペプチド模倣物、またはアプタマーとすることができる。
【1019】
標的化基は、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、共リガンドに対する特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、内皮細胞もしくは骨細胞などの特定の細胞型に結合する抗体、とすることができる。標的化基は、ホルモン及びホルモン受容体を含むこともできる。それらは、非ペプチド種、例えば、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン多価マンノース、多価性フルクトース、またはアプタマー、を含むこともできる。リガンドは、例えば、リポ多糖体、またはp38MAPキナーゼのアクチベーターとすることができる。
【1020】
標的化基は、特定の受容体を標的とすることができる任意のリガンドとすることができる。例としては、葉酸塩、GalNAc、ガラクトース、マンノース、マンノース-6P、アプタマー、インテグリン受容体リガンド、ケモカイン受容体リガンド、トランスフェリン、ビオチン、セロトニン受容体リガンド、PSMA、エンドセリン、GCPII、ソマトスタチン、LDL、及びHDLリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、標的化基は、アプタマーである。アプタマーは、非修飾であるか、または本明細書に開示の修飾の任意の組み合わせを有することができる。非限定例として、標的化基は、例えば、標的化基は、(本明細書に全体が参照により組み込まれる)米国公開第US2013021661012号に記載されているような、血液中枢神経系バリアを越える標的化送達のためのグルタチオン受容体(GR)結合コンジュゲートとすることができる。
【1021】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、より大きい治療有効性を提供するために長時間作用型連続放出系を含む相乗的生体分子-ポリマーコンジュゲートとすることができる。相乗的生体分子-ポリマーコンジュゲートは、米国公開第US20130195799号に記載されるものとすることができる。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、国際特許公開第WO2012040524号に記載されるようなアプタマーコンジュゲートとすることができる。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、米国特許第8,507,653号に記載されるようなアミン含有ポリマーとすることができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、SMARTT POLYMER TECHNOLOGY(登録商標)(PHASERX(登録商標),Inc.、ワシントン州シアトル)にコンジュゲートすることができる。
【1022】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、シグナル配列または標的化配列を含むこともできる細胞浸透性ポリペプチドに共有結合的にコンジュゲートされる。コンジュゲートは、安定性の増加及び/または細胞トランスフェクションの増加、及び/または生体内分布の変更(例えば、特定の組織または細胞型を標的とする)を有するようにデザインすることができる。
【1023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、送達を増強するために、薬剤にコンジュゲートすることができる。いくつかの実施形態では、薬剤は、モノマーまたはポリマー、例えば、国際公開番号WO2011062965に記載されるような標的化ブロックを有する標的化モノマーまたはポリマーとすることができる。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、米国特許第6,835.393号及び同第7,374,778号に記載されるようなポリヌクレオチドと共有結合した輸送薬剤とすることができる。いくつかの実施形態では、薬剤は、米国特許第7,737,108号及び同第8,003,129号に記載されるような膜バリア輸送促進剤とすることができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【1024】
x.微小器官
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、長時間持続する治療的製剤内の、目的のコードされたポリペプチドを発現することができる微小器官内に、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。例示的な微小器官及び製剤は、(本明細書に全体が参照により組み込まれる)国際公開第WO2014152211号に記載される。
【1025】
y.シュードビリオン
いくつかの実施形態では、本開示の組成物または製剤は、シュードビリオン(例えば、Aura Biosciences、マサチューセッツ州ケンブリッジにより開発されたシュードビリオン)内の、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)を含む。
【1026】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドを送達するために使用されるシュードビリオンは、限定されないが、例えば、米国公開第US20130012450号、同第US20130012566号、同第US21030012426号、及び同第US20120207840号;ならびに国際公開第WO2013009717号(これらのそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されるようなヘルペス及びパピローマウイルスなどのウイルスに由来し得る。
【1027】
シュードビリオンは、米国公開第US20120015899号及び同第US20130177587号、ならびに国際公開第WO2010047839号、同第WO2013116656号、同第WO2013106525号、及び同第WO2013122262号に記載の方法により調製されるウイルス様粒子(VLP)とすることができる。一態様では、VLPは、バクテリオファージMS、Qβ、R17、fr、GA、Sp、MI、I、MXI、NL95、AP205、f2、PP7、及び植物ウイルスであるTurnip crinkle virus(TCV)、Tomato bushy stunt virus(TBSV)、Southern bean mosaic virus(SBMV)及びBroad bean mottle virusを含むBromovirus属のメンバー、Brome mosaic virus、Cassia yellow blotch virus、Cowpea chlorotic mottle virus (CCMV)、Melandrium yellow fleck virus、ならびにSpring beauty latent virusとすることができる。別の態様では、VLPは、米国公開第US20130177587号及び米国特許第8,506,967号に記載されるようなinfluenza virusに由来し得る。一態様では、VLPは、国際公開第WO2013116656号に記載されるような脂質膜または粒子の外側にアンカーされるB7-1及び/またはB7-2分子を含むことができる。一態様では、VLPは、norovirus、rotavirus組換えVP6タンパク質、または二重層化VP2/VP6、例えば、国際公開第WO2012049366号に記載されるようなVLP、に由来する可能性がある。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【1028】
いくつかの実施形態では、シュードビリオンは、国際公開第WO2010120266号及び米国公開第US20120171290号に記載されるようなヒト乳頭腫ウイルス様粒子とすることができる。いくつかの実施形態では、ウイルス様粒子(VLP)は、自己組織化粒子とすることができる。一態様では、シュードビリオンは、米国特許第US20130116408号及び同第US20130115247号;ならびに国際公開第WO2013119877号に記載されるようなナノ粒子由来のビリオンとすることができる。参考文献のそれぞれは、本明細書に全体が参照により組み込まれる。
【1029】
本明細書に記載の製剤及びポリヌクレオチドを製剤化するための方法の非限定例は、(全体が参照により本明細書に組み込まれる)国際公開第WO2013090648号に提示される。
【1030】
24.促進された血液のクリアランス
本発明は、生物学的に活性な薬剤などの反復投与された活性薬剤に対するABCの効果を低減させるための化合物、組成物、及びその使用方法を提供する。容易に明らかとなるように、投与された活性薬剤に対するABCの効果を全体的に低減または排除することは、半減期及び有効性を効果的に増加させる。
【1031】
いくつかの実施形態では、ABCを低減させるという用語は、MC3 LNPなどの正の参照対照ABC誘導LNPと比較してABCの任意の低減を指す。ABCを誘導するLNPは、所与の時間枠内の2回目またはその後の投与時に、活性薬の循環レベルの低減を引き起こす。従って、ABCの低減は、標準的なLNPと比較して、薬剤の2回目またはその後の投与時に、循環薬のクリアランスがより少ないことを指す。低減は、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%であってよい。いくつかの実施形態では、低減は、10~100%、10~50%、20~100%、20~50%、30~100%、30~50%、40%~100%、40~80%、50~90%、または50~100%である。あるいは、ABCの低減は、2回目もしくはその後の投与後に循環薬剤が少なくとも検出可能なレベルであること、または、標準LNPの投与後の循環薬剤と比較して、循環薬剤が少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍増加すること、を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、低減は、2~100倍、2~50倍、3~100倍、3~50倍、3~20倍、4~100倍、4~50倍、4~40倍、4~30倍、4~25倍、4~20倍、4~15倍、4~10倍、4~5倍、5~100倍、5~50倍、5~40倍、5~30倍、5~25倍、5~20倍、5~15倍、5~10倍、6~100倍、6~50倍、6~40倍、6~30倍、6~25倍、6~20倍、6~15倍、6~10倍、8~100倍、8~50倍、8~40倍、8~30倍、8~25倍、8~20倍、8~15倍、8~10倍、10~100倍、10~50倍、10~40倍、10~30倍、10~25倍、10~20倍、10~15倍、20~100倍、20~50倍、20~40倍、20~30倍、または20~25倍である。
【1032】
本開示は、クリアランスの影響をあまり受けず、且つそれにより、in vivoでより長い半減期を有する脂質含有化合物及び組成物を提供する。これは、特に、組成物が慢性投与を含む繰り返しのために意図されている場合、及び、さらにより詳細には、そのような反復投与が数日または数週間以内に発生する場合である。
【1033】
重大なことに、これらの組成物は、感受性が低いか、促進されたまたは血液クリアランス(ABC)の観察される現象を完全に回避する。ABCは、特定の外因的に投与された薬剤が、2回目及びその後の投与時に血液から急速にクリアランスされる現象である。この現象は、部分的には、限定されないが、脂質化剤、リポソーム、または他の脂質ベースの送達ビヒクル、及び脂質封入剤を含む様々な脂質含有組成物で観察されている。従来、ABCの基礎は、あまり理解されておらず、いくつかの場合、体液性免疫応答に起因するとされ、従って、in vivoで、特に、臨床設定において、その影響を制限するための方策は、理解しにくいままである。
【1034】
本開示は、ABCの影響を受けたとしても、あまり影響を受けない化合物及び組成物を提供する。いくつかの重要な態様では、そのような化合物及び組成物は、脂質含有化合物または組成物である。驚くべきことに、本開示の脂質含有化合物または組成物は、2回目及びその後のin vivo投与時にABCを経験しない。ABCに対するこの耐性は、これらの化合物及び組成物を、特に、数日または1~2週間を含む短期間内の反復使用を含む、in vivoでの反復使用に適するようにする。この安定性及び/または半減期の増強は、部分的には、これらの組成物がB1a及び/またはB1b細胞及び/または従来のB細胞、pDC及び/または血小板を活性化できないことに起因する。
【1035】
それ故、本開示は、血液クリアランスの促進(ABC)の根底にある機序の解明を提供する。本開示及び本明細書に提示の本発明によれば、ABC現象は、少なくとも脂質及び脂質ナノ粒子に関する限り、少なくとも部分的に、B1a及び/またはB1b細胞、pDC、及び/または血小板を含む自然免疫応答に媒介されることが見出されている。B1a細胞は通常、循環IgMの形態で天然抗体の分泌に関与している。このIgMは、ポリ反応性であり、それが様々な抗原に結合することができるが、各抗原に対する親和性は比較的低いことを意味する。
【1036】
本発明によれば、in vivoで投与された脂質ナノ粒子などのいくつかの脂質化剤または脂質含有製剤が、ABCを誘発し、ABCの影響を受けることが見出されている。本発明によれば、LNPの初回用量の投与時に、自然免疫応答を生じることに関与する1つ以上の細胞(本明細書ではセンサーと呼ばれる)は、そのような薬剤に結合し、活性化され、次に、ABC及び毒性を促進する免疫因子(本明細書ではエフェクターと呼ばれる)のカスケードを開始することが見出されている。例えば、B1a及びB1b細胞は、LNPに結合し、(単独で、またはpDCなどの他のセンサー及び/またはIL6などのエフェクターの存在下で)活性化されるようになり、LNPに結合する天然のIgMを分泌し得る。対象の既存の天然IgMは、LNPも認識して結合し、それにより、補体結合を誘発し得る。初回用量の投与後、天然IgMの産生は、LNPの投与から1~2時間以内に開始する。通常は、約2~3週間までに、天然IgMは、IgMの自然半減期に起因して、系からクリアランスされる。天然IgGは、LNPの投与後の最初約96時間に産生される。薬剤は、ナイーブな環境で投与された時、B1a細胞またはB1b細胞または天然IgGの活性化後に産生された天然IgMにより比較的妨げられない生物学的効果を発揮することができる。天然IgM及び天然IgGは、非特異的であり、従って、抗PEG IgM及び抗PEG IgGとは異なる。
【1037】
出願人は機序に拘束されていないが、LNPが、次の機序により、ABC及び/または毒性を誘発することが提案される。LNPが対象に投与された際、LNPは、脾臓に血液を介して急速に輸送されると考えられている。LNPは、血液及び/または脾臓中で免疫細胞に出会い得る。血液及び/または脾臓内のLNPの存在に応答して、迅速な自然免疫応答が誘発される。本明細書では、LNPの投与の数時間以内に、いくつかの免疫センサーが、LNPの存在に反応していることを、本出願人は示している。これらのセンサーは、免疫応答を生じることに関与する免疫細胞、例えば、B細胞、pDC、及び血小板を含むが、これらに限定されない。センサーは、脾臓の周辺領域及び/または血液などの脾臓に存在し得る。LNPは、他のセンサーと相互作用し得る1つ以上のセンサーと物理的に相互作用し得る。そのような場合では、LNPは、センサーと直接的または間接的に相互作用する。センサーは、LNPの認識に応答して、互いに直接相互作用し得る。例えば、多くのセンサーは、脾臓内に位置しており、容易に互いに相互作用することができる。あるいは、センサーのうちの1つ以上は、血液中のLNPと相互作用して、活性化されるようになり得る。次に、活性化されたセンサーは、他のセンサーと直接的に相互作用するか、または(例えば、メッセンジャー、例えば、IL6、例えば、サイトカインの刺激または産生を介して)間接的に相互作用し得る。
【1038】
いくつかの実施形態では、LNPは、以下のセンサーのそれぞれと直接的に相互作用して、これを活性化し得る。次に、これらの細胞は、相互に直接的または間接的に相互作用して、最終的に、LNPの反復投与に伴うABC及び/または毒性に関連するエフェクターの産生を開始し得る:pDC、B1a細胞、B1b細胞、及び血小板。例えば、出願人は、LNP投与がpDC活性化、血小板凝集及び活性化、ならびにB細胞活性化をもたらすことを示している。LNPに応答して、血小板もまた、凝集し、活性化され、B細胞と凝集する。pDC細胞は活性化される。LNPは、比較的迅速に血小板及びB細胞の表面と相互作用することが見出されている。LNPに応答して、これらのセンサーの任意の1つまたは組み合わせの活性化を遮断することは、通常生じる免疫応答を減衰させるのに有用である。免疫応答のこの減衰は、ABC及び/または毒性の回避をもたらす。
【1039】
センサーは、一旦活性化されると、エフェクターを産生する。本明細書で使用されるエフェクターは、B細胞などの免疫細胞により産生される免疫分子である。エフェクターは、天然IgM及び天然IgGなどの免疫グロブリンならびにIL6などのサイトカインを含むが、これらに限定されない。B1a及びB1b細胞は、LNPの投与後の2~6時間以内に、天然IgMの産生を刺激する。天然IgGは、96時間以内に検出することができる。IL6レベルは、数時間以内に増加する。天然IgM及びIgGは、体内を数日~数週間循環する。この時間中、循環エフェクターは、新しく投与されたLNPと相互作用して、そのLNPを身体によるクリアランスのために誘発することができる。例えば、エフェクターは、LNPを認識して、これに結合し得る。エフェクターのFc領域は、マクロファージにより、認識され得、マクロファージによる装飾LNPの取り込みを誘発する。次に、マクロファージは、脾臓に輸送される。免疫センサーによるエフェクターの産生は、ABCについて観察されるタイミングと相関する過渡応答である。
【1040】
投与される用量が、2回目またはその後の投与される用量である場合、且つ、そのような2回目またはその後の用量が、予め誘導された天然IgM及び/またはIgGが系からクリアランスされる前に(例えば、2~3のウィンドウ期間の前に)、投与される場合、そのような2回目またはその後の用量は、副補体経路の活性化を誘発し、それ自体急速にクリアランスされる循環天然IgM及び/または天然IgGもしくはFcにより標的とされる。エフェクターが体内からクリアランスされ、または数が低減した後に、LNPが投与される時、ABCは観察されない。
【1041】
従って、LNP及び1つ以上のセンサーの間の相互作用を阻害すること、(直接的または間接的な)LNPによる1つ以上のセンサーの活性化を阻害すること、1つ以上のエフェクターの産生を阻害すること、及び/または1つ以上のエフェクターの活性を阻害することは、本発明の態様によると有用である。いくつかの実施形態では、LNPは、LNPのセンサーとの相互作用を制限またはブロックするようにデザインされる。例えば、LNPは、センサーとの相互作用を防止するために、変更されたPC及び/またはPEGを有し得る。代替的または追加的に、LNPにより誘導される免疫応答を阻害する薬剤は、これらの効果のうちのいずれか1つ以上を達成するために使用されてもよい。
【1042】
さらに、従来のB細胞もABCに関与していると結論づけている。具体的には、薬剤の初回投与時に、本明細書では、CD19(+)と呼ばれる従来のB細胞は、薬剤に結合し、これに対して反応する。B1a及びB1b細胞とは異なるが、従来のB細胞は、(LNPの投与後の最初の約96時間に)IgM応答を最初に起こすことができ、続いて、(LNP投与後の最初の約14日に)記憶応答に付随するIgM応答を起こすことができる。従って、従来のB細胞は、投与された薬剤と反応し、ABCを媒介するIgM(及び最終的にはIgG)に寄与する。IgM及びIgGは通常、抗-PEG IgM及び抗-PEG IgGである。
【1043】
いくつかの場合では、ABC応答の大部分が、B1a細胞及びB1a媒介免疫応答を介して媒介されることが考察される。いくつかの例では、従来のB細胞及びB1a細胞の両方がそのような効果を媒介しながら、ABC応答が、IgM及びIgGの両方により媒介されることがさらに考察される。さらに他の場合では、ABC応答は、天然IgM分子により媒介され、これらのいくつかは、活性化されたB1a細胞により産生され得る天然IgMに結合することができる。天然IgMは、LNPの1つ以上の構成要素に結合し、例えば、LNPのリン脂質構成要素に結合(例えば、リン脂質のPC部分に結合)し、及び/またはLNPのPEG-脂質構成要素に結合(例えば、PEG-DMGに結合、特に、PEG-DMGのPEG部分に結合)し得る。B1aは、ホスファチジルコリンがリガンドであるCD36を発現するので、CD36受容体が、B1a細胞の活性化及びそれによる天然IgMの産生を媒介し得ることが考察される。さらに他の場合では、ABC応答は、主に、従来のB細胞により媒介される。
【1044】
本発明によれば、B1a細胞を活性化しない化合物及び組成物(例えば、薬剤、送達ビヒクル、及び製剤)を使用することにより、ABC現象を少なくとも部分的に低減させ、または排除することができることが見出されている。B1a細胞を活性化しない化合物及び組成物は、本明細書ではB1a不活性化合物及び組成物と呼ばれ得る。さらに、本発明によれば、従来のB細胞を活性化しない化合物及び組成物の使用により、ABC現象を、少なくとも部分的に低減させ、または排除することができることが見出されている。いくつかの実施形態では、従来のB細胞を活性化しない化合物及び組成物は、本明細書では、CD19不活化合物及び組成物と呼ばれ得る。従って、本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、化合物及び組成物は、B1a細胞を活性化せず、それらは、従来のB細胞を活性化しない。いくつかの実施形態では、B1a細胞及び従来のB細胞を活性化しない化合物及び組成物は、本明細書ではB1a/CD19不活性化合物及び組成物と呼ばれ得る。
【1045】
これらの根底にある機序は、従来理解されておらず、そのような現象における、B1a及びB1bの細胞の役割及びそれらの従来のB細胞との相互作用もまた、評価されていなかった。
【1046】
従って、本開示は、ABCを促進しない化合物及び組成物を提供する。これらは、B1a及び/またはB1b細胞、血小板及び/またはpDC、ならびに任意に、従来のB細胞も活性化することが可能でないことをさらに特徴とし得る。これらの化合物(例えば、予防薬、治療薬、及び診断薬などの生物学的に活性な薬剤を含む薬剤、リポソーム、脂質ナノ粒子、及び他の脂質ベースの封入構造体を含む送達ビヒクルなど)ならびに組成物(例えば、製剤など)は、特に、反復投与、特に、時間の短い期間(例えば、1~2週間以内)内で生じる反復投与、を必要とする用途に望ましい。これは、例えば、薬剤が規則的で密接した間隔で対象に提供される核酸ベースの治療薬である場合である。本明細書で提供される知見は、同様に投与される、及び/またはABCを受けやすいこれら及び他の薬剤に適用され得る。
【1047】
特に興味深いのは、ABCの影響を受けやすいことが知られている脂質含有化合物、脂質含有粒子、及び脂質含有組成物である。そのような脂質含有化合物粒子及び組成物は、生物学的に活性な薬剤としてまたはそのような薬剤の送達ビヒクルとして広範囲に使用されている。従って、そのような薬剤の有効性を向上させる能力は、薬剤自体またはその送達ビヒクルに対するABCの効果を低減させるかどうかに関わらず、多種多様な活性薬剤にとって有益である。
【1048】
1つ以上の生物学的に活性な薬剤の反復用量投与と関連する急性期応答(ARP)を刺激または増強しない組成物もまた本明細書で提供される。
【1049】
この組成物は、いくつかの場合では、限定されないが、天然IgMを含むIgMに結合しないことがある。
【1050】
この組成物は、いくつかの場合では、限定されないが、C反応性タンパク質などの急性期タンパク質に結合しないことがある。
【1051】
組成物は、いくつかの場合では、CD5(+)媒介免疫応答を誘発しないことがある。本明細書で使用される場合、CD5(+)媒介免疫応答は、B1a及び/またはB1b細胞により媒介される免疫応答である。そのような応答は、ABC応答、急性期応答、天然IgM及び/またはIgGの誘導などを含み得る。
【1052】
組成物は、いくつかの場合では、CD19(+)媒介免疫応答を誘発しないことがある。本明細書で使用される場合、CD19(+)媒介免疫応答は、従来のCD19(+)、CD5(-)B細胞により媒介される免疫応答である。そのような応答は、IgMの誘導、IgGの誘導、記憶B細胞の誘導、ABC応答、タンパク質がLNP内に封入され得る抗タンパク質応答を含む抗薬物抗体(ADA)応答、などを含み得る。
【1053】
B1a細胞は、先天性免疫に関与するB細胞のサブセットである。これらの細胞は、天然抗体または天然血清抗体と呼ばれる循環IgMの供給源である。天然IgM抗体は、いくつかの抗原に対して弱い親和性を有することを特徴とし、従って、それらは、「ポリ特異的」または「ポリ反応性」と呼ばれ、複数の抗原に結合する能力を示す。B1a細胞は、IgGを産生することができない。さらに、それらは、記憶細胞に発展せず、従って、適応免疫応答に寄与しない。しかし、それらは、活性化時に、IgMを分泌することができる。分泌されたIgMは通常、約2~3週間以内にクリアランスされ、この時点で、免疫系は、以前に投与された抗原に対して比較的ナイーブになる。同じ抗原が、この期間後(例えば、最初の曝露の約3週間後)に提示された場合、抗原は、急速にクリアランスされない。しかし、重大なことに、抗原がその期間内(例えば、1週間以内または数日以内を含む2週間以内)に提示される場合、抗原は急速にクリアランスされる。連続投与間の遅延により、特定の脂質含有治療薬または診断薬が使用に適さなくなる。
【1054】
ヒトでは、B1a細胞は、CD19(+)、CD20(+)、CD27(+)、CD43(+)、CD70(-)、及びCD5(+)である。マウスでは、B1a細胞は、CD19(+)、CD5(+)、及びCD45 B細胞アイソフォームB220(+)である。B1a細胞を他の従来のB細胞と区別するのは、通常、CD5の発現である。B1A細胞は、CD5を高レベルで発現し得、これに基づき、CD5を低いまたは検出不可能なレベルで発現するB-1B細胞などの他のB-1細胞と区別し得る。CD5は、汎T細胞表面糖タンパク質である。B1a細胞は、脂肪酸トランスロカーゼとしても既知のCD36を発現する。CD36は、クラスBスカベンジャー受容体ファミリーのメンバーである。CD36は、酸化低密度リポタンパク質、天然リポタンパク質、酸化リン脂質、及び長鎖脂肪酸を含む多くのリガンドに結合することができる。
【1055】
B1b細胞は、先天性免疫に関与するB細胞の別のサブセットである。これらの細胞は、循環天然IgMの別の供給源である。PSを含むいくつかの抗原は、B1b活性化を介してT細胞非依存の免疫を誘導することができる。CD27は通常、抗原活性化に応答して、B1b細胞上で上方制御される。B1a細胞と同様に、B1b細胞は通常、脾臓及び腹膜空などの特定の身体の場所に存在し、血液中では非常に少ない。B1b分泌型天然IgMは通常、約2~3週間以内にクリアランスされ、その時点で、免疫系は、以前に投与された抗原に対して比較的ナイーブになる。同じ抗原が、この期間後(例えば、最初の曝露の約3週間後)に提示された場合、抗原は、急速にクリアランスされない。しかし、重大なことに、抗原がその期間内(例えば、1週間以内または数日以内を含む2週間以内)に提示される場合、抗原は急速にクリアランスされる。連続投与間の遅延により、特定の脂質含有治療薬または診断薬が使用に適さなくなる。
【1056】
いくつかの実施形態では、B1a及び/またはB1b細胞活性化を遮断することが望ましい。B1a及び/またはB1b細胞活性化を遮断するための1つの方策は、脂質ナノ粒子のどの構成成分がB細胞活性化を促進するのかを決定し。それらの構成成分を中和することを含む。少なくともPEG及びホスファチジルコリン(PC)が、B1a及びB1b細胞の他の細胞との相互作用及び/または活性化に寄与することが、本明細書では発見されている。PEGは、活性化をもたらし得る、B1細胞及び血小板の間の凝集を促進するのに関与し得る。PC(LNP中のヘルパー脂質)は、おそらくB細胞表面上のCD36受容体との相互作用により、B1細胞の活性化にも関与する。多数の粒子は、PEG脂質代替物、PEGレス、及び/またはPC置換脂質(例えば、オレイン酸またはそのアナログ)がデザイン及び試験されている。別の方法で、反復投与時にABCを促進することになるLNP内のこれらの1つ以上の構成成分の置換が、天然IgMの産生及び/またはB細胞活性化を低減させることによりABCを予防するのに有用であることを、出願人は確立している。従って、本発明は、B細胞トリガーの包含を排除するデザインの結果としてABCを低減させているLNPを包含する。
【1057】
B1a及び/またはB1b細胞活性化を遮断するための別の方策は、LNPにより誘導される免疫応答を阻害する薬剤を使用することを含む。これらのタイプの薬剤は、以下でより詳細に検討される。いくつかの実施形態では、これらの薬剤は、B1a/B1b細胞とLNPまたは血小板またはpDCの間の相互作用を遮断する。例えば、薬剤は、抗体または相互作用を物理的に遮断する他の結合剤であってよい。この一例、CD36またはCD6に結合する抗体である。薬剤は、B1a/B1b細胞が、一旦、活性化されるか、または活性化される前に、シグナル伝達することを防止または抑制する化合物であってもよい。例えば、LNPまたは他の免疫細胞とのB細胞の相互作用からもたらされるB1a/B1bシグナル伝達カスケード中の1つ以上の構成要素を遮断することが可能である。他の実施形態では、薬剤は、活性化後に、B1a/B1b細胞により産生される1つ以上のエフェクターに作用し得る。これらのエフェクターは、例えば、天然IgM及びサイトカインを含む。
【1058】
本発明の態様によれば、pDC細胞の活性化が遮断される時、LNPに応答するB細胞活性化を減少させることが示されている。従って、ABC及び/または毒性を回避するために、pDC活性化を防止することが望ましいことがある。上記の方策と同様に、pDC細胞活性化は、pDCとLNP及び/またはB細胞/血小板の間の相互作用を阻害する薬剤により遮断され得る。あるいは、pDCに作用して活性化される能力を抑制するか、またはエフェクターに作用する薬剤は、LNPと共に使用してABCを回避することができる。
【1059】
血小板は、ABC及び毒性においても重要な役割を果たし得る。LNPの初回用量が対象に投与された後に非常に迅速に、血小板は、LNPと会合し、凝集し、活性化される。いくつかの実施形態では、血小板凝集及び/または活性化を遮断することが望ましい。血小板凝集及び/または活性化を抑制するための1つの方策は、脂質ナノ粒子のどの構成成分が血小板凝集及び/または活性化を促進するかを決定し、それらの構成成分を中和することを含む。本明細書では、少なくともPEGは、血小板凝集、活性化、及び/または他の細胞との相互作用に寄与することが発見されている。多数の粒子は、PEG脂質代替物を有し、PEGレスは、デザイン及び試験されている。別の方法は、反復投与時にABCを促進することになるLNP内のこれらの1つ以上の構成成分の置換が、天然IgMの産生及び/または血小板凝集を低減させることによりABCを予防するのに有用であることを、出願人は確立している。従って、本発明は、血小板トリガーの包含を排除するデザインの結果としてABCを低減させているLNPを包含する。あるいは、活性化されると、血小板に作用して活性を抑制するか、またはエフェクターに作用する薬剤は、LNPと共に使用してABCを回避することができる。
【1060】
(i)ABC活動及び関連活動の測定
LNPを含む本明細書で提示される種々の化合物及び組成物は、in vivo投与時にABC活性を促進しない。これらのLNPは、多数のアッセイ、例えば、限定されないが、以下に記載されるもの、のうちのいずれか、及び実施例の方法のサブセクションを含む、実施例セクションに開示のアッセイのいずれかにより、特性決定し、及び/または同定し得る。
【1061】
いくつかの実施形態では、この方法は、ABCを促進する免疫応答を生ずることなくLNPを投与することを含む。ABCを促進する免疫応答は、1つ以上のセンサー、例えば、B1細胞、pDC、または血小板、及び1つ以上のエフェクター、例えば、天然IgM、天然IgG、またはIL6などのサイトカインの活性化を含む。従って、ABCを促進する免疫応答を生じることないLNPの投与は少なくとも、1つ以上のセンサーの有意な活性化及び1つ以上のエフェクターの有意な産生のないLNPの投与を最低限含む。本文脈中で使用される有意なとは、ABC誘発LNPの2回目の投与の場合に予想される血液クリアランスのレベルに対して、2回目の用量の全部またはいくつかの血液クリアランスが促進されるという生理学的結果をもたらす量を指す。例えば、2回目の投与後に観察されるABCが、ABC誘発LNPの場合に予想されているものよりも低くなるように、免疫応答を減衰させるべきである。
【1062】
(ii)B1aまたはB1b活性化アッセイ
本開示で提供される特定の組成物は、B細胞、例えば、B1aまたはB1b細胞(CD19+ CD5+)及び/または従来のB細胞(CD19+ CD5-)、を活性化しない。B1a細胞、B1b細胞、または従来のB細胞の活性化は、様々な方法で決定されることがあり、これらのいくつかは、以下に提示される。B細胞集団は、分別B細胞集団または脾細胞または末梢血単核細胞(PBMC)の未分画集団として提供され得る。後者の場合、細胞集団は、一定の期間、選択すべきLNPとインキュベートされ、その後、さらなる分析のために採取され得る。あるいは、上清は、採取及び分析され得る。
【1063】
(iii)活性化マーカー細胞表面発現の上方制御
B1a細胞、B1b細胞、または従来のB細胞の活性化は、CD86などの後期活性化マーカーを含むB細胞活性化マーカーの発現の増加として示され得る。例示的な非限定的なアッセイでは、未分画B細胞は、脾細胞集団として、またはPBMC集団として提供され、特定の期間、選択すべきLNPと共にインキュベートされ、次に、CD19などの標準的なB細胞マーカー及びCD86などの活性化マーカーについて染色され、例えば、フローサイトメトリーを使用して分析される。好適な陰性対照は、培地を用いて同じ集団をインキュベートすること、次に、同じ染色及び可視化のステップを実施することを含む。陰性対照と比較して、試験集団におけるCD86発現の増加は、B細胞活性化を示す。
【1064】
(iv)前炎症性サイトカイン放出
B細胞活性化は、サイトカイン放出アッセイによっても評価され得る。例えば、活性化は、目的のLNPと共に曝露された時の、IL-6及び/またはTNF-αなどのサイトカインの産生及び/または分泌を介して評価され得る。
【1065】
そのようなアッセイは、当該技術分野で周知の所定のサイトカイン分泌アッセイを使用して実施され得る。サイトカイン分泌の増加は、B細胞活性化を示す。
【1066】
(v)B細胞によるLNP結合/会合及び/または取り込み
B細胞へのLNP会合または結合は、目的のLNPを評価し、さらに、そのようなLNPを特徴付けるために使用され得る。会合/結合及び/または取り込み/内在化は、検出可能に標識された、例えば、蛍光標識されたLNPを使用し、種々の期間のインキュベーション後のB細胞内またはB細胞上のそのようなLNPの場所を追跡して評価され得る。
【1067】
本明細書で提示される組成物が、認識または検出、及び任意に、循環IgM及び/または急性期タンパク質(例えば、C反応性タンパク質(CRP))などの急性期応答メディエーターなどのABCの下流のメディエーターにより結合することを回避することが可能になり得ることを、本発明はさらに考察する。
【1068】
(vi)ABCを低減させるための使用方法
ABCを促進することなく対象に治療薬などの薬剤を封入し得るLNPを送達するための方法も本明細書で提供される。
【1069】
いくつかの実施形態では、本方法は、ABCを促進せず、例えば、LNPに結合する天然IgMの産生を誘導せず、B1a及び/またはB1b細胞を活性化しない、本明細書に記載のLNPのいずれかを投与することを含む。本明細書で使用される場合、「ABCを促進しない」LNPは、実質的なABCをもたらす免疫応答を誘導しないか、または実質的なABCをもたらすには不十分な実質的に低いレベルの免疫応答を誘導するLNPを指す。LNPに結合する天然IgMの産生を誘導しないLNPは、LNPに結合する天然IgMまたは実質的なABCをもたらすには不十分な実質的に低いレベルの天然IgM分子を誘導するLNPを指す。B1a及び/またはB1b細胞を活性化しないLNPは、LNPに結合する天然IgMを産生するB1a及び/またはB1b細胞の応答を誘導しないか、または実質的なABCをもたらすには不十分な実施的に低いレベルのB1a及び/またはB1b細胞応答を誘導するLNPを指す。
【1070】
いくつかの実施形態では、産生を活性化しない及び誘導しないという用語は、参照値または状態に対する相対的な低減である。いくつかの実施形態では、参照値または条件は、MC3 LNPなどの標準的なLNPによるIgMなどの分子の産生の活性化または誘導の量である。いくつかの実施形態では、相対的な低減は、少なくとも30%、例えば、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の低減である。他の実施形態では、B細胞などの細胞を活性化しない及びIgMなどのタンパク質の産生を誘導しないという用語は、検出不可能な量の活性細胞または特定のタンパク質を指し得る。
【1071】
(vii)血小板の効果及び毒性
本発明は、部分的に、LNP投与に関連する用量制限毒性の根底にある機序の解明をさらに前提とする。そのような毒性は、凝固障害、急性または慢性かどうかに関わらず、播種性血管内凝固(DIC、消耗性凝固障害とも呼ばれる)及び/または血管血栓症を含み得る。いくつかの場合では、LNPに関連する用量制限毒性は、急性期応答(APR)または補体活性化関連偽アレルギー(psudoallergy)(CARPA)である。
【1072】
本明細書で使用される場合、凝固障害は、in vivoでの凝固(血液凝固)の増加を指す。本開示で報告された知見は、そのような凝固の増加と一致し、根本的な機序についての洞察を大幅に提供する。凝固は、多数の異なる因子及び細胞型を含むプロセスであり、従来、LNP及び血小板の間の関係及び相互作用は、この点に関しては理解されていない。本開示は、そのような相互作用の証拠を提供し、血小板会合の低減、血小板凝集の低減、及び/または血小板凝集の低減を含む、血小板効果の低減を有するように改変される化合物及び組成物を提供する。そのような血小板効果を、好ましくは、下方調節する能力を含む調節する能力、LNP投与後の凝固障害の発生率及び/または重症度を低減することができる。これは、順次、そのようなLNPに関連する毒性を低減させ、それにより、より高い用量のLNP、重要なことに、それらのカーゴが、それを必要とする患者に投与されることが可能になる。
【1073】
CARPAは、ナノ医薬品及び生物製剤により誘発され得る、過敏反応(HSR)に現れる急性免疫毒性のクラスである。アレルギー反応とは異なり、CARPAは通常、IgEを含まないが、病原体を除去する身体の能力を増強する自然免疫系のいくつかである補体系の活性化の結果として生じる。以下の経路、古典補体経路(CP)、副経路(AP)、及びレクチン経路(LP)のうちの1つ以上は、CARPA.Szebeni,Molecular Immunology,61:163-173(2014)に含まれ得る。
【1074】
古典経路は、C1q、C1r、C1s、またはC1qr2s2を含有するC1複合体の活性化により誘発される。C1複合体の活性化は、C1qが抗原と複合化されたIgMまたはIgGに結合する時、またはC1qが病原体の表面に直接結合する場合に生じる。そのような結合は、順次C1sを切断するC1rの活性化をもたらすC1q分子の立体配座変化をもたらす。ここで、C1r2s2構成要素は、C4、次にC2を分解して、C4a、C4b、C2a、及びC2bを生じる。C4b及びC2bは結合して、C3のC3a及びC3bへの開裂を促進する古典経路C3転換酵素(C4b2b複合体)を形成する。次に、C3bは、C3転換酵素に結合して、C5転換酵素(C4b2b3b複合体)を形成する。副経路は、自発的なC3加水分解の結果として、連続的に活性化される。因子P(プロパージン)は、副経路の正の制御因子である。プロペルジンのオリゴマー化は、C3転換酵素を安定化させ、次に、これは、より多くのC3を切断することができる。C3分子は、表面に結合し、より多くのB、D、及びP活性を増強して、補体活性化の増幅をもたらすことができる。
【1075】
急性期反応(APR)は、感染の予防及び潜在的な病原体のクリアランスのための複雑な全身免疫応答である。多数のタンパク質は、APRに関与しており、C反応性タンパク質は、十分に特性決定されたタンパク質である。
【1076】
本発明によれば、特定のLNPは、in vivo投与のほぼ直後に、血小板と物理的に会合することができるが、他のLNPは、血小板と全く会合しないか、またはバックグラウンドレベルでのみ会合しないことが見出されている。重大なことに、血小板と会合するLNPは、その後形成される血小板凝集も明らかに安定化させる。血小板の特定のLNPとの物理的接触は、そのような血小板が、凝集したままか、または投与後の長期間にわたり凝集体を継続的に形成する能力と相関する。そのような凝集体は、活性化血小板、さらに、マクロファージ及びB細胞などの自然免疫細胞も含む。
【1077】
25.使用方法
本明細書に記載のポリヌクレオチド、医薬組成物、及び製剤は、シトリン関連疾患、障害、または状態を処置及び/または予防するために、調製、製造、及び治療用途に使用される。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、組成物、及び製剤は、CTLN2を処置及び/または予防するために使用される。
【1078】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、及び製剤は、それを必要とする対象のアンモニアレベルを低減させるための、及び/またはトリグリセリドレベルを低減させるための方法に使用される。例えば、本発明の一態様は、シトリンをコードするポリヌクレオチドを含む組成物または製剤(例えば、シトリンポリペプチドをコードするmRNA)を対象に投与することを含む、対象のCTLN2の徴候及び症状を緩和する方法を提供する。
【1079】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、及び製剤は、CTLN2に関連する代謝産物(例えば、基質または産物、すなわち、グルタマート、アスパルタート、またはアンモニア)のレベルを低減させるために使用され、方法は、有効量の、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、対象に投与することを含む。
【1080】
いくつかの実施形態では、有効量の本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、または製剤の投与は、CTLN2のバイオマーカー、例えば、グルタマート、アスパルタート、またはアンモニア、のレベルを低減させる。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、または製剤の投与は、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、または製剤の投与後の短期間内の、CTLN2の1つ以上のバイオマーカー、例えば、アンモニア、トリグリセリド、グルタマート、アスパルタート、シトルリン、ピルバート、及びラクタート、のレベルの低減をもたらす。
【1081】
いくつかの実施形態では、CTLN2の1つ以上のバイオマーカー、例えば、アンモニア、トリグリセリド、グルタマート、アスパルタート、シトルリン、ピルバート、及びラクタート、のレベルは、血中で測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、血液の構成成分中で、例えば、血漿または血清中で測定される。血液及び血液の構成成分を得る方法ならびに血液または血液の構成成分中のバイオマーカーのレベルを測定するための方法は、当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、CTLN2の1つ以上のバイオマーカー、例えば、アンモニア、グルタマート、アスパルタート、シトルリン、ピルバート、及びラクタート、のレベルは、尿中で測定される。尿を得る方法及び尿中のバイオマーカーのレベルを測定する方法は、当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、CTLN2の1つ以上のバイオマーカー、例えば、アンモニア、トリグリセリド、グルタマート、アスパルタート、シトルリン、ピルバート、及びラクタート、のレベルは、肝臓組織中で測定される。肝臓組織、例えば、生検、を得る方法、及び肝臓組織中のバイオマーカーのレベルを測定するための方法は、当該技術分野で既知である。
【1082】
いくつかの実施形態では、CTLN2の1つ以上のバイオマーカー、例えば、アンモニア、トリグリセリド、グルタマート、アスパルタート、シトルリン、ピルバート、及びラクタート、のレベルは、本明細書に記載の医薬組成物またはポリヌクレオチドの投与後のバイオマーカーのレベルの変化を決定するために、対象において測定される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーのレベルを、CTLN2を有する対象の対照標準バイオマーカーレバルと比較して、少なくとも1.5分の1、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも25分の1、少なくとも30分の1、少なくとも35分の1、少なくとも40分の1、少なくとも45分の1、または少なくとも50分の1低減させ得る。
【1083】
いくつかの実施形態では、血中、血漿中、または血清中アンモニアレベルを、本明細書に記載の医薬組成物またはポリヌクレオチドの投与後少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、または少なくとも120時間にわたって、CTLN2を有する対象の対照標準である血中、血漿中または血清中アンモニアレベルと比較して、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも5分の1、少なくとも10分の1、少なくとも15分の1、少なくとも20分の1、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%、少なくとも99%、または100%低減させる。CTLN2を有する対象及びCTLN2を有しない対象の血中、血漿中、または血清中のアンモニアの対照標準レベルは、当該技術分野、例えば、Kobayashi et al.,Citrin Deficiency,GeneReviews 2005(available at https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1181/)及びWong et al.,Arch Neurol 64(7):1034-1037(2007)(これらの両方は、本明細書により、本明細書に参照として組み込まれる)、で見出すことができない。
【1084】
補充療法は、CTLN2の可能な処置である。従って、本発明のある特定の態様では、本明細書に開示のポリヌクレオチド、例えば、mRNAは、CTLN2の遺伝子補充療法での使用に適するシトリンポリペプチドをコードする1つ以上の配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、シトリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、mRNAを、対象に提供することにより、対象のシトリン発現及び/またはシトリン活性の不足もしくは低減、またはシトリン活性の減少もしくは異常を処置する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列最適化される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、シトリンポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、ORF)を含み、核酸は、例えば、そのG/C、ウリジン、もしくはチミジン含量を修正することにより配列最適化され、及び/またはポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、miRNA結合部位、例えば、miRNA-142、miRNA-126、またはそれらの組み合わせに結合するmiRNA結合部位、を含む。
【1085】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドを含む組成物もしくは製剤、医薬組成物、または製剤の対象への投与は、組成物または製剤の投与前に観察されたレベルよりも、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低いレベルまでの、ミトコンドリアによるグルタマートの取り込みの増加、ミトコンドリアによるアスパルタートの排出の増加、及び/またはアンモニアの減少がもたらされる。
【1086】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、または製剤の投与は、対象の細胞におけるシトリンの発現をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、または製剤を投与すると、対象のシトリン発現及び/または活性の増加がもたらされる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、シトリンポリペプチドをコードするmRNAを含む組成物または製剤を対象に投与する方法に使用され、方法は、対象の少なくともいくつかの細胞におけるシトリン発現及び/または活性の増加をもたらす。
【1087】
いくつかの実施形態では、シトリンポリペプチドをコードするmRNAを含む組成物または製剤の対象への投与は、正常対象、例えば、CTLN2に罹患していないヒト、で予想される発現及び/または活性レベルの、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または、100%以上のレベルまでの、対象の細胞におけるシトリン発現及び/または活性の増加をもたらす。
【1088】
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、または製剤の投与は、アンモニアの低減を生じさせるのに十分な期間持続する対象の細胞の少なくともいくつかにおけるシトリンタンパク質の発現をもたらす。
【1089】
いくつかの実施形態では、コードされたポリペプチドの発現及び/または活性を増加させる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、これらの細胞に導入された時に、細胞内のシトリン発現レベルを、ポリペプチドが細胞内に導入される前の細胞内のシトリン発現及び/または活性レベルに対して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%増加させる。
【1090】
いくつかの実施形態では、方法または使用は、配列番号5~29、129、132、135、及び138の群から選択されるポリヌクレオチド(表2を参照のこと)、または配列番号130、133、136、及び139からなる群から選択されるポリヌクレオチド(表5を参照のこと)と配列類似性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、例えば、mRNA、を投与することを含み、ポリヌクレオチドは、シトリンポリペプチドをコードする。
【1091】
本開示の他の態様は、ポリヌクレオチドを含有する細胞の哺乳動物対象への移植に関する。細胞の哺乳動物対象への投与は、当業者らに既知であり、局所移植(例えば、局所もしくは皮下投与)、器官送達、または全身注射(例えば、静脈内注射もしくは吸入)、及び薬学的に許容される担体中の細胞の製剤化を含むが、これらに限定されない。
【1092】
本明細書に開示のシトリンポリペプチドをコードするmRNAを含む治療的有効量の組成物または製剤を対象に投与することを含む、CTLN2患者の生存を増加させる方法もまた提供される。
【1093】
いくつかの態様では、本明細書に開示のシトリンポリペプチドをコードするmRNAの用量は、少なくとも約0.1nmol/kg、少なくとも約0.2nmol/kg、少なくとも約0.3nmol/kg、少なくとも約0.4nmol/kg、少なくとも約0.5nmol/kg、少なくとも約0.6nmol/kg、少なくとも約0.7nmol/kg、少なくとも約0.8nmol/kg、少なくとも約0.9nmol/kg、少なくとも約1nmol/kg、少なくとも約1.1nmol/kg、少なくとも約1.2nmol/kg、少なくとも約1.3nmol/kg、少なくとも約1.4nmol/kg、少なくとも約1.5nmol/kg、少なくとも約1.6nmol/kg、少なくとも約1.7nmol/kg、少なくとも約1.8nmol/kg、少なくとも約1.9nmol/kg、少なくとも約2nmol/kg、少なくとも約2.5nmol/kg、少なくとも約3nmol/kg、少なくとも約3.5nmol/kg、少なくとも約4nmol/kg、少なくとも約4.5nmol/kg、または少なくとも約5nmol/kgである。いくつかの態様では、本明細書に開示のシトリンポリペプチドをコードするmRNAの用量は、少なくとも約0.05mg/kg、少なくとも約0.1mg/kg、少なくとも約0.15mg/kg、少なくとも約0.2mg/kg、少なくとも約0.25mg/kg、少なくとも約0.3mg/kg、少なくとも約0.35mg/kg、少なくとも約0.4mg/kg、少なくとも約0.45mg/kg、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約0.55mg/kg、少なくとも約0.6mg/kg、少なくとも約0.7mg/kg、少なくとも約0.75mg/kg、少なくとも約0.8mg/kg、少なくとも約0.85mg/kg、少なくとも約0.9mg/kg、少なくとも約0.95mg/kg、または少なくとも約1mg/kgである。
【1094】
本明細書に開示の方法のいくつかの態様では、CTLN2患者は、無症候性患者である。
【1095】
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用されるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)、医薬組成物、及び製剤は、本明細書に開示のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列及び本明細書に開示のmiRNA結合部位、例えば、miR-142に結合するmiRNA結合部位及び/またはmiR-126に結合するmiRNA結合部位、を含む。いくつかの実施形態では、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、少なくとも1つの化学修飾核酸塩基、例えば、5-メトキシウラシル、を含む。いくつかの実施形態では、本発明のシトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中の1種の核酸塩基(例えば、ウラシル)の少なくとも95%は、修飾核酸塩基である。いくつかの実施形態では、シトリンポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中のウルシルの少なくとも95%は、5-メトキシウリジンである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1~232のいずれか、例えば、化合物18;式(III)、(IV)、(V)、もしくは(VI)を有する化合物、例えば、化合物233~342のいずれか、例えば、化合物236;または式(VIII)を有する化合物、例えば、化合物419~428のいずれか、例えば、化合物428、あるいはそれらの任意の組み合わせ、を含む送達剤と共に製剤化される。いくつかの実施形態では、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428を、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。
【1096】
本発明の薬剤または処置の治療効果は、対象(例えば、前臨床試験対象(齧歯動物、霊長動物など)または臨床対象(ヒト))から取られた試料(複数可)中のコードされたタンパク質(例えば、酵素)の発現のレベルを測定することにより、特性決定または決定することができることを、当業者は理解するであろう。同様に、本発明の薬剤または処置の治療効果は、対象(例えば、前臨床試験対象(齧歯動物、霊長動物など)または臨床対象(ヒト))から取られた試料(複数可)中のコードされたタンパク質(例えば、酵素)の活性のレベルを測定することにより、特性決定または決定することができる。さらに、本発明の治療的有効性の薬物または処置は、対象から取られた試料(複数可)中の適切なバイオマーカーのレベルを測定することにより、特性決定または決定することができる。タンパク質及び/またはバイオマーカーのレベルは、本発明のmRNA治療薬の単回投与で投与後に、決定することができ、または単回用量で投与後のいくつかの時点で、決定及び/または監視することができ、または処置、例えば、複数回投与の処置、の経過を通して、決定及び/または監視することができる。
【1097】
26.使用のための組成物及び製剤
本発明のある特定の態様は、上で開示のポリヌクレオチドのいずれかを含む組成物または製剤に関する。
【1098】
いくつかの実施形態では、組成物または製剤は、
(i)シトリンポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそのバリアント)をコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)(ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾核酸塩基、例えば、5-メトキシウラシルを含み(例えば、ウラシルの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%は、5-メトキシウラシルであり)、ポリヌクレオチドは、miRNA結合部位、例えば、miR-142に結合するmiRNA結合部位(例えば、miR-142-3pもしくはmiR-142-5p結合部位)をさらに含む);及び(ii)例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1~232のいずれか、例えば、化合物18;式(III)、(IV)、(V)、または(VI)を有する化合物、例えば、化合物233~342のいずれか、例えば、化合物236;または式(VIII)を有する化合物、例えば、化合物419~428のいずれか、例えば、化合物428、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む送達剤、を含む。いくつかの実施形態では、送達剤は、化合物18、DSPC、コレステロール、及び化合物428を、例えば、約50:10:38.5:1.5のモル比で含む。
【1099】
いくつかの実施形態では、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最小ウラシルまたはチミン含量に対するORFのウラシルまたはチミン含量(%UTMまたは%TTM)は、約100%~約150%である。
【1100】
いくつかの実施形態では、上記のポリヌクレオチド、組成物、または製剤は、シトリン関連疾患、障害、または状態、例えば、CTLN2、を処置及び/または予防するために使用される。
【1101】
27.投与の形態
上記の本発明のポリヌクレオチド、医薬組成物、及び製剤は、治療上有効な結果をもたらす任意の経路により投与することができる。これらは、経腸(腸内に)、胃腸内、硬膜外(硬膜内に)、経口(口から)、経皮、硬膜上、大脳内(大脳内に)、脳室内(脳室内に)、経皮(皮膚への適用)、皮内(皮膚自体に)、皮下(皮膚下に)、経鼻投与(鼻を通して)、静脈内(静脈内に)、静脈内ボーラス、静脈内点滴、動脈内(動脈内に)、筋肉内(筋肉内に)、心臓内(心臓内に)、骨内注入(骨髄内に)、髄腔内(脊髄管内)、腹腔内、(腹膜への注入もしくは注射)、膀胱内注入、硝子体内、(眼を通して)、空洞内注射(病理学的空洞内に)、腔内(陰茎の付け根に)、膣内投与、子宮内、羊膜外投与、経皮(全身分布のためのインタクトな皮膚を通した拡散)、経粘膜(粘膜を通した拡散)、経膣、吹送法(鼻で吸う)、舌下、唇の下、浣腸、点眼(結膜上に)、点耳、耳介(耳の中もしくは耳から)口内(頬に向かって)、結膜、皮膚、歯科用(歯(複数可))、電気浸透、子宮頸管内、副鼻腔内、気管内、体外、血液透析、浸潤、間質内、腹腔内、羊水内、関節内、胆管内、気管支内、嚢内、軟骨内(軟骨内に)、仙骨内(馬尾内に)大槽内(大槽小脳延髄槽(cerebellomedularis)内に)、角膜内(角膜内に)、歯科内膜、冠動脈内(冠動脈内に)、海綿体内(陰茎の陰核海綿体の拡張可能な空間内の)、椎間板内(椎間板内に)、管内(腺管内に)、十二指腸内(十二指腸内に)、硬膜内(硬膜内もしくは硬膜下に)、表皮内(表皮へ)、食道内(食道へ)、胃内(胃内に)、歯肉内(歯肉内に)、回腸内(intraileal)(小腸の遠位部分内に)、病巣内(局所的な病変内にもしくは局所的な病変に直接導入された)、管腔内(管の管腔内に)、リンパ腺内(リンパ内に)、髄内(骨の髄腔内に)、髄膜内(髄膜内に)、眼内(眼内に)、卵巣内(卵巣内に)、心膜内(心膜内に)、胸膜腔内(胸膜内に)、前立腺内(前立腺内に)、肺内(肺もしくはその気管支内に)、洞内(intrasinal)(鼻洞もしくは眼窩洞内に)、脊髄内(脊柱内に)、滑液嚢内(関節の滑液腔内に)、腱内(腱内に)、精巣内(精巣内に)髄腔内(脳脊髄軸の任意のレベルで脳脊髄液内に)、胸腔内(胸郭内に)、尿細管内(器官の尿細管内に)、鼓室内(中耳内に)、血管内(血管(複数可)内に)、脳室内(脳室内に)、イオントフォレーゼ(可溶性塩のイオンが身体の組織に移動する電流により)、潅注(開いた創傷もしくは体腔を浸し、もしくは洗浄する)、喉頭(喉頭に直接)、経鼻胃(鼻を通して、胃に)、閉塞性包帯技術(領域を閉塞する包帯剤で覆われる局所経路投与)、眼内(外眼部へ)、口咽頭(口及び咽頭に直接)、非経口、経皮、関節周囲、硬膜上、神経周囲、歯根膜、経直腸、呼吸器(局所的もしくは全身的効果のために経口的もしくは鼻的に吸入することにより気道内に)、眼球後(脳橋の後ろ、もしくは眼球の後ろ)、心筋内(心筋に入る)、軟組織、くも膜下、結膜下、粘膜下、局所用、経胎盤(胎盤を通して、もしくは胎盤を越えて)、経気管(気管の壁を通して)、経鼓室(鼓室を越えて、もしくは通して)、尿管(尿管への)、尿道(尿道への)、膣、仙骨ブロック、診断、神経ブロック、胆汁灌流、心臓灌流、フォトフェレシス、または脊髄を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、組成物は、それらが、血液脳関門、血管関門、または他の上皮性関門を越えることができるように投与することができる。いくつかの実施形態では、投与経路のための製剤は、少なくとも1つの不活性成分を含むことができる。
【1102】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、naked細胞に送達することができる。本明細書で使用される場合、「naked」は、トランスフェクションを促進する薬剤を含まないポリヌクレオチドを送達することを指す。nakedポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知及び本明細書に記載の投与経路を使用して、細胞に送達することができる。
【1103】
本発明のポリヌクレオチド(例えば、シトリンポリペプチドまたはその機能的断片もしくはバリアントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、本明細書に記載の方法を使用して製剤化することができる。製剤は、修飾及び/または非修飾である可能性があるポリヌクレオチドを含有することができる。製剤は、細胞浸透剤、薬学的に許容される担体、送達剤、生体内分解性または生体適合性ポリマー、溶媒、及び徐放性送達デポーをさらに含むことができるが、これらに限定されない。製剤化されたポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知及び本明細書に記載の投与経路を使用して細胞に送達することができる。
【1104】
非経口投与のための医薬組成物は、少なくとも1つの不活性成分を含むことができる。US Food and Drug Administration(FDA)により、使用された不活性成分のいずれかが承認されているか、または、いずれもが承認されていない可能性がある。非経口投与のための医薬組成物に使用される不活性成分の限定的なリストは、塩酸、マンニトール、窒素、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムを含む。
【1105】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、好適な分散剤、湿潤剤、及び/または懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤及び/または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液、及び/またはエマルションとすることができる。用いることができる許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。滅菌不揮発性油は従来、溶媒または懸濁媒体として用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌不揮発性油を用いることができる。オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用することができる。滅菌製剤は、アジュバント、例えば、局所麻酔薬、防腐剤、及び緩衝剤、を含むこともできる。
【1106】
注射製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通した濾過により、及び/または、使用前に滅菌水または他の滅菌注射媒体に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
【1107】
注射製剤は、組織、器官、及び/または対象の領域への直接注射用とすることができる。非限定例として、組織、器官、及び/または対象に、虚血領域への心筋内注射により、製剤を直接注射することができる(例えば、Zangi et al.Nature Biotechnology 2013(この内容は、本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと)。
【1108】
活性成分の効果を延長するために、それは多くの場合、皮下または筋肉内注射からの活性成分の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶質または非晶質物質の液体懸濁液の使用により達成することができる。次に、薬物の吸収速度は、溶解速度に依存し、同様に、これは、結晶サイズ及び結晶形に依存する可能性がある。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることにより達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の薬物のマイクロ封入マトリックスを形成することにより作製される。薬物対ポリマーの比及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を含む。デポー注射製剤は、薬剤を、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルションに封入することにより調製される。
【1109】
28.キット及びデバイス
a.キット
本発明は、本発明の特許請求されるヌクレオチドを、都合よく及び/または効果的に使用するための様々なキットを提供する。通常は、キットは、ユーザが対象(複数可)の複数の処置を実施し、及び/または複数の実験を実施することを可能にするのに十分な量及び/または数の構成成分を含む。
【1110】
一態様では、本発明は、本発明の分子(ポリヌクレオチド)を含むキットを提供する。
【1111】
該キットは、翻訳可能領域を含む第1のポリヌクレオチドを含むタンパク質産生用とすることができる。キットは、製剤組成物を形成するパッケージ及び使用説明書及び/または送達剤をさらに含むことができる。送達剤は、本明細書に開示の生理食塩水、緩衝溶液、リピドイド、または任意の送達剤を含むことができる。
【1112】
いくつかの実施形態では、緩衝溶液は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、ホスファート、及び/またはEDTAを含むことができる。別の実施形態では、緩衝溶液は、生理食塩水、2mMのカルシウムを含む生理食塩水、5%のスクロース、2mMのカルシウムを含む5%のスクロース、5%のマンニトール、2mMのカルシウムを含む5%のマンニトール、乳酸リンゲル液、塩化ナトリウム、2mMのカルシウムを含む塩化ナトリウム、及びマンノースを含むことができるが、これらに限定されない(例えば、本明細書に全体が参照により組み込まれる米国公開第20120258046号を参照のこと)。さらなる実施形態では、緩衝溶液を、沈殿させるか、または凍結乾燥させることができる。各構成成分の量は、均一な再現可能な高濃度の生理食塩水または単純な緩衝液製剤を可能にするように変動させることができる。構成成分は、時間を通して、及び/または様々な条件下で、緩衝溶液中の修飾RNAの安定性を増加させるように変動させることもできる。一態様では、本発明は、標的細胞に導入された時に、翻訳可能領域によりコードされる所望量のタンパク質を産生するのに有効な量で提供される翻訳可能領域を含むポリヌクレオチド;細胞の自然免疫応答を実質的に阻害するのに有効な量で提供される阻害性核酸を含む第2のポリヌクレオチド;ならびにパッケージ及び使用説明書を含む、タンパク質産生のためのキットを提供する。
【1113】
一態様では、本発明は、翻訳可能領域を含むポリヌクレオチド、ならびにパッケージ及び説明書を含む、タンパク質産生のためのキットを提供し、ポリヌクレオチドは、細胞ヌクレアーゼによる分解の低減を示す。
【1114】
一態様では、本発明は、翻訳可能領域を含むポリヌクレオチド、及び第1の核酸の翻訳可能領域の翻訳に適する哺乳動物細胞を含む、タンパク質産生のためのキットを提供し、ポリヌクレオチドは、細胞ヌクレアーゼによる分解の低減を示す。
【1115】
b.デバイス
本発明は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込むことができるデバイスを提供する。これらのデバイスは、ヒト患者などのそれを必要とする対象に直ちに送達するのに利用される製剤中でポリヌクレオチドを合成する試薬を、安定的な剤形で含有する。
【1116】
投与のためのデバイスは、本明細書に教示の単回投与、複数回投与、または分割投与レジメンに従って、本発明のポリヌクレオチドを送達するために用いることができる。そのようなデバイスは、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開第WO2013151666号に教示される。
【1117】
本発明の実施形態として、本明細書に開示の方法及び組成物と組み合わせて使用するために、細胞、器官、及び組織への複数投与のための当該分野で既知の方法及びデバイスが考察される。これらは、例えば、複数のニードルを有する方法及び装置、例えば、ルーメンまたはカテーテルを用いるハイブリッドデバイス、及び熱、電流、または放射線駆動機序を利用するデバイスを含む。
【1118】
本発明に従って、これらの複数投与デバイスは、本明細書で検討の、単回用量、複数用量、または分割用量を送達するために利用することができる。そのような装置は、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開第WO2013151666号に教示されている。
【1119】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、同時に、または60分の期間以内に、3つの異なる任意に隣接する部位に、少なくとも3本の針を介して、皮下投与または筋肉投与される(例えば、同時に、または60分の期間以内に、4、5、6、7、8、9、または10部位に投与される)。
【1120】
c.カテーテル及び/またはルーメンを利用する方法及び装置
カテーテル及びルーメンを使用する方法及び装置は、本発明のポリヌクレオチドを、単回投与、複数回投与、または分割投与スケジュールで投与することができる。そのような方法及びデバイスは、国際出願公開第WO2013151666号に記載され、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【1121】
d.電流を利用する方法及びデバイス
電流を利用する方法及びデバイスは、本明細書に教示の単回投与、複数回投与、または分割投与レジメンに従って、本発明のポリヌクレオチドを送達するために用いることができる。そのような方法及びデバイスは、国際出願公開第WO2013151666号に記載され、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【1122】
29.定義
本開示がより容易に理解することができるように、特定の用語が最初に定義される。本出願で使用される場合、本明細書に別途明示のない限り、以下の用語のそれぞれは、下記の意味を有するものとする。追加の定義は、本出願の全体にわたって記載される。
【1123】
本発明は、グループのちょうど1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、これらに用いられるか、または別の方法でこれらに関連する実施形態を含む。本発明は、グループメンバーの複数または全てが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、これらに用いられるか、または別の方法でこれらに関連する実施形態を含む。
【1124】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の指示対象を含む。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1つ以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。ある特定の態様では、「a」または「an」という用語は、「1つ」を意味する。他の態様では、「a」または「an」という用語は、「2つ以上」または「複数」を含む。
【1125】
さらに、本明細書で使用される「及び/または」は、他のものの有無に関わらず、2つの特定の特徴または構成要素のそれぞれの特定の開示とみるべきである。従って、「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、本明細書では、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むものとする。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、以下の態様:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含するものとする。
【1126】
別途記載のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;;及びthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、当業者に、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を提供する。
【1127】
態様が「含む」という文言を用いて本明細書に記載されている場合は、「からなる」及び/または「から本質的になる」という用語で別途記載された類似の態様もまた提供される。
【1128】
単位、接頭語、及び記号は、Systeme International de Unites(SI)に認められた形態で表示される。数値範囲は、範囲を記載する数字を含む。値の範囲が列挙される場合、その範囲の列挙された上限値及び下限値の間の各介在整数値及びその各分率もまた、そのような値の間の各部分範囲に加えて、具体的に開示されることを理解すべきである。任意の範囲の上限及び下限は独立に、範囲に含まれるか、または範囲から除外される可能性があり、各範囲もまた、境界のいずれかが含まれるか、いずれもが含まれないか、または両方が含まれる場合、本発明に包含される。値が明らかに列挙される場合、列挙された値とほぼ同じ数量または量である値もまた、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。組み合わせが開示される場合、その組み合わせの要素の各サブコンビネーションもまた、具体的に開示され、本発明の範囲内にある。逆に、異なる要素または要素群が個々に開示される場合、それらの組み合わせもまた開示される。発明の任意の要素が、複数の代替物を有するものとして開示される場合、各代替物が単独でまたは他の代替物との任意の組み合わせから除外される本発明の例もまた、本明細書に開示され;本発明の複数の要素は、そのような除外を有することができ、そのような除外を有する要素の組み合わせは全て、本明細書に開示される。
【1129】
ヌクレオチドは、一般に認められている一文字コードにより呼ばれる。別途指示のない限り、核酸は、5’から3’の方向で、左から右に書かれる。核酸塩基は、本明細書では、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される、一般に知られている一文字記号により呼ばれる。従って、Aはアデニンを表し、Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表し、Tはチミンを表し、Uはウラシルを表す。
【1130】
アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字の記号またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字の記号のいずれかで呼ばれる。別途指示のない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向で、左から右に書かれる。
【1131】
約:
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって数値と関連して使用される「約」という用語は、当業者によく知られており、認められている精度の間隔を示す。そのような精度の間隔は、±10%である。
【1132】
範囲が与えられる場合は、端点が含まれる。さらに、別途指示のない限り、または、文脈及び当業者の理解から別途明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈に別途明示のない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態の記載された範囲内の任意の特定の値または部分範囲とみなすことができる。
【1133】
組み合わせて投与される:
本明細書中で使用される場合、「組み合わせて投与される」または「組み合わせ投与」という用語は、2つ以上の薬剤が、同時に、または各薬剤の患者への影響の重複が可能な間隔の範囲内で、対象に投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、それらは、互いに約60、30、15、10、5、または1分以内に投与される。いくつかの実施形態では、薬剤の投与は、コンビナトリアル(例えば、相乗的)効果が達成されるように、互いに十分に接近して配置される。
【1134】
アミノ酸置換:
「アミノ酸置換」という用語は、親配列または参照配列(例えば、野生型シトリン配列)に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置換することを指す。アミノ酸は、親配列または参照配列(例えば、野生型シトリンポリペプチド配列)内で、例えば、化学的ペプチド合成または当該技術分野で既知の組換え法により置換することができる。従って、「位置Xでの置換」への言及は、位置Xに存在するアミノ酸の、代替アミノ酸残基での置換を指す。いくつかの態様では、置換パターンは、スキーマAnYに従って記載することができ、Aは、n位に天然にまたは元々存在するアミノ酸に対応する一文字コードであり、Yは、置換アミノ酸残基である。他の態様では、置換パターンは、スキーマAn(YZ)に従って記載することができ、Aは、X位に天然にまたは元々存在するアミノ酸を置換するアミノ酸残基に対応する一文字コードであり、Y及びZは、代替置換アミノ酸残基である。
【1135】
本開示の文脈では、置換(それらが、アミノ酸置換と呼ばれる場合であっても)は、核酸レベルで行われ、すなわち、アミノ酸残基を代替アミノ酸残基で置換することは、第1のアミノ酸をコードするコドンを、第2のアミノ酸をコードするコドンと置換することにより行われる。
【1136】
動物:
本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、任意の発生期のヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、任意の発生期の非ヒト動物を指す。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長動物またはブタ)である。いくつかの実施形態では、動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、及び虫を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、またはクローンである。
【1137】
ほぼ:
本明細書で使用される場合、目的の1つ以上の値に付される「ほぼ」という用語は、記載された参照値に類似する値を指す。特定の実施形態では、「ほぼ」という用語は、別途記載のない限り、または別途文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除き)、記載された参照値のいずれかの(より大きいまたはより小さい)方向に、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、以下の範囲に入る幅広い値を指す。
【1138】
関連する:
疾患に対して本明細書で使用される場合、「関連する」という用語は、問題の症状、測定値、特徴、または状態が、その疾患の診断、発症、存在、または進行に関連することを意味する。関連は、原因として疾患との関連がある可能性があるが、関連がある必要はない。例えば、徴候、症状、後遺症、またはCTLN2の患者の生活の質の減少を引き起こす任意の効果は、CTLN2と関連すると考えられており、本発明のいくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドを、それを必要とする対象に投与することにより、処置、改善、または予防することができる。
【1139】
2つ以上の部分に対して使用される場合、「会合する」「コンジュゲートされる」、「連結される」、「結合される」、及び「拘束される」という用語は、2つ以上の部分に対して使用される場合、構造が使用される条件、例えば、生理学的条件下で、部分が物理的に会合したままであるように、十分に安定である構造を形成するように、部分が、直接、または結合剤としての働きをする1つ以上のさらなる部分を介してのいずれかで、互いに物理的に会合し、または連結されることを意味する。「会合」は、厳密に直接共有化学結合によるものである必要はない。それは、「会合する」実体が物理的に会合したままであるように十分に安定な連結性に基づくイオン結合または水素結合またはハイブリダイゼーションも示唆することができる。
【1140】
二機能性:
本明細書で使用される場合、「二機能性」という用語は、少なくとも2つの機能の能力があるか、または維持する任意の物質、分子、または部分を指す。機能は、同じ結果または異なる結果に影響を与える可能性がある。機能を生じる構造は、同じまたは異なる可能性がある。例えば、二官能性修飾RNAは、本発明のシトリンペプチドをコードすることができる(第1機能)が、コード化RNAを含むヌクレオシドは、それ自体として、RNAの半減期を延長することが可能である(第2機能)。本実施例では、二機能性修飾RNAを、タンパク質欠乏症に罹患する対象に送達すると、疾患または状態を改善または処置することができるペプチドまたはタンパク質分子を産生するだけでなく、長い期間、対象に存在する集団修飾RNAも維持するであろう。他の態様では、二機能性修飾mRNAは、例えば、シトリンペプチドをコードするRNA(第1の機能)及び第1のタンパク質に融合されるか、または第1のタンパク質と同時発現される第2のタンパク質を含むキメラ分子とすることができる。
【1141】
生体適合性:
本明細書で使用される場合、「生体適合性」という用語は、免疫系による傷害、毒性、または拒絶のリスクをほとんど乃至全く有さない生きた細胞、組織、器官、または系と適合することを意味する。
【1142】
生分解性:
本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、生物の作用により無害な産物に分解される可能性を意味する。
【1143】
生物学的に活性な:
本明細書で使用される場合、「生物学的に活性な」という語句は、生物学的系及び/または生体内で活性を有する任意の物質の特徴を指す。例えば、生体に投与された時に、その生体に生物学的影響を有する物質は、生物学的に活性であると考えられる。特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのいくつかでも生物学的活性であるか、または生物学的に関連すると考えられる活性を模倣する場合、生物学的活性であると考えることができる。
【1144】
キメラ:
本明細書中で使用される場合、「キメラ」は、2つ以上の不調和または異種部分または領域を有する実体である。例えば、キメラ分子は、シトリンポリペプチドを含む第1の部分及び(例えば、第1の部分と遺伝的に融合した)第2の治療用タンパク質を含む第2の部分(例えば、別個の酵素活性を有するタンパク質、抗原結合部分、またはシトリンの血漿半減期を延長することが可能な部分、例えば、抗体のFc領域)を含むことができる。
【1145】
配列最適化:
「配列最適化」という用語は、参照核酸配列内の核酸塩基が代替核酸塩基で置換されて、特性の向上、例えば、タンパク質発現の向上または免疫原性の減少をもたらすプロセスまたは一連のプロセスを指す。
【1146】
一般に、配列最適化の目標は、参照ヌクレオチド配列によりコードされた同じポリペプチド配列をコードする同義ヌクレオチド配列を生成することである。従って、参照ヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドに対して、コドン最適化ヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドに(コドン最適化の結果としての)アミノ酸置換は存在しない。
【1147】
コドン置換:
配列最適化の文脈での「コドン置換(substitution)」または「コドン置換(replacement)」という用語は、参照核酸配列中に存在するコドンを、別のコドンで置換することを指す。コドンは、例えば、化学的ペプチド合成を介して、または当該分野で既知の組換え方法により、参照核酸配列中で置換することができる。従って、核酸配列(例えば、mRNA)中の特定の場所での、または核酸配列(例えば、mRNA)の特定の領域もしくは部分配列内での「置換(substitution)」または「置換(replacement)」への言及は、代替コドンを有するそのような場所または領域でのコドンの置換を指す。
【1148】
本明細書で使用される場合、「コード領域」及び「領域コード化」という用語ならびにその文法的変形形態は、発現時に、ポリペプチドまたはタンパク質を生じるポリヌクレオチド中のオープンリーディングフレーム(ORF)を指す。
【1149】
化合物:
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、示された構造の全ての立体異性体及び同位体を含むことを意味する。本明細書で使用される場合、「立体異性体」という用語は、化合物の任意の幾何異性体(例えば、シス及びトランス異性体)、エナンチオマー、またはジアステレオマーを意味する。本開示は、立体的に純粋な(例えば、幾何学的に純粋な、エナンチオマー的に純粋な、またはジアステレオマー的に純粋な)形態を含む、本明細書に記載の化合物のありとあらゆる立体異性体、ならびにエナンチオマー及び立体異性体混合物、例えば、ラセミ体を包含する。化合物のエナンチオマー及び立体的混合物、ならびにそれらを、構成成分であるエナンチオマーまたは立体異性体に分割する手段は、周知である。「同位体」は、細胞核内の異なる数の中性子の結果として生じる、原子番号が同じであるが質量数が異なる原子を指す。例えば、水素の同位体は、三重水素及び重水素を含む。さらに、本開示の化合物、塩、または複合体は、所定の方法により溶媒和物及び水和物を形成するために、溶媒または水分子と組み合わせて調製することができる。
【1150】
接触:
本明細書で使用される場合、「接触」という用語は、2つ以上の実体間の物理的接続を確立することを意味する。例えば、哺乳動物細胞をナノ粒子組成物と接触させることは、哺乳動物細胞及びナノ粒子が物理的接続を共有するように作製されることを意味する。in vivo及びex vivoの両方で、細胞を、外部実体と接触させる方法は、当該生物学的技術分野で周知である。例えば、ナノ粒子組成物及び哺乳動物内に位置する哺乳動物細胞を接触させることは、種々の投与経路(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、及び皮下)により実施することができ、種々の量のナノ粒子組成物を含むことができる。さらに、2つ以上の哺乳動物細胞をナノ粒子組成物と接触させることができる。
【1151】
保存的アミノ酸置換:
「保存的アミノ酸置換」は、タンパク質配列内のアミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、またはヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、またはシステイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、またはトリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当該技術分野に規定されている。従って、ポリペプチド中のアミノ酸が、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸で置換される場合、アミノ酸置換は、保存的であると考えられる。別の態様では、アミノ酸のストリングは、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/または組成が異なる構造的に類似したストリングで保存的に置換することができる。
【1152】
非保存的アミノ酸置換:
非保存的アミノ酸置換は、(i)正電荷側鎖(例えば、Arg、His、もしくはLys)を有する残基が、負電荷残基(例えば、GluもしくはAsp)と置換され、もしくはこれにより置換され、(ii)疎水性残基(例えば、SerもしくはThr)が、親水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、Phe、もしくはVal)と置換され、もしくはこれにより置換され、(iii)システインもしくはプロリンが、他の任意の残基と置換され、もしくはこれにより置換され、または(iv)嵩高い疎水性もしくは芳香族側鎖(例えば、Val、His、Ile、もしくはTrp)を有する残基が、より小さい側鎖を有するもの(例えば、AlaもしくはSer)、もしくは側鎖を有さないもの(例えば、Gly)と置換され、あるいはこれにより置換されるものを含む。
【1153】
他のアミノ酸置換は、当業者らが容易に同定することができる。例えば、アミノ酸アラニンの場合、置換は、D-アラニン、グリシン、β-アラニン、L-システイン、及びD-システインのいずれか1つから行うことができる。リシンの場合、置換は、D-リシン、アルギニン、D-アルギニン、ホモアルギニン、メチオニン、D-メチオニン、オルニチン、またはD-オルニチンのいずれか1つである可能性がある。一般に、単離ポリペプチドの特性の変化を誘導すると予想することができる機能上重要な領域での置換は、(i)極性残基、例えば、セリンもしくはスレオニンが、疎水性残基、例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、もしくはアラニンと(もしくはそれで)置換されるか;(ii)システイン残基が、他の任意の残基と(もしくはそれで)置換されるか;(iii)正電荷側鎖有する残基、例えば、リシン、アルギニン、もしくはヒスチジンが、負電荷側鎖を有する残基、例えば、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸と(もしくはそれで)置換されるか;または、(iv)嵩高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが、そのような側鎖を有しないもの、例えば、グリシンで(もしくはそれで)置換されるものである。上述の非保存的置換の1つは、タンパク質の機能的特性を変更させることができる可能性は、タンパク質の機能的に重要な領域に対する置換の位置とも関連しており:いくつかの非保存的置換は、それに応じて、生物学的特性にほとんどまたは全く影響がない可能性がある。
【1154】
保存:
本明細書で使用される場合、「保存された」という用語はそれぞれ、比較される2つ以上の配列の同じ位置で改変されていないものである、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基を指す。比較的保存されているヌクレオチドまたはアミノ酸は、配列の他の箇所に現れるヌクレオチドまたはアミノ酸よりも関連している配列の間で保存されているものである。
【1155】
いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、互いに100%同一である場合、「完全に保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%、約98%、または約99%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、互いに、約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、または約99%同一である場合、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用することができ、またはそのいくつか、領域、または機能に適用することができる。
【1156】
徐放:
本明細書で使用される場合、「徐放」という用語は、治療結果を達成する放出の特定のパターンに適合する医薬組成物または化合物放出プロファイルを指す。
【1157】
環状または環化:
本明細書で使用される場合、「環状」という用語は、連続ループの存在を指す。環状分子は、サブユニットの破壊されていない鎖を形成するために、環状である必要はなく、単に連結される。本発明の操作されたRNAまたはmRNAなどの環状分子は、単一単位もしくは多量体であるか、または複合体もしくは高次構造の1つ以上の構成要素を含むことができる。
【1158】
細胞傷害性:
本明細書で使用される場合、「細胞毒性」は、細胞(例えば、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞))、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、寄生生物、プリオン、またはそれらの組み合わせを、死滅させること、または有害な、有毒な、もしくは致命的な影響を引き起こすことを指す。
【1159】
送達:
本明細書で使用される場合、「送達」という用語は、実体を行き先に提供することを意味する。例えば、ポリヌクレオチドを対象に送達することは、ポリヌクレオチドを含むナノ粒子組成物を対象に(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、または皮下経路により)投与することを含むことができる。ナノ粒子組成物の哺乳動物または哺乳動物細胞への投与は、1つ以上の細胞をナノ粒子組成物と接触させることを含むことができる。
【1160】
送達剤:
本明細書で使用される場合、「送達剤」は、ポリヌクレオチドの標的細胞へのin vivo、in vitro、またはex vivo送達を、少なくとも部分的に促進する任意の物質を指す。
【1161】
不安定化:
本明細書で使用される場合、「不安定な(destable)」、「不安定化する」、または「不安定化領域」という用語は、同じ領域または分子の出発、野生型、または天然形態よりも安定性の低い領域または分子を意味する。
【1162】
ジアステレオマー:
本明細書で使用される場合、「ジアステレオマー」という用語は、互いの鏡像でなく、且つ互いに重ね合わせることができない立体異性体を意味する。
【1163】
消化:
本明細書で使用される場合、「消化」という用語は、より小さな断片または構成成分に分裂することを意味する。ポリペプチドまたはタンパク質に言及する場合、消化は、ペプチドの産生をもたらす。
【1164】
遠位:
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、中心から離れて、または目的の点もしくは領域から離れて位置することを意味する。
【1165】
ドメイン:
本明細書で使用される場合、ポリペプチドに言及する時、「ドメイン」という用語は、1つ以上の同定可能な構造的または機能的特徴または特性(例えば、タンパク質-タンパク質相互作用の部位として働く結合能力)を有するポリペプチドのモチーフを指す。
【1166】
投与レジメン:
本明細書で使用される場合、「投与レジメン」または「投与レジメン」は、投与スケジュールまたは医師が決定した処置、予防、または対症ケアのレジメンである。
【1167】
有効量:
本明細書で使用される場合、薬剤の「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果、例えば、臨床結果、を達成するのに十分な量であり、そのようなものであるから、「有効量」は、それが適用される文脈に依存する。例えば、タンパク質欠乏症(例えば、シトリン欠損症)を処置する薬剤を投与する状況において、薬剤の有効量は、薬剤の投与なしに観察された症状の重篤度と比較して、例えば、シトリン欠損症に関連する徴候及び症状を改善、低減、排除または予防するのに十分なシトリンを発現するmRNAの量である。「有効量」という用語は、「有効用量」、「治療的有効量」、または「治療有効用量」と互換的に使用することができる。
【1168】
エナンチオマー:
本明細書で使用される場合、「エナンチオマー」という用語は、少なくとも80%(すなわち、1つのエナンチオマーが少なくとも90%、他のエナンチオマーが多くとも10%)、少なくとも90%、または少なくとも98%の(当該技術分野で標準的な方法により決定されるような)光学純度またはエナンチオマー過剰を有する本発明の化合物のそれぞれ個々の光学活性形態を意味する。
【1169】
封入:
本明細書で使用される場合、「封入」という用語は、閉じ込めること、取り囲むこと、または内包することを意味する。
【1170】
封入効率:
本明細書で使用される場合、「封入効率」は、ナノ粒子組成物の調製に使用されるポリヌクレオチドの初期総量に対する、ナノ粒子組成物のいくつかとなるポリヌクレオチドの量を指す。例えば、組成物に最初に提供された合計100mgのポリヌクレオチドのうち97mgのポリヌクレオチドが、ナノ粒子組成物に封入される場合、封入効率は97%として与えられる可能性がある。本明細書で使用される場合、「封入」は、完全な、実質的な、または部分的な閉じ込め、拘束、取り囲み、または内包を指すことができる。
【1171】
コードされたタンパク質切断シグナル:
本明細書で使用される場合、「コードされたタンパク質切断シグナル」は、タンパク質切断シグナルをコードするヌクレオチド配列を指す。
【1172】
操作された:
本明細書で使用される場合、本発明の実施形態は、出発点、野生型、または天然分子から変化する構造的または化学的に関わらず、特徴または性質を有するようにデザインされる場合、「操作される」。
【1173】
増強された送達:
本明細書中で使用される場合、「増強された送達」という用語は、ポリヌクレオチドの対照ナノ粒子による目的の標的組織(例えばMC3、KC2、またはDLinDMA)への送達のレベルと比較して、より多く(例えば、少なくとも1.5倍多く、少なくとも2倍多く、少なくとも3倍多く、少なくとも4倍多く、少なくとも5倍多く、少なくとも6倍多く、少なくとも7倍多く、少なくとも8倍多く、少なくとも9倍多く、少なくとも10倍多く)のポリヌクレオチドのナノ粒子による目的の標的組織(例えば、哺乳動物の肝臓)への送達を意味する。ナノ粒子の特定の組織への送達レベルは、組織中で産生されたタンパク質の量を該組織の重量と比較すること、組織中のポリヌクレオチドの量を該組織の重量と比較すること、組織中で産生されたタンパク質の量を該組織中の総タンパク質の量と比較すること、または組織中のポリヌクレオチド量を、該組織中の総ポリヌクレオチドの量と比較することにより測定することができる。ナノ粒子の標的組織への送達の増強は、処置される対象において決定される必要はなく、それは、動物モデル(例えば、ラットモデル)などの代用物で決定することができることを理解されるであろう。
【1174】
エキソソーム:
本明細書で使用される場合、「エキソソーム」は、哺乳動物細胞により分泌される小胞、またはRNA分解に関与する複合体である。
【1175】
発現:
本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、以下の事象:(1)(例えば、転写による)mRNA鋳型のDNA配列からの生成;(2)(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによる)mRNA転写のプロセシング;(3)mRNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;及び(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾、のうちの1つ以上を指す。
【1176】
ex vivo:
本明細書で使用される場合、「ex vivo」という用語は、生体(例えば、動物、植物、もしくは微生物、またはその細胞もしくは組織)の外側で発生する事象を指す。ex vivo事象は、天然(例えば、in vivo)環境から最小限に変更された環境で行うことができる。
【1177】
特徴:
本明細書で使用される場合、「特徴」は、特徴、特性、または特有の要素を指す。ポリペプチドに言及する時、「特徴」は、分子の異なるアミノ酸配列に基づく構成要素として定義される。本発明のポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドの特徴は、表面症状発現、局所立体配座形状、フォールディング、ループ、ハーフループ、ドメイン、ハーフドメイン、部位、末端、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【1178】
製剤:
本明細書で使用される場合、「製剤」は、少なくともポリヌクレオチドならびに担体、賦形剤、及び送達剤のうちの1つ以上を含む。
【1179】
断片:
本明細書で使用される場合、「断片」は、部分を指す。例えば、タンパク質の断片は、培養細胞から単離された全長タンパク質を消化することにより得られるポリペプチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、断片は、N末端及び/またはC末端及び/または内部の部分配列が欠失している全長タンパク質(例えば、シトリン)の部分配列である。本発明のいくつかの好ましい態様では、本発明のタンパク質の断片は、機能的断片である。
【1180】
機能的:
本明細書で使用される場合、「機能的」生物学的分子は、特徴とする特性及び/または活性を示す形態の生物学的分子である。従って、本発明のポリヌクレオチドの機能的断片は、機能的シトリン断片を発現することが可能なポリヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、シトリンの機能的断片は、野生型シトリンの断片(すなわち、その天然に存在するアイソフォームのいずれかの断片)、またはその変異体もしくはバリアントを指し、断片は、対応する全長タンパク質の生物学的活性の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を保持する。
【1181】
ヘルパー脂質:
本明細書で使用される場合、「ヘルパー脂質」という用語は、(脂質層、例えば、脂質二重層に挿入するための)脂質部分及び(脂質層の表面での生理学的溶液との相互作用のための)極性部分を含む化合物または分子を指す。通常は、ヘルパー脂質は、リン脂質である。ヘルパー脂質の機能は、例えば、アミノ脂質を「補完」して二重層の融合性を増加させること、及び/または、例えば、細胞に送達された核酸の、エンドソーム脱出を促進することである。ヘルパー脂質は、LNPの表面の重要な構造構成要素であるとも考えられている。
【1182】
ホモロジー:
本明細書で使用される場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間及び/またはポリペプチド分子間の全体的な相関性を指す。一般に、「相同性」という用語は、2つの分子間の進化的関係を意味する。従って、相同である2つの分子は、共通の進化的先祖を有するであろう。本発明の文脈では、相同性という用語は、同一性及び類似性の両方を包含する。
【1183】
いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、分子中のモノマーの少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%が同一であり(正確に同じモノマー)または類似している(保存的置換)場合、互いに「相同である」と考えられる。「相同である」という用語は、必然的に、少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列)の間の比較を指す。
【1184】
同一性:
本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間の、及び/またはポリペプチド分子間の、全体的なモノマーの保全を指す。2つのポリヌクレオチド配列のパーセント同一性の計算は、例えば、最適な比較のための2つの配列(例えば、ギャップは、最適なアラインメントのための第1及び第2の核酸配列のうちの一方または両方に導入することができ、同一でない配列は、比較のために無視する)をアラインすることにより実施することができる。特定の実施形態では、比較のためにアラインされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次に、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチドにより占有される時、分子は、その位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、配列により共有される同一位置の数の関数であり、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップ数及び各ギャップ長さ考慮に入れる。配列の比較及び2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。DNA及びRNAを比較する時、チミン(T)及びウラシル(U)は、同等と考えることができる。
【1185】
好適なソフトウェアプログラムは、種々の供給源から、タンパク質及びヌクレオチド配列の両方のアラインメントのために、入手可能である。パーセント配列同一性を決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLAST suiteのいくつかであるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2つの配列間の比較を実施する。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用される一方、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、生命情報科学プログラムのEMBOSS suiteのいくつか、例えば、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、www.ebi.ac.uk/Tools/psaのEuropean Bioinformatics Institute(EBI)からも入手可能である。
【1186】
配列アラインメントは、例えば、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal X、またはClustal Omega)、MUSCLEなどの当該技術分野で既知の方法を使用して行うことができる。
【1187】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアラインする単一ポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列と異なる領域はそれぞれ、それら自体のパーセント配列同一性を有することができる。パーセント配列同一性値は、少数第2位で四捨五入されることに注意する。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り下げられる一方、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。長さの値は常に、整数であることにも注意する。
【1188】
ある特定の態様では、第1のアミノ酸配列(または核酸配列)対第2のアミノ酸配列(または核酸配列)の百分率同一性「%IDは」は、%ID=100x(Y/Z)(式中、Yは、(視覚検査または特定の配列アラインメントプログラムによりアラインされた)第1及び第2の配列のアラインメントにおいて完全一致としてスコア化されたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは、第2の配列中の残基の総数である)として計算される。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第1の配列対第2の配列のパーセント同一性は、第2の配列対第1の配列のパーセント同一性よりも高くなるであろう。
【1189】
パーセント配列同一性の計算のための配列アラインメントの生成は、一次配列データにより排他的に駆動されるバイナリー配列-配列比較に限定されないことを当業者は理解するであろう。配列アラインメントは、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能的データ(例えば、変異の位置)、または系統発生データなどの異種供給源からのデータと統合することにより生成することができることも理解されるであろう。多重配列アラインメントを生成するために、異種データを統合する好適なプログラムは、www.tcoffee.orgで入手可能な、あるいは、例えば、EBIから入手可能なT-Coffeeである。また、パーセント配列同一性を計算するために使用される最終的なアラインメントは、自動または手動のいずれかで管理することができることも理解されるであろう。
【1190】
免疫応答:
「免疫応答」という用語は、例えば、リンパ球、抗原提示細胞、貪食細胞、顆粒球、ならびに上記細胞または肝臓により産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用を指し、これらは、侵入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、癌性細胞、または、自己免疫もしくは病理学的炎症の場合には、正常なヒト細胞もしくは組織の、人体からの選択的な損傷、破壊、または排除をもたらす。いくつかの場合では、脂質構成成分及び封入された治療薬を含むナノ粒子の投与は、(i)封入された治療薬(例えば、mRNA)、(ii)そのような封入された治療薬(例えば、mRNAによりコードされたポリペプチド)の産物の発現、(iii)ナノ粒子の脂質構成成分、または(iv)それらの組み合わせ、により引き起こすことができる免疫応答を誘発することができる。
【1191】
炎症性応答:
「炎症性応答」は、特異的及び非特異的な防御系を含む免疫応答を指す。特定の防御系反応は、抗原に対する特異的な免疫系反応である。特異的防御系反応の例としては、抗体応答が挙げられる。非特異的防御系反応は、免疫記憶が一般に不可能な白血球、例えば、マクロファージ、好酸球、及び好中球、により媒介される炎症応答である。いくつかの態様では、免疫応答は、炎症性サイトカインの分泌を含み、炎症性サイトカインレベルの上昇をもたらす。
【1192】
炎症性サイトカイン:
「炎症性サイトカイン」という用語は、炎症応答において上昇するサイトカインを指す。炎症性サイトカインの例としては、インターロイキン-6(IL-6)、GROαとしても知られているCXCL1(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1、インターフェロンγ(IFNγ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロンγ誘導性タンパク質10(IP-10)、または顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が挙げられる。炎症性サイトカインという用語は、当該技術分野で既知の炎症性応答と関連する他のサイトカイン、例えば、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-13(IL-13)、インターフェロンα(IFN-α)なども含む。
【1193】
in vitro:
本明細書で使用される場合、「in vitro」という用語は、生体(例えば、動物、植物、または微生物)内の代わりに、人工環境、例えば、試験管または反応容器、細胞培養、ペトリ皿などで生じる事象を指す。
【1194】
in vivo:
本明細書で使用される場合、「in vivo」という用語は、生体(例えば、動物、植物、もしくは微生物またはその細胞もしくは組織)内で発生する事象を指す。
【1195】
挿入及び欠失バリアント:
ポリペプチドに言及する時の「挿入バリアント」は、天然配列または出発配列中の特定の位置のアミノ酸に直接隣接して挿入された1つ以上のアミノ酸を有するものである。アミノ酸に「直接隣接する」は、アミノ酸のα-カルボキシまたはα-アミノ官能基のいずれかに結合していることを意味する。ポリペプチドに言及する時の「欠失バリアント」は、天然または出発アミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸が除去されたものである。通常、欠失バリアントは、分子の特定の領域で1つ以上のアミノ酸が欠失しているであろう。
【1196】
インタクト:
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの文脈では、「インタクト」という用語は、野生型タンパク質に対応するアミノ酸を保持すること、例えば、野生型アミノ酸を変異させないまたは置換しないことを意味する。逆に、核酸との関連で、「インタクト」という用語は、野生型核酸に対応する核酸塩基を保持すること、例えば、野生型核酸塩基を変異させない、または置換しないことを意味する。
【1197】
イオン性アミノ脂質:
「イオン性アミノ脂質」という用語は、1、2、3またはそれ以上の脂肪酸または脂肪アルキル鎖及びpH滴定可能なアミノ頭部基(例えば、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ頭部基)を有する脂質を含む。イオン性アミノ脂質は通常は、アミノ頭部基のpKa未満のpHでプロトン化され(すなわち、正に荷電し)、pKaを上回るpHで、実質的に荷電していない。そのようなイオン性アミノ脂質は、DLin-MC3-DMA(MC3)及び(13Z,165Z)-N,N-ジメチル-3-ノイドコサ-13-16-ジエン-1-アミン(L608)を含むが、これらに限定されない。
【1198】
単離された:
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、(天然または実験的設定に関わらず)それが関連した構成成分の少なくともいくつかから分離されている物質または実体を指す。単離された物質(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)は、それらが単離されている物質に関して、様々なレベルの純度を有することができる。単離された物質及び/または実体は、最初に関連した他の構成成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離することができる。いくつかの実施形態では、単離された物質は、約80%を超える、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%を超える純度である。本明細書で使用される場合、他の構成成分を実質的に含まない場合、物質は、「純粋」である。
【1199】
実質的に単離された:
「実質的に単離された」は、化合物が形成または検出された環境から実質的に分離されることを意味する。部分的な分離は、例えば、本開示の化合物が豊富な組成物を含むことができる。実質的な分離は、本開示の化合物またはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含有する組成物を含むことができる。
【1200】
「単離された」ポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、細胞、または本明細書に開示の任意の組成物は、天然にはみられない形態のポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、細胞、または組成物である。単離されたポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、または組成物は、もはや天然に存在する形態ではない程度に精製されているものを含む。いくつかの態様では、単離されるポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチド、または組成物は、実質的に純粋である。
【1201】
異性体:
本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、本発明の任意の化合物の任意の互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、またはジアステレオマーを意味する。本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心及び/または二重結合を有することができ、それ故、二重結合異性体(すなわち、幾何E/Z異性体)などの立体異性体あるいはジアステレオマー(例えば、エナンチオマー(すなわち、(+)もしくは(-))またはシス/トランス異性体)として存在する。本発明によれば、本明細書に記載の化学構造、それによる、本発明の化合物は、対応する立体異性体の全て、つまり、立体的に純粋な(例えば、幾何学的に純粋な、鏡像異性的に純粋な、またはジアステレオマー的に純粋な)形態とエナンチオマー及び立体異性体混合物、例えば、ラセミ体、との両方を包含する。本発明の化合物のエナンチオマー混合物及び立体異性体混合物は通常、周知の方法、例えば、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、キラル塩複合体として化合物を結晶化すること、またはキラル溶媒中で化合物を結晶化することで、それらの構成成分のエナンチオマーまたは立体異性体に分離させることができる。エナンチオマー及び立体異性体は、周知の不斉合成法により、立体異性または鏡像異性的に純粋な中間体、試薬、及び触媒から得ることもできる。
【1202】
リンカー:
本明細書で使用される場合、「リンカー」は、原子の群、例えば、10~1,000の原子、を指し、限定されないが、炭素、アミノ、アルキルアミノ、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホニル、カルボニル、及びイミンなどの原子または基からなる可能性がある。リンカーは、第1の末端で、核酸塩基または糖部分上の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドに、第2の末端で、ペイロード、例えば、検出可能な薬剤または治療薬に、結合させることができる。リンカーは、核酸配列への取り込みを阻害しない程度に十分であることができる。リンカーは、任意の有用な目的、例えば、(例えば、2つ以上のキメラポリヌクレオチド分子またはIVTポリヌクレオチドの連結により)ポリヌクレオチド多量体またはポリヌクレオチドコンジュゲートを形成するために、且つ本明細書に記載されるようなペイロードを投与するために、使用することができる。リンカーに組み込むことができる化学基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、エーテル、チオエーテル、エステル、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリール、またはヘテロシクリルが挙げられるが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、本明細書に記載の通り、任意に置換することができる。リンカーの例としては、不飽和アルカン、ポリエチレングリコール(例えば、エチレンまたはプロピレングリコールモノマー単位、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、またはテトラエチレングリコール)、及びデキストランポリマー、ならびにその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、還元剤または光分解を使用して切断することができる、例えば、ジスルフィド結合(-S-S-)またはアゾ結合(-N=N-)などのリンカー内の切断可能部分が挙げられるが、これらに限定されない。選択的に切断可能な結合の非限定例としては、例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、もしくは他の還元剤の使用及び/または光分解により切断することができるアミド結合、ならびに、例えば、酸性または塩基性の加水分解により切断することができるエステル結合が挙げられる。
【1203】
投与方法:
本明細書で使用される場合、「投与方法」は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または組成物を対象に送達する他の方法を含むことができる。投与方法は、身体の特定の領域または系に標的送達するために(例えば、特異的に送達するために)、選択することができる。
【1204】
修飾されている:
本明細書で使用される場合、「修飾されている」は、本発明の分子の変化した状態または構造を指す。分子は、化学的修飾、構造的修飾、及び機能的修飾を含む、多くの仕方で修飾することができる。いくつかの実施形態では、本発明のmRNA分子は、例えば、それが天然リボヌクレオチドA、U、G、及びCに関連するような、非天然ヌクレオシド及び/またはヌクレオチドの導入により修飾されている。キャップ構造などの非標準ヌクレオチドは、A、C、G、Uリボヌクレオチドの化学構造とは異なるが、「修飾されている」とはみなされない。
【1205】
粘液:
本明細書で使用される場合、「粘液」は、粘性であり、且つムチン糖タンパク質を含む天然物質を指す。
【1206】
ナノ粒子組成物:
本明細書で使用される場合、「ナノ粒子組成物」は、1つ以上の脂質を含む組成物である。ナノ粒子組成物は通常、マイクロメートル以下のオーダーの大きさであり、脂質二重層を含むことができる。ナノ粒子組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム(例えば、脂質小胞)、及びリポプレックスを包含する。例えば、ナノ粒子組成物は、500nm以下の直径を有する脂質二重層を有するリポソームとすることができる。
【1207】
天然に存在する:
本明細書で使用される場合、「天然に存在する」は、人工的な援助なしに、天然に存在することを意味する
【1208】
非ヒト脊椎動物:
本明細書で使用される場合、「非ヒト脊椎動物」は、野生種及び家畜種を含む、ホモサピエンスを除く全ての脊椎動物を含む。非ヒト脊椎動物の例としては、哺乳動物、例えば、アルパカ、バンテン、バイソン、ラクダ、ネコ、ウシ、シカ、イヌ、ロバ、ガヤール、ヤギ、モルモット、ウマ、ラマ、ラバ、ブタ、ウサギ、トナカイ、ヒツジ、水牛、及びヤク、が挙げられるが、これらに限定されない。
【1209】
核酸配列:
「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または「ポリヌクレオチド配列」という用語は、互換的に使用され、連続した核酸配列を指す。配列は、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAのいずれか、例えば、mRNA、とすることができる。
【1210】
最も広い意味での「核酸」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/または物質を含む。これらのポリマーは多くの場合、ポリヌクレオチドと呼ばれる。本発明の例示的な核酸またはポリヌクレオチドとしては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、固定された核酸(LNA、β-D-リボ配置を有するLNA、α-L-リボ配置を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能基化を有する2’-アミノ-LNA、及び2’-アミノ官能基化を有する2’-アミノ-α-LNAを含む)、エチレン核酸(ENA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、またはそれらのハイブリッドもしくは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【1211】
「ヌクレオチド配列コード化」という語句は、ポリペプチドをコードする核酸(例えば、mRNAまたはDNA分子)コード配列を指す。コード配列は、核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞において発現を指向することが可能なプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む制御エレメントに作動可能に連結された開始シグナル及び終結シグナルをさらに含むことができる。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含むことができる。
【1212】
標的外:
本明細書で使用される場合、「標的外」は、任意の1つ以上の標的、遺伝子、または細胞転写物に対する任意の意図しない効果を指す。
【1213】
オープンリーディングフレーム:
本明細書で使用される場合、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、所与のリーディングフレームに終止コドンを含有しない配列を指す。
【1214】
作動可能に連結された:
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という語句は、2つ以上の分子、構築物、転写物、実体、部分などの間の機能的連結を指す。
【1215】
任意に置換された:
本明細書では、「任意に置換されたX」(例えば、任意に置換されたアルキル)という形態の語句は、「X(式中、Xは任意に置換される)」(例えば、「アルキル(式中、該アルキルは、任意に置換される)」と同等であるものとする。特徴「X」(例えば、アルキル)自体が任意であることを意味するものではない。
【1216】
部:
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドの「いくつか」または「領域」は、ポリヌクレオチドの全長よりも短いポリヌクレオチドの任意の部分として定義される。
【1217】
患者:
本明細書で使用される場合、「患者」は、処置を望むか、もしくは処置を必要とする可能性があるか、処置を要求するか、処置を受けているか、処置を受けることになっている対象、または、特定の疾患もしくは状態のための、訓練を受けた専門家によるケアの下にある対象を指す。いくつかの実施形態では、急性疾患を発症するリスクを予防し、または減少させる処置は、必要とされ、要求され、または投与され、すなわち、それは、防止的処置である。
【1218】
シトリン関連疾患:
本明細書での使用の場合、「シトリン関連疾患」または「シトリン関連障害」という用語はそれぞれ、異常なシトリン活性(例えば、活性の減少または活性の増加)に起因する疾患または障害を指す。非限定例として、シトルリン血症は、シトリン関連疾患である。
【1219】
用語「シトリン酵素活性」または「シトリン活性」は、本開示において互換的に使用され、ミトコンドリアのグルタマート取り込み及び/またはアスパルタートの排出を触媒し、及び/またはアンモニアを減少させるシトリンの能力を指す。従って、シトリン酵素活性またはシトリン活性を保持するかまたは有する断片またはバリアントは、グルタマートの取り込み、アスパルタートの排出、またはアンモニアの減少を適度に酵素で触媒することを有する断片またはバリアントを指す。
【1220】
薬学的に許容される:
「薬学的に許容される」という語句は、適切な医学的判断の範囲内であり、合理的な利益/リスク比に見合う、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のない、ヒト及び動物の組織との接触での使用に適する化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すために、本明細書では用いられる。
【1221】
薬学的に許容される賦形剤:
「薬学的に許容される賦形剤」という語句は、本明細書で使用される場合、且つ本明細書に記載の化合物以外の、患者においてほぼ無毒及び非炎症性である特性を有する、任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解させることが可能なビヒクル)を指す。賦形剤は、例えば、付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮補助剤、崩壊剤、染料(色)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤またはコーティング、風味剤、香料、流動促進剤(フローエンハンサー)、滑沢剤、保存剤、印刷インキ、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、及び水和水を含むことができる。例示的な賦形剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微晶質セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、プレゼラチン化デンプン、プロピルパラベン、レチニルパルミタート、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【1222】
薬学的に許容される塩:
本開示は、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩も含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、存在する酸または塩基部分をその塩形態に変換することにより(例えば、遊離塩基基を好適な有機酸と反応させることにより)修飾されている開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、酢酸、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸、パモ酸塩、ペクチナート(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、酒石酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、及び限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むアミンカチオンが挙げられる。本開示の薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩を含む。本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合物中で、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418,Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley-VCH,2008,及びBerge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1-19(1977)に見出され、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【1223】
薬学的に許容される溶媒和物:
本明細書で使用される「薬学的に許容される溶媒和物」という用語は、好適な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれている本発明の化合物を意味する。好適な溶媒は、投与された投薬量で生理学的に許容される。例えば、溶媒和物は、有機溶媒、水、またはそれらの混合物を含む溶液からの結晶化、再結晶化、または沈殿により調製することができる。好適な溶媒の例は、エタノール、水(例えば、一水和物、二水和物、及び三水和物)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMEU)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2-(1H)-ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ベンジルアルコール、2-ピロリドン、安息香酸ベンジルなどが挙げられる。水が溶媒である場合、溶媒和物は、「水和物」と呼ばれる。
【1224】
薬物動態学:
本明細書で使用される場合、「薬物動態学」は、生体に投与される物質の運命の決定に関する分子または化合物の任意の1つ以上の特性を指す。薬物動態学は、吸収、分布、代謝、及び排泄の程度及び割合を含むいくつかの領域に分けられる。これは、(A)吸収が血液循環に入る物質のプロセスであり;(D)分布が身体の体液及び組織を通した物質の分散または拡散であり;(M)代謝(または生体内変換)が親化合物の娘代謝物への不可逆的変換であり;且つ(E)排泄(または除去)が物質の身体からの除去を指す場合、ADMEと一般に呼ばれる。まれに、いくつかの薬物が、体内組織に不可逆的に蓄積する。
【1225】
物理化学的:
本明細書で使用される場合、「物理化学的」は、物理的及び/または化学的性質を意味し、またはそれに関連する。
【1226】
ポリヌクレオチド:
「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらのアナログ、またはそれらの混合物を含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指す。この用語は、分子の一次構造を指す。従って、この用語は、三本鎖、二本鎖、及び一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)ならびに三本鎖、二本鎖、及び一本鎖リボ核酸(「RNA」)を含む。それはまた、例えば、アルキル化、及び/またはキャッピングによる修飾形態のポリヌクレオチド、ならびに非修飾形態のポリヌクレオチドを含む。より詳細には、「ポリヌクレオチド」という用語は、(2-デオキシ-D-リボースを含有する)ポリデオキシリボヌクレオチド、スプライシングまたは未スプライシングに関わらず、tRNA、rRNA、hRNA、siRNA、及びmRNAを含む(D-リボースを含有する)ポリリボヌクレオチド、N-グリコシドまたはC-グリコシドのプリンまたはピリミジン塩基である他の任意のタイプのポリヌクレオチド、ならびにノルムクレオチド(normucleotidic)骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)及びポリモルホリノポリマー、ならびに他の合成配列特異的核酸ポリマーを含む。但し、ポリマーは、DNA及びRNAにみられるような塩基対形成及び塩基スタッキングを可能にする立体配置の核酸塩基を含有する。ある特定の態様では、ポリヌクレオチドは、mRNAを含む。他の態様では、mRNAは、合成mRNAである。いくつかの態様では、合成mRNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。いくつかの態様では、特定のクラスの全ての核酸塩基は、非天然核酸塩基で置換されている(例えば、本明細書に開示のポリヌクレオチド中の全てのウリジンは、非天然核酸塩基、例えば、5-メトキシウリジン、で置換することができる)。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド(例えば、合成RNAまたは合成DNA)は、合成DNAの場合には、天然の核酸塩基、すなわち、A(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シチジン)、及びT(チミジン)のみを、または合成RNAの場合には、A、C、G、及びU(ウリジン)のみを含む。
【1227】
本明細書に開示のコドンマップのT塩基が、DNA中に存在するが、T塩基が、対応するRNA中のU塩基で置換されることになることを、当業者は理解するであろう。例えば、DNA形態の本明細書に開示のコドン-ヌクレオチド配列、例えば、ベクター、または、in vitro翻訳(IVT)鋳型は、その対応する転写されたmRNA中のU塩基として転写されたT塩基を有するであろう。この点では、(Tを含む)コドン最適化DNA配列及び(Uを含む)それらの対応するmRNA配列の両方が、本発明のコドン最適化ヌクレオチド配列と考えられる。等価コドンマップが、1つ以上の塩基を非天然塩基で置換することにより生成することができることも、当業者は理解するであろう。従って、例えば、TTCコドン(DNAマップ)は、UUCコドン(RNAマップ)に対応することになり、それにより、これは、ΨΨCコドン(Uがシュードウリジンで置換されたRNAマップ)に対応するであろう。
【1228】
標準A-T及びG-C塩基対は、チミジンのN3-H及びC4-oxyの間の水素結合ならびにアデノシンのN1及びC6-NH2の間の水素結合、ならびに、シチジンのC2-oxy、N3、及びC4-NH2の間の水素結合ならびにグアノシンのC2-NH2、N’-H、及びC6-oxyの間の水素結合の形成を可能にする条件下で形成する。従って、例えば、グアノシン(2-アミノ-6-オキシ-9-β-D-リボフラノシルプリン)は、イソグアノシン(2-オキシ-6-アミノ-9-β-D-リボフラノシルプリン)を形成するために修飾することができる。そのような修飾は、もはや標準塩基対をシトシンと共に効果的に形成しないヌクレオシド塩基をもたらす。しかし、イソシトシン(1-β-D-リボフラノシル-2-アミノ-4-オキシピリミジン-)を形成するための、シトシン(1-β-D-リボフラノシル-2-オキシ-4-アミノピリミジン)の修飾は、修飾ヌクレオチドをもたらし、これは、グアノシンと共に塩基対を効果的に形成しないが、イソグアノシンと共に塩基対を形成するであろう(Collins et al.に属する米国特許第5,681,702号)。イソシトシンは、Sigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から入手可能であり;イソシチジンは、Switzer et al.(1993)Biochemistry 32:10489-10496及びその中で引用された参考文献で記載される方法により調製することができ;2’-デオキシ-5-メチルイソシチジンは、Tor et al.,1993,J.Am.Chem.Soc.115:4461-4467及びその中で引用された参考文献の方法により調製することができ;イソグアニンヌクレオチドは、Switzer et al.,1993,supra、及びMantsch et al.,1993,Biochem.14:5593-5601で記載される方法を使用して、またはCollins et al.に属する米国特許第5,780,610号に記載される方法により、調製することができる。他の非天然塩基対は、2,6-ジアミノピリミジン及びその相補体(1-メチルピラゾロ-[4,3]ピリミジン-5,7-(4H,6H)-ジオン)の合成のために、Piccirilli et al.,1990,Nature 343:33-37に記載の方法により合成することができる。独自の塩基対を形成する他のそのような修飾ヌクレオチド単位は、上掲のLeach et al.(1992)J.Am.Chem.Soc.114:3675-3683及びSwitzer et al.に記載されるように既知である。
【1229】
ポリペプチド:
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書では互換的に使用される。ポリマーは、修飾アミノ酸を含むことができる。用語は、天然にまたは介入:例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または他の任意の操作もしくは修飾、例えば、標識構成成分との複合化により修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。さらに、例えば、(例えば、非天然アミノ酸、例えば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、及びクレアチンを含む)アミノ酸の1つ以上のアナログを含有するポリペプチド、ならびに当該技術分野で既知の他の修飾は、定義内に含まれる。
【1230】
本明細書で使用される用語は、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドは、コードされたポリヌクレオチド産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、断片、ならびに上述の他の等価物、変形形態、及びアナログを含む。ポリペプチドは、モノマーとすることができ、または二量体、三量体、もしくは四量体などの多分子複合体とすることができる。それらは、一本鎖または多鎖ポリペプチドを含むこともできる。最も一般に、ジスルフィド結合は、多鎖ポリペプチドに見出される。ポリペプチドという用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的アナログであるアミノ酸ポリマーに適用することもできる。いくつかの実施形態では、「ペプチド」は、50アミノ酸長以下、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であることができる。
【1231】
ポリペプチドバリアント:
本明細書で使用される場合、「ポリペプチドバリアント」という用語は、それらのアミノ酸配列が天然または参照配列と異なる分子を指す。アミノ酸配列バリアントは、天然または参照配列と比較して、アミノ酸配列内の特定の位置に、置換、欠失、及び/または挿入を有することができる。通常、バリアントは、天然配列または参照配列と、少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%の同一性、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約99%の同一性を有するであろう。いくつかの実施形態では、それらは、天然配列または参照配列と、少なくとも約80%同一または少なくとも約90%同一であろう。
【1232】
単位薬物当たりのポリペプチド(PUD):
本明細書で使用される場合、PUDまたは単位薬物当たりの産物は、体液または組織中で測定されるような産物(例えば、ポリペプチド)の総1日用量、通常は、1mg、pg、kgなどの細別された部分として定義され、通常は、濃度、例えば、pmol/mL、mmol/mLなどで定義され、体液中での測定値で分けられる。
【1233】
予防すること:
本明細書で使用される場合、「予防すること」という用語は、感染、疾患、障害、及び/または状態の発症を部分的もしくは完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の徴候、症状、特徴、もしくは臨床症状発現を部分的にもしくは完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の徴候、症状、特徴、もしくは症状発現を部分的もしくは完全に遅延させること;感染、特定の疾患、障害、及び/または状態からの進行を部分的もしくは完全に遅延させること;及び/または感染、疾患、障害、及び/または状態に関連する病状を発症するリスクを減少させること、を指す。
【1234】
増殖する:
本明細書で使用される場合、「増殖する」という用語は、成長、拡大、もしくは増加すること、または急速に成長、拡大、もしくは増加させることを意味する。「増殖性」は、増殖能力を有することを意味する。「抗増殖性」は、増殖特性に反するか、または不適当な特性を有することを意味する。
【1235】
予防的:
本明細書で使用される場合、「予防的」は、疾患の拡大を予防するために使用される治療薬または一連の作用を指す。
【1236】
予防:
本明細書で使用される場合、「予防」は、健康を維持し、疾患の拡大を防ぐための措置を指す。「免疫予防」は、疾患の拡大を予防するための能動免疫または受動免疫を生じる手段を指す。
【1237】
タンパク質切断部位:
本明細書中で使用される場合、「タンパク質切断部位」は、化学的、酵素的、または光化学的手段により、アミノ酸鎖の制御された切断が達成することができる部位を指す。
【1238】
タンパク質切断シグナル:
本明細書で使用される場合、「タンパク質切断シグナル」は、切断のためにポリペプチドにフラグを立てるまたはマークする少なくとも1つのアミノ酸を指す。
【1239】
目的のタンパク質:
本明細書中で使用される場合、「目的のタンパク質」または「所望のタンパク質」という用語は、本明細書で提供されるもの、ならびに、その断片、変異体、バリアント、及び改変体を含む。
【1240】
近位:
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、中心または目的の点または領域のより近くに位置することを意味する。
【1241】
シュードウリジン:
本明細書で使用される場合、シュードウリジン(Ψ)は、ヌクレオシドウリジンのC-グリコシド異性体を指す。「シュードウリジンアナログ」は、シュードウリジンの任意の改変体、バリアント、アイソフォーム、または誘導体である。例えば、シュードウリジンアナログとしては、1-カルボキシメチルシュードウリジン、1-プロピニルシュードウリジン、1-タウリノメチルシュードウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-シュードウリジン、1-メチルシュードウリジン(mΨ)、1-メチル-4-チオシュードウリジン(mΨ)、4-チオ-1-メチルシュードウリジン、3-メチルシュードウリジン(mΨ)、2-チオ-1-メチルシュードウリジン、1-メチル-1-デアザシュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザシュードウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-チオジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオウリジン、4-メトキシシュードウリジン、4-メトキシ-2-チオシュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン(acpΨ)、及び2’-O-メチルシュードウリジン(Ψm)が挙げられるが、これらに限定されない。
【1242】
精製された:
本明細書で使用される場合、「精製する」、「精製した」、「精製」は、望ましくない構成成分、材料汚染、混合物、または不完全性から実質的に純粋またはクリアにすることを意味する。
【1243】
参照核酸配列:
「参照核酸配列」または「参照核酸」または「参照ヌクレオチド配列」または「参照配列」という用語は、配列最適化することができる出発核酸配列(例えば、RNA、例えば、mRNA配列)を指す。いくつかの実施形態では、参照核酸配列は、野生型核酸配列、その断片またはバリアントである。いくつかの実施形態では、参照核酸配列は、以前に配列最適化核酸配列である。
【1244】
塩:
いくつかの態様では、送達のための医薬組成物は、本明細書に開示され、それらの脂質成分のいくつかの塩を含む。「塩」という用語は、任意のアニオン性及びカチオン性複合体を含む。アニオンの非限定例としては、無機及び有機アニオンを含む、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、シュウ酸塩(例えば、ヘミシュウ酸塩)、リン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、亜硫酸水素塩、硫化物、亜硫酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、アクリル酸塩、ポリアクリル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、イタコン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、チグリン酸、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、ポリメタクリル酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、臭素酸塩、次亜臭素酸塩、ヨウ素酸塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、シアン化物、シアン酸塩、チオシアン酸塩、水酸化物、過酸化物、過マンガン酸塩、及びそれらの混合物が挙げられる。
【1245】
試料:
本明細書中で使用される場合、「試料」または「生物学的試料」という用語は、その組織、細胞、または構成要素部分(例えば、限定されないが、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、臍帯血、尿、膣液、及び精液を含む体液)のサブセットを指す。試料は、限定されないが、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸器、腸、及び泌尿生殖路、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、または器官を含む、完全な生体もしくはその組織のサブセット、細胞もしくは構成要素部分、または画分もしくはそのいくつかから調製されるホモジネート、溶解物、もしくは抽出物をさらに含むことができる。試料はさらに、タンパク質または核酸分子などの細胞構成成分を含有することができる、栄養ブロスまたはゲルなどの培地を指す。
【1246】
シグナル配列:
本明細書で使用される場合、「シグナル配列」、「シグナルペプチド」、及び「輸送ペプチド」という語句は、互換的に使用され、特定の細胞小器官、細胞区画、または細胞外排出へのタンパク質の輸送または局在化を導くことができる配列を指す。用語は、シグナル配列ポリペプチド及びシグナル配列をコードする核酸配列の両方を包含する。従って、核酸の文脈でのシグナル配列への言及は、実際には、シグナル配列ポリペプチドをコードする核酸配列を指す。
【1247】
シグナル伝達経路:
「シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達に関与している様々なシグナル伝達分子間の生化学的関係を指す。本明細書で使用される場合、「細胞表面受容体」という語句は、例えば、シグナル及びそのようなシグナルの、細胞の原形質膜を越える伝達を受け取ることが可能な分子及び分子の複合体を含む。
【1248】
類似性:
本明細書で使用される場合、「類似性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間の、及び/またはポリペプチド分子間の、全体的な関連性を指す。ポリマー分子の相互のパーセント類似性の計算は、パーセント類似性の計算が当該技術分野で理解されるような保存的置換を考慮に入れていることを除いて、パーセント同一性の計算と同じ方法で実施することができる。
【1249】
単回単位用量:
本明細書で使用される場合、「単回単位用量」は、1回の用量で/一度に/単一経路で/単一の接触点、すなわち、単回投与イベントで、投与される任意の治療薬の用量である。
【1250】
分割用量:
本明細書で使用される場合、「分割用量」は、単回単位用量または総1日用量の2回以上の用量への分割である。
【1251】
特異的送達:
本明細書で使用される場合、「特異的送達」、「特異的に送達する」、または「特異的に送達すること」という用語は、標的外の組織(例えば、哺乳動物の脾臓)と比較して、より多く(例えば、少なくとも1.5倍多く、少なくとも2倍多く、少なくとも3倍多く、少なくとも4倍多く、少なくとも5倍多く、少なくとも6倍多く、少なくとも7倍多く、少なくとも8倍多く、少なくとも9倍多く、少なくとも10倍多く)のポリヌクレオチドのナノ粒子による目的の標的組織(例えば、哺乳動物の肝臓)への送達を意味する。ナノ粒子の特定の組織への送達レベルは、組織中で産生されたタンパク質の量を該組織の重量と比較すること、組織中のポリヌクレオチドの量を該組織の重量と比較すること、組織中で産生されたタンパク質の量を該組織中の総タンパク質の量と比較すること、または組織中のポリヌクレオチド量を、該組織中の総ポリヌクレオチドの量と比較することにより測定することができる。例えば、腎血管の標的化の場合、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの全身投与後に肝臓または脾臓に送達されるものと比較して、組織1g当たり、1.5、2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、または20倍を超えるポリヌクレオチドが、腎臓に送達される場合、肝臓及び脾臓と比較して、哺乳動物の腎臓に特異的に提供される。ナノ粒子が標的組織に特異的に送達する能力は、処置される対象において決定される必要はなく、動物モデル(例えば、ラットモデル)などの代用物で決定することができると理解されるだろう。
【1252】
安定性:
本明細書で使用される場合、「安定性」は、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離を耐え抜く十分な強さを有し、いくつかの場合では、有効な治療剤への製剤化が可能な化合物を指す。
【1253】
安定化した:
本明細書中で使用される場合、「安定化する」、「安定化した」、「安定化した領域」という用語は、安定にさせるか、または安定になることを意味する。
【1254】
立体異性体:
本明細書中で使用される場合、「立体異性体」という用語は、化合物(例えば、本明細書に記載の任意の式の化合物)が、基本分子構造の全てのジアステレオマー、エナンチオマー、及び/または立体配座異性体を有することができる全ての可能な異なる異性体形態及び立体配座形態、特に、全ての可能な立体化学的及び立体配座的異性体形態、を指す。本発明のいくつかの化合物は、異なる互変異性体形態で存在することができ、後者は全て本発明の範囲内に含まれる。
【1255】
対象:
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」は、診断、予後、または治療が望まれる任意の対象、特に、哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象は、ヒト、飼育動物、家畜、動物園動物、スポーツ動物、ペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、雌ウシ;霊長類、例えば、類人猿、サル、オランウータン、及びチンパンジー;カニド、例えば、イヌ及びオオカミ;ネコ科動物、例えば、ネコ、ライオン、及びトラ;ウマ科動物、例えば、ウマ、ロバ、及びシマウマ;クマ、食用動物、例えば、雌ウシ、ブタ、及びヒツジ;有蹄動物、例えば、シカ及びキリン;齧歯動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモットなどを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、哺乳動物は、ヒト対象である。他の実施形態では、対象は、ヒト患者である。特定の実施形態では、対象は、処置を必要とするヒト患者である。
【1256】
実質的に:
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全体またはほぼ全体の程度または程度を示す定性的条件を指す。生物学的及び化学的特徴が、あるとしても、完結し、及び/または完全まで進行し、または絶対的な結果を達成もしくは回避することはほとんどないことを、生物学の当業者は、理解するであろう。それ故、「実質的に」という用語は、本明細書では、多くの生物学的及び化学的特徴に固有の完全性の潜在的な欠如を捕捉するために使用される。
【1257】
実質的に同等:
用量間の時間差に関連して本明細書で使用される場合、用語は、プラス/マイナス2%を意味する。
【1258】
実質的に同時:
本明細書で使用される場合且つ複数の用量に関連する場合、用語は、2秒以内を意味する。
【1259】
に罹患する:
疾患、障害、及び/または状態「罹患する」個体は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の徴候及び症状と診断されており、またはこれを示す。
【1260】
の影響を受けやすい:
疾患、障害、及び/または状態「の影響を受けやすい」個体は、症状、障害、及び/または状態の徴候及び症状と診断されておらず、及び/またはこれらを示すことができないが、疾患もしくはその徴候及び症状を発症する性質を有する。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態(例えば、CTLN2)の影響を受けやすい個体は、以下の:(1)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する遺伝的変異;(2)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する遺伝的多型;(3)疾患、障害、及び/または状態に関連するタンパク質及び/または核酸の発現及び/または活性の増加及び/または減少;(4)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する習慣及び/または生活様式;(5)疾患、障害、及び/または状態の家族歴;ならびに、(6)疾患、障害、及び/または状態の発症に関連する微生物への曝露及び/または感染;のうちの1つ以上により特性決定することができる。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態の影響を受けやすい個体は、疾患、障害、及び/または状態を発症するであろう。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態の影響を受けやすい個体は、疾患、障害、及び/または状態を発症しないであろう。
【1261】
持続放出:
本明細書で使用される場合、「持続放出」という用語は、特定の期間にわたる放出速度に適合する医薬組成物または化合物の放出プロファイルを指す。
【1262】
合成:
「合成」という用語は、人の手により作成、調製、及び/または製造されることを意味する。本発明のポリヌクレオチドまたは他の分子の合成は、化学的または酵素的であることができる。
【1263】
標的細胞:
本明細書で使用される場合、「標的細胞」は、目的の1つ以上の任意の細胞を指す。細胞は、in vitroで、in vivo、インシス、または生体の組織もしくは器官で見出すことができる。生体は、動物、例えば、哺乳動物、ヒト、対象、または患者とすることができる。
【1264】
標的組織:
本明細書で使用される場合、「標的組織」は、ポリヌクレオチドの送達が所望の生物学的及び/または薬理学的効果をもたらす、目的の1つ以上の任意の組織型を指す。目的の標的組織の例としては、特定の組織、器官、及びそれらの系または群が挙げられる。特定用途では、標的組織は、腎臓、肺、脾臓、または血管(例えば、冠動脈内または大腿内)内の血管内皮とすることができる。「標的外の組織」は、コードされたタンパク質の発現が所望の生物学的及び/または薬理学的効果をもたらさない任意の1つ以上の組織型を指す。
【1265】
標的外問題における治療薬の存在は、(i)拡散による、もしくは血流を通した、ポリヌクレオチドの投与部位から末梢組織もしくは離れた標的外の組織への漏れ(例えば、特定の組織内でポリペプチドを発現するように意図されるポリヌクレオチドは、標的外の組織に到達することになり、ポリペプチドは、標的外の組織内で発現されることになる);または(ii)拡散による、もしくは血流を通した、そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与後のポリペプチドの抹消組織もしくは離れた標的外の組織への漏れ(例えば、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを標的組織内で発現することになり、ポリペプチドは、末梢神経へ拡散することになる)の結果とすることができる。
【1266】
標的化配列:
本明細書で使用される場合、「標的配列」という語句は、タンパク質またはポリペプチドの輸送または局在化を導くことができる配列を指す。
【1267】
末端:
本明細書で使用される場合、「末端」(複数可)という用語は、ポリペプチドに言及する時、ペプチドまたはポリペプチドの末端を指す。そのような末端は、ペプチドまたはポリペプチドの最初または最終部位のみに限定されないが、末端領域にさらなるアミノ酸を含むことができる。本発明のポリペプチドをベースとする分子は、(遊離アミノ基(NH)を有するアミノ酸で末端処理した)N末端及び(遊離カルボキシル基(COOH)を有するアミノ酸で末端処理した)C末端の両方を有することを特徴とすることができる。本発明のタンパク質は、いくつかの場合では、ジスルフィド結合または非共有結合力により1つにされた複数のポリペプチド鎖(多量体、オリゴマー)で構成されている。これらのタイプのタンパク質は、複数のN末端及びC末端を有するであろう。あるいは、ポリペプチドの末端は、それらが、場合に応じて、有機コンジュゲートなどの非ポリペプチドをベースとする部分で、開始または終了するように修飾することができる。
【1268】
治療薬:
「治療薬」という用語は、対象に投与される時、治療的、診断的、及び/または予防的効果を有し、及び/または所望の生物学的及び/または薬理学的効果を誘発する薬剤を指す。例えば、いくつかの実施形態では、シトリンポリペプチドをコードするmRNAは、治療薬とすることができる。
【1269】
治療有効量:
本明細書で使用される場合、「治療的有効量」という用語は、感染、疾患、障害、及び/または状態に罹患している、またはこれらの影響を受けやすい対象に投与される時、感染、疾患、障害、及び/または状態の発症を、処置し、これらの徴候及び症状を好転させ、診断し、予防し、及び/または遅延させるのに十分である送達されるべき薬剤(例えば、核酸、薬物、治療薬、診断薬、予防薬など)の量を意味する。
【1270】
治療上有効な結果:
本明細書で使用される場合、「治療上有効な結果」という用語は、感染、疾患、障害、及び/または状態に罹患している、またはこれらの影響を受けやすい対象の感染、疾患、障害、及び/または状態の発症を処置し、これらの徴候及び症状を好転させ、診断し、予防し、及び/または遅延させるのに十分である結果を意味する。
【1271】
総1日用量:
本明細書で使用される場合、「総1日用量」は、24時間の期間に与えられるか、または処方される量である。総1日用量は、単回単位用量または分割用量として投与することができる。
【1272】
転写因子:
本明細書で使用される場合、「転写因子」という用語は、例えば、転写の活性化または抑制により、DNAのRNAへの転写を制御するDNA結合タンパク質を指す。いくつかの転写因子は、転写の制御のみに影響を及ぼすが、他のタンパク質と一緒に作用する。いくつかの転写因子は、特定の条件下で転写を活性化することも抑制することもできる。一般に、転写因子は、標的遺伝子の制御領域において特定の標的配列または特定のコンセンサス配列と高度に類似する配列に結合する。転写因子は、標的遺伝子の転写を単独で、または他の分子との複合体中で、調節することができる。
【1273】
転写:
本明細書で使用される場合、「転写」という用語は、DNA(例えば、DNA鋳型または配列)からmRNA(例えば、mRNA配列または鋳型)を産生する方法を指す。
【1274】
トランスフェクション:
本明細書中で使用される場合、「トランスフェクション」は、ポリヌクレオチド(例えば、外因性核酸)の細胞への導入を指し、ポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドが発現され(例えば、mRNA)、またはポリペプチドが細胞機能を調節する(例えば、siRNA、miRNA)。本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のポリペプチドもしくはタンパク質への翻訳、及び/または、ポリペプチドもしくはタンパク質の翻訳後修飾、を指す。トランスフェクションの方法は、化学的方法、物理的処理、及びカチオン性脂質または混合物を含むが、これらに限定されない。
【1275】
処置すること、処置、治療:
本明細書で使用される場合、「処置すること」または「処置」または「治療」という用語は、疾患、例えば、シトルリン血症(例えば、CTLN2)、の1つ以上の徴候及び症状または特徴を、部分的または完全に緩和すること、改善すること、好転させること、軽減すること、これらの発症を遅延すること、これらの進行を阻害すること、これらの重症度を低減すること、及び/またはこれらの発生率を低減すること、を指す。例えば、シトルリン血症(例えば、CTLN2)を「処置すること」は、疾患と関連する徴候または症状の減少、患者の寿命延長(生存率の増加)、疾患の重篤度の低減、疾患の発症の予防または遅延することなどを指すことができる。処置は、疾患、障害、及び/または状態に関連する病状を発症するリスクを減少させるために、疾患、障害、及び/または状態の徴候を示さない対象、及び/または、疾患、障害、及び/または状態の初期徴候のみを示す対象に投与することができる。
【1276】
非修飾:
本明細書で使用される場合、「未修飾」は、いくつかの方法で、変更される前の任意の物質、化合物、または分子を指す。非修飾は、野生型または天然形態の生体分子を指すことができるが、必ずしも指すとは限らない。分子は、一連の修飾を受けることができ、それにより、それぞれの修飾分子は、その後の修飾のための「非修飾」出発分子として機能することができる。
【1277】
ウラシル:
ウラシルは、RNAの核酸の4つの核酸塩基のうちの1つであり、それは、文字Uで表される。ウラシルは、β-N-グリコシド結合を介して、リボース環、または、より具体的には、リボフラノースと結合させて、ヌクレオシドウリジンを得ることができる。ヌクレオシドウリジンはまた、一般に、1文字コードの核酸塩基、すなわち、U、に省略される。従って、本開示の文脈では、ポリヌクレオチド配列中のモノマーがUである場合、そのようなUは、「ウラシル」または「ウリジン」として互換的に称される。
【1278】
ウリジン含量:
「ウリジン含量」または「ウラシル含量」という用語は、互換的であり、特定の核酸配列中に存在するウラシルまたはウリジンの量を指す。ウリジン含量またはウラシル含量は、絶対値(配列中のウリジンまたはウラシルの総数)または相対値(核酸配列中の核酸塩基の総数に対するウリジンまたはウラシル百分率)として表すことができる。
【1279】
ウリジン修飾配列:
「ウリジン修飾配列」という用語は、候補核酸配列のウリジン含量及び/またはウリジンパターンに対する、異なる全体的なまたは局所ウリジン含量(より高いまたはより低いウリジン含量)を有する、または、異なるウリジンパターン(例えば、勾配分布またはクラスタリング)を有する配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)を指す。本開示の文脈では、「ウリジン修飾配列」及び「ウラシル修飾配列」という用語は、同等であり、互換性があると考えられる。
【1280】
「高ウリジンコドン」は、2つまたは3つのウリジンを含むコドンとして定義され、「低ウリジンコドン」は、1つのウリジンを含むコドンとして定義され、「無ウリジンコドン」は、いずれのウリジンもないコドンである。いくつかの実施形態では、ウリジン修飾配列は、高ウリジンコドンの低ウリジンコドンとの置換、高ウリジンコドンの無ウリジンコドンとの置換、低ウリジンコドンの高ウリジンコドンとの置換、低ウリジンコドンの無ウリジンコドンとの置換、無ウリジンコドンの低ウリジンコドンとの置換、無ウリジンコドンの高ウリジンコドンとの置換、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、高ウリジンコドンは、別の高ウリジンコドンで置換することができる。いくつかの実施形態では、低ウリジンコドンは、別の低ウリジンコドンで置換することができる。いくつかの実施形態では、無ウリジンコドンは、別の無ウリジンコドンで置換することができる。ウリジン修飾配列は、ウリジン富化またはウリジン希薄化することができる。
【1281】
ウリジン富化:
本明細書で使用される場合、「ウリジン富化」という用語及び文法上のバリアントは、対応する候補核酸配列のウリジン含量に対する配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)中の(絶対値で表され、または百分率値として表される)ウリジン含量の増加を指す。ウリジン富化は、候補核酸配列中のコドンを、より少ないウリジン核酸塩基を含有する同義コドンで置換することにより実施することができる。ウリジン富化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対する)または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列もしくは領域に対する)であることができる。
【1282】
ウリジン希薄化:
本明細書で使用される場合、「ウリジン希薄化」という用語及び文法上のバリアントは、対応する候補核酸配列のウリジン含量に対する配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)中の(絶対値で表され、または百分率値として表される)ウリジン含量の減少を指す。ウリジン希薄化は、候補核酸配列中のコドンを、より少ないウリジン核酸塩基を含有する同義コドンで置換することにより実施することができる。ウリジン希薄化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対する)または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列もしくは領域に対する)であることができる。
【1283】
バリアント:
本開示で使用されるバリアントという用語は、天然バリアント(例えば、多型、アイソフォームなど)及び天然または出発配列(例えば、野生型配列)中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去されており、異なるアミノ酸が同じ場所のその位置に挿入されている人工バリアントの両方を指す。これらのバリアントは、「置換バリアント」として記載することができる。置換は、分子中の1つのアミノ酸のみが置換されている単一であることができ、または置換は、2つ以上のアミノ酸が同じ分子中で置換されている複数であることができる。アミノ酸が挿入または欠失させる場合、得られるバリアントは、それぞれ、「挿入バリアント」または「欠失バリアント」であろう。
30.実施形態
【1284】
このセクションを通して、実施形態という用語は、序数が続く「E」と略記される。例えば、E1は、実施形態1と同等である。
【1285】
E1.ポリヌクレオチドであって、シトリンポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、前記シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の前記理論的最小ウラシルまたはチミン含量に対する、前記ORFの前記ウラシルまたはチミン含量(%UTMまたは%TTM)が、約100%~約150%である、前記ポリヌクレオチド。
【1286】
E2.前記%UTMまたは%TTMが、約105%~約145%、約105%~約140%、約110%~約140%、約110%~約145%、約115%~約135%、約105%~約135%、約110%~約135%、約115%~約145%、約115%~約140%、約115%~約135%、約115%~約130%、または約117%~約126%である、E1に記載のポリヌクレオチド。
【1287】
E3.前記%UTMまたは%TTMが、(i)110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、または117%、及び(ii)126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、または140%の間である、E2に記載のポリヌクレオチド。
【1288】
E4.前記対応する野生型ORFの前記ウラシルまたはチミン含量に対する前記ORFの前記ウラシルまたはチミン含量(%UWTまたは%TWT)が、100%未満である、E1~E3のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1289】
E5.前記%UWTまたは%TWTが、約95%未満、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、69%未満、68%未満、67%未満、66%未満、または65%未満である、E4に記載のポリヌクレオチド。
【1290】
E6.前記%UWTまたは%TWTが、60%~65%である、E4に記載のポリヌクレオチド。
【1291】
E7.前記ORF中の前記総ヌクレオチド含量に対する前記ORF中の前記ウラシルまたはチミン含量(%UTLまたは%TTL)が、約50%未満、約40%未満、約30%未満、または約20%未満である、E1~E6のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1292】
E8.前記%UTLまたは%TTLが、約18%未満である、E7に記載のポリヌクレオチド。
【1293】
E9.前記%UTLまたは%TTLが、約15%~約18%である、E1~E8のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1294】
E10.前記シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の前記理論的最大グアニン含量に対する、前記ORFの前記グアニン含量(%GTMX)が、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である、E1~E9のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1295】
E11.前記%GTMXが、約68%~約80%、約70%~約80%、約70%~約79%、約70%~約78%、約70%~約77%、または約70%~約76%である、E10に記載のポリヌクレオチド。
【1296】
E12.前記シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の前記理論的最大シトシン含量に対する、前記ORFの前記シトシン含量(%CTMX)が、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である、E1~E11のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1297】
E13.前記%CTMXが、約60%~約80%、約65%~約80%、約65%~約75%、または約69%~約75%である、E12に記載のポリヌクレオチド。
【1298】
E14.前記シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列中の前記理論的最大G/C含量に対する前記ORFの前記グアニン及びシトシン含量(G/C)(%G/CTMX)が、少なくとも約81%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である、E1~E13のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1299】
E15.前記%G/CTMXが、約80%~約100%、約80%~約95%、約85%~約95%、約90%~約95%、約91%~約95%、または約91%~約94%である、E1~E13のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1300】
E16.前記対応する野生型ORF中の前記G/C含量に対する前記ORF中の前記G/C含量(%G/CWT)が、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも131%、少なくとも132%、少なくとも133%、または少なくとも134%である、E1~E15のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1301】
E17.前記ORF内の第3のコドン位置での前記平均G/C含量が、前記対応する野生型ORF内の第3のコドン位置での前記平均G/C含量よりも、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、または少なくとも49%高い、E1~E15のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1302】
E18.前記ORFが、少なくとも1つの低頻度コドンをさらに含む、E1~E17のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1303】
E19.(i)前記ORFが、CITRIN-CO6、CITRIN-CO12、CITRIN-CO23、CITRIN-CO11、もしくはCITRIN-CO25と、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、
(ii)前記ORFが、CITRIN-CO2、CITRIN-CO16、CITRIN-CO20、CITRIN-CO17、CITRIN-CO4、もしくはCITRIN-CO1と、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、
(iii)前記ORFが、CITRIN-CO9、CITRIN-CO18、CITRIN-CO5、CITRIN-CO10、CITRIN-CO13、もしくはCITRIN-CO7と、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、
(iv)前記ORFが、CITRIN-CO15、CITRIN-CO14、CITRIN-CO3、CITRIN-CO22、もしくはCITRIN-CO19と、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、または
(v)前記ORFが、CITRIN-CO24、CITRIN-CO8、もしくはCITRIN-CO21と、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一である、E1~E18のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1304】
E20.(i)前記ORFが、CITRIN-CO6、CITRIN-CO12、CITRIN-CO23、CITRIN-CO11、もしくはCITRIN-CO25と、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、
(ii)前記ORFが、CITRIN-CO2、CITRIN-CO16、CITRIN-CO20、CITRIN-CO17、CITRIN-CO4、もしくはCITRIN-CO1と、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、
(iii)前記ORFが、CITRIN-CO9、CITRIN-CO18、CITRIN-CO5、CITRIN-CO10、CITRIN-CO13、もしくはCITRIN-CO7と、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、
(iv)前記ORFが、CITRIN-CO15、CITRIN-CO14、CITRIN-CO3、CITRIN-CO22、もしくはCITRIN-CO19と、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一であり、または
(v)前記ORFが、CITRIN-CO24、CITRIN-CO8、もしくはCITRIN-CO21と、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一である、ORFを含むポリヌクレオチド。
【1305】
E21.前記ORFが、配列番号5~29と、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、E1~E20のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1306】
E22.前記シトリンポリペプチドが、(i)野生型シトリンのポリペプチド配列、アイソフォーム1(配列番号1)、または、(ii)野生型シトリンのポリペプチド配列、アイソフォーム2(配列番号3)と、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、、前記シトリンポリペプチドが、アスパルタートまたはグルタマート輸送活性を有する、E1~E21のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1307】
E23.前記シトリンポリペプチドが、アスパルタートまたはグルタマート輸送活性を有するバリアント、誘導体、または変異体である、E22に記載のポリヌクレオチド。
【1308】
E24.前記ポリヌクレオチド配列が、輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、E1~E23のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1309】
E25.前記ポリヌクレオチドが、一本鎖である、E1~E24のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1310】
E26.前記ポリヌクレオチドが、二本鎖である、E1~E24のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1311】
E27.前記ポリヌクレオチドが、DNAである、E1~E26のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1312】
E28.前記ポリヌクレオチドが、RNAである、E1~E26のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1313】
E29.前記ポリヌクレオチドが、mRNAである、E28の記載のポリヌクレオチド。
【1314】
E30.前記ポリヌクレオチドが、少なくとも1つの化学修飾核酸塩基、糖、バックボーン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、E1~E29のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1315】
E31.前記少なくとも1つの化学修飾核酸塩基が、シュードウラシル(Ψ)、N1-メチルシュードウラシル(m1Ψ)、2-チオウラシル(s2U)、4’-チオウラシル、5-メチルシトシン、5-メチルウラシル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、E30に記載のポリヌクレオチド。
【1316】
E32.前記少なくとも1つの化学修飾核酸塩基が、5-メトキシウラシルである、E30の記載のポリヌクレオチド。
【1317】
E33.前記ウラシルの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%が、5-メトキシウラシルである、E32に記載のポリヌクレオチド。
【1318】
E34.前記ポリヌクレオチドが、miRNA結合部位をさらに含む、E1~E33のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1319】
E35.前記miRNA結合部位が、表3から選択される1つ以上のヌクレオチド配列を含む、E34に記載のポリヌクレオチド。
【1320】
E36.前記miRNA結合部位が、miR-142に結合する、E34に記載のポリヌクレオチド。
【1321】
E37.前記miRNA結合部位が、miR-142-3pまたはmiR-142-5pに結合する、E35またはE36に記載のポリヌクレオチド。
【1322】
E38.前記miR142が、配列番号73を含む、E36またはE37に記載のポリヌクレオチド。
【1323】
E39.前記ポリヌクレオチドが、5’UTRをさらに含む、E1~E38のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1324】
E40.前記5’UTRが、配列番号30~47に記載されている配列と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一である核酸配列を含む、E39に記載のポリヌクレオチド。
【1325】
E41.前記ポリヌクレオチドが、3’UTRをさらに含む、E1~E40のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1326】
E42.前記3’UTRが、配列番号48~72に記載されている配列と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一である核酸配列を含む、E41に記載のポリヌクレオチド。
【1327】
E43.前記miRNA結合部位が、前記3’UTR内に位置する、E41またはE42に記載のポリヌクレオチド。
【1328】
E44.前記ポリヌクレオチドが、5’末端キャップをさらに含む、E1~E43のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1329】
E45.前記5’末端キャップが、Cap0、Cap1、ARCA、イノシン、N1-メチルグアノシン、2’-フルオログアノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソグアノシン、2-アミノグアノシン、LNA-グアノシン、2-アジドグアノシン、Cap2、Cap4、5’メチルGキャップ、またはそれらのアナログを含む、E44に記載のポリヌクレオチド。
【1330】
E46.前記ポリヌクレオチドが、ポリA領域をさらに含む、E1~E45のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1331】
E47.前記ポリA領域が、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、または少なくとも約90ヌクレオチド長である、E46に記載のポリヌクレオチド。
【1332】
E48.前記ポリA領域が、約10~約200、約20~約180、約50~約160、約70~約140、または約80~約120ヌクレオチド長を有する、E47に記載のポリヌクレオチド。
【1333】
E49.前記ポリヌクレオチドが、1つ以上の異種ポリペプチドに融合されるシトリンポリペプチドをコードする、E1~E48のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1334】
E50.前記1つ以上の異種ポリペプチドが、前記シトリンポリペプチドの薬物動態学的特性を増加させる、E49に記載のポリヌクレオチド。
【1335】
E51.対象への投与時に、前記ポリヌクレオチドが、配列番号2または4を含む対応するポリヌクレオチドと比較して、
(i)より長い血漿半減期、
(ii)前記ORFによりコードされたシトリンポリペプチドの増加した発現、
(iii)より低い頻度の発現断片を生じる翻訳の抑制;
(iv)より大きな構造安定性、または
(v)それらの任意の組み合わせ、
を有する、E1~E50のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1336】
E52.前記ポリヌクレオチドが、
(i)5’末端キャップ、
(ii)5’UTR、
(iii)シトリンポリペプチドをコードするORF、
(iv)3’UTR、及び
(v)ポリA領域、
を含む、E1~E51のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【1337】
E53.前記3’UTRが、miRNA結合部位を含む、E52に記載のポリヌクレオチド。
【1338】
E54.前記方法が、少なくとも1つのウラシル核酸塩基を、アデニン、グアニン、もしくはシトシン核酸塩基で置換することにより、または、少なくとも1つのアデニン、グアニン、もしくはシトシン核酸塩基を、ウラシル核酸塩基で置換することにより、シトリンポリペプチドをコードするORFを修飾することを含み、前記置換全てが、同義置換である、E1~E53に記載のポリヌクレオチドを製造する方法。
【1339】
E55.前記方法が、ウラシルの少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%を、5-メトキシラシルで置換することをさらに含む、E54に記載の方法。
【1340】
E56. (a)E1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、及び
(b)送達剤、
を含む組成物。
【1341】
E57.前記送達剤が、脂質様物質、リポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、ポリマー化合物、ペプチド、タンパク質、細胞、ナノ粒子模倣物、ナノチューブ、またはコンジュゲートを含む、E56に記載の組成物。
【1342】
E58.前記送達剤が、脂質ナノ粒子を含む、E56に記載の組成物。
【1343】
E59.前記脂質ナノ粒子が、DLin-DMA、DLin-K-DMA、98N12-5、C12-200、DLin-MC3-DMA、DLin-KC2-DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG-DMG、PEG化脂質、アミノアルコール脂質、KL22、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される脂質を含む、E58に記載の組成物。
【1344】
E60.前記送達剤が、式(I)を有する化合物
【化164】
またはその塩もしくは立体異性体(式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキル(式中、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択される)からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され;
但し、Rが-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、または-CQ(R)である場合、(i)nが、1、2、3、4、もしくは5である時、Qは、-N(R)ではなく、または(ii)nが、1もしくは2である時、Qは、5員、6員、もしくは7員ヘテロシクロアルキルである)を含む、E56~E59のいずれか1つに記載の組成物。
【1345】
E61.組成物であって、シトリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及び送達剤を含み、前記送達剤が、式(I)を有する化合物
【化165】
またはその塩もしくは立体異性体(式中、
は、C5-20アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択され、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキル(式中、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは独立に、1、2、3、4、及び5から選択される)からなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは独立に、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は独立に、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は独立に、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群から選択され、
C3~14アルケニル、
各Rは独立に、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは独立に、C3-6炭素環であり、
各Xは独立に、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され;
但し、Rが-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、または-CQ(R)である場合、(i)nが、1、2、3、4、もしくは5である時、Qは、-N(R)ではなく、または(ii)nが、1もしくは2である時、Qは、5員、6員、もしくは7員ヘテロシクロアルキルである)を含む、前記組成物。
【1346】
E62.前記化合物が、式(IA)の化合物:
【化166】
またはその塩もしくは立体異性体(式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
mは、5、6、7、8、及び9から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキル、または-(CHQ(式中、nは、1、2、3、4、もしくは5であり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、もしくは-NHC(O)N(R)である)であり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される)である、E60またはE61に記載の組成物。
【1347】
E63.mが、5、7、または9である、E60~E62のいずれか1つに記載の組成物。
【1348】
E64.前記化合物が、式(II)の化合物:
【化167】
またはその塩もしくは立体異性体(式中、
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
は、結合またはM’であり、
は、非置換C1-3アルキル、または-(CHQ(式中、nは、2、3、もしくは4であり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、もしくは-NHC(O)N(R)である)であり、
M及びM’は独立に、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
及びRは独立に、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される)である、
E60~E63のいずれか1つに記載の組成物。
【1349】
E65.M1が、M’である、E62~E64のいずれか1つに記載の組成物。
【1350】
E66.M及びM’が独立に、-C(O)O-または-OC(O)-である、E65に記載の組成物。
【1351】
E67.lが、1、3、または5である、E62~E66のいずれか1つに記載の組成物。
【1352】
E68.前記化合物が、化合物1~化合物147、それらの塩及び立体異性体、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、E60またはE61に記載の組成物。
【1353】
E69.前記化合物が、式(IIa)の化合物
【化168】
またはその塩もしくは立体異性体である、E60またはE61に記載の組成物。
【1354】
E70.前記化合物が、式(IIb)の化合物
【化169】
またはその塩もしくは立体異性体である、E60またはE61に記載の組成物。
【1355】
E71.前記化合物が、式(IIc)または(IIe)の化合物
【化170】
またはそれらの塩もしくは立体異性体である、E60またはE61に記載の組成物。
【1356】
E72.Rが、-(CHQ及び-(CHCHQRから選択される、E69~E71のいずれか1つに記載の組成物。
【1357】
E73.前記化合物が、式(IId)の化合物
【化171】
またはその塩もしくは立体異性体
(式中、R及びRは独立に、C5-14アルキル及びC5-14アルケニルからなる群から選択され、nは、2、3、及び4から選択され、R’、R”、R、R、及びmは、E60またはE61に規定される通りである)である、E60またはE61に記載の組成物。
【1358】
E74.Rが、Cアルキルである、E73に記載の組成物。
【1359】
E75.Rが、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、またはCアルキルである、E74に記載の組成物。
【1360】
E76.mが、5、7、または9である、E73~E75のいずれか1つに記載の組成物。
【1361】
E77.各Rが、Hである、E73~E76のいずれか1つに記載の組成物。
【1362】
E78.各Rが、Hである、E77に記載の組成物。
【1363】
E79.ナノ粒子組成物である、E60~E78のいずれか1つに記載の組成物。
【1364】
E80.前記送達剤が、リン脂質をさらに含む、E79に記載の組成物。
【1365】
E81.前記リン脂質が、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0のジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16:0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、E80に記載の組成物。
【1366】
E82.前記送達剤が、構造脂質をさらに含む、E60~E81のいずれか1つに記載の組成物。
【1367】
E83.前記構造脂質が、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、ラシカステロール、トマチジン、ブウルソル酸、α-トコフェロール、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、E82に記載の組成物。
【1368】
E84.前記送達剤が、構造脂質をさらに含む、E60~E83のいずれか1つに記載の組成物。
【1369】
E85.前記PEG脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、E84に記載の組成物。
【1370】
E86.前記送達剤が、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノメチル)ブタノアート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、及び(2S)-2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))からなる群から選択されるイオン性脂質をさらに含む、E60~E85のいずれか1つに記載の組成物。
【1371】
E87.前記送達剤が、リン脂質、構造脂質、PEG脂質、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む、E60~E86のいずれか1つに記載の組成物。
【1372】
E88.前記組成物が、in vivo送達のために製剤化される、E60~E87のいずれか1つに記載の組成物。
【1373】
E89.筋肉内、皮下、または皮内送出しのために製剤化される、E60~E88のいずれか1つに記載の組成物。
【1374】
E90.E1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【1375】
E91.前記宿主細胞が、真核細胞である、E90に記載の宿主細胞。
【1376】
E92.E1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【1377】
E93.E1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを酵素的または化学的に合成することを含む、ポリヌクレオチドを作製する方法。
【1378】
E94.E1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド、E56~E89のいずれか1つに記載の組成物、E90もしくはE91に記載の宿主細胞、またはE92に記載の、もしくはE93に記載の方法により製造されたベクター。
【1379】
E95.活性シトリンポリペプチドを、それを必要とする対象においてin vivo発現させる方法であって、治療的有効量のE1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、E56~E89のいずれか1つに記載の組成物、E90もしくはE91に記載の宿主細胞、またはE92に記載のベクターを、前記対象に投与することを含む、前記方法。
【1380】
E96.それを必要とする対象のII型シトルリン血症(CTLN2)を処置する方法であって、治療的有効量のE1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。E56~E89のいずれか1つに記載の組成物、E90もしくはE91に記載の宿主細胞、またはE92に記載のベクターを、前記対象に投与することを含み、前記投与が、前記対象のCTLN2の前記徴候または症状を緩和する、前記方法。
【1381】
E97.それを必要とする対象のCTLN2の徴候または症状の発症を予防するか、または遅延させる方法であって、CTLN2の徴候または症状が現れる前に、予防的有効量のE1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、E56~E89のいずれか1つに記載の組成物、E90もしくはE91に記載の宿主細胞、またはE92に記載のベクターを、前記対象に投与することを含み、前記投与が、前記対象におけるCTLN2の徴候または症状の前記発症を予防するか、または遅延させる、前記方法。
【1382】
E98.それを必要とする対象のCTLN2の徴候または症状を改善する方法であって、CTLN2の徴候または症状が現れる前に、治療的有効量のE1~E53のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、E56~E89のいずれか1つに記載の組成物、E90もしくはE91に記載の宿主細胞、またはE92に記載のベクターを、前記対象に投与することを含み、前記投与が、前記対象のCTLN2の徴候または症状を改善する、前記方法。
31.均等物及び範囲
【1383】
当業者らは、通常の実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明による特定の実施形態との多くの均等物を認識することになり、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記明細書に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されている。
【1384】
特許請求の範囲では、「a」、「an」、及び「the」などの冠詞は、反対の指示がない限り、または別途文脈から明らかでない限り、1つ以上を意味することができる。グループメンバーのうちの1つ、複数、または全てが、反対の指示がない限り、または文脈から別途明白でない限り、所与の産物またはプロセスに存在するか、これらに用いられ、または別の方法でこれらに関連する場合、「または」をグループの1つ以上のメンバー間に含む特許請求の範囲または明細書は、条件を満たすと考えられる。本発明は、グループのちょうど1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、これらに用いられるか、または別の方法でこれらに関連する実施形態を含む。本発明は、グループメンバーの複数または全てが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、これらに用いられるか、または別の方法でこれらに関連する実施形態を含む。
【1385】
「含む(comprising)」という用語は、オープンであるものとし、開かれていることを意図しており、追加の要素またはステップを含むことを許容するが、必要としないことにも注意する。「含む(comprising)」という用語が本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」という用語もまた、このように包含及び開示される。
【1386】
範囲が与えられる場合は、端点が含まれる。さらに、別途指示のない限り、または、文脈及び当業者の理解から別途明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈に別途明示のない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態の記載された範囲内の任意の特定の値または部分範囲とみなすことができることを理解すべきである。
【1387】
加えて、先行技術の範囲に入る本発明の任意の特定の実施形態は、請求項のうちのいずれか1つ以上から明白に除外することができることを理解すべきである。そのような実施形態は、当業者に既知とみなされるので、除外が本明細書では明記されてないとしても、除外することができる。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、それによりコードされた任意の核酸またはタンパク質;任意の製造方法;任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関連するかどうかに関わらず、任意の理由で、任意の1つ以上の請求項から除外することができる。
【1388】
引用された出典、例えば、本明細書で引用された参考文献、刊行物、データベース、データベースエントリ、及び技術、は全て、引用に明記されていなくても、参照により本出願に組み込まれる。引用された出典及び本出願の記載と矛盾する場合、本出願中の記載が支配すべきである。
【1389】
セクション及び表の見出しは、限定されるものではない。
【実施例
【1390】
実施例1
キメラポリヌクレオチド合成
A.三リン酸経路
キメラポリヌクレオチドの2つの領域または部分は、三リン酸化学を使用して、連結またはライゲーションすることができる。この方法によれば、100ヌクレオチド以下の第1の領域または部分は、5’モノリン酸塩及び端末3’desOHまたはブロックされたOHで化学的に合成することができる。領域は、80ヌクレオチドより長い場合、ライゲーション用の2つの鎖として合成することができる。
【1391】
第1の領域または部分が、in vitro転写(IVT)を使用して非位置的に修飾されている領域または部分として合成される場合、その後の3’末端のキャッピングを伴う5’モノリン酸塩の変換が続く可能性がある。モノリン酸塩保護基は、当該技術分野で既知のもののいずれかから選択することができる。
【1392】
キメラポリヌクレオチドの第2の領域または部分は、化学合成法またはIVT法のいずれかを使用して合成することができる。IVT法は、修飾キャップを有するプライマーを利用することができるRNAポリメラーゼを含むことができる。あるいは、多くとも80ヌクレオチドのキャップは、化学的に合成し、IVT領域または部分に結合することができる。
【1393】
ライゲーション法の場合、DNA T4リガーゼとのライゲーション、続いて、DNaseによる処理は、連結を容易に回避することに注意する。
【1394】
キメラポリヌクレオチド全体は、リン酸塩-糖骨格で製造する必要はない。領域または部分のうちの1つがポリペプチドをコードする場合、そのような領域または部分は、リン酸塩-糖骨格を含むことができる。
【1395】
次に、ライゲーションは、任意の既知のクリック化学、オルソクリニック化学、ソルリンク、または当業者らに既知の他のバイオコンジュゲート化学を使用して実施することができる。
【1396】
B.合成経路
キメラポリヌクレオチドは、一連の開始セグメントを使用して作成することができる。そのようなセグメントは、
(a)正常な3’OHを含むキャップ化、保護5’セグメント(SEG.1)、
(b)ポリペプチドのコード領域を含むことができ、且つ正常な3’OHを含む5’三リン酸セグメント(SEG.2)、
(c)コルジセピンを含むかまたは3’OHを含まないキメラポリヌクレオチドの3’末端(例えば、尾部)に対する5’モノリン酸塩セグメント(SEG.3)、
を含む。
【1397】
(化学的またはIVT)合成後、セグメント3(SEG.3)は、5’モノホスフェートを生成させるために、コルジセピン、次に、ピロホスファターゼで処理することができる。
【1398】
次に、セグメント2(SEG.2)は、RNAリガーゼを使用して、SEG.3にライゲーションすることができる。次に、ライゲーションしたポリヌクレオチドは、二リン酸塩を切断するために、精製して、ピロホスファターゼで処理することができる。次に、処理されたSEG.2-SEG.3構築物を精製し、SEG.1を5’末端にライゲーションする。キメラポリヌクレオチドのさらなる精製ステップは、実施することができる。
【1399】
キメラポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、ライゲーションまたは連結されたセグメントは、5’UTR(SEG.1)、オープンリーディングフレームまたはORF(SEG.2)及び3’UTR+ポリA(SEG.3)として表すことができる。
【1400】
各ステップの収率は、90~95%ほどである可能性がある。
【1401】
実施例2
cDNA産生のためのPCR
cDNAの調製のためのPCR手順は、Kapa Biosystems(マサチューセッツ州ウォーバーン)の2x KAPA HIFI(商標)HotStart ReadyMixを使用して実施することができる。このシステムは、2x KAPA ReadyMix 12.5μl;フォワードプライマー(10μM)0.75μl;リバースプライマー(10μM)0.75μl;鋳型cDNA-100ng;及び25.0μlに希釈されたdH0を含む。PCR反応条件は、95℃で5分間、及び98℃で20秒間の25サイクル、次に、58℃15秒間、次に、72℃45秒間、次に、72℃5分間、次に、4℃で終了することができる。
【1402】
本発明のリバースプライマーは、ポリ-T120を、mRNA中のポリA120に組み込むことができる。より長いまたはより短いポリ(T)トラクトを有する他のリバースプライマーは、ポリヌクレオチドmRNA中のポリ(A)尾部の長さを調整するために使用することができる。
【1403】
反応は、InvitrogenのPURELINK(商標)PCR Micro Kit(カリフォルニア州カールスバッド)を使用して、製造者の指示(多くとも5μg)で、クリーンアップすることができる。より大きな反応は、より大きな容量を有する産物を使用したクリーンアップを必要とするであろう。クリーンアップ後、NANODROP(商標)を使用して、cDNAを定量することができ、cDNAが予想されたサイズであることを確認するために、アガロースゲル電気泳動により分析した。次に、cDNAは、in vitro転写反応に進む前に、配列決定分析のために提出することができる。
【1404】
実施例3
in vitro転写(IVT)
in vitro転写反応は、均一に修飾されているポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを生成することができる。そのような均一に修飾されているポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドの領域または部分を含むことができる。入力ヌクレオチド三リン酸(NTP)混合物は、天然及び非天然NTPを使用して作製することができる。
【1405】
典型的なin vitro転写反応は、以下の:
1 鋳型cDNA-1.0μg
2 10×転写緩衝液(400mMのトリス-HCl 8.0、190mMのMgCl、50mMのDTT、10mMのスペルミジン)-2.0μL
3 注文のNTP(各25mM)-7.2μL
4 RNase Inhibitor-20U
5 T7 RNAポリメラーゼ-3000U
6 dH0-多くとも20.0μl、及び
7 37℃で3時間~5時間のインキュベーション、
を含むことができる。
【1406】
粗IVT混合物は、翌日、クリーンアップのために、4℃で一晩保存することができる。次に、1UのRNase不含DNaseは、元の鋳型を消化するために使用することができる。37℃で15分間インキュベートした後、mRNAは、製造業者の指示に従って、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(テキサス州オースティン)を使用して精製することができる。このキットは、多くとも500μgのRNAを精製することができる。クリーンアップ後、RNAが好適なサイズであり、RNAの分解が起こっていないことを確認するために、RNAは、NanoDropを使用して定量し、アガロースゲル電気泳動により分析することができる。
【1407】
実施例4
酵素的キャッピング
ポリヌクレオチドのキャッピングは、IVT RNA 60μg~180μg及びdH0多くとも72μlを含む混合物を用いて実施することができる。混合物は、RNAを変性させるために、65℃で5分間インキュベートすることができ、次に、直ちに氷に移すことができる。
【1408】
次に、プロトコールは、10×キャッピング緩衝液(0.5MのTris-HCl(pH8.0)、60mMのKCl、12.5mMのMgCl)(10.0μl);20mMのGTP(5.0μl);20mMのS-アデノシルメチオニン(2.5μl);RNase阻害剤(100U);2’-O-メチルトランスフェラーゼ(400U);ワクシニアキャッピング酵素(グアニリルトランスフェラーゼ)(40U);dH0(多くとも28μl)の混合;及び60μgのRNAに対する37℃で30分または180μgのRNAに対する多くとも2時間のインキュベーション、を含むことができる。
【1409】
次に、ポリヌクレオチドは、製造者の指示に従って、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(テキサス州オースティン)を使用して精製することができる。クリーンアップ後、RNAが好適なサイズであり、RNAの分解が起こっていないことを確認するために、RNAは、NANODROP(商標)(ThermoFisher、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して定量し、アガロースゲル電気泳動により分析することができる。RNA産物は、配列決定のためのcDNAを生成するために、逆転写PCRを実行することにより、配列決定することもできる。
【1410】
実施例5
ポリA鎖付加反応
cDNA中にポリ-Tがなければ、ポリA鎖付加反応は、最終産物を洗浄する前に実施しなければならない。これは、キャップ化IVT RNA(100μl);RNase阻害薬(20U);10×テーリング緩衝液(0.5MのTris-HCl(pH8.0)、2.5MのNaCl、100mMのMgCl)(12.0μl);20mMのATP(6.0μl);ポリAポリメラーゼ(20U);多くとも123.5μLのdH0を混合すること、及び37℃で30分間インキュベーションすることにより行うことができる。ポリA鎖が転写物に既に存在する場合、鎖付加反応は、スキップし、AmbionのMEGACLEAR(商標)キット(テキサス州オースティン)(多くとも500μg)を用いるクリーンアップに直接進むことができる。いくつかの場合では、ポリAポリメラーゼは、酵母で発現される組換え酵素である。
【1411】
ポリA鎖付加反応の進行性または完全性は、必ずしも正確なサイズのポリA鎖をもたらさないことを理解すべきである。従って、約40~200ヌクレオチド、例えば、約40、50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、150-165、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、または165のポリAテールは、本発明の範囲内である。
【1412】
実施例6
天然5’キャップ及び5’キャップアナログ
ポリヌクレオチドの5’キャッピングは、製造者プロトコールに従って、5’-グアノシンキャップ構造を生成するために、以下の化学的RNAキャップアナログを使用して、in vitro転写反応中に付随して完了させることができる:3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G[ARCAキャップ];G(5’)ppp(5’)A;G(5’)ppp(5’)G;m7G(5’)ppp(5’)A;m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)。修飾RNAの5’-キャッピングは、「Cap0」構造:m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)を生成するために、ワクシニアウイルスキャッピング酵素を使用して転写後に完了させることができる。Cap1構造は、m7G(5’)ppp(5’)G-2’-O-メチルを生成するために、ワクシニアウイルスキャッピング酵素及び2’-Oメチルトランスフェラーゼの両方を使用して生成することができる。Cap2構造は、Cap1構造から生成し、続いて、2’-Oメチルトランスフェラーゼを使用して、5’末端から3番目のヌクレオチドの2’-O-メチル化を行うことができる。Cap3構造は、Cap2構造から生成し、続いて、2’-Oメチルトランスフェラーゼを使用して、5’末端から4番目のヌクレオチドの2’-O-メチル化を行うことができる。酵素は、組換え供給源に由来する可能性がある。
【1413】
哺乳動物細胞に形質移入される場合、修飾mRNAは、12~18時間または18時間を超える、例えば、24、36、48、60、72、または72時間を超える安定性を有することができる。
【1414】
実施例7
キャッピングアッセイ
A.タンパク質発現アッセイ
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、等しい濃度で細胞に形質移入することができる。トランスフェクションの6、12、24、及び36時間後、培地に分泌されたタンパク質の量は、ELISAによりアッセイすることができる。より高レベルのタンパク質を培地に分泌する合成ポリヌクレオチドは、より高い翻訳能力を有するCap構造を有する合成ポリヌクレオチドに対応するであろう。
【1415】
B.純度分析合成
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、変性アガロース-尿素ゲル電気泳動またはHPLC分析を使用して、純度について比較することができる。電気泳動による単一の固化したバンドを有するポリヌクレオチドは、複数のバンドまたはストリーキングバンドを有するポリヌクレオチドと比較して、より高純度の産物に対応する。単一のHPLCピークを有する合成ポリヌクレオチドは、より高純度の産物にも対応するであろう。より高い効率でのキャッピング反応は、より多くの純粋なポリヌクレオチド集団を提供するであろう。
【1416】
C.サイトカイン分析
本明細書で教示されるキャップのいずれかを含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、複数の濃度で細胞に形質移入することができる。トランスフェクションの6、12、24、及び36時間後に、培地に分泌されたTNF-α及びIFN-βなどの前炎症性サイトカインの量は、ELISAによりアッセイすることができる。高レベルの前炎症性サイトカインの培地への分泌をもたらすポリヌクレオチドは、免疫活性化キャップ構造を含有するポリヌクレオチドに対応するであろう。
【1417】
D.キャッピング反応効率
本明細書で教示するキャップのいずれかを含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ処理後のLC-MSによるキャッピング反応効率について分析することができる。キャップ化ポリヌクレオチドのヌクレアーゼ処理は、遊離ヌクレオチド及びLC-MSにより検出可能なキャップ化5’-5トリホスフェートキャップ構造体の混合物を生じるであろう。LC-MSスペクトルによるキャップ化産物の量は、反応由来の総ポリヌクレオチドのパーセントとして表すことができ、キャッピング反応効率に対応するであろう。より高いキャッピング反応効率を有するキャップ構造は、LC-MSにより、より多くの量のキャップ化産物を有するであろう。
【1418】
実施例8
修飾RNAまたはRT PCR産物のアガロースゲル電気泳動
個々のポリヌクレオチド(20μl体積中の200~400ng)または逆転写PCR産物(200~400ng)は、ウェル中の非変性1.2%のアガロースE-Gel(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)上にロードし、製造業者のプロトコールに従って、12~15分間実行することができる。
【1419】
実施例9
ナノドロップ修飾RNA定量及びUVスペクトルデータ
TE緩衝液(1μl)中の修飾ポリヌクレオチドは、化学合成またはin vitro転写反応からの各ポリヌクレオチドの収率を定量するために、Nanodrop UV吸光度に使用することができる。
【1420】
実施例10
リピドイドを使用した改変mRNAの製剤化
ポリヌクレオチドは、細胞に添加する前に、ポリヌクレオチドを、規定の比のリピドイドと混合することにより、in vitro実験のために製剤化することができる。in vivo製剤は、身体全体の循環を促進するために余分な成分の添加を必要とすることができる。これらのリピドイドがin vivo研究に適する粒子を形成する能力を試験するために、siRNA-リドイド製剤に使用される標準的な製剤化プロセスは、出発点として使用することができる。粒子の形成後に、ポリヌクレオチドは、添加し、複合体を一体化させることができる。封入効率は、標準的な色素排除アッセイを使用して決定することができる。
【1421】
実施例11
タンパク質発現のスクリーニング法
A.エレクトロスプレーイオン化
対象に投与されるポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を含有することができる生物学的試料は、1、2、3、または4つの質量分析器を使用するエレクトロスプレーイオン化(ESI)の製造業者のプロトコールに従って、調製及び分析することができる。生物学的試料は、タンデムESI質量分析システムを使用して分析することもできる。
【1422】
タンパク質断片またはタンパク質全体のパターンは、所与のタンパク質に対する既知の対照と比較することができ、同一性は、比較により決定することができる。
【1423】
B.マトリックス支援レーザー脱離/イオン化
対象に投与される1つ以上のポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を含有することができる生物学的試料は、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)の製造業者のプロトコールに従って、調製及び分析することができる。
【1424】
タンパク質断片またはタンパク質全体のパターンは、所与のタンパク質に対する既知の対照と比較することができ、同一性は、比較により決定することができる。
【1425】
C.液体クロマトグラフィー-質量分析-質量分析
1つ以上のポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を含有することができる生物学的試料は、内部に含有されるタンパク質を消化するために、トリプシン酵素で処理することができる。得られるペプチドは、液体クロマトグラフィー-質量分析-質量分析(LC/MS/MS)により分析することができる。ペプチドは、コンピュータアルゴリズムを介してタンパク質配列データベースに適合させることができる診断パターンを得るために、質量分析計内で、断片化することができる。消化された試料は、所定のタンパク質に対し1ng以下の出発材料を得るために希釈することができる。単純な緩衝液バックグラウンド(例えば、水または揮発性塩)を含有する生物学的試料は、直接溶液中消化に適しており、より複雑なバックグラウンド(例えば、界面活性剤、不揮発性塩、グリセロール)は、試料分析を容易にするために追加のクリーンアップステップを必要とする。
【1426】
タンパク質断片またはタンパク質全体のパターンは、所与のタンパク質に対する既知の対照と比較することができ、同一性は、比較により決定することができる。
【1427】
実施例12
シトリンをコードするmRNAの合成
シトリンポリペプチド、すなわち、配列番号1または3、をコードする配列最適化ポリヌクレオチドを、実施例1~11に記載されるように合成及び特性決定した。両方のヒトシトリンアイソフォームをコードするmRNAを、以下に記載の実施例13~19のために調製し、実施例1~11に記載されるように合成及び特性決定した。
【1428】
ヒトシトリンをコードするmRNAは、例えば、配列番号2または4で提示されるORF配列を使用することにより構築することができる。mRNA配列は、5’UTR領域及び3’UTR領域の両方を含む(例えば、それぞれ、配列番号79及び80を参照のこと)。構築物では、5’UTR及び3’UTR配列は、
【表19】
である。
【1429】
シトリンmRNA配列を、修飾mRNAとして調製する。具体的には、in vitro翻訳中に、修飾mRNAは、mRNAがウリジンの代わりに100%の5-メトキシ-ウリジンを含有することを確認するために、5-メトキシ-UTPを使用して生成する。さらに、ポリA鎖を導入するプライマーを用いて、シトリン-mRNAを合成し、Cap1構造を、ワクシニアウイルスキャッピング酵素及び2’-Oメチルトランスフェラーゼを使用したmRNAの両方で生成して、m7G(5’)ppp(5’)G-2’-O-メチルを生成する。
【1430】
実施例13
in vitroでの内因性シトリン発現の検出
マウス及びヒト供給源の両方に由来する様々な細胞株中で、シトリン発現を特性決定する。標準的な条件で培養し、細胞抽出物を緩衝液中に細胞を置くことにより、細胞を得る。比較のために好適な対照もまた調製される。シトリン発現を分析するために、溶解物試料を、試験した細胞から調製し、ドデシル硫酸リチウム試料ローディングバッファーと混合し、標準的なウェスタンブロット分析にかける。シトリンの検出のために、使用される抗体は、市販の抗シトリン抗体である。負荷対照の検出のために、使用される抗体は、抗クエン酸合成酵素(ウサギポリクローナル;PA5-22126;Thermo-Fisher Scientific(登録商標))である。内因性シトリンの局在化を検査するために、免疫蛍光分析を細胞に実施する。市販の抗シトリンを使用して、シトリン発現を検出する。特定の細胞小器官の位置は、既存の市販製品で検出することができる。例えば、ミトコンドリアは、MitoTrackerを使用して検出することができ、核は、DAPIで染色することができる。画像解析を、Zeiss ELYRAイメージングシステムで実施する。
【1431】
内因性シトリン発現は、シトリンをコードする核酸を含むmRNAを用いるトランスフェクションから生じるシトリン発現の変化を決定するために、ベースラインとして使用することができる。
【1432】
実施例14
HeLa細胞におけるシトリンのin vitro発現
HeLa細胞におけるヒトシトリンのin vitro発現を測定するために、トランスフェクションの1日前に、これらの細胞を12ウェルプレート(BD Biosciences、米国サンノゼ)に播種する。ウェル当たり60μLのOPTI-MEM中、800ngのmRNA及び2μLのLipofectamin 2000を使用して、ヒトシトリンまたはGFP対照を含むmRNA製剤を形質移入し、インキュベートする。
【1433】
24時間後、一定量の溶解バッファーを使用して、各ウェル中の細胞を溶解させる。好適な対照を使用する。製造者の指示に従ってBCAアッセイを使用して、それぞれのタンパク質濃度を決定する。シトリンの発現を分析するために、等しい量(24μg)の各溶解物を、ローディングバッファー中で調製し、標準的なウェスタンブロット分析にかける。シトリンの検出のために、市販の抗シトリン抗体が、製造者の使用説明書に従って使用される。
【1434】
実施例15
HeLa細胞におけるin vitroシトリン活性
シトリン配列を含むmRNAの導入後に外因的に発現されたシトリンが活性であるかどうかを決定するために、in vitroシトリン活性アッセイを実施する。
【1435】
A.発現アッセイ
HeLa細胞を、ヒトシトリンまたはGFP対照を含むmRNA製剤で形質移入する。細胞を、Lipofectamin 2000で形質移入し、上記の実施例14に記載されるように溶解させる。適切な対照もまた調製する。
【1436】
B.活性アッセイ
外因性シトリンが機能することができるかどうかを評価するために、トランスフェクションされたHeLa細胞溶解物を酵素活性の供給源として使用して、in vitro活性アッセイを実施する。まず、溶解物は、混合されたシトリン基質である。反応を、100g/LのTCAを添加すること及びボルテックスすることにより停止させる。次に反応管を13,000gで1分間遠心分離し、上清を、HPLCに基づく分離及び定量を使用して、シトリンの活性から生じる標識酵素産物の存在について分析する。具体的には、OpenLAB Chromatography Data Systemにより制御される4次ポンプ、マルチサンプラー、サーモスタットカラムコンパートメント、Poroshell EC-C18 120 HPLCカラム、及び放射分析検出器を備えたHPLCシステムを使用して、各活性反応上清20μLを分析し、全てを、製造者の推奨に従って使用する。
【1437】
実施例16
細胞におけるシトリンのin vitro発現の測定
正常な対象及びシトルリン血症患者由来の細胞を、外因性シトリンを発現する能力について試験する。標準的なプロトコールを使用する電気穿孔法を介して、ヒトシトリン、マウスシトリン、またはGFP対照を含むmRNA製剤で、細胞を形質移入する。各構築物を、別々に試験する。インキュベーション後、細胞を溶解させ、好適なアッセイ、例えば、BCAアッセイを使用して、各溶解物中のタンパク質濃度を測定する。シトリンの発現を分析するために、等しい量の各溶解物を、ローディングバッファー中で調製し、標準的なウェスタンブロット分析にかける。シトリンの検出のために、抗シトリンを使用する。負荷対照の検出のために、使用される抗体は、抗クエン酸合成酵素(ウサギポリクローナル;MA5-17625;Pierce(登録商標))である。
【1438】
実施例17
溶解物中のin vitroでシトリン活性の測定
A.発現
正常ヒト対象及びシトルリン血症患者由来の細胞を培養する。標準的なプロトコールを使用する電気穿孔法を介して、ヒトシトリン、マウスシトリン、またはGFP対照を含むmRNA製剤で、細胞を形質移入する。
【1439】
B.活性アッセイ
外因性シトリンが機能するかどうかを評価するために、形質移入された細胞溶解物を酵素活性の供給源として使用して、in vitro活性アッセイを実施する。発現されたシトリンタンパク質を含有する溶解物を、標識シトリン基質と共にインキュベートし、シトリンの酵素活性から生じる標識産物のレベルを測定することにより、シトリンの活性を定量する。
【1440】
実施例18
動物モデルにおけるin vivoシトリン発現
シトリン含有mRNAがin vivoでのシトリン発現を促進する能力を評価するために、ヒトシトリンをコードするmRNAを、C57B/L6マウスに導入する。C57B/L6マウスに、対照mRNA(NT-FIX)またはヒトシトリンmRNAのいずれかを静脈注射する。mRNAを、マウスへの送達用の脂質ナノ粒子に製剤化する。24時間または48時間後にマウスを死亡させ、肝臓溶解物中のシトリンタンパク質レベルを、キャピラリー電気泳動(CE)により決定する。クエン酸合成酵素の発現を、負荷対照として使用するために試験する。対照NT-FIXの注射の場合、4匹のマウスを、各時点について試験する。ヒトシトリンmRNA注射のために、6匹のマウスを、各時点について試験する。シトリンをコードするmRNAを用いる処理は、シトリンの発現を確実に誘導すると予想される。
【1441】
実施例19
ヒトシトリン変異体及びキメラ構築物
本発明のポリヌクレオチドは、ヒトシトリンをコードする連結されたヌクレオシドの少なくとも第1の領域を含むことができ、これは、上記の実施例に従って、構築、発現、及び特性決定することができる。同様に、ポリヌクレオチド配列は、活性の増加または減少を伴うシトリンの発現をもたらす1つ以上の変異を含有することができる。さらに、シトリンをコードするポリヌクレオチド配列は、キメラ融合タンパク質をコードする構築物のいくつかとすることができる。
【1442】
実施例20
ナノ粒子組成物の製造
A.ナノ粒子組成物の製造
ナノ粒子は、混合プロセス、例えば、マイクロ流体工学及び2つの流体ストリームのT接合混合、で作製することができ、流体ストリームのうちの1つは、ポリヌクレオチドを含有し、他方は、脂質構成成分を有する。
【1443】
脂質組成物は、本明細書に開示のイオン性アミノ脂質、例えば、化合物18などの式(I)による脂質または化合物236などの式(III)、リン脂質(例えば、Avanti Polar Lipids(アラバマ州アラバスター)から入手可能なDOPEまたはDSPC)、PEG脂質(例えば、Avanti Polar Lipids(アラバマ州アラバスター)から入手可能なPEG-DMGとしても既知の1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコールまたは化合物428)、及びエタノール中約50mMの濃度の構造脂質(例えば、Sigma-Aldrich(独国タウフキルヘン)から入手可能なコレステロール、もしくはコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、及びヒドロコルチゾン)またはそれらの組み合わせ)を組み合わせることにより調製される。溶液は、例えば、-20℃で保存するために冷蔵すべきである。所望のモル比を得るために、脂質を合わせ、約5.5mm~約25mmの最終脂質濃度まで、水及びエタノールで希釈する。
【1444】
脂質溶液を、約5:1~約50:1の脂質組成物対ポリヌクレオチドwt:wt比でポリヌクレオチドを含む溶液と合わせることにより、ポリヌクレオチド及び脂質組成物を含むナノ粒子組成物を調製する。約1:1~約4:1の水対エタノール比を有する懸濁液を生成するために、約10ml/分~約18ml/分の流速のNanoAssemblrマイクロ流体系システムを使用して、脂質溶液を、ポリヌクレオチド溶液中に急速に注入する。
【1445】
RNAを含むナノ粒子組成物の場合、原液を形成するために、脱イオン水中0.1mg/mlの濃度のRNAの溶液を、pH3~4の間の50mMのクエン酸ナトリウム緩衝液中で希釈する。
【1446】
ナノ粒子組成物は、エタノールを除去して緩衝液交換を達成するために、透析により処理することができる。10kDの分子量カットオフを有するSlide-A-Lyzerカセット(Thermo Fisher Scientific Inc.、イリノイ州ロックフォード)を使用して、製剤を、pH7.4の、1次産物の200倍の体積のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して2回透析する。最初の透析を、室温で3時間実施する。次に、製剤を、4℃で一晩透析する。得られるナノ粒子懸濁液を、ガラスバイアル中に0.2μmの無菌フィルター(Sarstedt、ドイツニュームブレヒト)を通して濾過し、クリンプ栓で密封する。0.01mg/ml~0.10mg/mlのナノ粒子組成物溶液が一般に得られる。
【1447】
上記方法は、ナノ沈殿及び粒子形成を誘導する。限定されないが、T接合及び直接注入を含む代替プロセスは、同じナノ沈殿を得るために使用することができる。
【1448】
B.ナノ粒子組成物の特性決定
Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd、英国ウスターシャーマルバーン)は、粒子サイズの決定は1×PBS及びゼータ電位決定は15mMのPBS中で、ナノ粒子組成物の粒子サイズ、多分散指数(PDI)、及びゼータ電位を決定するために使用することができる。
【1449】
紫外可視分光法は、ナノ粒子組成物中のポリヌクレオチド(例えば、RNA)の濃度を決定するために使用することができる。1×PBS中の希釈製剤100μLを、メタノール及びクロロホルムの4:1(v/v)の混合物900μLに添加する。混合後、DU800分光光度計(Beckman Coulter、Beckman Coulter,Inc.、カルフォルニア州ブレア)で、例えば、230nm~330nmの、溶液の吸光度スペクトルを記録する。ナノ粒子組成物中のポリヌクレオチドの濃度は、組成物に使用されるポリヌクレオチド減衰係数、及び例えば、260nmの波長の吸光度と例えば、330nmの波長のベースライン値の間の差に基づいて計算することができる。
【1450】
RNAを含むナノ粒子組成物では、QUANT-IT(商標)RIBOGREEN(登録商標)RNAアッセイ(Invitrogen Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)は、ナノ粒子組成物によるRNAの封入を評価するために、使用することができる。試料を、TE緩衝液(10mMのTris-HCl、1mMのEDTA、pH7.5)中、約5μg/mLの濃度に希釈する。希釈された試料50μLを、ポリスチレン96ウェルプレートに移し、TEバッファー50μLまたは2%のトリトンX-100溶液50μLのいずれかを、ウェルに添加する。プレートを、37℃の温度で15分間インキュベートする。RIBOGREEN(登録商標)試薬を、TE緩衝液中で1:100に希釈し、この溶液100μLを、各ウェルに添加する。蛍光強度は、蛍光プレートリーダー(Wallac Victor 1420 Multilablel Counter; Perkin Elmer、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して、例えば、約480nmの励起波長及び例えば、約520nmの発光波長で測定することができる。試薬ブランクの蛍光値は、試料のそれぞれのものから差し引かれ、遊離RNAの百分率は、(トリトンX-100を添加しない)インタクトな試料の蛍光強度を、(Triton X-100の添加により引き起こされる)破砕試料の蛍光値で除することにより決定される。
【1451】
ナノ粒子組成物の例示的な製剤を、以下の表6に提示する。「化合物」という用語は、MC3、化合物18、または化合物236などのイオン性脂質を指す。「リン脂質」は、DSPCまたはDOPEとすることができる。「PEG-脂質」は、PEG-DMGまたは化合物428とすることができる。
表6.ナノ粒子の例示的な製剤
【表20】
【1452】
実施例21
シトリン欠損症マウスモデルにおけるシトリンをコードするmRNAの評価
ヒトシトリン(SLC25A13)アイソフォーム1をコードする配列最適化ORFを含む修飾mRNA構築物を表7に示す。これらの構築物を、示されるように実施例21~24で使用した。構築物#1~#4のそれぞれは、Cap1 5’末端キャップ及び3’末端ポリA領域を含む。構築物#1~#4のそれぞれは、5-メトキシウリジン修飾配列を含む。
表7:ヒトシトリンをコードする最適化ORFを含む修飾mRNA構築物
【表21】
【1453】
図7に示される研究設計に従って、シトリンmRNAまたは対照mRNAの投与後に、血中アンモニウムレベル、スクロースへの嫌悪(選好指数)、及び体重を、機能的シトリン及びミトコンドリアグリセロール3-リン酸脱水素酵素(mGPD)遺伝子を欠損するノックアウトマウスならびにシトリンノックアウトマウスで評価した。シトリンノックアウトマウスは、ヒトシトリン欠損症の特徴を示さない。しかし、本研究に使用されるmGPD/CTRNノックアウトマウスは、シトリン欠損表現型、例えば、野生型マウスと比較して、スクロース嫌悪及び成長遅延、ならびに例えば、摂食条件下での低インスリン血;血漿中トリグリセリドの増加;絶食条件下での血漿中遊離脂肪酸(FFA)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びグリセロールの増加;摂食条件下での血漿中高アンモニア血;肝臓のラクタート及びピルバートの増加;絶食の16時間後の肝臓のトリグリセリドレベルの増加;ならびに、肝臓のシトルリン及びグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)の増加を含む、血漿中バイオマーカーのいくつかの異常を示す。Saheki et al.,JBC 282(34):25041-25052(2007);Saheki et al.,Mol.Genetics and Metabolism 120:306-316(2017)及びMoriyama et al.,Biochimica et Biophysica Acta 1852:1787-1795(2015)に記載の通り、ノックアウトマウスを生成した。
【1454】
ヒトシトリンをコードするmRNA(構築物#1、脂質ナノ粒子化合物18に製剤化された)0.5mg/kgまたは対照mRNA(NTFIX)が注射(IV)されたマウスを、図7に提示されたスケジュールに従って死亡させた。要するに、-7日目、2日目、9日目、及び16日目に、Ctrn KO-NtFix(n=2)、Ctrn KO-hシトリン(n=2)、Double KO-NtFix(n=5)、及びダブルKO-hシトリン(n=5)マウスから採血し、1日目、8日目、及び15日目に、0.5mg/kgのmRNAを投与した。2、9、及び16日目に、血中アンモニウム(NH )を測定した。Saheki et al.,Mol.Genetics and Metabolism 120:306-316(2017)に記載される方法に従って、mRNAの2回目の注射後に、20%のスクロース溶液への嫌悪を評価した。マウスを、16日目に50%のスクロース溶液でチャレンジし、血液試料を、チャレンジの1時間後に収集した。この最終試験では、マウスを、16日目に死亡させ、体重を決定し、血漿、肝臓、及び脾臓試料を収集した。
【1455】
血中アンモニウムレベルを図8に示す。シトリンをコードするmRNAのIV投与は、対照mRNA(NTFIX)が投与されたダブルノックアウトマウスの血中アンモニウムレベルと比較して、ダブルノックアウトマウスの血中アンモニウムレベルにおいて62%の減少をもたらした。比較のために、WT-NtFix、Ctrn KO-NtFix、及びCtrn KO-hシトリンにおけるアンモニウムレベルを示す。
【1456】
Saheki et al.Mol Genet Metab.120(4):306-316(2017)に記載の方法により、mRNAの投与の前後に、mGPD/CTRNノックアウトマウスのスクロースへの経口嫌悪を決定した。要約すると、mRNAの2回目の注射後に、マウスに2つの飲料ボトルを提供し(図7の研究設計を参照のこと)、1つのボトルは、水を含有し、もう1つのボトルは、50%のスクロース溶液を含有する。(gスクロース溶液)/[(gスクロース溶液)+(g水)]として、スクロース溶液の選好指数を計算した。野生型マウス及びシトリンノックアウトマウスは、スクロース溶液に対してほぼ100%の選好性を示した(データは示さず)。NtFIX mRNAが投与されたmGPD/CTRNノックアウトマウスは、スクロース溶液に対する選好性の減少を示した。シトリンをコードするmRNAの投与は、mGPD/CTRNノックアウトマウスのスクロースへの経口嫌悪を後退させた(図9A~9B)。
実施例22
シトリンをコードするmRNAが投与されたマウスにおけるin vivoシトリンタンパク質発現の決定
【1457】
図7のスケジュールに従って、mRNA投与後に、ウェスタンブロットにより、単離肝臓ミトコンドリアにおけるシトリンタンパク質発現を測定した。要約すると、野生型、CTRNノックアウト、及びmGPD/CTRNノックアウトマウスに、対照mRNA(NTFIX)またはシトリンをコードするmRNA(構築物#1、脂質ナノ粒子化合物18に製剤化された)を投与した。マウスを、16日目に死亡させ、肝臓抽出物を、調製した。鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の佐伯武頼博士により提供された抗シトリン抗体(ヒトシトリンのN末端半分に対して産生されたウサギポリクローナル抗体、Yasuda et al., Human Genetics 107:537-545(2000)に記載の通り)を使用するウェスタンブロットにより、シトリンを検出した(図10、上段パネル)。mGPD/CTRNノックアウトマウスにおける遺伝子の完全な欠失を確実にするために、mGPDタンパク質発現も監視した(図10、中段パネル)。シトリンのタンパク質発現レベルを標準化するための対照として、クエン酸合成酵素を全ての試料で検出した(図10、下段パネル)。mGPD及びクエン酸を検出するための抗体は、それぞれNovus Biologicals(NBP1-86121)及びThermo Fisher Scientific(MA5-17265)から購入した。ヒトシトリンをコードするmRNAをCTRNノックアウトマウス及びmGPD/CTRNノックアウトマウスに投与すると、対照mRNA NTFIXと比較して、シトリンタンパク質の発現の増加がもたらされた。
【1458】
単離肝臓ミコンドリア由来のウェスタンブロットシグナルで、シトリン発現の半定量的分析を実施した。シトリンをコードするmRNAを、mGPD/CTRNダブルノックアウトマウスに投与すると、対照mRNA(NTFIX)と比較して、シトリンの相対的発現が増加した(図11)。シトリン発現の増加を、シトリンをコードするmRNAを投与したmGPD/CTRNノックアウトマウスについて検出した。
実施例23
mGPD/CTRNダブルノックアウトマウスにおける、シトリンをコードするmRNAの複数回投与
【1459】
mGPD/CTRNノックアウトマウスにおいて、複数回投与のシトリンをコードするmRNAの血漿中アンモニアへの影響を評価した。ヒトシトリンをコードするmRNA(構築物#1、脂質ナノ粒子化合物18に製剤化された)または対照mRNA(NTFIX)を投与されたマウスに、図12に示されるタイミングスケジュールに従って注射及びチャレンジした。要するに、WTマウスに、0.5mg/kgのNTFIX mRNAを注射し(n=4);mGPD/CTRNダブルKOマウスに、0.5mg/kgのNTFIX mRNAを注射し(n=5);mGPD/CTRNダブルKOマウスに、0.5mg/kgのシトリンmRNA(構築物#1)を注射し(n=5);mGPD/CTRNダブルKOマウスに、0.2mg/kgのシトリンmRNA(構築物#1)を注射した(n=5)。注射後、マウスを50%のスクロースを含有する溶液でチャレンジした。血漿を、最初及び最後の注射の24時間後にマウスから得、アンモニアの血漿中レベルを決定した。
【1460】
注射前に、異なる群のマウスにおいて血漿中アンモニアレベルに差はなかった(図13A)。予想通り、スクロースチャレンジに応答して、ntFIXで処置したmGPD/CTRNダブルノックアウトマウスの血中アンモニアレベルに有意な増加があった(図13A)。しかし、図13Aに示される通り、シトリンmRNAの単回初回注射後の血漿アンモニアレベルは、用量依存的に減少し、対照mRNA(NTFIX)と比較して、血漿アンモニアレベルの有意な(P<0.05)低減が、0.5mg/kgのシトリンmRNAが投与されたダブルノックアウトマウスで観察された。最後の注射の後、シトリンmRNA処置は、スクロースチャレンジ後に血漿中アンモニアの数値的減少ももたらした(図13B)。
実施例24
in vivoシトリンタンパク質の発現及び活性の決定
【1461】
in vivoシトリンタンパク質の発現及び活性を、野生型マウスで評価した。マウスに、脂質ナノ粒子化合物18に製剤化されたヒトシトリンをコードするmRNA(構築物#1、2、3、もしくは4)0.5mg/kgまたは対照mRNA(NTFIX)0.5mg/kgを注射(IV)した。肝臓ミトコンドリアを、注射の24時間後に単離し、図14Aに示される通り、Novus Biologicals製の抗シトリン抗体(NBP1-33380)を使用するウェスタンブロットにより、シトリンタンパク質発現を検出した。対照として、α-チューブリンの発現を、全ての試料で検出した。ウェスタンブロットの定量的分析を図14Bに示す。シトリンタンパク質発現を、シトリンをコードするmRNAが投与されたマウスのシトリンバンド強度対、対照mRNAが投与されたマウスのバンド強度(NTFIX)の比として測定した。構築物#1及び#2は、最も高いタンパク質発現レベルを示した。
【1462】
発明の概要及び要約書のセクションではなく、発明を実施するための形態のセクションが、特許請求の範囲を解釈するために使用されるものとすることを理解すべきである。概要及び要約のセクションは、発明者(複数可)が考察した、全てではないが1つ以上の本発明の例示的実施形態を記載することができ、従って、決して、本発明及び添付の特許請求の範囲を制限するものではない。
【1463】
本発明は、特定の機能及びその関係の実施を示す機能的構成単位を用いて、上に記載されている。これらの機能的構成単位の限界は、説明の便宜上、本明細書に任意に記載されている。別の限界は、特定の機能及びその関係が適切に実施される限り、定義することができる。
【1464】
特定の実施形態の上述の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにするので、他の者は、当業者の技能範囲内の知識を適用することにより、本発明の一般的な概念を逸脱することなく、過度な実験をすることなく、特定の実施形態などの種々の用途を容易に修正し、及び/またはこれらに適合させることができる。従って、そのような適応及び修正は、本明細書に提示の教示及び指導に基づいて、意味の範囲及び開示された実施形態の均等物の範囲内にあるものとする。本明細書の語法または用語は、本明細書の用語または語法が教示及び指導に照らして当業者により解釈されるように、説明のためのものであり、制限するものではないことを理解すべきである。
【1465】
本発明の広がり及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではないが、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物に従ってのみ定義されるべきである。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
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