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特許7210328検査治具、ゲージ検査機及びゲージの保持方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】検査治具、ゲージ検査機及びゲージの保持方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/22 20060101AFI20230116BHJP
【FI】
G01B3/22 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019036091
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020139858
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】菊池 真央
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-152581(JP,A)
【文献】特開2017-083199(JP,A)
【文献】実開平03-033303(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲージに取り付けられた部材を保持することで、前記ゲージを逆姿勢で保持する本体部と、
前記本体部と結合され、かつ、ゲージ検査機に設けられた測定軸方向に移動可能な測定スピンドルの先端に結合可能に構成された連結部と、を備え、
前記ゲージの第1の面には、前記ゲージの測定結果を示す表示部が設けられ、
前記表示部が設けられた面と反対側の第2の面に、前記ゲージに取り付けられた前記部材が設けられる、
ゲージ検査治具。
【請求項2】
前記ゲージに取り付けられた前記部材は、前記ゲージの測定軸方向である第1の方向と直交する、前記第2の面に対して垂直な第2の方向に突出する第1の突出部材であり、
前記第1の突出部材には、前記第1及び第2の方向と直交する第3の方向に前記第1の突出部材を貫通する孔が設けられる、
請求項に記載のゲージ検査治具。
【請求項3】
前記本体部は、
前記第3の方向に垂直な面に前記ゲージが固定される第1の保持部材と、
前記第1の保持部材とともに前記第3の方向で前記第1の突出部材を挟み込むことで、前記第1の突出部材を保持する第2の保持部材をと、を備える、
請求項に記載のゲージ検査治具。
【請求項4】
前記第1の保持部材の前記第1の突出部材に対向する面には、前記第1の突出部材の一部がはまり込む第1の座繰りが設けられ、
前記第1の座繰りから前記第3の方向に沿って延在する、前記孔に挿通可能な第1の突出部が設けられ、
前記第2の保持部材の前記第1の突出部材に対向する面には、前記第1の突出部材の前記第1の座繰りにはまり込む部分とは異なる部分がはまり込む第2の座繰りが設けられ、
前記第2の座繰りから前記第3の方向に沿って延在する、前記孔に挿通可能な第2の突出部が設けられる、
請求項に記載のゲージ検査治具。
【請求項5】
前記本体部の前記ゲージと対向する面には、前記対向する面から前記第2の方向に沿って突出して前記ゲージの前記第2の面と当接する1以上の第4の突出部が設けられる、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のゲージ検査治具。
【請求項6】
前記1以上の第4の突出部は、前記ゲージのスピンドルの移動方向が前記ゲージ検査機の前記測定軸方向となるように構成される、
請求項に記載のゲージ検査治具。
【請求項7】
測定軸方向に移動可能な測定スピンドルと、
ゲージ検査治具によって逆姿勢で保持されたゲージの測定子が接触する部材を固定可能に構成された固定部と、を備え、
前記ゲージ検査治具は、
ゲージに取り付けられた部材を保持することで、前記ゲージを逆姿勢で保持する本体部と、
前記本体部と結合され、かつ、前記測定スピンドルの先端に結合可能に構成された連結部と、を備え、
前記ゲージの第1の面には、前記ゲージの測定結果を示す表示部が設けられ、
前記表示部が設けられた面と反対側の第2の面に、前記ゲージに取り付けられた前記部材が設けられる、
ゲージ検査機。
【請求項8】
ゲージに取り付けられた部材をゲージ検査治具の本体部で保持することで、前記ゲージを逆姿勢で保持し、
前記本体部と結合され、かつ、ゲージ検査機の測定スピンドルの先端に結合可能に構成された連結部を、前記測定スピンドルに結合し、
前記ゲージの第1の面には、前記ゲージの測定結果を示す表示部が設けられ、
前記表示部が設けられた面と反対側の第2の面に、前記ゲージに取り付けられた前記部材が設けられる、
ゲージの保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査治具、ゲージ検査機及びゲージの保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)による国際規格や日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)では、ダイヤルゲージなどのゲージの計測特性について、複数の異なる姿勢で保持した状態においてゲージの指示誤差や繰返し精密度を計測すべきことが定められている。
【0003】
例えば、製造業者によって指定されない場合の計測特性は、測定範囲内のいかなる位置、いかなる姿勢でも最大許容誤差(MPE)及び許容限界(MPL)の値を満たさなければならないとされている。ここで、ゲージの最大許容誤差(MPE)は、指示値に対して許容する指示誤差の最大値である。許容限界(MPL)は、測定力に対して仕様で許容し得る測定力の限界値である。
【0004】
典型的な例としては、例えば、測定子下向きの姿勢以外の姿勢でも測定できるようにしてほしいとユーザから要望してくる場面が想定される。したがって、製造業者としては、測定子下向きの姿勢以外の姿勢でもダイヤルゲージを検査できるようにする方策が必要となる。
【0005】
例えば、ダイヤルゲージの上下を反転させた状態(逆姿勢)で測定誤差や繰返し精密度を計測するゲージ検査機が提案されている(特許文献1)。このゲージ検査機では、ゲージのキャップが装着される部分をソケットの一端に挿入し、ソケットの他端に設けられた雄ねじをゲージ検査機の測定スピンドルに螺入することで、ゲージを逆姿勢で保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-152581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ダイヤルゲージの種類によっては、そもそもキャップを有しないものが有る。そのため、特許文献1にかかるダイヤルゲージを逆姿勢で保持する構成は、キャップを有しないダイヤルゲージに適用することができない。
【0008】
よって、キャップの有無によらずにダイヤルゲージを逆姿勢で保持し、ゲージ検査機によって逆姿勢での検査を行うことができる手法が求められる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、ゲージを検査するにあたって、測定子上向きの逆姿勢において簡易にかつ精度よく検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様であるゲージ検査治具は、
ゲージの本体部に取り付けられた部材を保持することで、前記ゲージを逆姿勢で保持する本体部と、
前記本体部と結合され、かつ、ゲージ検査機に設けられた測定軸方向に移動可能な測定スピンドルの先端に結合可能に構成された連結部と、を有するものである。
【0011】
本発明の第2の態様であるゲージ検査治具は、上記のゲージ検査治具であって、
前記ゲージの本体部の第1の面には、前記ゲージの測定結果を示す表示部が設けられ、
前記表示部が設けられた面と反対側の第2の面に、前記ゲージに取り付けられた前記部材が設けられることが望ましい。
【0012】
本発明の第3の態様であるゲージ検査治具は、上記のゲージ検査治具であって、
前記ゲージに取り付けられた前記部材は、前記ゲージの測定軸方向である第1の方向と直交する、前記第2の面に対して垂直な第2の方向に突出する第1の突出部材であり、
前記第1の突出部材には、前記第1及び第2の方向と直交する第3の方向に前記第1の突出部材を貫通する孔が設けられることが望ましい。
【0013】
本発明の第4の態様であるゲージ検査治具は、上記のゲージ検査治具であって、
前記本体部は、
前記第3の方向に垂直な面に前記ゲージが固定される第1の保持部材と、
前記第1の保持部材とともに前記第3の方向で前記第1の突出部材を挟み込むことで、前記第1の突出部材を保持する第2の保持部材をと、有することが望ましい。
【0014】
本発明の第5の態様であるゲージ検査治具は、上記のゲージ検査治具であって、
前記第1の保持部材の前記第1の突出部材に対向する面には、前記第1の突出部材の一部がはまり込む第1の座繰りが設けられ、
前記第1の座繰りから前記第3の方向に沿って延在する、前記孔に挿通可能な第1の突出部が設けられ、
前記第2の保持部材の前記第1の突出部材に対向する面には、前記第1の突出部材の前記第1の座繰りにはまり込む部分以外の部分がはまり込む第2の座繰りが設けられ、
前記第2の座繰りから前記第3の方向に沿って延在する、前記孔に挿通可能な第2の突出部が設けられることが望ましい。
【0015】
本発明の第6の態様であるゲージ検査治具は、上記のゲージ検査治具であって、
前記本体部の前記ゲージと対向する面には、前記対向する面から前記第2の方向に沿って突出して前記ゲージの前記第2の面と当接する1以上の第4の突出部が設けられることが望ましい。
【0016】
本発明の第7の態様であるゲージ検査治具は、上記のゲージ検査治具であって、
前記1以上の第4の突出部は、前記ゲージのスピンドルの移動方向が前記ゲージ検査機の前記測定軸方向となるように構成されることが望ましい。
【0017】
本発明の第8の態様であるゲージ検査機は、
測定軸方向に移動可能な測定スピンドルと、
ゲージ検査治具によって逆姿勢で保持されたゲージの測定子が接触する部材を固定可能に構成された固定部と、を有し、
前記ゲージ検査治具は、
ゲージの本体部に取り付けられた部材を保持することで、前記ゲージを逆姿勢で保持する本体部と、
前記本体部と結合され、かつ、前記測定スピンドルの先端に結合可能に構成された連結部と、を有するものである。
【0018】
本発明の第9の態様であるゲージの保持方法は、
ゲージの本体部に取り付けられた部材をケージ検査治具の本体部で保持することで、前記ゲージを逆姿勢で保持し、
前記本体部と結合され、かつ、ゲージ検査機の測定スピンドルの先端に結合可能に構成された連結部を、前記測定スピンドルに結合するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ゲージを検査するにあたって、測定子上向きの逆姿勢において簡易にかつ精度よく検査することができる。
【0020】
本発明の上述及び他の目的、特徴、及び長所は以下の詳細な説明及び付随する図面からより完全に理解されるだろう。付随する図面は図解のためだけに示されたものであり、本発明を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ゲージ検査機の外観を示す図である。
図2】ゲージ検査機にゲージを通常姿勢でセットした状態を示す図である。
図3】ゲージの構成例を示す図である。
図4】測定子下向き(通常姿勢)のゲージを示す図である。
図5】測定子上向き(逆姿勢)のゲージを示す図である。
図6】測定子右向き(ただし目盛は上向き)のゲージを示す図である。
図7】測定子右向き(ただし目盛は下向き)のゲージを示す図である。
図8】測定子右向き(ただし目盛は手前向き)のゲージを示す図である。
図9】測定子右向き(ただし目盛は奥側向き)のゲージを示す図である。
図10】実施の形態1にかかるゲージ検査治具の構成を模式的に示す正面図である。
図11】本体の2つのコラムを離間させた場合の実施の形態1にかかるゲージ検査治具の構成を模式的に示す正面図である。
図12】実施の形態1にかかるゲージ検査治具の構成を模式的に示す側面図である。
図13】連結部を測定スピンドルに固定する方法を示す図である。
図14】実施の形態2にかかるゲージ検査治具の構成を模式的に示す正面図である。
図15】実施の形態2にかかるゲージ検査治具の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0023】
実施の形態1
ゲージ検査機について説明する。図1に、ゲージ検査機1000の外観を示す。図2に、ゲージ検査機1000にゲージGを通常姿勢でセットした状態を示す。
【0024】
ゲージ検査機1000は、ゲージGを固定的に保持するためのブラケット部1010を有する。ブラケット部1010は、ゲージGのステムSTを挟み込むことでゲージGを固定的に保持することができるように構成される。ゲージGのサイズは様々であるため、ブラケット部1010は高さ方向(測定軸方向、すなわち、以下に示すZ方向であり、第1の方向とも称する)の位置を変えられるように昇降自在に設けられる。
【0025】
この例では、バックボード1020が筐体1030の上に立設されている。バックボード1020には、ブラケット部1010を案内するガイドレール1021が設けられている。これにより、ブラケット部1010は、ガイドレール1021に沿って昇降可能に、換言すれば上下方向に移動可能に保持される。また、ブラケット部1010の位置は、ハンドル1011を操作することで固定することができる。
【0026】
ゲージ検査機1000の動作は、コンピュータ1070によって制御される。コンピュータ1070は、ゲージ検査機1000での計測結果を蓄積することも可能である。測定スピンドル140の位置調整を行うなど、ゲージ検査機1000をマニュアル操作する場合、例えば、操作部1050のスイッチ1051やジョグダイヤル1052をユーザが操作することで行うことが可能である。
【0027】
ゲージGの構成例について説明する。図3は、ゲージGの正面図である。ゲージGは、円筒形の筐体部G1、昇降可能に設けられたスピンドルG4、筐体部G1に突設されたステムSTを有する。筐体部G1の前面には文字盤(表示部)G2がある。筐体部G1の内部には、スピンドルG4の変位を拡大して指針G3に伝える歯車機構(不図示)がある。スピンドルG4の下端には測定子G5が設けられている。ステムSTは、スピンドルG4を摺動可能に支持するものである。スピンドルG4は筐体部G1を貫通しており、スピンドルG4の上端が筐体部G1から突き出る。そこで、スピンドルG4の上端部を保護するため、筐体部G1の側面にはキャップG6が設けられている。
【0028】
また、ゲージGには、文字盤G2が設けられた面(第1の面)と反対側に裏蓋G7が設けられ、裏蓋G7の表面(第2の面)からは、表面と垂直な方向(第2の方向)に耳金PJが突出している。耳金PJには、測定軸方向と裏蓋G7の表面と垂直な方向(第2の方向)とに直交する方向に、貫通する孔Hが設けられている。
【0029】
次いで、ゲージの検査姿勢について説明する。例えばユーザなどの要望に応じて、図2に示したような通常姿勢(測定子下向き)以外の様々な姿勢においてゲージを検査する必要が考えられる。ゲージGの内部構造等を考慮すると、ゲージの検査姿勢は以下の6パターンに分類することができると考えられる。以下、6パターンの検査姿勢について、図4図9を参照して説明する。
【0030】
(A)測定子下向き(通常姿勢)
(B)測定子上向き(逆姿勢)
(C)測定子右向き(ただし目盛は上向き)
(D)測定子右向き(ただし目盛は下向き)
(E)測定子右向き(ただし目盛は手前向き)
(F)測定子右向き(ただし目盛は奥側向き)
【0031】
なお、以下では、「手前」を「前」ということもあるし、「奥」を「後ろ」ということもある。
【0032】
ユーザが用いている姿勢に応じて、これら6パターンのうちの1つ又は2つ以上の姿勢での検査が行われることとなる。なお、本実施の形態においては、「(A)測定子下向き」の通常姿勢でゲージGの検査は、ゲージ検査機が本来の検査方法で行うことができることは勿論であるので、通常姿勢での検査については、説明を省略する。
【0033】
本実施の形態では、上記の「(B)測定子上向き」の(逆姿勢)における検査(以下、逆姿勢検査と称する)について説明する。本実施の形態では、ゲージ検査機1000にゲージGを逆姿勢でセットするための治具を用いて、逆姿勢検査を実現する。
【0034】
ゲージ検査治具100について説明する。図10は、実施の形態1にかかるゲージ検査治具100の構成を模式的に示す正面図である。図11は、本体の2つのコラムを離間させた場合のゲージ検査治具100の構成を模式的に示す正面図である。図12は、実施の形態1にかかるゲージ検査治具100の構成を模式的に示す側面図である。ゲージ検査治具100は、本体部1及び連結部2を有する。なお、図12では、構成を理解しやすくするため、コラム12を省略している。
【0035】
本体部1は、ゲージの保持部材であるコラム11及びコラム12(第1及び第2の保持部材)を有する。コラム11は、コラム11の底部においてY方向に延在する部材と、コラム11の底部のY(+)側端から上方(Z(+)方向)に延在する部材と、で構成される。正面から見たとき、コラム11は、上側のX方向の幅が下側のX方向の幅よりも小さくなるように構成される。本実施の形態では、コラム11の左側面(X(-)側の面)が測定軸に一致している。換言すれば、後に説明する連結部2の柱状部材21及び雄ねじ22の中心軸が、コラム11の上側の左側面(X(-)側の面)を通っている。
【0036】
コラム12は、Z方向に延在する、コラム11の上側に当接可能な部材として構成される。例えば、コラム11及び12は、X方向に延在する雌ねじFTが設けられており、この雌ねじFTに雄ねじMTを螺入することで、コラム11とコラム12とが結合される。
【0037】
コラム11とコラム12との間には、ゲージGの耳金PJ(第1の突出部材)を保持する保持部13が設けられる。図11に示すように、保持部13では、コラム11の左側面(X(-)側の面)に座繰り11Aが設けられ、座繰り11Aからコラム11の左側面(X(-)側の面)の位置まで突出する円形断面の突出部11Bが設けられる。突出部11Bは、耳金PJに設けられた孔Hに挿通可能な形状を有する。
【0038】
コラム12の右側面(X(+)側の面)に座繰り12Aが設けられ、座繰り12Aからコラム12の右側面(X(+)側の面)の位置まで突出する円形断面の突出部12Bが設けられる。突出部12Bは、耳金PJに設けられた孔Hに挿通可能な形状を有する。
【0039】
図11に示すように、耳金PJの孔Hを、突出部11B及び12Bに対して同軸に配置してコラム11とコラム12とが結合することで、孔Hに突出部11B及び12Bが挿通されて、ゲージGを保持することができる。
【0040】
なお、図10は、コラム11とコラム12とで耳金PJを挟み込み、かつ、雌ねじFTに雄ねじMTを螺入することで耳金PJを固定した状態を示しているが、簡略化のため、耳金PJの表示を省略している。図10では、コラム11とコラム12との間には間隙が存在しているが、耳金PJを固定した後に当該間隙が生じるようにコラム11及び12のY方向の寸法を設計することで、コラム11とコラム12とによって確実に耳金PJを固定することができる。
【0041】
連結部2は、柱状部材21及び雄ねじ22を有する。柱状部材21は、コラム11の下側のビームの下面から下側(Z(-)側)に突出した部材である。
【0042】
次に、「(B)測定子上向き」で検査する方法を説明する。図13に、連結部2を測定スピンドル1040に固定する方法を示す。柱状部材21の雄ねじ22は、フラット測定子1041の代わりとして、測定スピンドル1040に螺入される。これにより、柱状部材21が測定スピンドル1040に固定される。
【0043】
よって、ゲージ検査治具100は、測定スピンドル1040の昇降に連動して昇降することが可能となる。すなわち、ゲージ検査治具100にゲージGを逆姿勢でセットすることで、逆姿勢のゲージGを測定軸方向(Z方向)に昇降させることができる。なお、ブラケット部1010がゲージ検査治具100及びゲージGに干渉しないように、ブラケット部1010を十分上方に移動させておくことが望ましい。
【0044】
ゲージ検査機1000にゲージGを逆姿勢でセットする場合、ゲージGの測定子G5を接触させる部材をゲージ検査機1000に設ける必要がある。本実施の形態では、ブラケット部1010に、測定子G5が接触する接触部材1080を取り付ける。接触部材1080は、測定台1081及び軸部材1082を有する。
【0045】
軸部材1082は、Z方向に延在する部材であり、下側(Z(-)側)に突き出すようにブラケット部1010によって保持される。軸部材1082の下端(Z(-)側の端部)には、測定台1081が取り付けられる。測定台1081の下側(Z(-)側)の面は平坦な面(X-Y平面)として構成され、測定台1081が測定子G5と接触する。
【0046】
以上説明したように、ゲージ検査治具100にゲージGを逆姿勢でセットして測定スピンドル1040を昇降させることで、測定子G5が測定台1081に接触し、ゲージGのスピンドルG4が押し込まれる。これにより、逆姿勢におけるゲージの指示精度や繰返し精密度を計測することができる。
【0047】
実施の形態2
次いで、ゲージ検査治具の他の変形例について説明する。図14は、実施の形態2にかかるゲージ検査治具200の構成を模式的に示す正面図である。図15は、実施の形態3にかかるゲージ検査治具200の構成を模式的に示す側面図である。ゲージ検査治具200は、実施の形態1にかかるゲージ検査治具100に、突出部31~34を追加した構成を有する。
【0048】
突出部31は、コラム11のゲージGに対向する面(Z-X平面)の保持部13の上側(Z(+)側)の位置に設けられる。突出部32は、コラム11のゲージGに対向する面(Z-X平面)の保持部13の下側(Z(-)側)の位置に、突出部31と軸方向(Z方向)に並ぶように設けられる。
【0049】
突出部33は、コラム12のゲージGに対向する面(Z-X平面)の保持部13の上側(Z(+)側)の位置に設けられる。突出部34は、コラム12のゲージGに対向する面(Z-X平面)の保持部13の下側(Z(-)側)の位置に、突出部33と軸方向(Z方向)に並ぶように設けられる。
【0050】
突出部31~34は、本体部(コラム11及び12)のゲージGに対向する面(Z-X平面)からY(-)方向に同じ距離だけ突出している。なお、突出部31~34は、金属などの硬い材料で構成されてもよいし、ゴムなどの弾性材料で構成されてもよい。
【0051】
ゲージ検査治具200のその他の構成は、実施の形態1にかかるゲージ検査治具100と同様であるので、説明を省略する。また、ゲージ検査治具200を逆姿勢でゲージ検査機1000にセットする方法及び計測方法についても、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
これにより、ゲージGをゲージ検査治具200に取り付けると、突出部がゲージGの裏蓋G7に当接することとなる。その結果、計測時に測定子G5が測定台1081に接触したときに、耳金の中心としたX軸まわりのトルクが生じても、ゲージGが回転することを防止できる。よって、ゲージGにかかる計測をより高精度に行うことが可能となる。
【0053】
また、突出部31~34の突出量を適切に設計することで、ゲージGのスピンドルG4の動作方向(摺動方向)を、測定軸方向(Z方向)に合わせることが可能である。これにより、ゲージ検査治具200での検査をより高精度に行うことが可能となる。
【0054】
本実施の形態の突出部31~34は例示に過ぎず、この例に限られるものではない。すなわち、本体部1(コラム11及びコラム12)のゲージGの裏蓋G7に対向する面に、裏蓋G7と当接する1以上の任意の数の突出部を設けてもよい。
【0055】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態で説明した耳金は、ゲージの裏蓋に設けられた突出部材の一例に過ぎない。例えば、ゲージの裏蓋からは、裏蓋を垂直な方向に突出した円柱や角柱などの柱状部材や雄ねじなどの、他の形状に部材を、ゲージの裏蓋に設けられた突出部材として設けてもよい。また、突出部材の形状に応じた保持部を適宜ゲージ検査治具に設けてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 本体部
2 連結部
11、12、コラム
11A、12A 座繰り
11B、12B 突出部
13 保持部
21 柱状部材
22、FT 雄ねじ
31~34 突出部
MT 雄ねじ
100、200 ゲージ検査治具
1000 ゲージ検査機
1010 ブラケット部
1011 ハンドル
1020 バックボード
1021 ガイドレール
1030 筐体
1040 測定スピンドル
1041 フラット測定子
1050 操作部
1051 スイッチ
1052 ジョグダイヤル
1080 接触部材
1081 測定台
1082 軸部材
G ゲージ
G2 文字盤
G1 筐体部
G3 指針
G4 スピンドル
G5 測定子
G6 キャップ
G7 裏蓋
H 孔
PJ 耳金
ST ステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15