(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法及びこの保護方法を実行する車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230117BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20230117BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H7/18
B60R16/02 660L
(21)【出願番号】P 2021071157
(22)【出願日】2021-04-20
【審査請求日】2021-04-20
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516007825
【氏名又は名称】低▲炭▼動能開發股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲フ▼▲ジエ▼
【審査官】山本 香奈絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216795(JP,A)
【文献】特開2017-229132(JP,A)
【文献】特開2016-201897(JP,A)
【文献】特表2013-518551(JP,A)
【文献】特表2015-518233(JP,A)
【文献】特開2010-051082(JP,A)
【文献】特開2011-101483(JP,A)
【文献】特開2009-273305(JP,A)
【文献】特開2010-268625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法であって、前記保護方法が自動車の電源装置に用いられ、前記電源装置が、スーパーキャパシタモジュールと二次電池を並列接続して構成され、前記保護方法が、
前記二次電池と前記スーパーキャパシタモジュールを連通する回路を開路の状態に保ち、電圧値が0の前記スーパーキャパシタモジュールを前記電源装置に設置する、設置工程と、
前記スーパーキャパシタモジュールの保護条件が満たされているか否かを判断する工程であって、外部電圧をV1、前記スーパーキャパシタモジュールの飽和充電電圧をV2、
前記スーパーキャパシタモジュールの電圧をV3、前記スーパーキャパシタモジュール内部の環境温度値をT1、前記スーパーキャパシタモジュールを構成するスーパーキャパシタ単体の安全温度値をT2と定義し、V1>V2またはT1>T2のいずれかの条件が満たされたとき、前記スーパーキャパシタモジュールの保護条件が満たされており、V1>V2及びT1>T2のいずれも満たされないとき、前記スーパーキャパシタモジュールの保護条件が満たされていないとする、判断工程と、
保護条件が満たされているとき、前記スーパーキャパシタモジュールと前記二次電池間に開回路を形成し、前記スーパーキャパシタモジュールが充電も放電もできないようにする、保護モード工程と、
保護条件が満たされていないとき
であって、V1-V3>5Vの条件が成立しないとき、主回路及び該主回路を介して閉路を形成するか否かを制御する第1コントローラを通して、前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を可能にし、V1-V3>5Vの条件が成立したとき、小電流充電回路であるサブ回路及び該サブ回路を介して閉路を形成するか否かを制御する第2コントローラを通して、前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を可能にする、動作モード工程と、を含み、
前記保護モード工程または前記動作モード工程の後、前記判断工程を再度実行し、判断結果に基づき前記保護モード工程または前記動作モード工程を実行する、ことを特徴とする、車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法。
【請求項2】
前記外部電圧V1が、自動車の発電機が生成する電力の電圧と、前記二次電池の電圧のうちのより高いほうの電圧値である、ことを特徴とする、請求項1に記載の車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法を実行する車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置であって、
二次電池とスーパーキャパシタモジュールとを並列接続して電源装置が構成され、前記スーパーキャパシタモジュールは、前記二次電池とスーパーキャパシタモジュールを連通する回路が開路の状態で、かつ、前記スーパーキャパシタモジュールの電圧値が0の状態で前記電源装置に設置され、検出ユニットと、主回路と、サブ回路と、コントローラユニットと、処理ユニットを含み、前記検出ユニットと前記コントローラユニットが前記処理ユニットとそれぞれ結合され、前記主回路と前記サブ回路が並列接続され、かつ前記主回路と前記サブ回路が電源装置のスーパーキャパシタモジュール及び二次電池とそれぞれ結合され、前記主回路が充放電回路であり、前記サブ回路が小電流充電回路であり、これにより前記二次電池に選択的に前記主回路または前記サブ回路を介して前記スーパーキャパシタモジュールに充電させ、かつ前記スーパーキャパシタモジュールが前記主回路を介して対外的に放電し、
前記検出ユニットが、第1電圧検出器と、第2電圧検出器と、温度検出器を含み、前記第1電圧検出器が外部電圧V1の検出に用いられ、前記第2電圧検出器が前記スーパーキャパシタモジュールの電圧V3の検出に用いられ、前記温度検出器が前記スーパーキャパシタモジュール内部の環境温度値T1の検出に用いられ、
前記コントローラユニットが、第1コントローラと、第2コントローラを含み、前記第1コントローラが、前記スーパーキャパシタモジュールと前記二次電池が前記主回路を介して閉路を形成するか否かの制御に用いられ、前記第2コントローラが、前記スーパーキャパシタモジュールと前記二次電池が前記サブ回路を介して閉路を形成するか否かの制御に用いられ、これにより前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を制御し、
前記処理ユニットが演算と処理を行うプロセッサであり、前記外部電圧V1、前記電圧V3、前記環境温度値T1、所定の前記スーパーキャパシタモジュールの飽和充電電圧V2、前記スーパーキャパシタモジュールを構成するスーパーキャパシタ単体の安全温度値T2に基づき、比較、演算、処理を行い、処理結果に基づき前記コントローラユニットに信号を送信し、前記第1コントローラ及び前記第2コントローラを作動させ、
V1>V2またはT1>T2のいずれかの条件が満たされたとき、前記第1コントローラ及び前記第2コントローラを切断して、前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を不能とし、V1>V2またはT1>T2のいずれかの条件が満たされたときであって、V1-V3>5Vの条件が成立しないとき、主回路及び該主回路を介して閉路を形成するか否かを制御する第1コントローラを通して、前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を可能にし、V1-V3>5Vの条件が成立したとき、小電流充電回路であるサブ回路及び該サブ回路を介して閉路を形成するか否かを制御する第2コントローラを通して、前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を可能とする、ことを特徴とする、車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置。
【請求項4】
前記第1コントローラが前記主回路及び前記二次電池と直列接続され、前記第2コントローラが前記サブ回路及び前記二次電池と直列接続される、ことを特徴とする、請求項3に記載の車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置。
【請求項5】
前記第1コントローラが前記主回路及び前記スーパーキャパシタモジュールと直列接続され、前記第2コントローラが前記サブ回路及び前記スーパーキャパシタモジュールと直列接続される、ことを特徴とする、請求項3に記載の車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の給電分野に関し、特に、車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法及びこの保護方法を実行する車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車に用いる電源装置は、二次電池をスターターバッテリーとして構成されており、自動車のスターターモーターやその他の電力を使用する装置(例:ECU、ライト等)に対して電力を供給する。該スターターバッテリーが電力を供給してスターターモーターを駆動し、自動車のエンジンを始動させ、エンジンで発電機を駆動し、発電機が電力を生成してスターターバッテリーを充電する。
【0003】
自動車のアイドリングストップシステムと低温始動のニーズに基づき、
図1に示すような電源装置100が開発されている。この電源装置100は主に、スーパーキャパシタモジュール120と二次電池140を並列接続して構成され、エンジンを始動させたいときは、スーパーキャパシタモジュール120がスターターモーターに電力を供給する。スーパーキャパシタモジュール120にはメモリ効果がなく、かつ、スーパーキャパシタモジュール120の瞬間的な大電流放電と複数回の再充電が可能な特性を利用して、電源装置100の耐用年数を向上させることができる。
【0004】
スーパーキャパシタモジュール120の設置時は、通常、抵抗値が大きい抵抗器をスーパーキャパシタモジュール120に接続して回路を形成した後、スーパーキャパシタモジュール120を二次電池140に接続し、完了後に抵抗器を取り外す。
あらかじめ抵抗器を設置することで、スーパーキャパシタモジュール120と二次電池140が接続されている間に、二次電池140がスーパーキャパシタモジュール120に対して充電を開始することを回避し、スーパーキャパシタモジュール120が放電可能な状態にならないようにすることで、設置者の不用意な接触による感電の危険を防止することができる。
【0005】
一般に、自動車のエンジン始動の瞬間に、瞬間的な高速回転によって、該発電機は14Vにまで達する電力の瞬間電圧を発生でき、その後エンジンがアイドリング回転になると、電圧値は13Vまで下がる。自動車がエアコンをつけずに正常に走行しているとき、該発電機の出力する電力の電圧値は約13.2Vで、エアコンをつけると該発電機の出力する電力の電圧値は約13.5V~13.6Vになる。
一般的な状況下で、発電機によるスーパーキャパシタモジュール120の充電は、スーパーキャパシタモジュール120に損傷を与えることはないが、何らかの原因で該発電機の電圧が上がった場合、スーパーキャパシタモジュール120に悪影響を与え、スーパーキャパシタモジュール120の温度上昇を引き起こす。
【0006】
スーパーキャパシタモジュール120は通常、複数のスーパーキャパシタ単体で構成されており、いずれかのスーパーキャパシタ単体が破損した場合(例:電極片の異常短絡)、充電を続けると、電極片の短絡部位の温度が上昇し始め、スーパーキャパシタ単体の電解質が加熱され、電解質が温度上昇によって気化し、スーパーキャパシタモジュール120内の圧力が上昇して、最終的には爆発に至る。
【0007】
特許文献1には、内燃機関車用スーパーキャパシタ補助始動システムが開示されている。このシステムは、スーパーキャパシタモジュールの高出力密度と良好な低温特性の特徴を利用し、充電にはDC/DCモジュールを採用して、SEPIC主回路でバッテリーパックのDC/DC変換を行い、調整可能な電圧と電流でスーパーキャパシタモジュールを充電することで充電効率を向上させ、放電時には大出力ダイオードを採用して放電電流を増加させ、スーパーキャパシタの高出力密度の利点を充分に生かし、瞬間的に内燃機関の始動に十分な始動電流を供給する。かつスーパーキャパシタモジュールの平衡制御回路を追加することで、各モジュール間の電圧をリアルタイムで平衡化し、スーパーキャパシタモジュールの安定性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、スーパーキャパシタモジュールの設置時の安全性を高め、スーパーキャパシタモジュールを保護することができる、車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法及びこの保護方法を実行する保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するため、本発明の車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法は、自動車の電源装置に用いられ、前記電源装置が、スーパーキャパシタモジュールと二次電池を並列接続して構成され、前記保護方法が、
前記二次電池と前記スーパーキャパシタモジュールを連通する回路を開路の状態に保ち、電圧値が0の前記スーパーキャパシタモジュールを前記電源装置に設置する、設置工程と、
前記スーパーキャパシタモジュールの保護条件が満たされているか否かを判断する工程であって、外部電圧をV1、前記スーパーキャパシタモジュールの飽和充電電圧をV2、前記スーパーキャパシタモジュール内部の環境温度値をT1、前記スーパーキャパシタモジュールを構成するスーパーキャパシタ単体の安全温度値をT2と定義し、V1>V2またはT1>T2のいずれかの条件が満たされたとき、前記スーパーキャパシタモジュールの保護条件が満たされており、V1>V2及びT1>T2のいずれも満たされないとき、前記スーパーキャパシタモジュールの保護条件が満たされていないとする、判断工程と、
保護条件が満たされているとき、前記スーパーキャパシタモジュールと前記二次電池間に開回路を形成し、前記スーパーキャパシタモジュールが充電も放電もできないようにする、保護モード工程と、
保護条件が満たされていないとき、前記スーパーキャパシタモジュールと前記二次電池間に閉路を形成し、前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を可能にする、動作モード工程と、を含み、
前記保護モード工程または動作モード工程の後、前記判断工程を再度実行し、判断結果に基づき前記保護モード工程または動作モード工程を実行する。
【0011】
本発明の車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置は、検出ユニットと、主回路と、サブ回路と、コントローラユニットと、処理ユニットを含み、前記検出ユニットと前記コントローラユニットが前記処理ユニットとそれぞれ結合され、前記主回路と前記サブ回路が並列接続され、かつ前記主回路と前記サブ回路が電源装置のスーパーキャパシタモジュール及び二次電池とそれぞれ結合され、前記主回路が充放電回路であり、前記サブ回路が小電流充電回路であり、これにより前記二次電池に選択的に前記主回路または前記サブ回路を介して前記スーパーキャパシタモジュールに充電させ、かつ前記スーパーキャパシタモジュールが前記主回路を介して対外的に放電し、
前記検出ユニットが、第1電圧検出器と、第2電圧検出器と、温度検出器を含み、前記第1電圧検出器が外部電圧V1の検出に用いられ、前記第2電圧検出器が前記スーパーキャパシタモジュールの電圧V3の検出に用いられ、前記温度検出器が前記スーパーキャパシタモジュール内部の環境温度値T1の検出に用いられ、
前記コントローラユニットが、第1コントローラと、第2コントローラを含み、前記第1コントローラが、前記スーパーキャパシタモジュールと前記二次電池が前記主回路を介して閉路を形成するか否かの制御に用いられ、前記第2コントローラが、前記スーパーキャパシタモジュールと前記二次電池が前記サブ回路を介して閉路を形成するか否かの制御に用いられ、これにより前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を制御し、
前記処理ユニットが演算と処理を行うプロセッサであり、前記外部電圧V1、前記電圧V3、前記環境温度値T1、所定の前記スーパーキャパシタモジュールの飽和充電電圧V2、前記スーパーキャパシタモジュールを構成するスーパーキャパシタ単体の安全温度値T2に基づき、比較、演算、処理を行い、処理結果に基づき前記コントローラユニットに信号を送信し、前記第1コントローラ及び前記第2コントローラを作動させ、これにより前記スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スーパーキャパシタモジュールの保護条件が満たされているか否かを判断し、該スーパーキャパシタモジュールの充電と放電を可能にするか否かの根拠とすることで、該スーパーキャパシタモジュールの充電電圧が高すぎる、または温度が高すぎることによる潜在的危険を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の実施形態に係る車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置を設置した電源装置の回路ブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る保護実行過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0015】
図2と
図3に示すように、本発明の車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法は、自動車の電源装置10に用いられる。電源装置10は、主に、スーパーキャパシタモジュール12と、二次電池14を並列接続して構成される。
本発明の車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法は、主に、次の工程を実行して達成される。
【0016】
設置工程では、自動車のエンジンを停止させ、かつ二次電池14とスーパーキャパシタモジュール12の間を連通する回路の電路を開路の状態に保ち、電圧値が0のスーパーキャパシタモジュール12を電源装置10に設置する。ここで、スーパーキャパシタモジュール12は複数のスーパーキャパシタ単体(図示しない)を直列接続または並列接続して構成され、設置者を保護するため、スーパーキャパシタモジュール12が設置時に放電しないように、スーパーキャパシタモジュール12は設置前に充分に放電させておく必要がある。
【0017】
次の判断工程では、スーパーキャパシタモジュール12の保護条件が満たされているか否かを判断する。
外部電圧をV1、スーパーキャパシタモジュール12の飽和充電電圧をV2と定義し、自動車のエンジンが停止した状態で、外部電圧V1とは二次電池14の電圧を指し、自動車の発電機が運転されている状態で、外部電圧V1とは発電機が生成する電力の電圧及び二次電池14の電圧のうち高いほうの電圧値を指す。
電源装置10が小型自動車に応用される状況において、V2は通常14.5Vであるが、14.5Vのみに限定されない。
スーパーキャパシタモジュール12内部の環境温度値がT1であり、スーパーキャパシタモジュール12を構成するスーパーキャパシタ単体の安全温度値がT2である。安全温度値とは、スーパーキャパシタ単体の過熱温度に基づいて決定され、一般的に、T2は80℃である。
V1>V2またはT1>T2のいずれかの条件が成立したとき、スーパーキャパシタモジュール12の保護条件が満たされたと判断し、V1>V2またはT1>T2のいずれも成立しないとき、スーパーキャパシタモジュール12の保護条件が満たされていないと判断する。
【0018】
判断工程において保護条件が満たされたと判断されると、保護モード工程に入る。
保護モード工程では、スーパーキャパシタモジュール12と二次電池14間に開路を形成し、スーパーキャパシタモジュール12が充電も放電もできないようにする。V1がV2より高いとき、スーパーキャパシタモジュール12が充電を行うことを回避し、またT1>T2のとき、スーパーキャパシタモジュール12が充電を行うことを回避することで、いずれか1つまたは複数のスーパーキャパシタ単体の異常な温度上昇を防止し、これにより該スーパーキャパシタ単体の電解質が気化することによる爆発を回避する。
【0019】
判断工程において保護条件が満たされていないと判断されると、動作モード工程に入る。
動作モード工程では、スーパーキャパシタモジュール12と二次電池14間に閉路を形成し、スーパーキャパシタモジュール12の充電と放電を可能にする。
【0020】
保護モードまたは動作モードに入った後、継続して、または一定時間ごとに、前述の判断工程を再度実行し、スーパーキャパシタモジュール12の保護条件が満たされているか否かを判断し、判断結果に基づき前述の保護モードまたは動作モードを実行することを選択できる。
【0021】
本発明は、スーパーキャパシタモジュール12の保護条件が満たされているか否かの判断を、スーパーキャパシタモジュール12が充電と放電が可能な動作モードに入るか否かの根拠とすることで、スーパーキャパシタモジュール12の充電電圧が高すぎる、または温度が高すぎることによる潜在的危険を回避する。
【0022】
また、自動車のエンジンが停止しており、かつ二次電池14とスーパーキャパシタモジュール12の間を連通する電路を開路に保った状態下で、スーパーキャパシタモジュール12を電源装置10に設置する。
設置者を保護するため、スーパーキャパシタモジュール12の電圧を0にさせて放電しないように、設置前に、スーパーキャパシタモジュール12は予め充分に放電させておく必要がある。
【0023】
図3に示すように、前述の車用スーパーキャパシタモジュールの保護方法を実行する車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置は、検出ユニット20と、主回路32と、サブ回路34と、コントローラユニット40と、処理ユニット50を含む。
検出ユニット20と処理ユニット50が結合され、検出ユニット20が第1電圧検出器22と、第2電圧検出器24と、温度検出器26を含む。第1電圧検出器22が外部電圧V1の検出に用いられ、第2電圧検出器24がスーパーキャパシタモジュール12の電圧V3の検出に用いられ、温度検出器26がスーパーキャパシタモジュール12内部の環境温度値T1の検出に用いられ、第1電圧検出器22、第2電圧検出器24、温度検出器26がそれぞれ検出で得た値を処理ユニット50に伝送する。
【0024】
主回路32がサブ回路34と並列接続され、かつ主回路32とサブ回路34がそれぞれスーパーキャパシタモジュール12及び二次電池14に結合される。主回路32は充放電回路であり、サブ回路34は小電流充電回路である。
これにより、二次電池14に選択的に主回路32またはサブ回路34を介してスーパーキャパシタモジュール12に充電させ、かつスーパーキャパシタモジュール12が主回路32を介して対外的に放電することができる。
【0025】
コントローラユニット40は処理ユニット50と結合され、コントローラユニット40が、第1コントローラ42と、第2コントローラ44を含む。第1コントローラ42は主回路32及び二次電池14と直列接続され、第2コントローラ44がサブ回路34及び二次電池14と直列接続される。これにより、第1コントローラ42はスーパーキャパシタモジュール12と二次電池14が主回路32を介して閉路を形成するか否かを制御し、第2コントローラ44はスーパーキャパシタモジュール12と二次電池14がサブ回路34を介して閉路を形成するか否かを制御することで、スーパーキャパシタモジュール12の充電と放電を制御する。
【0026】
なお、第1コントローラ42が主回路32及びスーパーキャパシタモジュール12と直列接続され、第2コントローラ44がサブ回路34及びスーパーキャパシタモジュール12と直列接続するように置き換えてもよく、これにより車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置の別の実施形態とすることができる。
【0027】
第1コントローラ42及び第2コントローラ44は、それぞれ金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Filed-Effect Transistor、通称MOSFET)または継電器から選択して構成することができる。
【0028】
処理ユニット50は演算及び処理を行うプロセッサ(CPU)であり、所定のスーパーキャパシタモジュール12の飽和充電電圧V2、スーパーキャパシタモジュール12を構成するスーパーキャパシタ単体の安全温度値T2及び検出ユニット20が検出して得た外部電圧V1、電圧V3及び環境温度値T1に基づいて、処理ユニット50が比較、演算、処理を行い、処理結果に基づきコントローラユニット40に信号を送信し、第1コントローラ42及び第2コントローラ44を作動させ、これによりスーパーキャパシタモジュール12の充電と放電を制御する。
【0029】
図4に示すように、車用スーパーキャパシタモジュールの保護装置が実行する保護方法は、次のとおりである。
【0030】
第1コントローラ42と第2コントローラ44が切断された状態下で、スーパーキャパシタモジュール12の設置を行う。これにより、スーパーキャパシタモジュール12の設置過程で該二次電池14がスーパーキャパシタモジュール12に対して充電を行うことがなく、設置者を保護し、感電事故の発生を回避することができる。
【0031】
スーパーキャパシタモジュール12の設置が完了した後、保護条件が満たされているか否かの判断を開始する。このとき、検出ユニット20が外部電圧V1、電圧V3及び環境温度値T1を検出し、処理ユニット50は外部電圧V1が飽和充電電圧V2より高いか否か、環境温度値T1が安全温度値T2より高いか否かを比較する。V1>V2またはT1>T2のいずれかの条件が成立したとき、保護条件が満たされたことになり、V1>V2及びT1>T2のいずれも成立しないとき、保護条件が満たされていないことになる。
【0032】
保護条件が満たされると、保護モードが作動する。このとき、処理ユニット50がコントローラユニット40に対して信号を送信し、第1コントローラ42と第2コントローラ44がいずれも切断されているため、スーパーキャパシタモジュール12は充電も放電もできない。保護モードの作動後、再度保護条件が満たされているか否かの判断が実行される。
【0033】
保護条件が満たされていない場合、さらに第1コントローラ42が切断状態にあるか否かが判断される。
第1コントローラ42が連通状態にあるとき、動作モードが作動して、処理ユニット50がコントローラユニット40に対して信号を送信し、第1コントローラ42の連通状態が保たれ、第2コントローラ44が切断状態となり、スーパーキャパシタモジュール12は主回路32を介して充電及び放電を行うことができ、二次電池14または自動車の発電機はサブ回路34を介してスーパーキャパシタモジュール12に充電することができない。
第1コントローラ42が切断状態にあるとき、処理ユニット50が外部電圧V1と電圧V3の差が5Vより高いか否かを計算し、V1-V3>5Vの条件が成立しないとき、処理ユニット50がコントローラユニット40に対して信号を送信し、動作モードが作動して、第1コントローラ42が連通され、第2コントローラ44が切断される。
【0034】
V1-V3>5Vの条件が成立したときは、小電流充電モードが作動する。このとき、処理ユニット50がコントローラユニット40に対して信号を送信し、第1コントローラ42が切断され、第2コントローラ44が連通されて、二次電池14がサブ回路34を介してスーパーキャパシタモジュール12に対し小電流充電を行う。
V1-V3>5Vの条件が成立しているため、二次電池14がスーパーキャパシタモジュール12に対して小電流充電を行い、主回路32を介してスーパーキャパシタモジュール12に充電することはできず、二次電池14とスーパーキャパシタモジュール12間の電圧差が大きすぎ、大電流が主回路32を通過して第1コントローラ42を破損する事態を回避することができる。
【0035】
小電流充電モードの作動後、第1コントローラ42が切断状態にあるか否かを再度判断し、判断結果に基づいて、V1-V3>5Vの条件が成立するか否かの判断を行うか、動作モードを作動することを選択する。
【0036】
V1-V3で得られた差の値の比較値5Vは必要に応じて変えることができ、5Vに限定されず、5Vはサンプルの実際のテストで得た経験値に基づいている。
【符号の説明】
【0037】
10 電源装置
12 スーパーキャパシタモジュール
14 二次電池
20 検出ユニット
22 第1電圧検出器
24 第2電圧検出器
26 温度検出器
32 主回路
34 サブ回路
40 コントローラユニット
42 第1コントローラ
44 第2コントローラ
50 処理ユニット