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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】記録装置及び記録方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20230119BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230119BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20230119BHJP
   G10L 25/51 20130101ALI20230119BHJP
   H04N 5/92 20060101ALI20230119BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
H04N7/18 J
H04N5/77
G10L25/51
H04N7/18 K
H04N7/18 U
H04N5/92 020
G08G1/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019057431
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020160630
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(72)【発明者】
【氏名】清水 拓磨
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107168(JP,A)
【文献】特開2011-076443(JP,A)
【文献】特開2018-148324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00 -15/00
G08G 1/00 -99/00
B60R 1/00 - 1/04,
1/08 - 1/31,
11/00 -11/06,
16/00 -16/08,
25/00 -99/00
H04N 5/222- 5/257
5/76 - 5/775,
5/80 - 5/956,
7/18
G10L 13/00 -13/10,
19/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたカメラによって撮影された車両周辺画像に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する画像煽り判定部と、
前記車両に搭載されたマイクによって集音された車両周辺音声に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する音声煽り判定部と、
前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された場合、前記画像煽り判定部が煽り運転を受けていると判定するか否かに関わらず、前記車両周辺画像と前記車両周辺音声とを記録部に記録するように前記記録部を制御する制御部と、を有し、
前記画像煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定した時刻を含む所定期間内に、前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された場合、前記制御部は、前記画像煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された時刻と、前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された時刻とを含む期間に生成された前記車両周辺画像と前記車両周辺音声とを記録するように、前記記録部を制御する、記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記画像煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定され、前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていないと判定された場合、
前記制御部は、前記車両周辺画像を記録し、前記車両周辺音声を記録しないように前記記録部を制御する、記録装置。
【請求項3】
記録装置の演算装置が行う記録方法であって、
車両に搭載されたカメラによって撮影された車両周辺画像に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する画像煽り判定工程と、
前記車両に搭載されたマイクによって集音された車両周辺音声に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する音声煽り判定工程と、
前記車両周辺音声に基づいて煽り運転を受けていると判定した場合、前記車両周辺画像と前記車両周辺音声とを記録部に記録し、
前記車両周辺画像に基づいて煽り運転を受けていると判定した時刻を含む所定期間内に、前記車両周辺音声に基づいて煽り運転を受けていると判定した場合、前記車両周辺画像に基づいて煽り運転を受けていると判定した時刻と、前記車両周辺音声に基づいて煽り運転を受けていると判定した時刻とを含む期間に生成した前記車両周辺画像と前記車両周辺音声とを記録するように、前記記録部を制御する制御工程と、
を備える記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の車両は、他車両から極端に車間距離を詰められたり、執拗にクラクションを鳴らされたりすることがある。これらの他車両による行為は、煽り運転と呼ばれる危険度の高い行為の一つである。車両が、他車両から煽り運転を受けたことが原因で交通事故を起こした場合、車両に搭載されたドライブレコーダに記録された画像や音声が、煽り運転を受けた証拠として採用される場合がある。特許文献1は、煽り運転を行った車両の画像を記録するドライブレコーダを開示している。
【0003】
しかしながら、他車両による煽り運転においては種々の煽り行為があり、種々の行為を記録することについては改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-112892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、他車両による種々の煽り行為を記録できる記録装置及び記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1の発明)
第1の発明に係る記録装置は、車両に搭載されたカメラによって撮影された車両周辺画像を取得する画像取得部と、前記車両に搭載されたマイクによって集音された車両周辺音声を取得する音声取得部と、前記撮影された車両周辺画像に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する画像煽り判定部と、前記集音された車両周辺音声に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する音声煽り判定部と、前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された場合、前記画像煽り判定部が煽り運転を受けていると判定するか否かに関わらず、前記車両周辺画像と前記車両周辺音声とを記録部に記録するように前記記録部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
第1の発明において、記録装置は、車両がクラクション等の音による煽り運転を受けた場合に、画像と音声とを記録する。つまり、煽り運転を行っている車両が車間距離を詰めていなくても煽り運転を判定することができる。このため、第1の発明は、他車両による種々の煽り運転を記録することができる。
【0008】
(第2の発明)
第2の発明に係る記録装置は、前記画像煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定され、前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていないと判定された場合、前記制御部は、前記車両周辺画像を記録し、前記車両周辺音声を記録しないように前記記録部を制御する。
【0009】
第2の発明において、記録装置は、車両がクラクション等の音による煽り運転は受けていないが、幅寄せや車間距離を詰められる等の煽り運転を受けた場合に、画像を記録する。このため、第2の発明は、記録部の容量を効率的に使用することができる。
【0010】
(第3の発明)
第3の発明に係る記録装置は、前記画像煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された時刻から所定時間以内に、前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された場合、前記制御部は、前記画像煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された時刻と、前記音声煽り判定部によって煽り運転を受けていると判定された時刻とを含む期間に生成された前記車両周辺画像と前記車両周辺音声とを記録するように、前記記録部を制御する。
【0011】
第3の発明において、記録装置は、車両が幅寄せや車間距離を詰められる等の煽り運転を受けている最中にクラクション等の音による煽り運転を受けた場合、幅寄せや車間距離を詰められる等の煽り運転を受け始めた時刻に遡って画像と音声とを記録する。つまり、他車両によって同時並行的に行われる種々の煽り行為を記録することができる。
【0012】
(第4の発明)
第4の発明に係る記録方法は、車両に搭載されたカメラによって撮影された車両周辺画像を取得する画像取得工程と、前記車両に搭載されたマイクによって集音された車両周辺音声を取得する音声取得工程と、前記撮影された車両周辺画像に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する画像煽り判定工程と、前記集音された車両周辺音声に基づいて、前記車両が煽り運転を受けているか否かを判定する音声煽り判定工程と、前記音声煽り判定工程によって煽り運転を受けていると判定された場合、前記画像煽り判定工程が煽り運転を受けていると判定するか否かに関わらず、前記車両周辺画像と前記車両周辺音声とを記録部に記録するように前記記録部を制御する制御工程と、を備える。
【0013】
第4の発明は、第1の発明に用いられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、他車両による種々の煽り行為を記録する記録装置及び記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る記録装置を搭載した車両の概略図の一例を示す。
図2図1に示した記録装置の機能ブロック図の一例を示す。
図3図2に示した記録装置に備わる制御部のフローチャートの一例を示す。
図4】車両周辺画像を用いた車両と他車両との相対的位置特定の第1例を示す。
図5】車両周辺画像を用いた車両と他車両との相対的位置特定の第2例を示す。
図6図1に示した車両と他車両との相対的位置を示す図の一例を示す。
図7】煽り運転の検出パターン1に係るタイミングチャートの一例を示す。
図8】煽り運転の検出パターン2に係るタイミングチャートの一例を示す。
図9】煽り運転の検出パターン3に係るタイミングチャートの第1例を示す。
図10】煽り運転の検出パターン3に係るタイミングチャートの第2例を示す。
図11】CPU等を接続するバス構成図の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。また、これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のもの、又は相当するものを示すものとする。
【0017】
図1に本発明の実施形態に係る記録装置を搭載した車両1を示す。図1において、カメラ10と、マイク11と、記録装置20とは、見易くするために実線で示しているが、実際には車両1の内部に配置されている。
【0018】
以下の説明では、車両1の「前方」「後方」という語を用いる。車両1の「前方」とは、車両1の直進方向であって、運転席からステアリングホイールに向かう方向である。車両1の「後方」とは、車両1の前方の反対方向である。
【0019】
図1において、カメラ10は、車両1の後部に搭載されたリアカメラである。カメラ10は、車両1の後方を撮影し、複数のフレームを含む動画像である車両周辺画像10Aを生成する。カメラ10は、生成した車両周辺画像10Aを記録装置20に供給する。
【0020】
マイク11は、車両1の後部に搭載されている。マイク11は、特定の方向からの音声を集音できるような指向性マイクでもよい。マイク11が指向性マイクである場合、マイク11は、指向方向が車両1の後方に向けられるように車両1に取り付けられる。マイク11は、車両1の後方の音声を集音し、車両周辺音声11Aを生成する。マイク11は、生成した車両周辺音声11Aを記録装置20に供給する。
【0021】
記録装置20は、カメラ10が生成した車両周辺画像10Aと、マイク11が生成した車両周辺音声11Aとを受ける。記録装置20は、受けた車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを符号化し、符号化した車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを記録する。
【0022】
以下、記録装置20が搭載されている車両1の構成についての説明は省略する。
【0023】
<記録装置20の構成>
図2に、記録装置20の構成を示す機能ブロック図を示す。記録装置20は、画像取得部21と、音声取得部22と、画像煽り判定部23と、音声煽り判定部24と、制御部25と、記録部26と、を備える。
【0024】
画像取得部21は、カメラ10から車両周辺画像10Aを受け、その受けた車両周辺画像10Aを画像煽り判定部23に出力する。
【0025】
画像煽り判定部23は、受けた車両周辺画像10Aに含まれるフレームを、画像取得部21から取得する。画像煽り判定部23は、取得したフレームを用いて、車両1から車両1の後方を走行する他車両までの距離を特定する。画像煽り判定部23は、特定した距離に基づいて車両1が他車両によって煽り運転を受けているか否かを判定する。画像煽り判定部23による煽り運転の判定の詳細については、後述する。
【0026】
音声取得部22は、マイク11から車両周辺音声11Aを受け、その受けた車両周辺音声11Aを音声煽り判定部24に出力する。
【0027】
音声煽り判定部24は音声取得部22から車両周辺音声11Aを受ける。音声煽り判定部24は、受けた車両周辺音声11Aを用いて、車両1が他車両から、例えばクラクションによる煽り運転を受けているか否かを判定する。音声煽り判定部24による煽り運転の判定の詳細については、後述する。
【0028】
制御部25は、画像煽り判定部23の判定結果と音声煽り判定部24の判定結果とに基づいて、記録部26を制御する。具体的には、制御部25は、音声煽り判定部24によって煽り運転を受けていると判定された場合、画像煽り判定部23が煽り運転を受けていると判定するか否かに関わらず、車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを記録するように、記録部26を制御する。
【0029】
記録部26は、カメラ10によって生成された車両周辺画像10Aと、マイク11によって生成された車両周辺音声11Aとを記録する。また、記録部26は、リングバッファとして用いられる。これにより、記録部26は、車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを一時的に保存することができる。
【0030】
ここで、「記録」とは、記録部26に書き込まれた車両周辺画像10A及び車両周辺音声11Aが上書きされないように、車両周辺画像10A及び車両周辺音声11Aを管理することを指す。「一時的に保存」とは、記録部26に書き込まれた車両周辺画像10A及び車両周辺音声11Aが、後で取得された車両周辺画像10A及び車両周辺音声11Aにより上書きされることを指す。
【0031】
<制御部25の動作>
制御部25の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。制御部25は、イグニッション信号がONになると、本フローチャートを実行する。また、制御部25は、イグニッション信号がOFFになるまで、繰り返し本フローチャートを実行する。
【0032】
先ず、制御部25は、音声煽り判定部24が音声による煽り運転を検出した場合(ステップS101においてYes)、車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを記録するように、記録部26を制御する(ステップS102)。
【0033】
制御部25は、音声による煽り運転が検出されなかったが(ステップS101においてNo)、画像煽り判定部23が煽り運転を検出した場合(ステップS103においてYes)、車両周辺画像10Aを記録するよう、記録部26を制御する(ステップS104)。ステップS104では、車両周辺音声11Aは、記録部26に記録されない。
【0034】
したがって、記録装置20は、車両1がクラクション等の音声による煽り運転を受けた場合に、車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを記録する。このため、記録装置20は、他車両による種々の煽り運転を記録することができる。
【0035】
<画像煽り判定部23の動作>
画像煽り判定部23は、イグニッション信号がONになると、動作を開始する。図4及び図5を用いて、画像煽り判定部23によって行われる、車両1が他車両によって煽り運転を受けているか否かの判定について説明する。図4及び図5において、車両2は、他車両に相当する。
【0036】
図4は時刻T1における車両周辺画像10Aであり、図5は時刻T1より後の時刻である時刻T2における車両周辺画像10Aである。画像煽り判定部23は、図4及び図5に示した距離閾値線Lthと、車両2との位置関係に基づいて、車両1が車両2によって煽り運転を受けているか否かを判定する。距離閾値線Lthの位置は、カメラ10が車両1に取り付けられた位置と、車両1の上下方向とカメラ10の光軸方向とがなす角度と、車両1の速度によって決まる。
【0037】
実際の車両1と車両2との距離は、車両2が距離閾値線Lthよりも上側にある場合よりも、車両2が距離閾値線Lthよりも下側にある場合の方が近い。したがって、画像煽り判定部23は、車両2の少なくとも一部が距離閾値線Lthよりも下側に位置する場合に、車両1が車両2によって煽り運転を受けていると判定する。
【0038】
図4において、車両2は、距離閾値線Lthよりも上側にある。このため、画像煽り判定部23は、時刻T1において、車両1は車両2によって煽り運転を受けていないと判定する。また、図5において、車両2は、距離閾値線Lthよりも下側にある。このため、画像煽り判定部23は、時刻T2において、車両1は車両2によって煽り運転を受けていると判定する。画像煽り判定部23は、車両1が車両2によって煽り運転を受けていると判定した場合、画像煽り判定があったことを、制御部25に供給する。
【0039】
<音声煽り判定部24の動作>
音声煽り判定部24は、イグニッション信号がONになると、動作を開始する。図6を用いて、音声煽り判定部24によって行われる、車両1が他車両によって煽り運転を受けているか否かの判定について説明する。
【0040】
図6に示した距離閾値Dthは、図4及び図5に示した距離閾値線Lthに相当する位置である。図6において、実線で示した車両2の位置は時刻T1における車両2の位置に相当し、車両1から後方に距離D1離れている。また、図6において、破線で示した車両2の位置は時刻T2における車両2の位置に相当し、車両1から後方に距離D2離れている。距離D2は、距離D1よりも短い。
【0041】
したがって、車両2が車両1から距離D1離れた位置にて執拗にクラクションを鳴らしている場合、画像煽り判定部23は車両1が煽り運転を受けていないと判定する。しかし、車両2が車両1に対して執拗にクラクションを鳴らすような行為は、車両1からしてみれば車両2から煽り運転を受けていると考えるのが一般的である。
【0042】
そこで、音声煽り判定部24は、車両1が車両2から受ける執拗なクラクションの吹鳴を煽り運転として判定する。具体的には、マイク11が集音した車両周辺音声11Aの周波数や音量等からクラクション音を同定し、当該クラクション音が所定の方向(例えば車両1の後方)から所定時間断続的(例えば集音間隔が5秒以内で継続する場合)に集音される場合に、車両1が他車両から煽り運転を受けていると判定する。音声煽り判定部24は、車両1が他車両よって煽り運転を受けていると判定した場合、音声煽り判定があったことを、制御部25に通知する。
【0043】
以下、記録装置20の動作を、煽り運転の複数の検出パターンに分けて説明する。
【0044】
(検出パターン1)
煽り運転の検出パターン1について、図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。基準時刻T11は、音声煽り判定部24が煽り運転を受けていると判定した時刻である。また、基準時刻T11から所定時間を遡った時刻を記録開始時刻T10とし、基準時刻T11から所定時間を経過した時刻を記録終了時刻T12とする。所定時間は、例えば、10秒であり、任意に設定されてもよい。
【0045】
制御部25は、通常時は、リングバッファに車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを一時保存するように記録部26を制御する。したがって、記録装置20は、リングバッファの容量が一時保存されたデータで一杯になると、新たに生成された車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを用いて、書き込み時刻の最も古いデータを随時上書きしながら一時保存する。そして、時刻T11において音声による煽り運転が検出された場合、制御部25は、記録開始時刻T10から記録終了時刻T12までの車両周辺画像10A及び車両周辺音声11Aのデータを連続的に記録するよう、記録部26を制御する。制御部25の制御により記録部26が記録したデータは、上書きの対象外とすることで保護される。これにより、記録装置20は、記録部26を効率的に使用しつつ、音声による煽り行為を記録することができる。
【0046】
(検出パターン2)
煽り運転の検出パターン2について、図8に示すタイミングチャートを用いて説明する。基準時刻T21は、画像煽り判定部23が煽り運転を受けていると判定した時刻である。また、基準時刻T21から所定時間を遡った時刻を記録開始時刻T20とし、基準時刻T21から所定時間を経過した時刻を記録終了時刻T22とする。所定時間は、パターン1と同じである。
【0047】
画像煽り判定部23は、時刻T21において車両1が煽り運転を受けていると判定する。音声煽り判定部24は、記録開始時刻T20から記録終了時刻T22までの期間において、車両1が煽り運転を受けていないと判定する。この場合、制御部25は、記録開始時刻T20から記録終了時刻T22までの車両周辺画像10Aのデータを連続的に記録するよう、記録部26を制御する。記録開始時刻T20から記録終了時刻T22までの期間における車両周辺音声11Aは、記録部26に記録されない。これにより、記録装置20は、記録部26を効率的に使用することができる
【0048】
(検出パターン3)
煽り運転の検出パターン3について、図9及び図10に示すタイミングチャートを用いて説明する。基準時刻T31は、画像煽り判定部23が煽り運転を受けていると判定した時刻である。基準時刻T32は、音声煽り判定部24が煽り運転を受けていると判定した時刻である。また、基準時刻T31から所定時間を遡った時刻を記録開始時刻T30とし、基準時刻T32から所定時間を経過した時刻を記録終了時刻T33とする。所定時間は、検出パターン1と同じである。また、記録開始時刻T30を、基準時刻T32から所定時間遡った時刻としてもよく、記録終了時刻T33を、基準時刻T31から所定時間を経過した時刻としてもよい。
【0049】
図9は、画像煽り判定部23が煽り運転を受けていると判定し、制御部25が車両周辺画像10Aを記録するよう記録部26を制御する最中に、音声煽り判定部24が煽り運転を受けていると判定した場合である。この場合、制御部25は、車両周辺音声11Aの記録開始時刻を、画像により煽り運転を検出した基準時刻T31に基づく記録開始時刻T30に設定するよう記録部26を制御する。また、制御部25は、車両周辺画像10Aの記録終了時刻を、音声により煽り運転を検出した基準時刻T32に基づく記録終了時刻T33に設定するよう記録部26を制御する。
【0050】
図10は、音声煽り判定部24が煽り運転を受けていると判定した後に、画像煽り判定部23が煽り運転を受けていると判定した場合における記録期間の一例を示す。この場合、記録終了時刻は、画像に基づく煽り運転が検出された基準時刻T42から所定時間を経過した時刻T43に設定される。
【0051】
すなわち、画像煽り判定部23が煽り運転を受けていると判定した基準時刻を含む所定期間内に、音声煽り判定部24が煽り運転を受けていると判定した場合、制御部25は、画像煽り判定部23によって煽り運転を受けていると判定された時刻と、音声煽り判定部24によって煽り運転を受けていると判定された時刻とを含む期間に生成された、車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを記録するよう、記録部26を制御する。これにより、記録装置20は、他車両によって同時並行的に行われる種々の煽り行為を記録することができる。
【0052】
(変形例1)
上記実施形態において、カメラ10とマイク11とは、車両1の内部に配置される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。カメラ10とマイク11とは車両1の外部に配置されてもよい。カメラ10を車両1の外部に配置するので、車両1の内部に配置されたカメラ10が車両1のガラス越しに車両後方を撮影する場合と比較して、車両1のガラスの影響を排除した車両周辺画像10Aを生成することができる。また、マイク11を車両1の外部に配置するので、車両1の内部に配置されたマイク11が車両1のガラス越しに車両後方を集音する場合と比較して、車両1のガラスの影響を排除した車両周辺音声11Aを生成することができる。したがって、より明瞭な車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを生成することができる。カメラ10とマイク11とは、いずれか一方を車両1の内部に配置し、他方を車両1の外部に配置してもよい。
【0053】
(変形例2)
上記実施形態において、記録装置20は、1個のカメラ10と1個のマイク11とを用いて車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを生成する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。記録装置20は、複数のカメラ10と複数のマイク11とを用いて、車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを生成してもよい。記録装置20は、複数のカメラ10と複数のマイク11とを用いるので、1個のカメラ10と1個のマイク11とを用いて車両周辺画像10Aと車両周辺音声11Aとを生成する場合と比較して、煽り運転を行った車両の相対位置をより正確に特定できる。
【0054】
(変形例3)
上記実施の形態において、記録装置20の各機能ブロックは、LSI(Large Scale Integration)などの半導体装置により個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0055】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0056】
また、記録装置20により実行される処理の一部または全部は、プログラムにより実現されてもよい。そして、上記各実施の形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0057】
また、上記実施の形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0058】
例えば、記録装置20の各機能ブロックを、ソフトウェアにより実現する場合、図11に示したハードウェア構成(例えば、CPU、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態における処理方法の実行順序は、上記実施の形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で実行順序を入れ替えてもよい。
【0060】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 :車両
10 :カメラ
11 :マイク
20 :記録装置
21 :画像取得部
22 :音声取得部
23 :画像煽り判定部
24 :音声煽り判定部
25 :制御部
26 :記録部
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11