(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】無線電力伝送シート
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20230120BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20230120BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230120BHJP
【FI】
H02J50/40
H01F38/14
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2019039783
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2022-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 電子情報通信学会 刊行物名 電子情報通信学会2018年総合大会DVD 論文集 発行年月日 平成30年3月6日 集会名 電子情報通信学会2018年総合大会 開催日 平成30年3月21日 ウェブサイトのアドレス https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3287068 ウェブサイトの掲載日 平成30年12月27日 ウェブサイトのアドレス https://www.researchgate.net/publication/329954327_A_Cuttable_Wireless_Power_Transfer_Sheet ウェブサイトの掲載日 平成31年1月8日 ウェブサイトのアドレス https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3267570 ウェブサイトの掲載日 平成30年10月8日 集会名 ACM Ubicomp 2018 開催日 平成30年10月9日 ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=eBqJG65DhPQ ウェブサイトの掲載日 平成31年1月6日 ウェブサイトのアドレス http://www.akg.t.u-tokyo.ac.jp/archives/1891 ウェブサイトの掲載日 平成31年1月7日 展示会名 ERATO Kawahara Project Forum Enable 万有情報網の実現に向けて 開催日 平成30年9月29日 展示会名 2018年度MLAB/UIN リサーチフォーラム 開催日 平成30年11月13日 放送番組名 ワールドビジネスサテライト トレンドたまご 放送日 平成31年1月16日 放送番組名 めざましテレビ めざましSEVEN 放送日 平成31年1月23日 発行者名 日経産業新聞社 刊行物名 日経産業新聞 発行年月日 平成31年1月11日 公開者名 産経新聞社 ウェブサイトのアドレス https://www.sankei.com/life/news/190111/lif1901110005-n1.html?fbclid=IwAR27DltyGUvuTqj_rHVpe5otTdF■Rn3ASb_■Jc7TVnskQ2mUkpaXhAn3TS■ ウェブサイトの掲載日 平成31年1月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 朝日新聞社 刊行物名 朝日新聞 発行年月日 平成31年1月21日 公開者名 朝日新聞社 ウェブサイトのアドレス https://www.asahi.com/articles/ASM193JCKM19ULBJ005.html ウェブサイトの掲載日 平成31年1月21日 集会名 万有情報網の実現に向けて川原 圭博先生 講演会 開催日 平成30年10月4日 ウェブサイトのアドレス https://www.jst.go.jp/pr/announce/20190107-2/index.html ウェブサイトの掲載日 平成31年1月7日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度 国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、「川原万有情報網プロジェクト」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 圭博
(72)【発明者】
【氏名】成末 義哲
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 亮
(72)【発明者】
【氏名】笹谷 拓也
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 文徳
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-501633(JP,A)
【文献】特開昭62-023209(JP,A)
【文献】特表2010-508008(JP,A)
【文献】特開2006-019979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01F 38/14
H01F 38/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送電コイルをフレキシブル基板に配置した無線電力伝送シートであって、
第1段給電ポイントから等長の配線により接続したN個の送電コイルを有する、M個の第1段送電コイルユニットの各第1段給電ポイントに、第2段給電ポイントから等長の配線により接続して第2段送電コイルユニットとした、
ことを特徴とする無線電力伝送シート。
【請求項2】
請求項1記載の無線電力伝送シートであって、
M個の第2段送電コイルユニットの各第2段給電ポイントに、第3段給電ポイントから等長の配線により接続して第3段送電コイルユニットとした、
無線電力伝送シート。
【請求項3】
請求項2記載の無線電力伝送シートであって、
M個の前記第2段送電コイルユニットと前記第3段送電コイルユニットとの関係を段階的に繰り返してなる、
無線電力伝送シート。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の無線電力伝送シートであって、
前記Nおよび前記Mは4である、
無線電力伝送シート。
【請求項5】
請求項4記載の無線電力伝送シートであって、
前記第2段給電ポイントから前記4個の第1段送電コイルユニットの第1給電ポイントまでの配線は、線対称性または回転対称性を有する配線である、
無線電力伝送シート。
【請求項6】
請求項5記載の無線電力伝送シートであって、
前記第2段給電ポイントから前記4個の第1段送電コイルユニットの第1給電ポイントまでの配線はH字形状の配線である、
無線電力伝送シート。
【請求項7】
請求項6記載の無線電力伝送シートであって、
前記第1給電ポイントから前記4個の送電コイルまでの配線は、I字形状の配線であり、
前記第2段給電ポイントから前記4個の第1段送電コイルユニットの第1給電ポイントまでの配線は前記第1給電ポイントから前記4個の送電コイルまでの配線が形成されていない経路に形成されている、
無線電力伝送シート。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれか1つの請求項に記載の無線電力伝送シートであって、
前記第1段送電コイルユニットを形成するN個の送電コイルのうちの一部の送電コイルが切断された状態である、
無線電力伝送シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無線電力伝送シートとしては、複数の送電コイルと複数の位置検出コイルとを重ねてマトリックス状に配置したものが提案されている(例えば、非特許文献1,2参照)。このシートでは、位置検出コイルにより受電機器の位置を検出し、検出した位置の送電コイルに給電することにより、受電機器をシート上の何処においても給電可能としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】T. Sekitani, M. Takamiya, Y. Noguchi, S. Nakano, Y. Kato, T. Sakurai, and T. Someya, "A large-area wireless power-transmission sheet using printed organic transistors and plastic memsswitches," Nature materials, vol.6, no.6, pp.413-417, 2007.
【文献】M. Takamiya, T. Sekitani, Y. Miyamoto, Y. Noguchi, H. Kawaguchi, T. Someya, and T. Sakurai, "Wireless power transmission sheet with organic fets and plastic mems switches," Interna-tional Display Workshop (IDW), Sapporo, Japan, pp.95-98, 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の無線電力伝送シートでは、マトリックス状に配置した送電コイルにマトリックス状の配線により給電するから、1つの送電コイルが切断されると、この送電コイルに縦横に接続された送電コイルの一部が機能しなくなる。このため、無線電力伝送シートの設置に応じて切断することが困難となる。
【0005】
本発明の無線電力伝送シートは、設置場所に応じて切断可能な無線電力伝送シートを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線電力伝送シートは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の無線電力伝送シートは、
複数の送電コイルをフレキシブル基板に配置した無線電力伝送シートであって、
第1段給電ポイントから等長の配線により接続したN個の送電コイルを有する、M個の第1段送電コイルユニットの各第1段給電ポイントに、第2段給電ポイントから等長の配線により接続して第2段送電コイルユニットとした、
ことを特徴とする。
【0008】
この本発明の無線電力伝送シートでは、第1段給電ポイントから等長の配線により接続したN個の送電コイルを有するものとして第1段送電コイルユニットを構成する。そして、M個の第1段送電コイルユニットの各第1段給電ポイントに、第2段給電ポイントから等長の配線により接続して第2段送電コイルユニットを構成する。従って、第2段送電コイルユニットには、第2段給電ポイントから等長の配線により接続されたN×M個の送電コイルがフレキシブル基板に配置されることになる。このため、第2段送電コイルユニットの第2段給電ポイントに給電することにより、すべての送電コイルに電力を供給可能となる。こうした本発明の無線電力伝送シートでは、一部の送電コイルを切り取っても、第2段給電ポイントからの配線が切断されていない送電コイルは第2段給電ポイントへの給電により機能する。従って、設置場所に応じて切断しても、機能する送電コイルを有するものとなる。この結果、設置場所に応じて切断可能な無線電力伝送シートとすることができる。また、各送電コイルは第2段給電ポイントから等長の配線により接続されているから、各送電コイルの配線による電磁気的特性のバラツキを抑制することができる。
【0009】
こうした本発明の無線電力伝送シートにおいて、M個の第2段送電コイルユニットの各第2段給電ポイントに、第3段給電ポイントから等長の配線により接続して第3段送電コイルユニットとしたものとしてもよい。即ち、M個の第2段送電コイルユニットの各第2段給電ポイントに、第3段給電ポイントから等長の配線により接続して第3段送電コイルユニットを構成するのである。こうすれば、N×M×M個の送電コイルをフレキシブル基板に配置したものとすることができる。この場合も、各送電コイルは第3段給電ポイントから等長の配線により接続されているから、各送電コイルの配線による電磁気的特性のバラツキを抑制することができる。
【0010】
この場合、M個の前記第2段送電コイルユニットと前記第3段送電コイルユニットとの関係を段階的に繰り返してなるものとしてもよい。即ち、M個の第3段送電コイルユニットの各第3段給電ポイントに、第4段給電ポイントから等長の配線により接続して第4段送電コイルユニットを構成したり、さらに、M個の第4段送電コイルユニットの各第4段給電ポイントに、第5段給電ポイントから等長の配線により接続して第5段送電コイルユニットを構成したりしてもよいのである。こうすれば、切断して用いることにより、任意の大きさ及び形状の無線電力伝送シートとすることができる。
【0011】
本発明の無線電力伝送シートにおいて、前記Nおよび前記Mは4であるものとしてもよい。この場合、前記第2段給電ポイントから前記4個の第1段送電コイルユニットの第1給電ポイントまでの配線は、線対称性または回転対称性を有する配線であるものとしてもよい。また、第3段給電ポイントから4個の第2段送電コイルユニットの第2給電ポイントまでの配線を線対称性または回転対称性を有する配線としてもよいし、更に、第4段給電ポイントから4個の第3段送電コイルユニットの第3給電ポイントまでの配線を線対称性または回転対称性を有する配線としてもよい。線対称性を有する配線としては、第2段給電ポイントから4個の第1段送電コイルユニットの第1給電ポイントまでを「H」形状の配線を用いることができる。高段の給電ポイントから下段の給電ポイントへの配線についても同様である。この場合、第1給電ポイントから前記4個の送電コイルまでの配線はI字形状の配線であり、前記第2段給電ポイントから前記4個の第1段送電コイルユニットの第1給電ポイントまでの配線は前記第1給電ポイントから前記4個の送電コイルまでの配線が形成されていない経路に形成されているものとしてもよい。こうすれば、送電コイル間の隙間部における過剰な配線を抑制することができる。また、回転対称性を有する配線としては、第2段給電ポイントから4個の第1段送電コイルユニットの第1給電ポイントまでを「卍」形状の配線を用いることができる。高段の給電ポイントから下段の給電ポイントへの配線についても同様である。
【0012】
本発明の無線電力伝送シートであって、前記第1段送電コイルユニットを形成するN個の送電コイルのうちの一部の送電コイルが切断された状態であるものとしてもよい。即ち、上述したように、第2段送電コイルユニットや第3段送電コイルユニットなどとして構成した無線電力伝送シートの一部の送電コイルを切り取った形状としてもよいのである。さらに、前記第1段送電コイルユニットを形成するN個の送電コイルのうちの一部の送電コイルが切断された状態と等値の状態であるものとしてもよい。即ち、第2段送電コイルユニットや第3段送電コイルユニットなどとして構成した無線電力伝送シートの一部の送電コイルを切り取った際に、機能していない送電コイルに関連する構成を予め形成しなかったものとしてもよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の無線電力伝送シート20の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】第1段送電コイルユニット30の構成の概略を示す構成図である。
【
図3】第1実施形態の無線電力伝送シート20を円形状に切り取った無線電力伝送シート20Bの構成の概略を示す構成図である。
【
図4】変形例の無線電力伝送シート20Cの構成の概略を示す構成図である。
【
図5】第2実施形態の無線電力伝送シート120の構成の概略を示す構成図である。
【
図6】変形例の無線電力伝送シート220の構成の概略を示す構成図である。
【
図7】変形例の無線電力伝送シート320の構成の概略を示す構成図である。
【
図8】変形例の無線電力伝送シート420の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、第1実施形態の無線電力伝送シート20の構成の概略を示す構成図である。第1実施形態の無線電力伝送シート20は、図示するように、ポリイミドやポリエステルにより可撓性のあるシート状に形成されたフレキシブル基板にマトリックス状に形成した4つの第1段送電コイルユニット30を備える第2段送電コイルユニットとして構成されている。4つの第1段送電コイルユニット30は、その中央に各々第1段給電ポイント36を有し、この各第1段給電ポイント36は4つの第1段送電コイルユニット30の中央に配置された第2段給電ポイント40と等長で線対称性を有する「H」形状の第2段給電配線42によって接続されている。第2段給電ポイント40は、外部電源に接続する給電ライン44により接続されている。
【0015】
図2は、第1段送電コイルユニット30の構成の概略を示す構成図である。図示するように、第1段送電コイルユニット30は、左右上下対称に配置された4つの送電コイルユニット31と、4つの送電コイルユニット31の中央に配置された第1段給電ポイント36と、を備える。送電コイルユニット31は、スイッチ34と、送電コイル32と、共振用のコンデンサ33とを有し、これらが直列に接続されており、その両端のスイッチ34およびコンデンサ33は「I」形状の給電配線37および給電配線38によって第1段給電ポイント36に接続されている。送電コイル32やコンデンサ33、第1段給電ポイント36、給電配線37,38は導電性材料(例えば銅)によりフレキシブル基板に形成されている。スイッチ34はオンオフができればよいから、リレーを用いたり半導体スイッチを用いたりすることができる。
【0016】
第1実施形態の無線電力伝送シート20は、
図1に示すように、各送電コイル32が等間隔にマトリックス状に配置されており、「H」形状の第2段給電配線42は「I」形状の給電配線37,38が形成されていない経路に形成されており、給電ライン44は第2段給電配線42や給電配線37,38が形成されていない経路に形成されている。各送電コイル32は、第2段給電ポイント40から見て等長の配線により接続されている。これにより、各送電コイル32の給電配線の長さが異なることによる電磁気的特性のバラツキを抑制することができる。
【0017】
第1実施形態の無線電力伝送シート20では、第2段送電コイルユニットとして構成されているだけでなく、シートに載置された受電機器の載置位置を検出するためのセンサ(位置検出用コイルなど)も構成されているが、こうした受電機器の載置位置の検出等については本発明の中核をなさないから、その図示および説明は省略する。第2実施形態の無線電力伝送シート120やこれらの変形例でも同様である。
【0018】
図3は、
図1に示す正方形状の第1実施形態の無線電力伝送シート20を円形状に切り取った無線電力伝送シート20Bの構成の概略を示す構成図である。無線電力伝送シート20Bは、図示するように、四隅の送電コイル32が半分程度切り取られて構成されている。この無線電力伝送シート20Bでは、四隅の送電コイル32以外の12個の送電コイル32に給電することができる。このように、第1実施形態の無線電力伝送シート20は、設置場所に応じて切断して使用することができる。
【0019】
以上説明した第1実施形態の無線電力伝送シート20では、設置場所に応じて切断して使用することができる。しかも、各送電コイル32は、第2段給電ポイント40から見て等長の配線により接続されているから、各送電コイル32の給電配線の長さが異なることによる電磁気的特性のバラツキを抑制することができる。
【0020】
第1実施形態の無線電力伝送シート20では、一部の送電コイル32を切り取ったシート(例えば
図3の無線電力伝送シート20B)として用いるものとしたが、予め機能しない送電コイルを形成しないものとしてもよい。例えば、
図4の変形例の無線電力伝送シート20Cに示すように、円形状のフレキシブル基板に
図1に示す第1実施形態の無線電力伝送シート20の四隅の送電コイル32を除いて形成して構成してもよい。この
図4の無線電力伝送シート20Cは、切り取りにより機能しない四隅の送電コイル32の有する
図3の無線電力伝送シート20Bと等値の状態となるからである。
【0021】
次に、第2実施形態の無線電力伝送シート120について説明する。
図5は第2実施形態の無線電力伝送シート120の構成の概略を示す構成図である。図示するように、第2実施形態の無線電力伝送シート120は、第1実施形態の無線電力伝送シート20から給電ライン44を削除した4つの第2段送電コイルユニット20Dをマトリックス状に配置し、その中央に第3段給電ポイント140を設け、第3段給電ポイント140と各第2段送電コイルユニット20Dの各第2段給電ポイント40とを等長で線対称性を有する「H」形状の第3段給電配線142により接続した第3段送電コイルユニットとして構成されている。なお、第3段給電ポイント140は、外部電源に接続する給電ライン144により接続されている。「H」形状の第3段給電配線142は、「H」形状の第2段給電配線42や「I」形状の給電配線37,38が形成されていない経路に形成されており、給電ライン144は第2段給電配線42や第3段給電配線142、給電配線37,38が形成されていない経路に形成されている。
【0022】
以上説明した第2実施形態の無線電力伝送シート120でも第1実施形態の無線電力伝送シート20と同様の効果、即ち、設置場所に応じて切断して使用することができるという効果や、各送電コイル32の給電配線の長さが異なることによる電磁気的特性のバラツキを抑制することができるという効果を奏することができる。
【0023】
第2実施形態の無線電力伝送シート120では、第1実施形態の無線電力伝送シート20から給電ライン44を削除した4つの第2段送電コイルユニット20Dをマトリックス状に配置し、その中央に第3段給電ポイント140を設け、第3段給電ポイント140と各第2段送電コイルユニット20Dの各第2段給電ポイント40とを等長で線対称性を有する「H」形状の第3段給電配線142により接続して構成するものとした。さらに、
図6の実施形態の無線電力伝送シート220に示すように、第2実施形態の無線電力伝送シート120から給電ライン144を削除した4つの第3段送電コイルユニット120Bをマトリックス状に配置し、その中央に第4段給電ポイント240を設け、第4段給電ポイント240と各第3段送電コイルユニット120Bの各第3段給電ポイント140とを等長で線対称性を有する「H」形状の第4段給電配線242により接続して構成してもよい。このように、第P(n)段送電コイルユニットをマトリックス状に配置し、その中央に第P(n+1)段給電ポイントを設け、第P(n+1)段給電ポイントと各第P(n)段送電コイルユニットの各第P(n)段給電ポイントとを等長で線対称性を有する「H」形状の第P(n+1)段給電配線により接続して構成するように、段階的に繰り返して無線電力伝送シートを構成するものとしてもよい。
【0024】
第1実施形態の無線電力伝送シート20や第2実施形態の無線電力伝送シート120では、第P(n+1)段給電ポイントと各第P(n)段送電コイルユニットの各第P(n)段給電ポイントとを等長で線対称性を有する「H」形状の給電配線により接続するものとした。しかし、
図7に例示する無線電力伝送シート320のように、第2段給電ポイント340と各第1段給電ポイント36とを、等長で点対称な「卍」形状の第2段給電配線342により接続するものとしてもよい。この場合、第1段送電コイルユニット30の「I」形状の給電配線37,38と第2段給電配線342とが同一経路とならないようにするため、図中左上の第1段送電コイルユニット30と左下の第1段送電コイルユニット30を90度回転させている。この場合、外部電源に接続する給電ライン344は、その一部が第2段給電配線342と同一経路に形成されることになる。さらに、
図8に例示する無線電力伝送シート420に示すように、
図7の無線電力伝送シート320から給電ライン344を削除した4つの第2段送電コイルユニット320Bをマトリックス状に配置し、その中央に第3段給電ポイント440を設け、第3段給電ポイント340と各第2段送電コイルユニット320Bの各第2段給電ポイント340とを等長で点対称な「卍」形状の第3段給電配線442により接続して構成してもよい。このように、第Q(n)段送電コイルユニットをマトリックス状に配置し、その中央に第Q(n+1)段給電ポイントを設け、第Q(n+1)段給電ポイントと各第Q(n)段送電コイルユニットの各第Q(n)段給電ポイントとを等長で点対称な「卍」形状の第Q(n+1)段給電配線により接続して構成するように、段階的に繰り返して無線電力伝送シートを構成するものとしてもよい。
【0025】
第1実施形態の無線電力伝送シート20では、「H」形状の第2段給電配線42を「I」形状の給電配線37,38が形成されていない経路に形成した。また、第2実施形態の無線電力伝送シート120では、「H」形状の第3段給電配線142を、「H」形状の第2段給電配線42や「I」形状の給電配線37,38が形成されていない経路に形成した。しかし、「H」形状の第2段給電配線42を「I」形状の給電配線37,38が形成されている経路に形成してもよいし、「H」形状の第3段給電配線142を、「H」形状の第2段給電配線42や「I」形状の給電配線37,38が形成されている経路に形成しても構わない。
【0026】
第1実施形態の無線電力伝送シート20や第2実施形態の無線電力伝送シート120では、4つの送電コイルユニット31を上下左右に対称となるように配置し、「I」形状の給電配線37,38によって第1段給電ポイント36に接続するものとした。しかし、4つの送電コイルユニット31を上下にまたは左右に対称とならないように配置し、「I」形状ではない給電配線により第1段給電ポイントに接続するものとしてもよい。
【0027】
第1実施形態の無線電力伝送シート20や第2実施形態の無線電力伝送シート120では、第1段送電コイルユニット30は4つの送電コイルユニット31により構成されるものとした。しかし、第1段送電コイルユニットを2つ又は3つの送電コイルユニットや5以上の送電コイルユニットにより構成するものとしても構わない。また、第1実施形態の無線電力伝送シート20や第2実施形態の無線電力伝送シート120では、第2段送電コイルユニット20Dは4つの第1段送電コイルユニット30により構成されるものとした。しかし、第2段送電コイルユニットを2つまたは3つの第1段送電コイルユニットや5以上の第2段送電コイルユニットにより構成するものとしても構わない。即ち、第L(n+1)段送電コイルユニットを複数の第L(n)段送電コイルユニットにより構成するものとしてもよい。
【0028】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、無線電力伝送シートの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
20,20B,20C,120,220,320,420 無線電力伝送シート、20D,320B 第2段送電コイルユニット、30 第1段送電コイルユニット、31 送電コイルユニット、32 送電コイル、33 コンデンサ、34 スイッチ、36 第1段給電ポイント、37,38 給電配線、40,340 第2段給電ポイント、42,342 第2段給電配線、44,144,244 給電ライン、140,440 第3段給電ポイント、142,442 第3段給電配線、240 第4段給電ポイント、242 第4段給電配線。