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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】自動分析装置及び自動分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20230120BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
G01N35/02 E
G01N35/10 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018556248
(86)(22)【出願日】2017-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2017040024
(87)【国際公開番号】W WO2018110146
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2016240844
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】東 信二
(72)【発明者】
【氏名】深谷 昌史
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】樋口 宗彦
【審判官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-331631(JP,A)
【文献】特開2015-87345(JP,A)
【文献】特開2000-28623(JP,A)
【文献】特開平11-304816(JP,A)
【文献】実開昭55-157730(JP,U)
【文献】国際公開第2015/115210(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/031455(WO,A1)
【文献】特開2015-172509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器中の試料と試薬との反応溶液の光学測定及び前記反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置であって、
複数の前記反応容器が円周に配列され、回転動作が制御されるディスク機構と、
前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、
前記反応容器内の液体を吸引するための吸引ノズル、及び前記吸引ノズルの鉛直方向下端に取り付けられた吸引ブロックを含み、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吸引する、ブロック吸引機構と、
前記吸引ブロックを洗浄するためのブロック洗浄機構と、
を有し、
前記ブロック洗浄機構は、前記吸引ブロックの上面に対して洗浄液を吐き出す吐出ノズルを有し、
前記吐出ノズルは、前記吸引ノズルに連結されており、鉛直方向下端が前記吸引ブロックの上面よりも上方の位置に配置されており、
前記吸引ブロックの鉛直方向の高さは、前記反応容器の内壁の高さに対して二分の一以下であり、
前記ディスク機構の円周上における所定の位置に、前記反応容器の前記洗浄の工程のための前記ブロック吸引機構及び前記ブロック洗浄機構が配置されており、
前記制御装置は、前記光学測定の開始依頼を受けてから前記光学測定の工程の前に設けられた前記ディスク機構の単位移動を1サイクルとして複数サイクルで構成される前記反応容器の洗浄の工程において、
複数サイクルで構成される第1工程では、前記ブロック洗浄機構による前記吸引ブロックの洗浄と前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引とを同時に実行させ、または、前記ブロック洗浄機構による前記吸引ブロックの洗浄、次に前記ブロック吸引機構による前記液体吸引の順で実行させ、
1サイクル以上5サイクル以下で構成される第2工程では、前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引のみを実行させ、
前記第2工程を実行した前記反応容器を用いて最初の前記光学測定を実行
前記光学測定を開始後の前記反応容器の洗浄工程では、前記吸引ブロックの洗浄を行わずに、前記反応容器内の前記液体の吸引のみを実行させる、
自動分析装置。
【請求項2】
反応容器中の試料と試薬との反応溶液の光学測定及び前記反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置であって、
複数の前記反応容器が円周に配列され、回転動作が制御されるディスク機構と、
前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、
前記反応容器内の液体を吸引するための吸引ノズル、及び前記吸引ノズルの鉛直方向下端に取り付けられた吸引ブロックを含み、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吸引する、ブロック吸引機構と、
前記吸引ブロックを洗浄するためのブロック洗浄機構と、
を有し、
前記ディスク機構の円周上における所定の位置に、前記反応容器の前記洗浄の工程のための前記ブロック吸引機構及び前記ブロック洗浄機構が配置されており、
前記制御装置は、前記光学測定の開始依頼を受けてから前記光学測定の工程の前に設けられた前記ディスク機構の単位移動を1サイクルとして複数サイクルで構成される前記反応容器の洗浄の工程において、
複数サイクルで構成される第1工程では、前記ブロック洗浄機構による前記吸引ブロックの洗浄及び前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引の両方を実行させ、
1サイクル以上で構成される第2工程では、前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引のみを実行させ、
前記第2工程を実行した前記反応容器を用いて最初の前記光学測定を実行し、
前記ブロック洗浄機構は、前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記反応容器内の洗浄液に浸漬する機構を含み、
前記制御装置は、前記第1工程で、前記ブロック洗浄機構により前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記反応容器内の前記洗浄液に浸漬することで洗浄する工程を制御する、
自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記制御装置は、前記第2工程のうちの1サイクル以上のサイクルで、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックを鉛直方向で通常動作時の第1速度よりも速い第2速度で下降または上昇させる、
自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記制御装置は、前記第2工程のうちの1サイクル以上のサイクルで、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックを水平方向で左右に振動させる、
自動分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記制御装置は、前記第2工程のうちの1サイクル以上のサイクルで、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックの吸引圧力を通常動作時の第1吸引圧力よりも高い第2吸引圧力へ増加させる、
自動分析装置。
【請求項6】
反応容器中の試料と試薬との反応溶液の光学測定及び前記反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置における自動分析方法であって、
前記自動分析装置は、
複数の前記反応容器が円周に配列され、回転動作が制御されるディスク機構と、
前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、
前記反応容器内の液体を吸引するための吸引ノズル、及び前記吸引ノズルの鉛直方向下端に取り付けられた吸引ブロックを含み、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吸引する、ブロック吸引機構と、
前記吸引ブロックを洗浄するためのブロック洗浄機構と、
を有し、
前記ディスク機構の円周上における所定の位置に、前記反応容器の前記洗浄の工程のための前記ブロック吸引機構及び前記ブロック洗浄機構が配置されており、
前記自動分析装置により実行されるステップとして、前記制御装置が、前記光学測定の開始依頼を受けてから前記光学測定の工程の前に設けられた前記ディスク機構の単位移動を1サイクルとして複数サイクルで構成される前記反応容器の洗浄の工程において、複数サイクルで構成される第1工程で、前記ブロック洗浄機構による前記吸引ブロックの洗浄と前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引とを同時に実行させ、または、前記ブロック洗浄機構による前記吸引ブロックの洗浄、次に前記ブロック吸引機構による前記液体吸引の順で実行させるステップと、1サイクル以上5サイクル以下で構成される第2工程で、前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引のみを実行させるステップと、
前記第2工程を実行した前記反応容器を用いて最初の前記光学測定を実行するステップと、
前記光学測定を開始後の前記反応容器の洗浄工程で、前記吸引ブロックの洗浄を行わずに、前記反応容器内の前記液体の吸引のみを実行させるステップと、
を有する、自動分析方法。
【請求項7】
反応容器中の試料と試薬との反応溶液の光学測定及び前記反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置における自動分析方法であって、
前記自動分析装置は、
複数の前記反応容器が円周に配列され、回転動作が制御されるディスク機構と、
前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、
前記反応容器内の液体を吸引するための吸引ノズル、及び前記吸引ノズルの鉛直方向下端に取り付けられた吸引ブロックを含み、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吸引する、ブロック吸引機構と、
前記吸引ブロックを洗浄するためのブロック洗浄機構と、
を有し、
前記ディスク機構の円周上における所定の位置に、前記反応容器の前記洗浄の工程のための前記ブロック吸引機構及び前記ブロック洗浄機構が配置されており、
前記自動分析装置において実行されるステップとして、前記制御装置が、前記光学測定の開始依頼を受けてから前記光学測定の工程の前に設けられた前記ディスク機構の単位移動を1サイクルとして複数サイクルで構成される前記反応容器の洗浄の工程において、複数サイクルで構成される第1工程では、前記ブロック洗浄機構による前記吸引ブロックの洗浄及び前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引の両方を実行させるステップと、1サイクル以上で構成される第2工程では、前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引のみを実行させるステップと、
前記第2工程を実行した前記反応容器を用いて最初の前記光学測定を実行するステップ、を有し、
前記ブロック洗浄機構は、前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記反応容器内の洗浄液に浸漬する機構を含み、
前記第1工程では、前記制御装置が、前記ブロック洗浄機構により前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記反応容器内の前記洗浄液に浸漬することで洗浄する工程を制御する、
自動分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿等の生体試料の濃度や活性値を光学測定する機能を持つ自動分析装置の技術に関する。本発明は、特に、試料や試薬等が格納される反応容器(以下、容器等と記載する場合がある)の洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、光学測定機構等に加え、反応容器を洗浄するための洗浄機構を備えている。自動分析装置の制御装置は、その洗浄機構の洗浄の工程を含むシーケンスを制御する。自動分析装置は、試料用及び試薬用の分注機構の各ノズルを用いて、試料及び試薬をそれぞれの容器から反応容器内へ分注し、攪拌機構を用いて試料と試薬との混合液を攪拌して反応溶液とする。自動分析装置は、反応容器の反応溶液の色調変化等を光学光度計によって計測し、その計測値から試料内の目的の物質を定量して結果を出力する。自動分析装置は、測定で使用済みの反応容器を再使用するにあたり、前回測定した試料等とのコンタミネーションを避けるために、反応容器内を洗浄する洗浄機構を備えている。
【0003】
生体試料には、たんぱく質や脂質等の成分が含まれている。また、試薬にも、酵素等のたんぱく質成分が含まれるものが多くなってきている。そのため、反応容器やその洗浄機構のノズル等の部品には、汚れが蓄積しやすい。容器を洗浄するための液体としては、水、アルカリ液、酸性液、中性洗剤、次亜塩素酸塩剤、等が用いられている。
【0004】
自動分析装置の洗浄機構に関する先行技術例としては、特開平10-62431号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1には、生化学自動分析装置における洗浄装置として、反応容器の側壁の水滴も簡単にかつ確実に除去する旨や、以下の旨が記載されている。その洗浄装置は、排水チューブ(ノズル)の下端に設けられ反応容器内に進入可能な吸込み部(ブロック)を備える。その吸込み部は、反応容器の内壁面との間に流路を形成する。吸込み部からの吸込みによる排水時には、内壁面に付着している水滴が流路を通じて吸い込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-62431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動分析装置において、測定対象項目等に応じて、試料や試薬の分注量が異なる。反応溶液等による反応容器の汚染範囲は、一様ではない。そのため、洗浄機構では、使用後の反応容器について、様々な洗剤等を用いて、汚染範囲に対応した洗浄範囲に対し、洗浄を行う。洗浄の際、基本的に、反応溶液が分注された反応容器は、次サイクルで吸引動作が行われている。例えば、アルカリ溶液の吐き出し後の反応溶液は、次サイクルではその反応溶液が吸引され、更に次サイクルでは水が吐き出しされている。
【0007】
反応容器の洗浄は吸引動作で完了する場合が多い。これは、容器内に洗浄水が残存したままだと、反応溶液の濃度を薄める可能性があるためである。そのため、分析(光学測定)に用いる反応容器の1サイクル前には、チップ吸引工程が設けられている。チップ吸引工程では、その反応容器内の高気密化を図って効果的に洗浄水を吸引するために、所定の吸引チップを備える吸引ノズルを用いて、容器内の液体の吸引が行われる。この吸引チップは、例えばブロック(長方体)等の形状を有する。この吸引チップは、例えばシリコンやプラスチック等、容器を傷つけないような材質で構成されている。
【0008】
自動分析装置は、臨床現場での検査の高速化等に対応できるように、スループット向上が求められている。それに伴い、反応容器の洗浄の性能についても、確実に洗浄して測定精度を確保しつつも、より短時間での洗浄が求められている。
【0009】
従来の自動分析装置は、チップ吸引機構を用いてチップ吸引工程を行う場合に、チップ吸引工程での洗浄水等の液体が、吸引チップに付着して残存する可能性がある。分析開始の際、分析に用いる反応容器内に、その吸引チップの残存液体が落下する可能性がある。その場合、その残存液体が反応溶液に混じることで、光学測定に影響を及ぼし、測定値が劣化する恐れがある。
【0010】
なお、特許文献1のような従来技術例でも、吸引チップ(吸込み部)を備える吸引ノズル(排水チューブ)を用いた工程によって、容器内から洗浄水の液体を、より確実、効果的に除去する旨が記載されている。しかし、従来技術例では、チップ吸引工程自体による分析結果への影響に関しては議論されておらず、測定精度を低下させない、あるいは向上させるための洗浄プロセスの工夫等も記載されていない。
【0011】
本発明の目的は、自動分析装置に関して、チップ吸引工程を含む洗浄プロセスによる反応容器の洗浄性能の確保と共に、分析精度の低下抑制または向上を実現できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のうち代表的な実施の形態は、自動分析装置であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0013】
一実施の形態の自動分析装置は、試料と試薬との反応溶液の光学測定及び反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置であって、前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、前記反応容器内の液体を吸引するための吸引ノズル、及び前記吸引ノズルの鉛直方向下端に取り付けられた吸引ブロックを含み、前記吸引ノズル及び前記吸引ブロックを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吸引する、ブロック吸引機構と、前記吸引ブロックを洗浄するためのブロック洗浄機構と、を有し、前記制御装置は、前記光学測定の開始依頼を受けてから前記光学測定の工程の前に設けられた前記洗浄の工程において、前記反応容器の単位移動を1サイクルとして複数サイクルで構成される第1工程では、前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引、及び前記ブロック洗浄機構による前記吸引ブロックの洗浄、の両方を実行させ、次に、1サイクル以上で構成される第2工程では、前記ブロック吸引機構による前記液体の吸引のみを実行させ、前記第2工程を経由した前記反応容器を用いて前記光学測定の工程を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、自動分析装置に関して、チップ吸引工程を含む洗浄プロセスによる反応容器の洗浄性能の確保と共に、光学測定精度の低下抑制または向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1の自動分析装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態1の自動分析装置で、洗浄工程を含むシーケンスの概要を示す図である。
図3】実施の形態1の自動分析装置で、洗浄機構のノズルの構成を示す図である。
図4】実施の形態1の自動分析装置で、チップ吸引機構のノズル等の構成を示す図である。
図5】実施の形態1の自動分析装置で、チップ吸引機構の断面等を示す図である。
図6】実施の形態1の自動分析装置で、チップ洗浄方式を示す図である。
図7】実施の形態1の自動分析装置に対する比較例における、チップ吸引工程の課題について示す図である。
図8】実施の形態1の自動分析装置で、反応容器及び吸引チップの形状の規定に応じた、第2工程に関する実験及びシミュレーション結果を示す図である。
図9】実施の形態1の自動分析装置で、チップ吸引工程に関するディスク上面から見た状態を模式的に示す図である。
図10】実施の形態1の自動分析装置で、チップ吸引工程を含むシーケンスに関する、サイクルと反応容器の移動との関係を示す図である。
図11】実施の形態1の自動分析装置で、チップ吸引工程に関する反応容器の状態の遷移を示す図である。
図12】実施の形態1の自動分析装置で、第1工程及び第2工程に関する反応容器の状態の詳細を示す図である。
図13】実施の形態1の第1変形例の自動分析装置における、チップ洗浄方式について示す図である。
図14】実施の形態1の第2変形例の自動分析装置における、チップ吸引工程の第2工程に関する特殊動作について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、説明上の方向及び座標系として(X,Y,Z)を有する。第1方向であるX方向は、水平方向のうちの一方向であり、第2方向であるY方向は、水平方向のうちのX方向に直交する方向である。第3方向であるZ方向は、X方向及びY方向に垂直な鉛直方向である。
【0017】
(実施の形態1)
図1図14を用いて、本発明の実施の形態1の自動分析装置について説明する。実施の形態1の自動分析装置は、特有の洗浄機能を備える。実施の形態1の自動分析方法は、実施の形態1の自動分析装置において実行されるステップを有する方法である。
【0018】
[自動分析装置(1)]
図1は、実施の形態1の自動分析装置の構成を示す。自動分析装置は、制御装置100、反応ディスク5、反応容器9、試薬ディスク18、試薬ボトル23、ラック7、試料容器8、試料分注機構1,2、試料分注ノズル3,4、試料搬送機構47、試薬分注機構10~13、試薬分注ノズル30~33、分光光度計22、攪拌機構24、反応容器洗浄機構29、送液ポンプ16、真空吸引ポンプ17、等を備える。
【0019】
制御装置100、及び洗浄機構である反応容器洗浄機構29に係わる部分を除いて、各部は、基本的には公知技術を用いて構成可能である。制御装置100は、洗浄機構を含め、自動分析装置の全体を制御し、洗浄や分析の工程を含むシーケンス全体を制御する。制御装置100と各部との間は、一部しか図示していないが、それぞれ配線で接続されている。制御装置100と各部との間では、配線を通じて各種の信号が授受される。これにより、洗浄や分析を含む各工程の動作が制御される。
【0020】
反応ディスク5には、複数の反応容器9が円周状に並んで配置されている。反応ディスク5は、回転駆動される。これにより、各反応容器9は、円周上で、シーケンスのサイクル毎の距離で、単位回転移動させられる。
【0021】
試薬ディスク18の中には、複数の試薬ボトル23が円周上に配置可能である。自動分析装置の後方には、試料容器8を載せたラック7を移動させる試料搬送機構47が設置されている。試料容器8内には、血液や尿等の試料が含まれる。試料容器8は、ラック7に載せられて、試料搬送機構47によって運ばれる。
【0022】
反応ディスク5と試薬ディスク18との間には、試薬分注機構10,11,12,13が設置されている。これらの試薬分注機構は、試薬分注ノズル30,31,32,33を備えている。
【0023】
反応ディスク5と試料搬送機構47との間には、試料分注機構1,2が設置されている。試料分注機構1,2は、回転、水平移動、及び鉛直方向上下移動の動作が可能である。試料分注機構1,2は、試料分注ノズル3,4を備えている。試料分注ノズル3,4は、駆動制御に従い、回転軸を中心とした回転動作、水平移動レール上を移動する水平動作を行い、試料容器8から反応容器9への試料分注を行う。
【0024】
反応ディスク5の周囲には、反応容器洗浄機構29、分光光度計22、攪拌機構24が配置されている。反応容器洗浄機構29には、洗浄用の送液ポンプ16、真空吸引ポンプ17等が接続されている。送液ポンプ16は、洗浄に係わる吐出ノズルに対してチューブの流路等を通じて洗浄液を送液する。真空吸引ポンプ17は、吸引に係わる吸引ノズルからチューブの流路等を通じて液体を真空吸引で送液する。
【0025】
なお、試料分注機構1,2、試薬分注機構10~13、及び攪拌機構24の動作範囲上に、試料ノズル3,4及び試薬ノズル30~33を洗浄する洗浄機構として洗浄槽等が設置されている構成としてもよい。試薬分注機構10~13には、試薬用の送液ポンプ等が接続されていてもよい。
【0026】
次に、分析(光学測定)の動作について説明する。分注工程において、駆動制御に基づいて、試料分注機構1,2は、ラック7の試料容器8から、試料分注ノズル3,4によって試料を吸引し、反応容器9に吐出する。また、試薬分注機構10~13は、試薬ボトル23から、試薬分注ノズル30~33によって試薬を吸引し、反応容器9に吐出する。同一の反応容器9内に分注された試料と試薬は、撹拌機構24によって撹拌、混合されて、混合液である反応溶液が生成される。
【0027】
分光光度計22は、反応容器9内の反応溶液に対する光学測定を行い、分光光度等の光学値を測定する。反応ディスク5は、回転と停止を組とした動作を1サイクルで行う。1サイクルの時間は、例えば1.8秒であり、反応容器9の停止時間が例えば1秒である。光学測定の対象となる反応容器9が分光光度計22の前を通過するサイクルの度に、分光光度計22によって定期的に光学測定が行われる。これにより、反応容器9内の試料中の目的成分の濃度または活性値が算出される。
【0028】
次に、反応容器9の洗浄について説明する。反応容器洗浄機構29には、後述する各種の役割を担う複数のノズル等が配置されている。それらの複数のノズルは、反応容器洗浄機構29の筐体を通じて共通に接続されている。それらの複数のノズルは、反応容器洗浄機構29を通じて、チューブ、電磁弁、流量調整部、ポンプ等に接続されている。
【0029】
制御装置100の駆動制御に基づいて、反応ディスク5の回転が停止して反応容器9が静止したタイミングで、対象の反応容器9の位置に対し、反応容器洗浄機構29のノズル等が、鉛直方向上下に移動する。これにより、そのノズル等が、反応容器9内に挿入されるようにアクセスする。
【0030】
なお、自動分析装置の機能構成に応じて、反応容器洗浄機構29は、1つに限らず、複数を同様に設けてもよい。反応容器洗浄機構29の特にノズルは、反応ディスク5の円周上の反応容器9に対応付けられた位置であれば、いずれの位置に配置されてもよい。
[自動分析装置(2)]
【0031】
実施の形態1の自動分析装置は、以下のような構成を有する。自動分析装置内に、複数の反応容器9が円周上に配置され回転する機構を有する。反応容器9を繰り返し使用するために、反応容器洗浄機構29を備える。反応容器洗浄機構29には、複数の種類のノズル等が配置されている。そのノズルとして、反応容器9内に洗浄液等の液体を吐き出すための吐出ノズル(後述の図3の(A))や、反応容器9内の反応溶液等の液体の吸引を行うための吸引ノズル(後述の図3の(B))等を含む。反応容器洗浄機構29は、分析後の反応容器9を対象に通常の洗浄を行う機能、及び分析開始前の反応容器9を対象に分析準備の洗浄を行う機能、の両方に対応している。
【0032】
特に、反応容器洗浄機構29には、チップ吸引工程のためのチップ吸引機構を備えている(後述の図4)。このチップ吸引機構は、吸引チップを備えた吸引ノズル、及び吸引チップ自体の洗浄のための吐出ノズル、等を有する。吸引チップは、反応容器9の洗浄や濯ぎで残った液体を効果的に除去する機能を実現する。
【0033】
洗浄機構の各ノズルは、チューブ等を介して、吐出動作に関しては送液ポンプ16、吸引動作に関しては真空吸引ポンプ17に接続されている。ノズル接続部とポンプ接続部との間には、制御可能な流路開閉機構として例えば電磁弁が配置されている。反応容器洗浄機構29は、反応ディスク5上で移動及び停止を繰り返す反応容器9の位置に対し、各ノズルと共に上下移動を行う。これによって、各反応容器9に各ノズルがアクセスする。制御装置100は、一連の洗浄工程を含むシーケンスを制御する。
【0034】
自動分析装置は、反応容器9を繰り返し使用するために、洗浄工程で、反応容器洗浄機構29によって、反応容器9に対し、洗剤や洗浄水等の様々な液体を吐き出し、それらの液体を吸引して洗浄していく。これらの洗浄動作は、洗浄工程のシーケンスとして、システム化、自動化されている(図2)。
【0035】
分析工程に入る前の洗浄工程における最後の工程として、チップ吸引工程(図2のS14)が設けられている。チップ吸引工程では、吸引チップを持つ吸引ノズルを用いて、反応容器9内の残存液体を吸引して除去する。このチップ吸引工程後の反応容器は、次のサイクルまたはそれ以降のサイクルで、分析用の反応容器として用いられる。このチップ吸引工程の際に、大前提として、吸引チップは、汚染状態であってはならない。仮に、吸引チップが汚れている場合、それが原因で分析結果に悪影響を与える可能性がある。そのため、吸引チップは、常に清浄な状態を担保しなくてはならない。
【0036】
このために、自動分析装置は、吸引チップ自体を洗浄するための機構及び工程を備える。例えば、後述するが(図6)、吸引チップ洗浄方式として、チップ吸引機構に、吸引ノズルと共に吐出ノズルが設けられており、その吐出ノズルから洗浄水を吸引チップに吐き出して洗浄する。例えば、分析開始前のチップ吸引工程における一定時間内で、チップ吸引機構を反応容器9内にアクセスさせて、液体の吸引が行われる。それと共に、そのチップ吸引機構を用いて、吐出ノズルから洗浄水を吐き出して吸引チップ自体が洗浄される。
【0037】
上記吸引チップ洗浄方式は、吸引チップ自体を液体で濡らすことが前提であり、これによって吸引チップ自体の汚染を回避できる。ただし、吸引チップが濡れることで、吸引チップの面に液滴が付着したままになる可能性もあり、その吸引チップの液滴が吸引されないまま残る可能性がある。その吸引チップの洗浄に起因する液滴が、分析対象の反応容器内に落下する等して残存する可能性がある。そのような状態になった反応容器が分析に用いられた場合、残存液体が反応溶液を薄めることで、分析結果に影響を及ぼす。
【0038】
実施の形態1の自動分析装置は、上記のような可能性を考慮した洗浄機能を備えている。自動分析装置は、特有のチップ吸引工程及びチップ吸引機構を制御する。これにより、分析開始前の反応容器9及び吸引チップを清浄な状態に保ち、吸引チップの洗浄に起因する液体による分析結果への悪影響を排除する。
【0039】
実施の形態1の自動分析装置は、チップ吸引工程で、第1工程、第2工程の二種類の工程を設ける。第1工程のサイクルでは、吸引チップの洗浄と反応容器9内の液体の吸引との両方が実行される。第2工程のサイクルでは、吸引チップの洗浄を休止して反応容器9内の液体の吸引のみが実行される。実施の形態1のシーケンスでは、第1工程での吸引チップの洗浄によって濡れた状態で吸引がされた反応容器を、次の分析工程で用いるのではなく、第2工程を介在させる。その第2工程で、吸引動作のみを行って、吸引チップに付着している液体を高い確率で除去する。これにより、第2工程後、分析に用いる反応容器には、何の液体も残存していない状態にする。このようにして、清浄な状態の吸引チップを維持しながら、吸引チップから反応容器への不要な液滴の残存も防止する。第2工程として設けるサイクルは、1サイクル以上の少ないサイクル数でよい。時間としては、わずか数秒間程度、従来よりも分析開始のタイミングをずらすことで実現できる。自動分析装置のハードウェアを大きく変更する必要は無い。
【0040】
[シーケンス]
図2は、実施の形態1の自動分析装置におけるシーケンス等を示す。図2の上側の(A)には、シーケンスのうち、洗浄機構を用いた反応容器9の洗浄工程S20の概要を示す。図2の下側の(B)では、洗浄工程S20と次の分析工程S30との関係や、チップ吸引工程S14の詳細等を示す。洗浄工程S20は、分析工程S30に入る前の分析準備として、反応容器9内の洗浄を行う工程である。なお、洗浄とは、濯ぎ等を含む。
【0041】
洗浄工程S20は、順に、工程S1~S14を有する。工程S1~S14は、(S1)反応液吸引、(S2)水吐出、(S3)水吸引、(S4)洗剤A吐出、(S5)洗剤A吸引、(S6)洗剤B吐出、(S7)洗剤B吸引、(S8)水吐出、(S9)水吸引、(S10)水吐出、(S11)水吸引、(S12)ブランク用の水吐出、(S13)ブランク用の水吸引、(S14)チップ吸引、という流れである。
【0042】
工程S1は、反応容器9内の反応溶液を吸引する工程である。工程S2は、反応容器9内に水を吐き出す工程である。この水とは、システム水である。システム水とは、自動分析装置の外部から、イオン交換水等の精製水を、流路等を通じて内部に導入して使用する水である。工程S3は、反応容器9内の水を吸引する工程である。
【0043】
工程S4は、反応容器9内に洗剤A(第1洗剤)を吐き出す工程である。工程S5は、反応容器9内から洗剤Aを吸引する工程である。工程S6は、反応容器9内に洗剤B(第2洗剤)を吐き出す工程である。工程S7は、反応容器9内から洗剤Bを吸引する工程である。例えば、洗剤Aはアルカリ性洗剤、洗剤Bは酸性洗剤が使用される。使用する洗剤や回数は、これに限らず、各種が可能である。
【0044】
工程S8は、洗剤成分を濯いで除去するために、反応容器9内に水(システム水)を吐き出す工程である。工程S9は、反応容器9内からその水を吸引する工程である。工程S10及び工程S11は、同様の繰り返しの工程である。洗剤成分を濯ぐための工程は、十分に希釈されるように、必要な回数が行われる。
【0045】
工程S12は、ブランク値の測定のために、反応容器9内にシステム水を吐き出す工程である。工程S13は、反応容器9内からそのシステム水を吸引する工程である。なお、工程S12と工程S13との間には、工程S40として、ブランク値測定工程を有する。この工程S40では、光学測定機構の分光光度計22を用いて、ブランク値の測定が行われる。ブランク値は、次の分析工程S30で光学測定の計算の際に使用するための値であり、反応容器9内に反応溶液が無い状態での光学測定値である。
【0046】
洗浄工程S20の最後に設けられている工程S14は、吸引チップが取り付けられた吸引ノズルを含むチップ吸引機構を用いて、反応容器9内から液体をより確実に除去するために吸引を行うチップ吸引工程である。チップ吸引工程S14の詳細は以下である。チップ吸引工程S14は、順に、第1工程S21、第2工程S22を有する。第1工程S21は、所定の複数サイクル、例えば全58サイクルで構成される。第2工程S22は、1サイクル以上の所定のサイクル、例えば5サイクルで構成される。第1工程S21の各サイクルでは、チップ洗浄機構を含むチップ吸引機構を用いて、吸引チップの洗浄201と、反応容器9内の液体(残存液体及び洗浄液を含む)の吸引202との両方が実行される。第2工程S22の各サイクルでは、洗浄201を行わずに、吸引202のみが実行される。
【0047】
本例では、洗浄工程S20は、洗浄性能として十分な所定の性能を確保できる構成として、14個の工程S1~S14に分けて構成されている。洗浄工程S20は、これに限らず、自動分析装置の機能構成や分析対象等に応じて、他の構成に変更可能である。洗浄性能とスループット(時間)とは基本的にトレードオフである。洗浄性能をより高めることを優先する形態とする場合には、洗浄工程S20を構成する工程数や時間を増やしてもよい。例えば、同じ種類の工程を2回以上繰り返すようにしてもよい。
【0048】
チップ吸引工程S14の次に、分析工程S30に入る。第2工程S22を経由した反応容器9が分析に用いられる。分析工程S30は、公知の構成であり、分注工程S31等の複数の工程から構成されている。分注工程S31では、洗浄完了状態の反応容器9内に試料等が分注される。図示しないが、分析工程S30内の光学測定工程で、反応容器9内の反応溶液に対する光学測定が行われる。自動分析装置は、光学測定の開始依頼を受けてから、上記光学測定(分析工程S30)の開始前に、上記分析準備動作の洗浄工程S20を実行する。なお、試料と試薬との反応溶液の光学測定の工程(分析工程S30)が開始された後も、反応容器9は逐次洗浄される(通常の洗浄工程)。この光学測定の開始後の反応容器9の通常の洗浄工程では、自動分析装置は、光学測定の工程の前(工程S14の第1工程S21)に既に吸引ブロックの洗浄を行っているため、吸引ブロックの洗浄を行わずに容器内液体吸引のみを実行させる。
【0049】
[洗浄機構のノズル]
図3及び図4は、洗浄工程S20を実現する反応容器洗浄機構29に備えている複数の種類のノズル等の構成を示す。図3では、単一の吐出ノズル、単一の吸引ノズルについて示す。図4では、特に、チップ吸引機構400について示す。図3等では、反応容器9内にノズル等が挿入されている状態を、水平方向(反応ディスク5の半径方向)から見た状態で示す。反応容器洗浄機構29には、少なくともこれらのノズルが配置されており、更に他の種類のノズルが追加で配置されていてもよい。
【0050】
図3の(A)は、吐出ノズル301の構成を示す。この吐出ノズル301は、反応容器9内に挿入される部分が単一ノズルで構成されているタイプであり、例えば工程S2等で使用される。この吐出ノズル301は、Z方向上下移動が制御される。この吐出ノズル301の内部はZ方向に延在する空洞の流路となっている。この吐出ノズル301のZ方向上端や下端は、開口となっている。この吐出ノズル301のZ方向上端は、図示しないチューブ等に接続されている。そのチューブ等の先には、電磁弁、送液ポンプ16等が接続されている。
【0051】
反応容器9内に液体を吐き出す工程では、吐出ノズル301のZ方向下方への移動によって、反応容器9内に吐出ノズル301の下端を含む部分が挿入される。反応容器9の内壁の底面のZ方向の位置Z0に対し、吐出ノズル301の下端の静止の位置Zaは、その工程に応じて規定されたZ方向高さとされる。電磁弁が開かれた状態で、送液ポンプ16の送液作用によって、対象の液体がチューブ等を経由して吐出ノズル301へ送液され、吐出ノズル301の下端からその液体が吐き出しされる。
【0052】
図3の(B)は、吸引ノズル302の構成を示す。この吸引ノズル302は、反応容器9内に挿入される部分が単一ノズルで構成されているタイプであり、例えば工程S3等で使用される。この吸引ノズル302は、Z方向上下移動が制御される。この吸引ノズル302の内部はZ方向に延在する空洞の流路となっている。この吸引ノズル302のZ方向上端や下端は、開口となっている。この吸引ノズル302のZ方向上端は、図示しないチューブ等に接続されている。そのチューブ等の先には、電磁弁、真空吸引ポンプ17等が接続されている。
【0053】
反応容器9内の液体を吸引する工程では、吸引ノズル302のZ方向下方への移動によって、反応容器9内に吸引ノズル302の下端を含む部分が挿入される。吸引ノズル302の下端の静止の位置Zbは、その工程に応じたZ方向高さの位置とされる。電磁弁が開かれた状態で、真空吸引作用によって、吸引ノズル302の下端から液体が吸引される。吸引ノズル302の下端から吸引された液体は、チューブ等を経由して送液されて排出される。
【0054】
各工程は、それぞれ制御条件を有し、専用のノズル等が使用される。複数の工程では、例えばシステム水、洗剤、洗浄用システム水(洗浄水)、ブランク値測定用システム水、等の複数の種類の液体が扱われる。各工程のノズル等の機構は、扱う液体に対応する機構である。自動分析装置及びその洗浄機構には、ノズル等の他に、チューブ、電磁弁、流量調整機構、ポンプ、接続部品等を備え、それらは公知技術で構成できる。各ノズルは、チューブ等を介してポンプに接続されている。チューブの流路上でノズルとポンプとの間には、流量調整機構や電磁弁が設けられている。流量調整機構は、吐き出しや吸引の際に送液される液体の流量を調整する。電磁弁は、開状態では、流路の液体の送液が行われ、閉状態では送液が行われない。制御装置100は、流量調整機構や電磁弁を制御する。
【0055】
[チップ吸引機構のノズル]
図4は、チップ吸引工程S14で使用されるチップ吸引機構400のノズル等の構成を示す。チップ吸引機構400は、吐出ノズル401(チップ洗浄ノズルともいう)、吸引ノズル402、吸引チップ403(吸引ブロックともいう)、を有する。チップ吸引機構400は、図2のチップ(吸引チップ403)の洗浄201のためのチップ洗浄機構と、反応容器9内の液体の吸引202のための吸引機構と、の両方が1つに実装された機構である。特に、吐出ノズル401と吸引ノズル402は、連結されて固定されており、これにより、1つの吐出吸引ノズル部として構成されている。この吐出吸引ノズル部は、チップ吸引工程で使用するためのタイプであり、反応容器9内に挿入される部分が上記の2つのノズルで構成されている。吸引ノズル402のZ方向下端は、吸引チップ403と連結され固定されている。吸引チップ403の断面等は後述する(図5)。
【0056】
吐出ノズル401と吸引ノズル402の連結構造によって、吸引ノズル402及び吸引チップ403に対する吐出ノズル401からの吐き出しの高さが制御されるように設計されている。吐出吸引ノズル部は、吐出ノズル401から吐き出される洗浄水によって吸引ノズル402の下端の吸引チップ403を洗浄するために、二種類のノズルの連結構造とされている。
【0057】
吐出ノズル401、吸引ノズル402、及び吸引チップ403は、一体的に、Z方向上下移動が制御される。吐出ノズル401及び吸引ノズル402の内部はZ方向に延在する空洞の流路となっている。吐出ノズル401及び吸引ノズル402のZ方向上端や下端は、開口となっている。吐出ノズル401及び吸引ノズル402のZ方向上端は、図示しないチューブ等に接続されている。そのチューブ等の先には、電磁弁、ポンプ等が接続されている。吐出ノズル401に対しては送液ポンプ16が接続されている。吸引ノズル402に対しては真空吸引ポンプ17が接続されている。
【0058】
チップ吸引工程S14では、吐出ノズル401、吸引ノズル402、及び吸引チップ403を含む、チップ吸引機構400の部分が、Z方向下方への移動によって、反応容器9内に挿入される。その際、反応容器9の内壁の底面のZ方向の位置Z0に対し、吐出ノズル401の下端の静止の位置Zc、吸引ノズル402の下端(図4では吸引チップ403との境界)の静止の位置Zd、及び吸引チップ403の下端の静止の位置Zeは、チップ吸引工程S14に応じて規定された所定のZ方向高さとされる。
【0059】
チップ吸引工程S14で、第1工程S21の洗浄201を行うサイクルである場合、電磁弁が開かれた状態で、送液ポンプ16の送液作用によって、対象の液体(洗浄液)がチューブ等を経由して吐出ノズル401へ送液される。そして、吐出ノズル401の下端からその液体(洗浄液)がZ方向下方へ吐き出しされる。吐き出された液体は、Z方向下方にある吸引チップ403の上面や側面等の部分にかかる。これにより、吸引チップ403自体が洗浄される。吸引チップ403にかかった液体は、Z方向下方、反応容器9の側面等を通じて底面付近に流れる。また、前の工程の影響で反応容器9の内壁の側面や底面に残っていた液体がある場合、それらの液体も洗浄液と一緒になって底面付近に集まる。底面付近の液体は、吸引チップ403及び吸引ノズル402を通じて吸引202が行われる。
【0060】
チップ吸引工程S14で、第1工程S21及び第2工程S22の吸引202を行うサイクルでは、電磁弁が開かれた状態で、真空吸引ポンプ17の真空吸引作用によって、吸引チップ403の下端の開口から、底面付近の液体が吸引される。吸引チップ403の側面と反応容器9の内壁の側面との間、及び吸引チップ403の底面と反応容器9の内壁の底面との間には、比較的狭い幅での流路が形成されている。そのため、その流路を通じて効率的に液体が吸引される。吸引チップ403の下端の開口から吸引された液体は、吸引チップ403内の流路を通じて、吸引ノズル402内の流路に入り、吸引ノズル402内からチューブ等を経由して送液されて排出される。
【0061】
上記のように、チップ吸引工程S14の第1工程S21では、吸引チップ403自体の洗浄201と共に、反応容器9内に残存する液体の吸引202が実現される。
【0062】
なお、自動分析装置の変形例として、上記チップ吸引機構400の構成に限らず可能であり、例えば以下でもよい。吐出ノズル401と吸引ノズル402とを、連結構造ではなく、独立分離された構造としてもよい。即ち、チップ吸引機構400は、吐出ノズル401を有する吸引チップ403の洗浄のためのチップ洗浄機構(吐出機構)と、吸引ノズル402及び吸引チップ403を有する吸引機構とで構成される。その吐出機構は、吐出ノズル401のみを上下移動可能である。その吸引機構は、吸引チップ403付きの吸引ノズル402のみを上下移動可能である。制御装置100は、チップ吸引工程S14の際に、同じ反応容器9に対し、それらの2つの機構を同期で制御することで、上記と同様の動作を実現する。また、後述するが(図13)、変形例として、吸引チップ403を洗浄するための方式としては、上記吐出ノズル401を用いる方式に限らず可能である。
【0063】
[チップ吸引機構の断面]
図5は、図4のチップ吸引機構400の詳細構造の一例を示し、吸引チップ403等の断面をXZ平面で示す。図5では、吸引202を行う際の静止の状態を示す。反応容器9の形状は、例えばZ方向に長い長方体の形状であるが、円筒形状等でもよい。その円筒形状等とする場合、対応させて吸引チップ403も円筒形状等とされる。反応容器9の内壁(液体が充填可能な容積領域)における、X方向の幅をW0とし、Z方向の高さをH0とする。Y方向の幅はX方向の幅W0と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
吐出ノズル401及び吸引ノズル402は、水平方向の断面が例えば円形であるが、矩形等でもよい。吸引ノズル402の直径をWnとする。吐出ノズル401の直径は、同じくWnとするが、異なる径としてもよい。
【0065】
吸引チップ403のブロック(長方体)の形状において、X方向の幅をWt、Z方向の高さをHtとする。吸引チップ403の幅Wtは、吸引ノズル402の直径Wnよりも大きく、反応容器9の内壁の幅W0よりも小さい。吸引チップ403の底面(位置Ze)と、反応容器9の底面(位置Z0)との間には、所定の間隔K1が形成される。また、吸引チップ403の側面と、反応容器9の側面との間には、所定の間隔K2が形成される。W0≒Wt+K2×2である。吸引チップ403のY方向の幅は、X方向の幅Wtと同様に、反応容器9の内壁のY方向の幅に合わせて規定される。
【0066】
吸引ノズル402及び固定部品501は金属等で構成されており、吸引チップ403は樹脂等で構成されている。本例では、吸引ノズル402と吸引チップ403との固定の構造として、吸引ノズル402のZ方向下端から所定の長さ(高さHt)までの部分が、吸引チップ403内をZ方向で貫通している。吸引チップ403内にそのための貫通穴を有する。両者の固定のために、吸引ノズル402の下端から近くの所定の位置には、固定部品501が接合されており、吸引ノズル402の外側面における凸部(突起部)となっている。これに対応させて、吸引チップ403の貫通穴の内側面には凹部が設けられている。吸引ノズル402の固定部品501の周りを吸引チップ403で覆って凹凸が嵌合するようにして両者が固定されている。
【0067】
また、本例では、吸引ノズル402の先端は、所定の角度でカットされた開口となっているが、水平な開口としてもよい。
【0068】
吸引ノズル402及び吸引チップ403の断面形状は、上記に限らず各種可能である。例えば、吸引ノズル402の下端が位置Zd付近までしか無い構造でもよい。その吸引ノズル402の下端と、吸引チップ403内に形成されている任意形状の空洞の流路とが接続されていれば、同様の機能を果たすことができる。吸引チップ403内に形成されている空洞の形状は、他にも、吸引チップ403の外形に対応した直方体形状としてもよいし、錐体形状等としてもよい。また、吸引チップ403の上面は、水平面としているが、これに限らず、中心軸から外側に向かって下るような傾斜面としてもよい。
【0069】
吐出ノズル401のZ方向の下端の位置Zcは、吸引ノズル402及び吸引チップ403に対して図示する位置関係で規定されている。即ち、吐出ノズル401の下端の位置Zcは、吸引ノズル402及び吸引チップ403の下端の位置Zeから、高さ方向で距離d1の位置である。また、吐出ノズル401の下端の位置Zcは、吸引チップ403の上面(吸引ノズル402との境界)の位置Zdから、高さ方向で距離d2の位置である(d1=Ht+d2)。
【0070】
吐出ノズル401の中心軸の水平方向の位置は、吸引ノズル402の中心軸の水平方向の位置に対して近い位置である。吐出ノズル401の下端(位置Zc)の開口からZ方向下方へ吐き出された液体(洗浄水)は、主に吸引チップ403の上面にあたり、他には吸引チップ403の側面や反応容器9の側面にあたる。それらの液体は、吸引チップ403の上面、吸引チップ403の側面と反応容器9の側面との間の流路を経由して、Z方向下方へ流れ落ちる。それらの液体は、吸引チップ403の底面と反応容器9の底面との間の流路を経由して、吸引チップ403及び吸引ノズル402の下端の開口の付近に集まる。そして、それらの液体は、その開口からZ方向上方へ吸引されて、吸引ノズル402の上端からチューブ等を経由して送液される。上記の際に流れる液体には、反応容器9の側面や底面や角隅等に残存していた液体も合流される。
【0071】
[チップ洗浄方式]
図6は、実施の形態1のチップ吸引工程S14における、吸引チップ403の洗浄201の方式やその動作等について示す。本方式は、図4等の構成に基づいて、吐出ノズル401から洗浄液を吐き出して吸引チップ403を洗浄する方式である。
【0072】
図6で、(1)は、チップ吸引機構400を下降によって反応容器9内に挿入する状態を示す。反応容器9内には過去のサイクルから持ち越された残存液体601の液滴が付着しているとする。次に、(2)は、反応容器9内で図5のような所定の高さ位置にチップ吸引機構400が静止した状態を示す。この状態で、洗浄201及び吸引202が同時に行われる。吐出ノズル401から洗浄水602が吐き出される。洗浄水602及び残存液体601は、前述のように、吸引チップ403及び吸引ノズル402を通じて吸引される。所定時間での吸引後、反応容器9内の液体が殆ど除去された状態となる。次に、(3)は、(2)の動作後、反応容器9内からチップ吸引機構400を上昇によって引き抜く状態を示す。(3)では、反応容器9内に残存液体が無く、かつ吸引チップ403にも液滴が付着していない、理想的な状態を示している。
【0073】
[比較例、課題等]
図7を用いて、課題等について補足説明する。チップ吸引工程による分析への影響等について説明する。図7では、比較例の自動分析装置で、チップ吸引工程の洗浄液の残存による分析への影響について示す。比較例の自動分析装置で、チップ吸引工程で使用するチップ吸引機構700を有する。このチップ吸引機構700は、所定の方式のチップ洗浄機構を備えている。そのチップ洗浄機構の方式は、吸引チップを液体で濡らす方式であり、実施の形態1の方式(図6)と同じでもよいし、他の方式でもよい。
【0074】
図7で、(1)は、反応容器9内にチップ吸引機構700が挿入されている状態で、チップ洗浄が行われている状態を示す。チップ吸引機構700として、吸引ノズル702及び吸引チップ703を有する。チップ吸引工程では、チップ吸引機構700を用いて、反応容器9内の液体の吸引が行われる。比較例における洗浄工程では、分析(光学測定)の開始直前までの全サイクルで、チップ洗浄動作が行われている。これにより、吸引チップ703の上面や側面等の面には、洗浄水の液滴701が流れ落ちずに付着している場合がある。次に、(2)は、(1)で吸引チップ703の面に付着していた液滴701がZ方向下方に落下する状態を示す。反応容器9の底面まで落下した場合の液滴706を示す。次に、(3)は、(2)で落下した液滴706が反応容器9の底面にある状態で、分析が開始された状態を示す。分析対象の反応容器9には、まず、分注工程で、分注ノズル704が挿入されて、試料705等が吐き出される。これにより、その反応容器9の反応溶液は、試料705や試薬に液滴706が混合される状態となり、反応溶液の濃度は、液滴706の分、薄められる。そのため、液滴706の影響によって、その反応溶液に対する光学測定の結果、測定精度が低下する恐れがある。
【0075】
洗浄工程における反応容器9の洗浄は、基本的には、分析で使用された反応容器9から行われていく。また、分析を依頼して自動分析装置が稼動した際にも、その依頼された反応容器の洗浄が行われる。このような洗浄動作を、分析準備洗浄と呼ぶ。分析で使用済みの反応容器9は、必ず洗浄が行われるが、例外も起こり得る。例えば、一連のシーケンスを実行中に、予期せぬアクシデント等によって、自動分析装置が緊急停止する場合がある。その場合に、使用済みだが洗浄が完了していない状態の反応容器9が生じる可能性がある。自動分析装置の稼動再開後、仮にその状態の反応容器9が分析に使用される場合、まともな光学測定はできない。そのため、このような可能性、事態も想定して、比較例の自動分析装置は、分析開始時に、所定のサイクルあるいは時間、必ず反応容器9の洗浄動作を分析準備洗浄として行うように制御される。これにより、上記アクシデント等が発生した場合でも、必ず洗浄済みの反応容器を用いた分析が実現される。実施の形態1の自動分析装置も、上記のような分析準備洗浄を行う機能を備えており、図2の分析工程S30の前に洗浄工程S20を行うことが相当する。
【0076】
実施の形態1の自動分析装置は、図2のように、一連のシーケンスを構成する複数のサイクルにおいて、例えば63サイクル(C1~C63とする)を、分析準備の洗浄工程S20のサイクルとし、64サイクル目以降(C64~とする)を、分析開始の分析工程S30のサイクルとしている。なお、サイクルは、反応ディスク5の円周上を複数の反応容器9が単位距離で回転移動及び静止を繰り返すサイクルに対応する。
【0077】
また、比較例の自動分析装置において、通常の洗浄のフローでは、液体が溜まった状態の反応容器9に対しては吐出ノズルから液体を吐き出さないように制御している。これは、反応容器9からの液体の溢れを防止するためである。上記分析準備洗浄においても同様の制御が行われる。なお、実施の形態1の自動分析装置において、反応容器9の上面(図4の位置Zm)から液体が溢れ出ないように、溢れ分を吸引することができる溢れ吸引ノズルを含む機構を設けた形態としてもよい。
【0078】
上記のように、吸引チップ703自体の洗浄に基づいた液滴701が残存する場合等に、分析開始前に完全な洗浄が済んでいない状態(洗浄未完了状態と記載する)の反応容器9が存在する可能性がある。つまり、分析対象の反応容器9内に余分な液体が残存している可能性がある。比較例及び実施の形態1の自動分析装置は、ディスク円周上の複数の反応容器9のうちどの反応容器9内に液体が残存しているかについては認識していない。
【0079】
また、比較例の自動分析装置では、分析準備洗浄における初回のサイクルあるいは2サイクル目までの間では、吸引ノズルによる溶液の吸引動作を行っているが、吐出ノズルによる吐出動作を制限している。3サイクル目以降であれば、吸引済みの反応容器が、吐出ノズルが配置されている位置に回転移動してくるので、その反応容器に対する吐き出しを行っても問題無い。実施の形態1の自動分析装置では、9サイクル目以降であれば、全ての吐出ノズルが吐き出し可能な状態となる。
【0080】
なお、他の比較例の自動分析装置として、ディスク上の全ての反応容器9内の状態を観察する機構を備える場合、どの反応容器内に不要な液体が残存しているか(洗浄未完了状態の反応容器)を認識可能である。その場合、その自動分析装置は、次回の分析開始の前に、その洗浄未完了状態の反応容器を選択して洗浄動作を行い、容器内から液体が除去された状態(洗浄完了状態と記載する)にすることができる。あるいは、その自動分析装置は、洗浄完了状態の反応容器を分析対象として選択して分析を行うことが可能である。しかし、このように全ての反応容器を観察可能とする自動分析装置は、機構や制御が複雑となり、高コストや大型となるので、現実的ではない。
【0081】
反応容器洗浄機構29に配置されている吸引ノズル402や吸引チップ403等の部品についても、清浄な状態で洗浄動作を行わなければならない。チップ吸引工程後の次のサイクルで分析が開始されるシーケンス構成の場合、特に、吸引チップ403について、清浄な状態に保っておかなくてはならない。そのため、比較例及び実施の形態1の自動分析装置では、洗浄工程内に吸引チップ403自体の洗浄201が組み込まれている。
【0082】
上記のように、分析準備洗浄を経て分析開始となる場合、吸引チップ403を備えた吸引ノズル402は、分析準備洗浄において1サイクル目から動作可能であり、全63サイクルの間において、どのサイクルでも、液体が残った反応容器9にアクセスされる可能性がある。反応容器洗浄機構29に配置されている各ノズルと比べて、吸引チップ403は、表面積が例えば数倍と大きい。そのため、吸引チップ403に付着した液体が反応容器9内に流れ落ちる場合、反応容器9内に残存した液体による汚染度合い、分析精度への影響も増加してしまう。
【0083】
図4のチップ洗浄方式のチップ吸引機構400の場合、反応容器9内の液体の吸引202に伴って、吐出ノズル401を用いて吸引チップ403自体を水洗できる。よって、余分な液体で汚染された吸引チップ403によって反応容器9の洗浄が行われることが回避できるという利点がある。ただし、上記のように吸引チップ403自体を洗浄する方式によって生じる課題があり、図7に示した通りである。
【0084】
実施の形態1の自動分析装置のチップ吸引機構400は、吸引ノズル402と吐出ノズル401が連結している構造である。この構造では、吸引チップ403の洗浄のための洗浄水602は、吸引チップ403の上面等に吐き出しされる。吸引チップ403を用いた吸引202の効果を高くするためには、反応容器9と吸引チップ403との隙間(間隔K1,K2)は狭い方が好ましい。しかし、それゆえ、吸引チップ403の上面や側面等の面に微量の洗浄水の液滴701が残存してしまう可能性が生じる。吸引チップ403の面に付着していた液滴701が反応容器9内の底面に落下した場合、洗浄201を行ったにも関わらず、余分な液体が残存する状態の反応容器9が生じてしまう。この反応容器9が分析に使用された場合、その残存液体が反応溶液を薄めてしまう。その結果、光学測定値の劣化や不良原因になる可能性がある。
【0085】
[洗浄機能]
図8図12を用いて、上記課題等に対応した、実施の形態1の自動分析装置における洗浄機能の洗浄工程S20、特にチップ吸引工程等の詳細について説明する。
【0086】
[シミュレーション]
図8は、実施の形態1の自動分析装置での洗浄工程S20に際する、実験及びミュレーション結果を示す。図8では、反応容器9及び吸引チップ403等の形状の規定に応じた、吸引チップ403からの洗浄水の液滴701の落下に関するシミュレーション結果を示す。図8の(A)は、形状の規定を示す。形状の規定として、特に、Z方向における反応容器9の高さH(図5のH0)と、吸引チップ403の高さh(図5のHt)との関係をパラメータとした。例えば、第1の範囲としては、吸引チップ403の高さhを、反応容器9の高さHの四分の一以下とする(h≦(H/4))。第2の範囲としては、吸引チップ403の高さhを、反応容器9の高さHの四分の一よりも大きく二分の一以下とする((H/4)<h≦(H/2))。第3の範囲としては、吸引チップ403の高さhを、反応容器9の高さHの二分の一よりも大きく高さH以下とする((H/2)<h≦H)。
【0087】
図8の(B)は、シミュレーション結果のグラフを示す。横軸は、図2の第2工程S22で吸引202のみを行うサイクルの数を示す。縦軸は、吸引チップ403から液滴701が反応容器9内に落下する確率を示す。曲線801は、高さ関係として第1の範囲の場合を示す。曲線802は第2の範囲の場合を示す。曲線803は第3の範囲の場合を示す。この結果では、第2工程S22の第1サイクル(C59)で液滴が落下する確率は、第1の範囲の曲線801が一番高く、次いで、第2の範囲の曲線802、第3の範囲の曲線803となった。即ち、吸引チップ403の高さhが相対的に小さい方が、早いサイクルで液滴が落下する結果となった。
【0088】
例えば、曲線801では、第1サイクルで90%であり、第1サイクルで殆どの液滴の落下が期待できる。例えば、反応容器9の高さHを30mm、吸引チップ403の高さhを8mmとした場合、それらの比率は、30/8=3.75、即ち約四分の一であり、第1の範囲の曲線801に近い。この場合、第1サイクルに高い確率で液滴が落下する。
【0089】
この結果から以下の推測ができる。第1の範囲のように、吸引チップ403の高さhが低い場合、その分、吸引チップ403の上面と吸引チップ403の下端の開口との間のZ方向距離あるいは流路の長さが短い。よって、その分、吸引チップ403の上面等に付着している液滴701を吸引作用によって引き込む力が強くなる。
【0090】
また、第2工程S22のサイクル数を多くするほど、多くの液滴を落下させることが期待できる。
【0091】
形状の規定に応じて、第2工程S22のうち早いサイクルで液滴を落下させることができる場合、第2工程S22として設けるサイクル数を少なくすることができる。この結果では、いずれの範囲の曲線の場合でも、第2工程S22として5サイクルもあれば、殆どの液滴を落下させることができる。よって、上記結果に基づいて、実施の形態1の自動分析装置では、第2工程S22を構成するサイクル数を5とした。これにより、吸引チップ403の付着液滴による分析精度への影響、測定不良のリスクを、限りなく低減できる。これに限らず、吸引チップ403等の形状の規定に応じて、第2工程S22のサイクル数を構成すればよく、最低限1サイクルを設ければ、相応の効果が得られる。
【0092】
なお、チップ吸引機構400の詳細構造に応じるが、吸引ノズル402と吸引チップ403との接合部付近等、洗浄水の液滴701が付着しやすい箇所がある場合もある。その場合でも、第2工程S22のサイクル数を十分に設けること等によって対策可能である。
【0093】
[サイクルや容器の関係]
図9は、洗浄機能及びチップ吸引工程に関するサイクルや反応容器9の関係について、あるサイクル時点での反応ディスク5の上面から見た反応容器9の回転移動の状態を模式的に示す。反応ディスク5の円周上の所定の位置として、例えば位置P1~P6,Pa,Pb等があるとする。例えば、位置P1に、チップ吸引工程のためのチップ吸引機構400が固定配置されている。また、例えば、位置Paに、分析工程S30の最初の分注工程S31のための分注機構が固定配置されている。図9のサイクル時点では、位置P1に、反応容器9として容器Aが移動してきて停止した状態である。この時、位置P2には容器Bが配置されている。同様に、位置P3に容器C、位置P4に容器D、位置P5に容器E、といったように、各位置に反応容器9が配置されている。
【0094】
次のサイクルになると、単位回転移動によって、位置P1の容器Aは、次の位置Paへ移動し、位置P1には位置P2から容器Bが移動してくる。他の容器も同様に回転移動する。位置P1で、チップ吸引機構400は、チップ吸引工程のサイクル毎に、容器A,B,C,D,Eといった順序で前述の動作を行う。位置P1の次の位置Paでは、分析工程S30で分注動作が行われる。
【0095】
[サイクル及び容器の移動]
図10は、図9に対応して、チップ吸引工程を含むシーケンスに関するサイクル及び反応容器9の移動について示す。図10の縦方向は時系列のサイクル、横方向は図9のディスク円周上の位置及び複数の反応容器9の回転移動を表す。サイクルとして、第1工程S21の58サイクル(C1~C58)、第2工程S22の5サイクル(#1~#5)、次の分析工程(S30)の最初の方のサイクル(C64~)を示す。第1工程S21の58サイクルでは、位置P1のチップ吸引機構400を用いて、例えば容器A~Zについて、チップ吸引動作(洗浄201及び吸引202)が行われる。例えば、あるサイクルCiでは、容器Aのチップ吸引動作が行われたとする。例えば、第1工程S21の最後のサイクルC58では、容器Zのチップ吸引動作が行われたとする。
【0096】
次に、第2工程S21の5サイクルでは、位置P1のチップ吸引機構400を用いて、洗浄201を休止して吸引202のみの動作が行われる。最初のサイクルC59(#1)では、容器Aを対象に動作が行われている。次のサイクルC60(#2)では容器Bに動作が行われている。同様に、サイクルC61(#3)では容器C、サイクルC62(#4)では容器D、最後のサイクルC63(#5)では容器Eに動作が行われている。即ち、第2工程S21の5サイクルでは、位置P1を経由する容器A~Eに対して吸引202のみの動作が行われている。
【0097】
次に、分析工程S30のサイクル(C64以降)では、例えば位置Paで、分注機構を用いて、分注工程S31の動作が行われる。例えば、最初のサイクルC64では、位置Paで、容器Eに対して、分注動作が行われている。容器Eは、第2工程S22を経由して高い確率で洗浄完了状態となっているので、分析に使用される。他の容器A~D等についても、同様に、分析工程S30内の後の方のサイクルで、分注等の動作が行われる。
【0098】
実施の形態1では、チップ吸引工程の第2工程S22の直後に、分析開始の分注工程S31を設けるシーケンス構成としている。これは、洗浄完了状態となった反応容器9を、なるべく間を空けずに分析に使用する方が好ましいためである。なお、変形例として、第2工程S22の後、分注工程S31に入る前に、1サイクル以上の空きサイクル、または他の工程のためのサイクルを挟んだシーケンス構成としてもよい。
【0099】
[容器の状態の遷移]
図11は、洗浄工程S20のチップ吸引工程S14から次の分析工程S30に至る流れにおける反応容器9の状態の遷移を示す。図11では特に容器Aに着目して示しているが、他の容器でも同様に考えればよい。前述の第1工程S21の複数サイクル(C1~C58)では、吸引チップ403の洗浄201の動作と共に、反応容器9内の液体の吸引202の動作が行われる。次の第2工程S22の複数サイクル(C59~C63)では、洗浄201を休止して反応容器9内の液体の吸引202のみの動作が行われる。
【0100】
第1工程S21のうちのあるサイクルCiでは、位置P1で容器Aの吸引チップ403の洗浄201及び吸引202が行われる。第2工程S22のうちの第1サイクル#1(C59)では、位置P1で容器Aの吸引202が行われる。この際、容器A内に吸引チップ403から落下した液滴があった場合、高い確率で吸引202によって除去される。これにより、容器A内には液体が無い状態、即ち洗浄完了状態となる。第2サイクル#2(C60)では、位置P1で他の容器について同様に吸引202が行われており、容器Aについては回転移動によって他の位置へ移動中である。同様に、容器Aは、第3サイクル#3(C61)、第4サイクル#4(C62)、第5サイクル#5(C63)、と位置を移動する。
【0101】
次に、分析工程S30に入る。容器Aに関しては、あるサイクルCaで、所定の位置Paで、最初の分注工程S31が行われる。その他、分析に必要な公知の工程が各サイクルで行われ、あるサイクルCkでは、所定の位置Pkで、測定工程が行われる。即ち、容器A内の反応溶液111に対する光の照射に基づいて分光光度等の値が測定される。
【0102】
前述のシミュレーション結果で示したように、第1工程S21で吸引チップ403の洗浄201を行った直後の次のサイクル、即ち第2工程S22の最初のサイクル#1(C59)では、吸引チップ403の面に付着している液滴が落下する可能性が非常に高い。第2工程S22のサイクル内で、反応容器9内に落下した液体は、吸引ノズル402及び吸引チップ403を通じた吸引202の動作によって吸引されて除去される。第2工程S22のサイクルを経由した反応容器9は、反応容器9内に液体が残存していない洗浄完了状態が確保される。そのような洗浄完了状態の反応容器9が分析工程(C64以降)で使用される。
【0103】
実施の形態1のシーケンスでは、洗浄工程S21で、C58以降では、汚染されている反応容器9に対して吸引チップ403がアクセスすることは無い。よって、C63とC58との差分である5サイクルを、第2工程S22のサイクル数として設けることが可能である。実施の形態1のシーケンス構成では、従来のシーケンス構成に対し、分析依頼を受けてから分析開始するまでに要する時間は延びていない。即ち、実施の形態1によれば、スループットを殆ど同じに維持でき、時間的な不利は無い。かつ、実施の形態1によれば、迅速対応が求められる臨床検査現場等でも、チップ洗浄水の残存による分析結果への影響を排除して分析性能を高めることができる。
【0104】
[容器の状態の詳細]
図12は、図11のうち、第1工程S21のあるサイクルCiでの容器Aの状態、及び第2工程S22の第1サイクル#1(C59)での容器Aの状態の詳細を示す。サイクルCiで、吐出ノズル401から洗浄水602の吐き出しによって、吸引チップ403の洗浄201がされる。また、吸引チップ403及び吸引ノズル402によって反応容器9内の液体(残存液体601及び洗浄水を含む)の吸引202がされる。この際、洗浄水の液滴701が吸引チップ403の面に付着して残る可能性がある。
【0105】
サイクル#1(C59)で、吸引202のみが行われる。これにより、前のサイクルからの持ち越しで吸引チップ403の面に付着している液滴701があった場合、その液滴701は容器内下方に落下する可能性が高い。反応容器9の底面に落下した液滴706は、吸引202によって除去される可能性が高い。
【0106】
[効果等]
上記のように、実施の形態1の自動分析装置では、分析準備の洗浄工程S20のチップ吸引工程のうちの洗浄201等を行う第1工程S21と、分析工程S30との間に、第2工程S22のように洗浄201を休止するサイクルを設ける。これにより、そのサイクルを通じて、洗浄201によって吸引チップ403の面に付着している余分な液滴があった場合にその液滴を吸引、除去できる。分析開始直前の反応容器9内の状態として、残存液体を無くし、高気密状態にでき、光学測定への悪影響を無くすことができる。したがって、実施の形態1の自動分析装置によれば、チップ吸引工程を含む洗浄プロセスによる反応容器9の洗浄性能の確保と共に、分析精度の低下抑制または向上を実現できる。実施の形態1では、分析に用いる反応容器については、すべて、第2工程S22を経由するように、分析準備の洗浄工程S20が制御される。これにより、吸引チップ403の残存液体に起因する、光学測定値の劣化等を防止できる。
【0107】
実施の形態1の変形例の自動分析装置として、以下が挙げられる。なお、反応容器9や吸引チップ403等の形状は、実施の形態1の構成に限らず、各種変更可能である。
【0108】
[変形例(1)-他のチップ洗浄方式]
図13は、変形例として、他のチップ洗浄方式を示し、このような方式を適用してもよい。前述の第1工程S21のサイクルでチップ洗浄201及び吸引202を行う代わりに、図13の方式でチップ洗浄を行う。この方式では、チップ吸引機構400には、チップ洗浄201のための吐出ノズル401を備える必要は無い。
【0109】
この方式では、概略以下のような流れの動作である。まず、図13の(1)のように、予め反応容器9内に洗浄液131を溜めた状態とする。その際には、所定の吐出ノズルを用いて反応容器9内に洗浄液131を吐き出す。次に、図13の(2)のように、その反応容器9内に、吸引チップ403及び吸引ノズル402を含むチップ吸引機構400をアクセスする。即ち、制御装置100は、吸引チップ403等をZ方向下方に移動させて、洗浄液131内に浸漬してから、吸引チップ403等をZ方向上方に移動させて引き上げる。次に、図13の(3)のように、所定の吸引ノズルを用いて反応容器9内の洗浄液131を吸引し、反応容器9内の液体を除去する。なお、(2)と(3)の手順を1つにし、吸引チップ403及び吸引ノズル402を用いて、洗浄水131を吸引させてもよい。
【0110】
なお、この方式を適用する場合、図2の洗浄工程S20の一部の構成を変更する必要があるが、実施の形態1と概ね同様の効果を実現できる。
【0111】
[変形例(2)-第2工程の特殊動作]
図14は、変形例として、第2工程S22のサイクルにおける特殊動作について示す。この変形例では、制御装置100は、第2工程S22のサイクルで、このような特殊動作を行うように制御する。特に、第2工程S22として、例えば1サイクルや2サイクルといった少ないサイクル数しか設けることができない制約がある場合に、このような特殊動作を行うと効果的である。この特殊動作によって、第2工程S22が1サイクルしか無い場合でも、吸引チップ403の面に付着した洗浄水の液滴を確実に除去する。
【0112】
図14の(A)は、第1の特殊動作として、急下降及び衝突を示す。制御装置100は、反応容器9内にチップ吸引機構400の吸引チップ403等をZ方向下方へ急下降させる。即ち、制御装置100は、加速度を持たせて通常動作時(第1速度)よりも高速度(第2速度)で下降させる。そして、制御装置100は、吸引チップ403の下端を、反応容器9の底面に衝突させる。衝突の際の力は所定レベルまでに制御される。これにより、吸引チップ403の面に付着していた液滴があった場合に、その液滴を下方へ高い確率で落下させることができる。なお、吸引チップ403は樹脂等で構成され、チップ吸引機構400等には衝突時の緩衝機能も備えているので、衝突によって部品への悪影響は無い。
【0113】
図14の(B)は、第2の特殊動作として、急上昇を示す。同様であるが、制御装置100は、反応容器9内にチップ吸引機構400の吸引チップ403等がある状態から、Z方向上方へ急上昇させる。即ち、制御装置100は、加速度を持たせて通常動作時(第1速度)よりも高速度(第2速度)で上昇させる。これにより、吸引チップ403の面に付着していた液滴を下方へ高い確率で落下させることができる。
【0114】
図14の(C)は、第3の特殊動作として、微振動を示す。制御装置100は、反応容器9内にチップ吸引機構400の吸引チップ403等がある状態から、吸引チップ403等を水平方向で振動させる。これにより、吸引チップ403の面に付着していた液滴を下方へ高い確率で落下させることができる。
【0115】
図14の(D)は、第4の特殊動作として、吸引圧増加を示す。制御装置100は、反応容器9内にチップ吸引機構400の吸引チップ403等がある状態(吸引チップ403の下端を所定の位置Zeにした状態)から、吸引チップ403及び吸引ノズル402による吸引202の動作の吸引圧を、通常時よりも増加させる。即ち、第1工程S21での吸引202の第1吸引圧よりも高い、第2工程S22での吸引202の第2吸引圧とする。これにより、吸引チップ403の面に付着していた液滴を下方へ高い確率で落下させ、吸引することができる。
【0116】
上記(A)~(D)の特殊動作の制御は、それぞれの単体のみを用いる形態としてもよいし、それらの組み合わせを用いる形態としてもよい。組み合わせの例としては以下である。制御装置100は、(A)の第1の特殊動作を用いて吸引ノズル402等を反応容器9内に急下降及び衝突させる。その場合に、吸引チップ403の面に付着している液滴が衝突力等によって上に飛び跳ねる。制御装置100は、そのタイミングと同期させて、ある短い一定時間のみ、吸引圧を第2吸引圧に増加させる。これにより、飛び跳ねた液滴を効果的に吸引することができる。
【0117】
他の特殊動作としては以下が挙げられる。反応容器9内の液体除去、高気密化を早めるための乾燥機構を用いる。即ち、制御装置100は、乾燥機構を用いて、反応容器9内に空気等の所定のガスを当てるように制御する。
【0118】
上記のように、変形例によれば、第2工程S22のサイクル数が少なくても、特殊動作によって、吸引チップ403の付着液滴の落下、除去を早めることができ、光学測定への影響を低減でき、安定した装置運用を実現できる。
【0119】
以上、本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0120】
S14…チップ吸引工程、S20…洗浄工程、S21…第1工程、S22…第2工程、S30…分析工程、S31…分注工程、201…チップ洗浄、202…容器内液体吸引。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14