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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】財務リスク管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20230126BHJP
   G06Q 40/03 20230101ALI20230126BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
G06Q40/02 300
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022504491
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2020003667
(87)【国際公開番号】W WO2020190014
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0030631
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521435019
【氏名又は名称】ヒュコア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】スンテ・リ
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-312593(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143054(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/025531(WO,A1)
【文献】特開2003-141356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経済主体の過去計画キャッシュフローと対比した過去実績キャッシュフローの変動性分析を通じて適正流動性を算出して管理する流動性リスク管理モジュール;
前記経済主体の金融資産情報と金融負債情報から金利リスクへのエクスポージャー程度を把握し、国内外の市場金利変動性により変動する把握されたエクスポージャーの金利リスクを測定して管理する金利リスク管理モジュール;および
前記経済主体の外貨金融資産情報と外貨金融負債情報および国際取引情報から為替リスクへのエクスポージャー程度を把握し、国内外の為替レート変動性により変動する把握されたエクスポージャーの為替リスクを測定して管理する為替リスク管理モジュールを含み、
前記流動性リスク管理モジュールは、
前記経済主体の過去計画キャッシュフローと過去実績キャッシュフローの入力を受け、前記過去計画キャッシュフローに含まれる計画純キャッシュフローと前記過去実績キャッシュフローに含まれる実績純キャッシュフロー間の差である過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差を計算する実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差計算部;
前記過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の平均と標準偏差を測定期間別に計算して前記過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の変動性を測定する実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差変動性測定部;
前記過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の変動性により測定期間と信頼水準に区分される適正流動性を算出する適正流動性算出部;
前記適正流動性と現在時点の保有資金の差を設定された流動性リスク許容限度と比較して流動性リスクを分析する流動性リスク分析部;および
前記流動性リスク分析部によって分析された流動性リスクの程度により段階別に区分される流動性レベル診断情報を提供する流動性リスク診断情報提供部を含み、
前記金利リスク管理モジュールは、
前記経済主体の金融資産情報と金融負債情報の入力を受け、前記金融資産情報と金融負債情報を構成する個別金融資産と個別金融負債の残存期間(remaining maturities)を抽出し、それぞれの異なる残存期間に、個別金融資産額を個別金融資産の総額で割り、個別金融負債額を個別金融負債の総額で割ったものを、加重値として乗算し、合算して平均残存期間を計算する残存期間計算部;
照会日を基準として前記個別金融資産と金融負債の金額の残存期間を考慮した満期到来調整係数と金利リスク測定期間を考慮したリスクエクスポージャー調整係数と金利を乗算して金融資産と金融負債の金利リスクエクスポージャー額を計算する金利リスクエクスポージャー計算部;
基準金利情報を収集する基準金利情報収集部;
前記基準金利情報収集部によって収集された基準金利情報を分析して金利リスク測定期間と信頼水準により基準金利変動性を計算する基準金利変動性計算部;
前記金融資産の金利リスクエクスポージャー額に前記基準金利変動性を乗算して金融資産金利リスクを計算し、前記金融負債の金利リスクエクスポージャー額に前記基準金利変動性を乗算して金融負債金利リスクを計算し、金融資産金利リスクと金融負債金利リスクを相殺して金利リスクを計算する金利リスク計算部;
前記金利リスクと設定された金利リスク許容限度とを比較して金利リスクを分析する金利リスク分析部;および
前記金利リスク分析部によって分析された金利リスクの程度により段階別に区分される金利リスクレベル診断情報を提供する金利リスク診断情報提供部を含み、
前記為替リスク管理モジュールは、
前記外貨金融資産情報を構成する個別外貨金融資産の金額を照会日を基準として合算して外貨金融資産の為替リスクエクスポージャー額を計算し、前記外貨金融負債情報を構成する個別外貨金融負債の金額を前記照会日を基準として合算して外貨金融負債の為替リスクエクスポージャー額を計算し、前記照会日を基準として前記国際取引情報を構成する個別の国際取引の残額(balances)と残存期間とリスク測定期間を連係させて、現金及び現金同等物の国際取引為替リスクエクスポージャー額を計算する為替リスクエクスポージャー計算部;
基準為替レート情報を収集する基準為替レート情報収集部;
前記基準為替レート情報収集部によって収集された基準為替レート情報を分析して為替リスク測定期間と信頼水準により基準為替レート変動性を計算する基準為替レート変動性計算部;
前記外貨金融資産の為替リスクエクスポージャー額に前記基準為替レート変動性を乗算して外貨金融資産為替リスクを計算し、前記外貨金融負債の為替リスクエクスポージャー額に前記基準為替レート変動性を乗算して外貨金融負債為替リスクを計算し、外貨金融資産為替リスクと外貨金融負債為替リスクを相殺して外貨金融純資産為替リスクを計算し、前記現金及び現金同等物の国際取引為替リスクエクスポージャー額に前記基準為替レート変動性を乗算して国際取引為替リスクを計算する為替リスク計算部;
前記外貨金融純資産為替リスクと別に設定された外貨金融純資産為替リスク許容限度を比較して外貨金融純資産為替リスクを分析し、前記国際取引為替リスクと別に設定された国際取引為替リスク許容限度を比較して国際取引為替リスクを分析する為替リスク分析部;および
前記為替リスク分析部によって分析された外貨金融純資産為替リスクの程度により段階別に区分される外貨金融純資産為替リスクレベル診断情報を提供し、前記為替リスク分析部によって分析された国際取引為替リスクの程度により段階別に区分される国際取引為替リスクレベル診断情報を提供する為替リスク診断情報提供部を含む、財務リスク管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は財務リスク管理システムに関する。より具体的には、本発明は企業と個人を含む多様な経済主体(economic units)の流動性リスク、金利リスク、外国為替リスク(foreign exchange risk 以下、為替リスクという)を含む財務リスクを評価し、評価されたリスクに相応する診断情報を経済主体に提供することによって経済主体が財務リスクを効果的に管理できるようにする財務リスク管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
グローバル経済時代の到来につれて機関や企業の運営だけでなく、一般個人の財務に影響を及ぼす数多くの状況が発生しており、金融危機、不動産市場の萎縮、為替危機など、国内外の変数によって財務危機に陥ったり破産に至る機関や企業および個人が増加している。
【0003】
それに伴い、機関や企業の運営および個人の資産/負債管理において、このような将来の変数または発生可能なリスクに備えて財務計画を樹立したり点検したりすることが必須に要求される。
【0004】
公共機関や民間企業では経営環境および事業の条件の変化に能動的に対処するために財務リスクを管理する努力をしている。
【0005】
しかし、従来の財務リスク管理方法の場合、エクセルプログラムを利用して概算の管理しかなされていないのが実情であり、それに伴い、機関、企業、個人の適正な流動性の算出や外部環境の変化に対する金融資産、金融負債、外貨資産、外貨負債の適切なリスク管理方法の提供が不可能である。また、多様な変数を適用して、多様な条件の変化を考慮したそれぞれの財務リスクレベルにより、リスク許容限度に応じた金額を算出することが困難な問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1059106号(登録日:2011年08月18日、名称:財務リスク管理システム)
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2013-0100857号(公開日:2013年09月12日、名称:SaaS環境における財務リスク管理サービスを提供するためのシステム)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、企業と個人を含む多様な経済主体の流動性リスク、金利リスク、為替リスクを含む財務リスクを評価し、評価されたリスクに相応する診断情報を経済主体に提供することによって経済主体が財務リスクを効果的に管理できるようにする財務リスク管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような技術的課題を解決するための本発明に係る財務リスク管理システムは、経済主体の過去計画キャッシュフローと対比した過去実績キャッシュフローの変動性(ボラティリティ)分析を通じて適正流動性を算出して管理する流動性リスク管理モジュール、前記経済主体の金融資産情報(financial asset information)と金融負債情報(financial debt information)から金利リスクへのエクスポージャー程度を把握し、国内外の市場金利変動性(interest rate volatility)により変動する把握されたエクスポージャーの金利リスクを測定して管理する金利リスク管理モジュール、および前記経済主体の外貨金融資産情報と外貨金融負債情報および国際取引情報から為替リスクへのエクスポージャー程度を把握し、国内外の為替レート変動性(exchange rate volatility)により変動する把握されたエクスポージャーの為替リスクを測定して管理する為替リスク管理モジュールを含む。
【0009】
本発明に係る財務リスク管理システムにおいて、前記流動性リスク管理モジュールは、前記経済主体の過去計画キャッシュフローと過去実績キャッシュフローの入力を受け、前記過去計画キャッシュフローに含まれる計画純キャッシュフロー(資金流出-資金流入)と前記過去実績キャッシュフローに含まれる実績純キャッシュフロー間の差である、過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差を計算する実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差計算部、前記過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の平均と標準偏差を測定期間に応じて計算して、前記過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の変動性を測定する実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差変動性測定部、前記過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の変動性によりリスク測定期間と信頼水準に区分される適正流動性を算出する適正流動性算出部、および前記適正流動性と現在時点で保有する現金及び現金同等物の保有額の差を別に設定された流動性リスク許容限度と比較して流動性リスクを分析する流動性リスク分析部を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る財務リスク管理システムにおいて、前記流動性リスク管理モジュールは、前記流動性リスク分析部によって分析された流動性リスクの程度により段階別に区分される流動性リスクレベル診断情報を提供する流動性リスク診断情報提供部をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る財務リスク管理システムにおいて、前記金利リスク管理モジュールは、前記経済主体の金融資産情報と金融負債情報の入力を受け、前記金融資産情報と金融負債情報を構成する個別金融資産と個別金融負債の残存期間(remaining maturities)を抽出し、それぞれに異なる前記残存期間に、前記個別金融資産と個別金融負債の金額を、前記個別金融資産を個別の金融資産の総額で割り、前記個別金融負債を個別の金融負債の総額で割った、加重値で乗算し、合算して平均残存期間を計算する残存期間計算部、照会日を基準として前記個別金融資産と金融負債の残存期間を考慮した満期到来調整係数と金利リスク測定期間を考慮したリスクエクスポージャー調整係数と金利を乗算して金融資産と金融負債の金利リスクエクスポージャー額を計算する金利リスクエクスポージャー計算部、基準金利情報を収集する基準金利情報収集部、前記基準金利情報収集部によって収集された基準金利情報を分析して金利リスク測定期間と信頼水準により基準金利変動性を計算する基準金利変動性計算部、前記金融資産の金利リスクエクスポージャー額に前記基準金利変動性を乗算して金融資産金利リスクを計算し、前記金融負債の金利リスクエクスポージャー額に前記基準金利変動性を乗算して金融負債金利リスクを計算し、金融資産金利リスクと金融負債金利リスクを相殺して金利リスクを計算する金利リスク計算部、および前記金利リスクと別に設定された金利リスク許容限度とを比較して金利リスクを分析する金利リスク分析部を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る財務リスク管理システムにおいて、前記金利リスク管理モジュールは、前記金利リスク分析部によって分析された金利リスクの程度により段階別に区分される金利リスクレベル診断情報を提供する金利リスク診断情報提供部をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る財務リスク管理システムにおいて、前記為替リスク管理モジュールは、前記外貨金融資産情報を構成する個別外貨金融資産の金額を照会日を基準として合算して外貨金融資産の為替リスクエクスポージャー額を計算し、前記外貨金融負債情報を構成する個別外貨金融負債の金額を照会日を基準として合算して外貨金融負債の為替リスクエクスポージャー額を計算し、照会日を基準として前記国際取引情報を構成する個別国際取引の残額(balances)と残存期間をリスク測定期間に連係させて国際取引リスクにエクスポージャーする額を計算する為替リスクエクスポージャー計算部、基準為替レート情報を収集する基準為替レート情報収集部、前記基準為替レート情報収集部によって収集された基準為替レート情報を分析して為替リスク測定期間と信頼水準により基準為替レート変動性を計算する基準為替レート変動性計算部、前記外貨金融資産の為替リスクエクスポージャー額に前記基準為替レート変動性を乗算して外貨金融資産為替リスクを計算し、前記外貨金融負債の為替リスクエクスポージャー額に前記基準為替レート変動性を乗算して外貨金融負債為替リスクを計算し、外貨金融資産為替リスクと外貨金融負債為替リスクを相殺して外貨金融純資産為替リスクを計算し、前記国際取引リスクにエクスポージャーする現金及び現金同等物の保有額に前記基準為替レート変動性を乗算して国際取引リスクを計算する為替リスク計算部および前記外貨金融純資産為替リスクと別に設定された外貨金融純資産為替リスク許容限度を比較して外貨金融純資産為替リスクを分析し、前記国際取引の為替リスクと別に設定された為替リスク許容限度を比較して国際取引の為替リスクを分析する為替リスク分析部を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る財務リスク管理システムにおいて、前記為替リスク管理モジュールは、前記為替リスク分析部によって分析された外貨金融純資産為替リスクの程度により段階別に区分される外貨金融純資産為替リスクレベル診断情報を提供し、前記為替リスク分析部によって分析された国際取引の為替リスクの程度により段階別に区分される国際取引の為替リスクレベル診断情報を提供する為替リスク診断情報提供部をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、財務リスク管理システムは企業と個人を含む多様な経済主体の流動性リスク、金利リスク、為替リスクを含む財務リスクを評価し、評価されたリスクに相応する診断情報を経済主体に提供することによって経済主体が財務リスクを効果的に管理できるようにする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムを示した図面である。
図2】本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムの全体的な動作を説明するための図面である。
図3】本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムに含まれた流動性リスク管理モジュールの構成を例示的に示した図面である。
図4図3に例示された流動性リスク管理モジュールの動作を例示的に説明するための図面である。
図5】本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムに含まれた金利リスク管理モジュールの構成を例示的に示した図面である。
図6図5に例示された金利リスク管理モジュールの動作を例示的に説明するための図面である。
図7】本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムに含まれた為替リスク管理モジュールの構成を例示的に示した図面である。
図8図7に例示された為替リスク管理モジュールの動作を例示的に説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示された本発明の概念による実施例に対する特定の構造的または機能的説明は単に本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の概念による実施例は多様な形態で実施され得、本明細書に説明された実施例に限定されない。
【0018】
本発明の概念による実施例は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるため、実施例を図面に例示して本明細書で詳細に説明する。しかし、これは本発明の概念による実施例を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物、または代替物を含む。
【0019】
1番目や2番目などの用語はさまざまな要素を説明するために使用されるが、その要素はその用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、1つの要素を他の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本発明の概念による範囲から逸脱することなく、第一の要素は、第二の要素と称されることができ、同様に、第二の要素は第一の要素と称されることができる。
【0020】
ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と表現される場合、その要素は他の要素に直接接続または結合されるか、または中間要素がそれらの間に存在し得ることが理解されるべきである。他方、ある要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と表現される場合、その間に中間要素は存在しないことを理解されたい。要素間の関係を説明するのに用いられる他の単語である、「間」と「直接的な間」、「隣接」と「直接隣接」なども、同様の方法で解釈される。
【0021】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。文脈で明確に示されていない限り、単数形には複数形も含まれる。本明細書で使用される場合、「含む」、「有する」などの用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在を特定するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、パーツ、またはそれらの組み合わせの存在または追加を排除するものではないことが理解される。
【0022】
特に異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使われるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を表す。一般的に使われる辞書に定義されたものと同一の用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0023】
以下では、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムを示した図面であり、図2は本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムの全体的な動作を説明するための図面である。
【0025】
図1および図2を参照すると、本発明の一実施例に係る財務リスク管理システム4は流動性リスク管理モジュール10、金利リスク管理モジュール20および為替リスク管理モジュール30を含む。
【0026】
流動性リスク管理モジュール10は、経済主体の過去計画キャッシュフローと対比した過去実績キャッシュフローの変動性分析を通じて適正流動性を算出して管理する機能を遂行する(S10)。
【0027】
金利リスク管理モジュール20は、経済主体の金融資産情報と金融負債情報から金利リスクへのエクスポージャー程度を把握し、国内外の市場金利変動性により変動する把握されたエクスポージャーの変動性を測定して管理する機能を遂行する(S20)。
【0028】
為替リスク管理モジュール30は、経済主体の外貨金融資産情報と外貨金融負債情報および国際取引情報から為替リスクへのエクスポージャー程度を把握し、国内外の為替レート変動性により変動する把握されたエクスポージャーの変動性を測定して管理する機能を遂行する(S30)。
【0029】
以下では、図3図8をさらに参照して、本発明の一実施例に係る財務リスク管理システム4の細部的かつ例示的な構成を説明する。
【0030】
図3は本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムに含まれた流動性リスク管理モジュールの構成を例示的に示した図面であり、図4図3に例示された流動性リスク管理モジュールの動作を例示的に説明するための図面である。
【0031】
図3および図4を参照すると、流動性リスク管理モジュール10は、実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差計算部110、実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差変動性測定部120、適正流動性算出部130、流動性リスク分析部140および流動性リスク診断情報提供部150を含んで構成され得る。
【0032】
実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差計算部110は、経済主体の過去計画キャッシュフローと過去実績キャッシュフローの入力を受け、過去計画キャッシュフローに含まれた計画純キャッシュフローと過去実績キャッシュフローに含まれた実績純キャッシュフロー間の差である過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差を計算する機能を遂行する(S110)。
【0033】
例えば、経済主体の過去計画キャッシュフローと過去実績キャッシュフローは日別/週別/月別に区分される短期資金收支計画および実績であり得、財務情報システム2が備えられている会社の場合、財務情報システム2から伝達され得る。財務情報システム2が備えられていない場合、経済主体の過去計画キャッシュフローと過去実績キャッシュフローはエクセルファイルから伝達を受けるか使用者端末1を通じて直接入力されてもよい。
【0034】
例えば、純キャッシュフローと実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差は次の数学式1を通じて計算され得る。
【0035】
[数学式1]
【数1】
【0036】
実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差を測定する実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差変動性測定部120は、実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差計算部110により計算された過去1/2/3年などに対応する実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の平均と標準偏差を計算して過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の変動性を測定する機能を遂行する(S120)。
【0037】
例えば、実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差変動性は次の数学式2を通じて計算され得る。
【0038】
[数学式2]
【数2】
【0039】
数学式2で、mは過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の平均、σは過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の標準偏差である。
【0040】
適正流動性算出部130は、実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差変動性測定部120により測定された過去実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差の変動性により測定期間と信頼水準に区分される適正流動性を算出する機能を遂行する(S130)。
【0041】
例えば、適正流動性の測定期間は1/3/6/12ヶ月などであり得、信頼水準は90/95/99%などのように多様に設定され得る。
【0042】
例えば、適正流動性は次の数学式3を通じて計算され得る。
【0043】
[数学式3]
適正流動性=累積純キャッシュフロー+σ(標準偏差)×測定期間の平方根×信頼係数
【0044】
流動性リスク分析部140は、適正流動性算出部130により算出された適正流動性と経済主体の現在時点で保有する現金及び現金同等物の保有額の差を別に設定された流動性リスク許容限度と比較して流動性リスクを分析する機能を遂行する(S140)。
【0045】
例えば、流動性リスク許容限度は使用者によって設定および再設定が可能なように構成され得る。
【0046】
流動性リスク診断情報提供部150は、流動性リスク分析部140によって分析された流動性リスクの程度により段階別に区分される流動性リスクレベル診断情報を提供する機能を遂行する(S150)。
【0047】
例えば、流動性リスクレベル診断情報は正常/注意/警戒/警告(危険)に区分されて提供され得るが、流動性リスクレベル診断情報の提供形式はこれに限定されはしない。
【0048】
図5は本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムに含まれた金利リスク管理モジュールの構成を例示的に示した図面であり、図6図5に例示された金利リスク管理モジュールの動作を例示的に説明するための図面である。
【0049】
図5および図6を参照すると、金利リスク管理モジュール20は、残存期間計算部210、金利リスクエクスポージャー計算部220、基準金利情報収集部230、基準金利変動性計算部240、金利リスク計算部250金利リスク分析部260および金利リスク診断情報提供部270を含んで構成され得る。
【0050】
残存期間計算部210は、経済主体の金融資産情報と金融負債情報の入力を受け、金融資産情報と金融負債情報を構成する個別金融資産と個別金融負債の残存期間を抽出し、それぞれに異なる残存期間に、個別金融資産と個別金融負債の金額を、前記個別金融資産を個別の金融資産の総額で割り、前記個別金融負債を個別の金融負債の総額で割った加重値で乗算し、合算して平均残存期間を計算する機能を遂行する(S210)。
【0051】
例えば、金融資産は普通預金、マネーマーケットトラスト(MMT)、マネーマーケット預金口座(MMDA)、社債、国債などの金額と利子収益と投資収益関連情報であり得、金融負債はローンとプライベートローンが含まれ得、短期/長期、国内通貨/外貨を区分してそれぞれの借入日、満期日、金額、利率などに対する情報を含むことができる。
【0052】
金利リスクエクスポージャー計算部220は、照会日を基準として個別金融資産と金融負債の残存期間を考慮した満期到来調整係数と前記リスク測定期間を考慮したリスクエクスポージャー調整係数と金利を乗算して金融資産と金融負債のリスクエクスポージャー額を計算する機能を遂行する(S220)。
【0053】
例えば、金融資産の金利リスクエクスポージャー額は次の数学式4を通じて計算され得、金融負債の金利リスクエクスポージャー額は次の数学式5を通じて計算され得る。
【0054】
[数学式4]
金融資産金利リスクエクスポージャー額=Σ(照会日の個別金融資産金額×満期到来調整係数×リスクエクスポージャー調整係数×金利)
【0055】
[数学式5]
金融負債金利リスクエクスポージャー額=Σ(照会日の個別金融負債金額×満期到来調整係数×リスクエクスポージャー調整係数×金利)
【0056】
基準金利情報収集部230は、公開市場情報(DB)3から基準金利情報を収集する機能を遂行する(S230)。
【0057】
例えば、基準金利は1日コール金利、91日間譲渡性預金(CD)レート、コマーシャルペーパー(CP)レート、韓国銀行間取引金利(KORIBOR)(3/6/12ヶ月)、国債(1/3/5/10年)、社債(1/3年)等が含まれ得、日/月/分期/年別終値または平均金利を含むことができる。
【0058】
基準金利変動性計算部240は、基準金利情報収集部230により収集された基準金利情報を分析して金利リスク測定期間と信頼水準により基準金利変動性を計算する機能を遂行する(S240)。
【0059】
例えば、基準金利変動性計算部240は市場基準金利の過去1年間の変動性を測定して計算することができ、金利リスク測定期間は1/3/6/12ヶ月などであり得、信頼水準は90/95/99%などであり得、変動性測定モデルとしては移動平均法/リスクマトリックス法/モンテカルロシミュレーションなどのような公知の多様なシミュレーション技法が適用され得る。
【0060】
金利リスク計算部250は、1)金利リスクエクスポージャー計算部220により計算された金融資産リスクエクスポージャー額に基準金利変動性計算部240により計算された基準金利変動性を乗算して金融資産金利リスクを計算し、2)金利リスクエクスポージャー計算部220により計算された金融負債リスクエクスポージャー額に基準金利変動性を乗算して金融負債金利リスクを計算し、3)金融資産金利リスクと金融負債金利リスクを相殺する機能を遂行する(S250)。
【0061】
例えば、金利リスクは金利EaR(Earnings at Risk)、金利VaR(Value at Risk)等があり、金融資産および金融負債の類型と変動性測定モデル、リスク測定期間、信頼水準により多様に確認可能なように構成され得る。
【0062】
金利リスク分析部260は、金利リスク計算部250により計算された金利リスクと設定された金利リスク許容限度を比較して金利リスクを分析する機能を遂行する(S260)。
【0063】
例えば、金利リスク許容限度は使用者によって設定および再設定され得る。
【0064】
金利リスク診断情報提供部270は、金利リスク分析部260によって分析された金利リスクの程度により段階別に区分される金利リスクレベル診断情報を提供する機能を遂行する(S270)。
【0065】
例えば、金融負債金利リスクレベル診断情報と金融資産金利リスクレベル診断情報は正常/注意/警戒/警告(危険)に区分されて提供され得るが、提供形式はこれに限定されはしない。
【0066】
図7は本発明の一実施例に係る財務リスク管理システムに含まれた為替リスク管理モジュールの構成を例示的に示した図面であり、図8図7に例示された為替リスク管理モジュールの動作を例示的に説明するための図面である。
【0067】
図7および図8を参照すると、為替リスク管理モジュール30は、為替リスクエクスポージャー計算部310、基準為替レート情報収集部320、基準為替レート変動性計算部330、為替リスク計算部340、為替リスク分析部350および為替リスク診断情報提供部360を含む。
【0068】
為替リスクエクスポージャー計算部310は、1)外貨金融資産情報を構成する個別外貨金融資産の金額を照会日を基準として合算して外貨金融資産の為替リスクエクスポージャー額を計算し、2)外貨金融負債情報を構成する個別外貨金融負債の金額を合算して外貨金融負債の為替リスクエクスポージャー額を計算し、3)照会日を基準として国際取引情報を構成する個別国際取引の残額(balances)と残存期間とリスク測定期間を連係させて、現金及び現金同等物の国際取引為替リスクエクスポージャー額(国際取引により為替リスクにエクスポージャーする現金及び現金同等物の保有額)を計算する機能を遂行する(S310)。
【0069】
例えば、外貨金融資産情報は外国為替、外貨預金、外貨株式、外貨債権の金額及び通貨を含むことができ、外貨金融負債情報は長期/短期外貨借入金と外貨社債が含まれ得、それぞれの借入日、満期日、金額、通貨、利率を含むことができる。また、国際取引情報は国際取引による現金及び現金同等物の金額、通貨、将来の為替レート(future rates)、契約日、決済日を含むことができる。
【0070】
例えば、外貨金融資産為替リスクエクスポージャー額は次の数学式6を通じて計算され得、外貨金融負債為替リスクエクスポージャー額は次の数学式7を通じて計算され得、現金及び現金同等物の国際取引為替リスクエクスポージャー額は次の数学式8を通じて計算され得る。
【0071】
[数学式6]
外貨金融資産為替リスクエクスポージャー額=Σ(照会日の個別外貨金融資産の金額)
【0072】
[数学式7]
外貨金融負債為替リスクエクスポージャー額=Σ(照会日の個別外貨金融負債の金額)
【0073】
[数学式8]
現金及び現金同等物の国際取引為替リスクエクスポージャー額=Σ(照会日の個別国際取引の残額(Balance))
【0074】
基準為替レート情報収集部320は、公開市場情報DB3から基準為替レート情報を収集する機能を遂行する(S320)。
【0075】
例えば、基準為替レート情報は通貨別にUSD、EUR、JPYなどが含まれ、日/月/分期/年別終値または平均為替レートに対する情報を含むことができる。
【0076】
基準為替レート変動性計算部330は、基準為替レート情報収集部320により収集された基準為替レート情報を分析して為替リスク測定期間と信頼水準により基準為替レート変動性を計算する機能を遂行する(S330)。
【0077】
例えば、基準為替レート変動性計算部330は市場基準為替レートの過去1年間の変動性を測定して計算することができ、為替リスク測定期間は1/3/6/12ヶ月などであり得、信頼水準は90/95/99%などであり得、変動性測定モデルとしては移動平均法/リスクマトリックス法/モンテカルロシミュレーションなどのような公知の多様なシミュレーション技法が適用され得る。
【0078】
為替リスク計算部340は、1)為替リスクエクスポージャー計算部310により計算された外貨金融資産為替リスクエクスポージャー額に基準為替レート変動性計算部330により計算された基準為替レート変動性を乗算して外貨金融資産為替リスクを計算し、2)為替リスクエクスポージャー計算部310により計算された外貨金融負債為替リスクエクスポージャー額に基準為替レート変動性を乗算して外貨金融負債為替リスクを計算し、3)外貨金融資産為替リスクと外貨金融負債為替リスクを相殺して外貨金融純資産為替リスクを計算し、4)為替リスクエクスポージャー計算部310により計算された現金及び現金同等物の国際取引為替リスクエクスポージャー額に基準為替レート変動性を乗算して国際取引為替リスクを計算する機能を遂行する(S340)。
【0079】
例えば、為替リスクは為替EaR(Earnings at Risk)、為替VaR(Value at Risk)等があり、通貨別外貨金融資産および外貨金融負債、輸出入取引類型と変動性測定モデル、リスク測定期間、信頼水準により多様に確認可能なように構成され得る。
【0080】
為替リスク分析部350は、1)為替リスク計算部340により計算された外貨金融純資産為替リスクと別に設定された外貨金融純資産為替リスク許容限度を比較して外貨金融純資産為替リスクを分析し、2)為替リスク計算部340により計算された国際取引(為替)リスクと別に設定された国際取引の為替リスク許容限度を比較して国際取引の為替リスクを分析する機能を遂行する(S350)。
【0081】
例えば、外貨金融純資産為替リスク許容限度、国際取引の為替リスク許容限度は使用者によって設定および再設定され得る。
【0082】
為替リスク診断情報提供部360は、1)為替リスク分析部350によって分析された外貨金融純資産為替リスクの程度により段階別に区分される外貨金融純資産為替リスクレベル診断情報を提供し、2)為替リスク分析部350によって分析された国際取引(為替)リスクの程度により段階別に区分される国際取引の為替リスクレベル診断情報を提供する機能を遂行する(S360)。
【0083】
例えば、外貨金融純資産為替リスクレベル診断情報、国際取引の為替リスクレベル診断情報は正常/注意/警戒/警告(危険)に区分されて提供され得るが、提供形式はこれに限定されはしない。
【0084】
以上で詳細に説明した通り、本発明によると、財務リスク管理システムは企業と個人を含む多様な経済主体の流動性リスク、金利リスク、為替リスクを含む財務リスクを評価し、評価されたリスクに相応する診断情報を経済主体に提供することによって経済主体が財務リスクを効果的に管理できるようにする効果がある。
【符号の説明】
【0085】
1:使用者端末
2:財務情報システム
3:公開市場情報DB
4:財務リスク管理システム
10:流動性リスク管理モジュール
20:金利リスク管理モジュール
30:為替リスク管理モジュール
110:実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差計算部
120:実績純キャッシュフロー及び計画純キャッシュフロー間の純誤差変動性測定部
130:適正流動性算出部
140:流動性リスク分析部
150:流動性リスク診断情報提供部
210:残存期間計算部
220:金利リスクエクスポージャー計算部
230:基準金利情報収集部
240:基準金利変動性計算部
250:金利リスク計算部
260:金利リスク分析部
270:金利リスク診断情報提供部
310:為替リスクエクスポージャー計算部
320:基準為替レート情報収集部
330:基準為替レート変動性計算部
340:為替リスク計算部
350:為替リスク分析部
360:為替リスク診断情報提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8