(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】光源および生化学分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/01 20060101AFI20230127BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
G01N21/01 D
G01N21/59 Z
(21)【出願番号】P 2019098266
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】關口 好文
(72)【発明者】
【氏名】今村 伸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】川村 友人
(72)【発明者】
【氏名】松岡 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】足立 作一郎
(72)【発明者】
【氏名】氣田 康宏
(72)【発明者】
【氏名】高田 英一郎
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/063322(WO,A1)
【文献】特開2006-332042(JP,A)
【文献】特表2010-503004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0201577(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0188383(US,A1)
【文献】国際公開第2016/073952(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/120380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01N 33/48 - G01N 33/98
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01B 9/00 - G01B 9/10
G01B 11/00 - G01B 11/30
G02B 19/00 - G02B 21/00
G02B 21/06 - G02B 21/36
F21V 1/00 - F21V 8/00
F21V 9/00 - F21V 15/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が紫外光を発光する、並列に配置された第1のLEDと前記第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDと、
前記第1のLEDに対向して前記第1のLEDの光を反射する反射面と、
前記第2のLEDに対向して前記第1のLEDの光を反射し、前記第2のLEDの光を透過するダイクロイック面と、
前記反射面および前記ダイクロイック面より前記第1のLEDまたは前記第2のLEDの側に配置され、前記紫外光を遮光する遮光部と、を備え、
前記遮光部は、前記第1のLEDまたは前記第2のLEDの発光面と対向している、
ことを特徴とする光源。
【請求項2】
一方が紫外光を発光する第1のLEDと、前記第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDとが並列に配置され、
前記第1のLEDに対向して前記第1のLEDの光を前記第2のLEDがある側に反射する反射面と、前記第2のLEDに対向して前記第1のLEDの光を反射し、前記第2のLEDの光を透過するダイクロイック面とを有するダイクロイックプリズムと、
前記第1のLEDもしくは前記第2のLEDの発光面と前記ダイクロイックプリズムの間に配置された遮光部と、を備える、
ことを特徴とする光源。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光源であって、
前記反射面および前記ダイクロイック面を有する部材を固定する遮光フレームを備え、前記遮光フレームは、前記第1のLEDまたは前記第2のLEDからの光を通して前記反射面および前記ダイクロイック面に到達させるための貫通孔を備える、
ことを特徴とする光源。
【請求項4】
請求項3に記載の光源であって、
前記第1のLEDまたは前記第2のLEDと、対応する前記貫通孔の大きさは、対応する前記貫通孔の幅の方が、前記第1のLEDまたは前記第2のLEDの幅よりも大きい、
ことを特徴とする光源。
【請求項5】
請求項3に記載の光源であって、
前記反射面の幅または前記ダイクロイック面の幅と、対応する前記貫通孔の幅は、前記反射面の幅または前記ダイクロイック面の幅の方が対応する前記貫通孔の幅よりも大きい、
ことを特徴とする光源。
【請求項6】
請求項3に記載の光源であって、
前記第1のLED及び前記第2のLEDはLED基板に実装され、
前記遮光フレームは、前記LED基板と、前記遮光フレームを固定するためのねじ穴もしくは固定用貫通孔を備える、
ことを特徴とする光源。
【請求項7】
請求項2に記載の光源であって、
前記ダイクロイックプリズムを固定する遮光フレームを備え、
前記遮光フレームは、
前記第1のLED及び前記第2のLEDからの光を通して、前記反射面及び前記ダイクロイック面に到達させるための、前記第1のLEDに対応する第1の貫通孔と、前記第2のLEDに対応する第2の貫通孔と、
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔の間にあり、前記ダイクロイックプリズムと対向する固定面を有する、
ことを特徴とする光源。
【請求項8】
請求項7に記載の光源であって、
前記固定面と前記ダイクロイックプリズムは接着されている、
ことを特徴とする光源。
【請求項9】
請求項3に記載の光源であって、
前記貫通孔の孔の大きさが、前記貫通孔の深さ方向の位置によって異なる、
ことを特徴とする光源。
【請求項10】
請求項1または2の光源であって、
前記第1のLEDまたは前記第2のLEDに対向して、光を拡散する拡散板を配置した、
ことを特徴とする光源。
【請求項11】
一方が紫外光を発光し、並列に配置された第1のLEDと前記第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDと、
前記第1のLEDに対向して前記第1のLEDの光を反射する反射面と、
前記第2のLEDに対向して前記第1のLEDの光を反射し、前記第2のLEDの光を透過するダイクロイック面と、を備え、
前記第1のLED及び前記第2のLEDの他方が、主な発光光が紫外光ではない白色LEDであり、
前記白色LEDの発光面に対向して、紫外光に対する透過率が紫外光よりも長波長の光に対する透過率よりも小さいフィルタ部材を配置する、
ことを特徴とする光源。
【請求項12】
請求項11に記載の光源であって、
前記白色LEDを、紫外光を通さないコーティング部材で覆う、
ことを特徴とする光源。
【請求項13】
請求項1または請求項2記載の光源であって、
前記第1のLEDと前記第2のLEDは一つのパッケージに実装されており、前記第1のLEDと前記第2のLEDの間に壁面を設けた、
ことを特徴とする光源。
【請求項14】
請求項1,請求項2、または請求項11のいずれか一項記載の光源であって、
前記第1のLEDは紫外光を発光する、
ことを特徴とする光源。
【請求項15】
請求項14に記載の光源であって、
前記第2のLEDは前記第1のLEDの発光光より長い波長の光を発光する、
ことを特徴とする光源。
【請求項16】
請求項1,請求項2、または請求項11のいずれか一項記載の光源を備える、
ことを特徴とする生化学分析装置。
【請求項17】
請求項16記載の生化学分析装置であって、
試料セルと、
前記ダイクロイック面から出射した光線(ビーム)を前記試料セルへ照明するレンズと、を備える、
ことを特徴とする生化学分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広範囲な波長域の光源、およびそれを用いた生化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体化学分析装置では、試料に試薬を添加して光を照射し、発光強度を計測して生体試料の濃度を観察している。生化学分析装置においては、試料に照射する光の波長域は340~800nmといった広範囲な波長域であり、当該波長領域の光を発光できる光源が用いられている。
【0003】
近年、近紫外光を発光するLED(Light Emitting Diode)が開発され、試料分析用の光源として用いられている。生化学分析装置においては、上記のとおり340~800nmといった広範囲な波長域の光を用いて試料を分析しており、光源としてLEDを利用するためには、個々のLEDの波長域はおおよそ30~100nmと生化学分析装置で必要となる波長域に比べて小さいことから、紫外LEDの光で励起され近赤外の波長領域まで発光する蛍光体を用いたり、複数のLEDを用いたりする必要がある。
【0004】
特許文献1には、近紫外発光LEDで励起し、近赤外発光を起こす蛍光体が開示されている。具体的には、特許文献1には、上記蛍光体の例として、発光装置において赤外を発光するLiAlO
2:Fe(発光スペクトルのピーク波長:746nm)およびAl
2O
3:Cr(発光波長の記載なし)が開示されている(要約、段落0066、
図3参照)。また、特許文献2~4は、複数のLEDを用いた発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-352101号公報
【文献】特開2014-179407号公報
【文献】特開2000-194067号公報
【文献】特開2008-546015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように生化学分析装置の光源として、ランプ寿命が短いタングステンランプを用いる代わりに、波長領域が異なる複数種類のLED光源が用いられることがある。しかしながら、複数種類のLED光源を用いた場合、複数のLEDから発光した光を一本の光線(ビーム)として、生化学分析装置の後段の光学系に入射することが困難であった。
【0007】
本開示の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長寿命のLEDを光源として用い、メンテナンスを容易にすることを可能とする光源、及びそれを用いた生化学分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本開示は、一方が紫外光を発光する、並列に配置された第1のLEDと第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDと、第1のLEDに対向して第1のLEDの光を反射する反射面と、第2のLEDに対向して第1のLEDの光を反射し、第2のLEDの光を透過するダイクロイック面と、反射面およびダイクロイック面より第1のLEDまたは第2のLEDの側に配置され、紫外光を遮光する遮光部と、を備え、遮光部は、第1のLEDまたは第2のLEDの発光面と対向している構成の光源、及びそれを用いた生化学分析装置を提供する。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、本開示は、一方が紫外光を発光する第1のLEDと、第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDとが並列に配置され、第1のLEDに対向して第1のLEDの光を第2のLEDがある側に反射する反射面と、第2のLEDに対向して第1のLEDの光を反射し、第2のLEDの光を透過するダイクロイック面とを有するダイクロイックプリズムと、第1のLEDもしくは第2のLEDの発光面とダイクロイックプリズムの間に配置された遮光部と、を備える構成の光源、及びそれを用いた生化学分析装置を提供する。
【0010】
更に、上記の目的を達成するため、本開示は、一方が紫外光を発光し、並列に配置された第1のLEDと前記第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDと、第1のLEDに対向して前1のLEDの光を反射する反射面と、第2のLEDに対向して第1のLEDの光を反射し、第2のLEDの光を透過するダイクロイック面と、を備え、第1のLED及び第2のLEDの他方が、主な発光光が紫外光ではない白色LEDであり、白色LEDの発光面に対向して、紫外光に対する透過率が紫外光よりも長波長の光に対する透過率よりも小さいフィルタ部材を配置する構成の光源、及びそれを用いた生化学分析装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、LEDを使い、長寿命化が可能な構成の光源を用いることで生化学分析装置のメンテナンスを容易にできる。上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の生化学分析装置に用いる光源の構成を示す図である。
【
図2】実施例1の光源における新たな課題の詳細を説明する図である。
【
図4】実施例1の遮光構造による紫外光抑制を説明する図である。
【
図5】実施例1の光源においてシミュレーションした光学系を示す図である。
【
図6】実施例1の光源の貫通孔の変形例を示す図である。
【
図10】実施例4の光源の遮光フレームの変形例を示す図である。
【
図11】実施例4の光源のLED配置の変形例を示す図である。
【
図12】実施例4のダイクロイックプリズムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本開示の実施例を説明する。なお、本開示の実施例は、後述する実施例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。また、後述する各実施例の説明に使用する各図の対応部分には同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0014】
実施例1は、一方が紫外光を発光する、並列に配置された第1のLEDと第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDと、第1のLEDに対向して第1のLEDの光を反射する反射面と、第2のLEDに対向して第1のLEDの光を反射し、第2のLEDの光を透過するダイクロイック面と、反射面およびダイクロイック面より第1のLEDまたは第2のLEDの側に配置され、紫外光を遮光する遮光部と、を備え、遮光部は、第1のLEDまたは第2のLEDの発光面と対向している構成の光源の実施例である。
【0015】
図1は、実施例1の光源の一構成を示す図である。光源1は、発光波長の異なる2つのLEDパッケージ2w、2uと、2つのLEDパッケージから出射した光を1本のビームにするダイクロイックプリズム3と、LEDパッケージを実装するLED基板4と、ダイクロイックプリズム3をLED基板4に固定する遮光フレーム5からなる。LEDパッケージ2uは紫外光を出射し、遮光フレーム5の一部は紫外光がLEDパッケージ2wに到達するのを抑制する、2つのLEDパッケージの発光面とダイクロイックプリズムの間に配置された遮光部として機能する。
【0016】
図1の(a)、(b)、(c)、(d)および(e)は、それぞれ光源1の斜視図、同図のA-A´線の断面図、LEDパッケージ2wの詳細図、LEDパッケージ2uの詳細図、およびダイクロイックプリズム3の斜視図である。
【0017】
本実施例では、LEDパッケージ2wは、380nmから800nmの光を発光するLEDパッケージであり、以下、本明細書において、白色LEDパッケージと呼ぶことにする。LEDパッケージ2uは340nmに発光ピークがあり、以下、紫外LEDパッケージと呼ぶことにする。
【0018】
図1の(c)を用いて白色LEDパッケージ2wについて説明する。LED2wlは、白色LED枠体2wfの凹部に配置され、蛍光体が分散した樹脂2wpで封止されている。白色LED枠体2wfの材料は、樹脂またはセラミックである。
【0019】
LED2wlは蛍光体を励起する光源である。本実施例では、LED2wlは発光ピークが385nmにあるLEDである。385nmから800nmの連続発光スペクトルを生成するため、樹脂2wpには複数種類の蛍光体が分散している。なお、本実施例では複数種類の蛍光体が樹脂中に分散している形態を説明するが、これに限らずLED2wlの上に蛍光体膜を積層した構成でも良い。また、蛍光体の一部を積層し、一部を分散する構成でも良い。所定の波長帯、つまり本実施例では385nmから800nmの連続発光スペクトルを生成できれば良い。但し、完全な連続スペクトルでなくても、生化学分析装置に用いる波長で十分な発光強度を有すれば良い。蛍光体で発光した光とLED2wlで発光した光は、樹脂2wpの上面2wpuから出射する。樹脂2wpの上面2wpuは、白色LEDパッケージ2wの発光面となる。
【0020】
本開示は、白色LEDパッケージ2wの構成を限定するものではない。また、樹脂2wpは蛍光体だけではなく微粒子を含んでも良い。含有した微粒子による微粒子分散は、蛍光体の分散性を向上したり,光散乱により蛍光体に効率よく励起光を照射するためである。
【0021】
図1の(d)を用いて紫外LEDパッケージ2uについて説明する。LED2ulは、紫外LED枠体2ufの凹部に配置され、封止ガラス2ucで紫外LED枠体2ufの開口部が覆われている。LED2ulは、発光ピークが340nmにある。紫外光は周辺部材を劣化させるため、紫外LEDパッケージ2uを構成する材料は紫外光で劣化しない材料で構成されている。封止ガラス2ucは石英ガラスなど紫外光を吸収しない部材が用いられる。紫外LED枠体2ufは、セラミックなどが用いられる。例えば、AlN、Al
2O
3、サファイア、Al、Cuなどである。
【0022】
本開示は、紫外LEDパッケージ2uの構成を限定するものではない。LED2ulから出射した光は、封止ガラス2ucを介して出射する。このため封止ガラスの上面2ucuと側面2ucsが、紫外LEDパッケージ2uの発光面となる。本実施例では、LED枠体2ufの凹部にLED2ulを実装して封止ガラス2ucで封止したが、紫外LEDパッケージ2uの構造はこれに限らず、例えば、紫外光に耐性を持たせたフッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂などでLED枠体2ufの凹部をLED2ulごと埋めて封止しても良い。
【0023】
なお、実施例1として、おおよその波長を記載したが、本開示はこれに限定されない。本開示の光源は、LED2ulが紫外光または近紫外光(例えば波長が340nmから430nmの光)を発光し、LED2wlが、LED2ulの発光光よりも長い光を発する場合に重要となる。
【0024】
図1の(b)と(e)を用いて、ダイクロイックプリズム3について説明する。ダイクロイックプリズム3は、反射面3rとダイクロイック面3dを有し、反射面3rは紫外LEDパッケージ2uに対向して配置され、ダイクロイック面3dは、白色LEDパッケージ2wに対向して配置される。
【0025】
本実施例の反射面3rは光の全反射を利用して反射する面であり、ダイクロイックプリズム3の底面3lに対して45度の角度をなす斜面であり、鏡面加工された面である。なお、反射面はこれに限らず、アルミなどの金属膜が反射面3rに形成された構成でも良いし、誘電体の多層膜(誘電体多層膜)が形成された面でも良い。紫外LEDパッケージ2uの発光光を、ダイクロイック面3d側に反射する機能を有すれば良い。
【0026】
本実施例のダイクロイック面3dは、誘電体多層膜などの薄膜を鏡面上に形成した面であり、薄膜が2つのガラス部材で挟まれた構成となっている。なお、鏡面とは、表面粗さが表面に入射する光の波長よりも小さい滑らかな面のことを言う。ダイクロイック面3dは、底面3lに対して45度の角度をなす斜面であり、白色LEDパッケージ2wからの光に対しては透過率が高く、紫外LEDパッケージ2uからの光に対しては反射率が高い面である。例えば、白色LEDパッケージ2wからの光に対する透過率は80%以上であり、紫外LEDパッケージ2uからの光に対する反射率は80%以上となるような機能を有する面である。なお、上述した透過率および反射率は、それぞれ90%以上であることが望ましい。
【0027】
このような構成とすることで、紫外LEDパッケージ2uから出射した光線Ray2は、反射面3rで反射して,ダイクロイック面3dで反射してダイクロイックプリズム3の上面3uから生化学分析装置の後段の光学系に向かって出射する。一方で、白色LEDパッケージ2wから出射した光線Ray1は、ダイクロイック面3dを透過して、上面3uから生化学分析装置の後段の光学系に向かって出射する。
【0028】
一般に、生化学分析装置の後段の光学系では光源1から出射した光の一部しか有効利用されない。本実施例では、
図1の(e)に示す有効領域3eaから出射した光の内、上面3uの法線方向からの角度が数度以内の光だけが後段の光学系で有効利用される。有効領域3eaは、ダイクロイック面3dに対向する上面3uの一部である。後段の光学系に依存して有効領域3eaの位置や形状が決まる。
【0029】
本実施例の構成の光源とすることで、白色LEDパッケージ2wと紫外LEDパッケージ2uから出射した光はダイクロイック面3dで合わさって、有効領域3eaから一つの光線(ビーム)となって後段の光学系に向かって出射することが可能となる。この光源1を適用した生化学分析装置は、検体が含まれる試料セルを通して光の吸収(透過光量)を受光装置でモニタすることができる。
【0030】
また、白色LEDパッケージ2wと紫外LEDパッケージ2uの周囲は熱くなるため、LED基板4の後ろに冷却構造を設けることが好ましい。特に樹脂2wpに分散している蛍光体は、近紫外~青色の波長の光を吸収する蛍光体であり、これらの波長で励起されて発光する蛍光体には、温度が上昇した場合に発光効率が低下するものがある。また、LEDも温度が上昇すると効率が低下する傾向にある。そのため、光源1には冷却機構が設けられることが望ましい。
【0031】
本実施例の構成とした場合の新たな課題は、紫外光による周辺部材の劣化である。特に、白色LEDパッケージ2wを構成している部材の一つである樹脂は紫外光を吸収して経時劣化する。蛍光体を分散させる樹脂2wpは紫外光を吸収して黄色くなることがある(以下、この現象を黄変と呼ぶ)。
【0032】
この場合、白色LEDパッケージ2w内の概ね370nm以下の光が樹脂 2wpで吸収されて黄変するため、白色LEDパッケージ2wに紫外光が照射され続けると、光源1の使用期間に応じて黄変が進む。黄変が進むと、概 ね500nm以下の波長の光が樹脂で吸収されるようになり、青い光の光量が低下する。一方で、LED2wlは発光ピークが385nmにあるLEDであるため、385nmの光量が最も大きいことが多い。このため黄変が進む につれて385nmの光が樹脂2wpで吸収されて樹脂2wpが熱を持つよ うになり、この熱が樹脂2wpの劣化を促進して、さらに蛍光体の劣化まで を引き起こす恐れがある。これらは紫外LEDパッケージ2uと白色LED パッケージ2wを近接して配置する構成に起こる、従来にはない新たな課題 である。
【0033】
そこで本実施例の光源では、
図1に示した遮光フレーム5の構造を工夫することにより、紫外LEDパッケージ2uの光が白色LEDパッケージ2wに到達する量を低減する。
図2を用いて上述した新たな課題を詳細に説明する。
図2は遮光フレームが無い場合に、どのような光線が
白色LEDパッケージ2wに到達するかを説明するための図である。
【0034】
同図において、光線Ray3は、紫外LEDパッケージ2uから斜めに出射した光がダイクロイックプリズム3の上面3uで反射し、底面3lで再反射して、これを繰り返してダイクロイック面3dを透過して、底面3lから白色LEDパッケージ2wに到達する例である。ダイクロイックプリズム3は透明であるが、上面3uや底面3lでは、フレネル反射率に基づいて一部の光が表面反射する。
【0035】
また、ダイクロイック面3dは特定の波長の光が特定の角度で入射した場合に、所定の反射率および透過率となる。本実施例では、ダイクロイック面3dの法線を基準として45度で入射する波長340nmの光に対して反射率が90%以上となるように設定されている。このため、Ray3のように入射角度45度からずれた光は透過することがある。つまり、ダイクロイックプリズム3が2つのLEDパッケージの前に存在することで、紫外LEDパッケージ2uから斜めに出射した光が、フレネル反射とダイクロイック面3dの透過を経て白色LEDパッケージ2wに到達する。
【0036】
光線Ray4は、紫外LEDパッケージ2uから斜めに出射した光がダイクロイックプリズム3の上面3uでフレネル反射し、底面3lで屈折して白色LEDパッケージ2w入射する例である。
【0037】
また、光線Ray5は、紫外LEDパッケージ2uから斜めに出射した光が底面3lでフレネル反射し、白色LEDパッケージ2w入射する例である。
【0038】
更に、光線Ray6は、紫外LEDパッケージ2uの封止ガラスの側面2ucsから出射した光が、直接白色LEDパッケージ2w入射する例である。本実施例では、紫外LEDパッケージ2uは封止ガラスを備えることから白色LEDパッケージ2wよりも厚みがあり発光面がダイクロイックプリズムに近い構成となっている。このため光線Ray6のような経路が発生する。
【0039】
これら様々な経路で白色LEDパッケージ2wに入射する紫外光線を抑制することが新たな課題であり、この課題を解決するために、本実施例の更なる構成として、白色LEDパッケージ2wもしくは紫外LEDパッケージ2uの発光面とダイクロイックプリズム3の間に配置された遮光部を形成する遮光フレーム5を考案した。
【0040】
図3および4を用いて、本実施例の遮光フレーム5に関して説明する。
図3は遮光フレーム5の構造を説明するための図である。
図4は遮光フレーム5によってどのように光線が遮光されるかを説明するための図である。
【0041】
図3の(a)はダイクロイックプリズム3が配置される側から見た遮光フレーム5の斜視図であり、(b)はLED基板4が配置される側から見た斜視図であり、(c)はダイクロイックプリズム3側から見た遮光フレーム5の正面図であり、(d)はLED基板4側から見た背面図である。
【0042】
図1に示したように,ダイクロイックプリズム3は開口部5oの凹部にはめ込まれる。凹部の形状を高精度に作成することで、ダイクロイックプリズム3を高精度に所定の位置に配置できる。貫通孔5a、5a’は、紫外LEDパッケージ2u、白色LEDパッケージ2wからの光を通してダイクロイックプリズム3に到達させるための穴である。すなわち、反射面およびダイクロイック面を有する部材であるダイクロプリズム3を固定する遮光フレーム5を備え、遮光フレーム5は、第1のLEDまたは第2のLEDからの光を通して反射面3rおよびダイクロイック面3dに到達させるための貫通孔を備える。
【0043】
一方、ねじ穴5s、5s’は、LED基板4と遮光フレーム5を固定するためのねじ穴である。すなわち、遮光フレーム5は、第1のLED及び第2のLEDを実装するLED基板4と、遮光フレーム5を固定するためのねじ穴を備える。このねじ穴の位置を高精度に加工することで、LED基板4と遮光フレーム5の位置関係を高精度に合わせることができる。ガイド5h、5h’は、生化学分析装置の後段の光学系の構造物に光源1の位置を合わせるために使う穴である。ここでは穴としたが固定用貫通孔であっても良いし、突起をガイドとしても良い。
【0044】
ここで、ダイクロイックプリズム3の振動等による位置ずれ、すなわちガタの防止に関して説明する。凹部の貫通孔5aと5a’の間の平坦部に接着剤を塗布し、ガタが起きないようにダイクロイックプリズム3を固定する。一般的に光が導光する部材を接着すると、そこで散乱が生じて光が部材から漏れるため光利用効率が低下する。しかし、生化学分析装置の後段の光学系まで考慮すると、有効領域3eaから出射した光の内、上面3uの法線方向からの角度が数度以内の光だけが後段の光学系で利用可能である。
【0045】
このことから、
図1の(b)に示した光線Ray2のような、反射面3rおよびダイクロイック面3dで約45度で反射する経路をたどる光線のみが有効であること分かる。したがって、上記の接着箇所で散乱する光は、そもそも有効利用されない光であり、分析装置の光利用効率には影響しない。このような理由により、貫通孔5aと5a’の間の平坦部である固定面とダイクロイックプリズム3を接着する構成とした。
【0046】
すなわち、第1の貫通孔と第2の貫通孔の間にあり、ダイクロイックプリズムと対向する固定面を有し、この固定面とダイクロイックプリズム3は接着されている構成とした。この構成により、分析装置の光利用効率に影響を与えずに部品のガタを抑える効果を奏する。
【0047】
図3の(e)を用いて、本実施例のダイクロイックプリズム3、遮光フレーム5および2つのLEDパッケージ間の位置関係を説明する。
図3の(e)は、
図1の(b)に対応する図であり、本説明に関係のある箇所だけを記載している図であり、ねじ穴5sと5s’との間の構造を記載している。
【0048】
貫通孔5a、5a’の大きさは、
図1に記載したLED2wlおよびLED2ulの大きさより若干大きくする。若干大きくするのは、実装誤差によるLED2wlおよびLED2ulの位置ずれが効率に及ぼす影響を抑制するためである。検討によれば、貫通孔の幅L
5aおよびL
5a’は、両側に0.3mm程度の許容範囲を設け、LEDの幅+0.6mm程度にすることが好ましい。
図1のL
2ul及びL
2wlと
図3のL
5a及びL
5a´を用いると、L
5a = L
2ul + 0.6mmおよびL
5a´ = L
2wl + 0.6mm程度である。すなわち、第1のLED及び第2のLEDと、対応する貫通孔の大きさである幅は、対応する貫通孔の幅の方が、第1のLED及び第2のLEDの幅よりも大きくする。
【0049】
また、貫通孔の幅を発光面2wpuおよび2ucuと同程度とすれば、概ね全ての発光光をダイクロイックプリズム3に導けるが、本実施例では貫通孔の幅L
5aおよびL
5a’を小さくして、
図1のLEDの幅L
2ul、L
2wlより若干大きい程度としている。これは、LEDの直上の発光面からの出射光強度が他の部位よりも大きいことと、
図1の(e)に示す有効領域3eaの面積は後段の光学系で概ね決定されるものであるが、LEDと同程度の大きさになることが多く、この場合LED直上の発光面からの光のみが有効に利用されるため、貫通孔の幅をLEDの幅より大きくしても光利用効率が改善する効果が小さいためである。これらを鑑みた上で、さらに貫通孔の幅L
5aおよびL
5a’は小さければ小さいほど、紫外LEDパッケージ2uから出射した光が、白色LEDパッケージ2wに到達する量が低減するため、貫通孔の幅L
5aをLEDの幅L
2ulより若干大きい程度とし、貫通孔の幅L
5a’を
図1のLEDの幅L
2wlより若干大きい程度とした。
【0050】
ダイクロイックプリズム3の反射面3rおよびダイクロイック面3dの幅L3rおよびL3dは,それぞれ貫通孔の幅L5aおよびL5a’より若干大きい程度とした。すなわち、具体的には、貫通孔の幅L5aおよびL5a’ +0.4mm程度とした。これはダイクロイックプリズム3を遮光フレーム5に配置するときの位置ずれを加味した値である。すなわち、反射面の幅またはダイクロイック面の幅と、対応する貫通孔の幅は、反射面の幅またはダイクロイック面の幅の方が対応する貫通孔の幅よりも大きくした。
【0051】
また、遮光フレーム5の他の特徴としては、紫外LEDパッケージ2uと白色LEDパッケージ2wの間に存在して紫外LEDパッケージ2uの発光面よりLED基板4側に伸びている遮光壁5wを配置したことである。これにより、 紫外LEDパッケージ2uから出射した光が迷光となって、隣接する白色LEDパッケージ2wに到達することを抑制する。
【0052】
次に,
図4を用いて遮光フレーム5によってどのように光線が遮光される かを説明する。
図4は、
図3(e)と同じ個所を描いている。
図2の光線Ray3は、貫通孔の側面5asで遮光される。つまり、貫通孔5aを有することで、白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光が低減するという効果を奏する。ここで、貫通孔5aおよびこれを構成する貫通孔の側面5asが、本実施例における光源1の遮光部である。
【0053】
光線Ray4とRay5は、遮光フレーム5において、発光面2ucuと対向する部位5cにより遮光される。つまり、発光面2ucuと対向する部位5cを有することで、白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光が低減するという効果を奏する。ここで、遮光フレーム5において発光面2ucuと対向する部位5cが、本実施例における光源1の遮光部である。
【0054】
光線Ray6は、遮光壁5wにより遮光される。つまり、遮光壁5wを有することで、白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光が低減するという効果を奏する。ここで、遮光壁5wが、本実施例における光源1の遮光部である。
【0055】
光線Ray7は、ダイクロイックプリズム3に入射した後、上面3uでフレネル反射して、底面3lから出射し、底面3lに対向する遮光フレーム5の部位で遮光される例である。貫通孔の幅L5aおよびL5a’を、LEDの幅L2ul、L2wlより若干大きい程度とすることで、底面3lに対向して遮光フレーム5の一部が存在する構成となり、白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光が低減するという効果が奏される。ここで、底面3lに対向する遮光フレーム5の一部、別の言い方をすると、貫通孔5aと5a’の間にありダイクロイックプリズム3と対向する面が、本実施例における光源1の遮光部である。
【0056】
光線Ray8は、ダイクロイックプリズム3に入射した後、上面3uと底面3lの間でフレネル反射を繰り返して、ダイクロイック面3dを透過し、底面3lから貫通孔5a’に入射して、貫通孔の側面5as’で遮光される。LEDの幅L2wlより若干大きい貫通孔を白色LEDパッケージ2w側にも設けることによって、ダイクロイック面3dを透過して貫通孔5a’に入射する光線が有ったとしても側面5as’で遮光され、白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光が低減するという効果を奏する。ここで、貫通孔5a’およびこれを構成する貫通孔の側面5as’が、本実施例における光源1の遮光部である。
【0057】
次に,遮光フレーム5の材料について説明する。紫外光による劣化が少なく紫外光を透過せず紫外光に対して反射率が低い部材が好ましい。例えばアルミブロックなどの金属に、紫外光の反射率を低下する表面処理を施した部材である。また、他の材料としてはセラミックやガラスなどの無機材料が挙げられる。セラミックやガラスも紫外光を吸収して透過しない、もしくは紫外光を減衰する材料であることが好ましい。なお、石英以外の一般的なガラスは紫外光の吸収率が高い。また、紫外光で最も劣化しやすいのは樹脂であり、金属や無機材料は紫外光に耐性を持つことから、紫外光に暴露され続ける材料としては金属若しくは無機材料が好ましい。
【0058】
ここで、紫外LEDパッケージ2uから出射した光の光利用効率と、白色LEDパッケージ2wの発光面2wpuに到達する紫外光量をシミュレーションした結果について説明する。
図5は、シミュレーションした光学系の概略図である。光源1は
図1および
図3の(e)に示した構造であり、LED間の距離L
ledを6mmとし、貫通孔5a、5a’の高さL
bを2.1mmとした。第1の開口絞りA1以降が、生化学分析装置の後段の光学系を示している。A2~A8は同図に示した通り、照射レンズ系、第2の開口絞り、試料セル、検出レンズ系、第3の開口絞り、光検出器、仮想平面を示している。このように、生化学分析装置は、試料セルと、ダイクロイック面から出射した光線(ビーム)を試料セルへ照明するレンズを備える。
【0059】
光利用効率および発光面2wpuに到達する紫外光量を次のように定義した。紫外LEDパッケージ2uのLED2ulから発光される全光量を100%としたとき、光検出器A7および発光面2wpuに到達した光の割合を光利用効率および紫外光量とした。光はLED2ulの上面から発光角度分布をランバート分布として発光させた。
【0060】
図5の光学系の光軸は、
図3の(e)の白色LEDパッケージ2wの中心を通る。白色LEDパッケージ2wを光軸に合わせた理由は、白色LEDパッケージ2wは紫外LEDパッケージ2uに比較して広範囲の波長の光を出射することから、光量が白色LEDパッケージ2wの方が足りなくなる恐れがあり,白色LEDパッケージ2wの光の光利用効率を最大にするために、光源1の位置合わせが高精度にできる光軸上に白色LEDパッケージ2wを配置した。
【0061】
光源1のダイクロイック面3dに対向する上面3uから出射した光は、第1の開口絞りA1で制限される。その後照射レンズ系A2で、試料セルA4に適切に光が照射されるように集光される。試料セルA4の前には、第2の開口絞りA3が配置される。照射レンズ系A2は、1枚のレンズでも良いが、収差を補正するため複数枚のレンズで構成されることが多い。試料セルA4を透過した光は、検出レンズ系A5で光検出器A7に集光される。検出レンズ系A5も同様に、1枚のレンズでも良いが、収差を補正するため複数枚のレンズで構成されることが多い。光検出器A7の前には、第3の開口絞りA6が配置される。
【0062】
この光学系の有効領域3eaは1mm角の略正方形である。さらに、有効領域3eaを透過した光の内、上面3uの法線からの角度が数度以内の光のみが有効に利用される。したがって、光利用効率は1%未満である。
【0063】
表1に計算結果を示す。比較例として、遮光フレーム5を無くした場合も示す。この比較から、遮光フレーム5が有っても無くても光利用効率は変わらないが、白色LEDパッケージ2wの発光面2wpuに到達する紫外光量は、遮光フレーム5が有ることにより1/10未満に低減する。
【0064】
[表1]
表1 遮光フレーム有無による紫外光量比較
【0065】
したがって、本実施例の2つのLEDパッケージの発光面とダイクロイックプリズムの間に配置された遮光部として機能する遮光フレーム5により、白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光量が低下し、紫外光による樹脂2wpの劣化を抑制するという効果を奏することが示された。これにより光源1の新たな課題が抑制され、複数種類のLEDを用い、複数のLEDから発光した光を一本の光線(ビーム)として、生化学分析装置の後段の光学系に入射することを可能となり、ランプ寿命が短いタングステンランプの代わりに、長寿命のLEDを用いた光源が実現されることが示された。
【0066】
並列に配置された紫外LEDパッケージ2u(LED2ul)と白色LEDパッケージ2w(LED2wl)と、LED2ulに対向してLED2ulの光を反射する反射面3rとLED2wlに対向してLED2ulの光を反射し、LED2wlの光を透過するダイクロイック面と、を備え、反射面3rとダイクロイック面3dからなる光学部材をダイクロイックプリズム3と呼ぶ場合に、反射面3rはLED2ulの光をLED2wlがある側に反射し、LED2ulもしくはLED2wlの発光面とダイクロイックプリズム3の間に遮光部を備える構成の光源により、ランプ寿命が短いタングステンランプの代わりに、長寿命のLEDを用いた光源を実現することができるという効果を奏する。
【0067】
別の言い方をすると、並列に配置された紫外LEDパッケージ2u(LED2ul)と白色LEDパッケージ2w(LED2wl)と、LED2ulに対向してLED2ulの光を反射する反射面3rとLED2wlに対向してLED2ulの光を反射し、LED2wlの光を透過するダイクロイック面と、を備え、紫外光を遮光する遮光部を有し、反射面3rおよびダイクロイック面3dよりLED2ulもしくはLED2wl側に当該遮光部が有り、LED2ulもしくはLED2wlの発光面と対向して当該遮光部を備える構成の光源により、ランプ寿命が短いタングステンランプの代わりに、長寿命のLEDを用いた光源が実現するという効果を奏する。
【0068】
また、遮光フレーム5は白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光量低下だけではなく、ダイクロイックプリズム3を固定し、LEDパッケージに対して所定の位置に配置する部材でもある。したがって、上記の遮光部として機能する遮光フレームを用いた本実施例の構成により、紫外光による劣化抑制とダイクロイックプリズム3と複数のLEDを高精度に配置するという2つの課題を解決するという効果を奏する。
【0069】
[貫通孔の変形例]
上述した実施例1の貫通孔5aは四角柱とした。しかし、貫通孔5aの形状はこれに限らず、多角柱、円柱や楕円柱でも良い。また
図6に示す変形例のように単純ではない形状でも良い。貫通孔5aの最低限必要な機能は、貫通していることである。このため種々の変形例が考えられる。
【0070】
遮光フレーム5の反射率が十分に低くない場合、光は貫通孔の側面5asで吸収されながらも、ある程度の距離を伝搬し、白色LEDパッケージ2wに到達することがある。そのような光を低減するため、
図6に示すような貫通孔5aの形状が考えられる。この構造は、紫外LEDパッケージ2uから出射した光を反射してLED基板4側に戻すための貫通孔構造である。貫通孔5aは、紫外LEDパッケージ2u側の孔の方が、ダイクロイックプリズム3に近い位置の孔よりも大きな孔(孔径)となっており、孔の大きさが位置によって異なる点が特徴である。すなわち、貫通孔の孔の大きさが、貫通孔の深さ方向の位置によって異なっている。
こと
図6で説明すると、紫外LEDパッケージ2u側の孔径L
5a1がダイクロイックプリズム3に近い側の孔径L
5a2よりも大きいことが特徴である。
【0071】
このような変形例の構成により遮光フレーム5に反射面5arが形成され、光線Ray9やRay10の様に反射面5arにより紫外光をLED基板4に向けて反射することが可能となり、白色LEDパッケージ2wに到達する紫外光量を低下するという効果を奏する。この反射面5arは、本変形例の光源1の遮光部である。
【実施例2】
【0072】
実施例2は、試料セルA4に投影される光源の像を、紫外LEDパッケージ2uと白色LEDパッケージ2wで一致するための実施例であり、第1のLEDまたは第2のLEDに対向して、光を拡散する拡散板を配置した構成の光源の実施例である。
先に光学系の説明に利用した
図5を用いて実施例2の課題を説明する。そのため、
図5に示すように、試料セルA4に仮想的な平面A8を仮定する。白色LEDパッケージ2wは光軸上に存在し、さらに組立の際に白色LEDパッケージ2wのLED2wlの中心が光軸に一致するように配置されるため、白色LEDパッケージ2wの発光面の像がそのまま投影される。具体的には、励起光源として、例えば正方形のLEDを使っている場合、正方形の明るい像が仮想平面A8上に投影される。
【0073】
一方で、紫外LEDパッケージ2uに関しては、所定の位置にLED2ulが実装されれば、紫外LEDパッケージ2uのLED2ulが白色LEDパッケージ2wのLED2wlの像に重なるように投影される。しかし、紫外LEDパッケージ2uの実装ずれのために、必ずしも重ならない。試料セルA4の同じ位置に2つのパッケージからの光が投影されることで、試料セルA4の同じ位置を検査できる。一般に、分析装置は複数波長間の強度の差から試料セルA4の成分を分析するため、試料セルA4の同じ位置に光を投影し、そこからの透過光を光検出器で受光することが望ましい。そこで、像が完全に重ならなくても白色LEDパッケージ2wの像全体を覆うように紫外LEDパッケージ2uの像を大きくすることを考案した。
【0074】
図7は、その特徴を導入した実施例2の光源1の一構成例の断面図である。実施例1と異なる点は、紫外LEDパッケージ2uがずれた位置に配置されている点と、貫通孔5aの形状を変形し、ダイクロイックプリズム3と紫外LEDパッケージ2uの間に光を拡散する拡散板6を導入した点である。
【0075】
拡散板6は散乱により光の進行方向を変化させるため、光源の像がぼやけて広がる。拡散板6には、拡散板の表面を粗面として凹凸面により光を散乱する方式の拡散板と、板材の中に散乱粒子を分散させて粒子により光を散乱する方式の拡散板および両方式をハイブリッドした方式がある。どの方式の拡散板も凹凸面の粗さや、散乱粒子の濃度を調整することにより散乱性を制御することが可能である。実施例2の拡散板としては、何れの散乱方式を用いても良い。拡散板6は、基本的には光を散乱する機能を有する部材であれば良い。
【0076】
本実施例では、石英ガラスの上面6uと下面6lの両面を粗面とした拡散板6を例として用いる。拡散板6の材料としては、この他にサファイア、CaF2、フッ化マグネシウムガラス、紫外線透過ガラスなどが挙げられる。但し、本実施例の拡散板6は、これら材料に限定されない。
【0077】
図7のRay2、Ray11およびRay12を用いて、光源の像が広がる理由を説明する。何れの光線も、位置がずれた紫外LEDパッケージ2uの中心付近からの発光光線である。中心付近からの発光光線は強度が高いため、これら光線を後段の光学系で活用できる様に光源1から出射することは光利用効率を向上するために重要であり、また、これら光線がLED像の最も明るい部分を形成することが多い。
【0078】
Ray11は、ほとんど散乱を受けずに伝搬した場合であり、拡散板6が無い場合の光線経路である。この場合、白色LEDパッケージ2wの中心から発光した強度の高い光線Ray1とは出射位置が異なるため、仮想平面A8上の像の位置が異なる。しかし、散乱により光線Ray12のように光線Ray1と出射位置が一致する光線も発生することから像が部分的に一致する。また、光線Ray13のように強度の大きな中心付近の光が、光散乱を受けて広範囲でダイクロイックプリズム3から出射するため、像がぼやけて大きくなる。
【0079】
したがって、ダイクロイックプリズム3と紫外LEDパッケージ2uの間に拡散板6を導入することにより、像がぼやけて大きくなり、白色LEDパッケージ2wの像と紫外LEDパッケージ2uの像が重なる領域が増えるという効果を奏する。本構成により、複数種類のLEDを用い、複数のLEDから発光した光を一本の光線(ビーム)として生化学分析装置の後段の光学系に入射させ、試料セルA4で複数の像が重なるようにすることを可能とした。その結果、本実施例によれば、ランプ寿命が短いタングステンランプの代わりに、長寿命のLEDを用いた光源が実現するという効果を奏する。
【実施例3】
【0080】
実施例3の構成は、白色LEDパッケージ2wに遮光部を備える構成であって、
図8を用いて説明する。実施例1と異なる点は、貫通孔5a、5a’の高さを小さくした点と、白色LEDを、紫外光を通さないコーティング部材で覆う、すなわち白色LEDパッケージ2wの外面を、紫外光を透過せず、紫外光で劣化し難いコーティング部材2cで覆った点と、白色LEDパッケージ2wの発光面2wpuに対向して、約370nm以上の光は通すが、それより短波長の光に関しては反射もしくは吸収するフィルタ部材7を設けた点である。貫通孔の高さを小さくしたのは、フィルタ部材7を設ける空間を作るためである。
【0081】
コーティング部材2cはアルミや金などの金属蒸着膜が好ましい。蒸着膜の厚さは10nm以上で100nm程度が好ましい。フィルタ部材7としてはダイクロイック面を有する部材でも良いが、斜めから入射した紫外光を透過させることもあるので、波長380nm以上の光を通すが340nm程度以下の紫外光を吸収する部材が良い。そのような材料の一つとしてガラスなどがある。ガラスは、十分に紫外光を吸収するためには1mm以上の厚みがあることが望ましい。ガラス材料の例としては、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、耐熱ガラスが上げられる。また他の材料としては、シリコーン樹脂やアクリルも挙げられる。但し、本実施例におけるフィルタ部材7はこれら材料に限定されない。
【0082】
すなわち、一方が紫外光を発光し、並列に配置された第1のLEDと第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDと、第1のLEDに対向して第1のLEDの光を反射する反射面と、第2のLEDに対向して第1のLEDの光を反射し、第2のLEDの光を透過するダイクロイック面と、を備え、第1のLED及び第2のLEDの他方が、主な発光光が紫外光ではない白色LEDであり、白色LEDの発光面に対向して、紫外光に対する透過率が紫外光よりも長波長の光に対する透過率よりも小さいフィルタ部材を配置する構成である。
【0083】
このような構成とすることにより、白色LED枠体2wfの外面はコーティング部材2cにより紫外光がほとんど照射されない構成となり、発光面2wpuに対してはフィルタ部材7により紫外光の暴露量が低減されるという効果を奏する。本構成においては、光源1の遮光部はコーティング部材2cとフィルタ部材7である。本実施例の光源1の遮光部であるフィルタ部材7はLED2wlとダイクロイックプリズム3との間にあり、これにより紫外光量を低減するという効果を奏している。
【実施例4】
【0084】
実施例4は、一つのLEDパッケージ2pkに、発光波長の異なる2つのLED2wlとLED2ulを実装し、このLEDパッケージを、発光波長の異なる2つのLEDパッケージ2w、2uの代わりに使う点が、実施例1と主に異なる点である。すなわち、実施例4は、第1のLEDと第2のLEDは一つのパッケージに実装されており、第1のLEDと第2のLEDの間に壁面を設けた構成の光源の実施例である。
【0085】
図9を用いて本実施例の構成を説明する。
図9の(a)、(b)および(c)は、それぞれ本実施例の光源1の斜視図、LEDパッケージ2pkの詳細図、(a)のB-B´線の断面図である。
【0086】
図9の(b)および(c)を用いてLEDパッケージ2pkを説明する。本実施例のLEDパッケージ2pkの特徴は、LED2ulの紫外光によりLED2wlの周辺部材の劣化を抑制するため、LED2wlとLED2ulの間に壁面2brを設けた点である。LEDパッケージ2pkの筐体2frはセラミックなど紫外光で劣化しない部材で構成される。材料の例としては、AlN、Al
2O
3、サファイア、セラミック、Al、Cuがあげられる。但し、本開示において、材料はこれらに限定されない。
【0087】
筐体2frの2か所に凹部があり、その凹部の底面にLED2wlとLED2ulが配置されている。LED2wlが配置されている凹部2gwは、蛍光体が分散した樹脂2wpで埋められており、LED2wlの光で蛍光体が励起され、この凹部2gwの発光面2wesからはLED2wlの発光光と蛍光体の発光光が出射する。
【0088】
LED2ulが配置されている凹部2guは、紫外光に強い樹脂やガラスで封止されても良いがされなくても良い。例えば樹脂として、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシクロオレフィン樹脂があげられる。但し、本開示において、材料はこれらに限定されない。また、凹部2guの発光面2uesを覆うように石英などのカバーガラス(図示なし)を付けても良いし、カバーガラスをLEDパッケージ2pkの発光面側の全面に付けても良い。
【0089】
本実施例の構成は、一つのLEDパッケージであるためコンパクトで取扱いが容易であるという利点を有し、かつ、それぞれの凹部で必要となる波長の光を生成でき、さらに蛍光体が分散した樹脂2wpの紫外光による劣化を抑制できる構成である。
【0090】
本実施例のLEDパッケージを、
図9の(c)に示すように配置することで凹部2guで発光した紫外光が凹部2gwに到達することを抑制できる。LED2wlとLED2ulに対応して貫通孔5a’および5aが配置され、中央の遮光部5brが壁面2brに対向して配置され、中央の遮光部5brと壁面2brが近接していることにより、LED2ulから出射した紫外光は、貫通孔5a’、5aおよび中央の遮光部5brと壁面2brで吸収もしくは反射されるため、凹部2gwに到達する紫外光は低減される。
【0091】
したがって、並列に配置された紫外光を発するLED2ulと、LED2ulとは発光スペクトルの異なるLED2wlと、LED2ulに対向してLED2ulの光を反射する反射面3rと、LED2wlに対向してLED2ulの光を反射し、LED2wlの光を透過するダイクロイック面3dとを備え、ダイクロイック面3dを備える光学部材をダイクロイックプリズム3と呼ぶ場合に、反射面3rはLED2ulの光をLED2wlがある側に反射し、LEDの発光面(2uesまたは2wes)とダイクロイックプリズム3との間に遮光部5brを備えることを特徴とする光源1とすることにより、凹部2gwに到達する紫外光量が低下し、紫外光による樹脂2wpの劣化を抑制するという効果を奏する。これにより、複数種類のLEDを用い、複数のLEDから発光した光を一本の光線(ビーム)として、生化学分析装置の後段の光学系に入射することが可能となり、ランプ寿命が短いタングステンランプの代わりに、長寿命のLEDを用いた光源が実現されるという効果を奏する。
【0092】
別の言い方をすると、並列に配置されたLED2ulとLED2wlと、LED2ulに対向してLED2ulの光を反射する反射面3rと、LED2wlに対向してLED2ulの光を反射し、LED2wlの光を透過するダイクロイック面3dと、を備え、紫外光を遮光する遮光部を有し、反射面3rおよびダイクロイック面3dよりLED2ulもしくはLED2wl側に当該遮光部が有り、LED2ulもしくはLED2wlの発光面と対向して当該遮光部を備える、ことを特徴とする光源により、ランプ寿命が短いタングステンランプの代わりに、長寿命のLEDを用いた光源が実現するという効果を奏する。
【0093】
[遮光フレームの変形例]
本変形例では、
図10を用いて、ダイクロイック面3dを透過した紫外光を外部に逃がすための遮光フレーム5の開口部5o付近の形状に関して説明する。
図10の(a)、(b)、(c)および(d)は、それぞれ本実施例の光源1の斜視図、正面図、遮蔽フレーム5の正面図および図(a)のC-C´線の断面図である。第実施例1と主に異なる点は、
遮光フレーム5に紫外光射出経路5pを設けた点である。
【0094】
反射面3rで反射した紫外光は、ダイクロイック面3dへの入射角度に依存して、一部の光はダイクロイック面3dを貫通する。この貫通した光は、ダイクロイックプリズム3から外に出射する。その際に
図1に示した遮光フレーム5の構成の場合、外に出射した光は遮光フレーム5の壁面で反射する。遮光フレーム5の反射率が十分に低ければ反射光の強度は小さいことから
図1の構成でも良い。しかし、反射率が十分に小さくない場合、反射した紫外光が白色LEDパッケージ2wに到達することを抑制することが望ましく、本変形例のように紫外光射出経路5pを設けて反射光を外に逃がした方が良い。
【0095】
図10の(d)の光線Ray14を用いて説明する。光線Ray14は反射面3rで反射した後、ダイクロイック面3dを貫通してダイクロイックプリズム3から出射する。出射した光線Ray14は、紫外光射出経路5pを伝搬してダイクロイックプリズム3に戻ることなく遮光フレーム5から外に出射する。紫外光射出経路5pは、ダイクロイックプリズム3から出射した光を光源1の外に出射する(逃す)ための空間である。
【0096】
本変形例の紫外光射出経路5pの特徴を述べる。紫外光射出経路5pの幅W5pは、図(c)に示すように正面から見た時、紫外光が出射してくる貫通孔5aの幅と同程度以上であることが望ましい。これは、少なくても貫通孔5aの幅と同程度の幅を持った光ビームがダイクロイックプリズム3から出射することが考えられるためである。
【0097】
紫外光射出経路5pの長さL5pは、開口部5oから遮光フレーム5の端面まで到達していた方が良い。これは、ダイクロイックプリズム3から出射した光を反射して戻す面を無くし、紫外光射出経路5pの端部から光を遮光フレーム5の外部に出射するためである。なお、理想的には端面まで紫外光射出経路5pは到達していた方が良いが、ダイクロイックプリズム3に隣接して空隙(紫外光射出経路5p)があれば、遮光フレーム5で反射してダイクロイックプリズム3に戻る光は低減する。
【0098】
つまり、ダイクロイック面3dがある側のダイクロイックプリズム3の側面に隣接して、紫外光が出射してくる貫通孔5aの幅と同程度以上の幅を持つ空間(紫外光射出経路5p)を有することにより、LEDパッケージ2wに到達する紫外光量が低下し、紫外光による樹脂2wpの劣化を抑制するという効果を奏する。これにより、複数種類のLEDを用い、複数のLEDから発光した光を一本の光線(ビーム)として、生化学分析装置の後段の光学系に入射することが可能となり、ランプ寿命が短いタングステンランプの代わりに、長寿命のLEDを用いた光源が実現されるという効果を奏する。
【0099】
[LED配置の変形例]
図11に示す変形例は、紫外光を発するLEDパッケージ2uと紫外光より長波長の光を発するLEDパッケージ2wが上記の実施例と反対の位置に配置された例である。LEDパッケージ2wおよび2uの詳細な構成は実施例1で説明した通りである。本変形例では、LEDパッケージ2uに対向してダイクロイック面3dが配置され、ダイクロイック面3dはLED2wlの光を反射し、LED2ulの光を透過する機能を有する。LEDパッケージ2wに対向して反射面3rが配置され、反射面3rは光をLEDパッケージ2uがある側に反射する機能を有する。
【0100】
このような構成であっても図中の光線Ray1およびRay2のように、一つのビームとなって光源1から出射する。また、LEDパッケージ2uから出射した紫外光は課題となり、遮光フレーム5は紫外光がLEDパッケージ2wに含まれる樹脂2wpに到達する量を低減する効果を有する。実施例1で説明したLED配置の方が、反射面3rで紫外光をLEDパッケージ2wがある方に反射するため遮光フレーム5の効果は大きいが、本LED配置の場合でも
図2で説明した光線Ray4~Ray6のような迷光が発生するため、遮光フレーム5でそれらを抑制する効果は大きい。
【0101】
図2の光線Ray4のように紫外LEDパッケージ2uから斜めに出射した光がダイクロイックプリズム3の上面3uでフレネル反射し、底面3lで屈折して白色LEDパッケージ2w入射したり、光線Ray5のように紫外LEDパッケージ2uから斜めに出射した光が底面3lでフレネル反射し、白色LEDパッケージ2w入射したり、光線Ray6のように紫外LEDパッケージ2uの封止ガラスの側面2ucsから出射した光が直接白色LEDパッケージ2wに入射することが考えられるので、これら光線を遮光フレーム5で遮光して、紫外光がLEDパッケージ2wに含まれる樹脂2wpに到達する量を低減することは重要であり、遮光フレーム5は紫外光の樹脂2wpへの暴露量を低減する効果を有する。
【0102】
[ダイクロイックプリズムの変形例]
実施例1~実施例4においてダイクロイックプリズム3は、反射面3rとダイクロイック面3dが一体の構造としたが、これに限らない。本開示におけるダイクロイックプリズム3は、光を合成する機能を有する部材を総称して呼んでいる。具体的には、反射面3rとダイクロイック面3dの機能を有する部材をダイクロイックプリズム3と呼んでいる。
【0103】
反射面3rは、反射面3rに対向するLEDの光をダイクロイック面3dの方に反射する機能を有し、ダイクロイック面3dは、反射面3r側から入射する光を反射し、ダイクロイック面3dに対向するLEDの光を透過する機能を有すれば良い。
【0104】
図12の(a)から(c)に、ダイクロイックプリズム3の変形例を示す。
図12の(a)はダイクロイック面3dと同様に、反射面3rも2つのガラス部材で挟まれた誘電体多層膜である場合を示している。この構成は、ダイクロイックプリズム3が直方体となり、
図1に示したダイクロイックプリズム3のように反射面3rの端部が尖ってないので、割れや欠けが起こり難いという利点を有する。
【0105】
(b)は、反射面3rとダイクロイック面3dが別々の部材に備わっている場合であり、直角プリズム3rpとダイクロイック面3dを含む部材との組み合わせがダイクロイックプリズム3(図中点線で囲まれている部材)である。一般には
図12の(b)の左側の部材だけをダイクロイックプリズム3と呼ぶが、本開示では反射面3rとダイクロイック面3dを合わせた構成をダイクロイックプリズム3と呼ぶ。本構成のダイクロイックプリズム3を遮光フレーム5に配置する。最も簡単な固定方法は、ダイクロイックプリズム3に対向する遮光フレーム5の面に接着することである。
【0106】
図12の(c)は、反射面3rとダイクロイック面3dが別々の部材に備わっている場合である。反射面3rはミラー部材3mの表面に形成されている。ミラー部材3mはガラスなどの平板の表面にアルミや誘電多層膜などが形成された部材であり、この形成された反射膜が反射面3rとなる。ダイクロイック面3dは、ダイクロイックフィルタ3dfの表面に形成されている。ダイクロイックフィルタ3dfは、ガラスなどの平板の表面に誘電体多層膜が形成された部材であり、この誘電体多層膜がダイクロイック面3dである。この構成は、ダイクロイック面3dと反射面3dを形成する部材としては最も作成が容易な部材の組み合わせである。
【0107】
すなわち、一方が紫外光を発光する、並列に配置された第1のLEDと第1のLEDとは発光スペクトルの異なる第2のLEDと、第1のLEDに対向して第1のLEDの光を反射する反射面と、第2のLEDに対向して第1のLEDの光を反射し、第2のLEDの光を透過するダイクロイック面とを備えたダイクロイックプリズム3である。本構成のダイクロイックプリズム3を実装する場合は、一般的なフィルタを固定するフィルタホルダなどの構造を遮光フレーム5の開口部5o付近に形成する必要がある。
【0108】
何れの構成であっても、紫外LEDパッケージ2uから出射した光を生化学分析装置の後段の光学系で有効活用するためには、高精度に光学系を調整する必要がある。調整を容易にするためには紫外LEDパッケージ2uと白色LEDパッケージ2wは近接して配置する必要がある。このため、遮光フレーム5が無い場合は、紫外LEDパッケージ2uから斜めに出射した紫外光が、光源1を構成する部材で反射して迷光となって樹脂2wpに到達する。したがって、遮光フレーム5で遮光して、紫外光がLEDパッケージ2wに含まれる樹脂2wpに到達する量を低減することは重要であり、遮光フレーム5は紫外光の樹脂2wpへの暴露量を低減する効果を有する。遮光フレーム5は遮光をするとともに、反射面3rとダイクロイック面3dを所定の位置に高精度に配置するという効果も奏する。
【0109】
なお、
図12の(b)と(c)の構成は一部を交換しても良い。例えば(b)の直角プリズム3rpの代わりにミラー部材3mを用いても良い。これらダイクロイックプリズム3の構成に本発明は限定されない。
【0110】
[光源の用途]
以上詳述した本開示の光源は、例えば、生化学分析装置用の光源の他、分光光度計など分析機器用の光源、植物育成用の光源に利用することができる。
【0111】
なお、本開示は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例および変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例および変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…光源
2…LEDパッケージ
2u…紫外LEDパッケージ
2w…白色LEDパッケージ
2pk…発光波長の異なる2つのLEDを実装したパッケージ
3…ダイクロイックプリズム
4…LED基板
5…遮光フレーム
6…拡散板
7…フィルタ部材
A1…第1の開口絞り
A2…照射レンズ系
A3…第2の開口絞り
A4…試料セル
A5…検出レンズ系
A6…第3の開口絞り
A7…光検出器
A8 …仮想平面