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特許7218411ポリアミドアミンポリマーを用いる薄い腐食保護コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】ポリアミドアミンポリマーを用いる薄い腐食保護コーティング
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/34 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
C23C22/34
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021167918
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2017553904の分割
【原出願日】2016-03-23
(65)【公開番号】P2022009076
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】62/148,163
(32)【優先日】2015-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】スミス、 ザ セカンド、 トーマス サリバン
(72)【発明者】
【氏名】ボバディーリャ、 アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォンク、 ドナルド ロブ
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-163640(JP,A)
【文献】特開2015-052168(JP,A)
【文献】国際公開第2010/004651(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/105800(WO,A1)
【文献】特開2006-161117(JP,A)
【文献】特開2007-026924(JP,A)
【文献】特開昭60-045771(JP,A)
【文献】特表2004-528432(JP,A)
【文献】特開2002-035687(JP,A)
【文献】特表平10-509766(JP,A)
【文献】特開平10-072680(JP,A)
【文献】国際公開第2015/171413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00-22/86
C09D 5/00-5/46
C09D 7/00-7/80
C09D 177/00-177/12
C09D 179/00-179/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材およびその上に接着した固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングを含むコーティング金属基材であって、固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングが、
I)IVB族金属酸化物、
II)銅、
III)IVB族金属とは異なる、金属基材から溶解し、固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングに取り込まれた金属イオン、および
IV)アミド官能基および任意にアミン官能基および/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1つの有機ポリマーおよび/または
前記ポリマーと少なくとも1つの銅および金属基材との反応生成物を含み、
有機ポリマーIV)が、一般式(I)に係る1種以上のポリアミドアミンポリマーを含み、
【化1】

(式中、
1種以上のポリアミドアミンポリマーのそれぞれについて独立して、
は、水素、飽和または不飽和アルキル基または(CH -NH を表し、
は、水素、飽和または不飽和アルキル基または(CH -NH を表し、
mは、1~8の範囲の数を表し、
nは、1~8の範囲の数を表し、
xは、1~40の範囲の数を表し、
yは、2~80の範囲の数を表し、
zは、2~500の範囲の数を表す。)
固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングが、全固体コーティング重量を基準にして、1~30重量%の少なくとも1つの有機ポリマーIV)からの窒素を含むコーティング金属基材。
【請求項2】
金属基材およびその上に接着した固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングを含むコーティング金属基材であって、固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングが、
I)IVB族金属酸化物、
II)銅、
III)IVB族金属とは異なる、金属基材から溶解し、固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングに取り込まれた金属イオン、および
IV)アミド官能基および任意にアミン官能基および/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1つの有機ポリマーおよび/または
前記ポリマーと少なくとも1つの銅および金属基材との反応生成物を含み、
有機ポリマーIV)が、
1)C6~C24モノカルボン脂肪酸、C6~C20ジカルボン酸、C12~C40脂肪酸ダイマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのカルボン酸および2)少なくとも2つのアミン基を有する少なくとも1つのポリアミンを重合反応することから得られる反応生成物である、少なくとも1つのポリアミドアミンポリマーを含み、
固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングが、全固体コーティング重量を基準にして、1~30重量%の少なくとも1つの有機ポリマーIV)からの窒素を含むコーティング金属基材。
【請求項3】
固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングが、全固体コーティング重量を基準にして、2~15重量%の少なくとも1つの有機ポリマーIV)からの窒素を含む、請求項1または2に記載のコーティング金属基材。
【請求項4】
固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングが、全固体コーティング重量を基準にして、3~10重量%の少なくとも1つの有機ポリマーIV)からの窒素を含む、請求項に記載のコーティング金属基材。
【請求項5】
固体耐腐食性IVB族金属酸化物コーティングが、金属基材上に10~200ナノメートルの厚さを有し、少なくとも1つの有機ポリマーIV)が、コーティング全体に分布する、請求項1~4のいずれか1項に記載のコーティング金属基材。
【請求項6】
IVB族金属酸化物が、ジルコニウムを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のコーティング金属基材。
【請求項7】
少なくとも1つの有機ポリマーIV)が、固体コーティング中に、固体コーティングの外側により多くのポリマーを有する勾配で分布する、請求項1~6のいずれか1項に記載のコーティング金属基材。
【請求項8】
アミン官能基が、3級窒素原子を含み、有機ポリマーIV)が、複数の分岐を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のコーティング金属基材。
【請求項9】
金属基材が、冷延鋼板(CRS)、熱間浸漬亜鉛メッキ鋼(HDG)、電気亜鉛メッキ鋼(EG)、ガルバニール(HIA)、アルミニウム合金およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載のコーティング金属基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、IVB族金属酸化物、銅およびアミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む特定の窒素含有有機ポリマーを含有する非常に薄い保護化成コーティングに関し、金属表面に堆積し、これにより金属表面に、ポリマーの不存在の同様の保護コーティングを有する金属表面と比較して改善された腐食保護を提供する。本発明はまた、前記コーティングを堆積させるための水性前処理組成物、および前記組成物を製造および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境への影響を低減する新しい技術およびコーティング材料を利用するために、金属基材上のプライマーおよび塗料コーティングの前に、前処理として適用される腐食防止コーティング、特に耐腐食性コーティングが常に開発されている。これらのコーティングは表面処理とも呼ばれ、しばしば化成コーティングと呼ばれる。一般に、前処理組成物は、「ウェットオンウェット」プロセスで使用され、基材は、それに塗布された前処理コーティングを有し、その後別のコーティングを乾燥することなく、塗料またはプライマーコーティングなどが、前処理された基材に適用される。過去の標準的な前処理コーティングは、腐食保護を提供する成分としてリン酸亜鉛を含む。リン酸塩溶液を使用する環境上の懸念から、リン酸亜鉛を含まない代替組成物、例えばIVB族金属酸化物ベースの耐腐食性コーティングを開発する試みがなされている。既知の酸化ジルコニウムコーティングの1つの欠点は、リン酸亜鉛コーティングが置換されるのと同じくらい必ずしも腐食防止に効果的であるとは限らないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
可能な限りコーティングプロセスをほとんど破壊しない、たとえばプロセスの追加のステップを避ける、IVB族金属酸化物含有コーティングによって提供される腐食保護を改善することが望ましい。さらに、IVB族金属酸化物含有コーティングを使用する場合、プライマーおよび塗料層の金属基材への接着性を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、銅イオンと、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1種の有機ポリマーとの組み合わせを含むIVB族金属イオン前処理組成物は、様々な金属基材に対する耐食性の顕著な改善をもたらすことが見出された。前処理との接触によって堆積されたコーティングは、ポリマー、銅およびIVB族酸化物、例えば、酸化ジルコニウムの組み合わせを含む。
【0005】
一般的に言えば、本発明は、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1種の有機ポリマーを含む、IVB族金属、たとえば、Zr、Tiおよび/またはHfを含有する前処理組成物(本明細書では表面処理組成物とも呼ばれる)を提供する。望ましくは、有機ポリマーは、本明細書に記載のポリアミドアミンから選択され、イミダゾリン官能基を含むことができる。好ましくは、少なくともいくつかのイミダゾリン官能基は、後述するように、それらの置換基にアミド結合を含む。
【0006】
本発明はまた、上述の組成物を製造し、使用する方法、ならびに前記有機ポリマーおよび/または前記ポリマーと1種以上の金属基板および他のコーティング浴中の他の成分との反応生成物を含むIVB族金属酸化物含有コーティングを堆積した金属基材を提供する。
【0007】
アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1種の有機ポリマー、最も好ましくはポリアミドアミンポリマーを含有するIVB族金属含有前処理組成物は、バリア層を形成することで、接着および耐腐食性を改善し、金属基材に結合し、コーティング層中のZrおよびCuに結合し、Eコートと反応する(例えば、架橋を増加させる)。
【0008】
一実施形態では、好ましくはアミン官能性を含むポリアミドアミンおよび/またはアミドアルキルイミダゾリンポリマーを含むIVB族金属酸化物含有コーティングは、高度に改善された腐食保護性を有する。さらに、ポリマーは、IVB族金属酸化物含有コーティングの付着性を改善し、その後、プライマーおよび塗料の層を金属基材に塗布した。
【0009】
本発明の目的は、耐腐食性金属前処理組成物であって、
a)10~2000ppmのIVB族金属、好ましくはTi、Zr、最も好ましくは、Zrであり、
b)1~50ppmの銅、
c)組成物中に溶解および/または分散され、複数の有機アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む、1~5000ppmの少なくとも1種の窒素含有有機ポリマー、および
d)水を含み、該コーティング組成物は、2~6のpHを有する耐腐食性金属前処理組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、ポリマーc)が、25℃で1~400ポアズの粘度を有し、および/またはポリマーc)が、100~1000mgKOH/gポリマーの範囲のアミン価を有し、および/またはポリマーc)が、前処理組成物の調製後、25℃で少なくとも10日間貯蔵する間に、通常の裸眼のヒトの視覚で知覚可能なバルク相の自発的な分離(separation)または析出(segregation)に対して、組成物中に安定に溶解および/または分散したままである、耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ポリマーc)がアミド官能基に加えて複数のアミン官能基を含む耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、IVB族金属がジルコニウムであり、ポリマーc)が少なくとも1種のポリアミドポリアミンポリマーを含む耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の別の目的は、少なくとも1種のポリアミドポリアミンポリマーが、200~10,000の範囲の重量平均分子量を有する耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、ポリマーに含まれる窒素原子の25モル%未満、好ましくは5モル%未満、最も好ましくは0モル%がラクタム環の一部である耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の別の目的は、有機アミド官能基の少なくともいくつかが脱水されてイミダゾリン官能基となり、好ましくは前記イミダゾリン官能基がポリマー中に少なくとも1つのアミド結合を保持する耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、ポリマーが第3級窒素原子を含む耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の別の目的は、ポリマーが複数の分岐を有する耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、一般式(I)に係る1種以上のポリアミドアミンポリマーが窒素含有ポリマーとして存在する、耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。
【0016】
【化1】
式中、
1種以上のポリアミドアミンポリマーのそれぞれについて独立して、
は、水素または有機部分、好ましくは飽和または不飽和アルキル基を表し、
は、水素または有機部分、好ましくは飽和または不飽和アルキル基を表し、
mは、1~8、好ましくは2~6の範囲の数を表し、
nは、1~8の範囲の数を表し、
xは、1~40の範囲の数を表し、
yは、2~80の範囲の数を表し、
zは、2~500の範囲の数を表す。
【0017】
本発明の目的は、5~200ppmの遊離フッ化物をさらに含み、3.6~5.5のpHを有する耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の別の目的は、少なくとも3000ppmの硝酸塩をさらに含む、耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の別の目的は、少なくとも1種の窒素含有有機ポリマーが、アルキルジアミン、ポリアミンおよび/またはポリアルキルポリアミンとカルボン酸または反応性カルボキシレート基および少なくとも1つの追加のアミン反応性官能基、好ましくは少なくとも2つの追加のアミン反応性官能基を有するカルボン酸誘導体との重合反応により得られる反応生成物である、少なくとも1種のポリアミドアミンポリマー含む耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の別の目的は、ポリアミンが、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリブチレンポリアミン、ポリペンチレンポリアミン、ポリヘキシレンポリアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の更なる目的は、耐腐食性金属前処理組成物を提供することであり、該ポリマーは、
1)C6~C24モノカルボン脂肪酸、C6~C20ジカルボン酸、C12~C40脂肪酸ダイマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのカルボン酸および2)少なくとも2つのアミン基を有する少なくとも1つのポリアミンを重合反応することから得られる反応生成物である、少なくとも1つのポリアミドアミンポリマーを含む。
【0018】
本発明の別の目的は、少なくとも1つのカルボン酸が、脂肪酸ダイマー、トール油脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。本発明の別の目的は、少なくとも1種のポリアミンが、ジアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、ポリエチレンポリアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される耐腐食性金属前処理組成物を提供することである。
【0019】
本発明の目的は、I)IVB族金属酸化物、
II)銅、
III)金属基材から溶解された、I)およびII)とは異なる金属イオン、および
IV)アミド官能基および任意にアミン官能基および/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1つの有機ポリマーおよび/または前記ポリマーと、コーティング浴中の銅、金属基材および他の成分の1種以上との反応生成物を含み、
耐腐食性コーティングが、全コーティング重量を基準にして1~30重量%、好ましくは2~15重量%、最も好ましくは3~10重量%のIV)からの窒素を含む固体耐腐食性IVB族酸化物コーティングでコーティングされた金属基材を提供することである。
本発明の別の目的は、前記組成物が前記金属基材上に10~200ナノメートルの厚さを有するコーティングを形成するコーティングされた金属基材を提供することである。
【0020】
本発明の目的は、耐腐食性金属前処理組成物の製造方法であって、
a)浴容器内に所定のレベルの脱イオン水を提供する工程と、
b)工程a)の脱イオン水に、十分な量のIVB族金属源と十分な量の銅源を添加して、直ちに使用可能な浴組成物中の量を10~2000ppmの溶解したIVB族金属および1~50ppmの溶解した銅とする工程、
c)工程b)の後に浴容器内に、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1種の有機ポリマーを十分な量で溶解および/または分散させて、直ちに使用可能な浴組成物中に存在する前記ポリマーの量を1~5000ppmの量とする工程、
d)必要に応じて浴組成物のpHを調整して、2~6のpHを有する直ちに使用できる浴組成物を得る工程
を含む方法を提供する。
【0021】
本発明の目的は、さらに工程b)において、工程a)の脱イオン水に、十分な量のフッ化物イオン源および硝酸イオン源を添加して、直ちに使用可能な浴組成物中の量を5~200ppmの遊離フッ化物および500ppm以上の硝酸イオンとする工程を含む方法を提供する。
【0022】
本発明の目的は、請求項1~19のいずれか一項に記載の耐腐食性金属前処理組成物の特定の総体積の少なくとも一部と表面を接触させることにより、少なくとも1つの金属基材表面に耐食性IVB族酸化物コーティングを形成する方法であって、
(A)使用される前処理組成物の特定の総体積のpH値、溶解したIVB族金属の濃度、溶解した銅の濃度、および溶解および/または分散したポリマーc)の濃度を測定する工程、
(B)前処理組成物の特定の総体積の使用を開始した後の少なくとも1つの特定の時間に、前記特定の時間は、前記プロセスが操作される時間の範囲内であり、480分以下、好ましくは200分以下であり、および特定の時間が少なくとも400分である場合には、その後も1つ以上の連続時間で、処理組成物の総体積の特定の部分を処理組成物の総体積の残りの部分との接触から取り除き、
その後の1つ以上の連続する時間は、そのような連続時間と最も近い前の時間との間に200分以下が経過するように選択され、その時に、処理組成物の特定された総体積の特定された総量部分は、処理組成物の特定された総体積の残りの接触から取り除かれ、
前記処理の特定の総体積の特定の部分は、数時間に測定された特定の時間の前記期間中に特定された総体積の残りの部分との接触から除去される特定の全体積の特定の部分のすべての合計に対する比が、100以下の数値であるように選択される工程、
(C)組成物のpH値、組成物の溶解IVB族金属濃度、組成物の溶解銅濃度、および組成物の溶解および/または分散したポリマーc)濃度をpH値、溶解IVB族金属濃度、溶解銅濃度、および溶解および/または分散ポリマーc)濃度のそれぞれについて、それぞれ特定された範囲内に維持するために、処理組成物に1種以上の適切な補充剤組成物を添加する工程を含む方法を提供する。
【0023】
本発明の目的は、耐腐食性前処理組成物浴のための補充剤組成物であって、補充剤組成物が、十分な量の溶解したIVB金属および溶解した銅を含み、補充剤組成物が、耐腐食性前処理組成物の作業浴に添加されると、作業浴中のIVB族金属および銅の濃度が、前記浴中で10~2000ppmのIVB族金属濃度および1~50ppmの銅濃度に補充され、および前記補充剤組成物が、十分な量のポリマーc)を含み、補充剤組成物が、作業浴に添加されると、作業浴中の少なくとも1種のポリアミドアミンポリマーの濃度が前記浴中で1~5000ppmの濃度に補充される補充剤組成物を提供する。
【0024】
本発明の目的は、補充剤組成物が十分な量のフッ素をさらに含み、補充剤組成物が浴に添加されると浴中の遊離フッ化物の濃度が5~200ppmの濃度に補充される補充剤組成物を提供することである。本発明の別の目的は、補充剤組成物が十分な量の硝酸塩をさらに含み、補充剤組成物が浴に添加されると浴中の硝酸塩の濃度が、少なくとも500ppmの硝酸塩の濃度に補充される補充剤組成物を提供することである。本発明のさらに別の目的は、前記少なくとも1種のポリアミドアミンポリマーが、
a)C6~C24モノカルボン脂肪酸、C6~C20ジカルボン酸、C12~C40脂肪酸ダイマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのカルボン酸および
b)少なくとも2つの第1級アミン基を有する少なくとも1種のポリアミン
の縮合重合反応から生じる反応生成物である、補充剤組成物を提供することである。
【0025】
本発明はさらに、上記の耐腐食性IVB族金属含有前処理組成物を含有する作業浴を補充するために使用することができる補充剤組成物の製造に関する。
【0026】
一実施形態では、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1種の有機ポリマーを含有するIVB族金属含有前処理組成物は、有機非環式アミド結合に限定されたアミド結合を有する。本発明のアミド結合は、それらが酸素-炭素-窒素ベースの結合であり、好ましくはスルホンアミドまたはホスホラミドを含まず、好ましくは25、20、15、10、5、1、0.5、0.05、0.005モル%未満、最も好ましくはゼロモル%のスルホンアミドまたはホスホラミドを含有することを意味する有機アミドとして知られているものである。一般に、IVB族金属含有前処理組成物における使用に適したポリマー中に存在するアミド結合は、ラクタム(たとえば、ビニルピロリドンおよびピペリジノン)としても知られている環状アミドを含まない。好ましくは、ポリマーに含まれる窒素原子の25、20、15、10、5、1、0.5、0.05,0.005モル%未満、最も好ましくは0モル%がラクタム環の一部である。
【0027】
また、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む有機ポリマー、および好ましくは本発明で使用されるポリアミドアミンポリマーは、エピハロヒドリン官能基を含まず、エピハロヒドリンから誘導されないことが望ましい。ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(PAAE)は、本発明において使用されるポリアミドアミンおよび/またはアミドアルキルイミダゾリンポリマーと比較して貯蔵安定性が低下している。長時間または高温で保管すると、PAAEはPAAEと反応してPAAEの活性を失う。自動車のペイントオーブンなどの高熱に長時間さらされると、PAAE樹脂の性能が低下する可能性がある。さらに、PAAE合成は、環境的に望ましくない有機ハロゲン化副生成物を生成する傾向がある。したがって、本発明で使用されるポリマーは、エピハロヒドリン官能基またはその誘導体を25、20、15、10、5、1、0.5、0.05,0.005モル%未満、最も好ましくは0モル%含むことが好ましい。
【0028】
特許請求の範囲および具体例を除いて、または他に明示的に示されている場合を除き、反応および/または使用の材料または条件の量を示す本明細書中のすべての数値は、最も広い範囲を記載する際の「約」という語によって修飾されると理解されるべきである。しかしながら、記載されている数値限定の範囲内で行うのが一般に好ましい。本明細書および特許請求の範囲において、成分の値は、別段の指定がない限り、組成物の総重量に基づく重量部であると理解される。また、パーセント、量、部および比率の値は重量によるものであり、分子量(MW)は重量平均分子量を意味し、用語「ポリマー」には「オリゴマー」、「コポリマー」および「ターポリマー」が含まれる。単語、フレーズ、頭字語、略語などの意味の最初の定義または記述は、同じ単語、フレーズ、頭字語、略語などのその後の使用に適用され、変更すべきところは変更して通常のそれらの文法的変形に適用され、用語「モル」およびその変形は、イオン、部分、元素、およびその中に存在する原子の数およびタイプによって規定される任意の他の実際のまたは仮想の実体に適用することができ、明確に定義された中性分子を有する材料も同様である。本発明に関し、所与の目的のための適切または好ましい材料の群またはクラスの記載は、その群またはクラスのメンバーの任意の2つ以上の混合物が同等に適切であるか、または好ましいことを意味し、;電気的に中性の化学成分を使用することによる液体組成物またはその成分の調製の記載は、明細書で特定された任意の組み合わせへの最初の添加時の成分を意味し、必ずしも混合物の成分間の化学的相互作用、混合物が生じた後の分散物中の分散相と連続相間の物質の分配のような特性における物理的変化を除外するものでない。;イオン形態の材料の仕様は、全体として組成物に電気的中性を生成するのに十分な対イオンの存在を意味する。このように暗黙的に特定される任意の対イオンは、好ましくはイオン形態で明示的に特定される他の成分の中から可能な限り選択される。そうでなければ、そのような対イオンは、本発明の目的に反する対イオンを避けることを除いて、自由に選択することができる。
【0029】
さらに、指定されたすべての範囲には、範囲の2つの端点間のすべての値が含まれる。特に明記しない限り、本明細書に記載されたIVB族金属酸化物含有コーティングは全て、基材の耐腐食性コーティングであると理解されるべきである。本発明のIVB族金属酸化物コーティングは非常に薄い層として使用されるので、それらはしばしば業界では前処理またはコーティングとして交換可能に呼ばれる。
【0030】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、好ましい実施形態の詳細な説明から当業者にはより明らかになるであろう。詳細な説明に添付される図面は、以下に記載される。
図面の簡単な説明
なし。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましい実施形態の詳細な説明
一般的には、本発明は、IVB族金属、例えば、Zr、Tiおよび/またはHfであり、銅および少なくとも1種のアミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基、好ましくはアミド官能基およびアミン官能基を含む溶解および/または安定に分散された有機ポリマー、最も好ましくはポリアミドアミンを含む前処理組成物を提供する。
【0032】
本発明はまた、上述の組成物を製造し、使用する方法、ならびに上に記載した有機ポリマーおよび/または前記ポリマーと1種以上の金属基材およびコーティング浴中の他の成分との反応生成物および銅を含むIV族金属酸化物含有コーティングがその上に堆積された金属基材を提供する。
【0033】
本発明による耐腐食性コーティングは、厚さが20~200ナノメートルのオーダーで非常に薄いので、コーティングとは対照的により前処理の性質を有する。金属基材上に堆積された本発明の化成コーティングは、IVB族金属酸化物、銅、金属基材から溶解した金属イオン、および本明細書に記載のアミド官能基を含む有機ポリマーおよび/または前記ポリマーと銅、金属基材およびコーティング浴中の他の成分の1つ以上との反応生成物を含有する。好ましくは、本発明によるポリアミドアミンポリマーを含む耐腐食性コーティングは、基材上にコーティングを提供し、ここで、コーティングは、全コーティング重量を基準にして、1~30重量%、好ましくは2~15重量%、最も好ましくは3~10重量%の窒素を有する。本明細書で論じるように、本発明によるコーティング中の測定された窒素は、アミド官能基を含む有機ポリマー中の窒素に由来することが示され、本発明に係るポリマーを含まない類似の前処理組成物から堆積した耐腐食性コーティング中では窒素が検出されない。
【0034】
一実施形態では、本発明に使用されるアミド含有ポリマーは、コーティング全体に均一に分布していてもよい。別の実施形態では、本発明に使用されるアミド含有ポリマーは、ポリマーの濃度勾配が観察されるようにコーティング中に分布してもよい。
【0035】
本明細書に記載のように、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1種の有機ポリマーと、銅を含むIVB族金属含有前処理浴との組み合わせは、相乗効果をもたらし、ポリマーの非存在下での同一の前処理組成物と比較して改善された耐腐食性を有するより薄い酸化ジルコニウム含有コーティングの堆積をもたらす。この相乗効果は、前処理が良好な耐腐食性を提供する選択されたコーティング厚を有するものであり、コーティング厚を減少させることが耐腐食性に悪影響を与えると予想されることから驚くべきことである。代わりに、本発明の実施形態では、より薄い前処理コーティングにもかかわらず、耐食性が改善される。同様に、コーティング中のIVB族金属量が低いにもかかわらず、改善された耐腐食性が観察された。
【0036】
本発明では、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む適切な有機ポリマー、好ましくはポリアミドアミンポリマーをIVB族金属含有前処理に、浴を不安定化させず、または得られるコーティングの堆積または性能に悪影響を与えないことを条件に、100万分の1(ppm)~5000ppmまたはそれ以上の濃度で添加する。IVB族金属含有前処理は、好ましくは、ppmで1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000ppmの本発明に有用な適切なポリマーを有する。IVB族金属含有金属前処理は、IVB族金属を10~2000ppm、好ましくは20~1000ppm、最も好ましくは100~700ppm含む。IVB族金属含有金属前処理は、銅の濃度が浴を不安定化させないことを条件に、1~50ppmの銅またはそれ以上、より好ましくは2、3、4または5ppmから50、40または30ppm未満含有する。
【0037】
IVB族金属含有金属前処理物は、5~200ppmの遊離フッ化物、より好ましくは15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ppmの濃度を有する。IVB族金属含有金属前処理は、浴が不安定になるほど高くない濃度であることを条件に、任意に500ppm~約6000またはそれ以上の濃度、好ましくは1000~4000の範囲の量の硝酸塩を含有してもよい。浴のpHは、2~6、好ましくは3.6~5.5、より好ましくは3.6~4.6の範囲に保たれる。
【0038】
上述したように、本発明による前処理組成物中の、少なくとも1種のアミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む有機ポリマー、好ましくはポリアミドアミンポリマーの使用は、特に冷延鋼の耐腐食性および塗膜密着性に予想外の改善をもたらす。出願人は、実施例に示すように、様々なポリマーを試験することにより、酸性化成コーティング浴中に安定に溶解および/または分散し、それと接触する金属基材上に堆積し、改善された腐食および塗膜密着性能を提供することができる特定の官能基を有するポリマーのセットを発見した。試験した全てのポリマーで、腐食性能の改善をもたらされず、アミド官能基と任意にアミン及び/又はイミダゾリン官能基とを含む有機ポリマーの唯一の組み合わせのみが、求められた結果をもたらした。
【0039】
アミド官能基を含む適切な有機ポリマーは、室温から約35℃の範囲の温度で、前処理浴にポリマーを容易に含むことを可能にする粘度を有することが望ましい。一実施形態では、有用なポリマーは25℃で1~400ポアズの粘度を有する。適切なポリマーは、前処理組成物または浴中に溶解または分散された後、前処理組成物または浴の調製後少なくとも10日間、25℃での貯蔵中に通常の裸眼視覚で知覚可能なバルク相の自発的な分離または析出(segregation)に対して組成物中に安定に溶解および/または分散したままであるべきである。好ましくは、ポリマーは加水分解に耐性を有し、特に酸性前処理組成物中でゲル化しない。
【0040】
望ましくは、本発明において有用なポリマーは、アミド官能基とアミン官能基の両方を含み、100~1000mgKOH/gポリマーの範囲のアミン価を有する。
【0041】
一実施形態では、前処理組成物は、約200~10,000の範囲の数平均分子量を有する本発明に有用なアミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む少なくとも1種の有機ポリマーを含む。一実施形態では、本発明による前処理組成物は、約200、500、700、1000、2000ダルトンの範囲の数平均分子量を有する1種以上のポリアミドを含む。別の実施形態では、前処理組成物は、2つのポリアミドの混合物を含み、第1のポリアミドが約200~400の数平均分子量を有し、第1のポリアミドとは異なる第2のポリアミドが、約700~約2000の数平均分子量を有する。
【0042】
別の実施形態では、本発明による前処理組成物は、1種以上のポリアミドアミン直鎖および/または分岐ポリマーを含む。この実施形態では、ポリアミドアミンは高度に分岐した構造である。望ましくは、ポリアミドアミンポリマーは、それぞれが窒素原子で終端された3つのアルキレン置換基を有する3級アミン中心を含むことができ、前記窒素原子は、当該技術分野で知られているカルボン酸などの他のモノマーとさらに重合する。
【0043】
一実施形態において、一般式(I)に係るポリマーは、少なくとも1つの窒素含有有機ポリマーとして存在する:
【0044】
【化2】
式中、
1種以上のポリアミドアミンポリマーのそれぞれについて独立して、
は、水素または有機部分、好ましくは飽和または不飽和アルキル基を表し、
は、水素または有機部分、好ましくは飽和または不飽和アルキル基を表し、
mは、1~8、好ましくは2~6の範囲の数を表し、
nは、1~8の範囲の数を表し、
xは、1~40の範囲の数を表し、
yは、2~80の範囲の数を表し、
zは、2~500の範囲の数を表す。
【0045】
一実施形態では、ポリアミドアミンポリマーは、約99:1~約50:50、好ましくは約97:3~約70:30のカルボン酸残基対アルキレンアミン残基の質量比を含む。例えば、トール油脂肪酸とポリエチレンアミンとの反応生成物である本発明に有用なポリアミドアミンは、約80~95重量%トール油脂肪酸残基および5~20重量%ポリエチレンポリアミン残基である。
【0046】
本発明による組成物およびコーティングにおける使用に適するポリアミドアミンポリマーは、アミドおよびアミン官能基、任意にイミダゾリン官能基を含む窒素含有有機ポリマーを製造するために、既知のモノマーまたはオリゴマーを用いて、当業者に知られている重合反応によって形成することができる。所望の官能基をモノマーの重合によって、またはポリマー化した後に所望のアミド官能基およびアミン官能基を得るためにポリマー官能基を修飾することによって、所望の官能基を得るための方法および材料を詳述する入手可能な広範な文献がある。非限定的な例として、カルボン酸基とアミンとの縮合重合反応は、水を分離し、カルボキシル炭素原子とアミンの窒素原子との間にアミド結合を形成することによってアミド結合を生成する。これらのポリアミドアミンポリマーは、ジカルボン酸またはダイマー化モノマー上のカルボン酸官能基と反応性の複数の窒素原子を有するアミンモノマーの使用のために、しばしば多分岐構造の形態である。
【0047】
ポリアミドアミンの可能な構造の1つは、下記に式(II)に示されるが、これに限定されない。
【0048】
【化3】
式中、R1は、C16アルキレンであり、R2は有機部分を表す。
【0049】
1級アミンおよび2級アミンから選択される少なくとも2つのアミン基を有する分子であるポリアミンは、直鎖および分岐ポリアミドアミンの生成を可能にするそのような反応において特に有用である。分岐を増加させるために、トリス(2-アミノエチル)アミンのような3級アミン中心を有する1級アミンがしばしば使用される。段階的重合を用いて、既知の技術を用いてポリマーの特定の構造を選択することができる。発散重合および収束重合は、ポリマーを生成するための反応の非限定的な例である。
【0050】
一実施形態では、本発明に有用なポリアミドアミンポリマーは、1種以上のポリアミンとジカルボン酸との間の重合反応によって形成することができる。アミン官能基は、カルボン酸官能基と反応して、アミド結合および依然としてアミン官能性を有する分子を生成し、さらにジカルボン酸と反応してさらなるアミド結合および新しいアミノ末端分岐を形成する。カルボン酸は、アミンと反応する少なくとも2つの部位を有するジカルボン酸、ダイマー酸または他のカルボン酸であることが多いが、モノカルボン酸であってもよい。形成されたポリマーアームは、直鎖、分岐、樹枝状、非対称または対称であってもよい。
【0051】
ポリアミドアミンポリマーを製造するために使用されるカルボン酸は、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式であり得る。これは、クロロ、フルオロ、ブロモ、エーテル、スルフィド、ケト、ヒドロキシル等の置換基、並びにフェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、メチルナフチル等の芳香族置換基を含有してもよい。
【0052】
本発明の目的に適合するイミダゾリンの製造に有用な酸の例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸、ステロリック酸、フェニルステアリン酸、キシリルステアリン酸、クロロステアリン酸、ヒドロキシフェニルステアリン酸、ナフテン酸、アラキン酸、トリコサン酸、およびトリアコンタン酸が挙げられる。前述の酸のいずれかの混合物も同様に有用である。ほとんどの場合、約8~約20個の炭素原子を含むカルボン酸を使用することが好ましい。
【0053】
非置換アルキレンアミンという用語は、本明細書では大部分が一般式(III)に一致するポリアミンを表すために一般的な意味で使用される。
【0054】
【化4】
式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、有機部分、好ましくは飽和または不飽和C1~C6アルキル基、または(CH-NHであり、
は、水素または(CH-NHであり、
mは、独立して2~8、好ましくは2~6の数を表し、そして
nは、独立して1~8の数を表す。
【0055】
有用な非置換アルキレンアミンの例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのエチレンポリアミン、ヘキサメチレンヘプタミン、対称アルキルアミン、例えば、N-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、およびプロピレンジアミン、ブチレンジアミン、アミノエチルプロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、フェニルエチレンジアミン、オトリルエチレンジアミン、ベンジルエチレンジアミン、シクロヘキシルエチレンジアミン、1-アミノエチルピペラジジエチレントリアミン、1-アミノエチルピペラジルトリエチレンテトラミン等の置換エチレンポリアミン類等が挙げられる。
【0056】
しかしながら、これらの置換されていないアルキレンアミンが好ましく、純粋な化合物としてまたは混合物としても用いてもよく、たとえば、分子当たり約30~40個の官能基または官能性を意味するアミノ基を含むエチレンポリアミンの市販の混合物であるポリアミンHである。好適なアルキレンポリアミンは、100~1500の平均分子量を有することができる。テトラエチレンペンタミンは、ある製造業者によって、主として、直鎖状、分岐状、2つの環状TEPA生成物およびより高分子量の生成物を含む4種のTEPAエチレンアミンの混合物として記載されている。これらの化合物は、TEPA(CAS#000112-57-2、N-(2-アミノエチル)-N’-{2-{(2-アミノエチル)アミノ}エチル}-1,2-エタンジアミン)、AETETA(CAS#031295-46-2、4-(2-アミノエチル)-N-(2-アミノエチル)-N’-{2-{(2-アミノエチル)アミノ}エチル}-1,2-エタンジアミン)、AEPEEDA(CAS#031295-54-2、1-(2-アミノエチル)-4-[(2アミノエチル)アミノ]エチル]-ピペラジン)およびPEDETA(CAS#031295-49-5、1-[2-[[2-[(2-アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]-ピペラジン)である。
【0057】
ポリエチレンポリアミンは、TEPA、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ヘキサエチレンヘプタミン(HEHA)、およびより高分子量の生成物を含むものとして製造業者によって記載された製品の混合物である。1つのポリエチレンポリアミンは、250~300g/モルの数平均分子量を有する種々の線状、環状および分岐生成物の複合混合物として記載されている。
【0058】
本発明による使用に適するポリアミドアミンポリマーは、モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはダイマー酸とも呼ばれるダイマー化脂肪酸由来のカルボン酸官能基を、第一級および第二級アミンから選択される少なくとも2つのアミンを含むポリアミンと反応させることによって形成することができ、第3級アミンもまた存在して分岐を提供する。本発明において有用なモノカルボン酸は、典型的には、植物油または他の油などの脂肪酸源に由来する。単なる例として、これらの油には、トール油、トウモロコシ油、キャノーラ油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油、ピーナッツ油、ベニバナ油、大豆油、ヒマワリ油が挙げられる。本発明での使用に適するモノカルボン酸は、飽和および不飽和のC6~C24脂肪酸が挙げられる。本発明に有用な好適なジカルボン酸には、例えばアジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(ヘプタン二酸)、スベリン酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸およびオクタデカン二酸などの飽和及び不飽和C6~C18ジカルボン酸が含まれる。
【0059】
本発明において有用な好適なダイマー脂肪酸は、典型的には、限定されない例として、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコセン酸およびステアリン酸などのC12~C22の飽和または不飽和脂肪酸から形成される。一実施形態では、脂肪酸反応物は、C18~C20の飽和または不飽和脂肪酸の混合物を含む。
【0060】
本発明で使用される好ましいポリアミドアミンポリマーの1つのクラスは、トール油脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの反応から形成される。一実施形態では、ポリアルキレンポリアミンは、TEPA、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ヘキサエチレンヘプタミン(HEHA)、およびより高分子量の生成物を含むポリエチレンポリアミンの混合物を含む。別の実施形態において、ポリアルキレンポリアミンは、数平均分子量が250~300g/モルの種々の線状、環状および分岐ポリアミンの複合混合物を含む。
【0061】
別の好ましいクラスのポリマーは、少なくとも2つの反応性アミン、好ましくは1級アミンとC18不飽和ダイマー化脂肪酸との反応により形成され、ダイマーが形成されると、二つのC18不飽和脂肪酸の結合のためC36である。
【0062】
一実施形態では、ポリマーは、一般にC16~C20の範囲の飽和および不飽和脂肪酸の混合物と直鎖または分枝鎖のポリエチレンポリアミンとの反応生成物を含む。
【0063】
一実施形態では、窒素含有ポリマー添加剤は、トリス-アミノエチルアミンとオクタデカン二酸との重縮合生成物と、テトラエチレンペンタミンとオクタデカン二酸との重縮合生成物からなる。
【0064】
一実施形態では、骨格中にアミド部分およびアミン部分を有する水溶性ポリアミドアミンは、アルキルジアミン、ポリアミンまたはポリアルキルポリアミンとエチレン性不飽和カルボン酸または二酸化合物との反応生成物であってもよい。
【0065】
本発明において有用なポリアミドアミンを製造するのに使用される少なくとも2つの第1級アミンを有するポリアミンには、一例として、エチレンジアミンなどのジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)またはテトラエチレンペンタミンなどのポリエチレンポリアミン;トリス(2-アミノエチル)アミンなどのポリアミンが挙げられる。有用なポリアミンは、2つ以上の第1級アミン官能基を有する。一般に、第1級アミンが反応に最初に関与するが、多くのポリアミンに見出される第二級アミンもこれらの反応において反応することができるが、これらのアミンの反応速度論はより遅くなる傾向がある。
【0066】
ジアミンおよびポリアミンの例には、1,2-ジアミノベンゼン;1,3-ジアミノ-ベンゼン;1,4-ジアミノベンゼン;4,4’-ジアミノジフェニルメタン;4,4’-ジアミノジフェニルスルホン;2,2’-ジアミノジフェニルスルホン;4,4’-ジアミノジフェニルオキシド;3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジ-アミノジフェニル;3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニル;4,4’-ジアミノ-α-メチルスチルベン;4,4’-ジアミノベンズアニリド;4,4’-ジアミノスチルベン;1,4-ビス(4-アミノフェニル)-トランス-シクロヘキサン;1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン;トリス(アミノフェニル)メタン;1,4-シクロヘキサンジアミン;1,6-ヘキサンジアミン;ピペラジン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;1-(2-アミノエチル)ピペラジン;ビス(アミノプロピル)エーテル;ビス(アミノ-プロピル)スルフィド;ビス(アミノメチル)ノルボルナン;2,2’-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン;およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0067】
いくつかの実施形態において、前処理組成物はまた、本発明において有用なポリアミドアミンの環形成反応によって形成され得るイミダゾリン、典型的には脂肪酸イミダゾリンを含み得る。望ましくは、本発明による前処理において使用されるイミダゾリンは、アミドアルキルイミダゾリンを含む。イミダゾールとは区別されるイミダゾリンの分子構造は、3つの部分、例示的な式(IV)に示されている窒素原子を含む5原子環(部分A)、活性官能基を有するペンダント側鎖(部分B、R)および長い炭化水素鎖(部分C、R’)からなる。
【0068】
【化5】
RおよびR’中の官能基は、可変であり得る。好ましい実施形態において、RおよびR’の少なくとも1つは、1つ以上のアミド結合を含む。一実施形態では、RおよびR’はそれぞれ独立して、直鎖または分岐C6~C36、好ましくはC8~C22、最も好ましくはC16~C18アルキル、アルキレン、アミドアルキル、アミノアルキル、アミドアルキレン、アミノアルキレンまたは芳香族基であり、好ましくはアルキル、アミドアルキル、アミノアルキル、アミドアルキレン、アミノアルキレンまたはアルキレンである。一実施形態では、Rは、ステアリル、ナフチル、パルミル、オリル、リノリルまたはリノレニルであってもよい。一実施形態では、R’は、ステアリル、ナフチル、パルミル、オリル、リノリルまたはリノレニルであってもよい。
【0069】
一実施形態では、脂肪酸イミダゾリン化合物は、ステアリン酸イミダゾリン、ナフテン酸イミダゾリン、パルミチン酸イミダゾリン、オレイン酸イミダゾリン、リノール酸イミダゾリンまたはリノレン酸イミダゾリンを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、脂肪酸イミダゾリンは、2種以上の脂肪酸イミダゾリン化合物の混合物を含み得る。
【0070】
一実施形態では、脂肪酸は、トール油、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸またはナフテン酸由来の天然酸を含むことができ、または合成的に調製された脂肪酸を含むことができる。合成的に調製された脂肪酸は、偶数個の炭素原子または奇数個の炭素原子を有する酸を含むことができる。
【0071】
典型的な工業的方法においては、本発明の方法は、IVB族金属含有前処理が、プライマーおよび/または塗料が基材に塗布される直前に、ベアメタル基材に直接適用されることを可能にする。
【0072】
少なくとも1種のアミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む有機ポリマー、好ましくはポリアミドアミンポリマーを含有する本IVB族金属前処理組成物は、典型的にはウェットオンウェットプロセスで適用され、それらが適用された後、IVB族金属酸化物コーティングの堆積後に基板をリンスまたは乾燥させることなく、その後の層を適用することを意味する。本発明のIVB族金属酸化物コーティングは、必要に応じて適用後に乾燥することができるが、これは必ずしも必要ではない。これらのコーティングは、典型的には、コーティング材料の浴を使用し、所与の温度で所与の時間、基材を浴中に浸漬し、次いで基材を次のコーティング浴に移すことによって基材に適用される。IVB族金属酸化物コーティングを施す前に、基材を洗浄および/または脱脂し、リンスする。本発明のIVB族金属含有前処理組成物は、噴霧、ローラー塗布、およびIVB族金属酸化物コーティングの所望のコーティング重量を提供する他の任意の塗布方法によって塗布することもできる。
【0073】
本IVB族金属酸化物コーティングは、鋼、冷間圧延鋼、溶融亜鉛めっき鋼、電気亜鉛めっき鋼、ガルバニール、アルミニウムおよびアルミニウム合金を含む、すべての金属および金属合金の耐腐食性処理として使用される。
【0074】
本明細書では、本発明による多数の反応性ポリアミドアミンポリマーおよび本発明に従わないいくつかのポリマーの、標準的な酸化ジルコニウム含有耐腐食性コーティングによって提供される耐食性および接着性に対するそれらの効果について試験した。本明細書を通して、特に明記しない限り、これらのポリマーはそれらのCAS番号によって参照される。当業者に知られているように、多くのポリマーでは、重合反応の最終生成物は様々な長さのポリマーの混合物であるので、本明細書では、本発明によるポリマーのいくつかは多くの重合成分の反応生成物として記載される。例えば、CAS68410-23-1は、当業界では、C18不飽和脂肪酸および脂肪酸ダイマー、トリス(2-アミノエチル)アミン、テトラエチレンペンタミンおよびトリエチレンテトラミンの反応生成物として指定される。
【0075】
【表1】
【0076】
実験結果に示され、本明細書で考察されるように、アミン官能性を有するがアミド結合を欠くポリマー、例えばCAS30551-89-4、CAS9012-76-4、およびCAS9002-98-6は、酸化ジルコニウムコーティングの腐食保護を増加しない。
【0077】
同様に、ラクタムアミド結合のみを有するポリアミドアミン、例えばCAS9003-39-8およびCAS36833-16-6は、本発明の酸化ジルコニウムコーティングの腐食保護を増加させなかった。ポリビニルピロリドンおよび上記のグリコールウリル樹脂生成物の両方は、アミド結合を形成する炭素原子および窒素原子の両方が同じ環構造のメンバーであるアミド結合を意味するラクタムのみを有する。ジルコニウム含有前処理浴に添加されたこれらのポリマーのいずれも、酸化ジルコニウムおよびポリマー含有コーティングを形成するための前処理浴で処理した金属基材の改善した耐食性をもたらさなかった。
【0078】
本明細書に開示された実験では、例示的な酸化ジルコニウムコーティングを、ベースまたは対照耐腐食性コーティングとして使用した。これは、典型的な六フッ化ジルコン酸含有処理との接触によって堆積される。これは、本発明の利益を得ることができるジルコニウム含有前処理の一例に過ぎない。本発明による浴、すなわちポリアミドアミンおよび/またはアミドアルキルイミダゾリンポリマーを含有するジルコニウム含有前処理浴を調製するには、好ましくは以下の手順に従う。浴容器を脱イオン水で所望のレベルまで満たす。ジルコニウム含有前処理浴の成分からポリアミドアミンポリマーを差し引いた成分を添加して混合する。本発明のポリアミドアミン重合体を添加する。最後に、pHを必要に応じて2~6、好ましくは3.6~5.5のpHに調節する。
【0079】
当業者に知られているように、浴成分は、IVB族金属前処理成分からポリアミドアミンポリマーを差し引いたもの、ポリアミドアミンポリマーを有するもの、そして場合によっては、pH調整剤を有する第3のものの複数のパッケージで使用者に供給することができる。ポリアミドアミンは典型的には脱イオン水のみに溶解しないので添加の順序は重要であり、最初に脱イオン水中にIVB族金属前処理成分を存在させる必要がある。これらの成分は、すぐに使用できる形式で、または脱イオン水で希釈する必要のある濃縮物として供給することができる。
【0080】
本発明によるIVB族金属酸化物コーティング堆積前処理組成物は、使用中に消費したIVB族金属酸化物堆積前処理浴を補充するための補充剤組成物としても提供することができる。上記の完全な液体前処理組成物に加えて、本発明の別の実施形態は、本発明による窒素含有ポリマーの水中の液体分散液、および任意に、本発明による液体前処理組成物の使用によって消費されるポリマー分子および成分に代わる補充剤組成物として有用な他の成分である。このような本発明による液体補充剤組成物は、水と以下の成分を含み、好ましくは、本質的に水と以下の成分からなり、より好ましくは、水と以下の成分からなる。
【0081】
(A)使用中に補充される液体組成物の成分a)から消費されるのと同じ相対的割合で同じ化学物質を含み、その量は、補充される液体組成物中の同じ化学物質の量よりも少なくとも5倍である量のジルコニウムの溶解源;
【0082】
(B)使用中に補充される液体組成物の成分b)から消費されるのと同じ相対的割合で同じ化学物質を含み、その量は、補充される液体組成物中の同じ化学物質の量よりも少なくとも5倍多い量である銅の溶解源;
【0083】
(C)使用中に補充される液体組成物の成分c)から消費されるのと同じ相対的割合で同じ化学物質を含み、その量は、補充される液体組成物中の同じ化学物質の量よりも少なくとも5倍多い量である本発明による、分散した、または分散および溶解した窒素含有ポリマー分子。
【0084】
必要に応じて、補充剤は以下の1つまたは複数を含むことができる。:
【0085】
(D)使用中に補充される液体組成物のフッ素成分から消費されるのと同じ相対的割合で同じ化学物質を含み、その量は、補充される液体組成物中の同じ化学物質の量よりも少なくとも2~5倍多い量であるフッ素の溶解源;
【0086】
(E)使用中に補充される液体組成物の硝酸塩成分から消費されるのと同じ相対的割合で同じ化学物質を含み、その量は、補充される液体組成物中の同じ化学物質の量よりも2~5倍多い量の硝酸塩の溶解源;
【0087】
(F)成分(C)のすべての分散構成分子を乳化させるのに十分な量の乳化剤成分であって、液体補充剤組成物中で、液体補充剤組成物の調製後少なくとも5日間、25℃での貯蔵の間に液体補充剤組成物と、液体補充剤組成物と反応する金属または他の物質との接触することなく、通常の肉眼で知覚可能なバルク相の分離または析出が起こらないようにする成分;
【0088】
(G)酸、酸化剤および錯化剤からなる群から選択される溶解促進剤成分;
(H)水に不溶性である成分(C)の成分が、液体補充剤組成物の調製のいくつかの工程の間に溶解した溶媒の成分であって、前記成分のいずれかの部分を構成する材料以外のもの;
(J)前記成分のいずれかの部分を形成する材料以外の合体剤の成分;
(K)前記成分のいずれかの部分を構成する材料以外の可塑剤成分;
(L)非ポリマー性架橋剤の成分および上記の他の成分の一部を構成しないが、前処理浴の操作温度で成分(C)と化学反応性であるモノマー。
【0089】
補充剤は、例えば、(A)および(B)が第1の部分にあり、成分(C)が第2の部分にある2部分パッケージのような複数部分パッケージで提供されてもよい。任意の成分は、存在する場合には、相溶性または便宜に応じて分割してもよいし、別々に添加してもよい。
【0090】
以下に具体的に記載されているもの以外の腐食保護または接着を評価するために用いられる試験手順は、工業規格であり、当業者に知られている様々な供給源を介してオンラインで見出すことも購入することもできる。さらに、さまざまなメーカーが、これらの試験を実施するために特別に設計された試験装置、例えばAscott Analyticalを販売している。
【0091】
議論したように、本発明は、アミド官能基および任意にアミンおよび/またはイミダゾリン官能基を含む組成物中に溶解および/または分散した少なくとも1種の窒素含有有機ポリマーを組み込んだIVB族金属酸化物含有腐食防止コーティングを含む。望ましくは、少なくとも1種の窒素含有ポリマーは、1種以上のポリアミドアミンポリマーを含む。これらのコーティングの腐食保護効果および塗料およびプライマーのそれらへの接着は、本発明によるポリアミドアミンポリマーをコーティングに含めることによって高められる。
【0092】
<実験手順>
以下に記載する実験で使用されるベースのジルコニウム含有前処理組成物であるベースAは、特に断りのない限り、指示された濃度で、Zr145~155ppm、Cu10~30ppm、Zn600ppm、NO6,000ppm、遊離フッ化物27~35ppm、pH4.0~4.3を含有する。ベースB前処理組成物は、ベースAと同じ成分を有していたが、銅については含まなかった。ベースAは、試験された基材の全ておよび全ての測定により、典型的なリン酸亜鉛コーティング組成物と同じレベルの腐食保護を提供することができた。従って、本明細書中に提示された全てのデータにおいて、テストコーティングがベースAコーティング単独と同等またはそれ以上の性能を発揮する場合、テストコーティングは、典型的なリン酸亜鉛コーティングの性能にも合致するか、またはそれを超えるものである。以下に示すテストポリアミドアミンポリマーおよび他のポリマーを、使用前にベースAコーティングに直接添加した。
【0093】
下記の全ての実験において、テストパネルは、Hillsdale、MIのACT Test Panels Technologyからの標準的なテストパネルであった。本実験で使用したACTからのテストパネル基材は以下のものを含んでいた。:冷延鋼板(CRS);熱間浸漬亜鉛メッキ鋼(HDG);電気亜鉛メッキ鋼(EG);ガルバニール(HIA);アルミニウム合金6014;アルミニウム合金6111。
【0094】
パネル調製手順は以下の通りであった。パネルは、:アルカリ洗浄剤Bonderite(登録商標)C-AK T51で1分間スプレーし、;Bonderite(登録商標)C-AK T51に2分間浸漬し、;水道水で1分間のスプレーでリンスし、;脱イオン水で1分間スプレーし、;下記のようにジルコニウム含有前処理組成物に90°F(32℃)で120秒間暴露し、;脱イオン水で1分間スプレーし、;空気乾燥;および商業的に入手可能なプライマーBASF CathoGuard(登録商標)800で製造者の指示に従って電気コーティングした。本明細書で論じるように、本発明によるポリアミドアミンポリマーを含有する酸化ジルコニウムコーティングは、BASF CathoGuard(登録商標)800などの他の層の適用前に基材をリンスする必要はない。本発明の酸化ジルコニウムコーティングは、当該技術分野で知られている任意の「ウェットオンウェット」プロセスで使用することができる。
【0095】
BASF CathoGuard(登録商標)800での電気コーティングの後、特に断りのない限り、すべてのテストパネルをXパターンで基材にスクライブし、以下に記載の種々の試験を行った。
【0096】
様々な有機ポリマー、いくつかの比較例、および1種以上のアミドおよびイミダゾリン官能基を含む、好ましくはアミン官能基を含む本発明によるコーティングのいくつかの例を含む酸化ジルコニウムコーティングを評価するために、多数の異なる腐食および塗料接着の試験手順を用いた。:General Motors Worldwide test 14872 exposure C(GMW 14872)循環腐食臨床試験;塗料接着試験であるGeneral Motors Worldwide test 14829/14704(GMW14829/14704);Volkswagen testPV1210耐食性試験(PV1210);アルミニウムおよびアルミニウム合金の糸状腐食試験(FFK);以下に記載の10日間のホット塩水浸漬腐食試験(HSW)を実施した。種々のGMW,PV1210およびFFKテストは、標準化されたテストであるためオンラインで探すことができ、以下に簡単に説明する。10日間のホット塩水浸漬試験も、以下でより完全に記載される。GMW14872試験は耐食性試験であり、各試験で28サイクル±3サイクルで実行された。このプロトコールはオンラインでのiHSスタンダードストアを含む多くのソースから購入できる。GMW14829/GMW14704塗料接着試験を、水に48時間浸漬し、乾燥し、スクライブし、テープ引っ張りを行った試料について、接着を測定するために行った。Volkswagen PV1210試験は、各サイクルを以下の手順で含む。DIN EN ISO 9227 NSSによる4時間の塩水噴霧試験;ISO554に従った、通常の空気中の23℃±2℃、50%±5%相対湿度で4時間保存;DIN EN ISO6270-2CHの定常気候に従った16時間の高温多湿保存。すべての5サイクル後に、通常の空気ISO554-23/50に従って48時間の休息時間がある。本データでは、試験を30サイクル行った。FFK糸状試験は、DIN EN 3665;1997に従って42日間行った。FFKテストプロトコルは、米国国家規格協会(ANSI)から購入することができる。
【0097】
10日間のホット塩水試験は以下のように行った。各試験サンプル上に、Xを基板にスクライブした。次いで、サンプルパネルを5重量%NaCl溶液中に55℃で240時間置いた。240時間後、パネルを水で洗浄し、空気乾燥させ、次いで接着を試験するために、接着テープ、ニチバンまたは同等のセロテープを、スクライブされたXの領域に適用した。テープをストレッチで上方に引っ張り、テープに貼り付けられたフィルムの最大幅を記録した。腐食を測定するために、外側のスクライブラインからの腐食の動きを測定した。
【0098】
<実験的なテストと結果>
実験1では、基材は、GMW14872に従い、CRSまたはHDG腐食試験を行った。対照の前処理は、ベースAであり、他の処理は、ベースAと、本発明による示されたポリアミドアミンポリマーとを含んでいた。以下の結果は、スクライブマークからの腐食クリープのミリメートル(mm)で示される。実験1で使用したポリアミドアミンポリマーは、CAS68410-23-1またはCAS68155-17-9のいずれかであった。両方とも本発明に従った、その構造にアミド結合を有するポリアミドアミンポリマーである。CAS68410-23-1ポリアミドアミンは、C18不飽和二量化脂肪酸とトリス(2-アミノエチル)アミン、テトラエチレンペンタミンおよびトリエチレンテトラミンとの反応生成物であり、トリス(2-アミノエチル)アミンは構造内で分岐する。反応生成物は、構造中に長い炭素鎖を有する傾向がある。CAS68155-17-9ポリアミドアミンポリマーは、トール油脂肪酸とテトラエチレンペンタミンとの反応生成物であり、分岐鎖ポリアミドアミンポリマーを形成する傾向がある。結果を以下の表1に示す。
【0099】
この結果は、本発明のポリアミドアミンポリマーを有する酸化ジルコニウムコーティングの両方ともが、試験パネル中のスクライブマークからの腐食のクリープの減少によって証明されるように、ベースA生成酸化ジルコニウムコーティング単独によってもたらされる腐食保護の強化を提供することを示す。これは、CRSおよびHDG基材の両方に当てはまった。
【0100】
【表2】
【0101】
実験2では、基板はCRSであった。ベースA単独またはベースAプラス本発明に従ったポリアミドアミンポリマーでの以下の前処理後、パネルをCathoGuard(登録商標)800でコーティングし、10日間のホット塩水浸漬(HSW)試験に従って腐食試験を行った。使用したポリアミドアミンは上記のCAS#68410-23-1、上記CAS#68155-17-9、またはトール油脂肪酸を有するC18不飽和脂肪酸ダイマーおよびトリエチレンテトラミンとの反応生成物であるCAS#68082-29-1であり、したがって本発明のポリアミドアミン重合体でもある。ポリアミドアミンポリマーは、全てベースAにおいて100ppmの濃度で使用された。以下の表2に示す結果は、スクライブマークからの腐食クリープのミリメートル(mm)である。この結果は、本発明による3つの前処理の全てが、スクライブマークからの腐食クリープの減少が5.4~10.8倍であることから明らかなように、ベースA酸化ジルコニウムコーティングの腐食保護を劇的に高めたことを示す。
【0102】
【表3】
【0103】
実験3では、CRSパネルを以下の表3に示す前処理でコーティングし、次にCathoGuard(登録商標)800で電気コーティングし、スクライブラインからの腐食クリープについてHSW試験で試験した。CAS30551-89-4ポリマーはポリ(アリルアミン)であり、構造中の唯一の窒素は第一級アミン基の形態であるため、ポリアミドアミンではない。ベースAに添加されたCAS30551-89-4ポリマーは、本発明によらない比較例である。
【0104】
この結果は、本発明によるCAS68155-17-9およびCAS68410-23-1が、ベースA単独と比較してHSW試験における腐食を劇的に減少させることを示す。ポリ(アリルアミン)は、ベースA前処理の耐腐食性を向上させることができず、実際にはそれを悪化させた。これらの結果は、ポリマー中のアミド結合の利点を示し、アミン基単独では耐食性が向上しないことを示す。さらに、コーティング中のポリアミドアミンポリマーの量を100ppmから250ppmに増加させることにより、表2の結果と比較してより強化された。CAS68155-17-9については、上記の5.4倍と比較して14.7倍の増強があり、CAS684-23-1については、5.4倍よりも10.4倍の増強があった。
【0105】
【表4】
【0106】
実験4では、ベースAの前処理から銅を除去する効果を、ベースB単独または表4の本発明による示されたポリアミドアミンポリマーを付け加えたものを用いて試験した。GMW 14872腐食試験の結果を以下の表4に示す。結果は、銅の存在または非存在が、ベースA/B単独によって提供される耐食性に影響しないことを示している。しかし、銅が存在しない場合、CAS68155-17-9またはCAS68410-23-1のいずれかによる耐腐食性の向上はなかった。したがって、銅は、本発明によるポリアミドアミンポリマーの効果のために、酸化ジルコニウム堆積前処理組成物中に存在することが必要である。本明細書に記載されるように、銅は、好ましくは、本発明によるジルコニウム含有前処理組成物中に1~50ppmの量で存在する。
【0107】
【表5】
【0108】
実験5では、一連のポリマーをベースAに添加して、酸化ジルコニウムコーティングを生成し、本発明によるものと本発明によらない比較例である。次いで、コーティングをCRSパネルに適用し、以下の表5に示す試験に従って試験した。結果はベースAのみに比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。さらに、CAS68410-23-1、CAS68155-17-9、CAS9003-39-8およびCAS9002-98-6については、試料をベースAおよびベースB(銅を省略した浴)中で250ppmで行った。
【0109】
サンプル性能は以下を表す。
ベースAまたはB単独のテストパフォーマンスよりも優れる。:「↑」
ベースAまたはB単独よりもテストのパフォーマンスが悪い。:「↓」
ベースAまたはB単独のテストパフォーマンスと同等。:「=」
例えば、ベースAの100ppmのCAS68410-23-1をHSW試験で試験したところ、性能はベースA単独よりも良好であり、これは表5の上向き矢印で示されている。ボックス内に表示が見つからない場合、その試料について試験は行われなかった。
【0110】
【表6】
【0111】
表5の結果はいくつか重要なことを示す。第1に、アミド結合が非環状であるポリアミドアミンは、ベースAの耐腐食性効果の向上を示す。例えば、CAS番号68410-23-1,68155-17-9,64754-99-0および68082-29-1の結果を参照。この結果は、窒素と炭素が同じ環構造にあることを意味する、環状のアミド結合が、ベースAの耐腐食性効果を増強せず、しばしばそれを悪化させることも示す。ポリビニルピロリドンあるCAS番号:9003-39-8およびイミダゾールである36833-16-6の結果を参照。結果はまた、アミド結合をもたないポリアミンもベースAの耐食性効果を改善しないことを示す。ポリ(アリルアミン)であるCAS番号30551-89-4、ポリグルコサミンである9012-76-4;およびポリエチレンイミンである9002-98-6の結果を参照。ベースBの結果はまた、ベースAにおいて有効なポリアミドアミンポリマーについては、それらがベースBにおいて有効ではないので、酸化ジルコニウムコーティング中の銅の存在が必要であることを示している。好ましくは、酸化ジルコニウム堆積前処理組成物中の銅の濃度は、約1~30ppmである。
【0112】
実験6では、一連のポリマーをベースAに添加してジルコニウム含有前処理物を生成し、本発明によるものと本発明によらないものとがある。次いで、前処理をEGパネルに適用して酸化ジルコニウムコーティングを形成し、下記の表6に示す試験に従って試験した。結果はベースA単独と比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。さらに、CAS68410-23-1、CAS68155-17-9、CAS9003-39-8およびCAS9002-98-6サンプルは、ベースAおよびベースBにおいて250ppmで行われ、銅が除去された。
【0113】
【表7】
【0114】
EG基板上に示された性能の変化は、CRSで見られたものと同様であるが、顕著ではない。同じポリアミドアミンがEGに対して有効であったが、環式アミド結合およびアミンのみのポリマーはベースAの耐腐食性効果の増大に効果的ではなかった。最後に、銅は、本発明のポリアミドアミンポリマーの効果に必要であった。
【0115】
実験7では、一連のポリマーをベースAに添加してジルコニウム含有前処理物を製造し、本発明によるものと本発明によらないものとがある。次いで、前処理をHDGパネルに適用して酸化ジルコニウムコーティングを形成し、以下の表7に示す試験に従って試験した。結果はベースAのみと比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。さらに、CAS68410-23-1、CAS68155-17-9、CAS9003-39-8およびCAS9002-98-6サンプルは、ベースAおよびベースB中250ppmで行われ、銅が除去された。
【0116】
【表8】
【0117】
HDG基材の結果は、EGで見出されたものと同様であった。同じポリアミドアミンがHDGに対して有効であったが、環状アミド結合およびアミンのみのポリマーはベースAの耐腐食性効果の向上に有効ではなかった。最後に、銅は、本発明のポリアミドアミンポリマーの効果に必要であった。
【0118】
実験8では、一連のポリマーをベースAに添加してジルコニウム含有前処理物を生成し、本発明によるものと本発明によらないものとがある。次に前処理をアルミニウム合金パネルに適用して酸化ジルコニウムコーティングを形成し、以下の表8に示す試験に従って試験した。結果はベースAのみと比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。さらに、CAS68410-23-1、CAS68155-17-9、CAS9003-39-8およびCAS9002-98-6サンプルは、ベースAおよびベースB中250ppmで行われ、銅が除去された。
【0119】
【表9】
【0120】
アルミニウム基材上の結果は、EG上に見出されたものと同様であった。同じポリアミドアミンがアルミニウムに対して有効であり、FFK試験が最も反応性であり、環状アミド結合およびアミンのみのポリマーは、ベースAの耐腐食性効果の向上に有効ではなかった。最後に本発明によるポリアミドアミンポリマーの効果には、銅が必要であった。
【0121】
実験9では、CAS68410-23-1またはCAS68155-17-9のいずれかをベースAに15ppm、50ppm、100ppm、150ppm、250ppmまたは500ppmの濃度で添加し、次いでCRSパネルに適用した。以下の表9に記載した試験に従って試験した。結果はベースAのみと比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。
【0122】
【表10】
【0123】
結果は、腐食保護増加効果とベースA配合物中のポリアミドアミンの濃度との間の関係を示す。効果的な増加は、わずか15ppmのポリアミドアミンポリマーで見ることができる。
【0124】
実験10では、CAS68410-23-1またはCAS68155-17-9のいずれかをベースAに15ppm、50ppm、100ppm、150ppm、250ppmまたは500ppmの濃度で添加し、次いでEGパネルに適用し、以下の表10に示す試験に従って試験した。結果はベースAのみと比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。
【0125】
【表11】
【0126】
結果は、CRSよりも顕著ではないが、予想されるように、ベースA配合物中のポリアミドアミンの濃度に対する腐食保護増加効果の依存性を示す。効果的な増加は、わずか15ppmのポリアミドアミンポリマーで見ることができる。
【0127】
実験11では、CAS68410-23-1またはCAS68155-17-9のいずれかをベースAに15ppm、50ppm、100ppm、150ppm、250ppmまたは500ppmの濃度で添加し、次いでHDGパネルに適用し、以下の表11に示す試験に従って試験した。結果はベースAのみと比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。
【0128】
【表12】
【0129】
結果は、EGに見られるものと同様であり、予想されるように、ベースA配合物中のポリアミドアミンの濃度に対する腐食保護強化効果の依存性を示す。
【0130】
実験12では、CAS68410-23-1またはCAS68155-17-9のいずれかをベースAに15ppm、50ppm、100ppm、150ppm、250ppmまたは500ppmの濃度で添加し、次いでAl6111パネルに適用し、以下の表12に示す試験に従って試験した。結果はベースAのみと比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。
【0131】
【表13】
【0132】
前に示したように、ポリアミドアミンポリマーのベースAへの添加は、腐食のFFK試験とは異なり、これらの腐食試験において向上効果を有さなかった。
【0133】
実験13では、CAS68410-23-1およびCAS68155-17-9をそれぞれ50ppmまたは100ppmの量で組み合わせ、次いでCRS、EG、HDGまたはAl6111の試験パネルに適用し、以下の表13に示した試験に従って試験した。結果はベースAのみと比較して示され、行った各テストサンプルはそれ自身の結果の記号を示す。
【0134】
【表14】
【0135】
実験14では、本明細書に記載されているように、CAS68410-23-1を250ppmの濃度でベースAコーティング溶液に添加し、次いで本明細書に記載されているように、CRS、HDG、EG、ガルバニール(HIA)、またはアルミニウム合金6111のパネルに堆積させた。堆積後、試験および対照コーティングを、グロー放電発光分光法(GDOES)によって分析した。GDOESは、コーティングの厚さ全体にわたる元素の量をマッピングすることを可能にする技術であり、コーティング厚さを決定する。この技術を使用して、すべての試験パネルについて、CAS68410-23-1の存在は、コーティング中に堆積した銅の量を減少させることが分かった。結果はまた、CAS68410-23-1がコーティング自体に組み込まれたことを示した。ベースAのみのコーティングは、すべての基材上に0.2重量%未満の窒素濃度を有した。CAS68410-23-1ポリマーを組み込んだ前処理組成物については、全ての基材上のコーティングは、全コーティング重量に基づいて2~10重量%の窒素濃度を有していた。
【0136】
これは、ポリマーがコーティング中に組み込まれたことをはっきりと示す。試験した全ての基材上の窒素のマッピングは、ポリマーがコーティング層全体に分布していることを示した。あるものでは、コーティングの外側部分により多くのポリマーを含む勾配があり、他のものでは、ポリマーはコーティング全体に均一に分布していた。
【0137】
実験15では、CAS68155-17-9を250ppmの濃度でベースAに添加し、次いで本明細書に記載されるようにCRS、HDG、EG、ガルバニール(HIA)、またはアルミニウム合金6111のパネルに堆積させた。堆積後、試験コーティングおよび対照コーティングを上記のようにGDOESによって分析した。CAS68155-17-9を含む前処理から堆積した酸化ジルコニウムコーティングの試験は、CAS68410-23-1の実験14の試験結果と同様であった。すなわち、すべての試験パネルについて、CAS68155-17-9の存在は、コーティング中に析出する銅の量を減少させた。結果はまた、CAS68155-17-9がコーティングに組み込まれたことを示した。ベースAのみのコーティングは、すべての基材上に0.2重量%未満の窒素濃度を有した。CAS68155-17-9を組み込んだ前処理組成物の場合、すべての基材上のコーティングは、全コーティング重量に基づいて2~10重量%の窒素濃度を有していた。これは、ポリマーがコーティング中に組み込まれたことをはっきりと示す。試験した全ての基材上の窒素のマッピングは、ポリマーがコーティング層全体に分布していることを示した。
【0138】
いくつかのサンプルでは、コーティングの外側部分に見られるより多くのポリマーを含む勾配があり、他のものでは、ポリマーはコーティング全体に均一に分布していた。
【0139】
CAS68410-23-1またはCAS68155-17-9のいずれかをベースAに添加すると、溶液中の紫色への色の変化によって明らかなように、銅錯体を形成する。
【0140】
上記の発明は、関連する法的基準に従って記載されるため、その説明は本質的に限定するものではなく例示的なものである。開示された実施形態に対する変形および変更は、当業者には明らかとなり得、本発明の範囲内に入る。従って、本発明がもたらす法的保護の範囲は、以下の請求項を検討することによってのみ決定することができる。