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特許7218464情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230130BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20230130BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/0969
G09B29/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022068313
(22)【出願日】2022-04-18
(62)【分割の表示】P 2020550927の分割
【原出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2022100357
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 航
(72)【発明者】
【氏名】田中 奨
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/008073(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170144(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載通信機及びユーザにより操作される通信端末と通信を行う通信機と、
コントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記通信機を介して、前記車載通信機から前記車両の記録媒体に記憶された地図データのうち、少なくとも一部の地図データの更新履歴を取得し、
前記地図データの更新履歴に基づいて前記地図データの更新の要否を判定し、
前記地図データの更新が必要であると判定した場合には、前記地図データの更新を許可するか否かを含む問い合わせ信号を、前記通信機を介して、前記通信端末に送信し、
前記通信機を介して、前記通信端末より前記地図データの更新を許可する旨の許可信号を受信した場合には、前記地図データの更新を指示する指示データを含む更新指示信号を、前記通信機を介して、前記車載通信機に送信する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理装置において、
前記少なくとも一部の地図データは、前記車両の走行計画に基づき特定される情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の情報処理装置において、
前記コントローラは、
前記通信機を介して、前記通信端末から前記車両の走行経路に関するデータを取得し、
前記走行経路を含む地図データを使用地図データとして特定し、
前記走行経路と、前記使用地図データに関する更新情報のリクエストとを、前記通信機を介して、前記車載通信機に送信する情報処理装置。
【請求項4】
サーバ、ユーザにより操作される通信端末、及び車両を含む、情報処理システムであって、
前記車両は、地図データを記憶する記憶媒体と、前記サーバと通信可能な車載通信機とを備え、
前記サーバは、前記通信端末及び前記車載通信機と通信を行う通信機と、コントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記通信機を介して、前記車載通信機から前記車両の記録媒体に記憶された地図データのうち、少なくとも一部の地図データの更新履歴を取得し、
前記地図データの更新履歴に基づいて前記地図データの更新の要否を判定し、
前記地図データの更新が必要であると判定した場合には、前記地図データの更新を許可するか否かを含む問い合わせ信号を、前記通信機を介して、前記通信端末に送信し、
前記通信機を介して、前記地図データの更新を許可する旨の許可信号を受信した場合には、前記地図データの更新を指示する指示データを含む更新指示信号を、前記通信機を介して、前記車載通信機に送信する情報処理システム。
【請求項5】
車両に搭載された車載通信機及びユーザにより操作される通信端末と通信を行う通信機と、コントローラと用いて、情報を処理する処理方法であって、
前記コントローラは、
前記通信機を介して、前記車載通信機から前記車両の記録媒体に記憶された地図データのうち、少なくとも一部の地図データの更新履歴を取得し、
前記地図データの更新履歴に基づいて前記地図データの更新の要否を判定し、
前記地図データの更新が必要であると判定した場合には、前記地図データの更新を許可するか否かを含む問い合わせ信号を、前記通信機を介して、前記通信端末に送信し、
前記通信機を介して、前記通信端末より前記地図データの更新を許可する旨の許可信号を受信した場合には、前記地図データの更新を指示する指示データを含む更新指示信号を、前記通信機を介して、前記車載通信機に送信する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーナビゲーション装置において、マスタ地図を保管した地図センタから配信される更新データにより、地図データをエリアおよび種別ごとに更新する地図データ更新方法が知られている(例えば特許文献1)。この地図データ更新方法は、実行中のアプリが利用している地図データの利用状況に基づき、近い将来利用されるエリアおよび種別の地図データを予測し、予測したエリアおよび種別の地図データについて、その更新データの配信を地図センタに求め、その求めに応じて地図センタから配信される更新データを取得し、取得した更新データを用いて、記憶手段に保持した地図データを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-238831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の地図データ更新方法は、実行中のアプリによる地図データの利用状況から、将来利用される地図データを予測しているため、例えば、ユーザの乗車前等、アプリが実行されていない時には地図データが更新されておらず、ユーザの乗車後、更新後の地図を利用することができないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザが車両に乗車しているか否かに関わらず、地図データの更新を可能とする、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の記録媒体に記憶された地図データのうち、少なくとも一部の地図データの更新履歴を取得し、地図データの更新履歴に基づいて地図データの更新の要否を判定し、地図データの更新が必要であると判定した場合には、地図データの更新を許可するか否かを含む問い合わせ信号を、通信端末に送信し、地図データの更新を許可する旨の許可信号を受信した場合には、地図データの更新を指示する指示データを含む更新指示信号を車載通信機に送信することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが車両に乗車しているか否かに関わらず、地図データを更新させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る情報処理システムの一実施の形態を示すブロック図である。
図2図1の情報処理システムにて実行される情報処理手順を示すフローチャートである。
図3図1の情報処理部にて作成される配車スケジュールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る情報処理システムの一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る情報処理システムを示すブロック図であり、本実施形態のシステムは、サーバ10と、通信端末20と、車両30と、電気通信回線網を構成するネットワーク40とを含む。本実施形態のシステムは、ユーザにより設定された走行計画から、走行計画に沿った走行に使用される地図データの更新の要否を判定し、更新が必要である場合には地図データの更新の許可をユーザに対して問い合わせをして、許可された場合には、地図データを更新する。
【0010】
図1に示すように、サーバ10は、データベース11、サーバ通信機12、及びコントローラ13を備えている。データベース11は、地図データを記憶する記憶媒体である。地図データには、ノードやリンクなど道路網を表すための情報や、POI(Point of Interest)等の施設情報等が含まれている。また地図データは、エリアごとに更新情報が含まれている。地図データで示される地図は、道路建設等により頻繁に変更されるため、地図データをエリアで区切った上で、例えば新たな道路が建設された場合には、建設された道路を含むエリアの地図データが更新され、建設された道路を含まないエリアの地図データは更新されない。そして、更新情報は、このような更新のタイミング(時間)又は更新の段階を表す数字等で表される。エリアは、地図データを更新する際の更新単位を表している。エリアは、メッシュなどで表される。地図データを区切った各エリアは、エリアコードで表され、エリア情報としてサーバ10で管理されている。なお、地図データの更新単位は必ずしもエリアである必要なく、例えばリンク単位及び又はノード単位でもよい。例えばノード単位で地図データを更新する際には、更新情報はノードを示す位置情報と対応して記憶されている。データベース11に記録されている地図データは最新の地図情報を表している。一方、後述するように車両30のメモリ33に記憶されている地図データは必ずしも最新の地図情報ではない。
【0011】
地図データは、車両の走行に必要な情報であればよく、カメラ等のセンサによって道路及び道路周辺の3次元の座標点データを収集した、3次元地図データ(いわゆる、ダイナミックマップやHDマップ)も含まれる。更に、道路の詳細情報として、道路のレーン数、レーン幅、傾斜、曲率や、ガードレールや側壁の高さ、分離帯、道路標識、信号機、横断歩道の位置などの道路の詳細情報も含まれる。道路及び道路周辺の通信インフラの基地局の位置が含まれてもよい。また、ユーザからの走行計画データを受信する車両が自動走行可能な車両である場合には、自動走行に必要なインフラ(路側通信システム)の有無なども地図データに含まれることになる。
【0012】
サーバ通信機12は、電気通信回線網(ネットワーク)40を介して、複数の車両4との間、及び複数の通信端末20との間で通信を行う。なお、ネットワーク40は、必ずしも、サーバ10、通信端末20、及び車両30の間で共通の通信網である必要はなく、サーバ10と通信端末20との間の通信網と、サーバ10と車両30との間の通信網は、通信形式の異なる通信網でもよい。通信網は有線または無線の通信網のいずれであってもよい。
【0013】
コントローラ13は、ハードウェア及びソフトウェアを備えており、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成されている。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0014】
コントローラ13は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、サーバ通信機12を用いた通信機能、データ更新の要否を判定する更新要否判定機能、地図データの更新を指示する更新指示機能を実現する。以下において、コントローラ13が備える各機能について説明する。なお、制御装置180は、以下に説明する機能の他に、例えばデータベース11に記録された地図データを管理及び更新する機能など、他の機能も有している。
【0015】
コントローラ13は、サーバ通信機12を用いた通信機能より、通信端末20と通信を行い、通信端末20から情報を取得し、又は、通信端末20に対して情報を出力する。通信端末20から取得する情報は、車両の走行計画に関する走行計画データなどである。走行計画データは、ユーザが車両30に乗車する前に、ユーザにより設定される走行計画に関する情報を含んでいる。走行計画は、車両30の目的地、車両30の出発地、車両30の走行ルート、ユーザが車両に乗車する乗車時間、ユーザに関する情報、車両の走行目的の少なくとも1つの要素を含んでいる。通信端末20には、走行計画を立案するためのプログラム(プログラムはソフトウェアアプリケーションに含まれている)が格納されている。ユーザは、通信端末20を操作して、プログラムを起動させた後、通信端末20に情報を入力する。入力される情報は、出発地、目的地、乗車時間、出発予定時刻、到着希望時刻等である。なお、例えばカーシェアリング等、不特定多数のユーザにより車両30を利用できる場合には、ユーザは、走行計画の要素として、ユーザの個人情報などを入力してもよい。通信端末20は、ユーザからの情報入力が終わると、入力された情報を含む走行計画データをサーバ10に送信する。これにより、コントローラ13は、サーバ通信機12を介して走行計画データを取得する。
【0016】
また、コントローラ13から通信端末20に出力される情報は、走行経路に関する情報、地図データの更新の要否を問い合わせるための情報などである。コントローラ13は、通信端末20から目的地などの情報を取得すると、車両30の現在位置から目的地までの走行経路を演算する。そして、コントローラ13は、演算された走行経路の情報を、通信端末20に出力する。また、コントローラ13は、後述する更新要否判定機能により、車両30のメモリ33に記録されている地図データの更新が必要であると判定した場合には、地図データの更新を行う前に、ユーザに対して地図データの更新を許可するか否かをユーザに問い合わせる。具体的には、コントローラ13は、地図データの更新を許可するか否かを問い合わせる問い合わせ信号を、通信端末20に出力する。
【0017】
コントローラ13は、サーバ通信機12を用いた通信機能より、車両30と通信を行い、車両30から情報を取得し、又は、車両30に対して情報を出力する。サーバ通信機12は、車両30に搭載された車載通信機32との間で信号を送受信する。車両30から取得する情報は車両30にメモリに記憶されている地図データ(以下、車両地図データとも称す)の更新履歴情報である。車両30は、サーバ10等の、地図データを管理するデータセンタと常時、通信を行っていないため、車両地図データの更新時期は、サーバ10のデータベース11に記憶されている地図データ(以下、サーバ地図データとも称す)の更新時期と異なる。コントローラ13は、車両地図データの更新履歴を把握するために、車両地図データの更新情報を取得する。
【0018】
また、コントローラ13から車載通信機32に出力される情報は、走行計画に基づき演算された走行経路の情報、及び、走行経路に沿った走行に使用される地図データである。走行計画に沿って走行に使用される地図データ(以下、使用地図データとも称す)は、車両30が走行する際に、走行のために必要となる地図データ、又は、ナビゲーションシステムによる経路演算のために使用される地図データである。車両30が、走行経路に沿って自動で走行を行う機能(自動運転機能)を有している場合には、使用地図データは、自動運転制御を実行する際に参照される地図データ(例えば、高精度地図データ)である。
【0019】
コントローラ13は、更新要否判定機能により、車両地図データのうち、走行計画に沿って走行に使用される地図データの更新の要否を判定する。コントローラ13は、車両30から使用地図データの更新情報を取得すると、使用地図データに対応するサーバ地図データを、データベース11の地図データから特定する。例えば、使用地図データが、出発地Aから目的地Bまでの走行経路を含む場合には、使用地図データに対応するサーバ地図データも、出発地Aから目的地Bまでの走行経路を含んでいる。コントローラ13は、特定されたサーバ地図データの更新履歴と、使用地図データの更新履歴と比較する。更新履歴の比較は、地図データのエリア単位で比較される。そして、使用地図データの更新履歴が古い場合には、コントローラ13は、地図データの更新が必要であると判定する。走行経路を含む地図データのうち、特定のエリアの更新履歴が古い場合には、コントローラ13は、古いエリアの地図データに対して、更新が必要であると判定する。
【0020】
コントローラ13は、更新指示機能により、車両30に対して、地図データの更新を指示するための指示データを含む更新指示信号を出力する。すなわち、コントローラ13は、更新要否判定機能より、地図データの更新が必要であると判定し、通信端末20から更新を許可する旨の信号を受信した場合には、更新指示信号を車載通信機32に出力する。更新指示信号は、地図データの更新を指示する指示データを含んでいる。本実施形態では、サーバ10は、地図データを管理する地図管理機能も有しているため、更新地図データ(最新版の地図データ)を更新指示信号に含めて、車載通信機32に出力する。更新地図データは、車両が走行計画に沿って走行する時に、ナビゲーションシステムで使用される車両地図データのうち、更新が必要な地図データを、書き換えるための地図データである。
【0021】
通信端末20は、携帯機器用OSを備えた端末装置であって、ユーザにより操作される。通信端末20は、各種プログラムを保存するメモリ、プログラムを実行するためのプロセッサ、無線通信機等を有している。例えば、メモリには、車両30と通信し、種々のデータを送受信するためのソフトウェアアプリケーションが記録されている。通信端末20は、ソフトウェアアプリケーション上でユーザにより操作された指示に基づいて、所定のデータを無線通信機からネットワークを介して車両30に対して送信する。
【0022】
車両30は、車両側コントローラ31、車載通信機32、メモリ33を有している車両側コントローラ31は、GPSを用いた位置測位システムを利用して、自車両の現在の位置を演算する。また、車両側コントローラ31は、ナビゲーションシステムを利用して、メモリ33に記憶されている地図データを参照し、車両の現在位置から所定の目的地までの走行経路を演算する。車載通信機32は、通信機器である。メモリ33は、地図データなどを記録している。
【0023】
次に、本実施形態の情報処理システムに含まれる、サーバ10、通信端末20及び車両30の各制御処理を説明する。図2は、本実施形態の情報処理システムにおける制御処理を示すフローチャートである。図2において、「通信端末」は通信端末20の制御処理を表している。なお、図2に示す制御フローは、ユーザが車両に乗車する前、すなわち、車両30が走行を開始する前に実行される。
【0024】
ステップS1にて、通信端末20は、ユーザの操作により入力された情報に基づき走行計画を決定する。決定した走行計画は、少なくともユーザにより指定された目的地の情報及びユーザを識別するためのユーザ識別情報を含んでいる。
【0025】
ステップS2にて、通信端末20は、決定した走行計画を含む走行計画データをサーバ10に送信する。
【0026】
ステップS3にて、サーバ10のコントローラ13は、取得した走行計画データに基づき走行経路を演算する。本実施形態では、サーバ10は、ユーザの所有する車両30の識別情報と、ユーザ識別情報と、車両30の駐車位置とを対応づけて、データベース11に記憶している。コントローラ13は、走行計画データからユーザの識別情報を特定する。コントローラ13は、データベース11を参照し、ユーザ識別情報に対応する車両、及び、当該車両の駐車位置を特定する。コントローラ13は、抽出された駐車位置を出発地として登録し、出発地から目的地までの走行経路を演算する。コントローラ13は、目的地まで最短距離で到着できる経路、有料道路を走行せずに目的地に到着できる経路など、複数の走行経路を演算する。
【0027】
なお、ステップS1にてユーザが出発地及び目的地を指定し、ステップS2にて指定された出発地および目的地を含む走行で計画データをサーバ10に送信し、ステップS3にてサーバ10は、指定された出発地および目的地に応じた走行経路を演算するようにしてもよい。また、ステップS1にて、通信端末20のプログラムを用いてユーザが指定する出発地および目的地に応じた走行経路を演算し、ステップS2において通信端末20が演算した走行経路をサーバ10に対して送信する構成としてもよい。この場合、ステップS3~S6は省略され、ステップS3の後に、ステップS7が行われる。
【0028】
ステップS4にて、コントローラ13は、演算された複数の走行経路の候補(経路候補)を通信端末20に送信する。
【0029】
ステップS5にて、通信端末20は、複数の走行経路の情報を取得し、ディスプレイに走行経路を表示する。ユーザは、表示された経路の中から走行経路を選択することで、通信端末20は走行経路を確定する。ステップS6にて、通信端末20は、確定された走行経路の情報をサーバ10に送信する。
【0030】
ステップS7にて、コントローラ13は、データベース11に記録されている地図データの中から、使用地図データを特定する。図3を参照して、使用地図データについて説明する。図3は、走行経路、地図データ、更新履歴の関係を説明ための概念図である。例えば、図3(а)に示すように、コントローラ13は、地図データで表される地図上で、走行経路Rを演算する。コントローラ13は、図3(b)に示すように、走行経路Rを含む地図データを使用地図データとして特定する。図3の例では、地図を区切ったエリアA~Lのうち、エリアC、F、I、J~Lのデータが使用地図データとなる。使用地図データのエリアは、走行経路に沿ったエリアである。すなわち、コントローラ13は、走行経路を含むエリア単位で、使用地図データを特定している。ステップS8にて、コントローラ13は、ステップS6にて通信端末20より送信された確定走行経路の情報と、ステップS7にて特定された使用地図データに関する更新情報のリクエストとを車両30に送信する。確定走行経路の情報とは、例えば、出発地、目的地及び走行ルートを含む情報である。また、使用地図データに関する更新情報のリクエストは、例えば、車両用の使用地図データの更新履歴を、車両30からサーバ10に送信するように車両30に対して要求するための情報を含んでいる。車両用の使用地図データは、メモリ33に記憶されている地図データのうち、車両30が走行経路に沿って走行する際に使用される地図データである。使用地図データに関する更新情報のリクエストには、使用地図データのエリアを示すエリア情報をも含まれている。更新履歴は、使用地図データのバージョン又は更新日時等で表される。エリア情報は、エリアナンバー又はエリアコード等により、地図上におけるエリアの位置を示すための情報である。
【0031】
ステップS9にて、車両側コントローラ31は、サーバ10から受信した、使用地図データに関する更新情報のリクエストに応じて、エリア情報で示されるエリアに対応して記憶されている更新履歴を特定する。具体的には、車両側コントローラ31は、サーバ10から受信した、使用地図データに含まれている地図データのエリアを示すエリア情報に応じて、車両地図データのうち使用地図データに含まれるエリアを特定する。車両側コントローラ31は、例えば、使用地図データのエリアナンバーと、車両地図データに含まれる各エリアのエリアナンバーとを比較し、エリアナンバーが一致するエリアを、更新候補の対象となるエリアとして特定する。車両側コントローラ31は、サーバ10から受信した、使用地図データに関する更新情報のリクエストに応じて、特定されたエリア(更新候補の対象となるエリア)に対応して記憶されている更新履歴(以下、車両更新履歴と称す)を特定する。車両側コントローラ31は、特定された車両更新履歴をサーバ10に送信する。なお、サーバ10に送信される車両更新履歴は、少なくとも使用地図データのエリアに対応する車両地図データに関する更新履歴であればよく、車両地図データ全体の更新履歴であってもよい。
【0032】
以上の例では、サーバ10から送信される使用地図データに関する情報のリクエストに応じて、車両側コントローラ31が、車両地図データのうち使用地図データのエリアを特定する構成としたが、これに限られない。例えば、サーバ10から送信される確定走行経路の情報に含まれる走行経路に基づいて、車両側コントローラ31が、車両地図データのうち、走行経路が含まれるエリアを特定する構成としてもよい。
【0033】
図3の例では、サーバ側で使用地図データを特定するために使用される走行経路と、車両側で使用地図データを特定するために使用される走行経路は、同じ経路のため、使用地図データで示されるエリアは同じエリアC、F、I、J~Lとなる。そして、車両30からサーバ10に送信される更新履歴は、エリアC、F、I、J~Lに対応して記憶されている履歴情報である。なお、本実施形態では、説明を容易にするために、車両地図データ上のエリアの大きさと、サーバ地図データのエリアの大きさを同じにしたが、エリアは、車両地図データとサーバ地図データとの間で異なっていてもよい。
【0034】
ステップS10にて、サーバ10のコントローラ13は、車両30から送信された車両更新履歴と、サーバ地図データから特定された使用地図データの更新履歴(以下、サーバ更新履歴とも称す)とを比較する。例えば、更新履歴の比較は対応するエリアごとに行われる。具体的には、車両更新履歴とサーバ更新履歴とを比較し、車両更新履歴がサーバ更新履歴よりも古いか否かを判断する。各々の更新履歴に含まれる更新日時に基づいて判断してもよく、あるいは、地図のバージョン番号により判断してもよい。例えば、車両更新履歴に含まれる車両地図データのバージョン番号がバージョン1.0であり、サーバ更新履歴に含まれるサーバ地図データのバージョン番号がバージョン2.0であった場合、車両更新履歴はサーバ更新履歴よりも古いと判断される。また、例えば、車両更新履歴に含まれる車両地図データの更新日時が2018年5月1日であり、サーバ更新履歴に含まれるサーバ地図データの更新日時が2018年8月1日であった場合、車両更新履歴はサーバ更新履歴よりも古いと判断される。
【0035】
ステップS11にて、コントローラ13は、ステップS10の制御処理による比較結果に基づいて、車両用の使用地図データの更新が必要か否かを判定する。車両用の使用地図データは、走行経路に沿って走行する際に、車両側で使用するデータである。言い換えると、メモリ33に記憶されている地図データのうち、走行経路に沿って走行するために使用される地図データである。ステップS10において対応エリアごとに更新履歴の比較を行い、車両更新履歴にサーバ更新履歴よりも古いエリアが存在すると判断された場合には、コントローラ13は、車両用の使用地図データには、最新版ではないエリアが存在するため、使用地図データの更新が必要であると判定する。一方、車両地図データの使用地図データ内の全てのエリアにおいて車両更新履歴はサーバ更新履歴よりも古くないとステップS10において判断された場合、コントローラ13は更新不要であると判定する。なお、コントローラ13は、車両側の使用地図データ内のエリアのうち、所定数以上のエリアが最新版ではない場合に、更新が必要であると判定してもよい。更新不要と判定された場合には、システムの制御フローは終了する。
【0036】
一方で、更新が必要と判定された場合には、ステップS12にて、コントローラ13は、ユーザに対して車両地図データの更新を許可するか否かを問い合わせる旨の問い合わせ信号を、通信端末20に送信する。また、コントローラ13は、問い合わせ信号を送信する際に、サーバ10と車両30と間のネットワーク状況を示す通信環境情報を送信する。
【0037】
車両側で地図データを更新するためには、サーバ10から車両30に対して、更新地図データを送信するが、通信環境が良好でない場合には、データ送信に時間を要する、あるいは、正確な地図データを送信できない可能性がある。また、ネットワーク環境が、課金を要する環境である場合には、大容量の地図データを送信しようとすると、ユーザに対して費用負担が発生する可能性がある。このような事情を鑑みて、本実施形態のシステムは、車両側で地図データの更新を開始する前に、ユーザに対して、地図データの更新を許可するか否かを問い合わせる。また、更新を許可するか否かの判断材料の1つとして、車両30のネットワーク状況を示す通信環境情報をユーザに提供する。
【0038】
通信環境情報は、例えば、車両30がサーバ10との通信に使用している通信方式または車両30がサーバ10との通信に利用可能な通信方式を示す。例えば、無線LAN(Wi-Fi)や3G、4G、5Gなどの携帯電話通信網の通信規格があげられる。例えば、車両30は、車載通信機32においてサーバ10との通信に使用している通信方式が4Gであることを特定し、さらに、ローカルエリアネットワークである無線LANネットワークが利用可能であることを検知している場合には、現在の通信:「4G」、利用可能な通信「無線LAN(ローカルエリアネットワーク)」という通信方式に関する情報をサーバ10に対して送信する。コントローラ13は、通信端末20に問い合わせ信号を送信する前に、車両30から上述の通信方式に関する情報を取得し、通信方式に関する情報に基づいて生成した車両のネットワーク状況を示す通信環境情報を、問い合わせ信号とともに通信端末20へ送信する。
【0039】
問い合せ信号は、例えば、『指定された走行ルートの走行に使用される車両地図データが最新ではありません。更新してもよろしいですか?「はい」、または、「いいえ」』というメッセージ信号であり、合わせて送信される通信環境情報は、例えば、『車両は現在4Gで通信をしています。他の通信方式として無線LAN(ローカルエリアネットワーク)が利用可能です。車両の通信方式を無線LANに切り替えますか?「はい」、または、「いいえ」』というメッセージ情報である。
【0040】
なお、コントローラ13は、ステップS8~ステップS10の制御処理で通信を行う際に、通信速度を測定することで、通信環境を計測してもよい。また、コントローラ13は、車両の現在位置の情報を車両30から取得し、車両の現在位置に基づいて、通信環境を特定してもよい。そしてコントローラ13は、特定された通信環境を、上記の通信環境情報として通信端末20へ送信してもよい。なお、ネットワークは、必ずしも図1に示すネットワーク40である必要なく、例えば、ユーザの自宅と車両との間で形成されているローカルネットワーク(数m~数10mまでの限られたエリア内で通信可能なネットワーク)でもよい。
【0041】
ステップS13にて、通信端末20は、問い合わせ信号及び車両30のネットワーク状況を示す通信環境情報を受信し、地図データの更新を許可するか否かを、ユーザに決定させるための表示と通信端末通信環境情報を表示する。
【0042】
例えば、通信端末20は問い合わせ信号及び通信環境情報に含まれるメッセージ情報に基づいて、『指定された走行ルートの走行に使用される車両地図データが最新ではありません。更新してもよろしいですか?A「はい」、または、B「いいえ」』というメッセージと、『車両は現在4Gで通信をしています。他の通信方式として無線LAN(ローカルエリアネットワーク)が利用可能です。車両の通信方式を無線LANに切り替えたうえで車両地図データを更新しますか?C「はい」というメッセージを同一画面上に表示させる。ここで、A乃至Cに示したメッセージは通信端末20の操作により、ユーザがいずれか1つを選択して決定できるようになっている。
【0043】
ユーザは、ディスプレイの表示画面を確認し、更新を許可するか否か選択する。例えば、上述のメッセージにおいて、ユーザがA「はい」を選択した場合、ステップS14にて、通信端末20は、ユーザにより更新が許可されたことを示す更新許可信号を、サーバ10に送信する。一方、ユーザがB「いいえ」を選択した場合、更新が許可されなかったと判断して、システムの制御フローは終了する。またユーザがC「はい」を選択した場合、ステップS14にて、通信端末20は、ユーザにより更新が許可されたことを示す更新許可信号と、通信方式を所定の方式(ここでは、無線LAN(ローカルエリアネットワーク))に切り替える旨の通信方式切替信号を、サーバ10に送信する。なお、通信環境が良好な場合には、地図データの更新を許可するか否かを選択させる際に、高精度地図の地図データを更新するか否かを選択可能にしてもよい。
【0044】
ステップS15にて、サーバ10のコントローラ13は、車両30に対して、地図データの更新を指示するための指示データを含む更新指示信号と、通信方式を所定の方式に切り替えることを指示する通信方式切替指示信号とを出力する。また、コントローラ13は、更新地図データを更新指示信号に含めて、車載通信機32に出力する。なお、更新地図データは、使用地図データの各エリアのうち、更新履歴が古く更新対象となるエリアのデータに限らず、更新対象のエリアの周囲に位置するエリアの地図データを含んでいてもよい。これにより、車両側では、走行経路を含むエリアに加えて、そのエリア周辺エリアの地図データも更新できるため、例えば、渋滞エリアを迂回する等、走行経路を変更した場合に、車両走行中に地図データを更新しなくても、最新の地図データを利用できる。
【0045】
ステップS16にて、車両側コントローラ31は、車載通信機32を用いて、更新指示信号を受信し、車両側の使用地図データを更新地図データに書き換えることで、地図データを更新する。また、通信方式切替指示信号を受信した場合、信号に含まれる所定の通信方式に従って車載通信機32の通信方式を切り替える。そして、システムの制御フローは終了する。
【0046】
以上のとおり本実施形態によれば、サーバ10のコントローラ13は、サーバ通信機12を介して、通信端末20から車両30の走行計画に関する走行計画データを取得し、
車両30のメモリ31に記憶されたデータのうち、走行計画に沿った走行に使用される地図データの更新の要否を判定する。地図データの更新が必要であると判定した場合には、コントローラ13は、地図データの更新を許可するか否かをユーザに問い合わせる旨を示す問い合わせ信号を、サーバ通信機12を介して、通信端末20に送信する。コントローラ13は、サーバ通信機12を介して、地図データの更新を許可する旨の許可信号を受信した場合には、地図データの更新を指示する指示データを含む更新指示信号を、サーバ通信機12を介して、車載通信機32に送信する。これにより、ユーザが車両に乗車しているか否かに関わらず、車両30のメモリ33に記憶さえた地図データの更新を更新させることができる。また、ユーザが車両に乗車する前に、地図データを更新できるため、ユーザは乗車後、すぐに最新地図を利用できる。また、車両30は、地図データの更新と共に、ユーザが指定した走行経路をナビゲーションシステムで設定できるため、ユーザは、乗車後、ナビゲーションシステムの操作が不要になる。また、車両30の乗車後、地図データを最新版に更新するための時間が不要になるため、地図データの更新中によってナビゲーションシステムの利用が中断するような事態を回避できる。
【0047】
また本実施形態では、コントローラ13は、地図データの更新履歴に基づき、更新の要否を判定する。これにより、地図データの更新履歴に関する情報が最新か否か判定できる。
【0048】
また本実施形態では、コントローラ13は、車両30が所定の通信ネットワークに接続されているか否かを示す信号を、サーバ通信機12を介して、通信端末20に送信する。これにより、通信端末20を操作するユーザは、地図データを更新ときに使用される通信環境を把握できる。
【0049】
また本実施形態では、コントローラ13は、メモリ33に記憶されたデータのうち、出発地から目的地までの走行経路に沿った走行に使用される地図データの更新履歴に基づき、更新の要否を判定する。これにより、更新対象となるデータのデータ量を抑制できる。
【符号の説明】
【0050】
10 サーバ
11 データベース
12 サーバ通信機
13 コントローラ
20 通信端末
30 車両
31 車両側コントローラ
32 車載通信機
33 メモリ
40 ネットワーク
図1
図2
図3