(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】根菜類収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 23/06 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
A01D23/06
(21)【出願番号】P 2020182526
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-87287(JP,A)
【文献】特開2011-30470(JP,A)
【文献】特開2015-27271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 - 33/14
A01B 63/00 - 63/12
A01D 90/00 - 90/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を引抜収穫する引抜搬送装置(24)を設け、作物を搬送する搬送装置(87)を設け、前記搬送装置(87)に収容容器(97)を支持する収容支持部材(950)を設けた根菜類収穫機において、
該収容支持部材(950)は、前記収容容器(97)を吊下支持する吊下フレーム(SF,SF)を備え、該吊下フレーム(SF,SF)は、少なくとも一点の交点(I)を有し、
前記収容支持部材(950)は、前記吊下フレーム(SF,SF)と、前記搬送装置(87)の搬送終端側に回動可能に設ける一対の回動フレーム(MF,MF)と、前記収容容器(97)を開口状態で支持する一対のハンガー(H,H)で構成し、
前記吊下フレーム(SF,SF)は、前記回動フレーム(MF,MF)に回動自在に設ける支持回動アーム(SA,SA)と、前記ハンガー(H,H)を支持する一対の吊下アーム(HA,HA)で構成し、
該吊下アーム(HA,HA)は交差させて配置し、前記交点(I)が生じる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
作物を引抜収穫する引抜搬送装置(24)を設け、作物を搬送する搬送装置(87)を設け、前記搬送装置(87)に収容容器(97)を支持する収容支持部材(950)を設けた根菜類収穫機において、
該収容支持部材(950)は、前記収容容器(97)を吊下支持する吊下フレーム(SF,SF)を備え、該吊下フレーム(SF,SF)は、少なくとも一点の交点(I)を有し、
前記収容支持部材(950)は、前記吊下フレーム(SF,SF)と、前記搬送装置(87)の搬送終端側に回動可能に設ける一対の回動フレーム(MF,MF)と、前記収容容器(97)を開口状態で支持する一対のハンガー(H,H)で構成し、
前記吊下フレーム(SF,SF)は、前記回動フレーム(MF,MF)に回動自在に設ける支持回動アーム(SA,SA)と、前記ハンガー(H,H)を支持する一対の吊下アーム(HA,HA)で構成し、
該吊下アーム(HA,HA)は少なくとも一か所を接触させて配置し、前記交点(I)が生じる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場から引き抜き収穫した作物を収容容器に収容し、この収容容器を圃場に降ろす根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の根菜類収穫機には、収穫した作物を収容する収容袋と、収容袋を吊り下げる吊下ハンガーと、収容袋を載置支持する載置台を備えている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された根菜類収穫機では、載置台を上下方向に回動させることで、収容袋を積み下ろす構造であるので、重量物である収容袋の支持をしながら作業を行わなければならず、一人で作業を行うことが難しい問題がある。
【0005】
また、収容袋を機体の近傍、例えば機体の左右外側線に重複した側方位置に降ろすことしかできないので、積み下ろし作業中や積み下ろした後に、機体と収容袋が接触し、収容した収穫物を傷つける問題がある。
【0006】
また、作物を収容するほど収容袋の重量が増加するが、このとき吊下ハンガーにかかる荷重に偏りがあると、吊下ハンガーに捻れが生じて破損する問題がある。
【0007】
本発明は、従来の課題を考慮して、収容容器を機体の収穫作業に干渉しない位置に容易に降ろすことができると共に、収容容器の荷重を受けても破損しにくい収容支持部材を備える根菜類収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、
作物を引抜収穫する引抜搬送装置(24)を設け、作物を搬送する搬送装置(87)を設け、前記搬送装置(87)に収容容器(97)を支持する収容支持部材(950)を設けた根菜類収穫機において、
該収容支持部材(950)は、前記収容容器(97)を吊下支持する吊下フレーム(SF,SF)を備え、該吊下フレーム(SF,SF)は、少なくとも一点の交点(I)を有し、
前記収容支持部材(950)は、前記吊下フレーム(SF,SF)と、前記搬送装置(87)の搬送終端側に回動可能に設ける一対の回動フレーム(MF,MF)と、前記収容容器(97)を開口状態で支持する一対のハンガー(H,H)で構成し、
前記吊下フレーム(SF,SF)は、前記回動フレーム(MF,MF)に回動自在に設ける支持回動アーム(SA,SA)と、前記ハンガー(H,H)を支持する一対の吊下アーム(HA,HA)で構成し、
該吊下アーム(HA,HA)は交差させて配置し、前記交点(I)が生じる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0009】
請求項2記載の発明は、
作物を引抜収穫する引抜搬送装置(24)を設け、作物を搬送する搬送装置(87)を設け、前記搬送装置(87)に収容容器(97)を支持する収容支持部材(950)を設けた根菜類収穫機において、
該収容支持部材(950)は、前記収容容器(97)を吊下支持する吊下フレーム(SF,SF)を備え、該吊下フレーム(SF,SF)は、少なくとも一点の交点(I)を有し、
前記収容支持部材(950)は、前記吊下フレーム(SF,SF)と、前記搬送装置(87)の搬送終端側に回動可能に設ける一対の回動フレーム(MF,MF)と、前記収容容器(97)を開口状態で支持する一対のハンガー(H,H)で構成し、
前記吊下フレーム(SF,SF)は、前記回動フレーム(MF,MF)に回動自在に設ける支持回動アーム(SA,SA)と、前記ハンガー(H,H)を支持する一対の吊下アーム(HA,HA)で構成し、
該吊下アーム(HA,HA)は少なくとも一か所を接触させて配置し、前記交点(I)が生じる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、吊下フレーム(SF,SF)が少なくとも一点の交点(I)を有する配置構成であるので、収容容器(97)の荷重に偏りが生じて捻れる力がかかっても吊下フレーム(SF,SF)の構成部材同士が支え合い、捻れによる破損を防止する。
【0015】
また、一対の吊下アーム(HA,HA)を交差させて交点(I)が生じる構成としたことにより、ハンガー(H,H)が吊り下げる収容容器(97)の荷重に偏りが生じた際、一方の吊下アーム(HA,HA)が他方の吊下アーム(HA,HA)に押し当てられることで荷重に抵抗できるので、収容支持部材(950)の破損が防止される。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、一対の吊下アーム(HA,HA)を少なくとも一か所を接触させて交点(I)が生じる構成としたことにより、ハンガー(H,H)が吊り下げる収容容器(97)の荷重に偏りが生じた際、一対の吊下アーム(HA,HA)同士が押し付け合うことで荷重に抵抗できるので、収容支持部材(950)の破損が防止される。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図14】(a)肩揃え装置の搬送体の平面図、(b)肩揃え装置の搬送体の側面図、(c)肩揃え装置の搬送体の正面図
【
図16】選別搬送コンベアの搬送方向における正面図
【
図17】選別搬送コンベアの搬送方向における要部側面図
【
図20】石分けプレートを示す選別搬送コンベアの要部拡大図
【
図21】石分けプレートを示す選別搬送コンベアの要部側面図
【
図22】保持搬送装置を設けた根菜類収穫機の側面図
【
図23】保持搬送装置を設けた根菜類収穫機の要部背面図
【
図25】収容支持部材の機構と収容容器に収穫物が収用される作業位置を示す背面図その1
【
図26】収容支持部材の機構と収容容器に収穫物が収用される作業位置を示す背面図その2
【
図27】収容支持部材の機構と収容容器に収穫物が収用される作業位置を示す背面図その3
【
図28】収容支持部材の機構と収容容器が積下ろされる積み下ろし作業位置を示す背面図その1
【
図29】収容支持部材の機構と収容容器が積下ろされる積み下ろし作業位置を示す背面図その2
【
図30】収容支持部材の機構と収容容器が積下ろされる積み下ろし作業位置を示す背面図その3
【
図31】収容支持部材が機体内側に収納させる収納姿勢を示す背面図
【
図35】(a)一対の吊下アームの形状を示す分解図、(b)一対の吊下げアームの組付け状態を示す模式図
【
図36】(a)別構成例の一対の吊下アームの形状を示す分解図、(b)別構成例の一対の吊下げアームの組付け状態を示す模式図
【
図37】(a)別構成例の一対の吊下アームの形状を示す分解図、(b)別構成例の一対の吊下げアームの組付け状態を示す模式図
【
図39】(a)別構成例の一対の吊下アームの形状を示す分解図、(b)別構成例の一対の吊下げアームの組付け状態を示す模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
図1~
図21に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参の収容部材を配置する収容部Gと、収容部材の底部を載置すると共に圃場に排出する載置排出部から構成される。
【0024】
なお、本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0025】
まず、走行部Aの構成について説明する。
【0026】
図1、
図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0027】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
【0028】
図1、
図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0029】
また、前記操縦部フレーム10の機体左右他側(機体右側)にエンジン7を冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバー10aを着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0030】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0031】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
【0032】
図1、
図2で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を付勢し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0033】
なお、前記伝動ケース22は、引抜搬送装置24だけでなく、後述する位置揃え装置54L,54R、排葉搬送装置65及び残葉搬送装置70にも駆動力を供給するものである。
【0034】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを設ける。
【0035】
そして、前記引抜搬送装置24で搬送中の人参に接触して付着した泥土を除去する左右の泥落し体34a,34aを振動ソイラ34,34の土中に進入しない部分に設けると共に、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を設けて、収穫部Cを構成する。
【0036】
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0037】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0038】
そして、振動ソイラ34,34の土中に進入しない部分に左右の泥落し体34a,34aを設けたことにより、搬送中の人参に付着した泥土を除去することができるので、機体の掃除にかかる時間が短縮されてメンテナンス性が向上すると共に、作業者や選別作業者が人参の形状や傷等の異常の有無を目視することができるので、人参の選別精度が向上する。
【0039】
さらに、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0040】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0041】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
【0042】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
【0043】
図1及び
図11~
図15で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0044】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0045】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
【0046】
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を付勢して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の付勢バネ50,50を取り付ける。該付勢バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる付勢力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0047】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は付勢バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0048】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0049】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0050】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0051】
なお、
図14(a)~(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0052】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0053】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0054】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
【0055】
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0056】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0057】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0058】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記付勢バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0059】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0060】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
【0061】
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0062】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端側の下方に構成される。
【0063】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0064】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0065】
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0066】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0067】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を付勢する左右の付勢バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0068】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで付勢バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0069】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、付勢バネ50,50に付勢された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0070】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0071】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0072】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0073】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
【0074】
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0075】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0076】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0077】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0078】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0079】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0080】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0081】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0082】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
【0083】
図1~
図3で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該残葉処理フレーム72,72の機体左右一側の前後間に第1残葉処理駆動ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72,72の機体左右他側の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理駆動ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理駆動ローラ73aと第2残葉処理駆動ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。さらに、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0084】
なお、該残葉処理コンベア76は、機体左右一側から左右他側に向けて2~5度程度傾斜している。
【0085】
これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜による移動により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2~5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア76は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動することがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が向上する。
【0086】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0087】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0088】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
【0089】
図3~
図10で示すように、前記エンジン7の駆動力を伝動する伝動シャフト120を、前後の残葉処理フレーム72,72の下部側を貫通させて機体後側に突出させ、該伝動シャフト120の後端部に出力スプロケット121を軸着する。また、機体後側の残葉処理フレーム72の該出力スプロケット121よりも上方位置にアイドルスプロケット122を回転自在に装着し、該アイドルスプロケット122よりも機体左右一側(機体右側)に後述する回収コンベア160に駆動力を伝動する回収入力軸123aを回転自在に装着し、該回収入力軸123aに入力スプロケット123を軸着する。
【0090】
そして、該入力スプロケット123及び出力スプロケット121よりも機体左右他側(機体左側)に従動スプロケット124を回転自在に装着し、該出力スプロケット121とアイドルスプロケット122と入力スプロケット123と従動スプロケット124に亘って伝動チェーン125を無端状に巻回する。該従動スプロケット124は、前記第2残葉処理駆動ローラ73bに回転駆動力を供給する残葉処理出力軸124aに軸着される。
【0091】
なお、前記アイドルスプロケット122は、出力スプロケット121と入力スプロケット123との間で伝動チェーン125を機体上下方向から機体左右方向に屈曲させると共に、伝動チェーン125が弛まないように張圧するために設けるものである。
【0092】
さらに、前記後側の残葉処理フレーム72と従動スプロケット124の間に、第2入力スプロケット126を従動スプロケット124の回転軸に軸着して配置すると共に、該第2入力スプロケット126よりも機体左右一側で且つ下側にカウンタスプロケット127を回転自在に配置する。そして、該カウンタスプロケット127よりも機体左右一側で且つ上側に、第2従動スプロケット128を回転自在に装着し、該第2入力スプロケット126とカウンタスプロケット127と第2従動スプロケット128に亘って第2伝動チェーン129を無端状に巻回する。該カウンタスプロケット127は、後述する選別搬送コンベア87に駆動力を供給する選別搬送入力軸127aに軸着する。
【0093】
また、前記第2従動スプロケット128の回転軸(図示省略)に入力スパーギア130aを設け、該入力スパーギア130aの上側に出力スパーギア130bを噛み合わせて配置する。該入力スパーギア130aと出力スパーギア130bは、伝動ギアケース130内に配置する。そして、前記出力スパーギア130bの回転軸(図示省略)の機体前側端部に出力ベベルギア131aを軸着し、該出力ベベルギア131aを、前記残葉処理ローラ75の回転軸(図示省略)の後端部に軸着した入力ベベルギア131bに噛み合わせる構成とする。
【0094】
上記構成により、エンジン7から供給される駆動力を回収コンベア160、残葉処理コンベア76と残葉処理ローラ75、選別搬送コンベア87に供給する伝動経路をコンパクトに構成することができるので、機体の前後幅や左右幅が抑えられ、機体の旋回性が向上すると共に、収納に必要な面積が抑えられる。
【0095】
また、スプロケットや伝動チェーン等の部品点数を削減することができるので、コストダウンが図られる。
【0096】
そして、
図3~
図5で示すとおり、機体前側の前記残葉処理フレーム72よりも機体前側で且つ前記位置揃え装置54L,54Rの下方に、前後の第1搬送フレーム77,77を前後方向に所定間隔を開けて配置し、該第1搬送フレーム77,77の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム78,78を前後方向に所定間隔を空けて且つ搬送終端部側が上下回動自在に配置する。該前後の第1搬送フレーム77,77は、正面(背面)視でT字型であり、左右他側には、左右中央部から左右他側に向かうほど上方に傾斜する上方傾斜部を有する形状とする。
【0097】
そして、前記第1搬送フレーム77,77の機体左右一側端部で且つ残葉処理コンベア76の搬送面、即ち残葉処理ベルト74の上面よりも下方に回収従動ローラ132bを回転自在に装着し、該回収従動ローラ132bよりも機体左右他側で且つ回収入力軸123aに軸着可能な位置、具体的には残葉処理ローラ75の機体左右一側位置に、該回収入力軸123aの回転により駆動する回収駆動ローラ132aを配置する。さらに、該回収従動ローラ132bと回収駆動ローラ132aに亘って回収ベルト133を無端状に巻回して、回収コンベアを構成する。
【0098】
該回収コンベア160は、引抜搬送装置24の搬送経路及び位置揃え装置54L,54Rの下方に配置され、茎葉切断装置61よりも搬送方向上手側で茎葉部が切れて落下する人参を受けて、機体左右一側から他側に搬送し、選別搬送コンベア87に引き継がせるものである。このため、回収駆動ローラ133を回収従動ローラ132よりも下方に配置し、回収コンベア160を機体左右一側から左右他側に向かう下方傾斜姿勢に構成してもよい。
【0099】
上記構成により、茎葉部が切れて搬送途中に人参が落下することがあっても、人参は回収コンベア160を経由して選別搬送コンベア87に移動し、元の移動経路に戻ることができるので、搬送経路外に落ちた人参を拾い集める作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0100】
また、回収従動ローラ132を残葉処理コンベア76の搬送面よりも下方に配置したことにより、大量の人参が一斉に供給されたときなど、残葉処理ローラ75に当たらずに機体前側に人参が押し出される条件となっても、押し出されてきた人参は停滞することなく回収コンベア160に移動することができるので、人参の収穫作業が停滞することが防止され、作業能率が向上する。
【0101】
さらに、回収コンベア160を機体左右一側から左右他側に向かう下方傾斜姿勢とすると、回収コンベア160に受け止められた人参が自重で転がって選別搬送コンベア87に向かって移動することができるので、回収コンベア160上に人参が留まり、選別搬送コンベア87側に搬送される途中で上方から落下してくる人参と接触することが防止されるため、人参が傷つくことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0102】
そして、前記回収駆動ローラ133よりも機体左右他側で且つ下側に、選別搬送入力軸127aに軸着された前後一対の選別駆動スプロケット134,134を配置し、前記前後の第1搬送フレーム77,77の上方傾斜部の機体左右他側端部の丈夫に前後の第2搬送フレーム78,78の回動支点となる回動軸79に軸着した選別アイドルスプロケット135,135を配置する。また、前記前後の第1搬送フレーム72,72のうち、選別駆動スプロケット134,134の直下、あるいは選別駆動スプロケット134,134よりも機体左右一側寄りの位置に、前後の選別カウンタスプロケット136,136を回転軸136a,136aを介して装着する。なお、該回転軸136a,136aは互いに連結せず、前記選別カウンタスプロケット136,136の間には空間部が形成される構成とする。
【0103】
さらに、前記前後の第2搬送フレーム78,78の機体左右他側端部に選別従動スプロケット136b,136bを回転自在に装着し、該選別従動スプロケット136b,136bと選別駆動スプロケット134,134と選別アイドルスプロケット135,135と選別カウンタスプロケット136,136に亘って、選別伝動チェーン137,137を無端状に巻回する。
【0104】
なお、選別カウンタスプロケット136を選別駆動スプロケット134の直下に配置したときは、選別カウンタスプロケット136から選別駆動スプロケット134に向かう選別伝動チェーン137が地面に対して垂直方向になるものとする。また、選別カウンタスプロケット136を選別駆動スプロケット134よりも機体左右一側寄りに配置したときは、選別カウンタスプロケット136から選別駆動スプロケット134に向かう選別伝動チェーン137が機体左右一側から左右他側に向かって上方傾斜する姿勢になるものとする。
【0105】
そして、前記前後の第1搬送フレーム77,77に、無端状に巻回した前記選別伝動チェーン137,137に下方及び上方から接触し、前後の第2搬送フレーム78,78を上下回動させる際に選別伝動チェーン137,137を張圧して弛みや過負荷を防止するテンションスプロケット138…を複数個、回転自在に配置する。
【0106】
また、前記前後の選別伝動チェーン137,137の前後間に、左右方向に等間隔で人参を載置して搬送する搬送バー139…を複数設け、該搬送バー139…複数個ごとに、選別搬送コンベア87の上方傾斜部などで人参が転げ落ちることを防止する受け桟140…を、等間隔で配置する。さらに、前記第1搬送フレーム77,77及び第2搬送フレーム78,78に、前記選別伝動チェーン137,137の上方を覆うチェーンカバー141,141を設けることにより、選別搬送コンベア87が構成される。
【0107】
上記構成のとおり、回収駆動ローラ133よりも機体左右他側で且つ下側に選別駆動スプロケット134,134を配置したことにより、回収コンベア160の搬送終端部よりも下方に選別搬送コンベア87の搬送始端部が位置する構成とすることができるので、搬送される人参が引き継ぎの際に停滞することが防止されて作業能率が向上すると共に、停滞した人参に後続の人参が接触し、人参が傷付いて商品価値が低下することが防止される。
【0108】
また、選別搬送コンベア87は残葉処理コンベア76よりも下方に位置するため、残葉処理コンベア76から選別搬送コンベア87への人参の引き継ぎの停滞も防止されるので、作業能率がいっそう向上すると共に、人参の商品価値の低下が防止される。
【0109】
そして、選別伝動チェーン137を選別駆動スプロケット134側に曲げる選別カウンタスプロケット136を、選別駆動スプロケット134の直下に配置したことにより、選別カウンタスプロケット136から選別駆動スプロケット134に向かう選別伝動チェーン137の姿勢が機体フレーム1に対して略垂直姿勢となるため、搬送バー139同士の左右間隔L1から石が入り込み、選別伝動チェーン137に搬送されて選別駆動スプロケット134側まで移動することがあっても、上記の選別伝動チェーン137の垂直姿勢部分が石の上方への移動を妨げるので、選別駆動スプロケット134と選別伝動チェーン137との間に石が噛み込まれて選別駆動スプロケット134の動作が停止することが防止されることにより選別搬送コンベア87の急な停止が防止され、選別精度及び作業能率が向上する。
【0110】
加えて、選別駆動スプロケット134と選別伝動チェーン137との間に石が噛み込まれることが防止されるので、選別搬送コンベア87及びその構成部材の破損が防止される。
【0111】
あるいは、選別駆動スプロケット134よりも機体左右一側寄りに選別カウンタスプロケット136を配置すると、選別カウンタスプロケット136から選別駆動スプロケット134に向かう選別伝動チェーン137の姿勢が機体左右一側から機体左右他側に向かう上方傾斜姿勢となるため、選別伝動チェーン137の巻回域内にある石はこの上方傾斜部に沿って移動することがあっても、途中で下方に落下するので、いっそう石が選別駆動スプロケット134と選別伝動チェーン137との間に噛み込まれることが防止される。
【0112】
さらに、前後の選別カウンタスプロケット136,136をそれぞれ回転軸136aに軸着し、この前後の回転軸136a,136aを連結せず、前後間に空間部が生じる構成としたことにより、この前後空間部に石が移動した際に引っかかる部材がなくなるため、石抜けがよく、選別搬送コンベア87の破損が防止される。
【0113】
そして、選別伝動チェーン137に接触するアイドルスプロケット138…を、第1搬送フレーム77,77の上方傾斜部の下側位置に配置したことにより、人参を搬送しない面、即ち非作用側を張圧して選別伝動チェーン137,137の回転が止まったり遅くなったりする弛み、及び選別伝動チェーン137,137が破損し得る過負荷の発生を防止することができるので、収容容器97に収容された人参の量に合わせて選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下回動させても、人参の搬送速度は変わらないため、作業能率が向上すると共に、人参の選別精度が向上する。
【0114】
また、搬送バー139…を左右方向に左右間隔L1を空けて配置したことにより、人参と共に運ばれてきた泥土や、残葉処理ローラ75で取り除かれた残葉をこの左右間隔L1から下方に落下させることができるので、収容容器97に入る泥土や残葉が減少し、収容容器97の容量一杯に人参を収容することができ、収容容器97を交換する頻度が減ることにより、作業能率が向上する。
【0115】
さらに、搬送バー139…よりも広い間隔で受け桟140…を設けたことにより、人参が選別搬送コンベア87上を転げても、受け桟140が人参の移動を止めるので、同じ人参が何回も搬送始端部に戻ることが防止されるので作業能率が向上すると共に、転げ落ちる際に後続の人参と接触して傷つくことが防止されるので、人参の商品価値が維持される。
【0116】
なお、前記搬送バー139は、硬質ゴム等の強度の高い弾性体、あるいは棒状の金属の外周部に軟質ゴム等の柔らかい弾性体を巻き付けて構成すると、回収コンベア160や残葉処理コンベア76から人参を引き継ぐ際、落下の衝撃で人参が傷つくことを防止することができるので、人参の商品価値が向上する。
【0117】
また、該受け桟140は、リベットまたはボルト(図示省略)を搬送面の反対側、即ち下側から装着して選別伝動チェーン137に取り付ける構成とすると、選別伝動チェーン137の巻回域内にリベットやボルトが突出しないので、他の部材との干渉が防止されるため、選別搬送コンベア87の破損が防止される。
【0118】
なお、搬送バー139同士の左右間隔L1よりも、選別カウンタスプロケット136と選別駆動スプロケット134の上下間隔L2を広く構成する。また、選別駆動スプロケット134の外周縁部から中心部の搬送入力軸127aまでの距離L3も、搬送バー139同士の左右間隔L1よりも広く構成する。
【0119】
上記の構成により、搬送バー139同士の左右間隔L1から石等が入り込み、選別搬送コンベア87の下側から機体下方に落下せず、選別伝動チェーン137によって選別駆動スプロケット134側に移動することがあっても、選別カウンタスプロケット136と選別駆動スプロケット134の上下間隔L2を搬送バー139同士の間隔L1よりも広く構成しているので、石等が選別カウンタスプロケット136と選別駆動スプロケット134の間に挟まることを防止できるので、選別搬送コンベア87が突然停止することが防止され、作業能率の低下や選別搬送コンベア87の破損が防止される。
【0120】
特に、選別カウンタスプロケット136から選別駆動スプロケット134に向かう選別伝動チェーン137は、機体フレーム1に対して略垂直方向、または機体左右一側から左右他側に向かう上方傾斜姿勢であるので、石等は選別伝動チェーン137に搬送されても上下間隔L2を上方に移動しにくいため、いっそう選別カウンタスプロケット136と選別駆動スプロケット134の間に石等が挟まることが防止される。
【0121】
さらに、もし選別伝動チェーン137によって石等が選別駆動スプロケット134まで上方搬送されることがあっても、選別駆動スプロケット134の外周縁部と、略中央部に位置する搬送入力軸127aまでの距離L3が左右間隔L1よりも大きいため、選別駆動スプロケット134と搬送入力軸127aの間に石等が挟まって選別駆動スプロケット134の回転が停止することを防止できるので、選別搬送コンベア87が突然停止することが防止され、作業能率の低下や選別搬送コンベア87の破損が防止される。
【0122】
このとき、選別駆動スプロケット134と選別カウンタスプロケット136よりも機体左右他側には、選別伝動チェーン137の巻回域内に入り込んで出なくなった石等が、それ以上進むことも戻ることもできないまま留まり続ける構造となる。このため、作業者は収穫作業終了後に、機体後側の第1搬送フレーム77を外し、上記の箇所に溜まった石等をまとめて取り除くことができるので、メンテナンス性が向上する。なお、第1搬送フレーム77全てを外すのは手間がかかるので、開閉自在な掃除窓142を機体後側の第1搬送フレーム77のうち、選別駆動スプロケット134と選別カウンタスプロケット136よりも機体左右他側の石溜まり位置に配置する構成とすると、メンテナンス性がいっそう向上する。
【0123】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の左右間に支持プレート86を取り付け、該支持プレート86と機体フレーム1との間に選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88を伸縮自在に取り付けて、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア87を構成する。さらに、該選別搬送コンベア87の搬送終端部の下部に、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
【0124】
なお、昇降シリンダ88は電動式でも油圧式でも空圧式でもよく、手動で伸縮操作するものでもよい。
【0125】
また、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア87よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別作業や選別搬送コンベア87の操作を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90を配置し、該搭乗ステップ90上で且つ選別搬送コンベア88の中継スプロケット80,80を配置した近傍位置に補助作業座席91を取り付ける。
【0126】
さらに、前記昇降シリンダ88を伸縮操作して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降操作ペダル92を選別搬送コンベア87の搬送経路の下方に配置する。
【0127】
そして、該搭乗ステップ90上で且つ補助作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に配置することによって、選別搬送部Fが構成される。
【0128】
上記構成によれば、昇降シリンダ88を操作する昇降操作ペダル92を補助作業座席91に着座した補助作業者の足が届く位置に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席91に着座したまま選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させることができ、作業能率が向上するとともに作業者の労力が軽減される。
【0129】
さらに、昇降操作ペダル92を設けたことにより、補助作業者は選別搬送コンベア87の上下動を足だけで操作することができ、手を搬送中の人参の選別作業に集中させられるので選別精度が向上すると共に、手を選別搬送コンベア87の構成部材で挟んだり切ったりすることが防止でき、作業の安全性が向上する。
【0130】
なお、
図16、
図17に示すように、前記第1搬送フレーム77,77のうち、選別駆動スプロケット134,134の近傍に、前後間に亘ると共に選別駆動スプロケット134,134を避けて、回収コンベア160から搬送される泥土や人参、特に細身側が選別搬送入力軸127aに接触することを防止するガードプレート144を配置する。そして、このガードプレート144の下方に、ゴム等の軟質部材で構成するスクレーパプレート145を設け、該スクレーパプレート145の一側端部を、選別駆動スプロケット134と選別カウンタスプロケット136の上下間隔L2の間に配置する。
【0131】
上記構成により、ガードプレート144によって選別駆動スプロケット134,134及び選別搬送入力軸127aに小石や人参の細身側端部が接触することを防止できるので、選別駆動スプロケット134,134の回転が停止して選別搬送コンベア87が急に停止することが防止されるため、作業能率が向上すると共に、選別搬送コンベア87の破損が防止される。
【0132】
また、ガードプレート144にスクレーパプレート145を設け、このスクレーパプレート145の一側端部を選別駆動スプロケット134と選別カウンタスプロケット136の上下間隔L2の間に配置したことにより、選別カウンタスプロケット136よりも上方に移動しようとする石等をスクレーパプレート145によって落下させることができるので、いっそう選別駆動スプロケット134と選別伝動チェーン137との間に石が噛み込まれて、選別搬送コンベア87の駆動が急に停止したり破損したりすることが防止される。
【0133】
また、
図20で示すとおり、前記前後の第1搬送フレーム77,77の内側で且つ選別伝動チェーン137,137の巻回域内に、石分けプレート146,146を設ける。該石分けプレート146,146は、人参を搬送する側、即ち作用側の選別伝動チェーン137,137に下方から接する箇所を頂点とする山型(凸型)に形成し、前記石分けプレート146,146の端部は、選別伝動チェーン137,137よりも内側に向かって下方傾斜姿勢とする。
【0134】
上記構成としたことにより、石分けプレート146,146が選別伝動チェーン137,137の作用部側を下方から支持するので、選別伝動チェーン137,137は石分けプレート146,146の山型の頂点に接触して移動することができ、移動時のブレが抑えられ、搬送姿勢が安定する。
【0135】
また、石分けプレート146,146を山型に形成したことにより、搬送バー139…の左右間隔L1から入り込んだ石や泥土が選別伝動チェーン137,137側に移動しようとしても、石分けプレート146,146の傾斜部に沿わせて石や泥土を選別伝動チェーン137,137よりも内側方向に移動させることができるので、選別伝動チェーン137,137と選別駆動スプロケット134,134の間に石が噛み込み、選別搬送コンベア87が急に停止したり、破損したりすることが防止される。
【0136】
なお、
図21で示すとおり、前記石分けプレート146,146は、第2搬送プレート78,78側に設ける構成とすると、選別搬送コンベア87の搬送始端部から搬送終端部に亘って選別伝動チェーン137,137の移動姿勢が安定すると共に、選別伝動チェーン137,137の巻回域内に石や泥土が入り込みにくくなる。
【0137】
次に、収容部Gの構成について説明する。
【0138】
図2及び
図6~
図10で示すように、前記選別搬送コンベア87の前後の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右他側部)に回動シャフト93を機体前後方向に貫通させて取り付け、該回動シャフト93の前後両端側で且つ第2搬送フレーム78,78の外側に夫々摩擦抵抗体94,94を軸着する。
【0139】
該摩擦抵抗体94,94は皿バネやスプリングワッシャ、ゴムリング等、強い摩擦抵抗を有する部材であればどのようなものを用いてもよい。
【0140】
また、前記回動シャフト93の前後両端部に前後のハンガーアーム95,95の基部側を摩擦抵抗体94,94よりも前後方向外側に設け、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に挟み込んだ摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗によりハンガーアーム95,95が上方または下方に抵抗力以上の移動力がかかったときのみ上方または下方に移動可能に構成する。
【0141】
なお、
図6、
図8及び
図9で示すように、ハンガーアーム95,95は左右方向略中央部に屈曲部95a,95aを形成し、該屈曲部95a,95aから機体外側端部に亘って上方に向かう形状、即ち正面視あるいは背面視で逆“へ”の字形状に屈曲させた形状とすると、選別搬送コンベア87を上昇させた際にハンガーアーム95,95が下方に回動しても、前後の第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に隙間が生じなくなり、補助作業者が選別搬送コンベア87の搬送終端部に向かって腕を伸ばしていても、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95とに腕を挟まれることがなく、作業者の安全性が向上する。
【0142】
また、ハンガーフレーム95,95が第2搬送フレーム78,78の搬送終端側の近傍に位置することにより、ハンガーフレーム95,95がどの傾斜角度であっても第2搬送フレーム78,78よりも下方に位置するので、補助作業者の選別作業スペースが広くなるので、選別精度が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0143】
そして、前記ハンガーアーム95,95の端部側に前後方向に亘って選別搬送コンベア87の機体前後端部よりも前後方向に突出するハンガーフレーム96を取り付け、該ハンガーフレーム96の前後両端部に人参を収容する収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97を前後左右の4点を引っ掛けて吊り下げ支持する前後一対の吊下げハンガー98,98を左右方向に回動自在に取り付ける。
【0144】
さらに、該吊下げハンガー98,98の機体外側端部に上方向きの逆U字型(∩型)の外側吊下げ体99a,99aを夫々溶着すると共に、機体内側端部を下方向きのU字型の内側吊下げ体99b,99bを溶着し、該外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに収容袋97を吊り下げる吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下移動自在に取り付ける。
【0145】
なお、外側吊下げ体99a,99a及び内側吊下げ体99b,99bを溶着する代わりに、吊下げハンガー98,98の機体外側端部を逆U字型(∩型)に折り曲げ、機体内側端部をU字型に折り曲げて、吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下方向に移動自在に取付可能な構成としてもよい。
【0146】
該吊下げハンガー98,98は、吊り下げる収容袋97の上側開口部が平面視で略四角形となるように、収容袋97の4箇所の角部を前後の外側吊下げ体99a,99a及び前後の内側吊下げ体99b,99bで吊り下げる。
【0147】
なお、
図9示すように、前記吊下げハンガー98,98をハンガーフレーム96から取り外し、前記外側吊下げ体99a,99aをハンガーフレーム96の前後端部に引っ掛け、内側吊下げ体99b、99bを後述する回収台118の機体外側端部に設ける支持突起119に引っ掛けることにより、選別コンベア87を上方回動させると回収台118が吊下げハンガー98,98に引き上げられて自動的に収容姿勢、即ち機体フレーム1に対して略直交姿勢にすることができるので、回収台118を手作業で持ち上げる必要が無くなり、作業者の労力が軽減される。
【0148】
また、選別搬送コンベア87を上限まで回動させて収納状態にした際、吊下げハンガー98,98は機体フレーム1に対して直交姿勢となるので、収納時に機体フレーム1の外側にはみ出す部材がなく、収納時にはみ出た部材が破損することが防止されると共に、収納スペースを余分に取ることが防止される。
【0149】
吊下げハンガー98,98で回収台118を引き上げる際、吊下げハンガー98,98の姿勢は、収容袋97を開口状態で吊り下げる姿勢を基準として約180度回転させた姿勢となる。
【0150】
さらに、
図6~
図8で示すように、前記ハンガーフレーム96に、直射日光を遮断するバイザープレート126を前後の吊下げハンガー98,98と略水平姿勢で取り付ける。該バイザープレート126は、ハンガーフレーム96と共に回動し、選別搬送コンベア87を上下動させても吊下げハンガー98,98と略水平姿勢となる構成とする。
【0151】
上記構成により、収容袋97内に射し込む直射日光をバイザープレート126が遮断するため、長時間直射日光に晒された人参が乾燥等で萎びたり割れたりすることを防止できるので、人参の品質が低下しにくく、人参の商品価値が向上する。
【0152】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の搬送終端部の前後外側で且つ回動シャフト93の取付位置よりも機体外側方向に前後のハンガーアーム95,95を受け止めて下方回動を規制する下限規制突起100,100を取り付ける。さらに、機体前側の第2搬送フレーム78の外側で機体前側の下限規制突起100よりも上方且つ回動シャフト93寄りの位置に、機体前側のハンガーアーム95を受け止めて上方回動を規制する上限規制突起101を取り付ける。
【0153】
また、前記回動シャフト93の機体後側もしくは前後両側に雌ネジを刻んだ孔部(図示せず)を形成し、該孔部にねじ込む雄ネジ(図示せず)を刻んだ調節ノブ102を挿し込み、該調節ノブ102を回転させて摩擦抵抗体94,94を間に挟んだ第2選別フレーム78,78とハンガーアーム95,95との前後間隔を変更することにより、摩擦抵抗力が変化する構成とする。
【0154】
上記調節ノブ102を回動シャフト93の機体後側端部に設けると補助作業座席91に搭乗した補助作業者が操作し易く、回動シャフト93の機体前側端部に設けると操縦座席11に搭乗した作業者が操作し易くなり、摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力の調節が容易となる。
【0155】
さらに、前記回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送終端側で且つ機体後側の第2搬送フレーム78の下側に前後方向に摺動自在なスライド軸103を設け、該スライド軸103に機体前側方向に付勢力をかけるスプリング104を軸着する。そして、該スプリング104の機体前側端部に選別搬送コンベア87の下部に入り込む収容袋97の機体内側の前後中間部を吊り下げて弛みを防止する補助フック105を設け、前記スライド軸103の後側端部で且つ第2フレーム78の外側に作業者がスライド軸103を前後摺動させるスライドノブ106を取り付ける。
【0156】
そして、該スライドノブ106に、作業者がスライドノブ106を手で操作し易くするフックレバー106aを設け、該フックレバー106aの基部にフックレバー106aを選別搬送コンベア87側、即ち機体内側に向けて付勢するトルク・スプリング106bを取り付ける。
【0157】
前記フックレバー106aは、収穫作業時には収容袋97の機体内側の内部に接触させて収容袋97の機体内側を付勢させることにより、収容袋97の機体内側に弛みが発生することを防止できるので、弛みに人参が入り込んで収容量を無駄にすることが防止され、収容袋97の交換を頻繁に行う必要が無くなり、作業能率が向上する。また、フックレバー106aの表面にゴム等の軟質材で構成するチューブを装着すると、収容袋97に収容された人参がフックレバー106aに接触して傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0158】
これに加えて、バイザープレート126はハンガーフレーム96と共に回動して常に吊下げハンガー98,98と略水平姿勢となるため、選別搬送コンベア87を上下動させても直射日光が収容袋97内に入り込みにくく、人参の劣化を防いで商品価値を向上させることができると共に、バイザープレート126が吊下げハンガー98,98の動きを妨げることが防止される。
【0159】
さらに、フックレバー106aは、非作業時(収納時)はトルク・スプリング106bの力によって選別搬送コンベア87の底部に押し当てられるため、機体外側にフックレバー106aが突出することが防止されるので、収納時にフックレバー106aが接触により破損することが防止されると共に、収納スペースが余分に取られることがなくなる。
【0160】
なお、前記スライド軸103は非操作時に選別搬送コンベア87の機体後端部から前後中間部と同じか若干機体前側まで亘って設けると、補助フック105の位置を合わせ易くなる。また、スライド軸103を機体前側から後側に向かって設けてもよく、この場合操縦座席11に搭乗する作業者がスライド軸103の操作を行なうことができる。
【0161】
そして、
図10で示すように、選別搬送コンベア87の下方で且つ回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送方向上手側に、収容袋97の機体内側の吊り帯97iを引っ掛ける吊り帯フック107を取り付け、前記ハンガーフレーム96の上部に機体外側の吊り帯97oを引っ掛ける吊り帯ピン108を機体上方に向けて配置することにより、収容袋吊下げ装置85が構成される。
【0162】
該機体内外側の吊り帯97i,97oは、人参を収容した収容袋97をフォークリフトやホイストに引っ掛けて吊り下げるための部材である。
【0163】
次に、上記収容部Gの動作について説明する。
【0164】
人参の収穫作業開始時には、前記選別搬送コンベア87の搬送終端部から収容袋97までの人参の落下距離を最小限にするため、該選別搬送コンベア87を最下位置まで下降させる。また、前後の吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに設けた吊下げフック99f,99f,99f,99fに収容袋97の四隅を引っ掛けて、上側開口部を平面視で略四角形状とする。
【0165】
そして、前後のハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触するまで上方回動させ、前後の吊下げハンガー98,98を機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する姿勢とする。吊下げハンガー98,98が機体外側方向に向かって上方に傾斜する姿勢となることにより、吊り下げられている収容袋97も機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する上り傾斜姿勢となる。
【0166】
このとき、吊り下げられた収容袋97のうち、選別搬送コンベア87の搬送終端部側から人参が排出される機体内側は弛むため上下長さが短くなり、機体外側は殆ど弛みが生じないため上下長さが長くなる。
【0167】
なお、収容袋97は、布材や合成繊維等で柔軟に構成したものとする。
【0168】
また、前記収容袋97の機体内側端部に排出シュータ89の機体外側端部を入り込ませ、収容袋97の機体内側端部を選別搬送コンベア87の搬送終端側の下方に入り込ませ、収容袋97の前後方向略中心部に形成した吊り孔(図示せず)に補助フック105を引っ掛ける。さらに、収容袋Bの機体内側の吊り帯97iを吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側の吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛ける。
【0169】
前記ハンガーアーム95,95は摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力により、作業者が設定した傾斜姿勢で保持されるが、放置すると勝手に下方回動し始める場合には調節ノブ102を回転させて、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に配置された摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力を調節する。調節ノブ102を締め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が増加して摩擦抵抗力が強くなり、ハンガーアーム95,95が勝手に移動することが防止される。なお、緩め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が減少して、摩擦抵抗力が弱くなる。
【0170】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超えると、補助作業者が昇降操作ペダル92の伸張側を足踏み操作し、昇降シリンダ88を伸ばして選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させる。
【0171】
選別搬送コンベア87が上昇している間は、前記ハンガーアーム95,95が下降しようとする力が摩擦抵抗体96,96の摩擦抵抗力を上回るため、ハンガーアーム95,95が下降する。ハンガーアーム95,95の下降は、収容袋97に人参の収容スペースを確保すべく選別搬送コンベア87を上昇させている間のみ発生する。
【0172】
ハンガーアーム95,95が下方回動することにより、吊下げハンガー98,98がハンガーフレーム96を支点として回動し、吊下げハンガー98.98の機体外側が下方に回動すると共に、機体内側が上方に回動する。収容袋97の機体外側は設置の段階で上方に位置しているので殆ど位置の変化はないが、機体内側は吊下げハンガー98,98の移動により、上方に引き上げられる。これにより、収容袋97の機体内側に生じていた弛みが上昇量に応じて解消される。
【0173】
なお、この動作による選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どなく、また排出シュータ89の端部は、収容袋97の内部に垂れ下がって入り込んでいるため、収容袋97からはみ出すことがない。
【0174】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超える度に選別搬送コンベア87の搬送終端部を上昇させ、ハンガーアーム95,95を下方回動させると共に、収容袋97の機体内側を上方に引き上げて、収容袋97内の人参の収容スペースを確保すると共に、機体内側に偏る人参の山を崩していく。
【0175】
そして、選別搬送コンベア87を上方に回動させ、吊下げハンガー98,98が略水平姿勢になると、収容袋97の機体内側の弛みが解消され、機体内側と外側の上下高さが略同じになる。この状態となると、収容袋97には約200kgの人参が収容されているため、作業者は機体の走行を停止して収容袋97を機外に下ろす。
【0176】
このとき、ハンガーアーム95,95が下限規制突起100,100に接触する構成とする。
【0177】
しかしながら、あと数メートルで圃場内の人参を全て収穫できる場合等、収容袋97を交換すると手間が多くなる場合には、収容袋97の上部開口部を閉じる蓋部を吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aに引っ掛け、収容袋97の機体外側から左右方向中央部の近傍までの上下高さを長くしてやると、数メートル(数kg)分の人参であれば収容可能となり、収容袋97の交換の手間が省け、作業能率が向上する。
【0178】
なお、この状態でも選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どない。
【0179】
そして、収容袋97の収容量が一杯になると、機体や引抜搬送装置24、選別搬送コンベア87等を停止させ、吊下げフック99f,99f,99f,99fから収容袋97取り外すと共に、フックレバー106aを操作してスライドノブ106を介して機体後方に引っ張り、補助フック105を収容袋97から取り外す。補助フック105はスプリング104の付勢力によって、フックレバー106aから手を離すと選別搬送コンベア87、及び装着時の収容袋97の前後方向略中央部に自動的に復帰する。
【0180】
また、操作ハンドル116を操作して、載置台112を前方または後方に下降させることにより、人参が収容された収容袋97は自重で載置台112を滑り降りるので、収容袋97を機体前側に降ろしたときは機体を後退させ、収容袋97を機体後側に降ろしたときは機体を前進させることにより、約200kgの人参を収容した収容袋97が収容部Gから降ろされて圃場に設置される。
【0181】
そして、収穫作業が終了すると、ハンガーアーム95,95を再び上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで上方回動させる。
【0182】
上記構成及び動作により、収容袋97の機体外側には作業の開始から交換時まで殆ど弛みが生じないため、弛みに人参が入り込んで収容袋97の収容量を減らしてしまうことが防止され、収容袋97の交換の頻度が減り、作業能率が交換すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0183】
従来の収容袋の取り付け方では、機体内外両側に弛みが生じるため、この弛みに人参が入り込み、収容袋が持ち上げられても弛みが取れなくなり、一回の収容量が減少し、収容袋の交換頻度が高くなっていた。
【0184】
また、収容袋に生じた弛みを選別搬送コンベアを上下動させて解消し、収容スペースを確保することはできたが、弛みを取る度に作業者は選別搬送コンベアを操作せねばならず、作業能率を低下させていた。特に選別を行う補助作業者の場合、操作中の選別精度が低下していた。
【0185】
そして、選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が常に略一定であるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0186】
さらに、通常はハンガーアーム95,95の回動を摩擦抵抗体96,96によって規制し、選別搬送コンベア87を上昇させている間のみハンガーアーム95,95が下方回動する構成としたことにより、収容袋97の人参の収容量の変化に合わせて選別搬送コンベア87を操作すると連動して吊下げハンガー98,98の機体内側を上方に移動させることができるので、収容袋97の収容量を自動的に増大させられると共に、収容袋97の機体内側の弛みが自動的に解消されるので、弛みを取るために選別搬送コンベア87を上下動させる必要がなく、作業能率が格段に向上する。
【0187】
また、ハンガーアーム95,95の上方傾斜姿勢の限度を決める上限規制突起101を機体前側の第2搬送フレーム78に設けたことにより、作業者はハンガーアーム98,98をセットする位置がわかりやすく、収容袋97が満杯になるようにハンガーアーム95,95の位置を決めることができる。
【0188】
加えて、上限規制突起101が機体前側の第2搬送フレーム78にのみ設けられたことにより、上限規制突起101は選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別を行う補助作業者の作業範囲内に存在しないため、補助作業者が動作する際にぶつかったり衣服に引っ掛かったりすることが防止され、作業者の負担が軽減される。
【0189】
下限規制部材100,100は機体後側の第2搬送フレーム78にも設けられるが、設けられる位置は吊下げハンガー98,98の機体内側端部が位置しており、しかも通常選別作業を終えている領域であるため、補助作業者の動作に干渉することはないので、問題はない。
【0190】
なお、作業者がハンガーアーム95,95を上段規制突起101に接触させ忘れることを防止するために、後側の第2搬送フレーム78に注意書きを記しておくと、設定忘れが防止できる。
【0191】
そして、吊下げハンガー98,98の機体外側端部に外側吊下げ体99a,99aを上方に向けて設け、機体内側端部に内側吊下げ体99b,99bを設けたことにより、機体内側の吊下げフック99f,99fが機体外側の吊下げフック99f,99fよりも下方に位置するので、収容袋97を設置した際に収容袋97の機体外側と機体内側の上下高さの差が大きくなるので、収容袋97の機体外側からいっそう人参がこぼれにくくなる。
【0192】
また、吊下げハンガー98の左右両端部を折り曲げて外側吊下げ体99a及び内側吊下げ体99bを形成すると、一本の棒材で構成することができるので、コストダウンを図ることができる。
【0193】
そして、収容袋97の機体内側に設けた吊り帯97iを選別搬送コンベア87下の吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側に設けた吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛けることにより、収容袋97を吊り帯97i,97oが引っ張るので、収容袋97に生じる弛みを軽減することができる。
【0194】
さらに、収容袋97の前後方向略中央部の孔部に補助フック105を引っ掛けることにより、収容袋97の機体内側の前後方向略中央部に生じる弛みを小さくすることができるので、人参が機体内側の弛みに入り込みにくく、収容スペースが十分に確保できる。
【0195】
そして、スライドノブ106を機体後方に引っ張ると、スライド軸103が機体後方に摺動して補助フック105が収容袋97から外れるので、人参で満杯になった収容袋97と選別搬送コンベア87の搬送終端部の下方との間に生じる狭いスペースに手を進入させなくても補助フック105を外すことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0196】
また、ハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで回動させると、吊下げハンガー98,98が回動して吊下げハンガー98,98の機体外側端部が機体フレーム1の端部よりも内側に位置するので、機体フレーム1からはみ出した吊下げハンガー98,98が壁等にぶつかることがなく、機体の破損が防止される。
【0197】
また、排出シュータ89の端部を収容袋97の内側に垂れ下がらせたことにより、排出シュータ89と収容袋97との間の人参が落下し得る空間部がなくなるので、選別搬送コンベア87から排出される人参が落下することを防止でき、人参の商品価値が向上する。該排出シュータ89の機体前後方向の幅は、選別搬送コンベア87の機体前後方向の幅と略同じにすると、上記の人参の落下防止効果がいっそう向上する。
【0198】
次に、載置排出部の構成について説明する。
【0199】
図2、
図18及び
図19で示すように、前記機体フレーム1の機体左右他側後部に前後支持プレート109,109を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート109,109の機体外側端部に載置部フレーム110を、左右回動軸110aを回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム110の後下部に上下回動軸111aを設け、該上下回動軸111aの上部に前後の吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の底部を載置支持する載置台112を上下回動自在に取り付ける。
【0200】
また、前記載置部フレーム110の後側の左右他側端部に後側支持プレート113を設け、前記上下回動軸111aの左右他側端部に回動プレート114の下端部を機体前後方向に回動自在に軸着するとともに、該回動プレート114の上部と後側支持プレート113の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド115を取り付ける。
【0201】
さらに、該伸縮ロッド115の機体後側の端部に伸縮ロッド115を伸縮させる操作ハンドル116を取り付けるとともに、前記載置台112の左右両側及び後側に収容袋97の落下を防止する落下防止板117B,117L,117Rを取り付けることにより、回収台118が構成される。該回収台118の機体外側端部(機体右側端部)には、回収台118の折り畳み作業時に前記吊下げハンガー98,98の一側端部を引っ掛ける支持突起119を取り付ける。
【0202】
上記落下防止板117B,117L,117Rのうち、機体左側、即ち機体内側に配置される左落下防止板117Lの下部側に、水や夾雑物を排出する排出開口部117sを形成し、回収台118を機体フレーム1側に回動させると水や夾雑物が排出開口部117sから圃場に落下する構成とする。
【0203】
そして、前記左右回動軸110aに、回収台118を常時上方に付勢して上方傾斜姿勢で保持するトルク・スプリング110bを取り付け、収容袋97に収容された人参の重量が増加すると自動的に機体フレーム1に対して略水平姿勢になるまで下方回動する構成とする。
【0204】
前記収容袋吊下げ装置85と回収台118とにより、載置排出部が構成される。
【0205】
なお、伸縮ロッド115は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル116で回転させて伸縮する構成としているが、電動シリンダや油圧シリンダに置き換えてもよく、その場合は操作ハンドル116をスイッチやレバーに置き換えてもよい。
【0206】
次に、本件人参の収穫機について、収容容器97を機体外側方で、且つ収穫作業走行の進路から離間した位置に降ろすための構成について説明する。
【0207】
図22、
図23で示すとおり、回動フレーム20上で且つ引抜搬送装置24の搬送経路の下方に上下方向に長い左右の支持フレーム150,150を設ける。該左右の支持フレーム150,150の上部側は、正面(背面)視で下側ほど広く離間するハの字型とする。
【0208】
そして、前記伝動ケース22に、機体前側に駆動力を伝動する左右の前側伝動ケース151,151の後端部側を設け、該前側伝動ケース151,151の前端部側を前記左右の支持フレーム150,150の後部側に設け、前側伝動ケース151,151から駆動力を受けて回転する保持駆動プーリ152,152を配置する。また、前記左右の支持フレーム150,150の前側で且つ尻尾切装置35よりも上側に左右の保持従動プーリ153,153を回転自在に装着すると共に、該左右の保持従動プーリ153,153と保持駆動プーリ152,152の前後間に左右の保持テンションプーリ154,154を回転自在に装着する。
【0209】
なお、左右の支持フレーム150,150は正面(背面)視でハの字型に配置されているが、保持駆動プーリ152,152、保持従動プーリ153,153及び保持テンションプーリ154,154は、それぞれの回転軸(図示省略)を支持フレーム150,150に対して垂直方向に差し込んで配置している。
【0210】
さらに、該保持駆動プーリ152,152と保持従動プーリ153,153と保持テンションプーリ154,154とに亘って、引抜搬送装置24から位置揃え装置54L,54Rに引継搬送されている人参に接触する保持搬送ベルト155,155を無端状に巻回して、保持搬送装置156を構成する。
【0211】
該保持搬送装置156は、左右の保持搬送ベルト155,155を人参に接触させ、搬送中の人参が機体の振動などによって揺らぐことを防止して、位置揃え装置54L,54Rに確実に人参を引き継ぐための装置である。
【0212】
晩秋~初冬頃に人参の収穫作業を行う場合、茎葉部は寒さで枯れた状態、即ち霜枯れ状態となっていることが多く、位置揃え装置54L,54Rに接触すると、衝撃で茎葉部が千切れて人参が落下してしまうことがある。このため、本件の実施例では、回収コンベア160を位置揃え装置54L,54Rの下方に配置して、落下してきた人参を受けて搬送経路に戻す構成としている。
【0213】
一方、この実施例においては、保持搬送装置156は位置揃え装置54L,54Rの終端部まで人参に左右から接触し続けるため、茎葉部が千切れてしまうことがあっても人参を残葉処理コンベア76まで搬送することができるので、選別搬送コンベア87上や作業終了後に、人参から残された残葉を除去する必要がなく、選別精度や作業能率が向上する。
【0214】
なお、茎葉部が千切れることがなくとも、保持搬送装置156は人参を残葉処理コンベア76の手前まで姿勢を保って搬送するので、茎葉切断装置61に茎葉部を切断されて残葉処理コンベア76に落下する人参の落下位置を安定させることができるので、残葉が除去されやすくなる。
【0215】
また、左右の支持フレーム150,150の上部側をハの字型としたことにより、人参が曲がっていたり、二股になっていたりしても、左右の保持搬送ベルト155,155の左右間に人参が詰まることが防止され、人参の除去のために収穫作業を中断する必要がなく、作業能率が向上する。
【0216】
さらに、保持搬送装置156の前端部を尻尾切装置35の直後で且つ上方位置に設けたことにより、尻尾切装置35を通過して若干後傾姿勢となった人参を受け止めやすい姿勢で配置されるので、人参が保持搬送装置156に跳ね返されて搬送が停滞することが防止され、作業能率が向上する。
【0217】
図24で示すとおり、選別搬送入力軸127aにクラッチ機構147を設け、該クラッチ機構147を昇降操作ペダル92に連繋ワイヤ148で連結し、該昇降操作ペダル92を踏むと連繋ワイヤ148がクラッチ機構147に作用してクラッチ機構147が「切」になる構成としてもよい。
【0218】
上記構成としたことにより、収容容器97に収容された人参の量が増加し、選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させて収容容器97の容量を増加させる作業を行う際、昇降操作ペダル92を踏んでいる間は選別搬送コンベア87の駆動が止まるので、作業者は人参の選別作業に気を取られることなく選別搬送コンベア87の操作をすることができるので、適切な調節ができると共に、選別精度が向上する。
【0219】
なお、昇降操作ペダル92とは異なるクラッチ操作ペダル149を設け、このクラッチ操作ペダル149とクラッチ機構147を連結し、作業者がクラッチ操作ペダル149を踏むとクラッチ機構147が「切」となる構成とすると、選別搬送コンベア87の搬送速度が乱れたり異音が発生したりしたとき、即座に選別搬送コンベア87の駆動を停止させることができるので、選別搬送コンベア87の破損が防止できると共に、石等の破損の原因が入り込んだ場合、深刻な破損が生じる前に取り除くことができる。
【0220】
また、選別に時間をかけたいときにもこのクラッチ操作ペダル149を踏むと、作業者は選別搬送コンベア87をだけを止めて選別作業を行うことができるので、選別精度が大幅に向上すると共に、収穫作業を止める必要がないため、作業能率が向上する。
【0221】
図25から
図31について説明する。収容容器97の積み下ろし作業を行う場合、通常の根菜類収穫機は、機体と隣接する位置に収容容器97降ろす機構を備えている。収容容器97を支持する収容載置台が上下方向に回動し、収容容器97を積下ろすことができる。しかし、積下ろした収容容器97と機体が接触し収容容器97に収容された収穫物が傷つき商品価値が低下する問題がある。
【0222】
上述した問題点を解消するために、収容容器97を支持する収容支持部材950によって、収容容器97が支持されながら選別搬送コンベア87に隣接している状態と、支持されながら離間している状態とに切り替えることで、容易に収容容器97を積下ろすことができる。
【0223】
収容支持部材950は複数のフレームで形成されており、複数のフレームを介して収容容器97を支持している。つまり、選別搬送コンベア87から回動可能に支持されるメインフレームMFと、メインフレームMFに回動可能に支持されるサブフレームSFを設け、この2つのフレームを回動させることで、選別搬送コンベア87と収容容器97が隣接する位置の第一姿勢X(
図25から
図27)と選別搬送コンベア87と収容容器97が離間する位置の第二姿勢Y(
図28から
図30)とに切り替えられ、収容容器97を移動させることができます。
【0224】
また、選別搬送コンベア87は、搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88によって収容支持部材950を上下動させることができる。つまり、収容容器97を支持しながら圃場へ積下ろすことができます。
【0225】
また、メインフレームMFとサブフレームSFを連結支持する支点STを設け、サブフレームSFの支点STの他方側に収容容器97を吊り下げるハンガー部Hを備えている。
つまり、サブフレームSFの一方の端部に支点ST、サブフレームSFの他方の端部にハンガー部Hが備えられている。
【0226】
ハンガー部Hを複数のフレームやリンクを回動させるまたは、スライド機構等を使用して、選別搬送コンベア87と隣接させることや離間させることができる構成としても良い。つまり、収容容器97を吊りながら選別搬送コンベア87と隣接させることや離間させることができる構成としても良い。
【0227】
メインフレームMFとサブフレームSFを連結支持する支点STにより、メインフレームMFとサブフレームSFが機体の上下方向に重なる姿勢の第一姿勢Xが備えられている。
【0228】
2つのフレームが重複した位置にあり機体外側にフレームが突出していない姿勢になり、この第一姿勢Xは、選別搬送コンベア87と収容容器97が隣接している。つまり、収容容器97に収穫物を収容する作業位置である。昇降シリンダ88により選別搬送コンベア87上下動させることで、収容容器97に収穫物を収容するための適切な高さに調節することができる。
【0229】
メインフレームMFとサブフレームSFを連結支持する支点STによりメインフレームMFとサブフレームSFが機体の上下方向に重ならない姿勢の第二姿勢Yが備えられている。支点STを介して機体の左右方向へ向かって略直線状になるように2つのフレームが位置している。つまり、機体外側にフレームが突出している姿勢になり、この第二姿勢Xは、選別搬送コンベア87と収容容器97が離間している。収容容器97に収容させた収穫物を機体から積下ろす積み下ろし作業位置である。昇降シリンダ88により選別コンベア87を上下動させることで、収容容器97を吊り下げながら圃場面に降ろすことができる。
【0230】
2つのフレーム(メインフレームとサブフレーム)及びハンガー部Hを機体内側に収めるべく、選別搬送コンベア87とメインフレームMFとを連結支持するメインフレーム回動支点MSを備え、回動させることで、収容支持部材950を選別搬送コンベア87の上方へ移動させた姿勢が収納姿勢Zである。つまり、第一姿勢Xにおいても、機体の幅から突出しており、メインフレーム回動支点MSにより、収容支持部材950のすべてを機体の幅内に収めることができる。
【0231】
第一姿勢Xと第二姿勢Yとを切り替える切替装置DSについて説明する。メインフレームMSに電動シリンダを備え、シリンダによりサブフレームSFを動作させいる。支点STによりサブフレームSFは、第一姿勢Xから第二姿勢Yに切り替わる動作は、機体後方視で反時計回りに回動し、第二姿勢Yから第一姿勢Xに切り替わる動作は、機体後方視で時計回りに回動する。尚、収納姿勢Zへ切り替わる動作は、メインフレーム回動支点MSにより機体後方視で反時計回りに回動させる。収納位置Zに位置したときは、支点STは機体の左右方向の中央近傍に位置する。また、切替装置DSについても機体の左右方向の中央近傍に位置している。
【0232】
尚、選別搬送コンベア87は、昇降シリンダ88に上下に動作するが、選別搬送コンベア87の搬送方向上手側にあるコンベア回動支点SSを支点に回動する。
【0233】
また、上記で説明した構成は、選別搬送コンベア87に収容容器97を積下ろし作業等を行う収容支持部材950を備えていたが、機体の何れかの場所に備えている構成としても良い。
【0234】
また、選別搬送コンベア87は機体の左右方向に向かって搬送されるが、前後方向で良い。また、選別搬送コンベア87の搬送方向上手側が回転することで、収容容器97を様々な方向に積下ろせる構成としても良い。
【0235】
前記収容支持部材950は、人参が満載されると約200kgになる収容容器97の荷重を受けるべく、耐荷重性の高い構成であることが必要となる。また、上記は一般的な収容容器97に平均的な人参を、規定量収容したときのものであり、収容容器97がより大容量であるときや、規定量を超過した量の人参を収容したとき、あるいは泥土等が十分に除去されずに入り込んだときには、200kgを超える荷重がかかり得るので、最大耐荷重はより高い値とする必要がある。
【0236】
図33及び
図34に示すとおり、選別搬送コンベア87の搬送終端側に前後一対設けるメインフレームMF,MFの下部には、メインフレームMFの左右幅よりも薄い補強プレートMRを設ける。補強プレートMRは、側面視でへの字形状のメインフレームMFの屈曲に合わせた形状であり、下方に突出するが、メインフレーム回動支点MSに近い側ほど肉厚であり、屈曲部分から支点STの手前にかけてはほぼ同じ細さであると共に、支点ST付近ではさらに搬送方向終端側ほど薄くなる形状とする。
【0237】
さらに、補強プレートMRの基部で且つ収納姿勢Z以外で下端部となる位置には、選別搬送コンベア87に向けて回り止めプレートARを設ける。回り止めプレートARは、補強プレートMRの一部を曲げ加工して形成してもよい。なお、回り止めプレートARは補強プレートMRの前後どちらか一方に設ければよいが、前後の補強プレートMRの両方に設けてもよい。
【0238】
そして、選別搬送コンベア87の搬送終端側で、且つ非搬送域となる機体下側において、人参の搬送方向に直交する姿勢で受け連結プレート87aを、前後の第2搬送フレーム78,78に亘って装着する。なお、連結プレート87aの前後端部のうち、少なくとも回り止めプレートARが設けられている側については、前後の第2搬送フレーム78,78から機体前側、あるいは後側に向かって突出するものとし、回り止めプレートARの受け部材として機能させる構成とする。
【0239】
また、前後一対の補強プレートMRのうち、屈曲部分よりも搬送方向下手側には、前後の補強プレートMR,MRを連結する補強ロッドRRを設け、構造強度を高める構成とする。
【0240】
次に、支点STには、上述のとおり前後のサブフレームSF,SFを、各々間隔を空けて回動可能に配置する。これらサブフレームSF,SFについて、より詳細に説明する。
【0241】
図32から
図34に示すとおり、支点SFの前後両側で、且つ前後の補強プレートMR,MRの前後間に、支持回動アームSA,SAを各々回動自在に設け、この支持回動アームSA,SAには、収容容器97の四隅を開口状態で吊下げ支持する前後のハンガー部Hを回動可能で且つ着脱可能に装着する、平面視でへの字形状の吊下アームHA,HAを各々装着する。
【0242】
上記の吊下げアームHA,HAは、各々の基部側が支持回動アームSA,SAの搬送方向上手側に装着され、端部側は基部側を設けた側とは反対側の支持回動アームSA,SAの搬送方向下手側、乃至終端部に装着されて、平面視で吊下げアームHA,HAが交差して少なくとも一つの交点Iが生じ、×字を描く構成とする。
【0243】
吊下げアームHA,HAの交差は、一方の吊下げアームHAを分割し、他方の吊下げアームHAに溶接等で各々装着する構成とすると、突出部分が形成されず、特に収納姿勢Zとしたときに収容支持部材950の上方突出量が抑えられる構成になる。また、他方の吊下げアームHAには特に加工が必要ないので、加工に要する労力やコストの低減が図られる。
【0244】
あるいは、
図35に示すとおり、一方の他方の吊下げアームHAに他方の吊下げアームHAを嵌め込む凹部を形成し、一対の他方の吊下げアームHA,HAを平面視で×字を描く姿勢で嵌め合わせた後、溶接等で連結する構成としてもよい。
【0245】
この構成では、一方の吊下げアームHAに凹部を形成する作業が必要となるが、嵌め合わせの際に位置合わせがしやすく、また溶接の場合は溶接面積が増えるので、より強度が向上する。
【0246】
なお、
図36に示すとおり、両方の吊下げアームHA,HAに凹部を形成し、凹部同士を嵌め合わせてもよい。
【0247】
あるいは、
図37に示すとおり、一方の吊下げアームHAを上方又は加工に屈曲させ、他方の吊下げアームHAを跨がせて嵌め合わせ、この部分を溶接等で連結する構成としてもよい。
【0248】
この構成では、曲げ加工がさらに発生するが、切断や凹部の形成による切り欠きが生じないので、吊下げアームHA,HAの強度がより高く維持される。
【0249】
さらに言えば、収納姿勢Zとした際に収容支持部材950の機体上方への突出量が多少増加しても問題無いのであれば、一方の吊下げアームHAが他方の吊下げアームHAの上方を通過し、平面視で吊下げアームHA,HAが交差して少なくとも一つの交点Iが生じ、×字を描く構成としてもよい。このとき交点I付近の溶接は行わないものとすると、組み付け前の加工が必要無くなり、作業工数やコストの低減が図られる。
【0250】
あるいは、
図38に示すとおり、吊下げアームHAを各々V字形状とすると共に、V字の搬送方向下手側部分を機体左右方向に屈曲させた形状とし、吊下げアームHA,HAのV字の凸部同士を点接触、あるいは面接触させることで一または複数の交点Iが生じ、×字が描かれる構成としてもよい。
【0251】
この構成では、吊下げアームHA,HAの曲げ加工が最低二箇所必要になるが、上下方向への突出部分の発生を防止できると共に、部分的に切除する等の加工が不要であるので、加工に要する労力やコストの低減が図られる。
【0252】
また、V字の突出部分を平坦にする等して、吊下げアームHA,HA同士を面接触させると、接触面積が増えるので、より連結を強固にすることが可能である。
【0253】
なお、いずれの構成であっても、吊下げアームHA,HAの搬送方向下手側の屈曲部分よりも搬送方向下手側位置から終端部に亘っては、メインフレームMF及び支持回動アームSAと平行な姿勢となり、且つメインフレームMF及び支持回動アームSAよりも機体前側、及び機体後側に突出する構成とする。さらには、ハンガー部H,Hは、吊下げアームHA,HAよりも機体前側、及び機体後側に装着し、収容容器97の上部の開口部分を大きく四角形状として吊り下げる構成とする。
【0254】
そして、メインフレームMFの補強プレートMRの屈曲部分よりも基部側位置と、支持回動アームSAの左右方向の中央位置付近との間に、支持回動アームSAを上下回動させる切替装置DSを伸縮自在に設ける。切替装置DSは油圧や電気式のシリンダやモータ等のアクチュエータとし、収容容器97に人参が満載された状態であっても伸長が可能であり、第一姿勢Xから第二姿勢Yへの移行が円滑に行うことができ、収容容器97を機体側方の圃場面に確実に降ろすことができる性能を有するものとする。
【0255】
これにより、収容支持部材950が構成される。
【0256】
なお、切替装置DSは、
図32から
図34に示すとおり、機体前側の補強プレートMRと支持回動アームSAとに設けるものとし、機体後側には設けないものとする。これにより、選別搬送コンベア87よりも機体後側の補助作業座席91に搭乗する補助作業者が、収穫作業中に収容容器97に収容された人参を手で均す作業を行う際に切替装置DSが作業者の腕の動きを阻害しないので、作業能率の低下や、収容容器97に偏って人参が投入され、満載でない状態で人参が溢れ出したり、積み重なった人参が崩れてぶつかり合う衝撃で傷付くことが防止される。
【0257】
また、切替装置DSを、機体前側の補強プレートMRと支持回動アームSAの裏側、即ち機体後側に配置することにより、収容容器97を機体外側方に降ろす際等に、機体前側の操縦座席11に搭乗する作業者が降車して収容容器97の姿勢を維持すべく支える際、切替装置DSが突出していないので収容容器97に接近しやすく、作業能率が向上する。
【0258】
また、圃場に降ろしている最中に収容容器97の姿勢が乱れ、収容されている人参が圃場に落下することを防止できるので、落下した人参を拾い集める作業が不要になると共に、落下の衝撃で人参が傷付き、商品価値が低下することや、収穫量が減少することが防止される。
【0259】
上記構成は人参を満載した際に約200kgとなる収容容器97に対応したものであるが、より容量の大きい収容容器97を用いるときや、第一姿勢Xから第二姿勢Yへの移行をより円滑なものとするときには、
図40に示すとおり、前後の補強プレートMRと支持回動アームSAに各々設け、一対配置される構成としてもよい。
【0260】
これにより、一対の切替装置DS,DSの伸長する力で一対の吊下げアームHA,HAを回動させることができるので、収容容器97の満載時の重量が増加していても円滑に第二姿勢Yへの移行が可能となり、作業時間の短縮や、移動中の姿勢の乱れにより人参が圃場に落下することが防止される。
【0261】
なお、上記の構成では機体前側の切替装置DSは、機体前側の補強プレートMRと支持回動アームSAの機体後側に配置すると共に、機体後側の切替装置DSは、機体後側の補強プレートMRと支持回動アームSAの機体前側に配置することで、収容容器97を降ろす際の姿勢の維持作業を行う作業者や補助作業者が切替装置DSを気にせず、能率的な作業が可能になる。
【0262】
なお、補助作業座席91に搭乗する補助作業者と収容容器97の位置関係により、切替装置DSが収容容器97内の人参の均し作業に干渉しないのであれば、
図41に示すとおり、機体後側の補強プレートMRと支持回動アームSAの機体前側に配置してもよい。
【0263】
上記構成の収容支持部材950は、メインフレームMFに補助プレートMRを設けると共に、前後一対の支持回動アームSA,SAを交点Iが形成される交差、あるいは接触する配置構成としたことにより、収容容器97から受ける荷重が前後で偏り、捻れる力が加わっても変形しにくいので、高い耐久性が確保される。
【0264】
また、メインフレームMFに設ける回り止めプレートARが、所定の回動角度で選別搬送コンベア87に設ける受け連結プレート87aに接触することにより、収容容器97の荷重が加わっても前後のメインフレームMF,MFが下方に回転することを防止できる。
【0265】
これにより、収容容器97が圃場面に勢いよく落とされて収容された人参が圃場に落下することを防止できるので、人参を拾い集める作業に要する労力が不要になると共に、落下時に人参が傷付いて商品価値や収穫量の低下が生じることが防止される。収容容器97内の人参についても、着地時の衝撃で傷付くことが防止される。
【0266】
また、収容支持部材950において、前後のハンガー部H,Hの前後間隔が最も広くなることにより、収容容器97の上部を四角形状に大きく開口させることができるので、選別搬送コンベア87から排出される人参を確実に収容できると共に、補助作業者が収容された人参を能率よく手で均すことができる。
【符号の説明】
【0267】
24 引抜搬送装置
87 選別搬送コンベア(搬送装置)
87a 受け連結プレート(防護プレート)
97 収容容器
950 収容支持部材
DS 切替装置(回動アクチュエータ)
H ハンガー部(ハンガー)
HA 吊下アーム
I 交点
MF メインフレーム(回動フレーム)
MR 補強プレート
SA 支持回動アーム
SF サブフレーム(吊下フレーム)
X 第一姿勢
Y 第二姿勢