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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】層間耐火材支持具
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
E04B1/94 K
E04B1/94 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019033159
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020139268
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】後藤 治彦
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-500797(JP,A)
【文献】特開2010-059741(JP,A)
【文献】特開2012-225082(JP,A)
【文献】特開2002-242334(JP,A)
【文献】特開2019-019589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部の端面と当該床部の端面と対向する壁の壁面との間の間隙に設置される層間耐火材支持具であって、
耐火材が収容される耐火材収容部と、取付部とを備え、
耐火材収容部は、
床部の端面の長手方向に沿って延長して間隙の上側開口を塞ぐとともに耐火材の上側を覆う覆い部と、
覆い部の長手方向と直交する方向の一端側より壁面に沿って下方に延長した後に床部の端面に向けて延長するように設けられて耐火材を支持する支持部とを備え、
支持部の延長端が床部の端面と接触しないように構成され、
覆い部の長手方向と直交する方向の他端側が取付部として床部の上面に載置されて床部に取付けられたことを特徴とする層間耐火材支持具。
【請求項2】
床部の端面と当該床部の端面と対向する壁の壁面との間の間隙に設置される層間耐火材支持具であって、
耐火材が収容される耐火材収容部と、取付部とを備え、
耐火材収容部は、
床部の端面の長手方向に沿って延長して間隙の上側開口を塞ぐとともに耐火材の上側を覆う覆い部と、
覆い部の長手方向と直交する方向の一端側より床部の端面に沿って下方に延長した後に壁面に向けて延長するように設けられて耐火材を支持する支持部とを備え、
支持部の延長端が壁面と接触しないように構成され、
覆い部の長手方向と直交する方向の他端側が取付部として壁に取付けられたことを特徴とする層間耐火材支持具。
【請求項3】
覆い部の板面と床部の上面とが同一水平面上又はほぼ同一水平面上に位置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の層間耐火材支持具。
【請求項4】
覆い部が、床部の端面及び上面よりも上方に位置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の層間耐火材支持具。
【請求項5】
耐火材収容部は、支持部の延長端と覆い部との間に耐火材を耐火材収容部に挿入するための開口が形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の層間耐火材支持具。
【請求項6】
耐火材収容部は、支持部の延長端が覆い部に接触又は接続されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の層間耐火材支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床部の端面と当該床部の端面と対向する壁の壁面との間の間隙に設置される層間耐火材支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
床部の端面と当該床部の端面と対向する壁の壁面との間の間隙(層間)に設置される層間耐火材支持具が知られている(特許文献1参照)。
当該層間耐火材支持具は、床スラブ(床部)の上面から端面に垂下するハンガー部を床スラブの端面の長手方向に沿って間欠的に複数個設けて、各ハンガー部に隙間をふさぐ金属製板材を掛け渡し、当該金属製板材の上に耐火材が載置されて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-261232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した層間耐火材支持具は、各ハンガーの設置作業と金属製板材の設置作業とを別々に行う組立式であり、設置作業が煩わしいだけでなく、各ハンガーと金属製板材とが固定されていないため、振動時等の床部や壁の動きに追従できず(床部や壁の動きに伴って間隙(層間)が縮まる場合、金属製板材が上方に移動してしまう)、脆弱な構成となってしまう。
また、層間耐火材支持具の上方側から耐火材が目視されてしまうため、見栄えの面での課題があるだけでなく、耐火材の上にゴミや埃が溜まった場合など、掃除がし難く、見栄えをさらに悪化させやすいという問題もあった。また、耐火材が目視されないように、耐火材の上側に表面材としてアルミテープ等のテープを貼り付けることも行われているが、この場合、テープが波打って(しわが寄る)貼られてしまうため、見栄えが悪く、さらに、テープの上に埃などが溜まった場合に掃除がし難く、また、落下物等によりテープが破れてしまう等の様々な課題があった。
本発明は、設置の際の作業性、床部や壁の動きに対する追従性、強度、見栄え、掃除の容易性において優れた層間耐火材支持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る層間耐火材支持具は、床部の端面と当該床部の端面と対向する壁の壁面との間の間隙に設置される層間耐火材支持具であって、耐火材が収容される耐火材収容部と、取付部とを備え、耐火材収容部は、床部の端面の長手方向に沿って延長して間隙の上側開口を塞ぐとともに耐火材の上側を覆う覆い部と、覆い部の長手方向と直交する方向の一端側より壁面に沿って下方に延長した後に床部の端面に向けて延長するように設けられて耐火材を支持する支持部とを備え、支持部の延長端が床部の端面と接触しないように構成され、覆い部の長手方向と直交する方向の他端側が取付部として床部の上面に載置されて床部に取付けられたことを特徴とする。
また、本発明に係る層間耐火材支持具は、床部の端面と当該床部の端面と対向する壁の壁面との間の間隙に設置される層間耐火材支持具であって、耐火材が収容される耐火材収容部と、取付部とを備え、耐火材収容部は、床部の端面の長手方向に沿って延長して間隙の上側開口を塞ぐとともに耐火材の上側を覆う覆い部と、覆い部の長手方向と直交する方向の一端側より床部の端面に沿って下方に延長した後に壁面に向けて延長するように設けられて耐火材を支持する支持部とを備え、支持部の延長端が壁面と接触しないように構成され、覆い部の長手方向と直交する方向の他端側が取付部として壁に取付けられたことを特徴とする。
本発明に係る層間耐火材支持具によれば、設置の際の作業性、床部や壁の動きに対する追従性、強度において優れた層間耐火材支持具を提供できる。また、覆い部を備えているため、上方側から耐火材が目視されず、見栄えを向上でき、かつ、掃除も容易な層間耐火材支持具を提供できる。
また、覆い部の板面と床部の上面とが同一水平面上又はほぼ同一水平面上に位置されることを特徴とするので、見栄えの良好な見切り材として機能させることができるようになるとともに、掃除もより容易になる。
また、覆い部が、床部の端面及び上面よりも上方に位置されることを特徴とするので、覆い部を巾木のように機能させることができる。
また、耐火材収容部は、支持部の延長端と覆い部との間に耐火材を耐火材収容部に挿入するための開口が形成されたことを特徴とするので、当該開口を介して耐火材を耐火材収容部の収容空間に容易に挿入することができ、耐火材収容部に耐火材が収容された層間耐火材部材を容易に製作できるようになる。
また、耐火材収容部は、支持部の延長端が覆い部に接触又は接続されたことを特徴とするので、耐火材に火が直接届き難くなるので、耐火性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】間隙に設置された層間耐火材部材(層間耐火材支持具+耐火材)の断面図(実施形態1)。
図2】(a)層間耐火材部材の分解斜視図、(b)は層間耐火材部材が間隙に設置される前の状態を示す斜視図、(c)は層間耐火材部材が間隙に設置された状態を示す斜視図(実施形態1)。
図3】間隙に設置された層間耐火材部材の断面図(実施形態2)。
図4】間隙に設置された層間耐火材部材の断面図(実施形態3)。
図5】間隙に設置された層間耐火材部材の断面図(実施形態4)。
図6】間隙に設置された層間耐火材部材の断面図(実施形態5)。
図7】層間耐火材部材の断面図(実施形態6)。
図8】層間耐火材部材の断面図(実施形態6)。
図9】層間耐火材部材の断面図(実施形態6)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1に係る層間耐火材支持具1は、床部2の端面3と当該床部2の端面3と対向する壁4の壁面5との間の間隙6に設置される床部2の端面3の長手方向(図1の紙面と直交する方向)に沿って長尺な部材であり、耐火材7を収容する耐火材収容部8と、床部2への取付部19とを備える。
当該層間耐火材支持具1と、当該層間耐火材支持具1の耐火材収容部8に収容された耐火材7とにより、層間耐火材部材9が構成される。
【0008】
床部2は、例えばデッキプレート上にコンクリートを打設して構成される床スラブ、床パネル等である。
壁4は、例えばカーテンウォールパネルなどの壁パネル等である。
間隙6は、例えば高層建築物において採用される外壁構法により構築される壁パネル(壁4)の壁面(内壁面)5と当該壁面5と対向する床スラブ(床部2)の端面3との間の間隙6であり、上層階と下層階との間の間隙でもあるため、層間と呼ばれる。
実施形態1に係る層間耐火材支持具1と耐火材7とで構成された層間耐火材部材9は、当該間隙6を塞ぐように設置されて、例えば下層階で火災が発生した際に、この間隙6を介した上層階への延焼を防ぐものである。
【0009】
耐火材7は、例えば、可撓性を有したロックウール、グラスウール、シリカウール等である。
【0010】
耐火材収容部8は、覆い部10と、支持部20とを備える。
【0011】
覆い部10は、床部2の端面3の長手方向に沿って延長して間隙6の上側開口6a(図2(b)参照)を塞ぐとともに耐火材7の上側を覆うように、板面(下面)10uが床部2の上面2tと同一水平面上又はほぼ同一水平面上に位置される平板により形成される。
覆い部10の長手方向と直交する方向の幅の寸法W1は、間隙6の寸法W2よりも長い寸法に形成される。
そして、覆い部10の長手方向と直交する方向の他端(終端)10e側は、板面(下面)10uが床部2の上面2tに載置されて床部2に取付けられる取付部19に形成される。
【0012】
支持部20は、覆い部10の長手方向と直交する方向の一端10aより壁4の壁面5に沿って下方に延長した後に床部2の端面3に向けて覆い部10に近づく方向に延長するように設けられて耐火材7を支持する板材により形成される。
具体的には、支持部20は、覆い部10の長手方向と直交する方向の一端10aより壁4の壁面5に沿って下方に延長する平板により形成された側板部21と、側板部21の下端21uより床部2の端面3に向けて覆い部10に近づく方向に延長する平板により形成された底板部22とを備える。
側板部21は、板面が、覆い部10の板面に対して直角をなす面となる平板により形成される。
底板部22は、板面が、側板部21の板面に対して90°よりも小さい角度α(鋭角)をなす面となる平板により形成される。
さらに、底板部22は、延長端(終端)22eが、床部2の端面3と接触しないように形成される。
【0013】
層間耐火材支持具1は、例えばスチール等の金属薄板を板曲げ加工することにより形成される。
金属薄板を板曲げ加工することにより形成された層間耐火材支持具1によれば、薄板のばね効果(スプリングバック効果)により、床部2や壁4の動きに追従できるようになる。
【0014】
図2に基づいて、層間耐火材部材9の設置方法を説明する。
図2(a)に示すように、層間耐火材支持具1の覆い部10の長手方向と直交する他端(終端)10eと支持部20の延長端(終端)となる底板部22の延長端22eとの間の開口8aから、覆い部10と支持部20(側板部21と底板部22)とで囲まれた耐火材収容部8の収容空間Sに、耐火材7を押し込んで挿入することにより、図2(b)に示すように、耐火材収容部8に耐火材7が収容された層間耐火材部材9が構成される。
そして、図2(c)に示すように、当該層間耐火材部材9の支持部20を間隙6の上方から間隙6に挿入し、覆い部10の取付部19の板面(下面)10uと床部2の上面2tとを糊などの接着剤で接着することにより、層間耐火材部材9が間隙6を覆うように設置される。
即ち、覆い部10の長手方向と直交する方向の他端(終端)10e側が取付部19として床部2の上面2tに載置されて床部2に取付けられる。
【0015】
実施形態1に係る層間耐火材支持具1によれば、覆い部と支持部とを備えた耐火材収容部と、取付部とを備えた長尺な一体物であるので、設置の際の作業を容易に行え、かつ、薄板のばね効果(スプリングバック効果)により、振動時等において床部2や壁4の動きに追従でき、かつ、強度において優れた層間耐火材支持具1となる。
また、間隙6を塞ぐとともに耐火材7の上側を覆う覆い部10を備えているので、上方側から耐火材7が目視されず、かつ、耐火材7の上にゴミや埃が溜ってしまうことを防止できる。
また、覆い部10を形成する平板の板面上を掃除すればよいので、掃除も容易な層間耐火材支持具1となる。
また、覆い部10の板面(下面)10uが床部2の上面2tと同一平面上に位置される構成としたので、見栄えの良好な見切り材として機能させることができるようになるとともに、掃除もより容易になる。
また、耐火材収容部8は、支持部20の延長端22eと覆い部10との間に開口8aが形成された構成としたので、当該開口8aを介して耐火材7を耐火材収容部8の収容空間Sに容易に挿入することができるようになり、耐火材収容部8に耐火材7が収容された層間耐火材部材9を容易に製作できるようになる。
【0016】
実施形態2
図3に示すように、覆い部10が、床部2の端面3及び上面2tよりも上方、即ち、端面3と上面2tとの境界縁32よりも上方に位置するように構成された層間耐火材支持具1としてもよい。
この場合、覆い部10は、床部2の端面3の長手方向及び上下方向に延長する平板により形成された床部側側板11における床部2の端面3よりも上方に位置される上部分12と、当該上部分12の上端12tより壁面5に近づく方向に延長する平板により形成された上板13と、当該上板13の延長端13aより壁面5に沿って下方に延長する平板により形成された壁側側板14とで構成される。
そして、支持部20は、床部側側板11における床部2の端面3と対向する平板により形成された下部分25と、下部分25の下端25uより壁面5に向けて覆い部10に近づく方向に延長する平板により形成された底板部26とを備えて構成される。
底板部26は、板面が、下部分25の板面に対して90°よりも小さい角度α(鋭角)をなす面となる平板により形成される。
また、底板部26は、延長端(終端)26eが、壁面5と接触しないように形成される。
【0017】
即ち、実施形態2に係る層間耐火材支持具1の耐火材収容部8は、床部2の端面3よりも上方に位置されて床部2の端面3の長手方向に沿って延長して間隙6の上側開口6aを塞ぐとともに耐火材7の上側を覆う覆い部10と、覆い部10の長手方向と直交する方向の一端となる上部分12の下端12u(上部分12と下部分25との境界)より床部2の端面3に沿って下方に延長した後に壁面5に向けて覆い部10に近づく方向に延長するように設けられて耐火材7を支持する支持部20とを備えた構成とした。
【0018】
実施形態2の層間耐火材支持具1は、支持部20を間隙6の上方から間隙6に挿入し、壁側側板14の板面と壁面5とを面接触させた状態でビスなどの固定手段18を、床部2の端面3よりも上方に位置させた覆い部10の上部分12、耐火材7、壁側側板14に貫通させて壁4にねじ込むことにより、壁4に取付けられる。
即ち、覆い部10の長手方向と直交する方向の他端側となる壁側側板14が取付部19として機能して壁4に取付けられる構成とした。
【0019】
実施形態2の層間耐火材支持具1によれば、実施形態1と同じ効果が得られるともに、覆い部10が、床部2の端面3よりも上方に位置される構成としたので、覆い部10を巾木のように機能させることができるという効果が得られる。
【0020】
実施形態3
実施形態2の変形例として、図4に示すように、覆い部10が、床部2の端面3の長手方向及び上下方向に延長する平板により形成された床部側側板11における床部2の端面3よりも上方に位置される上部分12と、当該上部分12の上端12tより壁面5に近づく方向に延長する平板により形成された上板13と、当該上板13の延長端13aより壁面5に沿って上方に延長する平板により形成された壁側側板15とを備えて構成され、取付部となる壁側側板15の板面と壁面5とを面接触させた状態でビスなどの固定手段18を、壁側側板15に貫通させて壁4にねじ込むことにより、壁4に取付けられるように構成された層間耐火材支持具1としてもよい。
即ち、実施形態3の層間耐火材支持具1は、覆い部10の長手方向と直交する方向の他端側となり、上板13の延長端13aより壁面5に沿って上方に延長するように設けられた壁側側板15が、取付部として機能して壁4に取付けられる構成とした。
つまり、実施形態3の層間耐火材支持具1は、実施形態2の層間耐火材支持具1の壁側側板14の代わりに壁側側板15を備えた構成としたものである。
実施形態3の層間耐火材支持具1によれば、実施形態2と同じ効果が得られる。
【0021】
実施形態4
実施形態3の変形例として、図5に示すように、実施形態3と同じ構成の層間耐火材支持具1の壁側側板15の板面と壁面5とを面接触させた状態でビスなどの固定手段18を、壁側側板14Aに貫通させて壁4にねじ込むことにより、壁4に取付けられた状態において、覆い部10の上板13の板面としての上面13tと床部2の上面2tとが同一水平面上に位置されるように構成された層間耐火材支持具1としてもよい。
実施形態4の層間耐火材支持具1によれば、実施形態1と同じ効果が得られる。
【0022】
実施形態5
実施形態1の変形例として、覆い部10の長手方向と直交する方向の他端(終端)側が取付部19として床部2の上面2tに載置されて床部2に取付けられる構成において、覆い部10が、床部2の端面3よりも上方に位置される構成の層間耐火材支持具1としてもよい。
即ち、この場合、図6に示すように、覆い部10は、床部2の端面3の長手方向及び上下方向に延長する平板により形成されて板面が床部2の端面3よりも上方に位置される上板31と、当該上板31の他端31aより下方に延長して下端33uが床部2の端面3と上面2tとの境界縁32近傍の上面2tに接触する平板により形成された側板33と、側板33の下端33uから床部2の上面2tに沿って延長する平板により形成された水平板34とを備えて構成される。
そして、支持部20は、上板31の一端31cより壁面5に沿って下方に延長する平板により形成された側板部35と、側板部35の下端35uより床部2の端面3に向けて覆い部10に近づく方向に延長する平板により形成された底板部36とを備えて構成される。
底板部36は、板面が、側板部35の板面に対して90°よりも小さい角度α(鋭角)をなす面となる平板により形成される。
また、底板部36は、延長端(終端)36eが、床部2の端面3と接触しないように形成される。
【0023】
即ち、実施形態2に係る層間耐火材支持具1は、耐火材収容部8が、床部2の端面3の長手方向に沿って延長して床部2の端面3よりも上方に位置されて間隙6の上側開口を塞ぐとともに耐火材7の上側を覆う覆い部10と、覆い部10の長手方向と直交する方向の一端となる上板31の一端31cより壁面5に沿って下方に延長した後に床部2の端面3に向けて覆い部10に近づく方向に延長するように設けられて耐火材7を支持する支持部20とを備え、覆い部10の長手方向と直交する方向の他端側となる水平板34が取付部19として機能して床部2に取付けられる構成とした。
実施形態5の層間耐火材支持具1によれば、実施形態2と同じ効果が得られる。
【0024】
実施形態6
例えば、図7乃至図9に示すように、耐火材収容部8と取付部19とを備えた層間耐火材支持具1において、耐火材7を収容する耐火材収容部8が、覆い部10と支持部20とを備え、支持部20の延長端20eが覆い部10に接触又は接続された構成としてもよい。
換言すれば、層間耐火材支持具1の長手方向と直交する断面において、耐火材7が収容される耐火材収容部8の収容空間は、長手方向の両端開口以外が閉塞された構成としてもよい。
実施形態6の層間耐火材支持具1によれば、耐火材収容部8の長手方向の両端開口を介して耐火材収容部8の収容空間内に耐火材7を挿入することにより、層間耐火材部材9が構成される。
【0025】
この場合、耐火材収容部8における長手方向と直交する断面形状としては、図7に示すような台形形状、図8に示すような半楕円形形状、図9に示すような楕円形形状等、どのような形状であっても構わない。
尚、図7乃至図9では、実施形態1の層間耐火材支持具1の形態において耐火材収容部8の断面形状を変更した例を示したが、実施形態2乃至実施形態5の層間耐火材支持具1の形態において耐火材収容部8の断面形状を図7乃至図9等に示したように変更してもよいことはもちろんである。
実施形態6の層間耐火材支持具1によれば、耐火材7に火が直接届き難くなるので、耐火性能を向上できる。
【0026】
尚、取付部19を床部2にビスなどの固定手段18で取付けるようにしてもよいし、取付部19を壁4に接着剤で取付けるようにしてもよい。
【0027】
また、支持部20は、覆い部の長手方向と直交する方向の一端より下方に延長する平板(例えば側板部21)と、当該平板の下端より床部2の端面3又は壁面5に向けて延長する平板(例えば底板部22)とを備えた構成であればよい。即ち、支持部20を構成する当該平板と平板とのなす角度αは、90度°以上(鈍角)であってもよい。
【0028】
また、層間耐火材支持具1は、金属以外の例えばセラミック等の耐火性を有した材料ににより形成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 層間耐火材支持具、2 床部、3 床部の端面、4 壁、5 壁面、6 間隙、
7 耐火材、8 耐火材収容部、10 覆い部、19 取付部、20 支持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9