(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20230201BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
F04C18/02 311X
F04C29/12 A
F04C29/12 F
(21)【出願番号】P 2021558789
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 KR2020004133
(87)【国際公開番号】W WO2021015392
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0089758
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ジョン キ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-129467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0010417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
F04C 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に備えられるモータと、
前記モータによって回転する回転軸と、
前記回転軸に連動して旋回運動する旋回スクロールと、
前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールと、を含み、
前記ハウジングは、前記回転軸が貫通するセンターハウジングと、前記モータが収容されるモータ収容空間を形成するフロントハウジングと、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室、前記吐出室の冷媒を前記ハウジングの外部に案内する吐出ポート、前記ハウジングの外部から中間圧の冷媒が導入される導入ポート、および前記導入ポートを通して導入される冷媒を収容する導入室を有するリヤハウジングと、を含み、
前記固定スクロールは、前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入口を含
み、
前記リヤハウジングは前記導入室を形成する第3環状壁を含み、
前記第3環状壁は、前記固定スクロールから離隔して形成され、
前記第3環状壁の先端面には、前記導入室と前記注入口との間を連通、および遮蔽させる注入バルブ組立体が形成される、ことを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記リヤハウジングは、一体に形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項3】
前記導入室の少なくとも一部は、前記吐出室に収容されるように形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項4】
前記リヤハウジングは、
前記センターハウジングと締結され、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとが収容されるスクロール収容空間を形成する第1環状壁と、
前記第1環状壁に収容され前記吐出室を形成する第2環状壁
をさらに含み、
前記第3環状壁は前記第2環状壁に収容され
る、ことを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
【請求項5】
前記第1環状壁、前記第2環状壁、および前記第3環状壁は、互いに異なる高さを有する、ことを特徴とする請求項4に記載のスクロール圧縮機。
【請求項6】
前記第2環状壁は、前記固定スクロールの固定鏡板の外周部に接触して形成され、
前記第2環状壁は、前記リヤハウジングが前記センターハウジングに締結される時、前記固定スクロールを前記センターハウジングの側に加圧する、ことを特徴とする請求項4に記載のスクロール圧縮機。
【請求項7】
前記注入バルブ組立体は、
前記導入室と連通する流入口を有し前記導入室を覆蓋するカバープレートと、
前記流入口を開閉する注入バルブと、
前記注入バルブのリテーナの役割をし、前記流入口を通して流入する冷媒を収容する傾斜空間、および前記傾斜空間の冷媒を前記注入口の側に案内する流出口を有するバルブプレートと、を含む、ことを特徴とする請求項
1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項8】
前記固定スクロールは、前記圧縮室の冷媒を前記吐出室に吐出する吐出口を含み、
前記注入バルブ組立体と前記固定スクロールとの間に前記吐出口を開閉する吐出バルブが形成される、ことを特徴とする請求項
1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項9】
前記注入口に案内される冷媒は、前記第3環状壁と前記注入バルブ組立体を介して前記吐出室の冷媒と熱交換される、ことを特徴とする請求項
1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項10】
前記吐出ポートの少なくとも一部は、前記導入室に収容されるように形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項11】
前記導入室の冷媒は、前記導入室に収容された前記吐出ポートの壁部を介して前記吐出ポートの冷媒と熱交換される、ことを特徴とする請求項
10に記載のスクロール圧縮機。
【請求項12】
前記導入ポートの少なくとも一部は、前記吐出室に収容されるように形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項13】
前記導入ポートの冷媒は、前記吐出室に収容された前記導入ポートの壁部を介して前記吐出室の冷媒と熱交換される、ことを特徴とする請求項
12に記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール圧縮機に係り、より詳細には、固定スクロールと旋回スクロールで冷媒を圧縮できるようにしたスクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車には室内の冷暖房のための空調装置(Air Conditioning;A/C)が設けられる。このような空調装置は、冷房システムの構成として、蒸発器から引込まれた低温低圧の気相冷媒を高温高圧の気相冷媒に圧縮させて凝縮器に送る圧縮機を備えている。
【0003】
圧縮機には、ピストンの往復運動によって冷媒を圧縮する往復式と、回転運動をしながら圧縮を行う回転式とがある。前記往復式には、動力の伝達方式によって、クランクを用いて複数のピストンに動力を伝達するクランク式、仕板が設けられたシャフトに動力を伝達する仕板式などがあり、前記回転式には、回転するロータリ軸とベーンとを用いるベーンロータリ式、旋回スクロールと固定スクロールとを用いるスクロール式がある。
【0004】
スクロール圧縮機は、他の種類の圧縮機に比べて相対的に高い圧縮比が得られ、かつ、冷媒の吸入、圧縮、吐出行程がスムーズにつながり、安定したトルクが得られるという利点のため、空調装置などで冷媒圧縮用に広く用いられている。
【0005】
図1は、従来のスクロール圧縮機を示す断面図である。
図1を参照すれば、従来のスクロール圧縮機は、ハウジング100と、ハウジング100内に備えられるモータ200と、モータ200によって回転する回転軸300と、回転軸300に連動して旋回運動する旋回スクロール400と、旋回スクロール400と共に圧縮室Cを形成する固定スクロール500と、を含む。
【0006】
このような構成による従来のスクロール圧縮機は、モータ200に電源が印加されると、回転軸300がモータ200の回転子と共に回転し、旋回スクロール400が回転軸300に連動して旋回運動し、このような旋回スクロール400の旋回運動によって、冷媒は圧縮室Cに吸入され、圧縮室Cで圧縮され、圧縮室Cから吐出される一連の過程が繰り返される。
【0007】
しかし、このような従来のスクロール圧縮機においては、圧縮室Cから吐出される冷媒吐出量が定められていて、圧縮機の性能、および効率の向上に限界がある問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させて、圧縮機の性能、および効率を向上させることができるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、ハウジングと、前記ハウジング内に備えられるモータと、前記モータによって回転する回転軸と、前記回転軸に連動して旋回運動する旋回スクロールと、前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールと、を含み、前記ハウジングは、前記回転軸が貫通するセンターハウジングと、前記モータが収容されるモータ収容空間を形成するフロントハウジングと、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室、前記吐出室の冷媒を前記ハウジングの外部に案内する吐出ポート、前記ハウジングの外部から中間圧の冷媒が導入される導入ポート、および前記導入ポートを通して導入される冷媒を収容する導入室を有するリヤハウジングと、を含み、前記固定スクロールは、前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入口を含むスクロール圧縮機を提供する。
【0010】
前記リヤハウジングは、一体に形成される。
【0011】
前記導入室の少なくとも一部は、前記吐出室に収容されるように形成される。
【0012】
前記リヤハウジングは、前記センターハウジングと締結され、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとが収容されるスクロール収容空間を形成する第1環状壁と、前記第1環状壁に収容され前記吐出室を形成する第2環状壁と、前記第2環状壁に収容され前記導入室を形成する第3環状壁と、を含むことができる。
【0013】
前記第1環状壁、前記第2環状壁、および前記第3環状壁は、互いに異なる高さを有するように形成される。
【0014】
前記第2環状壁は、前記固定スクロールの固定鏡板の外周部に接触して形成され、前記第2環状壁は、前記リヤハウジングが前記センターハウジングに締結される時、前記固定スクロールを前記センターハウジングの側に加圧するように形成される。
【0015】
前記第3環状壁は、前記固定スクロールから離隔して形成される。
【0016】
前記第3環状壁の先端面には、前記導入室と前記注入口との間を連通、および遮蔽させる注入バルブ組立体が形成される。
【0017】
前記注入バルブ組立体は、前記導入室と連通する流入口を有し前記導入室を覆蓋するカバープレートと、前記流入口を開閉する注入バルブと、前記注入バルブのリテーナの役割をし、前記流入口を通して流入する冷媒を収容する傾斜空間、および前記傾斜空間の冷媒を前記注入口の側に案内する流出口を有するバルブプレートと、を含むことができる。
【0018】
前記固定スクロールは、前記圧縮室の冷媒を前記吐出室に吐出する吐出口を含み、前記注入バルブ組立体と前記固定スクロールとの間に前記吐出口を開閉する吐出バルブが形成される。
【0019】
前記注入口に案内される冷媒は、前記第3環状壁と前記注入バルブ組立体を介して前記吐出室の冷媒と熱交換される。
【0020】
前記吐出ポートの少なくとも一部は、前記導入室に収容されるように形成される。
【0021】
前記導入室の冷媒は、前記導入室に収容された前記吐出ポートの壁部を介して前記吐出ポートの冷媒と熱交換される。
【0022】
前記導入ポートの少なくとも一部は、前記吐出室に収容されるように形成される。
【0023】
前記導入ポートの冷媒は、前記吐出室に収容された前記導入ポートの壁部を介して前記吐出室の冷媒と熱交換される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるスクロール圧縮機は、ハウジングと、前記ハウジング内に備えられるモータと、前記モータによって回転する回転軸と、前記回転軸に連動して旋回運動する旋回スクロールと、前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールと、を含み、前記ハウジングは、前記回転軸が貫通するセンターハウジングと、前記モータが収容されるモータ収容空間を形成するフロントハウジングと、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室、前記吐出室の冷媒を前記ハウジングの外部に案内する吐出ポート、前記ハウジングの外部から中間圧の冷媒が導入される導入ポート、および前記導入ポートを通して導入される冷媒を収容する導入室を有するリヤハウジングと、を含み、前記固定スクロールは、前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入口を含むことにより、圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させて、圧縮機の性能、および効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来のスクロール圧縮機を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施例によるスクロール圧縮機を示す断面図である。
【
図3】
図2のスクロール圧縮機におけるリヤハウジング側を他の方向から示す断面図である。
【
図5】
図2のスクロール圧縮機におけるリヤハウジングを示す正面図である。
【
図8】
図7のリヤハウジングに収容される部品を示す分解斜視図である。
【
図9】
図8の部品のうち注入バルブ組立体を示す分解斜視図である。
【
図10】
図9の注入バルブ組立体におけるカバープレートの背面を示す斜視図である。
【
図11】
図9の注入バルブ組立体におけるバルブプレートの背面を示す斜視図である。
【
図13】
図8の部品のうち固定スクロール、および吐出バルブを示す正面図である。
【
図16】
図13の注入口の開閉動作を説明するために、回転軸の回転角が第1角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図である。
【
図17】
図13の注入口の開閉動作を説明するために、回転軸の回転角が第2角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図である。
【
図18】
図13の注入口の開閉動作を説明するために、回転軸の回転角が第3角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図である。
【
図19】
図13の注入口の開閉動作を説明するために、回転軸の回転角が第4角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図である。
【
図21】本発明の他の実施例によるスクロール圧縮機における注入バルブ組立体を示す分解斜視図である。
【
図22】
図21の注入バルブとバルブプレートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明によるスクロール圧縮機を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図2は、本発明の一実施例によるスクロール圧縮機を示す断面図であり、
図3は、
図2のスクロール圧縮機におけるリヤハウジング側を他の方向から示す断面図であり、
図4は、
図3のA部分を拡大して示す断面図であり、
図5は、
図2のスクロール圧縮機におけるリヤハウジングを示す正面図であり、
図6は、
図5の背面図であり、
図7は、
図6の斜視図であって、リヤハウジングの一部を切開して示す斜視図であり、
図8は、
図7のリヤハウジングに収容される部品を示す分解斜視図であり、
図9は、
図8の部品のうち注入バルブ組立体を示す分解斜視図であり、
図10は、
図9の注入バルブ組立体におけるカバープレートの背面を示す斜視図であり、
図11は、
図9の注入バルブ組立体におけるバルブプレートの背面を示す斜視図であり、
図12は、
図9のI-I線に沿った斜視図であり、
図13は、
図8の部品のうち固定スクロール、および吐出バルブを示す正面図であり、
図14は、
図13の背面図であり、
図15は、
図13のII-II線に沿った斜視図である。
【0028】
そして、
図16~
図19は、
図13の注入口の開閉動作を説明するための断面図であって、
図16は、回転軸の回転角が第1角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図であり、
図17は、回転軸の回転角が第2角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図であり、
図18は、回転軸の回転角が第3角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図であり、
図19は、回転軸の回転角が第4角度の時の、固定ラップ、旋回ラップ、および注入口を示す断面図である。
そして、
図20は、
図13の注入口の開閉時期を示す図表である。
【0029】
図2~
図20を参照すれば、本発明の一実施例によるスクロール圧縮機は、ハウジング100と、ハウジング100内に備えられるモータ200と、モータ200によって回転する回転軸300と、回転軸300に連動して旋回運動する旋回スクロール400と、旋回スクロール400と共に圧縮室Cを形成する固定スクロール500と、を含むことができる。
【0030】
そして、本実施例によるスクロール圧縮機は、ハウジング100の外部(スクロール圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、および蒸発器を含む蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、例えば、凝縮器の下流)から中間圧の冷媒を前記圧縮室Cに案内する注入流路と、前記注入流路を開閉する注入バルブ組立体700と、をさらに含むことができる。
【0031】
ここで、前記注入流路は、後述する導入ポート133、導入室I、流入口712、傾斜空間734、連結流路738、流出口736、および注入口514を含めてリヤハウジング130から固定スクロール500まで延長形成され、注入バルブ組立体700は、後述する流入口712と、傾斜空間734と、連結流路738と、流出口736と、を含み、リヤハウジング130と固定スクロール500との間に介在できる。
【0032】
具体的には、ハウジング100は、
図2に示すように、回転軸300が貫通するセンターハウジング110と、センターハウジング110と共にモータ200が収容されるモータ収容空間S1を形成するフロントハウジング120と、センターハウジング110と共に旋回スクロール400と固定スクロール500とが収容されるスクロール収容空間S2を形成するリヤハウジング130と、を含むことができる。
【0033】
センターハウジング110は、モータ収容空間S1とスクロール収容空間S2とを区画し、旋回スクロール400、および固定スクロール500を支持するセンター鏡板112と、センター鏡板112の外周部からフロントハウジング120側に突出するセンター側板114と、を含むことができる。
【0034】
センター鏡板112は、略円板状に形成され、センター鏡板112の中心部には、回転軸300の一端部が貫通する軸受孔112aと、旋回スクロール400を固定スクロール500側に加圧する背圧室112bと、が形成される。ここで、回転軸300の一端部には、回転軸300の回転運動を旋回スクロール400の旋回運動に転換させる偏心ブッシュ310が形成され、背圧室112bは、偏心ブッシュ310が回転可能な空間を提供したりする。
【0035】
そして、センター鏡板112の外周部には、後述のように、モータ収容空間S1に流入する冷媒をスクロール収容空間S2に案内する吸入流路(図示せず)が形成される。
【0036】
フロントハウジング120は、センター鏡板112に対向し回転軸300の他端部を支持するフロント鏡板122と、フロント鏡板122の外周部から突出しセンター側板114と締結され、モータ200を支持するフロント側板124と、を含むことができる。
【0037】
ここで、センター鏡板112、センター側板114、フロント鏡板122、およびフロント側板124がモータ収容空間S1を形成することができる。
【0038】
そして、フロント側板124には、外部から吸入圧の冷媒をモータ収容空間S1に案内する吸入ポート(図示せず)が形成される。
【0039】
リヤハウジング130は、
図2、
図3、および
図5~
図8に示すように、圧縮室Cから吐出される冷媒を収容する吐出室Dと、吐出室Dの冷媒をハウジング100の外部に案内する吐出ポート131と、ハウジング100の外部から中間圧の冷媒が導入される導入ポート133と、導入ポート133を通して導入される冷媒を収容する導入室I、とを含み、導入室Iの少なくとも一部は、吐出室Dに収容され、吐出ポート131の少なくとも一部は、前記導入室Iに収容され、前記導入ポート133の少なくとも一部は、吐出室Dに収容されるように形成される。
【0040】
具体的には、リヤハウジング130は、センター鏡板112に対向するリヤ鏡板132と、リヤ鏡板132から突出しリヤハウジング130の円周方向上の最外郭側に位置する第1環状壁134と、リヤ鏡板132から突出し第1環状壁134に収容される第2環状壁136と、リヤ鏡板132から突出し第2環状壁136に収容される第3環状壁138と、を含み、第1環状壁134、第2環状壁136、および第3環状壁138は、互いに異なる高さを有するように形成される。
【0041】
第1環状壁134は、センター鏡板112の外周部と略同等水準の直径を有する環状に形成され、センター鏡板112の外周部に締結され、スクロール収容空間S2を形成することができる。
【0042】
第2環状壁136は、第1環状壁134より小さい直径を有する環状に形成され、後述する固定鏡板510の外周部に接触し、吐出室Dを形成することができる。
【0043】
ここで、第2環状壁136は、後述する固定鏡板510に接触して形成されることにより、リヤハウジング130がセンターハウジング110に締結される時、固定スクロール500をセンターハウジング110側に加圧して固定スクロール500とセンターハウジング110との間の締結力を向上させ、固定スクロール500とセンターハウジング110との間の漏洩を防止することができる。
【0044】
第3環状壁138は、第2環状壁136より小さい直径を有する環状に形成され、後述する固定鏡板510から離隔し、後述するカバープレート710によって覆蓋されて、導入室Iを形成することができる。
【0045】
そして、第3環状壁138は、注入バルブ組立体700を第3環状壁138に締結させるための締結ボルト770が挿入される締結溝138aと、後述するカバープレート710、注入バルブ720、およびバルブプレート730を予め決定された位置に整列させるための位置決めピン780が挿入される第1位置決め溝138bと、を含むことができる。
【0046】
リヤ鏡板132には吐出ポート131が形成されるが、吐出ポート131は、リヤ鏡板132の中心部からリヤ鏡板132の外周部一側にリヤ鏡板132の半径方向に延長形成される。
【0047】
そして、リヤ鏡板132には、吐出室Dの冷媒を吐出ポート131に案内する吐出ポート入口131aが形成される。
【0048】
一方、吐出ポート131の内部には、冷媒からオイルを分離させる管状のオイルセパレータ(図示せず)が備えられ、オイルセパレータ(図示せず)は、吐出ポート入口131aに流入した冷媒がオイルセパレータ(図示せず)の外周面と吐出ポート131の内周面との間の空間に沿ってリヤ鏡板132の中心側に流動した後、転向されて、オイルセパレータ(図示せず)の内周部に沿ってリヤ鏡板132の外周部一側に吐出される過程でオイルと分離されるように形成される。
【0049】
そして、リヤ鏡板132には導入ポート133も形成されるが、導入ポート133は、リヤ鏡板132の外周部他側からリヤ鏡板132の中心部にリヤ鏡板132の半径方向に延長形成され、導入室Iと連通可能である。
【0050】
ここで、第3環状壁138が第2環状壁136に収容されるように形成されることにより、そして第3環状壁138が後述する固定鏡板510と離隔し注入バルブ組立体700によって覆蓋されることにより、導入室Iの少なくとも一部が吐出室Dに収容できる。すなわち、導入室Iの側部が第3環状壁138を挟んでリヤハウジング130の半径方向に吐出室Dと重畳して形成され、導入室Iの先端部が注入バルブ組立体700を挟んでリヤハウジング130の軸方向に吐出室Dと重畳して形成される。
【0051】
そして、吐出ポート131がリヤ鏡板132の中心部からリヤ鏡板132の外周部一側にリヤ鏡板132の半径方向に延長形成されることにより、吐出ポート131の少なくとも一部が導入室Iに収容できる。すなわち、吐出ポート131の少なくとも一部が吐出ポート131の壁部を挟んでリヤハウジング130の軸方向に導入室Iと重畳して形成される。
【0052】
そして、導入ポート133がリヤ鏡板132の外周部他側からリヤ鏡板132の中心部にリヤ鏡板132の半径方向に延長形成されることにより、導入ポート133の少なくとも一部が吐出室Dに収容できる。すなわち、導入ポート133の少なくとも一部が導入ポート133の壁部を挟んでリヤハウジング130の軸方向に吐出室Dと重畳して形成される。
【0053】
一方、吐出ポート131と導入ポート133は、吐出ポート131の冷媒と導入ポート133の冷媒とが互いにクロスフロー方向に流動するように形成される。すなわち、リヤハウジング130の中心を基準として吐出ポート131の出口と導入ポート133の入口との間の角度が0度以上90度未満に形成される。
【0054】
モータ200は、
図2に示すように、フロント側板124に固定される固定子210と、固定子210の内部において固定子210との相互作用で回転する回転子220と、を含むことができる。
【0055】
回転軸300は、
図2に示すように、回転子220に締結されかつ、回転子220の中心部を貫通して回転軸300の一端部がセンター鏡板112の軸受孔112aを貫通し、回転軸300の他端部がフロント鏡板122に支持される。
【0056】
旋回スクロール400は、
図2、
図16~
図19に示すように、センター鏡板112と固定スクロール500との間に介在し、円板状の旋回鏡板410と、旋回鏡板410の中心部から固定スクロール500側に突出する旋回ラップ420と、旋回鏡板410の中心部から旋回ラップ420の反対側に突出し偏心ブッシュ310と締結されるボス部430と、を含むことができる。
【0057】
固定スクロール500は、
図2~
図4、
図8、
図13~
図19に示すように、円板状の固定鏡板510と、固定鏡板510の中心部から突出し旋回ラップ420と噛合する固定ラップ520と、固定鏡板510の外周部から突出しセンター鏡板112に締結される固定側板530と、を含むことができる。
【0058】
固定鏡板510は、圧縮室Cの冷媒を吐出室Dに吐出する吐出口512と、注入バルブ組立体700から吐出される冷媒を圧縮室Cに案内する注入口514と、を含むことができる。
【0059】
吐出口512は、冷媒が過圧縮されるのを防止するように複数形成され、複数の吐出口512は、固定鏡板510と注入バルブ組立体700との間に介在する吐出バルブ600によって開閉可能である。
【0060】
具体的には、圧縮室Cは、スクロール収容空間S2の半径方向上の円心側に位置し、冷媒の圧力が第1圧力範囲である第1圧縮室C1と、第1圧縮室C1よりスクロール収容空間S2の半径方向上の求心側に位置し、冷媒の圧力が第1圧力範囲より高い第2圧力範囲である第2圧縮室C2と、第2圧縮室C2よりスクロール収容空間S2の半径方向上の求心側に位置し、冷媒の圧力が第2圧力範囲より高い第3圧力範囲である第3圧縮室C3と、を含み、第1圧縮室C1、第2圧縮室C2、および第3圧縮室C3は、それぞれ一対で形成される。
【0061】
すなわち、第1圧縮室C1は、旋回ラップ420の外周面と固定ラップ520の内周面とによって形成される第1外側圧縮室C11と、旋回ラップ420の内周面と固定ラップ520の外周面とによって形成される第1内側圧縮室C12と、を含むことができる。
【0062】
そして、第2圧縮室C2は、旋回ラップ420の外周面と固定ラップ520の内周面とによって形成される第2外側圧縮室C21と、旋回ラップ420の内周面と固定ラップ520の外周面とによって形成される第2内側圧縮室C22と、を含むことができる。
【0063】
そして、第3圧縮室C3は、旋回ラップ420の外周面と固定ラップ520の内周面とによって形成される第3外側圧縮室C31と、旋回ラップ420の内周面と固定ラップ520の外周面とによって形成される第3内側圧縮室C32と、を含むことができる。
【0064】
この時、吐出口512は、第3外側圧縮室C31と第3内側圧縮室C32の冷媒を吐出するように、固定鏡板510の中心側に形成されるメイン吐出口512aと、第2外側圧縮室C21の冷媒を吐出するように、メイン吐出口512aを基準として固定鏡板510の半径方向外側に形成される第1サブ吐出口512bと、第2内側圧縮室C22の冷媒を吐出するように、メイン吐出口512aを基準として固定鏡板510の半径方向外側に形成されかつ、メイン吐出口512aを基準として第1サブ吐出口512bの反対側に形成される第2サブ吐出口512cと、を含むことができる。
【0065】
そして、吐出バルブ600は、メイン吐出口512aを開閉するメイン開閉部610と、第1サブ吐出口512bを開閉する第1サブ開閉部630と、第2サブ吐出口512cを開閉する第2サブ開閉部650と、固定鏡板510に締結される締結部670と、メイン開閉部610から締結部670まで延びるメイン支持部620と、第1サブ開閉部630から締結部670まで延びる第1サブ支持部640と、第2サブ開閉部650から締結部670まで延びる第2サブ支持部660と、を含むことができる。
【0066】
ここで、第3外側圧縮室C31と第3内側圧縮室C32の圧力が吐出圧水準に達すると、メイン開閉部610がメイン吐出口512aを開放するが、第2外側圧縮室C21の圧力が前記第2圧力範囲を超える場合、第1サブ開閉部630が第1サブ吐出口512bを開放して第2外側圧縮室C21の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に低下させ、第2内側圧縮室C22の圧力が第2圧力範囲を超える場合、第2サブ開閉部650が第2サブ吐出口512cを開放して第2内側圧縮室C22の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に低下させて、メイン吐出口512aから吐出される冷媒の圧力が吐出圧より過度に高くなるのを防止することができる。すなわち、過圧縮が防止できる。
【0067】
一方、第1サブ吐出口512bと第2サブ吐出口512cは、第2外側圧縮室C21と第2内側圧縮室C22との間の圧力不均衡が発生しないように、第2外側圧縮室C21、および第2内側圧縮室C22と同時に連通して形成される。すなわち、第1サブ吐出口512bと第2外側圧縮室C21との間の連通が開始される時、第2サブ吐出口512cと第2内側圧縮室C22との間の連通が開始されるように形成される。
【0068】
そして、好ましくは、第1サブ吐出口512bと第2サブ吐出口512cは、第2外側圧縮室C21、および第2内側圧縮室C22と同時に遮蔽されるように形成される。すなわち、第1サブ吐出口512bと第2外側圧縮室C21との間の連通が終了する時、第2サブ吐出口512cと第2内側圧縮室C22との間の連通が終了するように形成される。
【0069】
一方、吐出バルブ600は、吐出バルブ600によるコスト、および重量上昇が最小化されるように、メイン開閉部610、第1サブ開閉部630、第2サブ開閉部650、締結部670、メイン支持部620、第1サブ支持部640、および第2サブ支持部660が一体に形成され、締結部670の円周方向の幅が第1サブ開閉部630と第2サブ開閉部650との間の距離より小さく形成され、1つの締結部材680によって固定鏡板510に締結される。ここで、吐出バルブ600が1つの締結部材680によって固定鏡板510に締結されても十分な支持を受けられるように、1つの締結部材680は、相対的に厚さと高さが大きい、後述する固定ラップ初入部532側に締結されることが好ましい。
【0070】
また、吐出バルブ600は、前述のように一体に形成されるだけでなく、締結部670の幅が狭く形成され1つの締結部材680によって固定鏡板510に締結されることにより、設計自由度が低くて、第1サブ支持部640、および第2サブ支持部660の少なくとも1つが注入口514と干渉されうるが、これを防止するために、第1サブ支持部640、および第2サブ支持部660の少なくとも1つは、メイン支持部620側に掘り込み形成される回避部690を含むことができる。
【0071】
注入口514は、圧縮室Cに注入される冷媒の流量増加のために、長孔に形成される。
そして、注入口514は、冷媒が注入口514を通過する過程で圧力損失、および流量損失が発生しないように、断面形状が一定に形成される。すなわち、注入口514の内径は、注入口514の軸方向位置と関係なく予め決定された値で形成される。
【0072】
そして、注入口514は、注入バルブ組立体700から吐出される冷媒を一対の第1圧縮室C1にすべて供給するように複数形成される。すなわち、注入口514は、第1外側圧縮室C11と連通可能な第1注入口514aと、第1内側圧縮室C12と連通可能な第2注入口514bと、を含み、第1注入口514aと第2注入口514bは、第1サブ吐出口512bと第2サブ吐出口512cとを結ぶ仮想の線を基準として互いに反対側に形成される。
【0073】
ここで、注入口514は、第1外側圧縮室C11と第1内側圧縮室C12との間の圧力不均衡が発生しないように、第1外側圧縮室C11、および第1内側圧縮室C12と同時に連通して形成される。すなわち、
図16~
図20に示すように、第1注入口514aと第1外側圧縮室C11との間の連通が開始される時、第2注入口514bと第1内側圧縮室C12との間の連通が開始されるように形成される。
【0074】
そして、好ましくは、注入口514は、第1外側圧縮室C11、および第1内側圧縮室C12と同時に遮蔽されるように形成される。すなわち、
図16~
図20に示すように、第1注入口514aと第1外側圧縮室C11との間の連通が終了する時、第2注入口514bと第1内側圧縮室C12との間の連通が終了するように形成される。
【0075】
一方、固定鏡板510は、注入バルブ組立体700から第1注入口514aと第2注入口514bに冷媒が流動する時、冷媒漏洩が発生しないように、小径部挿入溝516をさらに含むことができる。すなわち、固定鏡板510は、後述する第1小径部732abが挿入される第1小径部挿入溝516aと、後述する第2小径部732bbが挿入される第2小径部挿入溝516bと、をさらに含むことができる。
【0076】
具体的には、固定鏡板510は、注入バルブ組立体700に対向する固定鏡板上面510aと、固定鏡板上面510aの背面をなして旋回スクロール400に対向する固定鏡板下面510bと、を含むことができる。
【0077】
そして、第1小径部挿入溝516aは、固定鏡板上面510aから固定鏡板下面510b側に掘り込み形成され、後述する第1小径部732abが挿入され、第1注入口514aは、固定鏡板下面510bから固定鏡板上面510a側に掘り込み形成され、第1小径部挿入溝516aと連通可能である。
【0078】
そして、第2小径部挿入溝516bは、固定鏡板上面510aから固定鏡板下面510b側に掘り込み形成され、後述する第2小径部732bbが挿入され、第2注入口514bは、固定鏡板下面510bから固定鏡板上面510a側に掘り込み形成され、第2小径部挿入溝516bと連通可能である。
【0079】
ここで、後述する第1小径部732abが第1小径部挿入溝516aに挿入可能に、そして冷媒が注入バルブ組立体700から第1注入口514aに流動する過程で圧力損失、および流量損失が発生しないように、
図4に示すように、後述する第1小径部732abの内径(後述する第1流出口736aの内径)は、第1注入口514aの内径より大きいか等しく形成され、第1小径部挿入溝516aの内径は、後述する第1小径部732abの外径と同等水準に形成される。すなわち、後述する第1小径部732abの外径が後述する第1小径部732abの内径より大きいので、第1小径部挿入溝516aの内径は、第1注入口514aの内径より大きく形成される。
【0080】
そして、後述する第2小径部732bbが第2小径部挿入溝516bに挿入可能に、そして冷媒が注入バルブ組立体700から第2注入口514bに流動する過程で圧力損失、および流量損失が発生しないように、後述する第2小径部732bbの内径(後述する第2流出口736bの内径)は、第2注入口514bの内径より大きいか等しく形成され、第2小径部挿入溝516bの内径は、後述する第2小径部732bbの外径と同等水準に形成される。すなわち、後述する第2小径部732bbの外径が後述する第2小径部732bbの内径より大きいので、第2小径部挿入溝516bの内径は記第2注入口514bの内径より大きく形成される。
【0081】
固定ラップ520は、固定スクロール500の中心側から固定スクロール500の外周部側に、例えば、代数螺旋状に延長形成される。
【0082】
固定側板530は、固定鏡板510の外周部に沿って延びる環状に形成され、一側に固定ラップ520と連結される固定ラップ初入部532を含むことができる。
【0083】
固定ラップ初入部532は、圧縮室Cの冷媒が固定ラップ初入部532を通して漏洩しないように、固定ラップ初入部532の軸方向の高さが固定ラップ520の軸方向の高さと同等水準に形成される。
【0084】
そして、固定ラップ初入部532は、固定ラップ520の支持剛性が向上するように、固定ラップ初入部532の半径方向の厚さが固定ラップ520の半径方向の厚さより厚く形成される。
【0085】
ここで、固定スクロール500の重量、およびコスト節減のために、固定側板530は、固定ラップ初入部532を除いた部位の半径方向の厚さが固定ラップ初入部532の半径方向の厚さより薄く形成される。
【0086】
注入バルブ組立体700は、導入室Iと注入口514との間を連通、および遮蔽させるように、第3環状壁138の先端面に形成される。
【0087】
具体的には、注入バルブ組立体700は、
図2~
図4、および
図8~
図12に示すように、第3環状壁138の先端面に締結されて導入室Iを覆蓋するカバープレート710と、カバープレート710を基準として導入室Iの反対側で前記カバープレート710に締結されるバルブプレート730と、カバープレート710とバルブプレート730との間に介在する注入バルブ720と、を含むことができる。
【0088】
カバープレート710は、導入室I、および第3環状壁138に対向するカバープレート上面710aと、バルブプレート730、および注入バルブ720に対向するカバープレート下面710bと、カバープレート710の中心部においてカバープレート下面710bから掘り込み形成される注入バルブ載置溝710cと、を含むことができる。
【0089】
そして、カバープレート710は、導入室Iと後述する傾斜空間734とを連通させる流入口712と、締結溝138aと連通し締結ボルト770によって貫通する第2締結ホール714と、第1位置決め溝138bに連通し位置決めピン780によって貫通する第1位置決めホール716と、をさらに含むことができる。
【0090】
流入口712は、カバープレート710の中心部に形成され、カバープレート上面710aから前記注入バルブ載置溝710cまでカバープレート710を貫通して形成される。
【0091】
第2締結ホール714は、カバープレート710の外周部に形成され、カバープレート上面710aから前記カバープレート下面710bまで前記カバープレート710を貫通して形成される。
【0092】
第1位置決めホール716は、カバープレート710の半径方向上の流入口712と第2締結ホール714との間に形成され、カバープレート上面710aから注入バルブ載置溝710cまでカバープレート710を貫通して形成される。
【0093】
注入バルブ720は、流入口712を開閉する頭部722と、頭部722を支持する脚部724と、脚部724を支持する周部726と、を含むことができる。
【0094】
頭部722は、外径が流入口712の内径より大きい円板状に形成される。
脚部724は、頭部722から周部726の一側まで一方向に延びた板状に形成される。
周部726は、注入バルブ載置溝710cに収容されながら頭部722と脚部724とを収容する環状に形成される。
【0095】
そして、周部726は、第1位置決めホール716に連通し位置決めピン780によって貫通する第2位置決めホール726aを含むことができる。
【0096】
ここで、注入バルブ720は、注入バルブ720を固定させるための別の締結部材なしに、周部726が注入バルブ載置溝710cと前記バルブプレート730との間で圧着されることによって固定されるように、周部726の軸方向の厚さが注入バルブ載置溝710cの軸方向の深さ(より正確には、注入バルブ載置溝710cの基底面と後述するバルブプレート上面730aとの間の距離)より大きいか等しく形成される。この時、公差によって周部726が注入バルブ載置溝710cとバルブプレート730との間で圧着されない場合を未然に防ぐために、周部726の軸方向の厚さが注入バルブ載置溝710cの軸方向の深さより大きく設計されることが好ましい。
【0097】
バルブプレート730は、カバープレート710、および注入バルブ720に対向するバルブプレート上面730aと、バルブプレート上面730aの背面をなしつつ固定スクロール500に対向するバルブプレート下面730bと、を含むことができる。
【0098】
そして、バルブプレート730は、バルブプレート下面730bから第1注入口514aと第2注入口514b側に突出する突出部732をさらに含むことができる。すなわち、バルブプレート730は、バルブプレート下面730bの一側から第1注入口514a側に突出する第1突出部732aと、バルブプレート下面730bの他側から第2注入口514b側に突出する第2突出部732bと、を含むことができる。
【0099】
そして、バルブプレート730は、注入バルブ720のリテーナの役割をし、流入口712を通して流入する冷媒を収容する傾斜空間734と、第1突出部732aに形成され、第1注入口514aと連通する第1流出口736aと、第2突出部732bに形成され、第2注入口514bと連通する第2流出口736bと、傾斜空間734の冷媒を第1流出口736aに案内する第1連結流路738aと、傾斜空間734の冷媒を第2流出口736bに案内する第2連結流路738bと、をさらに含むことができる。
【0100】
バルブプレート上面730aは、カバープレート下面710b、および注入バルブ720の周部726に接触する平面に形成される。
傾斜空間734は、バルブプレート上面730aから掘り込み形成される。
【0101】
そして、傾斜空間734は、注入バルブ720が流入口712を開放する時、注入バルブ720の頭部722と脚部724とを支持するリテーナ面を含むことができる。
【0102】
第1流出口736aは、第1突出部732aの先端面(より正確には、後述する第1小径部732abの先端面)から掘り込み形成される。
【0103】
第2流出口736bは、第2突出部732bの先端面(より正確には、後述する第2小径部732bbの先端面)から掘り込み形成される。
【0104】
第1連結流路738aは、バルブプレート上面730aから掘り込み形成され、傾斜空間734の一側と前記第1流出口736aとを連通させるように形成される。
【0105】
第2連結流路738bは、バルブプレート上面730aから掘り込み形成され、傾斜空間734の他側と第2流出口736bとを連通させるように形成される。
【0106】
バルブプレート下面730bは、吐出バルブ600が固定鏡板上面510aとバルブプレート下面730bとの間に介在するように、そして吐出口512から吐出される冷媒が吐出室Dに流動できるように、固定鏡板上面510aと離隔して形成される。
【0107】
第1突出部732aは、バルブプレート下面730bの一側から第1注入口514a側に突出する第1大径部732aaと、第1大径部732aaから前記第1注入口514a側にさらに突出する第1小径部732abと、を含むことができる。
【0108】
第1大径部732aaは、第1大径部732aaが第1小径部挿入溝516aに挿入されないように、そして後述する第3シーリング部材760が第1大径部732aaの先端面と固定鏡板上面510aとの間で圧着可能に、第1大径部732aaの外径が第1小径部挿入溝516aの内径より大きく形成される。
【0109】
第1小径部732abは、第1小径部732abが第1小径部挿入溝516aに挿入可能に、第1小径部732abの外径が、第1大径部732aaの外径より小さく、第1小径部挿入溝516aの内径と同等水準に形成される。
【0110】
そして、第1小径部732abは、第1小径部732abの先端面が第1小径部挿入溝516aの基底面に接触しないように、そして第1大径部732aaの先端面と固定鏡板上面510aとの間の間隙が後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さ(固定鏡板上面510aと第1大径部732aaの先端面との間に圧着される前の厚さ)より小さいか等しくなって、後述する第3シーリング部材760が第1大径部732aaの先端面と固定鏡板上面510aとの間で圧着可能に、第1小径部732abの突出長さ(第1大径部732aaの先端面と第1小径部732abの先端面との間の軸方向の距離)が、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さよりは大きく、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さと第1小径部挿入溝516aの軸方向の深さとの合計よりは小さいか等しく形成される。ここで、公差によって後述する第3シーリング部材760が第1大径部732aaの先端面と固定鏡板上面510aとの間で圧着されない場合に備えて、第1小径部732abの突出長さが、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さよりは大きく、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さと第1小径部挿入溝516aの軸方向の深さとの合計よりは小さく設計されることが好ましい。
【0111】
第2突出部732bは、第1突出部732aと類似して形成される。
すなわち、第2突出部732bは、バルブプレート下面730bの他側から第2注入口514b側に突出する第2大径部732baと、第2大径部732baから第2注入口514b側にさらに突出する第2小径部732bbと、を含むことができる。
【0112】
第2大径部732baは、第2大径部732baが第2小径部挿入溝516bに挿入されないように、そして後述する第3シーリング部材760が第2大径部732baの先端面と固定鏡板上面510aとの間で圧着可能に、第2大径部732baの外径が第2小径部挿入溝516bの内径より大きく形成される。
【0113】
第2小径部732bbは、第2小径部732bbが第2小径部挿入溝516bに挿入可能に、第2小径部732bbの外径が、第2大径部732baの外径より小さく、第2小径部挿入溝516bの内径と同等水準に形成される。
【0114】
そして、第2小径部732bbは、第2小径部732bbの先端面が第2小径部挿入溝516bの基底面に接触しないように、そして第2大径部732baの先端面と固定鏡板上面510aとの間の間隙が後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さ(固定鏡板上面510aと第2大径部732baの先端面の間に圧着される前の厚さ)より小さいか等しくなって、後述する第3シーリング部材760が第2大径部732baの先端面と固定鏡板上面510aとの間で圧着可能に、第2小径部732bbの突出長さ(第2大径部732baの先端面と第2小径部732bbの先端面との間の軸方向の距離)が、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さよりは大きく、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さと第2小径部挿入溝516bの軸方向の深さとの合計よりは小さいか等しく形成される。ここで、公差によって後述する第3シーリング部材760が第2大径部732baの先端面と固定鏡板上面510aとの間で圧着されない場合に備えて、第2小径部732bbの突出長さが、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さよりは大きく、後述する第3シーリング部材760の変形前の厚さと第2小径部挿入溝516bの軸方向の深さとの合計よりは小さく設計されることが好ましい。
【0115】
そして、バルブプレート730は、第2締結ホール714に連通するように、そして締結ボルト770によって貫通するように、バルブプレート730の外周部においてバルブプレート上面730aからバルブプレート下面730bまでバルブプレート730を貫通して形成される第1締結ホール739aをさらに含むことができる。
【0116】
そして、バルブプレート730は、第2位置決めホール726aに連通するように、そして位置決めピン780が挿入されるように、バルブプレート上面730aから掘り込み形成される第2位置決め溝739bをさらに含むことができる。
【0117】
ここで、注入バルブ組立体700は、位置決めピン780、第1位置決めホール716、第2位置決めホール726a、第1位置決め溝138b、および第2位置決め溝739bによって整列された後、締結ボルト770、第1締結ホール739a、第2締結ホール714、および締結溝138aによってリヤハウジング130に締結される。すなわち、位置決めピン780の一端部が第1位置決めホール716を貫通して第1位置決め溝138bに挿入され、位置決めピン780の他端部が第2位置決めホール726aを貫通して第2位置決め溝739bに挿入されることにより、カバープレート710、注入バルブ720、およびバルブプレート730が予め決定された位置に配置される。そして、締結ボルト770が第1締結ホール739aと第2締結ホール714を貫通して締結溝138aに締結されることにより、注入バルブ組立体700が前記リヤハウジング130に締結される。
【0118】
一方、
図2~
図4、および
図8に示すように、注入バルブ組立体700がリヤハウジング130に締結される時、カバープレート上面710aと第3環状壁138との間に第1シーリング部材740が介在し、バルブプレート上面730aとカバープレート下面710bとの間に第2シーリング部材750が介在できる。
【0119】
そして、
図2~
図4、および
図12に示すように、注入バルブ組立体700が固定スクロール500と締結される時、大径部732aa、732baの先端面と固定鏡板上面510aとの間に第3シーリング部材760が介在できる。
【0120】
ここで、第3シーリング部材760は、前述のように、第3シーリング部材760が大径部732aa、732baの先端面と固定鏡板上面510aとの間で圧着されるように、第3シーリング部材760の変形前の厚さが大径部732aa、732baの先端面と固定鏡板上面510aとの間の間隙より大きいか等しく形成される。
【0121】
一方、未説明符号718と719は、カバープレート710に形成される第1グルーブ718と第2グルーブ719であり、未説明符号518と519は、固定鏡板510に形成される第3グルーブ518と第4グルーブ519である。
【0122】
第1グルーブ718は、注入バルブ720の頭部722とカバープレート710との間の接触面積を減少させて注入バルブ720の頭部722とカバープレート710との間の衝突騒音を減少させるためのものであって、そして異物を捕集、および排出させて注入バルブ720の頭部722とカバープレート710との間に異物が挟まれるのを防止するためのものであって、
図10に示すように、注入バルブ載置溝710cから掘り込まれながら流入口712の周りを取り囲む環状に形成される。そして、第1グルーブ718の内周部は、注入バルブ720の頭部722の外周部と軸方向に重畳して形成され、第1グルーブ718の外周部は、注入バルブ720の頭部722と軸方向に非重畳で形成される。すなわち、第1グルーブ718の内径は、注入バルブ720の頭部722の外径より小さく形成され、第1グルーブ718の外径は、注入バルブ720の頭部722の外径より大きく形成される。ここで、第1グルーブ718の外径が注入バルブ720の頭部722の外径より大きく形成されることは、第1グルーブ718に捕集された異物が傾斜空間734側に排出されるようにするためである。
【0123】
第2グルーブ719は、異物を捕集、および排出させて注入バルブ720の脚部724とカバープレート710との間に異物が挟まれるのを防止するためのものであって、
図10に示すように、注入バルブ720の脚部724に対向する位置において注入バルブ載置溝710cから掘り込み形成される。そして、第2グルーブ719は、長孔状に形成され、第2グルーブ719の中心部は、注入バルブ720の脚部724と軸方向に重畳して形成され、第2グルーブ719の両端部は、注入バルブ720の脚部724と軸方向に非重畳で形成される。すなわち、第2グルーブ719の長軸方向と前記注入バルブ720の脚部724の幅方向とが互いに平行であり、第2グルーブ719の長軸の長さが注入バルブ720の脚部724の幅より大きく形成される。ここで、第2グルーブ719の長軸の長さが注入バルブ720の脚部724の幅より大きく形成されることは、第2グルーブ719に捕集された異物が傾斜空間734側に排出されるようにするためである。
【0124】
第3グルーブ518は、第1グルーブ718と類似して、吐出バルブ600のメイン開閉部610と固定鏡板510との間の接触面積を減少させて吐出バルブ600のメイン開閉部610と固定鏡板510との間の衝突騒音を減少させるためのものであって、そして異物を捕集、および排出させて吐出バルブ600のメイン開閉部610と固定鏡板510との間に異物が挟まれるのを防止するためのものであって、
図8、および
図13に示すように、固定鏡板上面510aから掘り込まれながらメイン吐出口512aの周りを取り囲む環状に形成される。そして、第3グルーブ518の内周部は、吐出バルブ600の開閉部の外周部と軸方向に重畳して形成され、第3グルーブ518の外周部は、吐出バルブ600の開閉部と軸方向に非重畳で形成される。すなわち、第3グルーブ518の内径は、吐出バルブ600の開閉部の外径より小さく形成され、第3グルーブ518の外径は、吐出バルブ600の開閉部の外径より大きく形成される。ここで、第3グルーブ518の外径が吐出バルブ600の開閉部の外径より大きく形成されることは、第3グルーブ518に捕集された異物が吐出室D側に排出されるようにするためである。
【0125】
第4グルーブ519は、第2グルーブ719と類似して、異物を捕集、および排出させて吐出バルブ600のメイン支持部620、第1サブ支持部640、および第2サブ支持部660(以下、支持部)と固定鏡板510との間に異物が挟まれるのを防止するためのものであって、
図8、および
図13に示すように、吐出バルブ600の支持部に対向する位置において固定鏡板上面510aから掘り込み形成される。そして、第4グルーブ519は、長孔状に形成され、第4グルーブ519の中心部は、吐出バルブ600の支持部と軸方向に重畳して形成され、第4グルーブ519の両端部は、吐出バルブ600の支持部と軸方向に非重畳で形成される。すなわち、第4グルーブ519の長軸方向と吐出バルブ600の支持部の幅方向とが互いに平行であり、第4グルーブ519の長軸の長さが吐出バルブ600の支持部の幅より大きく形成される。ここで、第4グルーブ519の長軸の長さが吐出バルブ600の支持部の幅より大きく形成されることは、第4グルーブ519に捕集された異物が吐出室D側に排出されるようにするためである。
【0126】
以下、本実施例によるスクロール圧縮機の作用効果について説明する。
すなわち、モータ200に電源が印加されると、回転軸300が前記回転子220と共に回転できる。
そして、旋回スクロール400が偏心ブッシュ310を介して回転軸300から回転力を受けて旋回運動できる。
これにより、圧縮室Cは、中心側に向かって持続的に移動しながら体積が減少できる。
【0127】
そして、吸入圧の冷媒は、吸入ポート(図示せず)、モータ収容空間S1、吸入流路(図示せず)、およびスクロール収容空間S2を通して圧縮室Cに流入できる。
そして、圧縮室Cに吸入された冷媒は、圧縮室Cの移動経路に沿って中心側に移動しながら圧縮されて、吐出口512を通して吐出室Dに吐出される。
【0128】
そして、吐出室Dに吐出された吐出圧の冷媒は、吐出ポート131を通して圧縮機の外部に排出される。
【0129】
ここで、本実施例によるスクロール圧縮機は、中間圧の冷媒を圧縮室Cに案内する注入流路(導入ポート133、導入室I、注入バルブ組立体700、注入口514)を含めて、吸入圧の冷媒だけでなく中間圧の冷媒まで圧縮して吐出することにより、吸入圧の冷媒のみを吸入、および圧縮して吐出する時より、冷媒吐出量が増加できる。これにより、圧縮機の性能、および効率が向上できる。
【0130】
そして、別個のハウジングを別途に備えず、リヤハウジング130が吐出室D、および吐出ポート131だけでなく導入ポート133、および導入室Iまで含むことにより、すなわち、吐出室D、吐出ポート131、導入ポート133、および導入室Iを有するリヤハウジング130が一体に形成されることにより、漏洩の可能性が減少し、大きさ、コスト、および重量が減少できる。
【0131】
そして、導入室Iの少なくとも一部が吐出室Dに収容されることにより、すなわち導入室Iの側部が第3環状壁138を挟んで吐出室Dと重畳し、導入室Iの先端部が注入バルブ組立体700を挟んで吐出室Dと重畳することにより、注入口514に案内される冷媒は、第3環状壁138と注入バルブ組立体700を介して吐出室Dの冷媒と熱交換可能である。すなわち、導入室Iの冷媒、および注入バルブ組立体700を通過する冷媒が吐出室Dの冷媒から熱を受けて加熱できる。これにより、液冷媒が注入口514を通して圧縮室Cに注入されることが防止できる。
【0132】
そして、吐出ポート131の少なくとも一部が導入室Iに収容されることにより、すなわち吐出ポート131の少なくとも一部が吐出ポート131の壁部を挟んで導入室Iと重畳することにより、導入室Iの冷媒は、導入室Iに収容された吐出ポート131の壁部を介して吐出ポート131の冷媒と熱交換可能である。すなわち、導入室Iの冷媒が吐出ポート131の冷媒から熱を受けて加熱できる。これにより、液冷媒が注入口514を通して圧縮室Cに注入されることがさらに防止できる。
【0133】
そして、導入ポート133の少なくとも一部が吐出室Dに収容されることにより、すなわち導入ポート133の少なくとも一部が導入ポート133の壁部を挟んで吐出室Dと重畳することにより、導入ポート133の冷媒は、吐出室Dに収容された導入ポート133の壁部を介して吐出室Dの冷媒と熱交換可能である。すなわち、導入ポート133の冷媒が吐出室Dの冷媒から熱を受けて加熱できる。これにより、液冷媒が前記注入口514を通して圧縮室Cに注入されることがより一層防止できる。
【0134】
そして、吐出ポート131の冷媒と導入ポート133の冷媒とが互いにクロスフロー方向に流動することにより、すなわちリヤハウジング130の中心を基準として吐出ポート131の出口と導入ポート133の入口との間の角度が0度以上90度未満に形成されることにより、導入ポート133の冷媒は、吐出ポート131の冷媒と熱交換可能である。すなわち、導入ポート133の冷媒が吐出ポート131の冷媒から熱を受けて加熱できる。これにより、液冷媒が注入口514を通して圧縮室Cに注入されることがより一層効果的に防止できる。
【0135】
そして、注入バルブ組立体700は、カバープレート710と、注入バルブ720と、バルブプレート730と、を含み、バルブプレート730が注入流路の一部を形成するだけでなく注入バルブ720のリテーナの役割まで果たすことにより、すなわちバルブプレート730が傾斜空間734を含むことにより、注入バルブ組立体700の部品数、大きさ、コスト、および重量が減少できる。
【0136】
そして、注入バルブ720は、注入バルブ720の周部726がカバープレート710(より正確には、注入バルブ載置溝710c)とバルブプレート730との間で圧着されて固定される方式で形成されることにより、注入バルブ720をカバープレート710、およびバルブプレート730の少なくとも1つに締結させるための締結部材が削除できる。これにより、注入バルブ組立体700の部品数、大きさ、コスト、および重量がさらに減少できる。
【0137】
そして、注入バルブ組立体700は、位置決めピン780によって予め整列された後、締結ボルト770によって一度にリヤハウジング130に締結されるように形成されることにより、組立性、および組立品質が向上できる。
【0138】
そして、注入口514は、一対の圧縮室Cと同時に連通して形成されることにより、すなわち第1注入口514aと第1外側圧縮室C11との間の連通が開始される時、第2注入口514bと第1内側圧縮室C12との間の連通が開始されるように形成されることにより、第1外側圧縮室C11と第1内側圧縮室C12との間の圧力不均衡が抑制され、旋回スクロール400の異常挙動(例えば、転覆)が抑制可能である。
【0139】
そして、追加的に、注入口514は、一対の圧縮室Cと同時に遮蔽されるように形成されることにより、すなわち第1注入口514aと第1外側圧縮室C11との間の連通が終了する時、第2注入口514bと第1内側圧縮室C12との間の連通が終了するように形成されることにより、第1外側圧縮室C11と第1内側圧縮室C12との間の圧力不均衡がさらに抑制され、旋回スクロール400の異常挙動(例えば、転覆)がさらに抑制可能である。
【0140】
ここで、注入口514が一対の圧縮室Cと同時に連通する時点、および注入口514が前記一対の圧縮室Cと同時に遮蔽される時点は、スクロール圧縮機の性能と効率などを考慮して適切に調節可能である。
【0141】
一方、本実施例の場合、注入バルブ組立体700は、導入室Iから流入する冷媒を傾斜空間734から分岐させて第1注入口514a、および第2注入口514bに案内するように形成される。すなわち、流入口712、注入バルブ720の頭部722、注入バルブ720の脚部724、および傾斜空間734は、それぞれ1つ形成され、連結流路738、および前記流出口736は、それぞれ2つ形成される。
【0142】
しかし、このような本実施例の場合、第1注入口514aと第2注入口514bに分配される冷媒の流量が互いに異なりうる。特に、第1連結流路738aと第1流出口736aが第2連結流路738b、および第2流出口736bと非対称に形成される場合、流動抵抗の差によって第1注入口514aと第2注入口514bに分配される冷媒の流量がさらに不均等になりうる。
【0143】
これを考慮して、
図21~
図24に示すように、注入バルブ組立体700は、導入室Iの一側から流入する冷媒を第1注入口514aに案内し、これとは独立して、導入室Iの他側から流入する冷媒を第2注入口514bに案内するように形成される。
【0144】
具体的には、流入口712は、導入室Iの一側と連通する第1流入口712aと、第1流入口712aとは独立して形成され、導入室Iの他側と連通する第2流入口712bとを含むことができる。
ここで、第1流入口712aと第2流入口712bは、バルブ揚力(valve lifting force)、および冷媒流入流量の最大化のために、それぞれ長孔に形成されることが好ましい。
【0145】
そして、注入バルブ720は、第1流入口712aを開閉する第1頭部722aと、第1頭部722aを支持する第1脚部724aと、第2流入口712bを開閉する第2頭部722bと、第2頭部722bを支持する第2脚部724bと、第1脚部724aと第2脚部724bとを支持する周部726と、を含むことができる。
ここで、第1頭部722a、第1脚部724a、第2頭部722b、第2脚部724b、および周部726は、部品数、大きさ、コスト、および重量減少のために一体に形成されることが好ましい。
【0146】
そして、第1脚部724aと第2脚部724bは、互いに平行に形成され、第1脚部724aと周部726との間の連結部位と、第2脚部724bと周部726との間の連結部位と、が互いに反対側に形成されることが、コンパクト化の面でさらに好ましい。すなわち、第1脚部724aと第2脚部724bとは、互い違いに形成されることがさらに好ましい。
【0147】
そして、傾斜空間734は、第1頭部722aのリテーナの役割をし、第1流入口712aを通して流入する冷媒を収容する第1傾斜空間734aと、第2頭部722bのリテーナの役割をし、第2流入口712bを通して流入する冷媒を収容する第2傾斜空間734bと、を含むことができる。
ここで、第1傾斜空間734aと第2傾斜空間734bとは互いに分離されており、第1傾斜空間734aのリテーナ面と第2傾斜空間734bのリテーナ面とは、第1脚部724a、および第2脚部724bに対応するように、互い違いの方向に傾斜して形成されることが好ましい。
【0148】
そして、流出口736は、第1注入口514aと連通する第1流出口736aと、第2注入口514bと連通する第2流出口736bと、を含み、連結流路738は、第1傾斜空間734aと第1流出口736aとを連通させる第1連結流路738aと、第2傾斜空間734bと第2流出口736bとを連通させる第2連結流路738bと、を含むことができる。
ここで、連結流路738と流出口736は、冷媒が連結流路738と流出口736を通過する過程で圧力損失、および流量損失が発生しないように、第1連結流路738aの内径が第1流出口736aの内径より大きく形成され、第2連結流路738bの内径が第2流出口736bの内径より大きく形成される。
【0149】
このような本発明の他の実施例の場合、導入室Iの冷媒が独立して第1注入口514aと第2注入口514bに案内されることにより、第1注入口514aと第2注入口514bに分配される冷媒の流量が互いに均等になることが可能である。
【0150】
一方、前述した実施例の場合、旋回スクロール400と固定スクロール500とがリヤハウジング130の内部に収容されるように形成されるが、これに限定されるものではない。すなわち、固定スクロール500は、リヤハウジング130とセンターハウジング110との間に介在しながら外部に露出するように形成され、旋回スクロール400は、固定スクロール500に収容されてもよい。
【符号の説明】
【0151】
100 ハウジング
110 センターハウジング
112 センター鏡板
114 センター側板
120 フロントハウジング
122 フロント鏡板
124 フロント側板
130 リヤハウジング
131 吐出ポート
131a 吐出ポート入口
132 リヤ鏡板
133 導入ポート
134 第1環状壁
136 第2環状壁
138 第3環状壁
138a 締結溝
138b 第1位置決め溝
200 モータ
210 固定子
220 回転子
300 回転軸
310 偏心ブッシュ
400 旋回スクロール
410 旋回鏡板
420 旋回ラップ
430 ボス部
500 固定スクロール
510 固定鏡板
510a 固定鏡板上面
510b 固定鏡板下面
512 吐出口
512a メイン吐出口
512b 第1サブ吐出口
512c 第2サブ吐出口
514 注入口
514a 第1注入口
514b 第2注入口
516 小径部挿入溝
516a 第1小径部挿入溝
516b 第2小径部挿入溝
518 第3グルーブ
519 第4グルーブ
520 固定ラップ
530 固定側板
532 固定ラップ初入部
600 吐出バルブ
610 メイン開閉部
620 メイン支持部
630 第1サブ開閉部
640 第1サブ支持部
650 第2サブ開閉部
660 第2サブ支持部
670 締結部
680 締結部材
690 回避部
700 注入バルブ組立体
710 カバープレート
710a カバープレート上面
710b カバープレート下面
710c 注入バルブ載置溝
712 流入口
712a 第1流入口
712b 第2流入口
714 第2締結ホール
716 第1位置決めホール
718 第1グルーブ
719 第2グルーブ
720 注入バルブ
722 頭部
722a 第1頭部
722b 第2頭部
724 脚部
724a 第1脚部
724b 第2脚部
726 周部
726a 第2位置決めホール
730 バルブプレート
730a バルブプレート上面
730b バルブプレート下面
732a 第1突出部
732aa 第1大径部
732ab 第1小径部
732b 第2突出部
732ba 第2大径部
732bb 第2小径部
734 傾斜空間
734a 第1傾斜空間
734b 第2傾斜空間
736 流出口
736a 第1流出口
736b 第2流出口
738 連結流路
738a 第1連結流路
738b 第2連結流路
739a 第1締結ホール
739b 第2位置決め溝
740 第1シーリング部材
750 第2シーリング部材
760 第3シーリング部材
770 締結ボルト
780 位置決めピン