(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】新規アニオン性界面活性剤、ならびにそれを含有する洗剤および洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C09K 23/02 20220101AFI20230203BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230203BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20230203BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20230203BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230203BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230203BHJP
C11D 1/26 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
C09K23/02
C11D17/08
C11D3/43
C11D17/04
A61K8/49
A61Q19/10
C11D1/26
(21)【出願番号】P 2020512040
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018072409
(87)【国際公開番号】W WO2019042805
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102017008073.9
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・クロプフ
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・クレマー
(72)【発明者】
【氏名】ダヌタ・ベドルンカ
(72)【発明者】
【氏名】レギーナ・パルコヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ハウゾウル
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・キプスハーゲン
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501123(JP,A)
【文献】国際公開第2015/094970(WO,A1)
【文献】特表2017-504562(JP,A)
【文献】国際公開第2015/094965(WO,A1)
【文献】特表2016-528194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
C09K 23/02
A61K 8/49
A61Q 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤。
【請求項2】
一般式(I):
【化2】
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤の製造方法であり、
a)フルフラールとグリニャール化合物R-Mg-Hal[式中、Rは上記で特定された意味を有し、HalはBrおよびIから選択される]とを反応させること、
b)フラン環を水素化して、テトラヒドロフラン環を形成すること、および
c)硫酸化剤を使用して硫酸化すること、および場合により、次いで、X
+OH
-、X
+HCO
-
3、またはX
+
2CO
2-
3[式中、X
+はアルカリ金属カチオンまたはグループN
+R
1R
2R
3を表し、R
1、R
2、およびR
3は、互いに独立して、水素、1~6個のC原子を有するアルキル基、または2~6個のC原子を有するヒドロキシアルキル基を表す]と反応させて中和すること
による、方法。
【請求項3】
一般式(I):
【化3】
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤の製造方法であり、
a)テトラヒドロフルフラールとグリニャール化合物R-Mg-Hal[式中、Rは上記で特定された意味を有し、HalはBrおよびIから選択される]とを反応させること、および
b)硫酸化剤を使用して硫酸化すること、および場合により、次いで、X
+OH
-、X
+HCO
-
3、またはX
+
2CO
2-
3[式中、X
+はアルカリ金属カチオンまたはグループN
+R
1R
2R
3を表し、式中、R
1、R
2、およびR
3は、互いに独立して、水素、1~6個のC原子を有するアルキル基、または2~6個のC原子を有するヒドロキシアルキル基を表す]と反応させて中和すること
による、方法。
【請求項4】
一般式(I):
【化4】
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤を含有する洗剤または洗浄剤。
【請求項5】
1重量%~99重量
%の一般式(I)の界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項4に記載の洗剤または洗浄剤。
【請求項6】
最大で99重量
%の追加の界面活性剤をさらに含有することを特徴とする、請求項4または5に記載の洗剤または洗浄剤。
【請求項7】
微粒子であり
、1重量%~60重量%の範囲の量の、ビルダーを含有することを特徴とする、または、液体であり、1重量%~90重量
%の、水、水混和性溶媒、または水と水混和性溶媒との混合物を含有することを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の洗剤または洗浄剤。
【請求項8】
個別に投与可能なように、水溶性材料で作られたチャンバー内に分割され、15重量%未満
の水を含有することを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の洗剤または洗浄剤。
【請求項9】
一般式(I):
【化5】
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤の、洗濯物を洗濯する、または硬質表面を洗浄するときの洗剤または洗浄剤の性能を向上させるための使用。
【請求項10】
一般式(I)の化合物において、Rは直鎖状または分枝状の
、7~21個のC原子を有するアルキル基を表す、請求項1に記載の界面活性
剤。
【請求項11】
一般式(I)の化合物において、Rは直鎖状または分枝状の、7~21個のC原子を有するアルキル基を表す、請求項2または3に記載の方法。
【請求項12】
一般式(I)の化合物において、Rは直鎖状または分枝状の、7~21個のC原子を有するアルキル基を表す、請求項4~8のいずれか一項に記載の洗剤または洗浄剤。
【請求項13】
一般式(I)の化合物において、Rは直鎖状または分枝状の、7~21個のC原子を有するアルキル基を表す、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能な原材料に基づいて製造でき、低い臨界ミセル濃度(CMC)を有し、低い界面張力を生じるアニオン性界面活性剤に関する。本発明はまた、そのような界面活性剤の製造方法、ならびにこれらの界面活性剤を含有する洗剤または洗浄剤にも関する。
【背景技術】
【0002】
水の表面張力を低下させるため、分散液を形成するため、および可溶化するために、界面活性剤を使用することは、長い間、洗剤および洗浄剤の分野で一般的に知られてきた。多くの界面活性剤は、完全にまたは部分的に再生可能な原材料に基づいて製造されているが、高性能で広く使用されている代表的なもののいくつかは依然として石油化学製品に基づいている。さらに、界面活性剤の使用量が少なくても高い性能を達成できるように、顕著な実用的特性を有する界面活性剤を提供することが常に望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、低CMCおよび低表面張力などの有利な実用的特性を有し、また、再生可能な原材料に基づいて調製され得る界面活性剤を提供することである。さらに、前記界面活性剤は、良好な皮膚適合性を有する必要があり、また、洗剤および洗浄剤での使用に特に適するように、他の界面活性剤と一緒に調製できる必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実施形態では、本発明は一般式(I):
【化1】
のアニオン性界面活性剤に関する。式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+は電荷平衡カチオンを表す。X
+は、好ましくは、プロトン、アルカリ金属カチオン、グループN
+R
1R
2R
3を含む群から選択され、式中、R
1、R
2、およびR
3は、互いに独立して、水素、1~6個のC原子を有するアルキル基、または2~6個のC原子を有するヒドロキシアルキル基を表す。
【0005】
一般式(I)の好ましい界面活性剤は、式中、Rが直鎖状または分枝状の7~21個のC原子を有するアルキル基を表すものであり、直鎖状の基Rが特に好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一般式(I)の界面活性剤は、一般式(II):
【化2】
[式中、Rは上記で特定された意味を有する]
の化合物を、硫酸化剤、例えばクロロスルホン酸または三酸化硫黄ピリジンを使用して硫酸化すること、および場合により、その後にX
+OH
-、X
+HCO
-
3、またはX
+
2CO
2-
3(式中、X
+は上記で特定された意味を有する)と反応させて中和することにより調製できる。一般式(II)の化合物は、テトラヒドロフルフラールまたは代替としてフルフラールから、グリニャール反応およびその後の水素化により得ることができる。グリニャール反応では、求核試薬としての有機マグネシウムハライドと、フルフラールまたはテトラヒドロフルフラールの求電子性カルボニル基とが反応して、新しい炭素-炭素単結合を形成する。フルフラールはセルロースから生産でき、例えばパルプ生産の副産物である。
【0007】
本発明は、上記で定義された一般式(I)の化合物の調製方法にも関し、前記方法は、a)フルフラールとグリニャール化合物R-Mg-Hal[式中、Rは上記で特定された意味を有し、HalはBrおよびIから選択される]とを反応させること、b)フラン環を水素化して、テトラヒドロフラン環を形成すること、およびc)硫酸化剤を使用して硫酸化すること、および場合により、次いで、X+OH-、X+HCO-
3、またはX+
2CO2-
3[式中、X+はアルカリ金属カチオンまたはグループN+R1R2R3を表し、R1、R2、およびR3は、互いに独立して、水素、1~6個のC原子を有するアルキル基、または2~6個のC原子を有するヒドロキシアルキル基を表す]と反応させて中和することによる方法である。
【0008】
本発明はまた、上記で定義された一般式(I)の化合物の代替調製方法にも関し、前記方法は、a)テトラヒドロフルフラールとグリニャール化合物R-Mg-Hal[Rは上記で特定された意味を有し、HalはBrおよびIから選択される]と反応させること、およびb)硫酸化剤を使用して硫酸化すること、および場合により、次いで、X+OH-、X+HCO-
3、またはX+
2CO2-
3[式中、X+はアルカリ金属カチオンまたはグループN+R1R2R3を表し、R1、R2、およびR3は、互いに独立して、水素、1~6個のC原子を有するアルキル基、または2~6個のC原子を有するヒドロキシアルキル基を表す]と反応させて中和することによる方法である。
【0009】
本発明による界面活性剤は、非常に低いCMC値を有し、界面での組織化に関する迅速な動力学とともに、油に対する非常に低い界面張力をもたらす。本発明による特に好ましい界面活性剤は、pH8.5および25℃の水中で0.005g/l~0.25g/lのCMCを有し、また、8mN/未満、特に1mN/m~5mN/mの範囲内の、スピニングドロップ法(20分間の平衡時間)により決定される、pH8.5および25℃の水中における濃度1g/lのミリスチン酸イソプロピルに対する界面張力を生成する。
【0010】
本発明による界面活性剤は、記載のように、再生可能原料から入手可能である。本発明による界面活性剤を生産可能な再生可能原料には、食品生産の基礎を供給しないものが含まれるため、本発明による界面活性剤は、他の再生可能原料から入手し得るいくつかの界面活性剤において観察される食品競合状況がないという利点も有する。
【0011】
本発明による界面活性剤は、好ましくは、フルフラールと化合物R-Hal[RおよびHalは上記で特定された意味を有する]から調製されるグリニャール試薬とを、-5℃~10℃、特に0℃~5℃の範囲の温度の不活性ガス下で、好ましくは2時間~5時間、特に3時間~5時間の時間、反応させてフラニロール(furanylol)を形成することにより調製される。これらは、好ましくは70℃~150℃、特に80℃~100℃の温度で、好ましくは80バール~150バール、特に120バール~150バールの水素圧で、好ましくは3時間~8時間、特に3時間~5時間の範囲の期間にわたって、水素化される。このようにして得られた化合物を、例えばクロロスルホン酸または三酸化硫黄ピリジンなどの硫酸化剤と、好ましくは-20℃~75℃、特に25℃~75℃の範囲の温度で、および好ましくは1時間~24時間、特に6~18時間の範囲の時間で反応させる。その後、必要に応じて、硫酸化後に存在する電荷平衡カチオンは、X+OH-、例えば、1Mの水酸化ナトリウムメタノール溶液と反応させることにより、または、X+
2CO2-
3、例えば炭酸ナトリウムと反応させることにより、置換され得る。一般式(I)の界面活性剤は、例えば、適切な沈殿剤、特にアセトン、ジエチルエーテル、または石油エーテルが添加される場合、沈殿により単離され得る。
【0012】
本発明による界面活性剤は、洗剤および洗浄剤、シャンプーおよび練り歯磨きなどの化粧品、および、アニオン性界面活性剤が現在、慣用的に使用されている他の用途、例えば、食品産業、地球科学、三次石油生産、プラスチック技術、金属加工、写真、紙のリサイクル、ツールのクリーニング、消火活動などの用途における成分として、非常に好適である。
【0013】
特に良好な結果は、それの洗剤および洗浄剤での使用において達成される。したがって、本発明は、洗剤または洗浄剤を調製するための一般式(I)のアニオン性界面活性剤の使用、洗濯物または硬質表面を洗浄する際の洗剤または洗浄剤の性能を向上させるための一般式(I)のアニオン性界面活性剤の使用、および一般式(I)の界面活性剤を含有する洗剤または洗浄剤にも関する。
【0014】
本発明による洗剤または洗浄剤は、好ましくは1重量%~99重量%、特に3重量%~65重量%、および特に好ましくは5重量%~45重量%の一般式(I)の界面活性剤を含有する。
【0015】
一般式(I)のアニオン性界面活性剤に加えて、洗剤または洗浄剤は、前記薬剤の実用的特性および/または審美的特性をさらに改善するさらなる成分を含有してよい。本発明の文脈において、前記薬剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、酵素、電解質、pH調整剤、香水、香料担体、蛍光剤、染料、ハイドロトロープ、石鹸泡抑制剤、再付着防止剤、灰色化防止剤、防縮剤、しわ防止剤、移染防止剤、抗菌活性成分、非水性溶媒、殺菌剤、防カビ剤、抗酸化剤、防腐剤、腐食防止剤、帯電防止剤、苦味剤、アイロン助剤、忌避剤および含浸剤、スキンケア活性成分、抗膨潤剤および滑り止め剤、軟化成分、および紫外線吸収剤の群からの1つ以上の物質をさらに含むことが好ましい。
【0016】
本発明による洗剤または洗浄剤は、一般式(I)のアニオン性界面活性剤に加えて、最大で99重量%、特に3重量%~65重量%、および特に好ましくは4重量%~45重量%の追加の界面活性剤を含有することが好ましく、追加的に存在する界面活性剤も、再生可能原料から入手可能であることが好ましい。
【0017】
本発明による薬剤は、非イオン性界面活性剤を含有してよい。好適な非イオン性界面活性剤には、アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸アミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、およびそれらの混合物が含まれる。
【0018】
好ましく使用されるアルコキシル化脂肪アルコールは、エトキシル化され、特に、好ましくは8~18個のC原子、および、平均して、アルコール1モルあたり4~12モルのエチレンオキシド(EO)を有し、アルコール官能基が直鎖状である、第一級アルコールである。特に、例えばココナッツ、ヤシ、獣脂脂肪またはオレイルアルコールからの、12~18個のC原子を有し、アルコール1モル当たり平均5~8個のEOを有するエトキシル化アルコールが特に好ましい。好ましいエトキシル化アルコールには、例えば、4個のEOまたは7個のEOを有するC12-14アルコール、7個のEOを有するC9-11アルコール、5個のEOまたは7個のEOを有するC12-18アルコール、およびそれらの混合物が含まれる。示されているエトキシル化度は、特定の製品の整数または小数に対応する統計的平均を表す。好ましいエトキシル化アルコールは、狭い同族体分布を有する(狭い範囲のエトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12個を超えるEOを有する脂肪アルコールも使用し得る。これらの例は、14個のEO、25個のEO、30個のEO、または40個のEOを有する獣脂脂肪アルコールである。分子中にEO基およびPO基を一緒に含有する非イオン性界面活性剤も、本発明に従って使用し得る。さらに、7個のEOを有するC16-18脂肪アルコールおよび7個のEOを有する2-プロピルヘプタノールの混合物などの(より高度)分枝状エトキシル化脂肪アルコールおよび非分枝状エトキシル化脂肪アルコールの混合物も適している。非イオン性界面活性剤の量は、好ましくは最大で25重量%、特に1重量%~20重量%であり、ここで、および以下において、重量百分率は、特に明記されていない場合、それぞれの場合に、洗浄剤の総量に基づいている。
【0019】
場合により追加のアニオン性界面活性剤には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、C12-18アルカンスルホン酸塩、硫酸モノエステルと脂肪アルコールとの塩、脂肪酸石鹸、硫酸モノエステルとエトキシル化脂肪アルコールとの塩、またはこれらのアニオン性界面活性剤の2つ以上の混合物が含まれる。
【0020】
使用し得るスルホン酸タイプの界面活性剤は、例えば、C9-13アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、すなわちアルケンおよびヒドロキシアルカンスルホネートの混合物、および例えば、三酸化硫黄ガスによるスルホン化と、それに続くスルホン化生成物のアルカリまたは酸加水分解による末端または内部二重結合を有するC12-18モノオレフィンから得られるジスルホネートである。C12-18アルカンスルホネートおよびα-スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、たとえば水素化ココナッツ、パーム核または獣脂脂肪酸のα-スルホン化メチルエステルも適している。
【0021】
C12-C18脂肪アルコール、例えばココナッツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールまたはステアリルアルコールの硫酸ハーフエステルの塩、またはC10-C20オキソアルコールの硫酸ハーフエステルの塩、およびこれらの鎖長を有する第二級アルコールのハーフエステルの硫酸塩が、アルキル(アルケニル)硫酸塩として好ましい。洗浄の観点から、C12-C16アルキル硫酸塩、C12-C15アルキル硫酸塩およびC14-C15アルキル硫酸塩が好ましい。
【0022】
脂肪アルコールエーテルサルフェート、例えば、1~6モルのエチレンオキシドでエトキシル化された直鎖状または分枝状C7-21アルコール、例えば、平均3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2-メチル-分枝状C9-11アルコールまたは1~4個のEOを有するC12-18脂肪アルコールなどの硫酸モノエステルも適している。
【0023】
他の適切なアニオン性界面活性剤は、脂肪酸石鹸である。ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素化)エルカ酸、ベヘン酸の塩などの飽和および不飽和脂肪酸石鹸、特に、ココナッツ、パーム核、オリーブ油または獣脂脂肪酸などの天然脂肪酸由来の石鹸混合物である。
【0024】
脂肪酸石鹸を含む追加のアニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩またはアンモニウム塩の形態で存在し得る。アニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩またはアンモニウム塩の形態で存在することが好ましい。中和に使用し得るアミンは、好ましくはコリン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエチルアミン、またはそれらの混合物であり、モノエタノールアミンが好ましい。特に好ましい実施形態では、前記薬剤は、特に液体の場合、モノエタノールアミン中和アルキルベンゼンスルホン酸、特にC9-13アルキルベンゼンスルホン酸、および/またはモノエタノールアミン中和脂肪酸を含有する。
【0025】
本発明による薬剤中に追加のアニオン性界面活性剤が存在する場合、その含有量は、好ましくは最大で30重量%、特に1重量%~25重量%である。
【0026】
本発明による薬剤は、好ましくは、少なくとも1つの水溶性および/または水不溶性の、有機および/または無機ビルダーを含有する。水溶性有機ビルダー物質には、ポリカルボン酸、特にクエン酸および糖酸、モノマーおよびポリマーアミノポリカルボン酸、特にグリシン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸およびヒドロキシイミノジコハク酸などのイミノジコハク酸、エチレンジアミン四酢酸およびポリアスパラギン酸、ポリホスホン酸、特に、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、リジンテトラ(メチレンホスホン酸)および1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、デキストリンなどの高分子ヒドロキシ化合物、ポリマー(ポリ)カルボン酸、特にポリサッカライド、高分子のアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびそれらの混合ポリマーを酸化することにより得られる、ポリマー中に、カルボン酸官能基のない重合性物質の小部分も含み得るポリカルボキシレートが含まれる。不飽和カルボン酸のホモポリマーの相対平均分子質量は、一般に、それぞれ遊離酸に基づいて、5,000g/モル~200,000g/モル、コポリマーの相対平均分子質量は2,000g/モル~200,000g/モル、好ましくは50,000g/モル~120,000g/モルである。特に好ましいアクリル酸-マレイン酸コポリマーは、50,000~100,000の相対平均分子質量を有する。好ましくはないが、適切であるこのクラスの化合物は、アクリル酸またはメタクリル酸と、ビニルメチルエーテル、ビニルエステル、エチレン、プロピレン、スチレンなどのビニルエーテルとのコポリマーであり、酸の割合は少なくとも50重量%である。モノマーとして2つの不飽和酸および/またはその塩を含有し、また、第3モノマーとしてビニルアルコールおよび/またはビニルアルコール誘導体または炭水化物を含有するターポリマーを、水溶性有機ビルダー物質として使用することも可能である。第1酸モノマーまたはその塩は、モノエチレン性不飽和C3-C8カルボン酸、好ましくはC3-C4モノカルボン酸、特に(メタ)アクリル酸から誘導される。第2酸モノマーまたはその塩は、C4-C8ジカルボン酸の誘導体であり得、マレイン酸の誘導体が特に好ましい。この場合、第3モノマー単位は、ビニルアルコールおよび/または好ましくはエステル化されたビニルアルコールから形成される。特に、短鎖カルボン酸のエステル、例えばC1-C4カルボン酸とビニルアルコールとのエステルである、ビニルアルコール誘導体が好ましい。好ましいポリマーは、60重量%~95重量%、特に70重量%~90重量%の(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレート、特に好ましくはアクリル酸またはアクリレート、およびマレイン酸またはマレイン酸エステル(maleate)、および5重量%~40重量%、好ましくは10重量%~30重量%の、ビニルアルコールおよび/または酢酸ビニルを含有する。非常に特に好ましいのは、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートとマレイン酸またはマレイン酸エステルとの重量比が、1:1~4:1、好ましくは2:1~3:1、特に2:1~2.5:1である。前記量および前記重量比はどちらも酸に基づいている。第2酸モノマーまたはその塩は、アルキル官能基、好ましくはC1-C4アルキル官能基、または、好ましくはベンゼンまたはベンゼン誘導体である、芳香族官能基で2位が置換されたアリルスルホン酸の誘導体でもあり得る。好ましいターポリマーは、40重量%~60重量%、特に45~55重量%の、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレート、特に好ましくはアクリル酸またはアクリレート、10重量%~30重量%、好ましくは15重量%~25重量%のメタリルスルホン酸またはメタリルスルホネート、および15重量%~40重量%、好ましくは20重量%~40重量%の第3モノマーとしての炭水化物を含有する。この炭水化物は、例えば、単糖、二糖、オリゴ糖または多糖であってよく、単糖、二糖またはオリゴ糖が好ましい。スクロースが特に好ましい。第3モノマーの使用は、おそらく、ポリマーの良好な生分解性に関与する所定の破壊点をポリマーに組み込む。これらのターポリマーは、一般に、1,000g/モル~200,000g/モル、好ましくは200g/モル~50,000g/モルの相対平均分子質量を有する。さらに好ましいコポリマーは、モノマーとしてアクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩または酢酸ビニルを有するものである。有機ビルダー物質は、特に液剤の調製のために、水溶液の形態で、好ましくは30~50重量%の水溶液の形態で使用してよい。上記の酸はすべて、一般にその水溶性塩、特にそのアルカリ塩の形態で使用される。
【0027】
この種の有機ビルダー物質は、必要に応じて、最大で40重量%、特に最大で25重量%、好ましくは1重量%~8重量%の量で含有され得る。上記範囲の上半分の量は、ペースト状または液体状の、特に含水剤で使用されることが好ましい。
【0028】
特に、ポリリン酸塩、好ましくは三リン酸ナトリウムが、水溶性無機ビルダー材料として適している。特に、結晶性または非晶性の水分散性アルカリアルミノケイ酸塩は、水不溶性無機ビルダー材料として、25重量%を超えない量、好ましくは3重量%~20重量%、特に5重量%~15重量%の量で使用される。これらのうち、洗浄剤品質の結晶性アルミノケイ酸ナトリウム、特にゼオライトA、ゼオライトP、およびゼオライトMAP、および場合によりゼオライトXが好ましい。上記上限に近い量は、好ましくは固体微粒子剤で使用される。適切なアルミノケイ酸塩は、特に30μmより大きい粒子サイズを有する粒子を含まず、好ましくは少なくとも80重量%以下の、10μmより小さいサイズを有する粒子からなる。前記アルミノケイ酸塩のカルシウム結合能力は、一般にグラム当たり100~200mgCaOの範囲である
【0029】
前記水不溶性アルミノケイ酸塩およびアルカリ炭酸塩に加えて、またはその代替として、さらなる水溶性無機ビルダー材料を含有してよい。これらには、三リン酸ナトリウムなどのポリリン酸塩に加えて、特に水溶性結晶性および/または非結晶性アルカリケイ酸塩ビルダーが含まれる。この種の水溶性無機ビルダー材料は、薬剤中に、好ましくは1重量%~20重量%、特に5重量%~15重量%の量で含有される。ビルダー材料として使用し得るアルカリケイ酸塩は、好ましくはアルカリ酸化物とSiO2とのモル比が、0.95未満、特に1:1.1から1:12であり、非結晶性または結晶形態で存在し得る。好ましいアルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、特に、Na2O:SiO2モル比が1:2~1:2.8の非結晶性ケイ酸ナトリウムである。一般式Na2SixO2x+1・yH2O(式中、xは、モジュールと称され、1.9~4の数字、yは0~20の数字であり、xの好ましい値は2、3または4である)の結晶性フィロケイ酸塩は、好ましくは、結晶性シリケートとして使用され、単独で、または非結晶性シリケートとの混合物として存在してもよい。好ましい結晶性フィロケイ酸塩は、記載された一般式のxが値2または3をとるものである。特に、β-およびδ-二ケイ酸ナトリウム(Na2Si2O5・yH2O)が好ましい。xが1.9~2.1の数である上記一般式を有し、非結晶性アルカリケイ酸塩から調製される、実質的に水不含結晶性アルカリケイ酸塩も、薬剤に使用してよい。さらに好ましい実施形態では、砂およびソーダから製造し得るように、2~3のモジュールを有する結晶性フィロケイ酸ナトリウムが使用される。さらなる実施形態では、1.9~3.5の範囲のモジュールを有するケイ酸ナトリウムが使用される。そのような薬剤の好ましい実施形態では、例えばNabion(登録商標)15の名称で市販されているような、ケイ酸アルカリと炭酸アルカリの粒状化合物が使用される。
【0030】
好適な過酸化漂白剤は、特にフタルイミドペルカプロン酸、過安息香酸、モノペルオキシフタル酸、およびジペルドデカン二酸、およびモノペルオキシフタル酸マグネシウムなどのそれらの塩などの有機過酸または有機酸の過酸塩、ジアシルペルオキシド、過酸化水素、および使用条件下で過酸化水素をリリースする、過ホウ酸アルカリ、過炭酸アルカリおよび/または過ケイ酸アルカリなどの無機塩、およびH2O2尿素付加物などの過酸化水素包接化合物、およびそれらの混合物であり得る。過酸化水素は、酵素系、すなわちオキシダーゼおよびその基質によっても生成され得る。固体状の過酸素化合物を使用する場合、これらは粉末状または顆粒状の形態で使用してよく、原則として既知の方法でコーティングされていてもよい。特に好ましくは、過炭酸アルカリ、過ホウ酸アルカリ一水和物または過酸化水素が使用される。本発明の文脈で使用し得る洗浄剤は、好ましくは最大で60重量%、特に5重量%~50重量%、および特に好ましくは15重量%~30重量%、あるいは2.5重量%~20重量%の量の過酸化漂白剤を含む。過酸化水素は、液剤において最も好ましい過酸化漂白剤であり、過炭酸ナトリウムは固体剤で最も好ましい。過酸化漂白剤粒子は、好ましくは、10μm~5000μm、特に50μm~1000μmの範囲の粒径、および/または0.85g/cm3~4.9g/cm3、特に0.91g~2.7g/cm3の密度を有する。
【0031】
特に、過加水分解条件下で、場合により置換される過安息香酸および/または1~12個のC原子、特に2~4個のC原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸を、単独でまたは混合物で生成する化合物は、過加水分解条件下でペルオキシカルボン酸を生成する漂白活性化化合物として使用される。特に前述の数のC原子のO-および/またはN-アシル基、および/または場合により置換されるベンゾイル基を有する漂白活性化剤が適している。好ましいのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、N-アシルイミド、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネートまたはカルボキシレート、またはそのスルホン酸またはカルボン酸、特にノナノイルまたはイソノナノイルまたはラウロイルオキシベンゼンスルホネート(NOBSまたはイソ-NOBSまたはLOBS)またはデカノイルオキシ安息香酸塩(DOBA)、その正式な炭酸エステル誘導体、例えば、4-(2-デカノイルオキシエトキシカルボニルオキシ)-ベンゼンスルホネート(DECOBS)、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロドロフランおよびアセチル化ソルビトール、およびマンニトール、ならびに、その混合物(SORMAN)、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトース、アセチル化、場合によりN-アルキル化グルカミンおよびグルコノラクトン、および/またはN-アシル化ラクタム、例えばN-ベンゾイル-カプロラクタムである。
【0032】
過加水分解条件下でペルオキシカルボン酸を形成する化合物に加えて、またはその代わりに、過加水分解条件下でペリミド酸が形成されるニトリルなどの他の漂白活性化化合物が存在してもよい。これらには、特に、下記式に従う四級化された窒素原子を有するアミノアセトニトリル誘導体が含まれる。
【化3】
式中、R
1は、-H、-CH
3、C
2-24アルキルまたはC
2-24アルケニル官能基、-Cl、-Br、-OH、-NH
2、-CNおよび-N
(+)-CH
2-CNの群からの少なくとも1つの置換基を有する置換C
1-24アルキルまたは置換C
2-24アルケニルアリ-ル官能基、C
1-24アルキル基を有するアルキルまたはアルケニルアリール官能基、または、少なくとも1つ、好ましくは2つ、場合により置換されるC
1-24アルキル基および場合により芳香環上にさらなる置換基を有する置換アルキルまたはアルケニルアリール官能基であり、R
2およびR
3は、互いに独立して、-CH
2-CN、-CH
3、-CH
2-CH
3、CH
2-CH
2-CH
3、-CH(CH
3)-CH
3、-CH
2-OH、-CH
2-CH
2-OH、-CH(OH)-CH
3、-CH
2-CH
2-CH
2-OH、-CH
2-CH(OH)-CH
3、-CH(OH)-CH
2-CH
3、-(CH
2CH
2-O)
nHから選択され、ここで、n=1、2、3、4、5または6であり、R
4およびR
5は、互いに独立して、R
1、R
2またはR
3について上記で特定された意味を有し、ここで、窒素原子および場合によっては他のヘテロ原子も含む少なくとも2つの前記官能基、特にR
2およびR
3は、閉環様式で互いに連結され得り、好ましくは、こうしてモルホリノ環を形成し、Xは、電荷平衡アニオンであり、好ましくはベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、クメンスルホネート、C
9-15アルキルベンゼンスルホネート、C
1-20アルキルサルフェート、C
8-22カルボン酸メチルエステルサルフェート、サルフェート、硫酸水素塩、およびそれらの混合物から選択される電荷平衡アニオンを使用してもよい。過加水分解条件下でペルオキシカルボン酸または過イミド酸を形成する漂白活性化剤は、好ましくは、本発明の薬剤中に最大で25重量%、特に0.1重量%から10重量%の量で存在する。漂白活性剤粒子は、好ましくは、10μm~5000μm、特に50μm~1000μmの範囲の粒径、および/または0.85g/cm
3~4.9g/cm
3、特に0.91g/cm
3から2.7g/cm
3の密度を有する。
【0033】
前記漂白活性化剤に加えて、またはその代わりに、漂白触媒遷移金属錯体が存在し得る。これらは、好ましくは、コバルト、鉄、銅、チタン、バナジウム、マンガンおよびルテニウム錯体から選択される。そのような遷移金属錯体の好適な配位子は、無機および有機化合物の両方であり、これは、カルボキシレートに加えて、特に第1級、第2級および/または第3級アミン、および/またはアルコール官能基を有する化合物、例えば、特にピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、2,2’-ビスピリジルアミン、トリス-(2-ピリジルメチル)アミン、1,4,7-トリアザシクロノナン、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン、1,5、9-トリメチル-1,5,9-トリアザシクロドデカン、(ビス-((1-メチルイミダゾール-2-イル)-メチル))-(2-ピリジルメチル)-アミン、N,N’-(ビス-(1-メチルイミダゾール-2-イル)-メチル)-エチレンジアミン、N-ビス-(2-ベンズイミダゾリルメチル)アミノエタノール、2,6-ビス-(ビス-(2-ベンズイミダゾリルメチル)アミノメチル)-4-メチルフェノール、N,N,N’,N’-テトラキス-(2-ベンズイミダゾリルメチル)-2-ヒドロキシ-1,3-ジアミノプロパン、2,6-ビス-(ビス-(2-ピリジルメチル)アミノメチル)-4-メチルフェノール、1,3-ビス-(ビス-(2-ベンズイミダゾリルメチル)アミノメチル)ベンゼン、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、アドニトール、イノシトール、ラクトース、および場合により置換されるサレン、ポルフィン、ポルフィリンを含む。無機中性配位子には、特にアンモニアおよび水が含まれる。遷移金属中心原子のすべての配位部位が中性配位子によって占有されていない場合、錯体は、これらの特に単座配位子または二座配位子の、さらに好ましくはアニオン配位子をさらに含む。これらには、特にフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物、および(NO2)基、つまりニトロ配位子またはニトリト配位子が含まれる。(NO2)基は遷移金属にキレート化されてもよく、非対称にまたはμ1-O架橋に、2つの遷移金属原子でよい。上述の配位子に加えて、遷移金属錯体は、さらに一般的にはより単純な配位子、特に単座アニオン配位子または多座アニオン配位子をさらに担持してもよい。例えば、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、過塩素酸塩、およびヘキサフルオロリン酸塩などの錯アニオンが適している。アニオン配位子は、遷移金属中心原子と配位子系の間の電荷バランスを確保することを目的としている。オキソ配位子、ペルオキソ配位子、イミノ配位子も存在し得る。特に、そのような配位子は、多核錯体が生成されるように、架橋作用も有し得る。2つの遷移金属中心原子が異なる酸化数を有する二核錯体の使用も可能である。アニオン配位子が欠落している場合、またはアニオン配位子が存在しても錯体の電荷バランスがとれない場合、カチオン性遷移金属錯体を中和するアニオン性対イオンは、本発明に従って使用される遷移金属錯体化合物中に存在する。これらのアニオン性対イオンには、特に、硝酸塩、水酸化物、ヘキサフルオロリン酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、塩化物などのハロゲン化物、または、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩またはクエン酸塩などのカルボン酸のアニオンが含まれる。使用し得る遷移金属錯体化合物の例は、[N,N’-ビス[(2-ヒドロキシ-5-ビニルフェニル)メチレン]-1,2-ジアミノ-シクロヘキサン]マンガン(III)塩化物、[N,N’-ビス[(2-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)メチレン]-1,2-ジアミノ-シクロヘキサン]マンガン(III)アセテート、[N,N’-ビス[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]-1,2-フェニレンジアミン]酢酸マンガン(III)、[N,N’-ビス[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]-1,2-ジアミノシクロヘキサン]マンガン(III)塩化物、[N,N’-ビス[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]-1,2-ジアミノエタン]マンガン(III)塩化物、[N,N’-ビス[(2-ヒドロキシ-5-スルホナート-フェニル)メチレン]-1,2-ジアミノエタン]マンガン(III)塩化物、マンガンオキサラト錯体(manganese oxalato complexes)、ニトロペンタミンコバルト(III)塩化物、ニトリトペンタアンミンコバルト(III)塩化物、ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物、クロロペンタアンミンコバルト(III)塩化物、およびペルオキソ錯体[(NH3)5Co-O-O-Co(NH3)5]Cl4である。
【0034】
プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、プルラナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、ラッカーゼおよびペルオキシダーゼのクラスからの酵素、およびそれらの混合物は、前記薬剤で使用し得る酵素として適している。バチルスサブティリス、バチルスリケニフォルミス、バチルスレントゥス、ストレプトマイセスグリセウス、フミコララヌギノサ、フミコラインソレンス、シュードモナスプソイドカリゲネス、シュードモナスセパシア、またはコプリヌスシネレウスなどの菌類またはバクテリアから得られる酵素活性成分が特に適している。酵素を担体物質に吸着させ、および/またはコーティング物質に埋め込んで、前記酵素を早期の不活性化から保護し得る。それらは、本発明による洗剤または洗浄剤に、好ましくは最大で5重量%、特に0.002重量%~4重量%の量で含有される。本発明の薬剤がプロテアーゼを含有する場合、好ましくは、約100PE/g~約10,000PE/g、特に300PE/g~8,000PE/gの範囲のタンパク質分解活性を有する。複数の酵素が本発明の薬剤に使用される場合、これは、2つ以上の別個の、または既知の方法で、別々に調製される酵素の混入により、または顆粒状に一緒に調製された2つ以上の酵素により行われ得る。
【0035】
他の成分の混合から自動的に生じない所望のpHを設定するため、本発明の薬剤は、システムおよび環境に適合する酸、特にクエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、および/またはアジピン酸を含有し得、また、鉱酸、特に硫酸、または塩基、特にアンモニウムまたはアルカリ水酸化物も含有し得る。そのようなpH調整剤は、好ましくは20重量%以下、特に1.2重量%~17重量%の量で本発明の薬剤に含有される。
【0036】
灰色化防止剤の機能は、溶液に懸濁した織物繊維から除去された汚れを保持することである。通常は有機物である水溶性コロイド、例えばデンプン、サイジング材料、ゼラチン、デンプンまたはセルロースのエーテルカルボン酸またはエーテルスルホン酸の塩、またはセルロースまたはデンプンの酸性硫酸エステルの塩が、この目的に適している。酸性基を含有する水溶性ポリアミドもこの目的に適している。上述のもの以外のデンプン誘導体、例えばアルデヒドデンプンも使用され得る。カルボキシメチルセルロース(Na塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル、およびメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロースなどの混合エーテル、およびそれらの混合物は、例えば、薬剤を基準として、0.1~5重量%の量で使用することが好ましい。
【0037】
所望の場合、薬剤は、従来の移染防止剤を、好ましくは最大で2重量%、特に0.1重量%~1重量%の量で含有してよく、好ましい実施形態では、それは、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン-N-オキシドのポリマー、またはそれらのコポリマーから選択される。15,000g/モル~50,000g/モルの分子量を有するポリビニルピロリドン、および、例えば、最大で1,000,000g/モルを超える、特に1,500,000g/モル~4,000,000g/モルの高分子量を有するポリビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール/N-ビニルピロリドンコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、ビニルモノマーおよびカルボン酸アミドに基づくコポリマー、ピロリドン基含有ポリエステルおよびポリアミド、グラフト化ポリアミドアミンおよびポリエチレンイミン、ポリアミン-N-オキシドポリマーおよびポリビニルアルコールを使用し得る。しかしながら、ペルオキシダーゼおよび過酸化水素または水中で過酸化水素を生成する物質を含む酵素系を使用することも可能である。この場合、ペルオキシダーゼのメディエーター化合物、例えばアセトシリンゴン、フェノール誘導体またはフェノチアジンまたはフェノキサジンの添加が好ましいが、上記の高分子移染防止剤有効成分をさらに使用することも可能である。ポリビニルピロリドンは、好ましくは10,000g/モル~60,000g/モルの範囲、特に25,000g/モル~50,000g/モルの範囲の平均モル質量を有する。コポリマーのうち、5:1~1:1のモル比のビニルピロリドンとビニルイミダゾールとからなり、平均モル質量が5,000g/モル~50,000g/モル、特に10,000g/モル~20,000g/モルの範囲のものが好ましい。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、前記洗浄剤は、この種の追加の移染防止剤を含まない。
【0038】
洗浄剤は、例えば、蛍光増白剤としてジアミノスチルベンジスルホン酸の誘導体またはそのアルカリ金属塩を含んでもよいが、カラー洗浄剤として使用する場合、蛍光増白剤を含まないことが好ましい。4,4’-ビス(2-アニリノ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-6-アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸の塩またはモルホリノの代わりに類似の構造を有する化合物例えば、ジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基または2-メトキシエチルアミノ基を有する基が適している。さらに、置換ジフェニルスチリル型の増白剤、例えば、4,4’-ビス(2-スルホスチリル)ジフェニル、4,4’-ビス(4-クロロ-3-スルホスチリル)ジフェニル、または4-(4-クロロスチリル)-4’-(2-スルホスチリル)ジフェニルのアルカリ塩が存在してもよい。前述の蛍光増白剤の混合物も使用してよい。
【0039】
特に機械的プロセスで使用する場合、従来の石鹸泡抑制剤を薬剤に添加すると有利になる場合がある。C18-C24脂肪酸の割合が高い天然由来の石鹸または合成由来の石鹸が、例えば、石鹸泡抑制剤として適している。好適な非界面活性剤石鹸泡抑制剤は、例えば、オルガノポリシロキサンおよびそれらの、微細な、場合によりシラン化されたケイ酸およびパラフィンとの混合物、ワックス、微結晶ワックス、およびそれらとシラン化されたケイ酸またはビス脂肪酸アルキレンジアミドとの混合物である。様々な石鹸泡抑制剤の混合物、例えばシリコーン、パラフィン、またはワックスからなるものも有利に使用される。石鹸泡抑制剤、特にシリコーンおよび/またはパラフィン含有石鹸泡抑制剤は、好ましくは、水に可溶性または分散性の粒状担体物質に結合している。パラフィンとビステアリルエチレンジアミドの混合物が特に好ましい。
【0040】
好ましい実施形態では、本発明による薬剤は微粒子であり、一般式(I)の界面活性剤に加えて、ビルダーを、特に1重量%~60重量%の範囲の量で含む。
【0041】
さらに好ましい実施形態において、本発明による薬剤は液体であり、1重量%~90重量%、特に10重量%~85重量%、好ましくは25重量%~75重量%、および特に好ましくは35重量%~65重量%の、水、水混和性溶媒、または水と水混和性溶媒との混合物を含有する。水混和性溶媒には、例えば、1~4個のC原子を有する一価アルコール、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびtert-ブタノール、2~4個のC原子を有するジオールおよびトリオール、特にエチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロールおよびそれらの混合物、ならびに前述の化合物のクラスから誘導され得るエーテルが含まれる。この種の水混和性溶媒は、本発明による薬剤中に、好ましくは30重量%以下、特に2重量%~20重量%の量で存在する。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、発明の薬剤は、個別に投与可能なように、水溶性材料で作られたチャンバー内に分割される;薬剤は、好ましくは15重量%未満、特に1重量%から12重量%の範囲の水を含有する。一部分は、投与されるものを含有する少なくとも1つのチャンバーを有する独立投与ユニットである。チャンバーは、壁で(例えばフィルムで)区切られた空間であり、この空間は、投与されるものがなくても、(場合により、その形状を変更することにより)存在し得る。したがって、表面コーティングまたは表面コーティングの層は、本発明による壁ではない。
【0043】
チャンバーの壁は水溶性材料でできている。前記材料の水溶性は、下記の測定プロトコルに従い、正方形のフレーム(内側の端の長さ:20mm)に固定された前記材料の正方形のフィルム(フィルム:22x22mm、厚さ76μm)を用いて決定できる。張力をかけたフィルムの表面がビーカーの底部に対して直角に配置されるように、円形底部の1リットルビーカー(Schott、Mainz、ビーカーグラス1000ml、ローシェイプ)中の、20℃に温度制御した800mlの蒸留水に、前記フレーム付きフィルムを浸す、ここで、フレームの上端は水面より1cm低く、フレームの下端は、フレームの下端がビーカーの底部の半径に沿って伸び、フレームの下端の中心がビーカー底部の半径の中心の上に配置されるように、ビーカーの底部と平行に向けられている。前記材料は、撹拌(撹拌速度マグネットスターラー300rpm、撹拌棒:長さ5cm)すると、600秒以内に溶解し、肉眼では固体粒子がまったく見えなくなる。
【0044】
したがって、チャンバーの壁および本発明による洗浄剤の水溶性包装は、水溶性フィルム材料によって形成されることが好ましい。この種の水溶性包装は、縦型充填シール法または熱成形法のいずれかによって作られ得る。
【0045】
熱成形法は一般に、水溶性フィルム材料から第1層を形成して、組成物を受け入れるための膨らみ(bulge)を生成すること、前記膨らみに組成物を注ぐこと、組成物で満たされた前記膨らみを水溶性フィルム材料で作られた第2層で覆うこと、および少なくとも前記膨らみの周りで第1層および第2層を互いにシールすることを含む。
【0046】
水溶性フィルム材料は、ポリマーまたはポリマー混合物から選択されることが好ましい。前記包装は、1以上または2以上の水溶性フィルム材料の層で構成してよい。第1層の水溶性フィルム材料と、存在する場合、追加の層の水溶性フィルム材料とは、同じであっても異なってもよい。
【0047】
水溶性包装は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを含有することが好ましく、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体からなることが特に好ましい。
【0048】
水溶性包装を製造するための水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーに基づくことが好ましく、その分子量は、10,000~1,000,000g/モル、好ましくは20,000~500,000g/モル、特に好ましくは30,000~100,000g/モル、特に40,000~80,000g/モルの範囲である
【0049】
ポリビニルアルコールは、直接合成することができないため、通常、ポリ酢酸ビニルの加水分解によって調製される。同じことがポリビニルアルコールコポリマーにも当てはまり、これはポリ酢酸ビニルコポリマーから適宜調製される。水溶性包装の少なくとも1層は、加水分解度が70~100モル%、好ましくは80~90モル%、特に好ましくは81~89モル%、特に82~88モル%のポリビニルアルコールを含むことが好ましい。
【0050】
アクリル酸含有ポリマー、ポリアクリルアミド、オキサゾリンポリマー、ポリスチレンスルホネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ乳酸、および/または上記ポリマーの混合物を含む群から選択されるポリマーを、水溶性包装の製造に適したフィルム材料に添加してよい。ポリマーがベースとするそのようなモノマーを個々に、または2以上の混合物を酢酸ビニルと共重合することも可能である。
【0051】
ビニルアルコールに加えて、エチレン性不飽和カルボン酸、またはその塩、もしくはそのエステルを含むポリビニルアルコールコポリマーが好ましい。この種のポリビニルアルコールコポリマーは、特に好ましくは、ビニルアルコールに加えて、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはそれらの混合物を含む。前記エステルのうち、C1-4アルキルエステルまたはC1-4ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。ビニルアルコールに加えて、さらなるモノマーとしてエチレン性不飽和ジカルボン酸を含むポリビニルアルコールコポリマーも好ましい。好適なジカルボン酸は、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびそれらの混合物であり、イタコン酸が特に好ましい。
【0052】
本発明による水溶性包装の包装に使用するのに好適な水溶性フィルムは、例えばM8630、C8400またはM8900の名称でMonoSol LLCによって販売されているフィルムである。他の好適なフィルムには、Aicello Chemical Europe GmbH製のSolublon(登録商標)PT、Solublon(登録商標)GA、Solublon(登録商標)KCまたはSolublon(登録商標)KLという名称のフィルム、またはクラレ製のVF-HPフィルムがある。
【0053】
洗剤または洗浄剤と水溶性包装とを含む洗剤または洗浄剤部分は、1つ以上のチャンバーを有してよい。チャンバーを有する水溶性包装は、円形、楕円形、正方形、または長方形の基本形状を備えた、実質的に寸法安定性のある球形、回転楕円形、立方体、直方体または枕型のデザインを有し得る。薬剤は、水溶性包装の1つまたは複数のチャンバー(存在する場合)に含まれていてよい。
【0054】
好ましい実施形態では、水溶性包装は2つのチャンバーを有する。この実施形態では、前記2つのチャンバーは、それぞれ固体状部分組成物または液体状部分組成物を含有してよく、または、第1チャンバーは液体状部分組成物を、第2チャンバーは固体状部分組成物を含有してよい。
【0055】
2つ以上のチャンバーを有する水溶性包装の異なるチャンバーに含まれる薬剤の部分は、同じ組成物を有してよい。しかし、好ましくは、少なくとも2つのチャンバーを有する水溶性包装中の薬剤は、少なくとも1つの成分および/または少なくとも1つの成分の含有量が異なる部分組成物を有する。好ましくは、本発明のそのような薬剤の部分組成物は、酵素および/または漂白活性化剤を含み、別のさらなる部分組成物は過酸化漂白剤を含む、したがって第1部分組成物は特に過酸化漂白剤を含まず、第2部分組成物は特に、酵素または漂白活性化剤を含まない。
【0056】
水溶性包装における分包(Packaging in portions)は、ユーザーが、ある用途(one application)のために、1つまたは、必要に応じて、より多くの、好ましくは1つの前記分包(portions)を、洗濯機または食器洗い機に、特に洗濯機のディスペンシングチャンバーに入れること、あるいは、手動の洗浄方法またはクリーニング方法を実行するための容器に入れることを可能にする。この種の分包パック(Portion packs)は、単純化された1回分の投与量に対する消費者の欲求を満たす。水を加えた後、前記包装材料が溶解して前記成分が放出され、前記成分はその溶液内で効果を発揮できるようになる。好ましくは、水溶性被覆部分の重量は10g~35g、特に12g~28g、特に好ましくは12g~15gであり、ここで、前記重量に含有される前記水溶性包装の含有量の0.3g~2.5g、特に0.7g~1.2gは省略されている。
【0057】
本発明による固形剤の調製は困難性を示さず、既知の方法で、例えば、噴霧乾燥または造粒によって、酵素、およびあるいは、例えば後で別個に添加される漂白剤などの他の熱感受性成分によって実施され得る。特に650g/l~950g/lの範囲内の、バルク重量が増加した薬剤の調製には、押出工程を有する方法が好ましい。
【0058】
通常、水溶媒を含有する溶液の形態の本発明による液体またはペースト状の薬剤は、通常、バルクでまたは溶液として自動ミキサーに入れ得る成分を単純に混合することにより調製される。
【実施例】
【0059】
実施例1:1-(テトラヒドロフラン-2-イル)ペンタデシル硫酸ナトリウム(P1)の合成
A:1-(フラン-2-イル)ペンタデカン-1-オールの調製
46.8gの1-ブロモテトラデカン(169mmol、1eq)を、169mlの乾燥ジエチルエーテル中の6.2gの乾燥マグネシウムチップ(253mmol、1.5eq)にゆっくりと滴下した。前記混合物を加熱し、還流下で3時間撹拌した。続いて、このように調製したグリニャール試薬を、氷冷しながら、50mlの乾燥ジエチルエーテルに溶解した12.5gのフルフラール(130mmol、1eq)の溶液にゆっくりと滴下した。室温に加熱し、還流下で3時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。生成物を単離するために、水およびジエチルエーテルを使用して数回抽出した。高真空下で乾燥した後、37.9gの1-(フラン-2-イル)ペンタデカン-1-オールを、わずかに黄色の固体として得た。収率:99%
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=0.88 (t,3H,H19)、1.27(m,22H,H8-18),1.41(m,2H,H7),1.88(m,2H,H6),4.65(t,1H,H5),6.28(m,2H,H2-3),7.36(m,1H,H1)
13C-NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)=14.25(s,1C,C19),22.84(s,1C,C18),25.68(s,1C,C7),29.85(m,9C,C8-16),32.07(s,1C,C17),35.70(s,1C,C6),67.94(s,1C,C5),105.83(s,1C,C3),110.19(s,1C,C2),141.91(s,1C,C1),157.09(s,1C,C4)
【0060】
B:1-(テトラヒドロフラン-2-イル)ペンタデカン-1-オールの調製
2gのNi/SiO2を、100mlのエタノールに溶解した20gの1-(フラン-2-イル)ペンタデカン-1-オール(68mmol)の溶液に加えた。前記混合物をオートクレーブに移し、水素圧150バールおよび温度100℃で3時間撹拌した。その後、触媒を遠心分離により分離し、溶媒を除去することにより、1-(テトラヒドロフラン-2-イル)ペンタデカン-1-オールを、無色の液体として単離した。収率:100%
13C-NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)=14.21(s,1C,C19),22.80(s,1C,C18),24.58(s,1C,C7),26.11(s,1C,C2),26.38(s,1C,C3),28.07(s,1C,C8),29.73(m,8C,C9-16),32.04(s,1C,C17),33.84(s,1C,C6),68.38(d,1C,C1),73.01(d,1C,C5),82.49(d,1C,C4)
【0061】
C:1-(テトラヒドロフラン-2-イル)ペンタデシル硫酸ナトリウムの調製
11.52gのSO3Py(72mmol、1.5eq)を400mlのアセトニトリルに溶解した14.40gの1-(フラン-2-イル)ペンタデカン-1-オール(48mmol)の溶液に加え、前記混合物を70℃で6時間攪拌した。続いて、0.7mlの水を加え、前記混合物をさらに30分間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をエタノールに溶解させた。10gの細かく粉砕したNa2CO3(96mmol、2eq)を加え、前記混合物を50℃で2時間撹拌した。前記固体をシリカゲルにより濾過し、濾液を濃縮した。石油エーテルの添加後、1-(テトラヒドロフラン-2-イル)ペンタデシル硫酸ナトリウム(P1)が白色固体として沈殿し、これを遠心分離により分離し、高真空下で乾燥させた。収率:100%
13C-NMR(100MHz,MeOD):δ(ppm)=14.45(s,1C,C19),23.73(s,1C,C18),25.81(s,1C,C7),26.51(s,1C,C2),26.89(s,1C,C3),28.87(s,1C,C8),28.45(s,1C,C9),30.69(m,7C,C10-16),32.13(s,1C,C6),33.08(s,1C,C17),69.49(d,1C,C1),80.65(d,1C,C4),81.65(d,1C,C5)
【0062】
界面活性剤P1の臨界ミセル濃度(CMC)を、25℃およびpH8.5で、0.01g/lまでの濃度の関数としてその水溶液の表面張力を測定することにより決定した。pH8.5および25℃で、ミリスチン酸イソプロピルに対するP1水溶液(濃度1g/l)の界面張力を、スピニングドロップ法を使用して測定した。20分後、3mN/mの値が生成された。
【0063】
実施例2:1-(テトラヒドロフラン-2-イル)トリデシル硫酸ナトリウム(P2)の合成
実施例1を繰り返したが、工程Aでは1-ブロモテトラデカンの代わりに1-ブロモドデカンを使用した。
界面活性剤P2の臨界ミセル濃度(CMC)を、25℃およびpH8.5で、0.24g/lまでの濃度の関数としてその水溶液の表面張力を測定することにより決定した。pH8.5および25℃での、ミリスチン酸イソプロピルに対するP1水溶液(濃度1g/l)の界面張力を、スピニングドロップ法を使用して測定した。20分後、4mN/mの値が生成された。
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
[1]一般式(I):
[化1]
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+
は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤。
[2]一般式(I):
[化2]
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+
は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤の製造方法であり、
a)フルフラールとグリニャール化合物R-Mg-Hal[式中、Rは上記で特定された意味を有し、HalはBrおよびIから選択される]とを反応させること、
b)フラン環を水素化して、テトラヒドロフラン環を形成すること、および
c)硫酸化剤を使用して硫酸化すること、および場合により、次いで、X
+
OH
-
、X
+
HCO
-
3
、またはX
+
2
CO
2-
3
[式中、X
+
はアルカリ金属カチオンまたはグループN
+
R
1
R
2
R
3
を表し、R
1
、R
2
、およびR
3
は、互いに独立して、水素、1~6個のC原子を有するアルキル基、または2~6個のC原子を有するヒドロキシアルキル基を表す]と反応させて中和すること
による、方法。
[3]一般式(I):
[化3]
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+
は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤の製造方法であり、
a)テトラヒドロフルフラールとグリニャール化合物R-Mg-Hal[式中、Rは上記で特定された意味を有し、HalはBrおよびIから選択される]とを反応させること、および
b)硫酸化剤を使用して硫酸化すること、および場合により、次いで、X
+
OH
-
、X
+
HCO
-
3
、またはX
+
2
CO
2-
3
[式中、X
+
はアルカリ金属カチオンまたはグループN
+
R
1
R
2
R
3
を表し、式中、R
1
、R
2
、およびR
3
は、互いに独立して、水素、1~6個のC原子を有するアルキル基、または2~6個のC原子を有するヒドロキシアルキル基を表す]と反応させて中和すること
による、方法。
[4]一般式(I):
[化4]
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個のC原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+
は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤を含有する洗剤または洗浄剤。
[5]1重量%~99重量%、特に3重量%~65重量%の一般式(I)の界面活性剤を含有することを特徴とする、[4]に記載の洗剤または洗浄剤。
[6]最大で99重量%、特に3重量%~65重量%の追加の界面活性剤をさらに含有することを特徴とする、[4]または[5]に記載の洗剤または洗浄剤。
[7]微粒子であり、特に1重量%~60重量%の範囲の量の、ビルダーを含有することを特徴とする、または、液体であり、1重量%~90重量%、特に10重量%~85重量%の、水、水混和性溶媒、または水と水混和性溶媒との混合物を含有することを特徴とする、[4]~[6]のいずれかに記載の洗剤または洗浄剤。
[8]個別に投与可能なように、水溶性材料で作られたチャンバー内に分割され、15重量%未満の、特に1重量%~12重量%の範囲の水を含有することを特徴とする、[4]~[6]のいずれかに記載の洗剤または洗浄剤。
[9]一般式(I):
[化5]
[式中、Rは、直鎖状または分枝状の5~25個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を表し、X
+
は電荷平衡カチオンを表す]
のアニオン性界面活性剤の、洗濯物を洗濯する、または硬質表面を洗浄するときの洗剤または洗浄剤の性能を向上させるための使用。
[10]一般式(I)の化合物において、Rは直鎖状または分枝状の、特に直鎖状の、7~21個のC原子を有するアルキル基を表す、[1]に記載の界面活性剤、[2]または[3]に記載の方法、[4]~[8]のいずれかに記載の洗剤または洗浄剤、または[9]に記載の使用。