(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】音声データ通信方法および無線音声システム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/02 20060101AFI20230203BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
G10K15/02
H04M1/00 H
(21)【出願番号】P 2021182857
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】202111120602.7
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521492252
【氏名又は名称】上海物騏微電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai WUQI Microelectronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building No.1&2, No.333 Haiyangyi Road, Lin-gang New Area, Pilot Free Trade Zone, Shanghai, 201306 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124659
【氏名又は名称】白洲 一新
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ダー
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111654348(CN,A)
【文献】特開2020-184750(JP,A)
【文献】特表2010-503044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/02
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルチャネル無線音声設備に適用され、前記デュアルチャネル無線音声設備が、マスター音声設備およびスレーブ音声設備を含み、かつ、前記マスター音声設備と音源設備との間に通信リンクが設けられる、音声データ通信方法であって、
前記音源設備がプリセット期間内に音声データを送信するステップと、
前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ音声データを受信するステップと、
前記音声データの受信状態に応じて、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ第一フィードバック情報および第二フィードバック情報を生成するステップと、
コンフリクト回避機能を備えたキャリアセンスマルチアクセスCSMA/CAプロトコルに基づいて、前記マスター音声設備が前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記第二フィードバック情報を前記音源設備に送信するステップと、を含むことを特徴とする音声データ通信方法。
【請求項2】
前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ音声データを受信するステップが、
前記マスター音声設備が前記通信リンクを介して前記音声データを受信するステップと、
前記スレーブ音声設備が前記通信リンクを傍受して前記音声データを取得するステップと、を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の音声データ通信方法。
【請求項3】
前記第一フィードバック情報が、第一ポジティブフィードバックパケットおよび第一ネガティブフィードバックパケットを含み、前記音声データが正しく受信されると、前記マスター音声設備が前記第一ポジティブフィードバックパケットを生成し、そうでない場合、前記第一ネガティブフィードバックパケットを生成することと、
前記第二フィードバック情報が、第二ポジティブフィードバックパケットおよび第二ネガティブフィードバックパケットを含み、前記音声データが正しく受信されると、前記スレーブ音声設備が前記第二ポジティブフィードバックパケットを生成し、そうでない場合、前記第二ネガティブフィードバックパケットを生成することと、を特徴とする請求項1に記載の音声データ通信方法。
【請求項4】
前記第一ポジティブフィードバックパケットおよび前記第二ポジティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が低く、前記第一ネガティブフィードバックパケットおよび前記第二ネガティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が高いこと、を特徴とする請求項3に記載の音声データ通信方法。
【請求項5】
前記コンフリクト回避機能を備えたキャリアセンスマルチアクセスCSMA/CAプロトコルに基づいて、前記マスター音声設備が前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記第二フィードバック情報を前記音源設備に送信するステップが、
前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備のフィードバックチャネルを確立するステップと、
前記CSMA/CAプロトコルに基づいて、そして前記第一フィードバック情報および前記第二フィードバック情報に対応する送信優先度に従って、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルを競合して、前記フィードバックチャネルへのアクセス権を取得するステップと、
前記フィードバックチャネルへのアクセス権に従って、前記マスター音声設備が前記フィードバックチャネルにアクセスして前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルにアクセスして前記第二フィードバック情報を音源設備に送信するステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の音声データ通信方法。
【請求項6】
前記プリセット期間が、データ処理期間およびアイドル期間を含むことと、
前記データ処理期間において、前記音源設備は前記音声データを送信し、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は、前記音声データを受信して、それぞれ前記第一フィードバック情報および前記第二フィードバック情報を生成することと、
前記アイドル期間において、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルを競合してアクセスすることと、を特徴とする請求項5に記載の音声データ通信方法。
【請求項7】
前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が、前記フィードバックチャネルへのアクセス権を取得するために、前記フィードバックチャネルを競合させるステップの実行前、さらに、
前記アイドル期間を短いフレーム間隔、長いフレーム間隔、およびコンテンションウィンドウに分割するステップと、
前記コンテンションウィンドウを少なくとも2つの回避タイムスロットに分割するステップと、を含むこと、を特徴とする請求項6に記載の音声データ通信方法。
【請求項8】
前記第一フィードバック情報が送信優先度の高い前記第一ネガティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の低い前記第二ポジティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備は前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得することと、
前記第一フィードバック情報が送信優先度の低い前記第一ポジティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の高い前記第二ネガティブフィードバックパケットである場合、前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得することと、
前記第一フィードバック情報が送信優先度の高い前記第一ネガティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の高い前記第二ネガティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は衝突によって前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を競合することと、を特徴とする請求項7に記載の音声データ通信方法。
【請求項9】
前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得した前記マスター音声設備が、次の前記プリセット期間で前記音源設備に前記第一ネガティブフィードバックパケットを送信して、前記音源設備に前記音声データを再送させるために、前記短いフレーム間隔が終了した後にフィードバックチャネルにアクセスすることと、
または、前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得した前記スレーブ音声設備が、次の前記プリセット期間で前記音源設備に前記第二ネガティブフィードバックパケットを送信して、前記音源設備に前記音声データを再送させるために、前記短いフレーム間隔が終了した後にフィードバックチャネルにアクセスすることと、を特徴とする請求項8に記載の音声データ通信方法。
【請求項10】
前記第一フィードバック情報が送信優先度の低い前記第一ポジティブフィードバックパケットであり、前記第二フィードバック情報が送信優先度の低い前記第二ポジティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が、前記長いフレーム間隔の終了時に、前記少なくとも2つの回避タイムスロットにおける第一回避タイムスロットおよび第二回避タイムスロットをそれぞれプリエンプトすることと、
前記第一回避タイムスロットが最初に満了すると、前記マスター音声設備は前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得することと、
前記第二回避タイムスロットが最初に満了すると、前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得することと、を特徴とする請求項7に記載の音声データ通信方法。
【請求項11】
前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得した前記マスター音声設備が、次の前記プリセット期間に前記第一ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信して、前記音源設備に新しい音声データを送信させるために、前記第一回避タイムスロットの満了後に前記フィードバックチャネルにアクセスすることと、
または、前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得した前記スレーブ音声設備が、次の前記プリセット期間に前記第二ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信して、前記音源設備に新しい音声データを送信させるために、前記第二回避タイムスロットの満了後に前記フィードバックチャネルにアクセスすることと、を特徴とする請求項10に記載の音声データ通信方法。
【請求項12】
前記短いフレーム間隔および前記長いフレーム間隔の両方の開始時間が前記アイドル期間の開始時間であり、かつ、前記短いフレーム間隔の終了時間が前記長いフレーム間隔の終了時間よりも早いことと、
前記コンテンションウィンドウの開始時間が前記長いフレーム間隔の終了時間であり、かつ、前記コンテンションウィンドウの終了時間がアイドル期間の終了時間であることと、を特徴とする請求項7に記載の音声データ通信方法。
【請求項13】
無線音声システムであって、音源設備およびデュアルチャネル無線音声設備を含み、かつ、前記デュアルチャネル無線音声設備が、請求項1~12のいずれか1項に記載の前記音声データ通信方法を採用すること、を特徴とする無線音声システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術の分野に関し、特に音声データ通信方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブルートゥース(登録商標)通信技術の発展に伴い、音声設備(スピーカー、イヤホンなどを含む)は有線から無線へ急速に進化している。このうち、デュアルチャネル(左右)無線音声設備は、無線で接続でき、かつ携帯しやすいという利点を備えるだけでなく、サラウンド効果を得ることができ、人気が高まり、ますます広く使用されている。
【0003】
ブルートゥース(登録商標)Piconetの特性により、設備間の通信は主にポイントツーポイント通信メカニズムであり、デュアルチャネル無線音声設備における2つの音声設備(マスター機器とスレーブ機器)がソース機器から送信された音声データを確実に受信するためには、2つの一般的な方法がある。一、音源設備(もしくは音源機器)がマスター音声設備に音声データを送信してから、マスター音声設備がスレーブ音声設備に音声データを送信する。二、音源設備がマスター音声設備に音声データを送信し、スレーブ音声設備が音源設備とマスター音声設備の間の通信リンクを傍受して音声データを取得する。
【0004】
しかしながら、マスター音声設備とスレーブ音声設備とは、音声データの受信に加えて、音声データが正しく受信されたかどうかを音源設備にフィードバックする必要があり、音源設備はフィードバック情報に基づいて、音声データを再送するか、新しい音声データを送信し続けるかを選択することができる。音源設備は1台の音声設備からしかフィードバック情報を受け取れないため、通常はマスター音声設備とスレーブ音声設備との間に別のリンクを確立し、かつ音声設備の1台が合意したフィードバック情報を音源設備に送信するが、この場合、マスター音声設備とスレーブ音声設備との情報のやりとりおよび複雑な操作という問題を引き起こす。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術におけるフィードバック情報を送信する際のマスター音声設備とスレーブ音声設備とのやりとりという問題を効果的に解決し、そして音声データ送信の信頼性を確保できる音声データ通信方法および無線音声システムを提供することである。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段によって達成される。
【0007】
デュアルチャネル無線音声設備に適用され、前記デュアルチャネル無線音声設備が、マスター音声設備およびスレーブ音声設備を含み、かつ、前記マスター音声設備と音源設備との間に通信リンクが設けられる音声データ通信方法であって、 前記音源設備がプリセット期間内に音声データを送信するステップと、 前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ音声データを受信するステップと、前記音声データの受信状態に応じて、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ第一フィードバック情報および第二フィードバック情報を生成するステップと、コンフリクト回避機能を備えたキャリアセンスマルチアクセスCSMA/CAプロトコルに基づいて、前記マスター音声設備が前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記第二フィードバック情報を前記音源設備に送信するステップと、を含む音声データ通信方法である。
【0008】
好ましくは、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ音声データを受信するステップが、
前記マスター音声設備が前記通信リンクを介して前記音声データを受信するステップと、前記スレーブ音声設備が前記通信リンクを傍受して前記音声データを取得するステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、前記第一フィードバック情報が、第一ポジティブフィードバックパケットおよび第一ネガティブフィードバックパケットを含み、前記音声データが正しく受信されると、前記マスター音声設備が前記第一ポジティブフィードバックパケットを生成し、そうでない場合、前記第一ネガティブフィードバックパケットを生成する。
前記第二フィードバック情報が、第二ポジティブフィードバックパケットおよび第二ネガティブフィードバックパケットを含み、前記音声データが正しく受信されると、前記スレーブ音声設備は前記第二ポジティブフィードバックパケットを生成し、そうでない場合、前記第二ネガティブフィードバックパケットを生成する。
【0010】
好ましくは、前記第一ポジティブフィードバックパケットおよび前記第二ポジティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が低く、前記第一ネガティブフィードバックパケットおよび前記第二ネガティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が高い。
【0011】
好ましくは、前記コンフリクト回避機能を備えたキャリアセンスマルチアクセスCSMA/CAプロトコルに基づいて、前記マスター音声設備が前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記第二フィードバック情報を前記音源設備に送信するステップが、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備のフィードバックチャネルを確立するステップと、前記CSMA/CAプロトコルに基づいて、そして前記第一フィードバック情報および前記第二フィードバック情報に対応する送信優先度に従って、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルを競合して、前記フィードバックチャネルへのアクセス権を取得するステップと、前記フィードバックチャネルへのアクセス権に従って、前記マスター音声設備が前記フィードバックチャネルにアクセスして前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルにアクセスして前記第二フィードバック情報を前記音源設備に送信するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、前記プリセット期間は、データ処理期間およびアイドル期間を含む。
前記データ処理期間において、前記音源設備が前記音声データを送信し、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が前記音声データを受信し、それぞれ前記第一フィードバック情報および前記第二フィードバック情報を生成する。
前記アイドル期間において、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルを競合してアクセスする。
【0013】
好ましくは、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が、前記フィードバックチャネルへのアクセス権を取得するために、前記フィードバックチャネルを競合させるステップの実行前、さらに、前記アイドル期間を短いフレーム間隔、長いフレーム間隔、およびコンテンションウィンドウに分割するステップと、前記コンテンションウィンドウを少なくとも2つの回避タイムスロットに分割するステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、前記第一フィードバック情報が送信優先度の高い前記第一ネガティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の低い前記第二ポジティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備は前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得する。
前記第一フィードバック情報が送信優先度の低い前記第一ポジティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の高い前記第二ネガティブフィードバックパケットである場合、前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得する。
前記第一フィードバック情報が送信優先度の高い前記第一ネガティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の高い前記第二ネガティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は衝突によって前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を競合する。
【0015】
好ましくは、前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得した前記マスター音声設備は、次の前記プリセット期間で前記音源設備に前記第一ネガティブフィードバックパケットを送信して、前記音源設備に前記音声データを再送させるために、前記短いフレーム間隔が終了した後にフィードバックチャネルにアクセスする。
または、前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得した前記スレーブ音声設備が、次の前記プリセット期間で前記音源設備に前記第二ネガティブフィードバックパケットを送信して、前記音源設備に前記音声データを再送させるために、前記短いフレーム間隔が終了した後にフィードバックチャネルにアクセスする。
【0016】
好ましくは、前記第一フィードバック情報が送信優先度の低い前記第一ポジティブフィードバックパケットであり、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の低い前記第二ポジティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が、前記長いフレーム間隔の終了時に、前記少なくとも2つの回避タイムスロットにおける第一回避タイムスロットおよび第二回避タイムスロットをそれぞれプリエンプトする。
前記第一回避タイムスロットが最初に満了すると、前記マスター音声設備は前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得する。
前記第二回避タイムスロットが最初に満了すると、前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得する。
【0017】
好ましくは、前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得した前記マスター音声設備が、次の前記プリセット期間に前記第一ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信して、前記音源設備に新しい音声データを送信させるために、前記第一回避タイムスロットの満了後に前記フィードバックチャネルにアクセスする。
または、前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得した前記スレーブ音声設備は、次の前記プリセット期間に前記第二ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信して、前記音源設備に新しい音声データを送信させるために、前記第二回避タイムスロットの満了後に前記フィードバックチャネルにアクセスする。
【0018】
好ましくは、前記短いフレーム間隔および前記長いフレーム間隔の両方の開始時間が、前記アイドル期間の開始時間であり、かつ、前記短いフレーム間隔の終了時間は前記長いフレーム間隔の終了時間よりも早い。
前記コンテンションウィンドウの開始時間は前記長いフレーム間隔の終了時間であり、かつ、前記コンテンションウィンドウの終了時間はアイドル期間の終了時間である。
【0019】
一方、本発明は、無線音声システムをさらに提供し、それは、音源設備およびデュアルチャネル無線音声設備を含み、かつ、前記デュアルチャネル無線音声設備は、上述の各種好ましい音声データ通信方法を採用する。
【0020】
本発明は、従来技術と比較して、少なくとも以下の利点を有する。
【0021】
本発明は、音声データ通信方法および無線音声システムを提供し、マスター音声設備およびスレーブ音声設備は、コンフリクト回避機能を備えたキャリアセンスマルチアクセスCSMA/CAプロトコルに基づいて、対応する第一フィードバック情報または第二フィードバック情報を音源設備に送信できるため、従来技術においてフィードバック情報を送信するときのマスター音声設備とスレーブ音声設備との間の情報のやりとりおよび複雑な操作という問題を効果的に解決する。
【0022】
本発明における第一ネガティブフィードバックパケットおよび第二ネガティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が高く、第一ポジティブフィードバックパケットおよび第二ポジティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が低く、そして、CSMA/CAプロトコルに基づいて、送信されるフィードバックパケットの送信に優先順位をつけることが可能であり、マスター音声設備およびスレーブ音声設備は、それぞれのフィードバックパケットに対応する送信優先度に従ってフィードバックチャネルを競合してアクセスできるため、マスター音声設備とスレーブ音声設備の間の情報のやりとりが回避され、実装の実現可能性と操作の利便性を備える。
【0023】
本発明におけるネガティブフィードバックパケットおよびポジティブフィードバックパケットが同時に現れる場合、ネガティブフィードバックパケットに対応する音声設備は、フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得し、かつ、短いフレーム間隔が終了するとすぐにフィードバックチャネルにアクセスできるため、ネガティブフィードバックパケットを音源設備に送信して、ポジティブフィードバックパケットの送信を効果的にブロックでき、さらに、音源設備がネガティブフィードバックパケットを正確に受信して音声データを再送できるようになり、音声データ送信の信頼性を向上させる。
【0024】
本発明における第一ネガティブフィードバックパケットおよび第二ネガティブフィードバックパケットが同時に現れる場合、マスター音声設備およびスレーブ音声設備は、衝突によってフィードバックチャネルへの第一アクセス権を競合でき、かつ、フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得した音声設備は、短いフレーム間隔が終了するとすぐにフィードバックチャネルにアクセスして、対応するネガティブフィードバックパケットを音源設備に送信し、同時に、音源設備が第一ネガティブフィードバックパケットを受信するか、第二ネガティブフィードバックパケットを受信するかに関係なく、音声データ送信の信頼性を確保するために音声データを再送する。
【0025】
本発明における第一ポジティブフィードバックパケットおよび第二ポジティブフィードバックパケットが同時に現れる場合、マスター音声設備およびスレーブ音声設備は、長いフレーム間隔が終了した後、第一回避タイムスロットおよび第二回避タイムスロットをそれぞれプリエンプトでき、回避タイムスロットが最初に満了する音声設備は、フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得でき、かつ、選択された回避タイムスロットが満了した直後にフィードバックチャネルにアクセスして、対応するポジティブフィードバックパケットを音源設備に送信し、同時に、音源設備が第一ポジティブフィードバックパケットを受信するか、第二ポジティブフィードバックパケットを受信するかに関係なく、音声データ送信の信頼性を確保するために音声データを送信し続ける。
【0026】
本発明において、音源設備が第一ポジティブフィードバックパケット、第二ポジティブフィードバックパケット、第一ネガティブフィードバックパケット、および第二ネガティブフィードバックパケットのいずれも受信しない場合、音源設備は、音声データ送信の信頼性を確保するために音声データを再送する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例が提供する音声データ通信方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例が提供する音声データ通信方法におけるアイドル期間の分割を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例が提供する音声データ通信方法におけるフィードバックチャネルにアクセスするシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面および特定の実施形態の例示にて、本発明によって提供される音声データ通信方法および無線音声システムについてさらに詳細に説明する。以下の説明によって、本発明の利点および特徴がより明確になる。添付の図面は非常に簡易的であり、かつ、すべてが非正確な縮尺であり、本発明の実施形態を説明する目的のための補助としてのみ意図されていることに留意されたい。本発明の目的、特徴、利点をより明らかにし、理解しやすくするために、添付の図面を参照する。なお、本明細書に添付された図面の構成、縮尺率、サイズは、当業者の理解と読解のために、本明細書に開示された内容と一致させることを意図したものに過ぎず、本発明の実施条件を限定するものではないため、技術的に実質的な意味を持たず、本発明の効果と目的に影響を与えることなく、構造の変更、縮尺率の変更、サイズの調整を行っても、本発明に開示された技術内容の範囲内に含まれるものとする。
【0029】
本明細書において、第一、第二などの関係用語は、あるエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作から区別するためにのみ使用され、これらのエンティティまたは操作の間の実際の関係または順序を必ずしも決定または暗示するものではないことに留意されたい。さらに、「含む」、「含まれる」またはその他の類似意味の用語は、排他的な「包む」を意図していないため、一連の要素からなるプロセス、方法、物品または設備が、それらの要素だけでなく、明示的に記載されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品または設備に固有の要素を含む。これ以上の制限がない場合、「1つの...を含む」という文で定義された要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品、または設備における他の同一の要素の存在を排除するものではない。
【0030】
図1~3に示すとおり、本実施例が提供する音声データ通信方法は、デュアルチャネル無線音声設備に適用され、前記デュアルチャネル無線音声設備が、マスター音声設備およびスレーブ音声設備を含み、かつ、前記マスター音声設備と音源設備との間に通信リンクが設けられる。前記音声データ通信方法は、前記音源設備がプリセット期間内(あらかじめ設定された時間内)に音声データを送信するステップS110と、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ前記音声データを受信するステップS120と、前記音声データの受信状態に応じて、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備がそれぞれ第一フィードバック情報および第二フィードバック情報を生成するステップS130と、コンフリクト回避機能を備えたキャリアセンスマルチアクセスCSMA/CAプロトコルに基づいて、前記マスター音声設備が前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記第二フィードバック情報を前記音源設備に送信するステップS140と、を含む。
【0031】
また、
図1に示すとおり、前記ステップS120は、前記マスター音声設備が前記通信リンクを介して前記音声データを受信するステップと、前記スレーブ音声設備が前記通信リンクを傍受して前記音声データを取得するステップと、を含む。
【0032】
具体的には、本実施例において、前記通信リンクは、ブルートゥース(登録商標)プロトコルに基づく標準リンクであってもよく、前記マスター音声設備と前記スレーブ音声設備との間に別の無線リンクを設けることができ、かつ、前記スレーブ音声設備が、前記無線リンクを介して、前記通信リンクのブルートゥース(登録商標)パラメータ、クロックなどの通信情報を取得でき、それにより、前記通信情報に基づいて前記通信リンクを傍受することで、前記ソース機器から送信された前記音声データをさらに取得することができる。好ましくは、前記無線リンクは、ブルートゥース(登録商標)プロトコルに基づく標準リンクであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
同時に、
図1に示すとおり、前記第一フィードバック情報は、第一ポジティブフィードバックパケットおよび第一ネガティブフィードバックパケットを含み、かつ、前記音声データが正しく受信されると、前記マスター音声設備は前記第一ポジティブフィードバックパケットを生成し、そうでない場合、前記第一ネガティブフィードバックパケットを生成する。前記第二フィードバック情報は、第二ポジティブフィードバックパケットおよび第二ネガティブフィードバックパケットを含み、前記音声データが正しく受信されると、前記スレーブ音声設備は前記第二ポジティブフィードバックパケットを生成し、そうでない場合、前記第二ネガティブフィードバックパケットを生成する。
【0034】
いくつかの他の実施例において、前記第一ポジティブフィードバックパケットおよび前記第二ポジティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が低く、前記第一ネガティブフィードバックパケットおよび前記第二ネガティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が高いことを理解することができる。
【0035】
具体的には、本実施例において、前記ステップS130において、前記マスター音声設備と前記スレーブ音声設備の両方が前記音声データを正しく受信した場合、前記音声データの送信が成功したことを示し、すると、前記音源設備は次の前記プリセット期間に新しい音声データを送信することができる。前記マスター音声設備と前記スレーブ音声設備のいずれかが前記音声データを正しく受信しなかった場合、前記音声データの送信が失敗したことを示し、すると、前記音源設備は、前記音声データの送信の信頼性を確保するために、前記音声データの送信が成功するまで、次の前記プリセット期間に前記音声データを再送することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
また、
図1に示すとおり、前記ステップS140は、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備のフィードバックチャネルを確立するステップと、前記CSMA/CAプロトコルに基づいて、そして前記第一フィードバック情報および前記第二フィードバック情報に対応する送信優先度に従って、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルを競合して、前記フィードバックチャネルへのアクセス権を取得するステップと、前記フィードバックチャネルへのアクセス権に従って、前記マスター音声設備が前記フィードバックチャネルにアクセスして前記第一フィードバック情報を前記音源設備に送信するか、前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルにアクセスして前記第二フィードバック情報を前記音源設備に送信するステップと、を含む。
【0037】
具体的には、本実施例において、前記CSMA/CAプロトコルに基づいて、送信されるフィードバックパケットの送信優先度をランク付けすることが可能であるため、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は、送信されるそれぞれのフィードバックパケットに対応する送信優先度に応じて、フィードバックチャネルを競合してアクセスすることができ、それにより、前記マスター音声設備と前記スレーブ音声設備との間の情報のやりとりが回避され、実装の実現可能性と操作の利便性を備え、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備の消費電力を効果的に低減できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
同時に、
図1、
図2、および
図3に示すとおり、前記プリセット期間は、データ処理期間およびアイドル期間を含む。前記データ処理期間において、前記音源設備は前記音声データを送信し、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は前記音声データを受信して、それぞれ前記第一フィードバック情報および前記第二フィードバック情報を生成する。前記アイドル期間において、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルを競合してアクセスする。
【0039】
他のいくつかの実施例において、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が、前記フィードバックチャネルへのアクセス権を取得するために、前記フィードバックチャネルを競合させるステップの実行前、さらに、前記アイドル期間を短いフレーム間隔、長いフレーム間隔、およびコンテンションウィンドウに分割するステップと、前記コンテンションウィンドウを少なくとも2つの回避タイムスロットに分割するステップと、を含むことが理解される。
【0040】
いくつかの実施例において、前記短いフレーム間隔および前記長いフレーム間隔の両方の開始時間は前記アイドル期間の開始時間であり、かつ、前記短いフレーム間隔の終了時間は前記長いフレーム間隔の終了時間よりも早い。前記コンテンションウィンドウの開始時間は前記長いフレーム間隔の終了時間であり、かつ、前記コンテンションウィンドウの終了時間はアイドル期間の終了時間である。
【0041】
具体的には、本実施例において、前記データ処理期間の開始時間は、前記プリセット期間の開始時間であってもよく、前記データ処理期間の終了時間は、前記アイドル期間の開始時間であってもよく、前記アイドル期間の終了時間は、前記プリセット期間の終了時間であってもよく、そして、前記データ処理期間の持続時間は可変であり、かつ、前記音声データのサイズまたは長さに応じて変化でき、前記アイドル期間の持続時間は固定持続時間であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
具体的には、本実施例において、前記アイドル期間における前記短いフレーム間隔の持続時間は、前記長いフレーム間隔の持続時間よりも短く、かつ、前記短いフレーム間隔内に、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は、受信状態から送信状態への切り替えを完了することができる。送信優先度の高いフィードバックパケットを先に送信できるようにするために、送信優先度の高いフィードバックパケットに対応する音声設備を、前記短いフレーム間隔が終了した直後に前記フィードバックチャネルにアクセスして、前記フィードバックチャネルが占有されるようにし、これにより、送信優先度の低いフィードバックパケットの送信を効果的にブロックすることができ、その結果、音源設備が送信優先度の高いフィードバックパケットを正確に受信できるようにすることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
また、
図3に示すとおり、前記第一フィードバック情報が送信優先度の高い前記第一ネガティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の低い前記第二ポジティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備は前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得する。前記第一フィードバック情報が送信優先度の低い前記第一ポジティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の高い前記第二ネガティブフィードバックパケットである場合、前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得する。前記第一フィードバック情報が送信優先度の高い前記第一ネガティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の高い前記第二ネガティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は衝突によって前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を競合する。
【0044】
他のいくつかの実施例において、前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得した前記マスター音声設備は、次の前記プリセット期間で前記音源設備に前記第一ネガティブフィードバックパケットを送信して、前記音源設備に前記音声データを再送させるために、前記短いフレーム間隔が終了した後にフィードバックチャネルにアクセスする。または、前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得した前記スレーブ音声設備は、次の前記プリセット期間で前記音源設備に前記第二ネガティブフィードバックパケットを送信して、前記音源設備に前記音声データを再送させるために、前記短いフレーム間隔が終了した後にフィードバックチャネルにアクセスする。
【0045】
具体的には、本実施例において、第一ケースは、前記マスター音声設備が前記音声データを正しく受信せず、前記スレーブ音声設備が前記音声データを正しく受信する場合である。この場合、前記マスター音声設備が前記第一ネガティブフィードバックパケットを生成し、前記スレーブ音声設備が前記第二ポジティブフィードバックパケットを生成する。前記第一ネガティブフィードバックパケットの送信優先度が前記第二ポジティブフィードバックパケットの送信優先度よりも高いため、この時、前記マスター音声設備が前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得でき、かつ、前記短いフレーム間隔の直後に、前記マスター音声設備が前記音源設備に第一プリアンブルを送信して、前記アイドル期間の終了まで送信を継続することで、前記マスター音声設備が前記アイドル期間の終了まで前記フィードバックチャネルへのアクセスを継続し、その結果、前記第二ポジティブフィードバックパケットの送信が効果的にブロックされる。前記アイドル期間の終了後、すなわち次の前記プリセット期間の開始時に、前記マスター音声設備は、前記第一プリアンブルの送信を終了して、前記第一ネガティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信することで、前記音源設備は、前記第一ネガティブフィードバックパケットを正確に受信して前記音声データを再送でき、前記音声データ送信の信頼性が確保されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
具体的には、本実施例において、第二ケースは、前記マスター音声設備が前記音声データを正しく受信し、前記スレーブ音声設備が前記音声データを正しく受信しない場合である。この場合、前記マスター音声設備が前記第一ポジティブフィードバックパケットを生成し、前記スレーブ音声設備が前記第二ネガティブフィードバックパケットを生成する。前記第一ポジティブフィードバックパケットの送信優先度が前記第二ネガティブフィードバックパケットの送信優先度よりも低いため、この時、前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得でき、かつ、前記短いフレーム間隔の直後に、前記スレーブ音声設備が前記音源設備に第二プリアンブルを送信して、前記アイドル期間の終了まで送信を継続することで、前記スレーブ音声設備が前記アイドル期間の終了まで前記フィードバックチャネルへのアクセスを継続し、その結果、前記第一ポジティブフィードバックパケットの送信が効果的にブロックされる。前記アイドル期間の終了後、すなわち次の前記プリセット期間の開始時に、前記スレーブ音声設備は、前記第二プリアンブルの送信を終了して、前記第二ネガティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信することで、前記音源設備は、前記第二ネガティブフィードバックパケットを正確に受信して前記音声データを再送でき、前記音声データ送信の信頼性が確保されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
具体的には、本実施例において、第三ケースは、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備のいずれも前記音声データを正しく受信しない場合である。この場合、前記マスター音声設備が前記第一ネガティブフィードバックパケットを生成し、前記スレーブ音声設備が前記第二ネガティブフィードバックパケットを生成する。前記第一ネガティブフィードバックパケットと前記第二ネガティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が高いため、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備は、前記第一プリアンブルと前記第二プリアンブルを衝突させるように、前記音源設備に前記第一プリアンブルと前記第二プリアンブルを同時に送信する。衝突の結果、前記音源設備への前記第一プリアンブルの送信が成功した場合、前記マスター音声設備が前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得して前記フィードバックチャネルにアクセスすることを示し、前記アイドル期間の終わり、すなわち次の前記プリセット期間の初めに、前記マスター音声設備が前記第一プリアンブルの送信を終了して、前記第一ネガティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信する。また、衝突の結果、前記音源設備への前記第二プリアンブルの送信が成功した場合、前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得して前記フィードバックチャネルにアクセスすることを示し、前記アイドル期間の終わり、すなわち次の前記プリセット期間の初めに、前記スレーブ音声設備が前記第二プリアンブルの送信を終了して、前記第二ネガティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信する。前記音声設備は、前記音声データ送信の信頼性を確保するために、前記第一ネガティブフィードバックパケットまたは前記第二ネガティブフィードバックパケットのどちらを受信するかにかかわらず、前記音声データを再送するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
また、
図3に示すとおり、前記第一フィードバック情報が送信優先度の低い前記第一ポジティブフィードバックパケットで、かつ、前記第二フィードバック情報が送信優先度の低い前記第二ポジティブフィードバックパケットである場合、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備が、前記長いフレーム間隔の終了後、前記少なくとも2つの回避タイムスロットにおける第一回避タイムスロットおよび第二回避タイムスロットをそれぞれプリエンプトする。前記第一回避タイムスロットが最初に満了すると、前記マスター音声設備は前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得する。前記第二回避タイムスロットが最初に満了すると、前記スレーブ音声設備は前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得する。
【0049】
他のいくつかの実施例において、前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得した前記マスター音声設備は、次の前記プリセット期間に前記第一ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信して、前記音源設備に新しい音声データを送信させるために、前記第一回避タイムスロットの満了後に前記フィードバックチャネルにアクセスし、または、前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得した前記スレーブ音声設備は、次の前記プリセット期間に前記第二ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信して、前記音源設備に新しい音声データを送信させるために、前記第二回避タイムスロットの満了後に前記フィードバックチャネルにアクセスすることを理解される。
【0050】
具体的には、本実施例において、前記マスター音声設備および前記スレーブ音声設備の両方がオーディオデータを正しく受信すると、前記マスター音声設備は前記第一ポジティブフィードバックパケットを生成し、前記スレーブ音声設備は前記第二ポジティブフィードバックパケットを生成する。前記第一ポジティブフィードバックパケットおよび前記第二ポジティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が低いため、前記長いフレーム間隔が終了した後、前記マスター音声設備は、前記第一回避タイムスロットをプリエンプトでき、前記スレーブ音声設備は、前記第二回避タイムスロットをプリエンプトできる。このとき、第四ケースが現れ、すなわち、前記第一回避タイムスロットが最初に満了し、その時点で前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルへの第二アクセス権を取得でき、かつ、前記第一回避タイムスロットの終了直後に、前記マスター音声設備が、前記第一プリアンブルを前記音源設備に送信して、前記アイドル期間の終了まで送信を継続することで、前記マスター音声設備が前記アイドル期間の終了まで前記フィードバックチャネルへのアクセスを継続し、その結果、前記第二ポジティブフィードバックパケットの送信が効果的にブロックされ、前記アイドル期間の終了後、すなわち、次の前記プリセット期間の開始時に、前記マスター音声設備は、前記第一プリアンブルの送信を終了して、前記第一ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信する。そして、第五ケース、すなわち、前記第二回避タイムスロットが最初に満了し、その時点で前記スレーブ音声設備が前記フィードバックチャネルへの第一アクセス権を取得でき、かつ、前記第二回避タイムスロットの終了直後に、前記スレーブ音声設備が、前記第二プリアンブルを前記音源設備に送信して、前記アイドル期間の終了まで送信を継続することで、前記スレーブ音声設備が前記アイドル期間の終了まで前記フィードバックチャネルへのアクセスを継続し、その結果、前記第一ポジティブフィードバックパケットの送信が効果的にブロックされ、前記アイドル期間の終了後、すなわち、次の前記プリセット期間の開始時に、前記スレーブ音声設備は、前記第二プリアンブルの送信を終了して、前記第二ポジティブフィードバックパケットを前記音源設備に送信する。なお、前記音源設備は、前記第一ポジティブフィードバックパケットを受信しても、前記第二ポジティブフィードバックパケットを受信しても、次の前記プリセット期間に新しい音声データを送信するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
さらに、本実施例において、前記音源設備が、前記第一ポジティブフィードバックパケット、前記第二ポジティブフィードバックパケット、前記第一ネガティブフィードバックパケットおよび前記第二ネガティブフィードバックパケットのいずれも受信しなかった場合、前記音源設備は、前記音声データの送信の信頼性を確保するために、次の前記プリセット期間に前記音声データを再送するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
一方、本実施例は、無線音声システムをさらに提供し、それは、音源設備およびデュアルチャネル無線音声設備を含み、かつ、前記デュアルチャネル無線音声設備は、上述したような音声データ通信方法を採用する。
【0053】
要約すると、本実施例は、音声データ通信方法および無線音声システムを提供するものであり、音源設備は、プリセット期間に音声データを送信でき、マスター音声設備およびスレーブ音声設備は、音声データを受信して、かつ、音声データの受信状態に応じて、第一フィードバックメッセージおよび第二フィードバックメッセージをそれぞれ生成でき、コンフリクト回避機能を備えたキャリアセンスマルチアクセスCSMA/CAプロトコルに基づいて、マスター音声設備およびスレーブ音声設備は、対応する第一フィードバック情報または第二フィードバック情報を音源設備に送信できるため、従来技術においてフィードバック情報を送信するときのマスター音声設備とスレーブ音声設備との間の情報のやりとりおよび複雑な操作という問題が効果的に解決される。本実施例における第一ネガティブフィードバックパケットおよび第二ネガティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が高く、第一ポジティブフィードバックパケットおよび第二ポジティブフィードバックパケットが同じ送信優先度にあり、かつ、送信優先度が低く、そして、前記CSMA/CAプロトコルに基づいて、送信されるフィードバックパケットの送信に優先順位をつけることが可能であり、マスター音声設備およびスレーブ音声設備は、それぞれのフィードバックに対応する送信優先度に従ってフィードバックチャネルを競合してアクセスできるため、マスター音声設備とスレーブ音声設備の間の情報のやりとりが回避され、かつ、実装の実現可能性と操作の利便性を備える。
【0054】
本発明の内容は、上記の好ましい実施例によって詳細に説明されたが、上記の説明は本発明を限定するものと考えるべきではないことを認識されたい。本発明に対する様々な変更または置換は、上記の内容を読んだ当業者にとっては明らかになる。したがって、本発明の保護範囲は添付の請求項によって限定されるべきである。
【要約】 (修正有)
【課題】デュアルチャンネル無線音声設備において、フィードバック情報を送信する際のマスター音声設備とスレーブ音声設備とのやりとりの問題を解決する音声データ通信方法及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、音源設備がプリセット期間内に音声データを送信するステップS110と、マスター音声設備及びスレーブ音声設備がそれぞれ音声データを受信するステップS120と、音声データの受信状態に応じて、マスター音声設備およびスレーブ音声設備がそれぞれ第一フィードバック情報および第二フィードバック情報を生成するステップS130と、CSMA/CAプロトコルに基づいて、マスター音声設備が第一フィードバック情報を音源設備に送信するか、スレーブ音声設備が第二フィードバック情報を音源設備に送信するステップS140と、を含む。
【選択図】
図1