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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】データ管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/295 20200101AFI20230207BHJP
   G06F 16/383 20190101ALI20230207BHJP
【FI】
G06F40/295
G06F16/383
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018220139
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020086901
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】517307061
【氏名又は名称】リーガルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】志田 大輔
【審査官】木村 大吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0314809(US,A1)
【文献】特開2008-217170(JP,A)
【文献】特開2003-330947(JP,A)
【文献】松平正樹、外4名,文書中のキーワードに関する多種多様な情報を収集・整理するシステム~システムの概要と固有表現抽出技術,,沖テクニカルレビュー,沖電気工業株式会社,2004年10月01日,Vol.71, No.4,pp.46~49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-40/58
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ管理システムを提供するサービスサーバはAPIを備え、
前記サービスサーバは、前記APIを用いてクライアント側の端末から入力データを受信する構成であり、
前記受信した入力データから所定の検索条件に基づいてテキストを抽出し、抽出された各テキストに対して所定の付与条件に基づいてタグを付与する付与手段と、
前記タグが付与された入力データを複数の記憶手段に保管させる保管指示手段と
前記クライアント側の端末から受け付けた入力データの参照の通信により、前記複数の記憶手段に保管された入力データを前記付与手段により付与されたタグとともにユーザ単位で前記クライアント側の端末に出力する出力手段と、
を備え、
前記付与手段は、所定の変換ルールにより関数に変換したタグを前記入力データに付与し、
前記出力手段は、前記所定の変換ルールにより変換されたタグを復元して出力できることを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
前記サービスサーバは、前記保管指示手段において前記タグが付与された入力データをブロックチェーン上で保管させることを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記サービスサーバは、前記タグと当該タグの意味する項目情報とが紐付けられた対応表を備え、
前記出力手段は、前記対応表を用いて前記タグの意味する項目情報を出力できることを特徴とする請求項1または2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記所定の変換ルールは、前記入力データ毎にそれぞれ設定可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記付与手段では、前記入力データの一のテキストについて、各入力データに共通するタグを付与することが可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記付与手段は、前記出力手段により出力されたタグが付与された入力データを復元し、所定の検索条件に基づいてテキストを抽出し、抽出された各テキストに対して所定の付与条件に基づいて再度タグを付与することができ、
前記保管指示手段は、前記再度タグを付与された入力データを、前記ブロックチェーンにおける現在のブロックの最後尾に連ねて保管させることを特徴とする請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項7】
前記タグの付与条件は変更が可能であり、
前記保管指示手段は、変更前のタグの付与条件と変更後のタグの付与条件との対応関係を示すデータを、前記複数の記憶手段に保管指示できることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力データを解析可能に保管するデータ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な業態においてサービスの提供者と被提供者間でのやり取り、例えば、医療機関では個人の診療録、金融機関では顧客の取引履歴、法律関係機関では判例等が管理されている。このような管理資料は、後に参照可能に管理されており、個人単位や事件単位で履歴の参照や比較に用い、以降の診察や取引、裁判等に役立ててられている。近年では、これらの管理資料はコンピュータ等で入力されて電子データ化され、サーバ等の記憶媒体に保管されている。
【0003】
また近年では、コンピュータの処理能力が向上したことから、大量の入力データを網羅的に解析し、例えばある事業者が保有する全ての既入力データから、消費傾向や罹患傾向等の有益な知識を得る所謂データ解析が注目されている。例えば、特許文献1では、入力データに所定のルールで区切られたテキストにタグを付加した状態で記憶媒体に保管しておき、後に任意のタグを複数選択することで、保管する大量の入力データが網羅的に解析され、選択した複数のタグに関連する情報を抽出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-196471号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、後に解析されて有益な知識を得るために管理される入力データは、主に日々の業務で複数の担当者によって利用される取引情報等であるため、訂正や補足のために内容が編集される場合がある。しかしながら、内容の編集が行われた後に上書きされてしまうと、内部の情報が入力データの作成当時の内容と異なるものとなってしまい、正確にデータ解析に利用できない場合がある。一方で、入力データの編集を制限することも考えられるが、編集の制限を設定するようなセキュリティ機能を利用すると、データ解析時の参照が困難になる恐れがあった。加えて、データを登録、マイニングするためにコンピュータを用いた環境は、専門の知識を有する者によって構築されていた。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、入力データを構成するテキストやタグを保管し、入力データの解析時などに必要なテキストを正確に参照できるデータ管理システムおよびデータ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のデータ管理システムは、
データ管理システムを提供するサービスサーバはAPIを備え、
前記サービスサーバは、前記APIを用いてクライアント側の端末から入力データを受信する構成であり、
前記受信した入力データから所定の検索条件に基づいてテキストを抽出し、抽出された各テキストに対して所定の付与条件に基づいてタグを付与する付与手段と、
前記タグが付与された入力データを複数の記憶手段に保管させる保管指示手段と
前記クライアント側の端末から受け付けた入力データの参照の通信により、前記複数の記憶手段に保管された入力データを前記付与手段により付与されたタグとともにユーザ単位で前記クライアント側の端末に出力する出力手段と、
を備え、
前記付与手段は、所定の変換ルールにより関数に変換したタグを前記入力データに付与し、
前記出力手段は、前記所定の変換ルールにより変換されたタグを復元して出力できることを特徴としている。
この特徴によれば、サービスサーバは、APIを用いてクライアント側の端末から受信した入力データに対して、所定の検索条件に基づくテキストの抽出と、所定の付与条件に基づくタグの付与を行うため、関係データベースのような既存のタグの付与条件では適切に分類できないテキストに対しても、適切な分類のタグを設定し付与できる。そのため、このデータ管理システムを用いることで、入力データの解析時などに必要なテキストを正確に参照することができる。また、タグが付与された入力データはサービスサーバの保管指示手段により複数の記憶手段に保管され、かつ入力データの解析時などでは、ユーザ単位で参照可能に出力されるため、複数の記憶手段を用いる耐故障性に優れたシステムを、このようなシステムの知識を有していないユーザでも簡単に利用できる環境をAPIにより実現することができる。
【0008】
前記サービスサーバは、前記保管指示手段において前記タグが付与された入力データをブロックチェーン上で保管させることを特徴としている。
この特徴によれば、タグが付与された入力データはブロックチェーン上で保管されるため、タグが付与された入力データの編集を行うことができず、セキュリティ機能に優れる。また、入力データの作成当時の内容を解析に用いることができ、事業活動に有益な知識を正確に得ることができる。さらに、このようなデータ管理システムをブロックチェーンの知識を有していないユーザでも簡単に利用できるようになる。
【0009】
前記サービスサーバは、前記タグと当該グの意味する項目情報とが紐付けられた対応表を備え、
前記出力手段は、前記対応表を用いて前記タグの意味する項目情報を出力できることを特徴としている。
この特徴によれば、サービスサーバが備える対応表を用いない限り、記憶手段に保管されている入力データに付与されたタグの意味を一見して判明しないものとすることができ、解析できる知識の漏洩を防ぐことができる。
【0011】
前記所定の変換ルールは、前記入力データ毎にそれぞれ設定可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、入力データを入力したユーザが、個別に所定の変換ルールを設定できるので、解析できる知識の漏洩を防ぐことができる。
【0012】
前記付与手段では、前記入力データの一のテキストについて、各入力データに共通するタグを付与することが可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の異なる入力データ間で互いに共通する一のテキストを利用して解析に用いることができる。
【0013】
前記付与手段は、前記出力手段により出力されたタグが付与された入力データを復元し、所定の検索条件に基づいてテキストを抽出し、抽出された各テキストに対して所定の付与条件に基づいて再度タグを付与することができ、
前記保管指示手段は、前記再度タグを付与された入力データを、前記ブロックチェーンにおける現在のブロックの最後尾に連ねて保管させることを特徴としている。
この特徴によれば、以前に保管した入力データを編集及び破棄することなく、タグを付与し直すことができ、正確に解析を行うことができる。
【0014】
前記タグの付与条件は変更が可能であり、
前記保管指示手段は、変更前のタグの付与条件と変更後のタグの付与条件との対応関係を示すデータを、前記複数の記憶手段に保管指示できることを特徴としている。
この特徴によれば、区切られたテキストの同様の属性に対して付与されるタグが時期や担当者に応じて異なる場合であっても、同様の属性として解析に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例におけるデータ管理システムおよびデータ管理方法を示す概念図である。
図2】APIサーバから提供されてパソコンに表示される初期画面を示す図である。
図3】同じくユーザーページを示す図である。
図4】同じくデータ入力ページを示す図である。
図5】変換前の診療録を示す図である。
図6】タグの付与が完了したXML形式のファイルを示す図である。
図7】タグが関数化された状態のXML形式のファイルを示す図である。
図8】出力時における一例としての重要度付与画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るデータ管理システムおよびデータ管理方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0018】
実施例に係るデータ管理システムにつき、図1から図8を参照して説明する。
【0019】
データ管理システムは、様々な業態においてサービスの提供者と被提供者間でのやり取り、例えば、医療機関では個人の診療録(カルテ)、金融機関では顧客の取引履歴、法律関係機関では判例等を電子データ化し、後に参照できるようにサーバで管理するシステムである。本実施例では、医療機関におけるカルテを病院単位で管理することを例に取り説明する。
【0020】
図1は、本発明のデータ管理システムに係る実施形態を実現するための全体システム図を示し、管理会社(管理者)がデータ管理システムを提供するためのサービスサーバ1、クライアント及び出力手段としてのパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」と略称する)2、とを備え、これらがインターネットを通じて相互通信可能に接続されている。パソコン2には、入力手段としてのスキャナー3、キーボード4、マウス5等がそれぞれ接続されている。その他、入力手段としてはペンタブレットとスタイラスペン等も利用できる。
【0021】
そして、上記各パソコン2は、ハードディスク等の図示省略の記録手段やRAM等に加え、電子化処理部を備えている。スキャナー3により撮像された紙媒体の管理書類は、電子化処理部にて記載された文字情報が文字認識され、テキストデータに変換される。
【0022】
サービスサーバ1は、後述するブロックチェーンの動作環境である複数のコンピュータ(記録手段)6とAPI(Application Program Interface)サーバ(記録手段)7と利用者管理サーバ(記録手段)8と処理サーバ9(記録手段)がネットワークで接続されて構成されており、クライアント側のパソコン2から管理書類のテキストデータである入力データを受信し、この入力データの管理を行う。
【0023】
本実施例におけるデータ管理システムでは、入力データはブロックチェーンの技術を利用して保管される。サービスサーバ1を構成する複数のコンピュータ6は、ブロックチェーンのブロックを生成する複数のノードである。
【0024】
APIサーバ7は、データ管理システムを提供する管理会社が運用するサーバであり、クライアント側のパソコン2から受信した入力データをブロックチェーン上に保管するために必要なデータの変換や後に詳述するタグの付与をブロックチェーンの知識を有していないクライアントでも簡単に利用することができるAPIを提供するインターネット上のサーバである。尚、APIサーバ7に実装されて動作するAPIは、クライアント側のパソコン2で起動したウェブブラウザ上で動作する。
【0025】
データ管理システムを利用するユーザは、データ管理システムの管理会社が公開するホームページにて、予め固有のユーザIDとパスワードとを登録しておく。利用者管理サーバ8は、ホームページにて入力されたユーザIDとパスワードと当該ユーザIDのユーザに割り当てられたブロックチェーンへのリンク情報との対応関係を保有する対応テーブルを備えている。
【0026】
ユーザがデータ管理システムに入力データを入力する際には、まずパソコン2で起動したウェブブラウザを用いて管理会社が公開するホームページにアクセスする。図2に示されるように、ホームページの初期画面10には、ユーザIDの入力欄11とパスワードの入力欄12と、ログインボタン13とが表示され、アクセスしてきたユーザに対して、ユーザIDとパスワードの入力が求められる。
【0027】
ユーザは、これらユーザIDの入力欄11とパスワードの入力欄12に入力し、ログインボタン13を選択する。ログインボタン13が選択されると、入力されたユーザIDとパスワードとは利用者管理サーバ8(図1参照)に送られ、入力されたユーザIDとパスワードとの組み合わせが対応テーブルを参照して正しいことが判断できたことに基づき、図3に示されるユーザーページ14が表示される。
【0028】
ユーザーページ14には、データ入力ボタン15とデータ参照ボタン16とが選択可能に表示される。ユーザは新たに診療録の電子データをアップロードする際には、データ入力ボタン15を選択し、既に管理されている診療録の電子データを参照する際には、データ参照ボタン16を選択する。
【0029】
データ入力ボタン15が選択されると、図4に示されるデータ入力ページ17が表示される。データ入力ページ17には、ファイル選択ボタン18とアップロードボタン19とが表示される。ユーザがファイル選択ボタン18を選択すると、クライアント側のパソコン2の記憶媒体に記憶された診療録の電子データを選択可能なウィンドウが表示され、アップロードボタン19の選択により、当該選択した診療録の電子データがAPIサーバ7(図1参照)のAPIを介して処理サーバ9に送信される。
【0030】
処理サーバ9では、まず診療録の電子データをファイル形式等に基づき、全文検索可能なテキストデータであるか否か判別する。テキストデータであれば、次のタグを付与するステップ(付与手段)に移り、テキストデータでなければ、クライアント側のパソコン2にエラーを返す。つまり、ユーザはアップロード時には全文検索可能なテキストデータを用意することになる。
【0031】
タグを付与するステップにおいて、まずAPIの有する検索機能によりテキストデータが全文検索される。タグを付与するステップでは、予め設定した所定の付与条件で名詞等の文字データ(例えば、項目名である既往歴等)をテキストデータから発見し、タグを付与したXML形式のファイルに変換する。
【0032】
変換された後のXML形式のファイルにおいて、各タグは所定の変数で関数化されている。図5はXML形式のファイルに変換される前の診療録の電子データであり、図6は診療録の電子データが変換されたXML形式のファイルにおいて、付与された各タグを関数から視覚的に単語を判別可能に復元したものである。
【0033】
例えば、図5の診療録の電子データから項目を示す「既往歴」という単語の文字データと、この「既往歴」という単語の近傍の単語である「インフルエンザ」と「虫垂炎」という文字データとが発見されると、「インフルエンザ」と「虫垂炎」とが「既往歴」に該当するものと判断する。そして、図6のXML形式のファイルにおいて、<既往歴>と</既往歴>の間に「インフルエンザ」と「虫垂炎」の文字データをそれぞれ配置する。
【0034】
このように、「既往歴」「インフルエンザ」「虫垂炎」等の単語を認識することと、これら「インフルエンザ」「虫垂炎」が「既往歴」に対応することは、所定のタグの付与条件として、予め管理会社とユーザとで処理サーバ9に設定されている。
【0035】
加えて、本実施例におけるAPIは、タグの付与条件として、「インフルエンザ」という文字データが「呼吸器」の疾患であり、「虫垂炎」という文字データが「循環器」の疾患であると判定することができる付与条件も備えている。そして、XML形式のファイルにおいて「インフルエンザ」を挟むように<呼吸器>と</呼吸器>のタグを、「虫垂炎」を挟むように<循環器>と</循環器>のタグを、それぞれ配置する。つまり、「インフルエンザ」という文字データには、下位のサブタグである<呼吸器></呼吸器>のタグと、上位のメインタグである<既往歴></既往歴>というタグが付与され、これら複数のタグが階層で分けられて判定可能となっている。なお、一つの文字データに複数のタグが付与されるようになっていてもよい。例えば「インフルエンザ」という文字列に「呼吸器」と「ウィルス」という2つのタグが付与されるようになっていてもよい。
【0036】
処理サーバ9は、タグを付与するステップが完了すると、タグの付与が完了したXML形式のファイルを保管するステップ(保管指示手段)に移る。このとき、各タグはデータ管理システムを提供する所定の処理サーバ9により、所定の変数で関数化されている。保管するステップでは、タグの付与が完了したXML形式のファイルを、サービスサーバ1を構成するいずれかのコンピュータ6にてブロックチェーンの形式に沿ってハッシュ値化し、前述の対応テーブルにて照会されたユーザIDに対応するブロックチェーンへのリンクを用いて複数のブロックチェーンの中から該当するブロックチェーンを特定し、サービスサーバ1を構成する複数のノードとして機能するコンピュータ6の環境において動作するブロックチェーン上で保管させる。
【0037】
また、各タグはデータ管理システムを提供する所定の処理サーバ9により、所定の変数で関数化されているので、入力データがブロックチェーンのハッシュ値から復元された状態では、図7に示されるように視覚的に単語を判別不能となっている。
【0038】
処理サーバ9は、APIを用いてブロックチェーン上に保管された複数の入力データを参照する機能(出力手段)を有する。ユーザは、パソコン2で起動したウェブブラウザを用いて管理会社が公開するホームページにアクセスしログインを行う。
【0039】
ユーザは、ログイン後にクライアント側のパソコン2に表示されるユーザーページ14のデータ参照ボタン16を選択する。処理サーバ9はAPIにおける、データ参照ボタン16の選択に基づき、入力データを参照するステップを開始する。詳しくは、ログイン時に受信したユーザIDを対応テーブルで参照し、対応するブロックチェーンへのリンクを用いて、当該ブロックチェーン上で保管されている入力データを抽出し、ついでハッシュ値からXML形式のファイルに復元し、かつタグを関数から復元し、これらXML形式のファイルとタグをクライアント側のパソコン2から参照可能な状態とする。
【0040】
このように、所定の検索条件によって抽出されたテキストと、当該テキストに付与されたタグを用いることで、事業活動に有益な知識を得るためのデータ解析に利用することができる。例えば、医療の分野では、ユーザである一の病院の患者全ての診療録の入力データを解析することで、近似する既往歴の患者同士の診療録の入力データから、疾患傾向や有効な治療法の研究等に役立つ知識を得られる可能性がある。
【0041】
図8は、データ解析時における出力画面の一例であり、ここでは裁判所の判例を検索する際の画面を示している。サービスサーバ1は、ここでは図示しないタグを選択できる選択画面をクライアント側のパソコン2に表示させて複数のタグの選択を促し、複数のタグが選択されると、選択された複数のタグにおいて、検索時の重み付けが可能な重要度付与画面(図8参照)を表示させる。
【0042】
重要度付与画面には、色分けされた複数のライン31が連続して伸びる重要度ゲージ30が表示されている。重要度ゲージ30の複数のライン31には、選択された全てのタグがそれぞれ対応しており、隣接するライン31同士の境界に表示されるスライダー32をマウス5等の操作で左右に移動させることで、隣接するライン31同士の長さを調整可能となっている。処理サーバ9では、ライン31の長さを重要度の指標として検索に用いることができるようになっている。また、各ライン31の上部には、それぞれのライン31の長さが数値に換算されて表示されている。これらの数値の合計は100であり、ユーザは、重要度付与画面にて選択したタグの重要度をラインの長さと数値とを用いて視覚的に把握,調整が可能になっている。なお、重要度ケージ30は直線状でなくとも、円環状等視覚的に認識しやすい形状であればよい。
【0043】
また、処理サーバ9にてテキストデータにタグを付与する際の付与条件は、管理会社やユーザによって適宜設定され、かつ適宜変更可能である。尚、保管指示手段は、変更前のタグの付与条件と変更後のタグの付与条件との対応関係を示すデータを、ブロックチェーン上に保管させる指示を行うことができる。これによれば、区切られたテキストの同様の属性に対して付与されるタグが時期や担当者、例えば一の病院の職員に応じて異なる場合であっても、同様の属性として解析に利用することができる。
【0044】
以上説明したように、サービスサーバ1は、クライアント側のパソコン2から受信した入力データに対して、処理サーバ9を用いて所定の検索条件に基づくテキストの抽出と、所定の付与条件に基づくタグの付与を行うため、従来の関係データベースのような既存のタグの付与条件では適切に分類できないテキストに対しても、適切な分類のタグを設定し付与できる。そのため、このデータ管理システムを用いることで、入力データの解析時などに必要なテキストを正確に参照することができる。また、タグが付与された入力データは処理サーバ9の保管指示手段により複数のコンピュータ6に保管され、かつ入力データの解析時などでは、ユーザIDに割り当てられたブロックチェーンへのリンク情報との対応関係を保有する対応テーブルを用いることで、ユーザ単位で参照可能に出力することができる。また、ユーザによるAPIの操作で処理サーバ9に上記の処理を実行させることができ、複数のコンピュータ6を用いる耐故障性に優れたシステムを簡単に利用できる環境をAPIにより実現することができる。
【0045】
また、処理サーバ9はタグが付与された入力データをブロックチェーン上で保管する。これによれば、タグが付与された入力データの編集を行うことができず、内容が改竄されることがないので、セキュリティ機能に優れる。また、悪意ある改竄に限らず入力データの作成当時の内容と保管時のタイムスタンプが保持されるため、入力データの作成当時の内容を解析に用いることができ、事業活動に有益な知識を正確に得ることができる。また、上記したAPI及び処理サーバ9の機能を用いてブロックチェーンの知識を有していないユーザでも耐故障性とセキュリティ機能に優れ、かつ適切な分類のタグを設定し付与して参照が可能なシステムを活用することができる。
【0046】
また、処理サーバ9では入力データの入力時には所定の変数によりタグを関数化し、出力時には同じ所定の変数を用いてタグを関数から復元するため、所定の変数を把握している管理会社の処理サーバ9によってのみ、タグの意味が判明し項目情報を出力できるため、解析できる知識の漏洩を防ぐことができる。
【0047】
また、タグの付与手段は、入力データの中の一のテキストについて、各入力データに共通するタグを付与することが可能であるため、複数の異なる入力データ間で互いに共通する一のテキストを利用して解析に用いることができる。
【0048】
また、タグの付与手段では、出力手段により出力されたタグが付与された入力データを復元して再度タグを付与することができ、保管手段は、再度タグを付与された入力データをブロックチェーンにおける現在のブロックの最後尾に連ねて保管させることができる。これによれば、以前に保管した入力データを編集及び破棄することなく、タグを付与し直すことができ、正確に解析を行うことができる。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0050】
例えば、前記実施例では、処理サーバ9は保存指示手段によりタグを付与した入力データをブロックチェーン上で保管するようになっているが、これに限らず、ブロックチェーンに限らず、複数のコンピュータにてデータを保管する所謂分散型データベースで当該入力データを保管する構成であってもよい。
【0051】
また、前記実施例におけるブロックチェーンは、管理会社が提供するサービスサーバ1を構成する複数のコンピュータ6上の環境で動作する、所謂プライベートチェーンで説明したが、パブリックチェーンの仕様であってもよい。
【0052】
また、タグを一見してタグの意味が判明しないものに変換する仕様として、前記実施例では所定の変数で関数化することを例に説明したが、これに限らず、他の変換ルールが用いられてもよい。加えて、特定のルールを用いずにAPIがタグとダグの意味する項目情報とが紐付けられた対応テーブルを備えることで変換を行ってもよく、この場合、入力データの出力時にも同様の対応テーブルを用いてタグを復元する。これによれば、所定の対応テーブルを用いない限り、分散サーバに保管されている入力データに付与されたタグの意味を一見して判明しないものとすることができ、解析できる知識の漏洩を防ぐことができる。
【0053】
また、タグを関数化する所定の変数は、入力データ毎、もしくはユーザ毎にそれぞれ設定してもよい。これによれば、ユーザに対して個別に所定の変換ルールを設定できるので、解析できる知識の漏洩を防ぐことができる。
【0054】
また、タグのみならず、テキストも変数で関数化された後にハッシュ値に変換される仕様としてもよいし、テキストのみ関数化し、タグは関数化されていなくてもよく、入力データからの知識の漏洩を防ぐ意図がなければ、これらタグもテキストも関数化されなくともよい。
【0055】
また、管理会社が提供するサービスサーバ1を構成するAPIを備えるAPIサーバ7と、対応テーブルを備える利用者管理サーバ8と処理サーバ9とは、それぞれの機能を兼ねる一台のコンピュータで構成されていてもよい。
【0056】
また、ユーザが利用するクライアント側の端末は、パソコンに限らず、タブレットやスマートフォンでもよい。
【0057】
また、診療録等の入力データは、アップロードする仕様に限らず、APIがカルテの記入画面を提供し、クライアント側のパソコン2のウェブブラウザ上で直接文字データを入力する構成としてもよい。
【0058】
また、前記実施例において、スキャナー3にてスキャンした、そのままでは全文検索ができないファイルは、パソコン2にてテキストデータに変換される構成で説明したが、これに限らず、例えば処理サーバ9に文字認識機能とテキスト変換機能とを備えて、処理サーバ9上でスキャナー3にてスキャンしたファイルからタグを付与したXML形式のファイルを作成可能な仕様としてもよい。
【0059】
また、XML形式のファイルに付与されたタグは、その一部が従来のRDMのタグ情報と共通するものとしてもよい。これによれば、サービスサーバ1で保管される入力データと、サービスサーバ1以外の記憶媒体にて従来のRDB形式で保管された診療録等の入力データとの双方を用いて解析を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1 サービスサーバ
2 パソコン
3 スキャナー
4 キーボード
5 マウス
6 コンピュータ(記憶手段)
7 APIサーバ(記憶手段)
8 利用者管理サーバ(記憶手段)
9 処理サーバ(記憶手段)
10 初期画面
14 ユーザーページ
15 データ入力ボタン
16 データ参照ボタン
17 データ入力ページ
18 ファイル選択ボタン
19 アップロードボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8