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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】センサ、および生体情報監視システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A61B5/00 102Z
A61B5/00 102C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018112861
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019213726
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 文幸
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0325748(US,A1)
【文献】特開2008-059058(JP,A)
【文献】特開2014-068733(JP,A)
【文献】特開2004-129905(JP,A)
【文献】特開2004-234622(JP,A)
【文献】特開2008-061663(JP,A)
【文献】特開2002-286554(JP,A)
【文献】国際公開第2017/081057(WO,A1)
【文献】特開2016-047093(JP,A)
【文献】特開2005-253981(JP,A)
【文献】特開2009-195679(JP,A)
【文献】特開2001-338382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に装着されるセンサであって、
前記被検者の生体情報を取得し、イベントの発生を検出するプロセッサと、
通信ネットワークを介して遠隔装置と無線通信が可能な通信インターフェースと、
前記プロセッサが前記イベントの発生を検出すると、前記遠隔装置への前記生体情報の送信に必要な第一電力を前記通信インターフェースに供給する給電部と、
を備えており、
前記イベントの発生が検出されていない場合、前記生体情報の取得が継続され、前記給電部は、前記第一電力よりも低い前記生体情報の送信待機状態を維持するための第二電力を前記通信インターフェースへ供給
前記イベントは、前記通信インターフェースによる前記遠隔装置からの問合せの受信である、
センサ。
【請求項2】
被検者に装着されるセンサであって、
前記被検者の生体情報を取得し、イベントの発生を検出するプロセッサと、
通信ネットワークを介して遠隔装置と無線通信が可能な通信インターフェースと、
前記プロセッサが前記イベントの発生を検出すると、前記遠隔装置への前記生体情報の送信に必要な第一電力を前記通信インターフェースに供給する給電部と、
を備えており、
前記イベントの発生が検出されていない場合、前記生体情報の取得が継続され、前記給電部は、前記第一電力よりも低い前記生体情報の送信待機状態を維持するための第二電力を前記通信インターフェースへ供給し、
前記通信インターフェースは、前記被検者に装着された動きセンサと通信可能であり、 前記イベントは、前記動きセンサによる当該被検者の異常動作の検出である
ンサ。
【請求項3】
被検者に装着されるセンサと、
遠隔装置と、
を備えており、
前記センサは、
前記被検者の生体情報を取得し、イベントの発生を検出するプロセッサと、
通信ネットワークを介して遠隔装置と通信が可能な通信インターフェースと、
前記プロセッサが前記イベントの発生を検出すると、前記遠隔装置への前記生体情報の送信に必要な第一電力を前記通信インターフェースに供給する給電部と、
を備えており、
前記イベントの発生が検出されていない場合、前記生体情報の取得が継続され、前記給電部は、前記第一電力よりも低い前記生体情報の送信待機状態を維持するための第二電力を前記通信インターフェースへ供給
前記イベントは、前記通信インターフェースによる前記遠隔装置からの問合せの受信である、
生体情報監視システム。
【請求項4】
被検者に装着されるセンサと、
遠隔装置と、
を備えており、
前記センサは、
前記被検者の生体情報を取得し、イベントの発生を検出するプロセッサと、
通信ネットワークを介して遠隔装置と通信が可能な通信インターフェースと、
前記プロセッサが前記イベントの発生を検出すると、前記遠隔装置への前記生体情報の送信に必要な第一電力を前記通信インターフェースに供給する給電部と、
を備えており、
前記イベントの発生が検出されていない場合、前記生体情報の取得が継続され、前記給電部は、前記第一電力よりも低い前記生体情報の送信待機状態を維持するための第二電力を前記通信インターフェースへ供給し、
前記通信インターフェースは、前記被検者に装着された動きセンサと通信可能であり、 前記イベントは、前記動きセンサによる当該被検者の異常動作の検出である、
生体情報監視システム。
【請求項5】
前記遠隔装置は、携帯型の装置である、
請求項3または4に記載の生体情報監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者に装着されて当該被検者の生体情報を取得するセンサ、および当該センサを用いて当該生体情報を監視するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、無線テレメータとセントラルモニタを含む患者監視システムを開示している。セントラルモニタは、ナースステーションなどに設置されて複数の患者の生体情報を集中管理するための装置である。各患者には、生体情報を取得するセンサが装着されている。無線テレメータは、当該センサを通じて取得された生体情報を、無線通信を介してセントラルモニタへ送信する。セントラルモニタは、受信した生体情報に対して所定の解析処理や表示処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-177342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムは、セントラルモニタによる複数の患者の常時集中監視を前提としている。このようなシステムは大規模になる傾向があり、導入が容易でない場合がある。他方、各患者に装着されたセンサ自身に生体情報の解析機能や無線送信機能を実装したいという要望がある。この場合、センサを駆動する電力源として小型の電池などが使用されるので、無線送信に伴う電力消費を無視できなくなる。
【0005】
本発明の目的は、電力消費を抑制可能かつ導入が容易な生体情報監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、被検者に装着されるセンサであって、
前記被検者の生体情報を取得し、イベントの発生を検出するプロセッサと、
通信ネットワークを介して遠隔装置と通信が可能な通信インターフェースと、
前記プロセッサが前記イベントの発生を検出すると、前記遠隔装置への前記生体情報の送信に必要な第一電力を前記通信インターフェースに供給する給電部と、
を備えており、
前記イベントの発生が検出されていない場合、前記給電部は前記通信インターフェースへ前記第一電力よりも低い第二電力を供給する。
【0007】
上記の目的を達成するための別態様は、生体情報監視システムであって、
被検者に装着されるセンサと、
遠隔装置と、
を備えており、
前記センサは、
前記被検者の生体情報を取得し、イベントの発生を検出するプロセッサと、
通信ネットワークを介して遠隔装置と通信が可能な通信インターフェースと、
前記プロセッサが前記イベントの発生を検出すると、前記遠隔装置への前記生体情報の送信に必要な第一電力を前記通信インターフェースに供給する給電部と、
を備えており、
前記イベントの発生が検出されていない場合、前記給電部は前記通信インターフェースへ前記第一電力よりも低い第二電力を供給する。
【0008】
上記のような構成によれば、所定のイベントの発生が検出されていない場合、センサにおいて取得された被検者の生体情報は、遠隔装置へ送信されない。イベントの発生が検出されていない場合に給電部から通信インターフェースへ供給される電力は、生体情報の送信に必要とされる電力よりも低く設定される。したがって、センサに生体情報の解析機能や無線通信機能を実装しても電力消費を抑制でき、より長い期間にわたって監視環境を提供できる。
【0009】
他方、遠隔装置の側においては、イベントの発生に基づいて特定の被検者からの生体情報が受信される。複数の被検者の生体情報を常時集中監視する必要がないので、携帯情報端末のような遠隔装置を用いた柔軟な遠隔監視を実現できる。また、複数の被検者の常時集中監視を前提としたセントラルモニタと比較すると、生体情報監視システムの導入を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るセンサの機能構成を示している。
図2】上記センサの動作を示している。
図3】上記センサを含む生体情報監視システムの動作の一例を示している。
図4】上記センサを含む生体情報監視システムの動作の別例を示している。
図5】上記センサを含む生体情報監視システムの動作の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。各図面においては、説明対象の各要素を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
図1は、一実施形態に係るセンサ1の機能構成を示している。センサ1は、被検者Sの身体に装着されて当該被検者Sの生体情報を取得する装置である。生体情報としては、心電図、脈拍、脳波、非観血動脈血酸素飽和度(SpO2)、体温、血圧、呼吸気における二酸化炭素濃度または分圧などの生体パラメータ値のある時点における値や、当該生体パラメータ値の経時変化が例示されうる。
【0013】
被検者Sには少なくとも一つのセンサ1が装着される。各センサ1は、例示した生体パラメータの少なくとも一つを取得可能な構成を有する。例えば、心電図や脳波を取得するためのセンサは、適宜の身体部分に装着されて当該部分の生体電位を検出するための複数の電極を備える。脈拍やSpO2を取得するためのセンサは、指先や耳朶に装着されて当該部位の吸光度を検出するための発光素子と受光素子を備える。
【0014】
センサ1は、入力インターフェース11、プロセッサ12、給電部13、通信インターフェース14、およびバス15を備えている。バス15は、入力インターフェース11、プロセッサ12、給電部13、および通信インターフェース14の間で信号やデータのやり取り、ならびに電力の供給を可能にするように、これらの要素を相互に接続している。
【0015】
検出対象である生体パラメータの状態に対応する信号が、入力インターフェース11に入力される。入力インターフェース11は、入力された信号を、プロセッサ12が後述する処理を実行可能なデータに変換する適宜の回路構成を備えている。
【0016】
プロセッサ12は、入力インターフェース11を通じて入力されたデータに基づいて、被検者Sの生体情報を取得する。プロセッサ12は、取得した生体情報を解析し、被検者Sが正常な状態にあるかを判定する機能も有している。例えば、取得した心電図情報に基づいて、被検者Sの心臓の動きが正常であるかを判定できる。あるいは、取得した血圧情報に基づいて、被検者Sの血圧が正常であるかを判定できる。
【0017】
給電部13は、バス15を介して入力インターフェース11、プロセッサ12、および通信インターフェース14に電力を供給可能に構成されている。給電部13は、一次電池や二次電池などにより実現されうる。
【0018】
通信インターフェース14は、通信ネットワークNを介して遠隔装置2と無線通信が可能な構成を備えている。通信インターフェース14は、少なくともプロセッサ12により取得された生体情報を遠隔装置2へ無線送信可能な送信回路を備えている。遠隔装置2は、センサ1から受信した生体情報を可視化する表示部を備えている。また、通信インターフェース14は、少なくとも後述する問合せ信号を遠隔装置2から無線受信可能な受信回路を備えている。
【0019】
通信ネットワークNは、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)などの規格に基づく通信を可能にするPAN(Personal Area Network)、WiFiなどの規格に基づく通信を可能にするLAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)やLPWA(Low Power Wide Area)などの規格に基づく通信を可能にするWAN(Wide Area Network)の少なくとも一つを含みうる。したがって、通信インターフェース14と遠隔装置2の各々は、無線通信に使用される規格に準拠した送信回路と受信回路を備える。
【0020】
図2は、上記のように構成されたセンサ1の動作を示している。センサ1が起動されると、給電部13から入力インターフェース11、プロセッサ12、および通信インターフェース14へ通常電力の供給が開始される(STEP1)。入力インターフェース11へは、入力された信号をプロセッサ12による処理が可能なデータに変換する回路の動作に必要とされる電力が供給される。プロセッサ12へは、生体情報の取得処理および解析処理に必要な電力が供給される。プロセッサ12は、当該電力の供給を受けて生体情報の取得処理および解析処理を実行する(STEP2)。
【0021】
通信インターフェース14へは、遠隔装置2への生体情報の送信に必要な送信電力よりも低い電力が供給される。より具体的には、受信回路に遠隔装置2から送信される信号を受信可能にする待機電力が供給される。送信電力は、第一電力の一例である。待機電力は、第二電力の一例である。
【0022】
プロセッサ12は、所定のイベントが発生したかを判断する(STEP3)。イベントが発生していないと判断された場合(STEP3においてN)、処理はSTEP2へ戻り、プロセッサ12による生体情報の取得が継続される。すなわち、イベントの発生が検出されていない場合、取得された生体情報の遠隔装置2への送信はなされない。
【0023】
所定のイベントが発生したと判断された場合(STEP3においてY)、プロセッサ12は、送信回路による生体情報の送信に必要な送信電力を給電部13に通信インターフェース14へ供給させる(STEP4)。通信インターフェース14は、送信電力の供給を受けて生体情報を遠隔装置2へ送信する(STEP5)。
【0024】
生体情報の送信が終了すると、処理はSTEP1に戻り、給電部13から通信インターフェース14へ供給される電力は、送信電力から待機電力へ戻る。
【0025】
上記のように構成されたセンサ1と遠隔装置2は、生体情報監視システムを構成する。図3は、そのような生体情報監視システムの動作の一例を示している。本例においては、第一患者P1の生体情報と第二患者P2の生体情報が、遠隔装置2によって監視されている。第一患者P1と第二患者P2の各々は、被検者の一例である。
【0026】
第一患者P1にはセンサ1Aが装着されている。センサ1Aは、前述したセンサ1と同一の構成と機能を有している。第二患者P2にはセンサ1Bが装着されている。センサ1Bは、前述したセンサ1と同一の構成と機能を有している。図示された例においては、各患者に一つのセンサが装着されているが、各患者に複数種のセンサが装着されてもよい。また、患者ごとに装着されるセンサの数と種別が異なっていてもよい。
【0027】
遠隔装置2は、医療従事者などの監視者P0による目視が可能な場所に配置されている。本例においては、遠隔装置2は、監視者P0により携帯可能な装置である。そのような装置としては、スマートフォンやタブレット端末などの携帯情報端末が例示されうる。
【0028】
なお、センサは、通信ネットワークNに直接接続が可能な構成とされてもよいし、中継装置Rを介して通信ネットワークNに接続が可能な構成とされてもよい。図示された例においては、センサ1Aは、LTEやLPWAなどの規格に基づいて通信ネットワークNに直接接続が可能とされている。センサ1Bは、中継装置Rを介して通信ネットワークNに接続可能とされている。例えば、センサ1Bと中継装置Rの間の無線通信は、Bluetooth(登録商標)などの規格に基づいてなされうる。中継装置Rと遠隔装置2の間の無線通信は、LTEやLPWAなどの規格に基づいてなされうる。
【0029】
図示の例においては、センサ1Aのプロセッサ12によって、第一患者P1から取得した生体情報の異常状態が検出されている。生体情報の異常状態の例を以下に列挙するが、異常状態はこれらに限定されるものではない。
・心拍数の正常値範囲からの逸脱
・心室細動や心室頻拍などを示す心電図波形異常
・てんかんなどを示す脳波異常
・血圧の正常値範囲からの逸脱
・体温の正常値範囲からの逸脱
・SpO2の正常値範囲からの逸脱
・呼吸気における二酸化炭素濃度または分圧の正常値範囲からの逸脱
・気道の狭窄などを示す呼吸気波形異常
・センサの装着位置からのずれや脱落、故障やノイズ混入に起因しうる波形異常
【0030】
生体情報の異常状態の検出は、前述したイベントの一例である。したがって、センサ1Aにおいては、給電部13から通信インターフェース14へ送信電力が供給される。これにより、通信インターフェース14は、プロセッサ12により取得された生体情報V1を遠隔装置2へ送信する。
【0031】
遠隔装置2は、センサ1Aから送信された生体情報V1を受信する。生体情報V1は、遠隔装置2の表示部に可視化される。監視者P0は、表示部を通じて第一患者P1の生体情報の異常状態を認識し、必要な措置を行なう。
【0032】
他方、センサ1Bのプロセッサ12は、第二患者P2から取得した生体情報の異常状態を検出していない。したがって、センサ1Bにおいては、給電部13から通信インターフェース14へ待機電力が供給されている。よって、第二患者P2の生体情報は、センサ1Bから遠隔装置2へ送信されない。センサ1Bのプロセッサ12によって第二患者P2から取得した生体情報の異常状態が検出されると、図3に破線で示されるように、センサ1Bから中継装置Rを介して遠隔装置2へ生体情報V2が送信される。
【0033】
図4は、生体情報監視システムの動作の別例を示している。本例は、監視者P0が第一患者P1の生体情報の遠隔確認を希望する場合を示している。
【0034】
監視者P0は、遠隔装置2に所定の操作を入力し、第一患者P1に装着されたセンサ1Aへ問合せ信号Q1を送信する。センサ1Aの通信インターフェース14において問合せ信号Q1が受信されると、給電部13から通信インターフェース14へ通常電力が供給される。すなわち、通信インターフェース14による遠隔装置2からの問合せの受信は、前述したイベントの一例である。
【0035】
これにより、通信インターフェース14は、プロセッサ12により取得された生体情報V1を遠隔装置2へ送信する。遠隔装置2は、センサ1Aから送信された生体情報V1を受信する。生体情報V1は、遠隔装置2の表示部に可視化される。監視者P0は、表示部を通じて第一患者P1の生体情報を遠隔確認できる。
【0036】
他方、第二患者P2に装着されたセンサ1Bの通信インターフェース14は、遠隔装置2からの問合せを受信していない。したがって、センサ1Bにおいては、給電部13から通信インターフェース14へ待機電力が供給されている。よって、第二患者P2の生体情報は、センサ1Bから遠隔装置2へ送信されない。
【0037】
図4に破線で示されるように、続いて監視者P0が遠隔装置2からセンサ1Bへ問合せ信号Q2を送信し、問合せ信号Q2がセンサ1Bの通信インターフェース14によって受信されると、給電部13から通信インターフェース14に供給される電力は、待機電力から送信電力に切り替えられる。これにより、センサ1Bから遠隔装置2へ生体情報V2が送信される。この間、第一患者P1に装着されたセンサ1Aにおいては、給電部13から通信インターフェース14に供給される電力は、送信電力から待機電力に切り替えられる。したがって、第一患者P1の生体情報は、センサ1Aから遠隔装置2へ送信されない。
【0038】
図5は、生体情報監視システムの動作の別例を示している。本例においては、センサ1Aに加えて動きセンサ3が第一患者P1に装着されている。同様に、センサ1Bに加えて動きセンサ3が第二患者P2に装着されている。動きセンサ3は、装着対象の動きを検出するセンサであり、加速度センサやジャイロセンサなどによって実現されうる。動きセンサ3は、センサ1A(1B)に内蔵されてもよい。
【0039】
図1に示されるように、動きセンサ3は、被検者Sに装着されて被検者Sの体動に対応する信号Mを出力するように構成されている。信号Mは、入力インターフェース11に入力される。この場合、入力インターフェース11は、信号Mをプロセッサ12が処理可能なデータに変換するための適宜の回路構成を備える。プロセッサ12は、信号Mに対応するデータに基づいて、被検者Sの動作が正常であるかを判定するように構成される。
【0040】
図5に示される例においては、第二患者P2に装着された動きセンサ3によって、第二患者P2の異常動作が検出されている。異常動作の例としては、睡眠時間における異常覚醒や徘徊が挙げられる。被検者の異常動作の検出は、前述したイベントの一例である。したがって、センサ1Bにおいては、給電部13から通信インターフェース14へ送信電力が供給される。これにより、通信インターフェース14は、プロセッサ12により取得された生体情報V2を遠隔装置2へ送信する。
【0041】
遠隔装置2は、センサ1Bから送信された生体情報V2を受信する。生体情報V2は、遠隔装置2の表示部に可視化される。監視者P0は、表示部を通じて第二患者P2の異常動作を認識し、必要な措置を行なう。
【0042】
他方、センサ1Aのプロセッサ12は、第一患者P1の異常動作を検出していない。したがって、センサ1Aにおいては、給電部13から通信インターフェース14へ待機電力が供給されている。よって、第一患者P1の生体情報は、センサ1Aから遠隔装置2へ送信されない。センサ1Aのプロセッサ12によって第二患者P2から取得した生体情報の異常状態が検出されると、図5に破線で示されるように、センサ1Aから遠隔装置2へ生体情報V1が送信される。
【0043】
これまで説明したように、所定のイベントの発生が検出されていない場合、センサ1において取得された被検者Sの生体情報は、遠隔装置2へ送信されない。イベントの発生が検出されていない場合に給電部13から通信インターフェース14へ供給される電力は、生体情報の送信に必要とされる電力よりも低く設定される。したがって、センサ1に生体情報の解析機能や無線通信機能を実装しても電力消費を抑制でき、より長い期間にわたって監視環境を提供できる。
【0044】
他方、遠隔装置2の側においては、イベントの発生に基づいて特定の被検者Sからの生体情報が受信される。複数の被検者の生体情報を常時集中監視する必要がないので、携帯情報端末のような遠隔装置2を用いた柔軟な遠隔監視を実現できる。また、複数の被検者の常時集中監視を前提としたセントラルモニタと比較すると、生体情報監視システムの導入を容易にできる。
【0045】
なお、上記のようなプロセッサ12の機能は、メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサによって実現されてもよいし、マイクロコンピュータ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0046】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0047】
図4に示される例においては、監視者P0が自発的に遠隔装置2から問合せ信号を送信することによって処理が開始されている。しかしながら、監視者P0は、図3図5に示されるようなセンサ側からの生体情報の送信に応答して遠隔装置2から問合せ信号を送信してもよい。例えば、センサからの生体情報の送信が一時的であった場合、監視者P0は、当該送信の原因を確認するために遠隔装置2から生体情報の再送信を要求してもよい。再送信された生体情報は、遠隔装置2の表示部を通じて監視者P0による目視診断に供されてもよいし、所定の期間、遠隔装置2に内蔵されたプロセッサによりセンサ1のプロセッサ12と同等の分析処理に供されてもよい。後者の場合、生体情報の分析が二重に行なわれることにより、判断の精度が向上されうる。
【0048】
図4に示されるような遠隔装置2からの問合せに対してセンサ1が応答する機能が不要であれば、通信インターフェース14において受信回路を省略できる。この場合、イベントの発生が検出されていない場合に給電部13から通信インターフェース14に供給される通常電力は、送信回路の待機状態維持に最低限必要な電力とされうる。当該電力はゼロでもよい。
【符号の説明】
【0049】
1:センサ、12:プロセッサ、13:給電部、14:通信インターフェース、2:遠隔装置、3:動きセンサ、N:通信ネットワーク、S:被検者
図1
図2
図3
図4
図5