(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230208BHJP
A47L 9/10 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A47L9/28 Z
A47L9/10 A
(21)【出願番号】P 2018236487
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-07-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
(72)【発明者】
【氏名】江部 清
(72)【発明者】
【氏名】市川 洋光
(72)【発明者】
【氏名】及川 真愛
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】興津 信秀
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-025804(JP,A)
【文献】米国特許第05561885(US,A)
【文献】特開2005-334413(JP,A)
【文献】特開2017-158818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に接続される延長管と、
前記延長管に接続される吸込口体と、
前記本体に配置され、握って操作するためのハンドルと、
前記本体に設けられた電動送風機と、
前記ハンドルを握った手で操作可能に配置され、少なくとも前記電動送風機の起動を設定する設定手段と、
前記本体に着脱可能に設けられ、前記電動送風機の動作により吸い込まれた塵埃を集積する集塵部と、
操作により前記集塵部を前記本体に対し取り外し可能な取り外し機構と、
前記取り外し機構による前記本体に対する前記集塵部の取り外し操作に応じて前記電動送風機を起動不可能となるように前記設定手段をロックする制限手段と、を備え、
一方の手で前記ハンドルを握った状態でもう一方の手で
前記電動送風機を起動させる前記設定手段の操作方向とは反対方向に前記取り外し機構が操作される
ことで前記集塵部が前記本体から前記設定手段の操作方向に対し直線的に離れる方向へ押し出されて取り外される
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記制限手段は、前記取り外し機構による前記取り外し操作に機械的に連動して前記設定手段をロックする
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記取り外し機構による前記取り外し操作を検出するセンサを備え、
前記制限手段は、前記センサにより前記取り外し機構による前記取り外し操作を検出すると、前記設定手段をロックする
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本体に着脱可能な集塵部を備える電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
吸引型の電気掃除機は、吸引源となる電動送風機の動作により生じた負圧を利用し、塵埃を空気とともに吸い込み、塵埃を空気から分離して集塵部に集積するようになっている。集塵部は、通常、集積した塵埃を容易に廃棄可能とするように、掃除機本体から集塵部が取り外し可能となっている。そのため、集塵部を取り外した状態で塵埃を電動送風機に吸い込まないように、集塵部が掃除機本体に装着されているか否かを検出し、集塵部が掃除機本体に装着されていない場合には電動送風機を起動させないようにする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、掃除機本体からの集塵部取り外しの容易化など、電気掃除機の形態の変化から、集塵部が装着されていない場合には電動送風機を起動させないという従来の技術だけでは十分でない可能性が生じつつある。例えば、集塵部内の塵埃を外部に散乱させないために、集塵部を取り外そうとしているときの運転スイッチの誤操作によって電動送風機が起動しないようにすることが求められる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、集塵部内の塵埃の外部への散乱を抑制できる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電気掃除機は、本体と、本体に接続される延長管と、延長管に接続される吸込口体と、本体に配置され、握って操作するためのハンドルと、本体に設けられた電動送風機と、ハンドルを握った手で操作可能に配置され、少なくとも電動送風機の起動を設定する設定手段と、本体に着脱可能に設けられ、電動送風機の動作により吸い込まれた塵埃を集積する集塵部と、操作により集塵部を本体に対し取り外し可能な取り外し機構と、取り外し機構による本体に対する集塵部の取り外し操作に応じて電動送風機を起動不可能となるように設定手段をロックする制限手段と、を備える。一方の手でハンドルを握った状態でもう一方の手で電動送風機を起動させる設定手段の操作方向とは反対方向に取り外し機構が操作されることで集塵部が本体から設定手段の操作方向に対し直線的に離れる方向へ押し出されて取り外される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態の電気掃除機の制限手段により設定手段が機械的にロックされた状態を、一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図2】同上電気掃除機の設定手段がロックされていない状態を、一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図5】第2の実施形態の電気掃除機の制限手段により設定手段が機械的にロックされた状態を、一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図6】第3の実施形態の電気掃除機の制限手段により設定手段が機械的にロックされた状態を、一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図7】同上電気掃除機の設定手段がロックされていない状態を、一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図8】第4の実施形態の電気掃除機の制限手段により設定手段が機械的にロックされた状態を、一部を切り欠いて示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図4において、1は電気掃除機である。電気掃除機1は、本実施形態において、使用者がハンドル2により把持して操作することで、床面上の塵埃を掃除する。本実施形態では、電気掃除機1として、スティック型の電気掃除機を例に挙げて説明する。以下、本実施形態において、説明をより明確にするために、電気掃除機1の使用者に近い端部側を電気掃除機1の一方である後方側として矢印RRで示し、使用者から遠い端部側を電気掃除機1の他方側である前方側として矢印FRで示す。また、第一方向となる前後方向に対して交差又は直交する両側方向又は幅方向を第二方向となる左右方向とする。さらに、前後方向及び左右方向と交差又は直交する方向を第三方向となる上下方向として矢印U及び矢印Dで示す。
【0010】
電気掃除機1は、掃除機本体3を備えている。掃除機本体3は、吸込口4と、排気口5と、を備えている。吸込口4には、風路体6が着脱可能に接続される。風路体6は、吸込風路を形成するものである。風路体6は、本実施形態において、例えば長尺の延長管7、及び、吸込口体8を備えている。風路体6は、前後方向に沿って軸線方向を有している。なお、吸込口4には、延長管7及び吸込口体8以外の種々の管、ブラシ等が接続可能である。掃除機本体3には、ハンドル2が形成されている。ハンドル2は、掃除機本体3の後部に配置されている。ハンドル2は、本実施形態において、上下方向に沿って形成されている。
【0011】
また、電気掃除機1は、
図3及び
図4に示すように、塵埃を集塵部10に吸い込むための空気流を生じさせる電動送風機11を備えている。電動送風機11の吸込側は、集塵部10を介して吸込口4と連通され、電動送風機11の排気側は、排気口5と連通される。電動送風機11は、電源部12からの給電により動作され、制御部13により動作が制御される。電源部12は、本実施形態では二次電池が用いられるが、商用交流電源等の外部電源から電力を得るコードリール装置等が用いられてもよい。
【0012】
電動送風機11、電源部12、及び、制御部13は、それぞれ掃除機本体3に配置される。本実施形態において、電動送風機11は、電源部12に対して上方に配置される。電源部12は、掃除機本体3の下部に配置されている。また、電源部12は、掃除機本体3の後部に配置されている。電源部12は、掃除機本体3の最下部かつ最後部に配置されている。電源部12は、本実施形態の配置に限らず掃除機本体3の下部以外の場所に設けられていてもよいが、電源部12は掃除機本体3内に設けられる部品・装置の中で比較的重量が大きいので、使用者が掃除機本体3を持った状態において掃除機本体3の下部側に電源部12を設けると、集塵部10を取り外してメンテナンスする時などに掃除機本体3の姿勢が安定しやすくなり好適である。掃除機本体3において、電源部12を備える電源配置部14は、前後方向に沿って形成されている。電源配置部14は、風路体6の軸線Aに対して下方に離れた位置で、風路体6の軸線方向に沿って延びている。電源配置部14の上部に、ハンドル2が突出している。
【0013】
また、電動送風機11は、設定手段であるスイッチ15により動作が設定される。スイッチ15は、ハンドル2又はハンドル2の近傍に配置され、使用者がハンドル2を握った状態でその握った手の何れかの指が届くようになっている。スイッチ15は、本実施形態においてはスイッチ15を掃除機本体3の筐体部分に設けているが、スイッチ15の位置はこれに限られず、例えばハンドル2に設けるようにしてもよい。このとき、好ましくは、スイッチ15は、ハンドル2の内側の面に配置するとよい。こうすれば握った手の第2指(人差し指)で操作しやすくなる。あるいは、スイッチ15をハンドル2の外側の面(本実施形態で後側の面)に設けて、第1指(親指)で操作しやすいように配置してもよい。図示される例では、スイッチ15は、ハンドル2の前側の面に配置される。本実施形態のスイッチ15は、押しボタンであり、ハンドル2を把持した使用者の手の指によってハンドル2に向かって引き込まれることで押されて操作される。本実施形態のスイッチ15の操作方向である押圧方向は、後方となっている。スイッチ15は、使用者による外部からの操作に応じて、電動送風機11を停止させる停止位置から、電動送風機11を動作させる動作位置へと移動することで電動送風機11の起動を設定するようになっている。また、スイッチ15は、押圧され続けることで電動送風機11のオン状態を維持するように制御部13に設定し、押圧が緩められることで電動送風機11をオフ状態とするように制御部13に設定する。このようにすることで、電動送風機11を必要なときにのみ動作させ、二次電池を電源部12として用いる場合の不要な電力消費を抑制できる。
【0014】
集塵部10は、風路体6を介して吸込口4から吸い込まれた含塵空気中の塵埃を集積する。本実施形態の集塵部10は、塵埃を分離する分離部と、分離部で分離された塵埃を溜めるカップ部と、からなるものとするが、これに限られず、少なくとも塵埃を内部に集積するものは、本発明の集塵部に含まれるものとする。
【0015】
集塵部10は、掃除機本体3に着脱可能となっている。本実施形態の集塵部10は、スイッチ15の操作方向に対し直線的に離れる方向への操作により掃除機本体3から取り外される。図示される例では、集塵部10は、掃除機本体3に取り付けられた所定位置から前方に移動されることで取り外され、所定位置に向かい後方に移動されることで取り付けられるようになっている。集塵部10の掃除機本体3に対する取り付け位置である所定位置は、スイッチ15に対し、ハンドル2とは反対側にある。つまり、本実施形態において、集塵部10を取り付ける所定位置は、掃除機本体3の前部となっている。図示される例では、集塵部10は、ハンドル2及びスイッチ15の前方に取り付けられる。所定位置に取り付けられた集塵部10は、シール部材等を介して、吸気側が吸込口4又は風路体6と気密に接続され、排気側が電動送風機11の吸込側と気密に接続される。
【0016】
また、集塵部10の掃除機本体3に対する取り付け方向に対向する位置に規制部18が配置される。規制部18は、掃除機本体3に対し集塵部10を所定位置に規制する。規制部18は、集塵部10の後部に位置する。また、規制部18は、ハンドル2の前方に離れて位置する。本実施形態において、規制部18は、掃除機本体3にて上下方向に沿って突出している。また、規制部18とハンドル2とに亘り、支持部19が形成されている。支持部19は、ハンドル2を把持した使用者の手の上部に乗ることによって電気掃除機1又は掃除機本体3の荷重を手で支持可能とする部分である。支持部19とハンドル2との連結部分に亘り、スイッチ15が位置している。支持部19は、本実施形態において、前後方向に沿って形成されている。支持部19には、スイッチ15から離した指を置く指置き部20が形成されていてもよい。
【0017】
また、集塵部10は、長手状に形成されている。本実施形態の集塵部10は、筒状に形成され、掃除機本体3に対し所定位置に取り付けられた状態で軸方向となる長手方向が前後方向に沿う。集塵部10は、掃除機本体3に対し所定位置に取り付けられた状態で、長手方向の一端部が規制部18に対向する。集塵部10の形状や取り付け向きは、これに限定されない。
【0018】
本実施形態の集塵部10は、掃除機本体3に対し取り外し機構25の操作により取り外し可能となっている。取り外し機構25は、外部からの操作により集塵部10を掃除機本体3から取り外すように作動する。取り外し機構25は、集塵部10を掃除機本体3に係止する係止部26と、使用者により操作されて係止部26による集塵部10の係止を解除可能とする取り外し操作部27と、を備えている。
【0019】
係止部26は、集塵部10側を掃除機本体3側に係止可能な任意の構成とすることができるが、本実施形態では、集塵部10側と掃除機本体3側とのいずれか一方に可動的に配置された第一係止部30と、集塵部10側と掃除機本体3側との他方に配置された第二係止部31と、を備えている。第一係止部30は、第二係止部31に対し係止可能であるとともに、取り外し操作部27の操作により動作して第二係止部31に対する係止を解除可能である。本実施形態では、第一係止部30が集塵部10に回動可能に支持され、第二係止部31が掃除機本体3の規制部18に配置されているが、これに限られず、第一係止部30が掃除機本体3の規制部18に回動可能に支持され、第二係止部31が集塵部10に配置されていてもよい。
【0020】
また、第一係止部30は、本実施形態において、回動可能に支持され、回動中心に対し、一方側に第一腕部30aを備え、他方側に第二腕部30bを備える。また、第一係止部30は、集塵部10に形成された開口部33に露出して配置されている。第一腕部30aが取り外し操作部27により押圧されて第一係止部30を回動させる被操作腕部であり、第二腕部30bが第二係止部31に対して係脱される係脱腕部である。第一係止部30は、係止付勢手段により第二腕部30bが第二係止部31に対して係止される方向に付勢されている。係止付勢手段は、例えばトーションばねやコイルばね等が用いられる。
【0021】
第二係止部31は、開口部33に対し挿入された位置で第一係止部30の第二腕部30bに対して係止されるフック部である。
【0022】
また、取り外し操作部27は、本実施形態において、使用者が所定方向に沿って移動させることが可能なレバー体である。取り外し操作部27は、集塵部10を掃除機本体3の所定位置に着脱する方向に沿って移動可能となっている。また、取り外し操作部27は、掃除機本体3に対し集塵部10を取り外す方向に沿って操作されることで、係止部26の係止を解除可能となっている。取り外し操作部27は、スイッチ15の操作方向に対し直線的に離れる方向へと操作されることで、係止部26の係止を解除可能となっている。本実施形態の取り外し操作部27は、前後方向に沿って移動可能となっており、前方に向かって移動されることで、掃除機本体3に対する集塵部10の係止を解除可能となっている。つまり、本実施形態において、集塵部10を掃除機本体3から取り外す操作方向と、スイッチ15により電動送風機11を起動させる操作方向とが直線的に離れる方向となるように配置されている。これに限られず、取り外し操作部27の操作方向は、任意に設定してよい。
【0023】
取り外し操作部27は、操作時に使用者が摘む摘み部27aと、係止部26の第一係止部30を動作させる動作部27bと、を備えている。摘み部27aは、掃除機本体3の外部に露出している。動作部27bは、取り外し操作部27の操作に応じて第一係止部30に対して進退される。動作部27bは、本実施形態では取り外し操作部27の第一係止部30に対向する端部に位置し、第一腕部30aを押動可能となっている。取り外し操作部27は、さらに、集塵部10を掃除機本体3からの取り外し方向に移動させる押出部27cを備えていてもよいし、動作部27bにこの押出部の機能を持たせてもよい。また、取り外し操作部27は、本実施形態では、掃除機本体3において、スイッチ15に対して集塵部10側に配置されている。つまり、本実施形態の取り外し操作部27は、スイッチ15に対して前方に配置されている。図示される例では、取り外し操作部27は、支持部19に配置されている。また、取り外し操作部27は、付勢手段35により集塵部10を掃除機本体3から取り外す方向に対して反対方向に付勢されている。付勢手段35は、本実施形態ではコイルばねが用いられる。付勢手段35は、必須の構成ではない。
【0024】
また、電気掃除機1は、集塵部10を掃除機本体3から取り外そうとしたことに応じて電動送風機11の動作が制限されるようになっている。ここで、電動送風機11の動作を制限するとは、動作状態の電動送風機11の駆動を低下状態又は停止状態に切り換える、又は、停止状態の電動送風機11を停止状態に維持することをいう。電気掃除機1は、電動送風機11の動作を制限する制限手段37を掃除機本体3に備えている。制限手段37は、集塵部10を掃除機本体3から取り外そうとしたことに応じて電動送風機11の動作を制限する。制限手段37は、好ましくは、取り外し機構25による掃除機本体3に対する集塵部10の取り外し操作により、電動送風機11の動作を制限する。本実施形態における制限手段37は、取り外し機構25による掃除機本体3に対する集塵部10の取り外し操作に機械的に連動してスイッチ15をロックするリンク機構である。制限手段37は、スイッチ15の操作方向に対して交差する方向に沿って移動可能な可動体40を備えている。
【0025】
可動体40は、取り外し操作部27に対して、取り外し操作部27の操作方向とは反対側に配置されている。本実施形態の可動体40は、取り外し操作部27に対して後方に配置されている。可動体40は、取り外し操作部27にて動作部27bとは反対側の端部に形成された連動部27dにより動作される。可動体40と連動部27dとは、取り外し操作部27の移動方向に沿って可動体40の移動方向に対して傾斜された面で互いに対向して接触した状態で設けられている。取り外し操作部27が所定方向に移動すると、可動体40は取り外し操作部27の移動方向と交差する方向に移動することになる。本実施形態では、取り外し操作部27が後方から前方へと移動すると、付勢部材42から下向きの力を受けて、可動体40が下方に移動するようになっている。また、可動体40の少なくとも一部は、可動体40に対し可動体40の動作方向に対向する位置でスイッチ15に形成された受け部41に挿入可能となっている。受け部41に可動体40の少なくとも一部が挿入されることで、スイッチ15が操作方向に移動不可能となることにより、スイッチ15がロックされてスイッチ15の操作による移動が規制される。可動体40は、コイルばね等の付勢部材42により受け部41に向けて付勢されている。本実施形態において、可動体40は、支持部19の内部にてスイッチ15の上方に上下動可能に配置され、付勢部材42により下方の受け部41に向けて付勢されている。
【0026】
以上説明したように第1の実施形態では、スイッチ15は、外部からの操作に応じて、電動送風機11を停止させる停止位置から動作させる動作位置へと移動することで電動送風機11の動作を設定可能になっており、制限手段37は、取り外し機構25による取り外し操作に機械的に連動して、スイッチ15を停止位置に拘束するように設けられている。
【0027】
次に、第1の実施形態の動作を説明する。
【0028】
電気掃除機1による掃除の際、集塵部10は掃除機本体3に対し所定位置に取り付けられている。この状態で、
図2に示すように、集塵部10は、取り外し機構25の係止部26の第一係止部30の第二腕部30bが、開口部33内に挿入された第二係止部31に係合された位置となって掃除機本体3に所定位置で係止保持される。また、取り外し機構25の取り外し操作部27は、付勢手段35の付勢により係止部26の第一係止部30から離れる方向に移動した位置となり、連動部27dが制限手段37の可動体40を付勢部材42の付勢に抗して受け部41に対して離れた位置に保持することで、スイッチ15の操作が制限されない状態となる。
【0029】
使用者はハンドル2を手Hで把持し、風路体6の先端側を被掃除面に向けて、指Fによりスイッチ15を引いて押圧することで、電動送風機11がオンされる。使用者が指Fによるスイッチ15の押圧を緩めると、電動送風機11はオフされる。
【0030】
電動送風機11の動作により生じた負圧の作用により、風路体6の先端から塵埃が空気とともに吸い込まれ、吸込口4から集塵部10へと流入して、塵埃が集積される。そして、塵埃が分離された空気は、集塵部10から電動送風機11の吸込側へと吸い込まれ、電動送風機11を冷却した後、排気口5から掃除機本体3の外部へと排気される。
【0031】
掃除が終了したとき等に、集塵部10に集積された塵埃を廃棄する場合には、本実施形態では、集塵部10を掃除機本体3から取り外す。使用者は、
図1に示すように、一方の手Hでハンドル2を把持した状態で、もう一方の手で取り外し機構25の取り外し操作部27の摘み部27aを摘み、取り外し操作部27を集塵部10の取り外し方向に向かい付勢手段35の付勢に抗してスライドさせる。すると、取り外し操作部27の動作部27bが第一係止部30の第一腕部30aに向かい進出することで第一腕部30aを押圧し、第一係止部30が付勢に抗して回動して、第二腕部30bが第二係止部31から離れ、集塵部10の掃除機本体3への係止が解除される。取り外し操作部27の押出部27cが集塵部10を掃除機本体3に対して相対的に押し出すことで、集塵部10が所定位置から前方へと離れるように移動し、掃除機本体3から取り外される。同時に、制限手段37では、取り外し機構25の取り外し操作部27が可動体40から離れる前方へと移動しているため、付勢部材42により付勢された可動体40がスイッチ15の受け部41に向かって移動し、可動体40の少なくとも一部が受け部41に挿入される。このため、スイッチ15の操作方向への移動が規制され、スイッチ15の操作による電動送風機11の動作が制限される。なお、集塵部10の取り外しの際、ハンドル2を把持した手の指Fは、指置き部20に置いてもよい。
【0032】
このように、第1の実施形態によれば、使用者が集塵部10を掃除機本体3から取り外そうと操作したことに応じて電動送風機11の動作を制限されることとなる。これにより、集塵部10を取り外そうとしているときのスイッチ15の誤操作によって電動送風機11が起動することを抑制でき、集塵部10内の塵埃の外部への散乱を抑制できる。
【0033】
また、第1の実施形態では、取り外し操作部27への操作に連動してスイッチ15が停止位置に拘束されるので、集塵部10が掃除機本体3から未だ外れていないタイミングで電動送風機11を起動させなくすることができ、集塵部10内の塵埃の外部への散乱をより確実に抑制できる。
【0034】
特に、使用者は、ハンドル2を把持し、スイッチ15を押す方向と反対方向に取り外し機構25の取り外し操作部27を操作して集塵部10を押し出すため、集塵部10を押し出す際の反作用で、ハンドル2を把持した手Hの指Fによってスイッチ15を押しやすくなるため、取り外し機構25を使用者が操作して掃除機本体3に対して集塵部10を取り外そうとしたときに、制限手段37が電動送風機11の動作を制限することで、取り外し機構25の取り外し操作部27の操作の反作用によって誤ってスイッチ15を押したとしても、電動送風機11を意図せずに動作させることがない。
【0035】
制限手段37が、取り外し機構25による掃除機本体3に対する集塵部10の取り外し操作に機械的に連動してスイッチ15を、電動送風機11を起動不可能とするようにロックするので、制限手段37を安価に構成できる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について
図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
制限手段37は、取り外し機構25による掃除機本体3に対する集塵部10の取り外し操作により電動送風機11の動作を制限するに当たり、機械的な機構に代えて、電気的に電動送風機11の動作を制限する。本実施形態の電気掃除機1は、取り外し機構25への使用者の操作を検出するセンサである検出センサ45を備えている。検出センサ45は、取り外し機構25による掃除機本体3に対する集塵部10の取り外し操作を検出する。制限手段37は、取り外し検出センサ45により掃除機本体3に対する集塵部10の取り外し操作を検出すると、電動送風機11の動作を制限するよう、制御部13等に信号を出力する。つまり、本実施形態の制限手段37は、検出センサ45と制御部13とを含んで構成されている。
【0038】
取り外し検出センサ45としては、任意の構成とすることができるが、例えば取り外し機構25の取り外し操作部27の摘み部27aを摘んだことを検出する接触センサ、摘み部27aに取り外し操作部27の操作のための力を加えたことを検出する圧力センサ、摘み部27aの移動を検出するセンサ等を用いてよい。
【0039】
このように、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、集塵部10を掃除機本体3から取り外そうとしたことに応じて電動送風機11の動作を制限するので、集塵部10を取り外そうとしているときのスイッチ15の誤操作によって電動送風機11が起動することを抑制でき、集塵部10内の塵埃の外部への散乱を抑制できる。
【0040】
また、取り外し検出センサ45により取り外し機構25による掃除機本体3からの集塵部10の取り外し操作を検出すると、制限手段37が電動送風機11の動作を制限するので、制限手段37を簡素に構成できる。
【0041】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について
図6及び
図7を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
制限手段37は、取り外し機構25の操作に代えて、集塵部10が掃除機本体3に対し所定位置から移動したことに応じて電動送風機11の動作を制限する。
【0043】
集塵部10は、係止手段により掃除機本体3の所定位置に着脱可能に係止される。係止手段は、使用者により操作されることで掃除機本体3の所定位置に対する集塵部10の係止を解除可能となっている。
【0044】
また、集塵部10は、掃除機本体3に対して取り付けられた所定位置から取り外される方向へと移動手段47により移動可能となっている。本実施形態の移動手段47は、集塵部10を所定位置から取り外される方向へと付勢する。図示される例では、移動手段47は、集塵部10を前方に向けて付勢する。移動手段47は、集塵部10を押し出す押出体48と、押出体48を集塵部10に向かい付勢するコイルばね等の移動付勢手段49と、を備えている。
【0045】
押出体48は、掃除機本体3において、スイッチ15に対して集塵部10側に配置されている。本実施形態では、押出体48は、スイッチ15に対して前方に配置されている。図示される例では、押出体48は、支持部19に配置されている。本実施形態の押出体48は、集塵部10を掃除機本体3からの取り出し方向に移動させる押出部48aを集塵部10に対向する端部に備えている。また、本実施形態の押出体48は、制限手段37の可動体40を動作される連動部48bを押出部48aと反対側の端部に備えている。連動部48bは、押出体48の移動方向に沿って可動体40の移動方向に徐々に傾斜して形成され、可動体40と互いに対向して接触した状態で押出体48の移動がこの移動と交差する方向への可動体40の移動に変換されるようになっている。
【0046】
集塵部10は、掃除機本体3に対し所定位置に取り付けられた状態で、係止手段により掃除機本体3に保持されている。この状態で、
図7に示すように、移動手段47は、押出体48の押出部48aが集塵部10に当接しており、移動付勢手段49の付勢に抗して押し込まれた位置で保持され、連動部48bが制限手段37の可動体40を付勢部材42の付勢に抗して受け部41から離れた位置に保持することで、スイッチ15の操作が制限されない状態となる。
【0047】
一方、集塵部10に集積された塵埃を廃棄する場合には、本実施形態では、集塵部10を掃除機本体3から取り外す。
図6に示すように、使用者が係止手段を操作し、掃除機本体3に対する集塵部10の係止を解除すると、移動付勢手段49の付勢により押出体48が集塵部10側に向かい移動する。すると、押出体48の押出部48aが集塵部10を掃除機本体3に対して相対的に押し出すことで、集塵部10が所定位置から前方へと離れるように移動し、掃除機本体3から取り外される。同時に、制限手段37では、押出体48が可動体40から離れる前方へと移動しているため、付勢部材42により付勢された可動体40がスイッチ15の受け部41に向かって移動し、可動体40の少なくとも一部が受け部41に挿入される。このため、スイッチ15の操作方向への移動が規制され、電動送風機11の動作が制限される。
【0048】
このように、掃除機本体3に対して取り付けられた所定位置から集塵部10が離れたことに応じて電動送風機11の動作を制限するので、集塵部10を掃除機本体3から取り外そうとして集塵部10が所定位置から移動したときのスイッチ15の誤操作によって電動送風機11が起動することを抑制でき、集塵部10内の塵埃の外部への散乱を抑制できる。
【0049】
制限手段37が、所定位置から集塵部10が離れたことに機械的に連動してスイッチ15を、電動送風機11を起動不可能とするようにロックするので、制限手段37を安価に構成できる。なお、集塵部10を掃除機本体3から取り外す方向(
図6及び
図7中における矢印FR方向)の操作を受けて、動作位置にあるスイッチ15を停止位置に戻すように機械的に連動する構造を設けるとよい。このような構造を設けることで、集塵部10内の塵埃を廃棄するときに、集塵部10が掃除機本体3から離れるよりも早いタイミングで誤ってスイッチ15を動作位置に押してしまった場合でも、集塵部10が掃除機本体3から離れるとともに、動作していた電動送風機11が停止するので、集塵部10内から外部に塵埃が散乱することを抑制し、仮に散乱したとしてもその塵埃の量を少なくすることができる。
【0050】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について
図8を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
制限手段37は、集塵部10が掃除機本体3に対し所定位置から移動したことに応じて電動送風機11の動作を制限するに当たり、機械的な機構に代えて、電気的に電動送風機11の動作を制限する。本実施形態の電気掃除機1は、掃除機本体3に対し集塵部10が所定位置から離れたことを検出するセンサである位置検出センサ51を備えている。制限手段37は、位置検出センサ51により掃除機本体3に対する集塵部10の所定位置から取り外し方向へ離れるように移動したことを検出すると、電動送風機11の動作を制限するよう、制御部13等に信号を出力する。つまり、本実施形態の制限手段37は、位置検出センサ51と制御部13とを含んで構成されている。
【0052】
位置検出センサ51としては、任意の構成とすることができるが、例えば集塵部10が掃除機本体3に対し所定位置にあるときと所定位置から離れたときとでオンオフが切り換わるスイッチ、発光する発光部と受光する受光部とを備えて集塵部10が所定位置にあるときと所定位置から離れたときとで受光部による受光状態が切り換わる光センサ等を用いてよい。
【0053】
このように、第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、掃除機本体3に対して所定位置から集塵部10が離れたことに応じて電動送風機11の動作を制限するので、集塵部10を取り外そうとして集塵部10が移動したときのスイッチ15の誤操作によって電動送風機11が起動することを抑制でき、集塵部10内の塵埃の外部への散乱を抑制できる。
【0054】
また、位置検出センサ51により所定位置から集塵部10が離れたことを検出すると、制限手段37が電動送風機11の動作を制限するので、制限手段37を簡素に構成できる。
【0055】
なお、上記各実施形態において、スイッチ15は、例えばメンブレンスイッチや静電スイッチでも同様に作用する。
【0056】
また、スイッチ15は、ハンドル2に配置されているものに限られず、ハンドル2を把持した手Hにより操作可能な範囲の他の構造部に配置されていてもよい。上記各実施形態においては、スイッチ15は例えば支持部19の下部に配置されていてもよい。
【0057】
制限手段37は、上記各実施形態の構成に限定されず、集塵部10を掃除機本体3から取り外そうとしたことに応じて電動送風機11の動作を制限する他の任意の構成を用いてよい。
【0058】
電気掃除機1は、スティック型のものに限られず、ハンディ型、アップライト型や、キャニスタ型等、使用者が電動送風機11のオンオフや駆動力を手動で設定する任意の電気掃除機1に適用できる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0060】
例えば、第2の実施形態で取り外し機構25と機械的に連動してスイッチ15が停止位置に拘束されることや、第3の実施形態で集塵部10の取り外しと機械的に連動してスイッチ15が停止位置に拘束されることを上述したが、これらの連動構造については上に説明した構造に限られず採用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 電機掃除機
2 ハンドル
3 本体である掃除機本体
7 延長管
8 吸込口体
10 集塵部
11 電動送風機
15 設定手段であるスイッチ
25 取り外し機構
37 制限手段
45 センサである取り出し検出センサ