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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】マスクサイズゲージ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A61M16/06 Z
A61M16/06 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019098577
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020192014
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沢 理紗
(72)【発明者】
【氏名】石田 楽
(72)【発明者】
【氏名】鈴川 正之
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕也
(72)【発明者】
【氏名】井上 正行
(72)【発明者】
【氏名】松原 功
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0007439(US,A1)
【文献】米国特許第05584125(US,A)
【文献】特表2017-530740(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク装着者の顔の上方部の上基準部位と下方部の下基準部位との高さ方向の距離に応じたマスクのサイズを選定するためのマスクサイズゲージであって、
上記マスク装着者の目の外側方で上記上基準部位の高さ位置に配置されることを示す基準位置表示部と、
上記基準位置表示部よりも顔面の中央寄りに位置し、上記下基準部位の高さ位置に応じたマスクのサイズを示すサイズ表示部とを有するか、または、
上記マスク装着者の目の最外部よりも顔面の中央寄りで、上記下基準部位の高さ位置に配置されることを示す基準位置表示部と、
上記マスク装着者の目の外側方で上記上基準部位の高さ位置に応じたマスクのサイズを示すサイズ表示部とを有する
ことを特徴とするマスクサイズゲージ。
【請求項2】
請求項1のマスクサイズゲージであって、
上記上基準部位は、マスク装着者の目頭、目尻、正面視の場合の瞳孔中心、および眉の何れかであることを特徴とするマスクサイズゲージ。
【請求項3】
請求項1から請求項2のうち何れか1項のマスクサイズゲージであって、
上記下基準部位は、マスク装着者の頤深溝、顎の下端部、顎の前端部、上唇、下唇、上唇と下唇との境界、および人中の何れかであることを特徴とするマスクサイズゲージ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項のマスクサイズゲージであって、
マスクサイズゲージの使用時の姿勢において、上記基準位置表示部とサイズ表示部とを結ぶ斜辺部が形成されていることを特徴とするマスクサイズゲージ。
【請求項5】
請求項4のマスクサイズゲージであって、
上記斜辺部に対向する垂直辺部と、上下縁に形成された水平辺部とを有する台形形状を成していることを特徴とするマスクサイズゲージ。
【請求項6】
請求項1から請求項3のうち何れか1項のマスクサイズゲージであって、
マスクサイズゲージの使用時の姿勢において、上記上基準部位に対応する、上記基準位置表示部または上記サイズ表示部から下方に向かう垂直辺部と、上記垂直辺部の下端部から、上記下基準部位に対応する、上記サイズ表示部または上記基準位置表示部の上部位置に向かう水平辺部とが形成されていることを特徴とするマスクサイズゲージ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうち何れか1項のマスクサイズゲージであって、
上記基準位置表示部と上記サイズ表示部との間に、マスクサイズゲージの使い方を示す説明表示部が設けられていることを特徴とするマスクサイズゲージ。
【請求項8】
請求項7のマスクサイズゲージであって、
上記説明表示部は、上記基準位置表示部を上記マスク装着者の上記上基準部位または下基準部位の高さ位置に配置した後、マスク装着者の上記下基準部位または上基準部位の高さ位置に応じて上記サイズ表示部によって示されるマスクのサイズを読み取ることを示す手順の順序表示を含むことを特徴とするマスクサイズゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素マスクや人工呼吸器のマスクのサイズを装着者に応じて選定するために用いられるマスクサイズゲージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用マスクのサイズを測定するために、装着者の顔の正面に物差しを近接させて、物差しに表示されているサイズを読み取る技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-530740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装着者の顔の正面に物差しを近接させることは、装着者に不快感を与えることがあり、医療従事者等が測定を躊躇しがちである。このため、適切なサイズのマスクを容易に選定できないことがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、装着者に不快感を与えることなく、適切なサイズのマスクを容易に選定できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
マスク装着者の顔の上方部の上基準部位と下方部の下基準部位との高さ方向の距離に応じたマスクのサイズを選定するためのマスクサイズゲージであって、
上記マスク装着者の目の外側方で上記上基準部位の高さ位置に配置されることを示す基準位置表示部と、
上記基準位置表示部よりも顔面の中央寄りに位置し、上記下基準部位の高さ位置に応じたマスクのサイズを示すサイズ表示部とを有するか、または、
上記マスク装着者の目の最外部よりも顔面の中央寄りで、上記下基準部位の高さ位置に配置されることを示す基準位置表示部と、
上記マスク装着者の目の外側方で上記上基準部位の高さ位置に応じたマスクのサイズを示すサイズ表示部とを有する
ことを特徴とする。
【0007】
これにより、マスクサイズゲージをマスク装着者の顔の側方に添えてマスクのサイズを選定することができるので、マスクサイズゲージによってマスク装着者の顔や目が覆われたりして不快感を与えるのを回避して適切なサイズのマスクを選定することが容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、装着者に不快感を与えることなく、適切なサイズのマスクを容易に選定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のマスクサイズゲージの例を示す正面図である。
図2】実施形態2のマスクサイズゲージの例を示す正面図である。
図3】実施形態3のマスクサイズゲージの例を示す正面図である。
図4】実施形態4のマスクサイズゲージの例を示す正面図である。
図5】実施形態5のマスクサイズゲージの例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、または図示や説明を省略する。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1のマスクサイズゲージ100は、例えば図1に示すように台形形状を成す樹脂板などから形成されている。より詳しくは、マスクサイズゲージ100は、同図に示すように使用時の姿勢において、斜辺部101と、上記斜辺部101に対向する垂直辺部と、上下縁に形成された水平辺部とを有する台形形状を成している。ここで、上記台形形状は、各頂点にR部または面取り等が形成されていてもよい。
【0012】
上記斜辺部101の上部付近には、例えば矢印形状が印刷された基準位置表示部111が設けられ、この基準位置表示部111が、同図に符号Aで示すように、マスク装着者の目の外側方で目(上基準部位)の高さ位置に配置されることを示すようになっている。また、斜辺部101の下部付近には、例えば4本の水平線とS、M、Lの文字が印刷されたサイズ表示部112が設けられ、例えば同図に符号Bで示す頤深溝(下基準部位)の高さ位置に応じて、適切なマスクのサイズが示されるようになっている。
【0013】
ここで、上記サイズ表示部112は、基準位置表示部111よりも顔面の中央寄りに位置し、斜辺部101は、上記基準位置表示部111とサイズ表示部112とを結ぶように形成されている。これによって、マスクサイズゲージ100をマスク装着者の顔の正面に位置させて顔や目を覆ったりすることなく、基準位置表示部111をマスク装着者の目の外側方で目の高さ位置に配置するとともに、サイズ表示部112をマスク装着者の頤深溝に近づけて頤深溝の高さ位置に応じたマスクのサイズを容易に確認できるようになる。
【0014】
また、マスクサイズゲージ100には、必須ではないが、垂直辺部の下端部付近に、このマスクサイズゲージ100にストラップを取り付けたりマスクサイズゲージ100をフックに引っ掛けたりできるように穴102が形成されている。
【0015】
さらに、マスクサイズゲージ100における基準位置表示部111とサイズ表示部112との間の領域付近、より詳しくは例えば中央部よりもやや上部で、マスクサイズゲージ100の右下部を持ったときに隠れにくいような部分には、例えばマスクサイズゲージ100を縮小した相似形の図形を含むマスクサイズゲージ100の使用状態を表したイラストによる説明表示部113が設けられている。このイラスト中には、計測手順の順序表示113a・113bが含まれ、マスクサイズゲージ100の使用時に、基準位置表示部111を目の高さ位置Aに合せた後、頤深溝の高さ位置Bが対応するサイズ表示部112を読み取ればよいことが容易に把握できるようになっている。ここで、図1の例では、マスクサイズゲージ100をマスク装着者に向かって右側に配置している例、すなわち例えばマスクサイズゲージ100の右端などを右手で持って顔に近づけるようにして測定する例を示し、同図の説明表示部113のイラストも、上記配置に対応したものとなっている例が示されている。
【0016】
上記のように、マスクサイズゲージ100をマスク装着者の顔の側方に添えてマスクのサイズを選定することができるので、マスクサイズゲージ100によってマスク装着者の顔や目が覆われたりして不快感を与えるのを容易に回避することができる。また、例えば治療方針に応じてマスクの種類を交換する際などに、マスク装着者の正面から物差しを当てる場合などのようにマスクの立体形状が妨げとなりにくいので、マスクのサイズを正確に測定することが容易にできる。
【0017】
すなわち、マスクサイズゲージ100は、顔の下方側部分の方が顔面の中央寄りに配置される形状を有するため、マスク装着者の顔にマスクサイズゲージ100が被る部分を非常に少なくでき、被験者に不快感を与えることを回避できる。また、上記のような形状を有するため、マスク装着者が既にマスクを装着しているような場合でも、当該装着者に不快感を生じさせることなく正確にマスクのサイズを測定できるとともに、マスクの脱着の必要性が無い為に医療の質を向上させることができる。例えば、容態変化に伴って酸素マスクから非侵襲陽圧換気(NPPV)フルフェイスマスクに付け替える必要が生じた場合、上述のマスクサイズゲージ100を使用すれば酸素マスクを装着したままでも適切なNPPVフルフェイスマスクを選択できる為、被験者の不快感を回避できるだけでなく医療の質を向上させることができる。
【0018】
また、上記のように台形状に形成されることによって、垂直辺部の下端部付近でマスクサイズゲージ100を掴みやすくしたり、マスクサイズゲージ100の剛性を確保したり、また、垂直辺部や上下水平辺部によってマスクサイズゲージ100の傾きがないことを確認したりすることも容易にできる。
【0019】
なお、上記の例では、頤深溝の高さ位置Bに応じてマスクのサイズが選定される例を示したが、これに限らず、顎の下端部、顎の前端部、上唇、下唇、上唇と下唇との境界、および人中の何れかなどの高さ位置に応じて選定されるようにしてもよい。
【0020】
また、上記の例では、目の高さ位置Aに基準位置表示部111が配置される例を示したが、これに限らず、目頭、目尻、正面視の場合の瞳孔中心、および眉の何れかなどの高さ位置に配置されるようにしてもよい。
【0021】
また、説明表示部113はイラストによって表されれば使用方法を直感的に解りやすいが、これに限らず言葉で計測手順が説明されるなどしてもよい。
【0022】
また、説明表示部113の表示位置は特に限定されないが、計測時にマスクサイズゲージ100を手で持っても視認できる位置であることは通常好ましい。
【0023】
また、マスクサイズゲージ100を不透明な材質によって形成し、基準位置表示部111等を両面に設け、マスクサイズゲージ100をマスク装着者の顔の左右どちら側に配置しても、すなわち左右どちらの手でマスクサイズゲージ100を保持しても計測しやすいようにしてもよい。
【0024】
(実施形態2)
実施形態2のマスクサイズゲージ100は、例えば図2に示すように屈曲した形状に形成されてもよい。すなわち、基準位置表示部111とサイズ表示部112との間が、垂直辺部121と水平辺部122とによって結ばれている。このような形状に形成することによって、マスクサイズゲージ100が、より装着者の頬に触れにくくしたり、サイズ表示部112を口などに近づけやすくしたりできる。
【0025】
(実施形態3)
実施形態3のマスクサイズゲージ100は、例えば図3に示すように、実施形態2の水平辺部122よりもさらに長い水平辺部123が形成されている。このように水平辺部123が多少長く形成されても、装着者の目が覆われる場合のように不快感を与えることは少ない一方、サイズ表示部112を頤深溝等に近づけることがより容易にできるので、より正確なサイズの選定をしやすくすることができる。
【0026】
(実施形態4)
実施形態4のマスクサイズゲージ100は、例えば図4に示すように、斜辺部101に対向する辺として、斜辺部101に平行な外側斜辺部124が形成されている。このように形成される場合でも、上記各実施形態と同様に、マスクサイズゲージ100をマスク装着者の顔の側方に添えてマスクのサイズを選定できることにより、マスク装着者の顔や目がマスクサイズゲージ100で覆われたりして不快感を与えるのを容易に回避できるとともに、マスクサイズゲージ100のコンパクト化や軽量化を図ることもできる。
【0027】
(実施形態5)
上記各実施形態では、顔の上方部の上基準部位の高さ位置を基準として顔の下方部の下基準部位の高さ位置に応じてマスクのサイズが選定される例を示したが、これに限らず、逆に、顔の下方部の下基準部位の高さ位置を基準として顔の上方部の上基準部位の高さ位置に応じてマスクのサイズが選定されるようにしてもよい。
【0028】
具体的には、例えば図5に示すように、斜辺部101の下部付近に、例えば矢印形状が印刷された基準位置表示部111が設けられる一方、斜辺部101の上部付近に、例えば4本の水平線とS、M、Lの文字が印刷されたサイズ表示部112が設けられるようにしてもよい。また、同図の例では、説明表示部113にも、上記配置に対応した順序表示113a・113bが表されている。
【0029】
このような場合でも、同様に、マスクサイズゲージ100をマスク装着者の顔の側方に添えてマスクのサイズを選定することができる等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0030】
100 マスクサイズゲージ
101 斜辺部
102 穴
111 基準位置表示部
112 サイズ表示部
113 説明表示部
113a・113b 順序表示
121 垂直辺部
122 水平辺部
123 水平辺部
124 外側斜辺部
図1
図2
図3
図4
図5