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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
D06F39/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019122954
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021007637
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 啓太
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0089443(KR,A)
【文献】特開2005-168652(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0063858(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0100616(KR,A)
【文献】特開2013-048699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に設けられ洗濯水が溜められる水槽と、
給水弁を有し、給水源からの水を給水経路を通して注水ケースに注水し、該注水ケースから更に前記水槽に供給する給水機構と、
前記注水ケース内に配置され、1回分の洗濯に用いられる洗濯処理剤を収容可能な収容ケースと、
前記注水ケースの天井部に配置され前記給水経路を通して供給された水を、複数個の散水孔から前記収容ケースに向けて散水させる散水板とを備え、
前記各散水孔は、前記収容ケースの内壁面に対応して設けられ前記収容ケースの外側を向く外側半部のみが開口する形態の半円形状に設けられると共に、
前記散水板には、前記各散水孔の外側に位置して、外側に向けて傾斜する傾斜面を有して下方に延びる傾斜リブが設けられており、
前記散水板の下面には、前記各傾斜リブをその並び方向に繋ぐようにして下方に延びる縦リブが設けられている洗濯機。
【請求項2】
本体内に設けられ洗濯水が溜められる水槽と、
給水弁を有し、給水源からの水を給水経路を通して注水ケースに注水し、該注水ケースから更に前記水槽に供給する給水機構と、
前記注水ケース内に配置され、1回分の洗濯に用いられる洗濯処理剤を収容可能な収容ケースと、
前記注水ケースの天井部に配置され前記給水経路を通して供給された水を、複数個の散水孔から前記収容ケースに向けて散水させる散水板とを備え、
前記各散水孔は、前記収容ケースの内壁面に対応して設けられ前記収容ケースの外側を向く外側半部のみが開口する形態の半円形状に設けられると共に、
前記散水板には、前記各散水孔の外側に位置して、外側に向けて傾斜する傾斜面を有して下方に延びる傾斜リブが設けられており、
前記各傾斜リブの傾斜面の先端部は、側方への拡がり形状を有している洗濯機。
【請求項3】
前記各散水孔は、前記散水板の下面に円管状に突出し、その先端のうち内側半部が閉塞板部で塞がれた形態で半円形状に開口している請求項1又は2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばドラム式の洗濯機においては、一般に、本体の上部前部に引出し式の洗剤等収容ケースが設けられ、ユーザが洗濯開始前に洗剤等収容ケースに必要量の洗剤や柔軟仕上剤を収容させておくことにより、洗濯運転時にそれらが給水と共に水槽内に供給される(例えば特許文献1参照)。この場合、収容ケースの上方に、複数個の水穴或いはスリット状の穴を有する注水口を設けることにより、その注水口から収容ケース内にシャワー状に注水が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-137888公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものにあっては、洗剤等の洗濯処理剤を収容する収容ケースに対し、真上に位置する注水穴から注水を行うため、収容ケースの内壁面に洗剤等が付着したまま残ってしまうことが発生していた。特に、洗剤収容部の左右の側面は、角度90度で立ち上がるため、注水によって洗剤をうまく洗い流すことができない事情があった。
そこで、収容ケース内の洗濯処理剤を給水と共に水槽内に供給する投入機構を備えるものにあって、収容ケースの内壁面に洗濯処理剤が残ることを効果的に抑制することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、本体内に設けられ洗濯水が溜められる水槽と、給水弁を有し、給水源からの水を給水経路を通して注水ケースに注水し、該注水ケースから更に前記水槽に供給する給水機構と、前記注水ケース内に配置され、1回分の洗濯に用いられる洗濯処理剤を収容可能な収容ケースと、前記注水ケースの天井部に配置され前記給水経路を通して供給された水を、複数個の散水孔から前記収容ケースに向けて散水させる散水板とを備え、前記各散水孔は、前記収容ケースの内壁面に対応して設けられ前記収容ケースの外側を向く外側半部のみが開口する形態の半円形状に設けられると共に、前記散水板には、前記各散水孔の外側に位置して、外側に向けて傾斜する傾斜面を有して下方に延びる傾斜リブが設けられており、前記散水板の下面には、前記各傾斜リブをその並び方向に繋ぐようにして下方に延びる縦リブが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態を示すもので、ドラム式洗濯機の外観を示す斜視図
図2】タンクや給水弁ユニット、自動用給水経路等を取外した状態の給水機構部分の斜視図
図3】収容ケースの引出し状態で示す給水機構部分の上面図
図4】収容ケース部分の縦断正面図
図5】流路形成部材を上下反転して示す図
図6図5のA-A線に沿う縦断面図
図7】散水板部分を上下反転した状態で示す斜視図
図8図7のB部を拡大して示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、ドラム式の洗濯機に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態では、自動で洗濯処理剤即ち洗剤及び柔軟剤を水槽内に投入できる自動投入装置17を備えた洗濯機を例としている。図1は、本実施形態に係る洗濯機としてのドラム式洗濯機の外観を示している。ここで、ドラム式洗濯機の外箱を構成する本体1は、ほぼ矩形箱状をなし、本体1の前面部には、ほぼ中央部に位置して、衣類が出し入れされる円形状の出入口2が設けられていると共に、その出入口2を開閉するため扉3が開閉可能に取付けられている。
【0008】
本体1の上面部の前部右部には、電源スイッチ4や操作パネル5が設けられている。詳しく図示はしないが、この操作パネル5には、スタートキーやユーザが洗濯運転コースの設定等を行うための各種操作キーが設けられている。この操作パネル5には、表示部6が設けられている。図示はしないが、この表示部6には、実行されるべき洗濯運転の洗濯コースや洗濯運転時間等の必要な表示が行われる。このとき、ユーザは、洗濯運転を実行させるにあたって、後述するように、自動投入装置17により洗濯処理剤を投入するか、或いは、手動供給機構19を用いて手動で1回分の洗剤や柔軟剤を投入するかを、操作パネル5上で選択操作できる。
【0009】
図示はしないが、本体1内には、前面が開口したほぼ円筒状をなし前記出入口2に連通し洗濯水が溜められる水槽が、弾性支持機構を介して弾性的に支持されて設けられている。前記水槽内には、衣類が収容される収容槽としてのドラムが設けられる。このドラムは、前記水槽よりもやや径小な円筒状をなし、その背面側中心部が、ドラムモータ等からなる駆動機構に接続されて回転駆動される。また、本体1内には、水槽の左上部に位置して該水槽内への給水を行うための給水機構8が設けられている。この給水機構8については後述する。図示はしないが、水槽の底部には排水口が設けられており、その排水口に、排水弁を介して排水管が接続されている。
【0010】
尚、これも図示はしないが、前記本体1内には、前記水槽ひいてはドラム内に、乾燥用の温風を循環供給するための乾燥機構が設けられる。この乾燥機構は、水槽の外部において風路を形成する乾燥風循環ダクトを備えると共に、その途中部に、循環風の除湿及び加熱を行って乾燥風を生成する乾燥ユニットを備えている。乾燥ユニットは、例えばケース内にヒートポンプ及び送風装置を組込んで構成されている。更に、本体1内には、水槽内の水位を検出する水位センサ、ドラム内の温度を検出する温度センサ、ドラムモータの回転位置を検出する回転センサ等の各種センサも設けられている。
【0011】
ここで、前記給水機構8、手動投入機構19,自動投入装置17について述べる。図2図4等にも示すように、給水機構8は、本体1内の左側上部の後部に設けられた給水弁ユニット12、本体1内の左側上部の前部に設けられた注水ケース13、給水弁ユニット12から注水ケース13につながる自動用給水経路14及び手動用給水経路15、注水ケース13の出口部16と水槽とを接続し、該水槽内に給水を行うための給水ホース(図示せず)等を備えている。
【0012】
そして、本体1内の左側上部には、前記給水機構8と共に、ユーザが予め1回分の洗濯処理剤としての洗剤(液体、粉末)及び柔軟仕上剤を、手動用収容部としての収容ケース18に投入しておくと、それら洗剤や柔軟仕上剤を給水と共に水槽内に供給する手動投入機構19が組込まれている。更に本実施形態では、洗濯処理剤としての液体洗剤及び柔軟仕上剤を、前記注水ケース13を通して水槽内に自動で投入するための自動投入装置17が設けられている。
【0013】
前記給水弁ユニット12は、図2及び図3に示すように、フレーム12aに、電磁的に開閉動作する複数個の給水弁を備えている。本実施形態では、フレーム12aの上段に位置して、自動用給水弁20と手動洗剤用給水弁21とが左右に設けられていると共に、下段に位置して、手動柔軟剤用給水弁(図示せず)が設けられている。また、図1にも示すように、給水弁ユニット12の上部には、接続口23が本体1の上面に露出するように設けられ、この接続口23に、給水源としての水道の蛇口が接続される。詳しく図示はしないが、接続口23は、下方で3つに分岐して各給水弁の入口部に夫々接続されている。
【0014】
また、前記自動用給水弁20の出口部が、自動用給水経路14の入口部に接続されている。手動洗剤用給水弁21の出口部が、手動用給水経路15のうちの洗剤用流路の入口部に接続され、手動柔軟剤用給水弁の出口部が、手動用給水経路15のうちの柔軟剤用流路の入口部に接続されている。これら自動用給水経路14及び手動用給水経路15については後述する。尚、図3に示すように、給水弁ユニット12の右側には、風呂の残り湯等を汲み上げるための風呂水ポンプ24が組込まれている。
【0015】
前記注水ケース13は、図2図4に示すように、プラスチックから上面が開口した箱状に構成され、本体1内の上部前面側の左端部に配置されている。注水ケース13の上面開口部には、手動用給水経路15を構成する流路形成部材25の一部即ち後述する散水板35が配置されている。尚、図3には示されていないが、流路形成部材25の上面は蓋部材で覆われる。図4にも示すように、注水ケース13の底部は、後方に向けて緩やかに下降傾斜しており、その後端部下部に設けられた出口部16に、給水ホースの先端部が接続され、給水ホースの後端部が、水槽の給水口に接続されている。この注水ケース13の前面には、前記収容ケース18が出し入れされる開口部が設けられ、その開口部が、本体1内の前面左上部の開口部に臨んでいる。
【0016】
前記収容ケース18は、プラスチックから構成され、図3図4に示すように、共に上面が開放し前後にやや長い薄型容器状をなす手動用洗剤収容部18aと、手動用柔軟剤収容部18bとを、左右に並んで一体的に有している。手動用洗剤収容部18aには、例えば1回分の洗剤、即ち液体洗剤又は粉末洗剤が収容され、手動用柔軟剤収容部18bには、ソフターと称される1回分の柔軟仕上剤が必要に応じて収容される。このとき、手動用洗剤収容部18aは、底壁部から左右の側壁部がほぼ垂直に立ち上がり、前壁部から底壁部の前側部分にかけての部分が後方に下降傾斜した形状に設けられ、後面部が開放されて洗剤及び水の排出部とされている。尚、詳しく図示はしないが、手動用柔軟剤収容部18bは、いわゆるサイフォン式の排出部を有している。
【0017】
前記収容ケース18は、注水ケース13内に前面側から出し入れ可能に設けられたいわゆる引出式とされている。このとき、収容ケース18の前端部には、手掛け部26aを有する前扉26が連結されている。収容ケース18は、前扉26が本体1内の前面左上部の開口部を閉塞する収納位置(図1等参照)と、その収納位置から前方に引き出された引出し位置(図3参照)との間で出し入れ可能とされている。図4にも示すように、前記収容ケース18は、その収納位置では、注水ケース13内の上部寄り部分に配置されるようになっている。
【0018】
前記手動用給水経路15は、図3に示すように、前記給水弁ユニット12の前部から一旦右側に延び、後述する自動投入装置17のタンク部分の右側部を迂回するように前方に延び、その後左側に折れ曲がって注水ケース13の上部に至るように設けられている。上記したように、この手動用給水経路15は、プラスチック製の流路形成部材25の上面がリブによって仕切られることにより、洗剤用流路27と柔軟剤用流路28との2つの流路を有して構成される。流路形成部材25のうち前記注水ケース13の上面の蓋となっている部分が散水板35とされ、本実施形態では、この散水板35が、流路形成部材25の前端部に一体に設けられている。
【0019】
図3に示すように、前記洗剤用流路27は、後端の入口部27aが前記手動洗剤用給水弁21の出口部に接続され、前端の出口側端部27bは、散水板35のうち左側の、前記手動用洗剤収容部18aの上方まで延び、後述するように、この部分において、左右部位に前後に並んで設けられた複数の小径の散水孔38が設けられている。また、柔軟剤用流路28は、後端の入口部28aが手動柔軟剤用給水弁の出口部に接続され、前端の出口側端部28bは、散水板35の右側の、前記手動用柔軟剤収容部18bの上方まで延び、この部分に前後に並んでやや大きい3個の注水穴36が設けられている。
【0020】
以上の構成により、手動供給機構19が構成される。この手動供給機構19にあっては、手動洗剤用給水弁21が開放されると、接続口23から供給された水道水が手動用給水経路15の洗剤用流路27を通り、散水孔38から収容ケース18の手動用洗剤収容部18aにシャワー状に注水される。手動用洗剤収容部18aに供給された水は、収容されている洗剤を溶かしながら、注水ケース13底部に流れ、給水ホースを通って水槽内に供給される。この散水板35及び散水孔38部分の構成の詳細については後述する。
【0021】
また、この手動供給機構19にあっては、手動柔軟剤用給水弁が開放されると、接続口23から供給された水道水が手動用給水経路15の柔軟剤用流路28を通り、注水穴36から収容ケース18の手動用柔軟剤収容部18bに注水される。手動用柔軟剤収容部18bに供給された水は、収容されている柔軟剤を溶かしながら、注水ケース13から給水ホースを通って水槽内に供給される。
【0022】
一方、前記自動投入装置17は、次のように構成されている。即ち、自動投入装置17は、図2図3に示すように、前記注水ケース13の後側に一体的に設けられたタンクケース29と、その後部に設けられたポンプ30とを備えている。タンクケース29は、上面が開放し前後にやや長い箱状をなし、図1に示すように、タンクケース29内には、共に前後方向に細長い矩形箱状をなす洗剤タンク31と柔軟仕上剤タンク32とが、左右に並んで上方への取出し可能に設けられている。
【0023】
この場合、洗剤タンク31内には、複数回分の洗濯に使用可能な液体洗剤が収容され、柔軟仕上剤タンク32内には、複数回分の洗濯に使用可能な柔軟仕上剤が収容される。図1に示すように、本体1の上面には、タンクケース29の上面に対応した出し入れ口33が設けられると共に、その出し入れ口33を開閉する蓋34が設けられている。ユーザは、蓋34を開放させて、洗剤タンク31、柔軟仕上剤タンク32を上方に取出すことにより、洗剤、柔軟仕上剤の補充作業を行うことができる。
【0024】
前記ポンプ30は、詳しく図示はしないが、左右2つの吸込を前向きに有すると共に、左右2つの吐出口を下向きに有しており、モータを駆動源として構成されている。このポンプ30は、モータの回転方向(通電方向)の切替により、液体を吸い込む吸込口及び吐出する吐出口を切替える構成とされている。このポンプ30の2個の吐出口は、自動用給水経路14の途中の吐出部の上部に配置されている。
【0025】
このとき、ポンプ30の一方の吸込口が洗剤タンク31側に接続され、モータの一方向の回転により洗剤タンク31内の洗剤を汲み上げて一方の吐出口から吐出するように構成されている。ポンプ30の他方の吸込口が柔軟仕上剤タンク32側に接続され、モータの他方向の回転により柔軟仕上剤タンク32内の柔軟仕上剤を汲み上げ、他方の吐出口から吐出するように構成されている。ポンプ30の駆動時間によって、洗剤や柔軟仕上剤の吐出量、即ち自動用給水経路14の途中の吐出部への供給量が制御される。
【0026】
また、前記自動用給水経路14は、入口端部が、前記自動用給水弁20の出口部に接続されている。自動用給水経路14は、その入口端部から下方に延び、吐出部に至る。そして、図に示すように、吐出部から更に前記タンクケース29の左側に配置された連結ホース37を通して前記注水ケース13の左側壁部の下部に設けられた接続孔13a(図2参照)に接続され、自動用給水経路14の出口端部を構成する。
【0027】
これにて、自動投入装置17は、ポンプ30の駆動により、洗剤タンク31内に収容されていた洗剤を、所要量だけ吐出部に供給することができ、また、柔軟仕上剤タンク31内に収容されていた柔軟仕上剤を、所要量だけ吐出部に供給することができる。ポンプ30の駆動によって吐出部に洗剤或いは柔軟仕上剤が供給されている状態で、前記自動用給水弁20がオンされて自動用給水経路14に給水がなされると、その水は吐出部において洗剤或いは柔軟仕上剤と混合され、それら洗剤或いは柔軟仕上剤を溶かしながら洗濯水となって流れ、注水ケース13を通って水槽内に供給される。
【0028】
さて、前記散水板35部分の構成について、図5図8も参照して詳述する。図5図8は、前記散水板35を、上下反転した状態で示している。ここで、散水板35は、プラスチックから矩形板状に構成され、図3等に示すように、その上面部には、右側に位置して、前記柔軟剤用流路28の出口側端部28aが設けられている。また、散水板35の上面部には、左側に位置して、前記洗剤用流路27の出口側端部27aが設けられている。
【0029】
そのうち、散水板35の右側の柔軟剤用流路28の出口側端部28bは、右方向から前方に直角に折曲がって延びている。この出口側端部28aの前方に延びる部分は、図4に示すように、収容ケース18の手動用柔軟剤収容部18bの上方に位置しており、前後に3個の注水穴36が散水板35を上下に貫通するように形成されている。これら注水穴36は、次に述べる散水孔38に比べてやや径大に形成されている。これにて、柔軟剤用流路28を通って供給される水は、真下に向かって手動用柔軟剤収容部18b内に流下し、収容されていた柔軟仕上剤と混合され、注水ケース13内に落下し、水槽に供給される。
【0030】
一方、散水板35の左側の洗剤用流路27の出口側端部27aは、図3等に示すように、出口側端部27aは、右方向から直角に折曲がって前方に延びた後、前端で左右に二又に分かれ、夫々後方に向けて折返された形態に延びている。そして、出口側端部27aの後方に折返された左右2つの部分に、小径な散水孔38が、前後に並んで複数個例えば各5個ずつ設けられている。図4に示すように、これら散水孔38は、収容ケース18の手動用洗剤収容部18aの上方の左右部位、即ち手動用洗剤収容部18aの左右の側壁のやや内側に対応して左右対称的に設けられている。
【0031】
このとき、各散水孔38は、散水板35を上下に貫通する孔状に設けられ、散水板35の上面側では、洗剤用流路27の底面で円形に開口する形状とされているのであるが、散水板35の下面側(図5図8では上側)の出口部は、次のように構成されている。尚、図8は、右側に位置する散水孔38を代表させて示している。ここで、右側に位置する散水孔38においては、散水孔38の右側が収容ケース18の外側を向く側とされ、散水孔38の左側が収容ケース18の内側を向く側となる。左側に位置する散水孔38については、それとは左右対称になる。
【0032】
図6図8に示すように、各散水孔38は、散水板38の下面において、円管状に僅かに突出した形態の突出筒部39を有している。このとき、突出筒部39は、断面円形の中空部が上下に貫通するように設けられているのであるが、そのうち突出筒部39の先端即ち下端面部は、半円形状の閉塞板部39aが一体に設けられ、内側半部が塞がれている。これにより、各散水孔38の、散水板35の下面側の開口部は、収容ケース18の外側を向く外側半部のみが開口する形態の半円形開口部39bとされている。
【0033】
そして、散水板35の下面には、図4等にも示すように、半円形開口部39bの外側の縁部から下方に延びるように、各散水孔38の外側に位置して、下方に延びる傾斜リブ40が一体に設けられている。この傾斜リブ40は、内側を向く面が、下へ行くほど外側に向けて傾斜する傾斜面40aを有している。また本実施形態では、散水板35の下面には、前後方向に並んだ各散水孔38の各傾斜リブ40を、それらの外側に位置して並び方向つまり前後方向に繋ぐようにして下方に延びる縦リブ41が一体に設けられている。更に本実施形態では、図8に示すように、各傾斜リブ40の傾斜面の先端部は、縦リブ41の下端縁部に沿うように側方即ち前後方向にT字状をなすように拡がる形状を備え、延出部40bとされている。
【0034】
尚、図示はしないが、本体1内には、例えばマイクロコンピュータを主体に構成され、給水機構8を含む洗濯機全体の制御を行う制御装置が設けられている。制御装置は、操作パネル5においてユーザにより設定される運転コース等に応じて、各種センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、前記給水弁ユニット12の各給水弁20、21、自動投入装置17のポンプ30、ドラムモータ、排水弁、乾燥ユニット等を制御する。これにて、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯運転や、乾燥運転を自動で実行する。これら洗濯運転や乾燥運転の各行程の詳細については、周知であるのでここでは説明を省略する。
【0035】
本実施形態では、ユーザは、洗濯運転を実行させるにあたって、自動投入装置17により自動で洗剤及び柔軟仕上剤を投入するか、或いは、手動投入機構19の収容ケース18を用いて手動で1回分の洗剤や柔軟仕上剤を投入するかを、操作パネル5上で選択操作できるようになっている。ユーザは、手動での投入を選択した場合には、洗濯運転開始時に、予め、収容ケース18の手動用洗剤収容部18aに必要量の粉末洗剤又は液体洗剤を収容しておく。また柔軟仕上剤を用いる場合には、上記洗剤と併せて、手動用柔軟剤収容部18bに所要量の柔軟仕上剤を投入しておく。
【0036】
制御装置は、洗剤及び柔軟仕上剤の手動での投入が選択されている場合には、制御装置は、手動洗剤用給水弁21により洗い行程の給水を実行する。そして、最終のためすすぎ行程の給水時には、手動柔軟剤用給水弁を開放させて給水を行う。これに対し、洗剤及び柔軟仕上剤の自動投入が選択されている場合には、洗い行程の給水開始前に、自動投入装置17により所要量の洗剤を吐出部に供給し、自動用給水弁20をオンして給水を実行する。また、最終のためすすぎ行程の前に、自動投入装置17により所要量の柔軟仕上剤を供給部に供給し、自動用給水弁20を開放して給水を行う。尚、給水は、ドラム内の布量検知の結果に基づいて、水槽内の水位が布量に応じた所定水位となるように行われる。
【0037】
次に、上記構成の洗濯機の作用・効果について述べる。洗濯運転を実行するにあたって、洗剤及び柔軟仕上剤を手動投入する場合、ユーザは、操作パネル5上で手動投入を選択する。これと共に、引出し式の収容ケース18を引出して、手動用洗剤収容部18aに必要量の洗剤即ち粉末洗剤又は液体洗剤を収容させ、手動用柔軟剤収容部18bに所要量の柔軟仕上剤を投入する。前扉26を閉塞して収容ケース18を注水ケース13内に収納した後、洗濯運転をスタートさせる。
【0038】
洗濯運転がスタートされると、制御装置は、洗濯機の各機構を制御し、周知の洗い、すすぎ、脱水の各行程からなる洗濯運転を自動で実行する。洗い行程では、まず、水槽内への所定水位までの給水が行われるのであるが、洗剤の手動投入が選択されていた場合には、制御装置は、手動洗剤用給水弁21を開放して洗い行程の給水を実行する。手動洗剤用給水弁21がオンされることにより、給水源からの水が手動用給水経路15の洗剤用流路27を通り、散水板35の左側の出口側端部27bに至る。
【0039】
そして、その水は、散水板35に設けられた複数個の散水孔38から、収容ケース18の手動用洗剤収容部18aに向けて流下し、シャワー状の散水が行われる。その水は、手動用洗剤収容部18a内に収容されている洗剤を溶かしながら、洗濯水となって注水ケース13内の底部に流れ、給水ホースを通って水槽内に供給される。水槽内の所定水位までの給水が行われると、手動洗剤用給水弁21がオフされ、洗い行程が実行される。尚、その後の、最後のすすぎ行程時の給水においては、手動柔軟剤用給水弁が開放されて給水が行われる。また、洗剤及び柔軟仕上剤の自動投入を選択した場合の、自動投入装置17の動作についての、詳しい説明を省略する。
【0040】
ここで、本実施形態では、上記した散水板35の出口側端部27bにおいては、左右部に前後方向に並んで設けられた複数個の散水孔38が、外側半部のみが開口する半円形開口部39bを有する形態とされている。このとき、散水孔38から水が手動用洗剤収容部18aに流下するにあたり、外側即ち傾斜リブ40側に流れやすくなる。そして、その水は、傾斜リブ40の傾斜面40aに沿うようにガイドされ、外側つまり手動用洗剤収容部18aの左右の内壁面側に向けて斜め方向に散水されるようになり、その多くを手動用洗剤収容部18aの内壁面に当てることができる。
【0041】
従って、容積確保のために手動用洗剤収容部18aの左右の内壁面は角度ほぼ90度で立ち上がっている事情があっても、水を手動用洗剤収容部18aの内壁面に効果的に当てながら給水を行うことができ、内壁面に付着した洗剤を容易に洗い流しながら給水がなされるようになる。この結果、本実施形態によれば、収容ケース18内の洗濯処理剤を給水と共に水槽内に供給する手動投入機構19を備えるものにあって、収容ケース18の手動用洗剤収容部18aの内壁面に洗剤が残ることを効果的に抑制することができるという優れた効果を奏する。
【0042】
特に本実施形態では、散水板35の下面に、各傾斜リブ40をその並び方向に繋ぐようにして下方に延びる縦リブ41を設ける構成とした。これにより、傾斜リブ40によってガイドされる水は、更に縦リブ41によって外側にガイドされながら外側に向いて落下するようになり、収容ケース18の手動用洗剤収容部18aの内壁面に対する散水をより活発にして、洗剤が残ることを一層抑制することができる。
【0043】
また本実施形態では、各傾斜リブ40の傾斜面40aの先端部に、側方へ拡がる延出部40bを設けるようにした。これにより、傾斜リブ40の傾斜面40aに沿うようにガイドされた水は、先端部の延出部40bにおいて、側方即ち前後方向へも広がる方向に散水されるようになり、収容ケース18の手動用洗剤収容部18aの内壁面側の、より広い範囲に向けて散水させることができ、より効果的となる。
【0044】
そして、前記各散水孔38を、散水板35の下面に円管状に突出する突出筒部39の先端のうち内側半部を閉塞板部39aで塞いだ形態とすることにより、半円形状に開口する半円形開口部39bを設けるようにした。これにより、各散水孔38を通る水は、閉塞板部39aで塞がれた部分に当たって、斜め方向に半円形開口部39bを通って排出されるようになり、半円形開口部39bから斜め方向即ち収容ケース18の手動用洗剤収容部18aの内壁面に向かう量を、より多くすることができる。従って、単純に散水板35に半円形に穴が開いている場合よりも、水を外側に導く点で効果的になる。
【0045】
また、詳しい説明は省略するが、散水板35この場合流路形成部材25全体は、プラスチック材料による成形により製造されるようになっている。上記構成のような突出筒部39を有する散水孔38にあっては、プラスチック成形するにあたり、スライド型等を設けずに抜ける構造にできるので、プラスチック成形用の金型形状を、さほど複雑化せずに済ませることができるといった利点も得ることができる。
【0046】
尚、上記実施形態では、散水板35の下面に縦リブ41を設け、傾斜リブ40の先端部に延出部40bを設ける構成としたが、これら縦リブ41や延出部40bについては、必要に応じて設ければ良い。少なくとも、散水孔の出口の開口部を半円形とすると共に、傾斜リブを設けることにより、水を手動用洗剤収容部aの内壁面に効果的に当てることができ、手動用洗剤収容部18aの内壁面に洗剤が残ることを効果的に抑制することができるという作用・効果を得ることができる。突出筒部39を有する形状に関しても、散水孔として、散水板35に単純な半円形の穴を設けても良い。収容ケースの形状や構造、手動用給水経路の具体的な構成等についても、様々な変更が可能である。
【0047】
自動投入装置の構成としても、上記した実施形態に限定されるものではなく、次のような変更が可能である。即ち、洗剤の移送に用いるポンプとしてピストンポンプを採用したものであっても良く、また電磁弁の開閉によって洗剤を供給するもの等でも良い。洗剤タンクと柔軟仕上剤タンクとを備える構成としたが、洗濯処理剤としての洗剤のみ或いは柔軟仕上剤のみを自動で供給する構成としても良い。その他、上記実施形態では、乾燥機能付きのドラム式洗濯機に適用するようにしたが、いわゆる縦軸型の洗濯機に適用することもでき、乾燥機能を備えていない洗濯機であっても良い。自動用給水経路の構成についても様々な変更が可能である。
【0048】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は本体、8は給水機構、12は給水弁ユニット、13は注水ケース、14は自動用給水経路、15は手動用給水経路、17は自動投入装置、18は収容ケース、18aは手動用洗剤収容部、18bは手動用柔軟剤収容部、19は手動供給機構、20は自動用給水弁、21は手動洗剤用給水弁、23は接続口、25は流路形成部材、27は洗剤用流路、27aは入口部、27bは出口側端部、28は柔軟剤用流路、29はタンクケース、30はポンプ、31は洗剤タンク、32は柔軟仕上剤タンク、35は散水板、36は注水穴、38は散水孔、39は突出筒部、39aは閉塞板部、39bは半円形開口部、40は傾斜リブ、40aは傾斜面、40bは延出部、41は縦リブを示す。
図1
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図8