(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】圧縮機及び圧縮機におけるシールガスの調整方法
(51)【国際特許分類】
F04D 27/00 20060101AFI20230208BHJP
F04D 29/08 20060101ALI20230208BHJP
F04D 29/10 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
F04D27/00 G
F04D29/08 F
F04D29/10 A
(21)【出願番号】P 2019124542
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】馬場 利秋
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-529709(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138036(WO,A1)
【文献】特開2013-210099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F04D 29/08
F04D 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを圧縮するロータ部と、
冷却液を用いて、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却する冷却部と、
前記ロータ部に駆動源からの動力を伝えるシャフトと、
前記シャフトの周囲に設けられ、前記ロータ部からのガスの漏洩を防止する軸封部と、
前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして前記軸封部に供給するシールガス供給路と、
前記シールガス供給路を流れる前記シールガスを加熱するヒータ部と、
前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス圧力センサと、
前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス温度センサと、
前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
ガスの温度及び圧力と、ガスの状態(固体、液体、気体、超臨界)とを関連付ける情報が記憶され、この記憶された情報を用いて、検出圧力におけるシールガスの前記転移点を特定し、
この特定された転移点と、検出圧力及び検出温度との関係から、シールガスが気体状態にあるのか超臨界状態にあるのかを判断し、
前記シールガスが超臨界状態にあると判断された場合において、前記シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T1未満であれば、前記ヒータ部を作動させ、
前記シールガスが気体状態にあると判断された場合において、前記シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T3未満であれば、前記ヒータ部を作動させる、圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機であって、
前記冷却部が配置された流路上に位置し、前記ロータ部から吐出されたガスの温度を検出する温度センサと、
前記冷却部が配置された流路上に位置し、前記ロータ部から吐出されたガスの圧力を検出する圧力センサと、
前記冷却液の流量を調整する液流量調整弁と、
をさらに備え、
前記シールガス供給路が、前記冷却部により冷却された後の前記ガスの一部を前記シールガスとして前記軸封部に導き、
前記制御部が、前記圧力センサおよび前記温度センサの検出値を用いて、前記ガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転移する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記ガスの温度が維持されるように前記液流量調整弁を制御する、圧縮機。
【請求項3】
ガスを圧縮するロータ部と、
冷却液を用いて、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却する冷却部と、
前記ロータ部に駆動源からの動力を伝えるシャフトと、
前記シャフトの周囲に設けられ、前記ロータ部からのガスの漏洩を防止する軸封部と、
前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして前記軸封部に供給するシールガス供給路と、
前記シールガス供給路を流れる前記シールガスを加熱するヒータ部と、
前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス圧力センサと、
前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス温度センサと、
前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御する制御部と、
前記シールガス供給路において、前記ヒータ部の下流で且つ前記シールガス温度センサ及び前記シールガス圧力センサの上流に位置するガス流量調整弁
と、
を備え、
前記シールガス温度センサ及び前記シールガス圧力センサが、前記ヒータ部の下流においてシールガスの温度及び圧力を検出し、
前記制御部が、前記シールガスの体積流量が一定となるように前記ガス流量調整弁の開度を調整するように構成されている、圧縮機。
【請求項4】
ガスを圧縮するロータ部を含む複数のロータ部と、
冷却液を用いて、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却する冷却部と、
前記ロータ部に駆動源からの動力を伝えるシャフトを含み、前記駆動源からの動力を前記複数のロータ部に伝える複数のシャフトと、
前記複数のシャフトの周囲にそれぞれ設けられ、前記複数のロータ部から前記複数のシャフト側へのガスの漏洩を防止する
、軸封部を含む複数の軸封部と、
前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして前記軸封部に供給するシールガス供給路と、
前記シールガス供給路を流れる前記シールガスを加熱するヒータ部と、
前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス温度センサを含む複数のシールガス温度センサと、
前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス圧力センサを含む複数のシールガス圧力センサと、
前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御する制御部と、
を備え、
前記シールガス供給路が、
前記複数のロータ部から吐出されたガスの一部が導入される母管と、
前記母管から分岐し、前記吐出されたガスの一部をシールガスとして前記複数の軸封部へと供給する複数の分岐管と、を有し、
前記複数のシールガス温度センサ及び複数のシールガス圧力センサのそれぞれが、前記複数の分岐管に配置され、
前記複数の分岐管のそれぞれにおいてシールガス温度センサ及びシールガス圧力センサよりも上流側に位置し、各分岐管におけるシールガスの流量を調整する複数のガス流量調整弁をさらに備え、
前記ヒータ部が前記母管に位置し、
前記制御部は、前記複数のシールガス圧力センサからの出力に基づいて最も圧力が低いシールガス圧力センサを特定し、前記特定されたシールガス圧力センサが位置する分岐管を流れるシールガスの温度が前記転移点よりも高い前記所定の下限温度以上に維持されるように前記ヒータ部を制御する、圧縮機。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧縮機であって、
前記制御部が、前記シールガスの温度が前記所定の下限温度よりも高い上限温度以下に維持されるように前記ヒータ部を制御する、圧縮機。
【請求項6】
超臨界状態のガスを圧縮する圧縮機におけるシールガスの調整方法であって、
前記圧縮機のロータ部で圧縮されたガスを前記ロータ部から吐出し、
前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして、前記ロータ部に動力を伝えるシャフトの軸封部に、シールガス供給路を通して供給し、
前記シールガス供給路におけるヒータ部の下流における前記
シールガスの圧力をシールガス圧力センサによって検出し、
前記シールガス供給路における前記ヒータ部の下流における前記
シールガスの温度をシールガス温度センサによって検出し、
前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御
し、
前記ヒータ部の制御に際し、
ガスの温度及び圧力と、ガスの状態(固体、液体、気体、超臨界)とを関連付ける情報を用いて、検出圧力におけるシールガスの前記転移点を特定し、
この特定された転移点と、検出圧力及び検出温度との関係から、シールガスが気体状態にあるのか超臨界状態にあるのかを判断し、
シールガスが超臨界状態にあると判断された場合において、シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T1未満であれば、前記ヒータ部を作動させ、
シールガスが気体状態にあると判断された場合において、シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T3未満であれば、前記ヒータ部を作動させる、圧縮機におけるシールガスの調整方法。
【請求項7】
請求項6に記載のシールガスの調整方法であって、
液流量調整弁によって冷却液の流量を調整しつつ、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却部において冷却し、
前記冷却部が配置された流路上において、前記ロータ部から吐出されたガスの温度を温度センサによって検出し、
前記冷却部が配置された流路上において、前記ロータ部から吐出されたガスの圧力を圧力センサによって検出し、
前記圧力センサおよび前記温度センサの検出値を用いて、前記ガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転移する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記ガスの温度が維持されるように、前記液流量調整弁を制御する、圧縮機におけるシールガスの調整方法。
【請求項8】
超臨界状態のガスを圧縮する圧縮機におけるシールガスの調整方法であって、
前記圧縮機のロータ部で圧縮されたガスを前記ロータ部から吐出し、
前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして、前記ロータ部に動力を伝えるシャフトの軸封部に、シールガス供給路を通して供給し、
前記シールガス供給路におけるヒータ部の下流における前記シールガスの圧力をシールガス圧力センサによって検出し、
前記シールガス供給路における前記ヒータ部の下流における前記シールガスの温度をシールガス温度センサによって検出し、
前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御し、
前記シールガス供給路において、前記ヒータ部の下流で且つ前記シールガス温度センサ及び前記シールガス圧力センサの上流に位置するガス流量調整弁によって、前記シールガスの体積流量を一定流量に調整する、圧縮機におけるシールガスの調整方法。
【請求項9】
超臨界状態のガスを圧縮する圧縮機におけるシールガスの調整方法であって、
前記圧縮機のロータ部で圧縮されたガスを前記ロータ部から吐出し、
前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして、前記ロータ部に動力を伝えるシャフトの軸封部に、シールガス供給路を通して供給し、
前記シールガス供給路におけるヒータ部の下流における前記シールガスの圧力をシールガス圧力センサによって検出し、
前記シールガス供給路における前記ヒータ部の下流における前記シールガスの温度をシールガス温度センサによって検出し、
前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御し、
前記シールガス供給路が、
前記複数のロータ部から吐出されたガスの一部が導入される母管と、
前記母管から分岐し、前記ガスの一部をシールガスとして前記複数の軸封部へと供給する複数の分岐管と、を有し、
前記複数の分岐管にそれぞれ位置する複数のシールガス温度センサによって、各分岐管でのシールガスの圧力を検出し、
前記複数の分岐管にそれぞれ位置する複数のシールガス圧力センサによって、各分岐管でのシールガスの温度を検出し、
前記複数のシールガス圧力センサからの出力に基づいて最も圧力が低いシールガス圧力センサを特定し、前記特定されたシールガス圧力センサが位置する分岐管を流れるシールガスの温度が前記転移点よりも高い前記所定の下限温度以上に維持されるように前記ヒータ
部を制御する、圧縮機におけるシールガスの調整方法。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載のシールガスの調整方法であって、
前記シールガスの温度が前記所定の下限温度よりも高い上限温度以下に維持されるように前記ヒータ
部を制御する、圧縮機におけるシールガスの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機及び圧縮機におけるシールガスの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されているように、超臨界状態のシールガス(例えば二酸化炭素)が圧縮機で使用されることが従来知られている。特許文献1に開示された圧縮機では、シールガスを加熱する加熱器が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された圧縮機では、加熱器によってシースガスを加熱する。しかしながら、加熱器が設けられているとしても、シールガスの温度又は圧力が変動した場合に、超臨界状態のシールガスの一部が液体や固体となってしまうことを適切に防止することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超臨界状態のシールガスを用いる圧縮機において、シールガスの少なくとも一部が液体や固体に相変化することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る圧縮機は、ガスを圧縮するロータ部と、冷却液を用いて、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却する冷却部と、前記ロータ部に駆動源からの動力を伝えるシャフトと、前記シャフトの周囲に設けられ、前記ロータ部からのガスの漏洩を防止する軸封部と、前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして前記軸封部に供給するシールガス供給路と、前記シールガス供給路を流れる前記シールガスを加熱するヒータ部と、前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス圧力センサと、前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス温度センサと、前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、ガスの温度及び圧力と、ガスの状態(固体、液体、気体、超臨界)とを関連付ける情報が記憶され、この記憶された情報を用いて、検出圧力におけるシールガスの前記転移点を特定し、この特定された転移点と、検出圧力及び検出温度との関係から、シールガスが気体状態にあるのか超臨界状態にあるのかを判断し、前記シールガスが超臨界状態にあると判断された場合において、前記シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T1未満であれば、前記ヒータ部を作動させ、前記シールガスが気体状態にあると判断された場合において、前記シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T3未満であれば、前記ヒータ部を作動させる。
【0007】
本発明では、制御部がシールガスの温度を所定の下限温度以上に維持するようにヒータを制御するため、液体分又は固体分を含むシールガスが軸封部に流入してしまうことを防止することができる。すなわち、ガスが減圧又は降温するとその一部が液体や固体に相変化する可能性がある。そのため、相変化する可能性の有無を、温度と圧力の計測値から判定し、相変化する可能性がある場合にはシールガス温度が所定の下限温度以上に維持されるようにヒータを作動させる。このため、圧縮機内部やシールガス供給路中においてガスの一部が液体や固体に相変化することなく気体又は超臨界の状態を保つように制御することができる。
【0008】
前記圧縮機は、前記冷却部が配置された流路上に位置し、前記ロータ部から吐出されたガスの温度を検出する温度センサと、前記冷却部が配置された流路上に位置し、前記ロータ部から吐出されたガスの圧力を検出する圧力センサと、前記冷却液の流量を調整する液流量調整弁と、をさらに備えてもよい。この場合、前記シールガス供給路は、前記冷却部により冷却された後の前記ガスの一部を前記シールガスとして前記軸封部に導いてもよい。また、前記制御部は、前記圧力センサおよび前記温度センサの検出値を用いて、前記ガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転移する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記ガスの温度が維持されるように前記液流量調整弁を制御してもよい。
【0009】
この態様では、ロータ部から吐出されたガスが冷却部によって冷却される。しかしながら、制御部がガスの温度を所定の下限温度以上に維持するように液流量調整弁を制御するため、軸封部に液体分又は固体分を含むシールガスが流入してしまうことをより確実に防止することができる。
【0010】
本発明に係る圧縮機は、ガスを圧縮するロータ部と、冷却液を用いて、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却する冷却部と、前記ロータ部に駆動源からの動力を伝えるシャフトと、前記シャフトの周囲に設けられ、前記ロータ部からのガスの漏洩を防止する軸封部と、前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして前記軸封部に供給するシールガス供給路と、前記シールガス供給路を流れる前記シールガスを加熱するヒータ部と、前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス圧力センサと、前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス温度センサと、前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御する制御部と、前記シールガス供給路において、前記ヒータ部の下流で且つ前記シールガス温度センサ及び前記シールガス圧力センサの上流に位置するガス流量調整弁と、を備え、前記シールガス温度センサ及び前記シールガス圧力センサは、前記ヒータ部の下流においてシールガスの温度及び圧力を検出し、前記制御部は、前記シールガスの体積流量が一定となるように前記ガス流量調整弁の開度を調整するように構成されている。
【0011】
この態様では、シールガスの体積流量が一定となるように、ガス流量調整弁が制御される。このため、シールガスの供給の過不足を防止することができる。しかも、ガス流量調整弁による流量調整後のシールガスの温度および圧力に基づいてヒータ部が制御されるため、液体分又は固体分が含まれるシールガスが軸封部に流入してしまうことをより確実に防止することができる。また、シールガス温度センサ及びシールガス圧力センサがヒータ部の下流に位置するため、ヒータ部が作動することによってシールガスが加熱されて膨張したとしても、軸封部に導入されるシールガスの温度及び圧力を正確に検出することができる。
【0012】
本発明に係る圧縮機は、ガスを圧縮するロータ部を含む複数のロータ部と、冷却液を用いて、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却する冷却部と、前記ロータ部に駆動源からの動力を伝えるシャフトを含み、前記駆動源からの動力を前記複数のロータ部に伝える複数のシャフトと、前記複数のシャフトの周囲にそれぞれ設けられ、前記複数のロータ部から前記複数のシャフト側へのガスの漏洩を防止する、軸封部を含む複数の軸封部と、前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして前記軸封部に供給するシールガス供給路と、前記シールガス供給路を流れる前記シールガスを加熱するヒータ部と、前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス温度センサを含む複数のシールガス温度センサと、前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流に配置されるシールガス圧力センサを含む複数のシールガス圧力センサと、前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御する制御部と、を備え、前記シールガス供給路は、前記複数のロータ部から吐出されたガスの一部が導入される母管と、前記母管から分岐し、前記吐出されたガスの一部をシールガスとして前記複数の軸封部へと供給する複数の分岐管と、を有し、前記複数のシールガス温度センサ及び複数のシールガス圧力センサのそれぞれは、前記複数の分岐管に配置され、前記圧縮機は、前記複数の分岐管のそれぞれにおいてシールガス温度センサ及びシールガス圧力センサよりも上流側に位置し、各分岐管におけるシールガスの流量を調整する複数のガス流量調整弁をさらに備え、前記ヒータ部は前記母管に位置し、前記制御部は、前記複数のシールガス圧力センサからの出力に基づいて最も圧力が低いシールガス圧力センサを特定し、前記特定されたシールガス圧力センサが位置する分岐管を流れるシールガスの温度が前記転移点よりも高い前記所定の下限温度以上に維持されるように前記ヒータ部を制御する。
【0013】
この態様では、シールガス供給路の母管及び複数の分岐管を通じて複数の軸封部にシールガスが供給される。ヒータ部が母管に位置するため、ヒータ部の数を抑えつつ適切にシールガスの温度を制御することができる。さらに、複数のシールガス圧力センサによる検出値のうち、最も低い圧力を示すシールガス圧力センサが配置された分岐管を特定するため、各軸封部に供給されるシールガスの圧力に差が生じた場合であっても、液体分又は固体分が含まれるシールガスが軸封部に流入してしまうことを防止することができる。
【0014】
前記圧縮機において、前記制御部は、前記シールガスの温度が前記所定の下限温度よりも高い上限温度以下に維持されるように前記ヒータ部を制御してもよい。この態様では、シールガスの過度の温度上昇を抑制することができる。
【0015】
本発明に係る圧縮機におけるシールガスの調整方法は、超臨界状態のガスを圧縮する圧縮機におけるシールガスの調整方法である。当該シールガスの調整方法は、前記圧縮機のロータ部で圧縮されたガスを前記ロータ部から吐出し、前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして、前記ロータ部に動力を伝えるシャフトの軸封部に、シールガス供給路を通して供給し、前記シールガス供給路におけるヒータ部の下流における前記シールガスの圧力をシールガス圧力センサによって検出し、前記シールガス供給路における前記ヒータ部の下流における前記シールガスの温度をシールガス温度センサによって検出し、前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御し、前記ヒータ部の制御に際し、ガスの温度及び圧力と、ガスの状態(固体、液体、気体、超臨界)とを関連付ける情報を用いて、検出圧力におけるシールガスの前記転移点を特定し、この特定された転移点と、検出圧力及び検出温度との関係から、シールガスが気体状態にあるのか超臨界状態にあるのかを判断し、シールガスが超臨界状態にあると判断された場合において、シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T1未満であれば、前記ヒータ部を作動させ、シールガスが気体状態にあると判断された場合において、シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T3未満であれば、前記ヒータ部を作動させる。
【0016】
前記圧縮機におけるシールガスの調整方法において、液流量調整弁によって冷却液の流量を調整しつつ、前記ロータ部から吐出されたガスを冷却部において冷却し、前記冷却部が配置された流路上において、前記ロータ部から吐出されたガスの温度を温度センサによって検出し、前記冷却部が配置された流路上において、前記ロータ部から吐出されたガスの圧力を圧力センサによって検出し、前記圧力センサおよび前記温度センサの検出値を用いて、前記ガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転移する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記ガスの温度が維持されるように、前記液流量調整弁を制御してもよい。
【0017】
本発明に係る圧縮機におけるシールガスの調整方法は、超臨界状態のガスを圧縮する圧縮機におけるシールガスの調整方法であって、前記圧縮機のロータ部で圧縮されたガスを前記ロータ部から吐出し、前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして、前記ロータ部に動力を伝えるシャフトの軸封部に、シールガス供給路を通して供給し、前記シールガス供給路におけるヒータ部の下流における前記シールガスの圧力をシールガス圧力センサによって検出し、前記シールガス供給路における前記ヒータ部の下流における前記シールガスの温度をシールガス温度センサによって検出し、前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御し、前記シールガス供給路において前記ヒータ部の下流で且つ前記シールガス温度センサ及び前記シールガス圧力センサの上流に位置するガス流量調整弁によって、前記シールガスの体積流量を一定流量に調整する。
【0018】
本発明に係る圧縮機におけるシールガスの調整方法は、超臨界状態のガスを圧縮する圧縮機におけるシールガスの調整方法であって、前記圧縮機のロータ部で圧縮されたガスを前記ロータ部から吐出し、前記ロータ部から吐出されたガスの一部をシールガスとして、前記ロータ部に動力を伝えるシャフトの軸封部に、シールガス供給路を通して供給し、前記シールガス供給路におけるヒータ部の下流における前記シールガスの圧力をシールガス圧力センサによって検出し、前記シールガス供給路における前記ヒータ部の下流における前記シールガスの温度をシールガス温度センサによって検出し、前記シールガス圧力センサおよび前記シールガス温度センサの検出値を用いて、前記シールガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点よりも高い所定の下限温度以上に前記シールガスの温度が維持されるように前記ヒータ部を制御し、前記シールガス供給路が、前記複数のロータ部から吐出されたガスの一部が導入される母管と、前記母管から分岐し、前記ガスの一部をシールガスとして前記複数の軸封部へと供給する複数の分岐管と、を有してもよい。この場合、圧縮機におけるシールガスの調整方法は、前記複数の分岐管にそれぞれ位置する複数のシールガス温度センサによって、各分岐管でのシールガスの圧力を検出し、前記複数の分岐管にそれぞれ位置する複数のシールガス圧力センサによって、各分岐管でのシールガスの温度を検出し、前記複数のシールガス圧力センサからの出力に基づいて最も圧力が低いシールガス圧力センサを特定し、前記特定されたシールガス圧力センサが位置する分岐管を流れるシールガスの温度が前記転移点よりも高い前記所定の下限温度以上に維持されるように前記ヒータ部を制御する。
【0019】
前記圧縮機におけるシールガスの調整方法において、前記シールガスの温度が前記所定の下限温度よりも高い上限温度以下に維持されるように前記ヒータ部を制御してもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、超臨界状態のシールガスを用いる圧縮機において、シールガスの少なくとも一部が液体や固体に相変化することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る圧縮機を概略的に示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る圧縮機によるシールガスの調整動作を説明するためのフロー図である。
【
図3】第2実施形態に係る圧縮機を概略的に示す図である。
【
図4】第2実施形態に係る圧縮機によるシールガスの調整動作を説明するためのフロー図である。
【
図5】第3実施形態に係る圧縮機を概略的に示す図である。
【
図6】第3実施形態に係る圧縮機によるシールガスの流量調整動作を説明するためのフロー図である。
【
図7】第4実施形態に係る圧縮機を概略的に示す図である。
【
図8】第5実施形態に係る圧縮機を概略的に示す図である。
【
図9】第6実施形態に係る圧縮機を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る圧縮機10は、ガスが流れるメイン流路12と、メイン流路12に接続されたシールガス供給路14と、メイン流路12に配置された第1ロータ部16と、第1ロータ部16の下流側においてメイン流路12に配置された第2ロータ部18と、を備えている。
【0024】
メイン流路12は、第1ロータ部16の吸入側の流路である吸入路12aと、第1ロータ部16の吐出口と第2ロータ部18の吸入口とを繋ぐ接続流路12bと、第2ロータ部18の吐出口に繋がる吐出路12cと、を含む。
【0025】
第1ロータ部16及び第2ロータ部18は、いずれもガスを圧縮するためのものである。ガスとしては、二酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパンを例示することができる。
【0026】
第1ロータ部16及び第2ロータ部18は、いずれも、図略のハウジング内にロータ16a,18aが配置された構成である。ハウジングの内壁とロータ16a,18aの間の空間がガスを圧縮する圧縮空間となる。第1ロータ部16のハウジング及び第2ロータ部18のハウジングは、共通のハウジングによって構成されていてもよい。
【0027】
第1ロータ部16のロータ16aは、インペラによって構成されている。すなわち、第1ロータ部16は遠心圧縮機構によって構成されている。第1ロータ部16では、ロータ16aが回転することにより、吸入路12aを通して圧縮機10の外部から吸入したガスが圧縮される。
【0028】
第2ロータ部18のロータ18aも、インペラによって構成されている。すなわち、第2ロータ部18も遠心圧縮機構によって構成されている。第2ロータ部18では、ロータ18aが回転することにより、第1ロータ部16によって圧縮されたガスがさらに圧縮される。すなわち、本実施形態の圧縮機10は、多段圧縮機として構成されている。
【0029】
なお、第1ロータ部16及び第2ロータ部18がインペラを有する遠心圧縮機構によって構成された例を示すが、これに限られない。例えば、第1ロータ部16及び第2ロータ部18は、ロータ16a,18aが回転することによってガスを圧縮することができる構成であれば、スクリュー等の他のタイプの圧縮機構によって構成されていてもよい。
【0030】
第1ロータ部16のロータ16aの背面には、駆動源からの動力を第1ロータ部16に伝えるシャフト(第1シャフト)20が接続されており、第1シャフト20には軸封部(第1軸封部)22が配置されている。遠心圧縮機構によって構成された第1ロータ部16では、インペラによって圧縮されたガスの一部がインペラの背面側を通って圧縮空間から漏れ出る可能性があるため、ガスの漏出を抑制するために軸封部22が設けられている。同様に、第2ロータ部18においても、ロータ18aの背面に接続されたシャフト(第2シャフト)24に軸封部(第2軸封部)26が配置されている。なお、第1シャフト20は、ロータ部16を駆動できるようにロータ16aに接続されていれば、ロータ16aの背面に接続される構成に限られるものではない。第2シャフト24についても同様である。
【0031】
第1軸封部22は、第1シャフト20の外周面との間に封止室を形成するように第1シャフト20の周囲に設けられている。第1軸封部22は、ドライガスシールによって構成されている。ただし、第1軸封部22は、ラビリンスシールやカーボンパッキンシールなどが付加されていてもよい。第2軸封部26も第1軸封部22と同様の構成を有している。
【0032】
メイン流路12には、冷却部30,36、温度センサ32,38及び圧力センサ34,40が配置されている。具体的に、接続流路12bに、冷却部(第1冷却部)30、温度センサ(第1温度センサ)32及び圧力センサ(第1圧力センサ)34が配置され、吐出路12cに、冷却部(第2冷却部)36、温度センサ(第2温度センサ)38及び圧力センサ(第2圧力センサ)40が配置されている。
【0033】
第1冷却部30は、第1ロータ部16から吐出されたガスと冷却液とを熱交換させる熱交換器によって構成されている。すなわち、第1冷却部30は、第1ロータ部16によって圧縮されたガスを冷却液(例えば、水)を用いて冷却するように構成されている。第2冷却部36は、第2ロータ部18から吐出されたガスと冷却液(例えば、水)とを熱交換させる熱交換器によって構成されている。すなわち、第2冷却部36は、第2ロータ部18によって圧縮されたガスを冷却液を用いて冷却するように構成されている。
【0034】
第1温度センサ32は、接続流路12bにおいて第1冷却部30の下流側に配置され、第1冷却部30によって冷却されたガスの温度を検出する。第1温度センサ32は、検出温度を示す信号を出力する。第1圧力センサ34は、接続流路12bにおいて第1冷却部30の下流側に配置され、第1冷却部30によって冷却されたガスの圧力を検出する。第1圧力センサ34は、検出圧力を示す信号を出力する。
【0035】
第2温度センサ38は、吐出路12cにおいて第2冷却部36の下流側に配置され、第2冷却部36によって冷却されたガスの温度を検出する。第2温度センサ38は、検出温度を示す信号を出力する。第2圧力センサ40は、吐出路12cにおいて第2冷却部36の下流側に配置され、第2冷却部36によって冷却されたガスの圧力を検出する。第2圧力センサ40は、検出圧力を示す信号を出力する。
【0036】
シールガス供給路14は、第2冷却部36よりも下流側においてメイン流路12に接続されている。すなわち、シールガス供給路14は、第2冷却部36によって冷却されたガスの一部をシールガスとして用いる。このため、第2冷却部36によって冷却される前のガスを用いる場合に比べ、シールガス供給路14に配置される計装機器として、耐熱性の高い高価な機器を用いなくても良い。
【0037】
シールガス供給路14は、吐出路12cに接続された母管14aと、母管14aの端部に接続された2つの分岐管14b,14cと、を有する。分岐管14b,14cはそれぞれ軸封部22,26に接続されている。すなわち、第1軸封部22にシールガスを供給する第1分岐管14bと、第2軸封部26にシールガスを供給する第2分岐管14cとが母管14aに繋がっている。
【0038】
なお、第2ロータ部18は省略されてもよい。その場合、分岐管14b,14cが省略され、シールガス供給路14は1本の供給路によって構成される。第2ロータ部18の後段にさらロータ部が配置される構成では、シールガス供給路14は、ロータ部の数に応じた数の分岐管14b,14cを有する構成となる。
【0039】
シールガス供給路14には、ヒータ部42と、ガス流量調整弁44と、シールガス温度センサ46と、シールガス圧力センサ48とが配置されている。
【0040】
ヒータ部42は、母管14aに配置されている。ヒータ部42は、シールガス供給路14に流入したガスを加熱するように構成されている。ヒータ部42は、母管14aに巻き付けられた構成でもよく、あるいは、母管14a内に配置された発熱部を有する構成でもよい。なお、ヒータ部42は、母管14aに配置される構成に限られるものではなく、各分岐管14b,14cに配置されてもよい。
【0041】
ガス流量調整弁44は、母管14aにおけるヒータ部42の下流側に配置されている。ガス流量調整弁44は、シールガス供給路14を流れるガスの流量を調整するように弁開度を調整可能に構成されている。ガス流量調整弁44は、ヒータ部42よりも下流側に配置されているため、ヒータ部42が作動している場合には、ヒータ部42によって加熱されて膨張した後のシールガスの流量を調整することになる。なお、ガス流量調整弁44を省略することが可能である。
【0042】
シールガス温度センサ46は、母管14aにおけるヒータ部42の下流側に位置されている。シールガス温度センサ46は、シールガス供給路14を流れる(ヒータ部42が作動している場合にはヒータ部42によって加熱された後の)シールガスの温度を検出し、検出温度を示す信号を出力する。なお、シールガス温度センサ46は、ガス流量調整弁44の下流側に配置されて、ガス流量調整弁44による流量調整後のシールガスの温度を検出する。しかしながら、この構成に限られない。シールガス温度センサ46は、ヒータ部42の下流側であってガス流量調整弁44の上流側に配置されていてもよい。
【0043】
シールガス圧力センサ48は、母管14aにおけるヒータ部42の下流側に位置されている。シールガス圧力センサ48は、シールガス供給路14を流れる(ヒータ部42が作動している場合にはヒータ部42によって加熱された後の)シールガスの圧力を検出し、検出圧力を示す信号を出力する。なお、シールガス圧力センサ48は、ガス流量調整弁44の下流側に配置されて、ガス流量調整弁44による流量調整後のシールガスの圧力を検出する。しかしながら、この構成に限られない。シールガス圧力センサ48は、ヒータ部42の下流側であってガス流量調整弁44の上流側に配置されていてもよい。
【0044】
各温度センサ及び圧力センサから出された信号は、制御部50に入力される。制御部50は、記憶部(メモリーデバイス)、演算部(CPU等)を備えた構成であって、記憶部に記録されたプログラムを実行することにより、所定の機能を発揮する。具体的に、制御部50の機能には、ヒータ制御が含まれる。
【0045】
ヒータ制御では、シールガス圧力センサ48およびシールガス温度センサ46の検出値に基づいて、シールガスが超臨界流体の状態(以下、単に「超臨界状態」という。)又は超臨界流体ではない気体の状態(以下「気体状態」という。)から、液体状態又は固体状態に転位する転移点が判断される。そして、ヒータ制御では、前記転移点よりも高い所定の下限温度以上にシールガスの温度が維持されるように、制御部50はヒータ部42を制御する。
【0046】
ここで、圧縮機10の運転動作及びシールガスの調整動作について、
図2を参照しつつ説明する。
【0047】
圧縮機10が作動指令を受けると、図外の駆動源によって第1ロータ部16及び第2ロータ部18のロータ16a,18aが回転する。これにより、吸入路12aを通してガスが第1ロータ部16に吸入される。このガスは第1ロータ部16において圧縮され、接続流路12bに吐出される。接続流路12bを流れるガスは、第1冷却部30において冷却され、その後、第2ロータ部18に吸入される。第2ロータ部18において圧縮されたガスは、吐出路12cに吐出される。吐出路12cを流れるガスは、第2冷却部36において、冷却される。第2冷却部36において冷却されたガスは、後段のロータ部がある場合にはさらに圧縮され、後段のロータ部が無い場合には、圧縮機10から吐出される。
【0048】
圧縮機10の動作中において、第1温度センサ32、第1圧力センサ34、第2温度センサ38及び第2圧力センサ40によって、メイン流路12を流れるガスの温度及び圧力が監視されている。この温度及び圧力の監視結果に基づいて、第1ロータ部16及び第2ロータ部18でのロータ回転数が調整されるため、圧縮機10から吐出されるガスの温度及び圧力が所定の範囲に収まるように管理することができる。なお、ガスの温度及び圧力の制御は、ロータ部16,18の回転数を調整する手法以外に、例えば、第1ロータ部16及び第2ロータ部18の吐出側の流路上に開度制御弁を設け、その開度調整により実現されてもよい。また、第1ロータ部16及び第2ロータ部18の吸込側にガイドベーンが設けられる場合には、ガイドベーンの開度を調整することにより、ガスの温度及び圧力が調整されてもよい。
【0049】
圧縮機10の動作中において、第2冷却部36において冷却されたガスの一部はシールガスとして、シールガス供給路14を通じて第1軸封部22及び第2軸封部26に供給される。このシールガスの温度がシールガス温度センサ46により検出され、シールガスの圧力がシールガス圧力センサ48によって検出されている(ステップST1)。
【0050】
制御部50は、シールガス温度センサ46による検出温度及びシールガス圧力センサ48による検出圧力を用いて、ヒータ制御を実行する。ヒータ制御では、まず、
図2に示すように、制御部50は、シールガスが超臨界状態又は気体状態から、液体状態又は固体状態に転位する転移点を特定する(ステップST2)。すなわち、記憶部には、ガスの温度及び圧力と、ガスの状態(固体、液体、気体、超臨界)とを関連付ける情報が記憶されている。そして、制御部50は、この記憶部に記憶された情報を用いて、検出圧力におけるシールガスの転移点(転移温度)を特定する。
【0051】
この特定された転移点と、検出圧力及び検出温度との関係から、シールガスが気体状態にあるのか超臨界状態にあるのかを判断することができる。シールガスが超臨界状態にあると判断される場合には、ステップST3に移行し、シールガスが気体状態にあると判断される場合には、ステップST4に移行する。
【0052】
シールガスが超臨界状態にあると判断された場合には、制御部50は、シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T1以上であるか否かを判断する(ステップST5)。検出温度tsが下限温度T1未満であれば(ステップST5においてNO)、制御部50は、ヒータ部42を作動させる(ステップST6)。下限温度T1は、第1軸封部22及び第2軸封部26において、シールガスが一部でも超臨界状態から液体状態又は固体状態に転移しないような温度に設定されている。
【0053】
一方、ステップST5において、検出温度tsが下限温度T1以上の場合には、検出温度tsが下限温度T1よりも高い所定の上限温度T2を超えているかどうかを判定し(ステップST7)、検出温度tsが上限温度T2を超えていると判断されたときには、制御部50は、ヒータ部42が作動しているかどうかを確認し、ヒータ部42が作動していればヒータ部42を停止する(ステップST8)。検出温度tsが上限温度T2以下の場合には、ヒータ部42の制御を行わない(ステップST9)。つまり、ヒータ部42が作動中であれば、ヒータ部42の作動を継続し、ヒータ部42が作動していなければ、その状態を継続する。
【0054】
ステップST2において、シールガスが気体状態にあると判断された場合には、制御部50は、シールガスの検出温度tsが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T3以上であるか否かを判断する(ステップST10)。なお、この下限温度T3は、シールガスが超臨界状態である場合の下限温度T1とは異なる温度であってもよい。
【0055】
検出温度tsが下限温度T3未満であれば、制御部50は、ヒータ部42を作動させる(ステップST11)。下限温度T3は、第1軸封部22及び第2軸封部26において、シールガスが一部でも気体状態から液体状態又は固体状態に転移しないような温度に設定されている。
【0056】
一方、検出温度tsが下限温度T3以上の場合には、検出温度tsが下限温度T3よりも高い所定の上限温度T4を超えているかどうかを判定する(ステップST12)。検出温度tsが上限温度T4を超えていると判断されたときには、制御部50は、ヒータ部42が作動しているかどうかを確認し、ヒータ部42が作動していればヒータ部42を停止する(ステップST13)。検出温度tsが上限温度T4以下の場合には、ヒータ部42の制御を行わない(ステップST14)。つまり、ヒータ部42が作動中であれば、ヒータ部42の作動を継続し、ヒータ部42が作動していなければ、その状態を継続する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、制御部50がシールガスの温度を所定の下限温度T1,T3以上に維持するようにヒータ部42を制御するため、液体分又は固体分を含むシールガスが軸封部22,26に流入してしまうことを防止することができる。すなわち、ガスが減圧又は降温するとガスの一部が、気体又は超臨界から液体や固体に相変化する可能性がある。そのため、相変化する可能性の有無を、温度と圧力の計測値から判定し、相変化する可能性がある場合にはシールガス温度が所定の下限温度以上に維持されるようにヒータ部42を作動させる。このため、圧縮機10内部やシールガス供給路14中においてガスの一部が液体や固体に相変化することなく気体又は超臨界の状態を保つように制御することができる。
【0058】
また本実施形態では、シールガスの温度が上限温度T2,T4以下に維持されるようにヒータ部42が制御されるため、シールガスの過度の温度上昇を抑制することができる。
【0059】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
第2実施形態では、第2冷却部36においてガスを冷却する冷却液の流路に液流量調整弁55が配置されていて、この液流量調整弁55によってガスの冷却量を調整可能となっている。
【0061】
具体的に説明すると、シールガス供給路14に供給される直前のガスが流れる冷却部(第2冷却部)36において、ガスを冷却する冷却液の流路には、開度調整可能な液流量調整弁55が配置されている。
【0062】
制御部50の機能には、液流量制御が含まれている。液流量制御において、制御部50は、第2温度センサ38および第2圧力センサ40の検出値を用いて、ガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転移する転移点よりも高い所定の下限温度以上にガスの温度が維持されるように液流量調整弁55を制御する。
【0063】
具体的には、
図4に示すように、まず、第2温度センサ38および第2圧力センサ40により、メイン流路12を流れるガスの温度及び圧力を検出する(ステップST21)。次に、制御部50は、ガスが超臨界状態又は気体状態から液体状態又は固体状態に転位する転移点を特定する(ステップST22)。すなわち、記憶部には、ガスの温度及び圧力と、ガスの状態(固体、液体、気体、超臨界)とを関連付ける情報が記憶されているため、制御部50は、この記憶部に記憶された情報を用いて、検出圧力におけるガスの転移点(転移温度)を特定する。
【0064】
この特定された転移点と、検出圧力及び検出温度との関係から、ガスが気体状態にあるのか超臨界状態にあるのかを判断することができる。ガスが超臨界状態にあると判断される場合には、ステップST23に移行し、ガスが気体状態にあると判断される場合には、ステップST24に移行する。
【0065】
ガスが超臨界状態にあると判断された場合には、制御部50は、ガスの検出温度tgが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T5以上であるか否かを判断する(ステップST25)。検出温度tgが下限温度T5未満であれば、制御部50は、液流量調整弁55の開度を小さくする(ステップST26)。これにより、第2冷却部36におけるガスの冷却量が小さくなる。下限温度T5は、シールガス供給路14の長さを考慮しつつ、第1軸封部22及び第2軸封部26において、シールガスが一部でも超臨界状態から液体状態又は固体状態に転移しないような温度に設定されている。
【0066】
一方、検出温度tgが下限温度T5以上である場合には、検出温度tgが下限温度T5よりも高い所定の上限温度T6を超えているかどうかを判定する(ステップST27)。検出温度tgが上限温度T6を超えていると判断されたときには、制御部50は、液流量調整弁55の開度を大きくする(ステップST28)。これにより、第2冷却部36におけるガスの冷却量が大きくなる。一方、検出温度tgが上限温度T6以下の場合には、液流量調整弁55の開度を維持する(ステップST29)。
【0067】
ガスが気体状態にあると判断された場合には、制御部50は、ガスの検出温度tgが、特定された転移点における温度よりも高い所定の下限温度T7以上であるか否かを判断する(ステップST30)。なお、この下限温度T7は、ガスが超臨界状態である場合の下限温度T5とは異なる温度であってもよい。
【0068】
検出温度tgが下限温度T7未満であれば、制御部50は、液流量調整弁55の開度を小さくする(ステップST31)。これにより、第2冷却部36におけるガスの冷却量が小さくなる。下限温度T7は、シールガス供給路14の長さを考慮しつつ、第1軸封部22及び第2軸封部26において、シールガスが一部でも気体状態から液体状態又は固体状態に転移しないような温度に設定されている。
【0069】
一方、検出温度tgが下限温度T7以上の場合には、検出温度tgが下限温度T7よりも高い所定の上限温度T8を超えているかどうかを判定し(ステップST32)、検出温度tgが上限温度T8を超えていると判断されたときには、制御部50は、液流量調整弁55の開度を大きくする(ステップST33)。これにより、第2冷却部36におけるガスの冷却量が大きくなる。一方、検出温度tgが上限温度T8以下の場合には、液流量調整弁55の開度を維持する(ステップST34)。
【0070】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0071】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
第3実施形態では、シールガス供給路14に追加的に流量センサ58が配置され、制御部50の機能として、ガス流量制御が追加されている。
【0073】
流量センサ58は、シールガス供給路14の母管14aに配置され、母管14aを流れるシールガスの質量流量を検出するように構成されている。流量センサ58は、検出した質量流量を示す信号を出力する。
【0074】
制御部50は、流量センサ58による検出流量を用いて、ガス流量制御を実行する。ガス流量制御では、
図6に示すように、まず流量センサ58によってシールガス供給路14を流れるシールガスの質量流量が検出される(ステップST41)。制御部50は、流量センサ58から出力された信号を用いて、検出された質量流量を体積流量に換算する(ステップST42)。すなわち、質量流量をシールガスの密度(既知)で除することにより、シールガスの体積流量を算出する。そして、シールガスの体積流量が一定となるように(目標流量となるように)ガス流量調整弁44の開度を調整する(ステップST43)。
【0075】
本実施形態では、シールガスの体積流量が一定となるように、ガス流量調整弁44が制御される。このため、シールガスの供給の過不足を防止することができる。しかも、ガス流量調整弁44による流量調整後のシールガスの温度および圧力に基づいてヒータ部42が制御されるため、液体分又は固体分が含まれるシールガスが軸封部22,26に流入してしまうことをより確実に防止することができる。また、シールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48がヒータ部42の下流に位置するため、ヒータ部42が作動することによってシールガスが加熱されて膨張したとしても、軸封部22,26に導入されるシールガスの温度及び圧力を正確に検出することができる。
【0076】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第3実施形態に援用することができる。
【0077】
(第4実施形態)
図7は本発明の第4実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0078】
第1実施形態では、シールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48が母管14aに配置されている。これに対し、第4実施形態では、分岐管14b,14cにそれぞれシールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48が配置されている。
【0079】
制御部50は、複数のシールガス圧力センサ48からの出力に基づいて最も圧力が低いシールガス圧力センサ48を特定するように構成されている。そして、制御部50は、この特定されたシールガス圧力センサ48が位置する分岐管14b,14cのシールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48の検出値を用いて、ヒータ部42を制御する。このヒータ部42の制御は、第1実施形態で説明したステップST2~ステップST12と同様である。最も圧力の低い分岐管14b,14cでの検出温度に基づくヒータ制御が行われる場合には、その他の分岐管14b,14cにおいてはより高圧になっているため、シールガスが転移する可能性は低い。
【0080】
本実施形態では、シールガス供給路14の母管14a及び複数の分岐管14b,14cを通じて複数の軸封部22,26にシールガスが供給される。ヒータ部42が母管14aに位置するため、ヒータ部42の数を抑えつつ適切にシールガスの温度を制御することができる。さらに、複数のシールガス圧力センサ48による検出値のうち、最も低い圧力を示すシールガス圧力センサ48が配置された分岐管14b,14cを特定する。このため、各軸封部22,26に供給されるシールガスの圧力に差が生じた場合であっても、液体分又は固体分が含まれるシールガスが軸封部22,26に流入してしまうことを防止することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、全ての分岐管14b,14cにシールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48が配置されているが、これに限られない。例えば、温度又は圧力が他の分岐管14b,14cに比べて低くなる傾向にある分岐管14b,14cが分かっている場合には、当該分岐管14b,14cにのみシールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48が配置されていてもよい。この場合、当該分岐管14b,14cに配置されたシールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48による検出値に基づいて、ヒータ部42の制御が行われる。当該分岐管14b,14cにおいてシールガスの相変化が生じなければ、他の分岐管14b,14cにおいてもシールガスの相変化は生じない可能性が高い。したがって、少ない数のセンサを用いて、各分岐管14b,14cにおけるシールガスの相変化を防止することができる。
【0082】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第3実施形態の説明を第4実施形態に援用することができる。
【0083】
(第5実施形態)
図8は本発明の第5実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】
第4本実施形態では、ガス流量調整弁44が母管14aに配置された構成となっている。これに対し、第5実施形態では、ガス流量調整弁44が各分岐管14b,14cにそれぞれ配置されている。この構成では、分岐管14b,14c毎に個別にシールガス流量の調整が可能となる。
【0085】
なお、分岐管14cに配置されたガス流量調整弁44は、母管14aに配置されてもよい。この場合、分岐管14cに配置されたシールガス温度センサ46及びシールガス圧力センサ48も母管14aに設置されてよい。
【0086】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第4実施形態の説明を第5実施形態に援用することができる。
【0087】
(第6実施形態)
図9は本発明の第6実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0088】
第1実施形態では、シールガス供給路14が、メイン流路12における第2冷却部36よりも下流側の部位に接続されている。これに対し、第6実施形態では、シールガス供給路14が、メイン流路12における第2冷却部36よりも上流側の部位に接続されている。この構成では、第2冷却部36で冷却される前のガスの一部がシールガス供給路14に供給されるため、超臨界状態又は気体状態のシールガスが軸封部22,26に供給されるまでに相変化しにくくなる。
【0089】
(その他の実施形態)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、第1~第6実施形態では、シースガスの検出温度及び検出圧力を用いて、シールガスの転移点を判断するが、これに限られるものではなく、転移点自体を判断しない構成でもよい。例えば、ガスの温度及び圧力について、超臨界状態、気体状態、液体状態及び固定状態を示すマップが記憶部に記憶されている場合には、検出温度及び検出圧力をマップに当てはめて、超臨界状態にあるかどうかを判断し、超臨界状態又は気体状態になければ、ヒータ部42を作動させるようにしてもよい。この場合には、転移点自体を特定しなくても、ヒータ制御を行うことができる。
【0090】
第1~第6実施形態では、第1ロータ部16及び第2ロータ部18が設けられた構成を示したが、これに限られない。例えば、第2ロータ部18が省略されて、第1ロータ部16によって圧縮されたガスが圧縮機10から排出される構成であってもよい。あるいは、第2ロータ部18の後段にさらにロータ部が配置され、第2ロータ部18によって圧縮されたガスをさらに圧縮する構成であってもよい。圧縮機10が第1ロータ部16のみを有する1段圧縮機の場合には、シールガス供給路14は、第1ロータ部16の吐出口に繋がるメイン流路12(吐出路)に接続される構成となる。
【0091】
第1~第6実施形態では、第2ロータ部18から吐出されたガスの一部が第1軸封部22にも供給される構成としたが、これに限られない。例えば、第1軸封部22にシールガスを供給する別個のシールガス供給路(図示省略)が接続流路12bに接続される構成としてもよい。この別個のシールガス供給路により、第1ロータ部16で圧縮されたガスの一部がシールガスとして第1軸封部22に供給され、シールガス供給路14により、第2ロータ部18から吐出されたガスの一部が第2軸封部26に供給される。この場合、各段において、冷却部30,36で冷却された後のガスの一部がシールガスとしてシールガス供給路14に導入される。
【0092】
第1~第6実施形態では、ヒータ部42がシールガス供給路14の母管14aに配置されているが、これに代え、ヒータ部42は各分岐管14b,14cに配置されてもよい。この場合、各段のロータ部16,18においてより細かい温度制御が可能となる。
【符号の説明】
【0093】
10 :圧縮機
14 :シールガス供給路
14a :母管
14b :分岐管
14c :分岐管
16 :第1ロータ部
18 :第2ロータ部
20 :第1シャフト
22 :第1軸封部
24 :第2シャフト
26 :第2軸封部
30 :第1冷却部
32 :第1温度センサ
34 :第1圧力センサ
36 :第2冷却部
38 :第2温度センサ
40 :第2圧力センサ
42 :ヒータ部
44 :ガス流量調整弁
46 :シールガス温度センサ
48 :シールガス圧力センサ
50 :制御部
55 :液流量調整弁