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特許7223513移送モビリティサービスの提案方法及び移送モビリティサービスの提案装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】移送モビリティサービスの提案方法及び移送モビリティサービスの提案装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230209BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018107664
(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2019212019
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉川 康雄
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071716(JP,A)
【文献】特開2005-301740(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0096827(US,A1)
【文献】国際公開第2016/092920(WO,A1)
【文献】特開2004-227490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と記憶部とを備えるコンピュータを用いて、ユーザの現在の希望を満たす移動を実現するための移送モビリティサービスを提案する移送モビリティサービスの提案方法であって、
前記記憶部には、現実及びインターネット上の少なくとも一方における前記ユーザの言動を示すユーザ言動情報と前記ユーザの属性との関係を示すユーザ属性テーブルが記憶され、
前記制御部が、
前記インターネットを通じて、前記ユーザ言動情報を収集し、
前記ユーザ属性テーブルを参照して、収集した前記ユーザ言動情報から前記ユーザの属性を算出し、
前記インターネットを通じて、前記ユーザの現在の活動状況を示すユーザ現在情報を取得し、
前記ユーザの属性及び前記ユーザ現在情報に基づいて、前記ユーザの現在の希望を推測し、
前記ユーザの現在の希望を満たす他のユーザへ訪問するための移動を、前記移送モビリティサービスとして前記ユーザに提案する
移送モビリティサービスの提案方法。
【請求項2】
前記インターネットを通じて、特定の場所に関する情報であるPOI情報を収集し、
前記ユーザの現在の希望及び前記POI情報を用いて、前記ユーザの現在の希望を満たす場所を検索し、
検索された前記場所まで、或いは検索された前記場所を経由する前記移送モビリティサービスを提案する
請求項1に記載の移送モビリティサービスの提案方法。
【請求項3】
前記検索された場所への訪問が、実現可能であるか否かを判断し、
実現可能であると判断した場合に、前記検索された場所まで、或いは前記検索された場所を経由する前記移送モビリティサービスを提案する
請求項2に記載の移送モビリティサービスの提案方法。
【請求項4】
前記インターネットを通じて、特定のイベントに関する情報であるイベント情報を収集し、
前記ユーザの現在の希望及び前記イベント情報を用いて、前記ユーザの現在の希望を満たすイベントを検索し、
検索された前記イベントが開催される場所まで、或いは検索された前記イベントが開催される場所を経由する前記移送モビリティサービスを提案する
請求項1に記載の移送モビリティサービスの提案方法。
【請求項5】
前記検索されたイベントへの訪問が、実現可能であるか否かを判断し、
実現可能であると判断した場合に、前記検索されたイベントが開催される場所まで、或いは前記検索されたイベントが開催される場所を経由する前記移送モビリティサービスを提案する
請求項4に記載の移送モビリティサービスの提案方法。
【請求項6】
前記ユーザの現在の希望及び他のユーザの属性を用いて、前記ユーザの現在の希望を満たす前記他のユーザを検索し、
検索された前記他のユーザと会合するための前記移送モビリティサービスを提案する
請求項1に記載の移送モビリティサービスの提案方法。
【請求項7】
前記検索された他のユーザへの訪問が、実現可能であるか否かを判断し、
実現可能であると判断した場合に、前記検索された他のユーザと会合するための前記移送モビリティサービスを提案する
請求項6に記載の移送モビリティサービスの提案方法。
【請求項8】
制御部と記憶部とを備えるコンピュータを用いて、ユーザの現在の希望を満たす移動を実現するための移送モビリティサービスを提案する移送モビリティサービスの提案装置であって、
前記記憶部には、現実及びインターネット上の少なくとも一方における前記ユーザの言動を示すユーザ言動情報と前記ユーザの属性との関係を示すユーザ属性テーブルが記憶され、
前記制御部は、
前記インターネットを通じて、前記ユーザ言動情報を収集し、
前記ユーザ属性テーブルを参照して、収集した前記ユーザ言動情報から前記ユーザの属性を算出し、
前記インターネットを通じて、前記ユーザの現在の活動状況を示すユーザ現在情報を取得し、
前記ユーザの属性及び前記ユーザ現在情報に基づいて、前記ユーザの現在の希望を推測し、
前記ユーザの現在の希望を満たす他のユーザへ訪問するための移動を、前記移送モビリティサービスとして前記ユーザに提案する
移送モビリティサービスの提案装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送モビリティサービスの提案方法及び提案装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間は、一般に、種々の欲求を持っている。これらの欲求を充足させるために物理的な移動が必要な場合、徒歩、自転車、又は自家用車によって自ら移動するか、或いはバス、タクシーを含む移送サービスを利用して移動する。輸送サービスを利用する場合、先ず“バス停に行きバスを待つ”及び“タクシーを呼ぶ”のように、バス又はタクシーなどの輸送サービスを利用する者(ユーザ)が、移送サービスの提供者に対して能動的に働きかける、つまりユーザ自らが自己の移動意思を表示することが、一般的である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-238831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の先行技術では、ユーザが自分の欲求を自覚し、欲求を充足させるために移動が必要であることを認識し、この移動を実現するために、輸送サービスの提供者に対して乗車要求を送信する、即ち移動意思を表示することが前提となっている。よって、この移動によって充足されるのは、ユーザが自覚している欲求に限定される。
【0005】
このため、ユーザが自己の欲求を自覚していない場合、又は欲求を自覚していても充足させるための手段を認識していない場合、更には移動が必要であると認識していても移動意思を表示していない場合には、輸送サービスを利用することはできない。よって、ユーザの顕在的或いは潜在的な欲求は充足されないことになる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、ユーザが移送モビリティサービスの利用意思を能動的に表示していない場合でも、ユーザの希望を満たす移送モビリティサービスを提案することができる移送モビリティサービスの提案方法及び提案装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、制御部と記憶部とを備えるコンピュータを用いた移送モビリティサービスの提案方法である。記憶部は、現実及びインターネット上の少なくとも一方におけるユーザの言動を示すユーザ言動情報とユーザの属性との関係を示すユーザ属性テーブルを記憶する。制御部は、インターネットを通じてユーザ言動情報を収集し、ユーザ属性テーブルを参照して、収集したユーザ言動情報からユーザの属性を算出し、インターネットを通じてユーザの現在の活動状況を示すユーザ現在情報を取得し、ユーザの属性及びユーザ現在情報に基づいてユーザの現在の希望を推測し、推測されたユーザの現在の希望を満たす移送モビリティサービスを検索し、ユーザに提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ユーザが移送モビリティサービスの利用意思を能動的に表示していない場合でも、ユーザの希望を満たす移送モビリティサービスを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係わる移送モビリティサービスの提案装置を含む移送モビリティサービスシステム全体の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すサービスセンター50を用いた移送モビリティサービスの提案方法の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、ユーザ言動取得部4により取得されるユーザ言動情報の例、及びユーザ属性分析部5により算出されるユーザの属性の例を示すブロック図である。
図4図4は、ユーザ属性テーブルの一例を示す表である。
図5図5は、ユーザ1の言動の履歴を分類したユーザ属性テーブルの一例を示す表である。
図6図6は、第1の実施例に係わる移送モビリティサービスの提案の具体例を示す模式図である。
図7図7は、第2の実施例に係わる移送モビリティサービスの提案の具体例を示す模式図である。
図8図8は、第3の実施例に係わる移送モビリティサービスの提案の具体例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0011】
図1を参照して、実施形態に係わる移送モビリティサービスの提案装置を含む移送モビリティサービスシステム全体の概略構成を説明する。移送モビリティサービスシステムには、インターネット2を介し相互に無線通信可能に接続された、ユーザ1が所有又は所持する通信端末19、移送モビリティサービスをユーザ1に提供する時のユーザ1の移動手段の一例である1又は2以上のサービス車両51、及び実施形態に係わる移送モビリティサービスの提案装置の一例であるサービスセンター50が含まれる。「移送モビリティサービス」とは、ユーザ1の現在の希望を満たす移動を実現するための輸送サービスである。換言すれば、ユーザ1をサービス車両51に乗せ、ユーザ1を輸送することで、ユーザ1の現在の希望を満たす移動を実現する。
【0012】
ユーザ1は、移送モビリティサービスを利用するために予め登録された者である。ユーザ1の登録情報としては、例えば、氏名、性別、年齢、職業、住所、電話番号、電子メールアドレス、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のユーザ名、アカウント名、ID、ニックネーム、顔写真が含まれる。これらの登録情報は、後述するサービスセンター50が備える記憶部(メモリ)に記憶される。
【0013】
ユーザ1は、日々、携帯端末を含む様々な通信端末19を用いて、インターネット2を通じて様々な情報を発信し、或いは様々な情報を検索している。ユーザ1が発信する情報、検索する情報の一部はインターネット上で開示され、外部から閲覧可能である。例えば、SNS上で発言する言動の一部は、テキストデータ又は画像データとしてインターネット2上に開示される。このように、ユーザ1は、インターネット上において、様々な言動を発信し、公開している。なお、インターネット上におけるユーザ1の言動を移送モビリティサービスシステムが利用するために、システム上に予め登録されているユーザ1の登録情報が利用される。
【0014】
ユーザ1が使用する通信端末19には、通話機能を備える携帯電話、スマートフォンなどの携帯端末が含まれる。本システムは、既知の音声認識処理技術を用いることにより、インターネット上のみならず、現実においてユーザ1が発信する、人間の五感で感じることが出来る言動をも、利用することが可能である。更には、本システムは、既知の画像認識処理技術を用いることにより、ユーザ1が携帯端末などで撮影する画像データ或いは監視カメラ(CCVT)の写るユーザ1の画像データ等に基づいて、ユーザ1及びその他の人又は物体を認識してもよい。ユーザ言動情報には、これらのカメラの画像データも含まれる。「ユーザ言動情報」とは、現実及びインターネット上の少なくとも一方におけるユーザの言動を示す情報である。
【0015】
なお、本システムがインターネット上及び現実の双方で発信するユーザ1の言動を同時に利用する実施例を説明するが、いずれか一方のみを用いても構わない。
【0016】
サービスセンター50は、インターネット2を通じて、ユーザ言動情報を収集し、収集したユーザ言動情報に基づいて、ユーザ1の現在の希望を満たすための移送モビリティサービスをユーザ1に提案する。
【0017】
サービスセンター50は、制御部(コントローラ)の一例であるCPU(中央処理装置)、メモリ(主記憶装置)、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータをサービスセンター50として機能させるためのコンピュータプログラム(移送モビリティサービスプログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータのCPUは、サービスセンター50が備える複数の情報処理部(4、5、8、10、12、13、14、15、16、20、25)として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによってサービスセンター50を実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、サービスセンター50を構成することも可能である。専用のハードウェアには、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。また、サービスセンター50に含まれる複数の情報処理部(8、4、5、10、12、13、14、15、16、20、25)を個別のハードウェアにより構成してもよい。サービスセンター50は、マイクロコンピュータのみならず、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、等の補助記憶装置(6、9、18)と、無線又は優先によりインターネット2に接続する通信装置17とを備える。
【0018】
サービスセンター50は、複数の情報処理部として、POI/イベント収集部8と、ユーザ言動取得部4と、ユーザ属性分析部5と、ユーザ現状分析部10と、ユーザ属性検索部12と、ユーザ現在欲求推測部13と、第1欲求合致検索部14と、第2欲求合致検索部15と、実現可能性判断部16と、ルート設定部20と、サービス提案部25とを備える。
【0019】
サービスセンター50は、補助記憶装置として、POI/イベント情報データベース(DB)9と、ユーザ属性情報DB6と、道路地図情報DB18と、を備える。
【0020】
POI/イベント収集部8、及びPOI/イベント情報データベースDB9は、POI/イベント部7を構成する。ユーザ言動取得部4、ユーザ属性分析部5、及びユーザ属性情報DB6は、ユーザ属性部3を構成する。ユーザ属性検索部12、ユーザ現在欲求推測部13、第1欲求合致検索部14、第2欲求合致検索部15、実現可能性判断部16、及びサービス提案部25は、提案部11を構成する。
【0021】
ユーザ言動取得部4は、インターネット2を通じて、ユーザ言動情報を収集する。例えば、ユーザ属性情報DB6には、本システム上に予め登録されたユーザ1の登録情報が記憶されている。ユーザ言動取得部4は、ユーザ1の登録情報に基づいて、ユーザ1にリンクしたユーザ言動情報を収集することができる。ユーザ言動情報には、例えば、ユーザ1がSNS上で開示するテキスト情報及び画像情報、通話機能を有する携帯端末から発信するユーザ1の音声情報、が含まれる。
【0022】
ユーザ属性情報DB6(記憶部)には、ユーザ言動情報とユーザ1の属性との関係を示すユーザ属性テーブルが予め記憶されている。ユーザ属性分析部5は、ユーザ属性情報DB6に記憶されているユーザ属性テーブルを参照して、ユーザ言動取得部4が収集したユーザ言動情報からユーザの属性を算出する。ユーザ属性情報DB6(記憶部)には、例えば、図4に示すように、ユーザ1の言動とユーザ1の属性が一対一に対応するテーブルを記憶されている。ユーザ属性分析部5は、収集したユーザ言動情報から、図4の「ユーザの言動」に該当する内容を検索し、検索された「ユーザの言動」に対応する「ユーザの属性」を出力する。出力されたユーザの属性は、ユーザ属性情報DB6に、記憶される。なお、「ユーザの属性」とは、ユーザ1の性別、年齢、職業などのほかに、基本的な性格、行動性向、思考性向、趣味、嗜好、日常的な関心事、また最近の関心事など、ユーザ1の生活全般、又はユーザ1の行動全般を特徴づける諸々の属性を指す。図4に示すテーブルはその一例に過ぎず、上記した種々の属性について具体的な対応関係を示すテーブルを予め用意し、ユーザ属性情報DB6にユーザ属性テーブルとして記憶している。ユーザ属性テーブルは、既知の人工知能(AI)、機械学習又はディープラーニングの手法を用いて構築することができる。具体的には、インターネット2を介して収集される大規模なデータを統計的なアルゴリズムのもとで分析することにより、入力データとこれに応じて出力される出力データとの「相関」を導きだし、この相関をテーブルとして記憶することができる。
【0023】
POI/イベント収集部8は、インターネット2を通じて、POI(ポイント・オブ・インタレスト)情報を収集する。「POI情報」とは、ユーザ1にとって便利である、又はユーザ1が興味のある特定の場所に関する情報である。POI/イベント収集部8は、収集したPOI情報をPOI/イベント情報データベースDB9へ転送する。POI/イベント情報データベースDB9は、受信したPOI情報を、関連するユーザ1毎に記憶する。具体的には、POI/イベント収集部8は、ユーザ属性情報DB6に記憶されているユーザの属性をキーワードとして、インターネット2を検索する。POI/イベント収集部8は、検索されたデータから、ユーザ1にとって便利である、又はユーザ1が興味のある場所を特定し、検索されたデータを、特定された場所に関する情報として出力する。これにより、POI/イベント情報データベースDB9には、ユーザ1及び特定の場所の双方に関連付けられたPOI情報が記憶される。
【0024】
POI/イベント収集部8は、インターネット2を通じて、イベント情報を収集する。「イベント情報」とは、ユーザ1にとって便利である、又はユーザ1が興味のある特定のイベントに関する情報である。POI/イベント収集部8は、収集したイベント情報をPOI/イベント情報データベースDB9へ転送する。POI/イベント情報データベースDB9は、受信したPOI情報を、関連するユーザ1毎に記憶する。具体的には、POI/イベント収集部8は、ユーザ属性情報DB6に記憶されているユーザの属性をキーワードとして、インターネット2を検索する。POI/イベント収集部8は、検索されたデータから、ユーザ1にとって便利である、又はユーザ1が興味のあるイベントを特定し、検索されたデータを、特定されたイベントに関する情報として出力する。これにより、POI/イベント情報データベースDB9には、ユーザ1及び特定のイベントの双方に関連付けられたイベント情報が記憶される。
【0025】
ユーザ現状分析部10は、インターネット2を通じて、ユーザ1の現在位置を示す情報を取得する。具体的には、ユーザ1の現在位置を示す情報は、ユーザ1が携帯している携帯端末であって、自己位置を検索或いは計測する機能(GPS機能を含む)を備える端末を介して、取得することが出来る。更に、ユーザ現状分析部10は、現在位置の時間変化から、ユーザ1の現在の活動状況を示す情報を取得する。具体的には、「ユーザ1の現在の活動状況」には、移動中であるか否か、移動中である場合、どの移動手段(徒歩、自転車、バス、自動車、電車)を利用しているか、移動中でない場合、現在位置でどんな活動中(学校、仕事、外食、自宅)であるか、が含まれる。勿論、ユーザ現状分析部10は、ユーザ1の現在位置及びその時間変化に対して、ユーザ属性情報DB6に記憶されているユーザ1の属性を組み合わせて、ユーザ1の現在の活動状況を推定することもできる。例えば、図4に示したテーブルと同様にして、「ユーザの現在位置及びその時間変化」及び「ユーザの属性」の組合せと「ユーザの現在の活動状況」とを一対一に対応付けたテーブルを用意し、ユーザ現状分析部10は、当該テーブルを参照して、ユーザ1の現在の活動状況を推定することができる。このテーブルは、既知の人工知能(AI)、機械学習又はディープラーニングの手法を用いて構築することができる。具体的には、インターネット2を介して収集される大規模なデータを統計的なアルゴリズムのもとで分析することにより、入力データとこれに応じて出力される出力データとの「相関」を導きだし、この相関をテーブルとして記憶することができる。
【0026】
更に、監視カメラ(CCTV)の映像データを入手することができる場合、ユーザ現状分析部10は、監視カメラの映像データからユーザ1の現在位置及び現在の活動状況を取得或いは推測してもよい。具体的には、映像データを既知の画像認識技術を用いて解析することにより、映像からユーザ1を特定し、監視カメラの設置位置からユーザ1の現在位置を特定し、ユーザ1の様子、例えば、普段着又は正装、姿勢の良し悪し、持ち物の有無、その種類を特定する。ユーザ1の登録情報に含まれるユーザ1の外見を示すデータを用いることで、映像からユーザ1を特定することができる。更には、同伴者の有無及びその数、同伴者及びその属性を特定してもよい。このように、ユーザ現状分析部10は、監視カメラの映像データから特定可能なユーザ1の様子から、ユーザ1の現在位置及び現在の活動状況を取得或いは推測してもよい。例えば、“家から普段着で出ようとしているので近くのコンビニエンスストアに行こうとしている”、“外に出ると身を縮めているので寒がっている”などのユーザ1の現在の活動状況を分析することができる。なお、ユーザ1の現在の活動状況には、電車、バス等の特定の移動手段で移動中、学校、会社から自宅に移動中、等のユーザの現在の移動状況が含まれる。
【0027】
ユーザ属性検索部12は、ユーザ属性情報DB6にその属性が記憶された複数のユーザ1の中から、移送モビリティサービスを提案する対象となるユーザ1の属性を検索する。
【0028】
ユーザ現在欲求推測部13は、検索されたユーザ1の属性及びユーザ現在情報に基づいて、ユーザ1の現在の希望を推測する。例えば、“帰宅途中での夕食用の買い物を好む”という「ユーザ1の属性」と、“現在、帰宅途中である”という「ユーザ現在情報」から、“帰宅途中に夕食用の買い物をしたい”という「ユーザ1の現在の希望」を推測する。「ユーザ1の現在の希望」には、ユーザ1の現在の顕在的或いは潜在的な欲求を含む概念である。
【0029】
例えば、図4に示したテーブルと同様にして、「ユーザの属性」及び「ユーザ現在情報」の組合せと「ユーザの現在の希望」とを一対一に対応付けたテーブルを用意し、ユーザ現在欲求推測部13は、当該テーブルを参照して、ユーザ1の現在の希望を推定することができる。このテーブルは、既知の人工知能(AI)、機械学習又はディープラーニングの手法を用いて構築することができる。具体的には、インターネット2を介して収集される大規模なデータを統計的なアルゴリズムのもとで分析することにより、入力データとこれに応じて出力される出力データとの「相関」を導きだし、この相関をテーブルとして記憶することができる。
【0030】
第1欲求合致検索部14は、ユーザ1の現在の希望及びPOI情報を用いて、ユーザ1の現在の希望を満たす場所(POI)を検索する。また、第1欲求合致検索部14は、ユーザ1の現在の希望及びイベント情報を用いて、ユーザ1の現在の希望を満たすイベントを検索する。例えば、“帰宅ルートの途中に新しいスーパーが営業開始した”という「POI情報」と上記した現在の希望とを組み合わせて、第1欲求合致検索部14は、“新しいスーパーの場所”を「ユーザ1の現在の希望を満たす場所」として抽出する。更に、“帰宅ルートの途中のスーパーが閉店セールを実施中である”という「イベント情報」を上記した現在の希望に組み合わせてもよい。
【0031】
例えば、図4に示したテーブルと同様にして、「ユーザ1の現在の希望」及び「POI情報/イベント情報」の組合せと「ユーザ1の現在の希望を満たす場所/イベント」とを一対一に対応付けたテーブルを用意し、第1欲求合致検索部14は、当該テーブルを参照して、「ユーザ1の現在の希望を満たす場所/イベント」を推定することができる。このテーブルは、既知の人工知能(AI)、機械学習又はディープラーニングの手法を用いて構築することができる。具体的には、インターネット2を介して収集される大規模なデータを統計的なアルゴリズムのもとで分析することにより、入力データとこれに応じて出力される出力データとの「相関」を導きだし、この相関をテーブルとして記憶することができる。
【0032】
第2欲求合致検索部15は、ユーザ1の現在の希望及び他のユーザの属性を用いて、ユーザ1の現在の希望を満たす他のユーザを検索する。ユーザ1は、移送モビリティサービスを提案する対象となるユーザ1である。換言すれば、ユーザ属性検索部12により検索されたユーザ1である。一方、「他のユーザ」は、本システムに登録され、且つ、登録情報及びその属性を示すデータがユーザ属性情報DB6に記憶されているが、移送モビリティサービスを提案する対象ではないユーザ1である。例えば、“車を売りたい”という「ユーザ1の現在の希望」と“車の購入を検討中”という「他のユーザの属性」とから、第2欲求合致検索部15は、ユーザ1の現在の希望を満たす他のユーザを検索することができる。
【0033】
例えば、図4に示したテーブルと同様にして、「ユーザ1の現在の希望」と「他のユーザの属性」とを一対一に対応付けたテーブルを用意し、第2欲求合致検索部15は、当該テーブルを参照して、「ユーザ1の現在の希望を満たす他のユーザ」を推定することができる。このテーブルは、既知の人工知能(AI)、機械学習又はディープラーニングの手法を用いて構築することができる。具体的には、インターネット2を介して収集される大規模なデータを統計的なアルゴリズムのもとで分析することにより、入力データとこれに応じて出力される出力データとの「相関」を導きだし、この相関をテーブルとして記憶することができる。
【0034】
実現可能性判断部16は、欲求合致検索部(14,15)により検索された、場所(POI)、イベント又は他のユーザへの訪問が、実現可能か否かを判断する。具体的には、現在の時刻が、欲求合致検索部(14,15)により検索された、場所(POI)、イベント又は他のユーザの訪問可能な時間帯に含まれるか否かを判断する。例えば、実現可能性判断部16は、スーパー(場所)の営業時間、閉店セール(イベント)の開催時間、又は、他のユーザのスケジュールに基づいて、現在、ユーザ1が場所、イベント又は他のユーザに、現在、訪問可能か否かを判断することができる。
【0035】
更に、実現可能性判断部16は、閉店セール(イベント)への入場が制限されていないか否か、閉店セール(イベント)への入場にチケットが必要か否か、当該チケットの在庫があるか否かを確認してもよい。更に、欲求に合致し訪問可能な場所(POI)、イベント、他のユーザ(候補)が複数ある場合には、ユーザ1にとって最も満足度が高い候補を選ぶこともできる。
【0036】
サービス提案部25は、実現可能性判断部16により実現可能であると判断された場所(POI)、イベント又は他のユーザへ訪問するための移動を、移送モビリティサービスとしてユーザ1に提案する。具体的には、当該移動の実現によって、ユーザ1の現在の希望が満たされることをユーザ1に対して案内する。更に、案内する場所(POI)、イベント又は他のユーザの概要、移動のための所要時間、移動した先の目的地での所要時間などを案内する。例えば、サービス提案部25は、通信装置17を制御して、上記した提案に係わる種々の情報を、インターネット2を介して、通信端末19に送信する。
【0037】
サービス提案部25による移送モビリティサービスの提案に対して、通信装置17がユーザ1の通信端末19から移送モビリティサービスのリクエストを受信した場合、ルート設定部20は、ユーザ1の現在の希望を満たす移動を実現するための移動ルートを設定する。ルート設定部20は、道路地図情報DB18に記憶されている地図データを参照して、地図上における移動ルートを検索し、設定する。ルート設定部20は、通信装置17を制御して、設定した移動ルートに沿って走行するサービス車両51の配車をサービス車両51に対してリクエストする。配車のリクエストと共に、ルート設定部20は、設定した移動ルートを示す情報をサービス車両51へ送信する。サービス車両51は、配車のリクエスト及び移動ルートに応じて、ユーザ1に対して、ユーザ1の現在の希望が満たす移動を実現するための移送モビリティサービスを提供することができる。
【0038】
サービス車両51には、有人又は無人のタクシー、ロボタクシー、相乗り(シェアライド)を希望する自家用車が含まれる。図1には、サービス車両51の例として、自動運転機能を備える無人のタクシー、ロボタクシーの構成を示している。サービス車両51は、インターネット2を介してユーザ1及びサービスセンター50と無線通信可能な通信装置21と、サービスセンター50により設定された移動ルートに沿って自律走行を行うために走行を制御する車両走行制御部22と、設定された移動ルートに対するサービス車両51の相対位置を認識するために必要な地図データを記憶する道路地図情報DB23とを備える。
【0039】
図2を参照して、図1に示すサービスセンター50を用いた移送モビリティサービスの提案方法の一例を説明する。図2のフローは、サービスセンター50が稼働している間、繰り返し実行される。
【0040】
先ずステップS100において、ユーザ現状分析部10は、インターネット2を通じて、ユーザ1の現在位置を示す情報を取得する。ステップS101に進み、ユーザ現在欲求推測部13は、検索されたユーザ1の属性及びユーザ現在情報に基づいて、ユーザ1の現在の希望を推測する。
【0041】
ステップS102に進み、第1欲求合致検索部14は、ユーザ1の現在の希望及びPOI情報又はイベント情報を用いて、ユーザ1の現在の希望を満たす場所(POI)又はイベントを検索する。さらに、第2欲求合致検索部15は、ユーザ1の現在の希望及び他のユーザの属性を用いて、ユーザ1の現在の希望を満たす他のユーザを検索する。ユーザ1の現在の希望を満たす場所(POI)、イベント、又は他のユーザの何れかがある場合(S103でYES)、ステップS104へ進む。ユーザ1の現在の希望を満たす場所(POI)、イベント、又は他のユーザの何れも無い場合(S103でNO)、図2のフローは終了し、再度、ステップS100に戻る。
【0042】
ステップS104において、実現可能性判断部16は、ステップS103において検索された、場所(POI)、イベント又は他のユーザへの訪問が、実現可能か否かを判断する。実現可能である場合(S104でYES)、ステップS105へ進む。実現可能でない場合(S104でNO)、図2のフローは終了し、再度、ステップS100に戻る。
【0043】
ステップS105において、実現可能性判断部16は、実現可能な場所(POI)、イベント又は他のユーザが複数有る場合に、その中からユーザ1にとって最も満足度が高くなる場所(POI)、イベント又は他のユーザを選択する。ステップS106へ進み、サービス提案部25は、ステップS105において選択された場所(POI)、イベント又は他のユーザへ訪問するための移動を、移送モビリティサービスとしてユーザ1に提案する。具体的には、インターネット2を介して、案内する場所(POI)、イベント又は他のユーザの概要、移動のための所要時間、移動した先の目的地での所要時間などを示す情報を、ユーザ1が所有する通信端末19へ送信する。
【0044】
ステップS107へ進み、サービスセンター50は、ユーザ1が提案を承諾したか否かを判断する。具体的には、ステップS106における移送モビリティサービスの提案に対して、通信装置17がユーザ1の通信端末19から移送モビリティサービスのリクエストを受信したか否かを判断する。所定時間の間に、通信端末19から移送モビリティサービスのリクエストを受信した場合(S107でYES)、ステップS108へ進む。所定時間の間に、通信端末19から移送モビリティサービスのリクエストを受信しなかった場合(S107でNO)、図2のフローは終了し、再度、ステップS100に戻る。
【0045】
ステップS108において、ルート設定部20は、ステップS106において提案した移動を実現するための移動ルートを設定する。ステップS109に進み、ルート設定部20は、通信装置17を制御して、設定した移動ルートに沿って走行するサービス車両51の配車をサービス車両51に対してリクエストする。また同時に、設定した移動ルートを示す情報をサービス車両51に対して送信する。以上の手順を経て、ユーザ1の現在の希望が満たす移動を実現するための移送モビリティサービスがユーザ1に対して提供される。
【0046】
図3を参照して、ユーザ言動取得部4により取得されるユーザ言動情報の例、及びユーザ属性分析部5により算出されるユーザの属性の例を説明する。ユーザ言動取得部4が、インターネット2を通じて収集するユーザ言動情報には、現実におけるユーザ1の言動である「日頃の立ち回り先」、「非日常の立ち回り先」、及び、インターネット2上におけるユーザ1の言動である「ネット検索履歴」、「物品購入履歴」、「SNS投稿内容」及び「交友関係」が含まれる。
【0047】
「日頃立ち回り先」には、ユーザ1が通う学校、勤める会社、普段利用するスーパー、薬局、理容室、スポーツクラブ等が含まれる。「非日常の立ち回り先」には、仕事での出張先、病院、区役所、等の非日常的な用件のための立ち回り先が含まれる。「ネット検索履歴」とは、通信端末19を用いたネット検索を行う際に入力された検索キーワード、及び検索結果に基づいてユーザ1が閲覧したページの履歴が含まれる。「物品購入履歴」には、現実における購入物品の履歴のみならず、インターネット2上において購入した物品の履歴も含まれる。「SNS投稿内容」には、SNS上にユーザ1が投稿するテキストデータ又は画像データが含まれる。
【0048】
これらのユーザ言動情報は、ユーザ属性分析部5に転送される。ユーザ属性分析部5は、図4に示すようなユーザ属性テーブルを参照して、ユーザ1の属性を算出する。「ユーザ1の属性」には、思考性向、行動性向、日常的な関心事、また最近の関心事などが含まれる。算出された「ユーザ1の属性」は、ユーザ属性情報DB6に記憶される。
【0049】
図4を参照して、ユーザ属性テーブルの一例を説明する。図4のテーブルは、ユーザ属性分析部5がユーザ1の属性を算出する際に参照される。例えば、インターネット2を介した音楽配信サービスの高い利用頻度(ユーザの言動)に、音楽が好きであるというユーザの属性を対応付けている。更に、その利用する音楽配信サービスに、好きな音楽のジャンルを対応付けしている。ネット検索履歴から特定のジャンル(カフェ)の検索頻度が高ければ、カフェ好きという属性を導き出すことが出来る。ユーザ1の自己位置の情報から、例えば、銀行への立ち寄り頻度が高いと判断できる場合、資金調達を検討している可能性を判断できる。
【0050】
このように、人工知能(AI)、機械学習又はディープラーニングの手法を用いてユーザ1の言動とユーザ1の属性の間の「相関」を導きだし、予め「相関」をユーザ属性情報DB6に記憶されている。
【0051】
一方、図5は、ユーザ1の言動の履歴を分類したテーブルを示す。図4のテーブルは、ユーザ1の行動を分類せずに羅列した例であった。これに対して、図5のテーブルは、ユーザ1の言動の履歴を分類し、各ユーザ1の言動の発生頻度又は発生回数を、項目(区分)毎に記録したものである。ユーザ属性分析部5は、図4のテーブルの代わりに、図5に示すテーブルを参照して、ユーザ1の属性を算出することもできる。図5に示す例では、インターネット2上におけるユーザ1の言動を、大分類、中分類、小分類の3つの階層で分類している。大分類の例として、インターネット2上で視聴した音楽/動画の履歴、インターネット2上で物品を購入した履歴がある。ユーザ属性分析部5は、ユーザ1(Aさん、Bさん)の言動の履歴を、図5のテーブルに示す分類に当て嵌め、発生頻度又は発生回数の多い項目(区分)の組合せから、嗜好や欲求をプロファイルすることも可能である。例えば、図5に示す表において、二重丸が高い頻度を示し、丸が低い頻度を示す。図5のテーブルから、「Aさんは、ジャズが好き、よくコンサートに行っているし、自分でもサックスを演奏する。」及び「Bさんは、野球チーム○○のファン。野球は見るだけで自分でプレイすることはない。」という各ユーザ1の属性を推測することができる。
【0052】
以下に、第1~第3の実施例として、移送モビリティサービスの提案の具体例を、説明する。
(第1の実施例)
【0053】
図6を参照して、第1の実施例に係わる移送モビリティサービスの提案の具体例を説明する。ユーザ200の欲求に合致する場所及びイベントを提案する事例である。
【0054】
サービスセンター50は、ユーザ属性情報DB6にその属性が記憶された複数のユーザ1の中から、移送モビリティサービスを提案する対象として、ユーザ200に着目している。まず、ユーザ現状分析部10は、インターネット2を通じて、ユーザ200の現在位置201を示す情報、及びユーザ200の現在の活動状況を示す情報を取得する。そして、ユーザ属性分析部5は、“ユーザ200が音楽配信サービスを高い頻度で利用している”、及び“その音楽のジャンル”に基づいて、図4のテーブルの項目(1)及び(2)を参照して、“ある特定のジャンルの音楽が好きである”というユーザ200の属性を算出する。ユーザ200の属性は、ユーザ属性情報DB6に記憶されている。
【0055】
ユーザ属性検索部12は、ユーザ200の属性を検索する。その結果、サービスセンター50は、“ある特定のジャンルの音楽が好きである”というユーザ200の属性を取得し、“現在、次の予定まで時間がある”というユーザ200の現在の活動状況を検索する。ユーザ現在欲求推測部13は、検索されたユーザ200の属性及びユーザ現在情報に基づいて、“好きなジャンルの音楽が聞きたい”というユーザ200の現在の希望を推測する。
【0056】
第1欲求合致検索部14は、ユーザ200の現在位置201の近傍に居る、ユーザ1の現在の希望を満たす場所(POI)又はイベントを検索する。その結果、第1欲求合致検索部14は、現在位置201から少し離れたところにあるライブハウス203で、好きなジャンルの音楽を演奏する新しいバンドのライブが1時間後に始まる、というユーザ200の現在の希望を満たす場所(POI)及びイベントを検知する。
【0057】
実現可能性判断部16は、ライブハウス203に係わるPOI情報のうち、入場が制限されていないこと、及びチケットの在庫があることから、今行けば、入場可能なことを確認する。サービス提案部25は、ライブハウス203又はライブへ訪問するための移動を、移送モビリティサービスとしてユーザ200に提案する。
【0058】
具体的には、ユーザ200が保持する携帯端末に、近くのライブハウス203でライブが予定され、今なら入場可能であること、及び現在位置201からライブハウス203までの移動所要時間、ライブの演奏時間などを通知する。更に、ルート設定部20により設定された移動ルート204を通知する。ユーザ200は、この移動の提案を承諾し、移送モビリティサービスを利用することで、興味あるジャンルの音楽を演奏するバンドのライブを見ることが出来る。よって、ユーザ20は移送モビリティサービスを利用することで、日ごろの興味、欲求を満足させることができる。
(第2の実施例)
【0059】
図7を参照して、第2の実施例に係わる移送モビリティサービスの提案の具体例を説明する。ユーザ210とユーザ210の欲求に合致する人(他のユーザ214)との面会を提案する事例である。
【0060】
サービスセンター50は、移送モビリティサービスを提案する対象として、ユーザ210に着目している。まず、ユーザ現状分析部10は、ユーザ210の現在位置202を示す情報を取得する。また、ユーザ属性分析部5は、図4に示すテーブルの項目(5)、(6)、(7)、(8)を参照して、“ユーザ210は以前からカフェを開店したいと思っているが、まず経験者から話を聞きたいと思っている”というユーザ210の属性を算出する。ユーザ210の属性は、ユーザ属性情報DB6に記憶されている。
【0061】
ユーザ属性検索部12は、ユーザ210の属性を検索する。その結果、ユーザ属性検索部12は、“ユーザ210は以前からカフェを開店したいと思っているが、まず経験者から話を聞きたいと思っている”というユーザ210の属性を取得する。ユーザ現状分析部10は、“現在、次の予定まで時間がある”というユーザ210の現在の活動状況を検索する。ユーザ現在欲求推測部13は、検索されたユーザ210の属性及びユーザ現在情報に基づいて、“経験者から話を聞きたい”というユーザ210の現在の希望を推測する。
【0062】
第2欲求合致検索部15は、ユーザ210の現在位置202の周囲に居る、ユーザ210の現在の希望を満たす他のユーザを検索する。先ず、ユーザ属性検索部12が他のユーザの属性を検索し、ユーザ現状分析部10は、インターネット2を通じて、他のユーザの現在位置を示す情報を検索する。第2欲求合致検索部15は、これらの検索結果に基づいて、“現在位置202の近くにおいて数年前にカフェを開店し順調に営業している。また、話好きである。”という他のユーザ214を検出する。
【0063】
実現可能性判断部16は、“ユーザ3は、スケジュールから、今は休憩中で時間に余裕がある”という他のユーザ214の現在の活動状況を確認する。サービス提案部25は、他のユーザ214を訪問するための移動を、ユーザ210に提案する。具体的には、カフェのオーナーと話ができる機会があることを提示し、店に会いに行くための移動ルート213を通知する。また同時に、サービス提案部25は、ユーザ210が訪問することについて他のユーザ214に対して許可を求める。
【0064】
ユーザ210がこの提案を承諾し、且つ、他のユーザ214から許可が得られた場合、サービス提案部25は、サービス車両51に移送モビリティサービスをリクエストする。サービス提案部25は、現在位置211から他のユーザ214が居る目的地212までの移動ルート213を、サービス車両51に提示する。ユーザ210が移送モビリティサービスを利用することで、先ずは経験者から話を聞く、という現在の希望を満たすことができる。よって、ユーザ210は移送モビリティサービスを利用することで、日ごろの興味、欲求を満足させることができる。
(第3の実施例)
【0065】
図8を参照して、第3の実施例に係わる移送モビリティサービスの提案の具体例を説明する。ユーザ226とユーザ226の欲求に合致する人(他のユーザ227)との面会を、相乗り乗車の形態で提案する事例である。
ユーザ226は、サービスセンター50に対して、現在位置221から目的地222までの移送サービス223のリクエストを送信した。これに対して、サービスセンター50は、移送モビリティサービスを提案する対象として、ユーザ226に着目する。ユーザ属性分析部5は、図4に示すテーブルの項目(10)、(11)、(12)、(13)を参照して、“アイディアをもった起業希望者であって、投資家へのプレゼンテーションの機会を求めている”というユーザ226の属性を算出する。ユーザ210の属性は、ユーザ属性情報DB6に記憶されている。
【0066】
ユーザ属性検索部12は、ユーザ226の属性を検索して、“アイディアをもった起業希望者であって、投資家へのプレゼンテーションの機会を求めている”というユーザ226の属性を取得する。ユーザ現状分析部10は、“現在、次の予定まで時間がある”というユーザ226の現在の活動状況を検索する。ユーザ現在欲求推測部13は、検索されたユーザ226の属性及びユーザ現在情報に基づいて、“起業を希望し、投資家へのプレゼンテーションの機会を求めている”というユーザ226の現在の希望を推測する。
【0067】
第2欲求合致検索部15は、移送サービス223の周囲にいる、ユーザ226の現在の希望を満たす他のユーザを検索する。先ず、ユーザ属性検索部12が他のユーザの属性を検索する。ユーザ現状分析部10は、他のユーザの活動状況を検索する。第2欲求合致検索部15は、これらの検索結果に基づいて、“投資家であって、起業家のプレゼンテーションを歓迎する”という他のユーザ227の属性を検出する。更に、“現在位置224から目的地225までの移送サービス216をリクエストしている”という他のユーザ227の現在の活動状況を検出する。
【0068】
サービス提案部25は、現在の希望を満たす他のユーザ227と面会するための移動を、ユーザ226に提案する。具体的には、投資家である他のユーザ227との相乗りのチャンスがあること、相乗りのためには、最短ルートである移送サービス223から、他のユーザ227との相乗りする移送サービス217を提示する。また同時に、サービス提案部25は、ユーザ226と相乗りすることについて他のユーザ227に対して許可を求める。ユーザ226にとって、移送サービス217は、移送サービス223よりも遠回りとなるが、投資家である他のユーザ227との相乗りすることができる。他のユーザ227にとって、自らがリクエストする移送サービス216が提供されることに変化はない。
【0069】
ユーザ226がこの提案を承諾し、且つ、他のユーザ227から許可が得られた場合、サービス提案部25は、サービス車両51に、相乗り形態の移送モビリティサービスをリクエストする。サービス提案部25は、現在位置221から他のユーザ214が居る地点224及び他のユーザ214の目的地225を経由する移動ルート217を、サービス車両51に提示する。ユーザ226は、目的地222への移動の途中で、“投資家へプレゼンテーションを行う”という日ごろの欲求を満足することができる。また、他のユーザ214は目的地225への移動の途中で、“起業家のプレゼンテーションを聴きたい”という日ごろの欲求を満足することができる。
【0070】
以上説明したように、実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0071】
移送モビリティサービスの提案装置及び提案方法は、制御部(コントローラ)とユーザ属性情報DB6(記憶部)とを備えるコンピュータを用いて、ユーザの現在の希望を満たす移動を実現するための移送モビリティサービスを提案する。ユーザ属性情報DB6には、現実及びインターネット上の少なくとも一方におけるユーザの言動を示すユーザ言動情報とユーザの属性との関係を示すユーザ属性テーブル(図4及び図5参照)が記憶されている。制御部は、インターネット2を通じて、ユーザ言動情報を収集する。ユーザ属性テーブルを参照して、収集したユーザ言動情報からユーザの属性を算出する。インターネットを通じて、ユーザの現在の活動状況を示すユーザ現在情報を取得する。ユーザの属性及び前記ユーザ現在情報に基づいて、前記ユーザの現在の希望を推測する。推測されたユーザの現在の希望を満たす移送モビリティサービスを検索する。検索された移送モビリティサービスをユーザに提案する。
【0072】
現実及びインターネット上の少なくとも一方におけるユーザの過去および現在の言動からユーザの現在の希望を推測する。これにより、ユーザが移送モビリティサービスの利用意思を能動的に表示していない場合でも、ユーザの希望を満たす移送モビリティサービスを検索して提案することができる。ユーザが提案を受諾することにより、ユーザは移送モビリティサービスを享受することができる。
【0073】
制御部は、ユーザの現在の希望及びPOI情報に基づいてユーザの現在の希望を満たす場所を検索し、検索された場所まで、又は場所を経由する移送モビリティサービスを検索する。これにより、ユーザの希望を満たす移送モビリティサービスを、幅広い可能性に基づいて提案することが可能となり、ユーザは希望をより充足することができる。
【0074】
制御部は、ユーザの現在の希望及びイベント情報に基づいてユーザの現在の希望を満たすイベントを検索し、検索されたイベントが開催される場所まで、又は当該場所を経由する移送モビリティサービスを検索する。これにより、ユーザの希望を満たす移送モビリティサービスを、幅広い可能性に基づいて提案することが可能となり、ユーザは希望をより充足することができる。
【0075】
制御部は、他のユーザの属性を用いてユーザの現在の希望を満たす他のユーザを検索し、検索された他のユーザと会合するための移送モビリティサービスを検索する。これにより、ユーザの希望を満たす移送モビリティサービスを、幅広い可能性に基づいて提案することが可能となり、ユーザは希望をより充足することができる。
【0076】
ユーザの現在の希望を満たす他のユーザと会合するための移送モビリティサービスには、ユーザが他のユーザと相乗りすることが含まれる。ユーザの移送サービス中に、ユーザの希望を満たす他のユーザと相乗りすることが可能となるため、ユーザは移動と希望を充足する会合とを同時に行うことが可能となり、高い時間効率を享受することができる。
【0077】
実現可能性判断部16は、検索された場所(POI)、イベント、他のユーザへの訪問が、実現可能であるか否かを判断する。そして、サービス提案部25は、実現可能であると判断した場合に、検索された場所(POI)又はイベントが開催される場所まで、或いは検索された場所(POI)又はイベントが開催される場所を経由する移送モビリティサービスを検索する。同様に、サービス提案部25は、実現可能であると判断した場合に、検索された他のユーザと会合するための移送モビリティサービスを検索する。これにより、ユーザの希望を満たす移送モビリティサービスを、より正確に提案することができる。
【0078】
説明してきたように、実施形態によれば、ユーザの潜在的、顕在的欲求を理解し、これを充足する移動の提供をユーザに提案する。これにより、ユーザの潜在的或いは顕在的な欲求を満足し、ユーザの満足度、利便性、またクオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の向上を図ることができる。
【0079】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理装置は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。
【0080】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0081】
1、200、210、226 ユーザ
2 インターネット
4 ユーザ言動取得部(制御部)
5 ユーザ属性分析部(制御部)
6 ユーザ属性情報DB(記憶部)
8 POI/イベント収集部(制御部)
10 ユーザ現状分析部(制御部)
13 ユーザ現在欲求推測部(制御部)
14 第1欲求合致検索部(制御部)
15 第2欲求合致検索部(制御部)
16 実現可能性判断部(制御部)
20 ルート設定部(制御部)
25 サービス提案部(制御部)
214、227 他のユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8