(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】車両載置用パレット、それを備える駐車装置及び駐車装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20230209BHJP
E04H 6/12 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
E04H6/42 H
E04H6/12 A
(21)【出願番号】P 2018194574
(22)【出願日】2018-10-15
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500521267
【氏名又は名称】株式会社ニッパツパーキングシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】北井 潤
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-239557(JP,A)
【文献】特開平07-247716(JP,A)
【文献】特開2010-043438(JP,A)
【文献】実開平05-014421(JP,U)
【文献】特開2002-061404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E04H 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置可能であり、前記車両の車輪によって踏圧される一対のガイド部
と前記一対のガイド部の間に設けられる中央部とを有するベース部と、
前記ベース部に着脱可能に設置され、少なくとも前記一対のガイド部を覆うレール部を含むパレット部材と、
前記ガイド部と前記レール部との間に設置される防水部材と、
を備え
、
前記パレット部材は、金属板から形成され、前記一対のガイド部をそれぞれ覆う、第1パレット部材及び第2パレット部材と、前記中央部を覆う第3パレット部材と、を有し、
前記第3パレット部材は、前記第1パレット部材と前記一対のガイド部の一方との間を覆い、且つ前記第2パレット部材と前記一対のガイド部の他方との間を覆う、車両載置用パレット。
【請求項2】
前記第1パレット部材及び第2パレット部材は、前記レール部と、前記中央部の一部を覆う側部と、をそれぞれ有し、
前記第3パレット部材は、前記第1パレット部材及び前記第2パレット部材の前記側部をそれぞれ覆う、請求項
1に記載の車両載置用パレット。
【請求項3】
前記防水部材は、前記一対のガイド部の端部を覆う、請求項1
又は2に記載の車両載置用パレット。
【請求項4】
前記ベース部と前記パレット部材との間に設置される緩衝部材をさらに備える、請求項1乃至
3の何れか一項に記載の車両載置用パレット。
【請求項5】
前記一対のガイド部の少なくとも一方に設置され、前記ベース部と前記パレット部材とに着脱可能に取り付けられる車止めをさらに備える、請求項1乃至
4の何れか一項に記載の車両載置用パレット。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れか一項に記載の車両載置用パレットを備える駐車装置。
【請求項7】
車両を載置可能であり、前記車両の車輪によって踏圧される一対のガイド部
と前記一対のガイド部の間に設けられる中央部とを有するベース部に、少なくとも前記一対のガイド部を覆うレール部を含むパレット部材を着脱可能に取り付け、
前記ガイド部と前記レール部との間に防水部材を取り付ける、ことを含
み、
前記パレット部材は、金属板から形成され、前記一対のガイド部をそれぞれ覆う、第1パレット部材及び第2パレット部材と、前記中央部を覆う第3パレット部材と、を有し、
前記ベース部上に前記パレット部材を着脱可能に取り付けることは、
前記第3パレット部材によって前記第1パレット部材と前記一対のガイド部の一方との間を覆い、且つ前記第3パレット部材によって前記第2パレット部材と前記一対のガイド部の他方との間を覆うように取り付ける、ことを含む、駐車装置の製造方法。
【請求項8】
前記パレット部材は、ボルトを使用して前記ベース部に取り付けられる、請求項
7に記載の駐車装置の製造方法。
【請求項9】
前記ベース部と前記パレット部材との間に緩衝部材をとりつけること、をさらに含む請求項
7又は8に記載の駐車装置の製造方法。
【請求項10】
前記一対のガイド部の少なくとも一方に、車止めを前記ベース部と前記パレット部材とに着脱可能に取り付けること、をさらに含む請求項
7乃至9の何れか一項に記載の駐車装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両載置用パレット及びそれを有する駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車装置としては、パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させる、二段方式あるいは多段方式などの車両格納方式が知られており、車両を立体的に駐車可能な装置が横方向に複数個並んで配置された駐車装置がある。駐車装置においては、パレットを昇降させ、パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させ、パレットを入出庫口まで移動させて車両の出し入れを行う駐車装置が知られている。
【0003】
このような駐車装置では、パレットの表面は、車の出し入れによりタイヤで繰り返し踏圧されるため、車のタイヤに付着した小石等で損傷したり、また車の荷重や経年によりペンキ等の表面層が剥離した結果、車に付着した水分等がその損傷個所を侵蝕し、錆等が発生する。最悪の場合は錆が発生した部分に穴が空き、パレットそのものの強度が落ちるなどの問題を引き起こす。また、錆等を含んだ水が穴から、下段にある駐車した車の屋根に落ちるなどの問題も発生する。
【0004】
通常、駐車装置で用いられるパレットは、立体駐車場に取り付けてからは部分的にプレートを溶接して取り付ける補修を行う、又はパレット自体を交換することにより使用可能な状態が維持される。しかしながら、部分的な補修は、暫定的な対応であり、さらに現地での溶接作業に品質が左右されるため、安定した品質の保証が困難である。また、パレットを入れ替える場合、パレット自体に昇降時に利用される機能部品が取付けられていたり、パレットが作製された期間によって様々な形状があるため、入れ替えの度に当初の図面を見直す等の煩雑な作業が発生する。また、近年では、パレット自体が組み立て化されている。この場合は、パレットだけではなく駐車装置そのものを入れ替えることにより、駐車装置自体がリニューアルされて安定した品質が保証される。一方、駐車装置自体が交換となるため、コストがかかることに加え、施工期間が長くなるという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、車を載置可能な強度を有するベース部と、該ベース部に着脱可能に取り付けられる保護カバーとを備えるパレットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、パレット表面が摩耗したり、損傷した場合は、ベース部に取付けられた保護カバーを取り外して、新しい保護カバーに交換することにより、容易にメンテナンスを行うことが可能である。しかしながら、保護カバーの強度が不十分であるという問題があり、さらに保護カバーとベース部との隙間からベース部に水が侵入する虞がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決しようとするものであり、メンテナンスが容易であり、且つ安定した品質の保証が可能なパレット及びそれを備える駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、車両を載置可能であり、前記車両の車輪によって踏圧される一対のガイド部を有するベース部と、前記ベース部に着脱可能に設置され、少なくとも前記一対のガイド部を覆うパレット部材と、を備える車両載置用パレットが提供される。
【0010】
前記パレット部材は、複数のパーツに分割されていてもよい。
【0011】
前記ベース部は、前記一対のガイド部の間に設けられる中央部をさらに有し、前記パレット部材は、前記一対のガイド部をそれぞれ覆う、第1パレット部材及び第2パレット部材と、
前記中央部と覆う第3パレット部材と、を有し、前記第3パレット部材は、前記第1パレット部材と前記一対のガイド部の一方との間を覆い、且つ前記第2パレット部材と前記一対のガイド部の他方との間を覆ってもよい。
【0012】
前記第1パレット部材及び第2パレット部材は、前記一対のガイド部を覆うレール部と、前記中央部の一部を覆う側部と、をそれぞれ有し、前記第3パレット部材は、前記第1パレット部材及び前記第2パレット部材の前記側部をそれぞれ覆ってもよい。
【0013】
車両載置用パレットは、前記ベース部と前記パレット部材との間に設置される防水部材をさらに備えてもよい。
【0014】
前記防水部材は、前記一対のガイド部の端部を覆ってもよい。
【0015】
車両載置用パレットは、前記ベース部と前記パレット部材との間に設置される緩衝部材をさらに備えてもよい。
【0016】
車両載置用パレットは、前記一対のガイド部の少なくとも一方に設置され、前記ベース部と前記パレット部材とに着脱可能に取り付けられる車止めをさらに備えてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記車両載置用パレットを備える駐車装置が提供される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、車両を載置可能であり、前記車両の車輪によって踏圧される一対のガイド部を有するベース部に、少なくとも前記一対のガイド部を覆うパレット部材を着脱可能に取り付ける、ことを含む、駐車装置の製造方法が提供される。
【0019】
前記パレット部材は、複数のパーツに分割されており、前記パレット部材を着脱可能に取り付けることは、前記複数のパーツを個別に前記ベースに取り付けること、を含んでもよい。
【0020】
前記ベース部は、前記一対のガイド部の間に設けられる中央部、をさらに有し、前記パレット部材は、前記一対のガイド部をそれぞれ覆う、第1パレット部材及び第2パレット部材と、前記中央部と覆う第3パレット部材と、を有し、前記ベース部上に前記パレット部材を着脱可能に取り付けることは、前記第3パレット部材によって前記第1パレット部材と前記一対のガイド部の一方との間を覆い、且つ前記第3パレット部材によって前記第2パレット部材と前記一対のガイド部の他方との間を覆うように取り付ける、ことを含んでもよい。
【0021】
前記パレット部材は、ボルトを使用して前記ベース部に取り付けられてもよい。
【0022】
前記ベース部と前記パレット部材との間に防水部材と取り付けること、をさらに含んでもよい。
【0023】
駐車装置の製造方法は、前記ベース部と前記パレット部材との間に緩衝部材をとりつけること、をさらに含んでもよい。
【0024】
駐車装置の製造方法は、前記一対のガイド部の少なくとも一方に、車止めを前記ベース部と前記パレット部材とに着脱可能に取り付けること、をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態によれば、メンテナンスが容易であり、且つ安定した品質の保証が可能なパレット及びそれを備える駐車装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る駐車装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るパレット部材の一例を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るパレット部材の一例を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るパレットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0028】
尚、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0029】
また、本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含む。すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0030】
<第1実施形態>
[駐車装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車装置の概略側面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の主な構成を示す。
【0031】
駐車装置100は、支柱102により主構造体が構成され、主構造体の中に車両Vを載置するパレット104が設置されている。
【0032】
パレット104は、昇降機106により支柱102に沿って昇降可能に設けられている。また、パレット104は、車体横方向(
図1における紙面奥行き方向)に沿って移動可能であってもよい。
【0033】
主構造体の中でパレット104は、複数の車両Vを縦方向に積み重ねたとき、車両同士が干渉しない間隔をもって設けられている。これにより、支柱102により形成される主構造体は、縦方向に複数段に積み重なった駐車空間を形成している。
【0034】
駐車装置100は、制御装置110を介して操作盤112により操作される。操作盤112は、駐車装置100の外側に設けられている。
図1においては、駐車装置100の入出庫口(図右側下部)の近くの支柱102に操作盤112が取り付けられている例を示している。
【0035】
利用者は、駐車装置100の外側から操作盤112を操作して制御装置110に指示することにより、制御装置110が所望のパレット104を入出庫口まで移動させることができる。
【0036】
駐車装置100の入出庫口に設けられるゲート108は、操作盤112の操作を通じて制御装置110により開閉を行うことができる。
【0037】
ゲート108は、車両Vを入出庫するために開けた場合以外は閉じられ状態となっている。したがって、パレット104が移動するとき、ゲート108は閉じられた状態になっている。ゲート108が閉じられていることにより、通常は駐車装置100の装置内に人が入れないようになっている。
【0038】
縦方向に複数段に積み重なった駐車空間を形成し立体的に車両Vを収納して駐車させる駐車装置100では、パレット104が昇降することで、所望のパレット104を入出庫口へ移動させて車両の出し入れを行う。
【0039】
所望のパレット104を入出庫口まで移動させる動作にはいくつかの方式がある。例えば上段のパレット104に駐車された車両を出庫させるために下段のパレット104を地下ピットに沈み込ませる方式、下段又は上段のパレット104を車体横方向(
図1の紙面奥行き方向)にスライドさせて上段のパレット104を下段のパレット104が存在しない空間に降下させる方式、あるいはこれらを組み合わせた方式などが採用されている。
【0040】
図1では、1階から上階に向かって駐車空間PS1、PS2、PS3、PS4が設けられている態様を示している。また、駐車空間PS1の横方向(
図1の紙面奥方向)には駐車空間PS5(図示せず)が、さらに、その横方向(
図1の紙面奥方向)には駐車空間PS9(図示せず)が、設けられている。
【0041】
駐車空間PS1~PS9には、パレットの番号P1~P9のパレット104がそれぞれ備えられている。このとき、上段にある駐車空間PS4にあるパレット104を降下させ車両Vを入出庫するには、下段の駐車空間PS1、PS2、PS3のパレット104が障害となる。この場合、駐車空間PS9のパレット104を上昇させ、駐車空間PS1~PS3と駐車空間PS5~PS7とのパレット104を横方向にスライドさせると、障害物がなくなるため、駐車空間PS4のパレット104を入出庫口まで降下させることが可能となる。
【0042】
[パレットの構成]
図2は、駐車装置100のパレット104の構成を示す斜視図である。
図3は、
図2に示したパレット104の分解斜視図である。パレット104は、ベース部201と、ベース部201上に設置されたパレット部材202とを含む。パレット部材202は、第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207とを備える。
【0043】
ベース部201は、金属部材からなる。ベース部201は、車両の車輪が進入する際に踏圧され、車輪をガイドする左右一対のガイド部303a、303bと、該ガイド部303aと303bとの間で突出する中央凸部301と、ガイド部303a、303bの外端部から延長され、ガイド部303a、303bに対して所定の角度で傾斜する側壁部305a、305bと、該側壁部305a、305bからそれぞれ延長され、ガイド部303a、303bに対して略水平な縁部307a、307bとを含む。ガイド部303a、303bに対する側壁部305の角度は特に限定されない。
図2及び
図3では、側壁部305a、305bがガイド部303a、303bに対して鈍角で傾斜している例を示している。尚、側壁部305a、305bは、ガイド部303a、303bに対して直角であってもよい。中央凸部301、ガイド部303a、303b、側壁部305a、305b及び縁部307a、307bは、一体に形成されている。ベース部201には、昇降時に利用される機能部品又は横行時に利用される機能部品が取付けられていてもよい。
【0044】
第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207は、着脱自在にベース部201に取り付けられる。第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207はベース部201にボルト及びナット等でそれぞれ固定される。第1パレット部材203、第2パレット部材205、及び第3パレット部材207は、それぞれめっき鋼板などの金属板から形成される。金属板の厚さは、約3mm程度であってもよい。尚、ベース部201とパレット部材202との区別を明確にするために、
図2においては、ベース部201とパレット部材202と若干離れた状態で示されているが、パレット104を実際に使用する場合は、ベース部201とパレット部材202とが隙間なく接合されていることが好ましい。
【0045】
第1パレット部材203は、ベース部201のガイド部303a上に配置される。第1パレット部材203は、ガイド部303aを覆うレール部308と、ベース部201の側壁部305aを覆う側壁部309と、ベース部201の縁部307aを覆う縁部311と、中央凸部301の斜面302aを覆う側部313とを有する。
【0046】
第2パレット部材205は、ベース部201のガイド部303b上に配置される。第2パレット部材205は、ガイド部303bを覆うレール部314と、ベース部201の側壁部305bを覆う側壁部315と、ベース部201の縁部307bを覆う縁部317と、中央凸部301の斜面302bを覆う側部319とを有する。
【0047】
第3パレット部材207は、ベース部201の中央凸部301上に配置される。第3パレット部材207は、中央凸部301を覆う凸部320と、中央凸部301の斜面302aと重複する斜面321と、中央凸部301の斜面302bと重複する斜面323とを有する。
【0048】
第3パレット部材207の斜面321は、中央凸部301の斜面302aを覆う第1パレット部材203の側部313を覆う。同様に、第3パレット部材207の斜面323は、中央凸部301の斜面302bを覆う第2パレット部材205の側部319を覆う。第3パレット部材207の斜面321が第1パレット部材203の側部313を覆い、第3パレット部材207の斜面323が第2パレット部材205の側部319を覆うことにより、パレット104に載置される車から落ちる水滴等がベース部201に侵入することを防止することができ、ベース部201に錆が発生することが防止される。パレット104に載置される車から落ちる水滴等は、パレット部材202の表面から外部に排出される。
【0049】
第1パレット部材203のレール部308、第2パレット部材205のレール部314には、車両の左右の車輪のいずれか一方がそれぞれ載置される。第1パレット部材203及び第2パレット部材205の少なくとも一方には、車止め209が設けられてもよい。
図2に示すように、車止め209は、第2パレット部材205の側壁部315及びベース部201の側壁部305bにボルト及びナット等により着脱可能に取り付けられることができる。本実施形態において、車止め209は第2パレット部材205に設けられている例を示しているが、これに限定されない。車止め209は、第1パレット部材203及び第2パレット部材205の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0050】
また、車止め209の手前側に段差211が取り付けられていてもよい。
図2に示すように、段差211は、両面テープ等により、第1パレット部材203のレール部314に固定されることができる。本実施形態において、段差211は、第2パレット部材205に設けられている例を示しているが、これに限定されない。段差211は、第1パレット部材203及び第2パレット部材205の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0051】
第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207をベース部201に取り付ける際、凸部320、斜面321、斜面323、縁部311、縁部317において、第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207をベース部201にボルト留めすることが好ましい。凸部320、斜面321、斜面323、縁部311、縁部317は、車両の左右の車輪から落ちる水滴が届き難いため、凸部320、斜面321、斜面323、縁部311、縁部317において第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207をベース部201にボルト留めすることにより、ベース部201に水が侵入することを効率的に防止することができる。
【0052】
本実施形態において、経年によりパレット104の表面が摩耗又は損傷したり、錆等が発生した場合は、ベース部201に取付けられたパレット部材202を取り外し、新しいパレット部材202に交換する。これにより、パレット104全体を交換する必要がなく、損傷部分にプレートを溶接して取り付ける補修を行う必要もないため、容易にメンテナンスを行うことが可能であり、安定した品質を保証することができる。また、パレット部材202の交換によりパレット104の補修が可能であるため、交換作業を短時間で終了させることができる。尚、車止め209は、パレット部材202を交換する際、交換対象のパレット部材202から一旦取り外されて、新しいパレット部材202に再度取り付けられ、繰り返し使用することができる。
【0053】
本実施形態においては、パレット部材202は、3つのパーツ(第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207)に分割されている。パレット部材202が複数の部材に分かれていることにより、パレット部材202の交換時において施工が容易になる。しかしながら、パレット部材202は、第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207のうち少なくとも2つが一体形成されていてもよい。
【0054】
例えば、
図4に示すように、パレット部材202は、第1パレット部材203A及び第2パレット部材205から構成されてもよい。第1パレット部材203Aは、
図3に示した第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207のうち、第1パレット部材203と第3パレット部材207とが一体で形成された構成を有する。また、図示はしないが、第2パレット部材205と第3パレット部材207とが一体で形成されていてもよい。或は、
図5に示すように、パレット部材202は、
図3に示した第1パレット部材203、第2パレット部材205及び第3パレット部材207が一体で形成された構成を有していてもよい。パレット部材202のパーツの数、及び分割位置は特に限定されない。尚、
図4及び
図5において、
図3に示した構成と同一又は類似の構成については、
図3で用いた参照番号と同一の参照番号を付した。
【0055】
パレット部材202が複数のパーツに分割されている場合、表面が摩耗又は損傷したり、錆等が発生したパーツのみを交換し、補修することができる。例えば、車両の車輪に付着した水分や異物などにより、パレット部材202の第1パレット部材203及び第2パレット部材205に錆が発生したり、損傷した場合、ベース部201に取り付けられた第1パレット部材203及び第2パレット部材205のみを取り外し、新規の第1パレット部材203及び第2パレット部材205に交換してもよい。この場合、第3パレット部材207は繰り返し使用することができる。
【0056】
また、元々パレット部材がなく、ベース部のみがパレットを構成している駐車装置において、本実施形態のパレット部材202を新たに取り付けて、パレットの強度と品質を向上させることが可能である。この場合、パレットに元々取り付けられている車止めや段差を取り外し、パレットに本実施形態のパレット部材202を固定した後、車止めや段差を再度パレットに取り付ける。
【0057】
<第2実施形態>
以上に説明した第1実施形態では、パレット部材202をベース部201上に配置することにより、パレット104に載置される車両から落ちる水滴等がベース部201に接触することを防止している。本実施形態では、ベース部201とパレット部材202との間に防水部材を設ける場合について説明する。
【0058】
図6は、本実施形態に係る駐車装置100Aのパレット104Aの分解斜視図である。尚、駐車装置100A及びパレット104Aの概略は、
図1及び
図2に示した第1実施形態に係る駐車装置100及びそのパレット104と略同一であるため、詳細な説明は省略する。また、
図6において、パレット104の構成と同一又は類似の構成については、
図3に示した参照番号と同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0059】
図6に示すように、本実施形態に係るパレット104Aにおいては、ベース部201とパレット部材202との間に防水部材401a、401bが設置される。防水部材401aは、ベース部201のガイド部303a全面を覆うように配置される。防水部材401bは、ベース部201のガイド部303b全面を覆うように配置される。
【0060】
防水部材401a、401bは、防水性を有する材料から構成される。例えば、防水部材401a、401bは、シート状のウレタン樹脂から構成されていてもよい。防水部材401a、401bは、ベース部201とパレット部材202との間に、ベース部201及びパレット部材202に密着するように配置される。
【0061】
パレット104Aを補修する際に、ベース部201に取付けられたパレット部材202を取り外し、新しいパレット部材202(第1パレット部材203、第2パレット部材205、及び第3パレット部材207)に交換するとともに、元々設置されていた防水部材401a、401bを取り外して新しい防水部材401a、401bに交換することができる。防水部材401a、401bは、パレット部材202がベース部201にボルトなどで固定される際に、同時に固定される。
【0062】
ベース部201とパレット部材202との間に防水部材401a、401bを設けることにより、パレット104Aに載置される車両から落ちる水滴等がベース部201に侵入することを効果的に防止することができ、ベース部201における錆の発生を防止することができる。また、ベース部201とパレット部材202との間に防水部材401a、401bを設けることにより、ベース部201の表面を保護し、パレット104A自体の強度を維持することができ、駐車装置の安定した品質を保証することができる。
【0063】
本実施形態では、防水部材401aがベース部201のガイド部303a上全体に配置され、防水部材401bがベース部201のガイド部303b上全体に配置される例を示した。しかしかしながら、これに限定されず、例えば、防水部材401a、401bは、ベース部201上全体に配置されてもよい。また、防水部材401a、401bは、パレット部材201の各パーツが重複する部分の周辺部に配置されてもよい。具体的には、第1パレット部材203と第3パレット部材207とが重複する、中央凸部301の斜面302aと該斜面302aに隣接するガイド部303aの端部に防水部材401aが設けられてもよい。また、第2パレット部材205と第3パレット部材207とが重複する、中央凸部301の斜面302bと該斜面302bに隣接するガイド部303bの端部に防水部材401bが設けられてもよい。
【0064】
本実施形態では、ベース部201とパレット部材202との間に防水性を有する防水部材401a、401bが設置される場合を説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、防水部材401a、401bの代わりにベース部201とパレット部材202との間に緩衝部材が設置されてもよい。緩衝部材は、ベース部201とパレット部材202との間の隙間を埋められるのであれば、材料は特に限定されない。緩衝部材をベース部201とパレット部材202との間に設置することにより、パレット104Aに載置される車両から落ちる水滴等がベース部201に侵入することを防止することができる。また、緩衝部材は、車両の踏圧からベース部201を保護する衝撃吸収部材として機能してもよい。尚、このような緩衝部材は、防水性を有していてもよい。また、防水部材401a、401bと緩衝部材が併用されてもよい。
【0065】
本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
100…駐車装置、102…支柱、104,104A…パレット、106…昇降機、108…ゲート、110…制御装置、112…操作盤、201…ベース部、202…パレット部材、203…第1パレット部材、205…第2パレット部材、207…第3パレット部材、301…中央凸部、302a,302b…斜面、303a,303b…ガイド部、305a,305b…側壁部、307a,307b…縁部、308,314…レール部、309,315…側壁部、313,319…側部、320…中央凸部、321,323…斜面、401a,401b…防水部材