IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニ・チャーム株式会社の特許一覧

特許7223673ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法
<>
  • 特許-ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法 図1
  • 特許-ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法 図2
  • 特許-ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法 図3
  • 特許-ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法 図4
  • 特許-ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019203979
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2020188749
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2019094871
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松原 大介
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/077737(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/132886(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0249681(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106688930(CN,A)
【文献】中国実用新案第205409084(CN,U)
【文献】特開2015-029467(JP,A)
【文献】特開2000-333549(JP,A)
【文献】特開2012-205561(JP,A)
【文献】マリンママ,オムツ,タッチとみなみのしっぽ,2016年02月25日,[2022年10月19日検索],インターネット<URL:http://tmmtail.blog.fc2.com/blog-entry-182.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 11/00 - 29/00
A01K 33/00 - 37/00
A01K 41/00 - 59/06
A01K 67/00 - 67/04
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの胴回り方向に沿って配置される胴回り方向と、
前記胴回り方向と直交し、前記ペットの腹側から背側を繋ぐ方向に延びる交差方向と、
表面シート、裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収コアを有する本体部と、
前記ペットの尻尾を挿通可能な尻尾穴部と、を有する、ペット用おむつであって、
前記ペット用おむつは、前記尻尾穴部の位置を指標する尻尾目印部を有し、
前記尻尾目印部は、体液の接触によって呈色反応を示すインジケーター及び印刷された印刷部の少なくとも一方であり、
前記ペット用おむつの前記裏面シートには、前記尻尾目印部と、前記尻尾目印部と異なるデザインの装飾部と、が印刷されている、ペット用おむつ。
【請求項2】
前記ペット用おむつの平面視において、前記尻尾目印部と前記尻尾穴部との最小間隔は、前記尻尾穴部の最大寸法以下である、請求項1に記載のペット用おむつ。
【請求項3】
前記ペット用おむつの平面視において、前記尻尾目印部の少なくとも一部は、前記尻尾穴部と重なる領域に配置されている、請求項1又は請求項2に記載のペット用おむつ。
【請求項4】
前記尻尾目印部は、前記ペット用おむつの装着方向を指標する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のペット用おむつ。
【請求項5】
前記尻尾穴部は、前記ペットの尻尾を挿通可能な貫通穴と、前記貫通穴の寸法を拡大するための切り込み部と、を有しており、
前記尻尾目印部は、前記切り込み部の位置を指標する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のペット用おむつ。
【請求項6】
前記切り込み部は、第1切り込み部と、前記第1切り込み部よりも前記貫通穴から離れた側に位置する第2切り込み部と、を有し、
前記尻尾目印部は、前記第1切り込み部の位置を指標する第1尻尾目印部と、前記第2切り込み部の位置を指標する第2尻尾目印部と、を有する、請求項5に記載のペット用おむつ。
【請求項7】
前記第1尻尾目印部は、前記第1切り込み部の操作順序を示し、
前記第2尻尾目印部は、前記第2切り込み部の操作順序を示す、請求項6に記載のペット用おむつ。
【請求項8】
前記尻尾目印部は、前記切り込み部の操作方向を示す、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のペット用おむつ。
【請求項9】
前記尻尾目印部は、装着対象のペットを示すデザインを有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のペット用おむつ。
【請求項10】
シート材が連続した連続シート体を搬送するシート搬送工程と、
前記連続シート体に尻尾目印部を付与する目印付与工程と、
前記尻尾目印部を有する前記連続シート体に対して吸収コアを積層するコア積層工程と、を有し、
前記コア積層工程では、前記連続シート体の前記尻尾目印部の位置を検出し、当該尻尾目印部の位置に基づいて前記吸収コアの積層位置を調整し、
前記コア積層工程では、
前記連続シート体の送り出し量を調整することによって、前記連続シート体と前記吸収コアの搬送方向における位置を調整し、
前記搬送方向と直交する直交方向における前記連続シート体の側端に接する調整機構によって前記連続シート体の前記直交方向における位置を調整する、ペット用おむつの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫などのペットに装着されるペット用おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペット用おむつが開示されている。特許文献1のペット用おむつは、ペットの腹側に当てられる腹当て部と、ペットの背側に当てられる背当て部と、背当て部において尻尾を挿通させるための尻尾穴部と、腹当て部に設けられたファスナーテープと、を有する。特許文献1のペットおむつを装着する際は、尻尾穴部に尻尾を通しつつ、ペットの腹側に腹当て部を当てるとともに背側に背当て部を当てて、ファスナーテープを背当て部に止める(特許文献1の図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-210062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のペット用おむつは、以下の問題があった。
尻尾穴部は、本体部全体に対して小さく、使用者によっては、尻尾穴部の存在に気づかずに、装着してしまうことがあった。また、尻尾穴部の存在に気づかないことにより、本体部の装着方向や位置を間違えてしまうことがあり、適切な位置に装着できないことがあった。
【0005】
よって、尻尾穴部を有し、適切な位置に装着可能なペット用おむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係るペット用おむつは、ペットの胴回り方向に沿って配置される胴回り方向と、前記胴回り方向と直交し、ペットの腹側から背側を繋ぐ方向に延びる交差方向と、表面シート、裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収コアを有する本体部と、前記ペットの尻尾を挿通可能な尻尾穴部と、を有する、ペット用おむつであって、前記ペット用おむつは、前記尻尾穴部の位置を指標する尻尾目印部を有する。
【0007】
一態様に係るペット用おむつの製造方法は、シート材が連続した連続シート体を搬送するシート搬送工程と、前記連続シート体に尻尾目印部を付与する目印付与工程と、前記尻尾目印部を有する前記連続シート体に対して吸収コアを積層するコア積層工程と、前記コア積層工程は、前記連続シート体の前記尻尾目印部の位置を検出し、当該尻尾目印部の位置に基づいて前記吸収コアの積層位置を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るペット用おむつの肌面側から見た平面図である。
図2】第1実施形態に係るペット用おむつの非肌面側から見た平面図である。
図3図1に示すA-A線に沿ったペット用おむつの模式的断面図である。
図4】第1実施形態に係るペット用おむつの着用状態を模式的に示した図である。
図5】第2実施形態から第5実施形態に係るペット用おむつの非肌面側から見た平面図である。
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係るペット用おむつは、ペットの胴回り方向に沿って配置される胴回り方向と、前記胴回り方向と直交し、ペットの腹側から背側を繋ぐ方向に延びる交差方向と、表面シート、裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収コアを有する本体部と、前記ペットの尻尾を挿通可能な尻尾穴部と、を有する、ペット用おむつであって、前記ペット用おむつは、前記尻尾穴部の位置を指標する尻尾目印部を有する。
【0010】
本態様によれば、使用者は、尻尾目印部に基づいて尻尾穴部の存在を気づき、尻尾穴部に尻尾を挿通しておむつを装着できる。また、尻尾穴部に尻尾を通しておむつを装着することにより、おむつのフィット性を高めることができる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記ペット用おむつの平面視において、前記尻尾目印部と前記尻尾穴部と最小間隔は、前記尻尾穴部の最大寸法以下であってよい。本態様によれば、使用者は、尻尾目印部と尻尾穴部の両方を一度に視認しやすくなり、尻尾目印部によって尻尾穴部の存在を気づきやすくなる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記ペット用おむつの平面視において、前記尻尾目印部の少なくとも一部は、前記尻尾穴部と重なる領域に配置されてよい。本態様によれば、使用者は、尻尾目印部と尻尾穴部の両方を一度に視認しやすくなり、尻尾目印部によって尻尾穴部の存在をより気づき易くなる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記尻尾目印部は、前記ペット用おむつの装着方向を指標してよい。本態様によれば、尻尾目印部がペット用おむつの装着方向を指標することにより、使用者がおむつの適切な装着方向を把握でき、正しい方向で装着することができる。また、誤った方向で装着した場合であっても、装着後に尻尾目印部を視認して、正しい方向に直すことができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記尻尾穴部は、前記ペットの尻尾を挿通可能な貫通穴と、前記貫通穴の寸法を拡大するための切り込み部と、を有しており、前記尻尾目印部は、前記切り込み部の位置を指標してよい。本態様によれば、使用者は、尻尾目印部に基づいて尻尾穴部の切リ込み部の存在を気づき、必要に応じて切り込み部によって貫通穴の寸法を大きくすることができる。ペットの尻尾の大きさや形状に応じて適切な貫通穴を形成することで、おむつを適切な位置に装着できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記切り込み部は、第1切り込み部と、前記第1切り込み部よりも前記貫通穴から離れた側に位置する第2切り込み部と、を有し、前記尻尾目印部は、前記第1切り込み部の位置を指標する第1尻尾目印部と、前記第2切り込み部の位置を指標する第2尻尾目印部と、を有してよい。本態様によれば、使用者は、複数の切り込み部の存在を気づくことができ、個々のペットに適したサイズに貫通穴の大きさを調整することができる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記第1尻尾目印部は、前記第1切り込み部の操作順序を示し、前記第2尻尾目印部は、前記第2切り込み部の操作順序を示してよい。本態様によれば、使用者は、切り込み部の操作順序を把握でき、操作によって段階的に貫通穴の寸法を大きくし、個々のペットに適したサイズに貫通穴の大きさを調整することができる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記尻尾目印部は、前記切り込み部の操作方向を示してよい。本態様によれば、使用者は、切り込み部の操作方向を把握でき、操作によって貫通穴の寸法を大きくし、個々のペットに適したサイズに貫通穴の大きさを調整することができる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記ペット用おむつの前記裏面シートには、前記尻尾目印部と、前記尻尾目印部と異なるデザインの装飾部と、が印刷されてよい。本態様によれば、装飾部によっておむつ全体の装飾性を高めつつ、尻尾目印部によって尻尾穴部の存在を気づかせることができる。また、装飾部と目印部のデザインが異なるため、使用者は、両者を区別して認識し易い。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記尻尾目印部は、装着対象のペットを示すデザインを有してよい。本態様によれば、使用者は、尻尾目印部によって、装着対象のペットを把握することができる。
【0020】
一態様に係るペット用おむつの製造方法は、シート材が連続した連続シート体を搬送するシート搬送工程と、前記連続シート体に尻尾目印部を付与する目印付与工程と、前記尻尾目印部を有する前記連続シート体に対して吸収コアを積層するコア積層工程と、前記コア積層工程は、前記連続シート体の前記尻尾目印部の位置を検出し、当該尻尾目印部の位置に基づいて前記吸収コアの積層位置を調整する。
【0021】
本態様によれば、尻尾目印部と吸収コアの相対位置を一定に保つことができる。よって、尻尾目印部を基準としておむつを装着した際に、個々のおむつによって吸収コアの装着位置がずれることを抑制できる。おむつ全体における尻尾目印部の位置ずれを抑制することにより、尻尾目印部と尻尾穴部の相対位置の精度を向上できる。
【0022】
(2)ペット用おむつの構成
以下、図面を参照して、実施形態に係るペット用おむつについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0023】
本明細書において、「ペット」は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、猫、犬、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。本実施の形態のペット用おむつは、犬用のおむつである。なお、変形例において、猫用のおむつであってよい。
【0024】
図1は、第1実施形態に係るペット用おむつの肌面側からから見た平面図である。図2は、第1実施形態に係るペット用おむつの非肌面側からから見た平面図である。図3は、図1に示すA-A線に沿ったペット用おむつの模式的断面図である。図1及び図2では、ペット用おむつ1を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。また、図3に示す断面図では、説明の便宜上、各部材を厚み方向Tにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚み方向Tに接している。図4は、ペット用おむつの着用状態を模式的に示した図である。
【0025】
ペット用おむつは、ペットの胴回り方向に沿って配置される胴回り方向Wと、胴回り方向Wと直交する交差方向Zと、胴回り方向W及び交差方向Zと直交する厚み方向Tと、を有する。交差方向Zは、ペットの縦方向、すなわち股下側から股下から離れる側を繋ぐ方向に延びる。厚み方向Tは、着用状態においてペットに当てられる表面側T1と、着用状態において外側に向けられる裏面側T2と、に延びる。図4に示すように、第1実施形態に係るペット用おむつは、ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように装着される。
【0026】
ペット用おむつ1は、本体部2と、接合部40と、を有する。本体部2は、胴回り方向Wの一端部である本体第1端部61と、胴回り方向Wの他端部である62と、交差方向Zの一端部である本体第3端部63と、交差方向Zの他端部である本体第4端部64と、を有してよい。本体第1端部61は及び本体第2端部62には、後述するファスニングテープ90が接合されている。本体第3端部63は、装着状態においてペットの背側に配置される。本体第4端部64は、本体第3端部63と対向しており、装着状態においてペットの腹側に配置される。また、本発明における端部は、端縁を含む一定の範囲を占める部分である。本体第1端部61は、本体部2の胴回り方向Wの一端縁である第1端縁61Eから胴回り方向Wの内側に延びる部分である。同様に、本体第2端部62は、本体部2の胴回り方向Wの他端縁である第2端縁62Eから胴回り方向Wの内側に延びる部分である。本体第1端部及び本体第2端部62は、本体部2の胴回り方向Wの端縁と吸収コア30の胴回り方向Wの端縁との間の領域であってよい。また、本体第3端部63は、本体部2の交差方向Zの一端縁である第3端縁63Eから交差方向Zの内側に延びる部分である。同様に、本体第4端部64は、本体部2の交差方向Zの他端縁である第4端縁64Eから交
差方向Zの内側に延びる部分である。本体第3端部63及び本体第4端部64は、本体部2の交差方向Zの端縁と吸収コア30の交差方向Zの端縁との間の領域であってよい。また、本体第4端部64は、本体部2の交差方向Zの端縁と吸収コア30の交差方向Zの端縁との間の領域であってよいし、本体部2の交差方向Zの端縁と後述する尻尾穴部70との間の領域であってもよい。
【0027】
ペット用おむつ1は、本体部2と、接合部40と、を有する。本体部2は、表面シート10、裏面シート20、及び吸収コア30を少なくとも有する。表面シート10は、本体部2においてペットに当てられる内面2Pに配置されている。表面シート10は、体液を吸収コア30側に透過させる液透過性を有する。表面シート10は、交差方向Zの中央に位置し、吸収コア30を覆うセンターシート11と、センターシート11の胴回り方向Wの両側部を覆うサイドシート12と、を有してよい。
【0028】
図3に示すように、サイドシート12は、折り畳まれていてよい。具体的には、サイドシート12の胴回り方向Wの内側縁において裏面側T2に折り返されている。折り返されたサイドシート12間に、交差方向Zに伸長された状態のサイド伸縮性部材13が配置されてよい。サイド伸縮性部材13は、ペット側に起立する防漏ギャザーを構成してよい。
【0029】
吸収コア30は、表面シート10と裏面シート20の間に配置されている。吸収コア30は、パルプ等の吸収材料が積層されている。図3に示すように、吸収コア30を覆うコアラップ32が設けられていてよい。吸収コア30は、胴回り方向Wにおいて本体部2の両端縁よりも内側に配置されている。すなわち、吸収コア30の胴回り方向Wの長さは、本体部2の胴回り方向Wの長さよりも短い。吸収コア30は、本体部2の胴回り方向Wの中央に配置され、本体部2の胴回り方向Wの外側部には設けられていない。また、吸収コア30は、交差方向Zにおいて本体部2の両端縁よりも内側に配置されてよい。すなわち、吸収コア30の交差方向Zの長さは、本体部2の交差方向Zの長さよりも短くてよい。吸収コア30は、本体部2の交差方向Zの中央に配置され、本体部2の交差方向Zの外側部には設けられていなくてよい。また、吸収コア30及びコアラップ32には、印刷部が設けられてよい。印刷部は、尻尾目印部51を構成してよい。
【0030】
裏面シート20は、本体部2において着用時に外側に位置する外面2Qに配置されている。裏面シート20は、液不透過性の裏面フィルム21と、裏面フィルム21よりも裏面側に位置する裏面不織布22と、を有してよい。なお、変形例において、裏面シートは、液不透過性の裏面フィルムと、裏面フィルム21よりも内面側に位置する裏面不織布と、を有してよい。裏面フィルム21の表面側T1の面には、体液の接触によって呈色反応を示すインジケータと、印刷部が設けられてよく、裏面フィルム21の裏面側T2の面には、印刷部が設けられてよい。インジケータ及び印刷部の少なくとも一方は、尻尾目印部51を構成してよい。裏面フィルム21の交差方向Zの長さは、裏面不織布22の交差方向Zの長さよりも短くてよい。すなわち、裏面不織布22は、裏面フィルム21よりも交差方向Zの両側に延出してよい。
【0031】
接合部40は、本体部2の交差方向Zの一端部である本体第3端部63において、本体部2よりも胴回り方向Wの両外側に延出している。より詳細には、接合部40は、本体第3端部63において、本体部2の第1端縁61E及び第2端縁62Eよりも胴回り方向Wの外側に延出したファスニングテープ90に設けられている。接合部40は、ファスニングテープ90の表面側T1の面に配置されている。接合部40は、メカニカルファスナであってよく、本体部2の外面2Qにもうけられたターゲット部45に接合可能に構成されている。なお、変形例において、本体部は、ターゲット部を備えず、接合部40は、本体部2の外面2Q側の裏面シートに接合するように構成されてよい。変形例において、接合部40Xは、本体第4端部64において、本体部2Xよりも胴回り方向Wの両外側に延出てもよい。
【0032】
ペット用おむつ1は、ペットの尻尾を挿入可能な尻尾穴部70が設けられてよい。尻尾穴部70は、ペットの尻尾を挿通可能な貫通穴70Xと、貫通穴の寸法を拡大するための切り込み部70Yと、を有する。尻尾穴部70を有するおむつにあっては、着用時の本体部2の交差方向Zの他端部によってペットの臀部及び背中を覆う際に、尻尾穴部70の貫通穴70Xにペットの尻尾を挿通させてよい。貫通穴70Xは、半円形の切り込みであってよい。切り込み部70Yは、ミシン目等、表面シート10及び裏面シート20を引き裂き可能な構成であってよく、ペットの種類及び成長過程に応じて貫通穴70Xの寸法を調整できる。本実施の形態の切り込み部は、尻尾穴部70の胴回り方向の中心に対する左右それぞれに1個ずつ設けられている。しかし、他の形態において、切り込み部は、尻尾穴部70の胴回り方向の中心に対する左右それぞれに2個以上ずつ設けられていて、複数段階で尻尾穴部70の寸法を調整できるように構成されてよい。
【0033】
ペット用おむつ1を装着する際は、本体第3端部63(接合部40が設けられた側の端部)をペットの腹に当てる。このとき、本体部2の交差方向Zの他端部を、ペットの両足の間を通し、かつペットの後側に出しておく。そして、本体部2の交差方向Zの中央をペットの排泄口に当てつつ、ペットの尻尾を、尻尾穴部7070を通しておむつの裏面側に出しておく。本体第4端部64によってペットの臀部及び背中を覆う。次いで、接合部40をペットの背中側に引っ張り、背中側に位置する本体第4端部64のターゲット部45に外面に止める。これにより、図4に示すように、ペットの腹、背中、及び股下を覆うようにペット用おむつ1を装着できる。すなわち、ペット用おむつ1は、ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように装着される。
【0034】
次いで、尻尾目印部51について説明する。尻尾目印部51は、尻尾穴部70の位置を指標する。尻尾目印部51は、ペット用おむつの裏面シート側(外面側)から視認可能に構成されている。ペット用おむつの裏面シート側は、着用状態で外側に位置しておりペットにおむつを当てる際のみならず、ペットにおむつを当てた後でも視認可能である。装着操作の過程のみならず、装着操作後にも尻尾穴部70の位置を指標できる。使用者は、尻尾目印部51に基づいて尻尾穴部70の存在を気づき、尻尾穴部70に尻尾を挿通しておむつを装着できる。また、尻尾穴部70に尻尾を通しておむつを装着することにより、おむつのフィット性を高めることができる。加えて、尻尾穴部70に尻尾を通しておむつを装着することにより、本体部の方向を適切に配置でき、適切な位置に装着できる。
【0035】
なお、本発明における「視認可能」とは、昼白色(色温度目安 4600~5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750 lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する被験者が対象物を見たときに視認できることを意味している。
【0036】
尻尾目印部51は、尻尾穴部70の周囲の領域に配置されてよい。ペット用おむつの平面視において、尻尾目印部51と尻尾穴部70と最大間隔Gmaxは、尻尾穴部70の最大寸法以下であってよい。使用者は、尻尾目印部51と尻尾穴部70の両方を一度に視認しやすくなり、尻尾目印部51によって尻尾穴部70の存在を気づきやすくなる。より好適には、尻尾目印部51と尻尾穴部70と最小間隔Gminは、尻尾穴部70の最大寸法70M以下であってよい。または、尻尾穴部60と尻尾目印部51の最小間隔Gminが20mmであってもよい。好適には、尻尾穴部60と尻尾目印部51の最大間隔が20mmであ
ってもよい。使用者は、尻尾目印部51と尻尾穴部70の両方を一度により視認しやすくなり、尻尾目印部51によって尻尾穴部70の存在を気づきやすくなる。尻尾穴部70の最大寸法は、平面視の最大寸法であればよく、胴回り方向の寸法であってもよいし、交差方向の寸法であってもよいし、胴回り方向に対して傾斜する方向の寸法であってもよい。
【0037】
尻尾目印部51は、尻尾穴部70と重なる領域に配置されてよい。尻尾穴部70と重なる領域は、尻尾穴部70の外形を繋いだラインよりも内側の領域であり、図1において斜線を付して示す。使用者は、尻尾目印部51と尻尾穴部70の両方を一度により視認しやすくなり、尻尾目印部51によって尻尾穴部70の存在をより気づきやすくなる。
【0038】
尻尾目印部51は、ペット用おむつの装着方向を指標してよい。装着方向は、具体的には、着用時における上下方向及び左右方向を例示できる。図2において、着用時に上側に向けられる上方向Uと、着用時に下側に向けられる下方向Dと、を示す。ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように装着される形態にあっては、使用者が、腹側に当てる領域と背側に当てる領域を正確に区別できずに、腹側と背側を間違えて装着してしまうおそれがある。しかし、尻尾目印部51がペット用おむつの装着方向を指標することにより、装着時におむつの装着方向を示すことができ、正しい方向で装着することができる。また、誤った方向で装着した場合であっても、装着後に尻尾目印部51を視認して、正しい方向に直すことができる。
【0039】
装着方向を指標する尻尾目印部51は、上下方向を有するデザインによって方向を示してもよいし、上下方向を有する文字、数字、及び記号によって方向を示してよい。正しい方向でおむつを装着することにより、デザインが正しい方向に配置されたり、文字が正しい方向に配置されたりすることにより、おむつの装着方向を示すことができる。本実施の形態の尻尾目印部51は、リボンのデザインを有しており、結び目から放射状に延びる2つの輪が上側に位置し、結び目から垂れる部分が下側に位置した状態が正しい方向となる。リボンのデザインによって正しい装着方向を示すことができる。
【0040】
ペット用おむつの裏面シートには、尻尾目印部51と、尻尾目印部51と異なるデザインの装飾部75と、が印刷されてよい。装飾部は、尻尾目印部51以外のデザインを有する部分であり、図柄や模様を有するデザインのみならず、色のみからなる背景色を含む。装飾部によっておむつ全体の装飾性を高めつつ、尻尾目印部51によって尻尾穴部70の存在を気づかせることができる。また、装飾部と尻尾目印部51のデザインが異なるため、使用者は、両者を区別して認識し易い。装飾部と尻尾目印部51のデザインが異なる構成とは、色、形状、模様の違いであってよい。
【0041】
また、装飾部と尻尾目印部51の色差ΔEは、3.0以上であってよい。装飾部と尻尾目印部51の色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+Δb*)2]1/2によって求められる。
【0042】
次いで、図5に基づいて変形例のペット用おむつについて説明する。以下の変形例の説明において、第1実施形態と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。また、以下の変形例の説明においては、説明の便宜上、ペット用おむつを裏面側から視認した状態における尻尾穴部70と尻尾目印部51のみを示し、その他の部材については省略して示す。
【0043】
図5(a)は、第2実施形態に係る尻尾穴部71及び尻尾目印部52を示している。第2実施形態に係る尻尾穴部71の切り込み部71Yは、貫通穴71Xから離れる方向に向かって間隔を空けて複数配置されている。切り込み部71Yは、第1切り込み部71Y1と、第1切り込み部71Y1よりも貫通穴から離れた側に位置する第2切り込み部71Y2と、を有する。第1切り込み部71Y1及び第2切り込み部71Y2は、貫通穴71Xから離れる方向に向かって放射状に延びる形状である。
【0044】
尻尾目印部52は、複数設けられており、複数の切り込み部による貫通穴の段階的な変化を指標する。尻尾目印部52は、切り込み部によって貫通穴の寸法が段階的に大きくなることを示す。第2実施の形態の尻尾穴部71は、第1切り込み部71Y1によって貫通穴の寸法を大きくする第1段階と、第2切り込み部71Y2によって貫通穴を更に大きくする第2段階と、で貫通穴71Xの寸法が変化する。尻尾目印部52は、第1切り込み部71Y1による第1段階の操作を示す数字「1」からなる第1尻尾目印部521と、第2切り込み部71Y2による第2段階の操作を示す数字「2」からなる第2尻尾目印部522と、を有する。使用者は、複数の切り込み部の存在を気づくことができ、個々のペットに適したサイズに貫通穴を調整することができる。
【0045】
第1尻尾目印部521は、第1切り込み部71Y1を指標し、第2尻尾目印部522は、第2切り込み部71Y2を指標してよい。使用者は、複数の切り込み部の存在を気づくことができ、個々のペットに適したサイズに貫通穴の大きさを調整することができる。
【0046】
第1尻尾目印部521は、第1切り込み部71Y1の操作順序を示し、第2尻尾目印部522は、第2切り込み部71Y2の操作順序を示してよい。使用者は、切り込み部71Yの操作順序を把握でき、操作によって段階的に貫通穴の寸法を大きくし、個々のペットに適したサイズに貫通穴の大きさを調整することができる。
【0047】
図5(b)は、第3実施形態に係る尻尾穴部71及び尻尾目印部53を示している。第3実施形態に係る尻尾穴部71は、第2実施形態に係る尻尾穴部と同様である。尻尾目印部53は、第1尻尾目印部531と、第2尻尾目印部532と、第3尻尾目印部533と、を有する。第1尻尾目印部531から第3尻尾目印部533のそれぞれは、半円状に沿った円弧状である。尻尾目印部53は、貫通穴に沿って配置された第1尻尾目印部531と、第1尻尾目印部531よりも貫通穴71Xから離れた側に位置する第2尻尾目印部532と、第2尻尾目印部532よりも貫通穴71Xから離れた側に位置する第3尻尾目印部533と、を有する。第1尻尾目印部531、第2尻尾目印部532及び第3尻尾目印部533は、色が異なっており、色の変化によって段階的に貫通穴71Xの寸法が大きくなることを示す。
【0048】
図5(c)は、第4実施形態に係る尻尾穴部70及び尻尾目印部54を示している。第4実施形態に係る尻尾穴部70は、第1実施形態に係る尻尾穴部と同様である。尻尾目印部54は、切り込み部70Yの操作方向を示す。使用者は、切り込み部70Yの操作方向を把握でき、操作によって段階的に貫通穴70Xの寸法を大きくし、個々のペットに適したサイズに貫通穴の大きさを調整することができる。切り込み部の操作方向を示す尻尾目印部54は、ファスナー等の操作部材のデザインによって切り込み部を切り裂く方向を示してもよいし、矢印のデザインによって切り込み部を切り裂く方向を示してもよいし、文
字による説明によって切り込み部を切り裂く方向を示してもよい。
【0049】
図5(d)は、第5実施形態に係る尻尾穴部70及び尻尾目印部55を示している。第5実施形態に係る尻尾穴部70は、第1実施形態に係る尻尾穴部と同様である。尻尾目印部55は、装着対象のペットを示すデザインを有する。具体的には、犬用のおむつの尻尾目印部は、犬の尻尾のデザイン、犬の身体のデザイン、犬の顔のデザイン、犬の好物(例えば、骨)等、犬に関連するデザインを有し、猫用のおむつの尻尾目印部は、猫の尻尾のデザイン、猫の身体のデザイン、猫の顔のデザイン、猫の好物(例えば、魚、猫じゃらし)等、猫に関連するデザインを有してよい。使用者は、尻尾目印部によって、装着対象のペットを把握することができる。
【0050】
次いで、このように構成されたペット用おむつの製造方法の一例について説明する。ペット用おむつの製造方法は、シート材が連続した連続シート体を搬送するシート搬送工程と、連続シート体に印刷を施し、尻尾目印部51を設ける目印付与工程と、尻尾目印部51を有する連続シート体に対して吸収コア30を積層する吸収コア積層工程と、を有してよい。
【0051】
シート材が連続した連続シート体を搬送するシート搬送工程は、表面シート10、裏面シート及びコアラップのいずれかを構成するシート材が連続した連続シート体を搬送する。目印付与工程は、連続シート体に尻尾目印部を付与する。尻尾目印部の付与は、印刷によって行ってもよいし、エンボス加工によって行ってもよい。コア積層工程は、連続シート体の尻尾目印部51の位置を検出する。尻尾目印部の検出は、カメラ等の撮像手段によって尻尾目印部の位置を検出してよい。コア積層工程は、尻尾目印部の位置に基づいて吸収コア30の積層位置を調整する。吸収コア30の積層位置の調整は、吸収コア30と連続シート体との位置の調整である。具体的には、連続シート体の送り出し量を調整することによって、連続シート体と吸収コア30の搬送方向における位置を調整できる。また、搬送方向と直交する直交方向における連続シート体の側端に接する調整機構を設け、当該調整機構によって連続シート体の直交方向における位置を調整してもよい。このような製造方法によれば、尻尾目印部と吸収コア30の相対位置を一定に保つことができる。よって、尻尾目印部51を基準としておむつを装着した際に、個々のおむつによって吸収コア30の装着位置がずれることを抑制できる。おむつ全体における尻尾目印部の位置ずれを抑制することにより、尻尾目印部と尻尾穴部の相対位置の精度を向上できる。
【0052】
次いで、複数のペット用おむつが包装体に収容された収容体について説明する。収容体は、複数のペット用おむつと、当該複数のペット用おむつを収容する包袋体と、を有する。複数のペット用おむつは、裏面シートに第1装飾部が印刷された第1おむつと、第1装飾部と異なるデザインの第2装飾部が裏面シートに印刷された第2おむつを有する。なお、ここにおける第1装飾部及び第2装飾部は、2つのデザインが異なっていればよく、第2実施形態の第1装飾部及び第2装飾部と異なるデザインであってよい。本実施の形態では、裏面シートの裏面フィルムに第1装飾部又は第2装飾部が印刷されている。本実施形態によれば、第1装飾部及び目印部を有する第1おむつと、第2装飾部及び目印部を有する第2おむつと、によって装飾性を高めて使用者の注意を引きつけ、目印部の視認性を向上できる。第1装飾部及び第2装飾部は、目印部以外のデザインを有する部分であり、図柄や模様を有するデザインのみならず、色のみからなる背景色を含む。
【0053】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
尻尾穴部を有し、適切な位置に装着可能なペット用おむつを提供することができる。
【符号の説明】
【0055】
2 :本体部、10 :表面シート、20 :裏面シート、30 :吸収コア、32 :コアラップ、40 :接合部、45 :ターゲット部、51、52、53、54、55 :尻尾目印部、521、531 :第1尻尾目印部、522、532 :第2尻尾目印部、533 :第3尻尾目印部、70、71 :尻尾穴部、70X、71X :貫通穴、70Y、71Y :切り込み部、71Y1 :第1切り込み部、71Y2 :第1切り込み部、90 :ファスニングテープ、W :胴回り方向、Z :交差方向
図1
図2
図3
図4
図5