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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】吸引成分生成装置の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/90 20200101AFI20230209BHJP
   A24F 40/53 20200101ALI20230209BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A24F40/90
A24F40/53
H02J7/00 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021119350
(22)【出願日】2021-07-20
(62)【分割の表示】P 2020207499の分割
【原出願日】2018-02-02
(65)【公開番号】P2021192580
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100153028
【氏名又は名称】上田 忠
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 剛志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 創
(72)【発明者】
【氏名】竹内 学
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特許第6853388(JP,B2)
【文献】特表2016-533712(JP,A)
【文献】特開2015-049935(JP,A)
【文献】特開平08-304518(JP,A)
【文献】特開2012-234722(JP,A)
【文献】特表2015-534458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源に接続される第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第2抵抗と、
外部ユニットと電気的に接続可能な接続部であって、前記第1抵抗と前記第2抵抗の間の第1ノードに電気的に接続される第1電気端子と、前記第1抵抗に関して前記第1ノードとは反対側の第2ノードに電気的に接続される第2電気端子と、を有する接続部と、
前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2抵抗と電気的に並列な電気経路を確立する第1開閉器と、
前記第2抵抗における電圧降下量に基づき、前記接続部への前記外部ユニットの接続を検知する検知部と、を有し、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において開状態に維持されるよう構成されており、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記電源から出力された電流が前記第1ノードを介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを有し、
前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記第1抵抗の電気抵抗値よりも小さい、吸引成分生成装置の電源ユニットであって、
前記接続部と前記電源とが電気的に遮断された第1モードと、前記接続部と前記電源とが電気的に導通された第2モードとで異なる態様で機能するように構成された通知部
をさらに有することを特徴とする電源ユニット
【請求項2】
請求項1に記載の電源ユニットであって、前記通知部は、前記第1モードである期間のうちの少なくとも一部において機能するようにさらに構成された、電源ユニット。
【請求項3】
電源と、
前記電源に接続される第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第2抵抗と、
外部ユニットと電気的に接続可能な接続部であって、前記第1抵抗と前記第2抵抗の間の第1ノードに電気的に接続される第1電気端子と、前記第1抵抗に関して前記第1ノードとは反対側の第2ノードに電気的に接続される第2電気端子と、を有する接続部と、
前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2抵抗と電気的に並列な電気経路を確立する第1開閉器と、
前記第2抵抗における電圧降下量に基づき、前記接続部への前記外部ユニットの接続を検知する検知部と、を有し、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において開状態に維持されるよう構成されており、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記電源から出力された電流が前記第1ノードを介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを有し、
前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記第1抵抗の電気抵抗値よりも小さい、吸引成分生成装置の電源ユニットであって、
前記接続部と前記電源とが電気的に遮断された第1モードと、前記接続部と前記電源とが電気的に導通された第2モードとの一方のみにおいて機能するように構成された通知部
をさらに有することを特徴とする電源ユニット
【請求項4】
電源と、
前記電源に接続される第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第2抵抗と、
外部ユニットと電気的に接続可能な接続部であって、前記第1抵抗と前記第2抵抗の間の第1ノードに電気的に接続される第1電気端子と、前記第1抵抗に関して前記第1ノードとは反対側の第2ノードに電気的に接続される第2電気端子と、を有する接続部と、
前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2抵抗と電気的に並列な電気経路を確立する第1開閉器と、
前記第2抵抗における電圧降下量に基づき、前記接続部への前記外部ユニットの接続を検知する検知部と、を有し、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において開状態に維持されるよう構成されており、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記電源から出力された電流が前記第1ノードを介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを有し、
前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記第1抵抗の電気抵抗値よりも小さい、吸引成分生成装置の電源ユニットであって、
前記接続部への前記外部ユニットの接続の検知から所定期間内と、所定期間経過後とで異なる態様で機能するように構成された通知部
をさらに有することを特徴とする電源ユニット
【請求項5】
請求項4に記載の電源ユニットであって、前記通知部は、前記所定期間のうちの少なくとも一部において機能するようにさらに構成された、電源ユニット。
【請求項6】
電源と、
前記電源に接続される第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第2抵抗と、
外部ユニットと電気的に接続可能な接続部であって、前記第1抵抗と前記第2抵抗の間の第1ノードに電気的に接続される第1電気端子と、前記第1抵抗に関して前記第1ノードとは反対側の第2ノードに電気的に接続される第2電気端子と、を有する接続部と、
前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2抵抗と電気的に並列な電気経路を確立する第1開閉器と、
前記第2抵抗における電圧降下量に基づき、前記接続部への前記外部ユニットの接続を検知する検知部と、を有し、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において開状態に維持されるよう構成されており、
前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記電源から出力された電流が前記第1ノードを介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを有し、
前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記第1抵抗の電気抵抗値よりも小さい、吸引成分生成装置の電源ユニットであって、
前記接続部への前記外部ユニットの接続の検知から所定期間内と、所定期間経過後との一方のみにおいて機能するように構成された通知部
をさらに有することを特徴とする電源ユニット
【請求項7】
請求項1から6のうちの何れか一項に記載の電源ユニットであって、前記通知部は発光素子を有し、前記通知部が機能することは前記発光素子が発光することを含む、電源ユニット。
【請求項8】
請求項1、2、4及び5のうちの何れか一項に記載の電源ユニットであって、前記通知部は発光素子を有し、前記通知部が異なる態様で機能することは、前記発光素子が異なる態様で発光することを含む、電源ユニット。
【請求項9】
請求項1から8のうちの何れか一項に記載の電源ユニットであって、前記通知部は、前記接続部と前記外部ユニットとの電気的な接続が解除されたときに機能を停止するようにさらに構成された、電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引成分生成装置用の電源ユニット、吸引成分生成装置の電源ユニットにおける既知抵抗の電気抵抗値の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシガレットに代わり、たばこ等の香味源やエアロゾル源をヒータのような負荷で気化又は霧化することによって生じた吸引成分を味わう吸引成分生成装置(電子シガレットや加熱式たばこ)が提案されている(特許文献1~3)。このような吸引成分生成装置は、香味源及び/又はエアロゾル源を気化又は霧化させる負荷、負荷に電力を供給する電源、電池の充放電や負荷を制御する制御ユニットを備える。負荷に電力を供給する電源は、二次電池などから構成されるため充電器によって充電可能である。
【0003】
特許文献1,2は、充電中の電流又は電圧によって充電モードを選択することを開示する。特許文献3は、電源を有するバッテリユニットと充電器との通信により、充電モードを変更することを開示する。
【0004】
また、特許文献4~6は、吸引成分生成装置とは異なる技術分野において、充電モードの変更に関する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9502917号明細書
【文献】米国特許第2015/0189917号明細書
【文献】国際公開第2015/175700号
【文献】特許第5193619号公報
【文献】特開2014-143901号公報
【文献】特許第5151506号公報
【発明の概要】
【0006】
第1の特徴は、吸引成分生成装置の電源ユニットであって、電源と、前記電源に接続される第1抵抗と、前記第1抵抗に直列接続される第2抵抗と、外部ユニットと電気的に接続可能な接続部であって、前記第1抵抗と前記第2抵抗の間の第1ノードに電気的に接続される第1電気端子と、前記第1抵抗に関して前記第1ノードとは反対側の第2ノードに電気的に接続される第2電気端子と、を有する接続部と、前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2抵抗と電気的に並列な電気経路を確立する第1開閉器と、前記第2抵抗における電圧降下量に基づき、前記接続部への前記外部ユニットの接続を検知する検知部と、を有し、前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において開状態に維持されるよう構成されており、前記第1開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記電源から出力された電流が前記第1ノードを介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを有し、前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記第1抵抗の電気抵抗値よりも小さいことを要旨とする。
【0007】
第2の特徴は、第1の特徴に係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第1抵抗及び前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記第1抵抗と前記第2抵抗を貫流する電流の値が、前記電源からの電力により吸引成分源を気化又は霧化する負荷が前記接続部に接続されているときに前記電源が放電可能
な電流の値より小さくなるよう設計されていることを要旨とする。
【0008】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴に係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第1抵抗及び前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記第1抵抗と前記第2抵抗を貫流する電流の値が0.200mA以下になるように設計されていることを要旨とする。
【0009】
第4の特徴は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第1抵抗と前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記第1抵抗と前記第2抵抗を貫流する電流のレートが0.07mC以下になるように設計されていることを要旨とする。
【0010】
第5の特徴は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第1抵抗の電気抵抗値と前記第2抵抗の電気抵抗値の比は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において前記寄生ダイオードに降伏電圧未満の電圧を印加させるよう設計されていることを要旨とする。
【0011】
第6の特徴は、第1の特徴又は第5の特徴に係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記検知部は、比較器と、前記第2抵抗と前記比較器の第1入力端子との間に接続されるコンデンサと、前記比較器の第2入力端子に接続される基準電圧源と、を含み、前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記第2抵抗と前記コンデンサによって形成されるRC回路の時定数が、前記検知部による前記第2抵抗における電圧降下量を検知する周期以下になるよう設計されることを要旨とする。
【0012】
第7の特徴は、第1の特徴から第6の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第1抵抗の電気抵抗値は、前記外部ユニットが前記吸引成分生成装置の電源ユニットに既定の電流値で放電した際の前記第1抵抗における電圧降下量が、前記第1抵抗における電圧降下量を出力するセンサの分解能より大きくなるよう設計されていることを要旨とする。
【0013】
第8の特徴は、第1の特徴から第7の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第1抵抗は、前記電源の内部抵抗値よりも大きな電気抵抗値を有することを要旨とする。
【0014】
第9の特徴は、第1の特徴から第8の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記接続部は、前記電源からの電力により吸引成分源を気化又は霧化する負荷と電気的に接続可能に構成されており、前記第1抵抗は、前記負荷の電気抵抗値より大きな電気抵抗値を有することを要旨とする。
【0015】
第10の特徴は、第1の特徴から第9の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記接続部は、前記電源からの電力により吸引成分源を気化又は霧化する負荷と前記外部ユニットのうちの一方と、排他的に接続可能に構成されていることを要旨とする。
【0016】
第11の特徴は、第1の特徴から第10の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第1抵抗の電気抵抗値は、前記接続部への前記外部ユニットの接続時における前記第2抵抗の電圧降下量と、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時における前記第2抵抗の電圧降下量とを、前記検知部によって区別できるよう設計されることを要旨とする。
【0017】
第12の特徴は、第1の特徴から第11の特徴のいずれかに係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記電源ユニットの前記接続部は、前記外部ユニットとしての充電器と接続可能に構成されていることを要旨とする。
【0018】
第13の特徴は、吸引成分生成装置の電源ユニットであって、電源と、前記電源を含む充電用回路と、認証に用いられる既知抵抗を含む認証用回路と、を有することを要旨とする。
【0019】
第14の特徴は、第13の特徴に係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記充電用回路の電気抵抗値は、前記認証用回路の電気抵抗値より小さいことを要旨とする。
第15の特徴は、第13の特徴又は第14の特徴に係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記充電用回路と前記認証用回路のうち一方を選択的に機能させる第2開閉器を有することを要旨とする。
【0020】
第16の特徴は、第15の特徴に係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記第2開閉器を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記認証用回路が機能する第1モードから前記充電用回路が機能する第2モードへ遷移させる条件が成立してから既定期間の経過後に、前記第2開閉器の制御によって前記第1モードから前記第2モードへ遷移させるよう構成されることを要旨とする。
【0021】
第17の特徴は、第16の特徴に係る吸引成分生成装置の電源ユニットであって、前記制御部は、前記第1モードから前記第2モードへ遷移させる条件が成立してから前記第1モードから前記第2モードへ遷移させるまでの時間が、前記第2モードから前記第1モードへ遷移させる条件が成立してから前記第2モードから前記第1モードへ遷移させるまでの時間より長くなるよう前記第2開閉器を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0022】
第18の特徴は、電源と、前記電源を含む充電用回路と、前記充電用回路と並列に接続され、認証に用いられる既知抵抗を有する認証用回路と、を含む吸引成分生成装置の電源ユニットにおける既知抵抗の電気抵抗値の選択方法であって、高レートの充電電流で充電可能な前記電源ユニットほど、前記既知抵抗の電気抵抗値を大きな値に選択することを含むことを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、一実施形態に係る吸引成分生成装置の模式図である。
図2図2は、一実施形態に係る霧化ユニットの模式図である。
図3図3は、吸引成分生成装置のブロック図である。
図4図4は、電源ユニットの電気回路を示す図である。
図5図5は、電源ユニットと霧化ユニットを含む吸引成分生成装置の電気回路を示す図である。
図6図6は、電源ユニット内の第2抵抗の電圧降下量を検知する検知部の構成の一例を示す図である。
図7図7は、吸引成分生成装置用の電源ユニットと充電器200とを含む吸引成分生成システムの電気回路を示す図である。
図8図8は、充電器のブロック図である。
図9図9は、充電器による制御方法の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、充電制御における電源ユニットの制御方法の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、開閉器の寄生ダイオードの特性を示す図である。
図12図12は、霧化ユニット及び外部ユニットが接続されていない電源ユニット内の電気回路の等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
【0025】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論である。
【0026】
[開示の概要]
吸引成分生成装置の電源ユニットは、例えば充電器のような外部ユニットと接続可能に構成されている。この場合、電源ユニットは、外部ユニットの接続を検知できるよう構成される必要がある。
【0027】
一態様に係る吸引成分生成装置の電源ユニットは、電源と、前記電源に接続される第1抵抗と、前記第1抵抗に直列接続される第2抵抗と、外部ユニットと電気的に接続可能な接続部であって、前記第1抵抗と前記第2抵抗の間の第1ノードに電気的に接続される第1電気端子と、前記第1抵抗に関して前記第1ノードとは反対側の第2ノードに電気的に接続される第2電気端子と、を有する接続部と、前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2抵抗と電気的に並列な電気経路を確立する開閉器と、前記第2抵抗における電圧降下量に基づき、前記接続部への前記外部ユニットの接続を検知する検知部と、を有する。前記開閉器は、前記接続部への前記外部ユニットの未接続時において開状態に維持されるよう構成されている。前記開閉器は、前記電源から出力された電流が前記第1ノードを介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを有する。前記第2抵抗の電気抵抗値は、前記第1抵抗の電気抵抗値よりも小さい。
【0028】
上記態様によれば、検知部は、第2抵抗における電圧降下量に基づき、電源ユニットの接続部への外部ユニットの接続を検知することができる。特に、検知部は、開閉器を開いた状態で、第2抵抗を流れる暗電流を利用して外部ユニットの接続を検知することができる。さらに、第2抵抗の電気抵抗値が第1抵抗の電気抵抗値よりも小さいため、開閉器の寄生ダイオードを流れる漏れ電流を効果的に低減できる。
【0029】
(吸引成分生成装置)
以下において、第1実施形態に係る吸引成分生成装置について説明する。図1は、一実施形態に係る吸引成分生成装置の模式図である。図2は、一実施形態に係る霧化ユニットの模式図である。図3は、吸引成分生成装置のブロック図である。図4は、電源ユニットの電気回路を示す図である。図5は、電源ユニットと霧化ユニットを含む吸引成分生成装置の電気回路を示す図である。図6は、電源ユニット内の第2抵抗の電圧降下量を検知する検知部の構成の一例を示す図である。
【0030】
吸引成分生成装置100は、燃焼を伴わずに吸引成分(香喫味成分)を吸引するための非燃焼型の香味吸引器であってよい。吸引成分生成装置100は、非吸口端E2から吸口端E1に向かう方向に沿って延びていてよい。この場合、吸引成分生成装置100は、吸引成分を吸引する吸口141を有する一方の端部E1と、吸口141とは反対側の他方の端部E2と、を含んでいてよい。
【0031】
吸引成分生成装置100は、電源ユニット110及び霧化ユニット120を有していてよい。霧化ユニット120は、電源ユニット110に対して接続部111,121を介して着脱可能に構成されていてよい。霧化ユニット120と電源ユニット110とが互いに
機械的に接続されたときに、霧化ユニット120内の後述する負荷121Rは、電気端子111t,121tを介して、電源ユニット110に設けられた電源10に電気的に接続される。すなわち、電気端子111t,121tは、負荷121Rと電源10を電気的に断接可能な接続部を構成する。なお、以下で後述するように、電源ユニット110の接続部111は、霧化ユニット120とは異なる外部ユニットにも接続可能に構成されていてよい。
【0032】
霧化ユニット120は、ユーザにより吸引される吸引成分源と、電源10からの電力により吸引成分源を気化又は霧化する負荷121Rと、を有する。吸引成分源は、エアロゾルを発生するエアロゾル源、及び/又は香味成分を発生する香味源を含んでいてよい。
【0033】
負荷121Rは、電力を受けることによってエアロゾル源及び/又は香味源から吸引成分、すなわちエアロゾル及び/又は香味成分を発生させることができる素子であればよい。例えば、負荷121Rは、ヒータのような発熱素子、又は超音波発生器のような素子であってよい。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0034】
以下では、図1及び図2を参照しつつ、霧化ユニット120のより詳細な一例について説明する。霧化ユニット120は、リザーバ121Pと、ウィック121Qと、負荷121Rと、を有していてよい。リザーバ121Pは、液状のエアロゾル源又は香味源を貯留するよう構成されていてよい。リザーバ121Pは、例えば、樹脂ウェブ等材料によって構成される多孔質体であってよい。ウィック121Qは、リザーバ121Pから毛管現象を利用してエアロゾル源又は香味源を引き込む液保持部材であってよい。ウィック121Qは、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成することができる。
【0035】
負荷121Rは、ウィック121Qに保持されるエアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する。負荷121Rは、例えば、ウィック121Qに巻き回される抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。
【0036】
流入孔122Aから流入した空気は、霧化ユニット120の内の負荷121R付近を通過する。負荷121Rによって生成された吸引成分は、空気とともに吸口の方へ流れる。
エアロゾル源は、常温で液体であってよい。例えば、エアロゾル源としては、グリセリンやプロピレングリコールといった多価アルコールや水などを用いることができる。エアロゾル源自身が香味成分を有していてもよい。或いは、エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。
【0037】
なお、上記実施形態では、常温で液体のエアロゾル源についての例を詳細に説明したが、この代わりに、エアロゾル源は、常温で固体のものを用いることもできる。
霧化ユニット120は、交換可能に構成された香味ユニット(カートリッジ)130を備えていてもよい。香味ユニット130は、香味源を収容する筒体131を有する。筒体131は、膜部材133とフィルタ132とを含んでいてよい。膜部材133とフィルタ132とにより構成される空間内に香味源が設けられていてよい。
【0038】
霧化ユニット120は、破壊部90を含んでいてもよい。破壊部90は、香味ユニット130の膜部材133の一部を破壊するための部材である。破壊部90は、霧化ユニット120と香味ユニット130とを仕切るための隔壁部材126によって保持されていてよい。隔壁部材126は、例えば、ポリアセタール樹脂である。破壊部90は、例えば、円筒状の中空針である。中空針の先端を膜部材133に突き刺すことによって、霧化ユニット120と香味ユニット130とを空気的に連通する空気流路が形成される。ここで、中空針の内部には、香味源が通過しない程度の粗さを有する網目が設けられることが好まし
い。
【0039】
好ましい一例によれば、香味ユニット130内の香味源は、霧化ユニット120の負荷121Rによって生成されたエアロゾルに香喫味成分を付与する。香味源によってエアロゾルに付与される香味は、吸引成分生成装置100の吸口141に運ばれる。このように、吸引成分生成装置100は、複数の吸引成分源、すなわちエアロゾル源や香味源を有していてよい。この代わりに、吸引成分生成装置100は、1つの吸引成分源のみを有していてもよい。
【0040】
香味ユニット130内の香味源は、常温で固体であってよい。一例として、香味源は、エアロゾルに香喫味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。香味源を構成する原料片としては、刻みたばこやたばこ原料のようなたばこ材料を粒状に成形した成形体を用いることができる。この代わりに、香味源は、たばこ材料をシート状に成形した成形体であってもよい。また、香味源を構成する原料片は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0041】
吸引成分生成装置100は、使用者が吸引成分を吸引するための吸引口141を有するマウスピース142を含んでいてよい。マウスピース142は、霧化ユニット120又は香味ユニット130に着脱可能に構成されていてもよく、一体不可分に構成されていてもよい。
【0042】
電源ユニット110は、電源10、通知部40及び制御部50を有していてよい。電源10は、吸引成分生成装置100の動作に必要な電力を蓄える。電源10は、電源ユニット110に対して着脱可能であってよい。電源10は、例えばリチウムイオン二次電池のような再充電可能な二次電池であってよい。
【0043】
制御部50には例えばマイコンが用いられる。制御部50は、吸引センサ20と、押しボタン30と接続されることで、制御ユニットを構成してよい。さらに、吸引成分生成装置100は、必要に応じて電源10の電圧を取得する不図示のセンサを含んでいてよい。さらに、吸引成分生成装置は、必要に応じて過電圧や過放電から電源10を保護する保護IC180を含んでいてよい。制御部50は、吸引成分生成装置100の動作に必要な各種の制御を行う。例えば、制御部50は、電源10から負荷121Rへの電力の制御を行う電力制御部を構成していてもよい。
【0044】
霧化ユニット120が電源ユニット110に接続されたとき、霧化ユニット120に設けられた負荷121Rは、電源ユニット110の電源10と電気的に接続される(図5参照)。
【0045】
吸引成分生成装置100は、負荷121Rと電源10とを電気的に断接可能な第1開閉器172を含んでいてよい。第1開閉器172は、例えばMOSFETにより構成されていてよい。
【0046】
電源ユニット110に霧化ユニット120が接続された状態で第1開閉器172が閉じる、すなわちONになると、電源10から負荷121Rへ電力が供給される。一方、第1開閉器172がOFFになると、電源10から負荷121Rへの電力の供給が停止される。第1開閉器172のON/OFFは、制御部50によって制御される。
【0047】
制御部50は、負荷121Rの動作を要求する信号を出力可能な要求センサを含んでいてよい。要求センサは、例えばユーザにより押される押しボタン30、又はユーザの吸引
動作を検出する吸引センサ20であってよい。吸引センサ20は、非吸口側から吸口側に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する値(例えば、電圧値又は電流値)を出力するセンサであってよい。そのようなセンサとして、例えば、コンデンサマイクロフォンセンサや公知の流量センサなどが挙げられる。
【0048】
制御部50は、前述した要求センサから負荷121Rへの動作要求信号を取得し、負荷121Rを動作させるための指令を生成する。具体的一例では、制御部50は、負荷121Rを動作させるための指令を第1開閉器172へ出力する。この指令に応じて第1開閉器172がONになる。このように、制御部50は、電源10から負荷121Rへの給電を制御するよう構成されている。電源10から負荷121Rへ電力が供給されると、負荷121Rにより吸引成分源が気化又は霧化される。気化又は霧化された吸引成分源を含む吸引成分は、吸口141を通じてユーザに吸引される。
【0049】
制御部50は、動作要求信号を取得したときに、第1開閉器172によるPWM(Pulse Width Modulation)制御を行えばよい。なお、PWM制御に代えてPFM(Pulse Frequency Modulation)制御を行ってもよい。PWM制御におけるDUTY比や、PFM制御におけるスイッチング周波数は、電源10の電圧などのさまざまなパラメータによって調整されてもよい。
【0050】
次に、電源ユニット110内の電気回路の詳細な構成の一例について説明する。本実施形態では、電源ユニット110は、互いに電気的に直列に接続された第1抵抗150と第2抵抗152を有していてよい。第1抵抗150は、電源10に電気的に接続されている。
【0051】
第1抵抗150及び第2抵抗152の電気抵抗値は既知であることが好ましい。すなわち、第1抵抗150は、制御部50や外部ユニットにとって既知抵抗であってよい。より好ましくは、第1抵抗150の電気抵抗値は、電源10の状態に拠らず一定である。同様に、第2抵抗152は、制御部50や外部ユニットにとって既知抵抗であってよい。より好ましくは、第2抵抗152の電気抵抗値は、電源10の状態に拠らず一定である。
【0052】
電源ユニット110内の電気回路は、第1抵抗150を通って外部ユニットと電気的に接続される第1電気経路(以下、「認証用回路」と称することもある。)190と、第1抵抗150を迂回して外部ユニットと電気的に接続される第2電気経路(以下、「充電用回路」と称することもある。)192と、を有していてよい。より詳細には、第1抵抗150は、一対の電気端子111tのうちの一方から、一対の電気端子111tのうちの他方へ至る第1電気経路190内に設けられている。第2電気経路192は、第1電気経路190から分岐している。第2電気経路192は、一対の電気端子111tのうちの一方から、第1抵抗150を迂回して一対の電気端子111tのうちの他方へ至る。すなわち、一対の電気端子111tのうちの他方は、第1抵抗150と第2抵抗152の間の第1ノード154に電気的に接続される。一対の電気端子111tのうちの一方は、第1抵抗150に関して第1ノード154とは反対側の第2ノード156に電気的に接続される。第2電気経路192は、第1ノード154及び第2ノード156のところで、第1電気経路190から分岐していてよい。すなわち、第2電気経路(充電用回路)192は、一対の電気端子111tを基準として、第1電気経路190(認証用回路)と電気的に並列に接続されている。換言すれば、第1電気経路190(認証用回路)と第2電気経路(充電用回路)192は、第1ノード154及び第2ノード156によって互いに電気的に並列に接続されている。
【0053】
電源10及び制御部50は、第2電気経路192内に設けられている。また、電源ユニット110は、第2電気経路192内に設けられた第1開閉器172及び第2開閉器17
4を有していてよい。第1開閉器172及び第2開閉器174は、例えばMOSFETにより構成されていてよい。第1開閉器172及び第2開閉器174の制御は、制御部50によって行われる。また、第1開閉器172及び第2開閉器174のそれぞれは、いわゆる放電用FETと充電用FETとして機能してもよい。
【0054】
第1開閉器172は、開状態と閉状態とに遷移可能である。開状態は、接続部111への充電器200のような外部ユニットの未接続時において電源10から出力され且つ第1ノード154を介して第1開閉器172へ流れ込む電流を遮断する状態である。閉状態は、接続部111への充電器200のような外部ユニットの未接続時において電源10から出力され且つ第1ノード154を介して第1開閉器172へ流れ込む電流を流す状態である。第1開閉器172は、第1ノード154に電気的に接続されている。なお、第1開閉器172は、接続部111への充電器200のような外部ユニットの未接続時において電源10から出力された電流が第1ノード154を介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを有していてよい。
【0055】
換言すれば、第1開閉器172は、電源10の高電位側から低電位側へ向かう電流を遮断する開状態と、電源10の高電位側から低電位側へ向かう電流を流す閉状態とに遷移可能である。第1開閉器172は、第1ノード154に電気的に接続されている。なお、第1開閉器172は、電源10の高電位側から低電位側へ向かう方向が逆方向となる寄生ダイオードを有していてよい。
【0056】
第2開閉器174は、接続部111から入力され且つ電源10を充電する充電電流を遮断する開状態と、接続部111から入力され且つ電源10を充電する充電電流を流す閉状態とに遷移可能であってよい。第2開閉器174は、第1開閉器172を介して第1ノード154に電気的に接続されている。なお、第2開閉器174は、接続部111から入力され且つ電源10を充電する充電電流が流れる方向が逆方向となる寄生ダイオードを有していてよい。
【0057】
換言すれば、第2開閉器174は、電源10の低電位側から高電位側へ向かう電流を遮断する開状態と、電源10の低電位側から高電位側へ向かう電流を流す閉状態とに遷移可能であってよい。第1開閉器172は、第1ノード154に電気的に接続されている。なお、第2開閉器174は、電源10の高電位側から低電位側へ向かう方向が順方向となる寄生ダイオードを有していてよい。
【0058】
制御部50は、第2抵抗152での電圧降下量を検知可能に構成されていてよい。すなわち、制御部50は、第2抵抗152における電圧降下量を取得する検知部を有していてよい。この検知部の一例について図6を用いて説明する。図6は、第1抵抗150と、第2抵抗152と、制御部50の一部の構成とを示している。
【0059】
制御部50の検知部は、比較器162と、コンデンサ164と、基準電圧源166と、を有する。コンデンサ164は、第2抵抗152と、比較器162の反転入力端子とに接続されていてよい。基準電圧源166は、比較器162の非反転入力端子とに接続されていてよい。基準電圧源166は、分圧回路やLDO(Linear DropOut)レギュレータを用いることで、電源10から生成されてもよい。比較器162は、反転入力端子に入力された電圧値と非反転入力端子に入力された電圧値との差分、又は当該差分を増幅させた値であるアナログ電圧値から、既定の相関(変換テーブル)に基づきデジタル電圧値Vwakeに変換して出力する。出力されたデジタル電圧値Vwakeは、第2抵抗152における電圧降下量を示す。なお、デジタル電圧値への変換に伴う分解能は、特に限定されないが、例えば、0.05V/bitであってよい。なお、アナログ電圧値をデジタル電圧値に変換する検知部を用いて、第2抵抗152における電圧降下量を取得す
る例を示したが、これに代えて第2抵抗152における電圧降下量を直接にデジタル電圧値として取得する検知部を用いてもよい。
【0060】
第2抵抗152における電圧降下量は、一対の電気端子111tに何も接続されていない場合と、一対の電気端子111tに充電器200のような外部ユニットや霧化ユニット120が接続されている場合で異なる。したがって、制御部50は、第2抵抗152における電圧降下量を取得することによって、充電器200のような外部ユニットや霧化ユニット120の接続を検知することができる。
【0061】
例えば、制御部50は、高レベルのデジタル電圧値Vwakeを検知すると、接続部111に充電器200が接続されていないと推定できる。また、制御部50は、低レベルのデジタル電圧値Vwakeを検知すると、接続部111に充電器200が接続されたと推定できる。
【0062】
より詳述すると、接続部111に充電器200が接続されていない状態では、第1抵抗150と第2抵抗152を介して電源10から制御部50へ向けて電流が流れる。従って、第2抵抗152を貫流する電流によって第2抵抗152において電圧降下が生じるため、制御部50は高レベルのデジタル電圧値Vwakeを検知する。一方、1対の電気端子111tのうち、第1ノード154と同電位である方に接続される充電器200の主負母線が接地によってグラウンド電位に落ちているならば、接続部111への充電器200の接続によって第1ノード154がグラウンド電位に落ちる。従って、接続部111に充電器200が接続された状態では、第2抵抗152を電流が貫流しなくなるため、制御部50は、低レベルのデジタル電圧値Vwakeを検知する。
【0063】
前述したように、吸引成分生成装置100の電源ユニット110は、霧化ユニット120とは異なる外部ユニットと接続可能に構成されていてよい。外部ユニットは、例えば、電源ユニット110内の電源10を充電する充電器200であってよい(図7参照)。図7は、充電器200と電源ユニット100の電気回路を示す図である。また、図8は、充電器200のブロック図である。
【0064】
充電器200は、電源ユニット110と電気的に接続可能な接続部211を有していてよい。接続部211は、一対の電気端子211tを有していてよい。ここで、負荷121Rを電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子111tは、充電器200を電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子111tを兼ねることができる。すなわち、充電器200の一対の電気端子211tは、電源ユニット110の一対の電気端子111tと接続可能に構成されていてよい。より好ましくは、電源ユニット110の接続部111は、電源10からの電力により吸引成分源を気化又は霧化する負荷121Rと充電器200のような外部ユニットのうちの一方と、排他的に接続可能に構成されている。換言すれば、電源ユニット110の接続部111は、負荷121Rと充電器200のような外部ユニットのそれぞれと接続可能であるが、負荷121Rと充電器200のような外部ユニットのうち一方を接続すると、他方が接続不能に構成されている。
【0065】
充電器200は、電源ユニット110内の電源10を充電するための外部電源210を有していてよい。この代わりに、充電器200は、外部電源210と電気的に断接可能に構成されており、電源ユニット110の電源10を外部電源210に電気的に連結する機器であってもよい。充電器200と電気的に断接可能な外部電源210は、直流を出力する蓄電池であってもよい。また、充電器200と電気的に断設可能な外部電源210は、一般家庭のコンセントから出力される交流の商用電力系統であってもよい。なお、充電器200は、任意の形状であってもよい。一例として、充電器200は、USB(Univ
ersal Serial Bus)ポートに接続可能なUSB端子を有するUSBメモリに似た形状であってもよい。またの一例として、充電器200は、電源ユニット110を保持するクレードル状や、電源ユニット110を内部に収容するケース状であってもよい。充電器200をクレードル状やケース状に構成する場合は、外部電源210は充電器200に内臓されており、ユーザが持ち運び可能なサイズや重量であることが好ましい。
【0066】
充電器200は、電源10への充電を制御する制御部250を含んでいてよい。さらに、充電器200は、必要に応じて、電流センサ230や電圧センサ240を有していてよい。電流センサ230は、充電器200から電源10へ供給する充電電流を取得する。電圧センサ240は、充電器200の一対の電気端子211t間の電圧差を取得する。充電器200の制御部250は、電流センサ230及び/又は電圧センサ240からの出力値を用いて、電源ユニット110の電源10の充電を制御する。
【0067】
外部電源210が交流電源の場合、充電器200は、交流を直流に変換するインバータを有していてよい。さらに、充電器200は、インバータが出力する直流の電圧を取得する電圧センサや、インバータが出力する直流の電圧を昇圧及び/又は降圧可能なコンバータを、さらに有していてもよい。
【0068】
なお、充電器200の構成は上記のものに限られず、分圧回路やLDOなどから構成されていたり、これらを含んでいてもよい。
充電器200は、電源ユニット110に備られた第1抵抗150の電気抵抗値に関する出力値を出力可能なセンサを有する。電気抵抗値に関する出力値は、電気抵抗値そのものであってもよく、電気抵抗値に換算可能な物理量であってもよい。例えば、電気抵抗値に関する出力値は、第1抵抗150における電圧降下量(電位差)であってもよく、第1抵抗150を通る電流の電流値であってもよい。第1抵抗150の電気抵抗値に関する出力値を出力可能なセンサとして、例えば、前述した電流センサ230又は電圧センサ240を挙げることができる。
【0069】
例えば、電圧センサ240は、電源ユニット110の第2開閉器174が開いている場合、電源ユニット110の第1抵抗150に印加される電圧の値を出力可能である。また、電流センサ230は、電源ユニット110の第2開閉器174が開いている場合、電源ユニット110の第1抵抗150を通る電流の値を出力可能である。これら第1抵抗150に印加される電圧の値と第1抵抗150を通る電流の値は、いずれも第1抵抗150の電気抵抗値に関する出力値である。
【0070】
充電器200は、電源ユニット内の第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を用いることによって、電源ユニット110又は電源ユニット内の電源10の種別を判別することができる。すなわち、異なる種類の電源ユニット110又は電源10に応じて第1抵抗150の電気抵抗値を変えておくことによって、充電器200は、電源ユニット110と通信することなく、電源ユニット110又は電源10の種別を判別できる。
【0071】
このように、電源ユニット110の第1抵抗150は、認証に用いられる既知抵抗として機能し得る。
充電器200の制御部250は、接続部211に電源ユニット110が接続されたか否かを検知可能に構成されていてよい。接続部211への電源ユニット110の接続の検知は、公知の方法によって実施することができる。例えば、制御部250は、一対の接続端子211tどうしの間の電圧差を検知することによって、電源ユニット110の接続を検知することができる。
【0072】
吸引成分生成装置100の構造を簡易化する目的では、充電器200の制御部250は
、電源ユニット110の制御部50と通信不能に構成されていてもよい。この場合、充電器200の制御部250と電源ユニット110の制御部50との間で通信を行うための通信用端子は不要である。換言すれば、充電器200との接続インターフェースにおいて、電源ユニット110が有する電気端子は、主正母線用と主負母線用の2つのみであってよい。吸引成分生成装置100の構造を簡略化することで、その重量,コスト,生産効率が向上する。充電器200の制御部250と電源ユニット110の制御部50とが通信不能に構成されているため、それぞれの送信機と受信機の待機電力を削減でき、結果として電源ユニット110の電源10や充電器200の外部電源210が蓄えた電力の利用効率が向上する。さらには、充電器200の制御部250と電源ユニット110の制御部50との通信に伴う誤作動が起きないため、吸引成分生成装置100の品質が向上する。
【0073】
(充電器による充電制御)
図9は、充電器200の制御部250による制御方法の一例を示すフローチャートである。制御部250は、まず、充電器200への電源ユニット110の接続を検知する(ステップS300)。制御部250は、充電器200の接続部211に電源ユニット110が接続されるまで待機する。
【0074】
制御部250は、充電器200への電源ユニット110の接続を検知すると、電源ユニット110内の第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得する(ステップS301)。第1抵抗150の電気抵抗値に関する値は、第1抵抗150の電気抵抗値そのものであってもよく、第1抵抗150における電圧降下量(電位差)であってもよく、又は第1抵抗150を通る電流の電流値であってもよい。
【0075】
第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得する際、電源ユニット110の第2開閉器174は開いていることが好ましい。より具体的には、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得する際、接続部111と電源10とが電気的に遮断された第1モードとなっていることが好ましい。この状態で、充電器200から電源ユニット110へ微小電流を送ることによって、認証に用いられる第1抵抗150を含む認証用回路190が機能し、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得できる。
【0076】
なお、制御部250は、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を複数回取得し、これらの移動平均,単純平均,加重平均などから後述するステップS303で用いる第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を導出してもよい。なお、第1抵抗150の電気抵抗値に関する複数の値は、微小電流の1つ又は複数のパルスから取得されてもよい。
【0077】
ところで、電源ユニット110へ微小電流を送った直後や、電源ユニット110への微小電流の送電を停止するタイミングでは、電流センサ230や電圧センサ240の出力において、サージ電流やサージ電圧が支配的になる。そこで、制御部250は、電源ユニット110へ微小電流を瞬間的に送るのではなく、既定の継続時間だけ送ってもよい。そして、制御部250は、電源ユニット110へ微小電流を送った直後や電源ユニット110への微小電流の送電を停止するタイミングで電流センサ230や電圧センサ240が出力する値を用いずに、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得することが好ましい。換言すれば、制御部250は、既定の継続時間の中間時点又はその近傍の時点で電流センサ230や電圧センサ240が出力する値を用いて、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得することが好ましい。
【0078】
なお、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得するための電流センサ230や電圧センサ240に遅延回路を組み合わせることで、電流センサ230や電圧センサ240が第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を検知してから、これを出力して制御部250が取得するまでにタイムラグを設けてもよい。このように充電器200を構成した場合は
、ステップS301における第1モードでは、電源ユニット110の接続を検知してから既定時間の経過前に電流センサ230や電圧センサ240が第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を検知すれば足りる。すなわち、電源ユニット110の接続を検知してから既定時間の経過前に制御部250が第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得するまでは必須でないことに留意されたい。
【0079】
次に、制御部250は、センサの出力値、すなわちステップS301で取得した電気抵抗値に関する値に基づき、電源ユニット110に対する既定の制御を変更又は既定の制御を実行するか否かを判断する(ステップS303)。本実施形態のように、電源ユニット110に接続される外部ユニットが充電器200である場合、既定の制御は、電源ユニット100の電源10を充電するための制御であってよい。
【0080】
この場合、第1抵抗150は、認証に用いられる既知抵抗として用いることができる。すなわち、電源ユニット110の種別に応じて第1抵抗器150の電気抵抗値を変えておけば、制御部250は、電源ユニット110の種別に応じて最適な制御を実行することができるようになる。
【0081】
例えば、制御部250は、前述した出力値が既定の範囲外である場合、又は既定の条件を満たさない場合に、電源10の充電を実行しない。一方、制御部250は、当該出力値が既定の範囲内である場合、又は既定の条件を満たす場合に電源10の充電を実行するよう構成されていてよい。すなわち、ステップS301における電源ユニット110に対する既定の制御の変更は、後述のステップS304~S314における充電プロセスを実行しないよう変更することをも含む。これにより、電源ユニット110の異常や、非正規品の電源ユニット110と判断された場合には、充電電流を送らないため、異常事態の発生を抑制できる。また、前述した態様の代わり、又は前述した態様に加え、制御部250は、前述した出力値が既定の範囲外である場合、又は既定の条件を満たさない場合に、異常信号を出力するよう構成されていてもよい。
【0082】
上記例の代わりに、ステップS301における電源ユニット110に対する既定の制御の変更は、電源を充電するための電流値、レート及び充電時間のうち少なくても1つの変更であってよい。具体例として、既定の制御の変更は、充電電流のレートの変更であってもよい。すなわち、制御部250は、電源ユニット110又は電源10の種別に応じて、充電電流のレートを変更することができる。これにより、制御部50は、急速充電可能な電源10であれば例えば2C以上の高レートの充電電流で充電制御を実行し、急速充電不能な電源10であれば例えば1C以下の低レートの充電電流で充電制御を実行することができる。なお、充電電流のレートの変更は、後述するCC充電において主に行われる点に留意されたい。このような既定の制御の変更のため、充電器200の制御部250は、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値と、電源ユニット110又は電源10と、充電電流のレートなどの充電条件を結びつけるデータベースを記憶したメモリを有していてもよい。
【0083】
充電器200の制御部250は、電源ユニット110の接続を検知してから後述する既定期間の経過前に出力した出力値、すなわち第1抵抗150の電気抵抗値に関する値に基づき、既定の制御を変更又は既定の制御を実行するか否かを判断するよう構成されていることが好ましい。既定期間は、電源ユニット110の制御部50が充電器200の接続を検知してから、第2開閉器174を閉じるまでの期間に相当する。
【0084】
次に、制御部250は、既定の制御、本実施形態では充電制御を実施する。例えば、電源ユニット110の電源10の充電を実行する場合、充電器200の制御部250は、まず、電圧センサ240によって電源10の電圧を推定する(ステップS304)。
【0085】
なお、後述するが、第2開閉器174は、既定の制御の実行中、すなわち本ステップS304以降のステップで、閉じられていてよい。第1抵抗150の電気抵抗値が電源10の内部抵抗(インピーダンス)に比して十分に大きいならば、充電器200からの充電電流は、主として電源10を含む充電用回路192を流れ、認証用回路190をほとんど流れない。このように、第2開閉器174は、充電用回路192と認証用回路190のうち一方を選択的に機能させるよう構成されていることが好ましい。これにより、充電器200からの充電電流の大部分が第1抵抗150を導通する場合と比べて、電源10の充電中に電源ユニット110内での電力の損失を抑制することができる。
【0086】
電源10の電圧が放電終止電圧以上の場合、制御部250は、電源10の電圧が切替電圧以上であるかどうか判断する(ステップS306)。切替電圧は、定電流充電(CC充電)の区間と定電圧充電(CV充電)の区間を仕切るための閾値である。切替電圧は、例えば、4.0V~4.1Vの範囲内であってよい。
【0087】
電源10の電圧が切替電圧未満である場合、制御部250は、定電流充電方式により電源10を充電する(ステップS308)。電源10の電圧が切替電圧以上である場合、制御部250は、定電圧充電方式により電源10を充電する(ステップS310)。定電圧充電方式では、充電が進行するとともに電源10の電圧が増加し、電源10の電圧と充電電圧との差分が縮まるため、充電電流が減少する。
【0088】
定電圧充電方式により電源10を充電し始めると、制御部250は、充電電流が所定の充電完了電流以下であるかどうかを判断する(ステップS312)。ここで、充電電流は、充電器200内の電流センサ230により取得することができる。充電電流が所定の充電完了電流より大きい場合、定電圧充電方式により電源10の充電を続ける。
【0089】
充電電流が所定の充電完了電流以下である場合、制御部250は、電源10が満充電状態になったと判断し、充電を停止する(ステップS314)。なお、充電を停止するための条件には、充電電流以外にも定電流充電方式による充電又は定電圧充電方式による充電を開始してからの時間,電源10の電圧,電源10の温度などを用いてもよい。
【0090】
(充電モードにおける電源ユニットの制御部による制御)
図10は、充電モードにおける電源ユニット110の制御部50による制御方法の一例を示すフローチャートである。充電モードは、電源10の充電が可能なモードである。
【0091】
まず、制御部50は、電源ユニット110への充電器200の接続を検知する(ステップS400)。充電器200の接続の検知は、例えば前述したように、第2抵抗152における電圧降下量(Wake信号)に基づき判断できる。なお、電源ユニット110の接続部111への充電器200の未接続時において、第2開閉器174は開状態に維持されるよう構成されている。第2開閉器174が開いた状態では、接続部111と電源10とが電気的に遮断された待機モード(第1モード)となっている。
【0092】
制御部50が電源ユニット110への充電器200の接続を検知すると、タイマを起動する(ステップS404)。このタイマは、充電器200の接続の検知から経過した時間を計測する。
【0093】
さらに、制御部50は、必要に応じて通知部40を第1態様で機能させることが好ましい(ステップS406)。例えば、通知部40がLEDのような発光素子である場合、制御部50は、通知部を所定の第1発光態様にて発光させればよい。制御部50は、上記の既定期間のうち少なくとも一部の期間で通知部40を機能させるよう構成されていてよい
。なお、通知部40は充電器200に設けられていてもよく、さらに充電器の制御部250がこの充電器200に設けられた通知部40を制御してもよい。充電器の制御部250が通知部40を制御する場合、充電器の制御部250が電源ユニット110の接続を検知たら、制御部250は通知部40を第1態様で機能させればよい。
【0094】
制御部50は、充電器200の接続の検知から既定期間が経過したかどうかを判断する(ステップS412)。充電器200の接続の検知から既定期間が経過するまでの間、第2開閉器174は開いた状態を維持する。すなわち、接続部111と電源10とが電気的に遮断された待機モード(第1モード)が維持される。
【0095】
制御部50は、充電器200の接続の検知から既定期間が経過すると、第2開閉器174を閉じる(ステップS414)。第2開閉器174が閉じると、電源ユニット110は、接続部111と電源10とが電気的に導通された動作モード(第2モード)に遷移する。第2開閉器174が閉じた動作モードで、前述したように充電器200の制御部250が充電を開始(ステップS308,ステップS310)すれば、電源10への充電が開始される。
【0096】
制御部50による充電器200の検知は、認証用回路190が機能する第1モードから充電用回路192が機能する第2モードへ遷移させる条件となっている。しかしながら、本実施形態では、第1モードから第2モードへ遷移させる条件が成立してから既定期間の経過後に、第2開閉器174の制御によって第1モードから第2モードへ遷移させる。
【0097】
前述したように、電源ユニット110の制御部50は、充電器200の接続の検知から既定期間の間、待機モード(第1モード)を維持する。この既定期間は、充電器200の制御部250が、電源ユニット110の接続の検知から電源ユニット110内の第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得するまでに要する期間以上であることが好ましい。これにより、充電器200の制御部250は、電源ユニット110が待機モード(第1モード)にある間に、第1抵抗150の電気抵抗値に関する値を取得することができる。
【0098】
制御部50は、第2開閉器174を閉じた動作モード(第2モード)になると、通知部40を第2態様で機能させることが好ましい(ステップS420)。例えば、通知部40がLEDのような発光素子である場合、制御部50は、通知部40を所定の第2発光態様にて発光させればよい。なお、前述したように、通知部40は充電器200に設けられていてもよく、さらに充電器の制御部250がこの充電器200に設けられた通知部40を制御してもよい。充電器の制御部250が通知部40を制御する場合、充電器の制御部250が電源ユニット110の接続を検知してから前述の既定期間が経過した後に、制御部250は通知部40を第2態様で機能させてもよい。
【0099】
制御部50及び/又は制御部250は、前述の既定期間の経過後と既定期間内とで異なる態様で通知部40を機能させることが好ましい。すなわち、通知部40の第1態様、例えば第1発光態様は、通知部40の第2態様、例えば第2発光態様と異なる態様であることが好ましい。これにより、通知部40は、既定期間が経過したかどうかをユーザに知らせることができる。
【0100】
この代わりに、制御部50及び/又は制御部250は既定期間の経過後と既定期間の一方でのみで通知部40を機能させるよう構成されていてもよい。すなわち、ステップS406とS420のいずれか一方のタイミングでのみ通知部40を機能させてもよい。これにより、通知部40は、既定期間が経過したかどうかをユーザに知らせることができる。
【0101】
制御部50は充電の終了を検知したかどうか判断する(ステップS426)。充電の終
了の検知は、例えば充電器200の接続が解除されたことを検知することによって行われる。また、充電の終了の検知は、例えば充電器200からの充電電流が停止されたことを検知することによって行われてもよい。制御部50は、充電の終了を検知すると、通知部40の機能及びタイマを停止し、第2開閉器174を開く(ステップS430,ステップS432,ステップS434)。
【0102】
電源ユニット110の制御部50は、既定の制御周期で前述した制御フローを実行する。一方で、充電器200の制御部250は、制御部50の制御周期とは異なる制御周期で前述した制御フローを実行してもよい。この場合、制御部50がタイマ起動から既定期間経過するまでの間に(ステップS412)、充電器200の制御部250は、速やかに、前述のステップS301,S303を終わらせることができる。
【0103】
制御部50は、充電用回路192が機能する第2モードから認証用回路190が機能する第1モードへ遷移させる条件が成立すると、第2開閉器174の制御によって第1モードから第2モードへ遷移させるよう構成されている。例えば、前述したフローチャートでは、制御部50は、充電の終了を検知すると、第2開閉器174の制御によって第1モードから第2モードへ遷移させる。この場合、制御部50は、第1モードから第2モードへ遷移させる条件が成立してから第1モードから前記第2モードへ遷移させるまでの時間(前述の既定期間に相当)が、第2モードから第1モードへ遷移させる条件が成立してから第2モードから第1モードへ遷移させるまでの時間より長くなるよう第2開閉器を制御することが好ましい。
【0104】
(プログラム及び記憶媒体)
図9に示された前述のフローは、充電器200の制御部250が実行することができる。すなわち、制御部250は、図9に示された前述のフローを吸引成分生成装置用の充電器200に実行させるプログラムを有していてもよい。さらに、当該プログラムが格納された記憶媒体も本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0105】
図10に示された前述のフローは、電源ユニット110の制御部50が実行することができる。すなわち、制御部50は、図10に示された前述のフローを吸引成分生成装置の電源ユニット110に実行させるプログラムを有していてもよい。さらに、当該プログラムが格納された記憶媒体も本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0106】
(第1抵抗及び第2抵抗の電気抵抗値)
(1)開閉器の寄生ダイオードとの関係
本願の発明者は、第1抵抗150及び第2抵抗152の電気抵抗値について、様々な観点から好ましい値が存在することを見出した。図4に示す例では、第1開閉器172は、接続部111への充電器200のような外部ユニットの未接続時において電源10から出力された電流が第1ノード154を介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオード(ボディ・ダイオードともいう)を有している。換言すれば、第1開閉器172は、電源10の高電位側から低電位側へ向かう方向が逆方向となる寄生ダイオードを有している。また、第2開閉器174は、接続部111から入力され且つ電源10を充電する充電電流が流れる方向が逆方向となる寄生ダイオードを有している。換言すれば、電源10の高電位側から低電位側へ向かう方向が順方向となる寄生ダイオードを有している。したがって、電源ユニット110の接続部110に何も接続されていない状態で、かつ第1開閉器172及び第2開閉器174が開いている場合、電源ユニット110内の電気回路は、概ね、図12に示す回路と等価になる。図12に示す等価回路において、符号172aは、電源10から出力された電流が第1ノード154を介して流れ込む方向が逆方向となる寄生ダイオードを示している。換言すれば、符号172aは、電源10の高電位側から低電位側へ向かう方向が逆方向となる寄生ダイオードを示している。
【0107】
図12に示す等価回路において、第1抵抗150と第2抵抗152は、直列に接続されている。寄生ダイオード172aは、第2抵抗152と並列に接続されている。寄生ダイオード172aの電気抵抗値が非常に大きいと仮定すると、寄生ダイオード172aに印加される電圧値Vdiodeは、以下の式によって表される:
diode=VBatt×R/(R+R)=Vbatt/(1+R/R)。
【0108】
ここで、VBattは満充電電圧から放電終始電圧まで変動し得る電源10の出力電圧であり、Rは第1抵抗150の電気抵抗値であり、Rは第2抵抗152の電気抵抗値である。また、上記数式では第2開閉器174の寄生ダイオードなどは、寄生ダイオード172aよりも十分に小さな値であるため省略している点に留意されたい。
【0109】
また、寄生ダイオード172aは、図11に示すような特性を有することが知られている。図11は、寄生ダイオード172aに印加された電圧と、寄生ダイオード172aを流れる電流の関係を示している。図11では、寄生ダイオード172aの順方向に流れる電流の符号と、順方向に流れる電流を生じさせるために印加される電圧の符号を+(プラス)とし、寄生ダイオード172aの逆方向に流れる電流の符号と、逆方向に流れる電流を生じさせるために印加される電圧の符号を-(マイナス)としている点に留意されたい。また、以下の説明で電圧の大きさに言及する場合は、比較される2つの電圧の絶対値を扱っている点に留意されたい。寄生ダイオード172aに降伏電圧VBreakより高い逆方向の電圧が印加されたとき、すなわち図11において降伏電圧VBreakよりも左の電圧が印加されたとき、寄生ダイオード172aの逆方向に電流が流れてしまいダイオードとしての機能を失ってしまう。また、寄生ダイオード172aに降伏電圧VBreakより低い逆方向の電圧、すなわち図11において降伏電圧VBreakよりも右に位置する逆方向の電圧が寄生ダイオード172aに印加されたときであっても、量子効果による微小な漏れ電流(リーク電流)が寄生ダイオード172aを逆方向に流れる。
【0110】
漏れ電流が第1開閉器172の寄生ダイオード172aを流れると、漏れ電流は制御部50に流れ込んでしまうため、制御部50が正常に動作できない可能性がある。そのため、寄生ダイオード172a、すなわち開状態である第1開閉器172を意図せず漏れ出る電流の値をできるだけ小さくすることが好ましい。図11に示されている通り、漏れ電流は、寄生ダイオード172aへ逆方向に印加される電圧と相関を有している。また、降伏電圧VBreakよりも低い電圧を印加する場合でも、逆方向に印加される電圧が上昇すると、漏れ電流を生じさせる電子の電気的なポテンシャルが増大する。そのため、寄生ダイオード172a、すなわち第1開閉器172に印加される電圧の値Vdiodeをなるべく小さくすることが好ましい。
【0111】
したがって、上記数式を考慮すると、第2抵抗152の電気抵抗値Rは、第1抵抗150の電気抵抗値Rよりも小さいことが好ましい。これにより、寄生ダイオード172a、すなわち第1開閉器172に印加される電圧の値Vdiodeを小さくし、漏れ電流を小さくすることができる。
【0112】
より好ましくは、第1抵抗150の電気抵抗値Rと第2抵抗152の電気抵抗値Rの比は、接続部111への外部ユニットの未接続時において寄生ダイオード172aに降伏電圧未満の電圧を印加させるよう設計される。これにより、寄生ダイオード172aの機能が破壊されることを防止することができる。
【0113】
(2)暗電流の考慮
電源ユニット110の接続部111への外部ユニットの未接続時に、電源10から、第1抵抗150、第2抵抗152を貫流する微弱な暗電流が流れる。この暗電流は、霧化ユ
ニット120の負荷121Rが接続部111に接続されているときに電源10が放電可能な電流の値より小さくなるよう設計されることが好ましい。すなわち、第1抵抗150及び第2抵抗152の電気抵抗値R,Rは、接続部111への外部ユニットの未接続時において第1抵抗150と第2抵抗152を貫流する電流の値が、負荷121Rが接続部111に接続されているときに電源10が放電可能な電流の値より小さくなるよう設計されることが好ましい。これにより、待機状態における電源ユニット110の電力の消費を抑制することができる。なお、負荷121Rが接続部111に接続されているときに電源10が放電可能な電流は、前述したPWM制御やPFM制御によって調整されてもよい。
【0114】
また、この暗電流は、制御部50の検知部による外部ユニットの接続検知の精度にも関連する。すなわち、前述したように、制御部50の検知部は、接続部111への外部ユニットの接続時における第2抵抗152の電圧降下量と、接続部111への外部ユニットの未接続時における第2抵抗152の電圧降下量とを区別することによって、外部ユニットの接続を検知する。しかし、第1抵抗150や第2抵抗152の電気抵抗値が極端に大きくなってしまうと、暗電流が極端に微小な電流値になってしまう。このことから分かるように、第2抵抗152の電圧降下量は、第1抵抗150と第2抵抗152の電気抵抗値に依存する。したがって、第1抵抗150は、接続部111への外部ユニットの接続時における第2抵抗152の電圧降下量と、接続部111への外部ユニットの未接続時における第2抵抗152の電圧降下量とを、制御部50の検知部が区別できるような電気抵抗値を有することが好ましい。
【0115】
また、接続検知のエラーを抑制する目的で、外部ユニットの未接続時における第2抵抗152の電圧降下量VWakeは、既定の閾値Vthよりも高い高レベルに維持されることが望まれる。電源ユニット110への外部ユニットの非接合時に、第2抵抗152の電圧降下量VWakeは「VWake=VBatt×R/(R+R)」によって表される。
【0116】
ここで、「VWake>Vth」の関係式が満たされることが好ましいことを考慮すると、第1抵抗150の電気抵抗値は、次の関係式を満たすことが好ましいことがわかる:R<(VBatt/Vth-1)×R
【0117】
この関係式は、第1抵抗150の上限値を規定するものと考えることもできる。
以上の検討を考慮した結果、具体的には、第1抵抗150及び第2抵抗152の電気抵抗値は、接続部111への外部ユニットの未接続時において第1抵抗150と第2抵抗152を貫流する電流(暗電流)の値が、好ましくは0.200mA以下になるように設計されてもよい。これにより、暗電流をより効果的に抑制することができる。なお、併せて接続検知のエラーも効果的に抑制できる。また、第1抵抗150及び第2抵抗152の電気抵抗値は、接続部111への外部ユニットの未接続時において第1抵抗150と第2抵抗152を貫流する電流(暗電流)のレートが、好ましくは0.07mC以下になるように設計されてもよい。これによれば、第2抵抗152を通る暗電流を利用した接続検知を実行可能にしつつ、暗電流に伴う電力消費を効果的に削減することができる。なお、併せて接続検知のエラーも効果的に抑制できる。
【0118】
(3)外部ユニットの電圧センサの分解能を考慮
前述したように、充電器200のような外部ユニットの制御部250は、電源ユニット110内の第1抵抗150の電気抵抗値を取得可能な電圧センサ240を有していてよい。この場合、電圧センサ240が、第1抵抗150の電気抵抗値を正確に出力することが望まれる。したがって、電圧センサ240が第1抵抗150の電気抵抗値を取得する際に、第1抵抗150における電圧降下量は電圧センサ240の分解能よりも大きいことが好ましい。
【0119】
よって、第1抵抗150の電気抵抗値Rは、外部ユニットが電源ユニットに既定の電流値で放電した際の第1抵抗における電圧降下量が第1抵抗150における電圧降下量を出力する外部ユニットのセンサの分解能より大きくなるよう設計されていることが好ましい。
【0120】
(4)電源10の内部抵抗との関係
充電器200が電源ユニット110の接続部111に接続されている場合、充電器200からの充電電流は、主として、第2ノード156から電源10へ流入する(図7参照)。ただし、電流の一部は、電源10に流入することなく、第1抵抗150を通る。第1抵抗150を通る電流は損失となるため、なるべく第1抵抗150を通る電流を小さくすることが好ましい。このような観点から、第1抵抗150の電気抵抗値Rは、電源10の内部抵抗値Rimpedanceよりも大きいことが好ましい。
【0121】
(5)霧化ユニットの負荷との関係
電源10からの電力により吸引成分源を気化又は霧化する負荷121Rが電源ユニット110の接続部111に接続されている場合、電源10から放出された電流は、主として、第2ノード156、負荷121R、第1ノード154、第1開閉器172をこの順にとって電源10へ還流する(図5参照)。
【0122】
ただし、電流の一部は、負荷121Rを通ることなく、第1抵抗150を通る。第1抵抗150を通る電流は損失となるため、なるべく第1抵抗150を通る電流を小さくすることが好ましい。このような観点から、第1抵抗150の電気抵抗値Rは、負荷121Rの電気抵抗値Rlоadよりも大きいことが好ましい。
【0123】
(6)RC回路の時定数との関係
図6に示すように、第2抵抗152とコンデンサ164は直列に接続されている。すなわち、第2抵抗152とコンデンサ164を含む電気経路は、いわゆるRC回路を構成する。
【0124】
ここで、第1抵抗150と第2抵抗152との間の第1ノード154に充電器200のような外部ユニットが接続された場合、第1ノード154における電位が変動する。第2抵抗152とコンデンサ164はRC回路を構成するため、このRC回路の出力する電圧は、RC回路における回路方程式「V×exp(-t/τ)+V」にしたがう。また、RC回路が出力する電圧は、第1ノード154における電位の変動、すなわち第2抵抗152における電圧降下量の変動に相当する。
【0125】
ここで、「V」は、電位差の初期値、すなわちt=0のときの電位差である。制御部50が充電器200の接続を検知する例では、「V」は、電源ユニット110に何も接続されていないときの第2抵抗152での電圧降下量(電位差)に相当する。「V」は、電位差の最終値である。第1ノード154が充電器200によって接地される場合には、V=0となる。
【0126】
「t」は時間を表す。制御部50が充電器200の接続を検知する例では、「t」は、電源ユニット110に充電器200が物理的に接続されてからの時間を表す。
さらに、τは、一般に時定数と呼ばれ、「τ=R×C」の式によって規定される。ここで、「R」はRC回路における抵抗の電気抵抗値であり、「C」はRC回路におけるコンデンサの静電容量である。図6に示す例では、「R」が第2抵抗152の電気抵抗値であり、「C」がコンデンサ164の静電容量である。
【0127】
制御部50が接続部111への外部ユニットの接続を検知する場合、制御部50は、第2抵抗152における電圧降下量が十分に最終値に近づいた後に、第2抵抗152における電圧降下量を検出する必要がある。このような観点から、時定数τは小さい方が好ましい。すなわち、第2抵抗152の電気抵抗値が小さい方が好ましい。
【0128】
より具体的には、第2抵抗152とコンデンサ164によって形成されるRC回路の時定数τが制御部50の検知部による第2抵抗152における電圧降下量を検知する周期よりも短くなるように、第2抵抗152の電気抵抗値が設計されていることが好ましい。これにより、第2抵抗152における電圧降下量は、制御部50の検知部による検知の周期よりも短い期間で十分に最終値に近い値まで変動する。したがって、制御部50は、電源ユニット110の接続部111への外部ユニットの接続を速やかに、より正確に検知することができる。
【0129】
なお、制御部50の検知部における第2抵抗152における電圧降下量の検知は単一のシーケンス中に連続して複数回行われ、制御部50はこれらの平均値を第2抵抗152における電圧降下量として用いてもよい。この場合においては、第2抵抗152とコンデンサ164によって形成されるRC回路の時定数τが、このシーケンスが実行される周期より短くなるように、第2抵抗152の電気抵抗値が設計されていることが好ましい。
【0130】
特に、前述したように、電源ユニット110の制御部50と、充電器200のような外部ユニットの制御部250とが互いに通信できない場合、制御部50,250どうしの同期をとることが困難である。この場合、電源ユニット110の制御部50による制御と、充電器200のような外部ユニットの制御部250による制御との間でずれが生じないよう、制御部50は、速やかに外部ユニットの接続を検知することが好ましい。
【0131】
(複数の電源ユニットを有する吸引成分生成システム)
本発明は、吸引成分生成装置用の外部ユニットと、外部ユニットの接続部に電気的に接続可能な複数の電源ユニットと、を含む吸引成分生成システムにも適用できる。外部ユニットは、充電器200であることが好ましい。充電器200や各々の電源ユニット110の構成は、前述した通りである。したがって、充電器200や各々の電源ユニット110の詳細な構成の説明は省略する。ただし、電源ユニット110内の第1抵抗150の電気抵抗値は、互いに異なっていてもよい。
【0132】
複数の電源ユニット110の第1抵抗150の電気抵抗値は、高レートで充電可能な電源10を有する電源ユニット110ほど大きいことが好ましい。すなわち、複数の電源ユニット110に備えられた第1抵抗150の電気抵抗値は、高レートで充電可能な電源10を有する電源ユニット110ほど大きな値に選択される。
【0133】
充電器200により電源ユニット110の電源10へ充電電流を送る場合、高レートの充電電流を送ると、第1抵抗150を含む認証用回路190に比較的大きな電流が流れやすい。すなわち、充電電流が高レートであるほど、電源10の充電に寄与しない無駄な電流の量が増え、電力のロスが増大する。
【0134】
したがって、高レートで充電可能な電源10を有する電源ユニット110ほど第1抵抗150の電気抵抗値を大きな値に選択することで、高レートで充電可能な電源10を有する電源ユニット110であっても、電源10の充電に寄与しない無駄な電流の量を抑えることができる。
【0135】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は
、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0136】
例えば、上記実施形態では、吸引成分生成装置用の電源ユニット110に接続される外部ユニットは、主として充電器200であった。しかしながら、外部ユニットは、充電器200に限られない。外部ユニットは、外部ユニットは、電源ユニット内の抵抗の電気抵抗値に関する値を出力可能であり、電源ユニットに対して既定の制御を行う機器であればよい。この場合であっても、外部ユニットは、電源ユニット又は電源ユニット内の電源の種別を判別し、電源ユニット又は電源の種別に応じて電源ユニットに対して最適な制御を実行できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12