IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トップ キャップ ホールディング ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-金属製缶蓋 図1
  • 特許-金属製缶蓋 図2
  • 特許-金属製缶蓋 図3
  • 特許-金属製缶蓋 図4
  • 特許-金属製缶蓋 図5
  • 特許-金属製缶蓋 図6
  • 特許-金属製缶蓋 図7
  • 特許-金属製缶蓋 図8
  • 特許-金属製缶蓋 図9
  • 特許-金属製缶蓋 図10
  • 特許-金属製缶蓋 図11
  • 特許-金属製缶蓋 図12
  • 特許-金属製缶蓋 図13
  • 特許-金属製缶蓋 図14
  • 特許-金属製缶蓋 図15
  • 特許-金属製缶蓋 図16
  • 特許-金属製缶蓋 図17
  • 特許-金属製缶蓋 図18
  • 特許-金属製缶蓋 図19
  • 特許-金属製缶蓋 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】金属製缶蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/50 20060101AFI20230210BHJP
   B65D 17/32 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
B65D17/50
B65D17/32
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020570810
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2019065879
(87)【国際公開番号】W WO2019243254
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】18178571.8
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520375192
【氏名又は名称】トップ キャップ ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーチ グレゴール アントン
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/148659(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0016058(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02241460(FR,A1)
【文献】特開昭54-083590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/28-17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再閉鎖可能な開口部を有する金属製の缶蓋であって、
金属製の蓋面に設けられ、前記開口部の周囲を囲むマイクロギャップ(4)又は脆弱化ラインと、
固定蓋面(2)に接続され、前記開口部を取り囲むプラスチック材料からなるシールフレーム(5)と、
プラスチックからなる閉鎖ユニット(6)と、を有し、前記閉鎖ユニット(6)は、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ラインの内側に配置され、上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接続され、前記固定蓋面(2)に回動軸受(7)を介して回動可能に取り付けられており
記シールフレーム(5)及び前記閉鎖ユニット(6)は、密封する態様で協働し、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ラインの周囲の内側に配置された前記金属の蓋領域(3)は、前記蓋(1)の開口領域に受容されて保持され、
前記シールフレーム(5)は前記固定蓋面(2)に接着され、前記閉鎖ユニット(6)は前記上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接着され
けられる可能性のあるラッカー層を除いて、前記蓋の内部側は、ラミネートが施されておらず、
前記閉鎖ユニット(6)は、前記蓋(1)が開けられていない限り、前記マイクロギャップ(4)又は脆弱化ラインを前記蓋の外部側から覆っていることを特徴とする缶蓋。
【請求項2】
前記閉鎖ユニット(6)は、前記上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に、接着剤層を用いて接着され、前記接着剤層は、食品への使用に適しておりかつ/又は潤滑特性を有することを特徴とする請求項1に記載の缶蓋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の缶蓋であって、前記閉鎖ユニット(6)は、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ラインを、両側において少なくとも0.3ミリメートル、好ましくは1ミリメートル覆っていることを特徴とする缶蓋。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の缶蓋であって、前記閉鎖ユニット(6)は、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ライン(4´、4´´)の内側の周辺全体に放射状に位置する領域であって、前記缶が引裂き開口された際に前記閉鎖ユニット(6)が前記上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に固定されたままであるような態様で接続され、特に接着されている領域である第1のシール領域(26)と、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ライン(4´、4´´)の外側の周辺全体に放射状に位置する領域であって、所定の最大の力での前記缶蓋の引裂き開口の際に前記固定蓋面(2)から解放可能であるように、前記固定蓋面(2)に接続されている、特に接着されている領域である第2のシール領域(27)と、を有することを特徴とする缶蓋。
【請求項5】
前記最大の力は、≦10Nの力であることを特徴とする請求項に記載の缶蓋。
【請求項6】
前記最大の力は、≦5Nの力であることを特徴とする請求項に記載の缶蓋。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の缶蓋であって、前記閉鎖ユニット(6)には引裂き開口部材(8)が設けられており、前記引裂き開口部材(8)は、前記閉鎖ユニット(6)に上方に回動可能な態様で直径方向において前記回動軸受(7)と反対側に接続されており、前記上方に回動可能な蓋領域(3)は、前記引裂き開口部材(8)と係合する点において尖った領域と、前記回動軸受(7)において前記尖った領域から遠い端部の丸みを帯びた領域と、を有する液滴のような形状を有することを特徴とする缶蓋。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の缶蓋であって、
前記閉鎖ユニット(6)には引裂き開口部材(8)が設けられており、前記引裂き開口部材(8)は、前記閉鎖ユニット(6)に上方に回動可能な態様で直径方向において前記回動軸受(7)と反対側に接続されており、
前記缶蓋(1)は、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ライン(4´、4´´)の両側に接する前記引裂き開口部材(8)の領域に細長い穴(29)を有し、
プラスチック部材(28)が、前記細長い穴(29)を封止するように挿入され、
前記プラスチック部材(28)にも、前記缶蓋(1)の前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ライン(4´、4´´)の向かい合った端部を互いに接続する脆弱化ライン(30)が設けられていることを特徴とする缶蓋。
【請求項9】
前記プラスチック部材(28)は、前記缶蓋(1)の両面でのキノコ形状のデザインによって、かつ、前記固定蓋面(2)及び前記上方に回動可能な蓋領域(3)の両方への接着結合によって、前記細長い穴(29)を封止するように挿入されていることを特徴とする請求項に記載の缶蓋。
【請求項10】
再閉鎖可能な開口部を有する金属製の缶蓋を製造する方法であって、
金属製の蓋面に設けられ、前記開口部の周囲を囲むマイクロギャップ(4)又は脆弱化ライン(4´、4´´)と、
固定蓋面(2)に接続され、前記開口部を取り囲むプラスチック材料からなるシールフレーム(5)と、
プラスチックからなる閉鎖ユニット(6)と、を有し、前記閉鎖ユニット(6)は、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ラインの内側に配置され、上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接続され、前記固定蓋面(2)に回動軸受(7)を介して回動可能に取り付けられており
記シールフレーム(5)及び前記閉鎖ユニット(6)は、密封する態様で協働し、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ラインの周囲の内側に配置された前記金属の蓋領域(3)は、前記蓋(1)の開口領域に受容されて保持され、
前記シールフレーム(5)は前記固定蓋面(2)に接着され、前記閉鎖ユニット(6)は前記上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接着され、特に接着剤を用いた熱プロセスによって接着され、
設けられる可能性のあるラッカー層を除いて、前記蓋の内部側はラミネートが施されておらず、
前記閉鎖ユニット(6)は、前記蓋(1)が開けられていない限り、前記マイクロギャップ(4)又は脆弱化ラインを前記蓋の外部側から覆っており、
特に、請求項1乃至のいずれか1つに記載の缶蓋を製造するための方法であり、前記接着剤はそれぞれのプラスチック材料に混ぜられ、当該接着剤は特に、前記シールフレーム(5)及び/又は前記閉鎖ユニット(6)の離型の前に、射出成型のプラスチック部品を製造するために用いられるプラスチック粒子に混合されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記閉鎖ユニット(6)は前記上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接着ラッカーを用いて接着され、前記接着ラッカーは、食品への使用に適しておりかつ/又は潤滑特性を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
再閉鎖可能な開口部を有する金属製の缶蓋を製造する方法であって、
金属製の蓋面に設けられ、前記開口部の周囲を囲むマイクロギャップ(4)又は脆弱化ライン(4´、4´´)と、
固定蓋面(2)に接続され、前記開口部を取り囲むプラスチック材料からなるシールフレーム(5)と、
プラスチックからなる閉鎖ユニット(6)と、を有し、前記閉鎖ユニット(6)は、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ラインの内側に配置され、上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接続され、前記固定蓋面(2)に回動軸受(7)を介して回動可能に取り付けられており
記シールフレーム(5)及び前記閉鎖ユニット(6)は、密封する態様で協働し、前記マイクロギャップ(4)又は前記脆弱化ラインの周囲の内側に配置された前記金属の蓋領域(3)は、前記蓋(1)の開口領域に受容されて保持され、
前記シールフレーム(5)は前記固定蓋面(2)に接着され、前記閉鎖ユニット(6)は前記上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接着され、
設けられる可能性のあるラッカー層を除いて、前記蓋の内部側はラミネートが施されておらず、
前記閉鎖ユニット(6)は、前記蓋(1)が開けられていない限り、前記マイクロギャップ(4)又は脆弱化ラインを前記蓋の外部側から覆っていることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記閉鎖ユニット(6)の前記上方に回動可能な金属の蓋領域(3)に接着ラッカーを用いて接着され、前記接着ラッカーは、食品への使用に適しておりかつ/又は潤滑特性を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再閉鎖可能な開口部を有する金属製の缶の蓋、特に飲料の缶向けの、食品及び他の液体、ペースト状の、粉末状の、及び/又は固形の製品を貯蔵するための容器向けの缶の蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
再閉鎖可能な開口部を有する缶の蓋は、EP1607341A1によって知られている。EP1607341A1において、金属の缶の蓋に開口部が導入され、当該開口部の縁はビード状であり、プラスチック製の既製の閉鎖部分を係留する可能性を創出する。当該プラスチック製の閉鎖部品は、缶の開口部のビード状の周縁部(ビードリム(bead rim))に接続されるべきベース部分を含む。当該ベース部分には、平坦なストッパによって閉鎖される開口部が形成されている。当該平坦なストッパは、プラスチック製の引裂きシーム(tear seam)を介して当該開口部の縁(opening margin)に接続されており、引裂きタブ(tear tab)に接続された当該平坦なストッパは、当該引裂きタブを介して引っ張りの作用によってプラスチック製のベース部分から解放され得、開口位置に旋回され得る。当該開口部は、当該平坦なストッパを押し込むことによって一時的に再び閉鎖することができる。当該平坦なストッパは、好ましくはその下側が円錐形である。
【0003】
例えば、再閉鎖可能な缶の蓋は、DE 10 2010 013 531A1、DE 10 2015 112 428A1及びEP2 354 022 B1にさらに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、再閉鎖可能な缶蓋を提供することである。当該缶蓋は、特に製造において好都合であり、一方ではそれでも非常に作動が容易であり、他方では良好な密封特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する缶の蓋によって達成される。
【0006】
マイクロギャップは、缶蓋の特に単純な開口を確実にするが、脆弱化ラインもまた、一般に適している。効果的な閉鎖及び再閉鎖は、密封及び係止リブ(sealing and latching ribs)及び関連付けられた受け溝を介して達成され得る。この点において、シールフレームが固定された蓋面に接着されていること、及び上方に回動可能な金属の蓋領域に閉鎖ユニットが接着されていることは特に有利である。例えばプラスチックフィルムなどのラミネート加工を缶蓋の内側に施すことを省略することは、低コストの製造をもたらす。
【0007】
設けられる可能性のあるラッカー層を除いて、蓋の内側全体に、ラミネート加工又はこれに類するものを用いない場合に、当該製造は特に有利である。シールフレーム及び閉鎖ユニットは、蓋の外部側(蓋の表側)(outer end side)に取り付けられてさえいればよく、製造中に当該蓋に固定して接続されていればよい。当該蓋の内部側(裏側)(inner side)は、特に食品への使用に適しているラッカー層によって覆われていてもよい。そのようなラッカー層を未加工の蓋材料に塗布することは、すでに低価格の態様で行われ得る。マイクロギャップの打ち抜かれたへりはその後、例えば噴霧塗装又はパッド印刷によって、再びラッカーによって覆われ得る。
【0008】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、当該蓋の内部側には、マイクロギャップ又は脆弱化ラインを覆うが、当該マイクロギャップ又は脆弱化ラインの外側に位置する領域は覆わないシールフィルムが設けられている。従って、比較的小さいフィルムが要求されるのみであり、それはさらに完全な平面として形成され得る。フィルムの製造及び当該フィルムの当該蓋の内部側への接続の両方が、特に単純にかつ低コストで実行され得る。
【0009】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、当該シールフィルムは、マイクロギャップ又は脆弱化ラインの形状に対応する環状の形状を有する。この点において、当該フィルムは、マイクロギャップ又は脆弱化ラインの両側に亘って10分の数ミリメートル、特に10分の3(0.3)ないし10分の4(0.4)ミリメートルに延在し得るのみである。非常に小さいフィルムによって、マイクロギャップ又は脆弱化ラインの確実な被覆が達成され得る。それによって、一方では製造コストはさらに低減され、他方では製造自体が単純化される。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、当該シールフィルムは円盤形状であり、マイクロギャップ又は脆弱化ラインの全体の領域を覆う。このフィルムは同様に、マイクロギャップ又は脆弱化ラインを外向きに越えて10分の数ミリメートル、好ましくは10分の3ないし10分の4ミリメートル外側に拡張してさえいればよい。当該円盤形状も製造するのが非常に簡単であり、また蓋の内部側に取り付けるのが非常に簡単である。したがって製造におけるコストも削減される。
【0011】
当該フィルムは、打ち抜かれた部分として形成される場合に特に有利に製造され得る。
【0012】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、閉鎖ユニットは、蓋が開いていない限りマイクロギャップ又は脆弱化ラインを外側から覆う。従って蓋の不透過性は、当該蓋の内部側の被覆にフィルムを貼らなくとも達成され得る。ここでの閉鎖ユニットは、好ましくはマイクロギャップ又は脆弱化ラインの両側を少なくとも0.3ミリメートル、特に約1ミリメートル覆う。
【0013】
本発明の更なる実施形態によれば、閉鎖ユニットは、マイクロギャップ又は脆弱化ライン内の周辺全体に放射状に位置する領域であって、上方に回動可能な金属の蓋領域に引裂き開口され得ないような態様で接続されている、特に接着されている第1のシール領域と、マイクロギャップ又は脆弱化ラインの外側の周辺全体に放射状に位置する領域であって、所定の最大の力で蓋カバーが引裂き開口された際に固定された蓋表面から解放可能であるように、当該固定された蓋表面に接続されている、特に接着されている第2のシール領域と、を有している。ここで、当該最大の力は、好ましくは10N以下であり、特に5N以下である。これらのシール領域によって、所望の閉鎖強度が設定され得るとともに、容器の内部の空間の、外部の空間に対する有利なシールがもたらされる。缶蓋に内部のフィルム無しのマイクロギャップがある場合、シールの強度及び閉鎖の強度は、もっぱら閉鎖ユニットによって達成され、脆弱化ラインを有する蓋の場合、かなりの強度が得られる。
【0014】
缶蓋の最初の開口の際に、閉鎖ユニットと固定された蓋領域との間のシールは、ピールクロージャ(peel closure)の態様で開放される。一方、閉鎖ユニットと上方に回動可能な蓋領域との間のシールは維持される。缶蓋が再閉鎖された場合、蓋の不透過性は、一方では閉鎖ユニットと上方に回動可能な端部領域との間のシールに影響され、他方では、シールフレームと閉鎖ユニットとの間のシールに影響される。
【0015】
更なる好適な実施形態によれば、当該上方に回動可能な蓋領域は、引裂き開口部材と係合する点にある尖った領域と、回動軸受(pivot bearing)で当該尖った領域から遠い端部の丸みを帯びた領域と、を含む液滴のような形状を有する。その結果、特に閉鎖ユニットと固定された蓋領域との間のシールに関して、有利な引裂き開口動作となる。
【0016】
本発明の更なる実施形態によれば、当該缶蓋は、両側でマイクロギャップ又は脆弱化ラインに隣接する引裂き開口部材の領域に細長い穴を有する。プラスチック部品が、特に蓋の両側でのキノコ形状の(mushroom-shaped)デザインによって、また缶蓋に接着された結合によって、当該細長い穴を封止するように挿入される。当該プラスチック部品にも、金属製の缶蓋のマイクロギャップ又は脆弱化ラインの向かい合った端部を互いに接続する脆弱化ラインが設けられている。プラスチック部品の脆弱化ラインは、特にシールの構築の際に刻印によって作られ得る。これによって開栓の力は有利に低減される。
【0017】
本発明の更なる実施形態によれば、当該缶蓋の脆弱化ラインは、プレスされた角が鋭いノッチ(sharp-edged notch)によって形成される。本発明の他の実施形態によれば、当該脆弱化ラインは、缶蓋の材料の深絞りによって製作される。容易に引裂き開口可能な非常に薄壁の引裂きラインは、後者の変形例によって形成される。しなしながら、角が鋭いノッチも有利な引裂き開口特性をもたらす。
【0018】
上述したような、シールフレームが固定された蓋表面に接着され、かつ、閉鎖ユニットが上方に回動可能な金属の領域に接着された金属製の缶蓋を製造するために、特に熱プロセスによって、接着剤を用いて、特に接着ラッカーを用いて、好ましくは食品及び/又は潤滑特性を有するものへの使用に適した接着ラッカー層を用いて製造するために、シールフレーム及び/又は閉鎖ユニットの離型前に、接着剤がそれぞれのプラスチック材料に混ぜられることが好ましい。当該接着剤は特に、射出成型のプラスチック部品を製造するために用いられるプラスチック粒子に混合されてもよい。前記部品に別々に接着剤を塗布しなくて済むので、製造コストが低減され得る。
【0019】
上述したような金属製の缶蓋を製造するさらなる方法であって、当該缶蓋はプラスチックフィルムを特に蓋の内部側に有し、当該プラスチックフィルムは特に缶蓋のマイクロギャップをシールし、当該プラスチックフィルムは当該金属製の缶蓋に、特に熱プロセスによって、接着剤を用いて、特に接着ラッカーを用いて接着される方法において、当該接着剤はフィルムとして形成されることが好ましい。当該2つのフィルムが容易に互いに接続可能であるので、これもまた製造に有利である。
【0020】
当該接着剤のフィルムは、2層のフィルムとしてのプラスチックフィルムによって、特に共押出しによって製造することが特に好ましい。それによって、製造がより単純となり、より低コストとなる。
【0021】
当該接着剤は、1つ又は両方の部品が接続されるための接着ラッカーとして塗布され得る。すなわち、当該接着剤は、金属製の蓋の材料及び/又はシールフレーム、閉鎖ユニット、及びシールフィルムに塗布され得る。
【0022】
発明の実施形態が図面に表されており、以下に説明される。それぞれ概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による缶蓋の斜視図である。
図2図1の缶蓋の上側の平面図である。
図3図2のA-A線に沿った断面図である。
図4図2のB-B線に沿った断面図である。
図5】本発明による缶蓋の変形例の図4に対応する断面図である。
図6図5のBの詳細を示す図である。
図7図5のCの詳細を示す図である。
図8】本発明による缶蓋のさらなる変形例の図4に対応する断面図である。
図9図8のBの詳細を示す図である。
図10図9のCの詳細を示す図である。
図11】本発明による缶蓋の他の変形例の図4に対応する断面図である。
図12図11のBの詳細を示す図である。
図13図12のCの詳細を示す図である。
図14】本発明による缶蓋の開口領域の平面図である。
図15】本発明による缶蓋に挿入されるプラスチック部品を示す図である。
図16図15のプラスチック部品がキノコ型に変形した後の様子を示す図である。
図17】本発明による缶蓋の部分の平面図である。
図18図17のB-B線に沿った断面図である。
図19図17のC-C線に沿った断面図である。
図20図17のD-D線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面に示される缶蓋1は、金属、特にアルミニウムを含み、再閉鎖可能な開口部を有する。上方に回動可能な蓋の領域3(以下、上方回動蓋領域3とも称する)は、固定された蓋表面2(以下、固定蓋面2とも称する)の傍にこの目的で備えられている。当該上方回動蓋領域3は、周辺のマイクロギャップ4又は脆弱化ラインによって固定された蓋領域2(以下、固定蓋領域2とも称する)から分離されている(図6参照)。
【0025】
プラスチック材料から成り開口領域を囲むシールフレーム5は、固定蓋面2に接続されており、実際には特に、蓋のアルミニウムとの強固な接続を可能にするために、接着剤を用いたいわゆるホットメルトプロセスによって接続されている。同様にプラスチックからなり、回動軸受7を介して固定蓋面2に回動可能に接続されている閉鎖ユニット6は、上方に回動可能な金属の蓋領域3にさらに取り付けられている。回動軸受7及び閉鎖ユニット6は、特に、接着剤を用いたホットメルト接続を介して、固定蓋面2又は上方回動可能な蓋領域3に接続されている。
【0026】
当該閉鎖ユニットは、回動軸受7とは直径方向に反対の側において、上方に回動していない状態において蓋の上側9と平行に配置された、上方に回動可能な引裂き開口部材8に接続されている。当該引裂き開口部材8は、公知の態様で環状に形成されており、係合端10に指がかけられることによって蓋表面に対して回動軸受11の周りを上方に回動し得る。
【0027】
シールフレーム5と閉鎖ユニット6とは、シールフレーム5のシール及び係止リブ12、13、14と、これらと関連付けられた、閉鎖ユニット6の受け溝15、16、17とを介して、密閉する態様で協働する。それによって、少なくとも3つの封止端(sealing edges)18、19、20が形成される。これらの封止端によって、缶蓋の開口領域が封止される。従って、上方回動蓋領域3と固定蓋面2との間のマイクロギャップ4を用いる場合にも、缶蓋の不透過性が確実にされる。
【0028】
図5~7の実施形態において、缶蓋1は、マイクロギャップ4を備えている。マイクロギャップ4は、閉鎖ユニット6によって把持されており、閉鎖ユニット6と上方回動蓋領域3との間に形成された第1のシール領域26及び閉鎖ユニット6と固定蓋領域2との間の第2のシール領域27を伴っている。第1のシール領域は、閉鎖ユニット6が引裂き開口できない態様で上方回動蓋領域3に接続されるように構成されている。これに対して、第2のシール領域27は、所定の最大の力で缶蓋1が引裂き開口される時に固定蓋領域2から解放可能であるように構成されている。当該最大の力は、好ましくは≦10Nであり、特に5Nであることが好ましい。シール領域26及び27の両方が、缶蓋の開口領域の周縁全体に形成されており、缶の内部はこれらの2つのシール領域によって完全に密封されている。
【0029】
当該第1のシール領域26及び第2のシール領域27における密封は、熱プロセスによって、好ましくはいわゆるホットメルトプロセスによって、接着される態様で行われることが好ましい。シール面26、27の形状は、図14に示すように、液滴形状であることが好ましい。
【0030】
図8~10は、本発明の缶蓋の更なる変形例を示す。当該缶蓋は、閉鎖ユニット6と上方回動蓋領域3との間の第1のシール領域26及び閉鎖ユニット6と固定蓋領域2との間の第2のシール領域27を有し、上述した変形例に従ってそれぞれ形成されている。上述した変形例との違いは、マイクロギャップ4の代わりに、固定蓋領域2と上方回動蓋領域3との間に設けられた脆弱化ライン4´を含む。脆弱化ライン4´は、ここでは角が鋭いノッチとして形成されている。
【0031】
図11~13に示す変形例において同様に、脆弱化ライン4´´が固定蓋領域2と上方回動蓋領域3との間に設けられている。上述した変形例とは異なり、脆弱化ライン4´´は深絞りによる変形として形成されている。脆弱化ライン4´´は、閉鎖ユニット6によって同様に把持されており、閉鎖ユニット6と上方回動蓋領域3との間に設けられた第1のシール領域26及び閉鎖ユニット6と固定蓋領域2との間に設けられた第2のシール領域27を伴っている。残りの構成については、上述した変形例と同様である。
【0032】
図15~20に示す変形例において、プラスチック部品28が、缶蓋1に設けられた細長い穴29に挿入されている。マイクロギャップ4は、細長い穴29の2つの狭い端部にそれぞれ接している。図16から容易に見て取れるように、プラスチック部品28は、キノコのような態様で変形して、一方では固定蓋領域2、他方では上方回動蓋領域3の両面で係合する。図15は、変形していない状態を示している。
【0033】
キノコ型の態様で変形したプラスチック部品28は、特に接着剤を用いた熱プロセスによって、缶蓋1に接着されている。さらに、プラスチック部品28に脆弱化ライン30が刻印されており、好ましくは、缶蓋1を密封する工程の間に構築される。当該プラスチック部品は、缶蓋の引裂き開口時に、脆弱化ライン30を介して、2つの部分に分離され得る。ここで、開口の力は、プラスチック部品28が無い場合よりも小さい。
【0034】
図3及び図4に示す実施形態において、缶蓋の内部側はプラスチックフィルム25でラミネートされており、当該蓋の内部側の全体が覆われている。これとは異なり、当該プラスチックフィルムは、環状に形成されていてもよく、マイクロギャップ4又は脆弱化ラインを越えて両側に、10分の数ミリメートル、特に10分の3ないし10分の4ミリメートル延在するのみでもよい。あるいは、放射状に外側に向かってマイクロギャップ4又は脆弱化ラインを越えて10分の数ミリメートル、特に10分の3ないし10分の4ミリメートル延在する円盤形状のシールフィルムを用いてもよい。この場合、当該シールフィルムは、概ね平坦な円盤として形成される。環状及び円盤形状のシールフィルムは、好ましくは打ち抜かれた部品として形成される。
【0035】
シールフレーム5及び閉鎖ユニット6は常に缶蓋1の外部側に取り付けられ、当該缶蓋に接着剤を介して接続されるのに対して、蓋の内部側は、実施形態とは異なり、少なくとも大部分にラミネート等がされていなくともよい。しかしながら、当該内部側には、ラッカー層が設けられていてもよく、特に食品への利用に適し、缶の中に貯蔵された製品が金属の蓋材料と接触することを防止する。
【0036】
図5~13に示す実施形態は、シールフィルムなしの缶蓋を示している。それでも、缶蓋の不透過性及び閉鎖強度は、シール領域26及び27によって、シール及び係止リブ12、13及び14によって、関連付けられた受け溝15、16及び17を伴って、確実にされる。
【符号の説明】
【0037】
1 缶蓋
2 固定蓋領域
3 上方回動蓋領域
4 マイクロギャップ
4´,4´´ 脆弱化ライン
5 シールフレーム
6 閉鎖ユニット
7 回動軸受
8 引裂き開口部材
9 蓋の上側
10 係合端
11 8の回動軸受
12 シール及び係止リブ
13 シール及び係止リブ
14 シール及び係止リブ
15 受け溝
16 受け溝
17 受け溝
18 封止端
19 封止端
20 封止端
21 フック
22 突起
23 アパーチャ
24 延長部分
25 シールフィルム
26 第1のシール領域
27 第2のシール領域
28 プラスチック部品
29 細長い穴
30 脆弱化ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20