(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/56 20110101AFI20230214BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20230214BHJP
F24F 11/42 20180101ALI20230214BHJP
【FI】
F24F1/56
F24F13/22 221
F24F11/42
(21)【出願番号】P 2019090624
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】付 航
(72)【発明者】
【氏名】石井 克弥
(72)【発明者】
【氏名】坪内 達哉
【審査官】嶋田 研司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-125149(JP,U)
【文献】特開2009-270784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0034471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F24F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機本体の底部を構成するものであって、角部を有する底板と、
前記底板の上部に設けられ、前記底板の角部に対向する部分に円弧状に曲げられている曲げ部を有する熱交換器と、
前記底板の角部と前記熱交換器の曲げ部との間の隙間に設けられる
所定部材と、
を備え
、
前記所定部材は、断熱材であり、前記熱交換器の曲げ部に対向する位置において切り欠かれた凹部を有する空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、空気調和機の室外機は、室外機本体の底部を構成する底板の上部に熱交換器を設ける構成となっている。空気調和機の室外機において、底板は、角部を有するほぼ矩形状に構成され、これに対して、熱交換器は、途中部分が円弧状に曲げられた曲げ部を有する構成となっている。そして、熱交換器は、曲げ部を底板の角部に対向させた状態で配置される。そのため、底板の角部と熱交換器の曲げ部との間に隙間が形成される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、寒冷地などにおいては、上述した隙間に積もった雪が凍り付き、その凍り付いた雪が蓄積されることで熱交換器に悪影響を及ぼすことが懸念される。また、熱交換器を除霜することにより発生した除霜水が上述した隙間において凍り付き、その凍り付いた除霜水が蓄積されることで熱交換器に悪影響を及ぼすことも懸念される。
【0005】
そこで、本実施形態は、底板の角部と熱交換器の曲げ部との間の隙間における凍り付きを抑制することができる空気調和機の室外機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る空気調和機の室外機は、室外機本体の底部を構成するものであって、角部を有する底板と、前記底板の上部に設けられ、前記底板の角部に対向する部分に円弧状に曲げられている曲げ部を有する熱交換器と、前記底板の角部と前記熱交換器の曲げ部との間の隙間に設けられる所定部材と、を備え、前記所定部材は、断熱材であり、前記熱交換器の曲げ部に対向する位置において切り欠かれた凹部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る空気調和機の室外機の構成例を概略的に示す斜視図
【
図2】本実施形態に係る空気調和機の室外機における底板の角部およびその周辺部分を拡大して示すものであって、底板の角部と熱交換器の曲げ部との間の隙間に断熱材が配置されていない状態を概略的に示す斜視図
【
図3】本実施形態に係る空気調和機の室外機における底板の角部およびその周辺部分を拡大して示すものであって、底板の角部と熱交換器の曲げ部との間の隙間に断熱材が配置されている状態を概略的に示す斜視図
【
図4】本実施形態に係る断熱材の構成例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、空気調和機の室外機に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に例示する空気調和機の室外機10は、屋内に設けられる図示しない室内機とともに空気調和機を構成するものであって、その外郭を構成するほぼ矩形状の室外機本体11の底部が底板12により構成されている。底板12は、底面が浅いほぼ矩形の容器状をなしている。底板12の上部には、図示しない圧縮機、アキュームレータ、送風ファンなどが設けられている。また、底板12の上部には、熱交換器13が設けられている。
【0009】
熱交換器13は、図示しない圧縮機やアキュームレータなどとともに周知の冷凍サイクルを構築している。そして、熱交換器13は、図示しない送風ファンによって送風される空気と熱交換する。熱交換器13は、室外機本体11の後面に沿う後面側熱交換部13Aと室外機本体11の側面に沿う側面側熱交換部13Bとの間に曲げ部13Cを有している。曲げ部13Cは、後面側熱交換部13Aと側面側熱交換部13Bとを連結する滑らかな円弧状の曲げ部となっている。
【0010】
図2に例示するように、底板12は、その縁部が上方に折り曲げられており、これにより壁部12Aが構成されている。また、底板12の角部12Bにおいて、壁部12Aは、熱交換器13の曲げ部13Cの曲げ角度よりも直角に近い形状となっている。そして、底板12の上部において、熱交換器13は、曲げ部13Cを底板12の角部12Bに対向させた状態で配置される。そのため、底板12の角部12Bと熱交換器13の曲げ部13Cとの間に隙間Gが形成される構造となっている。なお、底板12は、隙間Gの底部となる部分に、当該底板12を貫通する水抜き孔12Cを備えている。
【0011】
そして、
図3に例示するように、室外機10は、この隙間Gに断熱材14を備えた構成となっている。断熱材14は、例えば、発泡スチロールや発泡ウレタンなどの断熱材料により構成されている。
【0012】
図4に例示するように、断熱材14は、外縁部14Aおよび内縁部14Bを備えている。外縁部14Aは、底板12の角部12Bにおける壁部12Aの形状に応じた直角に近い形状となっている。一方、内縁部14Bは、熱交換器13の曲げ部13Cの形状に応じた滑らかな円弧状の形状となっている。さらに、断熱材14は、凹部14Cを備えている。この場合、凹部14Cは、内縁部14Bのほぼ中央部に設けられており、断熱材14が隙間G内に取り付けられた状態において、熱交換器13の曲げ部13Cのほぼ中央部に対向するようになっている。また、凹部14Cは、断熱材14が隙間G内に取り付けられた状態において、底板12の水抜き孔12Cの上方に位置するようになっている。また、この場合、凹部14Cは、矩形状に切り欠かれた凹部となっている。
【0013】
以上に説明した空気調和機の室外機10によれば、底板12の角部12Bと熱交換器13の曲げ部13Cとの間に形成される隙間Gに断熱材14を備えている。この構成によれば、底板12の角部12Bと熱交換器13の曲げ部13Cとの間の隙間Gにおける凍り付きを、断熱材14による断熱作用によって抑制することができる。よって、隙間Gにおける凍り付きが熱交換器13に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0014】
また、室外機10によれば、断熱材14は、凹部14Cを有している。この構成によれば、断熱材14の上部に存在する水を凹部14Cおよび水抜き孔12Cを通して底板12の下方に効率良く排出することができ、当該隙間G内における凍り付きを一層効果的に抑制することができる。
【0015】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、断熱材14に形成する凹部14Cの形状、大きさ、位置、数などは適宜変更して実施することができる。また、断熱材14は、凹部14Cを備えない構成としてもよい。また、断熱材14の形状や大きさなどは、隙間Gの形状や大きさなどに応じて適宜変更して実施することができる。また、本実施形態は、水が凍り付くような寒冷地において用いられる室外機に好適であるが、水が凍り付かない環境において用いられる室外機にも適用することができる。
【0016】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0017】
図面中、10は空気調和機の室外機、11は室外機本体、12は底板、12Bは底板の角部、13は熱交換器、13Cは熱交換器の曲げ部、14は断熱材、14Cは凹部、を示す。