(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】自律型電気掃除機
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230216BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2018235591
(22)【出願日】2018-12-17
【審査請求日】2021-07-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】槙島 光希
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
(72)【発明者】
【氏名】杉本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】洪 庚杓
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 正史
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196513(JP,A)
【文献】特開昭63-286910(JP,A)
【文献】特開2005-205028(JP,A)
【文献】特開2008-097088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体を移動させる移動部と、
掃除場所の環境地図を記憶する記憶部と、
前記環境地図上で前記掃除場所を分割して複数の分割掃除場所を生成する分割部と、
前記分割掃除場所毎に掃除を行うように前記移動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
一の前記分割掃除場所の掃除を終えた後、当該一の分割掃除場所における掃除の終了位置から、掃除を終えていない他の前記分割掃除場所のそれぞれについて定められる掃除の開始位置へ
、直接または前記掃除場所に存在する障害物を迂回して到達する経路の移動距離
を対比して、前記移動距離が最も短い前記他の分割掃除場所を特定し、当該他の分割掃除場所を前記一の分割掃除場所に続いて掃除を行う次の分割掃除場所に設定して、前記次の分割掃除場所における掃除の開始位置を設定する開始位置設定部を有し、
前記一の分割掃除場所における掃除の終了後、前記終了位置から前記開始位置設定部により設定された前記次の分割掃除場所における掃除の開始位置へ、前記本体を移動させる自律型電気掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、前記本体が前記複数の分割掃除場所を同じまたは類似する移動類型で移動して掃除を行うように、前記移動部を制御する請求項1に記載の自律型電気掃除機。
【請求項3】
前記分割部は、前記分割掃除場所の大きさが予め定める所定の大きさ以下になるように前記分割掃除場所を生成する請求項1または2に記載の自律型電気掃除機。
【請求項4】
前記分割部は、少なくとも前記環境地図における縁を含まない部分では、前記分割掃除場所を対向する辺の対を2つ有する矩形に生成し、
前記制御部は、前記本体がいずれか一方の前記辺の対の間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とをいずれか他方の前記辺の対の間で一方向へずらしながら進んで前記分割掃除場所を掃除するように、前記移動部を制御し、
前記開始位置設定部は、前記終了位置から最も移動経路の短い前記他の分割掃除場所の角部を、前記次の分割掃除場所における掃除の開始位置に設定する請求項1から3のいずれか1項に記載の自律型電気掃除機。
【請求項5】
前記一の分割掃除場所における前記一方の前記辺の対が、前記他の分割掃除場所における前記辺の対に繋がり、かつ前記終了位置と前記開始位置とが隣接している場合には、前記一の分割掃除場所における往路と復路とをずらす方向を保ったまま前記他の分割掃除場所の掃除を行う請求項4に記載の自律型電気掃除機。
【請求項6】
前記一の分割掃除場所における前記他方の前記辺の対が、前記他の分割掃除場所における前記辺の対に繋がり、かつ前記終了位置と前記開始位置とが隣接している場合には、前記一の分割掃除場所における往路と復路とをずらす方向を反転させて前記他の分割掃除場所の掃除を行う請求項4または5に記載の自律型電気掃除機。
【請求項7】
前記一の分割掃除場所における前記他方の前記辺の対が、前記他の分割掃除場所における前記辺の対に繋がり、かつ前記終了位置と前記開始位置とが隣接している場合には、前記一の分割掃除場所における前記他方の前記辺の対に繋がる前記辺の対を、前記他の分割掃除場所における前記一方の前記辺の対に設定して往来の方向を変更する請求項4または5に記載の自律型電気掃除機。
【請求項8】
前記分割部は、少なくとも前記環境地図における縁を含まない部分では、前記分割掃除場所を非矩形に生成し、
前記開始位置設定部は、前記終了位置から最も近い前記他の分割掃除場所の部位を前記開始位置に設定する請求項1から3のいずれか1項に記載の自律型電気掃除機。
【請求項9】
前記開始位置設定部は、掃除を終えていない前記他の分割掃除場所が複数ある場合には、前記移動距離が最も短くかつ掃除を終えた前記分割掃除場所に接している縁の長さが最も長い前記他の分割掃除場所を前記次の分割掃除場所に設定して、当該次の分割掃除場所に前記開始位置を設定する請求項1から8のいずれか1項に記載の自律型電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、自律型電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除場所を複数に分割あるいは細分し、分割された小領域の掃除場所毎に掃除を行う自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット、自律型電気掃除機)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
掃除場所を複数に分割あるいは細分した小領域を、小領域毎に掃除することで、掃除場所全体を効率的に掃除できる可能性がある。
【0005】
ところで、掃除場所全体を小領域毎に掃除するためには、自律型電気掃除機は、ある小領域の掃除を終えた都度、別の小領域へ移動しなければならない。
【0006】
そして、ある小領域から他の小領域(つまり、次に掃除を行う領域)へ移動する際に、他の小領域における移動先の設定の仕方によっては、ある小領域の移動元から他の小領域の移動先への移動距離が、不必要に長くなってしまう場合がある。そうすると、掃除に要する移動距離は却って増加し、掃除の効率が低下する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、掃除場所を複数に分割あるいは細分し、小領域毎に掃除を行う際に、小領域間を効率的に移動可能な自律型電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機は、本体と、前記本体を移動させる移動部と、掃除場所の環境地図を記憶する記憶部と、前記環境地図上で前記掃除場所を分割して複数の分割掃除場所を生成する分割部と、前記分割掃除場所毎に掃除を行うように前記移動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、一の前記分割掃除場所の掃除を終えた後、当該一の分割掃除場所における掃除の終了位置から、掃除を終えていない他の前記分割掃除場所のそれぞれについて定められる掃除の開始位置へ、直接または前記掃除場所に存在する障害物を迂回して到達する経路の移動距離を対比して、前記移動距離が最も短い前記他の分割掃除場所を特定し、当該他の分割掃除場所を前記一の分割掃除場所に続いて掃除を行う次の分割掃除場所に設定して、前記次の分割掃除場所における掃除の開始位置を設定する開始位置設定部を有し、前記一の分割掃除場所における掃除の終了後、前記終了位置から前記開始位置設定部により設定された前記次の分割掃除場所における掃除の開始位置へ、前記本体を移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機を含む運転制御システムを示すシステム構成図。
【
図2】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機の右側面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機の底面図。
【
図4】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機のブロック図。
【
図5】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図。
【
図6】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第二例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図。
【
図7】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、その分割掃除場所SCEにおける移動類型の第一例と、の模式的な図。
【
図8】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、その分割掃除場所SCEにおける移動類型の第二例と、の模式的な図。
【
図9】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、その分割掃除場所SCEにおける移動類型の第三例と、の模式的な図。
【
図10】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第三例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図。
【
図11】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第四例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図。
【
図12】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第五例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る自律型電気掃除機の実施形態について
図1から
図12を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機を含む運転制御システムを示すシステム構成図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、運転制御システム2に通信可能に接続されている。
【0013】
運転制御システム2は、電気通信網3に通信可能に接続されるサーバ4を含んでいる。運転制御システム2は、遠隔操作端末5と自律型電気掃除機1との間で双方向に情報を通信する通信回線を確立する。また、運転制御システム2は、構内端末6と自律型電気掃除機1との間で双方向に情報を通信する通信回線を確立する。なお、遠隔操作端末5および構内端末6を操作端末7と総称する。操作端末7は、情報端末である。自律型電気掃除機1は、運転制御システム2を通じて操作の簡便さ、操作の手軽さ、操作のし易さなど、使用者の使いやすさ(利便性)を向上させる。
【0014】
電気通信網3は、外部ネットワーク8と、構内通信網9と、構内通信網9と外部ネットワーク8との間で情報を中継する中継通信機器11と、を含んでいる。
【0015】
構内通信網9は、中継通信機器11を含む無線または有線の電気通信網である。自律型電気掃除機1および構内端末6は、構内通信網9に通信可能に接続されている。構内通信網9は、所謂イントラネットである。構内通信網9は、使用者に極めて簡便な通信環境を提供する。
【0016】
外部ネットワーク8は、インターネット13を含んでいる。中継通信機器11、サーバ4、および遠隔操作端末5は、公衆電話網や携帯電話網などを介してインターネット13に接続されている。運転制御システム2は、インターネット13を介在させることによって、自律型電気掃除機1と遠隔操作端末5との間で、極めて簡便な通信環境を使用者に提供する。
【0017】
サーバ4は、自律型電気掃除機1と遠隔操作端末5との間で情報を仲介している。サーバ4は、インターネット13を介して多数の自律型電気掃除機1と通信している。サーバ4は、それぞれの自律型電気掃除機1に識別子を付与している。自律型電気掃除機1の使用者は、サーバ4が提供する識別子によって、遠隔操作端末5と自宅の自律型電気掃除機1との間に、または遠隔操作端末5と使用者が所有する自律型電気掃除機1との間に双方向通信を確立する。
【0018】
遠隔操作端末5は、公衆無線回線や携帯電話回線を介してインターネット13に接続されている。遠隔操作端末5は、サーバ4と双方向通信する。遠隔操作端末5は、自律型電気掃除機1の掃除運転の開始指示、および停止指示などの操作指示の入力を受け付ける。これら、掃除運転の開始指示、および停止指示などの操作指示は、通信回線を介して自律型電気掃除機1に送信される。また、遠隔操作端末5は、運転中、一時停止中、および停止中など、自律型電気掃除機1の状態を通知する情報をサーバ4から取得して自律型電気掃除機1の状態を画面に出力する。運転制御システム2は、遠隔操作端末5から自宅の自律型電気掃除機1へ指令を含む情報を送信可能にし、自律型電気掃除機1から遠隔操作端末5へ自律型電気掃除機1の状態を表す情報を含む情報を受信可能にする。つまり、運転制御システム2は、外出先で遠隔操作端末5から自宅の自律型電気掃除機1を操作可能な環境を提供できる。使用者は、例えば、自宅を不在にしている外出中に、自律型電気掃除機1を操作して自宅の掃除を適時に行うことができる。
【0019】
自律型電気掃除機1は、いわゆるロボットクリーナーである。自律型電気掃除機1は、本体ケース21に設けられる二次電池22の電力を消費して自律で移動(走行)する。自律型電気掃除機1は、居室内の被掃除領域の被掃除面(床面)を動き回って(被掃除領域を網羅的に移動して)塵埃を捕集する。また、自律型電気掃除機1は、掃除運転の後、充電台23へ帰巣して次の掃除運転を待機する。
【0020】
充電台23は、居室内の被掃除面に設置されている。充電台23は、自律型電気掃除機1を円滑に接続または離脱可能な形状を有している。充電台23は、自律型電気掃除機1が接続された状態で、商用交流電源から二次電池22へ電力を導く電源コード24を備えている。電源コード24は、二次電池22へ送電する電路である。自律型電気掃除機1は、次の掃除運転の待機時に充電台23に帰巣して二次電池22を充電することができる・そのため、自律型電気掃除機1は、使用者による充電の手間を省き、かつ使用者の求めによる突発的な掃除運転に対応できる。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機1について詳細に説明する。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機の右側面図である。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機の底面図である。
【0024】
なお、
図2および
図3の実線矢印Fは、自律型電気掃除機1の前進方向を示している。
【0025】
図2および
図3に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、本体ケース21と、本体ケース21の底部に設けられる回転清掃体としての回転ブラシ31と、回転ブラシ31を回転駆動させるブラシ用電動機32と、本体ケース21の後部に設けられる塵埃容器33と、本体ケース21内に収容されて塵埃容器33に流体的に接続される電動送風機35と、本体ケース21を床面上で移動させる移動部41と、本体ケース21に設けられて自律型電気掃除機1の周囲の画像Iを撮影するカメラ部42と、移動部41を制御して被掃除面上の自律型電気掃除機1を自律で移動させる制御部43と、電動送風機35、移動部41、カメラ部42、および制御部43で消費される電力を蓄える二次電池22と、を備えている。
【0026】
本体ケース21は、例えば合成樹脂製であり、扁平な円柱形状(円盤形状)を有している。平面視で実質的に円形の本体ケース21は、他の形状に比べて旋回時の旋回半径を小さく抑制できる。本体ケース21の底面は、空気とともに被掃除面上の塵埃を吸い込む吸込口45を有している。
【0027】
吸込口45は、電動送風機35が発生させる負圧によって空気とともに塵埃を吸い込む。吸込口45は、本体ケース21の幅方向に延びている。換言すると、吸込口45の左右方向の開口幅は、吸込口45の前後方向の開口幅よりも大きい。本体ケース21の底面が自律移動時に被掃除面に対向(対面)しているため、本体ケース21の底面に設けられる吸込口45は、被掃除面上の塵埃、または回転ブラシ31が被掃除面から掻き上げた塵埃を容易に吸い込むことができる。
【0028】
回転ブラシ31は、吸込口45に配置されている。回転ブラシ31の回転中心線は、自律型電気掃除機1の幅方向に向けられている。回転ブラシ31は、自律型電気掃除機1を被掃除面上に移動可能な状態で置いたとき、被掃除面に接触する。そのため、自律型電気掃除機1は、前進移動中、回転ブラシ31を回転駆動させることによって、被掃除面上の塵埃を掻き上げて吸込口45へ効率的に吸い込むことができる。
【0029】
ブラシ用電動機32は、回転ブラシ31を正転(前進時に自律型電気掃除機1の推進力を補助する方向)または逆転(後退時に自律型電気掃除機1の推進力を補助する方向)へ回転させる。
【0030】
塵埃容器33は、電動送風機35が発生させる吸込負圧によって吸込口45から吸い込まれる塵埃を蓄積する。塵埃容器33は、塵埃を濾過捕集するフィルタや、遠心分離(サイクロン分離)や直進分離(直進する空気と塵埃との慣性力の差で塵埃と空気とを分離する分離方式)などの慣性分離によって塵埃を蓄積する分離装置である。
【0031】
電動送風機35は、二次電池22の電力を消費して駆動する。電動送風機35は、塵埃容器33から空気を吸い込んで吸込負圧を生じさせる。塵埃容器33に発生した負圧は、吸込口45に作用する。本体ケース21は、電動送風機35の排気(清浄な空気)を、本体ケース21の外側へ流出させる排気口(図示省略)を有している。
【0032】
移動部41は、少なくとも一対の駆動輪46と、それぞれの駆動輪46を個別に駆動させる複数の駆動部としての電動機47と、駆動輪46とともに本体ケース21を床面に支える従動輪48と、を備えている。
【0033】
駆動輪46は、被掃除面上の本体ケース21を移動させる。駆動輪46は、幅方向(左右幅方向)に延びる車軸(図示省略)を有している。一対の駆動輪46の車軸は、実質的に同一線上に配置されている。そのため、自律型電気掃除機1は、容易に直進および旋回することができる。一対の駆動輪46の間には、吸込口45が配置されている。駆動輪46は、懸架装置(いわゆるサスペンション、図示省略)によって被掃除面に押さえつけられている。自律型電気掃除機1は、駆動輪46に代えて、無限軌道(図示省略)を備えていても良い。
【0034】
電動機47は、それぞれの駆動輪46を独立して駆動させる。つまり、左右の駆動輪46を同じ方向へ回転させることによって直進(前進、または後退)し、左右の駆動輪46を異なる方向へ回転させることによって旋回(右旋回、または左旋回)する。自律型電気掃除機1は、直進と旋回(進行方向の変更)とを組み合わせて被掃除面上を自律で移動する。また、自律型電気掃除機1は、左右の駆動輪46の出力を上下させて前進、または後退の速度を調整したり、左右の駆動輪46の出力を相違させて旋回半径の大小を調整したりすることができる。
【0035】
従動輪48は、本体ケース21の下部の幅方向の略中央部、かつ本体ケース21の下部の前部に配置されている。従動輪48は、円形の回転体であり、例えばキャスターである。従動輪48は、自律型電気掃除機1の前進、後退、および旋回に容易に追従して向きを変え、自律型電気掃除機1の移動(走行)を安定させる。なお、駆動輪46の車軸、従動輪48の車軸に支えられる自律型電気掃除機1の重心は、一対の駆動輪46と従動輪48とがなす三角形の内側に配置されていることが好ましい。その場合、自律型電気掃除機1は、転倒する危険性を下げて、安定して移動することができる。なお、従動輪48はなくても良い。
【0036】
図4は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機のブロック図である。
【0037】
図2および
図3に加えて
図4に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、ブラシ用電動機32、移動用の電動機47、電動送風機35、カメラ部42、制御部43、および二次電池22に加えて、通信部51と、報知部52と、表示部53と、を備えている。
【0038】
通信部51は、構内通信網9に無線で双方向通信可能に接続される無線通信部(図示省略)、充電台23に赤外線信号を送信する、例えば赤外線発光素子を含む送信部、および充電台23やリモートコントローラー(図示省略)からの赤外線信号を受信する、例えばフォトトランジスタを含む受信部(図示省略)と、を備えている。
【0039】
無線通信部と中継通信機器11との間には、無線通信回線が確立される。無線通信部は、中継通信機器11を介して操作端末7へ情報を送信する一方、中継通信機器11を介して操作端末7から情報を受信する。
【0040】
無線通信部は、中継通信機器11を介して操作端末7へ運転を開始することを知らせる情報を送信する。また、無線通信部は、中継通信機器11を介して操作端末7から運転を中止させる指示を含む情報を受信する。つまり、自律型電気掃除機1は、通信部51によって操作端末7から遠隔操作が可能であり、使用者の利便を向上させる。
【0041】
報知部52は、音声や警告音などの音によって、使用者や自律型電気掃除機1の周囲にいる第三者に運転の開始などの適宜の情報を知らせる。報知部52は、例えばスピーカーである。
【0042】
表示部53は、点灯や点滅などの光学的な表示や、文字や図形の表示によって、使用者や自律型電気掃除機1の周囲にいる第三者に運転の開始などの適宜の情報を知らせる。表示部53は、例えば、本体ケース21の天面に設けられるディスプレーである。
【0043】
自律型電気掃除機1の使用者は、報知部52から出力される音、および表示部53に表示される視覚的な情報を通じて、自律型電気掃除機1の状態を容易に知ることができる。また、自律型電気掃除機1の使用者は、通信部51および操作端末7を含む運転制御システム2を通じて、自律型電気掃除機1の状態を容易に知ることができる。なお、自律型電気掃除機1は、報知部52および表示部53のいずれか一方のみを備えていても良い。
【0044】
カメラ部42は、自律型電気掃除機1の正面に設けられて、自律型電気掃除機1の前方を撮影する。カメラ部42は、例えばデジタルカメラである。つまり、カメラ部42は、撮影した画像を電気信号に変換する撮像素子60(イメージセンサー)と、撮像素子60に像を結ぶ(生じさせる)光学系61と、を備えている。撮像素子60は、例えば、CCDイメージセンサ(Charge-Coupled Device image sensor)や、CMOSイメージセンサ(Complementary metal-oxide-semiconductor image sensor)である。そのため、自律型電気掃除機1は即座に画像をデジタルデータで取り扱うことができる。つまり、カメラ部42で撮影された画像は、例えば画像処理回路(図示省略)を利用することで所定のデータ形式に圧縮したり、二値画像に変換したり、グレースケールに変換したりすることができる。カメラ部42は、例えば数十ミリ秒毎、または数秒毎などの所定の時間間隔でデジタルの画像を撮影する。カメラ部42は、例えば可視光領域の画像を撮影する。可視光領域の画像は、例えば赤外領域の画像に比べて画質が良好であり、複雑な画像処理を施すことなく使用者に視認可能な情報を容易に提供できる。
【0045】
光学系61は、例えばレンズ(図示省略)と、レンズカバー(図示省略)とを含んでいる。レンズカバーは、レンズを覆って保護している。レンズカバーは、レンズに達する光を調整するレンズフィルターであっても良い。
【0046】
なお、カメラ部42は、単眼カメラであっても良いし(
図3中に破線で示す)、ステレオカメラであっても良い(
図3中に二点鎖線で示す)。ステレオカメラの場合には、カメラ部42で実質的に同時に撮影する2つの画像(ステレオ画像)は、自律型電気掃除機1の幅方向の中心線を延長した前方の位置を含む撮影範囲で重なり合っている。この場合、カメラ部42は、撮影範囲における奥行き(自律型電気掃除機1から見た離間距離)の情報を得ることができる。
【0047】
また、カメラ部42には、LED(Light Emitting Diode)や電球などの照明装置(図示省略)が併設されていても良い。照明装置は、カメラ部42の撮影範囲の一部または全部を照らす。照明装置は、家具などの障害物の陰のような暗い場所や、夜間などの暗い環境下であっても、カメラ部42による適切な画像の取得を可能にする。
【0048】
制御部43は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit、CPU、図示省略)、中央処理装置で実行(処理)される各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する補助記憶装置(例えば、Read Only Memory、ROM、図示省略)、プログラムの作業領域が動的に確保される主記憶装置(例えば、Random access memory、RAM、図示省略)を備えている。主記憶装置には、カメラ部42で撮影された画像を記憶する画像記憶部65が確保されている。補助記憶装置は、例えば不揮発性メモリのように書き換え可能なものであることが好ましい。
【0049】
制御部43は、ブラシ用電動機32、移動用の電動機47、電動送風機35、カメラ部42、通信部51、報知部52、表示部53、および二次電池22に電気的に接続されている。制御部43は、通信部51を介して操作端末7、充電台23、およびリモートコントローラーから受信する指令に応じてブラシ用電動機32、移動用の電動機47、電動送風機35、カメラ部42、通信部51、報知部52、表示部53、および二次電池22を制御する。
【0050】
制御部43は、自律型電気掃除機1の自律移動を制御する自律制御部71と、カメラ部42の動作を制御するカメラ制御部72と、を備えている。
【0051】
自律制御部71は、移動部41の電動機47の動作を制御する移動制御部75と、ブラシ用電動機32、および電動送風機35の動作を制御する掃除制御部76と、を備えている。
【0052】
移動制御部75は、移動部41の電動機47に流れる電流の大きさ、および向きを制御して、電動機47を正転、または逆転させる。移動制御部75は、電動機47を正転、または逆転させることで、駆動輪46の駆動を制御している。
【0053】
また、移動制御部75は、掃除場所の環境地図情報(Environment Map、図示省略)を記憶する地図情報記憶部77を備えている。移動制御部75は、環境地図情報に基づいて移動経路を設定し、この移動経路に倣って自律型電気掃除機1を被掃除面上で自律移動させる。換言すると、制御部43は、環境地図情報に基づいて自律型電気掃除機1を移動させて掃除場所の掃除を行う。
【0054】
地図情報記憶部77は、補助記憶装置に確保される記憶領域に構築されたデータの集合であって、適宜のデータ構造を有している。地図情報記憶部77は、補助記憶装置から主記憶装置に読み込まれて利用され、適宜の更新を経て、補助記憶装置へ上書きされる。
【0055】
環境地図情報は、いわゆるマップである。環境地図情報は、自律型電気掃除機1の使用に際して、事前に準備されるものであっても良いし、Simultaneous Localization and Mapping(SLAM)によって自己位置推定と同時に作成されるものであっても良い。SLAMで環境地図情報を作成する場合には、自律型電気掃除機1は、自機の前方(前進方向)の画像を撮影するカメラ部42の他に、マップの作成に必要なカメラや、エンコーダーなどの種々のセンサー(図示省略)を備えていることが好ましい。環境地図情報は、掃除運転にともなう移動の過程で作成、および更新されても良い。
【0056】
環境地図情報は、自律型電気掃除機1と操作端末7とで共有される。そのため、通信部51は、中継通信機器11を介して操作端末7へ環境地図情報を送信する。環境地図情報を共有することによって、使用者は、操作端末7を通じて自律型電気掃除機1の現在位置(位置情報)を正確に把握できる。また、使用者は、操作端末7を通じて自律型電気掃除機1を環境地図情報上の任意の箇所を指定して自律型電気掃除機1を移動させることができる。そして、使用者は、カメラ部42が撮影する画像によって、自律型電気掃除機1を移動させた先(つまり移動の目的地)の状況を容易に把握することができる。
【0057】
さらに、移動制御部75は、環境地図上で掃除場所を分割して複数の分割掃除場所SCEを生成する分割部78を備えている。
【0058】
分割部78は、環境地図に、生成した分割掃除場所SCEを識別する。ここで言う識別とは、例えば環境地図情報のデータ構造に分割掃除場所SCEを記録するものであっても良いし、環境地図情報のデータ構造に関連付けられた別途のデータ構造に分割掃除場所SCEを記録するものであっても良い。
【0059】
分割部78は、予め定義される手順、あるいは算法(アルゴリズム)に従って掃除場所を分割する。例えば、分割部78は、掃除場所を所定の形状および大きさの複数の均一または不均一な分割掃除場所SCEに分割する。所定の形状には、例えば矩形や非矩形(例えば円形)が用いられる。また、分割部78は、居間、廊下、台所、寝室、浴室などの部屋毎に分割掃除場所SCEを生成する。分割部78は、カメラ部42が撮影した画像や、壁や天井へ向けた距離センサーの検知結果に基づいて、ドアの幅や高さなど部屋の区切りとして識別可能な典型的な幾何学的形状を識別し、ドアおよび壁の位置決定を試みる。そして、分割部78は、決定したドアや壁の位置に基づいて分割掃除場所SCEを生成する。さらに、分割部78は、床材(フローリングやカーペット)の境界を検知可能なセンサーの検知結果に基づいて分割掃除場所SCEを生成する。環境地図と分割掃除場所SCEとは、表示部53に表示できることが好ましい。使用者は、表示部53を通じて環境地図と分割掃除場所SCEとを確認し、分割掃除場所SCEの境界を移動したり、新しい境界を追加したりして、分割掃除場所SCEを修正したり、分割掃除場所SCEを使用者のニーズに適合させたりできることが好ましい。
【0060】
また、分割部78は、分割掃除場所SCEの大きさが予め定める所定の大きさ以下になるよう分割掃除場所SCEを生成しても良い。「分割掃除場所SCEの大きさ」には、分割掃除場所SCEの形状、分割掃除場所SCEの寸法、分割掃除場所SCEの広がり、および分割掃除場所SCEの広がりの程度を含む。例えば、分割部78は、それぞれの分割掃除場所SCEが自機の大きさより大きく、かつ1辺3メートル以下の正方形や、直径3メートル以下の円形の分割掃除場所SCEを生成する。
【0061】
なお、分割掃除場所SCEを生成する際に、環境地図の縁、つまり掃除場所の境界を含まない部分では、複数の均一な分割掃除場所SCEを容易に生成できる一方で、環境地図の縁を含む部分では、他の部位と同じ形状と大きさとを有する均一な分割掃除場所SCEを生成できない場合がある。例えば、環境地図の縁、つまり掃除場所の境界を含まない部分では、一様な矩形の分割掃除場所SCEを生成できる一方で、掃除場所の境界を含む部分では、他の部位の分割掃除場所SCEと同じ形状の分割掃除場所SCEを生成できず、他の部位の分割掃除場所SCEの一部を切り欠いた形状を有する分割掃除場所SCEが生成される場合がある。このような、環境地図の縁を含んでいるために、環境地図を含まない部分に生成される一様な形状の分割掃除場所SCEとは異なる形状を有する分割掃除場所SCEを、異形分割掃除場所VSCEと呼ぶ。
【0062】
移動制御部75は、複数の分割掃除場所SCEを、同じまたは類似する移動類型(移動パターン)で移動して掃除を行う。
【0063】
ここで、同じまたは類似する移動類型とは、例えばジグザグ走行、ランダム走行、反射走行、渦巻き走行を含む既知の移動規則のいずれかを単一で繰り返して複数の分割掃除場所SCEを掃除する場合を含む。また、同じまたは類似する移動類型とは、既知の移動規則を組み合わせて、この組合せを複数の分割掃除場所SCEのそれぞれにおいて同じように繰り返して掃除する場合を含む。
【0064】
ジグザグ走行では、移動制御部75は、対向する辺の対を2つ有する矩形の分割掃除場所SCEを画定し、かついずれか一方の辺の対の間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とをいずれか他方の辺の対の間で一方向へずらしながら進む。つまり、ジグザグ走行では、一方の辺の対の間における往路と復路とは、他方の辺の対の離間方向へ離間している。往路と復路との離間距離は、吸込口45の幅寸法より小さいことが好ましい。そうすることで、自律型電気掃除機1は、往路における吸込口45の軌跡と復路における吸込口45の軌跡との間に重複部分を生じることになり、被掃除面をよりきれいに掃除できる。なお、ジグザグ走行では、非矩形、例えば円形の分割掃除場所SCEに適用することもできる。この場合、移動制御部75は、直交する2軸のうち、いずれか一方の軸の方向へ往来を繰り返し、かつ往路と復路とをいずれか他方の軸において一方向へずらしながら進む。分割掃除場所SCEの縁に達する都度、往来の方向(往路と復路)が入れ替わる。なお、往来の方向、および往路と復路とがずれる方向が同じジグザグ走行は、「同じジグザグ走行」の一例である。往来の方向が異なっていたり、往路と復路とがずれる方向が異なっていたりするジグザグ走行は、「類似するジグザグ走行」の一例である。例えば、往来の方向が同じであり、往路と復路とがずれる方向が異なるジグザグ走行は、「類似するジグザグ走行」である。
【0065】
ランダム走行では、移動制御部75は、例えば壁に接近するか否かに係わらず、一見、規則性のない任意の方向へ進行方向を適宜に変更して分割掃除場所SCEを網羅的に動き回る。
【0066】
反射走行では、移動制御部75は、例えば壁に接近、または接触する都度、任意の方向へ進行方向を適宜に変更して分割掃除場所SCEを網羅的に動き回る。
【0067】
渦巻き走行では、移動制御部75は、例えば分割掃除場所SCEの中心部から外側へ向かって渦巻き状に、または分割掃除場所SCEの縁から中心部へ向かって渦巻き状に動き回る。
【0068】
掃除制御部76は、ブラシ用電動機32、および電動送風機35を個別に制御する。
【0069】
カメラ制御部72は、カメラ部42のシャッターの動作を制御する。カメラ制御部72は、シャッターを所定の時間間隔で動作させることで、所定の時間間隔毎にカメラ部42に画像を撮像させる。カメラ制御部72は、カメラ部42で撮影された画像Iを画像記憶部65に記憶する。なお、画像記憶部65に記憶される画像情報は、カメラ部42で撮影された画像Iの全ての情報を含んでいても良く、例えば、カメラ部42で撮影された画像Iをグレースケールに変換した画像(以下、カメラ部42で撮影された元の画像Iと同じく画像Iと呼ぶ。)であっても良い。グレースケール画像の場合には、画像Iの画素値は輝度値と一致する。グレースケールに変換した画像Iを保存する場合には、制御部43は、元画像を記憶する場合に比べて、画像記憶部65に割り当てるメモリ領域の容量(リソース)を少量で済ませることが可能である。また、グレースケールに変換した画像Iを以後の処理に使用する場合には、制御部43は、元画像を処理する場合に比べて中央処理装置の負荷を軽減できる。
【0070】
なお、カメラ制御部72で実行される画像Iのグレースケール化を含む画像処理は、カメラ部42で実行されても良い。カメラ部42で画像処理を実行することによって、中央処理装置の負荷が軽減される。
【0071】
また、カメラ制御部72は、照明装置の点灯と消灯とを制御する。
【0072】
二次電池22は、ブラシ用電動機32、移動用の電動機47、電動送風機35、カメラ部42、制御部43、通信部51、報知部52、および表示部53の電源である。換言すると、二次電池22が蓄えている電力は、自律移動に費やされる。なお、
図4において、二次電池22から各部へ電力を供給する電力線の図示は省略した。二次電池22は、ブラシ用電動機32、移動用の電動機47、電動送風機35、制御部43、カメラ部42、および通信部51へ供給される電力を蓄えている。そのため、自律型電気掃除機1は、電源コードを必要とせず、電源コードの長さや敷設経路に制約されることなく、自由に自律移動することができる。
【0073】
二次電池22は、例えば本体ケース21の底面や背面に設けられる充電端子(図示省略)に電気的に接続されている。自律型電気掃除機1は、充電台23に帰巣すると、この充電端子を充電台23に電気的に接続する。そのため、自律型電気掃除機1は、使用者の手を煩わせることなく、二次電池22を充電台23に電気的に接続することが可能であり、かつ、次の掃除運転を待機している最中、二次電池22を充電することができる。
【0074】
ところで、移動制御部75は、環境地図情報に基づいて移動経路を設定し、この移動経路に倣って被掃除面上を自律移動する。このとき、移動制御部75は、分割掃除場所SCE毎に掃除を行う。
【0075】
図5は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図である。
【0076】
説明を簡単にするために、
図5に示す掃除場所CAは、短辺の2倍の長さの長辺を有する長方形である。分割部78は、掃除場所CAを隣り合う2つの正方形の分割掃除場所SCEに細分化しているものとする。分割掃除場所SCEは、対向する辺の対PSを2つ有している。換言すると、分割掃除場所SCEは、対向する2つの辺S1、S2を有する第一の辺の対PS1、および対向する2つの辺S3、S4を有する第二の辺の対PS2で確定されている。また、分割掃除場所SCEは、掃除場所CAの境界に倣って整然と生成され、異形分割掃除場所VSCEは、存しないものとする。
【0077】
また、
図5の地図には、上下左右の方向を便宜的に規定する。2つの分割掃除場所SCEは、左右に並び、ある1つの辺を、図中に一点鎖線で示す境界線として共有している。つまり、左側の分割掃除場所SCE-Lの第一辺S1は、右側の分割掃除場所SCE-Rの第一辺S1に繋がり、左側の分割掃除場所SCE-Lの第二辺S2は、右側の分割掃除場所SCE-Rの第二辺S2に繋がる。換言すると、左側の分割掃除場所SCE-Lの第一の辺の対PS1は、右側の分割掃除場所SCE-Rの第一の辺の対PS1に繋がっている。左側の分割掃除場所SCE-Lの第一辺S1、および右側の分割掃除場所SCE-Rの第一辺S1は、掃除場所CAの上側辺である。左側の分割掃除場所SCE-Lの第二辺S2、および右側の分割掃除場所SCE-Rの第二辺S2は、掃除場所CAの下側辺である。左側の分割掃除場所SCE-Lと右側の分割掃除場所SCE-Rとは、左側の分割掃除場所SCE-Lの右側辺にあたる第四辺S4と右側の分割掃除場所SCE-Rの左側辺にあたる第三辺S3とを共有している。左側の分割掃除場所SCE-Lの左側辺にあたる第三辺S3は、掃除場所CAの左側辺であり、右側の分割掃除場所SCE-Rの右側辺にあたる第四辺S4は、掃除場所CAの右側辺である。
【0078】
そして、移動制御部75は、先ずいずれか一方の分割掃除場所SCEの掃除を開始した後、その分割掃除場所SCEの掃除を終えるまで、他方の分割掃除場所SCEへ移動することなく、一方の分割掃除場所SCEの掃除を完遂する。移動制御部75は、一方の分割掃除場所SCEの掃除を終えた後、他方の分割掃除場所SCEへ移動する。移動制御部75は、他方の分割掃除場所SCEの掃除を開始した後、その分割掃除場所SCEの掃除を終えるまで、一方の分割掃除場所SCEへ移動することなく、他方の分割掃除場所SCEの掃除を完遂する。
【0079】
しかしながら、複数の分割掃除場所SCEを個別に掃除する場合、ある分割掃除場所SCEから他の分割掃除場所SCEへ移動する際に、他の分割掃除場所SCEにおける移動先の設定の仕方によっては、ある分割掃除場所SCEの移動元から他の分割掃除場所SCEの移動先への移動距離が、不必要に長くなってしまう場合がある。
【0080】
例えば、右側の分割掃除場所SCE-Rの右上隅で右側の分割掃除場所SCE-Rの掃除が終わった後、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける掃除の開始位置、つまり移動先を左側の分割掃除場所SCE-Lの左下隅に設定してしまうと、自律型電気掃除機1は、複数の分割掃除場所SCEの間を移動するために、掃除場所全体における対角線(掃除場所の右上隅と左下隅を結ぶ線分)を移動しなければならず効率に劣る(
図5中に×印を記した実線矢印)。
【0081】
そこで、本実施形態に係る自律型電気掃除機1の移動制御部75は、一の分割掃除場所SCEの掃除を終えた後、他の分割掃除場所SCEにおける掃除の開始位置SLを、一の分割掃除場所SCEにおける掃除の終了位置ELから他の分割掃除場所SCEにおける開始位置SLへの移動距離に基づいて定める開始位置設定部79を備えている。一の分割掃除場所SCEの掃除の順序と、他の分割掃除場所SCEの掃除の順序は連続して先後する。
【0082】
図5では、開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rの右上隅で右側の分割掃除場所SCEの掃除が終わった後(一の分割掃除場所SCEにおける掃除の終了位置EL)、左側の分割掃除場所SCE-L移動先(他の分割掃除場所SCEにおける開始位置SL)を左側の分割掃除場所SCE-Lの右上隅に設定し得る。
【0083】
開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rの右上隅で右側の分割掃除場所SCEの掃除が終わった後、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける移動先(開始位置SL)を決定するために、左側の分割掃除場所SCE-Lの4つの隅(右上隅、右下隅、左上隅、および左下隅)それぞれへの移動距離(最短経路における移動距離)を算出し、算出した移動距離の大小関係を比較して、移動距離が最も短い隅を探索する。
図5では、移動距離が最も短い隅(角部)として、左側の分割掃除場所SCE-Lの右上隅が探索される。
【0084】
図6は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第二例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図である。
【0085】
図6に示す掃除場所CAは、隣り合う2つの分割掃除場所SCEの境界に、部屋を区切る壁のような障害物Oが存在している。右側の分割掃除場所SCE-Rと左側の分割掃除場所SCE-Lとは、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅と左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅とで繋がっている。
【0086】
例えば、右側の分割掃除場所SCE-Rの右上隅で右側の分割掃除場所SCE-Rの掃除が終わった後、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける掃除の開始位置SL、つまり移動先を左側の分割掃除場所SCE-Lの右上隅に設定してしまうと、自律型電気掃除機1は、複数の分割掃除場所SCEの間を移動するために、障害物Oを回避しなければならず効率に劣る(
図6中に×印を記した実線矢印)。
【0087】
そこで、開始位置設定部79は、一の分割掃除場所SCEの掃除を終えた後、他の分割掃除場所SCEにおける掃除の開始位置SLを、一の分割掃除場所SCEにおける掃除の終了位置ELから他の分割掃除場所SCEにおける開始位置SLへの移動距離Dに基づいて、他の分割掃除場所SCEにおける開始位置SLを定める。
【0088】
図6では、開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rの右上隅で右側の分割掃除場所SCEの掃除が終わった後(一の分割掃除場所SCEにおける掃除の終了位置EL)、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける移動先(他の分割掃除場所SCEにおける開始位置SL)を左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅に設定し得る。左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅は、左側の分割掃除場所SCE-Lの4つの隅のうち、右側の分割掃除場所SCE-Rの右上隅から障害物Oを迂回して到達するための移動距離が最も短い隅である。
【0089】
開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rの右上隅で右側の分割掃除場所SCEの掃除が終わった後、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける移動先(開始位置SL)を決定するために、左側の分割掃除場所SCE-Lの4つの隅それぞれへの移動距離(最短経路における移動距離)を算出し、障害物Oを迂回して到達するための移動距離が最も短い隅を探索する。
【0090】
なお、開始位置設定部79は、隣り合う分割掃除場所SCEの境界にある障害物Oだけでなく、分割掃除場所SCE(主に終了位置ELを含む分割掃除場所SCE)の内側に存在する障害物についても、これを迂回して到達するための移動距離が最も短い隅を探索する。
【0091】
本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、
図5および
図6で例示した算法(アルゴリズム)によって、掃除を済ませた分割掃除場所SCEから、次に掃除を行う分割掃除場所SCEへ移動することで、移動距離を短縮し、かつ移動に要する時間を短縮して、効率的な掃除を行うことができる。
【0092】
次いで、分割掃除場所SCEと分割掃除場所SCEにおける移動類型との関係について、詳しく説明する。
【0093】
図7は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、その分割掃除場所SCEにおける移動類型の第一例と、の模式的な図である。
【0094】
移動制御部75は、分割掃除場所SCEを移動類型に含まれるジグザグ走行で移動して掃除を行うものとする。このジグザグ走行は、分割掃除場所SCEを確定する縁(外縁、境界、辺)に倣う。つまり、移動制御部75は、分割掃除場所SCEの第一の辺の対PS1または第二の辺の対PS2のいずれか一方の間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とを第一の辺の対PS1または第二の辺の対PS2のいずれか他方の間で一方向へずらしながら進んで分割掃除場所SCEを掃除するものとする。
【0095】
なお、説明の便宜のため、ジグザグ走行時に自律型電気掃除機1が往来する辺の対を一方の辺の対PSaと呼び、自律型電気掃除機1が往路と復路とを一方向へ移動させる辺の対を他方の辺の対PSbと呼ぶ。
【0096】
移動類型の第一例として、自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lの左上隅、つまり左側の分割掃除場所SCE-Lの第一辺S1と第三辺S3とがなす角から掃除を開始し、第一辺S1と第二辺S2との間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とを第三辺S3から第四辺S4へ向かって一方向へずらしながら移動するものとする。つまり、
図7の場合では、左側の分割掃除場所SCE-Lの第一の辺の対PS1が一方の辺の対PSaであり、第二の辺の対PS2が他方の辺の対PSbである。
【0097】
このような場合、自律型電気掃除機1は、第一辺S1を離れて第二辺S2に到達し、旋回して第四辺S4を向き、第二辺S2に沿って第四辺S4へ近づき、旋回して第一辺S1を向き、第二辺S2を離れて第一辺S1に到達し、旋回して第四辺S4を向き、第一辺S1に沿って第四辺S4へ近づき、旋回して第二辺S2を向き、第一辺S1を離れて第二辺S2に到達する、というような移動を繰り返して左側の分割掃除場所SCE-Lを掃除する。このようなジグザグ走行では、自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lの右上隅、つまり第一辺S1と第四辺S4とがなす角、または右下隅、つまり第二辺S2と第四辺S4とがなす角、で分割掃除場所SCE-Lの掃除を終える。
図7では左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅で掃除を終える。
【0098】
自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lの掃除を終えると、右側の分割掃除場所SCE-Rを掃除するために、右側の分割掃除場所SCE-Rへ移動する。このとき、開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける掃除の開始位置SLを、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける掃除の終了位置ELから右側の分割掃除場所SCE-Rにおける開始位置SLへの移動距離Dに基づいて、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける開始位置SLを定める。
【0099】
矩形の分割掃除場所SCE-Lでは、いずれかの隅から掃除を始めることが好ましい。そこで、開始位置設定部79は、一の分割掃除場所SCEの終了位置ELから最も移動距離の短い他の分割掃除場所SCEの隅を開始位置SLに定める。
【0100】
具体的には、開始位置設定部79は、左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅から右側の分割掃除場所SCE-Rの4つの隅への最短の移動距離を探索する。何ら障害物がない場合には、最短の移動距離は、実質的に二地点間の直線距離に相当する。掃除場所に家具のような障害物があったり、分割掃除場所SCEを隔てる壁のような障害物があったりすると、最短の移動距離は、障害物を迂回する分、二地点間の直線距離よりも長くなる。左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅が終了位置ELの場合には、
図7から明らかなように、開始位置SLは、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅に設定される。そのため、開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅を開始位置SLに設定する。左側の分割掃除場所SCE-Lの終了位置ELと右側の分割掃除場所SCE-Rの開始位置SLとは分割掃除場所SCEの境界を挟んで隣接している。
【0101】
同様に、左側の分割掃除場所SCE-Lの右上隅が終了位置ELの場合には、開始位置SLは、右側の分割掃除場所SCE-Rの左上隅に設定される。左側の分割掃除場所SCE-Lの左上隅が終了位置ELの場合には、開始位置SLは、右側の分割掃除場所SCE-Rの左上隅に設定される。左側の分割掃除場所SCE-Lの左下隅が終了位置ELの場合には、開始位置SLは、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅に設定される。
【0102】
移動制御部75は、開始位置設定部79の設定した、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける掃除の開始位置SLへ移動する。なお、終了位置ELから開始位置SLへ実際に移動する際に、自律型電気掃除機1が移動する経路は、最短経路でなくても良い。例えば、掃除場所SAに環境地図上に識別されていない、新たな障害物Oが存在していれば、この障害物Oを回避するために最短経路から外れても良い。
【0103】
次いで、自律型電気掃除機1は、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅、つまり右側の分割掃除場所SCE-Rの第二辺S2と第三辺S3とがなす角から掃除を開始する。このとき、自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lにおけるジグザグ走行と同じように、第一辺S1と第二辺S2との間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とを第三辺S3から第四辺S4へ向かって一方向へずらしながら移動する。
【0104】
換言すると、右側の分割掃除場所SCE-Rの第一の辺の対PS1が一方の辺の対PSaであり、第二の辺の対PS2が他方の辺の対PSbである。したがって、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける一方の辺の対PSaは、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける一方の辺の対PSaに繋がっている。左側の分割掃除場所SCE-Lにおける他方の辺の対PSbは、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける他方の辺の対PSbに並列に並んでいる。さらに、左側の分割掃除場所SCE-Lと右側の分割掃除場所SCE-Rとは、往路と復路とをずらす方向(
図7の右方向)へ向かって掃除順の先後の関係で並んでいる。
【0105】
つまり、移動制御部75は、一の分割掃除場所SCEにおける一方の辺の対PSaが、他の分割掃除場所SCEにおける辺の対PSに繋がり、かつ終了位置ELと開始位置SLとが隣接している場合には、一の分割掃除場所SCEにおける往路と復路とをずらす方向を保ったまま他の分割掃除場所SCEの掃除を行う。
【0106】
本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、
図7で例示した算法(アルゴリズム)によって、掃除を済ませた分割掃除場所SCEと次に掃除を行う分割掃除場所SCEとで適用する走行類型を設定することで、前後の分割掃除場所SCEでの移動距離を短縮しつつ、かつ掃除に要する全移動経路を効率的に設定して、効率的な掃除を行うことができる。具体的には、
図7に示すような例では、自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEと、それに続く他の分割掃除場所SCEとの間で、ジグザグ走行の向き(往復方向)を変えたり、往路と復路とをずらす方向を変更したりするような無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0107】
図8は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、その分割掃除場所SCEにおける移動類型の第二例と、の模式的な図である。
【0108】
図8に示すように、移動類型の第二例として、自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lの左上隅、つまり左側の分割掃除場所SCE-Lの第一辺S1と第三辺S3とがなす角から掃除を開始し、第三辺S3と第四辺S4との間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とを第一辺S1から第二辺S2へ向かって一方向へずらしながら移動するものとする。つまり、
図8の場合では、左側の分割掃除場所SCE-Lの第二の辺の対PS2が一方の辺の対PSaであり、第一の辺の対PS1が他方の辺の対PSbである。
【0109】
このような場合、自律型電気掃除機1は、第三辺S3を離れて第四辺S4に到達し、旋回して第二辺S2を向き、第四辺S4に沿って第二辺S2へ近づき、旋回して第三辺S3を向き、第四辺S4を離れて第三辺S3に到達し、旋回して第二辺S2を向き、第三辺S3に沿って第二辺S2へ近づき、旋回して第四辺S4を向き、第三辺S3を離れて第四辺S4に到達する、というような移動を繰り返して左側の分割掃除場所SCE-Lを掃除する。このようなジグザグ走行では、自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lの左下隅、つまり第二辺S2と第三辺S3とがなす角、または右下隅、つまり第二辺S2と第四辺S4とがなす角、で分割掃除場所SCE-Lの掃除を終える。
図8では左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅で掃除を終える。
【0110】
自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lの掃除を終えると、右側の分割掃除場所SCE-Rを掃除するために、右側の分割掃除場所SCE-Rへ移動する。このとき、開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける掃除の開始位置SLを、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける掃除の終了位置ELから右側の分割掃除場所SCE-Rにおける開始位置SLへの移動距離Dに基づいて、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける開始位置SLを定める。
【0111】
開始位置設定部79は、一の分割掃除場所SCEの終了位置ELから最も移動距離の短い他の分割掃除場所SCEの隅を開始位置SLに定める。
【0112】
具体的には、開始位置設定部79は、左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅から右側の分割掃除場所SCE-Rの4つの隅への最短の移動距離を探索する。左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅が終了位置ELの場合には、
図8から明らかなように、開始位置SLは、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅に設定される。そのため、開始位置設定部79は、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅を開始位置SLに設定する。左側の分割掃除場所SCE-Lの終了位置ELと右側の分割掃除場所SCE-Rの開始位置SLとは分割掃除場所SCEの境界を挟んで隣接している。
【0113】
移動制御部75は、開始位置設定部79の設定した、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける掃除の開始位置SLへ移動する。
【0114】
次いで、自律型電気掃除機1は、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅、つまり右側の分割掃除場所SCE-Rの第二辺S2と第三辺S3とがなす角から掃除を開始する。このとき、自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lにおけるジグザグ走行と同じように、第三辺S3と第四辺S4との間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とを第二辺S2から第一辺S1へ向かって一方向へずらしながら移動する。
【0115】
換言すると、右側の分割掃除場所SCE-Rの第二の辺の対PS2が一方の辺の対PSaであり、第一の辺の対PS1が他方の辺の対PSbである。したがって、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける他方の辺の対PSbは、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける他方の辺の対PSbに繋がっている。左側の分割掃除場所SCE-Lにおける一方の辺の対PSaは、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける一方の辺の対PSaに並列に並んでいる。さらに、左側の分割掃除場所SCE-Lと右側の分割掃除場所SCE-Rとは、往復方向(
図7の右方向)へ倣って並んでいる。
【0116】
つまり、移動制御部75は、一の分割掃除場所SCEにおける他方の辺の対PSが、他の分割掃除場所SCEにおける辺の対PSに繋がり、かつ終了位置ELと開始位置SLとが隣接している場合には、一の分割掃除場所SCEにおける往路と復路とをずらす方向を反転させて他の分割掃除場所SCEの掃除を行う。
【0117】
本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、
図8で例示した算法(アルゴリズム)によって、掃除を済ませた分割掃除場所SCEと次に掃除を行う分割掃除場所SCEとで適用する走行類型を設定することで、前後の分割掃除場所SCEでの移動距離を短縮しつつ、かつ掃除に要する全移動経路を効率的に設定して、効率的な掃除を行うことができる。具体的には、
図8のような例では、自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEと、それに続く他の分割掃除場所SCEとの間で、ジグザグ走行の往路と復路とをずらす方向を反転させる。仮に
図8の例において、前後の分割掃除場所SCEの間で、ジグザグ走行の往路と復路とをずらす方向を保った場合には、自律型電気掃除機1は、後に掃除を行う他の分割掃除場所SCEにおいて、最初の往路から次の復路へ経路をずらす際に、他の分割掃除場所SCEの境界に掛かってしまい、進行方向を変更してジグザグ走行の方向を再設定するための余計な時間を要することになる。したがって、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、他の分割掃除場所SCEを掃除している最中に、走行経路を変更するような無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0118】
図9は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第一例と、その分割掃除場所SCEにおける移動類型の第三例と、の模式的な図である。
【0119】
図9に示すように、移動類型の第三例は、左側の分割掃除場所SCE-Lにおいて第二例と同じである。
図9では左側の分割掃除場所SCE-Lの右下隅で掃除を終える。また、開始位置設定部79は、第二例と同じように、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅を開始位置SLに設定する。左側の分割掃除場所SCE-Lの終了位置ELと右側の分割掃除場所SCE-Rの開始位置SLとは分割掃除場所SCEの境界を挟んで隣接している。
【0120】
移動制御部75は、開始位置設定部79の設定した、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける掃除の開始位置SLへ移動する。
【0121】
次いで、自律型電気掃除機1は、右側の分割掃除場所SCE-Rの左下隅、つまり右側の分割掃除場所SCE-Rの第二辺S2と第三辺S3とがなす角から掃除を開始する。このとき、自律型電気掃除機1は、左側の分割掃除場所SCE-Lにおけるジグザグ走行とは往来の向きを変更し、第一辺S1と第二辺S2との間で往来を繰り返し、かつ往路と復路とを第三辺S3から第四辺S4へ向かって一方向へずらしながら移動する。
【0122】
換言すると、右側の分割掃除場所SCE-Rの第一の辺の対PS1が一方の辺の対PSaであり、第二の辺の対PS2が他方の辺の対PSbである。したがって、左側の分割掃除場所SCE-Lにおける他方の辺の対PSbは、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける一方の辺の対PSaに繋がっている。左側の分割掃除場所SCE-Lにおける一方の辺の対PSaは、右側の分割掃除場所SCE-Rにおける他方の辺の対PSbに並列に並んでいる。
【0123】
つまり、移動制御部75は、一の分割掃除場所SCEにおける他方の辺の対PSbが、他の分割掃除場所SCEにおける辺の対PSに繋がり、かつ終了位置ELと開始位置SLとが隣接している場合には、一の分割掃除場所における他方の辺の対PSbに繋がる辺の対PSを、他の分割掃除場所における一方の辺の対PSaに設定して往来の方向を変更する。
【0124】
本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、
図9で例示した算法(アルゴリズム)によって、掃除を済ませた分割掃除場所SCEと次に掃除を行う分割掃除場所SCEとで適用する走行類型を設定することで、前後の分割掃除場所SCEでの移動距離を短縮しつつ、かつ掃除に要する全移動経路を効率的に設定して、効率的な掃除を行うことができる。具体的には、
図9のような例では、自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEと、それに続く他の分割掃除場所SCEとの間で、ジグザグ走行の往来の方向を変更する(90度倒す、寝かせる)。仮に
図9の例において、前後の分割掃除場所SCEの間で、ジグザグ走行の往来の方向を保った場合には、自律型電気掃除機1は、後に掃除を行う他の分割掃除場所SCEにおいて、最初の往路から次の復路へ経路をずらす際に、他の分割掃除場所SCEの境界に掛かってしまい、進行方向を変更してジグザグ走行の方向を再設定するための余計な時間を要することになる。したがって、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、他の分割掃除場所SCEを掃除している最中に、走行経路を変更するような無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0125】
なお、例えば、一の分割掃除場所SCEと他の分割掃除場所SCEとの間に障害物Oがあって、開始位置SLを終了位置ELに隣接させて設定できない場合がある。このような場合には、開始位置設定部79は、終了位置ELから最短距離で到達可能な隅を開始位置SLに設定する一方で、移動制御部75は、開始位置の隅から分割掃除場所SCEの中心を見たときに、右側に延びる辺とその辺に対向する辺の対、および左側に延びる辺とその辺に対応する辺の対、のいずれかを一方の辺の対PSaに設定してジグザグ走行を行う。例えば、右側に延びる辺とその辺に対向する辺の対を一方の辺の対PSaに設定する場合(往復対象の辺の対)には、左側に延びる辺とその辺に対応する辺の対は、他方の辺の対PSbである。移動制御部75は、往路と復路とを左側に延びる辺からその辺に対向する辺へ向かって一方向へずらしながら自律型電気掃除機1を移動させる。
【0126】
一方、左側に延びる辺とその辺に対向する辺の対を一方の辺の対PSaに設定する場合(往復対象の辺の対)には、右側に延びる辺とその辺に対応する辺の対は、他方の辺の対PSbである。移動制御部75は、往路と復路とを右側に延びる辺からその辺に対向する辺へ向かって一方向へずらしながら自律型電気掃除機1を移動させる。
【0127】
つまり、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、開始位置SLを終了位置ELに隣接させて設定できない場合には、これから掃除を行う分割掃除場所SCE(他の分割掃除場所SCE)における開始位置SLに応じて適宜の走行類型を選択する。そのため、自律型電気掃除機1は、他の分割掃除場所SCEを掃除している最中に、走行経路を変更したりするような無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0128】
なお、
図7から
図9の走行類型の第一例から第三例は、ジグザグ走行の往来の向きや、往路と復路をずらす方向の違いを有しているが、いずれも同じまたは類似の走行類型である。具体的には、
図7では、左側の分割掃除場所SCE-Lにおけるジグザグ走行と右側の分割掃除場所SCE-Rにおけるジグザグ走行とは同じジグザグ走行である。
図8および
図9では、左側の分割掃除場所SCE-Lにおけるジグザグ走行と右側の分割掃除場所SCE-Rにおけるジグザグ走行とは類似するジグザグ走行である。
【0129】
図10は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第三例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図である。
【0130】
図10に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除機1の分割部78は、掃除場所CAを2つの正方形と1つの長方形の分割掃除場所SCEに細分化しているものとする。2つの正方形は隣り合い、1つの長方形は2つの正方形に隣り合う。2つの正方形の境界には、間仕切りのような障害物Oがある。
【0131】
開始位置設定部79は、他の分割掃除場所SCEが複数ある場合には、終了位置ELから最も近い他の分割掃除場所SCEに開始位置SLを設定する。
【0132】
例えば、長方形の分割掃除場所SCEの右下隅が終了位置ELの場合には、開始位置設定部79は、終了位置ELに近い、下側の正方形の右下隅を開始位置SLを設定する。
【0133】
つまり、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、掃除場所CAを3つ以上の分割掃除場所SCEに細分化する場合であっても、掃除を済ませた分割掃除場所SCEの終了位置ELから最も近い他の分割掃除場所SCEに開始位置SLを設定して、走行経路の無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0134】
図11は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第四例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図である。
【0135】
図11に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除機1の分割部78は、掃除場所CAを9つの正方形の分割掃除場所SCEに細分化しているものとする。9つの正方形は整然と並んでいる。掃除を済ませた分割掃除場所SCEには、ハッチングを施している。
【0136】
例えば、終了位置ELのある分割掃除場所SCEの上側と左側とに掃除を済ませていない分割掃除場所SCEがある。このような場合に、上側の分割掃除場所SCEと左側の分割掃除場所SCEとの両方に隣り合う左上隅で現在の分割掃除場所SCE(一の分割掃除場所SCE)の掃除が終わることが生じ得る。つまり、終了位置ELは左上隅にある。そうすると、移動先としての開始位置SLは、上側の分割掃除場所SCEの左下隅、または左側の分割掃除場所SCEの右上隅に設定され得る。
【0137】
仮に上側の分割掃除場所SCEの左下隅を開始位置SLに設定してしまうと、掃除場所CAが複数に分断されてしまう虞がある。換言すると、掃除を済ませていない分割掃除場所SCEに飛地が生じる。飛地が生じれば、掃除場所CA全体を掃除する途中で、掃除を済ませた分割掃除場所SCEを横切るような移動が必要になり、効率を低下させる。
【0138】
そこで、開始位置設定部79は、開始位置SLの設定候補が複数ある場合には、既に掃除を済ませた分割掃除場所SCEに接している縁の長さが最も長い他の分割掃除場所SCEに開始位置SLを設定する。
図11の場合には、上側の分割掃除場所SCEは、掃除を済ませた分割掃除場所SCEに一辺のみで接しているが、左側の分割掃除場所SCEは、掃除を済ませた分割掃除場所SCEに二辺で接している。左側の分割掃除場所SCEは、上側の分割掃除場所SCEよりも掃除を済ませた分割掃除場所SCEに接する縁が長い。開始位置設定部79は、左側の分割掃除場所SCEの右上隅を開始位置SLに設定する。
【0139】
そうすると、自律型電気掃除機1は、掃除場所CAを分断させることなく、効率的に掃除することができる。
【0140】
図12は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機が生成する分割掃除場所の第五例と、次に掃除を行う分割掃除場所における掃除の開始位置と、の模式的な図である。
【0141】
図12に示すように、本実施形態に係る自律型電気掃除機1の分割部78は、矩形に限られず非矩形、例えば円形の分割掃除場所SCEを生成しても良い。
【0142】
分割部78が非矩形の分割掃除場所SCEを生成する場合には、開始位置設定部79は、終了位置ELから最も近い他の分割掃除場所SCEの部位を開始位置SLに定める。
【0143】
例えば、単純な円形の分割掃除場所SCEの場合には、一の分割掃除場所SCEにおける終了位置ELと他の分割掃除場所SCEとの中心を結ぶ線分が他の分割掃除場所SCEの外縁に交差する位置が開始位置SLに設定される。
【0144】
非矩形の分割掃除場所SCEは、掃除場所CAそのものが非矩形である場合に好適である。非矩形の分割掃除場所SCEは、相互に重なりを有していても良い。
【0145】
以上のように、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEの掃除を終えた後、他の分割掃除場所SCEにおける掃除の開始位置SLを、一の分割掃除場所SCEにおける掃除の終了位置ELから開始位置SLへの移動距離に基づいて定める。そのため、自律型電気掃除機1は、掃除を済ませた分割掃除場所SCEから次に掃除を行う分割掃除場所SCEへ移動する際の移動距離を短縮し、かつ移動に要する時間を短縮して、効率的な掃除を行うことができる。
【0146】
また、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEおよび他の分割掃除場所SCEを、同じまたは類似する移動類型で移動して掃除する。そのため、自律型電気掃除機1は、掃除を済ませた分割掃除場所SCEから次に掃除を行う分割掃除場所SCEへ効率的に移動し、かつそれぞれの分割掃除場所SCEを同程度の効率で掃除することができる。
【0147】
さらに、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、分割掃除場所SCEの大きさが予め定める所定の大きさ以下になるよう分割掃除場所SCEを生成する。そのため、自律型電気掃除機1は、掃除場所CAの形状が一般的な住居のように複数の部屋に分かれている場合であっても、ある部屋と他の部屋とを行き来して掃除を行うような効率の低下を防ぐことができる。
【0148】
また、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、終了位置ELから最も近い他の分割掃除場所SCEの隅を開始位置SLに定める。そのため、自律型電気掃除機1は、掃除を済ませた分割掃除場所SCEから次に掃除を行う分割掃除場所SCEへ移動する際の移動距離を容易に短縮し、かつ移動に要する時間を容易に短縮して、より効率的な掃除を行うことができる。
【0149】
さらに、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEにおける一方の辺の対PSaが、他の分割掃除場所SCEにおける辺の対PSに繋がり、かつ終了位置ELと開始位置SLとが隣接している場合には、一の分割掃除場所SCEにおける往路と復路とをずらす方向を保ったまま他の分割掃除場所SCEの掃除を行う。そのため、自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEと、それに続く他の分割掃除場所SCEとの間で、ジグザグ走行の向き(往復方向)を変えたり、往路と復路とをずらす方向を変更したりするような無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0150】
また、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEにおける他方の辺の対PSbが、他の分割掃除場所SCEにおける辺の対PSに繋がり、かつ終了位置ELと開始位置SLとが隣接している場合には、一の分割掃除場所SCEにおける往路と復路とをずらす方向を反転させて他の分割掃除場所SCEの掃除を行う。そのため、自律型電気掃除機1は、他の分割掃除場所SCEを掃除している最中に、走行経路を変更するような無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0151】
さらに、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、一の分割掃除場所SCEにおける他方の辺の対PSbが、他の分割掃除場所SCEにおける辺の対PSに繋がり、かつ終了位置ELと開始位置SLとが隣接している場合には、一の分割掃除場所SCEにおける他方の辺の対PSに繋がる辺の対PSを、他の分割掃除場所SCEにおける一方の辺の対PSaに設定して往来の方向を変更する。そのため、自律型電気掃除機1は、他の分割掃除場所SCEを掃除している最中に、走行経路を変更するような無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0152】
また、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、分割掃除場所SCEを非矩形に生成し、終了位置ELから最も近い他の分割掃除場所SCEの部位を開始位置SLに定める。そのため、自律型電気掃除機1は、掃除場所CAそのものが非矩形である場合であっても、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0153】
さらに、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、他の分割掃除場所SCEが複数ある場合には、終了位置ELから最も近い他の分割掃除場所SCEに開始位置SLを設定する。そのため、自律型電気掃除機1は、走行経路の無駄を省いて、円滑でインテリジェントな掃除を行うことができる。
【0154】
また、本実施形態に係る自律型電気掃除機1は、開始位置SLの設定候補が複数ある場合には、既に掃除を済ませた分割掃除場所SCEに接している縁の長さが最も長い他の分割掃除場所SCEに開始位置SLを設定する。そのため、自律型電気掃除機1は、掃除場所CAを分断させることなく、効率的に掃除することができる。
【0155】
したがって、本実施形態に係る自律型電気掃除機1によれば、掃除場所CAを複数に分割あるいは細分し、小領域毎に掃除を行う際に、小領域間を効率的に移動できる。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
1…自律型電気掃除機、2…運転制御システム、3…電気通信網、4…サーバ、5…遠隔操作端末、6…構内端末、7…操作端末、8…外部ネットワーク、9…構内通信網、11…中継通信機器、13…インターネット、21…本体ケース、22…二次電池、23…充電台、24…電源コード、31…回転ブラシ、32…ブラシ用電動機、33…塵埃容器、35…電動送風機、41…移動部、42…カメラ部、43…制御部、45…吸込口、46…駆動輪、47…電動機、48…従動輪、51…通信部、52…報知部、53…表示部、60…撮像素子、61…光学系、65…画像記憶部、71…自律制御部、72…カメラ制御部、75…移動制御部、76…掃除制御部、77…地図情報記憶部、78…分割部、79…開始位置設定部。