(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/515 20060101AFI20230220BHJP
A61F 13/537 20060101ALI20230220BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20230220BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20230220BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20230220BHJP
A61F 13/512 20060101ALI20230220BHJP
A61F 13/536 20060101ALI20230220BHJP
A61F 13/475 20060101ALI20230220BHJP
A61F 13/513 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
A61F13/515
A61F13/537 310
A61F13/535 100
A61F13/534 110
A61F13/511 100
A61F13/512 100
A61F13/536 100
A61F13/475 100
A61F13/513 110
(21)【出願番号】P 2018165381
(22)【出願日】2018-09-04
【審査請求日】2021-07-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】橋野 央
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐樹
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064039(JP,A)
【文献】特開平07-184957(JP,A)
【文献】特開2000-051269(JP,A)
【文献】特開2013-133574(JP,A)
【文献】特開平06-125939(JP,A)
【文献】特開2018-000302(JP,A)
【文献】特開2017-029495(JP,A)
【文献】特開平11-028222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を備え、
吸収体と、
前記吸収体の前記厚さ方向の少なくとも肌側から吸収体を覆う肌側シートと、
前記吸収体と前記肌側シートとの間に配置された液透過性の中間シートと、
前記吸収体の前記厚さ方向の非肌側に設けられた非肌側シートと
を備えた吸収性物品であって、
前記肌側シートは、前記厚さ方向に貫通した複数の貫通孔を有し、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された肌側折り返し部を有し、
前記肌側折り返し部は、前記肌側シートのうちの、前記幅方向において前記吸収体よりも外側の部位であり、
前記肌側折り返し部の先端部は、前記厚さ方向における前記吸収体と前記非肌側シートとの間の、前記幅方向に並ぶ一対の接合部で、前記非肌側シートに接合されており、
前記幅方向における、前記吸収体の側端と前記肌側折り返し部の側端との距離が最も長い部分の前記幅方向に沿った断面において、
前記幅方向において、前記一対の接合部の外側の側端は、前記吸収体の側端より外側に配置されており、
前記中間シートが、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された中間折り返し部を有し、前記吸収体の側部の全領域を覆っており、
前記中間折り返し部は、前記中間シートのうちの、前記幅方向において前記吸収体よりも外側の部位であり、
前記断面において、
前記中間折り返し部の先端は、前記吸収体の側端よりも前記幅方向の外側に位置し、
前記肌側シートは、前記吸収体側に複数の凸部を備え、
前記凸部の頂部に前記貫通孔が設けられており、
前記肌側シートは、前記中間シートに当接する前記凸部と、前記中間シートに当接しない凹部とを備えた凸凹形状を有していることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートは、疎水性の樹脂シートであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体は、液体吸収性繊維の集合体を有し、
前記液体吸収性繊維が前記中間シートと接触していることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体は、液体吸収性繊維の集合体を有し、
前記吸収体は、前記集合体の非肌側に吸収性ポリマーシートを有し、
前記吸収性ポリマーシートの前記幅方向の長さは、前記集合体の前記幅方向の長さより短いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品であって、
前記中間シートが、前記吸収性ポリマーシートの側部の全領域を覆っていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シート、前記中間シート、及び前記集合体を前記厚さ方向に圧搾した線状圧搾部を有しており、
前記吸収性ポリマーシートは、前記線状圧搾部によって圧搾されておらず、
前記線状圧搾部は、前記長手方向に沿っていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートは、前記幅方向において、前記吸収体の側端より内側で、且つ、前記吸収体より前記肌側において折り返されていない非折り返し部を有し、
前記非折り返し部において、前記貫通孔の前記肌側の開口の大きさは、前記吸収体側の開口の大きさより大きいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項7に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートのうち、前記幅方向において、前記吸収体より外側で、且つ、前記厚さ方向において前記吸収体の中央より肌側を肌側部位とし、
前記肌側シートのうち、前記幅方向において、前記吸収体より外側で、且つ、前記厚さ方向において前記吸収体の中央より非肌側を非肌側部位としたとき、
前記肌側部位は、肌側貫通孔を有し、
前記非肌側部位は、非肌側貫通孔を有し、
前記断面において、前記肌側貫通孔の前記幅方向の中心線は、前記吸収体の側端より外側であって、且つ、前記吸収体の側端に最も近接しており、
前記断面において、前記非肌側貫通孔の前記幅方向の中心線は、前記吸収体の側端より外側であって、且つ、前記吸収体の側端に最も近接しており、
前記肌側貫通孔の中心線は、前記非肌側貫通孔の中心線とずれていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記幅方向において、
前記吸収体の一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離が、
前記肌側折り返し部の前記一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離より小さいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記幅方向において、
前記吸収体の一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離が、
前記肌側折り返し部の前記一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離以上であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記断面において、
前記中間折り返し部の先端は、前記一対の接合部の外側の側端より前記幅方向の内側に位置することを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
着用者の着衣に固定して使用する吸収性物品として、生理用ナプキン、パンティーライナー、及び吸収パッドがある。特許文献1に開示されたナプキン1のように、トップシート3が吸収性コア21の肌側面及び側面を覆い、吸収性コア21の非肌側面側でバックシート5に固定することで、装着性を向上させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されたナプキン1は、吸収性コア21より肌側に設けられたティッシュ等のカバーシート22によって、肌側から吸収した排泄物が吸収性コア21に到達する前にカバーシート22内で拡散してしまい、ナプキン1の幅方向の外側に到達しやすくなってしまう。ナプキン1のうち、吸収性コア21の側端より幅方向の外側に付着した排泄物は、ナプキン1の外側に漏れてしまう恐れを生じていた。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸収性物品の装着性を向上させつつ、幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を備え、吸収体と、前記吸収体の前記厚さ方向の少なくとも肌側から吸収体を覆う肌側シートと、前記吸収体と前記肌側シートとの間に配置された液透過性の中間シートと、前記吸収体の前記厚さ方向の非肌側に設けられた非肌側シートとを備えた吸収性物品であって、前記肌側シートは、前記厚さ方向に貫通した複数の貫通孔を有し、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された肌側折り返し部を有し、前記肌側折り返し部の先端部は、前記厚さ方向における前記吸収体と前記非肌側シートとの間の、前記幅方向に並ぶ一対の接合部で、前記非肌側シートに接合されており、前記幅方向における、前記吸収体の側端と前記肌側折り返し部の側端との距離が最も長い部分の前記幅方向に沿った断面において、前記幅方向において、前記一対の接合部の外側の側端は、前記吸収体の側端より外側に配置されており、前記中間シートが、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された中間折り返し部を有し、前記吸収体の側部の全領域を覆っていることを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、
互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を備え、
吸収体と、
前記吸収体の前記厚さ方向の少なくとも肌側から吸収体を覆う肌側シートと、
前記吸収体と前記肌側シートとの間に配置された液透過性の中間シートと、
前記吸収体の前記厚さ方向の非肌側に設けられた非肌側シートと
を備えた吸収性物品であって、
前記肌側シートは、前記厚さ方向に貫通した複数の貫通孔を有し、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された肌側折り返し部を有し、
前記肌側折り返し部は、前記肌側シートのうちの、前記幅方向において前記吸収体よりも外側の部位であり、
前記肌側折り返し部の先端部は、前記厚さ方向における前記吸収体と前記非肌側シートとの間の、前記幅方向に並ぶ一対の接合部で、前記非肌側シートに接合されており、
前記幅方向における、前記吸収体の側端と前記肌側折り返し部の側端との距離が最も長い部分の前記幅方向に沿った断面において、
前記幅方向において、前記一対の接合部の外側の側端は、前記吸収体の側端より外側に配置されており、
前記中間シートが、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された中間折り返し部を有し、前記吸収体の側部の全領域を覆っており、
前記中間折り返し部は、前記中間シートのうちの、前記幅方向において前記吸収体よりも外側の部位であり、
前記断面において、
前記中間折り返し部の先端は、前記吸収体の側端よりも前記幅方向の外側に位置し、
前記肌側シートは、前記吸収体側に複数の凸部を備え、
前記凸部の頂部に前記貫通孔が設けられており、
前記肌側シートは、前記中間シートに当接する前記凸部と、前記中間シートに当接しない凹部とを備えた凸凹形状を有していることを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、生理用ナプキン1を肌側から見た平面図である。
【
図2】
図2は、ナプキン1を非肌側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図1中のA-A矢視で示すナプキン1の概略断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す概略断面図のうち幅方向の端部を説明する図である。
【
図6】
図6は、別の実施形態におけるナプキン1の部分Zに相当する部分を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を備え、吸収体と、前記吸収体の前記厚さ方向の少なくとも肌側から吸収体を覆う肌側シートと、前記吸収体と前記肌側シートとの間に配置された液透過性の中間シートと、前記吸収体の前記厚さ方向の非肌側に設けられた非肌側シートとを備えた吸収性物品であって、前記肌側シートは、前記厚さ方向に貫通した複数の貫通孔を有し、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された肌側折り返し部を有し、前記肌側折り返し部の先端部は、前記厚さ方向における前記吸収体と前記非肌側シートとの間の、前記幅方向に並ぶ一対の接合部で、前記非肌側シートに接合されており、前記幅方向における、前記吸収体の側端と前記肌側折り返し部の側端との距離が最も長い部分の前記幅方向に沿った断面において、前記幅方向において、前記一対の接合部の外側の側端は、前記吸収体の側端より外側に配置されており、前記中間シートが、前記幅方向の両側の端部に、前記非肌側に折り返された中間折り返し部を有し、前記吸収体の側部の全領域を覆っていることを特徴とする吸収性物品である。
【0010】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の装着性を向上させつつ、幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させやすくなる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートは、疎水性の樹脂シートであることが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品によれば、排泄物が肌側シートに残りにくく、排泄物を貫通孔へ誘導しやすくなる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体は、液体吸収性繊維の集合体を有し、前記液体吸収性繊維が前記中間シートと接触していることが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品によれば、吸収体より幅方向の外側に排泄物が拡散されてしまう恐れを軽減させることができる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体は、液体吸収性繊維の集合体を有し、前記吸収体は、前記集合体の非肌側に吸収性ポリマーシートを有し、前記吸収性ポリマーシートの前記幅方向の長さは、前記集合体の前記幅方向の長さより短いことが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させやすくなる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記中間シートが、前記吸収性ポリマーシートの側部の全領域を覆っていることが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させやすくなる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シート、前記中間シート、及び前記集合体を前記厚さ方向に圧搾した線状圧搾部を有しており、前記吸収性ポリマーシートは、前記線状圧搾部によって圧搾されておらず、前記線状圧搾部は、前記長手方向に沿っていることが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、集合体までが圧搾されているので、素早く排泄物を下層に移行させつつ、吸収性ポリマーシートが圧搾されていないことにより、圧搾によって吸収性ポリマーが潰れて硬くなってしまう恐れを軽減し、集合体から移行された排泄物を素早く吸収できる。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートは、前記吸収体側に複数の凸部を備え、前記凸部の頂部に前記貫通孔が設けられており、前記肌側シートは、前記幅方向において、前記吸収体の側端より内側で、且つ、前記吸収体より前記肌側において折り返されていない非折り返し部を有し、前記非折り返し部において、前記貫通孔の前記肌側の開口の大きさは、前記吸収体側の開口の大きさより大きいことが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、肌側から排泄物を吸収しやすくする一方、吸収体から排泄物が肌側に戻ってしまう恐れを軽減させることができる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートのうち、前記幅方向において、前記吸収体より外側で、且つ、前記厚さ方向において前記吸収体の中央より肌側を肌側部位とし、前記肌側シートのうち、前記幅方向において、前記吸収体より外側で、且つ、前記厚さ方向において前記吸収体の中央より非肌側を非肌側部位としたとき、前記肌側部位は、肌側貫通孔を有し、前記非肌側部位は、非肌側貫通孔を有し、前記断面において、前記肌側貫通孔の前記幅方向の中心線は、前記吸収体の側端より外側であって、且つ、前記吸収体の側端に最も近接しており、前記断面において、前記非肌側貫通孔の前記幅方向の中心線は、前記吸収体の側端より外側であって、且つ、前記吸収体の側端に最も近接しており、前記肌側貫通孔の中心線は、前記非肌側貫通孔の中心線とずれていることが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、ナプキンの幅方向の端部で肌側から吸収した排泄物を非肌側に透過させる恐れを軽減させることができる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記幅方向において、前記吸収体の一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離が、前記肌側折り返し部の前記一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離より小さいことが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、肌側折り返し部の一方側の側端から、一対の接合部の一方側の外側の側端までの距離以上である場合より吸収体の端部を着用者の身体に沿わせやすくなる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、前記幅方向において、前記吸収体の一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離が、前記肌側折り返し部の前記一方側の側端から、前記一対の接合部の前記一方側の外側の側端までの距離以上であることが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、肌側折り返し部が接合部の外側の側端で肌側に折れ曲がっても吸収体の側端まで届かないので、排泄物を吸収した状態の吸収性物品に対して厚さ方向に圧力を加えた場合でも、吸収体から漏れだした排泄物が肌側折り返し部に付着する恐れを軽減させることができる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記断面において、前記中間折り返し部の先端は、前記一対の接合部の外側の側端より前記幅方向の内側に位置することが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させやすくなる。
【0031】
===第1実施形態===
以下、本発明に係る吸収性物品として生理用ナプキンを例に挙げて実施形態を説明するが、生理用ナプキンに限らず、パンティーライナー、又は軽失禁用パッド等のように、使用者の着衣に固定して使用する吸収性物品であればよい。
【0032】
<<生理用ナプキン1の構成>>
図1は、生理用ナプキン1(以下「ナプキン」という)を肌側から見た平面図である。
図2は、ナプキン1を非肌側から見た平面図である。
図3は、
図1中のA-A線におけるナプキン1の概略断面図である。
図4は、
図3に示す概略断面図のうち幅方向の端部を説明する図である。
図5は、
図4中の部分Zについて拡大した図である。
【0033】
ナプキン1は、互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を有する。ナプキン1の長手方向において、使用者の下腹部に当接する側を「前側」といい、使用者の臀部に当接する側を「後側」という。また、ナプキン1の厚さ方向において、使用者の肌に当接する側を「肌側」といい、その反対側を「非肌側」という。図中のX-X線は幅方向における中心線である。なお、
図3~
図5において、厚さ方向についての寸法は必ずしも正確ではない。さらに、便宜上、
図4において、本体接合部5aを除く接着剤HMAは省略しており、
図5において、全ての接着剤HMAを省略して示している。
【0034】
ナプキン1は、長手方向の中央部から幅方向の両外側に延出した一対のウイング部1Wを有している。以下、ナプキン1の長手方向において、ウイング部1Wが設けられた部分を中央部1B、中央部1Bより前側の部分を前側部1A、中央部1Bより後側の部分を後側部1Cという。
【0035】
また、ナプキン1の幅方向の中央部には、トップシート2、セカンドシート3、吸収体10、バックシート4、及びサイドシート5を有している。
【0036】
厚さ方向において、トップシート2、セカンドシート3、吸収体10、サイドシート5及びバックシート4が積層されている。トップシート2、セカンドシート3、吸収体10、バックシート4及びサイドシート5はそれぞれホットメルト接着剤等の接着剤HMAを用いて接合固定されている。接着剤は、各部材の肌面側及び非肌面側のそれぞれに亘って任意の塗布パターンで塗布されており、Ωパターンやスパイラルパターン、ストライプパターン等の塗布パターンから選択することができる。
【0037】
トップシート2は、着用状態において、その大部分が着用者の肌に当接する「肌側シート」である。トップシート2は、疎水性の熱可塑性の合成樹脂フィルムであり、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)のシート部材である。また、トップシート2は、厚さ方向に貫通した略円形状の複数の貫通孔Hを複数有している。貫通孔Hを設けることで、着用中に膣口から排出された排泄物が貫通孔Hから吸収体10へ移動させやすくなり、トップシート2の肌側面で排泄物が広がってしまう恐れを軽減させる。
【0038】
トップシート2の「疎水性」とは、肌側面の表面に液体が滴下された場合において液体が広がりにくい特性をいう。好ましくは、滴下された液体が90°より大きい接触角を有する状態となる特性を有するものが好ましい。この疎水性の状態を担保できる限りにおいて、トップシート2に親水処理を行ってもよい。
【0039】
セカンドシート3は、トップシート2と吸収体10との間に配置された「中間シート」である。セカンドシート3は、液透過性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。
【0040】
トップシート2とセカンドシート3は、接着剤HMAによって接着された一体の状態で、吸収体10を幅方向の端部を包むように巻き込み、吸収体10の非肌側面に、吸収体接合部10aで接着剤HMAによって接合固定されて、トップシート2、セカンドシート3及び吸収体10が一体となった吸収性本体100を構成する。なお、各部材同士を接合固定する接着剤HMAにおいて、全領域に接着剤を塗布する必要はない。特に、トップシート2とセカンドシート3との間の接着剤HMAとして塗布する接着剤の量や領域、塗布パターンを調整することで、吸収性本体100のうち、後述の一対の本体接合部5aより幅方向の外側の柔軟性を確保することができ、肌触りを向上させることができる。
【0041】
吸収性本体100の非肌側の面と、サイドシート5の肌側の面とを本体接合部5aでホットメルト等の接着剤を用いて接合している。
図1に示すように、本体接合部5aは、長手方向に沿った連続形状であり、幅方向の両側の端部に、ナプキン1の幅方向の中心線X-X線について対称な位置に配置されている。本実施形態において、サイドシート5を非肌側シートとして説明するが、バックシート4を非肌側シートとしてもよいし、バックシート4とサイドシート5とを合わせたものを非肌側シートとしてもよい。また、バックシート4やサイドシート5とは異なる別のシート部材を配置して、トップシート2の先端部と接合してもよい。
【0042】
トップシート2の幅方向における最も外側の端は、肌側側端2eである。トップシート2は、幅方向の両側の端部に肌側折り返し部2hを有し、肌側側端2eは、肌側折り返し部2hの幅方向の最も外側の端でもある。トップシート2のうち幅方向において、吸収体10より外側で、且つ、厚さ方向において吸収体10の中心10cより肌側は、肌側部位2sであり、吸収体10より外側で、且つ、厚さ方向において吸収体10の中心より非肌側は、非肌側部位2uである。肌側部位2sと非肌側部位2uとをからなる領域を肌側折り返し部2hともいう。
【0043】
セカンドシート3の幅方向における最も外側の端は、中間側端3eである。セカンドシート3は、幅方向の両側の端部に中間折り返し部3hを有し、中間側端3eは、中間折り返し部3hの幅方向の最も外側の端でもある。中間折り返し部3hは、吸収体10より幅方向において外側の部分をいう。長手方向におけるトップシート2とセカンドシート3との長さは略同じである。また、吸収性本体100の状態からトップシート2とセカンドシート3をそれぞれ展開した状態において、幅方向の長さは、セカンドシート3の方がトップシート2より短い。
図4等に示すように、吸収性本体100の状態において、中間折り返し部3hの先端は、本体接合部5aの一部と厚さ方向で重なっており、本体接合部5aの外側の側端5eより幅方向の内側に位置している。
【0044】
バックシート4は、液不透過性のシート部材であり、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルム等を例示できる。バックシート4は、平面サイズが吸収体10より大きく、吸収体10の平面全体を覆っている。サイドシート5は、疎水性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。バックシート4及びサイドシート5は、一体となったトップシート2、セカンドシート3及び吸収体10より非肌側に位置している。
【0045】
ウイング部1Wは、トップシート2等の幅方向の両側部から外側に延出しているバックシート4及びサイドシート5によって形成されている。なお、ナプキン1がウイング部1Wを有さない形態であってもよい。
【0046】
ナプキン1の非肌側面(つまり、バックシート4の非肌側面)には、接着剤が塗布される等した中央粘着部8が設けられている。中央粘着部8は、
図2では長手方向に長辺を有する長方形状の10個の中央粘着部8が幅方向に間隔を空けて配置されているが、中央粘着部8の形状、数、及び配置はこれに限られない。中央粘着部8がナプキン1の使用時に下着等の着衣の肌側面に貼り付けられることで、ナプキン1は下着等に固定される。
【0047】
同様に、各ウイング部1Wの厚さ方向の非肌側面(バックシート4の非肌側綿)には、ウイング粘着部9が設けられている。ウイング粘着部9は、
図2では、長手方向に長辺を有する長方形状のウイング粘着部9が配置されているが、ウイング粘着部9の形状、数、及び配置はこれに限られない。ナプキン1の使用時にウイング部1Wは非肌側に折り曲げられ、ウイング粘着部9は、下着等の非肌側面に張り付けられる。これにより、ウイング部1Wは下着等に固定される。
【0048】
吸収体10は、排泄物を吸収して内部に保持する部材である。
図3、
図4に示すように、吸収体10は、吸収性コア11と吸収性ポリマーシート12とを有している。吸収体10のうち、肌側に吸収性コア11を配置し、非肌側に吸収性ポリマーシート12を配置する。また、吸収性コア11の幅方向の長さは、吸収性ポリマーシート12の幅方向の長さより長く、吸収性コア11の長手方向の長さは、吸収性ポリマーシート12の長手方向の長さより長い。
【0049】
吸収性コア11は、液体吸収性繊維を所定の形状に成形した集合体111と、集合体の非肌側に配置したカバーシート112を有する。集合体111の液体吸収性繊維としては、パルプ繊維やセルロース系吸収性繊維等を例示することができ、カバーシート112は、液透過性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。集合体111はカバーシート112に、ホットメルト等の接着剤で固定されている。カバーシート112は、集合体111の長手方向の長さと略同じで、且つ、集合体111の幅方向の長さと略同じであることが好ましい。本実施形態において、吸収性コア11は、平面視で略砂時計形状に形成されており、長手方向の中央部に括れを有する形状であるが、吸収性コア11の形状はこれに限られない。長方形等の所定の形状の吸収性コア11を用いることができる。
【0050】
なお、吸収性コア11は、集合体の肌側面に液体透過性のティッシュ等のシートを有しておらず、集合体111の液体吸収性繊維がセカンドシート3に当接していることが好ましい。一般的にティッシュ等の液体透過性シートにおいて液体は平面方向へ拡散しやすいため、吸収性コア11の肌側面に液体透過性シートを設けないことで、着用者の膣口に当接する股間部位で吸収した排泄物が吸収性コア11の肌側面で拡散してしまって、ナプキン1の幅方向の外側から排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0051】
吸収性ポリマーシート12は、液体吸収性粒状物である高吸収性ポリマー121(所謂SAP)等を肌側面及び非肌側面からそれぞれティッシュ等の液体透過性シート122で挟んだシート状の吸収体である。
【0052】
図1等に示すように、吸収性本体100のうち、一対の本体接合部5aより幅方向の外側は、サイドシート5に固定されていない。そのため、着用状態において、ウイング部1Wが着衣に固定された場合でも、着用者の身体に当接する状態とすることができる。これによって、着用者は、ウイング部1W、つまり、ナプキン1を着衣に固定しつつも、吸収性本体100を着用者の股間の動きに追従させやすくなるため、ナプキン1の装着性を向上させることができる。
【0053】
また、ナプキン1は、吸収性本体100の幅方向の端部領域に排泄物が到達してしまう恐れを軽減させるために、疎水性の樹脂シートをトップシート2として用いている。疎水性の樹脂シートは、平面的に排泄物が拡散してしまうことを防ぎつつ、排泄物を、トップシート2に設けられた複数の貫通孔Hから厚さ方向の吸収体10に向かって落下させ、吸収体10に移動させやすくしている。これによって、排泄物をより早く吸収体10で排泄物を留めさせやすくすることができる。
【0054】
さらに、吸収体10に対して厚さ方向に力を加えた場合、例えば、着用中において、着用者が座った状態等、着用者の体圧をナプキン1の厚さ方向に対して加えた場合において、吸収体10が押し潰されて、吸収体10に留められた排泄物がナプキン1の幅方向の外側に漏れてしまわないように、以下の構成を有している。
【0055】
図1中のA-Aは、ウイング部1Wの長手方向におけるウイング中央A-Aであり、幅方向における、吸収体10の側端と肌側折り返し部2hの肌側側端2eとの距離が最も長い部分である。なお、吸収性コア11の幅方向の長さが、吸収性ポリマーシート12の幅方向の長さより長いことから、吸収体10の側端とは、吸収性コア11の幅方向の側端11eである。
【0056】
図4等に示すように、ウイング中央A-Aの断面において、一対の本体接合部5aの幅方向の外側の側端5eが、吸収性コア11の側端11eより幅方向の外側に配置されている。このとき、中間折り返し部3hを有するセカンドシート3が吸収性コア11の端部の側面の全域を覆っている。なお、吸収性コア11の側部とは、吸収性コア11の幅方向における側部をいい、セカンドシート3が吸収性コア11の幅方向の端部の側面の全域を覆っている。ただし、セカンドシート3やトップシート2が吸収性コア11の長手方向の端部の側面を覆っていてもよい。
【0057】
これによって、排泄物を吸収した状態の吸収体10に厚さ方向の力が加えられた場合に、吸収性コア11の側部から排泄物が漏れ出てしまった場合でも、まず、吸収性コア11の側部の全域を覆っているセカンドシート3が排泄物を吸収し、セカンドシート3から漏れ出てしまった排泄物をトップシート2において吸収することができるため、排泄物がナプキン1の幅方向の端部から漏れてしまう恐れを軽減させることができる。特に、吸収性コア11の側部の全域を覆うことによって、吸収性コア11の側部に対して、セカンドシート3及びトップシート2がそれぞれ袋状に配置されることになる。そのため、セカンドシート3の内側やトップシート2の内側に排泄物を留めやすくなり、排泄物がナプキン1から漏れてしまう恐れを軽減させやすくなる。
【0058】
同様に、セカンドシート3が、吸収性ポリマーシート12の側部の全域を覆っていることが好ましい。さらに、より好ましくは、本体接合部5aの外側の側端5eより幅方向の内側に位置しているとよい。つまり、セカンドシート3が、吸収体10の側部の全域を覆っていることが好ましい。これによって、吸収性ポリマーシート12の側部から漏れ出た排泄物を、まず、セカンドシート3が、セカンドシート3の内側に留めやすくさせ、さらに、排泄物を外側に位置するトップシート2の内側に留めさせやすくするため、ナプキン1の幅方向の外側に漏れてしまう恐れをより軽減させやすくなる。なお、吸収性ポリマーシート12の側部とは、吸収性ポリマーシート12の幅方向の端部の側面の全域をいい、セカンドシート3が吸収性ポリマーシート12の幅方向の端部の側面の全域を覆っている。ただし、セカンドシート3やトップシート2が吸収性ポリマーシート12の長手方向の端部の側面を覆っていてもよい。
【0059】
さらに、貫通孔Hによって、一旦吸収体10に貯留された排泄物がトップシート2の肌側面側に戻らないようにすることが好ましい。複数の貫通孔Hは、略同じ形状、略同じ大きさで、トップシート2の略全域に亘って、千鳥状に配置されている。各貫通孔Hは、吸収体10側に凸部pを有している。このとき、凸部pの頂部に貫通孔Hが設けられている。つまり、トップシート2は、セカンドシート3に当接しうる凸部pと、セカンドシート3に当接しない凹部rとを備えた凸凹形状を有している。このとき、吸収体10側の貫通孔Hの大きさ、具体的には直径(幅方向における長さ)dより、吸収体10とは反対側の貫通孔Hの大きさ、具体的には直径Dが大きいことが好ましい。特に、トップシート2のうち、幅方向において、吸収性コア11の側端11eより内側で、且つ、吸収体10より肌側において折り返されていない非折り返し部Nにおいて、吸収体10側の貫通孔Hの直径dより、吸収体10とは反対側である肌側の貫通孔Hの直径Dが大きいことが好ましい。非折り返し部Nにおいて、肌側の貫通孔Hの直径Dをより大きくすることで、着用状態で肌側面に排泄された排泄物を貫通孔H内に入れやすくなり、より早く排泄物を吸収体10で吸収させやすくなる。一方、吸収体10側の貫通孔Hの直径dをより小さくすることで、既に吸収体10に吸収された排泄物がトップシート2の肌側面に戻ってしまう恐れを軽減させやすくなる。例えば、ナプキン1の吸収体10に対して厚さ方向に力が加えられた場合に、吸収体10が押し潰されて一旦吸収された排泄物が肌側面に戻りそうになる場合でも、貫通孔Hの吸収体10側の直径dが小さいため、排泄物が通るための入口が小さいために、トップシート2の肌側面に排泄物が到達しづらくさせることができる。
【0060】
また、
図1に示すように、吸収性ポリマーシート12の幅方向の長さが、吸収性コア11の幅方向の長さより短くすることで、ナプキン1の幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れをより軽減させることができる。吸収性ポリマーシート12のように、ティッシュ等の液体透過性シート122で高吸収性ポリマー121を挟んでいる場合、液体透過性シート122によって幅方向の外側に排泄物が拡散してしまう恐れがある。このような場合においても、吸収性ポリマーシート12が備える液体透過性シート122より幅方向の長さが長い吸収性コア11を備えることで、吸収性コア11が吸収性ポリマーシート12の幅方向の外側に到達した排泄物を吸収性コア11が吸収することができるため、ナプキン1の幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0061】
さらに、吸収性ポリマーシート12の幅方向の長さが、吸収性コア11の幅方向の長さより短いことで、ナプキン1の肌側面に排泄物が存在する状態を軽減させやすくすることができる。一般的に、吸収性コア11と吸収性ポリマーシート12を有する吸収体10が排泄物を吸収した状態においては、液体吸収性繊維を備えた吸収性コア11より高吸収性ポリマーを備えた吸収性ポリマーシートの方がより多くの排泄物を貯留した状態であること場合が多い。このような吸収体10に対して厚さ方向に力を加えると、吸収性ポリマーシート12に留められた排泄物が肌側面に移動してしまう恐れがある。この点、吸収性ポリマーシート12より幅方向の長さが広い吸収性コア11が肌側に設けられていることで、吸収性ポリマーシート12から肌側に移動した排泄物を吸収性コア11が吸収して、トップシート2の肌側面まで到達しづらくさせることができる。これによって、トップシート2に表面に排泄物が存在する状態を軽減させやすくなるため、着用者が着用中に肌で感じるべたつき等の不快感を軽減させやすくなる。
【0062】
図1に示すように、ナプキン1は、長手方向に沿った線状圧搾部Eを有していることが好ましい。線状圧搾部Eは、トップシート2、セカンドシート3、及び吸収性コア11を厚さ方向に圧搾した線状圧搾部であり、それぞれの部材における繊維の密度が、圧搾をしていない部分より高くなっている。そのため、線状圧搾部Eに到達した排泄物が、毛細管現状によって、厚さ方向に移動されやすくなる。つまり、ナプキン1のうち、着用者の膣口に当接する部分で吸収した排泄物が幅方向に拡散されて、線状圧搾部Eに到達すると、吸収性コア11まで厚さ方向に排泄物を移動させやすくなる。また、線状圧搾部Eが長手方向に沿っていることで、排泄物が線状圧搾部Eに沿って拡散しやすくなる。一方、吸収性ポリマーシート12が、厚さ方向に圧搾されていないことで、圧搾によって吸収性ポリマーが潰れて硬くなってしまう恐れを軽減し、吸収性コア11から移行された排泄物を素早く吸収することができる。
【0063】
また、
図4に示すように、吸収体の一方側の側端から本体接合部5aの側端5eまでの距離Daが、肌側折り返し部2hの最も一方側の外側の端である側端2eから本体接合部5aの側端5eまでの距離Dhより短いことが好ましい(Da<Dh)。これによって、吸収体の一方側の側端から本体接合部5aの側端5eまでの距離Daが、肌側折り返し部2hの最も一方側の外側の端である側端2eから本体接合部5aの側端5eまでの距離Dh以上である場合よりも、吸収性本体100を着用者の身体の動きに沿いやすくさせることができる。つまり、吸収性本体100において、柔らかい領域をより広くさせることで、吸収性本体100が柔軟に動きやすくなり、着用者への肌当たりも向上する。
【0064】
トップシート2は、複数の貫通孔Hを有しており、トップシート2のうち、肌側部位2sは肌側貫通孔Hs、非肌側部位2uは非肌側貫通孔Huを有する。
図5に示すように、ウイング中央A-Aの断面において、肌側貫通孔Hsの幅方向の中心線Csは、吸収性コア11(吸収体10)の側端11eより外側であって、且つ、吸収性コア11の側端11eに最も近接している。同様に、非肌側貫通孔Huの幅方向の中心線Cuは、吸収性コア11(吸収体10)の側端11eより外側であって、且つ、吸収性コア11の側端11eに最も近接している。この中心線Csと中心線Cuがずれていることが好ましい。具体的には、
図5においては、中心線Csが中心線Cuより幅方向において内側に設けられている。つまり、肌側貫通孔Hsと非肌側貫通孔Huが厚さ方向において完全に重なっていないため、吸収性本体100の端部に肌側面から排泄物を吸収した場合においても、排泄物を貫通孔Hから通過させてしまう恐れを軽減させることができる。
【0065】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0066】
上述の実施形態においては、トップシート2として疎水性の熱可塑性の合成樹脂フィルムを用いたが、これに限られない。例えば、不織布等の親水性のシート部材を用いても良い。親水性のシート部材をトップシート2として用いた場合でも、貫通孔Hを備えることで、吸収体10への排泄物の吸収を誘導しやすくなる。
【0067】
上述の実施形態においては、トップシート2の略全域に亘って凸部pと貫通孔Hを設けたがこれに限られない。例えば、凸部p及び貫通孔Hを、着用中に着用者の膣口に当接し、排泄物を最初に吸収する股下部分にのみ設けるものであってもよい。このような場合であっても、股下部分で吸収した排泄物を幅方向に拡散する前に吸収体10に吸収させやすくなるため、ナプキン1の幅方向の外側から排泄物が漏れる恐れを軽減させることができる。
【0068】
また、上述の実施形態においては、中間折り返し部3hの先端は、本体接合部5aの一部と厚さ方向で重なるものであったが、これに限られない。
図6は、別の実施形態におけるナプキン1の部分Zに相当する部分を説明する図である。
図6に示すように、中間折り返し部3hの先端は、本体接合部5aの一部と厚さ方向で重ならず、中間折り返し部3hの先端が、本体接合部5aの側端5eより幅方向の外側に位置するものであってもよい。本体接合部5aにセカンドシート3が重なっていないことで、本体接合部5aや一体とされたトップシート2とセカンドシート3と吸収体10の幅方向の端部における剛性をより低くさせることができる。これによって、着用状態において、ナプキン1を着衣に固定した状態で、一体とされたトップシート2とセカンドシート3と吸収体10とを着用者の身体に沿わせやすくなるため、着用者にとって装着性が向上する。
【0069】
上述の実施形態においては、一対の本体接合部5aは、ナプキン1の長手方向に沿った連続形状で、ナプキン1の幅方向の中心線X-X線について対称な位置に設けたがこれに限られない。本体接合部5aを間欠な状態で設けてもよく、また、中心線X-Xについて非対称である位置に設けてもよい。
【0070】
さらに、上述の実施形態においては、吸収体の一方側の側端から本体接合部5aの側端5eまでの距離Daが、肌側折り返し部2hの最も一方側の外側の端である側端2eから本体接合部5aの側端5eまでの距離Dhより短いものであったが(Da<Dh)、これに限られない。吸収体10の一方側の側端から、本体接合部5aの一方側の外側の側端5eまでに距離Daが、肌側折り返し部2hの一方側の側端2eから、本体接合部5aの一方側の外側の側端5eまでの距離Dh以上であってもよい(Da≧Dh)。肌側折り返し部2hが本体接合部5aの外側の側端5eで肌側に折れ曲がっても、肌側折り返し部2hは、吸収性コア11の側端11eまで届かない。このような構成とすることで、排泄物を吸収した状態のナプキン1に対して肌側から厚さ方向に圧力を加えた場合でも、吸収性コア11から肌側に漏れ出た排泄物が肌側折り返し部2hに付着する恐れを軽減させることができる。これによって、肌側折り返し部2hに付着した排泄物によって、ナプキン1の幅方向の外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0071】
上述の実施形態においては、吸収性コア11と吸収性ポリマーシート12とを厚さ方向に重ねた吸収体10を用いたがこれに限られない。例えば、吸収体10として、吸収性コア11のみであってもよいし、吸収性ポリマーシート12のみであってもよい。また、吸収性コア11が吸収性ポリマーを有していてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 ナプキン(吸収性物品)、1A 前側部、1B 中央部、1C 後側部、1W ウイング部、2 トップシート(肌側シート)、2h 肌側折り返し部、2e 肌側側端、2s 肌側部位、2u 非肌側部位、3 セカンドシート(中間シート)、3h 中間折り返し部、3e 中間側端、4 バックシート、5 サイドシート(非肌側シート)、5a 本体接合部(接合部)、8 中央粘着部、9 ウイング粘着部、10 吸収体、10a 吸収体接合部、10c 中心、100 吸収性本体、11 吸収性コア(吸収体、集合体)、11e 側端、111 集合体、112 カバーシート、12 吸収性ポリマーシート(吸収体)、121 高吸収性ポリマー、122 液体透過性シート、E 線状圧搾部、H 貫通孔、HMA 接着剤、N 非折り返し部、p 凸部