(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】データ伝送方法及びデータ転送装置
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20230221BHJP
G06F 13/37 20060101ALI20230221BHJP
G06F 13/362 20060101ALI20230221BHJP
G06F 13/38 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H04L12/28 400
G06F13/37 Z
G06F13/362 520Z
G06F13/38 350
(21)【出願番号】P 2019106971
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-67021(JP,A)
【文献】特開2005-117134(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169756(WO,A1)
【文献】特開2017-108280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
G06F 13/37
G06F 13/362
G06F 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方がスタート信号出力用となり他方がデータ信号入力用となる第1ポート及び第2ポートと正順設定信号又は逆順設定信号の出力用の第3ポートを備えるマスターデバイスの前記第1ポートと前記第2ポートの間に、データ信号入出力用の第4ポート及び第5ポートとセレクト信号入力用の第6ポートを有するスレーブデバイスの前記第4ポートと前記第5ポートをN段(Nは2以上の正の整数)にわたってディジーチェーン接続し、1段目のスレーブデバイスの前記第4ポートを前記マスターデバイスの前記第1ポートに接続し、N段目のスレーブデバイスの前記第5ポートを前記マスターデバイスの前記第2ポートに接続し、前記マスターデバイスの前記第3ポートを各スレーブデバイスの第6ポートに共通接続し、
前記マスターデバイスの前記第3ポートから正順設定信号が出力するときは、前記スレーブデバイスは、前記第4ポートにスタート信号が入力するまでは前記第4ポートに入力するデータ信号を前記第5ポートにそのまま通過させ、前記第4ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第5ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第5ポートから出力し、
前記マスターデバイスの前記第3ポートから逆順設定信号が出力するときは、前記スレーブデバイスは、前記第5ポートにスタート信号が入力するまでは前記第5ポートに入力するデータ信号を前記第4ポートにそのまま通過させ、前記第5ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第4ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第4ポートから出力する、
ことを特徴とするデータ転送方法。
【請求項2】
一方がスタート信号出力用となり他方がデータ信号入力用となる第1ポート及び第2ポートと正順設定信号又は逆順設定信号の出力用の第3ポートを備えるマスターデバイスと、データ信号入出力用の第4ポート及び第5ポートと前記第3ポートに接続されるセレクタ信号入力用の第6ポートを有し、前記マスターデバイスの前記第1ポートと前記第2ポートの間に前記第4ポートと前記第5ポートを介してディジーチェーン接続されたN個(Nは2以上の正の整数)のスレーブデバイスと、を備えたデータ転送装置であって、
前記スレーブデバイスは、
前記第6ポートに前記正順設定信号が入力しているときは、前記第4ポートにスタート信号が入力するまでは前記第4ポートに入力するデータ信号を前記第5ポートにそのまま通過させ、前記第4ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第5ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第5ポートから出力し、
前記第6ポートに前記逆順設定信号が入力しているときは、前記第5ポートにスタート信号が入力するまでは前記第5ポートに入力するデータ信号を前記第4ポートにそのまま通過させ、前記第5ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第4ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第4ポートから出力する、
ことを特徴とするデータ転送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ転送装置において、
前記スレーブデバイスは、データ信号生成回路と入出力切替回路を備え、
前記データ信号生成回路は、入力ポートと出力ポートを備え、前記入力ポートにスタート信号が入力するまでは前記入力ポートに入力するデータ信号を前記出力ポートにそのまま通過させ、前記入力ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記出力ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記出力ポートから出力し、
前記入出力切替回路は、前記第6ポートに前記正順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第4ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第5ポートに接続し、前記第6ポートに前記逆順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第5ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第4ポートに接続する、
ことを特徴とするデータ転送装置。
【請求項4】
請求項2に記載のデータ転送装置において、
前記スレーブデバイスは、データ信号生成回路と入出力切替回路と第1及び第2の遅延回路とスイッチを備え、
前記データ信号生成回路は、入力ポートと出力ポートを備え、前記入力ポートに入力するスタート信号を検出すると所望のデータ信号を生成して前記出力ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記出力ポートから出力し、
前記入出力切替回路は、前記第6ポートに前記正順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第4ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第5ポートに接続し、前記第6ポートに前記逆順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第5ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第4ポートに接続し、
前記第1の遅延回路は前記入力ポートに接続され、
前記第2の遅延回路は前記出力ポートに接続され、
前記スイッチは前記第1の遅延回路と前記第2の遅延回路の間に接続され、電源投入時にONとなり、前記データ信号生成回路が前記スタート信号を検出するとOFFとなる、
ことを特徴とするデータ転送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジーチェーン接続されたN段(Nは2以上の正の整数)のスレーブデバイスで生成されたそれぞれのデータ信号を時系列的に順次マスターデバイスに取り込むデータ伝送方法及びデータ伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、マスターデバイスとスレーブデバイスは、SPI(Serial Peripheral Interface)やI2C等のインターフェースによって接続される。スレーブデバイスはマスターデバイスからのコマンドを受け取るためにチップセレクトポートやデバイスアドレスを有しており、マスターデバイスに対して複数個のスレーブデバイスを並列に接続することが可能になっている。これらのマスターデバイスと複数個のスレーブデバイスからなるデータ転送装置は特定のスレーブデバイスを選択して直接制御することができるが、配線数が多くなる。
【0003】
一方、ディジーチェーンを利用したデータ伝送装置は、N個のスレーブデバイスをデイジーチェーン接続してマスターデバイスの入力側と出力側の間に接続することにより、配線数の削減と構成の簡素化が可能となっている。マスターデバイスからスタート信号が出力されると、1段目のスレーブデバイスが当該のスレーブデバイスに割り当てられた対象の温度等の物理量を計測したデータ信号を生成する。2段目のスレーブデバイスは、1段目のスレーブデバイスで生成されたデータ信号を入力してそのまま3段目のスレーブデバイスに送る。3段目のスレーブデバイスは2段目のスレーブデバイスから入力したデータ信号をそのまま4段目のスレーブデバイスに送る。それ以降のスレーブデバイスも同様に動作することで、1段目のスレーブデバイスで生成されたデータ信号が最終のN段目のスレーブデバイスからマスターデバイスへ出力される。
【0004】
1段目のスレーブデバイスがデータ信号の出力を完了すると、1段目のスレーブデバイスは2段目のスレーブデバイスを動作させるためのスタート信号を出力する。これにより、2段目のスレーブデバイスが温度等の物理量を計測したデータ信号を生成する。3段目のスレーブデバイスは、2段目のスレーブデバイスで生成されたデータ信号を入力してそのまま4段目のスレーブデバイスに通過させる。更に後段のスレーブデバイスも同様に動作することで、2段目のスレーブデバイスの出力信号が最終のN段目のスレーブデバイスからマスターデバイスへ出力される。
【0005】
以上のデータ信号の生成とスタート信号の生成の動作が各段のスレーブデバイスにおいて繰り返されることで、N個のスレーブデバイスで生成されたN個のデータ信号が時系列的に順次マスターデバイスへ出力される。ディジーチェーン装置については、例えば特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ディジーチェーンを利用したデータ伝送装置では、1段目のスレーブデバイスから最終のN段目のスレーブデバイスにかけて順次データ信号を生成するため、スレーブデバイスが数百乃至数千段にも接続された場合には、マスターデバイスからスタート信号が出力してからスレーブデバイスがデータ信号を出力するまでの待ち時間が、後段のスレーブデバイスほど長くなってしまうという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、スレーブデバイスが数百乃至数千段接続された場合でも、所望の段のスレーブデバイスで生成されたデータ信号の取り込みの待ち時間を少なくできるようにしたデータ伝送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、一方がスタート信号出力用となり他方がデータ信号入力用となる第1ポート及び第2ポートと正順設定信号又は逆順設定信号の出力用の第3ポートを備えるマスターデバイスの前記第1ポートと前記第2ポートの間に、データ信号入出力用の第4ポート及び第5ポートとセレクト信号入力用の第6ポートを有するスレーブデバイスの前記第4ポートと前記第5ポートをN段(Nは2以上の正の整数)にわたってディジーチェーン接続し、1段目のスレーブデバイスの前記第4ポートを前記マスターデバイスの前記第1ポートに接続し、N段目のスレーブデバイスの前記第5ポートを前記マスターデバイスの前記第2ポートに接続し、前記マスターデバイスの前記第3ポートを各スレーブデバイスの第6ポートに共通接続し、前記マスターデバイスの前記第3ポートから正順設定信号が出力するときは、前記スレーブデバイスは、前記第4ポートにスタート信号が入力するまでは前記第4ポートに入力するデータ信号を前記第5ポートにそのまま通過させ、前記第4ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第5ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第5ポートから出力し、前記マスターデバイスの前記第3ポートから逆順設定信号が出力するときは、前記スレーブデバイスは、前記第5ポートにスタート信号が入力するまでは前記第5ポートに入力するデータ信号を前記第4ポートにそのまま通過させ、前記第5ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第4ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第4ポートから出力する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2にかかる発明は、一方がスタート信号出力用となり他方がデータ信号入力用となる第1ポート及び第2ポートと正順設定信号又は逆順設定信号の出力用の第3ポートを備えるマスターデバイスと、データ信号入出力用の第4ポート及び第5ポートと前記第3ポートに接続されるセレクタ信号入力用の第6ポートを有し、前記マスターデバイスの前記第1ポートと前記第2ポートの間に前記第4ポートと前記第5ポートを介してディジーチェーン接続されたN個(Nは2以上の正の整数)のスレーブデバイスと、を備えたデータ転送装置であって、前記スレーブデバイスは、前記第6ポートに前記正順設定信号が入力しているときは、前記第4ポートにスタート信号が入力するまでは前記第4ポートに入力するデータ信号を前記第5ポートにそのまま通過させ、前記第4ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第5ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第5ポートから出力し、前記第6ポートに前記逆順設定信号が入力しているときは、前記第5ポートにスタート信号が入力するまでは前記第5ポートに入力するデータ信号を前記第4ポートにそのまま通過させ、前記第5ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記第4ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記第4ポートから出力する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載のデータ転送装置において、前記スレーブデバイスは、データ信号生成回路と入出力切替回路を備え、前記データ信号生成回路は、入力ポートと出力ポートを備え、前記入力ポートにスタート信号が入力するまでは前記入力ポートに入力するデータ信号を前記出力ポートにそのまま通過させ、前記入力ポートにスタート信号が入力すると所望のデータ信号を生成して前記出力ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記出力ポートから出力し、前記入出力切替回路は、前記第6ポートに前記正順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第4ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第5ポートに接続し、前記第6ポートに前記逆順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第5ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第4ポートに接続する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4にかかる発明は、請求項2に記載のデータ転送装置において、前記スレーブデバイスは、データ信号生成回路と入出力切替回路と第1及び第2の遅延回路とスイッチを備え、前記データ信号生成回路は、入力ポートと出力ポートを備え、前記入力ポートに入力するスタート信号を検出すると所望のデータ信号を生成して前記出力ポートから出力すると共に続けて新たなスタート信号を生成して前記出力ポートから出力し、前記入出力切替回路は、前記第6ポートに前記正順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第4ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第5ポートに接続し、前記第6ポートに前記逆順設定信号が入力しているときは、前記入力ポートを前記第5ポートに接続すると共に前記出力ポートを前記第4ポートに接続し、前記第1の遅延回路は前記入力ポートに接続され、前記第2の遅延回路は前記出力ポートに接続され、前記スイッチは前記第1の遅延回路と前記第2の遅延回路の間に接続され、電源投入時にONとなり、前記データ信号生成回路が前記スタート信号を検出するとOFFとなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1段目のスレーブデバイスからN段目のスレーブデバイスにかけて順次データ信号を生成する正順モードと、N段目のスレーブデバイスから1段目のスレーブデバイスにかけて順次データ信号を生成する逆順モードの一方を、選択することができるので、スレーブデバイスが数百乃至数千段にわたって接続された場合でも、所望の段のスレーブデバイスで生成されたデータ信号の取り込みの待ち時間を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施例のデータ伝送装置の正順モードの信号の流れを示すブロック図である。
【
図2】
図1のデータ伝送装置の正順モードの動作波形図である。
【
図3】
図1のデータ伝送装置のスレーブデバイスの回路図である。
【
図4】
図1のデータ伝送装置のスレーブデバイスの動作のフローチャートである。
【
図5】
図3のスレーブデバイスの温度センサの温度計測回路の回路図である。
【
図7】
図3のスレーブデバイスの温度センサのスタート信号検出回路の回路図である。
【
図8】
図7のスタート信号検出回路の動作波形図である。
【
図9】本実施例のデータ伝送装置の逆順モードの信号の流れを示すブロック図である。
【
図10】
図9のデータ伝送装置の逆順モードの動作波形図である。
【
図11】別の実施例のスレーブデバイスの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施例>
図1にディジーチェーンを利用したデータ伝送装置の接続構成を示す。10はマスターデバイスであり、一方がスタート信号STARTを出力し他方がデータ信号DATAの入力を行うポートP1,P2と、正順モード設定又は逆順モード設定を行うセレクト信号SELの出力用のポートP3を備える。20-1、20-2、・・・、20-NはN段(Nは2以上の正の整数)に縦続接続されたスレーブデバイスであり、スタート信号STARTやデータ信号DATAの入出力を行う入出力ポートP4,P5を介して縦続接続され、セレクト信号SELが入力する入力ポートP6を備える。
【0016】
1段目のスレーブデバイス20-1は、ポートP4がマスターデバイス10のポートP1に接続され、ポートP6がマスターデバイス10のポートP3に接続されている。スレーブデバイス20-2、20-3、・・・、20-N-1は、ポートP4が前段のスレーブデバイスのポートP5に接続され、ポートP5が後段のスレーブデバイスのポートP4に接続され、ポートP6がマスターデバイス10のポートP3に接続されている。N段目のスレーブデバイス20-Nは、ポートP5がマスターデバイス10のポートP2に接続され、ポートP6がマスターデバイス10のポートP3に接続されている。
【0017】
図3に、上記したスレーブデバイス20-1、20-2、・・・、20-Nとして共通使用されるスレーブデバイス20の内部構成を示す。21はデータ信号生成回路としての温度センサであり、入力ポートINにスタート信号STARTが入力したことを検出すると対象物の温度計測を開始し、その計測が完了すると生成したデータ信号DATAを出力ポートOUTから出力し、続けて次段のスレーブデバイスのためのスタート信号STARTを生成して出力ポートOUTから出力する。スタート信号STARTよりもデータ信号DATAが先に入力したときは、そのデータ信号DATAをそのまま通過させて出力ポートOUTから出力する。
【0018】
22は入出力切替回路であり、ポートP6に入力するセレクト信号SELが正順設定を示す“H”になることによって、スイッチSW1,SW2の接点をa側に切り替えて、ポートP4から入力する信号を温度センサ21の入力ポートINに入力させ、温度センサ21の出力ポートOUTから出力する信号をポートP5に出力する。また、ポートP6に入力するセレクト信号SELが逆順設定を示す“L”になることによって、スイッチSW1,SW2の接点をb側に切り替えて、ポートP5から入力する信号を温度センサ21の入力ポートINに入力させ、温度センサ21の出力ポートOUTから出力する信号をポートP4に出力する。
【0019】
図4に温度センサ21の動作のフローチャートを示す。温度センサ21は、入力ポートINに入力したスタート信号STARTが検出され(S1-Y)と温度計測を開始し(S2)、その温度計測が完了する(S3-Y)と出力ポートOUTから計測した値を示すデータ信号DATAを出力し(S4)、続けて次段のスレーブデバイスのためのスタート信号STARTをワンショットマルチ等により生成して同じ出力ポートOUTから出力する(S5)。入力ポートINにスタート信号STARTが入力しないとき(S1-N)は、入力ポートINをスルーするので、データ信号DATAを受信するとそれをそのまま出力ポートOUTに通過させる。
【0020】
図5に温度センサ21の温度計測部211の構成を示す。2111は基準値生成回路であり、固定抵抗R1、キャパシタC1、リセットスイッチSW3、電流がI1の電流源I1、閾値電圧Vth1が設定されたコンパレータCP1、及び反転バッファ回路B1を備える。
【0021】
この基準値生成回路2111では、スタート信号STARTが検出されるとスイッチSW3がON→OFFに切り替わり、電流源I1の電流I1によってキャパシタC1の充電が開始し、その充電電圧Vrが時間経過とともに上昇する。そして、その充電電圧Vrが閾値電圧Vth1を超えると、コンパレータCP1の出力電圧が“H”→“L”に変化し、反転バッファ回路B1の出力電圧Vrrが“L”→“H”に変化する。スイッチSW3は出力電圧Vrrが“H”になった後にONしてキャパシタC1の電荷を放電する。
【0022】
2112は計測信号生成回路であり、温度が高くなるほど抵抗値が小さくなる温度抵抗R2、キャパシタC2(=C1)、リセットスイッチSW4、電流I2の電流源I2(=I1)、閾値電圧Vth2(=Vth1)が設定されたコンパレータCP2、反転バッファ回路B2を備える。
【0023】
この計測値生成回路2112では、スタート信号STARTが検出されるとスイッチSW4がON→OFFに切り替わり、電流源I2の電流I2によってキャパシタC2の充電が開始し、その充電電圧Vsが時間経過とともに上昇する。そして、その充電電圧Vsが閾値電圧Vth2を超えると、コンパレータCP2の出力電圧が“H”→“L”に変化し、反転バッファ回路B2の出力電圧Vssが“L”→“H”に変化する。スイッチSW4は出力電圧Vssが“H”になった後にONしてキャパシタC2の電荷を放電する。
【0024】
2113はTDC(Time to Digital Converter)回路であり、反転バッファ回路B1の出力電圧Vrrの立上りタイミングから反転バッファ回路B2の出力電圧Vssの立上りタイミングまでの時間を高分解能のデジタルシリアル信号に変換した温度計測結果のデータ信号DATAを作成する。
【0025】
図6に
図5で説明した温度センサ21の温度計測回路211の動作波形を示す。スタート信号STARTが時刻taにおいて検出されると、スイッチSW3,SW4は同時にON→OFFに切り替わり、同時に電流I1,I2によるキャパシタC1,C2への充電が開始される。
【0026】
固定抵抗R1の抵抗値は温度抵抗R2の抵抗値に比べて高い値に設定されている。このため、キャパシタC1への充電電流がキャパシタC2への充電電流よりも多くなって、電圧Vrは電圧Vsよりも立上り傾斜が大きくなり、時刻tbで電圧Vrが閾値電圧Vth1を超える。このため、電圧Vrrはその時刻tbで“L”→“H”に変化する。
【0027】
一方、電圧Vsは、温度が低いときは温度抵抗R2の抵抗値が大きくなるので、キャパシタC2への充電電流が多くなり、例えば時刻tcで閾値電圧Vth2を超えて電圧Vssが“L”→“H”に変化する。温度が高いときは温度抵抗R2の抵抗値が小さくなるので、キャパシタC2への充電電流が少なくなり、例えば時刻tdで閾値電圧Vth2を超えて電圧Vssが“L”→“H”に変化する。
【0028】
したがって、温度が低いときは時刻tb~tcまでの時間T1がTDC回路2113によってデータ信号DATAに変換され、温度が高いときは時刻tb~tdまでの時間T2がデータ信号DATAに変換されることになる。このようにして温度センサ21は計測したシリアルのデータ信号DATAを出力ポートOUTから出力する。
【0029】
図7にスタート信号検出回路212を示す。入力ポートINAは温度センサ21の入力ポートINに接続され、出力ポートTRGの信号は
図5で説明した温度計測回路211のスイッチSW3,SW4の制御用となる。B3~B10は反転バッファ回路、2121は抵抗R3とキャパシタC3で構成される積分回路、2122はDFF回路、2123はORゲートである。
【0030】
このスタート信号検出回路212は、入力ポートINAにスタート信号STARTが入力すると、積分回路2121で積分されたノードN1の電圧を反転した電圧が反転インバータB10から出力する。
【0031】
このとき、スタート信号STARTが
図8(a)に示すように規定のパルス幅の場合は、ノードN1の電圧が反転バッファ回路B10の閾値VTh10に到達しないので、反転バッファ回路B10の出力電圧は“L”のままであり、スタート信号STARTが立ち下がるとき、反転バッファ回路B9の出力電圧でCK端子が“H”になっても、DFF回路2122のQ端子の電圧STOPは“L”のままとなる。ORゲート2123には、スタート信号STARTを反転バッファ回路B3~B8によりΔtだけ遅延した信号INBが“L”として入力するので、ORゲート2123の出力ポートTRGの信号が“L”になる。TRG=“L”は、スタート信号STARTを検出した信号であり、温度計測回路211のスイッチSW3,SW4をOFFさせる。
【0032】
一方、スタート信号STARTが
図8(b)に示すように規定のパルス幅よりも長い場合は、ノードN1の電圧が反転バッファ回路B10の閾値電圧Vth10よりも低下するので、反転バッファ回路B10の出力電圧は“H”になり、反転バッファ回路B9の出力電圧でCK端子が“H”になったとき、DFF回路2122のQ端子の電圧STOPは“H”になる。ORゲート2123には、スタート信号STARTを反転バッファ回路B3~B8によりΔtだけ遅延した信号INBが“L”として入力するが、ORゲート2123の出力ポートTRGの信号は“H”から変化しない。つまり、正規のスタート信号STARTは検出されない。
【0033】
さて、マスターデバイス10が、そのポートP3からセレクト信号SELとして正順設定を示す“H”を出力したときは、スレーブデバイス20-1、20-2、・・・、20-Nの入出力切替回路22のスイッチSW1,SW2の接点がa側に切り替えられる。このときは、
図1に示すような信号の流れとなり、
図2に示すように、ポートP1からスタート信号STARTを出力すると、スレーブデバイス20-1のポートP4に入力する。
【0034】
よって、スレーブデバイス20-1の温度センサ21のスイッチSW3,SW4が、スタート信号STARTが立ち下がる時刻t2(=ta)でOFFになって、温度計測が開始される。そして、時刻t3において温度計測が完了すると、生成されたデータ信号DATA1が温度センサ21の出力ポートOUTから入出力切替回路22を経由してポートP5から時刻t4までの期間だけシリアルに出力する。このデータ信号DATA1は、スレーブデバイス20-2、・・・、20-Nをそのまま通過して、マスターデバイス10のポートP2に入力する。また、温度センサ21では、このデータ信号DATA1に続いて、時刻t5~t6の間にスタート信号STARTが生成されて、出力ポートOUTから入出力切替回路22を経由して、スレーブデバイス20-1のポートP5から出力する。
【0035】
スレーブデバイス20-2は、スレーブデバイス20-1から出力されたスタート信号STARTがポートP4に入力することで、スレーブデバイス20-1と同様に温度計測を行って、データ信号DATA2を出力する。このデータ信号DATA2は、スレーブデバイス20-3、・・・、20-Nをそのまま通過して、マスターデバイス10のポートP2に入力する。また、このデータ信号DATA2に続いて、スタート信号STARTが同様に温度センサ21の出力ポートOUTから入出力切替回路22を経由してポートP5から出力する。
【0036】
以下同様にして、スレーブデバイス20-3、・・・、20-Nおいて、順次温度の計測結果を示すデータ信号DATA3、・・・、DATANが生成されて、マスターデバイス10のポートP2に入力することで、N段のスレーブデバイス20-1、20-2、・・・、20-Nで計測されたN個の温度計測データ信号DATA1、・・・、DATANが順次マスターデバイス10に取り込まれる。最終段のスレーブデバイス20-Nから出力してマスターデバイス10のポートP2に入力するスタート信号STARTは、マスターデバイス10で無視される。
【0037】
以上から、スレーブデバイス20-1、20-2、・・・、20-Nを伸ばして、例えば人体の所要の体内に挿入しておけば、当該所要の体内の温度分布を得ることができる。
【0038】
次に、マスターデバイス10が、そのポートP3からセレクト信号SELとして逆順設定を示す“L”を出力したときは、スレーブデバイス20-1、20-2、・・・、20-Nの入出力切替回路22のスイッチSW1,SW2の接点がb側に切り替えられる。このときは、
図9に示すような信号と流れとなり、
図10に示すように、マスターデバイス10のポートP2からスタート信号STARTが出力し、スレーブデバイス20-NのポートP5に入力する。
【0039】
よって、スレーブデバイス20-Nの温度センサ21のスイッチSW3,SW4がスタート信号STARTが立ち下がる時刻t22(=ta)でOFFになって温度計測が開始される。そして、時刻t23において温度計測が完了すると、生成されたデータ信号DATANが温度センサ21の出力ポートOUTから入出力切替回路22を経由してポートP4から時刻t24までの期間だけシリアルに出力する。このデータ信号DATANは、スレーブデバイス20-N-1、・・・、20-1をそのまま通過して、マスターデバイス10のポートP1に入力する。また、このデータ信号DATANに続いて、時刻t25~t26の間にスタート信号STARTが同様に温度センサ21の出力ポートOUTから入出力切替回路22を経由して、ポートP4から出力する。
【0040】
スレーブデバイス20-N-1は、スレーブデバイス20-Nから出力されたスタート信号STARTがポートP5に入力することで、スレーブデバイス20-Nと同様に温度計測を行って、データ信号DATAN-1を出力する。このデータ信号DATAN-1は、スレーブデバイス20-N-2、・・・、20-1をそのまま通過して、マスターデバイス10のポートP1に入力する。また、このデータ信号DATAN-1に続いて、スタート信号STARTが同様に温度センサ21の出力ポートOUTから入出力切替回路22を経由してポートP4から出力する。
【0041】
以下同様にして、スレーブデバイス20-N-2、・・・、20-1おいて、順次温度の計測結果を示すデータ信号DATAN-2、・・・、DATA1が生成されて、マスターデバイス10のポートP1に入力することで、N段のスレーブデバイス20-N、20-N-1、・・・、20-1で計測されたN個の温度計測データ信号DATAN-2、・・・、DATA1が順次マスタスレーブ10に取り込まれる。初段のスレーブデバイス20-1から出力してマスターデバイス10のポートP1に入力するスタート信号STARTは無視される。
【0042】
以上から、スレーブデバイス20-1、20-2、・・・、20-Nを伸ばして、例えば人体の所要の体内に挿入しておけば、当該所要の体内の温度分布を
図1、
図2で説明した場合と逆並びのデータ信号として得ることができる。
【0043】
以上のように、セレクト信号SELを“H”に設定すれば、スレーブデバイス20-1、20-2、・・・、20-Nの順(正順)で計測した温度のデータ信号DATA1、DATA2、・・・、DATANがマスターデバイス10に順次取り込まれる。また、セレクト信号SELを“L”に設定すれば、スレーブデバイス20-N、20-N-1、・・・、20-1の順(逆順)で計測した温度のデータ信号DATAN、DATAN-1、・・・、DATA1がマスターデバイス10に順次取り込まれる。
【0044】
したがって、初段から中段にかけてのスレーブデバイスで計測したデータ信号を早期に取り込む必要があるときは、セレクト信号SELを“H”に設定すればよく、終段から中段にかけてのスレーブデバイスで計測したデータ信号を早期に取り込む必要があるときは、セレクト信号SELを“L”に設定すればよい。以上から、スレーブデバイスが数百乃至数千段接続された場合でも、所望の段で計測されたデータ信号を取得するまでの待ち時間を少なくできる利点がある。
【0045】
<別の実施例>
図11に別の実施例のスレーブデバイス20Aの構成を示す。
図3の構成のスレーブデバイス20では
図4で説明したように、前段のスレーブデバイスからデータ信号DATAが到来するとそのまま温度センサ21内をスルーするようにしていたが、
図11では温度センサ21Aにデータ信号DATAスルー用の経路を設けず、スイッチSW5でデータDATAスルー用の経路を実現している。
図11のスレーブデバイス20Aは、ポートP4に双方向で同じ遅延時間の遅延回路23を接続し、ポートP5にも同様に双方向で同じ遅延時間の遅延回路24を接続し、遅延回路23,24の間にスイッチSW5を接続している。
【0046】
スイッチSW5は電源投入でONになり、温度センサ21A内のスタート信号検出回路212によってスタート信号STARTの終端が検出されると、OFFになるように制御される。
【0047】
この結果、例えばポートP4からスタート信号STARTが入力したとき、温度センサ21A内の
図7で説明したスタート信号検出回路212でそのスタート信号STARTの終端が検知されるとスイッチSW5がOFFになるので、スタート信号STARTの到来からスイッチSW5がOFFするまでの時間よりも長い時間、つまりスタート信号STARTのパルス幅の時間よりも長い遅延時間を遅延回路23に設定しておけば、ポートP4に入力したスタート信号STARTがスイッチSW5を経由して当該のスレーブデバイスの後段のスレーブデバイスにスルーすることが阻止される。
【0048】
ポートP5からスタート信号STARTが入力したときは、当該のスレーブデバイスでスタート信号STARTが検出されたときは、スタート信号STARTが遅延回路24から出力する前にスイッチSW5がOFFになって、当該のスレーブデバイスの前段のスレーブデバイスにスルーすることが阻止される。
【0049】
以上から、データ信号DATAのスルー用にスイッチSW5を設けていても、当該のスレーブデバイスに入力したスタート信号STARTは当該のスレーブデバイスのみで処理され、隣接するスレーブデバイスにスルーすることはない。
【符号の説明】
【0050】
10:マスターデバイス
20,20A,20-1,・・・,20-N:スレーブデバイス
21,21A:温度センサ、211:温度計測回路、2111:基準値生成回路、2112:計測値生成回路、2113:TDC回路、212:スタート信号検出回路
22:入出力切替回路
23,24:遅延回路