(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】自律走行体装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230222BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2019033217
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】上田 穣
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045598(JP,A)
【文献】特開2018-007908(JP,A)
【文献】特開2017-158806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行体と、
この自律走行体が帰還する基地装置とを具備し、
前記基地装置は、無線信号を受信可能であるとともに無線信号を所定時間毎に送信可能な通信部を備え、
前記自律走行体は、
本体ケースと、
この本体ケースを走行可能とする走行駆動部と、
この走行駆動部の動作を制御することで前記本体ケースを自律走行させる制御手段と、
無線信号を送受信可能な無線通信部とを備え、
前記制御手段は、前記通信部から送信された無線信号に基づいて、前記自律走行体を前記基地装置に対して所定距離まで接近させるように前記走行駆動部の動作を制御する接近制御モードと、前記基地装置に対して前記所定距離まで接近した前記自律走行体を前記基地装置に帰還させるように前記走行駆動部の動作を制御する帰還制御モードとを備え、
前記無線通信部は、前記制御手段が接近制御モードのときに第1の要求無線信号を送信し、前記制御手段が帰還制御モードのときに前記第1の要求無線信号と異なる第2の要求無線信号を送信し、
前記通信部は、前記第1の要求無線信号を受信したときに
は、複数種類の異なる無線信号を順次送信し、前記第2の要求無線信号を受信したときに
は、前記第1の要求無線信号を受信したときよりも少ない種類の無線信号を送信
し、前記無線信号に含まれる前記自律走行体を前記基地装置へと誘導する誘導信号の送信頻度が前記第1の要求無線信号を受信したときよりも高い
ことを特徴とした自律走行体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自律走行体と、この自律走行体が帰還する基地装置とを備える自律走行体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばセンサなどを用いて障害物などを検出しつつ、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する、いわゆる自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット)が知られている。一般に、このような電気掃除機は、掃除が終了すると、内蔵している二次電池を充電するために充電装置に自律帰還(帰巣)するように制御される。そこで、充電装置から赤外線などの誘導信号を出力して、電気掃除機を充電装置へと誘導する。
【0003】
このような誘導の際には、電気掃除機からリクエスト信号を送信し、このリクエスト信号を受信した充電装置から誘導信号を返信して、この誘導信号を受信した電気掃除機がこの誘導信号の誘導にしたがって所定距離走行した後、再度リクエスト信号を送信し、…という動作を繰り返しながら、電気掃除機が充電装置の正面に対して所定距離の位置まで接近した後、この位置から充電装置に向かって直進して充電装置に帰還する。そして、電気掃除機の二次電池の充電などのために電気掃除機を充電装置に接続するに当たり、この電気掃除機の充電装置への帰還の精度をより向上することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2007-520012号公報
【文献】特開2004-275716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、自律走行体の基地装置への帰還の精度を向上できる自律走行体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の自律走行体装置は、自律走行体と、この自律走行体が帰還する基地装置とを有する。この基地装置は、無線信号を受信可能であるとともに無線信号を所定時間毎に送信可能な通信部を備える。自律走行体は、本体ケースと、走行駆動部と、制御手段と、無線通信部とを備える。走行駆動部は、本体ケースを走行可能とする。制御手段は、走行駆動部の動作を制御することで本体ケースを自律走行させる。無線通信部は、無線信号を送受信可能である。そして、制御手段は、接近制御モードと、帰還制御モードとを備える。接近制御モードでは、制御手段は、通信部から送信された無線信号に基づいて、自律走行体を基地装置に対して所定距離まで接近させるように走行駆動部の動作を制御する。帰還制御モードでは、制御手段は、基地装置に対して所定距離まで接近した自律走行体を基地装置に帰還させるように走行駆動部の動作を制御する。無線通信部は、制御手段が接近制御モードのときに第1の要求無線信号を送信する。また、この無線通信部は、制御手段が帰還制御モードのときに第1の要求無線信号と異なる第2の要求無線信号を送信する。通信部は、第1の要求無線信号を受信したときには、複数種類の異なる無線信号を順次送信する。また、この通信部は、第2の要求無線信号を受信したときには、第1の要求無線信号を受信したときよりも少ない種類の無線信号を送信し、無線信号に含まれる自律走行体を基地装置へと誘導する誘導信号の送信頻度が第1の要求無線信号を受信したときよりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)は第1の実施形態の自律走行体装置の自律走行体の内部構造を示すブロック図、(b)は自律走行体装置の基地装置の内部構造を示すブロック図である。
【
図3】同上自律走行体を下方から示す平面図である。
【
図4】同上自律走行体装置の自律走行体が基地装置に接近するときの動作を模式的に示す平面図である。
【
図5】同上自律走行体装置の自律走行体が基地装置に接近するときの自律走行体と基地装置との無線信号の送受信シーケンスを模式的に示す説明図である。
【
図6】同上自律走行体装置の自律走行体が基地装置に帰還するときの動作を模式的に示す平面図である。
【
図7】同上自律走行体装置の自律走行体が基地装置に帰還するときの自律走行体と基地装置との無線信号の送受信シーケンスを模式的に示す説明図である。
【
図8】同上自律走行体装置の自律走行体が基地装置に帰還した状態を示す斜視図である。
【
図9】第2の実施形態の自律走行体装置の自律走行体が基地装置に帰還するときの自律走行体と基地装置との無線信号の送受信シーケンスを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0009】
図2において、10は自律走行体装置としての掃除装置である電気掃除装置(電気掃除システム)を示し、この電気掃除装置10は、自律走行体としての電気掃除機11と、この電気掃除機11に捕集した塵埃を除去する基地装置としてのダストステーション12とを備えている。
【0010】
図1ないし
図3において、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。この電気掃除機11は、中空状の本体ケース20と、この本体ケース20を床面上で走行させる走行部21と、床面などの塵埃を掃除する掃除部22と、無線通信部23と、センサ部26と、走行部21、掃除部22、無線通信部23およびセンサ部26を制御する制御手段(制御部)27と、これら走行部21、掃除部22、無線通信部23、センサ部26および制御手段27などに給電する本体電源部としての二次電池28とを備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図3などに示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0011】
本体ケース20は、例えば合成樹脂などにより扁平な円柱状(円盤状)などに形成されており、床面に対向する下部である下面30に集塵口である吸込口31、排気口32、および、塵埃排出口33がそれぞれ開口されている。
【0012】
走行部21は、複数(一対)の走行駆動部としての駆動輪34,34、これら駆動輪34,34を駆動させる動作部としての駆動手段であるモータ35,35、および、旋回用の旋回輪36などを備えている。
【0013】
各駆動輪34は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものであり、左右幅方向に沿って図示しない回転軸を有し、吸込口31の前方両側の位置にて幅方向に対称に配置されている。したがって、これら駆動輪34,34により、電気掃除機11(本体ケース20)が自律走行可能となっている。なお、これら駆動輪34は、無限軌道などでもよい。
【0014】
各モータ35は、例えば駆動輪34のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪34を独立して駆動させることが可能となっている。
【0015】
旋回輪36は、本体ケース20の下面30の幅方向の略中央部で、かつ、前部に位置しており、床面に沿って旋回可能な従動輪である。
【0016】
掃除部22は、例えば本体ケース20内に位置して塵埃を吸込口31から空気とともに吸い込み排気口32から排気する電動送風機41、吸込口31に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ42およびこの回転ブラシ42を回転駆動させるブラシモータ43、本体ケース20の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段(補助掃除部)であるサイドブラシ44およびこのサイドブラシ44を駆動させるサイドブラシモータ45、および、吸込口31と連通して塵埃を溜める集塵部(ダストカップ)46などを備えている。そして、電動送風機41、ブラシモータ43およびサイドブラシモータ45は、それぞれ二次電池28からの給電により駆動され、制御手段27によって動作が制御される。なお、掃除部22は、電動送風機41と、回転ブラシ42およびブラシモータ43と、サイドブラシ44およびサイドブラシモータ45との少なくともいずれかを備えていればよい。
【0017】
集塵部46は、本体ケース20に対して着脱可能な集塵カップであり、例えば本体ケース20の後部に位置している。この集塵部46は、吸込口31と連通している。また、この集塵部46は、本実施形態では電動送風機41の吸込側と連通しており、電動送風機41の駆動により生じる負圧によって吸込口31から空気とともに吸い込んだ塵埃を内部に溜めるようになっている。さらに、この集塵部46は、塵埃排出口33と連通している。さらに、この集塵部46内には、通過する空気中に含まれる塵埃が電動送風機41へと吸い込まれないようにするための図示しないフィルタ部が配置されていてもよい。
【0018】
塵埃排出口33は、本体ケース20の下面30に位置し、床面に対向して開口されている。この塵埃排出口33は、四角形状に形成され、例えば本体ケース20の左右方向の中央部で、かつ、本体ケース20の後端部近傍に位置している。また、この塵埃排出口33は、シャッタである蓋体52により開閉可能となっている。この蓋体52は、本体ケース20に回動可能に軸支され、回動により塵埃排出口33を開閉するように構成されている。また、この本体ケース20は、本体ケース20の下面30に露出し、蓋体付勢手段としてのコイルばね(図示せず)により上方、すなわち塵埃排出口33を閉塞する方向に付勢されている。また、この蓋体52には、この蓋体52を開く際に引っ掛けられる引っ掛け溝部54が左右方向に延びて形成されている。
【0019】
無線通信部23は、ダストステーション12に対して帰還する際の要求無線信号(要求赤外線信号)であるリクエスト信号を送信する赤外線発光素子などの信号送信部55、および、ダストステーション12からの走行用無線信号(走行用赤外線信号)としての誘導信号および距離設定信号としての衝突防止信号などを受信するフォトトランジスタなどの例えば左右一対の信号受信部56L,56Rなどを備え、無線信号(赤外線信号)をダストステーション12との間で送受信可能となっている。
【0020】
信号送信部55は、ダストステーション12などへと赤外線などの信号を送信(出力)するものであり、例えば本体ケース20の前側上部に配置されている。
【0021】
信号受信部56L,56Rは、ダストステーション12から発光された赤外線などを検出することでダストステーション12の位置を推定するためのものであり、例えば本体ケース20の外周部前部の左右方向に離間された位置に配置されている。
【0022】
また、センサ部26は、例えば本体ケース20の周囲の物理的あるいは仮想的な物体の存否を検出する障害物検出手段(障害物検出部)である物体検出手段(物体検出部)57、および、床面の段差などを検出する段差検出手段(段差検出部)58などを備えている。
【0023】
物体検出手段57は、例えば超音波センサおよび赤外線センサなどを備えており、所定距離以内に位置する物体(障害物)を検出可能となっている。
【0024】
段差検出手段58は、例えば赤外線センサなどであり、電気掃除機11(本体ケース20)の下部と床面との間の距離を検出することで、床面の段差を検出可能となっている。
【0025】
制御手段27は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPU、このCPUによって読み出されるプログラムなどの固定的なデータを格納した格納部であるROM、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの各種メモリエリアを動的に形成するエリア格納部であるRAM(それぞれ図示せず)などを備えたマイコンである。さらに、この制御手段27は、本実施形態では、センサ部26による検出結果に基づいて自律走行する走行モード(センサ部26による検出結果に基づいて自律走行しながら掃除部22により掃除をする掃除モード)と、ダストステーション12に帰還するための帰還モードと、動作待機中の待機モードとを備えている。なお、本実施形態では、この制御手段27は、二次電池28を充電する充電モードと、集塵部46からの塵埃をダストステーション12へと移送する移送モードとをさらに備えているが、これらのモードの少なくともいずれかは必須ではない。そして、この制御手段27は、掃除部22(電動送風機41、ブラシモータ43、および、サイドブラシモータ45)、無線通信部23、および、センサ部26などの動作を制御している。したがって、この制御手段27は、掃除制御手段(掃除制御部)、無線通信部制御手段(無線通信部制御部)、および、センサ部制御手段(センサ部制御部)の機能をそれぞれ有している。また、この制御手段27は、無線通信部23(信号送信部55)からリクエスト信号を送信するための制御信号を生成する。すなわち、この制御手段27は、信号生成部の機能を有している。
【0026】
また、この制御手段27の走行モードには、例えば電気掃除機11(本体ケース20)を直線状に走行させた後、センサ部26により前方に壁などの障害物を検出すると電気掃除機11(本体ケース20)を所定の角度範囲内でランダムな角度に旋回させ、さらに直線状に走行させるという動作を繰り返すように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御するランダム走行制御や、電気掃除機11(本体ケース20)を壁などの障害物に対して一定の距離を保ちつつこの障害物に沿って走行させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御する壁沿い走行制御などの複数の走行制御モードが含まれていてもよい。
【0027】
さらに、この制御手段27の帰還モードには、接近制御モードと、帰還制御モードとが含まれている。接近制御モードにおいて、制御手段27は、ダストステーション12側から送信された無線信号(赤外線信号)に基づいて、電気掃除機11(本体ケース20)をダストステーション12に対して所定距離、例えば30cm~50cm程度まで接近させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御するとともに、無線通信部23(信号送信部55)から第1のリクエスト信号を送信させるように制御する。また、帰還制御モードにおいて、制御手段27は、ダストステーション12に対して所定距離まで接近した電気掃除機11(本体ケース20)をダストステーション12に帰還および接続させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御するとともに、無線通信部23(信号送信部55)から第1のリクエスト信号と異なる第2のリクエスト信号を送信させるように制御する。
【0028】
二次電池28は、例えば本体ケース20の下面30の後部にて塵埃排出口33の両側に対して離間された位置に露出する接続部としての充電端子59,59と電気的に接続されており、これら充電端子59,59がダストステーション12側と電気的および機械的に接続されることで充電されるようになっている。
【0029】
一方、ダストステーション12は、本実施形態では電気掃除機11の出発および帰還用のものであり、部屋を区画する壁部の近傍など、掃除の妨げにならない位置に配置されている。このダストステーション12は、ケース体61、吸込手段(吸込装置)としての電動送風機62、塵埃収容部(ダストボックス)63、電気掃除機11と無線信号(赤外線信号)を送受信する通信部64、および、基地装置制御手段(基地装置制御部)としてのステーション制御部66と、図示しない商用交流電源などの外部電源からこれら電動送風機62およびステーション制御部66などに給電するためのステーション電源部である電源コード67とを備えている。なお、本実施形態では、このダストステーション12に電気掃除機11の二次電池28の充電機能を有するため、ケース体61には、さらに定電流回路などの二次電池28の充電用の充電回路68が収容されているとともに、この充電回路68と電気的に接続され電気掃除機11の充電端子59,59と電気的および機械的に接続可能な充電用端子69,69が配置されているが、充電機能を備えないダストステーション12とする場合には、充電回路68や充電用端子69,69は不要である。以下、電気掃除機11がダストステーション12に接続されるとは、ダストステーション12に対して電気掃除機11が所定位置に固定され、塵埃排出口33(吸込口31)と後述する塵埃吸込口74とが気密に接続されて、電気掃除機11(集塵部46)からダストステーション12(塵埃収容部63)へと塵埃を移送可能な状態となることをいうものとする。
【0030】
ケース体61は、例えば合成樹脂などにより形成されており、電動送風機62、塵埃収容部63、通信部64、ステーション制御部66および充電回路68などを備える本体部71と、この本体部71の下部から突出する載置部72とを一体に備えている。
【0031】
本体部71は、床面に対して立ち上がる上下方向に沿って形成されている。
【0032】
載置部72は、床面に沿って板状に延びる部分である。この載置部72には、充電用端子69,69が互いに幅方向に離間されて配置されているとともに、これら充電用端子69,69間の中央部に、(第1)基地装置吸込口(ステーション吸込口)としての塵埃吸込口74が開口されている。なお、この載置部72には、例えばモップなどのダストコントロール製品により掻き集めた塵埃を吸い込むための(第2)基地装置吸込口(ステーション吸込口)としての側部塵埃吸込口を塵埃吸込口74とは別個に備えていてもよい。
【0033】
塵埃吸込口74は、塵埃収容部63と連通しているとともに、電気掃除機11がダストステーション12に接続された状態で電気掃除機11の塵埃排出口33と連通するものである。この塵埃吸込口74は、例えば四角形状に形成されている。また、この塵埃吸込口74の内部には、電気掃除機11がダストステーション12に対して着脱されるに伴い蓋体52を開閉するための蓋体開閉部としての引っ掛け部75が突設されている。さらに、この塵埃吸込口74は、図示しないダクト部を介して塵埃収容部63と気密に接続されている。なお、載置部72に上記の側部塵埃吸込口を備える場合、このダクト部は、塵埃吸込口74と側部塵埃吸込口とのいずれか一方と連通するように切換弁などの切換手段(切換部)によって切り換えられる構成とすることができる。
【0034】
引っ掛け部75は、ダストステーション12のケース体61に上下方向に回動可能に軸支されている。また、この引っ掛け部75は、引っ掛け付勢手段としてのコイルばね(図示せず)により上方に付勢されている。そして、この引っ掛け部75は、電気掃除機11がダストステーション12へと接近するに従って蓋体52の引っ掛け溝部54に先端部が挿入され、電気掃除機11がダストステーション12にさらに接近することで電気掃除機11側に押圧されることにより下方に回動されて、充電用端子69,69に充電端子59,59と接続される位置となるまでに蓋体52を下方へと開き、塵埃排出口33を露出させるものである。
【0035】
電動送風機62は、塵埃吸込口74を介して塵埃を塵埃収容部63へと空気とともに吸い込むとともに、塵埃が捕集された空気を、ケース体61に設けられた図示しない排気開口から排気するように構成されている。
【0036】
塵埃収容部63は、ケース体61に対して着脱可能で、電気掃除機11の集塵部46内に溜められた塵埃を内部に移送して収容する集塵ボックスである。この塵埃収容部63には、(ダクト部を介して)塵埃吸込口74と連通する図示しない連通開口が開口されているとともに、電動送風機62の吸込側と連通する図示しない排気開口が前後方向に沿って連通開口とは別個に開口されており、電動送風機62の駆動により空気とともに塵埃吸込口74から吸い込んだ塵埃を内部に溜めるようになっている。また、この塵埃収容部63内には、通過する空気中に含まれる塵埃が電動送風機62へと吸い込まれないようにするための図示しないフィルタ体が配置されている。
【0037】
通信部64は、基地装置信号受信部としてのステーション信号受信部77と、基地装置信号送信部としての誘導信号送信部78L,78Rと、距離設定信号送信部としての衝突防止信号送信部79とを備えている。
【0038】
ステーション信号受信部77は、例えば本体部71にて載置部72の上方の位置に設けられている。そして、このステーション信号受信部77が電気掃除機11からのリクエスト信号を受信することで、誘導信号送信部78L,78Rから(一方および他方の)走行用無線信号である(一方および他方の)誘導信号BL,BRが送信されるとともに衝突防止信号送信部79から衝突防止信号SSが送信されるようになっている。
【0039】
誘導信号送信部78L,78Rは、例えば本体部71にて載置部72およびステーション信号受信部77の上方の位置に左右に離間されて設けられている。これら誘導信号送信部78L,78Rは、電気掃除機11(本体ケース20)をダストステーション12に向かって接近させるための誘導信号BL,BRを、比較的狭い指向性で長円(楕円)形状に出力するようになっている。例えば、この誘導信号送信部78L,78Rは、本実施形態では一対設けられ、誘導信号BL,BRの一部同士が互いに重なるように出力可能となっている(
図4)。
【0040】
衝突防止信号送信部79は、例えば本体部71にて載置部72およびステーション信号受信部77の上方の位置に設けられている。この衝突防止信号送信部79は、電気掃除機11(本体ケース20)とダストステーション12(ケース体61)との衝突(接触)を防止するための衝突防止信号SSを、比較的広い指向性で円形状(半円形状)に出力するようになっている。すなわち、この衝突防止信号送信部79から出力される衝突防止信号SSは、誘導信号BL,BRよりも到達距離が短く設定されており、ダストステーション12(本体部71(衝突防止信号送信部79))から所定距離、例えば30cm~50cm以内の範囲に出力される。この衝突防止信号SSの範囲内には、ダストステーション12(ケース体61)が含まれる。そして、この衝突防止信号SSをセンサ部26で検出した場合、電気掃除機11の制御手段27は、衝突防止信号SSを擬似的な壁などの障害物であると判断し、この衝突防止信号SSを回避するように、すなわちダストステーション12を回避するように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御する。
【0041】
ステーション制御部66は、例えばマイコンなどであり、電動送風機62、通信部64(ステーション信号受信部77、誘導信号送信部78L,78Rおよび衝突防止信号送信部79)、および、充電回路68などの動作をそれぞれ制御するものである。このステーション制御部66には、例えば電気掃除機11の制御手段27の走行モードに対応し電動送風機62を動作させずに通信部64の衝突防止信号送信部79のみを動作させる衝突防止モードと、電気掃除機11の制御手段27の帰還モードに対応し電動送風機62を動作させずに通信部64の少なくとも一部を動作させる誘導モードと、各部の動作を停止する待機モードとを備えている。なお、本実施形態では、ステーション制御部66は、電気掃除機11の制御手段27の充電モードに対応し充電回路68を動作させて二次電池28を充電する充電モードと、電気掃除機11の制御手段27の移送モードに対応し電動送風機62を動作させて電気掃除機11の集塵部46内の塵埃を塵埃収容部63へと移送する移送モードとをさらに備えているが、これらのモードは必須ではない。また、このステーション制御部66は、通信部64から送信する無線信号を生成するための制御信号を生成する基地装置信号生成部の機能を有している。
【0042】
このステーション制御部66の誘導モードには、制御手段27の接近制御モードに対応する第1の誘導制御モードと、制御手段27の帰還制御モードに対応する第2の誘導制御モードとが含まれている。第1の誘導制御モードにおいて、ステーション制御部66は、誘導信号BL、誘導信号BR、および、衝突防止信号SSを無線信号(赤外線信号)の所定のフォーマットにより予め設定された所定時間毎に順次出力するように通信部64(誘導信号送信部78L、誘導信号送信部78R、および、衝突防止信号送信部79)の動作を制御する。また、第2の誘導制御モードにおいて、ステーション制御部66は、誘導信号BLと誘導信号BRとのいずれか、本実施形態では誘導信号BLのみを出力するように通信部64(誘導信号送信部78Lと誘導信号送信部78Rとのいずれか)の動作を制御する。本実施形態において、電気掃除機11とダストステーション12との間で送受信される無線信号(赤外線信号)には、例えばNECフォーマットなどの所定のフォーマットが用いられる。そのため、誘導モードにおいて、各信号は所定時間T(例えば108msec)毎に出力される。
【0043】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0044】
電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、リモコンなどから掃除開始の指令を受け取ったときなどの所定のタイミングで、制御手段27が待機モードから走行モードに切り換わり、走行部21を駆動させダストステーション12から離脱する。この後、ダストステーション12では、ステーション制御部66が衝突防止モードに切り換わり、衝突防止信号送信部79から衝突防止信号SSを出力する。そして、制御手段27は、センサ部26の物体検出手段57および段差検出手段58からの検出に対応してモータ35,35(駆動輪34,34)を駆動させ、障害物や段差などを回避しながら電気掃除機11(本体ケース20)を掃除領域内の床面上を隅々まで走行させつつ、掃除部22を駆動させて床面の塵埃を掃除して集塵部46に捕集する。
【0045】
このとき、制御手段27により(ブラシモータ43を介して)回転された回転ブラシ42が床面の塵埃を掻き取る。そして、電動送風機41の駆動により吸込口31に作用した負圧によって、床面上の塵埃、および、回転ブラシ42により掻き取った塵埃が空気とともに集塵部46へと吸い込まれ、この集塵部46へと溜められる。この集塵部46内に塵埃が溜められた空気は、フィルタ部を経由して電動送風機41へと吸い込まれ、この電動送風機41を冷却した後、排気口32から電気掃除機11の外部へと排気される。なお、電動送風機41を備えない構成とする場合には、回転ブラシ42により掻き取った塵埃を、この回転ブラシ42の回転によって集塵部46へと掻き上げて集塵部46内に溜めるようにしてもよい。
【0046】
掃除が終了したり、二次電池28の残量が所定以下となったりした場合には、制御手段27は電気掃除機11(本体ケース20)をダストステーション12に帰還させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御する。この帰還の際には、概略として、制御手段27が接近制御モードに切り換わるとともにステーション制御部66が第1の誘導制御モードに切り換わることで電気掃除機11(本体ケース20)をダストステーション12に対して接近させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御する接近制御シーケンスと、制御手段27が帰還制御モードに切り換わるとともにステーション制御部66が第2の誘導制御モードに切り換わることで電気掃除機11(本体ケース20)をダストステーション12に対して帰還および接続させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御する帰還制御シーケンスとが設定される。
【0047】
具体的に、接近制御シーケンスにおいて、接近制御モードとなった制御手段27は、無線通信部23(信号送信部55)から第1のリクエスト信号を送信させる。このとき、制御手段27は、掃除部22(電動送風機41、回転ブラシ42(ブラシモータ43)およびサイドブラシ44(サイドブラシモータ45)など)を停止させてもよい。また、第1のリクエスト信号を送信する際には、例えば制御手段27が駆動輪34,34(モータ35,35)を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で旋回させてもよい。このように電気掃除機11(本体ケース20)を旋回させながら第1のリクエスト信号を送信することで、第1のリクエスト信号がダストステーション12側に受信される確率を向上することが可能になる。第1のリクエスト信号を通信部64(ステーション信号受信部77)で受信すると、ダストステーション12のステーション制御部66が第1の誘導制御モードに切り換わり、通信部64(誘導信号送信部78L、誘導信号送信部78R、および、衝突防止信号送信部79)から誘導信号BL、誘導信号BR、衝突防止信号SSを所定時間毎に(時分割で)順次出力させる(
図4および
図5)。そして、これら誘導信号BL、誘導信号BR、および、衝突防止信号SSの無線通信部23(信号受信部56L,56R)での受信状態に基づいて制御手段27が駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を走行させる。
【0048】
より詳細に、制御手段27は、例えば誘導信号BL,BRの少なくともいずれかを無線通信部23で受信するまで電気掃除機11(本体ケース20)を走行させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御する。すなわち、制御手段27は、まず、誘導信号BL,BRの少なくともいずれかを無線通信部23(信号受信部56L,56Rのいずれか)で受信する位置まで電気掃除機11(本体ケース20)を走行させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御する。このとき、制御手段27は、電気掃除機11(本体ケース20)を直進させてもよいし、蛇行させたり、旋回させたりしてもよい。そして、制御手段27は、例えば誘導信号BLを無線通信部23(信号受信部56L)で受信したと判断した場合には、電気掃除機11(本体ケース20)を相対的に左方向に向かって所定距離走行させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の駆動を制御する(左側の駆動輪34(モータ35)の回転数を右側の駆動輪34(モータ35)の回転数よりも相対的に大きくする)。また、制御手段27は、誘導信号BR、あるいは誘導信号BL,BRを無線通信部23(信号受信部56R)で受信したと判断した場合には、電気掃除機11(本体ケース20)を相対的に右方向に向かって所定距離走行させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の駆動を制御する(右側の駆動輪34(モータ35)の回転数を左側の駆動輪34(モータ35)の回転数よりも相対的に大きくする)。
【0049】
そして、電気掃除機11およびダストステーション12は、上記の制御(第1のリクエスト信号の送信、誘導信号BL、誘導信号BR、衝突防止信号SSの送信、および、電気掃除機11(本体ケース20)の走行)を繰り返すことで、電気掃除機11が、時間の経過に伴い、誘導信号BL,BRが互いに水平方向に重なる領域(例えば10~20cm程度の幅)へと徐々に接近し、誘導信号BLを無線通信部23(信号受信部56L)によって受信し、かつ、誘導信号BR、あるいは誘導信号BL,BRを無線通信部23(信号受信部56R)によって受信したと判断する位置に沿って走行するようになる。
【0050】
なお、無線通信部23(信号受信部56L,56Rの少なくともいずれか)によって衝突防止信号SSを受信したときには、無線通信部23(信号受信部56L)によって誘導信号BLを受信し、かつ、無線通信部23(信号受信部56R)によって誘導信号BR(または誘導信号BL,BR)を受信している場合にのみ、電気掃除機11(本体ケース20)が位置Pに移動したものと判断して帰還制御シーケンスに遷移し、それ以外の場合には、ダストステーション12に対して正面でない方向からダストステーション12の近傍に接近したものと判断して、例えば制御手段27は例えば電気掃除機11(本体ケース20)を一旦この衝突防止信号SSから離れた位置まで走行させた後、旋回させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御し、再度上記接近制御シーケンスを繰り返す。
【0051】
このように電気掃除機11(本体ケース20)がダストステーション12に対して所定距離の位置Pへと接近する走行領域は、接近走行エリア(アプローチ走行エリア)A1として定義される。すなわち、接近走行エリアA1は、衝突防止信号SSよりも外側の領域となる。
【0052】
また、帰還制御シーケンスにおいて、帰還制御モードとなった制御手段27は、無線通信部23(信号送信部55)から第2のリクエスト信号を送信させる。第2のリクエスト信号を通信部64(ステーション信号受信部77)で受信すると、ダストステーション12のステーション制御部66が第2の誘導制御モードに切り換わり、通信部64から第1の誘導制御モード時に送信する無線信号(赤外線信号)よりも少ない種類の無線信号(赤外線信号)、具体的には通信部64(誘導信号送信部78L)から誘導信号BLのみを出力させる(
図6および
図7)。このとき、ステーション制御部66は、通信部64(誘導信号送信部78R)から誘導信号BRのみを出力させるようにしてもよい。そして、誘導信号BL(または誘導信号BR)の無線通信部23(信号受信部56L(または信号受信部56R))での受信状態に基づいて制御手段27が駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を所定距離走行させる。すなわち、制御手段27は、駆動輪34,34(モータ35,35)を同方向に同回転数で駆動させる。この帰還制御モード時の制御手段27は、例えば電気掃除機11(本体ケース20)の走行距離および走行速度を、接近制御モード時よりも小さくなるように駆動輪34,34(モータ35,35)を動作させることが好ましい。
【0053】
そして、電気掃除機11およびダストステーション12は、
図8に示すように電気掃除機11(本体ケース20)がダストステーション12に接続するまで上記の処理(第2のリクエスト信号の送信、誘導信号BL(または誘導信号BR)の送信、および、電気掃除機11(本体ケース20)の走行)を繰り返すことで、電気掃除機11が、誘導信号BLを無線通信部23(信号受信部56L)によって受信する位置(または誘導信号BRを無線通信部23(信号受信部56R)によって受信する位置)に沿って走行するようになる。すなわち、位置Pはダストステーション12の正面の位置であり、かつ、ダストステーション12までは距離が短いため、誘導信号BL,BR双方を用いずとも、いずれか一方のみを用いるだけで電気掃除機11はダストステーション12に向かって略ずれることなく走行できる。
【0054】
このように電気掃除機11(本体ケース20)がダストステーション12に対して所定距離の位置Pから接続するまでの走行領域は、帰還走行エリア(ドッキング走行エリア)A2として定義される。すなわち、帰還走行エリアA2は、衝突防止信号SSよりも内側でかつダストステーション12の正面の領域となる。また、この帰還走行エリアA2と接近走行エリアA1との境界の位置として位置Pが定義される。
【0055】
なお、本実施形態では、帰還制御シーケンスにおいて、制御手段27は、電気掃除機11(本体ケース20)を旋回させて電気掃除機11(本体ケース20)の後部をダストステーション12に向けた後、この後部をダストステーション12に向けたままダストステーション12に帰還するように、換言すれば後進するように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御するが、そのまま前進してダストステーション12に帰還するように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御してもよい。
【0056】
電気掃除機11は、この帰還制御シーケンスにより位置Pからダストステーション12へと帰還する際、駆動輪34,34がダストステーション12の載置部72へと乗り上げ、さらにダストステーション12に接近すると、引っ掛け部75が電気掃除機11(本体ケース20)の下部後側に位置する蓋体52の引っ掛け溝部54に挿入され、さらにダストステーション12に接近すると、引っ掛け部75が下方へと回動することで蓋体52を下方へと回動させていき、充電端子59,59がダストステーション12の充電用端子69,69と機械的および電気的に接続されるとともに、塵埃排出口33(集塵部46)と塵埃吸込口74とが気密に接続される。
【0057】
そして、電気掃除機11がダストステーション12に帰還して接続される(
図8)と、制御手段27が帰還モードを終了して駆動輪34,34(モータ35,35)を停止させることで電気掃除機11(本体ケース20)が停止し、ステーション制御部66が誘導モードを終了して誘導信号送信部78L(または誘導信号送信部78R)からの誘導信号BL(または誘導信号BR)の出力を停止する。次いで、制御手段27は、帰還制御モードの終了後直ちに、あるいは所定時間の待機モードを挟んで、移送モードに切り換わる。同時に、ステーション制御部66も移送モードに切り換わる。そして、このステーション制御部66は、電動送風機62を所定時間駆動させることで、塵埃吸込口74から電気掃除機11の集塵部46内に溜められた塵埃を、塵埃排出口33を介して塵埃収容部63へと吸い込んで移送する。このとき、制御手段27は、回転ブラシ42(ブラシモータ43)を回転駆動させるとともに、電動送風機41を断続的に運転させて、回転ブラシ42に付着した塵埃も塵埃収容部63へと移送することなどもできる。
【0058】
なお、制御手段27およびステーション制御部66は、移送モードが終了すると、それぞれ直ちに、あるいは所定時間の待機モードを挟んで充電モードに切り換わり、充電回路68により二次電池28を充電する。そして、二次電池28の充電が終了すると、制御手段27およびステーション制御部66はそれぞれ待機モードに切り換わる。
【0059】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、第2のリクエスト信号を送信し、この第2のリクエスト信号を受信したときには、第1の誘導制御モード時よりも少ない種類、本実施形態では1種類の無線信号である誘導信号BL(または誘導信号BR)を送信する動作を繰り返すので、制御手段27は、ダストステーション12側との無線信号(赤外線信号)の送受信を都度確認しながら、電気掃除機11(本体ケース20)をダストステーション12に向かって、より確実に帰還させることができる。
【0060】
次に、第2の実施形態を
図9を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
この第2の実施形態では、帰還制御シーケンス時に、電気掃除機11では、制御手段27が帰還制御モードに切り換わったときに無線通信部23(信号送信部55)から第2のリクエスト信号を送信させ、ダストステーション12から送信された無線信号を無線通信部23(信号受信部56L(または信号受信部56R))で受信すると、それ以降は電気掃除機11がダストステーション12に接続されるまで無線通信部23(信号送信部55)から無線信号(リクエスト信号)を送信させない。ここで、電気掃除機11は、ダストステーション12に対して正面の位置Pから第2のリクエスト信号を送信するため、実質的には第2のリクエスト信号を1回送信するのみで略確実にダストステーション12の通信部64(ステーション信号受信部77)で受信させることができる。したがって、制御手段27は、帰還制御モードに切り換わったときに無線通信部23(信号送信部55)から第2のリクエスト信号を1回のみ送信させる構成としてもよい。
【0062】
また、ダストステーション12では、電気掃除機11の無線通信部23(信号送信部55)から送信された第2のリクエスト信号を通信部64(ステーション信号受信部77)で一旦受信すると、電気掃除機11がダストステーション12に帰還して接続されるまで、ステーション制御部66が通信部64(誘導信号送信部78L(または誘導信号送信部78R))から誘導信号BL(または誘導信号BR)のみを所定時間T毎に繰り返し送信させ続ける。
【0063】
この結果、無線通信部23と通信部64との間で無線信号(赤外線信号)の送受信に要する時間をより短縮でき、換言すれば無線信号(赤外線信号)の捕捉精度や受信頻度を比較的容易に向上させることができ、無線通信部23で受信した無線信号(赤外線信号)に基づき、電気掃除機11をより精度よくダストステーション12に誘導できる。
【0064】
なお、上記各実施形態において、帰還制御シーケンス時(制御手段27が帰還制御モードであるとき(ステーション制御部66が第2の誘導制御モードであるとき))に通信部64から送信する無線信号の種類数は、接近制御シーケンス時(制御手段27が接近制御モードであるとき(ステーション制御部66が第1の誘導制御モードであるとき))に通信部64から送信する無線信号よりも種類数が少なければ、誘導信号BL(または誘導信号BR)の1種類に限定されない。
【0065】
また、帰還制御シーケンス時(制御手段27が帰還制御モードであるとき(ステーション制御部66が第2の誘導制御モードであるとき))に通信部64から送信する無線信号は、接近制御シーケンス時(制御手段27が接近制御モードであるとき(ステーション制御部66が第1の誘導制御モードであるとき))に通信部64から送信する無線信号と同じ種類の無線信号(誘導信号BL(または誘導信号BR))を含んでいるが、この構成に限定されず、互いに全く異なる種類の無線信号を送信してもよい。
【0066】
さらに、基地装置としては、塵埃を電気掃除機11の集塵部46から塵埃排出口33および塵埃吸込口74を介して塵埃収容部63へと移送するダストステーション12としたが、単なる充電装置でもよいし、充電機能を有しないものでもよい。すなわち、基地装置は、電気掃除機11が掃除終了時などの所定のタイミングで帰還して接続するものであれば、その機能は問わない。
【0067】
また、自律走行体としては、掃除部22を有する電気掃除機11としたが、この掃除部22は必須の構成ではない。すなわち、自律走行体は、掃除機能を有するものに限定されない。
【0068】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、制御手段27が接近制御モードのときに無線通信部23が第1のリクエスト信号を送信すると、この第1のリクエスト信号を受信したときに通信部64が複数種類の異なる無線信号(赤外線信号)を順次送信し、制御手段27が帰還制御モードのときに無線通信部23が第1のリクエスト信号と異なる第2のリクエスト信号を送信すると、この第2のリクエスト信号を受信したときに通信部64が第1のリクエスト信号を受信したときよりも少ない種類の無線信号(赤外線信号)を送信する。すなわち、接近走行シーケンス時には、電気掃除機11とダストステーション12との位置関係が多様であることが想定され、電気掃除機11をダストステーション12に接近させるように誘導するために多種の無線信号(赤外線信号)が必要になるのに対して、接近走行シーケンス後にダストステーション12の正面の位置Pからダストステーション12に電気掃除機11を帰還させるときには、電気掃除機11(本体ケース20)を単に直線状に走行させるのみで済むから、電気掃除機11を誘導するために多種の無線信号(赤外線信号)を必要としない。そこで、上記のように、帰還制御シーケンス時には必要最小限の無線信号(赤外線信号)のみを通信部64から送信する。このため、電気掃除機11をダストステーション12に帰還させるときの無線信号(赤外線信号)の送受信に要する時間を短縮でき、捕捉精度や送受信頻度を比較的容易に向上させることができるので、無線通信部23で受信した無線信号(赤外線信号)に基づき、制御手段27が電気掃除機11をより精度よくダストステーション12に帰還および接続させることができる。すなわち、電気掃除機11のダストステーション12への帰還(誘導)の精度を向上できる。
【0069】
特に、帰還制御モード時に、制御手段27は、電気掃除機11(本体ケース20)がダストステーション12に帰還する速度を接近制御モード時よりも低下させるように駆動輪34,34(モータ35,35)の動作を制御しているので、無線通信部23と通信部64との間で無線信号(赤外線信号)をより高頻度に送受信できる。言い換えると、帰還制御モード時に、制御手段27は、電気掃除機11(本体ケース20)がダストステーション12に帰還する速度を接近制御モード時よりも低下させないようにしても、無線通信部23と通信部64との間での無線信号(赤外線信号)の送受信の頻度は従来よりも低下しないので、電気掃除機11のダストステーション12への帰還の精度を維持したまま、高速での帰還および接続が可能になる。
【0070】
さらに、制御手段27が帰還制御モードであるとき(ステーション制御部66が第2の誘導制御モードであるとき)、すなわち帰還制御シーケンス時に通信部64から送信する無線信号(赤外線信号)に、制御手段27が接近制御モードであるとき(ステーション制御部66が第1の誘導制御モードであるとき)、すなわち接近制御シーケンス時に通信部64から送信する無線信号(赤外線信号)を含む、換言すれば、帰還制御シーケンス時に通信部64から送信する無線信号は接近制御シーケンス時に通信部64から送信する無線信号の一部と共通である(帰還制御シーケンス時に通信部64から送信する無線信号は接近制御シーケンス時に通信部64から送信する無線信号に含まれる)ため、異なる無線信号を生成するなどの処理が不要で、制御をより簡略化できる。
【0071】
特に、二次電池28をダストステーション12により充電する場合には、電気掃除機11がダストステーション12に帰還したときの電気掃除機11とダストステーション12との位置精度、すなわち充電端子59,59と充電用端子69,69との位置精度が重要となる。そのため、上記のように、電気掃除機11のダストステーション12への帰還の精度を向上できることにより、充電端子59,59と充電用端子69,69とをより確実に接続させ、二次電池28の確実な充電を可能とすることができる。
【0072】
同様に、電気掃除機11の集塵部46に捕集した塵埃をダストステーション12の塵埃収容部63へと移送する場合には、電気掃除機11がダストステーション12に帰還したときの電気掃除機11とダストステーション12との位置精度、すなわち塵埃排出口33と塵埃吸込口74との位置精度が重要となる。そのため、上記のように、電気掃除機11のダストステーション12への帰還の精度を向上できることにより、塵埃排出口33と塵埃吸込口74とをより確実に接続させ、集塵部46から塵埃収容部63への確実な塵埃の移送を可能とすることができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10 自律走行体装置としての電気掃除装置
11 自律走行体としての電気掃除機
12 基地装置としてのダストステーション
20 本体ケース
23 無線通信部
27 制御手段
34 走行駆動部としての駆動輪
64 通信部