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特許7232733無線通信水道メータおよび無線通信ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】無線通信水道メータおよび無線通信ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/075 20060101AFI20230224BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20230224BHJP
   G01F 15/06 20220101ALI20230224BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20230224BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
G01F1/075
G01F1/00 Y
G01F15/06
G08C15/00 B
G08C17/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019127858
(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2021012169
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰正
(72)【発明者】
【氏名】竹中 宏
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-075897(JP,U)
【文献】実開昭56-168898(JP,U)
【文献】国際公開第2010/098122(WO,A1)
【文献】特開平08-105783(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1489921(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1912812(KR,B1)
【文献】米国特許第8011628(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00-22/02
G08C 15/00
G08C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータケースと、
前記メータケースのケース上端部に内蔵されている流量積算部と、
前記流量積算部による積算流量を表示するために、前記ケース上端部の上面に設けた表示窓と、
前記ケース上端部の前記上面から前記メータケースの外部に引き出されているメータ側配線ケーブルと、
前記上面を覆い隠すように、前記メータケースの前記ケース上端部に取り付けた外付けユニットと、
前記外付けユニットにおける前記上面に対峙するユニット外側底面に形成されたケーブル引出用凹部と、
無線通信モジュールが搭載された通信基板、無線通信用のアンテナ、および電池を備えた無線通信装置と、
を有しており、
前記メータ側配線ケーブルは、前記ケーブル引出用凹部を通って、前記ケース上端部の前記上面と前記外付けユニットの前記ユニット外側底面との間から引き出されて、前記外付けユニットに接続されており、
前記外付けユニットには、表示装置と、前記アンテナとが内蔵されており、
前記電池は、前記外付けユニットまたは前記流量積算部に内蔵されており、
前記通信基板は、前記外付けユニットまたは前記流量積算部に内蔵されている無線通信水道メータ。
【請求項2】
前記外付けユニットは、前記ケース上端部に対して着脱可能に取り付けられている請求項1に記載の無線通信水道メータ。
【請求項3】
前記ケース上端部に対して着脱可能に取り付けたアタッチメントを備え、
前記外付けユニットは、前記ケース上端部に取り付けた前記アタッチメントに対して着脱可能に取り付けられている請求項1に記載の無線通信水道メータ。
【請求項4】
前記外付けユニットのユニット内側底面には、前記ケーブル引出用凹部に対応する形状の凸部が形成されており、
前記凸部の上面部分は、前記アンテナの配置面である請求項1に記載の無線通信水道メータ。
【請求項5】
前記電池は、前記外付けユニットに内蔵されており、
前記外付けユニットのユニット内側底面には、前記ケーブル引出用凹部に対応する形状の凸部が形成されており、
前記凸部の側面は、前記電池の位置決め面である請求項1に記載の無線通信水道メータ。
【請求項6】
前記外付けユニットのユニット上面に配置した前記表示装置の表示面と、
前記表示面を覆うように前記ユニット上面に取り付けた透明な蓋板と
を備えており、
前記蓋板は、表示面拡大表示用の凸レンズである請求項1に記載の無線通信水道メータ。
【請求項7】
前記外付けユニットは、前記アンテナ、前記電池および前記通信基板を含む前記無線通信装置が内蔵された無線通信ユニットである請求項1に記載の無線通信水道メータ。
【請求項8】
メータケースと、前記メータケースのケース上端部に内蔵されている流量積算部と、前記流量積算部による積算流量を表示するために、前記ケース上端部の上面に配置されている表示窓と、前記ケース上端部の前記上面から前記メータケースの外部に引き出されているメータ側配線ケーブルとを備えた水道メータにおける前記上面を覆い隠すように、前記メータケースの前記ケース上端部に取り付けて用いる水道メータ用無線通信ユニットであって、
ユニットケースと、
前記ユニットケースに形成されている前記メータ側配線ケーブルを通す配線穴と、
前記ユニットケースに内蔵されている表示装置と、
前記ユニットケースに内蔵されている無線通信装置と、
を有しており、
前記ユニットケースは、前記ケース上端部に取り付けた状態において前記上面に対峙するユニット外側底面に形成されたケーブル引出用凹部を備えており、
前記無線通信装置は、電池と、無線通信用のアンテナと、無線通信モジュールが搭載された通信基板とを備えた無線通信装置とを備えており、
前記ユニットケースを前記ケース上端部に取り付けた状態において、前記メータ側配線ケーブルを、前記ケーブル引出用凹部を通して、前記ケース上端部の前記上面と前記ユニットケースの前記ユニット外側底面との間から引き出して前記配線穴に通すことが可能となっている水道メータ用無線通信ユニット。
【請求項9】
前記ユニットケースは、前記水道メータの前記ケース上端部に対して着脱可能となっている請求項8に記載の水道メータ用無線通信ユニット。
【請求項10】
前記水道メータの前記ケース上端部に対して着脱可能なアタッチメントを備えており、
前記ユニットケースは、前記アタッチメントに対して着脱可能となっている請求項8に記載の水道メータ用無線通信ユニット。
【請求項11】
前記ユニットケースのユニット内側底面には、前記ケーブル引出用凹部に対応する形状の凸部が形成されており、
前記凸部の上面部分は、前記アンテナの配置面である請求項8に記載の水道メータ用無線通信ユニット。
【請求項12】
前記ユニットケースのユニット内側底面には、前記ケーブル引出用凹部に対応する形状の凸部が形成されており、
前記凸部の側面は、前記電池の位置決め面である請求項8に記載の水道メータ用無線通信ユニット。
【請求項13】
前記ユニットケースのユニット上面に配置した前記表示装置の表示面と、
前記表示面を覆うように前記ユニット上面に取り付けた透明な蓋板と
を備えており、
前記蓋板は、表示面拡大表示用の凸レンズである請求項8に記載の水道メータ用無線通信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体回線網などの通信回線を介して、所定の通信先との間で通信を行う無線通信機能を備えた無線通信水道メータ、および、水道メータに無線通信機能を付加するために水道メータに取り付けて用いる無線通信ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
水道メータとしては、例えば、特許文献1、2に記載されているような、乾式水道メータと呼ばれるものが知られている。この種の水道メータは、良く知られているように、メータケースの内部に羽根車が配置された計量室が設けられ、メータケースのケース上端部の内部には、計量室を流れる水流によって回転する羽根車に磁気結合された歯車を備えた流量積算用の指示機構(流量積算部)が組み込まれている。メータケース内部において、指示機構は耐圧板あるいはレジスタボックス等と呼ばれる部材によって、計量室とは液密状態で仕切られている。メータケースのケース上端部の上面には透明ガラスからなる表示窓が配置され、ここを介して、指示機構の指示面に表示される流量積算値等を示す目盛り、数値を読み取ることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-165722号公報
【文献】特開2004-4020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、水道メータの検針システムとして、無線通信により検針を行う自動検針システムが知られている。自動検針システムでは、各水道メータの検針データを、PHS、一般加入電話回線、IP網あるいはCATV網などを介して、検針センター端末に収集する。このために、各水道メータには無線通信機能が搭載される。例えば、近年、長時間にわたって電池駆動で動作させることができるデータ通信モジュールが販売されている。このような通信モジュール、例えば、MVO、MVNOから提供されるSMS対応データ通信SIMなどの通信モジュールを利用して、水道メータの自動検針を行うシステムを構築することが考えられる。水道メータに通信モジュールを搭載すれば、水道メータ毎に携帯電話を内蔵している場合に等しい状態になるので、MVO、MVNOが提供する各種のサービスを利用した自動検針システムを構築できる。
【0005】
乾式水道メータ等の無線通信機能が備わっていない水道メータを、自動検針システムの検針用の端末として用いる場合には、無線通信機能を付加して、例えばIoT端末として利用できるようにする必要がある。無線通信機能を水道メータに搭載する場合には、無線通信モジュールが搭載された通信基板、電池、アンテナその他の無線通信用部品を、水道メータに組み込む必要がある。メータケースは一般に規格品であるので、これらの無線通信用部品が搭載された無線通信ユニットを、メータケースに外付けすることが考えられる。
【0006】
しかしながら、無線通信用部品の収納スペースを確保するために、水道メータに取り付ける無線通信ユニットを所定の大きさにする必要がある。水道メータに無線通信ユニットを外付けすると、その上下方向、前後左右方向の寸法が増加する。無線通信ユニットが邪魔になって、一般的な大きさの水道メータボックス内に収まらない、水道配管に対する水道メータの接続作業が困難になる、持ち運びが困難になる、外観品位(意匠性)が低下するなどの問題が生じる。
【0007】
具体的には、水道メータは、一般に、水平に配置されている水道管の部分に水平な姿勢で接続して使用される。水道メータのメータケースの前後あるいは側方には設置スペースを確保することが一般に困難である。このため、無線通信ユニットを、水道メータのメータケースのケース上端部に載せた状態に取り付けることになる。したがって、水道メータの上下方向の寸法が増加してしまう。また、この場合には、ケース上端面の上面は表示窓となっているので、ここに、無線通信ユニットを取り付けると、表示窓が隠れてしまう。
【0008】
さらに、水道メータは地中等のように、電波の届きにくい場所に設置される場合が多い。このような場所に設置される水道メータに無線通信ユニットを取り付けても、水道メータの無線検針動作を確実に行うことが困難である。この場合には、例えば、無線通信用アンテナとして、利得が高く雑音に強いループアンテナを用いることが望ましい。しかし、ループアンテナを設置すると、無線通信ユニットの寸法増加を招くことになるので、ユニット内にループアンテナを配置することが困難な場合が多い。
【0009】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、特に上下方向の寸法増加を抑制可能な形態で無線通信機能が備わっている無線通信水道メータ、および、既存の乾式水道メータに取り付けて用いる水道メータ用無線通信ユニットを提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、上記の目的に加えて、受信感度の悪い場所に設置される場合にも確実に無線通信を行うことのできる無線通信水道メータ、および、既存の乾式水道メータに取り付けて用いる水道メータ用無線通信ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の無線通信水道メータは、
メータケースと、
メータケースのケース上端部に内蔵されている流量積算部と、
前記流量積算部による積算流量の表示面を目視できるように、前記ケース上端部の上面に配置されている表示窓と、
前記ケース上端部の前記上面から前記メータケースの外部に引き出されているメータ側配線ケーブルと、
前記上面を覆い隠すように、前記メータケースの前記ケース上端部に取り付けた外付けユニットと、
前記外付けユニットにおける前記上面に対峙するユニット外側底面に形成されたケーブル引出用凹部と、
無線通信モジュールが搭載された通信基板、無線通信用のアンテナ、および電池を備えた無線通信装置と、
を有しており、
前記メータ側配線ケーブルは、前記ケーブル引出用凹部を通って、前記ケース上端部の前記上面と前記外付けユニットの前記ユニット外側底面との間から引き出されて、前記外付けユニットに接続されており、
前記外付けユニットには、表示装置と、前記アンテナとが内蔵されており、
前記電池は、前記外付けユニットまたは前記流量積算部に内蔵されており、
前記通信基板は、前記外付けユニットまたは前記流量積算部に内蔵されていることを特徴としている。
【0012】
本発明の無線通信水道メータにおいては、そのケース上端部に載せた状態に外付けユニットが取り付けられている。メータケースの上面から引き出されているメータ側配線ケーブルは、外付けユニットのユニット外側底面に形成したケーブル引出用凹部に収納され、ここを通して、ケース上端部の上面と、ここに載せた外付けユニットのユニット外側底面との間から引き出されている。
【0013】
メータケースの上面に外付けユニットを載せる場合には、これらの間に、メータケースの上面に引き出されているケース側配線ケーブルの配線スペースを確保する必要がある。本発明によれば、外付けユニットの側にケーブル引出用凹部を形成してあるので、配線スペースを別途、確保する必要がない。よって、配線スペースの分だけ、無線通信水道メータの上下方向の寸法増加を抑えることができる。
【0014】
また、無線通信装置のうちアンテナ以外の部位を可能な限り、メータケース内の流量積算部に搭載することにより、外付けユニットの寸法を小さくできる。これにより、外付けユニットを取り付けたことによる水道メータの全体の寸法増加を抑制できる。
【0015】
さらに、外付けユニットは表示装置を備えており、ケース側配線ケーブルおよびユニット側配線ケーブルを介して、流量積算部から流量積算値情報を取得して表示できる。よって、メータケースのケース上端部の上面の表示窓が外付けユニットによって覆い隠されても、流量積算部による流量積算値等を外付けユニットの表示装置の表示画面を目視することで確認できる。
【0016】
ここで、外付けユニットは、着脱可能な状態で、ケース上端部に取り付けられていることが望ましい。例えば、ケース上端部に対して着脱可能に取り付けたアタッチメントを備えている場合には、外付けユニットは、ケース上端部に取り付けたアタッチメントに対して着脱可能に取り付けられる。
【0017】
外付けユニットを着脱可能にしておくと、水道メータの設置場所が受信感度の悪い場所であった場合、あるいは、設置スペースが狭く、外付けユニットをメータケースに取り付けることができない場合等においては、外付けユニットを水道メータ本体とは別の場所に設置し、メータ側配線ケーブルおよびユニット側配線ケーブルを介して、水道メータ本体側と外付けユニットとの間で通信を行えばよい。水道メータの設置場所の制限されることなく、水道メータに無線通信機能を付加でき、また、確実に無線通信を行うことができる。
【0018】
次に、外付けユニットにおいては、そのユニット内側底面には、ケーブル引出用凹部に対応する形状凸部が形成される。この凸部の上面部分を、アンテナの配置面(設置スペース)として利用できる。また、外付けユニットに無線通信装置の電源である電池が内蔵される場合には、この凸部の側面を、電池収納部の位置決め面として利用できる。
【0019】
一方、外付けユニットのユニット上面に、表示装置の表示面を配置し、この表示面を覆うようにユニット上面に透明な蓋板を取り付ける場合がある。この場合には、蓋板を、表示面拡大表示用の凸レンズとすることができる。これにより、表示情報を見やすくなる。
【0020】
本発明において、外付けユニットは、アンテナ、電池および通信基板を含む無線通信装置が内蔵された無線通信ユニットとして構成できる。この場合には、既設の乾式水道メータのケース上端部に、無線通信ユニットを取り付けて、そのユニット側配線ケーブルをメータ側配線ケーブルに接続することで、簡単に、無線通信機能を乾式水道メータに付加できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用した無線通信水道メータを示す斜視図、および無線通信ユニットを離れた場所に配置した状態の無線通信水道メータを示す斜視図である。
図2】無線通信水道メータの上面図、側面図、および後側の端面図である。
図3】無線通信水道メータの縦断面図である。
図4】無線通信水道メータを示す分解斜視図、および無線通信ユニットの底面側を示す斜視図である。
図5】無線通信ユニットの分解斜視図である。
図6】無線通信ユニットに蓋板を取り付けた場合の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した無線通信水道メータの実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明を実施の形態に限定することを意図したものではない。
【0023】
図1(a)は実施の形態に係る無線通信水道メータを示す斜視図であり、図1(b)は無線通信ユニットを外して離れた場所に設置した場合の一例を示す無線通信水道メータの斜視図である。図2(a)は無線通信水道メータ1の上面図であり、図2(b)はその側面図であり、図2(c)はその後側を示す端面図である。なお、図2に示すように、無線通信水道メータ1の前後方向を矢印1A、上下方向を矢印1B、幅方向を矢印1Cとする。これらの図を参照して説明すると、無線通信水道メータ1は、水道メータ本体部2と、水道メータ本体部2にアタッチメント3を介して着脱可能に取り付けた無線通信ユニット4(外付けユニット)とを備えている。
【0024】
図3は無線通信水道メータ1の概略縦断面図であり、図2(a)に示すA-A線で切断した部分の断面である。図3も参照して説明すると、水道メータ本体部2は、例えば、公知の乾式水道メータであり、メータケース5と、メータケース5の内部に設けた計量室6と、メータケース5に取り付けたレジスタボックス7と、レジスタボックス7の内部に配置した流量積算用の指示機構8とを備えている。
【0025】
メータケース5は、上下方向に延びる円筒部51と、この円筒部51から前方に延びる入口側の通水管部52と、円筒部51から後方に延びる出口側の通水管部53とを備えている。円筒部51の内部に、羽根車9を備えた計量室6が配置されており、羽根車9は、通水管部52から計量室6を経由して通水管部53に流れる水道水によって回転する。メータケース5の円筒部51の上端部分には、その上端開口部から、カップ形状のレジスタボックス7が装着されている。レジスタボックス7の内部に配置されている指示機構8は、電池8a、および、図示を省略してあるが、羽根車9と磁気結合している磁気歯車等を備え、羽根車9の回転に基づき水道水の流量を積算する。レジスタボックス7の上端部には、指示機構8の指示面が上方を向く状態に配置されている。指示面は透明なガラス板11で覆われている。
【0026】
メータケース5の円筒部51の上端部であるケース上端部54は、上側から固定用リング12がねじ込み固定され、固定用リング12によって、ガラス板11およびレジスタボックス7が、円筒部51の上端部分に固定された構成となっている。ケース上端部54の上面54aは、ガラス板11の上面によって規定されている。ガラス板11によって、指示機構8の指示面に表示される数値、目盛りを、ガラス板11を介して、上方から目視可能な表示窓が規定されている。また、レジスタボックス7の内部からは、メータ側配線ケーブル13が引き出されている。メータ側配線ケーブル13は、ガラス板11を通って、その上面から上方(メータケース5の外側)に引き出されている。
【0027】
図4(a)は、水道メータ本体部2からアタッチメント3および無線通信ユニット4を外した状態を示す分解斜視図であり、図4(b)は無線通信ユニット4の底面側を示す斜視図である。図3および図4を主に参照して、無線通信ユニット4をメータケース5に着脱可能に取り付けるために用いるアタッチメント3を説明する。
【0028】
アタッチメント3は、例えばプラスチック成型品であり、一定厚さの円環状の天板31と、この天板31の外周縁に沿って等角度間隔で形成された複数枚の係合板32を備えている。各係合板32は、天板31の外周縁から直交する方向に延びる一定幅で一定長さの板である。各係合板32の下端には、内側に突出した係合爪33が形成されている。また、アタッチメント3の天板31の外周縁部には、各係合板32の外周面よりも僅かに半径方向の外方に突出した係合リブ34が形成されている。
【0029】
アタッチメント3の係合板32によって取り囲まれる天板31の裏面側の部分に、ケース上端部54の固定用リング12を下側から挿入可能である。よって、アタッチメント3を、メータケース5のケース上端部54における固定用リング12に対して、上側から被せることが可能である。アタッチメント3を固定用リング12に対して上方から押込み、そこに被せると、各係合板32が弾性変形して、それらの下端の係合爪33が、固定用リング12の円環状の下端縁12aに対して下側から掛止した状態になる。アタッチメント3をワンタッチ操作で、メータケース5のケース上端部54に取り付けることができる。
【0030】
図5は無線通信ユニット4の分解斜視図である。図4および図5を主に参照して説明すると、無線通信ユニット4は、全体として、前後方向1Aに僅かに長い偏平な直方体形状のユニットケース40を備えている。ユニットケース40の内部には、液晶表示装置60と無線通信装置70とが搭載されている。メータ側配線ケーブル13がユニットケース40の側面に形成した配線穴40aを通って内部に引き込まれて、液晶表示装置60および無線通信装置70に接続される。
【0031】
ユニットケース40は、例えばプラスチック成型品である上ケース41と下ケース42とが、シール材43を挟み、複数本のビス44によって組付けられ、液密状態の内部空間が形成されている。下ケース42のケース底板部分42aにおける前後方向1Aの中央部分には、ケーブル引出用凹部45が一体形成されている。ケーブル引出用凹部45は、ケース底板部分42aの外側底面42b(ユニット外側底面)の側に開口した凹部である。ケーブル引出用凹部45は、ケース底板部分42aの外側底面42b(ユニット外側底面)を、幅方向1Cに向けて幅方向の両端まで延びる一定幅で一定深さの凹部である。ケーブル引出用凹部45の幅方向の両端は、下ケース42の両側の側面部分に開口している。ケース底板部分42aの内側底面42cには、ケーブル引出用凹部45に対応した形状の凸部46となっている。
【0032】
下ケース42の外側底面42bからは、ケーブル引出用凹部45を直径とする同一円上に位置するように、複数枚の円弧板47が下方に突出している。円弧板47の下端縁には、内周側に突出した係合爪47aが形成されている(図3参照)。円弧板47の内側には、下方から、アタッチメント3の円環状の天板31を嵌め込み可能である。ユニットケース40の下ケース42を、アタッチメント3の天板31に位置決めして、上方から押し込むと、円弧板47の係合爪47aが弾性変形して、天板31の外周縁の係合リブ34を乗り越え、当該係合リブ34に対して下側から係合した状態が形成される。メータケース5のケース上端部54に取り付けたアタッチメント3に対して、上側からユニットケース40を位置決めして押し込むワンタッチ操作により、無線通信ユニット4を、アタッチメント3を介して、水道メータ本体部2に取り付けることができる。また、無線通信ユニット4を所定以上の力でメータケース5から上方に引き上げれば、無線通信ユニット4を取り外すことができる。
【0033】
ここで、図3から分かるように、無線通信ユニット4をメータケース5のケース上端部54に取り付けた状態においては、ケース上端部54の上面54aに、下ケース42の外側底面42bが対峙した状態になる。外側底面42bには、ケーブル引出用凹部45が形成されている。ここに、上面54aから引き出されているメータ側配線ケーブル13を通して、ケース上端部54の上面54aと無線通信ユニット4の外側底面42bとの間から側方に引き出して、無線通信ユニット4に接続できる。このように、無線通信ユニット4の外側底面42bと、メータケース5のケース上端部54の上面54aとの間に、隙間が殆ど出来ない状態で、無線通信ユニット4をメータケース5に取り付けることができる。よって、無線通信ユニット4を取り付けた状態における上下方向1Bの寸法増加を最小限にすることができる。
【0034】
次に、図3および図5を参照して説明すると、ユニットケース40の内部において、前後方向の中央の凸部46よりも前側の部分の上ケース41の側に液晶表示装置60が組み込まれている。液晶表示装置60は、表示制御回路が実装された表示制御基板61と、この上に積層された液晶表示器本体部62と、この液晶表示器本体部62の表示面を覆うように積層された透明な表示カバー63とを備えている。表示カバー63は、上ケース41に開けた開口部41aに組み付けられている。
【0035】
また、ユニットケース40の内部に搭載された無線通信装置70は、無線通信モジュール71、通信用回路、その他の無線通信用電子部品が実装された通信基板72と、無線通信用アンテナ73と、無線通信用電源である電池74とを備えている。液晶表示装置60の下側の下ケース42の側に、無線通信装置70の通信基板72が積層されている。アンテナ73は、凸部46の平坦な上面部分46aを設置スペースとして利用して、配置されている。また、ユニットケース40の内部において、凸部46の後側の部分は電池収納部となっており、ここに、電池74が収納されている。本例では、凸部46の側面46bが、電池74の一方の側の位置決め用端面として利用されている。電池74の他方の位置決め用端面は、上ケース41および下ケース42の後側の内側端面によって規定されている。
【0036】
以上説明したように、本例の無線通信水道メータ1においては、メータケース5に無線通信ユニット4が着脱可能な状態で取り付けられている。無線通信ユニット4は、メータ側配線ケーブル13によって邪魔されることなく、隙間のほとんど無い状態で、メータケース5のケース上端部54の上面54aに取り付けることができる。よって、上下方向1Bの寸法増加を最小限に抑えた状態で無線通信機能を水道メータに付加することができる。
【0037】
また、無線通信ユニット4はワンタッチで着脱可能な形態で、メータケース5に取り付けられている。無線通信水道メータ1を水道メータボックス内において水道管に接続する作業等において、無線通信ユニット4が接続作業の邪魔になる場合がある。このような場合には、メータケース5から取り外して作業を行い、作業後に、無線通信ユニット4をメータケース5に取付ければよい。
【0038】
地中等に水道メータ1を設置する場合等において、無線通信ユニット4の受信状態が悪いことがある。このような場合には、図1(b)に示すように、メータケース5から無線通信ユニット4を外して、受信感度の良い場所に無線通信ユニット4を設置できる。この場合、無線通信ユニット4の底面から突出している円弧板47を利用して、設置場所において壁等に吊り掛けることができるので便利である。
【0039】
また、無線通信ユニット4には、メータ側配線ケーブル13を介してレジスタボックス7内の指示機構8による流量積算値情報が供給される。流量積算値情報は、無線通信ユニット4に搭載されている液晶表示装置60の表示画面に表示可能である。無線通信ユニット4を取り付けたことで、水道メータ本体部2の上面54a(表示窓)が覆い隠されてしまうが、流量積算値は、無線通信ユニット4の表示画面に表示される。水道メータ本体部2の上面が無線通信ユニット4によって覆い隠されたことによる不便を解消できる。
【0040】
(その他の実施の形態)
上記の無線通信水道メータ1の無線通信ユニット4は、既存あるいは既設の乾式水道メータに無線通信機能を付加するために用いることができるように、電池、通信基板およびアンテナを含む無線通信装置の構成部品が全て無線通信ユニット4に内蔵されている。新たに、無線通信機能を備えた水道メータ1を製造する場合には、メータケース5に固定される無線通信ユニットの小型化を図るために、アンテナ以外の構成部品を、メータケース5の内部のレジスタボックス内等に搭載することも可能である。例えば、メータケース5の側に、無線通信用の電池74、通信基板72を搭載し、無線通信ユニット4にはアンテナ73のみを搭載することができる。また、メータケース5の側に、電池74および通信基板72の一方を搭載し、無線通信ユニット4の側にアンテナ73と、電池74および通信基板72の他方を搭載することができる。
【0041】
上記の水道メータ1は、無線通信ユニット4をメータケース5に取り付けるために、別部材であるアタッチメント3を用いている。アタッチメント3を用いることなく、無線通信ユニット4を直接、メータケース5に取り付けることも可能である。この場合には、例えば、無線通信ユニット4の下ケース42の外側底面42bに、メータケース5の固定用リング12の下端縁に係合可能な係合爪を一体形成しておけばよい。
【0042】
次に、無線通信ユニット4の上面の開口部41aに設けた表示カバー63に、透明な蓋板を取り付ける場合がある。図6には、無線通信ユニット4の表示カバー63に、透明な蓋板80を取り付けた場合を示す説明図である。この場合には、透明な蓋板80を表示面拡大表示用の凸レンズとして成形することができる。蓋板80を介して、液晶表示装置60の表示画面を拡大して見ることができるので視認性が向上する。
【符号の説明】
【0043】
1 無線通信水道メータ
2 水道メータ本体部
3 アタッチメント
4 無線通信ユニット
5 メータケース
6 計量室
7 レジスタボックス
8 指示機構
8a 電池
9 羽根車
11 ガラス板
12 固定用リング
12a 下端縁
13 メータ側配線ケーブル
31 天板
32 係合板
33 係合爪
34 係合リブ
40 ユニットケース
40a 配線穴
41 上ケース
41a 開口部
42 下ケース
42a ケース底板部分
42b 外側底面
42c 内側底面
43 シール材
44 ビス
45 ケーブル引出用凹部
46 凸部
46a 上面部分
46b 側面
47 円弧板
47a 係合爪
51 円筒部
52 通水管部
53 通水管部
54 ケース上端部
54a 上面
60 液晶表示装置
61 表示制御基板
62 液晶表示器本体部
63 表示カバー
70 無線通信装置
71 無線通信モジュール
72 通信基板
73 アンテナ
74 電池
80 蓋板
図1
図2
図3
図4
図5
図6